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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117263
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】車椅子用ヘッドサポート
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/12 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
A61G5/12 703
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023262
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】510046929
【氏名又は名称】株式会社樋原製作所
(72)【発明者】
【氏名】樋原 明徳
(72)【発明者】
【氏名】久保 信一
(57)【要約】
【課題】構成要素を簡素化しヘッドサポートの位置姿勢を調整し同時に固定できるグリップ部を採用する。
【解決手段】上部でヘッドサポート部11を支持する縦フレーム12とこの縦フレーム12と交差する横フレーム13を備える。この横フレーム13の両端部が車椅子の枠部に固定される。縦フレーム12及び横フレーム13を共に固定できるグリップ部14を設け、当該グリップ部14に備えた締付部16による締付動作により縦フレーム12と横フレーム13が共に固定される。グリップ部14に設けた横方向軸15を中心に当該グリップ部14の後方側を回動させて前記縦フレーム12の前後方向角度が変更される。これにより縦フレーム12の上端高さ及び前後方向角度並びに横フレーム13におけるグリップ部14の左右位置が変更調整され且つ前記縦フレーム12、前記横フレーム13及び前記横方向軸15が前記締付部16により同時に固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム部とヘッドサポート部とから成り、車椅子のフレームに着脱自在に装着固定できるヘッドサポートにおいて、
フレーム部は、その上部でヘッドサポート部を支持する縦フレームと、この縦フレームと交差する方向に配設された横フレームとから成り、
この横フレームにはその両端部で車椅子のフレームに固定することができる固定部を備え、
前記縦フレーム及び横フレームを共に固定することができるグリップ部を設け、当該グリップ部に備えた締付部による締付固定動作により前記縦フレーム及び横フレームの配設が共に固定され、
更に前記グリップ部に設けた横方向軸を中心に当該グリップ部を回動させることにより前記縦フレームの前後方向角度が調整され、
これにより、縦フレームの上端高さ及び前後方向角度、並びに横フレームにおけるグリップ部の左右位置が調整され、且つ、前記縦フレーム、前記横フレーム及び前記横方向軸が前記締付部により同時に固定されることを特徴とする車椅子用ヘッドサポート。
【請求項2】
前記グリップ部に設けた締付部が回動締付手段を使用し、当該締付部の端部に板状摘みを形成し、当該板状摘みを手指により回動して締付固定動作ができることを特徴とする請求項1に記載の車椅子用ヘッドサポート。
【請求項3】
前記板状摘みが前記グリップ部の側に折り畳むことができ、これによりグリップ部の締付部の回動がロックされることを特徴とする請求項2に記載の車椅子用ヘッドサポート。
【請求項4】
前記グリップ部の先端側で横フレームを保持し、前記グリップ部の手前側で縦フレームを保持し、前記横フレーム及び前記縦フレームの間に横方向軸が配設され、前記締付部によってこれらが同時に締付固定されることを特徴とする請求項1に記載の車椅子用ヘッドサポート。
【請求項5】
前記縦フレームの上部とヘッドサポート部との連結部が自在ブラケットによる連結であって、これによりヘッドサポート部が上下左右自在に可動することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の車椅子用ヘッドサポート。
【請求項6】
前記横フレームの両端部に前方に延長する腕部をそれぞれ設け、これらの腕部の前端部に車椅子のフレームに固定される前記固定部が設けられ、
前記腕部の何れか一方の基端部が横フレームと回動自在に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の車椅子用ヘッドサポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車椅子に装着固定し、車椅子使用者の頭部の安定を補佐するためのヘッドサポートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する先行技術としては下記特許文献に記載のものを挙げることができる。
下記特許文献1に記載の「車椅子用のヘッドレスト支持機構」は、後付けヘッドレストであっても、車椅子の後部背面側から着座者を抱えたりすることが可能なヘッドレストの支持機構を提供することを課題としている。
【0003】
その構成は、伸縮自在で決めた長さで固定できる横バー部材と、当該横バー部材の両端に設けて車椅子後部の左右の縦フレームに緊締固定できると共に、開放取外し自在のクランプ部材と、前記横バー部材の中間部に左右にスライドできスライド位置で固定できると共に、縦バー部材を挿脱自在で上下にスライドさせてスライド位置で固定できる当該縦バー部材支持部を備えたクロスブラケット部材と、ヘッドレストを有するヘッドレスト取付バーを備えた縦バー部材、該縦バー部材の上部に前後にスライドできスライド位置で固定できるように設けられ、前端部にヘッドレストを首振り固定可能に有するヘッドレスト取付バーとから形成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-26140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明においては、その構成要素をより簡素化し、その上端に設けたヘッドサポート部を支持する縦フレームと、これと交差する横フレームとを用い、両フレームを固定するグリップ部を用いてワンタッチで同時に縦フレーム及び横フレームを固定でき、且つ、縦フレームの上端高さと前後方向の傾き及び横フレーム上のグリップ部の左右位置を調整して且つ同時固定ができるものを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、フレーム部とヘッドサポート部とから成り、車椅子のフレームに着脱自在に装着固定できるヘッドサポートにおいて、フレーム部は、その上部でヘッドサポート部を支持する縦フレームと、この縦フレームと交差する方向に配設された横フレームとから成り、この横フレームにはその両端部で車椅子のフレームに固定することができる固定部を備え、前記縦フレーム及び横フレームを共に固定することができるグリップ部を設け、当該グリップ部に備えた締付部による締付固定動作により前記縦フレーム及び横フレームの配設が共に固定され、更に前記グリップ部に設けた横方向軸を中心に当該グリップ部を回動させることにより前記縦フレームの前後方向角度が調整され、これにより、縦フレームの上端高さ及び前後方向角度、並びに横フレームにおけるグリップ部の左右位置が調整され、且つ、前記縦フレーム、前記横フレーム及び前記横方向軸が前記締付部により同時に固定されることを特徴とする車椅子用ヘッドサポートである。
【0007】
ここで、上記「縦フレームの前後方向角度」中の前後方向というのは、前記ヘッドサポートを車椅子に固定した状態で車椅子の進行方向を前とした前後方向を意味する。
【0008】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記グリップ部に設けた締付部が回動締付手段を使用し、当該締付部の端部に板状摘みを形成し、当該板状摘みを手指により回動して締付固定動作ができることを特徴とする車椅子用ヘッドサポートである。
【0009】
本発明の第3のものは、上記第2の発明において、前記板状摘みが前記グリップ部の側に折り畳むことができ、これによりグリップ部の締付部の回動がロックされることを特徴とする車椅子用ヘッドサポートである。
【0010】
本発明の第4のものは、上記第1の発明において、前記グリップ部の先端側で横フレームを保持し、前記グリップ部の手前側で縦フレームを保持し、前記横フレーム及び前記縦フレームの間に横方向軸が配設され、前記締付部によってこれらが同時に締付固定されることを特徴とする車椅子用ヘッドサポートである。
【0011】
本発明の第5のものは、上記第1乃至第4の発明において、前記縦フレームの上部とヘッドサポート部との連結部が自在ブラケットによる連結であって、これによりヘッドサポート部が上下左右自在に可動することを特徴とする車椅子用ヘッドサポートである。
【0012】
本発明の第6のものは、上記第1乃至第4の発明において、前記横フレームの両端部に前方に延長する腕部をそれぞれ設け、これらの腕部の前端部に車椅子のフレームに固定される前記固定部が設けられ、前記腕部の何れか一方の基端部が横フレームと回動自在に形成されていることを特徴とする車椅子用ヘッドサポートである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1のものにおいては、フレーム部とヘッドサポート部とから成り、車椅子のフレームに着脱自在に装着固定できるヘッドサポートであって、フレーム部はその上部でヘッドサポート部を支持する縦フレームと、この縦フレームと交差する方向に配設された横フレームとから成り、この横フレームにはその両端部で車椅子のフレーム部に固定することができる固定部を備え、前記縦フレーム及び横フレームを共に固定することができるグリップ部を設け、当該グリップ部に備えた締付部による締付固定動作により前記縦フレーム及び横フレームの配設が共に固定される。
更に、前記グリップ部に設けた横方向軸を中心に当該グリップ部を回動させることにより前記縦フレームの前後方向角度が調整されるのである。
以上の構成により、縦フレームの上端高さ及び前後方向角度、並びに横フレームにおけるグリップ部の左右位置が調整されて位置決めが行われ、且つ、前記縦フレーム、前記横フレーム及び前記横方向軸が前記締付部により同時に、つまりワンタッチで固定することができることとなるのである。
【0014】
本発明の第2のものにおいては、前記第1の発明において、前記グリップ部に設けた締付部が回動締付手段を使用し、当該締付部の端部に板状摘みを形成し、当該板状摘みを手指により回動して締付固定動作ができる。
即ち、このヘッドサポートを車椅子に装着する使用者は、前記板状摘みを指で把持して回動させて横フレームと縦フレーム、及び横方向軸を容易に同時に固定することができることとなる。
【0015】
本発明の第3のものにおいては、上記第2の発明において、前記板状摘みが前記グリップ部の側に折り畳むことができ、これによりグリップ部の締付部の回動がロックされるように構成したものであり、板状摘みを用いた回動締付動作の後に、この板状摘みをグリップ部の側に折り畳んでその回動をロックすることができることとなる。
【0016】
本発明の第4のものにおいては、上記発明における前記グリップ部の先端側で横フレームを保持し、前記グリップ部の手前側で縦フレームを保持し、前記横フレーム及び前記縦フレームの間に横方向軸が配設され、前記締付部によってこれらが同時に締付固定されることを明確に特定したものであって、横フレーム、縦フレーム、及び横方向軸の位置関係を具体的に特定したものである。
【0017】
本発明の第5のものにおいては、縦フレームの上部に連結されたヘッドサポートの連結手段が自在ブラケットによる連結であることを特定したものであり、利用者の頭部を支持し補佐するヘッドサポート部の自在の動きを許容するものである。
【0018】
本発明の第6のものにおいては、前記横フレームの両端部に前方に延長する腕部をそれぞれ設け、これらの腕部の前端部に車椅子のフレームに固定される前記固定部が設けられ、前記腕部の何れか一方の基端部が横フレームと回動自在に形成したものであり、例えば、車椅子を折り畳む際に、当該ヘッドサポートの横フレームの一方端を回動自在とすることにより、前記車椅子の折り畳み動作に際し、他方の固定部を分離して横フレームを後方に回動させて本発明に係るヘッドサポートが邪魔になることを防止したものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の車椅子用ヘッドサポートに係る一実施形態を斜め後方から見た全体斜視説明図である。
図2】上記実施形態に係るグリップ部の斜視説明図である。
図3】上記実施形態に係るグリップ部を示し、その(A)が側面説明図、その(B)が中央縦断面説明図である。
図4】上記実施形態に係るグリップ部を示し、その(A)が平面説明図、その(B)が中央横断面説明図の平面図である。
図5】上記実施形態に係るグリップ部が縦フレーム及び横フレームを締付固定している要部を示し、その(A)が全体図、その(B)は横方向軸を中心にグリップ部の後方側を下方に回動した状態を示し、その(C)は横方向軸を中心にグリップ部を上方側に回動した状態を示している。
図6】上記実施形態に係る締付部となる板状摘みの動きを示しており、その(A)が板状摘みを右側に折り畳んだ状態を示し、その(B)が板状摘みを左側に折り畳んだ状態を示し、その(C)は板状摘みの基端部の押圧状態を示している。
図7】上記実施形態に係るヘッドサポートの横フレームと一方の端部に設けた腕部の動きを示した説明図であって、その(A)が横フレームの両端部が車椅子の両側後方フレームに固定された状態を示し、その(B)が横フレームの一方端部が車椅子の後方フレームから分離された状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面と共に本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の車椅子用ヘッドサポートに係る一実施形態を斜め後方から見た全体斜視説明図である。
【0021】
本発明に係るヘッドサポートは、上端部にヘッドサポート部11が連結された縦フレーム12と、この縦フレーム12と略直角に交差する横フレーム13と、これら縦フレーム12及び横フレーム13とを共に固定することができるグリップ部14とから成る。
【0022】
上記グリップ部14においては、3つの軸を固定することができる。
即ち、上記縦フレーム12と横フレーム13とを支持し、且つ、縦フレーム12の前後方向角度を変更できる横方向軸15を備え、且つこれら3軸を固定することができる。
【0023】
換言すれば、上記縦フレーム12の縦軸と、上記横フレーム13の横軸と、前者の縦フレーム12の前後方向角度を変更する横方向軸15との3つの軸を保持し且つこれらの軸を締め付け固定できるグリップ部の役目を担っている。
【0024】
横フレーム13は、その左右横方向長さを調整することができる構造を有しており、金属製角パイプから成り、図示はしていない車椅子の後方両側の縦枠(縦フレーム)の間隔長さに対応することができる。
更に、この横フレーム13の両端部には前方方向に延長する延長腕部13u、13uが設けられ、当該延長腕部13u、13uの先端部には固定部13kがそれぞれ設けられ、これらの固定部13k、13kによって横フレーム13がその両端部で車椅子の後方両側フレームに固定される。
【0025】
固定部13kの構造は自由に設計することができ、従来の固定構造を利用することができる。
例えば、略コ字形状の枠体と螺子による固定や、コイルバネ等により付勢された押圧部による固定等々、各種の固定手段を利用できる。
【0026】
更に、この固定部13kの一方は、即ち、この実施形態では図中右側の固定部13kを車椅子の枠部と容易に着脱自在となるように構成している。
車椅子を折り畳む際に、この横フレーム13が車椅子の後方両側フレームに掛け渡されたままであると、折り畳むことができないからである。これを避けるために横フレーム13の一方の固定部13kは車椅子の枠部から容易に離脱可能に形成している。
上記横フレーム13は、上記グリップ部14の前方端部で保持され、固定される。
【0027】
他方、上記縦フレーム12は、上記グリップ部14の後方側の上下貫通孔を挿通するように配設され、その素材等も上記横フレーム13と同様に金属製角パイプを利用している。
その上端部側は、後方側に湾曲し、その後前方に湾曲し、その先端部にヘッドサポート部11が自在ブラケットを用いた連結部20により連結され、当該ヘッドレスト11は左右上下自在に可動する。
このヘッドサポート11の可動により、車椅子利用者の頭部の状況に合致させて調整でき、その調整後にこのヘッドサポート11の姿勢を固定できるロック手段を設けることもできる。
【0028】
上記縦フレーム12は、上記した通り、上記グリップ部14の後方側の上下貫通孔に配設されているが、この上下貫通孔と先端側の横フレーム13の保持部との間には、横方向軸15が設けられており、この横方向軸15を中心としてグリップ部14の後方側は上下に回動する構造となっている。
これにより縦フレーム13の前後方向角度を変更調整することができる。
【0029】
このグリップ部14の後端部には締付部16が設けられており、この締付部16を回動させることにより、上記縦フレーム12、横フレーム13、及び横方向軸15が締付固定されて同時にワンタッチで3軸が固定されるのである。
【0030】
より詳しくは、上記締付固定部16は板状摘みから成り、この板状摘みを回動させることによって上記縦フレーム12及び横フレーム13とが同時に固定され、更には縦フレーム12の前後方向角度も所定角度に固定されることとなるのである。
上記グリップ部14の構造については次の図2乃至図4により説明する。
【0031】
図2は、上記実施形態に係るグリップ部の斜視説明図である。
図3(A)は上記実施形態に係るグリップ部の側面説明図、図3(B)はその中央縦断面説明図である。
図4(A)は上記実施形態に係るグリップ部の平面説明図、図4(B)はその中央横断面説明図である。
【0032】
これら3図により本発明に係るグリップ部14について説明する。
このグリップ部14の本体部は、前後方向に長い形態を有し、その前方方向Fの先端部に横フレーム13を保持する横フレーム保持部21が設けられ、この横フレーム保持部21の後方側には横方向軸15が設けられ、この横方向軸15を軸芯として、このグリップ部14の後方部分が上方又は下方に回動する。
【0033】
上記横方向軸15の後方側には上下方向に貫通する貫通孔22が設けられ、この貫通孔22に縦フレーム12が挿通する。
従って、上記横方向軸15を回動軸としてグリップ部14の後方側を上方に回動すれば、縦フレーム12はその上部が前方に傾斜し、逆にグリップ部14の後方側を下方に回動すれば、縦フレーム12の上部は後方に傾斜する。
【0034】
上記グリップ部14の後方端部には、上記横フレーム13、縦フレーム12、及び上記横方向軸15の動きを固定するための締付部16が設けられており、この締付部16は板状摘みからなり、この板状摘みを右方向に回動すると上記縦フレーム12、横方向軸15、及び横フレーム13が同時に横方向(後方から前方へ)からの締め付けにより、これらすべてが同時に固定されるのである。
【0035】
即ち、上記締付部16は、螺子締付形式の回動締付手段を採用しており、この締付部16を右方向に回動することにより上記縦フレーム12、横方向軸15、及び横フレーム13が同時に横方向(後方側)から締め付けられ押圧されて同時に固定されることとなるのである。
【0036】
上記締付部16となる板状摘みは、その基端部でグリップ部の後端面に折り畳むことができるように形成し、この折り畳み動作により板状摘みの回動がロックされる構造を採用している。
即ち、板状摘みの前端部側のグリップ部14の後端部には弾性材料から成るパッキン16pを配設し、上記板状摘みの基端部の回動軸の偏心により板状摘みが折り畳まれた際に、上記パッキン16pが押圧されて板状摘みの締付押圧固定がロックされることとなるのである。
【0037】
図5は、上記実施形態に係るグリップ部が縦フレーム及び横フレームを締付固定している要部を示し、その(A)が全体図、その(B)は横方向軸を中心にグリップ部の後方側を下方に回動した状態を示し、その(C)は横方向軸を中心にグリップ部を上方側に回動した状態を示している。
【0038】
これらの図から良く解る通り、グリップ部14は、横フレーム13及び縦フレーム12を保持し、締付固定し、横方向軸15を回動中心として縦フレーム12の前後方向角度を変更調整して規定し、締め付け固定することができるものである。
【0039】
図6は、上記実施形態に係る締付部となる板状摘みの動きを示しており、その(A)が板状摘みを右側に折り畳んだ状態を示し、その(B)が板状摘みを左側に折り畳んだ状態を示し、その(C)は板状摘みの基端部の押圧状態を示している。
【0040】
これらの図から、上記実施形態に係る締付部16となる板状摘みの動きが見て取れる。
この板状摘み16は、その基端部の回動軸16jを中心として回動可能で、何れの側にも折り畳むことができる。
【0041】
その基端部の回動軸16jが楕円形状の回動中心となっており、その中心が偏心した位置に位置するため、この板状摘み16を何れか一方の側に折り畳むと、グリップ部14の後方端部側に位置するパッキン16pを押圧し、締付部16の締付固定がロック状態となる。
このように、本実施形態においてはワンタッチでグリップ部14が横フレーム13、縦フレーム12、及び横方向軸15が締付固定されるのである。
【0042】
図7は、上記実施形態に係るヘッドサポートの横フレームと一方の端部に設けた腕部の動きを示した説明図であって、その(A)が横フレームの両端部が車椅子の両側後方枠に固定された状態を示し、その(B)が横フレームの一方端部が車椅子の後方枠部から分離された状態を示している。
尚、図では車椅子のフレームを仮想線(二点鎖線)で示すべきところ、破線で示している。
【0043】
既に説明した通り、上記横フレーム13の両端部には前方に延長する延長腕部13u、13uがそれぞれ設けられており、これらの延長腕部13uの前端部には固定部13kが設けられている。
これら延長腕部の一方の延長腕部13u、図7では後方から見て左側の延長腕部13uの基端連結部13sを回動自在に形成している。
【0044】
これにより、横フレーム13の他方の延長腕部13uの固定部13kの固定を解除したのち、この横フレーム13を上記基端連結部13sを中心にして右回りに回動させることにより、横フレーム13の他方端部分(図では右方端部分)を後方方向に回動させることができることとなる。
尚、この実施形態においては、上記他方端部分である右側の延長腕部13uの基端部と横フレーム13との連結部を着脱自在構造としているが、単に固定部13kを車椅子のフレームKwから分離させるだけでもよい。
【0045】
これによって、車椅子が折り畳まれる(左右のフレームが重ね合わされるように折り畳まれる)場合に際して、本発明に係るヘッドサポートの横フレーム13が邪魔にならず、上記車椅子の折り畳み動作に対して干渉しないようにすることができるのである。
【0046】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明においては以下の通り種々設計変更することができる。
上記実施形態においては、縦フレーム及び横フレームは金属製角パイプを用いたが、丸パイプであっても、断面楕円形状のものであってもよいし、管体でなく棒状体のものであってもよい。
上記実施形態では、グリップ部も金属製であるが、それぞれ硬質プラスチックを採用することも可能である。
また、その寸法等に関しても適宜必要に応じて設計変更することができる。
【0047】
縦フレームの上方部分の湾曲形状も適宜自由に設計変更することができる。
ヘッドサポート部は、必ずしも縦フレームの上端でなくともよく、その上端部から少し下の部位に設けることも可能である。
【0048】
ヘッドサポート部の外形形状も自由に設計することができる。
ヘッドサポート部は、縦フレームの上方に自在ブラケットやユニバーサルジョイント等により連結され、左右上下に自由に可動であるが、その動作を一時的にロックできる構造を採用することもできる。
【0049】
つまり、ロックボタンを手により押下(ロック解除)して、利用者の頭部に適合させるべく、ヘッドサポートの姿勢を変更し調整し、最適状態とした後にロックボタンから手を離し、利用者の状況に合致した状態でロック状態を維持できる構成とすることも容易である。
【0050】
横フレームに関しても、上記した通り、その長手方向長さを長短自在に変更できる構成とすることも可能である。
具体的には、一方のパイプを他方のパイプ内に収納できる構造として、適宜長さで螺子等による固定手段を利用することによって長短自在に設定することができる。
【0051】
横フレームの両端部の延長腕部の長さも自由に設定することができる。
当該延長腕部の先端部に設けた固定部に関しても自由に設計変更することができる。
【0052】
締付部に関しても、上記実施形態では側面視半楕円形状の板状摘みを用いたが、通常のノブ形状(握り形状)の締付手段を採用することも自由であり、その際には別のロック部を設けることが極めて好ましい。
【0053】
以上、本発明においては、車椅子の両側後方部に配設された左右の両フレームに容易に取り付け固定することができ、車椅子利用者の頭部の態勢を適切に支持補佐でき、且つ、その中心的構成部材となる縦フレーム及び横フレーム、並びに縦フレームの前後方向角度を規定するための横方向軸の3つの軸を一つの締付固定動作によって固定できるグリップ部を採用した車椅子用ヘッドサポートを提供することができたものである。
【符号の説明】
【0054】
11 ヘッドサポート部
12 縦フレーム
13 横フレーム
13u 延長腕部
13k 固定部
13s 基端連結部
14 グリップ部
15 横方向軸
16 締付部(板状摘み)
16j 回動軸
16p パッキン
20 連結部
21 横フレーム保持部
22 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7