(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117264
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】火災感知器用アダプタ
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20240822BHJP
G08B 17/10 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
G08B17/00 G
G08B17/00 C
G08B17/10 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023263
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 康之
【テーマコード(参考)】
5C085
5G405
【Fターム(参考)】
5C085AA01
5C085AA03
5C085AA07
5C085AB09
5C085BA33
5C085CA04
5C085CA19
5C085CA26
5C085FA13
5G405AA01
5G405AB01
5G405AB02
5G405AB03
5G405AC07
5G405AD02
5G405CA05
5G405CA19
5G405CA36
5G405FA07
(57)【要約】
【課題】本発明は、設置場所の美観を損ねず、気流の流入の妨げになることなく、火災感知器を取り付ける現場環境のデータを取得することを課題とする。
【解決手段】本発明の火災感知器用アダプタ熱検知器は、火災感知器が取付可能であり、前記火災感知器が取り付け可能な感知器ベースを介して設置面に取り付けられる火災感知器用アダプタであって、前記感知器ベースに取付可能なベース取付部と、前記火災感知器を取付可能な感知器取付部と、を備えるとともに、前記火災感知器における感知センサの感知対象と異なる環境因子を測定する環境センサと、前記環境センサの出力を環境データとする制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災感知器が取付可能であり、前記火災感知器が取り付け可能な感知器ベースを介して設置面に取り付けられる火災感知器用アダプタであって、
前記感知器ベースに取付可能なベース取付部と、
前記火災感知器を取付可能な感知器取付部と、を備えるとともに、
前記火災感知器における感知センサの感知対象と異なる環境因子を測定する環境センサと、
前記環境センサの出力を環境データとする制御部と、を備えた、
ことを特徴とする火災感知器用アダプタ。
【請求項2】
前記環境センサと前記制御部を駆動させるためのバッテリーを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載された火災感知器用アダプタ。
【請求項3】
前記環境データを、外部へ送信する送信部を備えた、
ことを特徴とする請求項1または2に記載された火災感知器用アダプタ。
【請求項4】
記憶部を有し、
前記環境データを前記記憶部に記憶し、
外部から送信要求されると、前記送信部から前記環境データを送信する、
ことを特徴とする請求項3に記載された火災感知器用アダプタ。
【請求項5】
前記火災感知器の前記感知センサによる感知データと、前記環境データを用いて火災検知を行う、
ことを特徴とする請求項1または2に記載された火災感知器用アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災感知器に用いる火災感知器用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
火災監視する建物内に設置された火災感知器において、異常や不具合、非火災報が発生した場合などに、火災感知器の設置現場の環境調査を行うことがある。環境調査では、一定期間、火災感知器の近傍に環境を測定するセンサを配置し、温度や湿度など、設置場所の環境のわかるデータを取得する。例えば、浴室付近などでは温度や湿度が通常の室内よりも高いデータが取得される。
【0003】
一方、火災感知器における煙感知器等は、特許文献1に示されるように、天井等に取り付けられた感知器ベースの係止片を、火災感知器に設けた接続バネが挟むように火災感知器を回転させて、感知器ベースに火災感知器を取り付けるものが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
火災感知器の設置場所における現場環境の調査を行うためには、調査機器を火災感知器の近傍に別途設置する必要があり、感知器への気流の流入の妨げや、設置場所の美観を損ねる可能性があった。
本発明は、設置場所の美観を損ねず、気流の流入の妨げになることなく、火災感知器を取り付ける現場環境のデータを取得することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態における火災感知器用アダプタは、火災感知器が取付可能であり、前記火災感知器が取り付け可能な感知器ベースを介して設置面に取り付けられる火災感知器用アダプタであって、前記感知器ベースに取付可能なベース取付部と、前記火災感知器を取付可能な感知器取付部と、を備えるとともに、前記火災感知器における感知センサの感知対象と異なる環境因子を測定する環境センサと、前記環境センサの出力を環境データとする制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、設置場所の美観を損ねず、気流の流入の妨げになることなく、火災感知器を取り付ける現場の環境データを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】天井板に設置した実施例1の火災感知器用アダプタの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図7に、火災感知器1の従来の天井板Cへの設置状態を示す。
図7は側面図である。従来は、天井板Cに感知器ベース2が固定され、感知器ベース2に火災感知器1が着脱可能に取り付けられる。火災感知器1と感知器ベース2の取付部の外周は円形であり、感知器ベース2に火災感知器1を押しあてて捻じるように回転させることにより、感知器ベース2の係止片(図示せず)と火災感知器1に設けられた接続バネ(図示せず)が嵌合し取り付けが行われる。また、火災感知器1を逆方向に回転することにより、接続バネと係止片の嵌合が解消し火災感知器1を感知器ベース2から取り外すことができる。
【実施例0010】
図1に、実施例1の火災感知器用アダプタ3を設置した状態の側面図を示す。感知器ベース2は従来例と同様に天井板Cに固定されている。そして、感知器ベース2に火災感知器用アダプタ3を着脱可能に取り付け、火災感知器用アダプタ3に火災感知器1を着脱可能に取り付けている。感知器ベース2と火災感知器用アダプタ3の間の取付構造は、従来例における感知器ベース2と火災感知器1の取付構造と同じである。また、火災感知器用アダプタ3と火災感知器1の間の取付構造も、従来例の構造と同じである。
図1および後述する
図3において、火災感知器用アダプタ3の天井板Cに近い、感知器ベース2と接する面は、ベース取付部3bとして、火災感知器1と同様の接続バネが設けられている。また、火災感知器用アダプタ3の天井板Cから遠い、火災感知器1と接する面は、感知器取付部3aとして、感知器ベース2と同様の係止片が設けられている。従来の感知器ベース2と火災感知器1の間に、火災感知器用アダプタ3を挟み、重なるような状態で設置することができるので、火災感知器1の周囲に環境測定器具を設ける場合よりも、火災感知器1への気流の流入を妨げることがない。火災感知器用アダプタ3は、火災感知器1が取付可能であり、火災感知器1が取り付け可能な感知器ベース2を介して設置面に取り付けられる。
【0011】
図1に示すように、火災感知器用アダプタ3は、火災感知器1や感知器ベース2と同じ半径の、略円柱の形状をしている。前述のとおり、火災感知器用アダプタ3は、火災感知器1および感知器ベース2と重なるようにして設置されることから、火災感知器1の外形内で収まる形状であるため、設置場所へ与える意匠性の影響が少ない。
【0012】
また、火災感知器用アダプタ3は、外周側面を形成する円筒壁37に設けられた複数の開口部38から気流を流入させる。
図1の天井板Cへの取り付け状態における、火災感知器用アダプタ3の下面図を
図2に示す。
図2は、火災感知器1が取り付けられる感知器取付部3aの方向から見た図である。火災感知器用アダプタ3の下面は円筒壁37に囲まれて窪んでおり、環境センサと火災感知器1の接続バネに挟まれる係止片39が設けられている。環境センサは、火災感知器1における感知センサ11の感知対象と異なる環境因子を測定できるセンサであり、1または複数設けられる。複数設ける場合は、それぞれ異なる環境因子を測定できるセンサを設けることが好ましい。
図2の例では、中心付近に3種類の環境センサが1つずつ設けられている。
【0013】
実施例1の環境センサは、温度センサ31、湿度センサ32、加速度センサ33である。火災感知器1は煙感知器であって煙の散乱光を測定する。環境センサは、煙の散乱光と異なる環境因子である温度、湿度、加速度を測定する。設置された火災感知器1の近傍の空気は
図1に示した開口部38から、
図2に示す火災感知器用アダプタ3の中へ流入し、温度が温度センサ31により計測され、湿度が湿度センサ32により計測される。また、火災感知器1に伝わる振動が加速度センサ33により計測される。
【0014】
図3に、実施例1における火災感知器用アダプタ3の接続図を示す。火災感知器用アダプタ3は、感知器取付部3aに火災感知器1が取り付けられ、ベース取付部3bが感知器ベース2に取り付けられる。そして、火災感知器1の感知センサ11へ繋がる配線は、火災感知器用アダプタ3を通過して感知器ベース2に接続している。
図3の楕円は、係止片と接続バネによる取り外し可能な接続部を示す。
【0015】
火災感知器用アダプタ3には、環境センサである温度センサ31、湿度センサ32、加速度センサ33が設けられており、各々の環境センサは制御部34に接続している。また、制御部34は送信部36に接続している。送信部36は無線LANにより環境データを送信する。送信された環境データは、インターネット経由で火災感知器1を管理する管理サーバ(図示せず)に送信される。そして、火災感知器1の劣化を予測するためのデータ等として用いられる。実施例1では、火災感知器用アダプタ3の環境センサや制御部34等は火災感知器1に接続する配線に繋がっていない。
【0016】
温度センサ31、湿度センサ32、加速度センサ33、制御部34、送信部36は、火災感知器用アダプタ3に搭載されているバッテリー35により駆動する。火災感知器1の電源電圧を用いず、火災感知器用アダプタ3にバッテリー35を設けることで、火災感知器用アダプタ3の駆動用に火災受信機から新たに電圧の供給を受ける必要がない。
【0017】
<変形例1>
図4に、実施例1の変形例である変形例1の、火災感知器用アダプタ4の下面図を示す。変形例1では、環境センサである温度センサ41、湿度センサ42、加速度センサ43が2つずつ設けられている。火災感知器用アダプタ4は、
図1に示す実施例1の火災感知器用アダプタ3の開口部38と同様に、火災感知器用アダプタ4の外周に開口部を有している。そして、温度センサ41、湿度センサ42、加速度センサ43は、開口部に近い位置として円筒壁47の近傍に設けられている。このように各センサを複数設ける場合は、対向する配置や離間した配置で設けることで、流入する気流の方向によるデータへの影響を軽減することができる。
図4の例では、2つの温度センサ41は火災感知器用アダプタ4の下面において、離れた位置に設けられている。湿度センサ42、加速度センサ43も同様である。そのため、実施例1と同様に火災感知器用アダプタ4の外周に設けた開口部を通って、外の空気が環境センサに到達し易い。なお、変形例1では、空気を計測しない加速度センサは、2箇所に設ける必要がなければ1つだけにしてもよい。
火災感知器用アダプタ5には、環境センサである温度センサ51、湿度センサ52、ガスセンサ53が設けられており、各々の環境センサは制御部54に接続している。ガスセンサ53は、二酸化炭素濃度を計測する。また、制御部54は火災感知器1に繋がる配線に接続している。環境センサは、火災感知器1における感知センサ11の感知対象と異なる環境因子を測定する。火災感知器1は煙感知器であって煙の散乱光を測定する。環境センサは、煙の散乱光と異なる環境因子である温度、湿度、二酸化炭素濃度を測定する。
感知センサ11から出力する感知データは、制御部54に入力される。制御部54では、環境センサにより計測した温度、湿度、二酸化炭素濃度の環境データにより、感知データを補正し、感知器ベース2を介して火災受信機(図示せず)に送信する。このように、火災感知器1の感知センサ11による感知データと、火災感知器用アダプタ5による環境データを用いて火災検知を行うことにより、設置場所の環境調査としてだけでなく、非火災報が生じやすい場合は閾値を制御するなどして非火災報を抑制し、確実な火災報を報知することができる。
実施例2においても、実施例1と同様に、温度センサ51、湿度センサ52、ガスセンサ53、制御部54は、火災感知器用アダプタ5に搭載されているバッテリー55により駆動する。また、実施例2においても、環境センサを複数設ける場合は、火災感知器用アダプタ5の外周に設けた開口部の近傍に配置することにより、気流の流入の方向性を軽減し、迅速で正確な補正を行うことができる。