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  • 特開-カーボンブラックの判別方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117254
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】カーボンブラックの判別方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/2251 20180101AFI20240822BHJP
   G01N 23/04 20180101ALI20240822BHJP
【FI】
G01N23/2251
G01N23/04 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023248
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】大石 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】景行 郁夫
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA03
2G001BA07
2G001BA11
2G001CA03
2G001HA13
2G001KA01
2G001LA05
(57)【要約】
【課題】再生カーボンブラックか否かを判別することが可能なカーボンブラックの判別方法を提供する。
【解決手段】カーボンブラックが再生カーボンブラックか否かを判別するカーボンブラックの判別方法であって、カーボンブラックの表面近傍に無機物が存在するか否かを確認することで、再生カーボンブラックか否かを判別するカーボンブラックの判別方法に関する。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンブラックが再生カーボンブラックか否かを判別するカーボンブラックの判別方法であって、
カーボンブラックの表面近傍に無機物が存在するか否かを確認することで、再生カーボンブラックか否かを判別するカーボンブラックの判別方法。
【請求項2】
カーボンブラックの表面近傍に無機物が存在する場合、そのカーボンブラックを再生カーボンブラックと判別する請求項1に記載のカーボンブラックの判別方法。
【請求項3】
カーボンブラック表面からカーボンブラックの一次粒子径の20%までの範囲のカーボンブラックの表面近傍に無機物が存在するか否かを確認することで、再生カーボンブラックか否かを判別する請求項1に記載のカーボンブラックの判別方法。
【請求項4】
カーボンブラックの表面近傍に亜鉛が存在するか否かを確認することで、再生カーボンブラックか否かを判別する請求項1に記載のカーボンブラックの判別方法。
【請求項5】
電子顕微鏡により取得される画像を用いて元素分析を実施し、カーボンブラックの表面近傍に無機物が存在するか否かを確認することで、再生カーボンブラックか否かを判別する請求項1に記載のカーボンブラックの判別方法。
【請求項6】
エラストマー成分及びカーボンブラックを含むエラストマー組成物中のカーボンブラックが再生カーボンブラックか否かを判別する請求項1に記載のカーボンブラックの判別方法。
【請求項7】
電子顕微鏡により取得されるエラストマー組成物の画像を用いて元素分析を実施し、
カーボンブラックの一次粒子をX個含む視野の亜鉛濃度Xcと、カーボンブラックの一次粒子をY個含む視野の亜鉛濃度Ycとを比較することで、再生カーボンブラックか否かを判別する判別方法において、
X>Yの関係を満たす視野を比較する請求項6に記載のカーボンブラックの判別方法。
【請求項8】
Xc≧2×Ycを満たす請求項7に記載のカーボンブラックの判別方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンブラックの判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護などの観点から、タイヤのリサイクル率の向上が求められており、例えば、廃タイヤなどの使用済みのゴム製品を熱分解して得られる再生カーボンブラックの使用が検討されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
再生カーボンブラックの使用の検討により、カーボンブラックが再生カーボンブラック、従来の汎用カーボンブラックのいずれであるのか判別することが望まれているが、電子顕微鏡による1次粒子径測定、DBP吸油量、IA、CTAB、粒度分布系による凝集体分布測定などの従来の分析方法では、再生カーボンブラック、従来のカーボンブラックの判別は難しい。
【0004】
本発明は、前記課題を解決し、再生カーボンブラックか否かを判別することが可能なカーボンブラックの判別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、カーボンブラックが再生カーボンブラックか否かを判別するカーボンブラックの判別方法であって、
カーボンブラックの表面近傍に無機物が存在するか否かを確認することで、再生カーボンブラックか否かを判別するカーボンブラックの判別方法に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、カーボンブラックが再生カーボンブラックか否かを判別するカーボンブラックの判別方法であって、カーボンブラックの表面近傍に無機物が存在するか否かを確認することで、再生カーボンブラックか否かを判別するカーボンブラックの判別方法であるので、再生カーボンブラックか否かを判別できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】TEMのSTEMモードで取得される配合1(汎用カーボンブラックを含むエラストマー組成物)及び配合2(再生カーボンブラックを含むエラストマー組成物)のSTEM像、並びにその元素分析像が示された図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、カーボンブラックが再生カーボンブラックか否かを判別するカーボンブラックの判別方法であって、カーボンブラックの表面近傍に無機物が存在するか否かを確認することで、再生カーボンブラックか否かを判別するカーボンブラックの判別方法である。
【0009】
再生カーボンブラックは、廃タイヤなどの使用済みのゴム製品を熱分解させて回収するカーボンブラックなどである。タイヤ中には熱分解しない無機物(例えば、ZnO、シリカ、ZnS)も含まれるため、再生カーボンブラック製造の過程において、再生カーボンブラック中にもこれらの無機物が混入し、カーボンブラックの粒子表面に無機物が吸着する可能性がある。これは、従来の汎用カーボンブラック(新品のカーボンブラック)には無い特徴であるため、カーボンブラックの表面の無機物に注目することで、再生カーボンブラックと汎用カーボンブラックを見分けることが可能であり、表面近傍に無機物が存在するカーボンブラックを再生カーボンブラック、存在しないカーボンブラックを汎用カーボンブラックと判別できる。
【0010】
上記判別方法は、カーボンブラック単独のサンプルについて、再生カーボンブラック、汎用カーボンブラック(新品カーボンブラック)のいずれであるかを判別することが可能であり、また、エラストマー成分及びカーボンブラックを含むエラストマー組成物内に存在するカーボンブラックが再生カーボンブラック、汎用カーボンブラックのいずれであるかを判別することも可能である。再生カーボンブラック、汎用カーボンブラックは、それぞれ1種でも2種以上でもよい。
【0011】
再生カーボンブラックとしては、例えば、廃タイヤの熱分解を経て生成される再生カーボンブラックなどが挙げられる。廃タイヤの熱分解は、公知の方法で行うことができ、例えば、650℃以上の温度の熱分解法などが挙げられる。
【0012】
再生カーボンブラックの平均一次粒子径は、通常、10~100nmである。下限は、好ましくは12nm以上、より好ましくは15nmであり、上限は、好ましくは90nm以下、より好ましくは80nm以下である。
なお、カーボンブラックの平均一次粒子径は、透過型又は走査型電子顕微鏡により観察し、視野内に観察されたカーボンブラックの一次粒子を400個以上測定し、その平均により求めることができる。
【0013】
再生カーボンブラックは市販品を利用でき、例えば、Enrestec社製商品名PB365などが挙げられる。PB365は、廃タイヤの熱分解を経て生成される再生カーボンブラックであり、NSAが76m/gである。また、PB365は灰分を17質量%程度含んでいる。
【0014】
再生カーボンブラックに該当しない汎用カーボンブラックとしては、特に限定されず、SAF、ISAF、HAF、FF、FEF、GPF等が挙げられる。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱ケミカル(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0015】
上記判別方法は、カーボンブラックの表面近傍に無機物が存在するか否かを確認することで、再生カーボンブラックか否かを判別する方法で、カーボンブラックの表面近傍に無機物が存在する場合、そのカーボンブラックを再生カーボンブラックと判別することができる。
【0016】
上記判別方法において、カーボンブラックの表面近傍とは、例えば、カーボンブラックの粒子表面上や、粒子表面から所定範囲内の部分を意味し、該粒子表面や該部分に無機物が存在(付着、接触など)するか否かを確認することにより、再生カーボンブラックか否かを判別できる。
【0017】
上記判別方法において、カーボンブラックの表面近傍は、カーボンブラック表面からカーボンブラックの一次粒子径の20%までの範囲であることが望ましい。上記のとおり、カーボンブラックの平均一次粒子径は、通常10~100nmであるので、表面から20%までの範囲、すなわち表面から2~20nmの範囲で無機物が存在するか否かを確認することで、再生カーボンブラック、汎用カーボンブラックのいずれであるかについて、精度良く確認できる傾向がある。
【0018】
上記無機物としては特に限定されず、例えば、エラストマー組成物で使用される公知の配合剤が挙げられ、無機フィラー、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、硫黄などが例示される。無機フィラーとしては、ゴム分野で公知の材料を使用でき、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどが例示される。
【0019】
なかでも、上記無機物は、亜鉛(Zn)であることが望ましい。カーボンブラックの表面近傍に亜鉛が存在するか否かを確認することにより、再生カーボンブラック、汎用カーボンブラックのいずれであるかについて精度良く確認できる傾向がある。
【0020】
上記判別方法において、カーボンブラックの表面近傍に無機物が存在するか否かは、例えば、電子顕微鏡を用いて実施できる。具体的には、電子顕微鏡により取得されるカーボンブラックの画像を用いて元素分析を実施し、カーボンブラックの表面近傍に亜鉛などの無機物が存在するか否かを確認することで、再生カーボンブラック、汎用カーボンブラックのいずれであるかを判別でき、この場合、精度良く確認することが可能となる。
【0021】
電子顕微鏡としては特に限定されないが、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)などを使用することができる。なかでも、空間分解能の観点から、TEMが望ましい。
【0022】
上記のとおり、上記判別方法は、エラストマー成分及びカーボンブラックを含むエラストマー組成物内に存在するカーボンブラックが再生カーボンブラック、汎用カーボンブラックのいずれであるかを判別することも可能であり、その場合も、上記と同様の手法により、再生カーボンブラックか否かを判別することが可能である。「カーボンブラックの表面近傍」、「無機物」、「電子顕微鏡」についても同様のものを採用できる。
【0023】
上記エラストマー組成物において、使用可能なエラストマー成分は特に限定されず、例えば、ジエン系ゴムなどを使用できる。ジエン系ゴムとしては、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。また、ブチル系ゴム、フッ素ゴムなども挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
上記エラストマー組成物中のカーボンブラックとしては、上記再生カーボンブラック、汎用カーボンブラックなどが挙げられる。再生カーボンブラック、汎用カーボンブラックは、それぞれ1種でも2種以上でもよい。
【0025】
上記エラストマー組成物において、カーボンブラックの含有量(再生カーボンブラック及びそれ以外のカーボンブラックの総量)は特に限定されず、例えば、エラストマー成分100質量部に対して、1~150質量部、好ましくは3~100質量部、更に好ましくは5~80質量部である。上記範囲内であると、サンプル中に含まれるカーボンブラックが再生カーボンブラック、汎用カーボンブラックのいずれであるかについて、精度良く推定できる傾向がある。
【0026】
上記エラストマー組成物は、可塑剤、老化防止剤、酸化亜鉛、ワックス、硫黄、加硫促進剤など、タイヤ工業において一般的に用いられている配合剤を含んでもよい。
【0027】
上記エラストマー組成物中のカーボンブラックが再生カーボンブラックか否かを判別する判別方法では、電子顕微鏡により取得されるエラストマー組成物の画像を用いて元素分析を実施し、カーボンブラックの一次粒子をX個含む視野の亜鉛濃度Xcと、カーボンブラックの一次粒子をY個含む視野の亜鉛濃度Ycとを比較することで、再生カーボンブラックか否かを判別する判別方法において、X>Yの関係を満たす視野を比較することが望ましい。
【0028】
すなわち、X>Yで、カーボンブラックの一次粒子をX個と多く含む視野の亜鉛濃度Xcと、カーボンブラックの一次粒子をY個と少なく含む視野の亜鉛濃度Ycとを比較し、XcがYcに比べてかなり高濃度であると、カーボンブラックの表面近傍に亜鉛が偏在していると考えることが可能であり、このカーボンブラックを再生カーボンブラックと判別できる。一方、XcとYcが同程度であると、カーボンブラックの表面近傍に亜鉛が偏在していないと考えられ、このカーボンブラックを汎用カーボンブラックと判別できる。
【0029】
上記比較において、カーボンブラックの一次粒子をX個含む視野の亜鉛濃度Xcと、カーボンブラックの一次粒子をY個含む視野の亜鉛濃度Ycとが、Xc>Ycを充足すれば、エラストマー組成物全体の亜鉛の分布状態に比べて、カーボンブラックの表面近傍の方が亜鉛が多く存在していると考えられるので、このカーボンブラックを再生カーボンブラックと一応推定することも可能であるが、特にXc≧2×Ycを充足することが望ましい。この場合、カーボンブラックの表面近傍に亜鉛が偏在していると考えることが十分に可能であるので、このカーボンブラックを再生カーボンブラックと精度よく判別できる。
【0030】
以下に、本発明の判別方法の一例を説明するが、本発明は以下の方法に制限されるものではない。
【0031】
表1に示す配合1、2のエラストマー組成物を作製する。
配合1は汎用カーボンブラックを含むエラストマー組成物、配合2は再生カーボンブラックを含むエラストマー組成物である。
【表1】
【0032】
作製した配合1、2のエラストマー組成物を-90℃に冷却し、ミクロトームにより薄膜化し、サンプル(エラストマー組成物)を作製する。
【0033】
サンプルをTEM観察し、カーボンブラックの一次粒子径を確認できる程度の倍率で画像を取得する。
同一視野で元素分析を実施し、元素マッピング画像を取得する。
【0034】
サンプルをTEMのSTEMモードで観察すると、図1に示されるように、カーボンブラックを一次粒子径10~100nmの白色粒子(白っぽい粒子)として観察できる。
【0035】
配合2の再生カーボンブラックを含むエラストマー組成物では、カーボンブラックと考えられる粒子の周りに、さらに明るい白色の粒子を確認できる。これは、電子密度が高いと、STEM像で明るく見えるためである。
【0036】
STEM像の同一視野で元素分析をすると、配合2の再生カーボンブラックを含むエラストマー組成物では、カーボンブラックの周囲に、特にZn+S(亜鉛+硫黄)が検出されている一方で、配合1の汎用カーボンブラックを含むエラストマー組成物では、Zn+S(亜鉛+硫黄)は検出されない(物件提出書参照)。
【0037】
また、配合1の汎用カーボンブラックを含むエラストマー組成物の元素分析像では、Si、Zn、Sのいずれも視野中での偏在は認められないのに対し、配合2の再生カーボンブラックを含むエラストマー組成物の元素分析像では、カーボンブラックの周囲にこれらの元素が集中しているため元素分析像でも色づいてみられている(物件提出書参照)。
【0038】
このように、電子顕微鏡により取得されるエラストマー組成物の画像を用いて元素分析を実施し、カーボンブラックの表面近傍に亜鉛などの無機物が存在するか否かを確認することで、存在するサンプル中のカーボンブラックを再生カーボンブラック、存在しないサンプル中のカーボンブラックを汎用カーボンブラックと判別できる。
【0039】
ここで、上記のとおり、カーボンブラックの表面近傍をカーボンブラック表面からカーボンブラックの一次粒子径の20%までの範囲とし、図1の画像のカーボンブラックの一次粒子径10~100nmの粒子表面から2~20nmの範囲を確認すると、配合2の再生カーボンブラックを含むエラストマー組成物では、カーボンブラックと考えられる粒子の周り(20nm以内)にさらに明るい白色の粒子を確認できる。そして、明るい白色の粒子を分析すると、Zn、Sなどが検出され、このカーボンブラックを再生カーボンブラックと判別できる。
【0040】
また、上記のとおり、電子顕微鏡により取得されるエラストマー組成物の画像を用いて元素分析を実施し、カーボンブラックの一次粒子をX個含む視野の亜鉛濃度Xcと、カーボンブラックの一次粒子をY個含む視野の亜鉛濃度Ycとを比較することで、再生カーボンブラックか否かを判別する判別方法において、X>Yの関係を満たす視野を比較する際、例えば、カーボンブラックの一次粒子を50個以上含む視野と、カーボンブラックの一次粒子を20個以下含む視野とを比較し、元素分析により得られる、50個以上含む視野の亜鉛の検出濃度Xcと、20個以下含む視野の亜鉛の検出濃度Ycとが、Xc≧2×Ycを充足する場合、カーボンブラックの表面近傍に亜鉛が偏在していると考えることが十分に可能である。よって、このカーボンブラックを再生カーボンブラックと精度よく判別できる。
【0041】
以上のとおり、カーボンブラックのサンプルや、カーボンブラックを含むエラストマー組成物のサンプルについて、カーボンブラックの表面近傍に無機物が存在するか否かを確認することにより、そのカーボンブラックが再生カーボンブラック、汎用カーボンブラックのいずれであるかを判別できる。
【0042】
上記の具体例では、汎用カーボンブラックを含むエラストマー組成物、再生カーボンブラックを含むエラストマー組成物の比較により、再生カーボンブラック、汎用カーボンブラックのいずれであるかを判別した例を説明しているが、カーボンブラックのサンプルに関しても、同様に上記の方法を用いることで、カーボンブラックが再生カーボンブラック、汎用カーボンブラックのいずれであるかを判別することが可能である。
【0043】
本発明(1)はカーボンブラックが再生カーボンブラックか否かを判別するカーボンブラックの判別方法であって、
カーボンブラックの表面近傍に無機物が存在するか否かを確認することで、再生カーボンブラックか否かを判別するカーボンブラックの判別方法である。
【0044】
本発明(2)はカーボンブラックの表面近傍に無機物が存在する場合、そのカーボンブラックを再生カーボンブラックと判別する本発明(1)に記載のカーボンブラックの判別方法である。
【0045】
本発明(3)はカーボンブラック表面からカーボンブラックの一次粒子径の20%までの範囲のカーボンブラックの表面近傍に無機物が存在するか否かを確認することで、再生カーボンブラックか否かを判別する本発明(1)又は(2)に記載のカーボンブラックの判別方法である。
【0046】
本発明(4)はカーボンブラックの表面近傍に亜鉛が存在するか否かを確認することで、再生カーボンブラックか否かを判別する本発明(1)~(3)のいずれかとの任意の組合せのカーボンブラックの判別方法である。
【0047】
本発明(5)は電子顕微鏡により取得される画像を用いて元素分析を実施し、カーボンブラックの表面近傍に無機物が存在するか否かを確認することで、再生カーボンブラックか否かを判別する本発明(1)~(4)のいずれかとの任意の組合せのカーボンブラックの判別方法である。
【0048】
本発明(6)はエラストマー成分及びカーボンブラックを含むエラストマー組成物中のカーボンブラックが再生カーボンブラックか否かを判別する本発明(1)~(5)のいずれかとの任意の組合せのカーボンブラックの判別方法である。
【0049】
本発明(7)は電子顕微鏡により取得されるエラストマー組成物の画像を用いて元素分析を実施し、
カーボンブラックの一次粒子をX個含む視野の亜鉛濃度Xcと、カーボンブラックの一次粒子をY個含む視野の亜鉛濃度Ycとを比較することで、再生カーボンブラックか否かを判別する判別方法において、
X>Yの関係を満たす視野を比較する本発明(6)に記載のカーボンブラックの判別方法である。
【0050】
本発明(8)はXc≧2×Ycを満たす本発明(7)に記載のカーボンブラックの判別方法である。

図1