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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117350
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】金工用定置式切断機
(51)【国際特許分類】
   B23D 47/00 20060101AFI20240822BHJP
   B23D 45/04 20060101ALI20240822BHJP
   B23Q 11/12 20060101ALI20240822BHJP
   B24B 55/10 20060101ALI20240822BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20240822BHJP
   B24B 27/06 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
B23D47/00 Z
B23D45/04 A
B23Q11/12 A
B24B55/10
B25F5/00 Z
B25F5/00 G
B24B27/06 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023401
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】是川 洋斗
(72)【発明者】
【氏名】吉田 悠人
(72)【発明者】
【氏名】石川 彰一
【テーマコード(参考)】
3C040
3C047
3C064
3C158
【Fターム(参考)】
3C040GG00
3C047FF06
3C047JJ11
3C047JJ16
3C064AA06
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA01
3C064BA06
3C064BA11
3C064BB02
3C064BB43
3C064BB78
3C064BB79
3C064BB82
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA26
3C064CA54
3C064CA60
3C064CA61
3C064CB05
3C064CB13
3C064CB14
3C064CB17
3C064CB32
3C064CB33
3C064CB36
3C064CB37
3C064CB39
3C064CB63
3C064CB71
3C064CB75
3C064CB77
3C064CB82
3C064CB85
3C064CB86
3C158AA03
3C158AC05
(57)【要約】
【課題】吸気口からハウジング内へ鉄粉等の切粉が進入することを抑制できる金工用定置式切断機が必要とされている。
【解決手段】切断機1は、電動モータ21を収容するモータハウジング20を有する。切断機1は、モータハウジング20に形成され、電動モータ21のモータ軸線Jと平行な吸気方向に開口する吸気口20aを有する。切断機1は、吸気口20aからモータハウジング20内に入った空気を導く排気通路30を有する。切断機1は、排気通路30内の少なくとも一部の空気を、吸気口20aの吸気方向の吸気上流空間に隣接する隣接空間に向けて排気する排気口32を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金工用定置式切断機であって、
電動モータを収容するモータハウジングと、
前記モータハウジングに形成され、前記電動モータのモータ軸線と平行な吸気方向に開口する吸気口と、
前記吸気口から前記モータハウジング内に入った空気を導く排気通路と、
前記排気通路内の少なくとも一部の空気を、前記吸気口の前記吸気方向の吸気上流空間に隣接する隣接空間に向けて排気する排気口を有する金工用定置式切断機。
【請求項2】
請求項1に記載の金工用定置式切断機であって、
前記モータハウジングを含む切断機本体は、奥部がベースに回転可能に支持されて、前部が前記ベースに対して上下に傾動可能であり、
前記切断機本体には、前記電動モータの左右いずれか第1方向に刃具が装着され、
前記電動モータの前記モータ軸線が左右方向に延出し、
前記排気口は、前記吸気上流空間の前側の前記隣接空間に空気を排気するように配向された前排気口を含む金工用定置式切断機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の金工用定置式切断機であって、
前記モータハウジングを含む切断機本体は、奥部がベースに回転可能に支持されて、前部が前記ベースに対して上下に傾動可能であり、
前記切断機本体には、前記電動モータの左右いずれか第1方向に刃具が装着され、
前記電動モータの前記モータ軸線が左右方向に延出し、
前記排気口は、前記吸気上流空間の奥側の前記隣接空間に空気を排気するように配向された奥排気口を含む金工用定置式切断機。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の金工用定置式切断機であって、
前記電動モータによって回転するファンを有し、前記ファンによって空気が前記吸気口から前記排気口へ送られる金工用定置式切断機。
【請求項5】
請求項4に記載の金工用定置式切断機であって、
前記吸気口から前記モータハウジングに導入された空気は、前記電動モータを冷却する冷却通路を通って前記排気口から排出される金工用定置式切断機。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の金工用定置式切断機であって、
前記モータハウジングを含む切断機本体は、奥部がベースに回転可能に支持されて、前部が前記ベースに対して上下に傾動可能であり、
前記排気通路は、前記電動モータの上方に位置し、
前記排気通路の下流側には、前記排気口が設けられ、
前記排気口は、前記吸気上流空間の前側の前記隣接空間に向けて下方へ排出する前排気口と、前記吸気上流空間の奥側の前記隣接空間に向けて下方へ排出する奥排気口を含む金工用定置式切断機。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の金工用定置式切断機であって、
前記排気通路の下流端には、前記排気通路内の空気の流れ方向に開口する開放口が設けられている金工用定置式切断機。
【請求項8】
請求項7に記載の金工用定置式切断機であって、
前記排気口は、前記排気通路の下流端において前記開放口の両側に位置する第1排気口と第2排気口を含む金工用定置式切断機。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか1つに記載の金工用定置式切断機であって、
前記吸気口から前記モータハウジングに導入された空気の全てが前記排気通路を通って前記排気口から前記隣接空間に向けて排出される金工用定置式切断機。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1つに記載の金工用定置式切断機であって、
前記モータハウジングは、前記排気通路において前記モータハウジング内から前記吸気方向と反対方向へ空気を排気可能な中間排気口を有し、
前記モータハウジングには、前記中間排気口を覆いかつ前記排気口が形成されたカバーが装着される金工用定置式切断機。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つに記載の金工用定置式切断機であって、
前記排気通路を構成する排気通路部材は、前記吸気口の上方から前記吸気口を超えて前記隣接空間の上方に張り出す金工用定置式切断機。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1つに記載の金工用定置式切断機であって、
前記排気通路には、前記電動モータの駆動を制御するコントローラが設けられる金工用定置式切断機。
【請求項13】
請求項12に記載の金工用定置式切断機であって、
前記モータハウジングを含む切断機本体は、前記コントローラを収容するコントローラ収容部と、前記モータハウジングの上部に装着される上カバーを有し、
前記コントローラ収容部は、前記モータハウジングと前記上カバーを協働させて形成され、
前記上カバーには、前記排気口が形成されている金工用定置式切断機。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1つに記載の金工用定置式切断機であって、
前記吸気口の周囲には、前記モータハウジングから前記吸気方向と反対方向へ張り出した遮蔽壁が設けられる金工用定置式切断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば金属材料等の被切断材の切断加工に用いられる金工用定置式切断機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属製のパイプ等の被切断材を切断する電動工具として、金工用定置式切断機が提供されている。金工用定置式切断機は、被切断材を載置するベースと、被切断材を切断する回転刃具を回転可能に支持する切断機本体を有する。回転刃具は、例えば円盤状の切断砥石やチップソー(英語名:tipped saw blade)と称される略円盤形の丸鋸刃である。切断機本体には、刃具を回転させる駆動源としての電動モータや、主として電動モータの駆動を制御するコントローラが設けられる。
【0003】
特許文献1には、切断砥石を刃具とする金工用定置式切断機の電動モータとコントローラを冷却する構造が記載されている。コントローラは、電動モータとの配線距離を短くするために電動モータの近傍、例えば上方に設けられる。電動モータには、モータ軸と一体で回転可能なファンが設けられる。電動モータを収容するモータハウジングには、外気を取込み可能な吸気口が設けられる。ファンが回転すると、吸気口からモータハウジング内に外気が取込まれ、電動モータを冷却する冷却風が流れる。モータハウジング内で冷却風が発生することで、コントローラの周囲にも負圧で冷却風が発生する。これにより電動モータとコントローラを冷却できる。
【0004】
従来、吸気口からハウジング内に取込んだ外気を利用して電動モータやコントローラ等を冷却していた。吸気口の周囲には、被切断材を切断した後の鉄粉等の切粉が飛散している場合がある。そのため切粉が吸気口からハウジング内に進入する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-98486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって吸気口からハウジング内へ鉄粉等の切粉が進入することを抑制できる金工用定置式切断機が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの特徴によると金工用定置式切断機は、電動モータを収容するモータハウジングを有する。金工用定置式切断機は、モータハウジングに形成され、電動モータのモータ軸線と平行な吸気方向に開口する吸気口を有する。金工用定置式切断機は、吸気口からモータハウジング内に入った空気を導く排気通路を有する。金工用定置式切断機は、排気通路内の少なくとも一部の空気を、吸気口の吸気方向の吸気上流空間に隣接する隣接空間に向けて排気する排気口を有する。
【0008】
したがって吸気口は吸気上流空間の空気をモータハウジング内に取込む。排気口からは、吸気上流空間に隣接する隣接空間に向けて排気風が排出される。そのため鉄粉等の切粉が隣接空間を介して吸気上流空間に進入することを排気風によって抑制できる。これにより吸気口からモータハウジング内に鉄粉等の切粉が進入することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1実施例に係る金工用定置式切断機の斜視図である。
図2】切断機本体が下死点に位置する金工用定置式切断機の左側面図である。
図3】切断機本体が上死点に位置する金工用定置式切断機の左側面図である。
図4】金工用定置式切断機の前面図である。
図5】カバーの下面図である。
図6図2中のVI-VI線断面矢視図である。
図7図6中のVII-VII線断面矢視図である。
図8図6中のVIII-VIII線断面矢視図である。
図9図8中のIX-IX線断面矢視図である。
図10】本開示の第2実施例に係る金工用定置式切断機の斜視図である。
図11】金工用定置式切断機の左側面図である。
図12】金工用定置式切断機の前面図である。
図13】カバーの下面図である。
図14図11中のXIV-XIV線断面矢視図である。
図15図14中のXV-XV線断面矢視図である。
図16】本開示の第3実施例に係る金工用定置式切断機の斜視図である。
図17】金工用定置式切断機の左側面図である。
図18】金工用定置式切断機の前面図である。
図19図17中のXIX-XIX線断面矢視図である。
図20】本開示の第4実施例に係る金工用定置式切断機の斜視図である。
図21】金工用定置式切断機の左側面図である。
図22】金工用定置式切断機の前面図である。
図23】カバーの下面図である。
図24図21中のXXIV-XXIV線断面矢視図である。
図25図24中のXXV-XXV線断面矢視図である。
図26図24中のXXVI-XXVI線断面矢視図である。
図27図26中のXXVII-XXVII線断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の他の特徴によるとモータハウジングを含む切断機本体は、奥部がベースに回転可能に支持されて、前部がベースに対して上下に傾動可能である。切断機本体には、電動モータの左右いずれか第1方向に刃具が装着される。電動モータのモータ軸線が左右方向に延出する。排気口は、吸気上流空間の前側の隣接空間に空気を排気するように配向された前排気口を含む。したがって前排気口から排出される排気風によって、吸気上流空間の前側の隣接空間に飛散する切粉を吸気口の近傍から払い退けることができる。
【0011】
本開示の他の特徴によるとモータハウジングを含む切断機本体は、奥部がベースに回転可能に支持されて、前部がベースに対して上下に傾動可能である。切断機本体には、電動モータの左右いずれか第1方向に刃具が装着される。電動モータのモータ軸線が左右方向に延出する。排気口は、吸気上流空間の奥側の隣接空間に空気を排気するように配向された奥排気口を含む。したがって使用者は、金工用定置式切断機の前方に位置する。奥排気口から排出される排気風によって、吸気上流空間の後側の隣接空間に飛散する切粉を使用者の作業空間から遠ざけることができる。
【0012】
本開示の他の特徴によると金工用定置式切断機は、電動モータによって回転するファンを有する。ファンによって空気が吸気口から排気口へ送られる。したがって電動モータの回転によって発生する排気風を利用して、切粉が吸気上流空間に進入することを抑制できる。そのため排気風を発生させる機構を更に設ける必要がなく、金工用定置式切断機が大型化することを抑制できる。
【0013】
本開示の他の特徴によると吸気口からモータハウジングに導入された空気は、電動モータを冷却する冷却通路を通って排気口から排出される。したがって電動モータを冷却する冷却風を利用して、切粉が吸気上流空間に進入することを抑制できる。そのため排気風をシンプルな構造で発生させることができる。
【0014】
本開示の他の特徴によるとモータハウジングを含む切断機本体は、奥部がベースに回転可能に支持されて、前部がベースに対して上下に傾動可能である。排気通路は、電動モータの上方に位置する。排気通路の下流側には、排気口が設けられる。排気口は、吸気上流空間の前側の隣接空間に向けて下方へ排出する前排気口と、吸気上流空間の奥側の隣接空間に向けて下方へ排出する奥排気口を含む。したがって前排気口から下方へ排出される排気風と、奥排気口から下方へ排出される排気風によって、吸気上流空間の隣接空間に飛散する切粉をより確実に下方へ追いやることができる。
【0015】
本開示の他の特徴によると排気通路の下流端には、排気通路内の空気の流れ方向に開口する開放口が設けられている。したがって開放口から排気通路内の空気の流れ方向に沿ってスムーズに排気風を排出できる。そのため排気通路を流れる空気の風速が低下することを抑制できる。これにより排気口から排出される排気風の風速の低下を抑制できる。
【0016】
本開示の他の特徴によると排気口は、排気通路の下流端において開放口の両側に位置する第1排気口と第2排気口を含む。したがって風速が最も速くなり易い箇所に開放口を設けることで、排気通路を流れる空気の風速の低下をさらに抑制できる。これにより第1排気口と第2排気口から排出される排気風の風速の低下をさらに抑制できる。
【0017】
本開示の他の特徴によると吸気口からモータハウジングに導入された空気の全てが排気通路を通って排気口から隣接空間に向けて排出される。したがって排気風を全て利用することで、切粉が吸気上流空間に進入することを効率良く抑制できる。
【0018】
本開示の他の特徴によるとモータハウジングは、排気通路においてモータハウジング内から吸気方向と反対方向へ空気を排気可能な中間排気口を有する。モータハウジングには、中間排気口を覆いかつ排気口が形成されたカバーが装着される。したがって中間排気口から排出された空気の風向をシンプルな構造のカバーで容易に変更できる。
【0019】
本開示の他の特徴によると排気通路を構成する排気通路部材は、吸気口の上方から吸気口を超えて隣接空間の上方に張り出す。したがって排気通路部材が屋根の役割をして、上方から降ってくる切粉が隣接空間や吸気上流空間に進入することを抑制できる。
【0020】
本開示の他の特徴によると排気通路には、電動モータの駆動を制御するコントローラが設けられる。したがって排気通路を流れる空気をコントローラの冷却風として利用し、さらに排気口から排出される排気風に利用できる。
【0021】
本開示の他の特徴によるとモータハウジングを含む切断機本体は、コントローラを収容するコントローラ収容部と、モータハウジングの上部に装着される上カバーを有する。コントローラ収容部は、モータハウジングと上カバーを協働させて形成される。上カバーには、排気口が形成されている。したがって大型のコントローラを設ける際に、コントローラの周囲の部材と干渉しないようにコントローラ収容部を設けることができる。
【0022】
本開示の他の特徴によると吸気口の周囲には、モータハウジングから吸気方向と反対方向へ張り出した遮蔽壁が設けられる。したがって遮蔽壁によって切粉が吸気上流空間に進入することをさらに抑制できる。
【0023】
本開示の第1実施例を図1~9に基づいて説明する。本実施例では金工用定置式切断機としてチップソー切断機と称される切断機1を例示する。なお、この業界では金工用定置式切断機のうち切断砥石を刃具として使用するものを「高速切断機」または「切断機」といい、チップソーを刃具として使用するものを「チップソー切断機」という。図1に示すように切断機1は、金属製のパイプや溝形鋼等の被切断材を載置可能なベース2と、ベース2の上方で上下に揺動可能に支持される切断機本体10を有する。切断機本体10には、回転刃具として円盤状のチップソー11が回転可能に支持される。チップソー11は、電動モータ21の駆動によって回転する。使用者は、切断機1の手前に位置して切断作業を行う。以下の説明において前後方向は使用者から見て手前側を前側、奥側を後側とする。上下左右方向については使用者を基準にして規定する。
【0024】
図1,2に示すようにベース2は、上面であるテーブル面2aに被切断材を載置可能な矩形状に設けられる。ベース2は主に床面に載置される。テーブル面2aには、上方に向けて起立したフェンス4が設けられる。フェンス4の前面は、被切断材に当接可能な平面状の当接部4aとして設けられる。テーブル面2aの下方には、上下方向に延出する回転支軸5aを中心に回転可能なレバー5が設けられる。フェンス4は、回転支軸5aに連結されている。レバー5を締め付け方向に回転させることでフェンス4をテーブル面2aに固定できる。フェンス4は、回転支軸5aの軸回りにテーブル面2aに対して回転可能である。フェンス4を左右方向に対して傾斜した姿勢に移動させることで、被切断材を斜めに切断できる。
【0025】
図1,2に示すようにベース2のテーブル面2aには、バイス装置6(横バイス)が設けられる。バイス装置6には、バイスプレート6cが前後方向にスライド可能に組み付けられる。バイスプレート6cは、フェンス4の前方に設けられる。バイスプレート6cは、前方に延出する送りねじ6bと回転可能に連結している。送りねじ6bは、バイスベース6dとねじ係合しており、前方から見て右方向に回転することで後方へ進行する。送りねじ6bの前端には、送りハンドル6aが一体に設けられる。送りハンドル6aを回転させることで、バイスプレート6cを前後方向に移動させることができる。フェンス4の当接部4aとバイスプレート6cとの間に被切断材を挟み込むことで、テーブル面2aに載せた被切断材を保持できる。
【0026】
図1に示すようにベース2のテーブル面2aの後部には、切断機本体10を支持する支持連結部3が設けられる。支持連結部3は、上下揺動支軸3aを介して本体支持部7を支持する。ベース2のテーブル面2aには、チップソー11が進退可能なスリット2b(図4参照)が形成される。切断機本体10は、支持連結部3の上下揺動支軸3aを中心にして上死点(図3参照)と下死点(図2参照)の間で上下方向に揺動可能である。下死点は、本体支持部7に設けられたボス34の下面がベース2側に設けられたストッパボルト35の頭部の上面に当接する位置である。支持連結部3には、切断機本体10を上死点側へ付勢するコンプレッションスプリング36(図3参照)が設けられる。これにより、常態において切断機本体10を上死点に保持できる。ベース2の後部には、ダストボックス17が着脱可能に設けられている。チップソー11が被切断材を切断する時、切屑が火花になって生じる。ダストボックス17には、火花が冷却した切屑が集められる。
【0027】
図6に示すように切断機本体10は、電動モータ21を収容するモータハウジング20と、モータハウジング20の右側に連結される第1ギヤハウジング24と、第1ギヤハウジング24の右側に連結される第2ギヤハウジング25を有する。切断機本体10は、モータハウジング20と第1ギヤハウジング24の上側と前側とを跨ぐように連結されたハンドルハウジング40を有する。第1ギヤハウジング24と本体支持部7は、一体として成形された完全同一部品である。
【0028】
図6に示すようにモータハウジング20は、電動モータ21を収容する有底の略円筒状の器型と、後述するコントローラ28を収容する有底の略矩形状の器型が一体に形成されている。モータハウジング20の略円筒状部の右端には、開口20cが形成される。モータハウジング20の略円筒状部の左側面であって電動モータ21の左方には、左右方向に貫通する吸気口20aが設けられる。モータハウジング20の略矩箱形状部の右端には、開口20dが形成される。モータハウジング20の略矩箱形状部の左側面であってコントローラ28の左方には、左右方向に貫通する中間排気口20fが設けられる。開口20cと開口20dの間には、左右方向に延出する隔壁20eが設けられる。隔壁20eは、吸気口20aを超えて左方へ延出する。モータハウジング20の電動モータ21の収容部は、電動モータ21を冷却するための冷却風が流れる冷却通路20bになっている。モータハウジング20のコントローラ28の収容部は、排気風を排出するための排気通路30になっている。
【0029】
図6に示すように電動モータ21には、DCブラシレスモータと称されるモータが用いられる。電動モータ21は、モータ軸線J上で左右方向に延出するモータ軸21aと、モータ軸21aの周囲に設けられる回転子21cと、回転子21cの外側でモータハウジング20に保持される固定子21bを有する。回転子21cに隣接して、回転子21cのセンサ用永久磁石の位置を検出して回転検出信号を出力する3つの回転検出素子を搭載したセンサ回路基板(図示しない)が設けられる。
【0030】
図6に示すようにモータハウジング20の左部の内周面には、軸受21eを保持する凹部20hが設けられる。モータハウジング20の右側には、開口20c,20dを覆うようにして第1ギヤハウジング24が連結される。第1ギヤハウジング24は、開口20cと開口20dを上下に連結するガイド壁24dを有する。開口20cとガイド壁24dと開口20dは、協働してU字状の連通路を形成する。第1ギヤハウジング24には、左右方向に貫通する貫通孔24aが設けられる。貫通孔24aには、軸受21fを保持する凹部24bが設けられる。モータ軸21aは、軸受21eと軸受21fによってモータ軸線Jの軸回りに回転可能に支持される。モータ軸21aの右端には駆動側ギヤ21dが設けられる。駆動側ギヤ21dは、貫通孔24aから第1ギヤハウジング24の右方へ進入して減速ギヤ列26と噛み合う。
【0031】
図6に示すようにモータ軸21aには、回転子21cの右方かつ軸受21fの左方にファン22が一体に連結される。ファン22の径方向外方には、モータ軸21aに貫通されかつファン22の周囲を囲む皿状のファンガイド23が設けられる。
【0032】
図6に示すように第1ギヤハウジング24と、第1ギヤハウジング24の右側に連結される第2ギヤハウジングは、協働して減速ギヤ列26を収容する。第1ギヤハウジング24には、貫通孔24aの下方において軸受27bを保持する凹部24cが設けられる。第2ギヤハウジング25には、左右方向に貫通する貫通孔25aが設けられる。貫通孔25aには、軸受27cを保持する凹部25bが設けられる。左右方向に延出する出力軸27は、軸受27bと軸受27cによって軸回りに回転可能に支持される。出力軸27は、軸受27bと軸受27cの間に従動側ギヤ27aを有する。従動側ギヤ27aは、減速ギヤ列26と噛み合う。これによりモータ軸21aの回転動力が減速ギヤ列26を介して出力軸27に伝達される。
【0033】
図6に示すように第2ギヤハウジング25の右側には、チップソー11の上部を覆う固定カバー12が連結される。出力軸27は、第2ギヤハウジング25の貫通孔25aから右方の固定カバー12内へ突出する。この出力軸27の突出部には、チップソー11が連結される。チップソー11は、アウタフランジ15とインナフランジ16によって左右に挟まれた状態でボルト14によって出力軸27に連結される。固定カバー12には、チップソー11の回転方向に回転可能な可動カバー13に組み付けられる、可動カバー13は、常態でチップソー11の下側の一部を覆うように付勢されている。
【0034】
図6に示すようにモータハウジング20は、電動モータ21および隔壁20eの上方でモータ軸線Jに沿って左右方向に延出する排気通路30を有する。モータハウジング20の排気通路30には、主として電動モータ21の動作制御を行うコントローラ28が収容される。コントローラ28は、底浅の矩形箱形のケースを有する。コントローラ28は、ケースの厚み方向を上下方向とし、ケースの最長辺をモータ軸線Jに沿った左右方向に延出した姿勢で排気通路30に収容される(図8参照)。コントローラ28は、左右方向および前後方向に電動モータ21と重なり合うように配置される。排気通路30およびコントローラ28の左部は、電動モータ21よりも左方へ突出する。コントローラ28の下部には、冷却用のための複数のフィン28aが設けられる。
【0035】
図6に示すコントローラ28は、電動モータ21の駆動を制御するための制御処理装置、ブリッジ回路装置(いずれも図示しない)を有する。制御処理装置は、CPUおよび適宜の記憶媒体(いずれも図示しない)を有して構成される。ブリッジ回路装置は、電動モータ21を駆動させるためのスイッチング回路として、スイッチング素子としてのFETを有して構成される。また、制御処理装置は、電動モータ21を駆動させるための制御を行う他、モータ軸21aの回転を制動させる回生制動の制御も行う。つまり、制御処理装置は、ブリッジ回路装置の制御を行うことによって電動モータ21を駆動および回生制動させる。制御処理装置は、回転子21cに隣接するセンサ回路基板が出力する回転検出信号に基づいて制御処理を行う。また、制御処理装置には、後述する充電式バッテリ46の電圧や温度等のバッテリ情報に関する信号が送信される。また、制御処理装置には、電動モータ21の温度等のモータ情報に関する信号も送信される。
【0036】
図7,9に示すようにモータハウジング20は、電動モータ21の前方に略矩形箱形の端子ユニット収容部20iを有する。端子ユニット収容部20iは、電動モータ21が収容される冷却通路20bと連通されて空気の流出入が可能に設けられる。端子ユニット収容部20iには、コントローラ28と電動モータ21を電気的に接続する端子ユニット33が収容される。端子ユニット33は、長手方向を左右方向に延出させた姿勢で収容される。切断機1には、直付けコンデンサ29a(図6参照)と別体コンデンサ29b(図1参照)の2つのコンデンサ29が設けられる。コンデンサ29は、電圧の跳ね上がりを吸収することでコントローラ28に印加される電圧を安定させる。直付けコンデンサ29aは、コントローラ28の基板上に設けられる。別体コンデンサ29bは、ハンドルハウジング40の内部かつモータハウジング20の前方かつ上方に設けられる。
【0037】
図2,3に示すようにハンドルハウジング40は、前方の第1把持部41と、後方の第2把持部42を有する。第1把持部41と第2把持部42は、いずれも前後方向に延出するループ形状である。使用者は、第1把持部41を把持して切断機本体10を上下方向に揺動できる。ループ形状の第1把持部41の内周側には。使用者の手が第1把持部41を握りながら引き操作可能なトリガ43が設けられる。トリガ43が引き操作されると、引き操作に応じて動作する内部スイッチからコントローラ28に所定の信号(例えば、スイッチON信号)が送信される。第2把持部42は、使用者が切断機1を持ち運ぶ際に把持される第2把持部42が形成されている。使用者が切断機1を持ち運ぶ際には、バイスベース6dに設けられたチェーン8をハンドルハウジング40に設けられたフック9に引掛けることによって切断機本体10を下死点で固定する。
【0038】
図1~3に示すようにハンドルハウジング40の後方上部には、矩形状のバッテリ装着部45の一部が設けられる。バッテリ装着部45には、充電式バッテリ46を取外し可能に装着できる。充電式バッテリ46は、切断機本体10が下死点の状態で前方から後方に向けて下方へ傾斜した方向にスライドさせることでバッテリ装着部45に装着できる。充電式バッテリ46は、切断機本体10が上死点の状態で上方から下方へスライドさせることでバッテリ装着部45に装着できる。充電式バッテリ46は、装着方向と反対方向にスライドさせることでバッテリ装着部45から取外すことができる。バッテリ装着部45に装着された充電式バッテリ46は、ハンドルハウジング40内に設けられたリード線を介してコントローラ28に電気的に接続される。
【0039】
図1,6に示すようにモータハウジング20の上側左部には、カバー31が装着される。カバー31は、略矩形筒状の筒状部31aを有する。カバー31は、モータハウジング20の中間排気口20fを外方から覆う。カバー31は、モータハウジング20と協働して中間排気口20fよりも外側(左側)の排気通路30を形成する。モータハウジング20の上部には、上方へ突出する係合凸部20gが設けられる。カバー31には、係合凸部20gと係合可能な係合凹部31bが設けられる。係合凸部20gと係合凹部31bの係合によって、筒状部31aはモータハウジング20の上部を覆った状態でモータハウジング20に保持される。
【0040】
図8に示すようにカバー31の左部には、筒状部31aを前後方向に区分けする分岐リブ31c,31dが設けられる。分岐リブ31c,31dは、カバー31の左端からモータハウジング20の中間排気口20fの手前側(左側)まで左右方向に延出する。分岐リブ31c,31dは、筒状部31aを前後方向に略3等分する。カバー31の前端と前側の分岐リブ31cとの間には、風向変更壁31eが設けられる。風向変更壁31eは、上側および左側を覆うように設けられる。風向変更壁31eは、排気通路30を右方から左方へ流れる排気風を、下方に向かうように風向を変更させる。カバー31の後端と後側の分岐リブ31dとの間には、風向変更壁31fが設けられる。風向変更壁31fは、上側および左側を覆うように設けられる。風向変更壁31eは、排気通路30を右方から左方へ流れる排気風を、下方に向かうように風向を変更させる。
【0041】
図8に示すように分岐リブ31cと分岐リブ31dの間には、左方に向けて開口する開放口32cが設けられる。開放口32cは、上側、下側、前側、後側のいずれも覆われた矩形筒状に設けられる。そのため排気通路30を右方から左方へ流れる排気風を、そのまま左方へ排出する。
【0042】
図2,3に示すようにカバー31は、前排気口32aと奥排気口32bと開放口32cの3つの排気口32を有する。カバー31の前側に設けられる前排気口32aは、風向変更壁31eの下端で下方に向けて開口するように設けられる(図5参照)。カバー31の奥側(後側)に設けられる奥排気口32bは、風向変更壁31fの下端で下方に向けて開口するように設けられる(図5参照)。開放口32cは、前後方向において前排気口32aと奥排気口32bの間に設けられる。開放口32cは、モータ軸線Jと略平行に左方に向けて開口する。
【0043】
図2,3,6~8を参照してモータハウジング20およびカバー31の周囲の風の流れを説明する。使用者がトリガ43を引き操作すると、内部スイッチからコントローラ28に対して所定の信号が送信される。充電式バッテリ46から電動モータ21に電力を供給される。モータ軸21aがモータ軸線Jの軸回りに回転する。ファン22もモータ軸21aと共に回転する。これにより吸気口20aから外気を取り込んでモータハウジング20の冷却通路20bを右方のファン22に向けて流れる冷却風W1が発生する。冷却通路20bを右方へ流れる冷却風W1によって、電動モータ21および端子ユニット33が冷却される。なお、吸気口20aには、吸気口20aの左方(吸気方向)に位置する吸気上流空間P1の空気が取り込まれる。本開示において吸気上流空間P1は、吸気口20aに対してモータ軸線Jの延出方向と平行に左方に位置する略円柱状の領域を示す。
【0044】
モータハウジング20の開口20cから右方へ流れる冷却風W1は、ファン22の遠心力および第1ギヤハウジング24のガイド壁24dによって上方の開口20dへ案内される。この時、冷却風W1はハンドルハウジング40の内部に設けられた別体コンデンサ29bを冷却する。冷却風W1は、モータハウジング20の隔壁20eよりも上方の排気通路30において、吸気方向と反対方向に左方の中間排気口20fに向けてモータ軸線Jと略平行に流れる。排気通路30を流れる冷却風W1は、排気通路30に設けられたコントローラ28および直付けコンデンサ29aを冷却する。
【0045】
中間排気口20fから左方の排気通路30へ排出された冷却風W1は、分岐リブ31c,31dによって前側排気風W2と奥側排気風W3と開放口排気風W4の3つの流れに分岐される。前側排気風W2は、前方の風向変更壁31eに向けて流れる。前側排気風W2は、風向変更壁31eによって下方へ流れて前排気口32aから排出される。前側排気風W2は、吸気上流空間P1の前方に隣接する前側隣接空間P2に向けてモータ軸線Jと略直交して下方へ排出される。
【0046】
奥側排気風W3は、奥側(後方)の風向変更壁31fに向けて流れる。奥側排気風W3は、風向変更壁31fによって下方へ流れて奥排気口32bから排出される。奥側排気風W3は、吸気上流空間P1の奥側に隣接する奥側隣接空間P3に向けてモータ軸線Jと略直交して下方へ排出される。なお、前側排気風W2と奥側排気風W3は、切断機本体10が下死点の時、略垂直に排出される。前側排気風W2と奥側排気風W3は、切断機本体10が上死点の時、後方から前方に向けて下方へ傾斜して排出される。すなわち、切断機本体10が上死点から下死点までのいずれの姿勢の場合でも、前側排気風W2と奥側排気風W3の風向は下方へ向かう成分を含む。本開示では下方へ向かう成分を含む排気風を「下方へ排出される」排気風とする。
【0047】
開放口排気風W4は、前側排気風W2と奥側排気風W3の前後方向の間で開放口32cに向けて流れる。開放口排気風W4は、排気通路30内の冷却風W1のようにモータ軸線Jと略平行に左方に向けて流れ、開放口32cから左方へ排出される。
【0048】
上述するように切断機(金工用定置式切断機)1は、図2,6に示すように電動モータ21を収容するモータハウジング20を有する。切断機1は、モータハウジング20に形成され、電動モータ21のモータ軸線Jと平行な吸気方向に開口する吸気口20aを有する。切断機1は、吸気口20aからモータハウジング20内に入った空気を導く排気通路30を有する。切断機1は、排気通路30内の少なくとも一部の空気を、吸気口20aの吸気方向の吸気上流空間P1に隣接する隣接空間P2,P3に向けて排気する排気口32を有する。
【0049】
したがって吸気口20aは吸気上流空間P1の空気をモータハウジング20内に取込む。排気口32からは、吸気上流空間P1に隣接する隣接空間P2,P3に向けて排気風W2,W3が排出される。そのため鉄粉等の切粉が隣接空間P2,P3を介して吸気上流空間P1に進入することを排気風W2,W3によって抑制できる。これにより吸気口20aからモータハウジング20内に鉄粉等の切粉が進入することを抑制できる。
【0050】
図1,2に示すようにモータハウジング20を含む切断機本体10は、奥部がベース2に回転可能に支持されて、前部がベース2に対して上下に傾動可能である。切断機本体10には、電動モータ21の右方(第1方向)にチップソー(刃具)11が装着される。電動モータ21のモータ軸線Jが左右方向に延出する。排気口32は、吸気上流空間P1の前側の隣接空間P2に空気を排気するように配向された前排気口32aを含む。したがって前排気口32aから排出される排気風W2によって、吸気上流空間P1の前側の隣接空間P2に飛散する切粉を吸気口20aの近傍から払い退けることができる。
【0051】
図1,2に示すようにモータハウジング20を含む切断機本体10は、奥部がベース2に回転可能に支持されて、前部がベース2に対して上下に傾動可能である。切断機本体10には、電動モータ21の右方(第1方向)にチップソー11が装着される。電動モータ21のモータ軸線Jが左右方向に延出する。排気口32は、吸気上流空間P1の奥側の隣接空間P3に空気を排気するように配向された奥排気口32bを含む。したがって使用者は、切断機1の前方に位置する。奥排気口32bから排出される排気風W3によって、吸気上流空間P1の後側の隣接空間P3に飛散する切粉を使用者から遠ざけることができる。
【0052】
図6に示すように切断機1は、電動モータ21によって回転するファン22を有する。ファン22によって空気が吸気口20aから排気口32へ送られる。したがって電動モータ21の回転によって発生する排気風を利用して、切粉が吸気上流空間P1(図2参照)に進入することを抑制できる。そのため排気風を発生させる機構を更に設ける必要がなく、切断機1が大型化することを抑制できる。
【0053】
図6に示すように吸気口20aからモータハウジング20に導入された空気は、電動モータ21を冷却する冷却通路20bを通って排気口32から排出される。したがって電動モータ21を冷却する冷却風W1を利用して、切粉が吸気上流空間P1(図2参照)に進入することを抑制できる。そのため排気風をシンプルな構造で発生させることができる。
【0054】
図2,6に示すようにモータハウジング20を含む切断機本体10は、奥部がベース2に回転可能に支持されて、前部がベース2に対して上下に傾動可能である。排気通路30は、電動モータ21の上方に位置する。排気通路30の下流側には、排気口32が設けられる。排気口32は、吸気上流空間P1の前側の隣接空間P2に向けて下方へ排出する前排気口32aと、吸気上流空間P1の奥側の隣接空間P3に向けて下方へ排出する奥排気口32bを含む。したがって前排気口32aから下方へ排出される排気風W2と、奥排気口32bから下方へ排出される排気風W3によって、吸気上流空間P1の隣接空間P2,P3に飛散する切粉をより確実に下方へ追いやることができる。
【0055】
図6,8に示すように排気通路30の下流端には、排気通路30内の空気の流れ方向に開口する開放口32cが設けられている。したがって開放口32cから排気通路30内の空気の流れ方向に沿ってスムーズに排気風W4を排出できる。そのため排気通路30を流れる空気の風速が低下することを抑制できる。これにより排気口32から排出される排気風W2,W3の風速の低下を抑制できる。
【0056】
図8に示すように排気口32は、排気通路30の下流端において開放口32cの両側に位置する前排気口(第1排気口)32aと奥排気口(第2排気口)32bを含む。したがって風速が最も速くなり易い箇所に開放口32cを設けることで、排気通路30を流れる空気の風速の低下をさらに抑制できる。これにより前排気口32aと奥排気口32bから排出される排気風W2,W3の風速の低下をさらに抑制できる。
【0057】
図6に示すようにモータハウジング20は、排気通路30においてモータハウジング20内から吸気方向と反対方向へ空気を排気可能な中間排気口20fを有する。モータハウジング20には、中間排気口20fを覆いかつ排気口32が形成されたカバー31が装着される。したがって中間排気口20fから排出された空気の風向をシンプルな構造のカバー31で容易に変更できる。
【0058】
図2,3に示すように排気通路30を構成する隔壁(排気通路部材)20eは、吸気口20aの上方から吸気口20aを超えて隣接空間P2,P3の上方に張り出す。したがって排気通路30部材が屋根の役割をして、上方から降ってくる切粉が隣接空間P2,P3や吸気上流空間P1に進入することを抑制できる。
【0059】
図6,8に示すように排気通路30には、電動モータ21の駆動を制御するコントローラ28が設けられる。したがって排気通路30を流れる空気をコントローラ28の冷却風として利用し、さらに排気口32から排出される排気風に利用できる。
【0060】
次に、本開示の第2実施例を図10~15に基づいて説明する。第2実施例の切断機50は、図1に示す切断機1の切断機本体10に代えて、切断機本体51を有する。以下の説明においては第1実施例と異なる箇所のみ詳細に説明する。図10,14に示すように切断機本体51は、モータハウジング20の上側左部に装着されるカバー53を有する。カバー53は、モータハウジング20の上部と協働して排気通路52を形成する。排気通路52には、コントローラ28が第1実施例と同様の姿勢で収容される。
【0061】
図10,13,14に示すようにカバー53は、略矩形筒状の筒状部53aを有する。カバー53は、モータハウジング20の中間排気口20fを外方から覆う。カバー53には、モータハウジング20の上部の係合凸部20gと係合可能な係合凹部53bが設けられる。係合凸部20gを係合凹部53bに係合させることで、筒状部53aはモータハウジング20の上部を覆った状態でモータハウジング20に保持される。
【0062】
図15に示すようにカバー53の左部には、筒状部53aを前後方向に区分けする分岐リブ53cが設けられる。分岐リブ53cは、カバー53の左端からモータハウジング20の中間排気口20fの手前側(左側)まで左右方向に延出する。分岐リブ53cは、筒状部53aを前後方向に略2等分する。カバー53の前端と分岐リブ53cとの間には、風向変更壁53dが設けられる。風向変更壁53dは、上側および左側を覆うように設けられる。風向変更壁53dは、排気通路30を右方から左方へ流れる排気風を、下方に向かうように風向を変更させる。カバー53の後端と分岐リブ53cとの間には、風向変更壁53eが設けられる。風向変更壁53eは、上側および左側を覆うように設けられる。風向変更壁53eは、排気通路30を右方から左方へ流れる排気風を、下方に向かうように風向を変更させる。
【0063】
図11~13に示すようにカバー53は、前排気口54aと奥排気口54bの2つの排気口54を有する。カバー53の前側に設けられる前排気口54aは、風向変更壁53dの下端で下方に向けて開口するように設けられる。カバー53の奥側(後側)に設けられる奥排気口54bは、風向変更壁53eの下端で下方に向けて開口するように設けられる。
【0064】
図11~15を参照してモータハウジング20およびカバー53の周囲の風の流れを説明する。モータ軸21aがモータ軸線Jの軸回りに回転すると、ファン22もモータ軸21aと共に回転する。これにより吸気口20aから外気を取り込んでモータハウジング20の冷却通路20bを右方のファン22に向けて流れる冷却風W1が発生する。冷却通路20bを右方へ流れる冷却風W1によって、電動モータ21および端子ユニット33(図7参照)が冷却される。
【0065】
モータハウジング20の開口20cから右方へ流れる冷却風W1は、ファン22の遠心力および第1ギヤハウジング24のガイド壁24dによって上方の開口20dへ案内される。この時、冷却風W1はハンドルハウジング40の内部に設けられた別体コンデンサ29bを冷却する。冷却風W1は、モータハウジング20の隔壁20eよりも上方の排気通路30において、吸気方向と反対方向に左方の中間排気口20fに向けてモータ軸線Jと略平行に流れる。排気通路30を流れる冷却風W1は、排気通路30に設けられたコントローラ28および直付けコンデンサ29aを冷却する。
【0066】
中間排気口20fから左方の排気通路30へ排出された冷却風W1は、分岐リブ53cによって前側排気風W2と奥側排気風W3の2つの流れに分岐される。前側排気風W2は、前方の風向変更壁53dに向けて流れる。前側排気風W2は、風向変更壁53dによって下方へ流れて前排気口54aから排出される。前側排気風W2は、吸気上流空間P1の前方に隣接する前側隣接空間P2に向けてモータ軸線Jと略直交して下方へ排出される。奥側排気風W3は、奥側(後方)の風向変更壁53eに向けて流れる。奥側排気風W3は、風向変更壁53eによって下方へ流れて奥排気口54bから排出される。奥側排気風W3は、吸気上流空間P1の奥側に隣接する奥側隣接空間P3に向けてモータ軸線Jと略直交して下方へ排出される。
【0067】
上述するように切断機50は、図11に示すように吸気口20aからモータハウジング20に導入された空気の全てが排気通路30(図15参照)を通って排気口32から隣接空間P2,P3に向けて排出される。したがって排気風を全て利用することで、切粉が吸気上流空間P1に進入することを効率良く抑制できる。
【0068】
次に、本開示の第3実施例を図16~19に基づいて説明する。第3実施例の切断機60は、図1に示す切断機1の切断機本体10に代えて、切断機本体61を有する。以下の説明においては第1実施例と異なる箇所のみ詳細に説明する。図16,19に示すように切断機本体61は、モータハウジング62を有する。モータハウジング62は、電動モータ21を収容する有底の略円筒状の器型と、コントローラ28を収容する有底の略矩形状の器型が一体に形成されている。
【0069】
図16,19に示すようにモータハウジング62の略円筒状部は、右端に開口62cを有し、左端面に左右方向に貫通する吸気口62aを有する。モータハウジング62の略矩形箱状部は、右端に開口62dを有し、左端面に左右方向に貫通する中間排気口62fを有する。開口62cと開口62dの間には、左右方向に延出する隔壁62eが設けられる。隔壁62eは、吸気口62aを超えて左方へ延出する。モータハウジング62の略円筒状部は、電動モータ21を冷却するための冷却風が流れる冷却通路62bになっている。モータハウジング62の矩形箱形状部は、排気風を排出するための排気通路30になっている。
【0070】
図19に示すようにモータハウジング62の左部の内周面には、軸受21eを保持する凹部62hが設けられる。開口62c,62dの右側には、開口62c,62dを覆うようにして上下に連結する第1ギヤハウジング24のガイド壁24dが配置される。開口62cとガイド壁24dと開口62dは、協働してU字状の連通路を形成する。モータハウジング62の上部には、カバー31の係合凹部31bと係合可能に上方へ突出する係合凸部62gが設けられる。
【0071】
図16~19に示すようにモータハウジング62の左側の外面には、左方へ突出する遮蔽壁63が設けられる。遮蔽壁63は、吸気口62aと吸気上流空間P1を周方向に囲むように略円筒状に設けられる。遮蔽壁63は、上側ほど突出長さが長く、下側ほど突出長さが短く設けられる。遮蔽壁63の上部は、中間排気口62fと略同じ左右位置まで突出する。遮蔽壁63の下部は、吸気口62aよりもわずかに左方へ突出する。遮蔽壁63は、カバー31の前排気口32aから排気風が排出される前側隣接空間P2の後方に設けられる。遮蔽壁63は、カバー31の奥排気口32bから排気風が排出される奥側隣接空間P3の前方に設けられる。
【0072】
上述するように吸気口20aの周囲には、図16~18に示すようにモータハウジング62から吸気方向と反対方向へ張り出した遮蔽壁63が設けられる。したがって遮蔽壁63によって切粉が吸気上流空間P1に進入することをさらに抑制できる。
【0073】
次に、本開示の第4実施例を図20~26に基づいて説明する。第4実施例の切断機70は、図1に示す切断機1の切断機本体10に代えて、切断機本体71を有する。以下の説明においては第1実施例と異なる箇所のみ詳細に説明する。図20,24に示すように切断機本体61は、モータハウジング72を有する。モータハウジング72は、電動モータ21を収容する有底の略円筒状のモータハウジング72と、モータハウジング72の上部に連結される上カバー74を有する。
【0074】
図24に示すようにモータハウジング72の略円筒状部は、右端に開口72cを有し、左端面に左右方向に貫通する吸気口72aを有する。モータハウジング72の上部には、開口72cから左方へ延出する隔壁72dが設けられる。隔壁72dは、吸気口72aを超えて左方へ延出する。モータハウジング72の略円筒状部は、電動モータ21を冷却するための冷却風が流れる冷却通路72bになっている。
【0075】
図24に示すようにモータハウジング72の左部の内周面には、軸受21eを保持する凹部72gが設けられる。開口72cの右側には、開口72cを覆うようにして上方へ略U字状に延出する第1ギヤハウジング24のガイド壁24dが配置される。開口72cとガイド壁24dと後述する上カバー74は、協働してU字状の連通路を形成する。
【0076】
図25,27に示すようにモータハウジング72は、電動モータ21の前方に略矩形箱形の端子ユニット収容部72hを有する。端子ユニット収容部72hは、電動モータ21が収容される冷却通路72bと連通されて空気の流出入が可能に設けられる。端子ユニット収容部72hには、端子ユニット33が長手方向を左右方向に延出させた姿勢で収容される。
【0077】
図24,25に示すようにモータハウジング72の上部は、上方および右方が開口した略矩形箱形の器型に設けられる。上カバー74は、モータハウジング72の上部を覆う略矩形の蓋形状に設けられる。モータハウジング72の上部の前後端には、上下方向に延出するねじ孔72fが設けられる。上カバー74の前後端には、ねじ孔72fと前後方向に重なる位置で上下方向に貫通する透孔74hが設けられる。止めねじ77を上方から上カバー74の透孔74hに通し、モータハウジング72のねじ孔72fに締結させる。これにより上カバー74をモータハウジング72に組み付けることができる。上カバー74とモータハウジング72は協働して、モータ軸線Jと平行に左右方向に延出する矩形箱形の排気通路73を形成する。
【0078】
図24~26に示すように排気通路73には、コントローラ28(図6参照)よりも大型のコントローラ76が収容される。コントローラ76は、ケースの厚み方向を上下方向とし、ケースの最長辺を前後方向に延出した姿勢で排気通路73に収容される。コントローラ76は、電動モータ21と前後方向に重なり合うようにかつ左右方向に一部が重なり合うように配置される。排気通路73およびコントローラ76の左部は、電動モータ21よりも左方へ突出する。コントローラ76の下部には、冷却用のための複数のフィン76aが設けられる。複数のフィン76aは、コントローラ76の厚みよりも長く下方へ延出する。
【0079】
図24~26に示すようにモータハウジング72は、コントローラ76の左方において上下方向に起立する壁面に、左右方向に貫通する中間排気口72eを有する。すなわち中間排気口72eは、排気通路73の中間位置に配置される。上カバー74は、コントローラ76の上方を覆うように略水平に延出する略矩形板状の上壁74aを有する。上カバー74は、上壁74aの右方で上壁74aよりも高さの低い段差部74bを有する。段差部74bの壁面は、コントローラ76の上面よりも低い位置で略水平に延出する。段差部74bを設けることで、使用者は、第2把持部42(図20参照)のループ形状に指を入れ易くなり、第2把持部42を把持し易くなる。上カバー74は、上壁74aの右部から下方へ延出するリブ74gを有する。リブ74gは、コントローラ76が右方へ移動することを規制し、かつ電動モータ21の冷却通路72b側から流れてきた冷却風をコントローラ76に向けて右方へ案内する。
【0080】
図26に示すように上カバー74の左部には、排気通路73を前後方向に略3等分に区分けする分岐リブ74c,74dが設けられる。分岐リブ74c,74dは、上カバー74の左端からモータハウジング72の中間排気口72eの手前側(左側)まで左右方向に延出する。上カバー74の前端と前側の分岐リブ74cとの間には、風向変更壁74eが設けられる。風向変更壁74eは、上側および左側を覆うように設けられる。風向変更壁74eは、排気通路73を右方から左方へ流れる排気風を、下方に向かうように風向を変更させる。上カバー74の後端と後側の分岐リブ74dとの間には、風向変更壁74fが設けられる。風向変更壁74fは、上側および左側を覆うように設けられる。風向変更壁74eは、排気通路73を右方から左方へ流れる排気風を、下方に向かうように風向を変更させる。
【0081】
図26に示すように分岐リブ74cと分岐リブ74dの間には、左方に向けて開口する開放口75cが設けられる。開放口75cは、上側、下側、前側、後側のいずれも覆われた矩形筒状に設けられる。そのため排気通路73を右方から左方へ流れる排気風を、そのまま左方へ排出する。
【0082】
図21,23に示すように上カバー74は、前排気口75aと奥排気口75bと開放口75cの3つの排気口75を有する。上カバー74の前側に設けられる前排気口75aは、風向変更壁74eの下端で下方に向けて開口するように設けられる。上カバー74の奥側(後側)に設けられる奥排気口75bは、風向変更壁74fの下端で下方に向けて開口するように設けられる。開放口75cは、前後方向において前排気口75aと奥排気口75bの間に設けられる。開放口75cは、モータ軸線Jと略平行に左方に向けて開口する。
【0083】
図21~27を参照してモータハウジング72および上カバー74の周囲の風の流れを説明する。モータ軸21aがモータ軸線Jの軸回りに回転すると、ファン22もモータ軸21aと共に回転する。これにより吸気口72aから吸気上流空間P1の外気を取り込んでモータハウジング72の冷却通路72bを右方のファン22に向けて流れる冷却風W1が発生する。冷却通路72bを右方へ流れる冷却風W1によって、電動モータ21および端子ユニット33が冷却される。
【0084】
モータハウジング72の開口72cから右方へ流れる冷却風W1は、ファン22の遠心力および第1ギヤハウジング24のガイド壁24dによって隔壁72dの上方へ案内される。この時、冷却風W1はハンドルハウジング40の内部に設けられた別体コンデンサ29bを冷却する。冷却風W1は、隔壁72dよりも上方の排気通路73において、吸気方向と反対方向に左方の中間排気口72eに向けてモータ軸線Jと略平行に流れる。排気通路73を流れる冷却風W1は、排気通路73に設けられたコントローラ76およびコントローラ76の基板上に設けられた直付けコンデンサ29aを冷却する。
【0085】
中間排気口72eから左方の排気通路73へ排出された冷却風W1は、分岐リブ74c,74dによって前側排気風W2と奥側排気風W3と開放口排気風W4の3つの流れに分岐される。前側排気風W2は、前方の風向変更壁74eに向けて流れる。前側排気風W2は、風向変更壁74eによって下方へ流れて前排気口75aから排出される。前側排気風W2は、吸気上流空間P1の前方に隣接する前側隣接空間P2に向けてモータ軸線Jと略直交して下方へ排出される。
【0086】
奥側排気風W3は、奥側(後方)の風向変更壁74fに向けて流れる。奥側排気風W3は、風向変更壁74fによって下方へ流れて奥排気口75bから排出される。奥側排気風W3は、吸気上流空間P1の奥側に隣接する奥側隣接空間P3に向けてモータ軸線Jと略直交して下方へ排出される。開放口排気風W4は、前側排気風W2と奥側排気風W3の前後方向の間で開放口75cに向けて流れる。開放口排気風W4は、排気通路73内の冷却風W1のようにモータ軸線Jと略平行に左方に向けて流れ、開放口75cから左方へ排出される。
【0087】
上述するようにモータハウジング72を含む切断機本体71は、図24に示すようにコントローラ76を収容する排気通路(コントローラ収容部)73と、モータハウジング72の上部に装着される上カバー74を有する。排気通路73は、モータハウジング72と上カバー74を協働させて形成される。上カバー74には、排気口75が形成されている。したがって大型のコントローラ76を設ける際に、コントローラ76の周囲の部材、例えばハンドルハウジング40の第2把持部42(図20参照)と干渉しないように排気通路73を設けることができる。
【0088】
以上説明した各実施例の切断機1,50,60,70には様々な変更を加えることができる。金工用の定置式切断機を例示した。これに代えて、例えば卓上マルノコ、スライドマルノコ等の木工用の卓上切断機、またはテーブルソー等の木工用切断機、またはチップソーカッタ等の金工用携帯用切断機等に本開示を適用しても良い。被切断材を切断する刃具としてチップソー11を例示した。これに代えて刃具は、例えば円盤状の切断砥石等であっても良い。
【0089】
チップソー11が電動モータ21の右方に配置され、モータハウジング20の吸気口20aが切断機本体10の左部に設けられる構成を例示した。これに代えてチップソー11が電動モータ21の左方に配置され、モータハウジング20の吸気口20aが切断機本体10の右部に設けられていても良い。
【0090】
モータ軸線Jが上下方向また前後方向に傾斜することなく左右方向に水平に延出する切断機を例示した。これに代えてモータ軸線Jは、左右方向に延出する成分を含んでいれば、上下方向または前後方向、あるいは上下方向と前後方向の両方向に傾斜していても良い。本開示において「左右方向に延出する」モータ軸線Jは、延出方向に左右方向の成分を含むもの全てを指す。
【0091】
電動モータ21を冷却する冷却風を利用して排気風を発生する構成を例示した。これに代えて排気風は、例えば刃具の回転風、集塵用の風、別途設けられたコントローラ用の冷却ファン等で発生するもので合っても良い。冷却風は、電動モータ21、端子ユニット33、コントローラ28,76、コンデンサ29に限らず、例えば減速ギヤ列26や出力軸27、バッテリ装着部45を冷却しても良い。
【0092】
それぞれ別の空間に排気風を排出する排気口を3つまたは2つ設ける構成を例示した。これに代えて排気口を4つ以上設けても良い。開放口32c,75cが前排気口32a,75aと奥排気口32b,75bの前後方向の間に設けられる構成を例示した。これに代えて開放口32c,75cは、例えば前排気口32a,75aよりも前方、あるいは奥排気口32b,75bよりも後方であっても良い。
【0093】
モータハウジングのモータ収容部の形状は例示したものに限定されず、例えば多角形筒状、略楕円筒状等であっても良い。コントローラ収容部を兼ねる排気通路の形状は、例示したものに限定されず、例えば多角形筒状、略円筒状、略楕円筒状等であっても良い。
【符号の説明】
【0094】
1…切断機(金工用定置式切断機)
2…ベース、2a…テーブル面、2b…スリット
3…支持連結部、3a…上下揺動支軸
4…フェンス、4a…当接部
5…レバー、5a…回転支軸
6…バイス装置、6a…送りハンドル、6b…送りねじ、6c…バイスプレート
6d…バイスベース
7…本体支持部
8…チェーン
9…フック
10…切断機本体
11…チップソー(刃具)
12…固定カバー
13…可動カバー
14…ボルト
15…アウタフランジ
16…インナフランジ
17…ダストボックス
20…モータハウジング、20a…吸気口、20b…冷却通路、20c,20d…開口
20e…隔壁(排気通路部材)、20f…中間排気口、20g…係合凸部、20h…凹部
20i…端子ユニット収容部
21…電動モータ、21a…モータ軸、21b…固定子、21c…回転子
21d…駆動側ギヤ、21e,21f…軸受
22…ファン
23…ファンガイド
24…第1ギヤハウジング、24a…貫通孔、24b,24c…凹部、24d…ガイド壁
25…第2ギヤハウジング、25a…貫通孔、25b…凹部
26…減速ギヤ列
27…出力軸、27a…従動側ギヤ、27b,27c…軸受
28…コントローラ、28a…フィン
29…コンデンサ、29a…直付けコンデンサ、29b…別体コンデンサ
30…排気通路
31…カバー、31a…筒状部、31b…係合凹部、31c,31d…分岐リブ
31e,31f…風向変更壁
32…排気口、32a…前排気口(第1排気口)、32b…奥排気口(第2排気口)
32c…開放口
33…端子ユニット
34…ボス
35…ストッパボルト
36…コンプレッションスプリング
40…ハンドルハウジング
41…第1把持部
42…第2把持部
43…トリガ
45…バッテリ装着部
46…充電式バッテリ
50…切断機(金工用定置式切断機)
51…切断機本体
52…排気通路
53…カバー、53a…筒状部、53b…係合凹部、53c…分岐リブ
53d,53e…風向変更壁
54…排気口、54a…前排気口、54b…奥排気口
60…切断機(金工用定置式切断機)
61…切断機本体
62…モータハウジング、62a…吸気口、62b…冷却通路、62c,62d…開口
62e…隔壁、62f…中間排気口、62g…係合凸部、62h…凹部
63…遮蔽壁
70…切断機(金工用定置式切断機)
71…切断機本体
72…モータハウジング、72a…吸気口、72b…冷却通路、72c…開口
72d…隔壁、72e…中間排気口、72f…ねじ孔、72g…凹部
72h…端子ユニット収容部
73…排気通路(コントローラ収容部)
74…上カバー、74a…上壁、74b…段差部、74c,74d…分岐リブ
74e,74f…風向変更壁、74g…リブ、74h…透孔
75…排気口、75a…前排気口(第1排気口)、75b…奥排気口(第2排気口)
75c…開放口
76…コントローラ、76a…フィン
77…止めねじ
J…モータ軸線
P1…吸気上流空間、P2…(前側)隣接空間、P3…(奥側)隣接空間
W1…冷却風、W2…(前側)排気風、W3…(奥側)排気風、W4…(開放口)排気風
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図24
図25
図26
図27