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  • 特開-内燃機関 図1
  • 特開-内燃機関 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117340
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/00 20100101AFI20240822BHJP
【FI】
F01N13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023384
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100187827
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 雅則
(72)【発明者】
【氏名】澤田 徹
(72)【発明者】
【氏名】喜多 一弘
(72)【発明者】
【氏名】笠松 佳介
(72)【発明者】
【氏名】篠原 義人
(72)【発明者】
【氏名】野村 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】竹原 範晃
(72)【発明者】
【氏名】宮田 直明
(72)【発明者】
【氏名】平野 伸吾
(72)【発明者】
【氏名】寺田 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠馬
(72)【発明者】
【氏名】小川 凌二
(72)【発明者】
【氏名】沢田 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】木村 賢司
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 尚史
(72)【発明者】
【氏名】越野 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】莊田 歩
(72)【発明者】
【氏名】樋渡 美祥
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004BA00
3G004DA01
3G004DA25
(57)【要約】
【課題】排気温度を適切に計測可能な内燃機関を提供する。
【解決手段】排気ポートからの排気ガスが導入される複数の導入口6と、複数の導入口6から導入された排気ガスが一時的に集まる本体部7と、本体部7内の排気ガスを排気ガス還流装置9に向けて送出する送出口10と、本体部7内の排気ガスを排気通路11に排出する排出口12と、が形成されたエキゾーストマニホールド4と、エキゾーストマニホールド4に設けられた排気温度センサ5と、を有し、複数の導入口6は、第一方向に並んで配置され、送出口10は、複数の導入口6の一つと第一方向で隣り合うように並んで配置され、排出口12は、複数の導入口6の少なくとも1つと対向するように配置され、排気温度センサ5が、エキゾーストマニホールド4の、複数の導入口6および送出口10が形成される第一方向の領域である形成領域Aの中央位置cよりも送出口10側に偏って設けられた構成とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の気筒の各排気ポートにそれぞれ接続されて、前記排気ポートからの排気ガスが導入される複数の導入口と、前記複数の導入口から導入された排気ガスが一時的に集まる本体部と、前記本体部内の排気ガスを排気ガス還流装置に向けて送出する送出口と、前記本体部内の排気ガスを排気通路に排出する排出口と、が形成されたエキゾーストマニホールドと、
前記エキゾーストマニホールドに設けられた排気温度センサと、を有し、
前記複数の導入口は、第一方向に並んで配置され、前記送出口は、前記複数の導入口の一つと前記第一方向で隣り合うように並んで配置され、前記排出口は、前記複数の導入口の少なくとも1つと対向するように配置され、
前記排気温度センサは、前記エキゾーストマニホールドの、前記複数の導入口および前記送出口が形成される前記第一方向の領域である形成領域の中央位置よりも前記送出口側に偏って設けられる内燃機関。
【請求項2】
前記複数の導入口のうち、前記送出口に最も近い前記導入口と対向するように前記排気温度センサが設けられている請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
前記第一方向と直交する方向の前記本体部の大きさの中間位置を通り、前記第一方向へ延びる延長線よりも、前記複数の導入口側に前記排気温度センサが設けられている請求項2に記載の内燃機関。
【請求項4】
前記第一方向において、前記形成領域の中央位置に対し、前記送出口の反対側に前記排出口の中心が位置している請求項1から3のいずれか1項に記載の内燃機関。
【請求項5】
前記第一方向に沿って前記排出口側から前記送出口側に向かうほど、前記第一方向と直交する方向の前記本体部の大きさが減少する請求項1から3のいずれか1項に記載の内燃機関。
【請求項6】
前記内燃機関は、前記複数の気筒が車両の前後方向に並ぶように前記車両に搭載されており、前記送出口が、前記複数の導入口よりも車両後方に位置している請求項1から3のいずれか1項に記載の内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関から排気される排気ガスの温度は、燃焼状態が正常であるか否かの指標となる。このため、エキゾーストマニホールドの内部などに排気温度センサを設けて、排気温度の計測が行われている。例えば、下記特許文献1に示す内燃機関においては、各気筒から排出された排気ガスが合流する、エキゾーストマニホールドの出口の近傍に温度センサを設けて排気温度の計測を行っている(下記特許文献1の図1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-221445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排気ガス温度を温度センサで精度よく計測するためには、排気ガスが直接当たり、かつ、十分な排気流量があることが必要である。特許文献1に係る構成においては、エキゾーストマニホールドの出口近傍に温度センサが設けられているため、この温度センサに排気ガスが直接当たり、かつ、十分な排気流量が得られている。しかしながら、複数の気筒(この特許文献では4気筒)から集合した大流量の排気ガスが常に当たり続けることにより、温度センサが過熱して故障などの不具合が生じるおそれがある。
【0005】
そこで、この発明は、排気温度を適切に計測可能な内燃機関を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、この発明においては、
複数の気筒の各排気ポートにそれぞれ接続されて、前記排気ポートからの排気ガスが導入される複数の導入口と、前記複数の導入口から導入された排気ガスが一時的に集まる本体部と、前記本体部内の排気ガスを排気ガス還流装置に向けて送出する送出口と、前記本体部内の排気ガスを排気通路に排出する排出口と、が形成されたエキゾーストマニホールドと、
前記エキゾーストマニホールドに設けられた排気温度センサと、を有し、
前記複数の導入口は、第一方向に並んで配置され、前記送出口は、前記複数の導入口の一つと前記第一方向で隣り合うように並んで配置され、前記排出口は、前記複数の導入口の少なくとも1つと対向するように配置され、
前記排気温度センサは、前記エキゾーストマニホールドの、前記複数の導入口および前記送出口が形成される前記第一方向の領域である形成領域の中央位置よりも前記送出口側に偏って設けられる内燃機関を構成した。
【0007】
前記の構成においては、
前記複数の導入口のうち、前記送出口に最も近い前記導入口と対向するように前記排気温度センサが設けられている構成とするのが好ましい。
【0008】
前記のすべての構成においては、
前記第一方向と直交する方向の前記本体部の大きさの中間位置を通り、前記第一方向へ延びる延長線よりも、前記複数の導入口側に前記排気温度センサが設けられている構成とするのが好ましい。
【0009】
前記のすべての構成においては、
前記第一方向において、前記形成領域の中央位置に対し、前記送出口の反対側に前記排出口の中心が位置している構成とするのが好ましい。
【0010】
前記のすべての構成においては、
前記第一方向に沿って前記排出口側から前記送出口側に向かうほど、前記第一方向と直交する方向の前記本体部の大きさが減少するのが好ましい。
【0011】
前記のすべての構成においては、
前記内燃機関は、前記複数の気筒が車両の前後方向に並ぶように前記車両に搭載されており、前記送出口が、前記複数の導入口よりも車両後方に位置しているのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
この発明では、エキゾーストマニホールド内に設けられる排気温度センサを、形成領域において中央位置よりも送出口側に偏って配置したので、この排気温度センサに直接当たる所定量の排気ガス流量を確保しつつ、すべての気筒からの大流量の排気ガスが直接当たって温度が高温になり過ぎるのを防止して、排気温度を適切に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明に係る内燃機関が車両に搭載される場合の一実施形態を示す下面図である。
図2】この発明に係る内燃機関の一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明に係る内燃機関1の一実施形態を図面に基づいて説明する。この内燃機関1は、図1に示すように、車両2に搭載され、第1気筒3aから第4気筒3dまで直列に配置された直列4気筒エンジン(以下、エンジンと称し、内燃機関1と同じ符号を付する。)である。このエンジン1は、第1気筒3aが車両2の前方、第4気筒3dが車両2の後方に配置されるように配置された縦置きのエンジン1である。エンジン1は、図2に示すように、エキゾーストマニホールド4と、このエキゾーストマニホールド4内に設けられた排気温度センサ5と、を主要な構成要素としている。
【0015】
エキゾーストマニホールド4には、エンジン1、すなわち複数の気筒3a、3b、3c、3dからの排気ガスが導入される、第一方向(この実施形態では車両前後方向)に並んで配置された複数(この実施形態では4か所)の導入口6と、複数の導入口6から導入された排気ガスが一時的に集まる本体部7と、本体部7内の排気ガスを吸気系8に導入する排気ガス還流装置9に向けて送出する送出口10と、本体部7内の排気ガスを排気通路11に向けて排出する排出口12と、が形成されている。
【0016】
導入口6は、第1気筒3aから第4気筒3dを備えたエンジン1の各排気ポート(図示せず)にそれぞれ接続される。以下においては、エンジン1の第1気筒3aの排気ポートに接続される導入口6を第1導入口6a、第2気筒3bの排気ポートに接続される導入口6を第2導入口6b、第3気筒3cの排気ポートに接続される導入口6を第3導入口6c、第4気筒3dの排気ポートに接続される導入口6を第4導入口6dと称する。なお、エンジン1の気筒数は4気筒に限定されず、例えば、3気筒エンジン、6気筒エンジンなどについても適用することができる。なお、この実施形態では、各気筒3a、3b、3c、3dの排気ポートに接続される部分から本体部7まで延びる各通路も、導入口6として扱う。
【0017】
本体部7は、第1導入口6aから第4導入口6dまで向かう方向である幅方向(第一方向)と、幅方向と直交する方向であり、排気の主流が流れる方向である長さ方向(車幅方向)と、に延びる空洞状の部分である。第1導入口6aから第4導入口6d、および送出口10は、本体部7の長さ方向一方側端部に設けられ、排出口12は、本体部7の長さ方向他方側端部に設けられる。本体部7の長さ方向の大きさは、第一方向に沿って排出口12側から送出口10側に向かうほど(後方に向かうほど)次第に減少している。
【0018】
送出口10は、複数の導入口6(第1導入口6a~第4導入口6d)の第一方向の並びに沿って、第4導入口6dの第3導入口6cの反対側に隣り合うように配置されている。すなわち、送出口10は、第一方向の最も端に位置する導入口6の、第一方向外側(この実施形態では車両後方)に隣り合って配置されている。送出口10は、エンジン1のシリンダヘッド内に形成された排気ガス還流装置9に接続されており、この排気ガス還流装置9を通って排気ガスが吸気系8に還流する。以下においては、第一方向に並んで複数の導入口6(第1導入口6a~第4導入口6d)および送出口10が形成された領域を形成領域(図2中の矢印Aで示した領域)と称し、この形成領域Aの第一方向の中央の位置を形成領域Aの中央位置cと称する。
【0019】
排出口12は、複数の導入口6(第1導入口6a~第4導入口6d)と対向し、形成領域Aの中央位置cに対し送出口10の反対側(この実施形態では車両前方)に排出口12の中心が位置するように配置されている。この実施形態では、第3導入口6cがほぼ形成領域Aの中央位置cにあり、排出口12の中心は、第2導入口6bと第3導入口6cの間に位置している。排出口12から排出された排気ガスは、排気通路11に送られる。
【0020】
排気温度センサ5は、第一方向において形成領域Aの中央位置cよりも送出口10側に偏って設けられている。より具体的には、複数の導入口6(第1導入口6a~第4導入口6d)のうち、送出口10に最も近い第4導入口6dと対向するように設けられている。また、この排気温度センサ5は、本体部7の長さ方向の大きさtの中央位置を通り第一方向に延びる延長線eよりも導入口6側(この実施形態では第4導入口6d側)に偏位して設けられている(図2中の矢印sを参照)。なお、本体部7の長さ方向の大きさtの中央位置とは、本体部7の長さ方向の一端から他端までの距離の中央を意味する。
【0021】
排出口12に近い第1導入口6a、第2導入口6b、および、第3導入口6cから本体部7に導入された排気ガスは、第4導入口6d側および送出口10側に向かう量に比べ、排出口12からそのまま排出される量の方が多い(図2中の矢印f1~f3を参照)。その一方で、第4導入口6dから本体部7に導入された排気ガスは、すぐ隣に送出口10が形成されているため、排出口12に向かう流れと送出口10に向かう流れの両方向に適度に分岐するように流れる(図2中の矢印f4、f4’を参照)。
【0022】
特に、上記の実施形態では、第4導入口6dの隣に送出口10が形成されているため、この送出口10がない場合(本体部7の壁が位置している場合)と異なり、本体部7内の第4導入口6dの近傍において圧力が局所的に上昇することがなく、計測感度の点で好ましい。
【0023】
上記の内燃機関1は、第一方向に並んで配置された複数の導入口6(第1導入口6a~第4導入口6d)および送出口10の、形成領域Aの中央位置cよりも送出口10側に偏って排気温度センサ5を設けたので、この排気温度センサ5に直接当たる所定量の排気ガス流量を確保しつつ、すべての気筒からの大流量の排気ガスが排気温度センサ5に直接当たって温度が高温になり過ぎるのを防止して、排気温度を適切に計測することができる。なお、この実施形態において排気ガスが排気温度センサ5に直接当たるとは、導入口6から排出口12に向かう方向に流れる排気ガスが排気温度センサ5に当たることを指す。
【0024】
特に、上記の実施形態では、複数の導入口6のうち、送出口10に最も近い第4導入口6dと対向するように排気温度センサ5を設けたので、この第4導入口6dから導入される適切な流量の排気ガスによって高い計測精度を得ることができる。
【0025】
また、上記の内燃機関1は、排気温度センサ5を第4導入口6dと対向しつつ、第一方向と直交する方向の本体部7の長さ方向の大きさtの中央位置を通り、第一方向へ延びる延長線eよりも第4導入口6d側に偏位させて設けたので、第4導入口6dから導入される排気ガスを排気温度センサ5で確実に受けつつ、第1導入口6a、第2導入口6b、および、第3導入口6c側から送出口10側に向かって流れる排気ガスが、排気温度センサ5より本体部7の長さ方向で排出口12側を通りやすくなる。このため、排気温度センサ5に当たる排気ガスの流量を適切化することができ、排気温度を高精度に計測することができる。
【0026】
また、上記の内燃機関1は、第一方向において、形成領域Aの中央位置cに対し、送出口10の反対側に排出口12の中心が位置するように配置したので、送出口10と反対側の各導入口6(この実施形態では、第1導入口6a、第2導入口6b、および、第3導入口6c)から導入される排気ガスが大量に送出口10側に流れるのを防止して、排気ガスの流量を適切化することができ、排気温度を高精度に計測することができる。
【0027】
特に、上記の実施形態では、排出口12から送出口10に向かうほど、本体部7の長さ方向の大きさが減少する構成としたので、第1導入口6a、第2導入口6b、および、第3導入口6c側から、本体部7の長さ方向の大きさを小さくした第4導入口6d側に向かう排気ガスの流れを抑制し、大流量の排気ガスが排気温度センサ5に当たることを抑制することができる。
【0028】
また、上記の内燃機関1は、エンジン1が車両2に縦置きされており、送出口10が、複数の導入口6(第1導入口6a~第4導入口6d)よりも車両後方に位置している構成としたので、ラジエータを通って流れる走行風(図2中の波矢印wを参照)が初めに当たる第1気筒3a側に対して後方の第4気筒3d側は冷却されにくい。このため、上記の実施形態のように、排気温度センサ5を第4気筒3d側(送出口10側)に設けておくことで、排気温度センサ5が走行風wの影響を受けて過度に冷却されることがなく、この排気温度センサ5の精度を担保することができる。
【0029】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0030】
1 内燃機関(エンジン)
2 車両
3a 第1気筒
3b 第2気筒
3c 第3気筒
3d 第4気筒
4 エキゾーストマニホールド
5 排気温度センサ
6 導入口
6a 第1導入口
6b 第2導入口
6c 第3導入口
6d 第4導入口
7 本体部
8 吸気系
9 排気ガス還流装置
10 送出口
11 排気通路
12 排出口
A 形成領域
c (形成領域の)中央位置
e 延長線
t (本体部の長さ方向の)大きさ
図1
図2