(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117331
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】搬送設備
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20240822BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240822BHJP
B61B 13/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
G05D1/02 G
B65G1/00 501H
B61B13/00 W
B61B13/00 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023371
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】衣川 知孝
【テーマコード(参考)】
3D101
3F022
5H301
【Fターム(参考)】
3D101BA03
3D101BA05
3D101BB08
3D101BB16
3D101BB52
3D101BC03
3D101BC07
3D101BC08
3D101BE06
3F022FF01
3F022LL12
3F022LL19
3F022MM51
3F022NN02
3F022NN21
5H301AA02
5H301AA09
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD15
5H301EE02
5H301KK02
5H301KK03
5H301KK08
5H301KK09
5H301KK18
5H301KK19
(57)【要約】
【課題】搬送車が走行位置の情報を消失する特定事象が生じた場合であっても、制御システムによる搬送車の制御を適切に再開することが可能な搬送設備を実現する。
【解決手段】搬送設備10の走行経路11には、案内レール15が設置された案内区間E1と、案内レール15が設置されていない非案内区間E2と、が設定されており、制御システムは、搬送車20が走行位置の情報を消失する特定事象が生じた場合に、第1被案内部25aを幅方向Yに駆動する確認動作を案内駆動部24に実行させ、第1被案内部25aが第1位置及び第2位置の一方から他方に移動した場合には、搬送車20が非案内区間E2に位置していると判定し、第1被案内部25aの第1位置及び第2位置の一方から他方への移動が妨げられた場合には、搬送車20が案内区間E1に位置していると判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行経路に沿って走行する搬送車と、前記走行経路に沿って設置された案内レールと、前記搬送車を制御する制御システムと、を備えた搬送設備であって、
前記走行経路に沿う方向を走行方向とし、上下方向視で前記走行方向に直交する方向を幅方向とし、前記幅方向の一方側を幅方向第1側とし、前記幅方向の他方側を幅方向第2側として、
前記搬送車は、
前記案内レールに案内される被案内部と、
前記被案内部を前記幅方向に駆動して、前記案内レールに対して前記幅方向第1側となる第1位置と前記案内レールに対して前記幅方向第2側となる第2位置とに移動させる案内駆動部と、を備え、
前記走行経路には、前記案内レールが設置された案内区間と、前記案内レールが設置されていない非案内区間と、が設定されており、
前記制御システムは、
前記搬送車が走行位置の情報を消失する特定事象が生じた場合に、前記被案内部を前記幅方向に駆動する確認動作を前記案内駆動部に実行させ、
前記被案内部が前記第1位置及び前記第2位置の一方から他方に移動した場合には、前記搬送車が前記非案内区間に位置していると判定し、
前記被案内部の前記第1位置及び前記第2位置の一方から他方への移動が妨げられた場合には、前記搬送車が前記案内区間に位置していると判定する、搬送設備。
【請求項2】
前記搬送車は、前記走行方向の前方側に存在する障害物を検知する障害物センサを備え、
前記案内レールは、前記走行経路が交差している区間及び前記走行経路が湾曲している区間の少なくともいずれかに設置されており、
前記制御システムは、前記確認動作を実行した結果、前記案内区間に位置していると判定した場合には、前記非案内区間に位置していると判定した場合に比べて、前記障害物センサの検知範囲を広く設定する、請求項1に記載の搬送設備。
【請求項3】
前記走行経路に沿った複数箇所に、それぞれの設置位置の位置情報を保持した情報保持体が設置されており、
前記搬送車は、前記情報保持体が保持している位置情報を読み取る読取装置を備え、前記読取装置により読み取った情報に基づいて自身の走行位置を認識するように構成され、
前記制御システムは、前記特定事象が解消した後に前記搬送車の走行を開始させる復旧処理を実行し、
前記復旧処理では、停止していた前記搬送車の走行を開始させた後、前記搬送車が前記情報保持体が保持している位置情報を読み取るまでは、予め定められた第1復旧時制限速度以下で前記搬送車を走行させる、請求項1又は2に記載の搬送設備。
【請求項4】
前記復旧処理では、前記制御システムは、
前記確認動作を実行した結果、前記搬送車が前記非案内区間に位置していると判定した場合には、前記第1復旧時制限速度以下で前記搬送車を走行させ、
前記確認動作を実行した結果、前記搬送車が前記案内区間に位置していると判定した場合には、前記第1復旧時制限速度より低い第2復旧時制限速度以下で前記搬送車を走行させる、請求項3に記載の搬送設備。
【請求項5】
前記制御システムは、前記走行経路に存在する複数の前記搬送車に前記特定事象が生じた場合、当該特定事象が生じた複数の前記搬送車に対して一斉に前記確認動作を実行させる、請求項1又は2に記載の搬送設備。
【請求項6】
前記搬送車は、前記被案内部である第1被案内部に加えて、前記第1被案内部よりも前記走行方向の後方側に配置された第2被案内部を備え、
前記案内駆動部は、前記第1被案内部と前記第2被案内部とを互いに独立して前記幅方向に駆動するように構成され、
前記制御システムは、
前記特定事象が生じた場合に、前記第1被案内部と前記第2被案内部との双方を対象として前記確認動作を実行させ、
前記第1被案内部と前記第2被案内部との双方が前記第1位置及び前記第2位置の一方から他方に移動した場合には、前記搬送車が前記非案内区間に位置していると判定し、
前記第1被案内部と前記第2被案内部との少なくとも一方の前記第1位置及び前記第2位置の一方から他方への移動が妨げられた場合には、前記搬送車が前記案内区間に位置していると判定する、請求項1又は2に記載の搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行経路に沿って走行する搬送車と、搬送車を制御する制御システムと、を備えた搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる搬送設備の従来例が、特開2019-080411号公報(特許文献1)に記載されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示す符号は特許文献1のものである。特許文献1の搬送設備では、レール(2)に沿って離散的に配置された位置表示装置(26)の位置情報を搬送車(3)の位置情報読取部(23)が読み取ることで、搬送車が走行位置の情報を取得し、取得した情報に基づいて制御システム(H)が搬送車を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、搬送車を制御する制御システムは、例えば、分岐や合流の有無、或いは、直線かカーブか等といった走行経路の形状や、搬送車の停止位置となる各種設備の位置等に応じて、搬送車を適切に制御する必要がある。しかし、上記のような搬送設備では、例えば停電等の搬送車が走行位置の情報を消失する特定事象が生じた場合には、搬送車が走行位置の情報を消失した状態となるため、搬送車に走行位置を認識させるための作業者による復旧作業などを行わない限り、制御システムによる搬送車の制御を適切に再開することは困難であった。
【0005】
そこで、搬送車が走行位置の情報を消失する特定事象が生じた場合であっても、制御システムによる搬送車の制御を適切に再開することが可能な搬送設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る搬送設備は、走行経路に沿って走行する搬送車と、前記走行経路に沿って設置された案内レールと、前記搬送車を制御する制御システムと、を備えた搬送設備であって、前記走行経路に沿う方向を走行方向とし、上下方向視で前記走行方向に直交する方向を幅方向とし、前記幅方向の一方側を幅方向第1側とし、前記幅方向の他方側を幅方向第2側として、前記搬送車は、前記案内レールに案内される被案内部と、前記被案内部を前記幅方向に駆動して、前記案内レールに対して前記幅方向第1側となる第1位置と前記案内レールに対して前記幅方向第2側となる第2位置とに移動させる案内駆動部と、を備え、前記走行経路には、前記案内レールが設置された案内区間と、前記案内レールが設置されていない非案内区間と、が設定されており、前記制御システムは、前記搬送車が走行位置の情報を消失する特定事象が生じた場合に、前記被案内部を前記幅方向に駆動する確認動作を前記案内駆動部に実行させ、前記被案内部が前記第1位置及び前記第2位置の一方から他方に移動した場合には、前記搬送車が前記非案内区間に位置していると判定し、前記被案内部の前記第1位置及び前記第2位置の一方から他方への移動が妨げられた場合には、前記搬送車が前記案内区間に位置していると判定する。
【0007】
本構成によれば、搬送車が走行位置の情報を消失する特定事象が生じた場合であっても、被案内部を幅方向に駆動する確認動作を実行することにより、搬送車が案内区間と非案内区間とのいずれに位置しているかを判定することができる。これにより、制御システムは、搬送車が案内区間と非案内区間とのいずれに位置しているか応じた適切な制御を搬送車に行わせることができる。従って、搬送車が走行位置の情報を消失する特定事象が生じた場合であっても、制御システムによる搬送車の制御を適切に再開することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】
図2に示す交差区間における確認動作を説明する図
【
図5】
図4の交差区間における確認動作中の状態を示す図
【
図6】
図2に示す交差区間に2台の搬送車が進入する直前の状態を示す図
【
図7】
図6に示す2台の搬送車が交差区間を走行している状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、搬送設備の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1に示すように、搬送設備10は、走行経路11に沿って走行する搬送車20と、走行経路11に沿って設置された案内レール15と、を備えている。本実施形態では、搬送設備10は、複数の搬送車20を有している。また、本実施形態では、搬送車20は天井搬送車である。また、搬送車20は電動の無人搬送車である。また、搬送車20は、例えば、半導体基板を収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)を物品Wとして搬送する。本実施形態では、搬送設備10は、屋内、例えばクリーンルームに設置される。
【0011】
ここで、走行経路11に沿う方向を走行方向Xとする。また、鉛直方向を上下方向Zとする。また、上下方向視で走行方向Xに直交する方向を幅方向Yとする。また、幅方向Yの一方側を幅方向第1側Y1とし、幅方向Yの他方側を幅方向第2側Y2とする。本実施形態では、走行経路11には、搬送車20が走行する走行レール12が設置されている。走行レール12は一対設けられ、幅方向Yの両側に配置されている。また、走行レール12は天井から吊り下げられている。
【0012】
本実施形態では、走行経路11には、案内レール15が設置された案内区間E1と、案内レール15が設置されていない非案内区間E2と、が設定されている。図示の例では、案内レール15は、走行経路11における幅方向Yの中央部に配置されている。また、案内レール15は、上下方向視で一対の走行レール12の内側に配置されている。また、案内レール15は、天井から吊り下げられている。
【0013】
図2は走行経路11の一例を示す図である。本実施形態では、走行経路11の幅方向Yの外側に物品Wの処理装置、物品載置台、物品保管棚、各種器具等の設備16が設けられている。
図2に示す例では、搬送車20は走行経路11に沿って一方向に走行する。
【0014】
本実施形態では、案内レール15は、走行経路11が交差している交差区間E11及び走行経路11が湾曲している湾曲区間E12の少なくともいずれかに設置されている。交差区間E11の例としては、分岐区間、合流区間、十字交差区間、N字分岐合流区間等が挙げられる。湾曲区間E12の例としては、U字状、S字状、C字状区間等の曲線走行区間等が挙げられる。図示の例では、交差区間E11は、分岐区間及び合流区間である。分岐区間とは、例えば1つの走行経路11が複数の走行経路11に分岐する箇所である。また、合流区間とは、例えば複数の走行経路11が1つの走行経路11に合流する箇所である。本実施形態の分岐区間及び合流区間では、案内レール15は搬送車20の進路を案内するように構成されている。
【0015】
図1に戻り、本実施形態では、搬送車20は走行経路11に沿って走行する第1走行部21aを備えている。本実施形態では、第1走行部21aは、走行経路11の路面を転動する車輪22と、車輪22を回転させる走行用駆動部23と、を備えている。走行用駆動部23の例としては、サーボモータ等の電動モータ、内燃機関等が挙げられる。車輪22が転動する走行経路11の路面は、走行レール12の上側を向く面であり、車輪22は、上下方向Zに直交する軸心周りに回転する。
【0016】
搬送車20は、案内レール15に案内される第1被案内部25aを備えている。本実施形態では、第1被案内部25aは、案内レール15の案内面を転動する。案内レール15の案内面は、幅方向Yの一方側を向く面であり、第1被案内部25aは、上下方向Zに沿う軸心周りに回転する。また、第1被案内部25aは、第1走行部21aに備えられている。また、第1被案内部25aは走行方向Xに並ぶように2つ設けられている。第1被案内部25aは、「被案内部」に対応する。
【0017】
また、搬送車20は、第1被案内部25aを幅方向Yに駆動して、案内レール15に対して、幅方向第1側Y1となる第1位置P1と案内レール15に対して幅方向第2側Y2となる第2位置P2とに移動させる案内駆動部24を備えている。案内駆動部24の例としては、ソレノイドアクチュエータ、電動モータ、油圧装置等が挙げられる。本実施形態では、案内駆動部24は、案内区間E1への進入前に、搬送車20の進路に応じて第1被案内部25aの位置を切り替える進路選択動作を実行する。例えば、
図4に示す分岐区間に搬送車20が進入する場合、第1被案内部25aの位置を第1位置P1に切り替えると、搬送車20は幅方向第1側Y1(右側)の分岐路に進み、第1被案内部25aの位置を第2位置P2に切り替えると、搬送車20は幅方向第2側Y2(左側)の分岐路に進む。
【0018】
本実施形態では、搬送車20は、第1被案内部25aに加えて第1被案内部25aよりも走行方向Xの後方側X2に配置された第2被案内部25bを備えている。案内駆動部24は、第1被案内部25aと第2被案内部25bとを互いに独立して幅方向Yに駆動するように構成されている。また、案内駆動部24は、案内区間E1への進入前に、搬送車20の進路に応じて第1被案内部25aと第2被案内部25bとを互いに独立して幅方向Yの位置を切り替える進路選択動作を実行する。
【0019】
本実施形態では、搬送車20は、第1走行部21aよりも走行方向Xの後方側X2に第2走行部21bを備えている。第2走行部21bは、走行経路11の路面を転動する車輪22と、車輪22を回転させる走行用駆動部23と、を備えている。また、本実施形態では、第2走行部21bに第2被案内部25bが備えられている。また、第2被案内部25bは走行方向Xに並ぶように2つ設けられている。図示の例では、第1被案内部25a及び第2被案内部25bは、案内輪である。また、図示の例では、第1被案内部25a及び第2被案内部25bは、互いに同径に形成された案内輪である。
【0020】
本実施形態では、搬送車20は、第1走行部21aに連結された本体部30を備えている。本体部30は、第1走行部21aに対して上下方向Zの下側に配置された状態で、第1走行部21aに支持されている。また、本体部30は、第2走行部21bにも連結されている。また、本体部30は、第1走行部21a及び第2走行部21bに対して下側に配置された状態で、第1走行部21a及び第2走行部21bに支持されている。また、本体部30には物品Wを搬送先に移載する(図示しない)移載装置が備えられている。物品Wは、移載装置が所定の走行位置となっている状態で搬送車20により搬送される。
【0021】
本実施形態では、搬送車20は、第1被案内部25aの幅方向Yの移動を検知する第1検知部27aを備えている。第1検知部27aは、第1被案内部25aが第1位置P1及び第2位置P2の一方から他方に移動したか否かを検知する。本実施形態では、第1検知部27aは、第1被案内部25aが第1位置P1にあるか否かを検知可能に構成されている。また、第1検知部27aは、第1被案内部25aが第2位置P2にあるか否かを検知可能に構成されている。第1検知部27aの例としては、光学センサ、レーザセンサ等が挙げられる。また、本実施形態では、搬送車20は、第2被案内部25bの幅方向Yの移動を検知する第2検知部27bを備えている。第2検知部27bは第1検知部27aと同様に構成されている。第1検知部27aによる検知結果及び第2検知部27bによる検知結果は、後述の制御システム40に伝達される。
【0022】
また、本実施形態では、走行経路11に沿った複数箇所にそれぞれの設置位置の位置情報を保持した複数の情報保持体18が設置されている。本実施形態では、情報保持体18は、走行経路11に沿って離散的に配置されている。情報保持体18としては、1次元バーコード、2次元バーコード、数字、文字、画像の標示や無線タグ等が例として挙げられる。情報保持体18は、例えば、走行レール12、案内レール15、走行レール12或いは案内レール15を保持する保持部材、路面等に設置される。
【0023】
本実施形態では、搬送車20は、情報保持体18が保持している位置情報を読み取る読取装置28を備え、読取装置28により読み取った情報に基づいて自身の走行位置を認識するように構成されている。読取装置28の例としては、バーコードリーダ、画像認識装置、数字や文字を認識する文字認識装置、無線識別装置が挙げられる。
【0024】
本実施形態では、搬送車20は、走行方向Xの前方側X1に存在する障害物を検知する障害物センサ31を備えている。例えば、搬送車20の走行中に障害物センサ31により障害物が検知されると、搬送車20は減速又は停止する。障害物センサ31は、検知範囲M1を変更可能に構成されている。障害物の例としては、走行経路11内の作業者、作業ロボット、異物、他の搬送車20等が挙げられる。障害物センサ31の例としては、光学センサ、超音波センサ、画像センサ、ミリ波センサ、レーザセンサ等が挙げられる。障害物センサ31による検知結果は、後述の制御システム40に伝達される。検知範囲M1の変更は、単独の障害物センサ31の検知範囲を変更することにより実行されてもよく、幅方向Y又は上下方向Zに並んだ複数の障害物センサ31を個別にオンとオフとを切り替えることで実行されてもよい。本実施形態では、障害物センサ31は、走行方向Xの前方側X1に投光し反射光により障害物までの距離を測定可能に構成されている。また、障害物センサ31は、搬送車20の前面に配置されている。また、障害物センサ31は、本体部30の前面に配置されている。
【0025】
本実施形態では、搬送車20は、走行方向Xの前方側X1に存在する他の搬送車20を検知する追突防止センサ32を備えている。追突防止センサ32の例としては、光学センサ、超音波センサ、画像センサ、ミリ波センサ、レーザセンサ等が挙げられる。追突防止センサ32は、搬送車20の前面における障害物センサ31よりも上下方向Zの走行レール12側に配置されている。本実施形態では、追突防止センサ32は、走行方向Xの前方側X1に投光し、他の搬送車20の後方側X2の面に配置された反射部材による反射を検出するように構成されている。また、追突防止センサ32は、本体部30の前面に配置されている。
【0026】
図3は、搬送設備10の制御ブロック図である。本実施形態では、搬送設備10は、搬送車20の走行速度を検知する車速検知部33を備えている。車速検知部33は、搬送車20に搭載されている。車速検知部33は、車輪22の回転速度を計測することで搬送車20の走行速度を検知する。
【0027】
搬送設備10は、搬送車20を制御する制御システム40を備えている。本実施形態では、制御システム40は、搬送車20の第1走行部21a及び第2走行部21bや本体部30の移載装置を制御する。制御システム40の各機能は、例えば、演算処理装置等のハードウェアと、当該ハードウェア上で実行されるプログラムとの協働により実現される。制御システム40は、その全てが搬送車20に設けられていてもよく、一部が搬送車20に搭載された制御装置に設けられ、一部が集中管理室等の外部に設置された制御装置に設けられていてもよい。また、制御システム40の全てが外部に設置された制御装置に設けられていても良い。本実施形態では、制御システム40は、外部に設置された搬送管理装置41(Material Control Processor)、及び、複数の搬送車20にそれぞれ搭載された搬送車制御装置42を有している。搬送管理装置41と搬送車制御装置42とは、無線通信可能に構成されている。本実施形態では、制御システム40は、読取装置28により取得した情報を記憶する記憶部43を備えている。
図3に示す例では、記憶部43が搬送車20に設けられているが、搬送管理装置41或いは搬送車制御装置42に設けられていてもよい。
【0028】
制御システム40は、搬送車20が走行位置の情報を消失する特定事象が生じた場合に、第1被案内部25aを幅方向Yに駆動する確認動作を案内駆動部24に実行させる。走行位置の情報を消失する特定事象の例としては、停電、上位制御装置からの制御ソフトの更新、異常停止、作業者による電源遮断、故障や電源遮断等の発生後の搬送車20の走行等が挙げられる。本実施形態では、確認動作は搬送車20が停止した状態で行われる。本実施形態では、停電時には電力供給が遮断されて搬送車20が停止する。なお、特定事象が生じた場合に、制御システム40によって搬送車20を所定の位置に停止させる停止処理が実行されてもよい。
【0029】
制御システム40は、確認動作により、第1被案内部25aが第1位置P1及び第2位置P2の一方から他方に移動した場合には、搬送車20が非案内区間E2に位置していると判定する。また、制御システム40は、確認動作により、第1被案内部25aの第1位置P1及び第2位置P2の一方から他方への移動が妨げられた場合には、搬送車20が案内区間E1に位置していると判定する。なお、制御システム40が、第1被案内部25aを幅方向Yに駆動する確認動作でなく、センサ等を用いて案内レール15を検出する確認動作により、案内区間E1及び非案内区間E2のいずれかに搬送車20が位置していると判定する構成であってもよい。
【0030】
図4は、交差区間E11における分岐区間の上面図である。例えば、
図4における走行方向Xの後方側X2の搬送車20は、第1被案内部25a及び第2被案内部25bが第1位置P1にある状態であり、第1被案内部25a及び第2被案内部25bを第2位置P2に駆動する確認動作を行うと案内レール15により移動が妨げられる。よって、制御システム40は、搬送車20が案内区間E1に位置していると判定する。また、
図4における走行方向Xの前方側X1の搬送車20は、第1被案内部25a及び第2被案内部25bが第2位置P2にある状態であり、第1被案内部25a及び第2被案内部25bを第1位置P1に駆動する確認動作を行うと案内レール15により移動が妨げられないため、第1被案内部25a及び第2被案内部25bは第1位置P1に移動する。よって、制御システム40は、搬送車20が非案内区間E2に位置していると判定する。この場合は、制御システム40は、第1被案内部25a及び第2被案内部25bを元の位置(第2位置P2)に戻す判定後復帰動作を実行する。
【0031】
本実施形態では、制御システム40は、特定事象が生じた場合に、第1被案内部25aと第2被案内部25bとの双方を対象として確認動作を実行させる。また、制御システム40は、確認動作により、第1被案内部25aと第2被案内部25bとの双方が第1位置P1及び第2位置P2の一方から他方に移動した場合には、搬送車20が非案内区間E2に位置していると判定する。また、制御システム40は、確認動作により、第1被案内部25aと第2被案内部25bとの少なくとも一方の第1位置P1及び第2位置P2の一方から他方への移動が妨げられた場合には、搬送車20が案内区間E1に位置していると判定する。
【0032】
図5は、交差区間E11の分岐区間における確認動作中の状態を示す図である。例えば、
図5に示す2台の搬送車20は、確認動作により、第1被案内部25aと第2被案内部25bとの内、片方しか第1位置P1及び第2位置P2の一方から他方に移動していない状態を示している。よって、制御システム40は、両方の搬送車20が案内区間E1に位置していると判定する。この場合は、制御システム40は、第1被案内部25a及び第2被案内部25bを元の位置に戻す判定後復帰動作を実行する。
【0033】
なお、
図5に示す走行方向Xの前方側X1の搬送車20のように、第1被案内部25aが第1位置P1及び第2位置P2の一方から他方に移動した場合は、搬送車20が非案内区間E2に位置していると制御システム40が判定する構成であってもよい。すなわち、複数の被案内部を搬送車20が備える場合、最も走行方向Xの前方側X1の被案内部が第1位置P1及び第2位置P2の一方から他方に移動した場合に、搬送車20が非案内区間E2に位置していると制御システム40が判定する構成であってもよい。
【0034】
図6は、2台の搬送車20が合流区間に進入する直前の状態を示す図である。
図7は、2台の搬送車20が合流区間を走行している状態を示す図である。本実施形態では、制御システム40は、確認動作を実行した結果、案内区間E1に位置していると判定した場合には、非案内区間E2に位置していると判定した場合に比べて、障害物センサ31の検知範囲M1を広く設定する。本実施形態では、障害物センサ31の幅方向Yの検知範囲M1を広く設定する。この設定の変更は、好適には、後述の復旧処理の前に制御システム40により実行される。
【0035】
本実施形態では、非案内区間E2における障害物センサ31の幅方向Yの検知範囲M1は、走行経路11の幅方向Yの外側に配置された設備16(
図2参照)を検知しない範囲とされている。また、設備16は、案内区間E1における障害物センサ31の幅方向Yの検知範囲M1の外側に配置されている。
【0036】
図6に示す例では、制御システム40は、確認動作を実行した結果、非案内区間E2に位置していると判定した場合に、検知範囲M1を搬送車20の走行方向Xの前方側X1における自車の走行軌跡に対応する幅方向Yの範囲に設定している。このため、非案内区間E2では障害物とならない設備16を障害物として検知しない。しかし、検知範囲M1を
図6に示す範囲のまま2台の搬送車20が後述の復旧処理により走行した場合に、両方の搬送車20の障害物センサ31が互いを検知できないまま接触する可能性が考えられる。
図7に示す例では、案内区間E1に位置していると判定した場合に、検知範囲M1を走行方向Xの前方側X1及び側方側に存在する他の搬送車20を検知できるような範囲に設定している。このようにすれば、少なくとも一方の搬送車20が他方の搬送車20を障害物センサ31により検知する可能性が高くなる。また、湾曲区間E12において障害物センサ31の幅方向Yの検知範囲M1を広く設定することにより、他の搬送車20等の走行経路上の障害物を早期に検知することが可能となる。
【0037】
本実施形態では、制御システム40は、特定事象が解消した後に搬送車20の走行を開始させる復旧処理を実行する。復旧処理の終了は、例えば、(
図1に示す)情報保持体18が保持している位置情報を搬送車20が読み取った後、制御システム40により行われてもよい。また、例えば、情報保持体18が保持している位置情報を搬送車20が複数回読み取った後、制御システム40により復旧処理の終了が行われてもよい。また、本実施形態では、制御システム40は、復旧処理の終了後に通常処理を開始する。通常処理とは、例えば、搬送車20の外部からの情報(例えば、搬送管理装置41からの指令)に基づいて物品Wの搬送や移載を行う処理である。本実施形態では、情報保持体18が保持している位置情報の搬送車20による読み取り、及び、制御システム40の搬送管理装置41の再起動後に、制御システム40は復旧処理を終了するが、情報保持体18が保持している位置情報の搬送車20による読み取り直後に、制御システム40は復旧処理を終了するようにしてもよい。
【0038】
本実施形態の制御システム40が実行する復旧処理では、停止していた搬送車20の走行を開始させた後、搬送車20が(
図1に示す)情報保持体18が保持している位置情報を読み取るまでは、予め定められた第1復旧時制限速度V1以下で搬送車20を走行させる。また、本実施形態では、復旧処理では、制御システム40は、確認動作を実行した結果、搬送車20が非案内区間E2に位置していると判定した場合には、第1復旧時制限速度V1以下で搬送車20を走行させ、確認動作を実行した結果、搬送車20が案内区間E1に位置していると判定した場合には、第1復旧時制限速度V1より低い第2復旧時制限速度V2以下で搬送車20を走行させる。
【0039】
本実施形態では、制御システム40は、走行経路11に存在する複数の搬送車20に特定事象が生じた場合、当該特定事象が生じた複数の搬送車20に対して一斉に確認動作を実行させる。また、本実施形態では、確認動作の後、複数の搬送車20を対象として(後述する)復旧処理を実行する。複数の搬送車20に対して一斉に実行される確認動作は、完全に同時でなくてもよい。例えば、非案内区間E2に位置していると判定された複数の搬送車20を対象として復旧処理を実行後、案内区間E1に位置していると判定された複数の搬送車20を対象として復旧処理を実行してもよい。また、案内区間E1に位置していると判定された複数の搬送車20を対象として復旧処理を実行後、非案内区間E2に位置していると判定された複数の搬送車20を対象として復旧処理を実行してもよい。また、複数の搬送車20のうち、所定の走行条件を満たす搬送車20のみを対象として復旧処理を実行してもよい。所定の走行条件の例としては、本体部30が備える移載装置が所定の走行位置となっている、搬送車20が物品Wを支持していない、障害物センサ31が障害物を検知していない、追突防止センサ32が他の搬送車20を検知していない等が挙げられる。上記の搬送設備10によれば、搬送車20を復旧させるときに、目視で確認する必要がある搬送車20のみ作業者が近づいて復旧させればよいので、搬送設備10が搬送車20を複数備えている場合であっても、特定事象が生じた後の復旧に係る作業者の手間を少なくすることができる。
【0040】
〔その他の実施形態〕
次に、搬送設備10のその他の実施形態について説明する。
【0041】
(1)上記の実施形態では、案内レール15が走行経路11における幅方向Yの中央部に配置され、天井から吊り下げられている構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、案内レール15が床に設置されていてもよい。また、案内レール15が左右一対の走行レール12の一方に接するように設けられていてもよい。
【0042】
(2)上記の実施形態では、搬送車20が電動の天井搬送車であり、走行経路11に左右一対の走行レール12が設置されている構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、走行レール12が一本のみ床面に設置されていてもよい。また、例えば、走行レール12が設置されていなくてもよい。また、例えば、走行経路11が天井から吊り下げられた床面に設定されていてもよい。また、例えば、搬送車20が有人の地上搬送車であってもよい。また、例えば、搬送車20が内燃機関により走行する車両であってもよい。また、例えば、搬送設備10が備える搬送車20が1台だけでもよい。
【0043】
(3)上記の実施形態では、搬送車20が走行経路11に沿って一方向に走行する構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、搬送車20が走行経路11に沿って前後方向の両方に走行する構成であってもよい。また、障害物センサ31又は追突防止センサ32が搬送車20の前方側X1の面及び後方側X2の面に配置される構成であってもよい。
【0044】
(4)上記の実施形態では、搬送車20が障害物センサ31及び追突防止センサ32を備えている構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、搬送車20が障害物センサ31を備えていなくてもよい。また、搬送車20が追突防止センサ32を備えていなくてもよい。
【0045】
(5)上記の実施形態では、走行経路11に沿った複数箇所に情報保持体18が設置されており、搬送車20が読取装置28を備える構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、情報保持体18が走行経路11に沿って1つのみ設置されていてもよい。また、例えば、情報保持体18が設置されず、走行経路11上の所定の位置において搬送車20に走行位置の情報を作業者が入力する構成であってもよい。
【0046】
(6)上記の実施形態では、搬送車20が第1走行部21aと第2走行部21bとを備え、第1被案内部25a及び第2被案内部25bをそれぞれ2つずつ備える構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、搬送車20が第1被案内部25aと第2被案内部25bのそれぞれを1つずつ備える構成であってもよい。また、搬送車20が第2被案内部25b及び第2走行部21bを備えない構成であってもよい。また、走行用駆動部23が、第1走行部21aと第2走行部21bのいずれか一方に設けられ、他方に設けられた車輪22が従動する構成であってもよい。
【0047】
(7)上記の実施形態では、第1被案内部25a及び第2被案内部25bが案内輪である構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、第1被案内部25a及び第2被案内部25bが案内レール15に摺動して案内される構成であってもよい。また、例えば、第1被案内部25aが案内輪及び案内輪を支持する支持部であってもよく、案内駆動部24が前記案内輪と共に前記支持部も幅方向Yに駆動する構成であってもよい。
【0048】
(8)上記の実施形態では、第1検知部27aが第1位置P1及び第2位置P2に位置する第1被案内部25aを検知可能である構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、案内駆動部24の駆動或いは回転を検知することで第1被案内部25aが第1位置P1及び第2位置P2の一方から他方に移動したか否かを検知する構成であってもよい。また、例えば、第1位置P1と第2位置P2との中間位置における第1被案内部25aの通過を検出することで、第1被案内部25aが第1位置P1及び第2位置P2の一方から他方に移動したか否かを検知する構成であってもよい。
【0049】
(9)上記の実施形態では、制御システム40が、案内区間E1に位置していると判定した場合には、非案内区間E2に位置していると判定した場合に比べて、障害物センサ31の幅方向Yの検知範囲M1を広く設定する構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、障害物センサ31の上下方向Z又は走行方向Xの検知範囲M1を広く設定する構成であってもよい。
【0050】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した搬送設備について説明する。
【0051】
本開示に係る搬送設備は、走行経路に沿って走行する搬送車と、前記走行経路に沿って設置された案内レールと、前記搬送車を制御する制御システムと、を備えた搬送設備であって、前記走行経路に沿う方向を走行方向とし、上下方向視で前記走行方向に直交する方向を幅方向とし、前記幅方向の一方側を幅方向第1側とし、前記幅方向の他方側を幅方向第2側として、前記搬送車は、前記案内レールに案内される被案内部と、前記被案内部を前記幅方向に駆動して、前記案内レールに対して前記幅方向第1側となる第1位置と前記案内レールに対して前記幅方向第2側となる第2位置とに移動させる案内駆動部と、を備え、前記走行経路には、前記案内レールが設置された案内区間と、前記案内レールが設置されていない非案内区間と、が設定されており、前記制御システムは、前記搬送車が走行位置の情報を消失する特定事象が生じた場合に、前記被案内部を前記幅方向に駆動する確認動作を前記案内駆動部に実行させ、前記被案内部が前記第1位置及び前記第2位置の一方から他方に移動した場合には、前記搬送車が前記非案内区間に位置していると判定し、前記被案内部の前記第1位置及び前記第2位置の一方から他方への移動が妨げられた場合には、前記搬送車が前記案内区間に位置していると判定する。
【0052】
本構成によれば、搬送車が走行位置の情報を消失する特定事象が生じた場合であっても、被案内部を幅方向に駆動する確認動作を実行することにより、搬送車が案内区間と非案内区間とのいずれに位置しているかを判定することができる。これにより、制御システムは、搬送車が案内区間と非案内区間とのいずれに位置しているか応じた適切な制御を搬送車に行わせることができる。従って、搬送車が走行位置の情報を消失する特定事象が生じた場合であっても、制御システムによる搬送車の制御を適切に再開することが可能となる。
【0053】
一態様として、前記搬送車は、前記走行方向の前方側に存在する障害物を検知する障害物センサを備え、前記案内レールは、前記走行経路が交差している区間及び前記走行経路が湾曲している区間の少なくともいずれかに設置されており、前記制御システムは、前記確認動作を実行した結果、前記案内区間に位置していると判定した場合には、前記非案内区間に位置していると判定した場合に比べて、前記障害物センサの検知範囲を広く設定する、と好適である。
【0054】
本構成によれば、搬送車が案内区間と非案内区間とのいずれに位置しているかに応じて、障害物センサの検知範囲を適切に設定することができる。従って、非案内区間では障害物とならない物を障害物として検知する誤検知の可能性を低減しつつ、案内区間では、分岐又は合流する他の搬送車等の障害物を適切に検知できる可能性を高めることができる。これにより、制御システムによる搬送車の制御を再開した場合に、搬送車を適切に走行させることが可能となる。
【0055】
一態様として、前記走行経路に沿った複数箇所に、それぞれの設置位置の位置情報を保持した情報保持体が設置されており、前記搬送車は、前記情報保持体が保持している位置情報を読み取る読取装置を備え、前記読取装置により読み取った情報に基づいて自身の走行位置を認識するように構成され、前記制御システムは、前記特定事象が解消した後に前記搬送車の走行を開始させる復旧処理を実行し、前記復旧処理では、停止していた前記搬送車の走行を開始させた後、前記搬送車が前記情報保持体が保持している位置情報を読み取るまでは、予め定められた第1復旧時制限速度以下で前記搬送車を走行させる、と好適である。
【0056】
本構成によれば、特定事象が生じたことにより搬送車が自身の走行位置の情報を消失した場合であっても、確認動作に基づいて案内区間と非案内区間とのいずれに位置しているかに応じた制御を搬送車に行わせつつ、第1復旧時制限速度以下の低速で搬送車を走行させることができる。これにより、搬送車が他の搬送車と衝突する等の問題が生じる可能性を低減しつつ、搬送車を走行させて走行位置を認識させることで復旧処理を終了して通常処理に戻すまでの一連の処理を、自動的に行うことが可能となる。
【0057】
一態様として、前記復旧処理では、前記制御システムは、前記確認動作を実行した結果、前記搬送車が前記非案内区間に位置していると判定した場合には、前記第1復旧時制限速度以下で前記搬送車を走行させ、前記確認動作を実行した結果、前記搬送車が前記案内区間に位置していると判定した場合には、前記第1復旧時制限速度より低い第2復旧時制限速度以下で前記搬送車を走行させる、と好適である。
【0058】
本構成によれば、搬送車が他の搬送車と衝突する等の問題が生じる可能性をさらに低減できる。
【0059】
一態様として、前記制御システムは、前記走行経路に存在する複数の前記搬送車に前記特定事象が生じた場合、当該特定事象が生じた複数の前記搬送車に対して一斉に前記確認動作を実行させる、と好適である。
【0060】
本構成によれば、複数の搬送車が存在する場合であっても、特定事象が生じた後の復旧に係る作業者の手間を少なくすることができる。
【0061】
一態様として、前記搬送車は、前記被案内部である第1被案内部に加えて、前記第1被案内部よりも前記走行方向の後方側に配置された第2被案内部を備え、前記案内駆動部は、前記第1被案内部と前記第2被案内部とを互いに独立して前記幅方向に駆動するように構成され、前記制御システムは、前記特定事象が生じた場合に、前記第1被案内部と前記第2被案内部との双方を対象として前記確認動作を実行させ、前記第1被案内部と前記第2被案内部との双方が前記第1位置及び前記第2位置の一方から他方に移動した場合には、前記搬送車が前記非案内区間に位置していると判定し、前記第1被案内部と前記第2被案内部との少なくとも一方の前記第1位置及び前記第2位置の一方から他方への移動が妨げられた場合には、前記搬送車が前記案内区間に位置していると判定する、と好適である。
【0062】
本構成によれば、搬送車が走行方向に並ぶ複数の被案内部を備える場合であっても、確認動作と当該確認動作に基づく判定とを適切に行うことができる。
【符号の説明】
【0063】
10 :搬送設備
11 :走行経路
15 :案内レール
16 :設備
18 :情報保持体
20 :搬送車
24 :案内駆動部
25a :第1被案内部(被案内部)
25b :第2被案内部
28 :読取装置
31 :障害物センサ
40 :制御システム
E1 :案内区間
E2 :非案内区間