(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117214
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】ヘルメット
(51)【国際特許分類】
A42B 3/20 20060101AFI20240822BHJP
A42B 3/06 20060101ALI20240822BHJP
A42B 3/14 20060101ALI20240822BHJP
A42B 3/12 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A42B3/20
A42B3/06
A42B3/14
A42B3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023173
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】500272347
【氏名又は名称】DICプラスチック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山村 浩之
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 準
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107AA01
3B107AA03
3B107BA05
3B107BA08
3B107DA03
3B107DA05
3B107DA08
3B107DA18
(57)【要約】
【課題】軽量化を可能とした顔面保護部材が取付可能なヘルメットを提供する。
【解決手段】帽体11と、帽体11の内面に配置されるハンモック21であって、天井部22と、天井部22から放射状に延在するとともに内面に取り付けられる複数の脚部23と、を備えるハンモック21と、内面において、周回方向に延在するとともに脚部に取り付けられるヘッドバンド31と、を備え、ハンモック21は、顔面保護シールド41が取り付けられるガイドレール25を備え、ガイドレール25は、複数の脚部23の中で前方に延在する2つの前方脚部23a,23bの間において、天井部22からヘッドバンド31の方向に延在するとともにヘッドバンド31に取り付けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帽体と、
前記帽体の内面に配置されるハンモックであって、天井部と、前記天井部から放射状に延在するとともに前記内面に取り付けられる複数の脚部と、を備える前記ハンモックと、
前記内面において、周回方向に延在するとともに前記脚部に取り付けられるヘッドバンドと、を備え、
前記ハンモックは、顔面保護部材が取り付けられるガイドレールを備え、
前記ガイドレールは、前記複数の脚部の中で前方に延在する2つの前方脚部の間において、前記天井部から前記ヘッドバンドの方向に延在するとともに前記ヘッドバンドに取り付けられる、
ヘルメット。
【請求項2】
前記複数の脚部は、前記前方脚部の他に、後方に延在する2つの後方脚部を備え、
2つの前記前方脚部がなす角度は、2つの前記後方脚部がなす角度よりも大きい
請求項1に記載のヘルメット。
【請求項3】
前記天井部と前記脚部と前記ガイドレールとは一体成形部材である
請求項1に記載のヘルメット。
【請求項4】
前記帽体は、衝撃吸収材が前記帽体の前記内面側にインモールド成形されている
請求項1に記載のヘルメット。
【請求項5】
前記内面と前記ガイドレール及びヘッドバンドとの間は、前記顔面保護部材の移動空間である
請求項1に記載のヘルメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔面保護部材が取付可能なヘルメットに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘルメットの中には、ヘルメットの着用者の顔面を保護する顔面保護部材としての顔面保護シールドが取り付けられるものがある。例えば、特許文献1のヘルメットは、帽体の内面に配置されるハンモックと、顔面を保護する保護シールドを保持する保持フレームと、を備えている。ハンモックは、天井部と、天井部から放射状に延びる複数の脚部と、を備えている。複数の脚部の中で、前方の2本の脚部の間には、別部材としての保持フレームが取り付けられている。保持フレームは、前方の2本の脚部の間を跨ぐように取り付けられる。例えば、保持フレームは、T字形状を有する。そして、第1前方脚部と第2前方脚部との間を横断する横断部と、横断部の中央から垂下されるガイド部と、を備える。そして、横断部が前方の2本の脚部の間に掛け渡され、ガイド部に顔面保護シールドが上下方向に移動可能に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のヘルメットにおいても、軽量化が求められている。特許文献1において、ヘルメットは、保持フレームの横断部が前方の2本の脚部の間を跨ぐように取り付けられるところ、保持フレームを小型化や簡素化してヘルメット全体を更に軽量化することも可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのヘルメットは、帽体と、前記帽体の内面に配置されるハンモックであって、天井部と、前記天井部から放射状に延在するとともに前記内面に取り付けられる複数の脚部と、を備える前記ハンモックと、前記内面において、周回方向に延在するとともに前記脚部に取り付けられるヘッドバンドと、を備える。前記ハンモックは、顔面保護部材が取り付けられるガイドレールを備える。前記ガイドレールは、前記複数の脚部の中で前方に延在する2つの前方脚部の間において、前記天井部から前記ヘッドバンドの方向に延在するとともに前記ヘッドバンドに取り付けられる。
【0006】
上記構成によれば、ガイドレールをハンモックの前方の脚部の間に取り付けられることで、ハンモックと一体的に取り扱うことができる。すなわち、ヘルメットの組立時においても、ハンモックにガイドレールを取り付ける作業等が不要となり、組立工程を簡素化でできる。また、ガイドレールを含むハンモックの軽量化、ひいてはヘルメットの軽量化を実現できる。
【0007】
上記ヘルメットにおいて、前記複数の脚部は、前記前方脚部の他に、後方に延在する2つの後方脚部を備える。2つの前記前方脚部がなす角度は、2つの前記後方脚部がなす角度よりも大きいように構成してもよい。上記構成によれば、顔面保護部材の左右の幅方向の寸法を大きく確保できる。
【0008】
上記ヘルメットにおいて、前記天井部と前記脚部と前記ガイドレールとは一体成形部材で構成してもよい。上記構成によれば、ガイドレールを別部材とする場合よりも、構成を簡素化しつつ、軽量化を実現できる。
【0009】
上記ヘルメットにおいて、前記帽体は、衝撃吸収材が前記帽体の前記内面側にインモールド成形される構成としてもよい。上記構成によれば、ヘルメットの薄型化を実現しつつ、ひいてはハンモックの構成とあいまって軽量化を実現できる。
【0010】
上記ヘルメットにおいて、前記内面と前記ガイドレール及びヘッドバンドとの間は、前記顔面保護部材の移動空間としてもよい。上記構成によれば、移動空間が確保されていることで、ヘルメットを頭部に装着した状態でも、顔面保護部材を円滑に移動することができ、また、装着感を低下しにくくできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、顔面保護部材が取付可能なヘルメットにおける軽量化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態における、ヘルメットの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態における、ヘルメットの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態における、ヘルメットの帽体を内面側から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態における、ハンモックの脚部と帽体の取付部との取付構造を示す要部斜視図である。
【
図6】
図6は、顔面保護シールドの接続部のガイドレールへの取付構造を第1面側から見た要部斜視図である。
【
図7】
図7は、顔面保護シールドの接続部のガイドレールへの取付構造を第2面側から見た要部斜視図である。
【
図8】
図8は、ガイドレールとヘッドバンドの取付構造を示す分解斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態における、接続部が移動する移動空間を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明が適用されたヘルメットについて図面を参照して説明する。
〔全体構成〕
図1及び
図2に示すように、ヘルメット1は、例えば警備や建設現場等で使用されるものである。ヘルメット1は、帽体11と、ハンモック21と、ヘッドバンド31と、を備えている。ヘルメット1は、前方に、着用者の顔面を保護する顔面保護部材としての顔面保護シールド41が取付可能である。なお、本実施形態において、前方とは着用者がヘルメット1を装着した状態で顔面が向く方向をいい、後方とは後頭部の方向をいう。
【0014】
〔帽体〕
帽体11は、ほぼ中空半球状を有している。帽体11は、本体部11aと、衝撃吸収材12と、を備えている。本体部11aは、例えばABS樹脂によってほぼ半球形状に形成されている。本体部11aの内面には、発泡スチロール等の衝撃吸収材12が配置されている。帽体11は、衝撃吸収材12が本体部11aの内面側にインモールド成形されている。これにより、ヘルメット1は、本体部11aと衝撃吸収材12とを別に設け、接着剤やねじ等の固定手段で固定する場合より薄型化や軽量化が図られている。本体部11aの前端部分には、雨や落下物等から使用者の顔面を保護するように外周方向に突出する庇部13が設けられている。
【0015】
図3に示すように、帽体11の下端に構成される開口端14の中で、左右の位置は、衝撃吸収材12の切欠部12a(
図2参照)が位置しており、本体部11aの内面が露出している。本体部11aの内面の各露出領域12bには、ハンモック21を取り付けるための取付部15が前後に各1つずつ配置されている。各取付部15は、一対の取付片15aで構成されている。各取付片15aは、L字形状の片である。一対の取付片15aの間には、ハンモック21の脚部の先端部に構成された係合部24xが係合される。
【0016】
〔ハンモック〕
図4に示すように、ハンモック21は、一体成型部品であり、可撓性を有しつつ、着用者の頭部に合わせた湾曲形状を基本形状としている。ハンモック21は、頭頂部に位置する天井部22と、天井部22から放射状に延びる複数の脚部23と、を備えている。具体的に、複数の脚部23は、斜め前方に延びる2つの第1前方脚部23a及び第2前方脚部23bと、斜め後方に延びる2つの第1後方脚部23c及び第2後方脚部23dと、を備えている。更に、ハンモック21は、第1前方脚部23a及び第2前方脚部23bの間において天井部22から延びるガイドレール25を備えている。第1前方脚部23a及び第2前方脚部23bは、互いに隣り合う脚部である。第1後方脚部23c及び第2後方脚部23d互いに隣り合う脚部である。
【0017】
天井部22は、楕円形状を有しており、長軸を前後方向に配置している。天井部22は、細帯部22aで構成された内円部22a1や外円部22a2や内円部22a1と外円部22a2とを繋ぐ連結部22a3等によって構成されている。また、天井部22において、前方部分は、太帯部22bで構成されている。太帯部は22bは、ガイドレール25が設けられるため、強度を高めるべく、細帯部22aで構成するのではなく、細帯部22aよりも幅広の太帯部22bで構成されている。
【0018】
天井部22は、天井中心22oを備えている。そして、天井中心22oを通り、かつ、前後方向に延びる直線を中心線22lとする。また、第1前方脚部23aの天井中心22oを通る幅方向の中心線を第1前方脚中心線24aとし、第2前方脚部23bの天井中心22oを通る幅方向の中心線を第2前方脚中心線24bとする。更に、第1後方脚部23cの天井中心22oを通る幅方向の中心線を第1後方脚中心線24cとし、第2後方脚部23dの天井中心22oを通る幅方向の中心線を第2後方脚中心線24dとする。
【0019】
ハンモック21は、中心線22lを対称軸としたとき、第1前方脚部23a及び第1後方脚部23cの配置は、第2前方脚部23b及び第2後方脚部23dの配置と線対称である。また、第1前方脚部23aの第1前方脚中心線24a及び第1後方脚部23cの第1後方脚中心線24cがなす角度θ1と第2前方脚中心線24bの第2前方脚中心線24b及び第2後方脚部23dの第2後方脚中心線24dがなす角度θ2は、等しい。これにより、第1前方脚部23a及び第1後方脚部23cに加わる荷重と第2前方脚部23b及び第2後方脚部23dに加わる荷重が等しくなるようにしている。
【0020】
第1前方脚部23aの第1前方脚中心線24a及び第2前方脚中心線24bの第2前方脚中心線24bがなす角度θ3は、第1後方脚部23cの第1後方脚中心線24c及び第2後方脚部23dの第2後方脚中心線24dがなす角度θ4よりも大きい。これにより、顔面保護シールド41の左右の幅方向の寸法を大きく確保できるようにしている。
【0021】
ガイドレール25は、太帯部22bから延びており、太帯部22bとほぼ同じ幅である。ガイドレール25の幅方向の中心線は、中心線22lと一致している。中心線22lは、第1前方脚中心線24a及び第2前方脚中心線24bがなす角度θ3の二等分線である。第1前方脚中心線24a及び中心線22lがなす角度θ5は、第2前方脚中心線24b及び中心線22lがなす角度θ6と等しい。
【0022】
図5に示すように、各脚部23は、天井部22に対する基端部が2本の細帯部22aで構成され、基端部に次ぐ先端側が太帯部22bで構成されている。太帯部22bの先端は、露出領域12bの取付部15に係合される係合部24xである。係合部24xは、太帯部22bより幅広で厚肉である。係合部24xは、一対の取付片15a(
図3参照)の間に挿入され、接着剤、カシメ、ねじ等により固定される。ハンモック21は、4本の脚部23を備えており、各脚部23の先端が帽体11の取付部15に取り付けられる。ハンモック21は、天井部22及び脚部23が衝撃吸収材12の表面から離間して位置する。
【0023】
第1前方脚部23aは、分岐して第1前方取付片29aを備えている。第1前方取付片29aは、ヘッドバンド31と接続するための第1前方取付孔30aを備えている。第2前方脚部23bは、分岐して第2前方取付片29bを備えている。第2前方取付片29bは、ヘッドバンド31と接続するための第2前方取付孔30bを備えている。第1前方取付孔30a及び第2前方取付孔30bの各々は、孔を備えている。
【0024】
〔ガイドレール及び顔面保護シールド〕
図4に示すように、ガイドレール25は、太帯部22bとほぼ同じ幅である。ガイドレール25は、衝撃吸収材12と対向する第1面25aと、着用者の頭部と対向する第2面25b(
図7参照)と、を備えている。また、ガイドレール25の両側縁は、顔面保護シールド41の上下方向の移動をガイドするガイド部26が構成されている。
【0025】
第1面25aは、顔面保護シールド41の上下方向の移動を可能とするラック27を備えている。ラック27は、第1面25aの長手方向に並んだ突状歯27aを備えている。
一方、
図2に示すように、顔面保護シールド41は、着用者の顔面を覆うシールド部42と、ガイドレール25に移動可能に取り付けるための接続部43と、を備えている。シールド部42は、透光性、例えば透明な合成樹脂板であり、一例としてシリンドリカルな曲面形状を有している。シールド部42の上辺であって幅方向の中央位置に、接続部43が設けられている。接続部43は、シールド部42と一体成型であってもよいし、別部材で構成されていてもよい。ガイドレール25と接続部43は、顔面保護シールド41を上下に移動させるための移動機構を構成する。
【0026】
図6及び
図7に示すように、接続部43は、ガイドレール25の幅とほぼ同じ幅を有する片である。接続部43は、ガイドレール25のガイド部26が延びる方向に、ガイド部26に係合される係合部44を備えている。係合部44は、ガイド部26を抱え込むようなC字形状を有した一対の片である。また、接続部43は、ガイドレール25のラック27に係合する弾性係合片45を備えている。弾性係合片45は、係合部44を構成する一対の片の間の領域において、C字形状の切り込み45aを設け、切り込み45aの内側領域に構成される。弾性係合片45は、根本部分を支点として、第1面25a及び第2面25bに対して交差する方向に変位する。弾性係合片45は、ラック27との対向面に係止爪27bを備えている。係止爪27bは、ラック27を構成する突状歯27aに対して選択的に係合する。顔面保護シールド41の上下方向の位置は、係止爪27bが突状歯27aを乗り越えることによって調整可能であり、調整後の位置に維持することが可能となる。
【0027】
図8に示すように、ガイドレール25の先端部は、ヘッドバンド31に取り付けるための取付片28が左右方向に設けられている。取付片28は、第2面25bに設けられている。取付片28は、ガイド部26と重なる位置では、ガイド部26を途切れさせないように、ガイド部26との間に隙間を設けるように構成されている。取付片28は、ヘッドバンド31と対向する面に、弾性部28aを備えている。弾性部28aは、ヘッドバンド31の取付突部32の複数の孔に係合される。
【0028】
〔ヘッドバンド〕
図2に示すように、ヘッドバンド31は、帯状部材であって、帽体11の内面であって、開口端14に沿うように配置される。ヘッドバンド31は、周回方向に延びる。すなわち、ヘッドバンド31は、前頭部から側頭部を通じて後頭部の方向に延び、後頭部の近くに先端部が位置する。
図8に示すように、ヘッドバンド31において、前頭部に対応する前方部分31aは、ガイドレール25の先端部が接続される取付突部32を備えている。取付突部32は、その頂面に複数の孔を備え、孔には、弾性部28aが挿入され係合される。これにより、ガイドレール25の先端部は、ヘッドバンド31の前方部分31aに接続される。
【0029】
前方部分31aの両側には、上方に向けて第1舌片33及び第2舌片34が設けられている。第1舌片33には、第1前方弾性突片33aを備えている。第1前方弾性突片33aは、第1前方取付孔30a(
図4参照)に挿入され係合される。第2舌片34には、第2前方弾性突片34aを備えている。第2前方弾性突片34aは、第2前方取付孔30b(
図4参照)に挿入され係合される。これにより、ヘッドバンド31は、第1前方脚部23a及び第2前方脚部23bと接続される。
【0030】
なお、後方においても、ヘッドバンド31と第1後方脚部23c及び第2後方脚部23dとは同様な構造で接続される。
このように、ヘッドバンド31は、帽体11に対して直接取り付けられるのではなく、直接的にはハンモック21に対して取り付けられる。ヘッドバンド31は、帽体11に対してハンモック21を介して取り付けられることになる。
【0031】
〔顔面保護シールドの上下方向の調整(実施形態の作用)〕
図9に示すように、顔面保護シールド41における接続部43は、ガイドレール25における第1面25aに延在し、弾性係合片45の係止爪27b及びラック27の突状歯27aが互いに係合する。すなわち、ガイドレール25の第1面25aと帽体11の内面、本実施形態では衝撃吸収材12が構成する内面との間が、顔面保護シールド41が移動する移動空間46となる。顔面保護シールド41が最も下方にまで下げられた場合、接続部43は、ガイドレール25の最も下方に最下位置に位置する。顔面保護シールド41が最も上方にまで上げられた場合、ガイドレール25の最も上方に最上位置に位置する。顔面保護シールド41は、接続部43がガイドレール25の最下位置と最上位置との間を移動することで、シールド部42の位置を調整可能である。接続部43が最上位置に位置する場合、移動空間46には、シールド部42の上部が納まる。シールド部42の位置を調整するときは、弾性係合片45の係止爪27bは、突状歯27aを乗り越えることによってクリック感を発生させながら、その位置を保持する。
【0032】
〔実施形態の効果〕
以上のようなヘルメット1は、以下のように列挙する効果を得ることができる。
(1)ガイドレール25は、ハンモック21の第1前方脚部23aと第2前方脚部23bとの間に取り付けられることで、ハンモック21と一体的に取り扱うことができる。すなわち、ヘルメット1の組立時においても、ハンモック21にガイドレール25を取り付ける作業等が不要となり、組立工程を簡素化でできる。また、ガイドレール25を含むハンモック21の軽量化、ひいてはヘルメット1の軽量化を実現できる。
【0033】
例えば、第1前方脚部23aと第2前方脚部23bとの間を横断するように、顔面保護シールド41を取り付けるための取付部材を取り付けることも可能である。取付部材は、第1前方脚部23aと第2前方脚部23bとの間を横断する横断部と、横断部の中央から垂下されるガイド部と、を備える。顔面保護シールド41は、ガイド部に上下方向に移動可能に取り付ける。このような構成の場合、ハンモック21に対して取付部材を別途取り付けなければならず、組立効率が低下し、更に、ガイドレール25を採用する場合よりも、使用する樹脂量が多くなり、軽量化の妨げにもなる。
【0034】
(2)第1前方脚部23aの第1前方脚中心線24a及び第2前方脚中心線24bの第2前方脚中心線24bがなす角度θ3は、第1後方脚部23cの第1後方脚中心線24c及び第2後方脚部23dの第2後方脚中心線24dがなす角度θ4よりも大きい。これにより、顔面保護シールド41の左右の幅方向の寸法を大きく確保できる。
【0035】
(3)ハンモック21において、天井部22と脚部23とガイドレール25とは、射出成型等による一体成形部材である。したがって、ガイドレール25を別部材とする場合よりも、構成を簡素化しつつ、軽量化を実現できる。
【0036】
(4)ヘルメット1は、衝撃吸収材12が帽体11の内面側にインモールド成形されているので、ヘルメット1の薄型化を実現しつつ、ひいてはハンモック21の構成とあいまって軽量化を実現できる。
【0037】
(5)ヘルメット1の内面を構成する衝撃吸収材12の内面とガイドレール25及びヘッドバンド31との間は、顔面保護シールド41の移動空間46である。したがって、移動空間46が確保されていることで、ヘルメット1を頭部に装着した状態でも、顔面保護シールド41を円滑に移動することができ、また、装着感を低下しにくくできる。また、移動よって顔面保護シールド41を傷を付きにくくできる。また、顔面保護シールド41と頭部との間にガイドレール25及びヘッドバンド31が存在することで、皮脂等によって汚損しにくくもできる。
【0038】
〔変形例〕
なお、ヘルメット1は、更に、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・顔面保護シールド41の接続部43は、頭部側となるガイドレール25の第2面25bに配置されるようにしてもよい。この場合、第2面25bに、ラック27が設けられることになる。
【0039】
・衝撃吸収材12は、本体部11aに対してインモールド成形されていなくてもよい。すなわち、衝撃吸収材12は、本体部11aの内面に対して接着剤、両面テープ、面ファスナ、ねじ等の固定手段によって取り付けるようにしてもよい。
【0040】
・ハンモック21において、ガイドレール25は、天井部22及び脚部23とは別部材で構成し、カシメ、接着剤、ねじ等の固定手段によって天井部22に取り付けるようにしてもよい。
【0041】
・第1前方脚部23aの第1前方脚中心線24a及び第2前方脚中心線24bの第2前方脚中心線24bがなす角度θ3は、第1後方脚部23cの第1後方脚中心線24c及び第2後方脚部23dの第2後方脚中心線24dがなす角度θ4と同じであってもよい。また、第1前方脚部23aの第1前方脚中心線24a及び第2前方脚中心線24bの第2前方脚中心線24bがなす角度θ3は、第1後方脚部23cの第1後方脚中心線24c及び第2後方脚部23dの第2後方脚中心線24dがなす角度θ4よりも小さくてもよい。
【0042】
・ハンモック21の脚部23の本数は、4本に限定されるものではない。例えば、第1後方脚部23cと第2後方脚部23dとの間の中間位置に、更なる後方脚部を設けるようにしてもよい。この3本目の後方脚部は、ガイドレール25の延長線上に延びるように構成できる。また、第1前方脚部23aと第1後方脚部23cとの間、及び、第2前方脚部23bと第2後方脚部23dとの間に、更なる後方脚部を設けるようにしてもよい。
【0043】
・ガイドレール25は、第1前方脚部23a及び第2前方脚部23bの間において天井部22から複数本が延びる構成であってもよい。この場合、各ガイドレール25にラック27を設ける。そして、顔面保護シールド41の係合部44を備える接続部43は、ガイドレール25の本数に対応させるように設けられる。これにより、顔面保護シールド41は、ハンモック21に対して一層しっかりと支持される。
【0044】
・顔面保護部材としては、視界を確保する部分だけ、窓部となるように透明性を有し、その他の部分は透明性を有していなくてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…ヘルメット
11…帽体
11a…本体部
12…衝撃吸収材
12a…切欠部
12b…露出領域
14…開口端
15…取付部
15a…取付片
21…ハンモック
22…天井部
22a…細帯部
22a1…内円部
22a2…外円部
22a3…連結部
22b…太帯部
23…脚部
23a…第1前方脚部
23b…第2前方脚部
23c…第1後方脚部
23d…第2後方脚部
24x…係合部
25…ガイドレール
25a…第1面
25b…第2面
26…ガイド部
27…ラック
27a…突状歯
27b…係止爪
28…取付片
28a…弾性部
29a…第1前方取付片
29b…第2前方取付片
30a…第1前方取付孔
30b…第2前方取付孔
31…ヘッドバンド
31a…前方部分
32…取付突部
41…顔面保護シールド
42…シールド部
43…接続部
44…係合部
45…弾性係合片
46…移動空間