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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011731
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
G06F3/03 400E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113976
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】本多 修二
(72)【発明者】
【氏名】山元 敦子
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スタイラスペンの脱着が容易で、かつ、スタイラスペンを取り出した状態で端子が露出しない係止部を備える電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器(パーソナルコンピュータ)1は、電子部品が実装され、手前側の端面に切り欠き部134を有する基板13と、基板13の手前側に開口部101を有し、基板13を覆うカバー10と、切り欠き部134に設けられ、タッチパネルのスタイラスペン30を係止する係止部20と、を備える。係止部20は、スタイラスペン30の充電ポートに接続可能に設けられた端子を有し、切り欠き部134に固定された基部21と、切り欠き部134の端面に沿ってスライド可能に、基部21から切り欠き部134の端面に沿って延びる本体23と、本体23を基部21側に押し返す弾性部材と、基部21に設けられ、スタイラスペン30の尾部を保持する保持部22と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装され、手前側の端面に切り欠き部を有する基板と、
前記基板の手前側に開口部を有し、前記基板を覆うカバーと、
前記切り欠き部に設けられ、タッチパネルのスタイラスペンを係止する係止部と、を備え、
前記係止部は、
前記スタイラスペンの充電ポートに接続可能に設けられた端子を有し、前記切り欠き部に固定された基部と、
前記切り欠き部の端面に沿ってスライド可能に、前記基部から前記切り欠き部の端面に沿って延びる本体と、
前記本体を前記基部側に押し返す弾性部材と、
前記基部に設けられ、前記スタイラスペンの尾部を保持する保持部と、を備える、
電子機器。
【請求項2】
前記本体は、
初期位置にあるときは前記端子を覆い、
前記基部から遠ざかる方向にスライドさせたときは前記端子を露出させる、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記本体は、
前記基部とは反対側の第1の端部に前記スタイラスペンのペン先を保持する突起部を有し、
前記保持部は、
前記突起部に対向して設けられ、前記ペン先が前記突起部に保持された前記スタイラスペンの尾部を保持する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
電子部品が実装され、手前側の端面に切り欠き部を有する基板と、
前記基板の手前側に開口部を有し、前記基板を覆うカバーと、
前記切り欠き部に設けられ、タッチパネルのスタイラスペンを係止する係止部と、を備え、
前記係止部は、
前記基板に対して回転可能に前記切り欠き部に固定され、前記切り欠き部の端面に交差して延びる本体と、
前記スタイラスペンの充電ポートに接続可能に設けられた端子を有し、前記本体の延伸方向の第1の端部側に固定された基部と、を有し、
前記本体は、
前記第1の端部に設けられ、前記スタイラスペンの尾部を保持する保持部と、
前記第1の端部とは反対側の第2の端部に設けられ、前記第2の端部を前記基板の手前側へと押し出す弾性部と、を有する、
電子機器。
【請求項5】
前記第1の端部側に固定された前記基部は、
前記本体が初期位置にあるときは前記基板の奥側に位置し、
前記本体を前記基板に対して回転させたときは前記基板の手前側に移動する、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記切り欠き部は、
前記保持部に対向して前記本体の前記第1の端部とは反対側の第2の端部側に設けられ、前記係止部に係止された前記スタイラスペンのペン先が当接される当接部を有する、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項7】
前記基板は前記電子機器の本体部分に設けられた基板であって、
前記カバーの上面には、キーボードが設けられている、
請求項1または請求項4に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
スタイラスペンで入力操作を行うタッチパネルを備える電子機器は、スタイラスペンを充電するとともに収容可能な収容部を備えていることがある。収容部は、例えばスタイラスペンを電子機器の本体内部に収容するよう設けられ、あるいは、キーボード奥側の本体上面に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-073051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スタイラスペンを本体内部に収容するよう収容部を設けると、スタイラスペンを挿抜し難いという難点がある。また、スタイラスペンを本体上面に設けると、スタイラスペンを取り出した状態では、スタイラスペンの充電ポートに接続される端子が露出し、端子の破損または短絡の恐れがある。
【0005】
本開示の課題の1つは、スタイラスペンの脱着が容易で、かつ、スタイラスペンを取り出した状態で端子が露出しない係止部を備えた電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様にかかる電子機器は、電子部品が実装され、手前側の端面に切り欠き部を有する基板と、前記基板の手前側に開口部を有し、前記基板を覆うカバーと、前記切り欠き部に設けられ、タッチパネルのスタイラスペンを係止する係止部と、を備え、前記係止部は、前記スタイラスペンの充電ポートに接続可能に設けられた端子を有し、前記切り欠き部に固定された基部と、前記切り欠き部の端面に沿ってスライド可能に、前記基部から前記切り欠き部の端面に沿って延びる本体と、前記本体を前記基部側に押し返す弾性部材と、前記基部に設けられ、前記スタイラスペンの尾部を保持する保持部と、を備える。
【0007】
本開示の第2の態様にかかる電子機器は、電子部品が実装され、手前側の端面に切り欠き部を有する基板と、前記基板の手前側に開口部を有し、前記基板を覆うカバーと、前記切り欠き部に設けられ、タッチパネルのスタイラスペンを係止する係止部と、を備え、前記係止部は、前記基板に対して回転可能に前記切り欠き部に固定され、前記切り欠き部の端面に交差して延びる本体と、前記スタイラスペンの充電ポートに接続可能に設けられた端子を有し、前記本体の延伸方向の第1の端部側に固定された基部と、を有し、前記本体は、前記第1の端部に設けられ、前記スタイラスペンの尾部を保持する保持部と、前記第1の端部とは反対側の第2の端部に設けられ、前記第2の端部を前記基板の手前側へと押し出す弾性部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の電子機器によれば、スタイラスペンの脱着が容易で、かつ、スタイラスペンを取り出した状態で端子が露出しない係止部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1にかかるパーソナルコンピュータの本体部分を示す上面図である。
図2図2は、実施形態1にかかるパーソナルコンピュータが備える係止部の構成の一例を示す斜視図である。
図3図3は、実施形態1にかかる係止部にスタイラスペンを係止する様子を示す斜視図である。
図4図4は、実施形態2にかかるパーソナルコンピュータの本体部分の内部を示す上面図である。
図5図5は、実施形態2にかかるパーソナルコンピュータが備える係止部の構成の一例を示す斜視図である。
図6図6は、実施形態2にかかる係止部にスタイラスペンを係止する様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態にかかる構成要素および当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素およびその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0011】
[実施形態1]
以下、図面を参照して実施形態1について詳細に説明する。
【0012】
(パーソナルコンピュータの構成例)
図1は、実施形態1にかかるパーソナルコンピュータ(Personal Conputer)1の本体部分3を示す図である。図1(a)はPC1の本体部分3の上面図であり、図1(b)は本体部分3の内部を示す上面図である。
【0013】
なお、本明細書では、キーボード11が設けられた側をPC1の上側とし、反対側をPC1の下側とする。また、キーボード11に対して操作をするユーザの手元側をPC1の手前側とし、ユーザの奥側をPC1の奥側とする。また、PC1が備える各構成において、PC1の手前側に向いた面をその構成の前面、PC1の奥側に向いた面をその構成の背面と呼ぶこともある。
【0014】
実施形態1のPC1は、例えばノート型PCと タブレット型PCとの両方の使い分けが可能な2in1タイプの携帯端末として構成されている。
【0015】
図1に示すように、PC1は、基板13及びカバー10を備える。
【0016】
カバー10は、基板13を覆うよう構成され、開口部101及びコネクタ103を備える。カバー10が、基板13の上面を覆う上部カバーと、基板13の下面を覆う下部カバーとに分かれていてもよい。カバー10の上面には、複数のキーを備えるキーボード11、及びタッチパッド12が設けられている。
【0017】
開口部101は、基板13の手前側、つまり、キーボード11に対して操作をするユーザの手元側にあたる部分に設けられる。コネクタ103は、キーボード11奥側のカバー10の端部に設けられる。コネクタ103には、図示しないタッチパネルが装着される。
【0018】
タッチパネルは、PC1の本体部分3から分離しなくとも、分離可能であってもよい。本体部分3からタッチパネルが分離しない場合、PC1はコンパーチブル型PCなどとも呼ばれる。本体部分3からタッチパネルが分離可能に構成される場合、PC1はデタッチャブル型PC、またはセパレート型PCなどとも呼ばれる。
【0019】
基板13には、各種の電子部品が実装されている。例えば、基板13は、バッテリが収容されたバッテリ収容部14、及びキースイッチ15等を備える。キースイッチ15は、キーボード11の複数のキーからの入力を検知する。
【0020】
また、基板13は、手前側の端面に切り欠き部134を有する。切り欠き部134には、スタイラスペン30を係止する係止部20が設けられている。スタイラスペン30は、タッチパネルへの入力操作に用いられるペン状の入力装置である。係止部20は、基板13の切り欠き部134に固定される基部21と、切り欠き部134の端面に沿って延びる本体23と、スタイラスペン30の尾部を保持する保持部22と、を備えている。
【0021】
係止部20のこれらの構成のうち、少なくとも本体23と保持部22とは、カバー10に設けられた開口部101から露出している。
【0022】
(係止部の構成例)
次に、図2を用いて、実施形態1の係止部20の詳細構成について説明する。
【0023】
図2は、実施形態1にかかるPC1が備える係止部20の構成の一例を示す斜視図である。図2(a)は係止部20の本体23が初期位置にあるときの斜視図であり、図2(b)は本体23をスライドさせたときの斜視図である。
【0024】
図2に示すように、基板13の切り欠き部134は、基板13の手前側の端面が矩形状に切り取られた形状を有し、基板13の手前側の端面から基板13の奥側へと窪み、基板13の手前側の端面に沿って延びる端面と、その端面の両端部で互いに向かい合って基板13の手前側に延びる2つの突出面とを有する。2つの突出面には、それぞれ当接部131,132が設けられている。当接部131には貫通孔133が設けられている。
【0025】
係止部20は、基部21、保持部22、本体23、バネ部材41、及びネジ42を備える。これらのうち、少なくとも基部21、保持部22、及び本体23は樹脂製である。
【0026】
基部21は、平板状のネジ止め部211と、ネジ止め部211から突出した固定部212と、端子213とを備える。ネジ止め部211は、ネジ42によって、基板13の切り欠き部134の端面近傍であって、当接部132が設けられた一方の突出面寄りに固定されている。固定部212には、基板13の奥側から端子213が挿入されている。端子213は、固定部212の前面から突出し、スタイラスペン30の後述する充電ポートに接続可能に固定部212に固定されている。
【0027】
なお、固定部212の背面側の端子213の一端には、図示しない配線が接続され、配線を介して電力が供給されるよう構成されている。
【0028】
保持部22は、例えば基部21とともに、切り欠き部134の端面にネジ42で固定されている。保持部22は、例えば弾性を有する複数の突起221,222により、スタイラスペン30の尾部を保持することが可能に構成されている。
【0029】
これらの突起221,222のうち、2つの突起222は互いに向かい合って設けられ、スタイラスペン30のペン軸を保持する。保持部22の複数の突起221,222のうち、突起221は、切り欠き部134の当接部132に当接されており、スタイラスペン30の尾部を保持する。
【0030】
本体23は、基部21から切り欠き部134の端面に沿って延びており、切り欠き部134の端面に沿ってスライド可能に構成されている。
【0031】
具体的には、本体23は、基部21から切り欠き部134の端面に沿って延びる軸部231と、軸部231に沿って設けられた平板状のスライド部232と、軸部231の延伸方向両端部のうち、切り欠き部134の当接部131が設けられた突出面側の端部に設けられた突起部231aとを備える。
【0032】
軸部231は、前面が湾曲した形状を有し、スタイラスペン30のペン軸が軸部231に沿って当接可能な溝部231cを備える。
【0033】
突起部231aは、軸部231の一端部から軸部231の手前側に突出している。突起部231aには、例えば貫通孔231bが設けられ、スタイラスペン30のペン先を貫通孔231bに差し込んだ状態で保持することが可能に構成されている。
【0034】
スライド部232は、軸部231の背面に設けられ、切り欠き部134端面の上面に沿って延びる。スライド部232の延伸方向の一端部は基部21の下面側に挿入されており、延伸方向の他端部にはバネ部材41が設けられている。
【0035】
弾性部材としてのバネ部材41は、切り欠き部134の端面に固定され、スライド部232を基部21側に押し返す作用を有している。これにより、本体23は、力が加わっていないときには基部21寄りの初期位置に配置される。
【0036】
図2(a)に示すように、本体23が基部21寄りの初期位置にあるときは、本体23は基部21から前面に突出する端子213を覆っている。図2(b)に示すように、本体23を基部21から遠ざかる方向にスライドさせたときは、基部21から突出する端子213が露出した状態となる。なお、このとき、バネ部材41は、スライド部232の他端部に押されて収縮した状態となる。
【0037】
(スタイラスペンの係止方法)
次に、図3を用いて、スタイラスペン30を係止部20に係止する方法について説明する。図3は、実施形態1にかかる係止部20にスタイラスペン30を係止する様子を示す斜視図である。
【0038】
図3に示すように、スタイラスペン30は、ペン軸31と、篏合穴32と、充電ポート33とを備える。ペン軸31は、棒状に延伸したペン形状を有し、一端部にペン先を備える。篏合穴32は、ペン軸31のペン先とは反対側の尾部に設けられている。充電ポート33は、ペン軸31の尾部寄りの側部に設けられている。充電ポート33からスタイラスペン30の図示しないバッテリを充電することで、タッチパネルに対する入力装置としてスタイラスペン30を稼働させることができる。
【0039】
図3(a)に示すように、スタイラスペン30を係止部20に係止するには、まず、スタイラスペン30のペン先を、係止部20の本体23が備える突起部231aの貫通孔231bに差し込む。突起部231aは、カバー10に設けられた開口部101から露出しているため、貫通孔231bへのペン先の挿入は、突起部231a及び貫通孔231bを目視で確認しながら容易に行うことができる。
【0040】
図3(b)に示すように、ペン先を貫通孔231bに差し込んだ状態で、スタイラスペン30を切り欠き部134の当接部131が設けられた突出面側へスライドさせることで、本体23全体が当接部131側へとスライドし、また、突起部231aが当接部131側へと押されて当接部131に当接するとともに、ペン先が突起部231aの貫通孔231bを介して当接部131の貫通孔133に差し込まれる。
【0041】
また、本体23が基部21から遠ざかる方向にスライドすることで、基部21の前面に端子213が露出する。
【0042】
図3(c)に示すように、スタイラスペン30の尾部を切り欠き部134の奥側へ押し込むことで、スタイラスペン30の尾部が、保持部22の複数の突起221,222にはめ込まれる。複数の突起221,222は弾性を有するため、スタイラスペン30の尾部を上記のようにはめ込むことが可能である。
【0043】
また、複数の突起221,222にツメを設け、スタイラスペン30の尾部にそれらのツメと篏合する篏合穴を設けておいてもよい。これにより、より確実に、スタイラスペン30の尾部を複数の突起221,222にはめ込むことができる。
【0044】
ここで、保持部22の複数の突起221,222もまた、カバー10に設けられた開口部101から露出している。このため、複数の突起221,222へのスタイラスペン30のはめ込みも、複数の突起221,222を目視で確認しながら容易に行うことができる。
【0045】
以上により、スタイラスペン30は、ペン先を本体23の突起部231aに保持され、尾部を保持部22に保持されて、ペン軸が本体23の軸部231に設けられた溝部231cに当接し、全体的に係止部20に係止された状態となる。また、スタイラスペン30の充電ポート33が、係止部20の端子213に接続されて、スタイラスペン30への充電が開始される。
【0046】
スタイラスペン30を係止部20から取り外すときは、ペン軸31の尾部寄りの部分を摘まんで手前側に引き出す。これにより、スタイラスペン30の尾部が複数の突起221,222から外れるので、係止部20から容易にスタイラスペン30を取り外すことができる。
【0047】
また、スタイラスペン30が取り外されることで、基部21から遠ざかる方向にスライドしていた本体23が、スライド部232に押されて収縮していたバネ部材41によって基部21側へと押し返されて、初期位置へと戻る。これにより、基部21から露出していた端子213が、再び本体23に覆われる。
【0048】
(比較例)
2in1タイプのPC等は、スタイラスペンで操作されるタッチパネルを備える。このようなPCには、スタイラスペンを収容して充電する収容部が設けられていることがある。収容部は、例えばPCの本体内部に設けられたり、あるいは、キーボード奥側の本体部分の上面に設けられたりする。
【0049】
しかしながら、収容部が本体内部に設けられている場合には、本体側面または本体背面等からスタイラスペンを挿抜する必要がある。この場合、収容部の開口部は目視し難い箇所に設けられるため、スタイラスペンの挿抜動作を行うのが困難である。
【0050】
また、収容部が本体上面に設けられている場合、キーボードとタッチパネルとの境界近くに収容部が位置するため、スタイラスペンを取り出す際、タッチパネルに手が当たるなどして、スタイラスペンを掴みにくい。また、スタイラスペンが取り出された状態では、収容部の端子が露出した状態となるため、端子の破損および短絡等の懸念が生じる。
【0051】
電磁誘導を利用した非接触給電方式のスタイラスペン等を採用すれば、端子を何らかのカバー部材で覆うことが可能となるものの、非接触給電方式のスタイラスペンはコスト高である。また、非接触給電を阻害する金属部材をカバー部材に用いることができず、材料選定に制約が生じる。
【0052】
実施形態1のPC1によれば、基板13の手前側の端面の切り欠き部134に設けられ、タッチパネルのスタイラスペン30を係止する係止部20を有する。係止部20を基板13の手前側に設けているので、スタイラスペン30の脱着の際、ユーザが目視による確認を行いやすくなる。
【0053】
実施形態1のPC1によれば、係止部20は、切り欠き部134の端面に沿ってスライド可能に、端子213が設けられた基部21から切り欠き部134の端面に沿って延びる本体23と、本体23を基部21側に押し返すバネ部材41と、を備える。
【0054】
これにより、スタイラスペン30が取り外されたときには端子213が隠れた状態となり、端子213が破損したり短絡したりといったリスクを低減することができる。また、スタイラスペン30を係止した状態では、スタイラスペン30の充電ポート33に端子213を接続して充電することができる。このため、安価な接触給電方式のスタイラスペン30を採用することが可能である。
【0055】
[実施形態2]
以下、図面を参照して実施形態2について詳細に説明する。実施形態2のPCは、上述のスライド方式の係止部20ではなく、回転方式の係止部を備える点が上述の実施形態1とは異なる。以下の図面においては、実施形態1と同様の構成に同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
図4は、実施形態2にかかるPC2の本体部分の内部を示す上面図である。実施形態2のPC2は、基板13の切り欠き部134に設けられ、スタイラスペン30を係止する係止部120を備える。実施形態2の係止部120は、切り欠き部134の端面に交差して延びる本体123と、本体123の延伸方向の一端側に固定された基部121と、を備えている。
【0057】
図5は、実施形態2にかかるPC2が備える係止部120の構成の一例を示す斜視図である。図5(a)は係止部120の本体123が初期位置にあるときの斜視図であり、図5(b)は本体123を回転させたときの斜視図である。
【0058】
図5に示すように、係止部120は、基部121と、本体123と、ネジ42とを備える。これらのうち、少なくとも基部121及び本体123は樹脂製である。
【0059】
基部121は、上述の実施形態1の基部21と略同様の構成を備える。すなわち、基部121は、平板状のネジ止め部211と、ネジ止め部211から突出した固定部212と、端子213とを備える。ネジ止め部211は、ネジ42によって、切り欠き部134の当接部132が設けられた一方の突出面寄りの本体123上面に固定されている。固定部212には、基板13の奥側から挿入され、固定部212の前面から突出した端子213が固定されている。
【0060】
本体123は、基板13に対して回転可能に切り欠き部134に固定され、切り欠き部134の端面に交差して延びる。
【0061】
具体的には、本体123は、切り欠き部134の端面に交差して延びる軸部123aと、軸部123aの延伸方向両端部のうち、切り欠き部134の当接部131(図4参照)が設けられた突出面側の端部に設けられた板バネ部123bと、切り欠き部134の当接部132が設けられた突出面側の端部に設けられた突起部123eとを備える。
【0062】
弾性部としての板バネ部123bは、弾性を有する弓なり形状の樹脂バネであり、端部が、基板13上に固定されたキースイッチ15等の部品に当接される。これにより、板バネ部123bは、板バネ部123bを有する側の本体123の端部を基板13の手前側へと押し出す作用を有している。
【0063】
保持部としての突起部123eは、弾性を有しており、軸部123aの一端部から軸部123aの手前側に突出している。突起部123eは、突起部123eが有するツメをスタイラスペン30の篏合穴32(図6参照)に差し込んで、スタイラスペン30の尾部を保持することが可能に構成されている。
【0064】
本体123はまた、切り欠き部134の当接部132が設けられた突出面寄りの軸部123aに設けられたはめ込み部123dと、本体123の延伸方向の略中央部の軸部123a背面に設けられた回転部123cとを備える。
【0065】
はめ込み部123dには、上述の基部121がはめ込まれて本体123にネジ止めされる。回転部123cは、切り欠き部134の端面に回転可能に固定され、基板13に対して本体123が回転する際の回転軸となる。
【0066】
図5(a)に示すように、初期位置において、本体123は、板バネ部123bによって、板バネ部123bを有する側の端部が基板13の手前側へと押し出されるため、切り欠き部134の端面に対して交差している。また、本体123の他端部、及び他端部寄りのはめ込み部123dにはめ込まれた基部121は、本体123が初期位置にあるときは、基板13の奥側に位置している。
【0067】
図5(b)に示すように、本体123の板バネ部123bを有する側の端部に基板13の奥側へと押し込む力を加えると、本体123は、回転部123cを回転軸として基板13に対して回転し、切り欠き部134の端面に対して略水平になる。これにより、本体123の板バネ部123bを有する側の端部と他端部とが切り欠き部134の端面に沿って略並び、他端部寄りのはめ込み部123dにはめ込まれた基部121は、基板13の手前側へと移動する。
【0068】
以上のように構成される係止部120に、スタイラスペン30を係止する方法を図6に示す。図6は、実施形態2にかかる係止部120にスタイラスペン30を係止する様子を示す斜視図である。
【0069】
図6(a)に示すように、スタイラスペン30を係止部120に係止するには、まず、切り欠き部134の端面の両端部で互いに向かい合う2つの突出面のうち、一方の突出面に設けられた当接部131の貫通孔133にスタイラスペン30のペン先を差し込む。当接部131は、カバー10に設けられた開口部101から露出しているため、貫通孔133へのペン先の挿入は、当接部131及び貫通孔133を目視で確認しながら容易に行うことができる。
【0070】
図3(b)に示すように、ペン先を貫通孔231bに差し込んだ状態で、スタイラスペン30を基板13の奥側へと押し込むと、本体123が回転部123cを回転軸として回転する。
【0071】
これにより、本体123の延伸方向の両端部のうち、板バネ部123bが設けられ、基板13の手前側へと突出していた端部が基板13の奥側へと移動し、突起部123eが設けられ、はめ込み部123dに基部121がはめ込まれた側の端部が基板13の手前側へと移動する。
【0072】
よって、スタイラスペン30の尾部に設けられた篏合穴32に突起部123eのツメが嵌って固定され、スタイラスペン30の充電ポート33が、基部121から突出した端子213と接続される。
【0073】
スタイラスペン30を係止部120から取り外すときは、スタイラスペン30の篏合穴32から突起部123eのツメを外す。スタイラスペン30が係止された状態では、突起部123eはカバー10に設けられた開口部101から露出しているため、篏合穴32から突起部123eを外す動作は、突起部123eを目視で確認しながら容易に行うことができる。
【0074】
また、スタイラスペン30が取り外されることで、切り欠き部134の端面と略水平になっていた本体123の板バネ部123bが設けられた側の端部が板バネ部123bによって手前側に押し出され、初期位置へと戻る。これにより、基板13の手前側に移動していた基部121の端子213が、再び基板13の奥側へと移動する。
【0075】
実施形態2のPC2によれば、係止部120は、基板13に対して回転可能に切り欠き部134に固定され、切り欠き部134の端面に交差して延びる本体123を備え、本体123は、スタイラスペン30の尾部を保持する一端部とは反対側の他端部に設けられ、他端部を基板13の手前側へと押し出す板バネ部123bを備える。
【0076】
これにより、スタイラスペン30が取り外された状態では端子213が基板13の奥側に隠れた状態となり、端子213が破損したり短絡したりといったリスクを低減することができる。また、スタイラスペン30を係止した状態では、端子213を基板13の手前側に移動させて、スタイラスペン30の充電ポート33に接続して充電することができる。
【0077】
実施形態2のPC2によれば、その他、上述の実施形態1の係止部20を備えるPC1と同様の効果を奏する。
【0078】
なお、上述の実施形態1,2では、PC1,2の本体部分3に設けられた基板13の手前側に係止部20,120を設けることとした。しかし、これらの係止部20,120は、例えばタッチパネルに設けられた基板の手前側に設けられていてもよい。
【0079】
上述の本発明の実施形態は、発明の範囲を限定するものではなく、発明の範囲に含まれる一例に過ぎない。本発明のある実施形態は、上述の実施形態に対して、例えば、具体的な用途、構造、形状、作用、及び効果の少なくとも一部について、発明の要旨を逸脱しない範囲において変更、省略、及び追加がされたものであっても良い。
【符号の説明】
【0080】
1,2…パーソナルコンピュータ(PC)、3…本体部分、10…カバー、11…キーボード、13…基板、20,120…係止部、21,121…基部、22…保持部、23,123…本体、30…スタイラスペン、33…充電ポート、41…バネ部材、123b…板バネ部、123e,231a…突起部、131,132…当接部、134…切り欠き部、213…端子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6