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  • 特開-ステージを演出するシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117271
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】ステージを演出するシステム
(51)【国際特許分類】
   A63J 1/02 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
A63J1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023275
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】505135380
【氏名又は名称】株式会社ラパンクリエイト
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 彰
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 克
(57)【要約】
【課題】ステージの背後の演出効果を高めることができるシステムを提供する。
【解決手段】ステージに面した観客席の少なくとも一部を俯瞰した画像を取得するカメラと、俯瞰した画像を、ステージの背後の少なくとも一部に表示する第1の表示装置とを有するシステムを提供する。カメラは、観客席の複数の観客のそれぞれが動かす複数の発光装置の発光状態を含む画像を取得し、第1の表示装置は、複数の発光装置の発光状態を含めた画像を前記ステージの背後の少なくとも一部に表示してもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージに面した観客席の少なくとも一部を俯瞰した画像を取得するカメラと、
前記俯瞰した画像を、前記ステージの背後の少なくとも一部に表示する第1の表示装置とを有する、システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記カメラは、前記観客席の複数の観客のそれぞれが動かす複数の発光装置の発光状態を含む画像を取得し、
前記第1の表示装置は、前記複数の発光装置の発光状態を含めた画像を前記ステージの背後の少なくとも一部に表示する、システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記発光装置は、発色および/または発光のタイミングをそれぞれの観客が制御可能な操作部を含み、
前記ステージの背後の一部に、前記ステージで行われているイベントの進行に合わせて前記発光装置の前記操作部の運指を示す情報を表示する第2の表示装置を有する、システム。
【請求項4】
請求項2において、
前記発光装置は、発色および/または発光のタイミングをそれぞれの観客が制御可能な操作部を含み、
前記第1の表示装置は、前記ステージで行われているイベントの経過に合わせた前記発光装置の前記操作部の運指を示す情報を含めた前記画像を表示する、システム。
【請求項5】
請求項3または4において、
前記運指を示す情報は、前記運指に対応する歌詞を含む、システム。
【請求項6】
請求項3または4において、
前記発光装置は、前記運指を示す情報で操作するための設定情報により再設定を行う設定装置を含む、システム。
【請求項7】
請求項6において、
前記設定装置は、前記観客のスマートフォンまたはPCのアプリケーションを介して、または、前記観客席をカバーする無線装置を介して前記設定情報を受信する、システム。
【請求項8】
請求項2において、
前記発光装置は、発色および/または発光のタイミングをリモートから操作する無線制御部を含み、
前記観客席の複数の観客の複数の発光装置の出力をリモートで制御するリモート制御装置を有する、システム。
【請求項9】
ステージ上のイベントを演出する方法であって、
前記ステージに面した観客席の少なくとも一部を俯瞰した画像を、前記ステージの背後の少なくとも一部に表示することを有する、方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記画像は、前記観客席の複数の観客のそれぞれが動かす複数の発光装置の発光状態を含む画像を含む、方法。
【請求項11】
請求項10において、
前記発光装置は、発色および/または発光のタイミングをそれぞれの観客が制御可能な操作部を含み、
前記ステージの背後の一部に、前記ステージで行われているイベントの進行に合わせて、前記発光装置の前記操作部の運指を表示することをさらに有する、方法。
【請求項12】
請求項11において、
前記運指を示す情報は、前記運指に対応する歌詞を含む、方法。
【請求項13】
請求項10または11において、
前記発光装置は、前記運指を示す情報で操作するための設定情報により再設定を行う設定装置を含み、
前記設定装置に対し、前記観客のスマートフォンまたはPCのアプリケーションを介して、または、前記観客席をカバーする無線装置を介して前記設定情報を提供することを含む、方法。
【請求項14】
請求項10において、
前記発光装置は、発色および/または発光のタイミングをリモートから操作する無線制御部を含み、
前記観客席の複数の観客の複数の発光装置の出力をリモートで制御することをさらに有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステージを演出するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、片手で握るグリップと、グリップに取り付けられ、LEDを収納する発光ユニットであって、複数の異なる色の光を独立または混合して出力する発光ユニットと、グリップの人差し指、中指および薬指によりそれぞれ押し下げられる位置に配置された3つの色スイッチであって、異なる色の光をそれぞれオンオフ制御する機能を操作するスイッチとを有する可搬式の発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5358026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンサートなどのイベントを開催する際は、イベントが行われるステージの背景の演出も1つの大きな課題である。ステージの背景を、画像や照明により演出する場合、イベントの進行に合わせた映像を表示することも可能であるが、映像の作成には膨大なコストが必要であり、また、画像や照明をイベントの進行に合わせて制御するためには熟練した数多くのスタッフや機材が必要になる。一方、ステージの背景の演出がなされないと、観客のみならず、演者の感情の浄化が得られず、イベントの価値を高めることが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、ステージに面した観客席の少なくとも一部を俯瞰した画像を取得するカメラと、俯瞰した画像をステージの背後の少なくとも一部に表示する第1の表示装置とを有するシステムである。観客席を俯瞰した画像をステージの背後に表示してステージの背景とすることにより、観客席の観客によりステージの背景を演出することができる。このため、ステージの背景を、低コストで、観客自ら、または観客の参加型で演出することが可能となる。さらに、観客席の後方は、前方の観客の動きを見ることができるが、前方の観客は後方の観客の動きを見ることは難しい。観客席を俯瞰したライブ画像をステージの背後に表示することにより、観客席の観客同士が相互の動き、演出を見ることができ、同調したり、変化を加えたりなど、ステージの背後の演出効果を大幅に高めることができる。したがって、観客は、ステージのイベントのみならず、観客席を含めたイベントを楽しむことが可能となる。
【0006】
観客席の観客の動きは、観客席の複数の観客のそれぞれが動かす複数の発光装置の発光状態(動き、発色、点滅など)により表現されてもよい。カメラは、観客席の複数の観客のそれぞれが動かす複数の発光装置の発光状態を含む画像を取得し、第1の表示装置は、複数の発光装置の発光状態を含めた画像をステージの背後の少なくとも一部に表示してもよい。ステージの背景を、観客席で、点滅したり、動いたり、色が変わる複数の光により演出することが可能となり、光の明滅により、観客のみならず、演者も、感情の浄化が得られる。また、観客席の前側の観客も、ステージの背景の画像を介して、後方の観客の動きを含めた観客席全体の変色や明滅の同調や変化を確認することができる。
【0007】
発光装置は、発色および/または発光のタイミングをそれぞれの観客が制御可能な操作部を含んでもよく、システムは、ステージの背後の一部に、ステージで行われているイベントの進行に合わせて発光装置の操作部の運指を示す情報を表示する第2の表示装置を有してもよい。第1の表示装置が、ステージで行われているイベントの経過に合わせた発光装置の操作部の運指を示す情報を含めた画像を、観客席を俯瞰した画像とともに、あるいは適当な編集を行い、表示してもよい。他の画像、例えば、ステージを拡大した画像や、ステージで演奏されている楽曲のカラオケ画像などと合わせて、ステージの背面に表示されてもよい。運指を示す情報は、運指に対応する歌詞を含んでもよい。発光装置は、運指を示す情報で操作するための設定情報により再設定(初期設定)を行う設定装置を含んでもよい。設定装置は、観客のスマートフォンまたはPCのアプリケーションを介して、または、観客席をカバーする無線装置を介して設定情報を受信してもよい。
【0008】
また、発光装置は、発色および/または発光のタイミングをリモートから操作する無線制御部を含み、システムは、観客席の複数の観客の複数の発光装置の出力をリモートで制御するリモート制御装置を有していてもよい。
【0009】
本発明の他の態様の1つは、ステージ上のイベントを演出する方法である。この方法は、ステージに面した観客席の少なくとも一部を俯瞰した画像を、ステージの背後の少なくとも一部に表示することを有する。画像は、観客席の複数の観客のそれぞれが動かす複数の発光装置の発光状態を含む画像を含んでもよい。この方法は、ステージの背後の一部に、ステージで行われているイベントの進行に合わせて、発光装置の操作部の運指を表示することをさらに有してもよい。運指を示す情報は、運指に対応する歌詞を含んでもよい。発光装置は、運指を示す情報で操作するための設定情報で再設定を行う設定装置を含んでもよく、当該方法は、設定装置に対し、観客のスマートフォンまたはPCのアプリケーションを介して、または、観客席をカバーする無線装置を介して設定情報を提供することを含んでもよい。また、この方法は、観客席の複数の観客の複数の発光装置の出力をリモートで制御することをさらに有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ステージの背後を演出するシステムの一例を示す図。
図2】ステージと観客席とを含むイベント会場の一例を示す図。
図3】ステージの背後に表示された映像の一例を示す図。
図4】観客が持つ発光装置の一例を示す図。
図5】発光装置の運指表の一例を示す図。
図6】運指表に示された指示の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に、コンサートなどのイベントを開催するシステム(イベント開催システム)1の一例を示している。このシステム1は、演者2によりイベントが行われるステージ3と、ステージ3に面した観客席6と、ステージ3の背後(背景)4を演出する演出システム10とを含む。演出システム10は、ステージ3に面した観客席6の少なくとも一部を俯瞰した画像31を取得するカメラ(撮像装置)13と、その画像31を、ステージ3の背後4の少なくとも一部に設けられた表示面30に表示する表示装置14とを含む。表示面30はスクリーンあるいはスクリーンとして機能する壁面であってもよく、表示装置14はプロジェクタであってもよい。表示面30は、液晶パネルなどのデジタル表示デバイスであってもよく、表示装置14は、表示面30を含む、デジタル表示装置であってもよい。
【0012】
観客席6の複数の観客5は、それぞれが発光装置(ハンディーライト)20を持ち、ステージ3の上で演者2により演じられているイベントを見るとともに、その視線7の先にある背後4の表示面30に表示される画像(電飾画像)31を見て、ステージ3のイベントを、ステージ3の背後に表示された画像31とともに楽しむことができる。表示装置14は、観客席6を俯瞰した画像31を表示するための第1の表示装置11と、付加情報34、例えば、発光装置20を制御するための運指情報32、およびイベントで行われているコンサートの楽曲の歌詞33を表示するための第2の表示装置12とを含んでいてもよい。表示装置14は、観客席6を俯瞰した画像31と、運指情報32などの付加情報34とを1つの画像(画面)として編集した画像を、表示面30に表示(投射)する装置であってもよい。
【0013】
演出システム10は、複数の観客5がそれぞれ持った複数の発光装置20を無線(無線LAN、BLE(Bluetooth(登録商標)))などを介して一括してリモートで制御するためのリモートコントローラ(リモート制御装置)16を含んでいてもよい。また、演出システム10は、カメラ13、表示装置14およびリモートコントローラ16を制御する中央制御装置15を含んでいてもよい。中央制御装置15は、観客席6の画像31とともに表示する付加情報34を格納したメモリ15a、画像の編集機能15bなどを含んでいてもよい。
【0014】
図2に、ステージ3の背後4の表示面(スクリーン)30に、観客席6の少なくとも一部を俯瞰した画像(観客席の画像)31と、付加情報34とを表示した状態を示している。図3に、スクリーン30に表示された画像を拡大して示している。コンサートなどのイベントでは、観客席6の複数の観客5のそれぞれが発光装置20を持ち、それらの発光装置20を楽曲などに合わせて動かしたり、点滅させたり、色を変えたりすることが可能である。演出システム10のカメラ13は、観客席6の複数の観客5のそれぞれが動かす複数の発光装置20の発光状態を含む画像31を取得し、表示装置14は、複数の発光装置20の発光状態(点灯状況、発光が動いたり、発色が変わったり、点滅したりする状況を含む)を含めた画像31をステージ3の背後のスクリーン30に表示できる。
【0015】
ステージ3の背後4のスクリーン30に表示される観客席の画像31には、複数の観客5が持つ複数の発光装置20の発光状態が映り込んでおり、観客席6で明滅する複数の光を俯瞰で撮影した観客5の発光装置20の映像31をステージ3の演出として利用することができる。すなわち、観客5が発光装置20をセルフで明滅させた映像31をステージ3の背景映像として演出に使うことができる。
【0016】
イベントを開催する際に、ステージ3の背景を主催者側のみで演出しようとすると、人手や、事前準備などのために莫大なコストが必要になる。これに対して、このシステム10においては、観客席6の観客5によりステージ3の背景を、自ら演出することができる。このため、ステージ3の背景を、低コストで、観客5の参加型で演出することが可能となる。さらに、観客席6の観客5は、ステージ3の背景の画像31により、観客席6の状況を俯瞰することが可能となり、観客席6の前方の観客5も、後方の観客5の動きを含めて、ステージ3のイベントを楽しむことができる。特に、観客5が発光装置20を持って、ステージ3の演者2を盛り上げるような演出のイベントにおいては、ステージ3の背景4を、観客席6で、点滅したり、動いたり、色が変わる複数の光により演出することが可能となり、光の明滅により、観客5のみならず、演者2も、感情の浄化が得られる。また、観客席6の前側の観客5も、ステージ3の背景4の画像31を介して、後方の観客5の動きを含めた観客席6全体の変色や明滅の同調や変化を確認することが可能となり、ステージ3の背後の演出効果を大幅に向上でき、観客5はイベントをいっそう楽しむことができる。
【0017】
図4に、発光装置20の一例を示している。発光装置20の一例は、本願の発明者が提供している発光装置(オッドリング)である。この発光装置20は、全体が円盤状で、多色の光を様々なタイミングで出力可能な発光部21と、把持するためのボディー23とを含み、それらの間の中央部分が指を通して握るための空間22となり操作部25が設けられている。操作部25には4本の指で操作することができるスイッチが設けられており、観客5は、これらのスイッチを対応する指(人差し指、中指、薬指、小指)でそれぞれ操作することにより発光部21の発色と点灯のタイミングとを自由に制御できる。また、観客5は、ボディー23を握った状態で簡単に操作部25の各スイッチを操作できるので、自ら発光装置20を手で様々に動かしながら(振りながら)、所望のタイミングで、所望の色で発光させることができる。
【0018】
発光装置20は、発光部21の発光状態を、システム10のリモートコントローラ16により無線で、リモートから集中制御するための無線制御ユニット(無線制御部)26を含む。観客5は、発光部21の制御はリモートとして、様々な発色と点滅とを自動で楽しむとともに、発光装置20を腕や手で、あるいは体で、動かすことだけに集中して、イベントを楽しむことも可能である。
【0019】
発光装置20は、コンサートなどのイベントの進行に合わせて、観客5が個別に、自由に、発色や点滅のタイミングを制御して、それぞれが楽しんでもよい。また、楽曲に合わせて、観客席6の観客5が協調して操作し、ステージ3と、観客席6とのコラボレーションを楽しんでもよい。この場合、発光装置20を協調して制御するための指標となる情報が必要であり、その情報を観客席6の観客5が共有している必要がある。
【0020】
図5に、発光装置20の発光(発光状態)を操作部25により制御する情報(運指を示す情報、運指情報)32を、歌詞33とともに纏めた一例として運指表(変色運指表)35を示している。図6に、運指情報32の一例を示している。この例では、人差し指、中指、薬指および小指の動きを「0」(オフ)および「1~4」(オン)で表す4桁の表示により発光装置20の発色を制御するための運指情報32を示している。
【0021】
複数の観客5が有する発光装置20を、複数の観客5が協調して、共通(同調)する発光状態を実現させるための運指情報32を提供することはそれほど容易ではない。本例の発光装置(オッドリング)20の操作部(操作ユニット)25は、4本の指でそれぞれ操作できる4つのオンオフスイッチを含む。したがって、発光装置20の発光状態を4ビット(16通り)に制御できる。逆に言うと、発光装置20の発色、ストロボなどの点滅状態を含めて、操作ユニット25により制御できる発光状態(動作状態、動作モード)は16通りに限られ、様々な楽曲に合わせた色およびフラッシュなどの点滅効果を含めると、決して多いとは言えない。一方、4ビットを超える情報を取り扱えるようにするためには、5本以上の指で操作する必要があり、発光装置を把持しながら操作することが難しくなり、さらに、操作自体が複雑となるため、観客が発光装置20を操作しながらステージ3上のイベント(コンサート)に熱中することは難しくなる。
【0022】
この課題を解決するための1つの方法は、楽曲などに合わせて、操作ユニット25の設定情報を変更(再設定、初期設定)し、4ビットの情報で選択できる発光状態を、楽曲にマッチしたり、ユーザーである観客それぞれにマッチしたものにすることである。例えば、操作ユニット25のスイッチを動かすことにより、設定情報を変えるようにしてもよい。一方、観客が所有する発光装置20のそれぞれの設定情報が異なると、共通の運指表35の情報では、同調した結果(発光状態)を得ることはできない。このため、発光装置20は、運指を示す情報32で操作するための設定情報で再設定(初期設定)を行う設定装置を含む。
【0023】
本例の発光装置20は、無線制御ユニット26が設定機能を含み、無線により観客のスマートフォンまたはPCのアプリケーションを介して、または、観客席をカバーする無線装置(リモートコントローラ)16を介して設定情報の提供を受け、操作ユニット25に設定することができる。設定装置は、無線制御ユニット26とは別に設けてもよい。コンサートの開始時や、楽曲ごとに観客席(会場内)5の発光装置20の設定情報を一括して制御してもよい。イベントの開始前に、開催者からの案内などにより、または、提供される2次元コードなどにより、個々の観客(ユーザー)5が、観客5のスマートフォンやPCにインストールされたオッドリング用のアプリを用いて設定情報を、USBなどの有線で、または、BLEなどの近距離無線を介して、運指情報32にマッチするように更新してもよい。観客5の発光装置20に共通する設定情報をインストールすることにより、それぞれの発光装置20が運指情報32で共通した結果(発光状態)が得られるようにすることができる。
【0024】
運指情報32の一例は「1000」であり、図4(a)に示すように、その指示にしたがい人差し指で対応するスイッチをオンすることにより、複数の発光装置20の設定情報が事前に調整できていれば、複数の発光装置20の発光部21から桜色が出力される。図4(b)に示すように「0200」の指示にしたがい、中指で対応するスイッチをオンすることにより白色の光が発光部21から出力される。図4(c)に示すように「0030」の指示にしたがい、薬指で対応するスイッチをオンすることにより緑色の光が発光部21から出力される。図4(d)に示すように「1200」の指示にしたがい、人差し指と中指とで対応するスイッチをオンすることにより黄色の光が発光部21から出力される。図4(e)に示すように「0230」の指示にしたがい、中指と薬指とで対応するスイッチをオンすることによりみず色の光が発光部21から出力される。図4(f)に示すように「1004」の指示にしたがい、人差し指と小指とで対応するスイッチをオンすることにより、白色のストロボ光が発光部21から出力される。
【0025】
これらの運指情報(表示、指示)32は一例であるが、複数の発光装置20に共通した設定情報を再設定しておくことにより、共通の運指情報32により、複数の発光装置20を同調するように制御できる。したがって、観客席6の観客5は、この運指表35に、歌詞33ともに示された運指の指示32にしたがって指を動かすことにより、観客席6の中で発光する発光装置20を、楽曲に合わせて、協調して制御することができる。また、設定情報を変更して、発光装置20に内蔵されている発光制御ユニットの設定を変えることにより、同じ運指情報32で、他の発光状態を実現したり、異なる運指情報32により、同じ発光状態を実現したりすることも可能であり、運指情報32と、設定情報との組み合わせで、様々な発色状態を実現し、それらが投影された背景の演出を、ステージ上のイベントとともに楽しむことができる。
【0026】
本例のシステム10においては、この運指の情報32と、歌詞33とを、イベントの進行(経過)に合わせて、観客席6の画像31とともに、ステージ3の背後4のスクリーン30に表示するようにしている。したがって、観客席6の観客5は、カラオケの歌詞の体で、ステージ3の背景4に歌詞33とともに流れる運指情報(運指指示)32にしたがい発光装置20を操作することにより、事前に、発光装置20の操作を完全にマスターしなくても、あるいは、操作を例え見失っても、イベント(歌)に合わせて、発光装置20を操作できる。
【0027】
さらに、システム10においては、カラオケの体で流れる運指情報32の映像に合わせて観客席6において明滅する光を俯瞰で撮影した観客5の発光装置(オッドリング)20の発光状況の映像31を利用し、ステージ3の背景として、セルフ明滅する映像31を利用できる。したがって、ステージ3の背景を、観客5が参加した、セルフ電飾(セルフ電飾背景)で演出することが可能となる。このセルフ電飾背景は、観客5に浄化作用を及ぼすとともに、ステージ3の上の演者2も電飾の影響を受け、観客席6と一体となった浄化作用を及ぼすことができる。
【0028】
また、観客席6の前方の観客5は、ステージ3の背景に表示された画像31により、観客席6の後方の観客5の動きを視認することができる。したがって、前方の観客5が、自らの動きが、後方の観客5の動きと同期(同調)しているか確認することができる。このため、観客席6の観客5が一体となって、ステージ3で演じられている内容とともに、観客5の動作を見て、楽しむことが可能となる。
【0029】
上記の例では、ステージ3の背後4のスクリーン30に、観客席6の画像(映像)31およびそれに付随する情報34を表示しているが、これらの映像または情報に加えて、他の画像(映像)をスクリーン30に表示してもよい。例えば、ステージ3で演奏されている楽曲のカラオケ画像を観客席6の画像31とともに表示し、カラオケ画像に示される歌詞に合わせて、発光装置20の運指情報32を表示してもよい。また、ステージ3の演者2を拡大した画像を、観客席6の画像31とともに、領域を分割して、あるいは時間を分割して、表示するようにしてもよく、様々な演出が可能である。
【符号の説明】
【0030】
3 ステージ、 10 演出システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6