(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117374
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】記録装置及び電動垂直離着陸機
(51)【国際特許分類】
B64D 45/00 20060101AFI20240822BHJP
G08C 15/06 20060101ALI20240822BHJP
B64D 27/24 20240101ALI20240822BHJP
B64C 29/00 20060101ALI20240822BHJP
B64U 10/20 20230101ALI20240822BHJP
B64U 20/80 20230101ALI20240822BHJP
B64U 50/19 20230101ALI20240822BHJP
【FI】
B64D45/00
G08C15/06 H
B64D27/24
B64C29/00 A
B64U10/20
B64U20/80
B64U50/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023439
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】519015117
【氏名又は名称】株式会社SkyDrive
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】芝野 好希
【テーマコード(参考)】
2F073
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA23
2F073AB07
2F073BB04
2F073BC01
2F073CC03
2F073CC09
2F073CD11
2F073CD17
2F073DD05
2F073DE17
2F073FG01
2F073FG02
2F073FG04
(57)【要約】
【課題】飛行への影響を小さくすることのできる記録装置及び電動垂直離着陸機を提供する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、電動垂直離着陸機に備えられる記録装置が提供される。この記録装置は、変換部と、記録部とを備える。変換部は、電動垂直離着陸機が備えるセンサの出力を予め定めた記録形式へ変換する。記録部は、変換部が変換した出力を記録媒体に記録する。センサは、電動垂直離着陸機が備えるモータの回転速度と、電動垂直離着陸機が備えるバッテリの端子電圧または電流と、バッテリからモータ制御装置へ流れる電圧または電流と、モータ制御装置を経るものを含み、バッテリからモータに流れる電圧または電流と、電動垂直離着陸機の振動と、電動垂直離着陸機の高度と、電動垂直離着陸機の位置と、電動垂直離着陸機の姿勢と、電動垂直離着陸機のバッテリの温度と、電動垂直離着陸機のモータの温度と、電動垂直離着陸機が位置する環境の気温と、電動垂直離着陸機が位置する環境の気圧との少なくとも1つを検出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動垂直離着陸機に備えられる記録装置であって、
変換部と、記録部とを備え、
前記変換部は、電動垂直離着陸機が備えるセンサの出力を予め定めた記録形式へ変換し、
前記記録部は、前記変換部が変換した出力を記録媒体に記録し、
前記センサは、
電動垂直離着陸機が備えるモータの回転速度と、
前記電動垂直離着陸機が備えるバッテリの端子電圧または電流と、
前記バッテリからモータ制御装置へ流れる電圧または電流と、
前記モータ制御装置を経るものを含み、前記バッテリから前記モータに流れる電圧または電流と、
前記電動垂直離着陸機の振動と、
前記電動垂直離着陸機の高度と、
前記電動垂直離着陸機の位置と、
前記電動垂直離着陸機の姿勢と、
前記電動垂直離着陸機のバッテリの温度と、
前記電動垂直離着陸機のモータの温度と、
前記電動垂直離着陸機が位置する環境の気温と、
前記電動垂直離着陸機が位置する環境の気圧と
の少なくとも1つを検出する
記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、
マイコンを備え、
前記マイコンは、前記変換部及び前記記録部として動作する
記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録装置において、
前記マイコンは、第1のマイコンと、第2のマイコンとを含み、
前記第1のマイコンは、少なくとも前記変換部として動作し、
前記第2のマイコンは、少なくとも前記記録部として動作する
記録装置。
【請求項4】
請求項3に記載の記録装置において、
前記マイコンのうち、前記記録部として動作するマイコンは、時刻の計時を行い、
前記記録形式は、検出結果を記録した時刻を含む
記録装置。
【請求項5】
請求項4に記載の記録装置において、
前記マイコンのうち、前記記録部として動作するマイコンが複数存在する場合には、該複数のマイコン間で計時する時刻を同期させる
記録装置。
【請求項6】
請求項3に記載の電記録装置において、
前記マイコンは、第3のマイコンを含み、
前記第2のマイコンは、前記モータの回転に応じたパルスを計数し、該計数の結果から前記パルスの周波数を算出し、該算出した周波数を前記第1のマイコンからの要求に応じて該第1のマイコンへ送信し、
前記第3のマイコンは、時刻情報を保持し、他のマイコンと同期した時刻の計時を行い、前記第2のマイコンから前記周波数を取得し、該取得した周波数に基づいて前記モータの回転数を算出し、該算出した回転数を時刻とともに第1の記録媒体に記録し、前記バッテリから前記モータドライバに流れる電流値を示すアナログ信号を取得し、該取得したアナログ信号をデジタル信号に変換し、該変換した電流値を時刻とともに前記第1の記録媒体に記録し、
前記第3のマイコンは、時刻を計時し、前記第1のマイコンからの要求に応じて該計時している時刻を前記時刻情報として送信し、前記電動垂直離着陸機の振動を示すデジタル信号を取得し、該取得したデジタル信号が示す振動を前記第1の記録媒体に記録する
記録装置。
【請求項7】
請求項3に記載の記録装置において、
前記マイコンが少なくとも1つ配置されたマイコンボードを複数備え、
前記マイコンボードは、重ねられて配置される
記録装置。
【請求項8】
電動垂直離着陸機であって、
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の記録装置と、センサとを備え、
前記センサは、
電動垂直離着陸機が備えるモータの回転速度と、
前記電動垂直離着陸機が備えるバッテリの端子電圧と、
前記バッテリから前記モータに流れる電流と、
前記電動垂直離着陸機の振動と、
前記電動垂直離着陸機の高度と、
前記電動垂直離着陸機の位置と、
前記電動垂直離着陸機のバッテリの温度と、
前記電動垂直離着陸機のモータの温度と、
前記電動垂直離着陸機の姿勢と、
前記電動垂直離着陸機が位置する環境の気温と、
前記電動垂直離着陸機が位置する環境の気圧と
の少なくとも1つを検出する
電動垂直離着陸機。
【請求項9】
請求項8に記載の電動垂直離着陸機において、
前記センサの重量と、前記記録装置の重量との和は、全重量の2%以下である
電動垂直離着陸機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置及び電動垂直離着陸機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動垂直離着陸機において、飛行中の各部の状態等を示すデータを取得したいといった要求があり、動作確認用の機器を接続して飛行を行うことがある(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電動垂直離着陸機に計測機器等を搭載する場合、電動垂直離着陸機の重量が増加したり、飛行体としての形状が大きく変化し、得られるデータに及ぼす影響が大きくなる。これらの影響は、電動垂直離着陸機が小型である場合に顕著であり、場合によっては、離陸自体が困難になることも考えられる。
【0005】
また、マルチロータタイプの電動垂直離着陸機の場合には、搭載されているモータの数が多く、計測するデータの数も多くなるため、必要とする計測機器等の大きさも大きくなる傾向がある。
【0006】
本発明では上記事情を鑑み、飛行への影響を小さくすることのできる記録装置及び電動垂直離着陸機を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、電動垂直離着陸機に備えられる記録装置が提供される。この記録装置は、変換部と、記録部とを備える。変換部は、電動垂直離着陸機が備えるセンサの出力を予め定めた記録形式へ変換する。記録部は、変換部が変換した出力を記録媒体に記録する。センサは、電動垂直離着陸機が備えるモータの回転速度と、電動垂直離着陸機が備えるバッテリの端子電圧または電流と、バッテリからモータ制御装置へ流れる電圧または電流と、モータ制御装置を経るものを含み、バッテリからモータに流れる電圧または電流と、電動垂直離着陸機の振動と、電動垂直離着陸機の高度と、電動垂直離着陸機の位置と、電動垂直離着陸機の姿勢と、電動垂直離着陸機のバッテリの温度と、電動垂直離着陸機のモータの温度と、電動垂直離着陸機が位置する環境の気温と、電動垂直離着陸機が位置する環境の気圧との少なくとも1つを検出する。
【0008】
本発明の一態様によれば、飛行への影響を小さくした状態で、飛行中のデータの取得を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】電動垂直離着陸機及び記録装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】複数のマイコンを用いた記録装置20の構成例を示した図である。
【
図5】記録装置20の動作の流れを示すアクティビティ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本開示の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0011】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0012】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0013】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0014】
1.基本構成
図1は、電動垂直離着陸機及び記録装置の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、電動垂直離着陸機1は、センサ10と、記録装置20とを備える。センサ10は、電動垂直離着陸機1が備えるモータの回転速度と、電動垂直離着陸機1が備えるバッテリの端子電圧または電流と、電動垂直離着陸機1が備えるバッテリからモータまたはモータ制御装置に流れる電圧または電流と、モータ制御装置を経るものを含み、バッテリからモータに流れる電圧または電流と、
電動垂直離着陸機1の振動と、電動垂直離着陸機1の高度と、電動垂直離着陸機1の位置と、電動垂直離着陸機1が備えるバッテリの温度と、電動垂直離着陸機1のモータの温度と、電動垂直離着陸機1の姿勢と、電動垂直離着陸機1が位置する環境の気温と、電動垂直離着陸機1が位置する環境の気圧との少なくとも1つを検出する。なお、電動垂直離着陸機1がセンサ10を複数備えるようにすることで、上述したデータの様々なものを検出するようにすることが可能である。
【0015】
また、記録装置20は、マイコン200と、変換部2001と、記録部2002とを備える。この記録装置20は、電動垂直離着陸機1に備えられる記録装置であり、変換部2001及び記録部2002は、マイコン200により実現される。つまり、マイコン200は、変換部2001及び記録部2002として動作する。マイコン200は、マイクロコントローラと称されるもので、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random access memory)、ROM(Read only memory)、入出力ポート等を1つの集積回路にまとめたもので、制御等の様々な用途に用いられるものである。変換部2001は、電動垂直離着陸機1が備えるセンサ10の出力を予め定めた記録形式へ変換する。予め定めた記録形式は、例えば、センサ10の出力に対応する数値を表す文字列と、検出結果を記録した時刻を表す文字列とを含むCSV(Comma Separated Values)ファイルであり、変換部2001は、センサ10の出力をCSVファイルに変換する。
【0016】
例えば、センサ10が電動垂直離着陸機1のモータの回転に応じたパルスを出力するエンコーダ又はモータドライバであれば、変換部2001は、パルスを計数してモータの回転数を算出して、算出結果の文字列化と時刻の付加を行う。また、センサ10がアナログ信号を出力するものであれば、変換部2001は、当該アナログ信号をデジタル信号に変換し、その文字列化と時刻の付加を行う。センサ10がデジタル信号を出力するものであれば、変換部2001は、当該デジタル信号の文字列化と時刻の付加を行う。
【0017】
また、記録部2002は、変換部2001が変換したセンサ10の出力を記録媒体に記録する。記録媒体は、例えば、microSDカードである。この記録媒体への記録は、マイコン200が、カードスロットを有している場合には、そのカードスロットを利用し、カードスロットを有していない場合には、マイコン200にカードスロットを接続して行う。
【0018】
ところで、マイコン200として、1つのマイコンを用いた場合、その処理能力等の関係で、接続することのできるセンサ10の数に制限が生じてしまうことがある。そのため、マイコン200として複数のマイコンを用いることで、接続することのできるセンサ10の数を増加させることが可能となる。
図2は、複数のマイコンを用いた記録装置20の構成例を示した図である。
【0019】
図2に示す記録装置20は、マイコンボード210を備え、マイコンボード210には、マイコン201とマイコン202が備えられている。マイコン201には、センサ10-1からセンサ10-nのn個のセンサが接続され、マイコン202には、センサ10-n+1からセンサ10-mのm-n個のセンサが接続されている。この
図2に示した記録装置20は、マイコン200として、第1のマイコンであるマイコン201と、第2のマイコンであるマイコン202とを含むこととなる。なお、第1のマイコンと、第2のマイコンの数に制限は無く、それぞれを2以上の数とすることもできる。第1のマイコンは、少なくとも変換部2001として動作する。もちろん、第1のマイコンが、変換部2001及び記録部2002として動作してもよい。また、第2のマイコンは、少なくとも記録部2002として動作する。もちろん、第1のマイコンが、変換部2001及び記録部2002として動作してもよい。
【0020】
なお、第1のマイコンと第2のマイコンのうち、記録部2002として動作するマイコンは、時刻の計時を行う。また、記録部2002として動作するマイコンが複数存在する場合には、その複数のマイコン間で計時する時刻を同期させている。電源遮断時については、時刻情報を保持するためにボタン電池などの小型の電池が用いられてもよい。また、GPS(Global Positioning System)、電波時計、他のデバイスからの受信によって保持されてもよい。
【0021】
ところで、記録装置20では、マイコンが少なくとも1つ配置されたマイコンボードを複数備えるように構成し、これらのマイコンボードを、重ねて配置するようにしてもよい。
図3は、マイコンボードの配置例を示した図である。同図に示すように、マイコンボード211には、マイコン203とマイコン204が備えられ、マイコンボード212には、マイコン205が備えられている。そして、マイコンボード211とマイコンボード212は、重ねられた態様で配置される。もちろん、マイコンボードをさらに重ねて配置するようにすることも可能である。さらに、必要に応じて異なるモジュールを重ねることもできる。
【0022】
2.具体例1
次に、記録装置20の具体的な構成例について説明する。
図4は、記録装置20の構成例を示した図である。同図に示すように、記録装置20は、マイコンボード213とマイコンボード214を備える。また、マイコンボード213は、マイコン206と、マイコン207、電源端子2131を備え、マイコンボード214は、マイコン208と、電源端子2141と、電池2142を備える。電源端子2131と電源端子2141は、電気的に接続され、いずれかに所定の電圧の直流電源が接続されると、当該直流電源から、マイコン206、マイコン207、マイコン208、電池2142への給電が行われる。電池2142は、充電可能な電池であり、電源端子2131と電源端子2141のいずれにも直流電源が接続されていない状態で、マイコン208への給電を行う。なお、この構成は、
図1に示したマイコン200が、第3のマイコン(マイコン206)と、第4のマイコン(マイコン207)と、第5のマイコン(マイコン208)とを含む場合に相当する。
【0023】
マイコン206は、カウンタ261と、UARTポート262と、I2Cポート263とを備える。カウンタ261は、モータドライバ11又はエンコーダから入力される、モータの回転に応じたパルスを計数する。UARTポート262は、マイコン207との間でUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)規格に応じた通信を行い、I2Cポート263は、マイコン207との間でI2C(Inter-Integrated Circuit)規格に応じた通信を行う。また、マイコン206は、プログラムにより動作し、カウンタ261の計数結果に基づいて、入力されたパルスの周波数を算出する。なお、カウンタ261へは、電動垂直離着陸機1に備えられたモータの数に応じたパルスが入力される。このように、第3のマイコン(マイコン206)は、モータの回転に応じたパルスを計数し、該計数の結果からパルスの周波数を算出し、該算出した周波数を第2のマイコンからの要求に応じて該第2のマイコンへ送信する。なお、本実施例ではこのように例示して説明したが、記録装置20は存在せず、マイコン206、マイコン207がセンサの値取得と記憶を同時に行うように構成してもよい。
【0024】
マイコン207は、ADコンバータ271と、UARTポート272と、I2Cポート273と、I2Cポート274と、カードスロット275とを備える。ADコンバータ271は、電流センサ12から入力される図示しないバッテリから図示しないモータに流れる電流の電流値を示すアナログ信号を、デジタル信号に変換する。UARTポート272は、マイコン206との間でUART規格に応じた通信を行い、I2Cポート273は、マイコン206との間でI2C規格に応じた通信を行う。また、I2Cポート274は、電圧センサ13が出力する図示しないバッテリの端子電圧をI2C規格に応じた通信で受け取るとともに、マイコン208との間でI2C規格に応じた通信を行う。カードスロット275は、microSDカードへの記録を行う。また、マイコン207は、プログラムにより動作し、起動時又は定期的にマイコン208から時刻情報を取得して、当該時刻情報に基づいて現在時刻を計時し、マイコン206からパルスの周波数を取得して、この周波数に基づいて図示しないモータの回転数を算出し、算出した回転数、電流値、電圧値のそれぞれに時刻を付加して、microSDカードへの記録を行う。このように、第4のマイコン(マイコン207)は、第5のマイコン(マイコン208)から時刻情報を取得し、該第5のマイコンと同期した時刻の計時を行い、第3のマイコン(マイコン206)から周波数を取得し、該取得した周波数に基づいてモータの回転数を算出し、該算出した回転数を時刻とともに第1の記録媒体に記録し、バッテリからモータに流れる電流値を示すアナログ信号を取得し、該取得したアナログ信号をデジタル信号に変換し、該変換した電流値を時刻とともに第1の記録媒体に記録する。
【0025】
マイコン208は、UARTポート281と、I2Cポート282と、RTC283と、カードスロット284とを備える。UARTポート281は、UART規格に応じた通信により、振動センサ14が出力する電動垂直離着陸機1の振動に応じた信号を受け取る。I2Cポート282は、マイコン207との間でI2C規格に応じた通信を行い、マイコン207からの要求に応じて時刻情報を通知する。RTC283は、RTC(Real Time Clock)として動作し、時刻の計時を行う。このRTC283は、電池2142からの給電を受けることで、常時動作する。カードスロット284は、microSDカードへの記録を行う。また、マイコン208は、プログラムにより動作し、起動時又は定期的にマイコン207からの要求に応じて、マイコン207へ時刻情報を通知し、振動センサ14が出力した値に時刻を付加して、microSDカードへの記録を行う。このように、第5のマイコン(マイコン208)は、時刻を計時し、第4のマイコン(マイコン207)からの要求に応じて該計時している時刻を時刻情報として送信し、電動垂直離着陸機の振動を示すデジタル信号を取得し、該取得したデジタル信号が示す振動を第2の記録媒体に記録する。
【0026】
続いて、
図4に示した記録装置20の動作の流れを説明する。
図5は、記録装置20の動作の流れを示すアクティビティ図である。なお、ここで説明する動作の流れは、動作の一部が省略されている。
【0027】
マイコン206は、起動すると、カウンタ261が、図示しないモータの回転に応じたパルスの計数を行うとともに(A101)、その計数結果に基づいて、当該パルスの周波数を算出する(A111)。これらの処理は、繰り返し行われる。また、マイコン206は、マイコン207からの要求を受けると、最後に算出した周波数を、マイコン207に通知する(A112)。
【0028】
一方、マイコン207は、ADコンバータ271が、電流センサ12から入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する(A201)。また、マイコン207は、起動後に、マイコン208へ時刻情報の通知を要求し、これに応じて通知された時刻情報に基づいて計時する時刻の調整を行い、マイコン208と時刻の同期を行う(A211)。その後、マイコン207は、電圧センサ13から電圧値を取得し(A212)、ADコンバータ271が変換した電流値を取得し(A213)、マイコン206からパルスの周波数を取得して(A214)、この周波数に基づいて図示しないモータの回転数を算出し(A215)、これらをmicroSDカードへ記録する(A216)。これらの処理は、繰り返し行われる。
【0029】
また、マイコン208は、マイコン207から時刻情報の通知が要求された場合には、マイコン207へ時刻情報を通知し(A301)、振動センサ14から電動垂直離着陸機1の振動値を取得し(A302)、取得した振動値をmicroSDカードへ記録する(A303)。これらの処理は、繰り返し行われる。
【0030】
3.具体例2
ここで、記録装置20の具体的な構成例の別例について説明する。この例では、マイコンは、第1のマイコンと、第2のマイコンと、第3のマイコンを含み、第2のマイコンは、モータの回転に応じたパルスを計数し、該計数の結果からパルスの周波数を算出し、算出した周波数を第1のマイコンからの要求に応じて該第1のマイコンへ送信する。第3のマイコンは、時刻情報を保持し、他のマイコンと同期した時刻の計時を行い、第2のマイコンから周波数を取得し、取得した周波数に基づいてモータの回転数を算出し、算出した回転数を時刻とともに第1の記録媒体に記録し、バッテリからモータドライバに流れる電流値を示すアナログ信号を取得し、該取得したアナログ信号をデジタル信号に変換し、該変換した電流値を時刻とともに第1の記録媒体に記録する。また、第3のマイコンは、時刻を計時し、第1のマイコンからの要求に応じて該計時している時刻を時刻情報として送信し、電動垂直離着陸機の振動を示すデジタル信号を取得し、該取得したデジタル信号が示す振動を第1の記録媒体に記録する。
【0031】
4.記録装置の配置例
次に、記録装置20を電動垂直離着陸機1に配置する際の配置位置について説明する。
図6は、記録装置20の配置例を示した図である。電動垂直離着陸機1が、荷物等を吊り下げて飛行するタイプのものである場合には、電動垂直離着陸機1は、比較的小型で、記録装置20の配置位置が、飛行性能に影響を及ぼす可能性がある。このため、記録装置20は、
図6に示すように、電動垂直離着陸機1の中心部等に配置される。また、電動垂直離着陸機1が人の乗用が可能なタイプの場合には、電動垂直離着陸機1は、比較的大型であるため、記録装置20は、キャビン内等の任意の位置に配置することができる。
【0032】
5.記録装置の重量
次に、記録装置20の重量について説明する。記録装置20の重量は、小さいほど望ましいのはもちろんであるが、少なくとも、電動垂直離着陸機1の最大積載量以下である必要がある。また、電動垂直離着陸機1の機体が大きくなれば、記録装置20とセンサを接続するケーブル長も増え、流れる電流が大きくなれば電流センサも大きくなり、重量に大きく影響を与え、計測項目が増えた場合も同様に、重量に大きく影響を与えこととなる。このため、センサの重量と、記録装置20の重量との和は、例えば、電動垂直離着陸機1を含めた全重量の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10%以下であり、全重量の2%以下であることが好ましい。
【0033】
6.その他
本発明は、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0034】
(1)電動垂直離着陸機に備えられる記録装置であって、変換部と、記録部とを備え、前記変換部は、電動垂直離着陸機が備えるセンサの出力を予め定めた記録形式へ変換し、前記記録部は、前記変換部が変換した出力を記録媒体に記録し、前記センサは、電動垂直離着陸機が備えるモータの回転速度と、前記電動垂直離着陸機が備えるバッテリの端子電圧または電流と、前記バッテリからモータ制御装置へ流れる電圧または電流と、前記モータ制御装置を経るものを含み、前記バッテリから前記モータに流れる電圧または電流と、前記電動垂直離着陸機の振動と、前記電動垂直離着陸機の高度と、前記電動垂直離着陸機の位置と、前記電動垂直離着陸機の姿勢と、前記電動垂直離着陸機のバッテリの温度と、前記電動垂直離着陸機のモータの温度と、前記電動垂直離着陸機が位置する環境の気温と、前記電動垂直離着陸機が位置する環境の気圧との少なくとも1つを検出する記録装置。
【0035】
(2)上記(1)に記載の記録装置において、マイコンを備え、前記マイコンは、前記変換部及び前記記録部として動作する記録装置。
【0036】
(3)上記(2)に記載の記録装置において、前記マイコンは、第1のマイコンと、第2のマイコンとを含み、前記第1のマイコンは、少なくとも前記変換部として動作し、前記第2のマイコンは、少なくとも前記記録部として動作する記録装置。
【0037】
(4)上記(3)に記載の記録装置において、前記マイコンのうち、前記記録部として動作するマイコンは、時刻の計時を行い、前記記録形式は、検出結果を記録した時刻を含む記録装置。
【0038】
(5)上記(4)に記載の記録装置において、前記マイコンのうち、前記記録部として動作するマイコンが複数存在する場合には、該複数のマイコン間で計時する時刻を同期させる記録装置。
【0039】
(6)上記(3)乃至(5)のいずれか1つに記載の電記録装置において、前記マイコンは、第3のマイコンを含み、前記第2のマイコンは、前記モータの回転に応じたパルスを計数し、該計数の結果から前記パルスの周波数を算出し、該算出した周波数を前記第1のマイコンからの要求に応じて該第1のマイコンへ送信し、前記第3のマイコンは、時刻情報を保持し、他のマイコンと同期した時刻の計時を行い、前記第2のマイコンから前記周波数を取得し、該取得した周波数に基づいて前記モータの回転数を算出し、該算出した回転数を時刻とともに第1の記録媒体に記録し、前記バッテリから前記モータドライバに流れる電流値を示すアナログ信号を取得し、該取得したアナログ信号をデジタル信号に変換し、該変換した電流値を時刻とともに前記第1の記録媒体に記録し、前記第3のマイコンは、時刻を計時し、前記第1のマイコンからの要求に応じて該計時している時刻を前記時刻情報として送信し、前記電動垂直離着陸機の振動を示すデジタル信号を取得し、該取得したデジタル信号が示す振動を前記第1の記録媒体に記録する記録装置。
【0040】
(7)上記(3)乃至(6)のいずれか1つに記載の記録装置において、前記マイコンが少なくとも1つ配置されたマイコンボードを複数備え、前記マイコンボードは、重ねられて配置される記録装置。
【0041】
(8)電動垂直離着陸機であって、上記(1)乃至(7)のいずれか1つに記載の記録装置と、センサとを備え、前記センサは、電動垂直離着陸機が備えるモータの回転速度と、前記電動垂直離着陸機が備えるバッテリの端子電圧と、前記バッテリから前記モータに流れる電流と、前記電動垂直離着陸機の振動と、前記電動垂直離着陸機の高度と、前記電動垂直離着陸機の位置と、前記電動垂直離着陸機のバッテリの温度と、前記電動垂直離着陸機のモータの温度と、前記電動垂直離着陸機の姿勢と、前記電動垂直離着陸機が位置する環境の気温と、前記電動垂直離着陸機が位置する環境の気圧との少なくとも1つを検出する電動垂直離着陸機。
【0042】
(9)上記(8)に記載の電動垂直離着陸機において、前記センサの重量と、前記記録装置の重量との和は、全重量の2%以下である電動垂直離着陸機。
もちろん、この限りではない。
【0043】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0044】
1 :電動垂直離着陸機
10 :センサ
10-1 :センサ
10-2 :センサ
10-n :センサ
10-n+1 :センサ
10-m :センサ
11 :モータドライバ
12 :電流センサ
13 :電圧センサ
14 :振動センサ
20 :記録装置
200 :マイコン
201 :マイコン
202 :マイコン
203 :マイコン
204 :マイコン
205 :マイコン
206 :マイコン
207 :マイコン
208 :マイコン
210 :マイコンボード
211 :マイコンボード
212 :マイコンボード
213 :マイコンボード
214 :マイコンボード
261 :カウンタ
262 :UARTポート
263 :I2Cポート
271 :ADコンバータ
272 :UARTポート
273 :I2Cポート
274 :I2Cポート
275 :カードスロット
281 :UARTポート
282 :I2Cポート
283 :RTC
284 :カードスロット
2001 :変換部
2002 :記録部
2131 :電源端子
2141 :電源端子
2142 :電池