IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凸版印刷株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-樹脂含浸化粧紙および樹脂含浸化粧板 図1
  • 特開-樹脂含浸化粧紙および樹脂含浸化粧板 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011729
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】樹脂含浸化粧紙および樹脂含浸化粧板
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/04 20060101AFI20240118BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240118BHJP
   A47B 96/20 20060101ALI20240118BHJP
   D06N 7/06 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B32B27/04 A
B32B27/00 E
A47B96/20 D
D06N7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113972
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】水上 良平
(72)【発明者】
【氏名】太田 新
【テーマコード(参考)】
4F055
4F100
【Fターム(参考)】
4F055AA18
4F055BA12
4F055DA03
4F055DA12
4F055EA26
4F055FA23
4F055FA38
4F055HA06
4F100AB12A
4F100AJ09C
4F100AK01A
4F100AK01C
4F100AK25C
4F100AK36A
4F100AK53C
4F100AT00D
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100BA10D
4F100CA01C
4F100DD01C
4F100DD07
4F100DE01C
4F100DG10A
4F100DJ01C
4F100EJ42
4F100EJ42C
4F100EJ82A
4F100HB00
4F100HB00B
4F100JK14
4F100JL06
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】優れた触感並びに高い耐傷性および耐汚染性を両立させる表面粗さを有する樹脂含浸化粧板と、該樹脂含浸化粧板に用いられる樹脂含浸化粧紙を提供する。
【解決手段】樹脂含浸化粧紙10は、化粧紙10aに含浸樹脂10bが含浸した樹脂含浸化粧紙であって、前記化粧紙10aは、原紙3と、前記原紙3の上側UPに印刷により形成される絵柄模様層2と、前記絵柄模様層2の上側UPに積層され、発泡剤1bを含む発泡樹脂層1と、を有し、前記発泡樹脂層1は、発泡して体積が膨張することで前記絵柄模様層2の上側UPの面2sに凹凸模様部100pを形成し、前記凹凸模様部100pの凹部100bから凸部100tまでの上下方向Vにおける最大高さが、20μm以上90μm以下である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧紙に含浸樹脂が含浸した樹脂含浸化粧紙であって、
前記化粧紙は、
原紙と、
前記原紙の上側に印刷により形成される絵柄模様層と、
前記絵柄模様層の上側に積層され、発泡剤を含む発泡樹脂層と、
を有し、
前記発泡樹脂層は、発泡して体積が膨張することで前記絵柄模様層の上側の面に凹凸模様部を形成し、
前記凹凸模様部の凹部から凸部までの上下方向における最大高さが、20μm以上90μm以下である、
樹脂含浸化粧紙。
【請求項2】
前記発泡剤は、発泡開始温度が150℃以上220℃以下、かつ、発泡後粒径が100μm以上200μm以下である、
請求項1に記載の樹脂含浸化粧紙。
【請求項3】
前記原紙は、チタン紙である、
請求項2に記載の樹脂含浸化粧紙。
【請求項4】
前記含浸樹脂は、メラミン樹脂を含む、
請求項3に記載の樹脂含浸化粧紙。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の樹脂含浸化粧紙と、
前記樹脂含浸化粧紙の下側に接着される基材と、
を備える、
樹脂含浸化粧板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂含浸化粧紙および樹脂含浸化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂含浸化粧紙と基材とを接着させた樹脂含浸化粧板は、表面硬度が高く、耐汚染性、耐摩耗性、耐熱性および耐水性等に優れた化粧板である。そのため、樹脂含浸化粧板は、机等の家具の表面材又は店舗のカウンター等の什器の表面材として使用される。また、樹脂含浸化粧板の表面に触感が求められる場合は、凹凸模様を有するプレスプレートで樹脂含浸化粧板の表面に圧力を加えて、樹脂含浸化粧板の表面に凹凸模様を転写するエンボス加工を施すことで触感を付与できる。樹脂含浸化粧板として、例えば、メラミン樹脂を含浸させた樹脂含浸化粧紙とパーチクルボード等の基材とを低圧で圧着させた低圧メラミン化粧板がある。
【0003】
表面に触感を付与する樹脂含浸化粧板として、特許文献1に記載の樹脂含浸化粧板がある。特許文献1に記載の樹脂含浸化粧板は、絵柄模様層中に配置した発泡剤を発泡させることで凹凸模様を形成する。その結果、エンボス加工を施さずに樹脂含浸化粧板の表面に触感を付与することができる。そのため、エンボス加工に用いるプレスプレートが不要なため、生産コストを低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-206109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の樹脂含浸化粧板は、発泡剤の発泡により形成される凹凸模様の表面粗さが大きいため、優れた触感は有するが、耐傷性および耐汚染性が劣る虞がある。
【0006】
上記事情を踏まえ、本発明は、発泡剤の発泡によって表面に触感を付与する樹脂含浸化粧板に関する以上のような問題に鑑みてなされたもので、優れた触感並びに高い耐傷性および耐汚染性を両立させる表面粗さを有する樹脂含浸化粧板と、該樹脂含浸化粧板に用いられる樹脂含浸化粧紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の樹脂含浸化粧紙は、化粧紙に含浸樹脂が含浸した樹脂含浸化粧紙であって、前記化粧紙は、原紙と、前記原紙の上側に印刷により形成される絵柄模様層と、前記絵柄模様層の上側に積層され、発泡剤を含む発泡樹脂層と、を有し、前記発泡樹脂層は、発泡して体積が膨張することで前記絵柄模様層の上側の面に凹凸模様部を形成し、前記凹凸模様部の凹部から凸部までの上下方向における最大高さが、20μm以上90μm以下である。
【0008】
上記樹脂含浸化粧紙では、前記発泡剤は、発泡開始温度が150℃以上220℃以下、かつ、発泡後粒径が100μm以上200μm以下であってもよい。
【0009】
上記樹脂含浸化粧紙では、前記原紙は、チタン紙であってもよい。
【0010】
上記樹脂含浸化粧紙では、前記含浸樹脂は、メラミン樹脂を含んでいてもよい。
【0011】
本発明の樹脂含浸化粧板は、上記の樹脂含浸化粧紙と、前記樹脂含浸化粧紙の下側に接着される基材と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の樹脂含浸化粧紙および樹脂含浸化粧板によれば、優れた触感並びに高い耐傷性および耐汚染性を両立させる表面粗さを有する樹脂含浸化粧板と、該樹脂含浸化粧板に用いられる樹脂含浸化粧紙を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る発泡前の樹脂含浸化粧紙の断面図である。
図2】本実施形態に係る発泡後の樹脂含浸化粧板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態について、図1および図2を参照して説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る発泡前の樹脂含浸化粧紙10の断面図である。図2は、図1の樹脂含浸化粧紙10に基材20を接着し、発泡樹脂層1を発泡させた樹脂含浸化粧板100の断面図である。
【0016】
本実施形態では、図1および図2に示すように、樹脂含浸化粧紙10および樹脂含浸化粧板100の厚さ方向を「上下方向V」、樹脂含浸化粧紙10に基材20を接着する側を上下方向Vにおける「下側LO」、樹脂含浸化粧紙10に基材20を接着する側と反対側を上下方向Vにおける「上側UP」と定義する。
【0017】
また、図2に示すように、発泡樹脂層1の発泡により形成された凹凸模様部100pの凹部100bから凸部100tまでの上下方向Vにおける最大高さを「表面粗さR」と定義する。
【0018】
樹脂含浸化粧板100は、樹脂含浸化粧紙10と基材20とを備える。基材20は、樹脂含浸化粧紙10の下側LOに加熱加圧成型によって接着される。基材20としては、パーチクルボード又は中密度繊維板(MDF)等を採用できる。
【0019】
樹脂含浸化粧紙10は、含浸樹脂10bを含浸させた化粧紙10aを乾燥させて形成される。化粧紙10aに含浸樹脂10bを含浸させることで、含浸樹脂10bが化粧紙10aの内部へ浸透し、表面を覆う。含浸樹脂10bを含浸させた化粧紙10aを乾燥させることで、含浸樹脂10bが硬化する。その結果、樹脂含浸化粧紙10は、高い表面硬度、耐汚染性、耐摩耗性、耐熱性および耐水性等の優れた特性を有する。
【0020】
含浸樹脂10bは、樹脂含浸化粧板に用いられる公知の熱硬化性樹脂である。含浸樹脂10bとして、高強度で、耐汚染性、耐摩耗性、耐熱性および耐水性に優れたメラミン樹脂を採用するのが望ましい。
【0021】
化粧紙10aは、発泡樹脂層1と絵柄模様層2と原紙3とを備える。
原紙3は、化粧紙10aの下側LOに積層される層である。原紙3は、含浸樹脂10bの含浸が可能な公知の繊維質シートである。原紙3としては、例えば、チタン紙又は薄葉紙等を採用できる。原紙3として、基材20との接着後に基材20の色および質感を透過させないために、隠蔽性に優れたチタン紙を採用するのが望ましい。
【0022】
絵柄模様層2は、原紙3の上側UPに印刷される層であり、例えば、木目、石目又は砂目等の印刷を施すことで形成される。印刷方法としては、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷又はインクジェット印刷等の公知の印刷方法を採用できる。
【0023】
発泡樹脂層1は、絵柄模様層2の上側UPに印刷される層であり、発泡剤1bを混合させた発泡樹脂層用樹脂1aで形成される。発泡樹脂層1は、絵柄模様層2の上側UPの面2sに立体感を付与するための層であり、絵柄模様層2の上側UPの面2sの任意の位置に印刷される。発泡樹脂層1は、絵柄模様層2の絵柄と同調する位置又は非同調の位置のどちらに印刷されてもよい。印刷方法としては、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷又はインクジェット印刷等の公知の印刷方法を採用できる。発泡樹脂層用樹脂1aには、採用する印刷方法に適した公知の印刷インキを採用できる。
【0024】
発泡剤1bは、熱膨張性マイクロカプセルである。発泡剤1bに用いられる熱膨張性マイクロカプセルは、炭化水素等の発泡成分を内包する樹脂製のカプセルであり、加熱されることで発泡して体積が膨張する。発泡剤1bに用いられる熱膨張性マイクロカプセルを形成する樹脂としては、エポキシ樹脂、カゼイン樹脂又はアクリル樹脂等を採用できる。
発泡剤1bが発泡することで、発泡樹脂層1は絵柄模様層2の上側UPの面2sに凹凸模様部100pを形成する。
【0025】
発泡剤1bの発泡後粒径は、100μm以上200μm以下が望ましい。発泡剤1bの発泡後粒径が100μm未満であると、発泡剤1bの発泡によって形成された凹凸模様部100pの表面粗さRが小さいため、触感が弱くなる虞がある。一方、発泡剤1bの発泡後粒径が200μmより大きいと、凹凸模様部100pの表面粗さRが大きいため、耐傷性および耐汚染性が低下する虞がある。
【0026】
また、発泡剤1bの発泡開始温度は、150℃以上220℃以下が望ましい。発泡剤1bの発泡開始温度が150℃未満であると、樹脂含浸化粧紙10と基材20とを加熱加圧成型により接着させる場合、加熱加圧成型の早い段階で発泡剤1bの発泡が始まるため、発泡剤1bの発泡後に加圧される時間が長くなり発泡樹脂層1が潰れ、凹凸模様部100pの触感が弱くなる虞がある。一方、発泡剤1bの発泡開始温度が220℃よりも高いと、加熱時に発泡剤1bが十分に発泡されず、凹凸模様部100pの触感が弱くなる虞がある。
【0027】
次に、樹脂含浸化粧板100の製造方法を説明する。
まず、原紙3の上側UPに印刷により絵柄模様層2を形成する。絵柄模様層2の上側UPの面2sに発泡剤1bを混合した発泡樹脂層用樹脂1aで形成される発泡樹脂層1を印刷する。その結果、原紙3と絵柄模様層2と発泡樹脂層1とを備える化粧紙10aが形成される。
このとき、発泡樹脂層1に含まれる発泡剤1bの発泡後粒径は、100μm以上200μm以下である。また、発泡剤1bの発泡開始温度は、150℃以上220℃以下である。
【0028】
次に、化粧紙10aに含浸樹脂10bを含浸させた後にオーブンで乾燥させ、樹脂含浸化粧紙10を形成する。樹脂含浸化粧紙10の下側LOに加熱加圧成型により基材20を接着して、樹脂含浸化粧板100を得る。
【0029】
発泡樹脂層1は、樹脂含浸化粧紙10と基材20とを接着させる加熱加圧成型の加熱で発泡開始温度に達することで発泡し、絵柄模様層2の上側UPの面2sに凹凸模様部100pを形成する。このとき、凹凸模様部100pの表面粗さRは、20μm以上90μm以下である。
【0030】
樹脂含浸化粧紙10と基材20とを接着する加熱加圧成型方法には、化粧板の熱圧着方法として公知の加熱加圧成型方法を採用できる。例えば、加熱加圧成型方法として、上下方向Vに対向する樹脂含浸化粧紙10と基材20を平板状のプレスプレートで加熱および平圧して熱圧着する方法や、上下方向Vに対向する樹脂含浸化粧紙10と基材20を挟んで回転する円圧式の無端ベルトで連続的に加熱および加圧して熱圧着する方法等がある。
【0031】
本実施形態の樹脂含浸化粧紙10および樹脂含浸化粧板100によれば、発泡樹脂層1の発泡により形成された凹凸模様部100pの表面粗さRが20μm以上90μm以下である。表面粗さRが20μm以上であるため、樹脂含浸化粧板100は優れた触感を有する。また、凹凸模様部100pの表面粗さRが90μm以下であるため、樹脂含浸化粧板100は高い耐傷性および耐汚染性を有する。その結果、優れた触感並びに高い耐傷性および耐汚染性を両立させる表面粗さRを有する樹脂含浸化粧板100と、樹脂含浸化粧板100に用いられる樹脂含浸化粧紙10を提供することができる。
【0032】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の一実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0033】
(変形例1)
上記実施形態において、化粧紙10aは、発泡樹脂層1と絵柄模様層2と原紙3とを備えるが、化粧紙の態様はこれに限定されない。化粧紙は、視覚的に立体感を付与するための導管表現等を有する層や、原紙3に発泡樹脂層1又は絵柄模様層2が染み込むのを防ぐための目止め層等を備えてもよい。
【0034】
(変形例2)
上記実施形態において、発泡樹脂層1は、熱膨張性マイクロカプセルである発泡剤1bを含むが、発泡樹脂層の態様はこれに限定されない。発泡樹脂層は、熱分解型の化学発泡剤であってもよい。
【0035】
(変形例3)
上記実施形態において、発泡樹脂層1を発泡させるための加熱工程は、樹脂含浸化粧紙10と基材20とを加熱加圧成型するときに施されるが、発泡樹脂層を発泡させる工程はこれに限定されない。発泡樹脂層を発泡させる工程は、樹脂含浸化粧紙と基材とを接着する前又は接着した後に施されてもよい。
【0036】
(変形例4)
上記実施形態において、樹脂含浸化粧紙10と基材20とは加熱加圧成型により接着されるが、樹脂含浸化粧紙と基材との接着方法はこれに限定されない。樹脂含浸化粧紙と基材との接着方法は加熱を施さない接着方法でもよい。
【0037】
以下実施例により、本発明を詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0038】
(実施例1)
原紙3として、チタン紙を準備した。原紙3の上側UPにグラビア印刷により絵柄模様層2を形成した。絵柄模様層2の上側UPにグラビア印刷により発泡樹脂層1を形成した。表1に示すように、発泡樹脂層1に含まれる発泡剤1bには、エポキシ樹脂製の熱膨張性マイクロカプセルを用いた。また、発泡剤1bは、発泡開始温度が220℃であり、発泡後粒径が220μmである。
【0039】
こうして得られた化粧紙10aを含浸樹脂10bであるメラミン樹脂に含浸した後に十分にオーブンで乾燥させて、樹脂含浸化粧紙10を形成した。樹脂含浸化粧紙10と基材20であるパーチクルボードとを加熱加圧成型により接着させて発泡剤1bを発泡させ、実施例1の樹脂含浸化粧板100を形成した。このとき、樹脂含浸化粧板100にプレスプレートによるエンボス加工は施さない。
【0040】
(実施例2)
表1に示すように、使用する発泡剤1bは、発泡開始温度が200℃であり、発泡後粒径が200μmである。それ以外は実施例1と同様の方法により、実施例2の樹脂含浸化粧板100を形成した。
【0041】
(実施例3)
表1に示すように、発泡剤1bには、カゼイン樹脂製の熱膨張性マイクロカプセルを用いた。また、発泡剤1bは、発泡開始温度が180℃であり、発泡後粒径が150μmである。それ以外は実施例1と同様の方法により、実施例3の樹脂含浸化粧板100を形成した。
【0042】
(実施例4)
表1に示すように、発泡剤1bには、アクリル樹脂製の熱膨張性マイクロカプセルを用いた。また、発泡剤1bは、発泡開始温度が150℃であり、発泡後粒径が100μmである。それ以外は実施例1と同様の方法により、実施例4の樹脂含浸化粧板100を形成した。
【0043】
(比較例1)
表1に示すように、発泡剤には、カゼイン樹脂製の熱膨張性マイクロカプセルを用いた。また、発泡剤は、発泡開始温度が220℃であり、発泡後粒径が250μmである。それ以外は実施例1と同様の方法により、比較例1の樹脂含有化粧板を形成した。
【0044】
(比較例2)
表1に示すように、発泡剤には、カゼイン樹脂製の熱膨張性マイクロカプセルを用いた。また、発泡剤は、発泡開始温度が100℃であり、発泡後粒径が50μmである。それ以外は実施例1と同様の方法により、比較例2の樹脂含有化粧板を形成した。
【0045】
【表1】
【0046】
(測定1)
実施例1-4および比較例1-2の樹脂含有化粧板において、発泡樹脂層の発泡により形成された凹凸模様部の表面粗さRを測定した。測定には株式会社東京精密の表面粗さ測定器SURFCOM120Aを用いた。
【0047】
(実験1)
実施例1-4および比較例1-2の樹脂含有化粧板に耐傷性試験を実施した。耐傷性試験では、樹脂含有化粧板にコイン引掻き試験を実施し、凹凸模様部の傷の付き方を評価した。
評価基準は3段階とし、×以外を合格とした。
◎(Excellent):傷がない。
〇(Good):目立たない傷がある。
×(Poor):目立つ傷がある。
【0048】
(実験2)
実施例1-4および比較例1-2の樹脂含有化粧板に耐汚染性試験を実施した。耐汚染性試験では、樹脂含有化粧板の凹凸模様部に黒色クレヨンおよび赤色インキを被覆させ、1時間経過後にアルコールを用いてふき取り、ふき取り残しの度合いを評価した。
評価基準は3段階とし、×以外を合格とした。
◎(Excellent):ふき取り残しが30%未満である。
〇(Good):ふき取り残しが30%以上70%未満である。
×(Poor):ふき取り残しが70%以上100%以下である。
【0049】
(実験3)
実施例1-4および比較例1-2の樹脂含有化粧板に触感評価試験を実施した。触感評価試験では、10人の試験員で樹脂含有化粧板の凹凸模様部の触感の官能試験を実施し、手触り感の程度について評価した。
評価基準は3段階とし、×以外を合格とした。
◎(Excellent):手触り感が良いと評価した人が7人以上10人以下である。
〇(Good):手触り感が良いと評価した人が1人以上6人以下である。
×(Poor):手触り感が良いと評価した人が0人である。
【0050】
(測定結果および実験結果)
測定1および実験1-3の結果を表2に示す。
実施例1-4はすべての評価試験において良好な結果を示した。表面粗さRが実施例1よりも小さく、かつ、実施例4よりも大きい実施例2-3は、より良好な結果を示した。
実施例1-4および比較例1-2の中で表面粗さRが最も大きく102.1μmである比較例1は、耐傷性試験および耐汚染性試験で不合格であった。また、表面粗さが最も小さく8.6μmである比較例2は、触感評価試験で不合格であった。
【0051】
【表2】
【符号の説明】
【0052】
100 樹脂含浸化粧板
100p 凹凸模様部
100t 凸部
100b 凹部
10 樹脂含浸化粧紙
10a 化粧紙
10b 含浸樹脂
1 発泡樹脂層
1a 発泡樹脂層用樹脂
1b 発泡剤
2 絵柄模様層
2s 絵柄模様層の上側UPの面
3 原紙
20 基材
V 上下方向
UP 上側
LO 下側
R 表面粗さ
図1
図2