(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011724
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/36 20060101AFI20240118BHJP
B65D 5/40 20060101ALI20240118BHJP
B65D 5/355 20060101ALN20240118BHJP
【FI】
B65D5/36 Z
B65D5/36 C
B65D5/40
B65D5/355
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113967
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 規行
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB32
3E060BA21
3E060BC01
3E060BC04
3E060CF06
3E060DA01
3E060DA30
(57)【要約】
【課題】箱型の状態の包装容器であって、フィン状パネルを容器側面から引き剥がして平坦な状態に変形することができる包装容器であって、フィン状パネルが強固に接着されていても、容易に引き剥がすことができる包装容器を提供すること。
【解決手段】特定側面の両側に位置する2つのフィン状パネルのうち一方のフィン状パネル(下側フィン状パネル)131を倒してこの特定側面に重ね、次に他方のフィン状パネル(上側フィン状パネル)134を倒して、その一部が下側フィン状パネルの上に重なるように下側フィン状パネルに接着して構成し、上側フィン状パネルは、その突出領域の下方先端134
0に、下側フィン状パネルに接着されていない非接着領域134
1を有し、この非接着領域134
1の幅tを4mm以上とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙を主体とする天部側シートと底部側シートとで構成され、これら天部側シートと底部側シートとを重ね、その周縁で全周に渡って互いにシールして構成され、平坦な状態から箱型の状態に変形された包装容器であって、
前記天部側シートがその中央に多角形状の天面を有しており、
この多角形状天面の各辺を一辺とする四角形状の天部側側面が、前記多角形状天面の辺の数と同じ数だけ設けられており、
互いに隣接する各天部側側面の間の各角部に、この天部側側面同士を繋いでしかも閉塞する天部側つなぎ片が設けられており、
これら天部側側面及び天部側つなぎ片の外側に、底部側シートと固定する天部側固定部が設けられており、
隣接する前記四角形状の天部側側面を構成する辺同士が一致するように前記天部側つなぎ片を二つ折りできる天部側二つ折り用罫線が設けられており、この天部側二つ折り用罫線によって前記天部側つなぎ片及びこの天部側つなぎ片の外側に位置する天部側固定部が二つの領域に区分されており、
天部側二つ折り用罫線によってこれら天部側つなぎ片とその外側に位置する天部側固定部とを二つ折りしたとき、前記天部側二つ折り用罫線によって区分された前記天部側固定部の二つの領域のうち、一方の領域が他方の領域を被覆してその端部から突出する大きさを有しており、
他方、前記底部側シートがその中央に多角形状の底面を有しており、
この多角形状底面の各辺を一辺とする四角形状の底部側側面が、前記多角形状底面の辺の数と同じ数だけ設けられており、
互いに隣接する各底部側側面の間の各角部に、この底部側側面同士を繋いでしかも閉塞する底部側つなぎ片が設けられており、
これら底部側側面及び底部側つなぎ片の外側に、天部側シートと固定する底部側固定部が設けられており、
隣接する前記四角形状の底部側側面を構成する辺同士が一致するように前記底部側つなぎ片を二つ折りできる底部側二つ折り用罫線が設けられており、この底部側二つ折り用罫線によって前記底部側つなぎ片及びこの底部側つなぎ片の外側に位置する底部側固定部が二つの領域に区分されており、
これら天部側シートと底部側シートとを重ねて、前記天部側固定部と底部側固定部とを互いにシールして固定部を形成し、
各角部の天部側つなぎ片及びその外側に位置する領域の天部側固定部を前記天部側二つ折り用罫線で二つ折りして、この天部側つなぎ片を構成する二つの領域を互いに重ね合わせると共に、各角部の底部側つなぎ片及びその外側に位置する領域の底部側固定部を前記底部側二つ折り用罫線で二つ折りして、この底部側つなぎ片を構成する二つの領域を互いに重ね合わせることにより、箱型の状態に変形させ、かつ、これら天部側つなぎ片及びその外側の天部側固定部の両者と、底部側つなぎ片及びその外側の底部側固定部の両者で包装容器の各角部から包装容器外側に向けて突出するフィン状パネルを構成すると共に、前記天部側側面とこれに連続する底部側側面とで容器側面を構成し、
これら容器側面のうち少なくとも1つの側面を特定側面として、この特定側面の両側に位置する2つのフィン状パネルのうち一方のフィン状パネル(下側フィン状パネル)を倒してこの特定側面に重ね、次に他方のフィン状パネル(上側フィン状パネル)を倒して、その一部が下側フィン状パネルの上に重なるように下側フィン状パネルに接着して構成した包装容器であって、
天部側二つ折り用罫線によって区分された前記天部側固定部の二つの領域のうち、他方の領域を被覆してその端部から突出する大きさを有する領域を被覆領域とし、この被覆領域に被覆される領域を被被覆領域とし、被覆領域のうち被被覆領域から突出する領域を突出領域として、被覆領域が被被覆領域を覆うように上側フィン状パネルが特定側面に倒さ
れていると共に、
天部側を上方、底部側を下方として、前記上側フィン状パネルの突出領域の下方先端に、前記下側フィン状パネルに接着されていない非接着領域を有しており、
前記突出領域の先端から計測した前記非接着領域の幅が4.0mm以上であることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記上側フィン状パネルの先端から計測した前記非接着領域の幅が8.0mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記下側フィン状パネルが特定側面に固定されていないことを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙を主体とする天部側シートと底部側シートとで構成され、これら天部側シートと底部側シートとを重ね、その周縁で全周に渡って互いに固定して構成された包装容器であって、平坦な状態で供給され、内容物充填時にはこれを立ち上げて箱型の状態に変形することができると共に、使用後に空になったときには平坦な状態に戻すことができる包装容器に関するものである。
【0002】
このような包装容器は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
この包装容器2は次のようなものである。
【0004】
すなわち、この包装容器2に使用する天部側シート2Aは、
図7に示すように、その中央に四角形状の天面2A10を有しており、この天面2A10には開口部が設けられ、この開口部にはスパウト2Cが装着されている。
【0005】
次に、天部側シート2Aは、四角形状の天面2A10の各辺を折り曲げ用罫線として、この天面2A10の各辺を一辺とする四角形状の天部側側面2A21~2A24を有している。天部側側面2A21~2A24の数は、多角形状天面2A10の辺の数と同じ4である。
【0006】
また、天部側シート2Aは、互いに隣接する各天部側側面の間に、この天部側側面2A21~2A24同士を繋ぐ天部側つなぎ片2A31~2A34を有している。すなわち、天部側側面2A21と天部側側面2A22との間は天部側つなぎ片2A31で繋がれている。また、天部側側面2A22と天部側側面2A23との間は天部側つなぎ片2A32で繋がれている。その他の天部側側面についても同様である。なお、各天部側側面2A21~2A24と天部側つなぎ片2A31~2A34との間には折り曲げ用罫線が設けられている。
【0007】
そして、この天部側つなぎ片2A31~2A34によって、天部側側面2A21~2A24の間は閉塞されている。図示のように、この例では、天部側側面2A21~2A24と天部側つなぎ片2A31~2A34とを併せた部分の外形は長方形を構成しており、各天部側つなぎ片2A31~2A34はその角部に位置して、天部側側面2A21~2A24の間を閉塞している。例えば、天部側側面2A21と天部側側面2A22との間は天部側つなぎ片2A31で閉塞している。
【0008】
次に、天部側シート2Aは、これら天部側側面2A21~2A24と天部側つなぎ片2A31~2A34とを併せた長方形の部分の外側に、底部側シート2Bと固定するヒートシール領域から成る天部側固定部2A40を有している。なお、説明の便宜上、この
図7においては、天部側側面2A21の外側に位置する天部側固定部に符号「2A41」を付して示している。
【0009】
そして、前記天部側つなぎ片2A31~2A34は、天面2A10の各頂点から、天部側つなぎ片2A31~2A34を二等分する天部側二つ折り用罫線を有している。すなわち、
図7に拡大して示すように、例えば、天部側側面2A23と天部側側面2A24とは、天面2A10の頂点2A10bを共有している。天部側側面2A23を構成する辺のうち、天面2A10の頂点2A10bを共有している辺には、符号2A23bを付して示している。また、天部側側面2A24を構成する辺のうち、天面2A10の頂点2A10bを共有している辺には、符号2A24bを付して示している。そして、この辺2A23bと辺2A24bとがなす角を二等分する天部側二つ折り用罫線2A33cが設けられ、この天部側二つ折り用罫線2A33cによって、天部側つなぎ片2A33は2つの領域2A331,2A332に区分されている。すなわち、図において、辺2A23bと二つ折り用罫線2A33cとがなす角θ1と、辺2A24bと天部側二つ折り用罫線2A33cとがなす角θ2とは等しく、領域2A331と領域2A332とは、同形同大で、しかも、天部側二つ折り用罫線2A33cを対称軸として線対称に配置されている。
【0010】
なお、この天部側二つ折り用罫線2A33cは、天部側つなぎ片2A31を超えて、その外側に位置する天部側固定部にも延在している。すなわち、天部側二つ折り用罫線2A33cは、天部側つなぎ片2A33を領域2A331と領域2A332とに二分すると共に、その外側の天部側固定部も二分している。なお、図中、2A43αは、天部側つなぎ片2A33の外側に位置する天部側固定部であって、天部側二つ折り用罫線2A33cによって二分された天部側固定部の2つの領域のうち、領域2A331の外側に位置する領域を示し、2A43βは領域2A332の外側に位置する領域を示している。特許文献1に記載の包装容器400では、これら領域2A43αと領域2A43βとは天部側二つ折り用罫線2A33cを対象軸として線対象に配置されている。
【0011】
このため、天部側二つ折り用罫線2A33cで二つ折りすると、領域2A331と領域2A332とが互いに位置整合してぴったりと重なり、また、領域2A43αと領域2A43βとが互いに位置整合して重なる。
【0012】
以上天部側つなぎ片2A33を例として天部側二つ折り用罫線2A33cについて説明したが、その他の天部側つなぎ片2A31~2A32,2A34にも同様に天部側二つ折り用罫線2A31c~2A32c,2A34cが設けられている。
【0013】
次に、底部用シート2Bは、後述する点を除き、天部側シート2Aと同様の構造を有している。すなわち、
図8に示すように、まず、底部用シート2Bは中央に四角形状の底面2B10を有している。この四角形状底面2B10は天面2A10と同形である。底部用シート2Bが天部側シート2Aと異なる点は、天部側シート2Aの天面2A10には、開口部が設けられ、この開口部にスパウト2Cが装着されているのに対し、底部用シート2Bの底面2B10には開口部が設けられておらず、もちろんスパウトが装着されていないことである。
【0014】
また、底部用シート2Bは、四角形状の底面2B10の各辺を折り曲げ用罫線として、この各辺を一辺とする四角形状の底部側側面2B21~2B24を、前記四角形状底面2B10の辺の数と同じ4つ有している。これら底部側側面2B21~2B24も、それぞれ、天部側側面2A21~2A24と同形である。
【0015】
また、底部用シート2Bは、互いに隣接する各底部側側面2B21~2B24の間に、この底部側側面2B21~2B24同士を繋いでしかも閉塞する底部側つなぎ片2B31~2B34を有している。これら底部側つなぎ片2B31~2B34は天部側つなぎ片2A31~2A34と同形である。
【0016】
次に、底部側シート2Bは、これら底部側側面2B21~2B24と底部側つなぎ片2B31~2B34とを併せた長方形の部分の外側に、天部側シート2Aと固定するヒートシール領域から成る底部側固定部2B40を有している。
【0017】
そして、各底部側側面2B21~2B24と底部側つなぎ片2B31~2B34との間には折り曲げ用罫線が設けられている。また、各底部側つなぎ片2B31~2B34には
、底面2B10の各頂点から、底部側つなぎ片2B31~2B34を二等分する底部側二つ折り用罫線2B31c~2B34cが設けられており、この底部側二つ折り用罫線2B31c~2B34cは、底部側つなぎ片2B31を超えて、その外側に位置する底部側固定部にも延在している。すなわち、底部側二つ折り用罫線2B31c~2B34cは、底部側つなぎ片2B31~2B34を二分すると共に、その外側の底部側固定部も二分している。
【0018】
そして、これら天部側シート2Aと底部側シート2Bとを位置合わせして重ね、両固定部2A40,2B40同士をヒートシールすることにより、第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)2
1を製造することができる(
図9参照)。包装容器2は、このように平坦な状態で箱詰めして移送し、内容物を充填密封する工程に供給することができる。なお、この包装容器2は、平坦な状態であっても、スパウト2Cがその外側に向けて突出している。
【0019】
平坦状態の第1の中間製品21を箱型の状態に変形するためには、天部側シート2Aと底部側シート2Bとのそれぞれをその折り曲げ用罫線で折り曲げて立ち上げればよい。
【0020】
図10はこうして箱型の状態に変形された第2の中間製品2
2を示している。こうして形成された箱型の状態の第2の中間製品2
2では、天部側つなぎ片2A31~2A34及び底部側つなぎ片2B31~2B34が、その中央に位置する天部側二つ折り用罫線2A31c~2A34cと底部側二つ折り用罫線2B31c~2B34cのいずれもが容器外面に対して山折りになるように二つ折りされたものである。この二つ折りによって、天部側シート2Aの天部側側面2A21~2A24のうち、互いに隣接する側面を構成する辺同士が重なり合い、また、天部側二つ折り用罫線2A31c~2A34cのそれぞれによって区分された2つの領域が互いに重なり合って、フィン状パネルの天部側を構成する。
図7の拡大図を参照して天部側つなぎ片2A33について説明すると、この天部側つなぎ片2A33を天部側二つ折り用罫線2A33cで二つ折りすることにより、この天部側つなぎ片2A33の両側に位置する天部側側面2A23の辺2A23bと天部側側面2A24の辺2A24bとが互いに重なり合う。また、天部側二つ折り用罫線2A33cで区分されたつなぎ片2A33の2つの領域2A331,2A332が互いに重なり合い、天部側固定部2A40の領域2A43βと領域2A43αが互いに重なり合って、第2の中間製品2
2の各角部から外側に向けて突出するフィン状パネルの天部側を構成する。
【0021】
ところで、平坦な状態の第1の中間製品21においては、天部側シート2Aの天部側つなぎ片2A33と底部側シート2Bの底部側つなぎ片2B33とは正確に重なり合い、その天部側二つ折り用罫線2A33cと底部側二つ折り用罫線2B33cも互いに正確に重なり合っており、天部側シート2Aの天部側つなぎ片2A33を天部側二つ折り用罫線2A33cで二つ折りするとき、底部側シート2Bの底部側つなぎ片2B33も底部側二つ折り用罫線2B33cで二つ折りされる。このため、底部側つなぎ片2B33の両側に位置する底部側側面2B23の辺2B23bと底部側側面2B24の辺2B24bも互いに重なり合い、また、底部側二つ折り用罫線2B33cで区分された底部側つなぎ片2B31~2B34の2つの領域及びその外側に位置する底部側固定部2B40の2つの領域も互いに重なり合って、第2の中間製品22の各角部から外側に向けて突出するフィン状パネル233を構成する。
【0022】
そして、天部側シート2Aの天部側側面2A23と底部側シート2Bの底部側側面2B23とは容器固定部240を介して連続しているから、この両側面2A23,2B23によって箱型の状態の第2の中間製品22の側面223が構成される。
【0023】
また、天部側シート2Aの天部側つなぎ片2A33と底部側シート2Bの底部側つなぎ
片2B33も容器固定部240を介して連続しているから、この両つなぎ片2A33,2B33で構成された部分によって前記側面同士を繋いでしかも閉塞する。すなわち、天部側側面2A23と底部側側面2B23とで構成される側面223と、天部側側面2A24と底部側側面2B24とで構成される側面224との間を繋いで、しかも、ここに隙間が生じることがないように閉塞するのである。
【0024】
以上、天部側つなぎ片2A33及び底部側つなぎ片2B33で構成された部分を二つ折りする場合を例として説明したが、その他のつなぎ片についても同様である。
【0025】
そして、このようにすべてのつなぎ片2A31~2A34,2B31~2B34を二つ折りすることにより、各側面221~224が形成されるから、これに伴って所定の折り曲げ用罫線で折り曲げられ、第2の中間製品22は箱型の形態を採る。この箱型の状態の第2の中間製品22は、天面2A10と底面2B10とを有し、その周囲に側面221~224が設けられており、しかも、側面221~224の間をつなぎ片2A31~2A34,2B31~2B34が閉塞しているから、スパウト2Cが装着された前記開口部を除いて密封された状態にある。
【0026】
なお、各つなぎ片2A31~2A34,2B31~2B34を二つ折りする代わりに、平坦な状態の第1の中間製品21に空気を吹き込みながら、各側面221~224を立ち上げることによって箱型の状態の第2の中間製品22を形成することもできる。この場合でも、形成された第2の中間製品22は、各つなぎ片2A31~2A34,2B31~2B34を二つ折りして形成された第2の中間製品22と同じ形状を有するものである。
【0027】
ところで、このように箱型の状態に変形された状態では、
図10に図示されるように、二つ折りされたつなぎ片2A31~2A34,2B31~2B34及び両固定部1A40,1B40がフィン状パネル231~234を構成し、このフィン状パネル231~234が中間製品2
2の各角部から外側に向けて突出している。そこで、このフィン状パネル231~234を倒して中間製品2
2の各側面221~224に折り重ね、接着することによって、その外観を整えることができる。
図11はこのようにフィン状パネル231~234を中間製品2
2の各側面221~224に折り重ねて製造した包装容器2を示している。
【0028】
以上の説明から分かるように、平坦な状態の第1の中間製品21の天部側つなぎ片2A31~2A34及び底部側つなぎ片2B31~2B34のすべてを、これらの二つ折り用罫線2A31c~2A34c及び2B31c~2B34cで二つ折りすると共に、そのフィン状パネル231~234を中間製品22の各側面221~224に折り重ねることにより、箱型の状態の包装容器2に変形することができる。
【0029】
そして、平坦な状態の第1の中間製品21として内容物を充填密封する工程に供給された包装容器2は、箱型の状態に変形することにより、スパウトから内容物を充填することができる。また、キャップにより密封することができる。
【0030】
この箱型の包装容器2を使用した後、空になったときには、箱型の状態から平坦な状態に戻すことができる。例えば、前述のように平坦な状態の第1の中間製品21を内容物充填工程に供給し、この工程で箱型の状態の包装容器2に変形して充填密封し、この状態で輸送・販売した後、消費者が内容物を消費してその中身が空になったときには、これを平坦な状態の第1の中間製品21に減容して保管あるいは廃棄することができる。
【0031】
箱型の状態の包装容器2を平坦な状態に変形させるためには、フィン状パネル231~234を容器側面221~224から引き剥がし、容器固定部240を把持して、包装容
器2の外方に引っ張ればよい。容器固定部240を外方に引っ張ることにより、二つ折りされたつなぎ片231~234が開き、包装容器2を平坦な状態の第1の中間製品21に変形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
ところで、前述のような包装容器は、箱型の状態に変形されたとき、その形状を維持するため、天部側シート2Aや底部側シート2Bを、比較的腰が強く、形状保持能力のある紙を主体とするシートで構成する必要がある。そして、このようなシートを二つ折りして形成したフィン状パネル231~234は、これを倒して、容器側面221~224に接着するためには、フィン状パネル231~234と容器側面221~224との間の接着強度も大きくする必要がある。仮に接着強度が小さいと、フィン状パネル231~234が戻って容器側面221~224から剥離してしまうのである。
【0034】
一方、これらフィン状パネル231~234を強い接着強度で容器側面221~224に接着すると、例えば内容物を消費した後、フィン状パネル231~234を容器側面121~224から引き剥がして平坦な状態に変形しようとしても、フィン状パネル231~234を容易に剥がすことができないという問題があった。
【0035】
そこで、本発明は、前述のように、箱型の状態の包装容器であって、フィン状パネルを容器側面から引き剥がして平坦な状態に変形することができる包装容器であって、フィン状パネルが強固に接着されていても、容易に引き剥がすことができる包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0036】
すなわち、請求項1に記載の発明は、紙を主体とする天部側シートと底部側シートとで構成され、これら天部側シートと底部側シートとを重ね、その周縁で全周に渡って互いにシールして構成され、平坦な状態から箱型の状態に変形された包装容器であって、
前記天部側シートがその中央に多角形状の天面を有しており、
この多角形状天面の各辺を一辺とする四角形状の天部側側面が、前記多角形状天面の辺の数と同じ数だけ設けられており、
互いに隣接する各天部側側面の間の各角部に、この天部側側面同士を繋いでしかも閉塞する天部側つなぎ片が設けられており、
これら天部側側面及び天部側つなぎ片の外側に、底部側シートと固定する天部側固定部が設けられており、
隣接する前記四角形状の天部側側面を構成する辺同士が一致するように前記天部側つなぎ片を二つ折りできる天部側二つ折り用罫線が設けられており、この天部側二つ折り用罫線によって前記天部側つなぎ片及びこの天部側つなぎ片の外側に位置する天部側固定部が二つの領域に区分されており、
天部側二つ折り用罫線によってこれら天部側つなぎ片とその外側に位置する天部側固定部とを二つ折りしたとき、前記天部側二つ折り用罫線によって区分された前記天部側固定部の二つの領域のうち、一方の領域が他方の領域を被覆してその端部から突出する大きさを有しており、
他方、前記底部側シートがその中央に多角形状の底面を有しており、
この多角形状底面の各辺を一辺とする四角形状の底部側側面が、前記多角形状底面の辺の数と同じ数だけ設けられており、
互いに隣接する各底部側側面の間の各角部に、この底部側側面同士を繋いでしかも閉塞する底部側つなぎ片が設けられており、
これら底部側側面及び底部側つなぎ片の外側に、天部側シートと固定する底部側固定部が設けられており、
隣接する前記四角形状の底部側側面を構成する辺同士が一致するように前記底部側つなぎ片を二つ折りできる底部側二つ折り用罫線が設けられており、この底部側二つ折り用罫線によって前記底部側つなぎ片及びこの底部側つなぎ片の外側に位置する底部側固定部が二つの領域に区分されており、
これら天部側シートと底部側シートとを重ねて、前記天部側固定部と底部側固定部とを互いにシールして固定部を形成し、
各角部の天部側つなぎ片及びその外側に位置する領域の天部側固定部を前記天部側二つ折り用罫線で二つ折りして、この天部側つなぎ片を構成する二つの領域を互いに重ね合わせると共に、各角部の底部側つなぎ片及びその外側に位置する領域の底部側固定部を前記底部側二つ折り用罫線で二つ折りして、この底部側つなぎ片を構成する二つの領域を互いに重ね合わせることにより、箱型の状態に変形させ、かつ、これら天部側つなぎ片及びその外側の天部側固定部の両者と、底部側つなぎ片及びその外側の底部側固定部の両者で包装容器の各角部から包装容器外側に向けて突出するフィン状パネルを構成すると共に、前記天部側側面とこれに連続する底部側側面とで容器側面を構成し、
これら容器側面のうち少なくとも1つの側面を特定側面として、この特定側面の両側に位置する2つのフィン状パネルのうち一方のフィン状パネル(下側フィン状パネル)を倒してこの特定側面に重ね、次に他方のフィン状パネル(上側フィン状パネル)を倒して、その一部が下側フィン状パネルの上に重なるように下側フィン状パネルに接着して構成した包装容器であって、
天部側二つ折り用罫線によって区分された前記天部側固定部の二つの領域のうち、他方の領域を被覆してその端部から突出する大きさを有する領域を被覆領域とし、この被覆領域に被覆される領域を被被覆領域とし、被覆領域のうち被被覆領域から突出する領域を突出領域として、被覆領域が被被覆領域を覆うように上側フィン状パネルが特定側面に倒されていると共に、
天部側を上方、底部側を下方として、前記上側フィン状パネルの突出領域の下方先端に、前記下側フィン状パネルに接着されていない非接着領域を有しており、
前記突出領域の先端から計測した前記非接着領域の幅が4.0mm以上であることを特徴とする包装容器である。
【0037】
なお、前記上側フィン状パネルの先端から計測した前記非接着領域の幅は、8.0mm以上であることが望ましい。
【0038】
また、前述のように、上側フィン状パネルは下側フィン状パネルに接着されて両者は互いに固定されているが、下側フィン状パネルは前記特定側面に接着されていてもよいし、接着されていなくてもよい。
【発明の効果】
【0039】
本発明の包装容器は、上側フィン状パネルの突出領域の先端に、下側フィン状パネルのいずれにも接着されていない非接着領域を有しており、しかも、上側フィン状パネルの先端から計測した非接着領域の幅が8.0mm以上であるため、この非接着領域を摘まんで容易に上側フィン状パネルを引き剥がすことができる。上側フィン状パネルが特定側面や下側フィン状パネルに強固にシールされていても、上側フィン状パネルを引き剥がすことは容易である。なお、後述するように上側フィン状パネルの先端から計測した非接着領域の幅が8.0mmに満たない場合には、この非接着領域を摘まみにくく、仮に摘まんだとしても力を掛けにくく、このため、容易に上側フィン状パネルを引き剥がすことができるとはいえない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は本発明の包装容器の実施の形態に係り、その天部側シートの平面図である。
【
図2】
図2は本発明の包装容器の実施の形態に係り、その底部側シートの平面図である。
【
図3】
図3は本発明の包装容器の実施の形態に係り、第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)の断面図である。
【
図4】
図4は本発明の包装容器の実施の形態に係り、第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)を箱型の状態に変形した第2の中間製品の斜視図である。
【
図5】
図5は本発明の包装容器の実施の形態に係り、その非接着領域の位置及び大きさを説明するための要部説明図である。
【
図6】
図6は本発明の包装容器の実施の形態に係り、その包装容器の斜視図である。
【
図7】
図7は従来の包装容器に係り、その天部側シートの平面図である。
【
図8】
図8は従来の包装容器に係り、その底部側シートの平面図である。
【
図9】
図9は従来の包装容器に係り、第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)の断面図である。
【
図10】
図10は従来の包装容器に係り、第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)を箱型の状態に変形した第2の中間製品の斜視図である。
【
図11】
図11は従来の包装容器に係り、その包装容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明に係る包装容器も、包装容器2と同様に、天部側シートと底部側シートとを重ね、その周縁で全周に渡って互いにシールして構成されるものである。
【0042】
図面の
図1~
図6は本発明の包装容器の具体例に係るものである。なお、従来の包装容器2を説明する
図7~
図11においては、この従来の包装容器2を構成する要素について、先頭数字「2」から始まる符号を付していたが、
図1~
図5では先頭数字「1」から始まる符号を付しており、両者はこの先頭数字を除き、互いに対応する符号を付している。例えば、従来の包装容器には「2」の符号を付しており、本発明の包装容器の具体例には「1」の符号を付している。また、従来の包装容器2の天面には「2A10」の符号を付しており、本発明の包装容器の天面には「1A10」の符号を付している。また、従来の包装容器2の天部側側面には「2A21~2A24」の符号を付しており、本発明の包装容器の天部側側面には「1A21~1A24」の符号を付している。
【0043】
そこで、まず、
図1はこの具体例に係る包装容器1を構成する天部側シート1Aを示しており、
図2は底部側シート1Bを示している。
【0044】
天部側シート1Aは、後に説明する天部側つなぎ片の外側に位置する天部側固定部を除き、前述の包装容器2の天部側シート2Aと同様の構造を有している。
【0045】
すなわち、まず、天部側シート1Aは、その中央に四角形状の天面1A10を有しており、この天面1A10には開口部1A11が設けられており、この開口部1A11にスパウト1Cが装着されている。
【0046】
また、天部側シート1Aは、四角形状の天面1A10の各辺を折り曲げ用罫線として、この天面1A10の各辺を一辺とする四角形状の天部側側面1A21~1A24を有している。そして、天部側側面1A21~1A24同士を繋いで、その間を閉塞する天部側つなぎ片1A31~1A34を有しており、各天部側側面1A21~1A24と天部側つなぎ片1A31~1A34との間には折り曲げ用罫線が設けられている点についても、天部
側シート2Aと同様である。
【0047】
また、天部側シート1Aは、これら天部側側面1A21~1A24と天部側つなぎ片1A31~1A34とを併せた四角形状の部分の外側に、底部側シート1Bと固定するヒートシール領域から成る枠状の天部側固定部1A40を有している。これも天部側シート2Aと同様である。なお、天部側シート1Aの天部側固定部1A40と天部側側面1A21~1A24との境界、及び天部側固定部1A40と天部側つなぎ片1A31~1A34との境界には、折り曲げ用罫線が設けられていないが、説明の便宜上、
図1には二点鎖線を施してその位置を示している。
【0048】
次に、これも天部側シート2Aと同様に、天部側つなぎ片1A31~1A34は、天面1A10の各頂点から、天部側つなぎ片1A31~1A34を二等分する天部側二つ折り用罫線を有している。すなわち、
図1に拡大して示すように、例えば、天部側側面1A23と天部側側面1A24とは、天面1A10の頂点1A10bを共有している。天部側側面1A23を構成する辺のうち、天面1A10の頂点1A10bを共有している辺には、符号1A23bを付して示している。また、天部側側面1A24を構成する辺のうち、天面1A10の頂点1A10bを共有している辺には、符号1A24bを付して示している。そして、この辺1A23bと辺1A24bとがなす角を二等分する天部側二つ折り用罫線1A33cが設けられ、この天部側二つ折り用罫線1A33cによって、天部側つなぎ片1A33は2つの領域1A331,1A332に区分されている。すなわち、図において、辺1A23bと二つ折り用罫線1A33cとがなす角θ1と、辺1A24bと天部側二つ折り用罫線1A33cとがなす角θ2とは等しく、領域1A331と領域1A332とは、同形同大で、しかも、天部側二つ折り用罫線1A33cを対称軸として線対称に配置されている。
【0049】
この天部側二つ折り用罫線1A33cは、これも天部側シート2Aの場合と同様に、天部側つなぎ片1A33を超えて、その外側に位置する天部側固定部1A40にも延在している。すなわち、天部側二つ折り用罫線1A33cは、天部側つなぎ片1A33を領域1A331と領域1A332とに二分すると共に、その外側の天部側固定部も二分している。
【0050】
ところで、
図1中、1A43αは、天部側つなぎ片1A33の外側に位置する天部側固定部であって、天部側二つ折り用罫線1A33cによって二分された天部側固定部の2つの領域のうち、領域1A331の外側に位置する領域を示し、1A43βは領域1A332の外側に位置する領域を示している。そして、この図から分かるように、従来の天部側シート2Aと異なり、領域1A43βは領域1A43αよりも大きく構成されている。このため、前記天部側二つ折り用罫線1A33cを二つ折りしたとき、天部側つなぎ片1A33を構成する2つの領域1A331,1A332は互いにぴったりと重なり合うが、その外側に位置する2つの領域1A43α,1A43βとはぴったりと重なり合うことがなく、領域1A43αの端部から領域1A43βが突出する。
【0051】
領域1A43βを領域1A43αより大きく構成した技術的理由は次のとおりである。
【0052】
すなわち、天部側シート1Aと底部側シート1Bとから箱型の第2の中間製品1
2を形成したときには、前記天部側つなぎ片1A33を構成する2つの領域1A331,1A332とその外側に位置する2つの領域1A43α,1A43βとが、それぞれ互いに重ね合わされて構成されたフィン状パネル133が、第2の中間製品1
2の各角部から外側に向けて突出する。そして、このフィン状パネル133を第2の中間製品1
2の各側面に折り重ねるとき、領域1A43βが領域1A43αを覆うようにフィン状パネル133を折り重ねるのである。このように大きさが大きく、領域1A43αの端部から突出した部分を有する領域1A43βで領域1A43αを覆うように折り重ねるため、領域1A43αの端部が容器1外面に露出することがない。そして、このため、大きさが大きく、領域1A43αの端部から突出した部分を有する領域1A43βを、以下、「被覆領域」と呼び、この被覆領域1A43βによって被覆される領域1A43αを「被被覆領域」と呼ぶ。また、被覆領域1A43βのうち、両者1A43α,1A43βを互いに重ね合わせたとき、被被覆領域1A43αから突出する領域を「突出領域」と呼ぶ。
図1においては、突出領域に符号「1A43β
1」を付して示している。
【0053】
その他の天部側つなぎ片1A31,1A32,1A34及びこれら天部側つなぎ片1A31,1A32,1A34の外側に位置する天部側固定部においても同様である。例えば、天部側二つ折り用罫線1A34cによって、天部側つなぎ片1A34は、同形同大で線対称に配置された領域1A341と領域1A342とに二分されている。また、天部側つなぎ片1A34の外側に位置する天部側固定部は、領域1A341の外側に位置する被覆領域1A44αと領域1A342の外側に位置する被被覆領域1A44βとに二分されている。被覆領域1A44αは被被覆領域1A44βより大きく、天部側二つ折り用罫線1A34cで二つ折りして被覆領域1A44αと被被覆領域1A44βとを互いに重ねたとき、被覆領域1A44αは、被被覆領域1A44βから突出する突出領域1A44α1を有している。
【0054】
次に、底部用シート1Bも従来の包装容器2の底部用シート2Bと同様である。
【0055】
この底部用シート1Bは、
図2に示すように、中央に四角形状の底面1B10を有しており、四角形状の底面1B10の各辺を折り曲げ用罫線として、この各辺を一辺とする四角形状の底部側側面1B21~1B24を有している。そして、底部側側面1B21~1B24同士を繋いで、その間を閉塞する底部側つなぎ片1B31~1B34を有しており、各底部側側面1B21~1B24と底部側つなぎ片1B31~1B34との間には折り曲げ用罫線が設けられている。これらの点は前記底部側シート2Bと同様である。
【0056】
また、底部側シート1Bは、これら底部側側面1B21~1B24と底部側つなぎ片1B31~1B34とを併せた四角形状の部分の外側に、天部側シート1Aと固定するヒートシール領域から成る枠状の底部側固定部1B40を有している。
【0057】
なお、底部側シート1Bの底部側固定部1B40と底部側側面1B21~1B24との境界、及び底部側固定部1B40と底部側つなぎ片1B31~1B34との境界には折り曲げ用罫線が設けられている。天部側シート1Aの天部側固定部1A40の境界には折り曲げ用罫線が存在しないから、この両シート1A,1Bを重ねて固定し、箱型の状態に変形したとき、互いに固定された両固定部1A40,1B40によって構成された固定部140は、底部側シート2Bの前記折り曲げ用罫線によって底部側シート1B側に折り曲げられる。
【0058】
そして、各底部側つなぎ片1B31~1B34には、底面1B10の各頂点から、底部側つなぎ片1B31~1B34を二等分する底部側二つ折り用罫線1B31c~1B34cが設けられており、この底部側二つ折り用罫線1B31c~1B34cは、底部側つなぎ片1B31を超えて、その外側に位置する底部側固定部にも延在している。すなわち、底部側二つ折り用罫線1B31c~1B34cは、底部側つなぎ片2B31~2B34を二分すると共に、その外側の天部側固定部も二分している。
【0059】
次に、これら天部側シート1Aと底部側シート1Bとを位置合わせして重ね、両固定部1A40,1B40同士をヒートシールすることにより、第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)1
1を製造することができる(
図3参照)。
【0060】
平坦状態の第1の中間製品1
1を箱型の状態に変形するためには、包装容器2の場合と同様に、天部側シート1Aと底部側シート1Bとのそれぞれをその折り曲げ用罫線で折り曲げて立ち上げればよい。
図4はこうして箱型の状態に変形された第2の中間製品1
2を示している。
【0061】
そして、この第2の中間製品12においては、中間製品22と同様に、二つ折りされたつなぎ片1A31~1A34,1B31~1B34及び両固定部1A40,1B40がフィン状パネル131~134を構成し、このフィン状パネル131~134が中間製品12の各角部から外側に向けて突出している。
【0062】
そこで、このフィン状パネル131~134を倒して第2の中間製品1
2の各側面121~124に折り重ね、固定することによって、その外観を整えることができる。
図5はこのようにフィン状パネル131~134を第2の中間製品1
2の各側面121~124に折り重ねて製造した包装容器1を示している。
【0063】
ところで、
図5から分かるように、各側面121~124のうち、1つ置きに位置する側面121,123に向かってフィン状パネル131~134が倒され、これらの側面121,123に重ねられている。すなわち、側面121の両側の角部に位置してここから突出するフィン状パネル131,134はこの側面121に折り重ねられている。また、
図5には図示されていないが、側面123の両側の角部から突出するフィン状パネル132,133はこの側面123に重ねられている。一方、側面122,124にはフィン状パネルは重ねられていない。
【0064】
このようにフィン状パネルが重ねられる側面を特定側面と呼ぶと、この例では、側面121及び側面123が特定側面である。
【0065】
そして、この特定側面においては、この特定側面の両側に位置する2つのフィン状パネルのうち一方のフィン状パネル(下側フィン状パネル)を倒してこの特定側面に重ね、次に他方のフィン状パネル(上側フィン状パネル)を倒して、その一部が下側フィン状パネルの上に重なるように倒している。例えば、側面121においては、フィン状パネル131を下側フィン状パネルとして側面121に重なるように倒し、次に、フィン状パネル134を上側フィン状パネルとして、その一部が下側フィン状パネル131の上に重なるように倒している。また、側面123においては、フィン状パネル132を下側フィン状パネルとして側面123に重なるように倒し、次に、フィン状パネル133を上側フィン状パネルとして、その一部が下側フィン状パネル133の上に重なるように倒している。
【0066】
ところで、前述のように、この上側フィン状パネルを構成する天部側つなぎ片及びその外側に位置する天部側固定部は、天部側二つ折り用罫線によって二分されており、例えば、フィン状パネル134にあっては、天部側二つ折り用罫線1A34cによって、天部側つなぎ片1A34は領域1A341と領域1A342とに二分されており、その外側に位置する天部側固定部は領域1A341の外側に位置する被覆領域1A44αと領域1A342の外側に位置する被被覆領域1A44βとに二分されている。そこで、被覆領域1A44αが被被覆領域1A44βを覆うように上側フィン状パネル134を下側フィン状パネル131の上に重なるように倒すことにより、下側フィン状パネル131の端縁を被覆領域1A44αの突出領域で覆い、その露出を防ぐことができる。
【0067】
ところで、こうして倒されて側面上に重ねられた下側フィン状パネルと上側フィン状パネルとは、その一部で互に接着して固定されている必要がある。例えば、ヒートシール又は接着剤等で互に接着することにより、両者を互いに固定することができる。
【0068】
一方、下側フィン状パネルは特定側面に接着固定することを要しない。これら下側フィン状パネルが側面に接着固定されていない場合、上側フィン状パネルを下側フィン状パネルから剥離することにより、包装容器1を容易に平坦な状態に変形することが可能となる。例を挙げれば、上側フィン状パネル134と下側フィン状パネル131とは、その一部で互に接着して固定されている必要があるが、下側フィン状パネル131は側面121に接着固定されている必要はないのである。もっとも、下側フィン状パネル131が側面121から大きく浮き上がることを防止するため、下側フィン状パネル131を側面121に接着固定してもよい。仮に下側フィン状パネルは側面に接着固定する場合でも、この下側フィン状パネル131と側面との間に指を差し込むことのできる間隙が設けられていることが望ましい。この間隙は例えば1.5mm以上あることが望ましく、2.0mm以上であることがさらに望ましい。この間隙は、下側フィン状パネル131を構成するシートの腰を利用して設けることができる。
【0069】
接着固定は、所定の位置にホットエアーを吹き付けてその表面を溶融し、この溶融表面同士を圧着することにより可能である。また、比較的低分子量のポリエチレン樹脂等を溶融して、この溶融樹脂を所定の位置に塗布し、この溶融樹脂を挟んで圧着することにより接着固定することもできる。
【0070】
なお、以上のように、下側フィン状パネルと上側フィン状パネルとは、その一部で互に接着して固定されている必要があるが、その上側フィン状パネルの先端に、下側フィン状パネルに接着されていない非接着領域を有している必要がある。
【0071】
すなわち、
図5に図示のように、天部側を上方、底部側を下方とするとき、上側フィン状パネル134の下方先端134
0に、下側フィン状パネル131に接着されていない非接着領域134
1を有している。この非接着領域134
1は、上側フィン状パネル134を引き剥がす際に、その摘まみ片を構成する部分である。なお、この非接着領域134
1を摘まみ片としてこれを摘まみ易いように、上側フィン状パネル134の下方先端134
0から計測した前記非接着領域134
1の幅tは4.0mm以上であることが必要である(
図6参照)。幅tが4.0mmに満たない場合には、この非接着領域134
1を摘まみにくく、仮に摘まんだとしても力が入りにくく、このため、容易に上側フィン状パネル134を引き剥がすことができるとはいえない。なお、望ましくは、幅tは8.0mm以上である。
【0072】
以上の説明から明らかなように、箱型の状態の包装容器1を平坦な状態に変形させるためには、上側フィン状パネル133,134を下側フィン状パネル133,132から引き剥がし、次に、容器固定部140を把持して、包装容器1の外方に引っ張ればよい。容器固定部140を外方に引っ張ることにより、二つ折りされたつなぎ片131~134が開き、包装容器1を平坦な状態の第1の中間製品11に変形する。上側フィン状パネル134を下側フィン状パネル131から引き剥がすためには、上側フィン状パネル134の前記非接着領域1341を摘まみ片として摘まみ、引っ張ることにより可能である。
【0073】
仮に下側フィン状パネル132,131が容器側面121,123に接着固定されている場合には、上側フィン状パネル133,134を下側フィン状パネル132,131から引き剥がすことに加えて、下側フィン状パネル132,131を容器側面121,123引き剥がし、次に、容器固定部140を包装容器1の外方に引っ張ればよい。
【0074】
いずれの場合でも、上側フィン状パネル134の前記非接着領域1341の幅tが4.0mm以上あるから、この非接着領域1341を摘まみ易く、また、容易に引き剥がすことが可能である。
【0075】
なお、天部側シート1A及び底部側シート1Bとしては、例えば、板紙等を基材としたものが使用できる。例えば、紙パック等を構成するカートン用紙である。また、カップ用紙等を使用することも可能である。もちろん、この板紙等の基材の片面又は両面にその他のフィルムや層を積層した積層体を使用することもできる。例えば、プラスチックフィルム、金属箔、金属蒸着層、インキ層あるいはプラスチック塗布膜等である。
【実施例0076】
以下、実施例及び比較例によって本発明を説明する。
【0077】
なお、これら実施例及び比較例で使用した天部側シート1A、底部側シート1Bは、いずれも同じシートから成るもので、容器外面側から、順に、低密度ポリエチレン層(厚さ25μm)、紙(坪量250g/mm2)、低密度ポリエチレン層(厚さ25μm)、アルミニウム箔(厚さ7μm)、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)、直鎖状低密度ポリエチレン層(厚さ60μm)を積層して構成したものである。
【0078】
これら実施例及び比較例の天部側シート1Aは、いずれも、
図1に示すものと同様である。また、これら実施例及び比較例の底部側シート1Bは、いずれも、
図2に示すものと同様である。
【0079】
そして、これら実施例及び比較例のいずれにおいても、これら天部側シート1Aと底部側シート1Bとを貼り合せて
図3に示す平坦な状態の包装容器1
1を作成し、次に、天面1A10には開口部1A11に装着されたスパウト1Cを通して空気を吹き込みながら、各側面を立ち上げて、
図4に示す中間製品1
2を形成した。なお、
図4から分かるように、この中間製品1
2では、それぞれの角部からフィン状パネルが突出している。
【0080】
最後に、これらフィン状パネルを容器側面に倒して固定して、
図5に示す包装容器1を製造した。すなわち、4つの側面のうち、1つ置きに配置された側面を特定側面として、この特定側面の両側に位置する2つのフィン状パネルのうち、一方を下側フィン状パネルとして、この下側フィン状パネルを倒して特定側面に重ね、次に、他方を上側フィン状パネルとして、この上側フィン状パネルを倒して前記下側フィン状パネルと前記特定側面の両者に重ねた。すなわち、こうして倒された上側フィン状パネルは、その一部の領域が下側フィン状パネルに重ねられており、残部が特定側面に重ねられている。そして、この上側フィン状パネルを、その一部で下側フィン状パネルに接着固定した。
【0081】
この接着固定は、所定位置にホットエアーを吹き付けて、外表面の低密度ポリエチレン層を部分的に溶融し、こうして溶融した低密度ポリエチレン層同士を圧着することにより行った。なお、
図5に示すように、上側フィン状パネルの先端には、下側フィン状パネルに接着固定されていない非接着領域を残した。
【0082】
(実施例1)
上側フィン状パネルの下方先端1340から計測した前記非接着領域1341の幅tを4mmとした。
【0083】
(実施例2)
前記非接着領域1341の幅tを8mmとした。
【0084】
(比較例)
前記非接着領域1341の幅tを3mmとした。
【0085】
(評価及び結果)
10人のパネラーによって、前記非接着領域1341を摘まみ片として摘まみ、引っ張ることにより上側フィン状パネルを引き剥がしてもらい、その引き剥がし易さを評価してもらった。
【0086】
その結果、パネラー全員が一致して、「実施例2が剥がし易く、比較例が最も剥がしにくい」との評価であった。