(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011725
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】プラスチック容器
(51)【国際特許分類】
B65D 43/22 20060101AFI20240118BHJP
B65D 43/16 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B65D43/22 100
B65D43/16 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113968
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慶太
(72)【発明者】
【氏名】鍔 孝太郎
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA05
3E084AB10
3E084BA03
3E084CA03
3E084CB03
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA03
3E084DB14
3E084DC04
3E084DC05
3E084FA03
3E084FA09
3E084GA06
3E084GA08
3E084GB07
3E084GB11
3E084GB17
3E084GB26
(57)【要約】
【課題】特殊な材料や部品を用いることなく、蓋を安定して開閉することのできるプラスチック容器を提案する。
【解決手段】プラスチック製の容器であって、内容物30を収納する容器本体10と蓋部材20とを有し、蓋部材は、取り出し用開口23を有する蓋部材本体21と、蓋部材本体にヒンジ部24を介して接続された蓋部22とを有し、さらに、蓋部を閉じている状態で保持するロック機構25を有し、容器本体は、底面11と複数の側面12を有し、側面のうち、ロック機構の下部に位置する側面は、ロック機構の下部分に、内側に向かって窪む凹部13を有し、凹部の上面には指が掛けられる指掛け14が設けられており、ロック機構に設けられたレバー26と指掛けとを指先でつまんでロック機構を解除することにより、蓋部が弾性力によって、閉じている状態から開いている状態に移行することを特徴とするプラスチック容器である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製の容器であって、内容物を収納する容器本体と蓋部材とを有し、
蓋部材は、取り出し用開口を有する蓋部材本体と、蓋部材本体にヒンジ部を介して接続された蓋部とを有し、さらに、蓋部を閉じている状態で保持するロック機構を有し、
容器本体は、底面と複数の側面を有し、側面のうち、前記ロック機構の下部に位置する側面は、ロック機構の下部分に、内側に向かって窪む凹部を有し、凹部の上面には指が掛けられる指掛けが設けられており、
ロック機構に設けられたレバーと前記指掛けとを指先でつまんでロック機構を解除することにより、前記蓋部が弾性力によって、閉じている状態から開いている状態に移行することを特徴とするプラスチック容器。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記凹部が窪む方向とは反対の方向で、かつ容器の下方に向かって動かされることによって解除されることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック容器。
【請求項3】
蓋部材は、ヒンジ部の弾性力を強化する弾性部材を有することを特徴とする請求項1に記載のプラスチック容器。
【請求項4】
容器の横幅、奥行、高さが、それぞれ18cm以下、10cm以下、10cm以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のプラスチック容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラスチック製の容器に関し、特に開閉可能な蓋を備え、蓋の開閉操作が容易に行えるプラスチック容器に関する。
【背景技術】
【0002】
開閉可能な蓋を備えたプラスチック容器が知られている。内容物を一度に使い切らないような用途には、蓋の開閉が容易で、かつ、ある程度の耐久性を備えた容器が必要である。このような容器に収納される内容物としては、ウェットティッシュ、化粧用コットン、ティッシュペーパー等の衛生用品や、菓子類、調味料等が挙げられる。
【0003】
特許文献1に記載された家庭用薄葉紙収納容器は、ティッシュペーパーを収納して、1枚づつ取り出すことのできる収納容器である。この収納容器は、取り出し口に突片を設けることにより、ティッシュペーパーが1枚づつ繋がることなく取り出せることを主眼においた容器である。
【0004】
蓋の開閉に当たっては、開閉蓋側の爪部と本体側の爪部とが係合することによって、閉塞状態で係止するとともに、使用者が係止手段を押圧した際に、本体側爪部と開閉蓋側爪部の係合が外れ、開閉蓋が解放状態になるように形成されている。(段落0025)
【0005】
しかしながら、この容器では、容器前上部を押す際に蓋の開閉のための力が容器全体に伝わり、容器が滑ってしまう恐れがある。この容器では、底部が滑って開閉できないことを防ぐために、底部の材質をゴムや弾性材料など摩擦係数の高い材質にする必要があり、底部に滑り止めのための部品を付加する必要が生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は、特殊な材料や部品を用いることなく、蓋を安定して開閉することのできるプラスチック容器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、プラスチック製の容器であって、内容物を収納する容器本体と蓋部材とを有し、蓋部材は、取り出し用開口を有する蓋部材本体と、蓋部材本体にヒンジ部を介して接続された蓋部とを有し、さらに、蓋部を閉じている状態で保持するロック機構を有し、容器本体は、底面と複数の側面を有し、側面のうち、前記ロック機構の下部に位置する側面は、ロック機構の下部分に、内側に向かって窪む凹部を有し、凹部の上面には指が掛けられる指掛けが設けられており、ロック機構に設けられたレバーと前記指掛けとを指先でつまんでロック機構を解除することにより、前記蓋部が弾性力によって、閉じている状態から開いている状態に移行することを特徴とするプラスチック容器である。
【0009】
本発明に係るプラスチック容器は、蓋を閉じた状態に係止するロック機構を解除する方法として、単にレバーを下方向に押し下げるのではなく、指先でつまんで解除できるような構造としたことで、蓋を開く時に容器全体が滑ったりすることがなくなった。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記ロック機構が、前記凹部が窪む方向とは反対の方向で、かつ容器の下方に向かって動かされることによって解除されることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック容器である。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、蓋部材が、ヒンジ部の弾性力を強化する弾性部材を有することを特徴とする請求項1に記載のプラスチック容器である。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、容器の横幅、奥行、高さが、それぞれ18cm以下、10cm以下、10cm以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のプラスチック容器である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るプラスチック容器は、蓋を閉じた状態に係止するロック機構を解除する方法として、単にレバーを下方向に押し下げるのではなく、指先でつまんで解除できるような構造としたことで、蓋を開く時に容器全体が滑ったりすることがない。
【0014】
このため、従来必要とされていた滑り止めのための特殊な材料や部品を使用する必要がなくなり、構造が単純化されたことにより、低コストで生産することができるようになった。また、複数材料の組み合わせが無くなったことにより、使用後の分別が容易になり、リサイクルも容易になった。
【0015】
請求項2に記載の発明のように、ロック機構が、前記凹部が窪む方向とは反対の方向で、かつ容器の下方に向かって動かされることによって解除されるようにした場合には、指でつままなくてもレバーを押すだけでも安定して操作することができる。
【0016】
また同様に容器を開く際の力が手前に引く力となることで、容器が接地していない状態でも安定して蓋を開くことができるようになった。
【0017】
請求項3に記載の発明のように、蓋部材が、蓋部の弾性力を強化する弾性部材を有することにより、蓋の開閉と耐久性はさらに安定する。
【0018】
請求項4に記載のように、プラスチック容器のサイズを限定することにより、蓋が重すぎて蓋の開きが悪くなるといった恐れがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明に係るプラスチック容器の一実施態様を示した斜視説明図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したプラスチック容器の、蓋部を開いた状態を示した斜視説明図である。
【
図3】
図3は、本発明に係るプラスチック容器の、ロック機構の構造を示した断面説明図である。
【
図4】
図4は、
図3の状態からロック機構が解除されて蓋部が開く状態を示した断面説明図である。
【
図5】
図5は、本発明に係るプラスチック容器の、ロック機構の構造を示した断面斜視説明図である。
【
図6】
図6は、
図5の状態からロック機構が解除されて蓋部が開く状態を示した断面斜視説明図である。
【
図7】
図7は、ヒンジ部における弾性部材の動作を示した断面説明図である。
【
図8】
図8は、
図7の状態から蓋部が開いた状態を示した断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下図面を参照しながら、本発明に係るプラスチック容器について、詳細に説明する。
図1は、本発明に係るプラスチック容器1の一実施態様を示した斜視説明図である。
図2は、
図1に示したプラスチック容器1の、蓋部22を開いた状態を示した斜視説明図である。
図3は、本発明に係るプラスチック容器1の、ロック機構25の構造を示した断面説明図である。また、
図4は、
図3の状態からロック機構25が解除されて蓋部22が開く状態を示した断面説明図である。さらに
図5は、本発明に係るプラスチック容器1の、ロック機構25の構造を示した断面斜視説明図であり、
図6は、
図5の状態からロック機構25が解除されて蓋部22が開く状態を示した断面斜視説明図である。以下これらの図を参照しながら説明する。
【0021】
本発明に係るプラスチック容器1は、プラスチック製の容器であって、内容物30を収納する容器本体10と蓋部材20とを有する。蓋部材20は、取り出し用開口23を有する蓋部材本体21と、蓋部材本体21にヒンジ部24を介して接続された蓋部22とを有し、さらに、蓋部22を閉じている状態で保持するロック機構25を有する。
【0022】
容器本体10は、底面11と複数の側面12を有し、側面のうち、ロック機構25の下部に位置する側面は、ロック機構25の下部分に、内側に向かって窪む凹部13を有し、凹部13の上面には指が掛けられる指掛け14が設けられている。
【0023】
ロック機構25に設けられたレバー26と指掛け14とを指先でつまんで
図4のようにロック機構25を解除することにより、蓋部22が弾性力によって、閉じている状態から
図2のように開いている状態に移行することを特徴とする。
【0024】
特許文献1に記載された従来の容器では、蓋の開閉に当たって、開閉蓋側の爪部と本体側の爪部とが係合することによって、閉塞状態で係止するような構造であったが、本発明に係るプラスチック容器1においては、ロック機構25は蓋部材20にすべて含まれている。すなわちロック機構25を構成する要素としては、直接的にはレバー26と蓋部22の先端に設けられた突起27であるが、総合的には、蓋部22、ヒンジ部24、蓋部材本体も含まれる。従ってロック機構25は、蓋部材20にすべて含まれることになる。
【0025】
従来の容器では、ロック機構が蓋側と本体側に分かれているため、蓋と本体の寸法精度のばらつきによってロック機構が不安定になる恐れがあった。しかし本発明に係るプラスチック容器1においては、ロック機構全体を一つの構造体として成型できるため、ロック機構の精度が高まり、安定性が向上した。
【0026】
また、本発明に係るプラスチック容器1においては、レバー26と指掛け14とを指先でつまんで
図4のようにロック機構25を解除できるようにしたので、容器全体が滑ったりすることがなくなった。ロック解除は、蓋部22の先端に設けられた突起27がレバー26の下端から外れることによってなされる構造である。
【0027】
このため、従来のように底面に滑り止めのための特殊な材料を用いた部材を併用する必
要がなく、構造も単純化された。これにより、材料コストのみならず、組み立てコストも低減されたのである。
【0028】
なお、
図2に示した例では、内容物30は、コイン状の菓子であり、取り出し用開口23は、取り出し易いように大きく設けられているが、取り出し用開口23は、内容物によって適した大きさ、形状とすることができる。
【0029】
本発明に係るプラスチック容器1に用いるプラスチック材料としては、内容物、用途に応じて、各種合成樹脂材料から選択することができる。一例を挙げれば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリオレフィン系エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂(PMMA)、エチレン-酢酸ビニル系共重合樹脂(EVA)、アイオノマー樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ナイロン-6、ナイロン-66等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂(PS)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)、ポリカーボネート樹脂(PC)、フッ素系樹脂、ウレタン系樹脂等の合成樹脂材料である。
【0030】
成型方法としては、射出成型法が一般的である。この場合、容器本体10が一体として成型され、蓋部材20が一体として成型される。蓋部材20の蓋部材本体21が容器本体10の開口部に嵌合する。なお、レバー26や、後述する弾性部材28を別部品としても良い。
【0031】
容器の大きさや内容物によっては、シート状の材料を真空圧空成型法によって成型することができる場合もある。この場合、射出成型法に比較して成形型が簡単で済むため、コスト的には有利である。
【0032】
図7、
図8は、ヒンジ部24における弾性部材28の動作を示した断面説明図である。弾性部材28は、ヒンジ部24の弾性力を強化する目的で、ヒンジ部24に設置される。弾性部材28としては、曲げ弾性率の高い材料が選択される。具体的には、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、スチレンアクリロニトリル共重合樹脂、変性アクリル樹脂等の他、各種繊維強化プラスチック(FRP)を使用することができる。
【0033】
本発明に係るプラスチック容器1のサイズについては、あまり大きな容器は、蓋部22の重量が大きくなるため、好ましくない。蓋部22の重量が大きすぎるとヒンジ部24の弾性によって開くことができなくなる恐れがある。容器のサイズとしては、横幅、奥行、高さが、それぞれ18cm以下、10cm以下、10cm以下であることが好ましい。
【符号の説明】
【0034】
1・・・プラスチック容器
10・・・容器本体
11・・・底面
12・・・側面
13・・・凹部
14・・・指掛け
20・・・蓋部材
21・・・蓋部材本体
22・・・蓋部
23・・・取り出し用開口
24・・・ヒンジ部
25・・・ロック機構
26・・・レバー
27・・・突起
28・・・弾性部材
29・・・ロック解除
30・・・内容物