IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社村田製作所の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117285
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】フィルタ装置
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/075 20060101AFI20240822BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20240822BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20240822BHJP
   H01G 4/40 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
H03H7/075 Z
H01F17/00 D
H01F27/00 S
H01G4/40 321A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023294
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】元山 洋人
【テーマコード(参考)】
5E070
5E082
5J024
【Fターム(参考)】
5E070AA05
5E070CB13
5E082AA01
5E082AB01
5E082BB01
5E082DD08
5E082FF05
5E082FG26
5E082FG34
5J024AA01
5J024BA01
5J024CA02
5J024DA04
5J024DA29
5J024DA33
5J024DA35
5J024EA02
5J024KA03
(57)【要約】
【課題】フィルタ装置において、外部シールド電極による通過特性の低下を抑制する。
【解決手段】フィルタ装置100は、複数の誘電体層が積層された積層体110と、入力端子T1、出力端子T2と、接地端子GNDと、接地端子GNDに接続された接地電極PG1と、平板電極PC30と、第1線路~第4線路とを備える。積層体110は、主面111,112を有する。入力端子T1、出力端子T2および接地端子GNDは、主面112に配置されている。平板電極PC30は、接地電極GNDよりも主面111側に配置されている。第1線路は、入力端子T1および平板電極PC30と電気的に接続されている。第2線路は、出力端子T2および平板電極PC30と電気的に接続されている。第3線路VG10および第4線路VG20は、平板電極PC30と接地電極PG1とを接続する。第1線路は、第2線路と容量結合している。積層体110を積層方向から平面視した場合に、平板電極PC30は、第1線路と第2線路とが容量結合する部分を覆っている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面および第2面を有し、複数の誘電体層が積層された積層体と、
前記第2面に配置された入力端子、出力端子および接地端子と、
前記接地端子に接続された接地電極と、
前記接地電極よりも前記第1面側に配置された平板電極と、
前記入力端子および前記平板電極と電気的に接続された第1線路と、
前記出力端子および前記平板電極と電気的に接続された第2線路と、
前記平板電極と前記接地端子とを接続する第3線路および第4線路とを備え、
前記第1線路は、前記第2線路と容量結合しており、
前記積層体を積層方向から平面視した場合に、前記平板電極は、前記第1線路と前記第2線路とが容量結合する部分を覆っている、フィルタ装置。
【請求項2】
前記平板電極と前記第2面との間に配置され、前記第1線路に接続された第1キャパシタ電極をさらに備え、
前記積層体を積層方向から平面視した場合に、
前記第1キャパシタ電極および前記第2線路は部分的に重なっており、
前記平板電極は、前記第1キャパシタ電極を覆っている、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
前記平板電極と前記第2面との間に配置され、前記第2線路に接続された第2キャパシタ電極をさらに備え、
前記積層体を積層方向から平面視した場合に、
前記第2キャパシタ電極および前記第1線路は部分的に重なっており、
前記平板電極は、前記第2キャパシタ電極を覆っている、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
前記平板電極と前記第2面との間に配置され、前記第1線路および前記第2線路にそれぞれ接続された第1キャパシタ電極および第2キャパシタ電極をさらに備え、
前記積層体を積層方向から平面視した場合に、
前記第1キャパシタ電極および前記第2キャパシタ電極は部分的に重なっており、
前記平板電極は、前記第1キャパシタ電極および前記第2キャパシタ電極を覆っている、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項5】
前記平板電極と前記第2面との間に配置された第3キャパシタ電極をさらに備え、
前記積層体を積層方向から平面視した場合に、
前記第3キャパシタ電極は、前記第1線路および前記第2線路の双方と部分的に重なっており、
前記平板電極は、前記第3キャパシタ電極を覆っている、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項6】
前記積層体を積層方向から平面視した場合に、
前記第1線路の少なくとも一部は、前記第2線路と重なっており、
前記平板電極は、前記第1線路および前記第2線路が重なっている部分を覆っている、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項7】
前記第1線路に接続され、前記平板電極に対向して配置された第4キャパシタ電極と、
前記第2線路に接続され、前記平板電極に対向して配置された第5キャパシタ電極とをさらに備える、請求項1~6のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項8】
前記平板電極と前記接地電極との間に配置されたLC直列共振器をさらに備え、
前記LC直列共振器は、
前記接地電極に対向して配置された第6キャパシタ電極と、
前記第6キャパシタ電極と前記平板電極とに接続された第5線路とを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項9】
前記平板電極と前記接地電極との間に配置されたLC直列共振器をさらに備え、
前記LC直列共振器は、
前記平板電極よりも前記第2面側において、前記平板電極に対向して配置された第7キャパシタ電極と、
前記第7キャパシタ電極および前記接地電極に接続された第6線路とを含み、
前記積層体を積層方向から平面視した場合に、前記平板電極は前記第7キャパシタ電極をさらに覆っている、請求項1~6のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項10】
前記平板電極と前記接地電極との間に配置されたLC直列共振器をさらに備え、
前記LC直列共振器は、
前記平板電極よりも前記第2面側に配置された第8キャパシタ電極と、
前記第8キャパシタ電極および前記接地端子に接続された第7線路とをさらに含み、
前記積層体を積層方向から平面視した場合に、前記平板電極は前記第8キャパシタ電極をさらに覆っている、請求項7に記載のフィルタ装置。
【請求項11】
前記積層体を積層方向から平面視した場合に、前記第8キャパシタ電極は、前記第4キャパシタ電極と前記第5キャパシタ電極との間に配置されている、請求項10に記載のフィルタ装置。
【請求項12】
前記第8キャパシタ電極は、前記第4キャパシタ電極および前記第5キャパシタ電極と同じ誘電体層に配置されている、請求項11に記載のフィルタ装置。
【請求項13】
前記積層体を積層方向から平面視した場合に、前記第8キャパシタ電極は、前記第4キャパシタ電極および前記第5キャパシタ電極と部分的に重なっている、請求項10に記載のフィルタ装置。
【請求項14】
前記第1線路は、
前記積層体内の誘電体層に配置された第1配線パターンと、
前記第1配線パターンと前記入力端子とを接続するための第1ビアと、
前記第1配線パターンと前記平板電極とを電気的に接続するための第2ビアとを含み、
前記第2線路は、
前記積層体内の誘電体層に配置された第2配線パターンと、
前記第2配線パターンと前記出力端子とを接続するための第3ビアと、
前記第2配線パターンと前記平板電極とを電気的に接続するための第4ビアとを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フィルタ装置に関し、より特定的には、フィルタ装置における通過特性の低下を抑制するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2008-167157号公報(特許文献1)には、2つのLC並列共振器を備えた積層型のハイパスフィルタが開示されている。特許文献1のハイパスフィルタにおいては、2つのLC並列共振器がキャパシタによって結合された構成を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-167157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のハイパスフィルタにおいては、2つの共振器を結合するキャパシタが、積層体の上面付近に配置された構造を有している。特許文献1の構造の場合、共振器同士を結合するキャパシタは接地されていないため、当該キャパシタを構成するキャパシタ電極の静電ポテンシャルが接地電位と比較して高くなる。そのため、当該ハイパスフィルタの上面付近に外部機器の外部シールドのような低電位部材が近づくと、ハイパスフィルタのキャパシタ電極と当該外部機器のシールド電極とが結合してシャント容量が形成され得る。そうすると、当該キャパシタによって発生する反射零点の周波数が低下し、結果としてハイパスフィルタの通過特性を低下させる要因となり得る。
【0005】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、フィルタ装置において、外部シールド電極に起因する通過特性の低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るフィルタ装置は、複数の誘電体層が積層された積層体と、入力端子と、出力端子と、接地端子と、接地端子に接続された接地電極と、平板電極と、第1線路~第4線路とを備える。積層体は、第1面および第2面を有する。入力端子、出力端子および接地端子は、第2面に配置されている。平板電極は、接地電極よりも第1面側に配置されている。第1線路は、入力端子および平板電極と電気的に接続されている。第2線路は、出力端子および平板電極と電気的に接続されている。第3線路および第4線路は、平板電極と接地電極を接続する。第1線路は、第2線路と容量結合している。積層体を積層方向から平面視した場合に、平板電極は、第1線路と第2線路とが容量結合する部分を覆っている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るフィルタ装置においては、入力端子に接続されるシャント経路および出力端子に接続されるシャント経路が互いに容量結合しており、かつ、2つの経路が容量結合している部分が平板電極に覆われている。平板電極は、第3線路および第4線路によって接地電極に接続されているため、上記の容量結合部分よりも静電ポテンシャルが低くなっている。そのため、平板電極が、容量結合部分に対してシールドとして機能する。したがって、積層体に外部機器のシールド電極が近づいても、容量結合部の静電ポテンシャルの変動を抑制することができるので、外部シールド電極に起因する通過特性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係るフィルタ装置の等価回路図である。
図2】実施の形態1のフィルタ装置の外形斜視図である。
図3】実施の形態1のフィルタ装置の内部構造を示す透過斜視図である。
図4】比較例のフィルタ装置の構成と、外部シールド電極による通過特性への影響を説明するための図である。
図5】実施の形態1に係るフィルタ装置における、外部シールド電極の有無による通過特性への影響を説明するための図である。
図6】変形例1に係るフィルタ装置の等価回路図である。
図7】変形例1のフィルタ装置の内部構造を示す透過斜視図である。
図8】変形例1のフィルタ装置における、外部シールド電極の有無による通過特性への影響を説明するための図である。
図9】変形例2のフィルタ装置の内部構造を示す透過斜視図である。
図10】変形例3のフィルタ装置の内部構造を示す透過斜視図である。
図11】変形例4のフィルタ装置の内部構造を示す透過斜視図である。
図12】変形例5のフィルタ装置の内部構造を示す透過斜視図である。
図13】実施の形態2に係るフィルタ装置の等価回路図である。
図14】実施の形態2のフィルタ装置の内部構造を示す透過斜視図である。
図15】実施の形態2のフィルタ装置における、外部シールド電極の有無による通過特性への影響を説明するための図である。
図16】変形例6に係るフィルタ装置の等価回路図である。
図17】変形例6のフィルタ装置の内部構造を示す透過斜視図である。
図18】変形例7に係るフィルタ装置の等価回路図である。
図19】変形例7のフィルタ装置の内部構造を示す透過斜視図である。
図20】変形例7のフィルタ装置における、外部シールド電極の有無による通過特性への影響を説明するための図である。
図21】変形例8に係るフィルタ装置の等価回路図である。
図22】変形例8のフィルタ装置の内部構造を示す透過斜視図である。
図23】変形例8のフィルタ装置における、外部シールド電極の有無による通過特性への影響を説明するための図である。
図24】変形例9に係るフィルタ装置の等価回路図である。
図25】変形例9のフィルタ装置の内部構造を示す透過斜視図である。
図26】変形例9のフィルタ装置における、外部シールド電極の有無による通過特性への影響を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0010】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係るフィルタ装置100の等価回路図である。フィルタ装置100は、入力端子T1と、出力端子T2と、接地端子GNDと、キャパシタC1と、インダクタL1,L11,L12,L21,L22とを含む。
【0011】
キャパシタC1は、入力端子T1と出力端子T2との間に接続される。インダクタL11,L12は、入力端子T1と接地端子GNDとの間に直列に接続される。インダクタL21,L22は、出力端子T2と接地端子GNDとの間に直列に接続される。インダクタL1は、インダクタL11とインダクタL12との間の接続ノードN1と、インダクタL21とインダクタL22との間の接続ノードN2との間に接続される。すなわち、フィルタ装置100は、いわゆるπ型のハイパスフィルタにおける2つのシャントインダクタ同士を接続した構成となっている。
【0012】
次に、図2および図3を用いて、フィルタ装置100の構造について説明する。図2はフィルタ装置100の外形斜視図であり、図3はフィルタ装置100の内部構造の一例を示す透過斜視図である。
【0013】
図3および図4を参照して、フィルタ装置100は、複数の誘電体層が積層方向に積層された、直方体または略直方体の積層体110を備えている。各誘電体層は、たとえば低温同時焼成セラミックス(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics)などのセラミック、あるいは樹脂により形成されている。積層体110の内部において、各誘電体層に設けられた複数の電極、および、誘電体層間に設けられた複数のビアによって、図1で説明したインダクタおよびキャパシタが構成される。なお、本明細書において「ビア」とは、異なる誘電体層に設けられた電極を接続するために、誘電体層中に設けられる柱状の導体を示す。ビアは、たとえば、導電ペースト、めっき、および/または金属ピンなどによって形成される。
【0014】
なお、以降の説明においては、積層体110における誘電体層の積層方向を「Z軸方向」とし、Z軸方向に垂直であって積層体110の長辺に沿った方向を「X軸方向」とし、積層体110の短辺に沿った方向を「Y軸方向」とする。また、以下では、各図におけるZ軸の正方向を上側、負方向を下側と称する場合がある。
【0015】
積層体110の上面111には、フィルタ装置100の方向を特定するための方向性マークDMが配置されている。積層体110の下面112には、当該フィルタ装置100と外部機器とを接続するための外部端子(入力端子T1、出力端子T2および接地端子GND)が配置されている。入力端子T1、出力端子T2および接地端子GNDの各々は平板形状の電極であり、積層体110の下面112に規則的に配置されたLGA(Land Grid Array)端子である。
【0016】
入力端子T1は、下面112において、Y軸方向の中央付近で、かつ、X軸の負方向の端部に近接した位置に配置されている。また、出力端子T2は、下面112において、Y軸方向の中央付近で、かつ、X軸の正方向の端部に近接した位置に配置されている。接地端子GNDは、下面112の2つの長辺に沿って配置されている。
【0017】
入力端子T1は、積層体110の内部に配置されたビアV10、平板電極P1およびビアV11によって、積層方向の中央付近の誘電体層に配置された平板電極PL1に接続される。ビアV10およびビアV11は、平板電極P1の部分でオフセットしている。
【0018】
平板電極PL1は、積層体110を積層方向(Z軸方向)から平面視した場合に略C形形状を有する帯状の電極であり、第1端部にビアV11が接続されている。平板電極PL1の第2端部にはビアV12が接続されている。ビアV12は、平板電極PL1から上面111の方向に延伸し、上面111に近い誘電体層に配置された平板電極PC30に接続される。
【0019】
出力端子T2は、積層体110の内部に配置されたビアV20、平板電極P2およびビアV21によって、積層方向の中央付近の誘電体層に配置された平板電極PL2に接続される。ビアV20およびビアV21は、平板電極P2の部分でオフセットしている。
【0020】
平板電極PL2は、平板電極PL1と同様に略C形形状を有する帯状の電極であり、平板電極PL1と同じ誘電体層において、平板電極PL1よりもX軸の正方向に離間して配置されている。平板電極PL2の第1端部には、ビアV21が接続されており、平板電極PL2の第2端部にはビアV22が接続されている。ビアV22は、平板電極PL2から上面111の方向に延伸し平板電極PC30に接続される。
【0021】
平板電極PC30は、積層体110を積層方向から平面視した場合に、略矩形形状を有する電極であり、平板電極PL1,PL2を覆っている。平板電極PC30は、ビアVG10,VG20によって、平板電極PL1,PL2と下面112との間に配置されている接地電極PG1に接続される。
【0022】
接地電極PG1は、積層体110を積層方向から平面視した場合に、略H形形状を有している。接地電極PG1は、複数のビアVG1によって、下面112に配置された複数の接地端子GNDにそれぞれ接続されている。
【0023】
平板電極PL1における第1端部から第2端部までの経路の途中に、ビアを介してキャパシタ電極PC31が接続されている。キャパシタ電極PC31は、平板電極PL1とは異なる誘電体層に配置されており、平板電極PL1との接続部分からX軸の正方向に延伸している。積層体110を積層方向から平面視した場合に、キャパシタ電極PC31の一部が平板電極PL2と重なっている。
【0024】
同様に、平板電極PL2における第1端部から第2端部までの経路の途中に、ビアを介してキャパシタ電極PC32が接続されている。キャパシタ電極PC32は、平板電極PL2とは異なる誘電体層に配置されており、平板電極PL2との接続部分からX軸の負方向に延伸している。積層体110を積層方向から平面視した場合に、キャパシタ電極PC32の一部が平板電極PL1と重なっている。
【0025】
すなわち、入力端子T1と平板電極PL1とを接続する経路と、出力端子T2と平板電極PL2とを接続する経路とは容量結合している。そして、当該2つの経路が容量結合している部分、すなわちキャパシタ電極PC31,PC32は、積層体110を積層方向から平面視した場合に、平板電極PC30によって覆われている。
【0026】
なお、図3における、ビアV10から、平板電極P1、ビアV11、平板電極PL1およびビアV12を経由して平板電極PC30に至る経路が、図1におけるインダクタL11に対応し、ビアVG10が図1におけるインダクタL12に対応する。図3における、ビアV20から、平板電極P2、ビアV21、平板電極PL2およびビアV22を経由して平板電極PC30に至る経路が、図1におけるインダクタL21に対応し、ビアVG20が図1におけるインダクタL22に対応する。図3における平板電極PC30は、図1のインダクタL1に対応する。
【0027】
また、図3において、平板電極PL1とキャパシタ電極PC32、および、平板電極PL2とキャパシタ電極PC31によって、図1におけるキャパシタC1が構成される。なお、キャパシタ電極PC31,PC32は、必ずしも双方が設けられる必要はなく、2つの経路の所望の容量結合が確保できれば、キャパシタ電極PC31,PC32のいずれか一方が設けられる構成であってもよい。
【0028】
(外部シールド電極による影響)
図1の等価回路図のようなπ型のハイパスフィルタにおいて、入力端子T1と出力端子T2との間に接続されるキャパシタC1を構成する対向電極は、いずれも接地端子GNDには直接接続されていない。そのため、キャパシタC1を構成する電極は、接地端子GNDよりも相対的に高い静電ポテンシャルを有している。この場合、外部機器の外部シールド電極あるいは接地電極のような低電位部材がフィルタ装置100に近づくと、キャパシタC1を構成する電極と当該低電位部材間にシャント容量が形成され容量結合し得る。そうすると、当該キャパシタC1によって発生する反射零点の周波数が低下して、フィルタ装置の通過特性を低下させる要因となり得る。
【0029】
図4は、上記のような問題点を検証するために比較例のフィルタ装置100Xについて行なったシミュレーション結果を示す図である。具体的には、図4においては、比較例のフィルタ装置100Xの構成、および、外部シールド電極の有無による通過特性の変化が示されている。
【0030】
図4の上段には、フィルタ装置100Xの等価回路図が示されている。フィルタ装置100Xにおいては、図1のフィルタ装置100におけるインダクタL1,L12,L22に代えて、キャパシタC11,C21が設けられている。キャパシタC11は、インダクタL11と接地端子GNDとの間に接続されている。また、キャパシタC21は、インダクタL21と接地端子GNDとの間に接続されている。すなわち、フィルタ装置100Xは、シャント接続された2つのLC直列共振器(L11+C11,L21+C21)と、キャパシタC1とによって構成されるπ型のハイパスフィルタである。
【0031】
図4の中段には、フィルタ装置100Xの側面透過図が示されている。フィルタ装置100Xにおいては、平板電極PL1の第2端部を貫通するように接続されたビアV12Xの下端にキャパシタ電極PC10Xが配置されており、当該キャパシタ電極PC10Xと接地電極PG1とによって、キャパシタC11が構成されている。また、平板電極PL2の第2端部を貫通するように接続されたビアV22Xの下端にキャパシタ電極PC20Xが配置されており、当該キャパシタ電極PC20Xと接地電極PG1とによって、キャパシタC21が構成される。
【0032】
また、ビアV12X,V22Xの上端には、それぞれキャパシタ電極PC41,PC42が接続されている。そして、このキャパシタ電極PC41,PC42の双方に対して部分的に対向するように、キャパシタ電極PC40が配置されている。キャパシタ電極PC40,PC41,PC42によって、キャパシタC1が構成される。
【0033】
上記のような構成のフィルタ装置100Xにおいては、積層体110の上面111に、外部機器における低電位部材(外部シールド電極SH)が近づくと、キャパシタC1を構成するキャパシタ電極PC40,PC41,PC42と外部シールド電極SHとが容量結合し得る。
【0034】
図4の下段には、外部シールド電極SHの有無によるフィルタ装置100Xの通過特性の変化を表わすグラフが示されている。当該グラフにおいては、横軸に周波数が示されており、縦軸には挿入損失(実線LN10,LN10A,破線LN11,LN11A)および反射損失(実線LN15,破線LN16)が示されている。グラフにおける実線LN10,LN10A,LN15は、外部シールド電極SHのない場合の特性であり、破線LN11,LN11A,LN16は、外部シールド電極SHが近づいた場合の特性である。なお、実線LN10Aおよび破線LN11Aで示される挿入損失は、実線LN10および破線LN11で示される挿入損失の拡大図であり、グラフの右側の縦軸が対応している。
【0035】
図4のグラフに示されるように、外部シールド電極SHが近づくと、減衰極の周波数が低下し(破線LN16)、それによって通過帯域の高周波数側の挿入損失が低下していることがわかる(破線LN11,LN11A)。
【0036】
図5は、実施の形態1のフィルタ装置100について、積層体110の上面111側における外部シールド電極の有無による通過特性の変化を示す図である。図5においても、横軸に周波数が示されており、縦軸には挿入損失(実線LN20,LN20A,破線LN21,LN21A)および反射損失(実線LN25,破線LN26)が示されている。実線LN20,LN20A,LN25は、外部シールド電極のない場合の特性であり、破線LN21,LN21A,LN26は、外部シールド電極が近づいた場合の特性である。
【0037】
図5に示されるように、実施の形態1のフィルタ装置100においては、外部シールド電極が上面111に近づいた場合の挿入損失および反射損失の変化は、比較例のフィルタ装置100Xの変化に比べると小さくなっており、外部シールド電極による影響が低減されていることがわかる。
【0038】
これは、キャパシタC1を構成する平板電極PL1,PL2およびキャパシタ電極PC31,PC32が、これらの電極よりも低い静電ポテンシャルを有する平板電極PC30によって覆われていることにより、当該平板電極PC30が内部シールドとして機能し、キャパシタC1を構成する各電極と外部シールド電極との結合を抑制するためである。
【0039】
このように、ハイパスフィルタを構成する2つのシャント経路同士が容量結合する部分を、接地電極に接続された平板電極により覆う構成とすることによって、外部シルード電極に起因する通過特性の低下を抑制することができる。
【0040】
実施の形態1において、ビアV10、平板電極P1、ビアV11、平板電極PL1およびビアV12を経由する経路は、本開示における「第1経路」に対応する。実施の形態1において、ビアV20、平板電極P2、ビアV21、平板電極PL2およびビアV22を経由する経路は、本開示における「第2経路」に対応する。実施の形態1における「ビアVG10」および「ビアVG20」は、本開示における「第3経路」および「第4経路」にそれぞれ対応する。実施の形態1における「上面111」および「下面112」は、本開示における「第1面」および「第2面」に対応する。実施の形態1における「キャパシタ電極PC31」および「キャパシタ電極PC32」は、本開示における「第1キャパシタ電極」および「第2キャパシタ電極」にそれぞれ対応する。実施の形態1における「平板電極PC30」は、本開示における「平板電極」に対応する。
【0041】
上記の「第1線路」において、「平板電極PL1」は本開示の「第1配線パターン」に対応し、「ビアV10,V11」は本開示における「第1ビア」に対応し、「ビアV12」は本開示における「第2ビア」に対応する。また、上記の「第2線路」において、「平板電極PL2」は本開示の「第2配線パターン」に対応し、「ビアV20,V21」は本開示における「第3ビア」に対応し、「ビアV22」は本開示における「第4ビア」に対応する。
【0042】
(変形例1)
変形例1においては、実施の形態1のフィルタ装置100のシャント経路にLC直列共振器を適用した構成について説明する。言い換えれば、図4の変形例のフィルタ装置100Xに、実施の形態1の特徴を適用した例について説明する。
【0043】
図6は、変形例1に係るフィルタ装置100Aの等価回路図である。フィルタ装置100Aにおいては、図1におけるインダクタL11と接続ノードN1との間にキャパシタC11が追加されており、さらに、インダクタL21と接続ノードN2との間にキャパシタC21が追加されている。その他の構成は、フィルタ装置100と同じであり、図1と重複する要素についての説明は繰り返さない。
【0044】
図7は、変形例1のフィルタ装置100Aの内部構造を示す透過斜視図である。図7において、フィルタ装置100Aは、概略的には、図3で説明したフィルタ装置100に、キャパシタ電極PC10,PC20が追加された構成となっている。
【0045】
キャパシタ電極PC10は、平板電極PL1の第2端部に接続されたビアV12の上面111側の端部に接続されている。キャパシタ電極PC10は、積層体110を積層方向から平面視した場合に略矩形形状を有しており、平板電極PC30に対向して配置されている。キャパシタ電極PC10と平板電極PC30とによって、図6におけるキャパシタC11が構成される。
【0046】
キャパシタ電極PC20は、平板電極PL2の第2端部に接続されたビアV22の上面111側の端部に接続されている。キャパシタ電極PC20は、積層体110を積層方向から平面視した場合に略矩形形状を有しており、平板電極PC30に対向して配置されている。キャパシタ電極PC20と平板電極PC30とによって、図6におけるキャパシタC21が構成される。
【0047】
積層体110を積層方向から平面視した場合に、平板電極PC30は、キャパシタ電極PC10,PC20を覆っている。
【0048】
このように、シャント経路にLC直列共振器を形成することによって、非通過帯域に減衰極を追加することができるので、フィルタ装置の減衰特性を向上させることができる。さらに、当該LC直列共振器を構成するキャパシタにおける高静電ポテンシャル側の電極であるキャパシタ電極PC10,PC20が、内部シールド電極として機能し得る平板電極PC30に覆われているため、積層体110の上面111側に外部シールド電極が近づいた場合でも、キャパシタ電極PC10,PC20の静電ポテンシャルの変動が抑制される。これにより、外部シールド電極に起因する通過特性の低下を抑制することができる。
【0049】
図8は、変形例1のフィルタ装置100Aにおける、外部シールド電極の有無による通過特性への影響を説明するための図である。図8においても、横軸に周波数が示されており、縦軸には挿入損失(実線LN30,LN30A,破線LN31,LN31A)および反射損失(実線LN35,破線LN36)が示されている。実線LN30,LN30A,LN35は、外部シールド電極のない場合の特性であり、破線LN31,LN31A,LN36は、外部シールド電極が近づいた場合の特性である。
【0050】
図8に示されるように、変形例1のフィルタ装置100Aにおいては、外部シールド電極が上面111に近づいた場合の挿入損失および反射損失は、外部シールド電極のない場合とほぼ一致していることがわかる。したがって、フィルタ装置100Aの構成においても、外部シールド電極に起因する通過特性の低下を抑制することができる。
【0051】
変形例1における「キャパシタ電極PC10」および「キャパシタ電極PC20」は、本開示における「第4キャパシタ電極」および「第5キャパシタ電極」にそれぞれ対応する。
【0052】
(変形例2)
変形例2は、図6に示した変形例1と同様の回路構成を有するフィルタ装置における、2つのシャント経路間の容量結合の構成の他の例について説明する。図9は、変形例2のフィルタ装置100Bの内部構造を示す透過斜視図である。フィルタ装置100Bにおいては、図7で示した変形例1のフィルタ装置100Aにおける平板電極PL1,PL2が平板電極PL1B,PL2Bに置き換えられ、キャパシタ電極PC31,PC32が削除された構成となっている。フィルタ装置100Bにおける他の構成はフィルタ装置100Aと同様であり、図7と重複する要素の説明は繰り返さない。
【0053】
図9を参照して、平板電極PL1B,PL2Bの各々は、積層体110を積層方向から平面視した場合に、略C字形状を有する帯状の電極である。平板電極PL1Bの第1端部にはビアV11が接続されており、第2端部にはビアV12が接続されている。平板電極PL2Bの第1端部にはビアV21が接続されており、第2端部にはビアV22が接続されている。
【0054】
平板電極PL1Bおよび平板電極PL2Bは、互いに異なる誘電体層に配置されている。そして、積層体110を積層方向から平面視した場合に、平板電極PL1Bの一部は、平板電極PL2Bの一部と重なっている。言い換えると、平板電極PL1Bおよび平板電極PL2Bは、自身を構成する電極同士によって容量結合し、図6におけるキャパシタC1を構成している。さらに、積層体110を積層方向から平面視した場合に、平板電極PL1Bおよび平板電極PL2B、ならびにキャパシタ電極PC10,PC20は、上面111側に配置された平板電極PC30に覆われている。
【0055】
変形例2のフィルタ装置100Bの構成においても、キャパシタを構成する高静電ポテンシャル側の平板電極PL1B,PL2Bおよびキャパシタ電極PC10,PC20が、内部シールド電極として機能し得る平板電極PC30に覆われているため、積層体110の上面111側に外部シールド電極が近づいた場合でも、これらの電極の静電ポテンシャルの変動が抑制される。これにより、外部シールド電極に起因する通過特性の低下を抑制することができる。
【0056】
変形例2において、ビアV10、平板電極P1、ビアV11、平板電極PL1BおよびビアV12を経由する経路は、本開示における「第1経路」に対応する。変形例2において、ビアV20、平板電極P2、ビアV21、平板電極PL2BおよびビアV22を経由する経路」は、本開示における「第2経路」に対応する。
【0057】
(変形例3)
変形例3においては、変形例1のフィルタ装置100Aにおける、平板電極PL1,PL2との間の容量結合を形成する構成の他の例について説明する。
【0058】
図10は、変形例3のフィルタ装置100Bの内部構造を示す透過斜視図である。フィルタ装置100Bにおいては、フィルタ装置100Aにおけるキャパシタ電極PC31,PC32が、キャパシタ電極PC35に置き換わった構成となっている。フィルタ装置100Bにおけるそれ以外の構成は、一部電極の形状が異なる部分はあるものの、実質的にはフィルタ装置100Aと同様であり、重複する要素の説明は繰り返さない。
【0059】
図10を参照して、キャパシタ電極PC35は、直線状の4つの電極が、内部に開口部を有する四角形となるように配置された構成を有している。キャパシタ電極PC35は、平板電極PL1,PL2が配置される誘電体層と、平板電極PC30が配置される誘電体層との間の誘電体層に配置されている。そして、積層体110を積層方向から平面視した場合に、キャパシタ電極PC35は平板電極PL1,PL2と部分的に重なっている。キャパシタ電極PC35と平板電極PL1,PL2とによって、図6におけるキャパシタC1が構成される。
【0060】
さらに、積層体110を積層方向から平面視した場合に、キャパシタ電極PC35、平板電極PL1および平板電極PLB、ならびに、キャパシタ電極PC10,PC20は、上面111側に配置された平板電極PC30に覆われている。これにより、積層体110の上面111側に外部シールド電極が近づいた場合でも、これらの電極の静電ポテンシャルの変動が抑制される。したがって、外部シールド電極に起因する通過特性の低下を抑制することができる。
【0061】
変形例3における「キャパシタ電極PC35」は、本開示における「第3キャパシタ電極」に対応する。
【0062】
(変形例4)
変形例4においても、変形例1のフィルタ装置100Aにおける、平板電極PL1,PL2との間の容量結合を形成する構成の他の例について説明する。
【0063】
図11は、変形例4のフィルタ装置100Dの内部構造を示す透過斜視図である。フィルタ装置100Dにおいては、フィルタ装置100Aにおける平板電極PL1が平板電極PL1D1,PL1D2に置き換えられ、平板電極PL2が平板電極PL2D1,PL2D2に置き換えられている。さらに、フィルタ装置100Aのキャパシタ電極PC31,PC32に代えて、キャパシタ電極PT10,PT15,PT20,PT25が設けられている。フィルタ装置100Dにおけるその他の構成はフィルタ装置100Aと同様であり、重複する要素の説明は繰り返さない。なお、平板電極PL1D1,PL1D2を包括的に「平板電極PL1D」と称し、平板電極PL2D1,PL2D2を包括的に「平板電極PL2D」と称する場合がある。
【0064】
図11を参照して、平板電極PL1D1,PL1D2は、積層体110を積層方向から平面視した場合に互いに同じ形状を有しており、積層方向の異なる誘電体層に、互いに重なるように配置されている。図11においては、平板電極PL1D2が、平板電極PL1D1よりも上面111側に配置されている。平板電極PL1D1,PL1D2の第1端部にはビアV11が接続されており、第2端部にはビアV12が接続されている。平板電極PL1D1には、同じ誘電体層においてX軸の正方向に延伸するキャパシタ電極PT15が接続されている。また、平板電極PL1D2には、同じ誘電体層においてY軸の負方向に延伸するキャパシタ電極PT10が接続されている。積層体110を積層方向から平面視した場合に、平板電極PL1D1におけるキャパシタ電極PT15の接続位置は、平板電極PL1D2におけるキャパシタ電極PT10の接続位置とは異なっている。
【0065】
同様に、平板電極PL2D1,PL2D2は、積層体110を積層方向から平面視した場合に互いに同じ形状を有しており、積層方向の異なる誘電体層に、互いに重なるように配置されている。図11においては、平板電極PL2D1は平板電極PL1D1と同じ誘電体層に配置されており、平板電極PL2D2は平板電極PL1D2と同じ誘電体層に配置されている。平板電極PL2D1,PL2D2の第1端部にはビアV21が接続されており、第2端部にはビアV22が接続されている。平板電極PL2D1には、同じ誘電体層においてX軸の負方向に延伸するキャパシタ電極PT25が接続されている。また、平板電極PL2D2には、同じ誘電体層においてY軸の正方向に延伸するキャパシタ電極PT20が接続されている。キャパシタ電極PT25は、積層体110を積層方向から平面視した場合に、平板電極PT10と部分的に重なるように平板電極PL2D1に接続されている。また、キャパシタ電極PT20は、積層体110を積層方向から平面視した場合に、平板電極PT15と部分的に重なるように平板電極PL2D1に接続されている。
【0066】
すなわち、キャパシタ電極PT10およびキャパシタ電極PT25の対と、キャパシタ電極PT10およびキャパシタ電極PT25の対とによって、図6におけるキャパシタC1が構成される。なお、キャパシタ電極PT10およびキャパシタ電極PT25の対、ならびに、キャパシタ電極PT10およびキャパシタ電極PT25の対のいずれか一方のみが設けられる構成であってもよい。
【0067】
そして、積層体110を積層方向から平面視した場合に、キャパシタ電極PT10,PT15,PT20,PT25、平板電極PL1D,PL2D、および、キャパシタ電極PC10,PC20は、平板電極PC30に覆われている。これにより、積層体110の上面111側に外部シールド電極が近づいた場合でも、これらの電極の静電ポテンシャルの変動が抑制される。したがって、外部シールド電極に起因する通過特性の低下を抑制することができる。
【0068】
変形例4における「キャパシタ電極PT10,PT15」は、本開示における「第1キャパシタ電極」に対応する。変形例4における「キャパシタ電極PT20,PT25」は、本開示における「第2キャパシタ電極」に対応する。変形例4において、ビアV10、平板電極P1、ビアV11、平板電極PL1DおよびビアV12を経由する経路は、本開示における「第1経路」に対応する。変形例4において、ビアV20、平板電極P2、ビアV21、平板電極PL2DおよびビアV22を経由する経路は、本開示における「第2経路」に対応する。
【0069】
(変形例5)
変形例5においても、変形例1のフィルタ装置100Aにおける、平板電極PL1,PL2との間の容量結合を形成する構成の他の例について説明する。
【0070】
図12は、変形例5のフィルタ装置100Eの内部構造を示す透過斜視図である。フィルタ装置100Eにおいては、フィルタ装置100Aにおける平板電極PL1が平板電極PL1E1,PL1E2に置き換えられ、平板電極PL2が平板電極PL2E1,PL2E2に置き換えられている。さらに、フィルタ装置100Aのキャパシタ電極PC31,PC32に代えて、キャパシタ電極PC36が設けられている。フィルタ装置100Eにおけるその他の構成はフィルタ装置100Aと同様であり、重複する要素の説明は繰り返さない。なお、平板電極PL1E1,PL1E2を包括的に「平板電極PL1E」と称し、平板電極PL2E1,PL2E2を包括的に「平板電極PL2E」と称する場合がある。
【0071】
図12を参照して、平板電極PL1E1,PL1E2は、積層体110を積層方向から平面視した場合に互いに同じ形状を有しており、積層方向の異なる誘電体層に、互いに重なるように配置されている。図12においては、平板電極PL1E2が、平板電極PL1E1よりも上面111側に配置されている。平板電極PL1E1,PL1E2の第1端部にはビアV11が接続されており、第2端部にはビアV12が接続されている。
【0072】
同様に、平板電極PL2E1,PL2E2は、積層体110を積層方向から平面視した場合に互いに同じ形状を有しており、積層方向の異なる誘電体層に、互いに重なるように配置されている。図12においては、平板電極PL2E1は平板電極PL1E1と同じ誘電体層に配置されており、平板電極PL2E2は平板電極PL1E2と同じ誘電体層に配置されている。平板電極PL2E1,PL2E2の第1端部にはビアV21が接続されており、第2端部にはビアV22が接続されている。
【0073】
キャパシタ電極PC36は、平板電極PL1E1,PL2E1が配置される誘電体層と、平板電極PL1E2,PL2E2が配置される誘電体層との間の誘電体層に配置されている。図12においては、キャパシタ電極PC36は、X軸方向に延伸する帯状の電極である。そして、積層体110を積層方向から平面視した場合に、キャパシタ電極PC36は、平板電極PL1E,PL2Eと部分的に重なっている。すなわち、キャパシタ電極PC36と、平板電極PL1E,PL2Eとによって、図6におけるキャパシタC1が構成される。
【0074】
そして、積層体110を積層方向から平面視した場合に、キャパシタ電極PC36、平板電極PL1E,PL2E、および、キャパシタ電極PC10,PC20は、平板電極PC30に覆われている。これにより、積層体110の上面111側に外部シールド電極が近づいた場合でも、これらの電極の静電ポテンシャルの変動が抑制される。したがって、外部シールド電極に起因する通過特性の低下を抑制することができる。
【0075】
変形例5における「キャパシタ電極PC36」は、本開示における「第3キャパシタ電極」に対応する。変形例5において、ビアV10、平板電極P1、ビアV11、平板電極PL1EおよびビアV12を経由する経路は、本開示における「第1経路」に対応する。変形例5において、ビアV20、平板電極P2、ビアV21、平板電極PL2EおよびビアV22を経由する経路は、本開示における「第2経路」に対応する。
【0076】
[実施の形態2]
実施の形態2および以降の変形例6~変形例9においては、実施の形態1あるいは変形例1~変形例5のフィルタ装置の構成に、LC直列共振器を追加した構成について説明する。上述のように、共振器を追加することによって減衰極を増やすことができるので、フィルタ装置の非通過帯域における減衰特性を向上させることができる。
【0077】
図13は、実施の形態2に係るフィルタ装置100Fの等価回路図である。フィルタ装置100Fは、図1で示した実施の形態1のフィルタ装置100におけるインダクタL1の部分が、図13の破線の領域AR1で示した回路に置き換わった構成を有している。
【0078】
具体的には、フィルタ装置100Fにおいては、インダクタL11,L12の接続ノードN1と、インダクタL21,L22の接続ノードN2とに間に、直列接続されたインダクタL41,L42が接続されている。そして、インダクタL41とインダクタL42との接続ノードN3に、インダクタL43の一方端が接続される。インダクタL43の他方端は、キャパシタC41を介して接地端子GNDに接続される。
【0079】
なお、インダクタL41,L42は、実質的には図1におけるインダクタL1に対応する。そのため、フィルタ装置100Fは、実施の形態1のフィルタ装置100のインダクタL1と接地端子GNDとの間にLC直列共振回路(L43+C41)が接続された構成に対応する。
【0080】
図14は、実施の形態2のフィルタ装置100Fの内部構造を示す透過斜視図である。フィルタ装置100Fは、図3で示した実施の形態1のフィルタ装置100に、キャパシタ電極PC55およびビアVG55が追加された構成となっている。図14において、図3と重複する要素の説明は繰り返さない。
【0081】
図14を参照して、ビアVG55は、平板電極PC30のほぼ中央に接続さている。ビアVG55は、平板電極PC30から下面112側に延伸し、接地電極PG1に対向して配置されたキャパシタ電極PC55に接続される。キャパシタ電極PC55および接地電極PG1によって、図13のキャパシタC41が構成される。積層体110を積層方向から平面視した場合に、キャパシタ電極PC55およびビアVG55は、平板電極PC30に覆われている。
【0082】
なお、平板電極PC30におけるビアV12からビアVG55までの部分が、図13におけるインダクタL41に対応する。また、平板電極PC30におけるビアV22からビアVG55までの部分が、図13におけるインダクタL42に対応する。ビアVG55は、図13におけるインダクタL43に対応する。
【0083】
図15は、実施の形態2のフィルタ装置100Fにおける、外部シールド電極の有無による通過特性への影響を説明するための図である。図15においても、横軸に周波数が示されており、縦軸には挿入損失(実線LN40,LN40A,破線LN41,LN41A)および反射損失(実線LN45,破線LN46)が示されている。実線LN40,LN40A,LN45は、外部シールド電極のない場合の特性であり、破線LN41,LN41A,LN46は、外部シールド電極が近づいた場合の特性である。
【0084】
図15に示されるように、実施の形態2のフィルタ装置100Fにおいては、外部シールド電極が上面111に近づいた場合の挿入損失および反射損失は、外部シールド電極のない場合とほぼ一致していることがわかる。したがって、フィルタ装置100Fの構成においても、外部シールド電極に起因する通過特性の低下を抑制することができる。
【0085】
実施の形態2における「ビアVG55」は、本開示における「第5線路」に対応する。また、実施の形態2における「キャパシタ電極PC55」は、本開示における「第6キャパシタ電極」に対応する。
【0086】
(変形例6)
変形例6においては、実施の形態2のフィルタ装置100FにおけるLC直列共振器が反対に接続された構成について説明する。
【0087】
図16は、変形例6に係るフィルタ装置100Gの等価回路図である。フィルタ装置100Gにおいては、図13で示した実施の形態2のフィルタ装置100Fの等価回路において、接続ノードN3にキャパシタC41が接続されており、キャパシタC41と接地端子GNDとの間にインダクタL43が接続されている(破線領域AR2)。
【0088】
図17は、変形例6のフィルタ装置100Gの内部構造を示す透過斜視図である。フィルタ装置100Gにおいては、図14のフィルタ装置100Fにおけるキャパシタ電極PC55およびビアV55に代えて、キャパシタ電極PC50およびビアV50が設けられる。
【0089】
キャパシタ電極PC50は、平板電極PC30と接地電極PG1との間の誘電体層において、平板電極PC30に対向して配置されている。そして、キャパシタ電極PC50は、ビアVG50によって接地電極PG1に接続される。積層体110を積層方向から平面視した場合に、キャパシタ電極PC50およびビアVG50は、平板電極PC30に覆われている。
【0090】
なお、キャパシタ電極PC50および平板電極PC30によって、図16におけるキャパシタC41が構成される。また、ビアVG50は、図16におけるインダクタL43に対応する。
【0091】
このような構成においても、実施の形態2と同様に、外部シールド電極に起因する通過特性の低下を抑制することができる。
【0092】
変形例6における「ビアVG50」は、本開示における「第6線路」に対応する。また、変形例6における「キャパシタ電極PC50」は、本開示における「第7キャパシタ電極」に対応する。
【0093】
(変形例7)
変形例7においては、図10で示した変形例3のフィルタ装置100Cに、実施の形態2と同様のLC直列共振器を追加した構成について説明する。
【0094】
図18は、変形例7に係るフィルタ装置100Hの等価回路図である。図18の等価回路は、図6で示した等価回路におけるインダクタL1の部分が、破線領域AR3の回路に置き換えられた構成となっている。すなわち、接続ノードN1と接続ノードN2との間に、直列接続されたインダクタL41,L42が接続されており、インダクタL41,L42の接続ノードN3と接地端子GNDとの間に、インダクタL43およびキャパシタC41によって構成されたLC直列共振器が接続されている。
【0095】
図19は、変形例7のフィルタ装置100Hの内部構造を示す透過斜視図である。フィルタ装置100Hは、図10で示したフィルタ装置100Cの構成に、キャパシタ電極PC55、および、ビアVG55,VG21,VG22が追加された構成となっている。図19において、図10と重複する要素の説明は繰り返さない。
【0096】
図19を参照して、ビアVG55は、平板電極PC30のほぼ中央に接続さている。ビアVG55は、平板電極PC30から下面112側に延伸し、接地電極PG1に対向して配置されたキャパシタ電極PC55に接続される。キャパシタ電極PC55および接地電極PG1によって、図18のキャパシタC41が構成される。積層体110を積層方向から平面視した場合に、キャパシタ電極PC55およびビアVG55は、平板電極PC30に覆われている。
【0097】
なお、平板電極PC30におけるビアV11からビアVG55までの部分が、図18におけるインダクタL41に対応する。また、平板電極PC30におけるビアV21からビアVG55までの部分が、図18におけるインダクタL42に対応する。ビアVG55は、図18におけるインダクタL43に対応する。
【0098】
ビアVG11は、ビアVG10に隣接して配置されており、平板電極PC30と接地電極PG1とに接続される。同様に、ビアVG21は、ビアVG20に隣接して配置されており、平板電極PC30と接地電極PG1とに接続される。ビアVG11,VG21は、図18におけるインダクタL12,L22のインダクタンス値を低減するために設けられるものであり、必ずしも必須の構成ではない。所望のインダクタンス値が実現できれば、ビアVG10,VG20のみであってもよい。
【0099】
図20は、変形例7のフィルタ装置100Hにおける、外部シールド電極の有無による通過特性への影響を説明するための図である。図20においても、横軸に周波数が示されており、縦軸には挿入損失(実線LN50,LN50A,破線LN51,LN51A)および反射損失(実線LN55,破線LN56)が示されている。実線LN50,LN50A,LN55は、外部シールド電極のない場合の特性であり、破線LN51,LN51A,LN56は、外部シールド電極が近づいた場合の特性である。
【0100】
図20に示されるように、実施の形態2のフィルタ装置100Hにおいては、外部シールド電極が上面111に近づいた場合の挿入損失および反射損失は、外部シールド電極のない場合とほぼ一致していることがわかる。したがって、フィルタ装置100Hの構成においても、外部シールド電極に起因する通過特性の低下を抑制することができる。
【0101】
(変形例8)
変形例8においては、変形例7のフィルタ装置100HにおけるLC直列共振器が反対に接続された構成について説明する。
【0102】
図21は、変形例8に係るフィルタ装置100Iの等価回路図である。フィルタ装置100Iにおいては、図18で示した変形例7のフィルタ装置100Hの等価回路において、接続ノードN3にキャパシタC41が接続されており、キャパシタC41と接地端子GNDとの間にインダクタL43が接続されている(破線領域AR4)。
【0103】
図22は、変形例8のフィルタ装置100Iの内部構造を示す透過斜視図である。フィルタ装置100Iにおいては、図19のフィルタ装置100Hにおけるキャパシタ電極PC55およびビアV55に代えて、キャパシタ電極PC50およびビアV50が設けられる。
【0104】
キャパシタ電極PC50は、平板電極PC30と接地電極PG1との間の誘電体層において、平板電極PC30に対向して配置されている。積層体110を積層方向から平面視した場合に、キャパシタ電極PC50は、キャパシタ電極PC10とキャパシタ電極PC20との間に配置されており、キャパシタ電極PC10,PC20とは重なっていない。キャパシタ電極PC50は、キャパシタ電極PC10,PC20と同じ誘電体層に配置されていてもよいし、異なる誘電体層に配置されていてもよい。そして、キャパシタ電極PC50は、ビアVG50によって接地電極PG1に接続される。ビアVG50は、キャパシタ電極PC35の開口部を貫通している。積層体110を積層方向から平面視した場合に、キャパシタ電極PC50およびビアVG50は、平板電極PC30に覆われている。
【0105】
図23は、変形例8のフィルタ装置100Iにおける、外部シールド電極の有無による通過特性への影響を説明するための図である。図23においても、横軸に周波数が示されており、縦軸には挿入損失(実線LN60,LN60A,破線LN61,LN61A)および反射損失(実線LN65,破線LN66)が示されている。実線LN60,LN60A,LN65は、外部シールド電極のない場合の特性であり、破線LN61,LN61A,LN66は、外部シールド電極が近づいた場合の特性である。
【0106】
図23に示されるように、変形例8のフィルタ装置100Iにおいては、外部シールド電極が上面111に近づいた場合の挿入損失および反射損失は、外部シールド電極のない場合とほぼ一致していることがわかる。したがって、フィルタ装置100Iの構成においても、外部シールド電極に起因する通過特性の低下を抑制することができる。
【0107】
変形例8における「ビアVG50」は、本開示における「第7線路」に対応する。また、変形例8における「キャパシタ電極PC50」は、本開示における「第8キャパシタ電極」に対応する。
【0108】
(変形例9)
変形例9においては、変形例8のフィルタ装置100Iにおけるキャパシタ電極PC50が、各線路に接続されるキャパシタ電極PC10,PC20と容量結合する構成について説明する。
【0109】
図24は、変形例9に係るフィルタ装置100Jの等価回路図である。図6に示した等価回路図における、インダクタL11とキャパシタC11との間の接続ノードN4と、インダクタL21とキャパシタC21との間の接続ノードN5との間に、破線領域AR5の回路が追加された構成となっている。
【0110】
具体的には、接続ノードN4と接続ノードN5との間に、直列接続されたキャパシタC31,C32が接続されている。そして、キャパシタC31,C32の接続ノードN6と接地端子GNDとの間に、インダクタL31が接続されている。キャパシタC31,C32およびインダクタL31によって、LC直列共振器が構成される。
【0111】
図25は、変形例9のフィルタ装置100Jの内部構造を示す透過斜視図である。フィルタ装置100Jは、図7で示したフィルタ装置100Aに、キャパシタ電極PC60およびビアVG60,VG61が実質的に追加された構成となっている。図25において、図7と重複する要素についての説明は繰り返さない。
【0112】
図25を参照して、キャパシタ電極PC60は、積層体110を積層方向から平面視した場合に、略矩形形状を有しており、キャパシタ電極PC10,PC20よりも下面112側の誘電体層に配置されている。そして、積層体110を積層方向から平面視した場合に、キャパシタ電極PC60は、キャパシタ電極PC10,PC20と部分的に重なっている。キャパシタ電極PC60は、ビアVG60,VG61によって接地電極PG1に接続されている。なお、キャパシタ電極PC60と接地電極PG1との接続に、必ずしも2つのビアは必要ではなく、所望のインダクタンス値が実現できれば1つのビアであってもよい。
【0113】
キャパシタ電極PC60とキャパシタ電極PC10とによって、図24におけるキャパシタC31が構成される。また、キャパシタ電極PC60とキャパシタ電極PC20とによって、図24におけるキャパシタC32が構成される。
【0114】
図26は、変形例9のフィルタ装置100Jにおける、外部シールド電極の有無による通過特性への影響を説明するための図である。図26においても、横軸に周波数が示されており、縦軸には挿入損失(実線LN70,LN70A,破線LN71,LN71A)および反射損失(実線LN75,破線LN76)が示されている。実線LN70,LN70A,LN75は、外部シールド電極のない場合の特性であり、破線LN71,LN71A,LN76は、外部シールド電極が近づいた場合の特性である。
【0115】
図26に示されるように、変形例9のフィルタ装置100Jにおいては、外部シールド電極が上面111に近づいた場合の挿入損失および反射損失は、外部シールド電極のない場合とほぼ一致していることがわかる。したがって、フィルタ装置100Jの構成においても、外部シールド電極に起因する通過特性の低下を抑制することができる。
【0116】
変形例9における「ビアVG60,VG61」は、本開示における「第7線路」に対応する。また、変形例9における「キャパシタ電極PC60」は、本開示における「第8キャパシタ電極」に対応する。
[態様]
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0117】
(第1項)一態様に係るフィルタ装置は、複数の誘電体層が積層された積層体と、入力端子と、出力端子と、接地端子と、接地端子に接続された接地電極と、平板電極と、第1線路~第4線路とを備える。積層体は、第1面および第2面を有する。入力端子、出力端子および接地端子は、第2面に配置されている。平板電極は、接地電極よりも第1面側に配置されている。第1線路は、入力端子および平板電極と電気的に接続されている。第2線路は、出力端子および平板電極と電気的に接続されている。第3線路および第4線路は、平板電極と接地電極とを接続する。第1線路は、第2線路と容量結合している。積層体を積層方向から平面視した場合に、平板電極は、第1線路と第2線路とが容量結合する部分を覆っている。
【0118】
(第2項)第1項に記載のフィルタ装置は、平板電極と第2面との間に配置され、第1線路に接続された第1キャパシタ電極をさらに備える。積層体を積層方向から平面視した場合に、第1キャパシタ電極および第2線路は部分的に重なっており、平板電極は第1キャパシタ電極を覆っている。
【0119】
(第3項)第1または2項に記載のフィルタ装置は、平板電極と第2面との間に配置され、第2線路に接続された第2キャパシタ電極をさらに備える。積層体を積層方向から平面視した場合に、第2キャパシタ電極および第1線路は部分的に重なっており、平板電極は第2キャパシタ電極を覆っている。
【0120】
(第4項)第1項に記載のフィルタ装置は、平板電極と第2面との間に配置され、第1線路および第2線路にそれぞれ接続された第1キャパシタ電極および第2キャパシタ電極をさらに備える。積層体を積層方向から平面視した場合に、第1キャパシタ電極および第2キャパシタ電極は部分的に重なっており、平板電極は第1キャパシタ電極および第2キャパシタ電極を覆っている。
【0121】
(第5項)第1項に記載のフィルタ装置は、平板電極と第2面との間に配置された第3キャパシタ電極をさらに備える。積層体を積層方向から平面視した場合に、第3キャパシタ電極は第1線路および第2線路の双方と部分的に重なっており、平板電極は第3キャパシタ電極を覆っている。
【0122】
(第6項)第1項に記載のフィルタ装置において、積層体を積層方向から平面視した場合に、第1線路の少なくとも一部は第2線路と重なっており、平板電極は第1線路および第2線路が重なっている部分を覆っている。
【0123】
(第7項)第1項~第6項のいずれか1項に記載のフィルタ装置は、第4キャパシタ電極および第5キャパシタ電極をさらに備える。第4キャパシタ電極は、第1線路に接続され、平板電極に対向して配置されている。第5キャパシタ電極は、第2線路に接続され、平板電極に対向して配置されている。
【0124】
(第8項)第1項~第7項のいずれか1項に記載のフィルタ装置は、平板電極と接地電極との間に配置されたLC直列共振器をさらに備える。LC直列共振器は、接地電極に対向して配置された第6キャパシタ電極と、第6キャパシタ電極と平板電極とに接続された第5線路とを含む。
【0125】
(第9項)第1項~第6項のいずれか1項に記載のフィルタ装置は、平板電極と接地電極との間に配置されたLC直列共振器をさらに備える。LC直列共振器は、第7キャパシタ電極と、第6線路とを含む。第7キャパシタ電極は、平板電極よりも第2面側において、平板電極に対向して配置されている。第6線路は、第7キャパシタ電極お接地電極に接続されている。積層体を積層方向から平面視した場合に、平板電極は第7キャパシタ電極をさらに覆っている。
【0126】
(第10項)第7項に記載のフィルタ装置は、平板電極と接地電極との間に配置されたLC直列共振器をさらに備える。LC直列共振器は、第8キャパシタ電極と、第7線路とをさらに含む。第8キャパシタ電極は、平板電極よりも第2面側に配置されている。第7線路は、第8キャパシタ電極および接地端子に接続される。積層体を積層方向から平面視した場合に、平板電極は第8キャパシタ電極をさらに覆っている。
【0127】
(第11項)第10項に記載のフィルタ装置において、積層体を積層方向から平面視した場合に、第8キャパシタ電極は第4キャパシタ電極と第5キャパシタ電極との間に配置されている。
【0128】
(第12項)第11項に記載のフィルタ装置において、第8キャパシタ電極は、第4キャパシタ電極および第5キャパシタ電極と同じ誘電体層に配置されている。
【0129】
(第13項)第10項に記載のフィルタ装置において、積層体を積層方向から平面視した場合に、第8キャパシタ電極は第4キャパシタ電極および第5キャパシタ電極と部分的に重なっている。
【0130】
(第14項)第1項~第13項のいずれか1項に記載のフィルタ装置において、第1線路は、積層体内の誘電体層に配置された第1配線パターンと、第1ビアおよび第2ビアとを含む。第1ビアは、第1配線パターンと入力端子とを接続する。第2ビアは、第1配線パターンと平板電極とを電気的に接続する。第2線路は、積層体内の誘電体層に配置された第2配線パターンと、第3ビアおよび第4ビアを含む。第3ビアは、第2配線パターンと出力端子とを接続する。第4ビアは、第2配線パターンと平板電極とを電気的に接続する。
【0131】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0132】
100,100A~100J,100X フィルタ装置、110 積層体、111 上面、112 下面、C1,C11,C21,C31,C32,C41 キャパシタ、DM 方向性マーク、GND 接地端子、L1,L11,L12,L21,L22,L31,L41~L43 インダクタ、N1~N6 接続ノード、P1,P2,PC30,PL1,PL2,PL1B,PL1D,PL1D1,PL1D2,PL1E,PL1E1,PL1E2,PL2B,PL2D,PL2D1,PL2D2,PL2E,PL2E1,PL2E2,PT10,PT15 平板電極、PC10,PC10X,PC20,PC20X,PC31,PC32,PC35,PC36,PC40,PC41,PC42,PC50,PC55,PC60,PT10,PT15,PT20,PT25 キャパシタ電極、PG1 接地電極、SH 外部シールド電極、T1 入力端子、T2 出力端子、V10~V12,V12X,V20~V22,V22X,V50,V55,VG1,VG10,VG11,VG20~VG22,VG50,VG55,VG60,VG61 ビア。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26