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特開2024-117265情報処理装置及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117265
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/07 20060101AFI20240822BHJP
   G06F 11/34 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
G06F11/07 178
G06F11/07 140J
G06F11/34 176
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023265
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊池 敏次
(72)【発明者】
【氏名】梅田 滉大
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 究
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042GA11
5B042KK07
5B042MA08
5B042MA09
5B042MC40
(57)【要約】
【課題】プロセッサとサブプロセッサとを接続するプロセッサ間通信線を流れるデータの量を抑制しつつ、且つ、サブプロセッサの製品寿命が短くなることを抑制しつつ、サブプロセッサの動作に異常が生じたときのサブプロセッサのログ情報を確実に取得する。
【解決手段】情報処理装置10は、プロセッサ12と、プロセッサ間通信線16によりプロセッサ12に接続されたサブプロセッサ14と、サブプロセッサ14に接続された内部RAM18と、プロセッサ間通信線16及び分岐線28を介してサブプロセッサ14に接続されたログ管理メモリ26とを備える。サブプロセッサ14の動作が、サブプロセッサ14の動作に異常を生じさせ易い所定の条件を満たした場合に、サブプロセッサ14の動作状況を示すログ情報の出力先が、内部RAM18からログ管理メモリ26に切り替えられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、
プロセッサ間通信線により前記プロセッサと通信可能に接続されたサブプロセッサと、
前記サブプロセッサと通信可能に接続されたサブメモリと、
前記プロセッサ間通信線を介して、前記プロセッサ及び前記サブプロセッサと通信可能に接続されたログ管理メモリと、
を備え、
前記サブプロセッサの動作が、前記サブプロセッサの動作に異常を生じさせ易い所定の条件を満たした場合に、前記サブプロセッサから出力される前記サブプロセッサの動作状況を示すログ情報の出力先が、前記サブメモリから前記ログ管理メモリに切り替えられる、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記所定の条件とは、前記サブプロセッサがスリープ状態への移行を開始する場合、前記サブプロセッサがスリープ状態からの復帰を開始する場合、前記サブプロセッサがファームウェアの更新処理を開始する場合、又は、前記サブプロセッサに所定の負荷以上の負荷が掛かる場合の少なくとも1つである、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記サブプロセッサは、前記プロセッサを経由せずに、前記ログ情報を前記ログ管理メモリへ記憶させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記サブプロセッサと前記サブメモリの組み合わせは複数設けられ、
前記所定の条件を満たす前記サブプロセッサの前記ログ情報は、前記ログ管理メモリに出力され、
動作状態が前記所定の条件を満たさない前記サブプロセッサの前記ログ情報は、自身に接続された前記サブメモリに出力される、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記サブプロセッサと前記サブメモリの組み合わせは複数設けられ、
前記プロセッサは、複数の前記サブプロセッサのうち第1サブプロセッサの動作に異常が生じた場合、複数の前記サブプロセッサのうち前記第1サブプロセッサとは異なる第2サブプロセッサに接続された前記サブメモリに記憶された、前記第2サブプロセッサについての前記ログ情報を不揮発性メモリに記憶させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサの動作に異常が生じたことを検出する異常検知部と、
をさらに備え、
前記異常検知部は、前記プロセッサの動作に異常が生じた場合、前記サブプロセッサに接続された前記サブメモリに記憶された、当該サブプロセッサについての前記ログ情報を不揮発性メモリに記憶させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記ログ管理メモリから前記ログ情報を読み出して不揮発性メモリに記憶させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
プロセッサと、
プロセッサ間通信線により前記プロセッサと通信可能に接続されたサブプロセッサと、
前記サブプロセッサと通信可能に接続されたサブメモリと、
前記プロセッサ間通信線を介して、前記プロセッサ及び前記サブプロセッサと通信可能に接続されたログ管理メモリと、
を備えるコンピュータに、
前記サブプロセッサの動作が、前記サブプロセッサの動作に異常を生じさせ易い所定の条件を満たした場合に、前記サブプロセッサから出力される前記サブプロセッサの動作状況を示すログ情報の出力先を、前記サブメモリから前記ログ管理メモリに切り替えさせる、
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置においては、プロセッサなどのデバイスの動作状況を示すログ情報を取得することが行われている。
【0003】
例えば特許文献1には、メインCPU及びサブCPUを有する画像形成装置であって、ユーザによってログ取得モードが選択された場合に、メインCPUに代わってサブCPUが、メインCPUのログ情報を取得する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-006389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、プロセッサと、1又は複数のサブプロセッサとを含む情報処理装置がある。このような情報処理装置においては、プロセッサの動作状況を示すログ情報のみならず、サブプロセッサの動作状況を示すログ情報が取得される場合がある。ここで、サブプロセッサのログ情報として特に取得したいログ情報は、サブプロセッサの動作に異常が生じた場合のログ情報である。
【0006】
サブプロセッサについてのログ情報を、当該サブプロセッサと通信可能に接続された揮発性メモリに記憶させることが考えられるが、そのようにすると、サブプロセッサの動作に異常が生じて、サブプロセッサ及び当該揮発性メモリをリセットすると、ログ情報が消去されてしまうという問題が生じ得る。また、サブプロセッサと通信可能に接続された不揮発性メモリを用意して、当該サブプロセッサのログ情報を当該不揮発性メモリに記憶させることも考えられるが、不揮発性メモリには寿命(書き込み回数寿命)があり、常にログ情報を不揮発性メモリに記憶させると、当該不揮発性メモリ(ひいては当該サブプロセッサ)の製品寿命を保証することが困難になるという問題が生じ得る。
【0007】
また、ログ管理メモリを別途設け、サブプロセッサのログ情報を当該ログ管理メモリに記憶させるようにすることが考えられる。このようにすれば、サブプロセッサの動作に不具合が生じた場合でも、サブプロセッサ(及びそれに接続された揮発性メモリ)をリセットしても、ログ管理メモリをリセットしなければ、サブプロセッサの動作に異常が生じたときの当該サブプロセッサのログ情報を残しておくことができる。
【0008】
ここで、サブプロセッサは、プロセッサと通信するために、プロセッサ間通信線によってプロセッサと接続されてはいるものの、サブプロセッサのピン数や回路規模などの制約から、サブプロセッサからはそれほど多くの通信線(信号線)を引き出せないという事情がある。したがって、サブプロセッサのログ情報を、サブプロセッサからプロセッサ間通信線を経由して、ログ管理メモリに記憶させざるを得ない場合がある。この場合、サブプロセッサのログ情報を、常時、プロセッサ間通信線を経由してログ管理メモリに記憶させるならば、プロセッサ間通信線を流れるデータの量が多くなり、本来必要なプロセッサとサブプロセッサとの間の通信を妨げてしまうおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、プロセッサとサブプロセッサとを接続するプロセッサ間通信線を流れるデータの量を抑制しつつ、且つ、サブプロセッサの製品寿命が短くなることを抑制しつつ、サブプロセッサの動作に異常が生じたときのサブプロセッサのログ情報を確実に取得することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、プロセッサと、プロセッサ間通信線により前記プロセッサと通信可能に接続されたサブプロセッサと、前記サブプロセッサと通信可能に接続されたサブメモリと、前記プロセッサ間通信線を介して、前記プロセッサ及び前記サブプロセッサと通信可能に接続されたログ管理メモリと、を備え、前記サブプロセッサの動作が、前記サブプロセッサの動作に異常を生じさせ易い所定の条件を満たした場合に、前記サブプロセッサから出力される前記サブプロセッサの動作状況を示すログ情報の出力先が、前記サブメモリから前記ログ管理メモリに切り替えられる、ことを特徴とする情報処理装置である。
請求項2に係る発明は、前記所定の条件とは、前記サブプロセッサがスリープ状態への移行を開始する場合、前記サブプロセッサがスリープ状態からの復帰を開始する場合、前記サブプロセッサがファームウェアの更新処理を開始する場合、又は、前記サブプロセッサに所定の負荷以上の負荷が掛かる場合の少なくとも1つである、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項3に係る発明は、前記サブプロセッサは、前記プロセッサを経由せずに、前記ログ情報を前記ログ管理メモリへ記憶させる、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項4に係る発明は、前記サブプロセッサと前記サブメモリの組み合わせは複数設けられ、前記所定の条件を満たす前記サブプロセッサの前記ログ情報は、前記ログ管理メモリに出力され、動作状態が前記所定の条件を満たさない前記サブプロセッサの前記ログ情報は、自身に接続された前記サブメモリに出力される、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項5に係る発明は、前記サブプロセッサと前記サブメモリの組み合わせは複数設けられ、前記プロセッサは、複数の前記サブプロセッサのうち第1サブプロセッサの動作に異常が生じた場合、複数の前記サブプロセッサのうち前記第1サブプロセッサとは異なる第2サブプロセッサに接続された前記サブメモリに記憶された、前記第2サブプロセッサについての前記ログ情報を不揮発性メモリに記憶させる、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項6に係る発明は、前記プロセッサの動作に異常が生じたことを検出する異常検知部と、をさらに備え、前記異常検知部は、前記プロセッサの動作に異常が生じた場合、前記サブプロセッサに接続された前記サブメモリに記憶された、当該サブプロセッサについての前記ログ情報を不揮発性メモリに記憶させる、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項7に係る発明は、前記プロセッサは、前記ログ管理メモリから前記ログ情報を読み出して不揮発性メモリに記憶させる、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項8に係る発明は、プロセッサと、プロセッサ間通信線により前記プロセッサと通信可能に接続されたサブプロセッサと、前記サブプロセッサと通信可能に接続されたサブメモリと、前記プロセッサ間通信線を介して、前記プロセッサ及び前記サブプロセッサと通信可能に接続されたログ管理メモリと、を備えるコンピュータに、前記サブプロセッサの動作が、前記サブプロセッサの動作に異常を生じさせ易い所定の条件を満たした場合に、前記サブプロセッサから出力される前記サブプロセッサの動作状況を示すログ情報の出力先を、前記サブメモリから前記ログ管理メモリに切り替えさせる、ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の効果】
【0011】
請求項1、2、又は8に係る発明によれば、プロセッサとサブプロセッサとを接続するプロセッサ間通信線を流れるデータの量を抑制しつつ、且つ、サブプロセッサの製品寿命の低下を抑制しつつ、サブプロセッサの動作に異常が生じたときのサブプロセッサのログ情報を確実に取得することができる。
請求項3又は6に係る発明によれば、プロセッサの動作に異常が生じている場合であっても、ログ情報をログ管理メモリに記憶させることができる。
請求項4に係る発明によれば、サブプロセッサ毎に、ログ情報の出力先を切り替えることができる。
請求項5に係る発明によれば、第1サブプロセッサの動作に異常が生じた場合における、第2サブプロセッサのログ情報を確実に取得することができる。
請求項6に係る発明によれば、プロセッサの動作に異常が生じた場合における、サブプロセッサのログ情報を確実に取得することができる。
請求項7に係る発明によれば、ログ管理メモリをリセットした後にもログ情報を残しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る情報処理装置の構成概略図である。
図2】本実施形態に係る情報処理装置の処理の流れを示す第1のフローチャートである。
図3】本実施形態に係る情報処理装置の処理の流れを示す第2のフローチャートである。
図4】本実施形態に係る情報処理装置の処理の流れを示す第3のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置10の構成概略図である。本実施形態では、情報処理装置10は、例えば複合機などの画像処理装置であるが、情報処理装置10としては、以下に説明する機能を発揮可能な限りにおいてどのような装置であってもよい。
【0014】
プロセッサ12は、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit))などから構成される。プロセッサ12としては、1つの処理装置によるものではなく、物理的に離れた位置に存在する複数の処理装置の協働により構成されるものであってもよい。
【0015】
本実施形態では、プロセッサ12は、メインチップセットMC内に設けられている。なお、チップセットとは、ある機能を実現するための1又は複数の集積回路を意味する。
【0016】
プロセッサ12は、後述のサブプロセッサ14と協働することによって、情報処理装置10が有する各種機能を実現するための処理を実行する。例えば、本実施形態では、情報処理装置10は画像処理装置であるため、プロセッサ12は、サブプロセッサ14との協働により、プリント処理、スキャン処理、コピー処理、あるいはFAX送信処理などの各種処理を実行する。
【0017】
また、プロセッサ12は、プロセッサ12の動作状況を示すログ情報を、後述するログ管理メモリ26に出力することができる。これにより、ログ管理メモリ26にプロセッサ12のログ情報が記憶される。
【0018】
また、詳しくは後述するが、プロセッサ12は、自身が正常に動作している限りにおいて、後述の異常検知プロセッサ30に対して、定期的に初期化信号を送信する。あるいは、プロセッサ12は、サブプロセッサ14の動作に異常が生じたことを検知した場合、サブプロセッサ14の動作に異常が生じたことを示す異常信号を異常検知プロセッサ30に送信する。なお、プロセッサ12は、サブプロセッサ14の動作に異常が生じていないかどうかを監視するための動作確認情報をサブプロセッサ14に対して定期的に送信する。サブプロセッサ14は、動作確認情報を受信すると、それに対応する応答をプロセッサ12に送信する。プロセッサ12は、サブプロセッサ14から応答があれば、当該サブプロセッサ14の動作に異常が生じていない、と判定し、動作確認情報を送信してから所定時間以内にサブプロセッサ14から応答が無ければ、サブプロセッサ14の動作に異常が生じていることを検知することができる。
【0019】
サブプロセッサ14も、プロセッサ12同様、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPUなど)などから構成される。サブプロセッサ14も、1つの処理装置によるものではなく、物理的に離れた位置に存在する複数の処理装置の協働により構成されるものであってもよい。なお、サブプロセッサ14は、プロセッサ12に比して、その処理能力が小さいものであってよい。
【0020】
サブプロセッサ14は、サブメモリとしての内部RAM(Random Access Memory)18、及び、内部ROM(Read Only Memory)20と通信可能に接続されている。内部RAM18は、電源の供給が絶たれてると記憶した情報が消去される揮発性メモリであり、内部ROM20は、電源の供給が絶たれても記憶した情報が消去されない不揮発性メモリである。
【0021】
本実施形態では、サブプロセッサ14、内部RAM18、及び、内部ROM20は、メインチップセットMCとは異なるチップセットであるサブチップセットSC内に設けられている。
【0022】
メインチップセットMCとサブチップセットSC(具体的には、プロセッサ12とサブプロセッサ14)は、プロセッサ間通信線16によって、互いに通信可能に接続される。これにより、サブプロセッサ14は、プロセッサ12と協働して(プロセッサ12との間で通信を行うことによって)、情報処理装置10が有する各種機能を実現するための処理を実行する。
【0023】
本実施形態では、サブチップセットSC(つまりサブプロセッサ14、内部RAM18、及び内部ROM20の組み合わせ)は、複数設けられる。上述のように、サブプロセッサ14は、プロセッサ12との協働によって、情報処理装置10が有する各種機能を実現するための処理を実行するところ、サブチップセットSCは、情報処理装置10が有する各機能に応じて設けられる。
【0024】
例えば、情報処理装置10に設けられる複数のサブチップセットSCとしては、画像取得処理を行うスキャナ装置などのIIT(Image Input Terminal)を制御することでスキャン機能やコピー機能を発揮させるIIT用のサブチップセットSCや、画像形成処理を行うプリント装置などのIOT(Image Output Terminal)を制御することでプリント機能やコピー機能を発揮させるIOT用のサブチップセットSCなどがある。もちろん、サブチップセットSCとしてはこれらには限られず、例えば、FAX送信処理の制御を行うサブチップセットSC、ユーザインターフェースの制御を行うサブチップセットSC、あるいは、情報処理装置10に人が近づいたことに基づいてスリープ状態から自動復帰する制御を行うサブチップセットSCなどがある。なお、情報処理装置10のスリープ状態とは、省電力のために情報処理装置10の大部分の機能を停止させている状態である。
【0025】
複数のサブチップセットSCにおいて、情報処理装置10の動作(情報処理装置10がどの機能を発揮するか)に応じて、動作するサブチップセットSCと、動作しないサブチップセットSCとに分けられる場合がある。例えば、上述の例の場合、情報処理装置10がスキャン処理を行う場合には、IIT用のサブチップセットSCは動作するが、IOT用のサブチップセットSCは動作する必要がない。この場合、仮に両サブチップセットSCがスリープ状態であったならば、IIT用のサブチップセットSCはスリープ状態から復帰する必要があるが、IOT用のサブチップセットSCはスリープ状態から復帰する必要がない。なお、サブチップセットSCのスリープ状態とは、省電力のためにサブチップセットSCの大部分の機能を停止させている状態である。一方、情報処理装置10がプリント処理を行う場合には、IOT用のサブチップセットSCは動作するが、IIT用のサブチップセットSCは動作する必要がない。この場合、仮に両サブチップセットSCがスリープ状態であったならば、IOT用のサブチップセットSCはスリープ状態から復帰する必要があるが、IIT用のサブチップセットSCはスリープ状態から復帰する必要がない。さらに、情報処理装置10がコピー処理を行う場合には、IIT用のサブチップセットSC、及び、IOT用のサブチップセットSCの両方が動作する必要がある。この場合、仮に両サブチップセットSCがスリープ状態であったならば、IIT用のサブチップセットSC及びIOT用のサブチップセットSCの両方がスリープ状態から復帰する必要がある。
【0026】
サブプロセッサ14は、サブプロセッサ14の動作状況を示すログ情報を、同サブチップセットSC内にある内部RAM18に出力する。これにより、内部RAM18にサブプロセッサ14のログ情報が記憶される。また、サブプロセッサ14は、後述するログ管理メモリ26にログ情報を出力することができる。これにより、ログ管理メモリ26にサブプロセッサ14のログ情報が記憶される。さらに、サブプロセッサ14は、内部RAM18に記憶されたログ情報を、同サブチップセットSC内にある内部ROM20に記憶させる(コピー又は移動)ことができる。サブプロセッサ14のログ情報の出力先の切り替え処理の詳細については後述する。
【0027】
なお、情報処理装置10は、1つのサブチップセットSC(すなわち1つのサブプロセッサ14)を有するようにしてもよい。
【0028】
メモリ22は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、eMMC(embedded Multi Media Card)、あるいはROM(Read Only Memory)などを含んで構成される。メモリ22は不揮発性メモリである。メモリ22には、情報処理装置10の各部を動作させるための情報処理プログラムが記憶される。なお、情報処理プログラムは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ又はCD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体に格納することもできる。プロセッサ12又はサブプロセッサ14は、そのような記憶媒体から情報処理プログラムを読み取って実行することができる。
【0029】
ログ管理プロセッサ24は、汎用的なプロセッサ(例えばCPUなど)などから構成される。ログ管理プロセッサ24は、プロセッサ12のログ情報、及び、サブプロセッサ14のログ情報の取得及び管理に関する処理を行う。
【0030】
ログ管理メモリ26は、プロセッサ12の動作状況を示すログ情報、及び、サブプロセッサ14の動作状況を示すログ情報を記憶する揮発性メモリである。本実施形態では、ログ管理メモリ26は揮発性メモリである。ログ管理メモリ26は、ログ管理プロセッサ24と通信可能に接続されている。
【0031】
本実施形態では、ログ管理プロセッサ24及びログ管理メモリ26は、メインチップセットMC及びサブチップセットSCとは異なるチップセットであるログ管理チップセットLC内に設けられている。
【0032】
メインチップセットMCとログ管理チップセットLC(具体的には、プロセッサ12と、ログ管理プロセッサ24及びログ管理メモリ26)は、互いに通信可能に接続される。
【0033】
サブチップセットSCとログ管理チップセットLC(具体的には、サブプロセッサ14と、ログ管理プロセッサ24及びログ管理メモリ26)も、プロセッサ間通信線16を介して、互いに通信可能に接続される。具体的には、図1に示すように、プロセッサ間通信線16から分岐した分岐線28がログ管理チップセットLCに接続される。すなわち、サブチップセットSCとログ管理チップセットLCは、プロセッサ間通信線16及び分岐線28を介して接続されることになる。
【0034】
なお、サブチップセットSCの小型化や低コスト化などの観点から、サブプロセッサ14としては、できるだけ端子数の少ないデバイスであるのが好ましい。そうすると、サブプロセッサ14からは、多数の信号線を引き出すことができない。したがって、情報処理装置10では、サブチップセットSCとログ管理チップセットLCを接続する専用の信号線は設けずに、上述のように、プロセッサ間通信線16を介して、サブチップセットSCとログ管理チップセットLCを接続している。
【0035】
異常検知部としての異常検知プロセッサ30は、プロセッサ12の動作に異常が生じたことを検出する。また、異常検知プロセッサ30は、サブプロセッサ14の動作に異常が生じたことを示す異常信号をプロセッサ12から受信することで、サブプロセッサ14の動作に異常が生じたことも検出する。本実施形態では、異常検知プロセッサ30は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)やCPLD(Complex Programmable Logic Device)などのプログラマブルロジックデバイスPD内に設けられている。
【0036】
メインチップセットMCとプログラマブルロジックデバイスPD(具体的には、プロセッサ12と異常検知プロセッサ30)は、互いに通信可能に接続される。また、ログ管理チップセットLCとプログラマブルロジックデバイスPD(具体的には、ログ管理プロセッサ24及びログ管理メモリ26と、異常検知プロセッサ30)も、互いに通信可能に接続される。
【0037】
本実施形態では、異常検知プロセッサ30は、ウォッチドッグタイマによってプロセッサ12の動作に異常が生じたことを検知する。具体的には、プログラマブルロジックデバイスPDは、カウンタ(不図示)を有しており、異常検知プロセッサ30は、カウンタの値(カウンタ値)を所定値から徐々に減らしていく。そして、異常検知プロセッサ30は、カウンタ値が0に到達すると、プロセッサ12の動作に異常が生じた、と判定する。カウンタ値が所定値から0まで到達するまでのタイムアウト時間は、情報処理装置10の管理者などによって適宜設定(例えば数十ミリ秒)されてよい。
【0038】
プロセッサ12は、正常に動作している限りにおいて、プログラマブルロジックデバイスPDのカウンタ値が0となる前に、各タイムアウト時間内において初期化信号を異常検知プロセッサ30に送信する。当該初期化信号は、プログラマブルロジックデバイスPDのカウンタ値をリセットする(本例では所定値に戻す)ための信号である。プロセッサ12は、プロセッサ12の動作に異常が生じ、初期化信号を送信できなくなると、プログラマブルロジックデバイスPDのカウンタ値が0となって、異常検知プロセッサ30は、プロセッサ12の動作に異常が生じたと判定する。
【0039】
なお、上記例では、プログラマブルロジックデバイスPDのカウントは、カウンタ値が徐々に減っていくダウンカウンタであったが、カウンタ値が徐々に増えていくアップカウンタであってもよい。この場合、異常検知プロセッサ30は、カウンタ値が所定値に到達した場合にプロセッサ12の動作に異常が生じた、と判定し、プロセッサ12からの初期化信号に応じて、カウンタ値を0にリセットする。
【0040】
また、異常検知プロセッサ30によるプロセッサ12の動作に異常が生じたことの検出方法は、上記方法に限られない。
【0041】
本実施形態に係る情報処理装置10の構成概要は以上の通りである。以下、サブプロセッサ14のログ情報の出力先の切り替え処理の詳細について説明する。
【0042】
サブプロセッサ14のログ情報の出力先は、サブプロセッサ14の状態が、サブプロセッサ14の動作に異常を生じさせ易い状態であるか否かによって、内部RAM18と、ログ管理メモリ26との間で切り替えられる。具体的には、サブプロセッサ14の動作が、サブプロセッサ14の動作に異常を生じさせ易い所定の条件を満たしていない場合は、サブプロセッサ14は、内部RAM18にログ情報を出力する。一方、サブプロセッサ14の動作が、当該所定の条件を満たしている場合は、サブプロセッサ14は、ログ管理メモリ26にログ情報を出力する。
【0043】
ここで、上記の所定の条件には、サブプロセッサ14がスリープ状態への移行を開始する場合、又は、サブプロセッサ14がスリープ状態からの復帰を開始する場合が含まれる。これは、過去の実績において、サブプロセッサ14がスリープ状態へ移行する場合、又は、スリープ状態から復帰する場合に、サブプロセッサ14の動作に異常が生じることが多いことに基づくものである。
【0044】
また、上記の所定の条件には、サブプロセッサ14がファームウェアの更新処理を開始する場合が含まれる。これも、過去の実績において、サブプロセッサ14がファームウェアの更新処理を行うに、サブプロセッサ14の動作に異常が生じることが多いことに基づくものである。
【0045】
また、上記の所定の条件には、サブプロセッサ14に所定の負荷以上の負荷が掛かる場合が含まれる。ここでいう、サブプロセッサ14に所定の負荷以上の負荷が掛かる場合は、例えばサブプロセッサ14のCPU使用率が所定の使用率以上となった場合が含まれる。あるいは、サブプロセッサ14が行う処理の内容によって、サブプロセッサ14に所定の負荷以上の負荷が掛かる、とみなされてもよい。例えば、サブプロセッサ14が(プロセッサ12との協働によって)プリント処理を行う場合、プリント設定の内容によって、サブプロセッサ14に所定の負荷以上の負荷が掛かる、とみなされてもよい。例えば、プリント設定が高品質(高dpi)且つ特色を使う、というような設定である場合に、サブプロセッサ14に所定の負荷以上の負荷が掛かる、とみなされる。
【0046】
さらに、サブプロセッサ14に所定の負荷以上の負荷が掛かる場合には、サブプロセッサ14が動作することが含まれていてもよい。この場合、サブプロセッサ14が動作している以上、そのログ情報はログ管理メモリ26に出力され、サブプロセッサ14が動作していない場合は、そのログ情報は内部RAM18に出力される。
【0047】
これは、情報処理装置10が複数のサブプロセッサ14(サブチップセットSC)を有している場合に有益である。上述のように、情報処理装置10が、IIT用のサブチップセットSCとIOT用のサブチップセットSCを有している場合を考える。上述のように、例えば、情報処理装置10がスキャン処理を行う場合には、IIT用のサブチップセットSCは動作するが、IOT用のサブチップセットSCは動作しない(例えばスリープ状態を維持する)。この場合、IIT用のサブチップセットSCに含まれるサブプロセッサ14は、所定の条件を満たすこととなり、当該サブプロセッサ14のログ情報の出力先は、ログ管理メモリ26となる。一方、IOT用のサブチップセットSCに含まれるサブプロセッサ14は、所定の条件を満たさないこととなり、当該サブプロセッサ14のログ情報の出力先は、IOT用のサブチップセットSCの内部RAM18となる。
【0048】
上述の所定の条件はメモリ22に記憶される。なお、情報処理装置10と同一又は類似する機種の各装置から出力されるログ情報に基づいて、サブプロセッサ14がどういう動作をしたときに、当該サブプロセッサ14の動作に異常が生じたのかを取得することができる。情報処理装置10の管理者などが、蓄積されたログ情報を解析することで、サブプロセッサ14の動作に異常を生じさせ易いサブプロセッサ14の動作条件が新たに発見される場合もあり得る。その場合、情報処理装置10の管理者などは、情報処理装置10のファームウェアを更新することなどによって、メモリ22に記憶される所定の条件を追加することができる。
【0049】
本実施形態では、サブプロセッサ14の動作が所定の条件を満たしているか否かの判断はプロセッサ12が行う。プロセッサ12は、情報処理装置10において行う処理の種別、情報処理装置10の動作モード、あるいは、サブプロセッサ14の動作状況を示す情報をサブプロセッサ14から受信することで、サブプロセッサ14の動作を取得することができる。
【0050】
サブプロセッサ14のログ情報の出力先が内部RAM18である場合において、サブプロセッサ14の動作が所定の条件を満たしているとプロセッサ12が判定した場合、プロセッサ12は、ログ情報の出力先を内部RAM18からログ管理メモリ26へ切り替えるための第1ログ出力先切替指示をサブプロセッサ14に送信する。第1ログ出力先切替指示を受けたサブプロセッサ14は、ログ情報の出力先を内部RAM18からログ管理メモリ26へ切り替える。また、サブプロセッサ14のログ情報の出力先がログ管理メモリ26である場合において、サブプロセッサ14の動作が所定の条件を満たさなくなったプロセッサ12が判定した場合、プロセッサ12は、ログ情報の出力先をログ管理メモリ26から内部RAM18へ切り替えるための第2ログ出力先切替指示をサブプロセッサ14に送信する。第2ログ出力先切替指示を受けたサブプロセッサ14は、ログ情報の出力先をログ管理メモリ26から内部RAM18へ切り替える。
【0051】
なお、サブプロセッサ14の動作が所定の条件を満たしているか否かの判断を、サブプロセッサ14自身が行うようにしてもよい。この場合、プロセッサ12とサブプロセッサ14との間で、上述の第1又は第2ログ出力先切替指示の送受信を行う必要なく、ログ情報の出力先が切り換えられる。
【0052】
本実施形態によれば、サブプロセッサ14の動作に異常が生じやすい場合において、サブプロセッサ14のログ情報は、サブチップセットSCの外部にあるログ管理メモリ26に出力される。これにより、サブプロセッサ14の動作に異常が生じて、サブチップセットSCをリセットしても、サブプロセッサ14の動作に異常が生じたときのログ情報をログ管理メモリ26に残しておくことができる。また、本実施形態では、サブプロセッサ14のログ情報は、常時内部ROM20に記憶されるわけではないため、内部ROM20の書き込み回数が増大することもなく、サブチップセットSCの製品寿命が短くなることが抑制される。
【0053】
また、本実施形態では、サブプロセッサ14のログ情報は、常時ログ管理メモリ26に出力されるわけではない。あくまで、サブプロセッサ14のログ情報は、サブプロセッサ14の動作が所定の条件を満たした場合にのみ、ログ管理メモリ26に出力される。これにより、サブプロセッサ14の動作が所定の条件を満たさない場合は、サブプロセッサ14のログ情報がプロセッサ間通信線16を流れることがないから、プロセッサ間通信線16を流れるデータの量を抑制することができる。
【0054】
さらに、本実施形態では、サブプロセッサ14の動作が所定の条件を満たしている場合においては、プロセッサ12及びサブプロセッサ14のログ情報は、いずれもログ管理メモリ26に出力される。これにより、サブプロセッサ14の動作が所定の条件を満たしている場合における、プロセッサ12及びサブプロセッサ14のログ情報を一元管理することができる、という効果も奏する。
【0055】
上述のように、本実施形態では、サブプロセッサ14とログ管理メモリ26は、プロセッサ12とサブプロセッサ14を接続するプロセッサ間通信線16と、その途中から分岐した分岐線28とによって接続されている。よって、本実施形態では、サブプロセッサ14は、プロセッサ12を経由せずに、ログ情報をログ管理メモリ26に出力する。これにより、例えばプロセッサ12の動作に異常が生じた場合であっても、サブプロセッサ14は、ログ情報をログ管理メモリ26に記憶させることができる。
【0056】
情報処理装置10が複数のサブチップセットSC(すなわち複数のサブプロセッサ14)を有している場合、複数のサブプロセッサ14のうち1つである第1サブプロセッサの動作に異常(例えばハングアップ)が生じた場合を考える。
【0057】
第1サブプロセッサの動作に異常が生じる直前まで、第1サブプロセッサのログ情報の出力先がログ管理メモリ26となっている場合が考えられる。そうすると、第1サブプロセッサの動作に異常が生じたときのログ情報は、ログ管理メモリ26に記憶される。第1サブプロセッサの動作に異常が生じたときのログ情報は、事後の解析などにおいて有益な情報となるので、当該ログ情報は残しておくことが望まれる。
【0058】
ここで、ログ管理メモリ26の記憶容量は有限であるため、第1サブプロセッサの動作に異常が生じた後に、プロセッサ12のログ情報や、第1サブプロセッサ以外のサブプロセッサのログ情報がログ管理メモリ26に記憶(上書き)されてしまうと、肝心の、第1サブプロセッサの動作に異常が生じたときの第1サブプロセッサのログ情報が、ログ管理メモリ26から消去されてしまう場合がある。したがって、プロセッサ12は、複数のサブプロセッサのいずれか(本例では第1サブプロセッサ)の動作に異常が生じた場合、ログ管理メモリ26へのログ情報の書き込みを停止させる。具体的には、プロセッサ12は、ログ情報取得停止指示をログ管理プロセッサ24に送信し、ログ管理プロセッサ24が、当該取得停止指示に応じて、ログ管理メモリ26へのログ情報の書き込みを停止させる。
【0059】
また、第1サブプロセッサの動作に異常が生じたときの、複数のサブプロセッサ14のうちの第1サブプロセッサとは異なる第2サブプロセッサのログ情報も残しておくことが望まれる。これは、第1サブプロセッサと第2サブプロセッサと(及びプロセッサ12)が協働して処理を実行する場合があり(例えばコピー処理など)、そのような場合に、第1サブプロセッサと第2サブプロセッサとがそれぞれどのような動作をしたときに、第1サブプロセッサの動作に異常が生じるのか、を解析したい場合があるためである。このとき、第2サブプロセッサのログ情報の出力先がログ管理メモリ26となっていれば問題ないが、第2サブプロセッサのログ情報の出力先が内部RAM18である場合、第1サブプロセッサの動作に異常が生じた後に、第2サブプロセッサを含むサブチップセットSCがリセットされてしまうと、第1サブプロセッサの動作に異常が生じたときの第2サブプロセッサのログ情報が消失してしまう。
【0060】
したがって、プロセッサ12は、第1サブプロセッサの動作に異常が生じた場合、第2サブプロセッサに接続された内部RAM18に記憶された第2サブプロセッサについてのログ情報を、第2サブプロセッサに接続された内部ROM20に記憶させるとよい。本実施形態では、プロセッサ12からのログ情報取得停止指示を受けたログ管理プロセッサ24が、第2サブプロセッサに対してログ情報移行指示を送信することで、第2サブプロセッサのログ情報を内部RAM18から内部ROM20に移させる。なお、プロセッサ12が、直接、第2サブプロセッサにログ情報移行指示を送信してもよい。
【0061】
第2サブプロセッサのログ情報を内部ROM20に移しておけば、第1サブプロセッサの動作に異常が生じた後に、第2サブプロセッサを含むサブチップセットSCをリセットしても、第2サブプロセッサのログ情報を内部ROM20に残しておくことができる。なお、本実施形態では、第2サブプロセッサのログ情報は、第2サブプロセッサに接続された内部ROM20に移されているが、第2サブプロセッサのログ情報は、その他の不揮発性メモリに移されてもよい。また、第2サブプロセッサのログ情報をログ管理メモリ26に移すことも考えられるが、本実施形態では、第1サブプロセッサの動作に異常が生じた場合、ログ管理メモリ26へのログ情報の書き込みが停止されているので、第2サブプロセッサのログ情報を内部ROM20に移している。
【0062】
次に、プロセッサ12の動作に異常(例えばハングアップ)が生じた場合を考える。上述の通り、プロセッサ12の動作に異常が生じたことは、異常検知プロセッサ30により検知される。
【0063】
プロセッサ12のログ情報の出力先はログ管理メモリ26であるため、プロセッサ12の動作に異常が生じたときのログ情報は、ログ管理メモリ26に記憶される。プロセッサ12の動作に異常が生じたときのログ情報は、事後の解析などにおいて有益な情報となるので、当該ログ情報は残しておくことが望まれる。
【0064】
ここでも、プロセッサ12の動作に異常が生じた後における、サブプロセッサ14のログ情報がログ管理メモリ26に記憶(上書き)されて、肝心の、プロセッサ12の動作に異常が生じたときのプロセッサ12のログ情報が消去されてしまうことを防止すべく、ログ管理メモリ26へのログ情報の書き込みを停止させたい。ただし、この場合、プロセッサ12の動作に異常が生じているため、プロセッサ12がログ管理メモリ26へのログ情報の書き込みを停止させることができない。したがって、この場合は、プロセッサ12に代わり、異常検知プロセッサ30が、ログ管理メモリ26へのログ情報の書き込みを停止させる。具体的には、異常検知プロセッサ30は、プロセッサ12に代わって、ログ情報取得停止指示をログ管理プロセッサ24に送信し、ログ管理プロセッサ24が、当該取得停止指示に応じて、ログ管理メモリ26へのログ情報の書き込みを停止させる。
【0065】
また、プロセッサ12の動作に異常が生じたときの、サブプロセッサ14のログ情報も残しておくことが望まれる。これは、プロセッサ12とサブプロセッサ14とがそれぞれどのような動作をしたときに、プロセッサ12の動作に異常が生じるのか、を解析したい場合があるためである。このとき、サブプロセッサ14のログ情報の出力先がログ管理メモリ26となっていれば問題ないが、サブプロセッサ14のログ情報の出力先が内部RAM18である場合、プロセッサ12の動作に異常が生じた後に、サブチップセットSCがリセットされてしまうと、プロセッサ12の動作に異常が生じたときのサブプロセッサ14のログ情報が消失してしまう。
【0066】
したがって、異常検知プロセッサ30は、プロセッサ12の動作に異常が生じた場合、サブプロセッサ14に接続された内部RAM18に記憶されたサブプロセッサ14についてのログ情報を、当該サブプロセッサ14に接続された内部ROM20に記憶させるとよい。本実施形態では、異常検知プロセッサ30からのログ情報取得停止指示を受けたログ管理プロセッサ24が、第2サブプロセッサに対してログ情報移行指示を送信することで、第2サブプロセッサのログ情報を内部RAM18から内部ROM20に移させる。なお、この場合も、異常検知プロセッサ30が、直接、第2サブプロセッサにログ情報移行指示を送信してもよい。
【0067】
サブプロセッサ14のログ情報を内部ROM20に移しておけば、プロセッサ12の動作に異常が生じた後に、サブチップセットSCをリセットしても、サブプロセッサ14のログ情報を内部ROM20に残しておくことができる。なお、この場合も、サブプロセッサ14のログ情報は、その他の不揮発性メモリに移されてもよい。また、サブプロセッサ14のログ情報をログ管理メモリ26に移すことも考えられるが、本実施形態では、プロセッサ12の動作に異常が生じた場合、ログ管理メモリ26へのログ情報の書き込みが停止されているので、サブプロセッサ14のログ情報を内部ROM20に移している。
【0068】
プロセッサ12又はサブプロセッサ14の動作に異常が生じた場合、異常検知プロセッサ30は、少なくとも、動作に異常が生じたデバイスをリセットさせるためのリセット制御を行う。例えば、異常検知プロセッサ30は、情報処理装置10が有する各デバイスへの電源の供給を制御する電源制御部(不図示)を、リセット対象のデバイスへの電源の供給を一端遮断し、再度当該デバイスへ電源を投入するように制御することで、当該デバイスをリセットする。
【0069】
ここで、異常検知プロセッサ30は、ログ管理メモリ26をリセット制御の対象とはしない。異常検知プロセッサ30は、ログ管理チップセットLCをリセット制御の対象から外してもよい。これにより、リセット制御によってログ管理メモリ26に記憶されたログ情報が消去されてしまうことを防止することができる。当該リセット制御により、動作に異常が生じたプロセッサ12又はサブプロセッサ14が再起動され、再度正常な動作を開始することが期待される。
【0070】
プロセッサ12は、リセット制御後に再起動したプロセッサ12は、ログ管理メモリ26から、プロセッサ12及びサブプロセッサ14のログ情報を読み出して、不揮発性メモリであるメモリ22に記憶させる。あるいは、プロセッサ12は、ログ管理メモリ26から読みだしたプロセッサ12及びサブプロセッサ14のログ情報を、情報処理装置10の外部にある外部装置(例えばサーバなど)に送信し、当該外部装置の不揮発性メモリに記憶させるようにしてもよい。なお、プロセッサ12の動作に異常が生じなかった場合には、プロセッサ12は、異常検知プロセッサ30によるリセット制御前に、ログ管理メモリ26から、プロセッサ12及びサブプロセッサ14のログ情報を読み出すようにしてもよい。
【0071】
以下、図2図4に示すフローチャートに従って、情報処理装置10の処理の流れを説明する。
【0072】
図2は、サブプロセッサ14のログ情報の出力先を変更する処理の流れを示すフローチャートである。図2に示すフローチャートの開始時点において、サブプロセッサ14のログ情報の出力先は、同サブチップセットSC内にある内部RAM18となっているものとする。
【0073】
ステップS10において、プロセッサ12は、サブプロセッサ14の動作が所定の条件を満たしたか否かを判定する。例えば、サブプロセッサ14がスリープ状態へ移行する場合、プロセッサ12は、サブプロセッサ14の動作が所定の条件を満たした、と判定する。サブプロセッサ14の動作が所定の条件を満たしたと判定した場合、ステップS12に進む。
【0074】
ステップS12において、プロセッサ12は、ログ情報の出力先を内部RAM18からログ管理メモリ26へ切り替えるための第1ログ出力先切替指示をサブプロセッサ14に送信する。
【0075】
ステップS14において、第1ログ出力先切替指示を受信したサブプロセッサ14は、ログ情報の出力先を、内部RAM18からログ管理メモリ26に切り替える。以後、サブプロセッサ14のログ情報は、ログ管理メモリ26に記憶される。
【0076】
ステップS16において、プロセッサ12は、サブプロセッサ14の動作が所定の条件を満たさなくなったか否かを判定する。例えば、サブプロセッサ14がスリープ状態から復帰する処理が完了した場合、プロセッサ12は、サブプロセッサ14の動作が所定の条件を満たさなくなった、と判定する。サブプロセッサ14の動作が所定の条件を満たさなくなったと判定した場合、ステップS16に進む。
【0077】
ステップS18において、プロセッサ12は、ログ情報の出力先をログ管理メモリ26から内部RAM18へ切り替えるための第2ログ出力先切替指示をサブプロセッサ14に送信する。
【0078】
ステップS20において、第2ログ出力先切替指示を受信したサブプロセッサ14は、ログ情報の出力先を、ログ管理メモリ26から内部RAM18に切り替える。以後、サブプロセッサ14のログ情報は、内部RAM18に記憶される。
【0079】
図3は、情報処理装置10が複数のサブプロセッサ14(第1サブプロセッサ及び第2サブプロセッサ)を有し、第1サブプロセッサの動作に異常が発生した時の処理の流れを示すフローチャートである。図3に示すフローチャートの開始時点において、第2サブプロセッサのログ情報の出力先は、第2サブプロセッサを含むサブチップセットSCの内部RAM18となっているものとする。
【0080】
ステップS30において、第1サブプロセッサの動作に異常が発生する。
【0081】
ステップS32において、プロセッサ12は、各サブプロセッサ14の動作に異常が生じたか否かを判定する。例えば、プロセッサ12は、各サブプロセッサ14に動作確認情報を送信し、動作確認情報を送信してから所定時間以内にサブプロセッサ14から応答が無ければ、当該サブプロセッサ14の動作に異常が生じていると判定する。ここでは、プロセッサ12は、第1サブプロセッサの動作に異常が生じていると判定するため、ステップS34に進む。
【0082】
ステップS34において、プロセッサ12は、ログ管理メモリ26へのログ情報の書き込みを停止させるためのログ情報取得停止指示をログ管理プロセッサ24に送信する。ログ情報取得停止指示を受信したログ管理プロセッサ24は、ログ管理メモリ26へのログ情報の書き込みが停止させる。
【0083】
ステップS36において、ログ管理プロセッサ24は、第2サブプロセッサのログ情報を内部RAM18から内部ROM20に移させるためのログ情報移行指示を第2サブプロセッサに送信する。
【0084】
ステップS38において、ログ情報移行指示を受信した第2サブプロセッサは、同サブチップセットSC内にある内部RAM18に記憶されているログ情報を、同サブチップセットSC内にある内部ROM20へ記憶させる。
【0085】
ステップS40において、プロセッサ12は、サブプロセッサ14に異常が生じたことを示す異常信号を異常検知プロセッサ30に送信する。異常信号を受信した異常検知プロセッサ30は、メインチップセットMC、第1サブプロセッサを含むサブチップセットSC、及び、第2サブプロセッサを含むサブチップセットSCをリセットする。
【0086】
図4は、プロセッサ12の動作に異常が発生した時の処理の流れを示すフローチャートである。図4に示すフローチャートの開始時点において、サブプロセッサ14のログ情報の出力先は内部RAM18となっているものとする。
【0087】
ステップS50において、プロセッサ12の動作に異常が発生する。
【0088】
ステップS52において、異常検知プロセッサ30は、プロセッサ12の動作に異常が生じたか否かを判定する。例えば、異常検知プロセッサ30は、プロセッサ12からの初期化信号を受信せずに、ウォッチドッグタイマのカウンタ値が0に到達した場合に、プロセッサ12の動作に異常が生じた、と判定する。ここでは、異常検知プロセッサ30は、プロセッサ12の動作に異常が生じていると判定するため、ステップS54に進む。
【0089】
ステップS54において、異常検知プロセッサ30は、ログ管理メモリ26へのログ情報の書き込みを停止させるためのログ情報取得停止指示をログ管理プロセッサ24に送信する。ログ情報取得停止指示を受信したログ管理プロセッサ24は、ログ管理メモリ26へのログ情報の書き込みが停止させる。
【0090】
ステップS56において、ログ管理プロセッサ24は、第2サブプロセッサのログ情報を内部RAM18から内部ROM20に移させるためのログ情報移行指示を第2サブプロセッサに送信する。
【0091】
ステップS58において、ログ情報移行指示を受信した第2サブプロセッサは、同サブチップセットSC内にある内部RAM18に記憶されているログ情報を、同サブチップセットSC内にある内部ROM20へ記憶させる。
【0092】
ステップS40において、異常検知プロセッサ30は、メインチップセットMC及びサブチップセットSCをリセットする。
【0093】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0094】
(付記)
(((1)))
プロセッサと、
プロセッサ間通信線により前記プロセッサと通信可能に接続されたサブプロセッサと、
前記サブプロセッサと通信可能に接続されたサブメモリと、
前記プロセッサ間通信線を介して、前記プロセッサ及び前記サブプロセッサと通信可能に接続されたログ管理メモリと、
を備え、
前記サブプロセッサの動作が、前記サブプロセッサの動作に異常を生じさせ易い所定の条件を満たした場合に、前記サブプロセッサから出力される前記サブプロセッサの動作状況を示すログ情報の出力先が、前記サブメモリから前記ログ管理メモリに切り替えられる、
ことを特徴とする情報処理装置。
(((2)))
前記所定の条件とは、前記サブプロセッサがスリープ状態への移行を開始する場合、前記サブプロセッサがスリープ状態からの復帰を開始する場合、前記サブプロセッサがファームウェアの更新処理を開始する場合、又は、前記サブプロセッサに所定の負荷以上の負荷が掛かる場合の少なくとも1つである、
ことを特徴とする(((1)))に記載の情報処理装置。
(((3)))
前記サブプロセッサは、前記プロセッサを経由せずに、前記ログ情報を前記ログ管理メモリへ記憶させる、
ことを特徴とする(((1)))に記載の情報処理装置。
(((4)))
前記サブプロセッサと前記サブメモリの組み合わせは複数設けられ、
前記所定の条件を満たす前記サブプロセッサの前記ログ情報は、前記ログ管理メモリに出力され、
動作状態が前記所定の条件を満たさない前記サブプロセッサの前記ログ情報は、自身に接続された前記サブメモリに出力される、
ことを特徴とする(((1)))に記載の情報処理装置。
(((5)))
前記サブプロセッサと前記サブメモリの組み合わせは複数設けられ、
前記プロセッサは、複数の前記サブプロセッサのうち第1サブプロセッサの動作に異常が生じた場合、複数の前記サブプロセッサのうち前記第1サブプロセッサとは異なる第2サブプロセッサに接続された前記サブメモリに記憶された、前記第2サブプロセッサについての前記ログ情報を不揮発性メモリに記憶させる、
ことを特徴とする(((1)))に記載の情報処理装置。
(((6)))
前記プロセッサの動作に異常が生じたことを検出する異常検知部と、
をさらに備え、
前記異常検知部は、前記プロセッサの動作に異常が生じた場合、前記サブプロセッサに接続された前記サブメモリに記憶された、当該サブプロセッサについての前記ログ情報を不揮発性メモリに記憶させる、
ことを特徴とする(((1)))に記載の情報処理装置。
(((7)))
前記プロセッサは、前記ログ管理メモリから前記ログ情報を読み出して不揮発性メモリに記憶させる、
ことを特徴とする(((1)))に記載の情報処理装置。
(((8)))
プロセッサと、
プロセッサ間通信線により前記プロセッサと通信可能に接続されたサブプロセッサと、
前記サブプロセッサと通信可能に接続されたサブメモリと、
前記プロセッサ間通信線を介して、前記プロセッサ及び前記サブプロセッサと通信可能に接続されたログ管理メモリと、
を備えるコンピュータに、
前記サブプロセッサの動作が、前記サブプロセッサの動作に異常を生じさせ易い所定の条件を満たした場合に、前記サブプロセッサから出力される前記サブプロセッサの動作状況を示すログ情報の出力先を、前記サブメモリから前記ログ管理メモリに切り替えさせる、
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【0095】
(((1)))、(((2)))、又は(((8)))に係る発明によれば、プロセッサとサブプロセッサとを接続するプロセッサ間通信線を流れるデータの量を抑制しつつ、且つ、サブプロセッサの製品寿命の低下を抑制しつつ、サブプロセッサの動作に異常が生じたときのサブプロセッサのログ情報を確実に取得することができる。
(((3)))又は(((6)))に係る発明によれば、プロセッサの動作に異常が生じている場合であっても、ログ情報をログ管理メモリに記憶させることができる。
(((4)))に係る発明によれば、サブプロセッサ毎に、ログ情報の出力先を切り替えることができる。
(((5)))に係る発明によれば、第1サブプロセッサの動作に異常が生じた場合における、第2サブプロセッサのログ情報を確実に取得することができる。
(((6)))に係る発明によれば、プロセッサの動作に異常が生じた場合における、サブプロセッサのログ情報を確実に取得することができる。
(((7)))に係る発明によれば、ログ管理メモリをリセットした後にもログ情報を残しておくことができる。
【符号の説明】
【0096】
10 情報処理装置、12 プロセッサ、14 サブプロセッサ、16 プロセッサ間通信線、18 内部RAM、20 内部ROM、22 メモリ、24 ログ管理プロセッサ、26 ログ管理メモリ、28 分岐線、30 異常検知プロセッサ、MC メインチップセット、SC サブチップセット、LC ログ管理チップセット、PD プログラマブルロジックデバイス。
図1
図2
図3
図4