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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117248
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/2798 20220101AFI20240822BHJP
【FI】
H02K1/2798
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023234
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】牧野 孝
(72)【発明者】
【氏名】田中 直樹
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622CA02
5H622CA06
5H622PP03
(57)【要約】
【課題】ロータの変形を抑制することができる回転電機を提供する。
【解決手段】モータ61は、ステータ200、ロータ300a,300b及びシャフト340を有している。ロータ300a,300bは、磁石部310,410及び磁石ホルダ320,420を有している。磁石ホルダ320,420は、シャフト340のシャフトフランジ342に固定されている。モータ61は、ホルダ重複部301を有している。ホルダ重複部301は、第1磁石ホルダ320の一部と第2磁石ホルダ420の一部とが軸方向ADに重ねられることで形成されている。ホルダ重複部301には、ホルダ固定面322a,422a及びホルダ介在面323a,423aが含まれている。ホルダ重複部301の少なくとも一部は、シャフト本体341から径方向外側に離れた位置に設けられている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の供給により駆動する回転電機(60)であって、
コイル部(211)を有するステータ(200)と、
回転軸線(Cm)を中心に回転する回転軸部(341)と、
前記回転軸線が延びる軸方向(AD)において前記コイル部に並べられた第1磁石部(310)、及び前記回転軸部に固定され前記第1磁石部を支持している第1支持部(320)を有し、前記回転軸部と共に回転する第1ロータ(300a)と、
前記軸方向において前記コイル部を介して前記第1磁石部に並べられた第2磁石部(410)、及び前記回転軸部に固定され前記第2磁石部を支持している第2支持部(420)を有し、前記回転軸部と共に回転する第2ロータ(300b)と、
を備え、
前記第1支持部と前記第2支持部とが前記軸方向に重ねられた支持重ね部(301)の少なくとも一部が、前記回転軸線の径方向(RD)において前記回転軸部から前記コイル部側に離れた位置に設けられている、回転電機。
【請求項2】
前記支持重ね部の外周端(301a)は、前記径方向において前記回転軸部よりも前記第1磁石部及び前記第2磁石部に近い位置に設けられている、請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記回転軸部から外周側に向けて延び、前記第1支持部及び前記第2支持部が固定されている軸フランジ(342,342a,342b)、を備え、
前記支持重ね部の少なくとも一部は、前記径方向において前記軸フランジから前記コイル部側に離れた位置に設けられている、請求項1又は2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記支持重ね部の少なくとも一部は、前記軸フランジに前記軸方向に並ぶ位置に設けられている、請求項3に記載の回転電機。
【請求項5】
前記第1支持部は、
前記支持重ね部に含まれ、前記支持重ね部の外周端(301a)と前記軸フランジとにかけ渡されるように前記径方向に延び、前記第2支持部に対向している第1対向面(322a,323a)を有しており、
前記第2支持部は、
前記支持重ね部に含まれ、前記外周端と前記軸フランジとにかけ渡されるように前記径方向に延び、前記第1支持部に対向し、前記第1対向面に重ねられている第2対向面(422a,423a)を有している、請求項3に記載の回転電機。
【請求項6】
前記第2支持部は、
前記軸方向の一方側から前記軸フランジに重ねられ、前記軸フランジに固定された第2固定部(422)を有しており、
前記第1支持部は、
前記軸方向の一方側から前記第2固定部を介して前記軸フランジに重ねられ、前記第2固定部を介して軸フランジに固定された第1固定部(322)を有している、請求項3に記載の回転電機。
【請求項7】
前記第1支持部及び前記第2支持部の少なくとも一方は、
前記径方向において前記軸フランジと前記コイル部との間に設けられ、前記軸方向に筒状に延びている筒状部(325,425)、を有している、請求項3に記載の回転電機。
【請求項8】
電力の供給により駆動する回転電機(60)であって、
コイル部(211)を有するステータ(200)と、
回転軸線(Cm)を中心に回転する回転軸部(341)、及び前記回転軸部から外周側に延びた軸フランジ(342)を有しているロータ軸部(340)と、
前記回転軸線が延びる軸方向(AD)において前記コイル部に並べられた第1磁石部(310)、及び前記第1磁石部を支持している第1支持部(320)を有し、前記回転軸部と共に回転する第1ロータ(300a)と、
前記軸方向において前記コイル部を介して前記第1磁石部に並べられた第2磁石部(410)、及び前記第2磁石部を支持している第2支持部(420)を有し、前記回転軸部と共に回転する第2ロータ(300b)と、
を備え、
前記第2支持部は、
前記軸方向の一方側から前記軸フランジに重ねられ、前記軸フランジに固定された第2固定部(422)を有しており、
前記第1支持部は、
前記軸方向の一方側から前記第2固定部を介して前記軸フランジに重ねられ、前記第2固定部を介して軸フランジに固定された第1固定部(322)を有している、回転電機。
【請求項9】
前記第1支持部と前記第2支持部との距離を保持するように前記第1支持部と前記第2支持部との間に設けられたスペーサ部(440)、を備えている請求項1又は8に記載の回転電機。
【請求項10】
飛行体(10)に設けられ、前記飛行体を飛行させるために駆動する回転電機である、請求項1又は8に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アキシャルギャップ式のモータについて記載されている。このモータでは、ロータとステータとが軸方向に並べられている。このモータでは、ロータが回転軸部に固定されている。このロータは、回転軸部から外周側に向けて延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-36519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、ロータが回転軸部から外周側に向けて延びているため、ロータとステータとの吸引力によりロータが変形することが懸念される。
【0005】
本開示の1つの目的は、ロータの変形を抑制することができる回転電機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲及びこの項に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
上記目的を達成するため、開示された態様は、
電力の供給により駆動する回転電機(60)であって、
コイル部(211)を有するステータ(200)と、
回転軸線(Cm)を中心に回転する回転軸部(341)と、
回転軸線が延びる軸方向(AD)においてコイル部に並べられた第1磁石部(310)、及び回転軸部に固定され第1磁石部を支持している第1支持部(320)を有し、回転軸部と共に回転する第1ロータ(300a)と、
軸方向においてコイル部を介して第1磁石部に並べられた第2磁石部(410)、及び回転軸部に固定され第2磁石部を支持している第2支持部(420)を有し、回転軸部と共に回転する第2ロータ(300b)と、
を備え、
第1支持部と第2支持部とが軸方向に重ねられた支持重ね部(301)の少なくとも一部が、回転軸線の径方向(RD)において回転軸部からコイル部側に離れた位置に設けられている、回転電機である。
【0008】
上記態様によれば、支持重ね部では、第1支持部と第2支持部とが軸方向に重ねられている。この構成では、第1磁石部がコイル部に吸引されることで第1支持部に生じる応力と、第2磁石部がコイル部に吸引されることで第2支持部に生じる応力とが、支持重ね部にて相殺されやすい。
【0009】
しかも、支持重ね部の少なくとも一部が回転軸部からコイル部側に離れた位置に設けられている。この構成では、径方向において支持重ね部と第1磁石部及び第2磁石部との距離を極力短くできる。このため、第1支持部では、第1磁石部とコイル部との吸引力により支持重ね部と第1磁石部との間の部位が変形する、ということを抑制できる。また、第2支持部では、第2磁石部とコイル部との吸引力により支持重ね部と第2磁石部との間の部位が変形する、ということを抑制できる。
【0010】
以上により、回転電機において、第1ロータ及び第2ロータの変形を抑制することができる。
【0011】
第2の態様は、
電力の供給により駆動する回転電機(60)であって、
コイル部(211)を有するステータ(200)と、
回転軸線(Cm)を中心に回転する回転軸部(341)、及び回転軸部から外周側に延びた軸フランジ(342)を有しているロータ軸部(340)と、
回転軸線が延びる軸方向(AD)においてコイル部に並べられた第1磁石部(310)、及び第1磁石部を支持している第1支持部(320)を有し、回転軸部と共に回転する第1ロータ(300a)と、
軸方向においてコイル部を介して第1磁石部に並べられた第2磁石部(410)、及び第2磁石部を支持している第2支持部(420)を有し、回転軸部と共に回転する第2ロータ(300b)と、
を備え、
第2支持部は、
軸方向の一方側から軸フランジに重ねられ、軸フランジに固定された第2固定部(422)を有しており、
第1支持部は、
軸方向の一方側から第2固定部を介して軸フランジに重ねられ、第2固定部を介して軸フランジに固定された第1固定部(322)を有している、回転電機である。
【0012】
上記態様によれば、第1固定部と第2固定部とは、互いに軸方向に重ねられた状態で軸フランジに固定されている。この構成では、第1磁石部がコイル部に吸引されることで第1支持部に生じる応力と、第2磁石部がコイル部に吸引されることで第2支持部に生じる応力とが、少なくとも第1固定部と第2固定部とが重なった部分にて相殺されやすい。したがって、回転電機において、第1ロータ及び第2ロータの変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態におけるeVTOLの構成を示す図。
図2】推進システムの電気的な構成を示す図。
図3】EPUの概略斜視図。
図4】モータ装置の縦断面図。
図5】第1ロータの斜視図。
図6】第2ロータの斜視図。
図7】モータ装置でのホルダ重複部及びホルダ通気孔周辺の概略縦断面図。
図8】モータ装置でのホルダ重複部及び介在空間周辺の概略縦断面図。
図9】モータ装置でのホルダ固定具周辺の縦断面図。
図10】第2ロータがシャフトに組み付けられた状態を示す図。
図11】第2実施形態におけるモータ装置でのホルダ重複部及び介在空間周辺の概略縦断面図。
図12】第3実施形態におけるモータ装置でのホルダ重複部及びホルダ通気孔周辺の概略縦断面図。
図13】第4実施形態におけるモータ装置でのホルダ重複部及びホルダ通気孔周辺の概略縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0015】
<第1実施形態>
図1に示す推進システム30は、eVTOL10に搭載されている。eVTOL10は、電動垂直離着陸機であり、垂直方向に離着陸することが可能である。eVTOLは、electric Vertical Take-Off and Landing aircraftの略称である。eVTOL10は、大気中を飛行する航空機であり、飛行体に相当する。eVTOL10は、電動式の電動航空機でもあり、電動飛行体と称されることがある。eVTOL10は、乗員が乗る有人航空機である。推進システム30は、eVTOL10を飛行させるために駆動するシステムである。
【0016】
eVTOL10は、機体11及びプロペラ20を有している。機体11は、機体本体12及び翼13を有している。機体本体12は、機体11の胴体であり、例えば前後に延びた形状になっている。機体本体12は、乗員が乗るための乗員室を有している。翼13は、機体本体12から延びており、機体本体12に複数設けられている。翼13は固定翼である。複数の翼13には、主翼、尾翼などが含まれている。
【0017】
プロペラ20は、機体11に複数設けられている。eVTOL10は、少なくとも3つのプロペラ20を有するマルチコプタである。例えばプロペラ20は、機体11に少なくとも4つ設けられている。プロペラ20は、機体本体12及び翼13のそれぞれに設けられている。プロペラ20は、プロペラ軸線を中心に回転する。プロペラ軸線は、例えばプロペラ20の中心線である。プロペラ20は、eVTOL10に推力や揚力を生じさせることが可能である。また、プロペラ20は、ロータや回転翼と称されることがある。
【0018】
プロペラ20は、ブレード21及びボス22を有している。ブレード21は、プロペラ軸線の周方向に複数並べられている。ボス22は、複数のブレード21を連結している。ブレード21は、ボス22からプロペラ軸線の径方向に延びている。プロペラ20は、図示しないプロペラシャフトを有している。プロペラシャフトは、プロペラ20の回転軸であり、ボス22からプロペラ軸線に沿って延びている。
【0019】
eVTOL10は、チルトロータ機である。eVTOL10においては、プロペラ20のチルト角を調整可能になっている。なお、eVTOL10は、チルトロータ機でなくてもよい。例えば、eVTOL10は、リフト用のプロペラ20とクルーズ用のプロペラ20とのそれぞれを有していてもよい。
【0020】
eVTOL10は、バッテリ31、分配器32、飛行制御装置40及びEPU50を有している。バッテリ31、分配器32、飛行制御装置40及びEPU50は、推進システム30に含まれている。バッテリ31は、複数のEPU50に通電可能に接続されている。バッテリ31は、EPU50に電力を供給する電力供給部であり、電源部に相当する。バッテリ31は、EPU50に直流電圧を印加する直流電圧源である。バッテリ31は、充放電可能な2次電池を有している。バッテリ31は、飛行制御装置40にも電力を供給する。なお、電源部としては、バッテリ31に加えて又は代えて、燃料電池や発電機などが用いられてもよい。
【0021】
分配器32は、バッテリ31及び複数のEPU50に電気的に接続されている。分配器32は、バッテリ31からの電力を複数のEPU50に分配する。分配器32がEPU50に分配する電力は、EPU50を駆動させるための駆動電力である。
【0022】
飛行制御装置40は、推進システム30を制御する。飛行制御装置40は、eVTOL10を飛行させるための飛行制御を行う。飛行制御装置40は、複数のEPU50に通信可能に接続されている。飛行制御装置40は、複数のEPU50を個別に制御する。飛行制御装置40は、後述する制御回路160を介してEPU50の制御を行う。飛行制御装置40は、制御回路160の制御を行う。
【0023】
EPU50は、プロペラ20を駆動回転させるために駆動する装置であり、駆動装置に相当する。EPUは、Electric Propulsion Unitの略称である。EPU50は、電駆動装置や電駆動システムと称されることがある。EPU50は、複数のプロペラ20のそれぞれに対して個別に設けられている。EPU50は、プロペラ軸線に沿ってプロペラ20に並べられている。複数のEPU50はいずれも、機体11に固定されている。EPU50は、プロペラ20を回転可能に支持している。EPU50は、プロペラ20に接続されている。プロペラ20は、EPU50を介して機体11に固定されている。プロペラ20のチルト角が変更される場合、EPU50の角度も変更される。
【0024】
eVTOL10は、推進装置15を有している。推進装置15は、eVTOL10を推進させるための装置である。eVTOL10は、推進装置15による推進によりリフト等の飛行が可能になる。推進装置15は、プロペラ20及びEPU50を有している。推進装置15では、EPU50の駆動に伴ってプロペラ20が回転する。プロペラ20は回転体に相当する。eVTOL10は、プロペラ20の回転により飛行する。すなわち、eVTOL10は、プロペラ20の回転により移動する。eVTOL10は、移動体に相当する。
【0025】
図1図2に示すように、EPU50は、モータ装置60及びインバータ装置80を有している。モータ装置60はモータ61を有している。モータ装置60が回転電機に相当する。インバータ装置80はインバータ81を有している。モータ61は、インバータ81を介してバッテリ31に通電可能に接続されている。モータ61は、インバータ81を介してバッテリ31から供給される電力に応じて駆動する。
【0026】
モータ61は、複数相の交流モータである。モータ61は、例えば3相交流方式のモータであり、U相、V相、W相を有している。モータ61は、移動体が移動するための移動駆動源であり、電動機として機能する。モータ61としては、例えばブラシレスモータが用いられている。モータ61は、回生時に発電機として機能する。モータ61は、複数相のコイル64を有している。コイル64は、巻線であり、電機子を形成している。コイル64は、U相、V相、W相のそれぞれに設けられている。モータ61では、複数相のコイル64が中性点65にて互いに接続されている。
【0027】
図2において、インバータ81は、モータ61に供給する電力を変換することでモータ61を駆動する。インバータ81は、モータ61に供給される電力を直流から交流に変換する。インバータ81は、電力を変換する電力変換部である。インバータ81は、複数相の電力変換部であり、複数相のそれぞれについて電力変換を行う。インバータ81は、例えば3相インバータであり、U相、V相、W相のそれぞれについて電力変換を行う。インバータ装置80は、電力変換装置と称されることがある。
【0028】
インバータ装置80は、Pライン141、Nライン142を有している。Pライン141及びNライン142は、バッテリ31とインバータ81とを電気的に接続している。Pライン141は、バッテリ31の正極に電気的に接続されている。Nライン142は、バッテリ31の負極に電気的に接続されている。バッテリ31においては、正極が高電位側の電極であり、負極が低電位側の電極である。Pライン141及びNライン142は、電力を供給するための電力ラインである。Pライン141は、高電位側の電力ラインであり、高電位ラインと称されることがある。Nライン142は、低電位側の電力ラインであり、低電位ラインと称されることがある。
【0029】
EPU50は、出力ライン143を有している。出力ライン143は、モータ61に電力を供給するための電力ラインである。出力ライン143は、モータ61とインバータ81とを電気的に接続している。出力ライン143は、モータ装置60とインバータ装置80とにかけ渡された状態になっている。
【0030】
インバータ装置80は、平滑コンデンサ145を有している。平滑コンデンサ145は、バッテリ31から供給される直流電圧を平滑化するコンデンサである。平滑コンデンサ145は、バッテリ31とインバータ81との間において、Pライン141とNライン142とに接続されている。平滑コンデンサ145は、インバータ81に対して並列に接続されている。
【0031】
インバータ81は、電力変換回路であり、例えばDC-AC変換回路である。インバータ81は、複数相分の上下アーム回路85を有している。例えば、インバータ81は、U相、V相、W相のそれぞれについて上下アーム回路85を有している。上下アーム回路85は、上アーム85aと、下アーム85bを有している。上アーム85a及び下アーム85bは、バッテリ31に対して直列に接続されている。上アーム85aはPライン141に接続され、下アーム85bはNライン142に接続されている。
【0032】
出力ライン143は、複数相分のそれぞれについて上下アーム回路85に接続されている。出力ライン143は、上アーム85aと下アーム85bとの間に接続されている。出力ライン143は、複数相のそれぞれにおいて、上下アーム回路85とコイル64とを接続している。出力ライン143は、コイル64において中性点65とは反対側に接続されている。
【0033】
上アーム85a及び下アーム85bは、アームスイッチ86及びダイオード87を有している。アームスイッチ86は、例えばMOSFET等のトランジスタである。MOSFETは、Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistorの略称である。アームスイッチ86は、スイッチ素子であり、スイッチングにより電力を変換することが可能である。スイッチ素子は、パワー素子等の半導体素子であればよい。アームスイッチ86は、電力を変換するための変換スイッチである。
【0034】
EPU50は、制御回路160を有している。制御回路160は、インバータ装置80に含まれている。制御回路160は、インバータ81の駆動を制御する。制御回路160は、インバータ81を介してモータ61の駆動を制御する。制御回路160は、モータ制御部と称されることがある。図2では、制御回路160をCDと図示している。
【0035】
図3に示すように、EPU50では、モータ装置60とインバータ装置80とがモータ軸線Cmに沿って軸方向ADに並べられている。モータ装置60は、軸方向ADにおいてプロペラ20とインバータ装置80との間に設けられている。モータ軸線Cmは、モータ61の中心線であり、直線状に延びる仮想線である。モータ軸線Cmが回転軸線に相当する。軸方向ADは、モータ軸線Cmが延びた方向である。
【0036】
モータ軸線Cmについては、軸方向ADと周方向CDと径方向RDとが互いに直交している。周方向CDは、モータ61の回転方向である。径方向RDについては、外側が径方向外側や外周側と称され、内側が径方向内側や内周側と称されることがある。軸方向ADは、アキシャル方向と称されることがある。
【0037】
EPU50は、モータハウジング70及びインバータハウジング90を有している。モータハウジング70は、モータ装置60に含まれている。モータハウジング70は、モータ61を収容している。インバータハウジング90は、インバータ装置80に含まれている。インバータハウジング90は、インバータ81を収容している。モータハウジング70とインバータハウジング90とは、互いに接続されている。
【0038】
図4に示すように、モータハウジング70は、モータ外周壁71、リアフレーム370及びドライブフレーム390を有している。モータ外周壁71及びフレーム370,390は、金属材料等により形成されており、熱伝導性を有している。モータ外周壁71は、筒状に形成されており、軸方向ADに延びている。フレーム370,390は、板状に形成されており、軸方向ADに直交する方向に延びている。リアフレーム370とドライブフレーム390とは、モータ外周壁71を介して軸方向ADに並べられている。フレーム370,390は、ボルト等の固定具によりモータ外周壁71に固定されている。なお、図4には、モータ装置60をモータ軸線Cmに沿って切断した縦断面が図示されている。
【0039】
モータハウジング70は、モータハウジング外周面70a及びモータハウジング内周面70bを有している。モータハウジング外周面70aは、モータハウジング70の外周面であり、モータハウジング70の外面に含まれている。モータハウジング内周面70bは、モータハウジング70の内周面であり、モータハウジング70の内面に含まれている。モータハウジング外周面70a及びモータハウジング内周面70bは、モータ外周壁71により形成されている。
【0040】
リアフレーム370は、モータ外周壁71の内側空間をインバータ装置80側から覆っている。リアフレーム370は、モータ外周壁71を介してプロペラ20とは反対側に設けられている。ドライブフレーム390は、モータ外周壁71の内側空間をインバータ装置80とは反対側から覆っている。ドライブフレーム390は、モータ外周壁71のプロペラ20側に設けられている。
【0041】
モータハウジング70は、モータフィン72を有している。モータフィン72は、モータハウジング70の外面に設けられている。例えば、モータフィン72は、モータハウジング外周面70aに設けられている。モータフィン72は、モータ外周壁71から外周側に向けて突出している。モータフィン72は、周方向CDに直交する方向に延びている。モータフィン72は、周方向CDに複数並べられている。モータフィン72は、モータ装置60の熱を外部に放出する放熱フィンである。
【0042】
モータ61は、ステータ200、第1ロータ300a、第2ロータ300b及びシャフト340を有している。ステータ200は固定子である。ステータ200は、コイル64を有している。ロータ300a,300bは回転子である。ロータ300a,300bは、ステータ200に対して相対的に回転する。ロータ300a,300bは、モータ軸線Cmを中心に回転する。モータ軸線Cmは、ロータ300a,300bの中心線である。ステータ200は、周方向CDに環状に延びている。モータ軸線Cmは、ステータ200の中心線に一致している。
【0043】
モータ装置60は、アキシャルギャップ式の回転電機である。モータ61は、アキシャルギャップ式のモータである。モータ61では、ステータ200とロータ300a,300bとがモータ軸線Cmに沿って軸方向ADに並べられている。モータ装置60は、ダブルロータ式の回転電機である。モータ61は、ダブルロータ式のモータである。第1ロータ300aと第2ロータ300bとは、ステータ200を介して軸方向ADに並べられている。ステータ200は、第1ロータ300a及び第2ロータ300bという2つのロータの間に設けられている。本実施形態のモータ61は、ダブルアキシャルモータと称されることがある。
【0044】
シャフト340は、ロータ300a,300bを支持している。シャフト340は、ロータ300a,300bと共にモータ軸線Cmを中心に回転する。シャフト340の中心線は、モータ軸線Cmに一致している。シャフト340は、ロータ300a,300bとプロペラ20とを接続している。
【0045】
ロータ300a,300bは、磁石部310,410及び磁石ホルダ320,420を有している。磁石部310,410は、ロータ300a,300bのそれぞれにおいて周方向CDに複数並べられている。磁石部310,410は、永久磁石を含んで構成されており、界磁を形成している。ロータ300a,300bでは、磁石部310,410が磁束を発生させる。第1ロータ300aの磁石部310,410と第2ロータ300bの磁石部310,410とは、ステータ200を介して軸方向ADに並べられている。磁石ホルダ320,420は、磁石部310,410を支持している。磁石ホルダ320,420は、ロータ300a,300bの外周端及び内周端を形成している。
【0046】
ステータ200は、コイルユニット210を有している。コイルユニット210は、周方向CDに環状に延びている。コイルユニット210は、コイル64を形成している。コイルユニット210は、コイル部211及びステータコア231を有している。コイル部211は、平角線等の電線により形成されており、通電可能である。コイル部211は、ステータコア231に巻回されている。コイル部211は、全体として筒状に形成されており、軸方向ADに延びている。ステータコア231は、鉄心であり、軸方向ADに延びている。コイル部211及びステータコア231は、モータハウジング内周面70bに沿って周方向CDに複数並べられている。コイルユニット210では、複数のコイル部211によりコイル64が形成されている。
【0047】
モータ61は、第1アキシャルギャップ305a及び第2アキシャルギャップ305bを有している。アキシャルギャップ305a,305bは、ステータ200とロータ300a,300bとの隙間である。アキシャルギャップ305a,305bには、磁石部310,410とステータコア231との隙間が含まれている。アキシャルギャップ305a,305bは、ステータ200とロータ300a,300bとの間において、軸方向ADに直交する方向に延びている。第1アキシャルギャップ305aは、ステータ200と第1ロータ300aとの隙間である。第2アキシャルギャップ305bは、ステータ200と第2ロータ300bとの隙間である。
【0048】
モータ装置60は、リアベアリング350及びドライブベアリング360を有している。ベアリング350,360は、シャフト340を回転可能に支持している。ベアリング350,360は、周方向CDに環状に延びている。リアベアリング350とドライブベアリング360とは、ロータ300a,300bを介して軸方向ADに並べられている。ベアリング350,360は、モータハウジング70に固定されている。リアベアリング350は、リアフレーム370に固定されている。ドライブベアリング360は、ドライブフレーム390に固定されている。
【0049】
磁石ホルダ320,420は、樹脂材料等により形成されている。例えば、磁石ホルダ320,420は、CFRP等により形成されている。CFRPは、炭素繊維強化プラスチックである。シャフト340は、チタン等の金属材料により形成されている。磁石ホルダ320,420の密度は、シャフト340の密度よりも小さい。密度は、単位体積当たりの質量である。単位体積当たりの質量としては、磁石ホルダ320,420がシャフト340よりも軽い。磁石ホルダ320,420を形成する材料の密度が、シャフト340を形成する材料の密度よりも小さい。
【0050】
図5図7において、第1ロータ300aは、第1磁石部310及び第1磁石ホルダ320を有している。第1磁石ホルダ320は、シャフト340に固定された状態で第1磁石部310を支持している。第1磁石ホルダ320は、第1支持部に相当する。第1磁石ホルダ320は、第1ホルダ対向部321、第1ホルダ固定部322及び第1ホルダ介在部323を有している。
【0051】
図6図7において、第2ロータ300bは、第2磁石部410及び第2磁石ホルダ420を有している。第2磁石ホルダ420は、シャフト340に固定された状態で第2磁石部410を支持している。第2磁石ホルダ420は、第2支持部に相当する。第2磁石ホルダ420は、第2ホルダ対向部421、第2ホルダ固定部422及び第2ホルダ介在部423を有している。
【0052】
図5図6に示すように、ホルダ対向部321,421、ホルダ固定部322,422及びホルダ介在部323,423は、周方向CDに環状に延びている。ホルダ対向部321,421は、磁石ホルダ320,420の外周端を形成しており、第1磁石ホルダ320の外周部分である。ホルダ固定部322,422は、磁石ホルダ320,420の内周端を形成しており、磁石ホルダ320,420の内周部分である。ホルダ介在部323,423は、径方向RDにおいて磁石ホルダ320,420の外周端と内周端との間に設けられており、磁石ホルダ320,420の中間部分である。
【0053】
図7図8に示すように、ホルダ対向部321,421は、アキシャルギャップ305a,305bを介してステータ200に対向している。第1ホルダ対向部321は、第1ホルダ対向面321aを有している。第2ホルダ対向部421は、第2ホルダ対向面421aを有している。ホルダ対向面321a,421aは、ホルダ対向部321,421の外面に含まれている。ホルダ対向面321a,421aは、アキシャルギャップ305a,305bを介してステータ200に対向している。ホルダ対向面321a,421aの少なくとも一部が、アキシャルギャップ305a,305bを形成している。ホルダ対向面321a,421aは、アキシャルギャップ305a,305bよりも径方向外側及び径方向内側の少なくとも一方に延びている。アキシャルギャップ305a,305bは軸隙間に相当する。
【0054】
ホルダ対向部321,421は、第1磁石部310を支持している。第1磁石ホルダ320では、第1磁石部310の少なくとも一部がホルダ対向部321,421に埋め込まれている。第1磁石部310は、ホルダ対向部321,421の内部においてホルダ対向面321a,421aに沿って延びている。第1磁石部310は、ホルダ対向面321a,421aに沿って周方向CDに複数並べられている。なお、第1磁石部310は、ホルダ対向面321a,421aからアキシャルギャップ305a,305b側に露出していてもよい。この構成では、ホルダ対向部321,421及び第1磁石部310の少なくとも一方がアキシャルギャップ305a,305bを形成している。
【0055】
ホルダ固定部322,422は、シャフト340に固定されている。第1ホルダ固定部322は第1固定部に相当し、第2ホルダ固定部422は第2固定部に相当する。シャフト340は、ロータ軸部に相当する。
【0056】
シャフト340は、シャフト本体341及びシャフトフランジ342を有している。シャフト本体341は、モータ軸線Cmに沿って軸方向ADに延びている。シャフト本体341は、筒状に形成されている。シャフト本体341は、モータ軸線Cmを中心に回転する。シャフト本体341は、回転軸部に相当する。
【0057】
シャフトフランジ342は、シャフト本体341の外周面に設けられた凸部である。シャフトフランジ342は、シャフト本体341から径方向外側に向けて延びている。シャフトフランジ342は、シャフト本体341の外周面に沿って周方向CDに環状に延びている。シャフトフランジ342には、ホルダ固定部322,422が固定されている。シャフトフランジ342は、軸フランジに相当する。
【0058】
ホルダ固定部322,422は、シャフトフランジ342から径方向外側に向けて延びている。ホルダ固定部322,422は、ホルダ対向部321,421から軸方向AD及び周方向CDの少なくとも一方に離れた位置に設けられている。例えば、ホルダ固定部322,422は、軸方向ADにおいてホルダ対向部321,421からコイル部211側に離れた位置に設けられている。ホルダ固定部322,422は、コイル部211に径方向RDに並べられている。ホルダ固定部322,422は、コイル部211から径方向内側に離れた位置にある。
【0059】
ホルダ介在部323,423は、軸方向AD及び周方向CDの少なくとも一方においてホルダ対向部321,421とホルダ固定部322,422との間に設けられている。ホルダ介在部323,423は、ホルダ対向部321,421とホルダ固定部322,422とにかけ渡された状態で、ホルダ対向部321,421とホルダ固定部322,422とを接続している。ホルダ介在部323,423は、ホルダ固定部322,422に固定された状態でホルダ対向部321,421及び第1磁石部310を支持している。例えば、ホルダ介在部323,423は、ロータ300a,300bに付与される荷重を支持している。ホルダ介在部323,423は、アキシャルギャップ305a,305bの径方向内側に設けられている。ホルダ介在部323,423は、アキシャルギャップ305a,305bに径方向RDに並べられている。
【0060】
本実施形態では、ホルダ介在部323,423は、軸方向AD及び径方向RDの両方においてホルダ対向部321,421に並べられている。ホルダ介在部323,423は、軸方向ADにおいてホルダ対向面321a,421aよりもフレーム370,390側に向けて延びている。ホルダ介在部323,423は、軸方向AD及び径方向RDのうち径方向RDにおいてホルダ固定部322,422に並べられている。
【0061】
図5図6図7に示すように、第1磁石ホルダ320は、第1ホルダ通気孔327を有している。第2磁石ホルダ420は、第2ホルダ通気孔427を有している。ホルダ通気孔327,427は、周方向CDに直交する方向に磁石ホルダ320,420を貫通している。ホルダ通気孔327,427は、径方向RDにおいてアキシャルギャップ305a,305bとシャフト本体341との間に設けられている。ホルダ通気孔327,427は、周方向CDに複数並べられている。ホルダ通気孔327,427は、ホルダ介在部323,423に設けられている。
【0062】
第1ホルダ介在部323は、第1介在仕切部325を有している。第2ホルダ介在部423は、第2介在仕切部425を有している。介在仕切部325,425は、軸方向AD及び周方向CDの少なくとも一方においてホルダ対向部321,421とホルダ固定部322,422との間に設けられている。介在仕切部325,425は、ホルダ対向部321,421とホルダ固定部322,422とにかけ渡された状態で、ホルダ対向部321,421とホルダ固定部322,422とを接続している。介在仕切部325,425は、ホルダ固定部322,422に固定された状態でホルダ対向部321,421及び第1磁石部310を支持している。介在仕切部325,425は、径方向RDにおいてアキシャルギャップ305a,305bとシャフト本体341との間に設けられている。
【0063】
本実施形態では、介在仕切部325,425は、軸方向AD及び径方向RDの両方においてホルダ対向部321,421に並べられている。介在仕切部325,425は、ホルダ対向面321a,421aよりもフレーム370,390側に向けて延びている。介在仕切部325,425は、軸方向AD及び径方向RDのうち径方向RDにおいてホルダ固定部322,422に並べられている。
【0064】
図5図6に示すように、介在仕切部325,425は、周方向CDに複数並べられている。ホルダ介在部323,423では、周方向CDに隣り合う2つの介在仕切部325,425の間の部分がホルダ通気孔327,427になっている。介在仕切部325,425は、ホルダ対向部321,421とホルダ固定部322,422との間の空間を周方向CDに仕切った状態になっている。介在仕切部325,425は、第1磁石ホルダ320においてホルダ通気孔327,427を形成する孔形成部に含まれている。介在仕切部325,425は、ホルダ通気孔327,427に周方向CDに並べられている。
【0065】
ホルダ対向部321,421及びホルダ固定部322,422は、複数の介在仕切部325,425にかけ渡されるように周方向CDに延びている。ホルダ対向部321,421及びホルダ固定部322,422は、周方向CDに隣り合う2つの介在仕切部325,425を連結している。
【0066】
第1ホルダ介在部323は、第1仕切連結部326を有している。第2ホルダ介在部423は、第2仕切連結部426を有している。仕切連結部326,426は、周方向CDに隣り合う2つの介在仕切部325,425を連結している。仕切連結部326,426は、周方向CDに複数並べられている。仕切連結部326,426は、板状に形成されており、軸方向ADに直交する方向に延びている。介在仕切部325,425と仕切連結部326,426とは、周方向CDに交互に並べられている。仕切連結部326,426は、軸方向ADにおいてホルダ通気孔327,427を介してホルダ対向部321,421とは反対側に設けられている。仕切連結部326,426は、径方向RDにおいてホルダ固定部322,422とコイル部211との間に設けられている。
【0067】
図5図6図8に示すように、介在仕切部325,425は、筒状に形成されており、筒状部に相当する。介在仕切部325,425は、軸方向ADに延びている。例えば、介在仕切部325,425は、矩形筒状に形成されている。介在仕切部325,425は、中空になっている。第1介在仕切部325は、内部空間として第1介在空間328を有している。第2介在仕切部425は、内部空間として第2介在空間428を有している。
【0068】
第1介在仕切部325は、第1仕切リブ325a、第1外周リブ325b及び第1内周リブ325cを有している。第2介在仕切部425は、第2仕切リブ425a、第2外周リブ425b及び第2内周リブ425cを有している。リブ325a~325c,425a~425cは、板状に形成されている。
【0069】
仕切リブ325a,425aは、周方向CDに直交する方向に延びている。仕切リブ325a,425aは、介在仕切部325,425に一対含まれている。一対の仕切リブ325a,425aは、外周リブ325b,425b及び内周リブ325c,425cを介して周方向CDに並べられている。介在仕切部325,425では、一対の仕切リブ325a,425aの間の領域が介在仕切部325,425の内部である。
【0070】
外周リブ325b,425b及び内周リブ325c,425cは、径方向RDに直交する方向に延びている。外周リブ325b,425bと内周リブ325c,425cとは、仕切リブ325a,425aを介して径方向RDに並べられている。外周リブ325b,425bは、仕切リブ325a,425aを介して内周リブ325c,425cの外周側に設けられている。外周リブ325b,425b及び内周リブ325c,425cは、一対の仕切リブ325a,425aにかけ渡されている。外周リブ325b,425bは、介在仕切部325,425の内部を径方向外側から塞いだ状態になっている。内周リブ325c,425cは、介在仕切部325,425の内部を径方向内側から塞いだ状態になっている。
【0071】
周方向CDに隣り合う2つの仕切リブ325a,425aは、リブ325b,425b,325c,425c又は仕切連結部326,426により接続されている。リブ325b,425b,325c,425cと仕切連結部326,426とは、周方向CDに交互に並べられている。
【0072】
介在空間328,428は、介在仕切部325,425において一対の仕切リブ325a,425aの間に形成されている。介在空間328,428は、仕切リブ325a,425a、外周リブ325b,425b及び内周リブ325c,425cにより囲まれた空間である。第1介在空間328と第2介在空間428とは、軸方向ADに並べられている。第1介在空間328と第2介在空間428とは、互いに連通されている。第1介在空間328及び第2介在空間428は、1つの空間として、リブ325a~325c,425a~425cにより囲まれた閉鎖空間になっている。介在空間328,428は、介在仕切部325,425と共に周方向CDに複数並べられている。介在空間328,428とホルダ通気孔327,427とは、周方向CDに交互に並べられている。
【0073】
図7図8に示すように、モータ61では、第1磁石ホルダ320の一部と第2磁石ホルダ420の一部とが軸方向ADに重ねられている。磁石ホルダ320,420では、第1ホルダ固定部322と第2ホルダ固定部422とが重ねられている。ホルダ固定部322,422では、第1ホルダ固定面322aと第2ホルダ固定面422aとが重ねられている。第1ホルダ固定面322aと第2ホルダ固定面422aとは、互いに対向しており、それぞれの少なくとも一部が互いに当接している。ホルダ固定面322a,422aは、当接部や当接面と称されることがある。第1ホルダ固定面322aは、第1ホルダ固定部322の外面に含まれている。第2ホルダ固定面422aは、第2ホルダ固定部422の外面に含まれている。ホルダ固定面322a,422aは、軸方向ADに直交する方向に延びている。ホルダ固定面322a,422aは、周方向CDに環状に延びている。
【0074】
磁石ホルダ320,420では、第1ホルダ介在部323と第2ホルダ介在部423とが重ねられている。ホルダ介在部323,423では、第1ホルダ介在面323aと第2ホルダ介在面423aとが重ねられている。第1ホルダ介在面323aと第2ホルダ介在面423aとは、互いに対向しており、それぞれの少なくとも一部が互いに当接している。ホルダ介在面323a、423aは、当接部や当接面と称されることがある。第1ホルダ介在面323aは、第1ホルダ介在部323の外面に含まれている。第2ホルダ介在面423aは、第2ホルダ介在部423の外面に含まれている。ホルダ介在面323a,423aは、軸方向ADに直交する方向に延びている。ホルダ介在面323a,423aは、周方向CDに環状に延びている。
【0075】
ホルダ介在面323a,423aは、介在仕切部325,425及び仕切連結部326,426の少なくとも一方により形成されている。例えば、ホルダ介在面323a、423aには、仕切連結部326,426の板面が含まれている。ホルダ固定面322a,422aは、介在仕切部325,425と仕切連結部326,426とにかけ渡されるように周方向CDに延びている。
【0076】
モータ装置60は、ホルダ重複部301を有している。ホルダ重複部301は、モータ61に含まれている。ホルダ重複部301は、第1磁石ホルダ320と第2磁石ホルダ420とが重ねられた部位である。ホルダ重複部301には、第1ホルダ固定面322aと第2ホルダ固定面422aとが重ねられた部位が含まれている。ホルダ重複部301には、第1ホルダ介在面323aと第2ホルダ介在面423aとが重ねられた部位が含まれている。ホルダ重複部301は、支持重ね部に相当する。
【0077】
ホルダ重複部301は、軸方向ADに直交する方向に延びている。ホルダ重複部301は、全体として周方向CDに環状に延びている。ホルダ重複部301は、重複外周端301a及び重複内周端301bを有している。重複外周端301aは、ホルダ重複部301の外周端であり、周方向CDに環状に延びている。重複内周端301bは、ホルダ重複部301の内周端であり、周方向CDに環状に延びている。ホルダ重複部301の少なくとも一部は、シャフト本体341からコイル部211側に離れた位置にある。また、ホルダ重複部301の少なくとも一部は、シャフトフランジ342からコイル部211側に離れた位置にある。例えば、重複外周端301aは、シャフト本体341及びシャフトフランジ342のいずれからもコイル部211側に離れた位置にある。
【0078】
重複外周端301aは、径方向RDにおいてシャフト本体341よりも磁石部310,410に近い位置に設けられている。径方向RDでは、重複外周端301aと磁石部310,410との距離D2が、重複外周端301aとシャフト本体341との距離D1よりも小さい。
【0079】
第1ホルダ固定面322aと第1ホルダ介在面323aとは、径方向RDに連続的に延びた第1対向面を形成している。この第1対向面は、重複外周端301aとシャフトフランジ342とにかけ渡されるように径方向RDに延びている。この第1対向面は、第2磁石ホルダ420に対向している。第1ホルダ固定面322aと第1ホルダ介在面323aとは、面一に設けられており、同一平面を形成している。
【0080】
第2ホルダ固定面422aと第2ホルダ介在面423aとは、径方向RDに連続的に延びた第2対向面を形成している。この第2対向面は、重複外周端301aとシャフトフランジ342とにかけ渡されるように径方向RDに延びている。この第2対向面は、第1磁石ホルダ320に対向している。第2ホルダ固定面422aと第2ホルダ介在面423aとは、面一に設けられており、同一平面を形成している。
【0081】
ホルダ固定部322,422は、シャフトフランジ342に固定されている。ホルダ固定部322,422は、シャフトフランジ342に軸方向ADに並べられている。ホルダ固定部322,422は、互いに重ねられた状態で、軸方向ADの一方側からシャフトフランジ342に重ねられている。第1磁石ホルダ320と第2磁石ホルダ420とは、第1ホルダ固定部322と第2ホルダ固定部422とを互いに突き合せた状態になっている。第2ホルダ固定部422は、第1ホルダ固定部322とシャフトフランジ342との間に挟み込まれている。第1ホルダ固定部322は、第1固定部に相当する。第2ホルダ固定部422は、第2固定部に相当する。
【0082】
ホルダ重複部301の一部は、シャフトフランジ342に軸方向ADに並べられている。例えば、重複内周端301bがシャフトフランジ342に軸方向ADに並べられている。ホルダ固定部322,422では、ホルダ重複部301を形成する部位の一部が、シャフトフランジ342に重ねられている。ホルダ重複部301は、径方向RDにおいてシャフトフランジ342よりも長い。径方向RDでは、ホルダ重複部301の長さ寸法D3がシャフトフランジ342の長さ寸法D4よりも長い。長さ寸法D3は、重複外周端301aと重複外周端301aとの距離である。長さ寸法D4は、シャフト本体341からのシャフトフランジ342の突出寸法である。
【0083】
図9に示すように、ホルダ固定部322,422は、ホルダ固定具302、第1カラー部331、第1スペーサ332、第2カラー部431及び第2スペーサ432を用いてシャフトフランジ342に固定されている。ホルダ固定具302、カラー部331,431及びスペーサ332,432は、モータ装置60に含まれている。ホルダ固定具302は、ボルト等の固定具である。
【0084】
スペーサ332,432は、金属材料等により環状に形成されている。スペーサ332,432は、軸方向ADに直交する方向に板状に延びている。スペーサ332,432の強度や剛性は、ホルダ固定部322,422の強度や剛性よりも高い。スペーサ332,432は、第1ホルダ固定部322と第2ホルダ固定部422との間に設けられている。第1スペーサ332は、第1ホルダ固定面322aの少なくとも一部に重ねられている。第2スペーサ432は、第2ホルダ固定面422aの少なくとも一部に重ねられている。第1ホルダ固定面322aと第2ホルダ固定面422aとは、スペーサ332,432を介して重ねられている。
【0085】
カラー部331,431は、フランジ付きのカラー部材であり、金属材料等により環状に形成されている。カラー部331,431の強度や剛性は、ホルダ固定部322,422の強度や剛性よりも高い。第1ホルダ固定部322には、第1ホルダ固定孔322bが設けられている。第2ホルダ固定部422には、第2ホルダ固定孔422bが設けられている。ホルダ固定孔322b,422bは、ホルダ固定部322,422を軸方向ADに貫通している。カラー部331,431は、ホルダ固定孔322b,422bに入り込んだ状態になっている。
【0086】
ホルダ固定具302は、カラー部331,431、スペーサ332,432及びホルダ固定部322,422を貫通した状態でシャフトフランジ342に締結されている。ホルダ固定部322,422とシャフトフランジ342との固定部分では、ホルダ固定部322,422がカラー部331,431のフランジとスペーサ332,432とに挟み込まれた状態になっている。ホルダ固定具302は、ホルダ固定具302による軸力がホルダ固定部322,422に直接的にかからない状態で、ホルダ固定部322,422をシャフトフランジ342に固定している。
【0087】
例えば、第1カラー部331は、軸方向ADにおいて第2ホルダ固定部422とは反対側から、第1ホルダ固定部322及び第1スペーサ332の両方に引っ掛かった状態になっている。第2カラー部431は、軸方向ADにおいて第1ホルダ固定部322とは反対側から、第2ホルダ固定部422及び第2スペーサ432の両方に引っ掛かった状態になっている。この構成では、ホルダ固定具302による軸力がホルダ固定部322,422に直接的に付与されることで、樹脂のクリープ等によりホルダ固定部322,422が変形してホルダ固定具302の締め付けが緩む、ということが生じにくい。
【0088】
図7に示すように、モータ61では、吸引力F1a,F2aが生じる。吸引力F1a,F2aは、軸方向ADにおいて磁石部310,410をコイル部211側に吸引する力である。吸引力F1a,F2aは、磁石部310,410の磁力等により生じる。吸引力F1a,F2aが生じると、磁石部310,410がコイル部211に近づく向きにロータ300a,300bが反るように変形することが懸念される。
【0089】
これに対して、本実施形態では、第1磁石ホルダ320と第2磁石ホルダ420とがホルダ重複部301にて重ねられている。このため、吸引力F1a,Fabの発生に伴って磁石ホルダ320,420に付与される応力F1b,F2bが、ホルダ重複部301にて相殺されやすい。
【0090】
例えば、第1ロータ300aでは、吸引力F1aの発生に伴って応力F1bが生じる。応力F1bは、第1ホルダ固定部322や第1ホルダ介在部323を第2ロータ300b側に近づける向きに生じる。第2ロータ300bでは、吸引力F2aの発生に伴って応力F2bが生じる。応力F2bは、第2ホルダ固定部422や第2ホルダ介在部423を第1ロータ300a側に近づける向きに生じる。第1ロータ300aでの応力F1bと、第2ロータ300bでの応力F2bとは、軸方向ADにおいて互いに逆向きに生じる。このため、第1ホルダ介在部323と第2ホルダ介在部423とが互いに押し合い、且つ第1ホルダ固定部322と第2ホルダ固定部422とが互いに押し合うことで、応力F1b、F2bが打ち消し合う状態になる。
【0091】
しかも、本実施形態では、径方向RDにおいてホルダ重複部301が磁石部310,410に極力近い位置に設けられている。このため、ロータ300a,300bでは、ホルダ重複部301と磁石部310,410との間の部位が径方向RDに極力短くなっている。例えば、ロータ300a,300bにおいて磁石部310,410を力点とし、ホルダ重複部301を支点とすると、力点と支点との距離が極力短くなっている。このため、磁石ホルダ320,420では、吸引力F1a,F2aが発生しても、ホルダ重複部301と磁石部310,410との間の部位が変形するということが生じにくい。
【0092】
次に、モータ装置60の製造方法について説明する。モータ装置60の製造する工程には、モータ61を製造する工程が含まれている。作業者は、準備工程として、シャフト340やロータ300a,300b、ステータ200、モータハウジング70などを準備する。作業者は、準備工程の後、組み付け工程を行う。組み付け工程では、作業者が、シャフト340にロータ300a,300bを組み付ける。
【0093】
図10に示すように、作業者は、シャフト340に第2ロータ300bを組み付ける。作業者は、シャフト本体341を、軸方向ADの第2ホルダ対向部421側から第2ロータ300bの内周側に差し込んでいくことで、第2ホルダ固定部422をシャフトフランジ342に重ね合わせる。その後、作業者は、図7図8に示すように、シャフト340及び第2ロータ300bに第1ロータ300aを組み付ける。作業者は、シャフト本体341を、軸方向ADの第1ホルダ固定部322側から第1ロータ300aの内周側に差し込んでいくことで、第1ホルダ固定部322を第2ホルダ固定部422に重ね合わせる。
【0094】
作業者は、ホルダ固定部322,422をシャフトフランジ342に重ね合わせた後、ホルダ固定具302などを用いてホルダ固定部322,422をシャフトフランジ342に固定する。なお、作業者は、第2ロータ300bをシャフト340に組み付けた後、第1ロータ300aと第2ロータ300bとの間にステータ200を設置しながら、第1ロータ300aを第2ロータ300b及びシャフト340を組み付ける。
【0095】
ここまで説明した本実施形態によれば、ホルダ重複部301では、第1磁石ホルダ320と第2磁石ホルダ420とが軸方向ADに重ねられている。この構成では、吸引力F1aにより第1磁石ホルダ320に生じる応力F1bと、吸引力F2aにより第2磁石ホルダ420に生じる応力F2bとが、ホルダ重複部301にて相殺されやすい。
【0096】
しかも、ホルダ重複部301の少なくとも一部がシャフト本体341からコイル部211側に離れた位置に設けられている。この構成では、径方向RDにおいてホルダ重複部301と磁石部310,410との距離を極力短くできる。このため、第1磁石ホルダ320では、吸引力F1aによりホルダ重複部301と第1磁石部310との間の部位が軸方向ADに反るように変形する、ということを抑制できる。また、第2磁石ホルダ420では、吸引力F2aによりホルダ重複部301と第2磁石部410との間の部位が軸方向ADに反るように変形する、ということを抑制できる。
【0097】
以上により、モータ装置60において、ロータ300a,300bの変形を抑制することができる。
【0098】
本実施形態によれば、重複外周端301aは、径方向RDにおいてシャフト本体341よりも磁石部310,410に近い位置に設けられている。この構成では、径方向RDにおいてホルダ重複部301と磁石部310,410との距離を極力短くした構成を実現できる。
【0099】
本実施形態によれば、ホルダ重複部301の少なくとも一部は、シャフトフランジ342からコイル部211側に離れた位置に設けられている。この構成では、径方向RDにおいて、シャフトフランジ342の長さなどに関係なく、ホルダ重複部301と磁石部310,410との距離を極力短くした構成を実現できる。
【0100】
本実施形態によれば、ホルダ重複部301の少なくとも一部は、シャフトフランジ342に軸方向ADに並ぶ位置に設けられている。この構成では、磁石ホルダ320,420において、ホルダ重複部301を形成しているホルダ固定部322,422をシャフトフランジ342に軸方向ADに重ねることができる。このため、シャフトフランジ342の径方向内側にステータ200やホルダ対向部321などが存在している構成において、ホルダ固定部322,422やホルダ重複部301をシャフトフランジ342に固定する作業を容易化できる。
【0101】
本実施形態によれば、磁石ホルダ320,420では、第1ホルダ固定面322aと第2ホルダ固定面422aとが互いに対向した状態でホルダ重複部301に含まれている。また、第1ホルダ介在面323aと第2ホルダ介在面423aとが互いに対向した状態でホルダ重複部301に含まれている。これら構成では、ホルダ重複部301がシャフトフランジ342と重複外周端301aとにかけ渡されるように連続して径方向RDに延びている。このように、ホルダ重複部301を径方向RDに極力大きくすることで、磁石ホルダ320,420において応力F1b,F2bが相殺される範囲を大きくできる。このため、応力F1b,F2bが磁石ホルダ320,420の一部に集中するなどして磁石ホルダ320,420が変形する、ということを抑制できる。
【0102】
本実施形態によれば、第1ホルダ固定部322は、軸方向ADの一方側から第2ホルダ固定部422を介してシャフトフランジ342に重ねられた状態で、第2ホルダ固定部422を介してシャフトフランジ342に固定されている。この構成では、単にホルダ固定部322,422がシャフトフランジ342に固定されることで、ホルダ重複部301が形成される。このため、ホルダ固定部322,422をシャフトフランジ342に適正に固定すること、磁石ホルダ320,420によりホルダ重複部301を適正に形成すること、の両方を実現できる。
【0103】
例えば本実施形態とは異なり、第1ホルダ固定部322と第2ホルダ固定部422との間にシャフトフランジ342が設けられ、ホルダ介在面323a,423aがホルダ重複部301に含まれる構成を想定する。この構成では、シャフトフランジ342の厚さ寸法が製造誤差等により増減すると、ホルダ固定部322,422をシャフトフランジ342に固定すること、及びホルダ重複部301を形成すること、のうち一方に不都合が生じることが懸念される。
【0104】
例えば、製造誤差等によりシャフトフランジ342の厚さ寸法が大きすぎると、ホルダ固定部322,422をシャフトフランジ342に固定した状態で、第1ホルダ介在部323と第2ホルダ介在部423との間に隙間が生じやすい。この隙間は、吸引力F1a,F2aによる磁石ホルダ320,420の変形を抑制する上で不都合である。また、シャフトフランジ342の厚さ寸法が小さすぎると、第1ホルダ介在面323aと第2ホルダ介在面423aとを重ねた状態で、ホルダ固定部322,422とシャフトフランジ342との間に隙間が生じやすい。この隙間は、ホルダ固定部322,422をシャフトフランジ342に強固に固定する上で不都合である。
【0105】
本実施形態によれば、磁石ホルダ320,420では、径方向RDにおいてシャフトフランジ342とコイル部211との間に筒状の介在仕切部325,425が設けられている。この構成では、介在仕切部325,425を中空にすることが可能である。このため、介在仕切部325,425の軽量化を図ることができ、その結果、ロータ300a,300bの軽量化を図ることができる。しかも、介在仕切部325,425が軸方向ADに延びているため、軸方向ADの一方側を向く吸引力F1a,F2aや応力F1b,F2bなどに対して介在仕切部325,425の強度や剛性が不足するということが生じにくい。したがって、ロータ300a,300bについて、軽量化及び強度確保の両方を実現できる。
【0106】
本実施形態によれば、モータ装置60は、eVTOL10を飛行させるために駆動する。この構成では、モータ装置60の駆動によりeVTOL10が飛行している状態で、ロータ300a,300bが変形するということをホルダ重複部301により抑制できる。このように、ロータ300a,300bの変形を抑制することでeVTOL10の安全性を高めることができる。
【0107】
本実施形態によれば、第1ホルダ固定部322は、軸方向ADにおいて第2ホルダ固定部422を介してシャフトフランジ342に重ねられた状態で、第2ホルダ固定部422を介してシャフトフランジ342に固定されている。この構成では、吸引力F1aにより第1磁石ホルダ320に生じる応力F1bと、吸引力F2aにより第2磁石ホルダ420に生じる応力F2bとが、第1ホルダ固定部322と第2ホルダ固定部422とが重ねられた部分で相殺されやすい。したがって、応力F1b,F2bにより磁石ホルダ320,420が変形する、ということを第1ホルダ固定部322と第2ホルダ固定部422とが重ねられた部分により抑制できる。
【0108】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、介在仕切部325,425が中空になっている。これに対して、第2実施形態では、介在仕切部325,425が中空でなくてもよい。第2実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第2本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0109】
図11に示すように、モータ装置60は、第1被収容体329及び第2被収容体429を有している。第1被収容体329は、第1ロータ300aに含まれている。第2被収容体429は、第2ロータ300bに含まれている。被収容体329,429は、介在空間328,428に収容されている。被収容体329,429は、樹脂材料や金属材料により形成されている。被収容体329,429は、重り部材や補強部材である。
【0110】
例えば、被収容体329,429が重り部材である構成では、被収容体329,429がロータ300a,300bのバランスを調整可能である。ロータ300a,300bでは、被収容体329,429の重さや形状に応じて、ロータ300a,300bのバランスが調整される。また、ロータ300a,300bでは、複数の介在空間328,428のいずれに被収容体329,429が収容されているかに応じて、ロータ300a,300bのバランスが調整される。
【0111】
被収容体329,429が補強部材である構成では、被収容体329,429により介在仕切部325,425の補強が可能である。例えば、被収容体329,429が介在空間328,428に隙間なく収容された構成とする。なお、介在仕切部325,425と被収容体329,429とが樹脂材料等により一体成形されていてもよい。
【0112】
なお、被収容体329,429は、複数の介在空間328,428の少なくとも1つに収容されていてもよい。また、被収容体329,429は、ロータ300a,300bの少なくとも一方に設けられていてもよい。
【0113】
<第3実施形態>
上記第1実施形態では、ホルダ重複部301において第1磁石ホルダ320の少なくとも一部と第2磁石ホルダ420の少なくとも一部とが当接している。これに対して、第3実施形態では、第1磁石ホルダ320と第2磁石ホルダ420とが接触していなくてもよい。第3実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第3本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0114】
図12に示すように、モータ61は、ロータシム440を有している。ロータシム440は、金属材料等により環状に形成されている。ロータシム440は、軸方向ADに直交する方向に板所に延びている。ロータシム440の強度や剛性は、ホルダ固定部322,422やホルダ介在部323,423の強度や剛性よりも高い。ロータシム440は、第1磁石ホルダ320と第2磁石ホルダ420との間に設けられている。ロータシム440は、スペーサ部材であり、軸方向ADについて第1磁石ホルダ320と第2磁石ホルダ420との位置関係を設定している。ロータシム440は、スペーサ部に相当する。
【0115】
ロータシム440は、ホルダ固定面322a,422aやホルダ介在面323a,423aと共に、ホルダ重複部301に含まれている。ロータシム440は、重複外周端301aと重複内周端301bとにかけ渡されるように径方向RDに延びている。ロータシム440は、第1ホルダ固定部322と第2ホルダ固定部422との間に挟み込まれた状態で、ホルダ固定具302等によりホルダ固定部322,422と共にシャフトフランジ342に固定されている。第1ホルダ固定部322は、第2ホルダ固定部422に加えてロータシム440を介してシャフトフランジ342に重ねられ且つ固定されている。
【0116】
ロータシム440は、第1ホルダ介在部323と第2ホルダ介在部423との間に挟み込まれた状態になっている。ホルダ固定部322,422やホルダ介在部323,423は、ロータシム440により補強された状態になっている。
【0117】
軸方向ADでは、第1ホルダ対向面321aと第2ホルダ対向面421aとの距離D12が、ステータ200高さ寸法D11よりも大きい。モータ61では、距離D12と高さ寸法D11との差に応じて、アキシャルギャップ305a,305bの大きさが設定されている。例えば、ロータ300a,300bやステータ200の製造誤差等により距離D12や高さ寸法D11が増減すると、アキシャルギャップ305a,305bの大きさが許容範囲から外れることが懸念される。これに対して、本実施形態では、距離D12や高さ寸法D11に応じてロータシム440の厚さ寸法を調整することで、アキシャルギャップ305a,305bが許容範囲から外れるということを抑制できる。
【0118】
<第4実施形態>
上記第1実施形態では、ホルダ重複部301の一部がシャフトフランジ342に軸方向ADに並ぶ位置に設けられている。これに対して、第3実施形態では、ホルダ重複部301がシャフトフランジ342から径方向外側に離れた位置に設けられている。第3実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第3本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0119】
図13に示すように、シャフト340は、第1シャフトフランジ342a及び第2シャフトフランジ342bを有している。シャフトフランジ342a,342bは、シャフト本体341の外周面に設けられた凸部である。シャフトフランジ342a,342bは、シャフト本体341から径方向外側に向けて延びている。シャフトフランジ342a,342bは、シャフト本体341の外周面に沿って周方向CDに環状に延びている。シャフトフランジ342a,342bには、ホルダ固定部322,422が固定されている。シャフトフランジ342a,342bは、軸フランジに相当する。
【0120】
第1シャフトフランジ342aと第2シャフトフランジ342bとは、ホルダ固定部322,422を介して軸方向ADに離れた位置に設けられている。第1シャフトフランジ342aは、径方向RDにおいてホルダ重複部301から第1磁石部310側に離れた位置にある。第2シャフトフランジ342bは、径方向RDにおいてホルダ重複部301から第2磁石部410側に離れた位置にある。
【0121】
ホルダ固定部322,422は、ホルダ重複部301を形成していない。ホルダ固定面322a,422aは、ホルダ重複部301に含まれていない。ホルダ固定部322,422は、ホルダ重複部301から軸方向ADに離れた位置に設けられている。第1ホルダ固定部322と第2ホルダ固定部422とは、互いに軸方向ADに離れた位置にある。第1ホルダ固定部322は、第1シャフトフランジ342aに固定されている。第2ホルダ固定部422は、第2シャフトフランジ342bに固定されている。
【0122】
ホルダ重複部301は、シャフトフランジ342a,342bから径方向外側に離れた位置に設けられている。例えば、重複内周端301bは、シャフトフランジ342a,342bから径方向外側に離れた位置にある。ホルダ介在部323,423は、上記第1実施形態と同様に、ホルダ重複部301を形成している。ホルダ重複部301には、ホルダ介在面323a,423aが含まれている。
【0123】
<他の実施形態>
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、又は組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0124】
上記各実施形態において、ホルダ重複部301は、第1磁石ホルダ320と第2磁石ホルダ420とが重ねられた部分により形成されていれば、磁石ホルダ320,420のどの部位により形成されていてもよい。例えば、ホルダ重複部301には、第1ホルダ介在面323aの少なくとも一部と第2ホルダ介在面423aの少なくとも一部とが重ねられた部分が含まれていればよい。また、ホルダ重複部301には、第1ホルダ固定面322aの少なくとも一部と第2ホルダ固定面422aの少なくとも一部とが重ねられた部分が含まれていればよい。
【0125】
上記各実施形態において、ホルダ重複部301の少なくとも一部がシャフト本体341から径方向外側に離れた位置に設けられていれば、ホルダ重複部301は、どのように設けられていてもよい。例えば、重複内周端301bはシャフト本体341の外周面に固定されていてもよい。すなわち、ホルダ重複部301は、シャフト本体341から径方向外側に向けて延びていてもよい。また、ホルダ重複部301は、シャフトフランジ342から径方向外側に向けて延びていなくてもよい。例えば、重複外周端301aは、シャフトフランジ342に軸方向ADに並ぶ位置に設けられていてもよい。さらに、ホルダ重複部301は、周方向CDや径方向RDに複数並べられていてもよい。
【0126】
上記各実施形態において、磁石ホルダ320,420は、シャフト340に固定されていれば、どのように固定されていてもよい。例えば、磁石ホルダ320,420は、シャフトフランジ342を介さずにシャフト本体341に直接的に固定されていてもよい。
【0127】
上記各実施形態において、モータ装置60が搭載される飛行体は、電動式であれば、垂直離着陸機でなくてもよい。例えば、飛行体は、電動航空機として、滑走を伴う離着陸が可能な飛行体でもよい。さらに、飛行体は、回転翼機又は固定翼機でもよい。飛行体は、人が乗らない無人飛行体でもよい。
【0128】
上記各実施形態において、モータ装置60が搭載される移動体は、回転体の回転により移動可能であれば、飛行体でなくてもよい。例えば、移動体は、車両、船舶、建設機械、農業機械であってもよい。例えば、移動体が車両や建設機械などである場合、回転体は移動用の車輪などであり、出力軸部は車軸などである。移動体が船舶である場合、回転体は推進用のスクリュープロペラなどであり、出力軸部はプロペラ軸などである。また、モータ装置60は、定置式の各種設備に設けられていてもよい。
【0129】
(技術的思想の開示)
この明細書は、以下に列挙する複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。さらに、いくつかの項は、他の多項従属形式の項を引用する多項従属形式(a multiple dependent form referring to another multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
【0130】
(技術的思想1)
電力の供給により駆動する回転電機(60)であって、
コイル部(211)を有するステータ(200)と、
回転軸線(Cm)を中心に回転する回転軸部(341)と、
前記回転軸線が延びる軸方向(AD)において前記コイル部に並べられた第1磁石部(310)、及び前記回転軸部に固定され前記第1磁石部を支持している第1支持部(320)を有し、前記回転軸部と共に回転する第1ロータ(300a)と、
前記軸方向において前記コイル部を介して前記第1磁石部に並べられた第2磁石部(410)、及び前記回転軸部に固定され前記第2磁石部を支持している第2支持部(420)を有し、前記回転軸部と共に回転する第2ロータ(300b)と、
を備え、
前記第1支持部と前記第2支持部とが前記軸方向に重ねられた支持重ね部(301)の少なくとも一部が、前記回転軸線の径方向(RD)において前記回転軸部から前記コイル部側に離れた位置に設けられている、回転電機。
【0131】
(技術的思想2)
前記支持重ね部の外周端(301a)は、前記径方向において前記回転軸部よりも前記第1磁石部及び前記第2磁石部に近い位置に設けられている、技術的思想1に記載の回転電機。
【0132】
(技術的思想3)
前記回転軸部から外周側に向けて延び、前記第1支持部及び前記第2支持部が固定されている軸フランジ(342,342a,342b)、を備え、
前記支持重ね部の少なくとも一部は、前記径方向において前記軸フランジから前記コイル部側に離れた位置に設けられている、技術的思想1又は2に記載の回転電機。
【0133】
(技術的思想4)
前記支持重ね部の少なくとも一部は、前記軸フランジに前記軸方向に並ぶ位置に設けられている、技術的思想3に記載の回転電機。
【0134】
(技術的思想5)
前記第1支持部は、
前記支持重ね部に含まれ、前記支持重ね部の外周端(301a)と前記軸フランジとにかけ渡されるように前記径方向に延び、前記第2支持部に対向している第1対向面(322a,323a)を有しており、
前記第2支持部は、
前記支持重ね部に含まれ、前記外周端と前記軸フランジとにかけ渡されるように前記径方向に延び、前記第1支持部に対向し、前記第1対向面に重ねられている第2対向面(422a,423a)を有している、技術的思想3又は4に記載の回転電機。
【0135】
(技術的思想6)
前記第2支持部は、
前記軸方向の一方側から前記軸フランジに重ねられ、前記軸フランジに固定された第2固定部(422)を有しており、
前記第1支持部は、
前記軸方向の一方側から前記第2固定部を介して前記軸フランジに重ねられ、前記第2固定部を介して軸フランジに固定された第1固定部(322)を有している、技術的思想3~5のいずれか1つに記載の回転電機。
【0136】
(技術的思想7)
前記第1支持部及び前記第2支持部の少なくとも一方は、
前記径方向において前記軸フランジと前記コイル部との間に設けられ、前記軸方向に筒状に延びている筒状部(325,425)、を有している、技術的思想3~6のいずれか1つに記載の回転電機。
【0137】
(技術的思想8)
電力の供給により駆動する回転電機(60)であって、
コイル部(211)を有するステータ(200)と、
回転軸線(Cm)を中心に回転する回転軸部(341)、及び前記回転軸部から外周側に延びた軸フランジ(342)を有しているロータ軸部(340)と、
前記回転軸線が延びる軸方向(AD)において前記コイル部に並べられた第1磁石部(310)、及び前記第1磁石部を支持している第1支持部(320)を有し、前記回転軸部と共に回転する第1ロータ(300a)と、
前記軸方向において前記コイル部を介して前記第1磁石部に並べられた第2磁石部(410)、及び前記第2磁石部を支持している第2支持部(420)を有し、前記回転軸部と共に回転する第2ロータ(300b)と、
を備え、
前記第2支持部は、
前記軸方向の一方側から前記軸フランジに重ねられ、前記軸フランジに固定された第2固定部(422)を有しており、
前記第1支持部は、
前記軸方向の一方側から前記第2固定部を介して前記軸フランジに重ねられ、前記第2固定部を介して軸フランジに固定された第1固定部(322)を有している、回転電機。
【0138】
(技術的思想9)
前記第1支持部と前記第2支持部との距離を保持するように前記第1支持部と前記第2支持部との間に設けられたスペーサ部(440)、を備えている技術的思想1~8のいずれか1つに記載の回転電機。
【0139】
(技術的思想10)
飛行体(10)に設けられ、前記飛行体を飛行させるために駆動する回転電機である、技術的思想1~9のいずれか1つに記載の回転電機。
【符号の説明】
【0140】
10…飛行体としてのeVTOL、60…回転電機としてのモータ装置、200…ステータ、211…コイル部、300a…ロータとしての第1ロータ、300b…ロータとしての第2ロータ、301…支持重ね部としてのホルダ重複部、301a…外周端としての重複外周端、310…第1磁石部、320…第1支持部としての第1磁石ホルダ、322…第1固定部としての第1ホルダ固定部、322a…第1対向面としての第1ホルダ固定面、323a…第1対向面としての第1ホルダ介在面、325…筒状部としての第1介在仕切部、340…ロータ軸部としてのシャフト、341…回転軸部としてのシャフト本体、342…軸フランジとしてのシャフトフランジ、342a…軸フランジとしての第1シャフトフランジ、342b…軸フランジとしての第2シャフトフランジ、410…第2磁石部、420…第2支持部としての第2磁石ホルダ、422…第2固定部としての第2ホルダ固定部、422a…第2対向面としての第2ホルダ固定面、423a…第2対向面としての第2ホルダ介在面、425…筒状部としての第2介在仕切部、440…スペーサ部としてのロータシム、Cm…回転軸線としてのモータ軸線、AD…軸方向、RD…径方向。
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