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  • 特開-仮設屋根および仮設屋根の使用方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117270
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】仮設屋根および仮設屋根の使用方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/28 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
E04G21/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023274
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 修二
(72)【発明者】
【氏名】高尾 紘典
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 芳忠
(57)【要約】
【課題】建設工事で作業箇所等の上方を覆う屋根の張設および収納を簡易に行うことが可能な仮設屋根およびこの仮設屋根の使用方法を提案する。
【解決手段】既設構造物に固定される支柱部2と、支柱部2に取り付けられたシート取付部3と、シート取付部3に固定されたカバーシート4と、支柱部2とシート取付部3との接合部に形成されたロック機構とを備える仮設屋根1である。シート取付部3は、支柱部2と交差する方向に張り出す張出部分31を有していて、支柱部2を中心に回転可能である。ロック機構は、シート取付部3の回転を阻止可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設構造物に固定される支柱部と、
前記支柱部に取り付けられたシート取付部と、
前記シート取付部に固定されたカバーシートと、
前記支柱部と前記シート取付部との接合部に形成されたロック機構と、を備える仮設屋根であって、
前記シート取付部は、前記支柱部と交差する方向に張り出す張出部分を有していて、前記支柱部を中心に回転可能であり、
前記ロック機構は、前記シート取付部の回転を阻止可能であることを特徴とする、仮設屋根。
【請求項2】
前記シート取付部が逆J字状であることを特徴とする、請求項1に記載の仮設屋根。
【請求項3】
前記支柱部と前記シート取付部との接合部において、前記支柱部および前記シート取付部のいずれか一方の先端から突出する挿入部が形成されているとともに、他方に前記挿入部を内挿する内挿部が形成されており、
前記挿入部および前記内挿部には、互いに連通可能な挿通孔がそれぞれ形成されていて、
前記ロック機構は、前記挿通孔に挿入可能なピンを備えていることを特徴とする、請求項1に記載の仮設屋根。
【請求項4】
前記挿入部または前記内挿部には、前記挿通孔から所定角度回転した位置に第二の挿通孔が形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の仮設屋根。
【請求項5】
前記カバーシートの周縁に複数の取付穴が形成されており、
前記シート取付部の先端に前記取付穴を係止可能な係止部が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の仮設屋根。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の仮設屋根の使用方法であって、
前記既設構造物に前記支柱部を固定するとともに、前記シート取付部に前記カバーシートを固定し、
前記仮設屋根使用時には、前記シート取付部を回転させて、前記張出部分を前記既設構造物の側方に張り出させて、前記既設構造物の側方に設けられた養生対象領域の上方を前記カバーシートで覆い、
前記仮設屋根未使用時には、前記張出部分の先端が前記既設構造物の側面に近づくように前記シート取付部を回転させて、前記カバーシートを畳むことを特徴とする、仮設屋根の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設屋根および仮設屋根の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外での建設工事では、雨天時の雨除けや晴天時の日除けとして、作業箇所の上方に仮設屋根を設置する場合がある。また、火気を使用する場合には、火花養生として仮設屋根が必要になる場合がある。
仮設屋根として、特許文献1には、足場建枠の上方に取り付けられた梁枠材と、梁枠材に取り付けられた養生シートとを備えるものが開示されている。養生シートの周縁部には、複数の取付穴が形成されていて、梁枠材に形成された突起を養生シートの取付穴に挿通することで、養生シートを梁枠材に固定する。
なお、仮設屋根は、天候や作業の進行状況に応じて、設置や撤去できるのが望ましい。一方、特許文献1の仮設屋根は、梁枠材の傾斜角を所定の範囲内で調整可能であるものの、梁枠材は、治具によって足場建枠に固定されている。そのため、仮設屋根を撤去する場合には、治具を取り外すか、養生シートを梁枠材から取り外す必要があり、作業に手間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7-25150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、建設工事で作業箇所等の上方を覆う屋根の張設および収納を簡易に行うことが可能な仮設屋根およびこの仮設屋根の使用方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明の仮設屋根は、既設構造物に固定される支柱部と、前記支柱部に取り付けられたシート取付部と、前記シート取付部に固定されたカバーシートと、前記支柱部と前記シート取付部との接合部に形成されたロック機構とを備えている。前記シート取付部は、前記支柱部と交差する方向に張り出す張出部分を有していて、前記支柱部を中心に回転可能である。また、前記ロック機構は、前記シート取付部の回転を阻止可能である。
この仮設屋根を使用する際には、前記既設構造物に前記支柱部を固定するとともに前記シート取付部に前記カバーシートを固定しておき、前記シート取付部を回転させることで前記張出部分を前記既設構造物の側方に張り出させて、前記既設構造物の側方に設けられた養生対象領域の上方を前記カバーシートで覆う。一方 前記仮設屋根の未使用時は、前記張出部分の先端が前記既設構造物の側面に近づくように前記シート取付部を回転させて、前記カバーシートを畳めばよい。
かかる仮設屋根によれば、シート取付部を回転させることで、養生対象領域の上方において屋根の張設および収納が可能なため、屋根の張設・収納時にカバーシートの取り付け・取り外しを行う必要がない。カバーシートを取り外す場合には、複数の人員が必要であるとともに、作業に時間がかかるのに対し、かかる仮設屋根によれば、作業性に優れていて、省力化が可能である。
【0006】
なお、前記シート取付部が逆J字状であれば、支柱部とシート取付部との接合部よりも高い位置にカバーシートを張設できるようになり、さらに、一本の部材を曲げ加工することによりシート取付部を製造できるようになるので、製造コストの低減化を図ることができる。
また、前記支柱部と前記シート取付部との接合部において、前記支柱部および前記シート取付部のいずれか一方の先端から突出する挿入部が形成されているとともに、他方に前記挿入部を内挿する内挿部が形成されている場合には、前記挿入部および前記内挿部に、互いに連通可能な挿通孔をそれぞれに形成しておき、前記ロック機構として、前記挿通孔に挿入可能なピンを使用すればよい。こうすることで、ピンの抜き差しによってシート取付部の回転の可否を制御できる。このとき、前記挿入部または前記内挿部に前記挿通孔から所定角度回転した位置に第二の挿通孔が形成されていれば、仮設屋根の使用時と未使用時においてそれぞれシート取付部の回転をピンにより阻止できる。
さらに、前記カバーシートの周縁に複数の取付穴が形成されている場合には、前記シート取付部の先端に前記取付穴を係止可能な係止部が形成されているのが望ましい。こうすることで、係止部に取付穴を係止するのみで、カバーシートをシート取付部に固定できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の仮設屋根およびこの仮設屋根の使用方法によれば、建設工事で作業箇所等の上方を覆う屋根の張設および収納を簡易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る仮設屋根を示す側面図である。
図2】(a)は支柱部とシート取付部との接合部を示す分解図、(b)は挿入部の拡大図である。
図3】カバーシートを示す平面図であって、(a)は第一シート材、(b)は第二シート材または第三シート材である。
図4】固定用面ファスナーを示す断面図であって、(a)はシート取付部への固定前、(b)はシート取付部に固定した状態である。
図5】ロック機構を示す斜視図であって、(a)は解除時、(b)はロック時である。
図6】(a)は仮設屋根の使用時を示す側面図、(b)は仮設屋根の未使用時を示す側面図である。
図7】(a)は挿入部の変形例を示す側面図、(b)は挿入部のその他の変形例を示す側面図である。
図8】固定用面ファスナーの変形例を示す図であって、(a)は平面図、(b)はシート取付部への取付状況を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態では、ニューマチックケーソン工法により躯体を構築する場合において、躯体内部への漏水対策として、躯体側面を止水鋼板により覆う場合について説明する。止水鋼板同士は、溶接で接続するものとし、溶接作業はケーソン外周囲に設けられた足場を利用する。止水鋼板は、沈設前のケーソンに側面に設置するとともに隣接する他の止水鋼板に溶接する。止水鋼板の溶接作業は、ケーソンの沈設作業に影響を及ぼすことが無いように終わらせる必要がある。そのため、降雨時であっても、止水鋼板の溶接作業を実施する場合がある。
本実施形態では、降雨時の雨よけとして、仮設屋根1を設置する。図1に仮設屋根を示す。仮設屋根1は、図1に示すように、支柱部2とシート取付部3とカバーシート4、ロック機構5(図2参照)とを備えている。
【0010】
支柱部2は、仮設足場6に固定される管材(直管)である。本実施形態では、支柱部2の上下2箇所において、クランプ7を利用して支柱部2を仮設足場6に固定する。支柱部2の上端には、シート取付部3が取り付けられている。図2に支柱部2とシート取付部3の接合部を示す。図2(a)に示すように、支柱部2の上端には、上方に突出する挿入部8が形成されている。図2(b)に挿入部を示す。挿入部8は、支柱部2を構成する管材の内径よりも小さな外径を有する管材からなり、基端部分(図2において下部分)が支柱部2の先端部に挿入された状態で支柱部2に固定されていて、先端部分が支柱部2の先端から突出している。
挿入部8の側面には、第一挿通孔81が形成されているとともに、第一挿通孔81から左右に90°回転した位置にそれぞれ第二挿通孔82,82が形成されている。第一挿通孔81および第二挿通孔82は、同一の内径を有していて、挿入部8の外面から内面に貫通している。本実施形態では、第二挿通孔82が、挿入部8の仮設足場6側(図1において外側)の側面と仮設足場6の反対側(図1において躯体側)の側面にそれぞれ形成されている。
【0011】
シート取付部3は、支柱部2の上端に取り付けられた管材であって、図1および図2(a)に示すように、管材の一部を弧状に加工することで逆J字状を呈している。シート取付部3は、支柱部2と交差する方向に張り出す張出部分31を有しているとともに、支柱部2を中心に回転可能である。シート取付部3を構成する管材は、支柱部2を構成する管材と同じ内径を有していて、挿入部8を下端に挿入可能である。すなわち、シート取付部3の下端は、挿入部8を内挿する内挿部80を構成する。内挿部80には、外面から内面に貫通する第三挿通孔83(図4(a)参照)が形成されている。第三挿通孔83は、挿入部8に形成された第一挿通孔81および第二挿通孔82,82と同じ内径を有している。なお、第三挿通孔83は、平面視で張出部分31と交差する方向に開口している。第三挿通孔83は、シート取付部3を回転させて、位置を合わせることで、第一挿通孔81または第二挿通孔82と連通可能である。
シート取付部3の先端には、カバーシート4を係止するための係止部32が形成されている。本実施形態の係止部32は、かぎ型のフックである。
【0012】
カバーシート4は、図1に示すように、シート取付部3に取り付けられる。本実施形態では、3枚のシート材(第一シート材41、第二シート材42、第三シート材43)を連結することにより、作業箇所の上面を覆うことが可能な面積(長さ)を確保している。
【0013】
図3(a)に第一シート材41を示す。第一シート材41は、シート取付部3に取り付けられるシート材であって、図3(a)に示すように、矩形状を呈している。第一シート材41の先端縁には、複数の取付穴44が形成されている。取付穴44は、シート取付部3の係止部32に対応する位置に形成されている。
また、第一シート材41の裏面には、取付穴44の基端側に間隔をあけて固定用オス面ファスナー45および固定用メス面ファスナー46が固定されている。図4(a)および(b)に固定用オス面ファスナー45と固定用メス面ファスナー46を示す。固定用オス面ファスナー45および固定用メス面ファスナー46は、図4(b)に示すように、シート取付部3を挟んで対向する位置に固定されている。固定用オス面ファスナー45は、帯状を呈しており、基端部が第一シート材41の裏面に固定されていて、基端部以外は第一シート材41に固定されていない。固定用オス面ファスナー45は、シート取付部3を超えて固定用メス面ファスナー46に届く長さを有し、第一シート材41をシート取付部3に固定する際には、図4(a)に示すように、シート取付部3の下面を通した固定用オス面ファスナー45を固定用メス面ファスナー46に掛着させる。
【0014】
また、第一シート材41の裏面には、図3(a)に示すように、他のシート材(他の第一シート材41または第二シート材42)との連結するために連結用オス面ファスナー47が固定されている。連結用オス面ファスナー47は、取付穴44と固定用オス面ファスナー45との間に、第一シート材41の先端縁と平行に固定されているとともに、第一シート材41の一方の側縁(図3(a)において左縁)に固定されている。
さらに、第一シート材41の他方の側縁(図3(a)において右縁)の表面には、連結用メス面ファスナー48が固定されている。
第一シート材41は、取付穴44をシート取付部3の係止部32に係止することで、先端縁をシート取付部3の先端に取り付けるとともに、シート取付部3を挟んで対向する固定用オス面ファスナー45と固定用メス面ファスナー46を接合することで、シート取付部3に取り付ける。
【0015】
図3(b)に第二シート材42を示す。第二シート材42は、第一シート材41の先端(躯体側)に連結されるシート材であって、図3(b)に示すように、矩形状を呈している。第二シート材42の先端縁には複数の取付穴44が形成されている。
また、第二シート材42の裏面には、他のシート材(他の第二シート材42または第三シート材43)と連結するために連結用オス面ファスナー47が固定されている。連結用オス面ファスナー47は、第二シート材42の先端縁から間隔をあけた位置において、先端縁と平行に固定されているとともに、第二シート材42の一方の側縁(図3(b)において左縁)に固定されている。
さらに、第二シート材42の表面の他方の側縁(図3(b)において右縁)および基端縁には、連結用メス面ファスナー48が固定されている。第二シート材42は、基端部の連結用メス面ファスナー48を第一シート材41の先端部に固定された連結用オス面ファスナー47に接合することで、第一シート材41と連結する。
【0016】
第三シート材43は、図3(b)に示す第二シート材42と同様の構成を備えている。すなわち、第三シート材43は、第二シート材42の先端に連結されるシート材であって、矩形状を呈している。第三シート材43の先端縁には複数の取付穴44が形成されている。
また、第三シート材43の表面には、他のシート材と連結するために連結用オス面ファスナー47が固定されている。連結用オス面ファスナー47は、第三シート材43の先端縁から間隔をあけた位置において先端縁と平行に固定されているとともに、第三シート材43の一方の側縁(図3(b)において左縁)に固定されている。
さらに、第三シート材43の他方の側縁(図3(b)において右縁)の裏面および基端縁には、連結用メス面ファスナー48が固定されている。第三シート材43は、基端部の連結用メス面ファスナー48を第二シート材42の先端部に固定された連結用オス面ファスナー47に接合することで、第二シート材42と連結する。
【0017】
ロック機構5は、図2に示すように、支柱部2とシート取付部3との接合部に設けられている。図5(a)および(b)にロック機構5を示す。図5(a)に示すように、ロック機構5は、シート取付部3に固定される基部51と、基部51に対して上下に回動可能に設けられたアーム52と、アーム52の先端に固定されたピン53とを備えている。基部51は、シート取付部3の第三挿通孔83の上方に固定されている。アーム52は、基部51に軸支されていて、上下方向に回動可能である。ピン53は、第三挿通孔83に挿通可能な外形を有しているとともに、シート取付部3の肉厚よりも大きな長さを有している。すなわち、ピン53は、挿入部8に形成された第一挿通孔81または第二挿通孔82に内挿部80に形成された第三挿通孔83を連通させた状態で、第三挿通孔83を貫通し、第一挿通孔81または第二挿通孔82に挿入可能である(図5(b)参照)。ピン53を第三挿通孔83に貫通させて第一挿通孔81または第二挿通孔82に挿入させることで、シート取付部3の回転が阻止される。
【0018】
仮設屋根1の張設に先立ち、まず、クランプ7を利用して仮設足場6に支柱部2を固定するとともに、シート取付部3にカバーシート4(第一シート材41)を固定する。第一シート材41は、取付穴44を係止部32に係止するとともに、固定用面ファスナーにより、シート取付部3に固定する。図6(a)に仮設屋根1の使用時、(b)に仮設屋根1の未使用時を示す。
雨天時等の仮設屋根1の使用時は、図6(a)に示すように、張出部分31を仮設足場6の側方(ケーソン側)に張り出させた状態で、ピン53を第三挿通孔83および第一挿通孔81に挿入するとともに、仮設足場6の側方に設けられた養生対象領域の上方をカバーシート4で覆う。本実施形態では、第一シート材41に第二シート材42および第三シート材43を連結し、第三シート材43の先端をケーソンの内周側に形成された内周仮設足場60に固定する。こうすることで、ケーソンおよび止水鋼板の上方がカバーシート4で覆われるため、降雨による影響を最小限に抑えることができる。なお、シート材同士(第一シート材41と第二シート材42、および、第二シート材42と第三シート材43)は、上側にあるシート材の縁部が下側にあるシート材の縁部の上(表面)に重ねるようにして接合する。
一方、仮設屋根未使用時は、ピン53を第三挿通孔83および第一挿通孔81から抜き出して、図6(b)に示すように、張出部分31の先端が仮設足場6の側面に近づくようにシート取付部3を90°回転させてカバーシート4を畳む。シート取付部3を回転させたら、ピン53を第三挿通孔83および第二挿通孔82に挿入し、シート取付部3の回転を阻止する。
【0019】
本実施形態の仮設屋根1によれば、シート取付部3を回転させることで、養生対象領域の上方において屋根の張設および収納が可能なため、屋根の張設・収納時にカバーシート4をシート取付部3に対して取り付ける、あるいは取り外す必要がない。カバーシート4を取り外す場合には、複数の人員が必要であるとともに、作業に時間がかかるのに対し、仮設屋根1によれば、作業性に優れていて、省力化が可能である。また、仮設屋根不使用時は、仮設屋根1を収納し、カバーシート4を畳むことよい。このようにすると、例えばコンクリート打設管の配管作業時に仮設屋根1が邪魔になることがない。
また、シート取付部3がJ字状のため、支柱部2とシート取付部3との接合部よりも高い位置にカバーシート4を張設できる。また、シート取付部3は、一本の部材を曲げ加工することにより製造できるため、製造コストの低減化を図ることができる。
また、ピン53の抜き差しによってシート取付部3の回転の可否を制御できる。そのため、カバーシート4の張設と収納(折り畳み)を簡易に行うことができる。
カバーシート4は、取付穴44を係止部32に係止させた状態でシート取付部3に取り付けるため、強風時においても外れ難い。
【0020】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
前記実施形態では、ケーソンの外周囲に設ける止水鋼板の溶接の降雨対策として仮設屋根1を使用する場合について説明したが、仮設屋根1を使用する対象はニューマチックケーソン工法に限定されるものではなく、あらゆる建設工事の降雨対策工として使用可能である。
【0021】
また、仮設屋根1の使用目的は降雨対策工に限定されるものではなく、例えば日除けや、溶接時の火花除けとして使用してもよい。これらの場合において使用するカバーシート4の材質などは適宜決定すればよい。
前記実施形態では、3枚のシート材を連結してケーソンの上方を覆うものとしたが、カバーシート4を構成するシート材の枚数は限定されるものではなく、仮設屋根1によって覆う領域の広さや、シート材の大きさに応じて適宜決定すればよい。
カバーシート4の固定方法は前記実施形態で示した方法に限定されるものではなく、例えば、ロープや治具等により固定してもよい。
【0022】
前記実施形態では、支柱部2に挿入部8を形成し、シート取付部3の下端に挿入部8を差し込む場合について説明したが、図7(a)に示すように、挿入部8をシート取付部3の下端に形成し、支柱部2の上端に挿入部8を差し込むようにしてもよい。また、挿入部8は、図7(b)に示すように、支柱部2およびシート取付部3に挿入可能な筒状部材84であってもよい。筒状部材84の中間部には、支柱部2およびシート取付部3の内径よりも大きな凸部85を形成しておくとよい。
固定用オス面ファスナー45の形状は限定されるものではなく、図8(a)に示すように、固定用メス面ファスナー46と同等の形状で、第一シート材41に固定されていてもよい。この場合には、図8(b)に示すように、第一シート材41をシート取付部3に巻き付けるようにして、固定用オス面ファスナー45と固定用メス面ファスナー46とを接合する。
【符号の説明】
【0023】
1 仮設屋根
2 支柱部
3 シート取付部
31 張出部分
32 係止部
4 カバーシート
41 第一シート材
42 第二シート材
43 第三シート材
44 取付穴
5 ロック機構
51 基部
52 アーム
53 ピン
6 仮設足場
7 クランプ
8 挿入部
80 内挿部
81 第一挿通孔
82 第二挿通孔
83 第三挿通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8