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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117247
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/2798 20220101AFI20240822BHJP
【FI】
H02K1/2798
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023233
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】合田 剛士
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622AA03
5H622CA02
5H622CA06
5H622CB03
5H622CB04
5H622CB05
5H622PP03
5H622QB05
(57)【要約】
【課題】ロータの状態変化を抑制することで高出力化を図ることができる回転電機を提供する。
【解決手段】モータ61は、第1ロータ300aを有している。第1ロータ300aは、磁石部310を有している。磁石部310は、周方向CDに複数並べられている。磁石部310は、磁石311及びロータコア315を有している。磁石311及びロータコア315は、周方向CDに複数ずつ並べられている。磁石311は、磁石外周端面311a及び磁石内周端面311bを有している。磁石外周端面311aと磁石内周端面311bとは、径方向RDに並べられている。ロータコア315は、磁石外周端面311aと磁石内周端面311bとにかけ渡されるように径方向RDに延びている。ロータコア315は、磁石311に軸方向AD及び周方向CDの少なくとも一方に並べられている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の供給により駆動する回転電機(60)であって、
ステータ(200)と、
回転軸線(Cm)を中心に回転し、前記回転軸線が延びる軸方向(AD)において前記ステータに並べられたロータ(300a,300b)と、
を備え、
前記ロータは、
前記回転軸線の径方向(RD)での外周端である磁石外周端(311a)及び内周端である磁石内周端(311b)を有し、前記回転軸線の周方向(CD)に並べられた複数のロータ磁石(311,312a,312b,312c,313a,313b,314a,314b)と、
前記磁石外周端と前記磁石内周端とにかけ渡されるように前記径方向に延び、前記ロータ磁石に前記軸方向及び前記周方向の少なくとも一方に並べられたロータコア(315,316a,316b,317)と、
を有している回転電機。
【請求項2】
複数の前記ロータ磁石には、前記軸方向に延びる磁束を発生させる軸方向磁石(313a,313b)と、前記周方向に延びる磁束を発生させる周方向磁石(312a,312b,312c)と、が含まれており、
前記ロータは、
前記ロータコアであり、複数の前記ロータ磁石の少なくとも前記軸方向磁石に前記軸方向に並べられた軸並びコア(316a,316b)、を有している請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記ロータは、
前記軸並びコアとして、前記周方向磁石に前記周方向に並べられ且つ前記軸方向磁石に前記軸方向に並べられた両並びコア(316a,316b)、を有している請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記軸並びコアは、前記軸方向において前記軸方向磁石の前記ステータ側に設けられている、請求項2又は3に記載の回転電機。
【請求項5】
前記軸方向において、前記軸並びコアの厚さ寸法(D2)は、前記軸方向磁石の厚さ寸法(D1)よりも小さい、請求項2又は3に記載の回転電機。
【請求項6】
複数の前記ロータ磁石には、前記軸方向に延びる磁束を発生させる軸方向磁石(313a,313b)と、前記周方向に延びる磁束を発生させる周方向磁石(312a,312b)と、が含まれており、
前記ロータは、
前記ロータコアであり、前記周方向に隣り合う2つの前記周方向磁石の間に設けられた周並びコア(317)、を有している請求項1又は2に記載の回転電機。
【請求項7】
前記ロータ磁石は、
前記ステータに対向する磁石対向面(311d)と、
前記軸方向において前記磁石対向面とは反対側を向いた磁石反対面(311e)と、
を有しており、
前記周並びコアは、前記磁石対向面と前記磁石反対面とにかけ渡されるように前記軸方向に延びている、請求項6に記載の回転電機。
【請求項8】
前記周並びコアは、前記周方向に並べられた一対のコア側端(315c)を有しており、
一対の前記コア側端は、前記周方向の距離が前記径方向の外側ほど大きくなるように互いに傾斜している、請求項6に記載の回転電機。
【請求項9】
前記周方向磁石は、前記周方向に並べられた一対の磁石側端(311c)を有しており、
一対の前記磁石側端は、前記径方向に平行に延びており、
一対の前記コア側端は、前記周方向磁石と前記周並びコアとの境界部において前記コア側端と前記磁石側端とが平行に延びるように互いに傾斜している、請求項8に記載の回転電機。
【請求項10】
飛行体(10)に設けられ、前記飛行体を飛行させるために駆動する回転電機である、請求項1又は2に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロータ及びステータを有するモータについて記載されている。このモータでは、ロータがロータ磁石及びロータコアを有している。ロータでは、ロータ磁石とロータコアとが径方向に並べられている。例えば、ロータコアがロータ磁石の径方向内側に設けられている。ロータ磁石とロータコアとは、接着等により互いに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-132448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、モータの駆動に伴ってロータが回転すると、ロータ磁石やロータコアに遠心力が付与されることなどにより、ロータ磁石とロータコアとの固定が外れることが懸念される。ロータ磁石とロータコアとの固定が外れ、ロータ磁石とロータコアとが径方向に離れるという状態変化がロータにて発生すると、モータの出力が低下しやすくなってしまう。
【0005】
本開示の1つの目的は、ロータの状態変化を抑制することで高出力化を図ることができる回転電機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲及びこの項に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
上記目的を達成するため、開示された態様は、
電力の供給により駆動する回転電機(60)であって、
ステータ(200)と、
回転軸線(Cm)を中心に回転し、回転軸線が延びる軸方向(AD)においてステータに並べられたロータ(300a,300b)と、
を備え、
ロータは、
回転軸線の径方向(RD)での外周端である磁石外周端(311a)及び内周端である磁石内周端(311b)を有し、回転軸線の周方向(CD)に並べられた複数のロータ磁石(311,312a,312b,312c,313a,313b,314a,314b)と、
磁石外周端と磁石内周端とにかけ渡されるように径方向に延び、ロータ磁石に軸方向及び周方向の少なくとも一方に並べられたロータコア(315,316a,316b,317)と、
を有している回転電機。
【0008】
上記態様によれば、ロータコアがロータ磁石に軸方向や周方向に並べられている。このように、ロータがロータ磁石に加えてロータコアを有していることで、ロータの設計自由度や回転電機の出力を高めることが可能になる。しかも、ロータコアは、ロータ磁石に対して磁石外周端と磁石内周端とにかけ渡されるように径方向に延びている。この構成では、ロータコアとロータ磁石とを径方向に並べる必要がない。このため、ロータの回転に伴って生じる遠心力などによりロータコアとロータ磁石とが径方向に離れる、という状態変化が生じにくい。したがって、ロータの状態変化を抑制することで回転電機の高出力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態におけるeVTOLの構成を示す図。
図2】推進システムの電気的な構成を示す図。
図3】EPUの概略斜視図。
図4】モータ装置の縦断面図。
図5】第1ロータの平面図。
図6】第1磁石部の平面図。
図7】第1ロータを径方向外側から見た概略側面図。
図8】第2実施形態における第1ロータを径方向外側から見た概略側面図。
図9】第3実施形態における第1磁石部の平面図。
図10】第1ロータを径方向外側から見た概略側面図。
図11】第4実施形態における第1磁石部の平面図。
図12】第1ロータを径方向外側から見た概略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0011】
<第1実施形態>
図1に示す推進システム30は、eVTOL10に搭載されている。eVTOL10は、電動垂直離着陸機であり、垂直方向に離着陸することが可能である。eVTOLは、electric Vertical Take-Off and Landing aircraftの略称である。eVTOL10は、大気中を飛行する航空機であり、飛行体に相当する。eVTOL10は、電動式の電動航空機でもあり、電動飛行体と称されることがある。eVTOL10は、乗員が乗る有人航空機である。推進システム30は、eVTOL10を飛行させるために駆動するシステムである。
【0012】
eVTOL10は、機体11及びプロペラ20を有している。機体11は、機体本体12及び翼13を有している。機体本体12は、機体11の胴体であり、例えば前後に延びた形状になっている。機体本体12は、乗員が乗るための乗員室を有している。翼13は、機体本体12から延びており、機体本体12に複数設けられている。翼13は固定翼である。複数の翼13には、主翼、尾翼などが含まれている。
【0013】
プロペラ20は、機体11に複数設けられている。eVTOL10は、少なくとも3つのプロペラ20を有するマルチコプタである。例えばプロペラ20は、機体11に少なくとも4つ設けられている。プロペラ20は、機体本体12及び翼13のそれぞれに設けられている。プロペラ20は、プロペラ軸線を中心に回転する。プロペラ軸線は、例えばプロペラ20の中心線である。プロペラ20は、eVTOL10に推力や揚力を生じさせることが可能である。また、プロペラ20は、ロータや回転翼と称されることがある。
【0014】
プロペラ20は、ブレード21及びボス22を有している。ブレード21は、プロペラ軸線の周方向に複数並べられている。ボス22は、複数のブレード21を連結している。ブレード21は、ボス22からプロペラ軸線の径方向に延びている。プロペラ20は、図示しないプロペラシャフトを有している。プロペラシャフトは、プロペラ20の回転軸であり、ボス22からプロペラ軸線に沿って延びている。
【0015】
eVTOL10は、チルトロータ機である。eVTOL10においては、プロペラ20のチルト角を調整可能になっている。なお、eVTOL10は、チルトロータ機でなくてもよい。例えば、eVTOL10は、リフト用のプロペラ20とクルーズ用のプロペラ20とのそれぞれを有していてもよい。
【0016】
eVTOL10は、バッテリ31、分配器32、飛行制御装置40及びEPU50を有している。バッテリ31、分配器32、飛行制御装置40及びEPU50は、推進システム30に含まれている。バッテリ31は、複数のEPU50に通電可能に接続されている。バッテリ31は、EPU50に電力を供給する電力供給部であり、電源部に相当する。バッテリ31は、EPU50に直流電圧を印加する直流電圧源である。バッテリ31は、充放電可能な2次電池を有している。バッテリ31は、飛行制御装置40にも電力を供給する。なお、電源部としては、バッテリ31に加えて又は代えて、燃料電池や発電機などが用いられてもよい。
【0017】
分配器32は、バッテリ31及び複数のEPU50に電気的に接続されている。分配器32は、バッテリ31からの電力を複数のEPU50に分配する。分配器32がEPU50に分配する電力は、EPU50を駆動させるための駆動電力である。
【0018】
飛行制御装置40は、推進システム30を制御する。飛行制御装置40は、eVTOL10を飛行させるための飛行制御を行う。飛行制御装置40は、複数のEPU50に通信可能に接続されている。飛行制御装置40は、複数のEPU50を個別に制御する。飛行制御装置40は、後述する制御回路160を介してEPU50の制御を行う。飛行制御装置40は、制御回路160の制御を行う。
【0019】
EPU50は、プロペラ20を駆動回転させるために駆動する装置であり、駆動装置に相当する。EPUは、Electric Propulsion Unitの略称である。EPU50は、電駆動装置や電駆動システムと称されることがある。EPU50は、複数のプロペラ20のそれぞれに対して個別に設けられている。EPU50は、プロペラ軸線に沿ってプロペラ20に並べられている。複数のEPU50はいずれも、機体11に固定されている。EPU50は、プロペラ20を回転可能に支持している。EPU50は、プロペラ20に接続されている。プロペラ20は、EPU50を介して機体11に固定されている。プロペラ20のチルト角が変更される場合、EPU50の角度も変更される。
【0020】
eVTOL10は、推進装置15を有している。推進装置15は、eVTOL10を推進させるための装置である。eVTOL10は、推進装置15による推進によりリフト等の飛行が可能になる。推進装置15は、プロペラ20及びEPU50を有している。推進装置15では、EPU50の駆動に伴ってプロペラ20が回転する。プロペラ20は回転体に相当する。eVTOL10は、プロペラ20の回転により飛行する。すなわち、eVTOL10は、プロペラ20の回転により移動する。eVTOL10は、移動体に相当する。
【0021】
図1図2に示すように、EPU50は、モータ装置60及びインバータ装置80を有している。モータ装置60はモータ61を有している。モータ装置60が回転電機に相当する。インバータ装置80はインバータ81を有している。モータ61は、インバータ81を介してバッテリ31に通電可能に接続されている。モータ61は、インバータ81を介してバッテリ31から供給される電力に応じて駆動する。
【0022】
モータ61は、複数相の交流モータである。モータ61は、例えば3相交流方式のモータであり、U相、V相、W相を有している。モータ61は、移動体が移動するための移動駆動源であり、電動機として機能する。モータ61としては、例えばブラシレスモータが用いられている。モータ61は、回生時に発電機として機能する。モータ61は、複数相のコイル64を有している。コイル64は、巻線であり、電機子を形成している。コイル64は、U相、V相、W相のそれぞれに設けられている。モータ61では、複数相のコイル64が中性点65にて互いに接続されている。
【0023】
図2において、インバータ81は、モータ61に供給する電力を変換することでモータ61を駆動する。インバータ81は、モータ61に供給される電力を直流から交流に変換する。インバータ81は、電力を変換する電力変換部である。インバータ81は、複数相の電力変換部であり、複数相のそれぞれについて電力変換を行う。インバータ81は、例えば3相インバータであり、U相、V相、W相のそれぞれについて電力変換を行う。インバータ装置80は、電力変換装置と称されることがある。
【0024】
インバータ装置80は、Pライン141、Nライン142を有している。Pライン141及びNライン142は、バッテリ31とインバータ81とを電気的に接続している。Pライン141は、バッテリ31の正極に電気的に接続されている。Nライン142は、バッテリ31の負極に電気的に接続されている。バッテリ31においては、正極が高電位側の電極であり、負極が低電位側の電極である。Pライン141及びNライン142は、電力を供給するための電力ラインである。Pライン141は、高電位側の電力ラインであり、高電位ラインと称されることがある。Nライン142は、低電位側の電力ラインであり、低電位ラインと称されることがある。
【0025】
EPU50は、出力ライン143を有している。出力ライン143は、モータ61に電力を供給するための電力ラインである。出力ライン143は、モータ61とインバータ81とを電気的に接続している。出力ライン143は、モータ装置60とインバータ装置80とにかけ渡された状態になっている。
【0026】
インバータ装置80は、平滑コンデンサ145を有している。平滑コンデンサ145は、バッテリ31から供給される直流電圧を平滑化するコンデンサである。平滑コンデンサ145は、バッテリ31とインバータ81との間において、Pライン141とNライン142とに接続されている。平滑コンデンサ145は、インバータ81に対して並列に接続されている。
【0027】
インバータ81は、電力変換回路であり、例えばDC-AC変換回路である。インバータ81は、複数相分の上下アーム回路85を有している。例えば、インバータ81は、U相、V相、W相のそれぞれについて上下アーム回路85を有している。上下アーム回路85は、上アーム85aと、下アーム85bを有している。上アーム85a及び下アーム85bは、バッテリ31に対して直列に接続されている。上アーム85aはPライン141に接続され、下アーム85bはNライン142に接続されている。
【0028】
出力ライン143は、複数相分のそれぞれについて上下アーム回路85に接続されている。出力ライン143は、上アーム85aと下アーム85bとの間に接続されている。出力ライン143は、複数相のそれぞれにおいて、上下アーム回路85とコイル64とを接続している。出力ライン143は、コイル64において中性点65とは反対側に接続されている。
【0029】
上アーム85a及び下アーム85bは、アームスイッチ86及びダイオード87を有している。アームスイッチ86は、例えばMOSFET等のトランジスタである。MOSFETは、Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistorの略称である。アームスイッチ86は、スイッチ素子であり、スイッチングにより電力を変換することが可能である。スイッチ素子は、パワー素子等の半導体素子であればよい。アームスイッチ86は、電力を変換するための変換スイッチである。
【0030】
EPU50は、制御回路160を有している。制御回路160は、インバータ装置80に含まれている。制御回路160は、インバータ81の駆動を制御する。制御回路160は、インバータ81を介してモータ61の駆動を制御する。制御回路160は、モータ制御部と称されることがある。図2では、制御回路160をCDと図示している。
【0031】
図3に示すように、EPU50では、モータ装置60とインバータ装置80とがモータ軸線Cmに沿って軸方向ADに並べられている。モータ装置60は、軸方向ADにおいてプロペラ20とインバータ装置80との間に設けられている。モータ軸線Cmは、モータ61の中心線であり、直線状に延びる仮想線である。モータ軸線Cmが回転軸線に相当する。軸方向ADは、モータ軸線Cmが延びた方向である。
【0032】
モータ軸線Cmについては、軸方向ADと周方向CDと径方向RDとが互いに直交している。周方向CDは、モータ61の回転方向である。径方向RDについては、外側が径方向外側や外周側と称され、内側が径方向内側や内周側と称されることがある。軸方向ADは、アキシャル方向と称されることがある。
【0033】
EPU50は、モータハウジング70及びインバータハウジング90を有している。モータハウジング70は、モータ装置60に含まれている。モータハウジング70は、モータ61を収容している。インバータハウジング90は、インバータ装置80に含まれている。インバータハウジング90は、インバータ81を収容している。モータハウジング70とインバータハウジング90とは、互いに接続されている。
【0034】
図4に示すように、モータハウジング70は、モータ外周壁71、リアフレーム370及びドライブフレーム390を有している。モータ外周壁71及びフレーム370,390は、金属材料等により形成されており、熱伝導性を有している。モータ外周壁71は、筒状に形成されており、軸方向ADに延びている。フレーム370,390は、板状に形成されており、軸方向ADに直交する方向に延びている。リアフレーム370とドライブフレーム390とは、モータ外周壁71を介して軸方向ADに並べられている。フレーム370,390は、ボルト等の固定具によりモータ外周壁71に固定されている。なお、図4には、モータ装置60をモータ軸線Cmに沿って切断した縦断面が図示されている。
【0035】
モータハウジング70は、モータハウジング外周面70a及びモータハウジング内周面70bを有している。モータハウジング外周面70aは、モータハウジング70の外周面であり、モータハウジング70の外面に含まれている。モータハウジング内周面70bは、モータハウジング70の内周面であり、モータハウジング70の内面に含まれている。モータハウジング外周面70a及びモータハウジング内周面70bは、モータ外周壁71により形成されている。
【0036】
リアフレーム370は、モータ外周壁71の内側空間をインバータ装置80側から覆っている。リアフレーム370は、モータ外周壁71を介してプロペラ20とは反対側に設けられている。ドライブフレーム390は、モータ外周壁71の内側空間をインバータ装置80とは反対側から覆っている。ドライブフレーム390は、モータ外周壁71のプロペラ20側に設けられている。
【0037】
モータハウジング70は、モータフィン72を有している。モータフィン72は、モータハウジング70の外面に設けられている。例えば、モータフィン72は、モータハウジング外周面70aに設けられている。モータフィン72は、モータ外周壁71から外周側に向けて突出している。モータフィン72は、周方向CDに直交する方向に延びている。モータフィン72は、周方向CDに複数並べられている。モータフィン72は、モータ装置60の熱を外部に放出する放熱フィンである。
【0038】
モータ61は、ステータ200、第1ロータ300a、第2ロータ300b及びシャフト340を有している。ステータ200は固定子である。ステータ200は、コイル64を有している。ロータ300a,300bは回転子である。ロータ300a,300bは、ステータ200に対して相対的に回転する。ロータ300a,300bは、モータ軸線Cmを中心に回転する。モータ軸線Cmは、ロータ300a,300bの中心線である。ステータ200は、周方向CDに環状に延びている。モータ軸線Cmは、ステータ200の中心線に一致している。
【0039】
モータ装置60は、アキシャルギャップ式の回転電機である。モータ61は、アキシャルギャップ式のモータである。モータ61では、ステータ200とロータ300a,300bとがモータ軸線Cmに沿って軸方向ADに並べられている。モータ装置60は、ダブルロータ式の回転電機である。モータ61は、ダブルロータ式のモータである。第1ロータ300aと第2ロータ300bとは、ステータ200を介して軸方向ADに並べられている。ステータ200は、第1ロータ300a及び第2ロータ300bという2つのロータの間に設けられている。本実施形態のモータ61は、ダブルアキシャルモータと称されることがある。
【0040】
シャフト340は、ロータ300a,300bを支持している。シャフト340は、ロータ300a,300bと共にモータ軸線Cmを中心に回転する。シャフト340の中心線は、モータ軸線Cmに一致している。シャフト340は、ロータ300a,300bとプロペラ20とを接続している。
【0041】
ロータ300a,300bは、磁石部310及び磁石ホルダ320を有している。磁石部310は、ロータ300a,300bのそれぞれにおいて周方向CDに複数並べられている。複数の磁石部310は、ロータ300a,300bの回転方向に並べられている。周方向CDに隣り合う2つの磁石部310は、接着剤等で互いに固定されている。磁石部310は、永久磁石を含んで構成されており、界磁を形成している。ロータ300a,300bでは、磁石部310が磁束を発生させる。第1ロータ300aの磁石部310と第2ロータ300bの磁石部310とは、ステータ200を介して軸方向ADに並べられている。磁石ホルダ320は、磁石部310を支持している。磁石ホルダ320は、ロータ300a,300bの外周端及び内周端を形成している。
【0042】
ステータ200は、コイルユニット210を有している。コイルユニット210は、周方向CDに環状に延びている。コイルユニット210は、コイル64を形成している。コイルユニット210は、コイル部211及びステータコア231を有している。コイル部211は、平角線等の電線により形成されており、通電可能である。コイル部211は、ステータコア231に巻回されている。コイル部211は、全体として筒状に形成されており、軸方向ADに延びている。ステータコア231は、鉄心であり、軸方向ADに延びている。コイル部211及びステータコア231は、モータハウジング内周面70bに沿って周方向CDに複数並べられている。コイルユニット210では、複数のコイル部211によりコイル64が形成されている。
【0043】
モータ61は、第1アキシャルギャップ305a及び第2アキシャルギャップ305bを有している。アキシャルギャップ305a,305bは、ステータ200とロータ300a,300bとの隙間である。アキシャルギャップ305a,305bには、磁石部310とステータコア231との隙間が含まれている。アキシャルギャップ305a,305bは、ステータ200とロータ300a,300bとの間において、軸方向ADに直交する方向に延びている。第1アキシャルギャップ305aは、ステータ200と第1ロータ300aとの隙間である。第2アキシャルギャップ305bは、ステータ200と第2ロータ300bとの隙間である。
【0044】
モータ装置60は、リアベアリング350及びドライブベアリング360を有している。ベアリング350,360は、シャフト340を回転可能に支持している。ベアリング350,360は、周方向CDに環状に延びている。リアベアリング350とドライブベアリング360とは、ロータ300a,300bを介して軸方向ADに並べられている。ベアリング350,360は、モータハウジング70に固定されている。リアベアリング350は、リアフレーム370に固定されている。ドライブベアリング360は、ドライブフレーム390に固定されている。
【0045】
図5に示すように、ロータ300a,300bは、磁石部310として、第1磁石部310a及び第2磁石部310bを有している。複数の磁石部310には、第1磁石部310a及び第2磁石部310bが複数ずつ含まれている。第1磁石部310aと第2磁石部310bとは、周方向CDに交互に並べられている。
【0046】
図6図7に示すように、磁石部310は、磁石311を有している。磁石311は、ロータ300a,300b及び磁石部310において周方向CDに複数並べられている。複数の磁石311は、ロータ300a,300bの回転方向に並べられている。周方向CDに隣り合う2つの磁石311は、接着剤等により互いに固定されている。磁石311は、永久磁石である。磁石311は、柱状に形成されており、周方向CDに延びている。磁石部310では、ロータ300a,300b及びステータ200にて生じる磁力が強くなるように磁石311が配列されている。例えば、複数の磁石部310は、ハルバッハ配列で配列されている。
【0047】
ロータ300a,300bは、磁石311として、q軸磁石、d軸磁石及び介在磁石を有している。q軸磁石、d軸磁石及び介在磁石は、磁石部310に含まれている。q軸磁石とd軸磁石と介在磁石とでは配向の向きが異なっている。配向は、磁石311の磁化容易方向のうち一方側を向いている。磁化容易方向は、磁化容易軸が延びた方向である。d軸磁石は、軸方向ADの配向成分が大きい磁石である。q軸磁石は、周方向CDの配向成分が大きい磁石である。d軸磁石とq軸磁石とは、介在磁石を介して周方向CDに並べられている。q軸磁石、d軸磁石及び介在磁石は、周方向CDに並べられており、ロータ磁石に相当する。
【0048】
磁石部310は、磁石311として、中間q軸磁石312c、第1d軸磁石313a、第2d軸磁石313b、第1介在磁石314a及び第2介在磁石314bを有している。d軸磁石313a,313bでは、中間q軸磁石312c及び介在磁石314a,314bに比べて、軸方向ADの配向成分が大きい。d軸磁石313a,313bは、ロータ磁石及び軸方向磁石に相当する。第1d軸磁石313aと第2d軸磁石313bとは、中間q軸磁石312c及び介在磁石314a,314bを介して周方向CDに並べられている。第1d軸磁石313aの配向と第2d軸磁石313bの配向とは、軸方向ADにおいて逆向きになっている。
【0049】
中間q軸磁石312cでは、d軸磁石313a,313b及び介在磁石314a,314bに比べて、周方向CDの配向成分が大きい。中間q軸磁石312cは、ロータ磁石及び周方向磁石に相当する。中間q軸磁石312cは、周方向CDにおいて第1d軸磁石313aと第2d軸磁石313bとの間に設けられている。中間q軸磁石312cの配向は、第1d軸磁石313a及び第2d軸磁石313bのうち一方側を向いている。
【0050】
介在磁石314a,314bでは、d軸磁石313a,313bに比べて軸方向ADの配向成分が小さく、中間q軸磁石312cに比べて軸方向ADの配向成分が大きい。介在磁石314a,314bでは、中間q軸磁石312cに比べて周方向CDの配向成分が小さく、d軸磁石313a,313bに比べて周方向CDの配向成分が大きい。介在磁石314a,314bは、ロータ磁石に相当する。第1介在磁石314aと第2介在磁石314bとは、第1d軸磁石313aと第2d軸磁石313bとの間において、中間q軸磁石312cを介して周方向CDに並べられている。第1介在磁石314aは、第1d軸磁石313aと中間q軸磁石312cとの間に設けられている。第2介在磁石314bは、第2d軸磁石313bと中間q軸磁石312cとの間に設けられている。第1介在磁石314aの配向と第2介在磁石314bの配向とは、軸方向ADにおいて逆向きになっている。
【0051】
図7に示すように、第1磁石部310aと第2磁石部310bとでは、磁石312c,313a、313b、314a、314bの配向が周方向CDで逆向きになっている。1つの第2磁石部310bと、この第2磁石部310bを介して周方向CDに隣り合う2つの第1磁石部310aと、という3つの磁石部310について説明する。これら磁石部310において、一方の第1磁石部310aと第2磁石部310bとでは、磁石312c,313a、313b、314a、314bの配向が周方向CDにおいて互いに向き合っている。他方の第1磁石部310aと第2磁石部310bとでは、磁石312c,313a、313b、314a、314bの配向が周方向CDにおいて互いに反対側を向いている。
【0052】
図6図7に示すように、磁石311は、磁石外周端面311a、磁石内周端面311b、磁石側端面311c、磁石対向面311d及び磁石反対面311eを有している。磁石外周端面311a、磁石内周端面311b、磁石側端面311c、磁石対向面311d及び磁石反対面311eは、磁石311の外面に含まれている。磁石外周端面311aは、磁石311の外周端を形成しており、径方向外側を向いている。磁石外周端面311aは、磁石外周端に相当する。磁石内周端面311bは、磁石311の内周端を形成しており、径方向内側を向いている。磁石内周端面311bは、磁石内周端に相当する。磁石側端面311cは、磁石311の側端を形成しており、周方向CDを向いている。磁石側端面311cは、磁石外周端面311a及び磁石内周端面311bを介して周方向CDに一対並べられている。
【0053】
磁石対向面311d及び磁石反対面311eは、軸方向ADに直交する方向に延びている。磁石対向面311dと磁石反対面311eとは、磁石外周端面311a、磁石内周端面311b及び磁石側端面311cを介して軸方向ADに並べられている。磁石対向面311dは、アキシャルギャップ305a,305bを介してステータ200に対向している。磁石反対面311eは、軸方向ADにおいてアキシャルギャップ305a,305bとは反対側を向いている。
【0054】
ロータ300a,300bは、ロータコア315を有している。ロータコア315は、ロータ300a,300b及び磁石部310において周方向CDに複数並べられている。ロータコア315は、磁性材料等により形成されている。例えば、ロータコア315は、電磁鋼板や圧粉磁芯により形成されている。ロータコア315が電磁鋼板や圧粉磁芯により形成されていることで、ロータ300a,300bにて生じる鉄損を低減できる。ロータコア315は、ヨークと称されることがある。ロータコア315は、柱状に形成されており、周方向CDに延びている。ロータコア315は、ロータ300a,300bにおいてステータ200に対して生じる磁力が強くなるように磁石部310に設けられている。
【0055】
ロータ300a,300b及び磁石部310では、複数の磁石311と複数のロータコア315とがロータ300a,300bの回転方向に混在するように並べられている。磁石部310では、少なくとも1つの磁石311がロータコア315に軸方向ADに並べられている。また、磁石部310では、少なくとも1つの磁石311がロータコア315に周方向CDに並べられている。ロータコア315は、軸方向ADや周方向CDにおいて隣り合う磁石311に接着剤等により固定されている。一方で、磁石部310では、磁石311とロータコア315とが径方向RDには並べられていない。
【0056】
ロータ300a,300bは、ロータコア315として、第1軸コア316a及び第2軸コア316bを有している。軸コア316a,316bは、d軸磁石313a、313bに軸方向ADに並べられている。第1軸コア316a及び第2軸コア316bは、軸並びコアに相当する。軸コア316a,316bは、軸方向ADにおいてd軸磁石313a、313bのステータ200側に設けられている。軸コア316a,316bは、軸方向ADにおいてd軸磁石313a、313bとステータ200との間にある。
【0057】
第1軸コア316aは、第1d軸磁石313aに軸方向ADに並べられている。第1軸コア316aは、第1d軸磁石313aのステータ200側に設けられている。第1軸コア316aは、複数の磁石311のうち第1d軸磁石313aだけに軸方向ADに並べられている。
【0058】
第2軸コア316bは、第2d軸磁石313bに軸方向ADに並べられている。第2軸コア316bは、第2d軸磁石313bのステータ200側に設けられている。第2軸コア316bは、磁石部310が有する複数の磁石311のうち第2d軸磁石313bだけに軸方向ADに並べられている。
【0059】
第1軸コア316aと第2軸コア316bとは、中間q軸磁石312c、第1介在磁石314a及び第2介在磁石314bを介して周方向CDに並べられている。第1軸コア316a及び第2軸コア316bは、中間q軸磁石312c、第1介在磁石314a及び第2介在磁石314bに周方向CDに並べられている。第1軸コア316aは、周方向CDにおいて第1介在磁石314aに隣り合っている。第2軸コア316bは、周方向CDにおいて第2介在磁石314bに隣り合っている。第1軸コア316a及び第2軸コア316bは、中間q軸磁石312c、第1介在磁石314a及び第2介在磁石314bには軸方向ADに並べられていない。
【0060】
ロータコア315は、コア外周端面315a、コア内周端面315b、コア側端面315c、コア対向面315d及びコア反対面315eを有している。コア外周端面315a、コア内周端面315b、コア側端面315c、コア対向面315d及びコア反対面315eは、ロータコア315の外面に含まれている。コア外周端面315aは、ロータコア315の外周端を形成しており、径方向外側を向いている。コア内周端面315bは、ロータコア315の内周端を形成しており、径方向内側を向いている。コア側端面315cは、ロータコア315の側端を形成しており、周方向CDを向いている。コア側端面315cは、コア外周端面315a及びコア内周端面315bを介して周方向CDに一対並べられている。
【0061】
コア対向面315d及びコア反対面315eは、軸方向ADに直交する方向に延びている。コア対向面315d及びコア反対面315eは、コア外周端面315a、コア内周端面315b及びコア側端面315cを介して軸方向ADに並べられている。コア対向面315dは、アキシャルギャップ305a,305bを介してステータ200に対向している。コア反対面315eは、軸方向ADにおいてアキシャルギャップ305a,305bとは反対側を向いている。
【0062】
図6に示すように、ロータコア315は、磁石外周端面311aと磁石内周端面311bとにかけ渡されるように径方向RDに延びている。径方向RDでは、ロータコア315の長さ寸法と磁石311の長さ寸法とがほぼ同じになっている。ロータコア315と磁石311とでは、コア外周端面315aと磁石外周端面311aとが周方向CDに並べられている。また、コア内周端面315bと磁石内周端面311bとが周方向CDに並べられている。
【0063】
第1軸コア316aは、第1d軸磁石313a及び第1介在磁石314aに対して、磁石外周端面311aと磁石内周端面311bとにかけ渡された状態になっている。第1軸コア316aは、中間q軸磁石312cに周方向CDに並べられ、且つ第1d軸磁石313aに軸方向ADに並べられている。第1軸コア316aは、両並びコアに相当する。
【0064】
第2軸コア316bは、第2d軸磁石313b及び第2介在磁石314bに対して、磁石外周端面311aと磁石内周端面311bとにかけ渡された状態になっている。第2軸コア316bは、中間q軸磁石312cに周方向CDに並べられ、第2d軸磁石313bに軸方向ADに並べられている。第2軸コア316bは、両並びコアに相当する。
【0065】
図7に示すように、軸コア316a,316bは、軸方向ADにおいてd軸磁石313a,313bよりも薄い。軸方向ADでは、軸コア316a,316bの厚さ寸法D2が、d軸磁石313a,313bの厚さ寸法D1よりも小さい。厚さ寸法D1,D2は、中間q軸磁石312c及び介在磁石314a,314bの厚さ寸法D3よりも小さい。厚さ寸法D1,D2の合計が厚さ寸法D3になる。
【0066】
図6に示すように、d軸磁石313a,313b、介在磁石314a,314b及び軸コア316a,316bは、平面視で略長方形状に形成されている。d軸磁石313a,313b及び介在磁石314a,314bでは、一対の磁石側端面311cが互いに平行に延びている。軸コア316a,316bでは、一対のコア側端面315cが互いに平行に延びている。d軸磁石313a,313b及び介在磁石314a,314bでは、磁石外周端面311aや磁石内周端面311bが径方向RDの外側や内側に向けて曲がっていてもよく、径方向RDに直交する方向に真っすぐに延びていてもよい。軸コア316a,316bでは、コア外周端面315aやコア内周端面315bが径方向RDの外側や内側に向けて曲がっていてもよく、径方向RDに直交する方向に真っすぐに延びていてもよい。
【0067】
中間q軸磁石312cは、平面視で略台形状に形成されている。中間q軸磁石312cでは、一対の磁石側端面311cが互いに傾斜するように径方向RDに延びている。中間q軸磁石312cでは、一対の磁石側端面311cの距離が径方向外側ほど大きくなっている。中間q軸磁石312cでは、一対の磁石側端面311cが互いに傾斜する角度が、中間q軸磁石312cと介在磁石314a,314bとの間に隙間が生じないような大きさに設定されている。また、中間q軸磁石312cでは、一対の磁石側端面311cの互いに傾斜する角度が、d軸磁石313a,313b、介在磁石314a,314bが平面視で略長方形状になるような大きさに設定されている。
【0068】
ここまで説明した本実施形態によれば、ロータコア315は、磁石311に軸方向ADや周方向CDに並べられている。このように、ロータ300a,300bが磁石311に加えてロータコア315を有していることで、ロータ300a,300bの設計自由度やモータ装置60の出力を高めることが可能になる。しかも、ロータコア315は、磁石311に対して磁石外周端面311aと磁石内周端面311bとにかけ渡されるように径方向RDに延びている。この構成では、ロータコア315と磁石311とを径方向RDに並べる必要がない。このため、ロータ300a,300bの回転に伴って生じる遠心力などによりロータコア315と磁石311とが径方向RDに離れる、という状態変化が生じにくい。したがって、ロータ300a,300bの状態変化を抑制することでモータ装置60の高出力化を図ることができる。
【0069】
例えば本実施形態とは異なり、ロータ300a,300bにおいて磁石311とロータコア315とが径方向RDに並べられた構成を想定する。この構成では、ロータ300a,300bの回転に伴って磁石311とロータコア315とが径方向RDに分離するように離れることが懸念される。磁石311とロータコア315とが径方向RDに分離する理由としては、磁石311とロータコア315との比重差により遠心力の影響が大きくなることなどがある。遠心力の影響が大きくなる理由としては、磁石311とロータコア315とでモータ軸線Cmからの距離が異なることなどがある。
【0070】
これに対して、本実施形態では、磁石311とロータコア315とが径方向RDに並べられていないため、磁石311とロータコア315とが径方向RDに分離しにくい。例えば、磁石311とロータコア315とが軸方向ADや周方向CDに並べられていることで、磁石311とロータコア315とでモータ軸線Cmからの距離を同じにできる。このため、磁石311及びロータコア315に対する遠心力の影響を低減でき、その結果、磁石311とロータコア315とが径方向RDに分離することを抑制できる。
【0071】
本実施形態では、ロータ300a,300bの一部を磁石311からロータコア315に置き換えることで磁石311の量を低減できる。このように、ロータコア315に比べると希少性の高い磁石311の量を低減することで、ロータ300a,300bを製造するための材料コストを低減できる。
【0072】
本実施形態によれば、軸コア316a,316bは、d軸磁石313a,313bに軸方向ADに並べられている。この構成では、ロータ300a,300bにおいて磁石損失が生じやすい位置に、d軸磁石313a,313bではなく軸コア316a,316bを配置することができる。すなわち、d軸磁石313a,313bにおいて磁石損失が生じやすい部位を磁石311から軸コア316a,316bに置き換えることができる。このため、ロータ300a,300bにて生じる磁石損失を軸コア316a,316bにより低減できる。
【0073】
磁石損失は、磁石311の磁束損失や磁気損失である。磁石損失としては、磁石311を鎖交する磁束変化に対応して磁石311の外面などにて生じる渦電流による熱損失などがある。磁石損失が生じると、磁石311にて生じるエネルギが低減し、その結果、モータ61のトルクが低減しやすい。これに対して、本実施形態では、磁石損失を軸コア316a,316bにより低減できる。
【0074】
ロータ300a,300bでは、d軸磁石313a,313bに軸方向ADに並ぶ位置での磁石損失が、他の位置での磁石損失に比べて大きくなりやすい。他の位置としては、中間q軸磁石312cに軸方向ADに並ぶ位置や、介在磁石314a,314bに軸方向ADに並ぶ位置がある。
【0075】
これに対して、本実施形態によれば、軸コア316a,316bは、中間q軸磁石312cに周方向CDに並べられ、且つd軸磁石313a,313bに軸方向ADに並べられている。この構成では、d軸磁石313a,313bに軸方向ADに並ぶ位置という磁石損失が生じやすい位置に軸コア316a,316bがあることで、磁石損失を軸コア316a,316bにより低減できる。また、d軸磁石313a,313bから周方向CDにずれた位置には、q軸磁石312a,312bや介在磁石314a,314bがあるため、磁力が高められることなどによりトルクを増加させることができる。
【0076】
さらに、軸コア316a,316bは、軸方向ADに並ぶd軸磁石313a,313bに固定され、且つ周方向CDに並ぶ介在磁石314a,314bに固定されている。このように軸コア316a,316bは、軸方向AD及び周方向CDのそれぞれにおいて磁石311に固定されている。このため、軸コア316a,316bが磁石部310から脱落しないように、軸コア316a,316bを複数の磁石311に対して強固に固定することができる。
【0077】
ロータ300a,300bでは、d軸磁石313a,313bに軸方向ADに並ぶ位置のうち、ステータ200側の位置での磁石損失が、ステータ200とは反対側での磁石損失よりも大きくなりやすい。
【0078】
これに対して、本実施形態によれば、軸コア316a,316bは、d軸磁石313a,313bのステータ200側に設けられている。この構成では、d軸磁石313a,313bのステータ200側という磁石損失が生じやすい位置に軸コア316a,316bがあることで、磁石損失を軸コア316a,316bにより低減できる。
【0079】
本実施形態によれば、軸方向ADでは、軸コア316a,316bの厚さ寸法D2が、d軸磁石313a,313bの厚さ寸法D1よりも小さい。この構成では、軸コア316a,316bにより磁石損失を低減すること、及びd軸磁石313a,313bを極力大きくしてロータ300a,300bでの磁力が増加すること、の両方を実現できる。
【0080】
本実施形態によれば、モータ装置60は、eVTOL10を飛行させるために駆動する。この構成では、モータ装置60の駆動によりeVTOL10が飛行している状態で、ロータ300a,300bの状態変化を抑制することでモータ装置60の高出力化を図ることができる。このように、モータ装置60の高出力化を図ることでeVTOL10の安全性を高めることができる。
【0081】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、軸コア316a,316bがd軸磁石313a,313bに軸方向ADに並べられている。これに対して、第2実施形態では、軸コア316a,316bが介在磁石314a,314bに軸方向ADに並べられている。第2実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第2本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0082】
図8に示すように、軸コア316a,316bは、d軸磁石313a,313b及び介在磁石314a,314bの両方に軸方向ADに並べられている。第1軸コア316aは、第1d軸磁石313a及び第1介在磁石314aの両方に軸方向ADに並べられている。第2軸コア316bは、第2d軸磁石313b及び第2介在磁石314bの両方に軸方向ADに並べられている。d軸磁石313a,313bは、上記第1実施形態と同様に、中間q軸磁石312cに周方向CDに並べられている。
【0083】
<第3実施形態>
上記第1実施形態では、ロータコア315である軸コア316a,316bがd軸磁石313a,313bに軸方向ADに並べられていた。これに対して、第3実施形態では、ロータコア315がd軸磁石313a,313bに軸方向ADに並べられていない。第3実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第3本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0084】
図9図10に示すように、磁石部310は、磁石311として、第1q軸磁石312a及び第2q軸磁石312bを有している。q軸磁石312a,312bでは、上記第1実施形態の中間q軸磁石312cと同様に、d軸磁石313a,313b及び介在磁石314a,314bに比べて、q軸方向成分の配向が大きい。q軸磁石312a,312bは、ロータ磁石及び周方向磁石に相当する。第1q軸磁石312aと第2q軸磁石312bとは、周方向CDに並べられている。q軸磁石312a,312bは、周方向CDに隣り合う2つの周方向磁石に相当する。第1q軸磁石312aの配向と第2q軸磁石312bの配向とは、軸方向AD及び周方向CDのそれぞれにおいて同じである。本実施形態では、上記第1実施形態の中間q軸磁石312cが周方向CDに2つ並べられ、2つのうち一方が第1q軸磁石312aとされ、他方が第2q軸磁石312bとされたような構成になっている。
【0085】
ロータ300a,300bは、ロータコア315として、周コア317を有している。周コア317は、磁石部310に周方向CDに並べられている。周コア317は、第1q軸磁石312aと第2q軸磁石312bとの間に設けられている。周コア317は、周方向CDにおいてq軸磁石312a,312bに隣り合っている。周コア317は、q軸磁石312a,312b、d軸磁石313a,313b及び介在磁石314a,314bに周方向CDに並べられている。周コア317は、周並びコアに相当する。周コア317と磁石311とは、軸方向ADに並んでいない。
【0086】
周コア317は、上記第1実施形態の軸コア316a,316bと同様に、周方向CDに延びている。周コア317は、周方向CDにおいて、q軸磁石312a,312bに対して磁石外周端面311aと磁石内周端面311bとにかけ渡された状態になっている。また、周コア317は、磁石対向面311dと磁石反対面311eとにかけ渡されるように軸方向ADに延びている。周コア317では、コア対向面315dが磁石対向面311dに周方向CDに並べられている。コア反対面315eは、磁石反対面311eに周方向CDに並べられている。
【0087】
図9に示すように、磁石311は、平面視で略長方形状に形成されている。d軸磁石313a,313b、q軸磁石312a,312b及び介在磁石314a,314bでは、一対の磁石側端面311cが互いに平行に延びている。磁石側端面311cは、磁石側端に相当する。d軸磁石313a,313b、q軸磁石312a,312b及び介在磁石314a,314bのそれぞれでは、周方向CDでの磁石外周端面311aの長さ寸法と磁石内周端面311bの長さ寸法とが同じになっている。
【0088】
周コア317は、平面視で略長方形状に形成されている。周コア317では、一対のコア側端面315cが互いに傾斜するように径方向RDに延びている。周コア317では、一対のコア側端面315cの距離が径方向外側ほど大きくなっている。周コア317では、一対のコア側端面315cが互いに傾斜する角度が、周コア317とq軸磁石312a,312bとの間に隙間が生じないような大きさに設定されている。周コア317とq軸磁石312a,312bとの境界部では、コア側端面315cと磁石側端面311cとが平行に延びている。また、周コア317では、一対のコア側端面315cが互いに傾斜する角度が、d軸磁石313a,313b、q軸磁石312a,312b及び介在磁石314a,314bが平面視で略長方形状になるような大きさに設定されている。コア側端面315cがコア側端に相当する。
【0089】
本実施形態によれば、周コア317は、周方向CDに隣り合う2つのq軸磁石312a,312bの間に設けられている。この構成では、モータ61のトルクが低減しにくい位置に周コア317を配置できる。すなわち、モータ61にて生じる磁力に影響が少ない部位を磁石311から周コア317に置き換えることができる。このため、モータ61においてトルク低減を抑制しつつ、ロータ300a,300bを製造するための材料コストを低減できる。
【0090】
本実施形態によれば、周コア317は、磁石対向面311dと磁石反対面311eとにかけ渡されるように軸方向ADに延びている。この構成では、周コア317をq軸磁石312a,312bに軸方向ADに並べる必要がないため、周コア317が複雑な形状になることを回避できる。このように周コア317の形状を簡素化することで、周コア317を製造する際のコア加工性を高めることができる。コア加工性を高めることで、周コア317を製造するための作業の難易度を低減することや、周コア317の形状や大きさの精度を高めることができる。
【0091】
本実施形態によれば、周コア317が有する一対のコア側端面315cは、周方向CDの距離が径方向外側ほど大きくなるように互いに傾斜している。このため、周コア317と磁石311とが周方向CDに並べられた構成において、一対のコア側端面315cが互いに傾斜していることで、一対の磁石側端面311cを平行に配置することが可能である。一対の磁石側端面311cが平行に延びている構成では、磁石311を製造する際の歩留まりを向上させることができる。作業者が略直方体状の母材を切断や研削などにより磁石311を製造する場合、磁石311の形状が直方体に近い形状であるほど母材の歩留まりが向上しやすい。例えば、平面視で矩形状の磁石311を製造する場合の歩留まりは、平面視で台形状の磁石311を製造する場合の歩留まりよりも高くなりやすい。
【0092】
本実施形態によれば、一対のコア側端面315cは、周コア317とq軸磁石312a,312bとの境界部においてコア側端面315cと磁石側端面311cとが平行に延びるように、互いに傾斜している。この構成では、磁石311が有する一対の磁石側端面311cが平行に延びていても、周コア317とq軸磁石312a,312bとを互いに密着するように配置できる。このため、周コア317とq軸磁石312a,312bとを強固に固定できる。
【0093】
<第4実施形態>
上記第1実施形態では、d軸磁石313a,313bが軸方向AD及び周方向CDのうち軸方向ADだけにおいてロータコア315に並べられている。これに対して、第4実施形態では、d軸磁石313a,313bが軸方向AD及び周方向CDの両方においてロータコア315に並べられている。第4実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第4本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0094】
図11図12に示すように、ロータ300a,300bは、上記第1実施形態の軸コア316a,316bに加えて、上記第3実施形態の周コア317を有している。また、ロータ300a,300bは、上記第3実施形態のq軸磁石312a,312bを有している。周コア317は、上記第3実施形態と同様に、周方向CDにおいて第1q軸磁石312aと第2q軸磁石312bとの間に設けられている。周コア317及びq軸磁石312a,312bは、周方向CDにおいて第1軸コア316aと第2軸コア316bとの間に設けられている。周方向CDでは、第1軸コア316aと第1q軸磁石312aとの間に第1介在磁石314aが設けられている。また、第2軸コア316bと第2q軸磁石312bとの間に第2介在磁石314bが設けられている。
【0095】
<他の実施形態>
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、又は組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0096】
上記各実施形態において、軸コア316a,316bは、少なくとも1つの磁石311に軸方向ADに並べられていれば、どのように設けられていてもよい。例えば上記第1実施形態において、軸コア316a,316bは、少なくともd軸磁石313a,313bに軸方向ADに並べられていればよい。例えば、軸コア316a,316bは、中間q軸磁石312cなど全ての磁石311に軸方向ADに並べられていてもよい。軸コア316a,316bは、d軸磁石313a,313bを介してステータ200とは反対側に設けられていてもよい。また、軸コア316a,316bは、中間q軸磁石312cや介在磁石314a,314bよりも軸方向ADや径方向RDに延びるように設けられてもよい。軸コア316a,316bは、d軸磁石313a,313bよりも周方向CDや径方向RDに延びるように設けられていてもよい。さらに、1つの磁石部310には、軸コア316a,316b等の軸並びコアが1つだけ含まれていてもよく、3つ以上含まれていてもよい。
【0097】
上記各実施形態において、周コア317は、少なくとも1つの磁石部310に周方向CDに並べられていれば、どのように設けられていてもよい。例えば上記第3実施形態において、周コア317は、周方向CDにおいて第1q軸磁石312aと第2q軸磁石312bとの間に設けられていなくてもよい。例えば、周コア317は、周方向CDにおいて介在磁石314a,314bやd軸磁石313a,313bに隣り合う位置に設けられていてもよい。また、周コア317は、d軸磁石313a,313bやq軸磁石312a,312b、介在磁石314a,314bよりも軸方向ADや径方向RDに延びるように設けられていてもよい。さらに、1つの磁石部310には、周コア317等の周並びコアが複数含まれていてもよい。
【0098】
上記各実施形態において、ロータ300a,300b及びステータ200にて生じる磁力が強くなるように、磁石311の配向が設定されていてもよい。例えば、磁石311の配向が極異方配向とされていてもよい。この構成では、複数の磁石311の少なくとも1つが極異方配向になっていてもよい。
【0099】
上記各実施形態において、モータ61は、ダブルロータ式のモータでなくてもよい。例えば、モータ61は、シングルロータ式のモータでもよい。
【0100】
上記各実施形態において、モータ装置60が搭載される飛行体は、電動式であれば、垂直離着陸機でなくてもよい。例えば、飛行体は、電動航空機として、滑走を伴う離着陸が可能な飛行体でもよい。さらに、飛行体は、回転翼機又は固定翼機でもよい。飛行体は、人が乗らない無人飛行体でもよい。
【0101】
上記各実施形態において、モータ装置60が搭載される移動体は、回転体の回転により移動可能であれば、飛行体でなくてもよい。例えば、移動体は、車両、船舶、建設機械、農業機械であってもよい。例えば、移動体が車両や建設機械などである場合、回転体は移動用の車輪などであり、出力軸部は車軸などである。移動体が船舶である場合、回転体は推進用のスクリュープロペラなどであり、出力軸部はプロペラ軸などである。また、モータ装置60は、定置式の各種設備に設けられていてもよい。
【0102】
(技術的思想の開示)
この明細書は、以下に列挙する複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。さらに、いくつかの項は、他の多項従属形式の項を引用する多項従属形式(a multiple dependent form referring to another multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
【0103】
(技術的思想1)
電力の供給により駆動する回転電機(60)であって、
ステータ(200)と、
回転軸線(Cm)を中心に回転し、前記回転軸線が延びる軸方向(AD)において前記ステータに並べられたロータ(300a,300b)と、
を備え、
前記ロータは、
前記回転軸線の径方向(RD)での外周端である磁石外周端(311a)及び内周端である磁石内周端(311b)を有し、前記回転軸線の周方向(CD)に並べられた複数のロータ磁石(311,312a,312b,312c,313a,313b,314a,314b)と、
前記磁石外周端と前記磁石内周端とにかけ渡されるように前記径方向に延び、前記ロータ磁石に前記軸方向及び前記周方向の少なくとも一方に並べられたロータコア(315,316a,316b,317)と、
を有している回転電機。
【0104】
(技術的思想2)
複数の前記ロータ磁石には、前記軸方向に延びる磁束を発生させる軸方向磁石(313a,313b)と、前記周方向に延びる磁束を発生させる周方向磁石(312a,312b,312c)と、が含まれており、
前記ロータは、
前記ロータコアであり、複数の前記ロータ磁石の少なくとも前記軸方向磁石に前記軸方向に並べられた軸並びコア(316a,316b)、を有している技術的思想1に記載の回転電機。
【0105】
(技術的思想3)
前記ロータは、
前記軸並びコアとして、前記周方向磁石に前記周方向に並べられ且つ前記軸方向磁石に前記軸方向に並べられた両並びコア(316a,316b)、を有している技術的思想2に記載の回転電機。
【0106】
(技術的思想4)
前記軸並びコアは、前記軸方向において前記軸方向磁石の前記ステータ側に設けられている、技術的思想2又は3に記載の回転電機。
【0107】
(技術的思想5)
前記軸方向において、前記軸並びコアの厚さ寸法(D2)は、前記軸方向磁石の厚さ寸法(D1)よりも小さい、技術的思想2~4のいずれか1つに記載の回転電機。
【0108】
(技術的思想6)
複数の前記ロータ磁石には、前記軸方向に延びる磁束を発生させる軸方向磁石(313a,313b)と、前記周方向に延びる磁束を発生させる周方向磁石(312a,312b)と、が含まれており、
前記ロータは、
前記ロータコアであり、前記周方向に隣り合う2つの前記周方向磁石の間に設けられた周並びコア(317)、を有している技術的思想1~5のいずれか1つに記載の回転電機。
【0109】
(技術的思想7)
前記ロータ磁石は、
前記ステータに対向する磁石対向面(311d)と、
前記軸方向において前記磁石対向面とは反対側を向いた磁石反対面(311e)と、
を有しており、
前記周並びコアは、前記磁石対向面と前記磁石反対面とにかけ渡されるように前記軸方向に延びている、技術的思想6に記載の回転電機。
【0110】
(技術的思想8)
前記周並びコアは、前記周方向に並べられた一対のコア側端(315c)を有しており、
一対の前記コア側端は、前記周方向の距離が前記径方向の外側ほど大きくなるように互いに傾斜している、技術的思想6又は7に記載の回転電機。
【0111】
(技術的思想9)
前記周方向磁石は、前記周方向に並べられた一対の磁石側端(311c)を有しており、
一対の前記磁石側端は、前記径方向に平行に延びており、
一対の前記コア側端は、前記周方向磁石と前記周並びコアとの境界部において前記コア側端と前記磁石側端とが平行に延びるように互いに傾斜している、技術的思想8に記載の回転電機。
【0112】
(技術的思想10)
飛行体(10)に設けられ、前記飛行体を飛行させるために駆動する回転電機である、技術的思想1~9のいずれか1つに記載の回転電機。
【符号の説明】
【0113】
10…飛行体としてのeVTOL、60…回転電機としてのモータ装置、200…ステータ、211…コイル部、300a…ロータとしての第1ロータ、300b…ロータとしての第2ロータ、311…ロータ磁石としての磁石、311a…磁石外周端としての磁石外周端面、311b…磁石内周端としての磁石内周端面、311c…磁石側端としての磁石側端面、311d…磁石対向面、311e…磁石反対面、312a…ロータ磁石、周方向磁石としての第1q軸磁石、312b…ロータ磁石、周方向磁石としての第2q軸磁石、312c…ロータ磁石、周方向磁石としての中間q軸磁石、313a…ロータ磁石、軸方向磁石としての第1d軸磁石、313b…ロータ磁石、軸方向磁石としての第2d軸磁石、314a…ロータ磁石としての第1介在磁石、314b…ロータ磁石としての第2介在磁石、315…ロータコア、315c…コア側端としてのコア側端面、316a…ロータコア、軸並びコア及び両並びコアとしての第1軸コア、316b…ロータコア、軸並びコア及び両並びコアとしての第2軸コア、317…ロータコア、周並びコアとしての周コア、D1,D2…厚さ寸法、Cm…回転軸線としてのモータ軸線、AD…軸方向、CD…周方向、RD…径方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12