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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117337
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】車両通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/08 20090101AFI20240822BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240822BHJP
   H04W 36/38 20090101ALI20240822BHJP
   H04W 4/44 20180101ALI20240822BHJP
【FI】
H04W36/08
G08G1/09 F
H04W36/38
H04W4/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023378
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】安田 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】相葉 孝充
(72)【発明者】
【氏名】國立 忠秀
【テーマコード(参考)】
5H181
5K067
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC12
5H181CC27
5K067DD20
5K067DD24
5K067EE04
5K067EE10
5K067EE16
5K067EE24
(57)【要約】
【課題】通信状況や車両の台数に応じて適切な車両通信を実現することが可能な車両通信システムを提供する。
【解決手段】車両通信システムは、車両に搭載された車載器と、車両通信制御装置100と、を備える。車載器は、車両データ取得部及び車両データの種類に応じて優先度を設定する優先度設定部を有する。また、車載器は、応答データを受信し、応答データに基地局変更情報が含まれる場合には、基地局変更情報に基づいて、基地局を変更する応答データ処理部を有する。車両通信制御装置100は、車両データ受信部111と、通信状況取得部112と、を有する。また、車両通信制御装置100は、通信状況と、車両データに含まれる優先度とに基づいて、基地局の変更が必要か否かを判定する優先度判定部113を有する。基地局の変更が必要であると判定された場合に、基地局変更情報を含む応答データを車両に送信する応答データ送信部114を有する。
【選択図】図4B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載器と、通信領域が広く、かつ低い周波数の電波の送受信を行う第1基地局、又は前記第1基地局に比べ通信領域が狭く、かつ高い周波数の電波の送受信を行う第2基地局を介して、前記車載器と通信可能な車両通信制御装置と、を備える車両通信システムであって、
前記車載器は、
前記車両で使用される車両データを取得する車両データ取得部と、
前記車両データの種類に応じて優先度を設定する優先度設定部と、
前記優先度が設定された前記車両データを前記第1基地局又は前記第2基地局を介して、前記車両通信制御装置に送信する車両データ送信部と、
前記第1基地局又は前記第2基地局を介して、前記車両通信制御装置から送信された応答データを受信し、前記応答データに基地局変更情報が含まれる場合には、前記基地局変更情報に基づいて、対応する基地局を変更する応答データ処理部と、を有し、
前記車両通信制御装置は、
前記第1基地局又は前記第2基地局を介して、前記車両から送信された前記車両データを受信する車両データ受信部と、
前記第1基地局及び前記第2基地局における通信状態の良否を示す通信状況を取得する通信状況取得部と、
前記通信状況と、前記車両データに含まれる前記優先度とに基づいて、前記車両に対して前記基地局の変更が必要か否かを判定する優先度判定部と、
前記車両データに対する前記応答データを、前記第1基地局又は前記第2基地局を介して、前記車両に送信する応答データ送信部と、を有し、
前記応答データ送信部は、前記優先度判定部で前記基地局の変更が必要であると判定された場合に、前記基地局変更情報を含む前記応答データを前記車両に送信する、車両通信システム。
【請求項2】
前記車両通信制御装置は、
前記第2基地局の通信領域における前記車両の台数を示す車両状況を取得する車両状況取得部と、
前記車両状況に基づいて、前記車両が前記第2基地局との通信を行う、又は、前記車両が他の前記車両と通信を行うかを定める通信方法を判定する通信方法判定部と、をさらに有し、
前記車両通信制御装置の前記応答データ送信部は、前記通信方法判定部で前記通信方法の変更が必要であると判定された場合に、通信方法変更情報を含む前記応答データを前記車両に送信し、
前記車載器の前記応答データ処理部は、前記応答データに前記通信方法変更情報が含まれる場合には、前記通信方法変更情報に基づいて、対応する前記通信方法を変更する、請求項1に記載の車両通信システム。
【請求項3】
前記車両データは、前記車両の位置情報をさらに含み、
前記通信方法判定部は、前記車両状況及び前記車両データに基づいて、前記車両が前記第2基地局との通信を行う、又は、前記車両が他の前記車両と通信を行うかを定める前記通信方法を判定する、請求項2に記載の車両通信システム。
【請求項4】
前記通信方法判定部は、前記車両状況に基づいて、複数の前記車両を前記第2基地局との通信を行う代表車として定める、請求項3に記載の車両通信システム。
【請求項5】
前記車載器は、
前記車両の近傍に存在する近傍車両に対して、前記近傍車両が車両間通信に対応しているか否かを確認するための確認データを送信する確認データ送信部と、
前記近傍車両からの前記確認データに対する応答の有無に基づいて、前記近傍車両が前記車両間通信に対応しているか否かを確認する非対応車確認部と、
前記非対応車確認部で、前記近傍車両が前記車両間通信に対して非対応であると判定された場合に、前記第2基地局に前記近傍車両が前記車両間通信に対して非対応である非対応車両であることを通知する非対応車通知部と、をさらに備え、
前記第2基地局は、前記車両から前記近傍車両が前記車両間通信に対して非対応である前記非対応車両であることを通知された場合に、前記近傍車両の近傍に位置する前記車両及び他の前記車両と、通信を行う、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の無線通信方式を切り替えて使用することができる車載無線端末が提案されている。特許文献1には、自車両の状態に応じて定まる無線通信方式の優先度に基づいて通信を行う車載無線端末が開示されている。特許文献1に開示された車載無線端末は、自車両の位置や走行速度に基づいて、使用する無線通信方式の優先度を決定し、決定した優先度に基づいて無線通信方式を切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-080420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示された車載無線端末における通信方式の切り替えにおいては、あくまで自車両の位置や走行速度に基づくものである。しかしながら、実際の車両通信においては、基地局における通信状況や、基地局に属する車両の台数等により、データの遅延や途絶が発生する場合がある。そのため、車両間通信や路車間通信等の車両通信においては、
通信状況や車両の台数等に応じて、より適切な通信環境を実現することが可能な通信システムが求められている。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、通信状況や車両の台数に応じて適切な車両通信を実現することが可能な車両通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る車両通信システムは、車両に搭載された車載器と、通信領域が広く、かつ低い周波数の電波の送受信を行う第1基地局、又は第1基地局に比べ通信領域が狭く、かつ高い周波数の電波の送受信を行う第2基地局を介して、車載器と通信可能な車両通信制御装置と、を備える車両通信システムであって、車載器は、車両で使用される車両データを取得する車両データ取得部と、車両データの種類に応じて優先度を設定する優先度設定部と、優先度が設定された車両データを第1基地局又は第2基地局を介して、車両通信制御装置に送信する車両データ送信部と、第1基地局又は第2基地局を介して、車両通信制御装置から送信された応答データを受信し、応答データに基地局変更情報が含まれる場合には、基地局変更情報に基づいて、対応する基地局を変更する応答データ処理部と、を有し、車両通信制御装置は、第1基地局又は第2基地局を介して、車両から送信された車両データを受信する車両データ受信部と、第1基地局及び第2基地局における通信状態の良否を示す通信状況を取得する通信状況取得部と、通信状況と、車両データに含まれる優先度と、に基づいて、車両に対して基地局の変更が必要か否かを判定する優先度判定部と、応答データを、第1基地局又は第2基地局を介して、車両に送信する応答データ送信部と、を有し、応答データ送信部は、優先度判定部で基地局の変更が必要であると判定された場合に、基地局変更情報を含む応答データを車両に送信する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、通信状況や車両の台数に応じて適切な車両通信を実現することが可能な車両通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る車両通信システムの構成を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る車載器の構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態に係るサーバに設けられた車両通信制御装置の構成を示すブロック図である。
図4A】第1の実施形態に係る車載器に設けられたCPUの機能的構成の一部を示す図である。
図4B】第1の実施形態に係る車両通信制御装置の機能的構成の一部を示す図である。
図5A】第1の実施形態に係る車両データについて説明するための図である。
図5B】第1の実施形態に係る通信状況について説明するための図である。
図6】第1の実施形態に係る車両通信システムの処理に流れについて説明するためのシーケンス図である。
図7A】第2の実施形態に係る車両通信システムの構成を示す図である。
図7B】第2の実施形態に係る車両通信システムの構成を示す図である。
図8】第2の実施形態に係るサーバに設けられた車両通信制御装置の機能的構成の一部を示す図である。
図9】第2の実施形態に係る車両通信システムの処理に流れについて説明するためのシーケンス図である。
図10A】第2の実施形態に係る車両通信システムの構成を示す図である。
図10B】第2の実施形態に係る車両通信システムの構成を示す図である。
図11A】第2の実施形態に係る車両通信システムにおけるデータの周波数の特性について説明するための図である。
図11B】第2の実施形態に係る車両通信システムにおけるデータの周波数の特性について説明するための図である。
図12A】第2の実施形態に係る車両通信システムの別の構成を示す図である。
図12B】第2の実施形態に係る車両通信システムにおけるデータの周波数の特性について説明するための図である。
図13】第2の実施形態における車両通信システムの効果について説明するための図である。
図14】第2の実施形態における車両通信システムの効果について説明するための図である。
図15】第3の実施形態に係る車両通信システムの別の構成を示す図である。
図16】第3の実施形態に係る車載器に設けられたCPUの機能的構成の一部を示す図である。
図17】第3の実施形態に係る車両通信システムの処理に流れについて説明するためのシーケンス図である。
図18】第3の実施形態に係る車両通信システムの処理に流れについて説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本実施形態に係る車両通信システム1について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係る車両通信システム1の構成を示す図である。図1に示すように、車両通信システム1は、サーバ10を備える。サーバ10は、ネットワーク50を介して、第1基地局30及び第2基地局40との通信を行う。なお、本明細書における車両通信システム1において、車両20と、基地局との通信を路車間通信と表記し、車両20と、他の車両20との通信を車両間通信(車車間通信)と表記する場合がある。
【0011】
本実施形態において、第1基地局30及び第2基地局40は、それぞれ周波数帯の異なる無線システムが適用される。第1基地局30は、リアルタイム性が求められるデータの送受信を、周波数帯f1により行う。一方で、第2基地局40は、リアルタイム性は求められないデータの送受信を、周波数帯f1より周波数が高い周波数帯f2により行う。周波数帯f2において送受信されるデータは、例えば、地図情報などの大容量データに相当する。
【0012】
また、本実施形態において、周波数帯f2に比べ低い周波数である周波数帯f1の電波は、常時、車両20と接続するのに用いられる。一方で、高い周波数帯f2の電波は、交差点の信号機付近などの限られた領域(エリア)で瞬間的に大容量データをやり取りするのに用いられる。すなわち、本実施形態において、第1基地局30の通信領域は、第2基地局40の通信領域より広い。また、本実施形態において、第1基地局30は、第2基地局40より低い周波数の電波の送受信を行う。
【0013】
なお、本実施形態において、低い周波数である周波数帯f1は、一例として、約3.7GHzの周波数が適用される。また、高い周波数である周波数帯f2は、一例として、約28GHzの周波数が適用される。例えば、これら2種類の周波数帯を用いる通信システムとしては、5Gモバイル移動体通信システムが適用されてもよい。また、2種類の周波数帯を、3.7GHz及び28GHzとする構成は、本実施形態の構成を限定するものではない。例えば、本実施形態に適用される周波数帯は、3.7GHz及び28GHz以外の周波数帯が適用されてもよく、また、低い周波数側にLTE、高い周波数側に5Gなど方式の異なる通信システムが適用されてもよい。
【0014】
図1に示す例において、低い周波数帯f1によりデータのやり取りが行われる第1基地局30が示され、この第1基地局30の通信領域(通信エリア)がカバレッジf30で示されている。一方で、図1に示す例において、高い周波数帯f2によりデータのやり取りが行われる第2基地局40が示され、この第2基地局40の通信領域(通信エリア)がカバレッジf40で示されている。
【0015】
車両20は、車両20に設けられたアンテナ22を介して、第1基地局30又は第2基地局40との通信を行う。すなわち、本実施形態においては、ネットワーク50と、第1基地局30又は第2基地局40と、を介して、サーバ10及び車両20が通信可能となる。
【0016】
(車載器200の構成)
図2は、車両20に搭載された車載器200の構成を示すブロック図である。図2に示すように車載器200は、CPU210を備える。また、車載器200は、速度信号IF231と、エンジン信号IF232と、GPSIF233(Global Positioning System)と、外部入力IF234と、センサ信号IF235と、を備える。さらに、車載器200は、広域通信モジュール241と、不揮発性メモリ242と、揮発性メモリ243と、SDカード244と、SW入力部245と、LCD246(Liquid Crystal Display)と、を備える。
【0017】
CPU210は、予め組み込まれたプログラムを実行することにより、車載器200に必要とされる様々な機能を実現する。CPU210の主要な動作については後述する。
【0018】
速度信号IF231は、車両側から出力される所定の車速信号をCPU210の入力処理に適した信号に変換する。CPU210は、車速信号のパルス数や信号の周期を監視することにより、車両20の走行速度や走行距離を把握できる。
【0019】
エンジン信号IF232は、車両側から出力される所定のエンジン回転信号をCPU210の入力処理に適した信号に変換する。CPU210は、エンジン回転信号のパルス数や信号の周期を監視することにより、エンジンの回転数(rpm)を把握できる。
【0020】
GPSIF233は、図示しないGPS受信機からの信号をCPU210に入力するために利用される。GPS受信機は複数のGPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して、受信地点である車両20の現在位置を算出できる。CPU210は、現在位置の情報を、GPSIF233を経由してGPS受信機から取得できる。
【0021】
外部入力IF234は、所定の外部信号をCPU210の入力処理に適した信号に変換する。所定の外部信号は、例えば、ギア段の位置を示す信号などが入力される。また、車両20に加わった加速度の大きさを表す信号を外部信号として外部入力IF234に入力することができる。
【0022】
センサ信号IF235は、角速度センサ、重量センサ、温度センサ、物体検知等の車両20に設けられたセンサにおいて取得された情報をCPU210に入力するために利用される。例えば、センサ信号IF235は、車両20に近接する他の車両20の情報を物体検知センサ等によって取得し、CPU210に与えることができる。
【0023】
広域通信モジュール241は、例えば移動体通信事業者などが提供する無線基地局(図示なし)などとの間で無線通信回線を確保し、広域の無線通信を可能にするための機能を有している。広域通信モジュール241は、アンテナ22、第1基地局30又は第2基地局40、及びネットワーク50を介してサーバ10と通信することができる。
【0024】
不揮発性メモリ242は、CPU210のアクセスにより、データの読み出し及び保持しているデータの書き換えが可能なフラッシュメモリのような電子デバイスである。不揮発性メモリ242は、車載器200が使用する様々なパラメータ、定数データ、プログラムなどのデータを保持するために利用される。
【0025】
揮発性メモリ243は、CPU210のアクセスにより、データの読み出し及び書き込みが自在な半導体メモリデバイスである。揮発性メモリ243は、CPU210が扱う様々なデータを一時的に保持するために利用される。
【0026】
SDカード244は、図示しない所定のカードインタフェースを利用して、着脱自在な状態で車載器200に接続される。SDカード244は、例えば車両20の運行データのように、車載器200が記録すべき様々なデータを保存するために利用される。
【0027】
SW入力部245は、車両20を操作する運転者などのユーザの入力操作を受け付けるための、複数のボタンの操作状態を表す信号を生成するスイッチを備えている。例えば、SW入力部245で取得するスイッチ信号は、イグニッションSW(図示せず)のON/OFF信号、ブレーキSW(図示せず)のON/OFF信号、ウインカSW(図示せず)のON/OFF信号などが含まれる。各ボタン(SW)の操作状態の信号は、SW入力部245からCPU210に入力される。
【0028】
LCD246は、車載器200の筐体前面の運転者から見やすい位置に配置されており、CPU210の制御により、車載器200の動作状態を表示したり、ユーザの入力操作の際に必要な情報を表示したりするために利用される。
【0029】
(サーバ10の構成)
図3は、サーバ10に設けられた車両通信制御装置100の構成を示すブロック図である。車両通信制御装置100は、図3に示すように、制御部110と、記憶部120と、入出力IF130(Interface)と、通信IF140と、を備える一般的なコンピュータによって構成される。制御部110及び記憶部120の詳細については後述する。
【0030】
入出力IF130は、例えば、ユーザがサーバ10との間においてデータをやり取りするための構成要素(インタフェース)である。入出力IF130は、例えば、入力IFと、出力IFとを備える(図示なし)。
【0031】
入出力IF130における入力IFは、ユーザによるさまざまな情報を入力するためのインタフェース機能を有し、サーバ10の外部より情報が入力される。入力IFには、サーバ10と接続された、例えば、必要に応じてキーボード、マウス、タッチパネル、トラックボール、及び、音声認識デバイス等を通じてユーザによって情報が入力される。また、入力IFは、外部記憶装置(図示なし)等からデータを入力するためのデータ入力端子として、情報を入力することができる。
【0032】
入出力IF130における出力IFは、サーバ10に接続された表示装置(図示なし)に、後述の車両情報や通信状況を表示させることができる。表示装置は、例えば、ディスプレイ装置、プロジェクター装置などである。
【0033】
通信IF140は、ネットワーク50を介して、サーバ10と、車両20の車載器200と、の相互の通信を可能にするためのインタフェースである。
【0034】
(車載器200の機能的構成)
図4A及び図4Bは、車載器200のCPU210及びサーバ10の車両通信制御装置100の機能的構成を示すブロック図である。図4Aに示すように、車載器200のCPU210は、車両データ取得部211と、優先度設定部212と、車両データ送信部213と、応答データ処理部214と、を機能として備える。
【0035】
車両データ取得部211は、車両20で使用される車両データを取得する。本実施形態において車両データは、リアルタイム性が求められるデータであって、例えば、自動運転に必要なデータが含まれる。また、車両データには、リアルタイム性が求められないマップなどの大容量データが含まれる。
【0036】
優先度設定部212は、車両データの種類に応じて優先度を設定する。本実施形態において車両データの種類は、例えば、リアルタイム性を必要とするか否かにより、区別される。また、本実施形態においては、自動運転等で必要なリアルタイムな情報、例えば、直近の人や車の位置、速度等のデータに対しては、優先度は高いと設定される。一方で、マップ情報等のリアルタイム性を必要としないデータに対しては、優先度は低いと設定される。
【0037】
車両データ送信部213は、優先度が設定された車両データを第1基地局30又は第2基地局40を介して、サーバ10の車両通信制御装置100(図4B参照)に送信する。
【0038】
応答データ処理部214は、第1基地局30又は第2基地局40を介して、車両通信制御装置100から送信された応答データを受信する。また、応答データ処理部214は、応答データに基地局変更情報が含まれる場合には、基地局変更情報に基づいて、路車間通信を行う基地局を変更する。
【0039】
(車両通信制御装置100の機能的構成)
図4Bに示すように、車両通信制御装置100は、車両データ受信部111と、通信状況取得部112と、優先度判定部113と、応答データ送信部114と、を機能として備える。これら制御部110における各機能については後述する。
【0040】
また、制御部110は、例えば、オペレーティングシステムを動作させて、車両通信制御装置100の全体を制御する。さらに、制御部110は、記憶部120に格納されたプログラムに基づいて動作し、上述の各機能を実行する。なお、プログラムは、記憶部120に格納される形態に限定されず、例えば、サーバ10内の、ROM(Read Only Memory)等(図示なし)に記憶された構成としてもよい。
【0041】
記憶部120は、図4Bに示すように、車両データDB121(DB:Database)と、通信状況DB122と、に含まれる情報をデータとして格納する。なお、これらの各データを格納する記憶部120は、1つであっても複数であってもよい。例えば、1つの記憶部120に対し、領域を分けて記憶する構成としてもよい。あるいは、物理的に離れた場所に設置された複数の記憶装置に、データが分散して格納されていてもよい。
【0042】
車両データ受信部111は、第1基地局30又は第2基地局40を介して、車両20から送信された車両データを受信する。また、車両データ受信部111は、取得した車両データを車両データDB121に格納する。
【0043】
図5Aは、第1の実施形態に係る車両データの一部を示す図である。なお、図5Aに示す例においては、車両20で取得した車両データ自体の表記は省略している。図5Aに示すように、車両データの一部には、「車両識別情報」、「優先度」、「基地局周波数」の項目に関する情報を含んで構成される。また、車両データは、図5Aに示す項目以外の情報を含んでもよい。この図5Aに示す情報は、例えば車両データのヘッダ等に格納された情報であってもよい。
【0044】
「車両識別情報」は、車両20を識別するための情報である。「優先度」は、車両20の優先度設定部212によって設定された車両データの優先度を示す情報である。「基地局情報」は、車両20が通信を行った第1基地局30又は第2基地局40に関する情報であって、それぞれの基地局に適用される周波数に関する情報に相当する。例えば、本実施形態においては、第1基地局30に適用される周波数は、周波数帯f1であり、また、第2基地局40に適用される周波数は周波数帯f2である。
【0045】
通信状況取得部112は、第1基地局30及び第2基地局40における通信状態の良否を示す通信状況を取得する。また、通信状況取得部112は、取得した通信状況を通信状況DB122に格納する。
【0046】
図5Bは、本実施形態における通信状況DB122に格納された情報の一例を示す図である。なお、図5Bにおいては、通信状況は、符号「122」で示す項目に相当する。
【0047】
優先度判定部113は、通信状況と、車両データに含まれる優先度とに基づいて、車両20に対して基地局の変更が必要か否かを判定する。
【0048】
例えば図5Bに示す例においては、優先度判定部113は、通信状況DB122に示す通信状況と、優先度と、に基づいて、「判定結果」の項目で示される判定を実施する。この「判定結果」に示される内容は、例えば、通信状況と、車両データの優先度とに基づいて、車両20の車両データに適切な基地局を判定するものである。また、図5Bに示す例においては、表の下段2行に示すように、第1基地局30及び第2基地局40の通信状況が共に否である(良好でない)場合には、広範囲な通信カバレッジを有する第1基地局30で再要求することが示されている。
【0049】
本実施形態に係る車両通信システム1においては、車両データがリアルタイム性を必要とし、優先度が高い場合には、低い周波数帯f1の第1基地局30で通信されるのが好ましい。一方で、車両データがリアルタイム性を必要としない優先度が低い場合には、高い周波数帯f2の第2基地局40で通信されるのが好ましい。第2基地局40の設置場所については制限されるものではないが、例えば、信号待ちの時間を利用した通信もできることから、交差点付近の電柱や信号機などに設置される。
【0050】
例えば、高い周波数は、遮蔽されやすく、また空間伝搬減衰が大きいため、通信できないエリアが発生したり、通信自体が切れやすくなったりする。そのため、リアルタイム性を必要とする優先度が高いデータの送受信は、通信環境が安定した低い周波数帯で行われるのが好ましい。また、高い周波数は、高速通信に適するため、リアルタイム性を要しない比較的広域なマップ等の大容量データを送受信するタイミングで、短期間で通信を行う事が好ましい。
【0051】
よって、本実施形態においては、車両データがリアルタイム性を必要とする優先度が高い場合には、低い周波数帯f1の第1基地局30で通信が行われる。同様に、車両データがリアルタイム性を必要としない優先度が低い場合には、高い周波数帯f2の第2基地局40で通信が行われる。
【0052】
例えば、車両データが図5Aに示す情報の場合であって、第1基地局30の通信状況が「良」であり、第2基地局40の通信状況が「否」である場合には、車両20に対して基地局は第1基地局30のままで変更する必要がないと判定される。
【0053】
一方で、車両データが図5Aに示す情報の場合であって、第1基地局30の通信状況が「否」であり、第2基地局40の通信状況が「良」である場合には、車両20に対して基地局は第2基地局40に変更する必要があると判定される。
【0054】
応答データ送信部114は、車両データに対する応答データを、第1基地局30又は第2基地局40を介して、車両20に送信する。また、応答データ送信部114は、優先度判定部113で基地局の変更が必要であると判定された場合に、基地局変更情報を含む応答データを、第1基地局30又は第2基地局40を介して、車両20に送信する。すなわち、優先度判定部113において基地局の変更の必要があると判定した場合には、応答データには、優先度判定結果として、基地局変更情報が含まれる。
【0055】
また、優先度判定部113において基地局の変更の必要がないと判定した場合には、応答データには、優先度判定結果として、基地局変更情報が含まれない構成としてもよい。あるいは、優先度判定部113において基地局の変更の必要がないと判定した場合には、応答データには、優先度判定結果として、基地局の変更が必要ない旨の情報が含まれる構成としてもよい。また、優先度判定部113において第1基地局30で再要求が必要と判定された場合には、再要求を実施される旨の情報が含まれてもよい。
【0056】
(車両通信システム1の処理フローの概略)
次に、図6に示すシーケンス図を用いて車両通信システム1における処理の流れを示す。図6のシーケンス図に示す車両通信システム1の一連の動作は、車両通信制御装置100が起動されると開始され、作業終了により処理を終了する。また、図6に示すシーケンス図の各処理は、電源オフや処理終了の割り込みによっても処理は終了する。また、以下のシーケンス図の説明において、上述の車両通信システム1の説明で記載した内容と同じ内容については、省略又は簡略化して説明する。
【0057】
ステップS601において、車載器200の車両データ取得部211は、車両20で使用される車両データを取得する。本実施形態において車両データは、リアルタイム性が求められるデータであって、例えば、自動運転に必要なデータが含まれる。また、車両データには、リアルタイム性が求められないマップなどの大容量データが含まれる。
【0058】
ステップS602において、車載器200の優先度設定部212は、車両データの種類に応じて優先度を設定する。本実施形態において車両データの種類は、例えば、リアルタイム性を必要とするか否かにより、区別される。また、本実施形態においては、自動運転に必要な情報等のリアルタイム性を必要とするデータに対しては、優先度は高く設定される。一方で、マップ情報等のリアルタイム性を必要としないデータに対しては、優先度は低く設定される。
【0059】
ステップS603において、車載器200の車両データ送信部213は、優先度が設定された車両データを第1基地局30又は第2基地局40を介して、サーバ10の車両通信制御装置100に送信する。また、第1基地局30又は第2基地局40は、車両20の車載器200から送信された車両データを受信する。
【0060】
ステップS604において、第1基地局30又は第2基地局40は、受信した車両データをサーバ10(データセンタ)に送信する。また、車両通信制御装置100の車両データ受信部111は、第1基地局30又は第2基地局40を介して、車両20から送信された車両データを受信する。さらに、車両データ受信部111は、取得した車両データを車両データDB121に格納する。
【0061】
ステップS605において、車両通信制御装置100の通信状況取得部112は、第1基地局30及び第2基地局40における通信状態の良否を示す通信状況を取得する。また、通信状況取得部112は、取得した通信状況を通信状況DB122に格納する。
【0062】
ステップS606において、車両通信制御装置100の優先度判定部113は、通信状況と、車両データに含まれる優先度とに基づいて、車両20に対して基地局の変更が必要か否かを判定する。その後、サーバ10の車両通信制御装置100は、基地局の変更の必要がないと判定した場合には、処理はステップS607に進む。一方で、車両通信制御装置100は、基地局の変更が必要であると判定した場合には、処理はステップS609に進む。
【0063】
ステップS607において、車両通信制御装置100の応答データ送信部114は、車両データに対する応答データを、第1基地局30又は第2基地局40を介して、車両20に送信する。なお、ステップS607においては、基地局の変更の必要がないと判定されたため、応答データには基地局変更情報は含まれない。
【0064】
ステップS608において、第1基地局30又は第2基地局40は、車両20に対して、応答データを送信する。なお、ステップS607においては、基地局の変更の必要がないと判定されたため、応答データには基地局変更情報は含まれない。
【0065】
ステップS609において、車両通信制御装置100の応答データ送信部114は、基地局変更情報を含む応答データを、第1基地局30又は第2基地局40を介して、車両20に送信する。すなわち、ステップS609においては、基地局の変更の必要があると判定されたため、応答データには基地局変更情報は含まれる。
【0066】
ステップS610において、第1基地局30又は第2基地局40は、車両20に対して、応答データを送信する。なお、ステップS610においては、基地局の変更の必要があると判定されたため、応答データには基地局変更情報は含まれる。
【0067】
ステップS611において、車両20の応答データ処理部214は、基地局から送信された応答データを受信する。また、車載器200のCPU210は、基地局変更情報を取得した場合には、対応する基地局を変更する。また、再送が必要な場合には、変更後の基地局に対して、送信データを送信する。なお、基地局変更情報を取得していない場合には、車両20は、対応する基地局を変更しないで通信を継続する。
【0068】
上述の通り、第1の実施形態に係る車両通信システム1は、車両20に搭載された車載器200と、第1基地局30又は第2基地局40を介して、車載器200と通信可能な車両通信制御装置100と、を備える。第1基地局30は、第2基地局40と比較して、通信領域が広く、低い周波数の電波の送受信を可能とする。また、第2基地局40は、第1基地局30と比較して、通信領域が狭く、高い周波数の電波の送受信を可能とする。車載器200は、車両20で使用される車両データを取得する車両データ取得部211を有する。車載器200は、車両データの種類に応じて優先度を設定する優先度設定部212を有する。また、車載器200は、優先度が設定された車両データを第1基地局30又は第2基地局40を介して、車両通信制御装置100に送信する車両データ送信部213を有する。車載器200は、第1基地局30又は第2基地局40を介して、車両通信制御装置100から送信された応答データを受信する応答データ処理部214を有する。応答データ処理部214は、応答データに基地局変更情報が含まれる場合には、基地局変更情報に基づいて、対応する基地局を変更する。車両通信制御装置100は、第1基地局30又は第2基地局40を介して、車両20から送信された車両データを受信する車両データ受信部111を有する。車両通信制御装置100は、第1基地局30及び第2基地局40における通信状態の良否を示す通信状況を取得する通信状況取得部112を有する。また、車両通信制御装置100は、通信状況と、車両データに含まれる優先度とに基づいて、車両20に対して基地局の変更が必要か否かを判定する優先度判定部113を有する。また、車両通信制御装置100は、車両データに対する応答データを、第1基地局30又は第2基地局40を介して、車両20に送信する応答データ送信部114を有する。応答データ送信部114は、優先度判定部113で基地局の変更が必要であると判定された場合に、基地局変更情報を含む応答データを車両20に送信する。
【0069】
これにより、第1の実施形態に係る車両通信システム1は、基地局の通信状況と、車両20で使用される車両データの種類と、に応じて適切な車両通信を実現することが可能となる。例えば、リアルタイム性が必要とされるデータにおいては、通信領域が広く、低い周波数の電波の送受信を行うことで、確実に通信を行うことが可能となる。また、リアルタイム性が必要とされないデータであって、大容量のデータについては、高い周波数の電波の送受信を行うことで効率よく通信を行うことが可能となる。
【0070】
(第2の実施形態)
以上の通り、具体的な実施形態を一つ説明したが、上述した実施形態は例示であって実施形態を限定するものではない。例えば、上述の実施形態では、サーバ10に設けられた車両通信制御装置100で取得した通信状況及びデータの優先度に基づいて、適用される基地局を判定する形態を例示した。ここではさらに、車両通信制御装置100において、所定の領域における車両20の台数に基づいて、適切な基地局の判定を行う第2の実施形態に係る車両通信システム1について、第1の実施形態と異なる構成について説明する。
【0071】
図7A及び図7Bは第2の実施形態に係る車両通信システム1について説明するための図である。図7Aは、第2基地局40の周波数帯f2のカバレッジf40に車両20A1及び車両20A2の2台の車両20が含まれる場合であって、カバレッジf40に含まれる車両20の台数が少ない場合の例を示している。
【0072】
以降、車両20を区別するため、車両20A1、車両20B1、車両20C1、車両20D1、車両20E1、車両20A2、車両20B2、車両20C2、車両20D2、及び車両20E2の符号を付して説明する。例えば、車両20A1、車両20B1等は、図面において向かって左から右に走行する車両20に相当する。また、車両20A2、車両20B2等は、図面において向かって右から左に走行する車両20に相当する。なお、車両20を区別して表記する必要が無い場合には、「車両20」と表記する。
【0073】
図7Bは、第2基地局40の周波数帯f2のカバレッジf40に車両20A1、車両20B1、車両20C1、車両20A2、及び車両20B2が含まれる。すなわち、図7Bは、第2基地局40の周波数帯f2のカバレッジf40に含まれる車両20の台数が図7Aに示す例に比べて多い場合の例を示す。
【0074】
例えば、第2基地局40の通信領域に属する車両20の台数が多い場合、第2基地局40の通信領域に属する全ての車両20が第2基地局40と通信を行うと、第2基地局40の通信量が増大し、通信遅延等が発生する場合がある。
【0075】
そのため、図7Bに示すように、第2の実施形態に示す車両通信システム1においては、第2基地局40の通信領域であるカバレッジf40に属する車両20の内、代表となる車両20と、第2基地局40とが、通信を行う。また、代表でない車両20は、第2基地局40ではなく、代表となる車両20を介して、通信を行う。なお、図7Bに示す例においては、代表となる車両20は、車両20A1及び車両20A2で示されている。なお、本実施形態において、代表となる車両20は、代表車に相当する。
【0076】
このように、第2基地局40は、通信領域に属する車両20の台数が多い場合、代表となる車両20と路車間通信を行い、代表でない車両20は、代表となる車両20と車両間通信を行うことで、第2基地局40における通信負荷を軽減することが可能となる。これにより、第2の実施形態に係る車両通信システム1においては、通信の遅延を抑制し、効率のよい通信システムを実現することが可能となる。
【0077】
(車両通信制御装置100の機能的構成)
図8は第2の実施形態に係る車両通信制御装置100の機能的構成を示すブロック図である。図8に示すように、第2の実施形態に係る車両通信制御装置100は、車両状況取得部115、通信方法判定部116、及び車両状況DB123を備える点で第1の実施形態に係る車両通信制御装置100と異なる。
【0078】
車両状況取得部115は、第2基地局40から第2基地局40の通信領域(カバレッジ)における車両20の台数を示す車両状況を取得する。また、車両状況取得部115は、取得した車両状況を車両状況DB123に格納する。
【0079】
通信方法判定部116は、車両状況に基づいて、車両20が第2基地局40との通信を行う、又は、車両20が他の車両20と通信を行うかを定める通信方法を判定する。通信方法判定部116は、例えば、車両状況に基づいて、第2基地局40の通信領域における車両20の台数が少ない場合には、車両20が第2基地局40との通信を継続して行う旨判定する。一方で、通信方法判定部116は、車両状況に基づいて、第2基地局40の通信領域における車両20の台数が多いと判定された場合には、車両20が通信方法を車両間通信に切り替える旨判定する。なお、本実施形態において、通信方法を判定する車両20の台数は、対応する基地局の通信可能容量に基づくものとする。例えば、通信可能容量が少ない基地局の場合は、通信方法が判定される基準となる車両20の台数は、数台程度であってもよい。また、通信可能容量が多い基地局の場合は、通信方法が判定される基準となる車両20の台数は、数十台以上であってもよい。なお、本実施形態において、通信方法が判定される基準となる車両20の台数は、実施形態の構成を限定するものではない。
【0080】
また、第2の実施形態における車両通信制御装置100の応答データ送信部114は通信方法判定部116で通信方法の変更が必要であると判定された場合に、通信方法変更情報を含む応答データを、第2基地局40を介して、車両20に送信する。
【0081】
さらに、第2の実施形態における車載器200の応答データ処理部214は、応答データに通信方法変更情報が含まれる場合には、通信方法変更情報に基づいて、対応する通信方法を変更する。すなわち、応答データ処理部214は、通信方法変更情報に基づいて、路車間通信から車両間通信に変更、又は車両間通信から路車間通信に通信方法を変更する。
【0082】
(車両通信システム1の処理フローの概要)
図9は、第2の実施形態に係る車両通信システム1における処理を示すシーケンス図である。ステップS901~ステップS904における処理は、図6における第1の実施形態に係る車両通信システム1のシーケンス図のステップS601~ステップS604と同様の処理であるため、ここでは説明を省略する。
【0083】
ステップS905において、車両状況取得部115は、第2基地局40から第2基地局40の通信領域(カバレッジ)に属する車両20の台数に関する情報である車両状況を取得する。また、車両状況取得部115は、取得した車両状況を車両状況DB123に格納する。
【0084】
ステップS906において、通信方法判定部116は、車両状況に基づいて、車両20が第2基地局40との通信を行う、又は、車両20が他の車両20と通信を行うかを定める通信方法を判定する。その後、サーバ10の車両通信制御装置100は、通信方法判定部116において通信方法の変更が必要ないと判定された場合には、処理はステップS907に進む。一方で、通信方法判定部116で通信方法の変更が必要であると判定された場合には、処理はステップS909に進む。
【0085】
ステップS907~ステップS908における処理は、図6における第1の実施形態に係る車両通信システム1のシーケンス図のステップS607~ステップS608と同様の処理であるため、説明を省略する。
【0086】
ステップS909において、車両通信制御装置100の応答データ送信部114は、通信方法判定部116で判定された通信方法に関する情報である通信方法変更情報を含む応答データを、第2基地局40を介して、車両20に送信する。なお、ステップS609においては、通信方法の変更の必要があると判定されたため、応答データには通信方法変更情報が含まれる。
【0087】
ステップS910において、第2基地局40は、車両20に対して、応答データを送信する。なお、ステップS610においては、通信方法の変更の必要があると判定されたため、応答データには通信方法変更情報が含まれる。
【0088】
ステップS911において、車両20の応答データ処理部214は、第2基地局40から送信された応答データを受信する。また、車載器200の応答データ処理部214は、通信方法変更情報を取得した場合には、通信方法を車両間通信に変更する。なお、通信方法変更情報を取得していない場合には、車両20は、対応する基地局を変更せずに通信を継続する。
【0089】
図10A及び図10Bは、第2の実施形態における車両通信システム1の構成の一例を示す図である。図10Aは、代表車として、車両20A1、車両20D1、車両20A2、及び車両20D2が設定され、それぞれの代表車が第2基地局40との通信を行う。また、代表車である車両20A1、車両20D1、車両20A2、及び車両20D2は、それぞれ、車両20B1、車両20C1、車両20B2及び車両20C2と、車両間通信(V2V通信)を行う。また、図10Bにおいては、代表車が、車両20A1、車両20C1、車両20A2、及び車両20C2であり、それぞれ、車両20B1、車両20D1、車両20B2及び車両20D2と、車両間通信を行う場合の例を示す。このように、車両20の台数に応じて、代表車を設定することで、第2基地局40と、車両20との通信の負荷を軽減させ、通信遅延等を抑制することが可能となる。
【0090】
図11A及び図11Bは、図10Aにおいて代表車が車両20A1、車両20D1、車両20A2、及び車両20D2に設定された場合の周波数帯の割り当てについて示す図である。なお、第2基地局40と、代表車である車両20A1及び車両20A2との通信は、図11A及び図11Bに示す周波数帯Aが適用されるものとする。同様に、第2基地局40と、代表車である車両20D1及び車両20D2との通信は、図11A及び図11Bに示す周波数帯Dが適用されるものとする。
【0091】
図11Aに示すように、第2の実施形態に係る車両通信システム1は、第2基地局40の近傍にある代表車である車両20A1及び車両20A2の周波数帯Aを周波数帯Dより周波数帯域を狭くしてもよい。あるいは、第2の実施形態に係る車両通信システム1は、図11Bに示すように、第2基地局40の近傍にある代表車である車両20A1及び車両20A2の周波数帯Aを周波数帯Dより周波数帯域を広くしてもよい。このように、状況に応じて、第2基地局40との通信における周波数帯を調整することで、より適切な車両通信を実現することが可能となる。
【0092】
また、第2の実施形態に係る車両通信システム1において、車両データに車載器200のGPSIF233で取得した位置情報を含めてもよい。この場合、通信方法判定部116は、車両状況及び車両データに基づいて、車両20が第2基地局40との通信を行う、又は、車両20が他の車両20と通信を行うかを定める。例えば、通信方法判定部116は、位置情報に基づいて、第2基地局40の近傍に存在する車両20を優先的に第2基地局40と通信させてもよい。例えば、車両20と、第2基地局40との通信においては、第2基地局40の近傍に位置する車両20との通信が、遮蔽等の影響を受けにくく、確実に通信を行うことができる。これにより、第2の実施形態に係る車両通信システム1は、車両20の台数を含む車両状況、及び位置情報に基づいて、より適切な通信方法の設定を行う事が可能となる。
【0093】
例えば、図11A及び図11Bに示す例においては、第2基地局40は、帯域を調整することで、優先度が比較的高いが周波数帯f1の第1基地局30を経由して送れなかったデータを優先的に送ることが可能となる。
【0094】
また、図11Aに示すように、通信エラーが生じる可能性の高い車両20である第2基地局40から遠い代表車の車両20D1及び車両20D2に多くのリソースを配分してもよい。同様に、エラーが少ない第2基地局40の近傍の代表車である車両20A1及び車両20A2にはリソースをDよりも減らすことで、全体的に遅延を低減させることが可能となる。また、第2の実施形態に係る車両通信システム1においては、代表車を設定することで、第2基地局40のカバレッジf40から早く抜け出る可能性が高い車両20に対して、より早くデータを届けることも可能となり、通信の信頼性を高めることができる。
【0095】
図12Aは、代表車が第2基地局40と、種類が異なるデータに対し通信を行い、その種類が異なるデータをカバレッジf40内の車両20で共有させる場合の例を示す。また、図12Bは、図12Aにおける、種類が異なるデータの周波数帯の例を示す。
【0096】
図12Aにおいては、周波数帯Aのデータが代表車である車両20A1及び車両20A2と、第2基地局40との間でやり取りされる。また、周波数帯Aのデータは、代表車である車両20A1及び車両20A2を介して、カバレッジf40の他の車両20に車両間通信で共有される。
【0097】
また、図12Aにおいては、周波数帯Dのデータが代表車である車両20D1及び車両20D2と、第2基地局40との間でやり取りされる。また、周波数帯Dのデータは、代表車である車両20D1及び車両20D2を介して、カバレッジf40の他の車両20に車両間通信で共有される。
【0098】
すなわち、通信方法判定部116は、車両状況に基づいて、複数の車両20を第2基地局40との通信を行う代表車として定めてもよい。このように、第2の実施形態に係る車両通信システム1において、第2基地局40は、複数の代表車に対して、種類が異なるデータをやり取りすることで、車両20との通信負荷を抑えつつ、カバレッジf40内で複数のデータを共有することが可能となる。
【0099】
図13は第2基地局40が、カバレッジf40内の全ての車両20と通信を行う場合の比較例を示す図である。すなわち図13に示す例においては、車両間通信は行われない場合の例を示す。また、図14は、車両間通信(V2V)を適用しない場合と、第2の実施形態における車両通信システム1で車両間通信を適用した場合の伝送速度の差を示す図である。このように、第2の実施形態における車両通信システム1で車両間通信を適用することにより、カバレッジf40の範囲から早く抜ける可能性が高い、例えば20A1から20D1においては20A1に情報を届けることができる。また、これにより、車両通信システム1は、第2基地局40と、車両20との通信の負荷が軽減され、第2基地局40が全ての車両20と通信を行う場合に比べ、伝送速度が向上する。
【0100】
上述の通り、第2の実施形態に係る車両通信システム1の車両通信制御装置100は、第2基地局40の通信領域における車両20の台数を示す車両状況を取得する車両状況取得部115を有する。また、車両通信制御装置100は、車両状況に基づいて、車両20が第2基地局40との通信を行う、又は、車両20が他の車両20と通信を行うかを定める通信方法を判定する通信方法判定部116をさらに有する。車両通信制御装置100の応答データ送信部114は、通信方法判定部116で通信方法の変更が必要であると判定された場合に、通信方法変更情報を含む応答データを車両20に送信する。また、車載器200の応答データ処理部214は、応答データに通信方法変更情報が含まれる場合には、通信方法変更情報に基づいて、対応する通信方法を変更する。これにより、第2基地局40の通信領域に属する車両20の台数が多い場合、第2基地局40は、代表となる車両20と通信を行い、代表でない車両20は、代表となる車両20と通信を行うことで、第2基地局40における通信負荷を軽減することが可能となる。よって、第2の実施形態に係る車両通信システム1においては、通信の遅延を抑制し、効率のよい通信システムを実現することが可能となる。
【0101】
また、第2の実施形態に係る車両通信システム1の車両データは、車両20の位置情報をさらに含んでもよい。また、通信方法判定部116は、車両状況及び車両データに基づいて、車両20が第2基地局40との通信を行う、又は、車両20が他の車両20と通信を行うかを定める通信方法を判定してもよい。これにより、例えば、通信方法判定部116は、位置情報に基づいて、第2基地局40の近傍に存在する車両20を優先的に第2基地局40と通信させてもよい。例えば、車両20と、第2基地局40との通信においては、第2基地局40の近傍に位置する車両20との通信が、遮蔽等の影響を受けにくく、確実に通信を行うことができる。よって、第2の実施形態に係る車両通信システム1は、車両20の台数を含む車両状況、及び位置情報に基づいて、より適切な通信方法の設定を行う事が可能となる。
【0102】
また、第2の実施形態に係る通信方法判定部116は、車両状況に基づいて、複数の車両20を第2基地局40との通信を行う代表車として定めてもよい。このように、第2の実施形態に係る車両通信システム1において、第2基地局40は、複数の代表車に対して、種類が異なるデータをやり取りすることで、車両20との通信負荷を抑えつつ、カバレッジf40内で複数のデータを共有することが可能となる。
【0103】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、第1及び/又は第2の実施形態と同じ符号を用いる場合、第1及び/又は第2の実施形態と同一の構成を示し、特に説明がない限り先行する説明を参照する。ここでは、特定の通信のカバレッジ内において、車両間通信の未対応車を検出し、代表車との通信を適切に調整する第3の実施形態に係る車両通信システム1について、第1及び/又は第2の実施形態と異なる構成について説明する。
【0104】
図15は、第3の実施形態における車両通信システム1の動作の一例を示す。図15に示す例においては、車両20B1及び車両20C2が車両間通信の未対応車である場合の例を示す。
【0105】
図16は、第3の実施形態に係る車載器200に設けられたCPU210の機能的構成を示すブロック図である。図16に示すように、第3の実施形態に係る車載器200に設けられたCPU210は、確認データ送信部215と、非対応車確認部216と、非対応車通知部217とを機能としてさらに備える。
【0106】
確認データ送信部215は、車両20の近傍に存在する近傍車両に対して、近傍車両が車両間通信に対応しているか否かを確認するための確認データを送信する。確認データ送信部215による確認データは、例えば、車両20に搭載された車載カメラによる画像やセンサ等で、車両20の近傍に他の車両20が存在することが確認された場合に、車両20から他の車両20に送信される。あるいは交通インフラに設けたカメラやセンサの情報に基づいて他の車両20の存在を確認して、確認データの送信を行っても良い。本実施形態において、確認データ送信部215によって送信される確認データは、車載器200に設けられた近距離用通信モジュール(図示なし)によって送信されてもよい。あるいは、車両間通信(V2V)用の専用モジュール(図示なし)を車載器200に搭載する構成を用いてもよい。
【0107】
非対応車確認部216は、近傍車両からの応答の有無に基づいて、近傍車両が車両間通信に対応しているか否かを確認する。具体的には非対応車確認部216は、確認データを送信した他の車両20からの所定の応答データがあるか否かを判定し、非対応車の有無を確認する。すなわち、非対応車確認部216は、他の車両20から応答データの送信があった場合には、当該他の車両20は、車両間通信の対応車である(非対応車でない)と判定する。一方で、非対応車確認部216は、他の車両20から応答データの送信が場合には、当該他の車両20は、車両間通信の非対応車であると判定する。なお、他の車両20からの応答データの送信が無い場合において、確認データ送信部215は、所定の期間において複数回、確認データを送信してもよい。また、非対応車確認部216における応答データの受信は、車載器200に設けられた近距離用通信モジュール(図示なし)を介して受信されるものであってもよい。あるいは、車両間通信(V2V)用の専用モジュール(図示なし)を車載器200に搭載し、当該専用モジュールを介して受信する構成を用いてもよい。
【0108】
非対応車通知部217は、車両20が属するカバレッジの第2基地局40に対して、非対応車がある旨通知する。具体的には、非対応車通知部217は、非対応車確認部216で、近傍車両が車両間通信に対して非対応であると判定された場合に、第2基地局40に近傍車両が車両間通信に対して非対応である非対応車両であることを通知する。非対応車通知部217は、第2基地局40への通知において、車載器200のGPSIF233で取得した車両20及び/又は他の車両20の位置情報を送付してもよい。これにより、第2基地局40は、非対応車の存在を認識し、非対応車に近接する別の車両20に対しても通信を実施する。
【0109】
例えば、図15に示す例においては、車両20A1が、車両20B1を非対応車であると確認し、第2基地局40に対して、その旨を通知する。また、第2基地局40は、車両20C1との通信を実施する。これにより、第2基地局40のカバレッジf40内に、車両間通信が未対応である未対応車が存在する場合であっても、車両間通信に対応した車両20において、適切な車両間通信を実現することが可能となる。
【0110】
図17は、第3の実施形態における車両通信システム1の処理の一例を示すシーケンス図である。図17においては、例として、図15における車両20A1の車載器を車載器200Aとし、車両20B1の車載器を車載器200Bとして区別して記載する。
【0111】
ステップS1701において、車載器200Aのセンサ信号IF235は、車両情報を取得する。ステップS1701において、車両情報は、例えば、近傍に他の車両20がある旨の情報に相当する。ここで、センサ信号IF235に対するセンサは、物体検知センサであってもよい。また、センサ信号IF235に対するセンサは、車載カメラであってもよい。
【0112】
ステップS1702において、車載器200Aの確認データ送信部215は、他の車両20の車載器200Bに対して、確認データを送信する。
【0113】
他の車両20から応答がある場合、ステップS1703において、他の車両20の車載器200Bから応答データが送信される。また、ステップS1704において、車載器200Aの非対応車確認部216は、応答データを取得し、他の車両20が車両間通信の対応車であることを確認し、確認処理は終了する。その後、車両20と他の車両20との間で車両間通信が行われる。
【0114】
一方で、他の車両20から応答がない場合、ステップS1705において、確認データ送信部215は、他の車両20に対して、確認データを再度送信する。また、ステップS1706において、非対応車確認部216は、他の車両20からの応答データが送信されない旨をする。なお、ステップS1705及びステップS1706における処理は、所定の期間、繰り返し実施される(ループL17A)。
【0115】
その後、ステップS1707において、車載器200Aの非対応車通知部217は、第2基地局40に対して、非対応車が存在する旨の通知を行う。ステップS1708において、第2基地局40は、非対応車の位置確認を実施し、非対応車の近傍の車両20に対しても通信を実施する。
【0116】
図17に示す例においては、車載器200Aで非対応車の確認を行う例を示したが、実施形態の構成はこれに限定されない。例えば、非対応車の確認(判定)を基地局で実施する構成としてもよい。
【0117】
図18に示す例においては、ステップS1801及びステップS1803で各車両20の車載器200A及び車載器200Bで車両情報を取得する。また、ステップS1802及びステップS1804において、車載器200A及び車載器200Bから第2基地局40に対して非対応車通知が実施される。
【0118】
ステップS1805において、第2基地局40は、非対応車の存在の判定を行う。このステップS1805における非対応車の判定は、あらかじめ第2基地局40に収集された各車両20のデータに基づいてもよい。この第2基地局40に収集された各車両20のデータには、車両間通信の適否、車両間通信が適用される場合の通信種別等が含まれてもよい。
【0119】
第2基地局40において、非対応車が存在すると判定された場合には、ステップS1806及び/又はステップS1807において、第2基地局40は、代表車に対して、第2基地局40との通信を行う代表車である旨、接続情報を通知する。この接続情報を取得した、車両20は、代表車として、第2基地局40との通信を実施する。
【0120】
上述の通り、第3の実施形態に係る車両通信システム1の車載器200は、車両20の近傍に存在する近傍車両に対して、近傍車両が車両間通信に対応しているか否かを確認するための確認データを送信する確認データ送信部215を備える。また、車載器200は、近傍車両からの確認データに対する応答の有無に基づいて、近傍車両が車両間通信に対応しているか否かを確認する非対応車確認部216を備える。さらに、車載器200は、非対応車確認部216で、近傍車両が車両間通信に対して非対応であると判定された場合に、第2基地局40に近傍車両が車両間通信に対して非対応である非対応車両であることを通知する非対応車通知部217を備える。また、第3の実施形態に係る第2基地局40は、車両20から近傍車両が車両間通信に対して非対応である非対応車両であることを通知された場合に、近傍車両の近傍に位置する車両20及び他の車両20と、通信を行う。
【0121】
これにより、第3の実施形態に係る車両通信システム1は、第2基地局40のカバレッジf40内に、車両間通信が未対応である未対応車が存在する場合であっても、車両間通信に対応した車両20において、適切な車両間通信を実現することが可能となる。
【0122】
(他の実施形態)
実施形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明したが、以上の実施形態に記載した内容により本実施形態が限定されるものではない。また、上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0123】
上述の第2の実施形態において、車両通信システム1は、第2基地局40から第2基地局40の通信領域に存在する車両20の台数を取得する構成を示したが、実施形態はこの構成に限定されない。例えば、広域をカバーする第1基地局30において、第1基地局30の通信領域(カバレッジf30)に含まれる第2基地局40のカバレッジf40に存在する車両20の台数を取得してもよい。また、第1基地局30で取得したデータに基づいて、カバレッジf40におけるリソースの割り振り方法や車両間通信の方法を定める構成を用いてもよい。これにより車両通信システム1は、第2基地局40の通信領域に存在しない車両20も含め、広域をカバーする第1基地局30であらかじめ走行する車両20の台数等の状況を把握することが可能となるため、効率のよいシステムの運営が可能となる。
【0124】
また、上述した車両通信システム1における処理(車両通信方法)をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム(車両通信プログラム)、及びそのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、本実施形態の範囲に含まれる。ここで、コンピュータで読み取り可能な記録媒体の種類は任意である。また、上記コンピュータプログラムは、上記記録媒体に記録されたものに限られず、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送されるものであってもよい。
【0125】
以下に、車両通信システム1の特徴について記載する。
【0126】
第1の態様に係る車両通信システム1は、車両20に搭載された車載器200と、第1基地局30又は第2基地局40を介して、車載器200と通信可能な車両通信制御装置100と、を備える。第1基地局30は、第2基地局40と比較して、通信領域が広く、低い周波数の電波の送受信を可能とする。また、第2基地局40は、第1基地局30と比較して、通信領域が狭く、高い周波数の電波の送受信を可能とする。車載器200は、車両20で使用される車両データを取得する車両データ取得部211を有する。車載器200は、車両データの種類に応じて優先度を設定する優先度設定部212を有する。また、車載器200は、優先度が設定された車両データを第1基地局30又は第2基地局40を介して、車両通信制御装置100に送信する車両データ送信部213を有する。車載器200は、第1基地局30又は第2基地局40を介して、車両通信制御装置100から送信された応答データを受信する応答データ処理部214を有する。応答データ処理部214は、応答データに基地局変更情報が含まれる場合には、基地局変更情報に基づいて、対応する基地局を変更する。車両通信制御装置100は、第1基地局30又は第2基地局40を介して、車両20から送信された車両データを受信する車両データ受信部111を有する。車両通信制御装置100は、第1基地局30及び第2基地局40における通信状態の良否を示す通信状況を取得する通信状況取得部112を有する。また、車両通信制御装置100は、通信状況と、車両データに含まれる優先度とに基づいて、車両20に対して基地局の変更が必要か否かを判定する優先度判定部113を有する。また、車両通信制御装置100は、車両データに対する応答データを、第1基地局30又は第2基地局40を介して、車両20に送信する応答データ送信部114を有する。応答データ送信部114は、優先度判定部113で基地局の変更が必要であると判定された場合に、基地局変更情報を含む応答データを車両20に送信する。
【0127】
上記構成によれば、車両通信システム1は、基地局の通信状況と、車両20で使用される車両データの種類と、に応じて適切な車両通信を実現することが可能となる。例えば、リアルタイム性が必要とされるデータにおいては、通信領域が広く、低い周波数の電波の送受信を行うことで、確実に通信を行うことが可能となる。また、リアルタイム性が必要とされないデータであって、大容量のデータについては、高い周波数の電波の送受信を行うことで効率よく通信を行うことが可能となる。
【0128】
第2の態様に係る車両通信システム1の車両通信制御装置100は、第2基地局40の通信領域における車両20の台数を示す車両状況を取得する車両状況取得部115を有してもよい。また、車両通信制御装置100は、車両状況に基づいて、車両20が第2基地局40との通信を行う、又は、車両20が他の車両20と通信を行うかを定める通信方法を判定する通信方法判定部116をさらに有してもよい。また、車両通信制御装置100の応答データ送信部114は、通信方法判定部116で通信方法の変更が必要であると判定された場合に、通信方法変更情報を含む応答データを車両20に送信してもよい。さらに、車載器200の応答データ処理部214は、応答データに通信方法変更情報が含まれる場合には、通信方法変更情報に基づいて、対応する通信方法を変更してもよい。
【0129】
上記構成によれば、車両通信システム1において、第2基地局40の通信領域に属する車両20の台数が多い場合、第2基地局40は、代表となる車両20と通信を行う。また、車両通信システム1において、第2基地局40の通信領域に属する車両20の台数が多い場合、代表でない車両20は代表となる車両20と通信を行うことで、第2基地局40における通信負荷を軽減することが可能となる。これにより、車両通信システム1においては、通信の遅延を抑制し、効率のよい通信システムを実現することが可能となる。
【0130】
第3の態様に係る車両通信システム1の車両データは、車両20の位置情報をさらに含んでもよい。また、通信方法判定部116は、車両状況及び車両データに基づいて、車両20が第2基地局40との通信を行う、又は、車両20が他の車両20と通信を行うかを定める通信方法を判定してもよい。
【0131】
上記構成によれば、通信方法判定部116は、位置情報に基づいて、第2基地局40の近傍に存在する車両20を優先的に第2基地局40と通信することが可能となる。これにより、車両20と、第2基地局40との通信においては、第2基地局40の近傍に位置する車両20との通信が、遮蔽等の影響を受けにくく、確実に通信を行うことができる。従って、車両通信システム1は、車両20の台数を含む車両状況、及び位置情報に基づいて、より適切な通信方法の設定を行う事が可能となる。
【0132】
第4の態様に係る車両通信システム1の通信方法判定部116は、車両状況に基づいて、複数の車両20を第2基地局40との通信を行う代表車として定めてもよい。
【0133】
上記構成によれば、車両通信システム1において、第2基地局40は、複数の代表車に対して、種類が異なるデータをやり取りすることで、車両20との通信負荷を抑えつつ、カバレッジf40内で複数のデータを共有することが可能となる。
【0134】
第5の態様に係る車両通信システム1の車載器200は、車両20の近傍に存在する近傍車両に対して、近傍車両が車両間通信に対応しているか否かを確認するための確認データを送信する確認データ送信部215を備えてもよい。また、車載器200は、近傍車両からの確認データに対する応答の有無に基づいて、近傍車両が車両間通信に対応しているか否かを確認する非対応車確認部216を備えてもよい。さらに、車載器200は、非対応車確認部216で、近傍車両が車両間通信に対して非対応であると判定された場合に、第2基地局40に近傍車両が車両間通信に対して非対応である非対応車両であることを通知する非対応車通知部217を備えてもよい。また、第2基地局40は、車両20から近傍車両が車両間通信に対して非対応である非対応車両であることを通知された場合に、近傍車両の近傍に位置する車両20及び他の車両20と、通信を行ってもよい。
【0135】
上記構成によれば、車両通信システム1は、第2基地局40のカバレッジf40内に、車両間通信が未対応である未対応車が存在する場合であっても、車両間通信に対応した車両20において、適切な車両間通信を実現することが可能となる。
【符号の説明】
【0136】
1 車両通信システム
10 サーバ
20、20A1、20B1、20C1、20D1、20E1、20A2、20B2、20C2、20D2、20E2 車両
30 第1基地局
40 第2基地局
50 ネットワーク
100 車両通信制御装置
110 制御部
111 車両データ受信部
112 通信状況取得部
113 優先度判定部
114 応答データ送信部
115 車両状況取得部
116 通信方法判定部
120 記憶部
121 車両情報DB
122 通信状況DB
123 車両状況DB
130 入出力IF
140 通信IF
200、200A、200B 車載器
210 CPU
211 車両データ取得部
212 優先度設定部
213 車両データ送信部
214 応答データ処理部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18