(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117376
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】画像生成方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20240822BHJP
H04N 1/387 20060101ALI20240822BHJP
H04N 1/393 20060101ALI20240822BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240822BHJP
【FI】
H04N23/60 500
H04N23/60 300
H04N1/387 110
H04N1/393
G03B15/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023443
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】安田 拓矢
【テーマコード(参考)】
5C076
5C122
【Fターム(参考)】
5C076AA19
5C076AA22
5C076AA36
5C076BA06
5C122DA12
5C122EA12
5C122EA68
5C122FH07
5C122FH09
5C122FH11
5C122FH14
5C122FH18
5C122GA20
5C122GA28
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】撮影により得られた複数の画像を合成することにより、観察用の画像を生成する処理において、メモリに必要とされる記憶容量を低減できる技術を提供する。
【解決手段】まず、複数の部分画像のそれぞれを縮小することにより、複数の縮小部分画像を生成する(S1)。次に、複数の縮小部分画像を合成することにより、縮小合成画像を生成する(S2)。続いて、縮小合成画像において、観察領域に相当する縮小観察領域を検出する(S3)。そして、縮小観察領域に基づいて、縮小されていない観察領域を算出する(S4)。その後、複数の部分画像のうち、観察領域に対応する部分画像を合成することにより、観察画像を生成する(S5-S6)。これにより、縮小されていない合成画像において観察領域を検出する場合よりも、メモリの記憶容量を低減できる。また、撮影領域全体の合成画像を生成する場合よりも、メモリの記憶容量を低減できる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象物を含む撮影領域を複数の領域に分けて撮影することにより得られた複数の部分画像から、前記撮影領域よりも狭い観察領域の合成画像である観察画像を生成する画像生成方法であって、
メモリを有するコンピュータに、
(a)前記複数の部分画像のそれぞれを縮小することにより、複数の縮小部分画像を生成する工程と、
(b)前記複数の縮小部分画像を合成することにより、縮小合成画像を生成する工程と、
(c)前記縮小合成画像において、前記観察領域に相当する縮小観察領域を検出する工程と、
(d)前記縮小観察領域に基づいて、縮小されていない前記観察領域を算出する工程と、
(e)前記複数の部分画像のうち、前記観察領域に対応する部分画像を合成することにより、前記観察画像を生成する工程と、
を実行させる、画像生成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の画像生成方法であって、
前記工程(d)の後、前記複数の部分画像のうち、前記観察領域に対応しない部分画像を前記メモリから削除する、画像生成方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像生成方法であって、
前記工程(e)は、
(e-1)前記観察領域を、第1分割領域および第2分割領域を含む複数の領域に分割する工程と、
(e-2)前記複数の部分画像のうち、前記第1分割領域に対応する部分画像を合成することにより、前記第1分割領域の合成画像を生成する工程と、
(e-3)前記複数の部分画像のうち、前記第2分割領域に対応する部分画像を合成することにより、前記第2分割領域の合成画像を生成する工程と、
を含み、
前記工程(e-2)の完了後に、前記工程(e-3)を実行する、画像生成方法。
【請求項4】
請求項3に記載の画像生成方法であって、
前記工程(e-2)の後、前記第1分割領域に対応する部分画像を前記メモリから削除する、画像生成方法。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の画像生成方法であって、
前記工程(c)では、前記観察領域中の注目領域に相当する縮小注目領域をさらに検出し、
前記工程(d)では、前記縮小注目領域に基づいて、縮小されていない前記注目領域を算出する、画像生成方法。
【請求項6】
請求項5に記載の画像生成方法であって、
前記工程(a)では、前記部分画像を1/N倍に縮小し、
前記工程(d)では、前記縮小注目領域をN倍に拡大した領域よりも広い領域を、前記注目領域として決定する、画像生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影により得られた複数の画像を合成して、観察用の画像を生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウェルプレート等の試料容器内で培養された細胞を、高解像度で撮影する撮像装置が知られている。従来の撮像装置については、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の撮像装置は、試料容器を複数の領域に分けて撮影し、得られた画像を合成することにより、1枚の観察画像を生成する。しかしながら、試料容器をより高倍率・高解像度で撮影しようとすると、画像の合成処理において取り扱うデータのサイズが大きくなる。その場合、当該合成処理を行うコンピュータに、大容量のメモリが必要となる。また、取り扱うデータのサイズが大きくなると、画像の合成処理を、高速で行うことが困難となる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、撮影により得られた複数の画像を合成することにより、観察用の画像を生成する処理において、メモリに必要とされる記憶容量を低減できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、観察対象物を含む撮影領域を複数の領域に分けて撮影することにより得られた複数の部分画像から、前記撮影領域よりも狭い観察領域の合成画像である観察画像を生成する画像生成方法であって、メモリを有するコンピュータに、(a)前記複数の部分画像のそれぞれを縮小することにより、複数の縮小部分画像を生成する工程と、(b)前記複数の縮小部分画像を合成することにより、縮小合成画像を生成する工程と、(c)前記縮小合成画像において、前記観察領域に相当する縮小観察領域を検出する工程と、(d)前記縮小観察領域に基づいて、縮小されていない前記観察領域を算出する工程と、(e)前記複数の部分画像のうち、前記観察領域に対応する部分画像を合成することにより、前記観察画像を生成する工程と、を実行させる。
【0007】
本願の第2発明は、第1発明の画像生成方法であって、前記工程(d)の後、前記複数の部分画像のうち、前記観察領域に対応しない部分画像を前記メモリから削除する。
【0008】
本願の第3発明は、第1発明または第2発明の画像生成方法であって、前記工程(e)は、(e-1)前記観察領域を、第1分割領域および第2分割領域を含む複数の領域に分割する工程と、(e-2)前記複数の部分画像のうち、前記第1分割領域に対応する部分画像を合成することにより、前記第1分割領域の合成画像を生成する工程と、(e-3)前記複数の部分画像のうち、前記第2分割領域に対応する部分画像を合成することにより、前記第2分割領域の合成画像を生成する工程と、を含み、前記工程(e-2)の完了後に、前記工程(e-3)を実行する。
【0009】
本願の第4発明は、第3発明の画像生成方法であって、前記工程(e-2)の後、前記第1分割領域に対応する部分画像を前記メモリから削除する。
【0010】
本願の第5発明は、第1発明から第4発明までのいずれか1発明の画像生成方法であって、前記工程(c)では、前記観察領域中の注目領域に相当する縮小注目領域をさらに検出し、前記工程(d)では、前記縮小注目領域に基づいて、縮小されていない前記注目領域を算出する。
【0011】
本願の第6発明は、第5発明の画像生成方法であって、前記工程(a)では、前記部分画像を1/N倍に縮小し、前記工程(d)では、前記縮小注目領域をN倍に拡大した領域よりも広い領域を、前記注目領域として決定する。
【発明の効果】
【0012】
第1発明~第6発明によれば、縮小合成画像において検出された縮小観察領域に基づいて、縮小されていない観察領域を算出する。これにより、縮小されていない合成画像において観察領域を検出する場合よりも、取り扱うデータのサイズを小さくすることができる。その結果、メモリに必要とされる記憶容量を低減できる。
【0013】
また、第1発明~第6発明によれば、複数の部分画像のうち、観察領域に対応する部分画像のみを合成して、観察画像を生成する。これにより、撮影領域全体の合成画像を生成する場合よりも、取り扱うデータのサイズを小さくすることができる。その結果、メモリに必要とされる記憶容量を低減できる。
【0014】
特に、第2発明によれば、観察領域に対応しない部分画像をメモリから削除することにより、メモリに必要とされる記憶容量を、より低減できる。
【0015】
特に、第3発明によれば、分割領域ごとに、異なるタイミングで部分画像の合成を行う。これにより、各時点において必要なメモリの記憶容量を、より低減できる。
【0016】
特に、第4発明によれば、合成済みの部分画像をメモリから削除することにより、記憶領域を開放する。これにより、必要なメモリの記憶容量を、より低減できる。
【0017】
特に、第5発明によれば、縮小合成画像において検出された縮小注目領域に基づいて、縮小されていない注目領域を算出する。これにより、縮小されていない合成画像において注目領域を検出する場合よりも、必要なメモリの記憶容量を低減できる。
【0018】
特に、第6発明によれば、縮小注目領域の誤差を考慮して、注目領域を広めに設定する。これにより、注目領域を不足なく設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図3】観察画像の生成手順を示したフローチャートである。
【
図4】ステップS1の処理の様子を示した図である。
【
図5】ステップS2の処理の様子を示した図である。
【
図6】ステップS3の処理の様子を示した図である。
【
図7】ステップS4の処理の様子を示した図である。
【
図8】ステップS5の処理の様子を示した図である。
【
図9】ステップS6の処理の様子を示した図である。
【
図10】ステップS6の処理の様子を示した図である。
【
図11】第1変形例に係る観察画像の生成手順を示したフローチャートである。
【
図12】ステップS4~S4Aの処理の様子を示した図である。
【
図13】ステップS5Aの処理の様子を示した図である。
【
図14】第2変形例に係る観察画像の生成手順を示したフローチャートである。
【
図15】ステップS3Bの処理の様子を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
<1.撮像装置について>
図1は、本発明の画像生成方法が実行される撮像装置1の例を示した図である。この撮像装置1は、観察対象物である細胞9を保持した試料容器を、高解像度で撮影する装置である。試料容器には、例えばウェルプレート90が用いられる。ウェルプレート90は、光を透過する透明な樹脂により形成される。ウェルプレート90は、複数のウェル91を有する。ウェル91は、ウェルプレート90の上面から下方へ向けて窪んだ凹部である。上面視におけるウェル91の形状は、例えば円形である。細胞9は、各ウェル91の中に、培養液とともに保持される。
【0022】
観察対象物は、単一の細胞9であってもよく、あるいは、複数の細胞9により形成される細胞塊(スフェロイド)であってもよい。また、観察対象物は、生体の組織または組織の一部分であってもよい。
【0023】
図1に示すように、撮像装置1は、ステージ10、投光部20、投光部移動機構30、カメラ40、カメラ移動機構50、およびコンピュータ60を備えている。
【0024】
ステージ10は、ウェルプレート90を保持する載置台である。撮像装置1内におけるステージ10の位置は、少なくとも撮影時には固定される。ステージ10の中央には、上下に貫通する矩形の開口部11が設けられている。また、ステージ10は、開口部11の周囲に、ウェルプレート90の外形に沿った支持面12を有する。ウェルプレート90は、開口部11に嵌め込まれるとともに、支持面12によって水平に支持される。したがって、複数のウェル91の上部および下部は、ステージ10に塞がれることなく露出する。
【0025】
投光部20は、ステージ10に保持されたウェルプレート90の上方に配置される。投光部20は、LED等の光源を有する。細胞9の撮影時には、投光部20内の光源が発光する。これにより、投光部20からウェルプレート90へ向けて、下向きの照明光(落射照明)が出射される。
【0026】
投光部移動機構30は、ステージ10に保持されたウェルプレート90の上面に沿って、投光部20を水平方向に移動させる機構である。投光部移動機構30には、例えば、モータの回転運動をボールねじを介して直進運動に変換する機構が用いられる。投光部移動機構30は、ウェルプレート90に対して投光部20を、
図1中の左右方向および奥行き方向に、微小なピッチで移動させることができる。投光部20の移動のピッチは、1つのウェル91の大きさよりも小さい。
【0027】
カメラ40は、ステージ10に保持されたウェルプレート90の下方に配置される。カメラ40は、レンズ等の光学系41と、CCDやCMOS等の撮像素子42とを有する。細胞9の撮影時には、投光部20からウェルプレート90の一部分へ向けて、下向きの照明光を出射しつつ、カメラ40が、ウェルプレート90の当該部分を撮影する。これにより、カメラ40は、ウェルプレート90の当該部分の画像を取得する。画像は、画素毎に階調値をもつデジタルデータである。カメラ40は、取得された画像をコンピュータ60へ出力する。
【0028】
カメラ移動機構50は、ステージ10に保持されたウェルプレート90の下面に沿って、カメラ40を水平に移動させる機構である。カメラ移動機構50には、例えば、モータの回転運動をボールねじを介して直進運動に変換する機構が用いられる。カメラ移動機構50は、ウェルプレート90に対してカメラ40を、
図1中の左右方向および奥行き方向に、微小なピッチで移動させることができる。カメラ40の移動のピッチは、1つのウェル91の大きさよりも小さい。
【0029】
上述した投光部移動機構30と、カメラ移動機構50とは、同一のピッチで同期駆動される。これにより、投光部20とカメラ40とは、上面視において、常に同じ位置に配置される。すなわち、投光部20とカメラ40とは、同じ向きに同じ距離だけ移動し、ウェルプレート90のある部分の下方位置にカメラ40が配置されたときには、必ず、ウェルプレート90の当該部分の上方位置に投光部20が配置される。
【0030】
コンピュータ60は、CPU等のプロセッサ61、RAM等のメモリ62、およびハードディスクドライブ等の記憶部63を有する。記憶部63には、撮像装置1に撮影処理を実行させるための制御プログラムP1と、撮影により得られた画像を処理する画像処理プログラムP2とが、記憶されている。
【0031】
図1に示すように、コンピュータ60は、上述した投光部20、投光部移動機構30、カメラ40、およびカメラ移動機構50と、それぞれ通信可能に接続されている。コンピュータ60は、制御プログラムP1に従って、これらの各部を動作制御する。これにより、撮像装置1における撮影処理が進行する。
【0032】
カメラ40は、1つのウェル91を含む撮影領域を、複数の領域に分けて撮影する。すなわち、カメラ40が1回の撮影で撮影する領域は、平面視における1つのウェル91の大きさよりも小さい。撮像装置1は、カメラ40による撮影と、投光部移動機構30およびカメラ移動機構50による投光部20およびカメラ40の微小移動と、を繰り返す。これにより、ウェルプレート90の微小な領域の画像(以下「部分画像81」と称する)が、複数取得される。カメラ40は、撮影により得られた複数の部分画像81を、コンピュータ60へ出力する。これにより、コンピュータ60は、複数の部分画像81を取得する。
【0033】
<2.観察画像の生成について>
コンピュータ60は、カメラ40から入力された複数の部分画像81を、画像処理プログラムP2に従って処理することにより、観察用の合成画像(以下「観察画像87」と称する)を生成する。以下では、当該観察画像87の生成処理について、説明する。
【0034】
図2は、複数の部分画像81の例を示した図である。
図2では、ウェル91に相当する部分がグレーで示され、ウェル91以外の部分が黒色で示されている。
図3の例では、1つのウェル91を含む撮影領域が、36枚の部分画像81に分けて撮影されている。複数の部分画像81は、互いにオーバーラップする部分を有していてもよい。コンピュータ60は、得られた複数の部分画像81を、メモリ62および記憶部63に記憶させる。
【0035】
図3は、複数の部分画像81に基づいて観察画像87を生成する手順を示したフローチャートである。
図3に示すように、コンピュータ60は、まず、複数の部分画像81のそれぞれを縮小する(ステップS1)。これにより、オリジナルサイズの部分画像81よりもサイズが小さい複数の縮小部分画像82が生成される。
図4は、ステップS1の処理の様子を示した図である。
図4の例では、
図2の36枚の部分画像81のそれぞれが縮小されて、36枚の縮小部分画像82が生成されている。
【0036】
部分画像81の縮小率は、一定の倍率としてコンピュータ60に設定されていてもよい。あるいは、コンピュータ60が、メモリ62の空き容量に基づいて、縮小率を決定してもよい。
【0037】
コンピュータ60は、生成された複数の縮小部分画像82を、メモリ62に記憶させる。このとき、コンピュータ60は、メモリ62の記憶容量を節約するために、複数の縮小部分画像82を生成した後に、複数のオリジナルサイズの部分画像81を、メモリ62から一旦削除してもよい。
【0038】
次に、コンピュータ60は、複数の縮小部分画像82を合成することにより、縮小合成画像83を生成する(ステップS2)。縮小合成画像83は、撮影領域全体の画像であり、かつ、オリジナルサイズの部分画像81を合成した場合の合成画像よりもサイズが小さい画像である。
図5は、ステップS2の処理の様子を示した図である。
図5の例では、
図4で生成された36枚の縮小部分画像82が合成されて、1つの縮小合成画像83が生成されている。
【0039】
コンピュータ60は、生成された縮小合成画像83を、メモリ62に記憶させる。このとき、コンピュータ60は、メモリ62の記憶容量を節約するために、縮小合成画像83を生成した後に、複数の縮小部分画像82を、メモリ62から削除してもよい。
【0040】
続いて、コンピュータ60は、縮小合成画像83において、撮影領域よりも狭い観察領域に相当する縮小観察領域84を検出する(ステップS3)。
図6は、ステップS3の処理の様子を示した図である。
図6の例では、ウェル91に相当する円形の領域を含む矩形状の領域が、縮小観察領域84として検出されている。縮小観察領域84は、画素毎に階調値をもつ画像データではなく、二次元の座標範囲を示す情報である。このため、縮小観察領域84のデータ量は、同じサイズの画像のデータ量よりも小さい。
【0041】
コンピュータ60は、検出された縮小観察領域84を、メモリ62に記憶させる。このとき、コンピュータ60は、メモリ62の記憶容量を節約するために、縮小観察領域84を検出した後に、縮小合成画像83を、メモリ62から削除してもよい。
【0042】
続いて、コンピュータ60は、縮小観察領域84に基づいて、縮小されていないオリジナルサイズの観察領域85を算出する(ステップS4)。
図7は、ステップS4の処理の様子を示した図である。
図7のように、コンピュータ60は、縮小観察領域84を、所定の原点を中心として拡大することにより、オリジナルサイズの観察領域85を算出する。観察領域の拡大率は、ステップS1における部分画像81の縮小率の逆数とする。例えば、Nを1よりも大きい数として、ステップS1で部分画像81を1/N倍に縮小した場合、ステップS4では、縮小観察領域84をN倍に拡大する。
【0043】
続いて、コンピュータ60は、複数のオリジナルサイズの部分画像81のうち、観察領域85に対応する部分画像81を選択する(ステップS5)。
図8は、ステップS5の処理の様子を示した図である。
図8に示すように、コンピュータ60は、複数の部分画像81のうち、観察領域85の少なくとも一部分を含む部分画像81を選択する。そして、選択された部分画像81を記憶部63からメモリ62へ読み出す。
【0044】
コンピュータ60は、複数の部分画像81のうち、観察領域85に対応しない部分画像81(
図8において二点鎖線で示した部分画像81)は、メモリ62へ読み出さない。また、観察領域85に対応しない部分画像81がメモリ62に記憶されている場合には、当該部分画像81をメモリ62から削除する。
【0045】
その後、コンピュータ60は、ステップS5で選択された複数の部分画像81を合成することにより、観察領域85の合成画像である観察画像87を生成する(ステップS6)。
図9および
図10は、ステップS6の処理の様子を示した図である。コンピュータ60は、まず、
図9のように、選択された複数の部分画像81を合成することにより、合成画像86を生成する。その後、コンピュータ60は、
図10のように、合成画像86から観察領域85を切り出す。これにより、オリジナルサイズの観察領域85の画像である観察画像87が生成される。
【0046】
以上のように、コンピュータ60は、最初に、複数の部分画像81を縮小してから合成することにより、縮小合成画像83を生成する。そして、コンピュータ60は、縮小合成画像83において、観察領域に相当する縮小観察領域84を検出する。そして、コンピュータ60は、当該縮小観察領域84から、縮小されていないオリジナルサイズの観察領域85を算出する。これにより、縮小されていない合成画像において観察領域85を検出する場合よりも、観察領域85の検出に必要なメモリ62の記憶容量を低減できる。また、取り扱うデータのサイズが小さくなるため、コンピュータ60は、観察領域85の検出を高速で行うことができる。
【0047】
また、コンピュータ60は、複数の部分画像81のうち、観察領域85に対応する部分画像81のみを合成して、観察画像87を生成する。これにより、撮影領域の全ての部分画像81を使用して撮影領域全体の合成画像を生成する場合よりも、合成画像の生成に必要なメモリ62の記憶容量を低減できる。また、取り扱うデータのサイズが小さくなるため、コンピュータ60は、観察画像87の生成を高速で行うことができる。
【0048】
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。以下では、種々の変形例について、上記実施形態との相違点を中心に説明する。
【0049】
<3-1.第1変形例>
図11は、第1変形例に係る観察画像の生成手順を示したフローチャートである。
図11の手順は、上述したステップS5~S6に代えて、ステップS4A~7Aを実行する点が、
図3の手順と異なる。
【0050】
図11の例では、ステップS4にて観察領域85を算出した後、コンピュータ60は、観察領域85を、複数の分割領域に分割する(ステップS4A)。
図12は、ステップS4~S4Aの処理の様子を示した図である。
図12の例では、観察領域85が、第1分割領域851~第4分割領域854に分割されている。コンピュータ60は、分割された第1分割領域851~第4分割領域854を、メモリ62に記憶させる。
【0051】
次に、コンピュータ60は、複数のオリジナルサイズの部分画像81のうち、第1分割領域851に対応する部分画像81を選択する(ステップS5A)。
図13は、ステップS5Aの処理の様子を示した図である。
図13に示すように、コンピュータ60は、複数の部分画像81のうち、第1分割領域851の少なくとも一部分を含む部分画像81を選択する。そして、選択された部分画像81を記憶部63からメモリ62へ読み出す。
【0052】
コンピュータ60は、複数の部分画像81のうち、第1分割領域851に対応しない部分画像81(
図13において二点鎖線で示した部分画像81)は、メモリ62へ読み出さない。また、第1分割領域851に対応しない部分画像81がメモリ62に記憶されている場合には、当該部分画像81をメモリ62から削除する。
【0053】
続いて、コンピュータ60は、ステップS5Aで選択された複数の部分画像81を合成することにより、第1分割領域851の合成画像である第1観察画像を生成する(ステップS6A)。具体的には、上述したステップS6と同様に、選択された複数の部分画像81を合成した後、得られた合成画像から第1分割領域851を切り出す。
【0054】
コンピュータ60は、第1観察画像の生成が完了すると、第1分割領域851に対応する部分画像81をメモリ62から削除する。その後、コンピュータ60は、全ての分割領域について、観察画像の生成が完了したか否かを判定する(ステップS7A)。
【0055】
全ての分割領域について観察画像の生成が完了していない場合(ステップS7A:No)、コンピュータ60は、次の分割領域について、ステップS5A~S6Aの処理を実行する。このように、このように、ステップS5A~S6Aの処理を繰り返すことにより、第1分割領域851、第2分割領域852、第3分割領域853、および第4分割領域854のそれぞれに対応する観察画像を順次に生成する。
【0056】
やがて、全ての分割領域について観察画像の生成が完了すると(ステップS7A:Yes)、コンピュータ60は、観察画像の生成処理を終了する。
【0057】
以上のように、この第1変形例では、コンピュータ60は、観察領域85を複数の分割領域851~854に分割する。そして、コンピュータ60は、観察領域85よりも小さい分割領域毎に、異なるタイミングで部分画像81の合成を行う。これにより、各時点において必要なメモリ62の記憶容量を、より低減できる。
【0058】
特に、この第1変形例では、コンピュータ60は、ステップS6Aにおいて1つの分割領域に対応する観察画像を生成した後、当該分割領域に対応する部分画像81を、メモリ62から削除する。このように、合成済みの部分画像81を、順次にメモリ62から削除すれば、メモリ62の記憶領域を効率よく開放することができる。これにより、観察画像の生成に必要なメモリ62の記憶容量を、より低減できる。
【0059】
なお、
図12の例では、1つの観察領域85を4つの分割領域851~854に分割した。しかしながら、観察領域85の分割数は、2つ、3つ、または5つ以上であってもよい。
【0060】
<3-2.第2変形例>
図14は、第2変形例に係る観察画像87の生成手順を示したフローチャートである。
図14の手順は、上述したステップS3~S4に代えて、ステップS3B~4Bを実行する点が、
図3の手順と異なる。
【0061】
図14の例では、コンピュータ60は、縮小合成画像83を生成した後、縮小観察領域84だけではなく、ウェル91に相当する縮小注目領域88を検出する(ステップS3B)。
図15は、ステップS3Bの処理の様子を示した図である。
図15の例では、縮小観察領域84の内側に、ウェル91に相当する円形の縮小注目領域88が検出されている。縮小注目領域88は、二次元座標上において、直線、n次多項式、円、またはこれらを組み合わせた近似式により表される。コンピュータ60は、検出された縮小注目領域88を、メモリ62に記憶させる。
【0062】
次に、コンピュータ60は、縮小観察領域84および縮小注目領域88に基づいて、縮小されていないオリジナルサイズの観察領域85および注目領域を算出する(ステップS4B)。コンピュータ60は、縮小観察領域84と同様に、縮小注目領域88も、所定の原点を中心として拡大することにより、オリジナルサイズの注目領域を算出する。
【0063】
以上のように、この第2変形例では、コンピュータ60は、縮小合成画像83において、縮小観察領域84だけではなく、縮小注目領域88を検出する。そして、縮小注目領域88を拡大することにより、オリジナルサイズの注目領域を算出する。このようにすれば、オリジナルサイズの合成画像において注目領域を検出する場合よりも、注目領域の検出に必要なメモリ62の記憶容量を低減できる。また、取り扱うデータのサイズが小さくなるため、コンピュータ60は、注目領域の検出を高速で行うことができる。
【0064】
ステップS4Bにおける注目領域の拡大率は、ステップS1における部分画像81の縮小率の逆数とする。例えば、Nを1よりも大きい数として、ステップS1で部分画像81を1/N倍に縮小した場合、ステップS4Bでは、縮小注目領域88をN倍に拡大する。ただし、縮小注目領域88を拡大するときに誤差が拡大されることを考慮して、縮小注目領域88をN倍に拡大した領域よりも若干広い領域を、注目領域として決定してもよい。これにより、オリジナルサイズの観察画像87において、注目領域を不足なく設定できる。
【0065】
<3-3.他の変形例>
上記の実施形態では、撮像装置1の動作制御と、観察画像87を生成するための画像処理とが、同一のコンピュータ60により行われていた。しかしながら、撮像装置1の動作制御と、観察画像87を生成するための画像処理とは、別々のコンピュータにより行われていてもよい。すなわち、本発明の画像生成方法は、複数の部分画像を取得する撮像装置のコンピュータとは別のコンピュータにより実行されるものであってもよい。
【0066】
また、上記の実施形態では、複数の部分画像81は、透過光の下で撮影されたものであった。しかしながら、本発明における複数の部分画像は、反射光などの他の条件の下で撮影されたものであってもよい。
【0067】
また、上記の実施形態では、ウェルプレート90の各ウェル91の上面視における形状が、円形であった。しかしながら、各ウェル91の上面視における形状は、円形以外の形状であってもよい。例えば、各ウェル91の上面視における形状は、角部が丸い矩形であってもよい。
【0068】
また、上記の実施形態では、観察対象物を保持する容器が、複数のウェル91を有するウェルプレート90であった。しかしながら、観察対象物を保持する容器は、単一の凹部を有するシャーレ(ペトリディッシュ)等であってもよい。
【0069】
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 撮像装置
9 細胞
10 ステージ
20 投光部
30 投光部移動機構
40 カメラ
50 カメラ移動機構
60 コンピュータ
61 プロセッサ
62 メモリ
63 記憶部
81 部分画像
82 縮小部分画像
83 縮小合成画像
84 縮小観察領域
85 観察領域
86 合成画像
87 観察画像
88 縮小注目領域
90 ウェルプレート
91 ウェル
851 第1分割領域
852 第2分割領域
853 第3分割領域
854 第4分割領域
P1 制御プログラム
P2 画像処理プログラム