(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011723
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】チューブ容器
(51)【国際特許分類】
B65D 35/12 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
B65D35/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113966
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 剛史
【テーマコード(参考)】
3E065
【Fターム(参考)】
3E065AA02
3E065BA02
3E065BA05
3E065BA16
3E065BA17
3E065BA18
3E065BA25
3E065BA34
3E065BB03
3E065CA09
3E065DA04
3E065DB05
3E065DC01
3E065FA15
3E065HA01
(57)【要約】
【課題】高いガスバリア性を有するチューブ容器を提供すること。
【解決手段】胴部形成用シートを丸めて構成した筒状胴部110と、肩部121と首部122とから成る注出具120と備えたチューブ容器100とする。前記胴部形成用シートはガスバリア性を有しており、かつ、肩部121の上側表面の全面をほぼ被覆するように肩部に固定されている。そして、首部122の注出口に、剥離容易にガスバリア性の閉塞用フィルム130を接着する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部形成用シートを丸めて構成した筒状胴部と、前記筒状胴部の端部に固定された注出具とを備えて構成されたチューブ容器において、
前記注出具が肩部と首部とから成り、首部の下端に肩部が固定されており、
かつ、これら肩部と首部とを貫通する注出路を有しており、
前記胴部形成用シートがガスバリア性を有しており、かつ、前記肩部の上側表面の全面をほぼ被覆するように前記肩部に固定されており、
前記首部の注出口に、剥離容易にガスバリア性の閉塞用フィルムが接着されていることを特徴とするチューブ容器。
【請求項2】
前記胴部形成用シートが前記肩部の上側表面の全面を被覆していることを特徴とする請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項3】
前記肩部が前記首部の周囲に広がった形状を有し、かつ、その上側表面が平面状であることを特徴とする請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項4】
前記注出具がガスバリア性樹脂を素材としていることを特徴とする請求項1に記載のチューブ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品や化粧品、食品等の包装材として、樹脂を主体とした材料からなるチューブ容器が広く用いられている(特許文献1参照)。
【0003】
このようなチューブ容器は、一般に
図2に示すようなものである。なお、
図2は内容物を充填する前のチューブ容器200を示しており、
図2(a)はその正面図、
図2(b)は断面説明図である。
【0004】
これら
図2(a)及び(b)から分るように、チューブ容器200は、筒状胴部210と注出具220とで構成されている。筒状胴部210はシートを丸めてその両端を接合して形成されている。
【0005】
また、注出具220は肩部221と首部222とを一体に成型して製造された樹脂成型品である。この肩部221は首部222の下端に位置しており、首部222の周囲に広がって、首部222を前記筒状胴部210に接続する部分である。そして、この肩部221の上側の一部に、これを被覆するように前記筒状胴部210の端部212が重ねられ、こうして肩部221の一部に重ねた筒状胴部210の端部212を固定している。
【0006】
なお、
図2(b)から分るように、注出具220には肩部221と首部222とを貫通する注出路が設けられている。
【0007】
良く知られているように、このチューブ容器200には、筒状胴部210の両端部のうち、注出具220が装着されておらず、解放されている端部から内容物を充填し、この解放端部を閉塞して使用する。解放端部の閉塞には、例えばヒートシールや超音波シール等の方法が使用されている。
【0008】
ところで、このようなチューブ容器200に充填する内容物の中には、経時的に劣化するものがある。例えば、ペースト状の食品は、酸素ガスや水蒸気に触れることによって劣化するものがある。また、ワサビ等の香辛料は経時的に風味が低下する。
【0009】
このような経時的劣化を防ぐために、筒状胴部210を構成するシート210としてガスバリア性のあるシートを使用したチューブ容器200が知られている。しかしながら、注出具220にガスバリア性を付与することは困難である。そして、このため、この注出具220を通じて外気中の酸素ガスや水蒸気がチューブ容器200内部に侵入して内容物を劣化させたり、その風味が低下したりする。このように、チューブ容器200に十分なガスバリア性を付与することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、高いガスバリア性を有するチュ
ーブ容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、請求項1に記載の発明は、胴部形成用シートを丸めて構成した筒状胴部と、前記筒状胴部の端部に固定された注出具とを備えて構成されたチューブ容器において、
前記注出具が肩部と首部とから成り、首部の下端に肩部が固定されており、
かつ、これら肩部と首部とを貫通する注出路を有しており、
前記胴部形成用シートがガスバリア性を有しており、かつ、前記肩部の上側表面の全面をほぼ被覆するように前記肩部に固定されており、
前記首部の注出口に、剥離容易にガスバリア性の閉塞用フィルムが接着されていることを特徴とするチューブ容器である。
【0013】
前記胴部形成用シートは、これが前記肩部の上側表面の全面を被覆していることが望ましい。
【0014】
なお、前記肩部が前記首部の周囲に広がった形状を有することができ、また、その上側表面は平面状であるってよい。
【0015】
また、前記注出具はガスバリア性樹脂を素材とすることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ガスバリア性を有する胴部形成用シートが肩部の上側表面の全面をほぼ被覆するように前記肩部に固定されており、首部の注出口にはガスバリア性フィルムが接着されているから、注出具の外表面の多くの領域がガスバリア性のシートやフィルムで覆われており、このため、本発明のチューブ容器は高いガスバリア性を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は本発明のチューブ容器の実施の形態に係り、
図1(a)はその正面図、
図1(b)は断面説明図である。
【
図2】
図2は従来のチューブ容器に係り、
図2(a)はその正面図、
図2(b)は断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明のチューブ容器の実施の形態に係り、
図1(a)はその正面図、
図1(b)は断面説明図である。
【0019】
これらの図から分かるように、この実施の形態に係るチューブ容器100は、筒状胴部110、注出具120及び閉塞用フィルム130とで構成されている。なお、この他、注出具120にはこれに螺合するキャップが装着されているが、キャップは図示していない。
【0020】
筒状胴部110は、長方形状の胴部形成用シートを丸め、その両端を封筒貼りして形成したものであり、その両端が解放されている。
【0021】
この胴部形成用シートとしては、酸素ガスや水蒸気等のガスの透過を防止するガスバリア性シートで構成されたものであることが必要である。また、内容物の風味の経時的低下を防止する場合には、この風味が透過することを防止できるシートを使用することができる。このように、内容物やその保護目的に応じて適切な種類のガスを遮断するシートを使用することができる。
【0022】
例えば、酸素ガスの透過を防止する酸素ガスバリア性のシートとしては、アルミニウム等の金属箔や金属蒸着膜をその層構成中に含むラミネートシートを使用することができる。また、アルミナやシリカ等の無機透明蒸着膜をその層構成中に含むラミネートシートを使用することも可能である。このほかエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂も酸素ガスバリア性に優れていることから、これら樹脂をその層構成中に含むラミネートシートを使用することもできる。
【0023】
また、前述のように、この胴部形成用シートは、封筒貼りによって筒状胴部110を形成するから、その表面はヒートシール可能に構成されていることができる。このようにヒートシール可能な表面を構成する樹脂としてはポリオレフィン樹脂が例示できる。例えば、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等である。
【0024】
このような胴部形成用シートとしては、例えば、その外面側から、ガスバリア性フィルム、中間層及びヒートシール層を積層したラミネートシートを例示できる。中間層はポリアミドフィルム等の樹脂フィルムであってもよく、また、不透明の紙であってもよい。中間層が不透明である場合には、内容物の光劣化を防止することも可能である。また、紙化率の高いラミネートシート、例えば紙化率50%以上のラミネートシートを使用して環境対応の容器とすることもできる。
【0025】
次に、注出具120は、肩部121と首部122とから成る樹脂成型品で、前記筒状胴部110の端部に固定される。この注出具120もガスバリア性に優れた樹脂を素材とすることが望ましい。酸素バリア性に優れた樹脂としては、例えば、前述のエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂を例示することができる。このような酸素バリア性樹脂に他の樹脂をブレンドして成形したものであってもよい。例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂とポリオレフィン樹脂とをブレンドして、射出成型することで注出具120を成型することができる。
【0026】
すなわち、注出具120は、その首部122の下端に前記肩部121が固定されるように成形されたもので、前記肩部121は、首部122の下端を中心として、その周囲に広がった形状を有しており、その上側表面は凹凸や曲率のない平面を構成している。
【0027】
もちろん、この注出具120には、肩部121と首部122とを貫通する注出路が設けられている。
【0028】
そして、この注出具120は、前記筒状胴部110の端部に固定される。すなわち、
図1(b)に示すように、筒状胴部110の一端からその内部に前記肩部121を収容し、筒状胴部110の端部112を折り曲げて、この端部112を前記肩部121の上側表面に重ね、ヒートシールすることにより、これを前記肩部121の上側表面に固定することができる。筒状胴部110の端部112を構成する胴部形成用シートは、上側表面の全面を被覆してその端面が首部122に当接していることが望ましいが、そうでなくても、前記胴部形成用シートが前記肩部121の上側表面の全面をほぼ被覆していればよい。肩部121の上側表面が凹凸や曲率のない平面を構成している場合には、筒状胴部端部112の胴部形成用シートを折り畳むことにより、肩部121の上側表面を隙間なく被覆することが可能である。
【0029】
首部122は、その内部の注出路を通して内容物を注出する部位である。そして、前述のように筒状胴部110はガスバリア性の胴部形成用シートで構成されており、このガスバリア性胴部形成用シートは肩部121の上側表面の全面をほぼ被覆しており、後述する
ように首部122の注出口にはガスバリア性の閉塞用フィルム130が接着されているが、この首部122はガスバリア性を有していない。このため、この首部122は、できるだけ短くすることができる。
【0030】
次に、前述のように、首部122の注出口にはガスバリア性の閉塞用フィルム130が接着されている。このガスバリア性の閉塞用フィルム130は、胴部形成用シートと同様に、内容物やその保護目的に応じて適切な種類のガスを遮断するシートを使用することができる。例えば、金属箔、金属蒸着膜、無機透明蒸着膜あるいはエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂等を層構成中に含む酸素ガスバリア性のラミネートフィルムである。
【実施例0031】
胴部形成用シートとして、外面側から、無機透明蒸着膜を形成したポリエステルフィルム(厚さ16μm)、ポリアミドフィルム(厚さ15μm)及びポリプロピレンフィルム(厚さ50μm)を積層したラミネートシートを使用した。
【0032】
そして、このラミネートシートを丸め、その両端を封筒貼りして径35mmの筒状胴部110を形成した。
【0033】
次に、注出具120は、ポリプロピレン樹脂に対してエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂を40質量%ブレンドした樹脂を射出成型して製造した。この注出具120は、首部122の長さが通常より短いものである。すなわち、首部122の長さは、通常、12mm程度であるが、これをその1/3の4mm程度のものに代えて使用した。なお、このように短いものとするため、首部122外面に設けられたネジ部を、M8のネジ形状でピッチ1.25mmとした。また、この首部122の外径は、前記筒状胴部110の径の1/4以下である。
【0034】
この注出具120の肩部121は、首部122の下端を中心として、その周囲に広がった形状を有しており、また、
図1(b)に示すように、この肩部121の上下両表面は、凹凸がなく、また、曲面もない平面を構成しているものとした。
【0035】
そして、この注出具120の肩部121の肩部121を、前記筒状胴部110の一端からその内部に挿入し、周囲の筒状胴部端部112を折り曲げて、この端部112を前記肩部121の上側表面に重ね、ヒートシールして固定した。
【0036】
次に、閉塞用フィルム130として、無機透明蒸着膜を形成したポリエステルフィルム(厚さ16μm)とエチレン-プロピレン共重合体フィルム(厚さ40μm)とのラミネートフィルムを使用し、このフィルム130を、首部122の注出口に剥離容易に接着してチューブ容器100を製造した。
【0037】
このチューブ容器100は、通常のチューブ容器に比較して、1/100以下の酸素透過率を示した。