(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117379
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】車載ナビゲーションシステム用のアダプター
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20240822BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
G01C21/26
G08G1/0969
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023446
(22)【出願日】2023-02-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】502365656
【氏名又は名称】株式会社日本電機サービス
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】河野 博
(72)【発明者】
【氏名】秋山 勝彦
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB20
2F129BB62
2F129BB66
2F129GG23
2F129GG28
2F129HH12
5H181AA01
5H181BB17
5H181BB18
5H181FF04
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ナビゲーションシステム等が異常を検知しないようにGPS信号を制御するためのアダプターを提供すること。
【解決手段】ナビゲーションシステム120には、車速パルス信号及びCAN-BUS信号の一方又は双方が更に提供され、ナビゲーションシステム120又は運転支援システム若しくは故障検知装置は、車速パルス信号及びCAN-BUS信号の一方又は双方が車両の停止を示すもののナビゲーションシステム120に提供されたGPS信号が車両の走行を示す状況が、車両が所定距離走行する間及び第1所定時間の一方の間継続した場合に、異常を検知するように構成され、アダプター100は、GPS信号が車両の走行を示す状況が、車両が所定距離走行する間及び第1所定時間の前記一方の間継続しないように、ナビゲーションシステム120に提供されるGPS信号を制御する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたナビゲーションシステムに提供されるGPS信号を制御するためのアダプターであって、
前記ナビゲーションシステムには、車速パルス信号及びCAN-BUS信号の一方又は双方が更に提供され、前記ナビゲーションシステム又は該ナビゲーションシステムと連携する運転支援システム若しくは故障検知装置は、前記ナビゲーションシステムに提供された車速パルス信号及びCAN-BUS信号の前記一方又は双方が前記車両の停止を示すものの前記ナビゲーションシステムに提供された前記GPS信号が前記車両の走行を示す状況が、前記車両が所定距離走行する間及び第1所定時間の一方の間継続した場合に、異常を検知するように構成され、
前記アダプターは、前記ナビゲーションシステムに提供された前記GPS信号が前記車両の走行を示す状況が、前記車両が所定距離走行する間及び第1所定時間の前記一方の間継続しないように、前記ナビゲーションシステムに提供される前記GPS信号を制御するように構成された、
アダプター。
【請求項2】
請求項1に記載のアダプターであって、
前記ナビゲーションシステム又は該ナビゲーションシステムと連携する運転支援システム若しくは故障検知装置は、前記ナビゲーションシステムに提供された車速パルス信号及びCAN-BUS信号の前記一方又は双方が前記車両の停止を示すものの前記ナビゲーションシステムに提供された前記GPS信号が前記車両の走行を示す状況が、前記車両が所定距離走行する間継続した場合に、異常を検知するように構成され、
前記アダプターは、前記GPS信号を前記ナビゲーションシステムに提供しない第1期間と提供する第2期間とを繰り返し、前記第2期間は、直前の前記第1期間の終了後、前記車両が前記所定距離走行する前に終了するように更に構成された
アダプター。
【請求項3】
請求項2に記載のアダプターであって、
前記車両から前記車速パルス信号を受信し、
受信した前記車速パルス信号に基づき走行距離を決定する
ように更に構成されたアダプター。
【請求項4】
請求項1に記載のアダプターであって、
前記ナビゲーションシステム又は該ナビゲーションシステムと連携する運転支援システム若しくは故障検知装置は、前記ナビゲーションシステムに提供された車速パルス信号及びCAN-BUS信号の前記一方又は双方が前記車両の停止を示すものの前記ナビゲーションシステムに提供された前記GPS信号が前記車両の走行を示す状況が、前記第1所定時間継続した場合に、異常を検知するように構成され、
前記アダプターは、前記GPS信号を前記ナビゲーションシステムに提供しない第1期間と提供する第2期間とを繰り返し、前記第2期間の長さは、前記第1所定時間未満であるように更に構成された、
アダプター。
【請求項5】
請求項2又は4に記載のアダプターであって、
前記ナビゲーションシステム又は該ナビゲーションシステムと連携する運転支援システム若しくは故障検知装置は、前記GPS信号が提供されない状況が第2所定時間継続した場合に、異常を検知するように更に構成され、
前記第1期間の長さは、前記第2所定時間未満であるように構成された、
アダプター。
【請求項6】
請求項2に記載されたアダプターであって、
前記第1期間の長さと、
直前の前記第1期間の終了後、前記第2期間を終了させるまでに前記車両が走行可能な距離と
の一方又は双方を変更可能なように更に構成されたアダプター。
【請求項7】
請求項4に記載されたアダプターであって、前記第1期間の長さと前記第2期間の長さとの一方又は双方を変更可能なように更に構成されたアダプター。
【請求項8】
請求項2又は4に記載されたアダプターであって、
GPSアンテナと前記ナビゲーションシステムとの間に挿入され、前記GPS信号を遮断するリレーを含むか又は該リレーに接続されていることと、
GPSアンテナと前記ナビゲーションシステムとの間に挿入され、前記GPS信号を遮断又は阻害する電子回路を含むか又は該電子回路に接続されていることと、
前記GPSアンテナと前記ナビゲーションシステムとの間のケーブルに取り付けられ、前記GPS信号を阻害するGPS受信阻害装置を含むか又は該阻害装置に接続されていることと、
前記GPSアンテナ又は該GPSアンテナの付近に取り付けられ、前記GPS信号を阻害するGPS受信阻害装置に接続されていることと
のうちの1つを更に特徴とするアダプター。
【請求項9】
請求項1に記載のアダプターであって、
前記ナビゲーションシステムは、提供された前記車速パルス信号においてパルスが検出される状況が第3所定時間継続した場合に無効となるテレビ視聴機能を有し、
前記アダプターは、前記ナビゲーションシステムに提供された前記車速パルス信号においてパルスが検出される状況が前記第3所定時間継続しないように、前記ナビゲーションシステムに提供される前記車速パルス信号を制御するように更に構成された、
アダプター。
【請求項10】
請求項9に記載のアダプターであって、
前記車両から車速パルス信号を受信し、
車速パルス信号としてパルスを前記ナビゲーションシステムに送信する第3期間と送信しない第4期間とを繰り返し、前記第3期間の長さは、前記第3所定時間より短く、
前記車両から受信した前記車速パルス信号において前記第3期間と前記第4期間とを合わせた期間に含まれる数のパルスが、前記第3期間内に送信されるように、前記ナビゲーションシステムに提供される前記車速パルス信号を制御する
ように更に構成されたアダプター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載ナビゲーションシステム用のアダプターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載ナビゲーションシステム(特に、純正のナビゲーションシステム。)には、車両の走行中に運転者がテレビの視聴を行うとわき見運転の可能性があるため、安全性を考慮し、走行中はテレビの視聴ができないような機能が搭載されている。しかしながら、それでは運転に支障の無い助手席の同乗者も走行中にテレビを視聴することができないために、走行中であってもテレビの視聴が出来るようにするアダプターが製造販売されている。
【0003】
上記のようなナビゲーションシステムは、車速パルス信号(車両の走行速度に応じたパルス(以下、「車速パルス」ともいう。)が含まれる信号)やこれらに類する信号(CAN(Controller Area Network)-BUS信号やGPS(Global Positioning System)信号等。)を用いて車両が走行中であることを検知し、車両が走行中であることを検知した場合にテレビの視聴ができないように構成されているところ、従来の車載用テレビアダプターでは、車両が走行中であっても停止中であるかのように上記信号を変換してナビゲーション装置に送信する(上記信号が純正ナビゲーション装置に送信されないように遮断し、所定の信号を送信することを含む。)という手法によって、走行中であってもテレビの視聴ができるようにしている(例えば、特許文献1。)。
【0004】
しかしながら、従来の手法は、車両に搭載されている運転支援システム(安全運転支援システムを含む。)や車両の故障検知装置等(以下、「運転支援システム等」ともいう。)の動作に障害をもたらすことがあった。
【0005】
詳述すると、近年の運転支援システムには、前方に障害物があった場合に自動でブレーキ操作を行う自動ブレーキや、前方を走行する車両に追従走行するクルーズコントロール、道路のカーブ等がある場合に自動で減速するブレーキアシスト、走行車線からはみ出さないようにハンドルの操作をアシストするハンドルアシスト等、呼び名は自動車メーカーによって異なるが様々な運転を支援する装置が搭載されており、これらにはナビゲーションシステムと連携して動作するものがある。故障検知装置についても、ナビゲーションシステムと連携して動作するものがある。
【0006】
しかしながら、従来の手法を用いた結果、例えば、入力されるGPS信号からは車両が走行中であると判定される一方で、車速パルス信号又はCAN-BUS信号からは車両が停止中であると判定されるという状況が発生し、当該状況下で一定距離又は一定時間車両が走行した場合、ナビゲーションシステム又は該ナビゲーションシステムと連携する運転支援システム等(以下、「ナビゲーションシステム等」ともいう。)は、入力信号が異常な状態であると判定し、該ナビゲーションシステム等の一部又は全部の動作を停止してしまう場合があった。
【0007】
また、GPSアンテナの接続ケーブルにリレー等を挿入して、ナビゲーションシステムに入力されるGPS信号を遮断するという手法があるが、GPS信号が遮断され一定時間以上GPS信号の入力がないと、ナビゲーションシステム等は、GPSアンテナの接続異常を検出し、同様にナビゲーションシステム等の一部または全部の動作を停止してしまう場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示は以上に鑑みてなされたものであり、本開示のある実施形態の課題は、ナビゲーションシステム等が異常を検知しないようにGPS信号を制御するためのアダプターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本開示の一実施形態によれば、車両に搭載されたナビゲーションシステムに提供されるGPS信号を制御するためのアダプターであって、前記ナビゲーションシステムには、車速パルス信号及びCAN-BUS信号の一方又は双方が更に提供され、前記ナビゲーションシステム又は該ナビゲーションシステムと連携する運転支援システム若しくは故障検知装置は、前記ナビゲーションシステムに提供された車速パルス信号及びCAN-BUS信号の前記一方又は双方が前記車両の停止を示すものの前記ナビゲーションシステムに提供された前記GPS信号が前記車両の走行を示す状況が、前記車両が所定距離走行する間及び第1所定時間の一方の間継続した場合に、異常を検知するように構成され、前記アダプターは、前記ナビゲーションシステムに提供された前記GPS信号が前記車両の走行を示す状況が、前記車両が所定距離走行する間及び第1所定時間の前記一方の間継続しないように、前記ナビゲーションシステムに提供される前記GPS信号を制御するように構成された、アダプターが提供される。
【0011】
一実施形態において、前記ナビゲーションシステム又は該ナビゲーションシステムと連携する運転支援システム若しくは故障検知装置は、前記ナビゲーションシステムに提供された車速パルス信号及びCAN-BUS信号の前記一方又は双方が前記車両の停止を示すものの前記ナビゲーションシステムに提供された前記GPS信号が前記車両の走行を示す状況が、前記車両が所定距離走行する間継続した場合に、異常を検知するように構成されていてよく、前記アダプターは、前記GPS信号を前記ナビゲーションシステムに提供しない第1期間と提供する第2期間とを繰り返し、前記第2期間は、直前の前記第1期間の終了後、前記車両が前記所定距離走行する前に終了するように更に構成されていてよい。
【0012】
一実施形態において、アダプターは、前記車両から前記車速パルス信号を受信し、受信した前記車速パルス信号に基づき走行距離を決定するように更に構成されていてよい。
【0013】
一実施形態において、前記ナビゲーションシステム又は該ナビゲーションシステムと連携する運転支援システム若しくは故障検知装置は、前記ナビゲーションシステムに提供された車速パルス信号及びCAN-BUS信号の前記一方又は双方が前記車両の停止を示すものの前記ナビゲーションシステムに提供された前記GPS信号が前記車両の走行を示す状況が、前記第1所定時間継続した場合に、異常を検知するように構成されていてよく、前記アダプターは、記GPS信号を前記ナビゲーションシステムに提供しない第1期間と提供する第2期間とを繰り返し、前記第2期間の長さは、前記第1所定時間未満であるように更に構成されていてよい。
【0014】
一実施形態において、前記ナビゲーションシステム又は該ナビゲーションシステムと連携する運転支援システム若しくは故障検知装置は、前記GPS信号が提供されない状況が第2所定時間継続した場合に、異常を検知するように更に構成されていてよく、前記第1期間の長さは、前記第2所定時間未満であるように構成されていてよい。
【0015】
一実施形態において、アダプターは、前記第1期間の長さと、直前の前記第1期間の終了後、前記第2期間を終了させるまでに前記車両が走行可能な距離との一方又は双方を変更可能なように更に構成されていてよい。
【0016】
一実施形態において、アダプターは、前記第1期間の長さと、前記第2期間の長さとの一方又は双方を変更可能なように更に構成されていてよい。
【0017】
一実施形態において、アダプターは、GPSアンテナと前記ナビゲーションシステムとの間に挿入され、前記GPS信号を遮断するリレーを含むか又は該リレーに接続されていることと、GPSアンテナと前記ナビゲーションシステムとの間に挿入され、前記GPS信号を遮断又は阻害する電子回路を含むか又は該電子回路に接続されていることと、前記GPSアンテナと前記ナビゲーションシステムとの間のケーブルに取り付けられ、前記GPS信号を阻害するGPS受信阻害装置を含むか又は該阻害装置に接続されていることと、前記GPSアンテナに取り付けられ、前記GPS信号を阻害するGPS受信阻害装置に接続されていることとのうちの1つを更に特徴としてよい。
【0018】
一実施形態において、前記ナビゲーションシステムは、提供された前記車速パルス信号においてパルスが検出される状況が第3所定時間継続した場合に無効となるテレビ視聴機能を有し、前記アダプターは、前記ナビゲーションシステムに提供された前記車速パルス信号においてパルスが検出される状況が前記第3所定時間継続しないように、前記ナビゲーションシステムに提供される前記車速パルス信号を制御するように更に構成されていてよい。
【0019】
一実施形態において、前記アダプターは、前記車両から車速パルス信号を受信し、車速パルス信号としてパルスを前記ナビゲーションシステムに送信する第3期間と送信しない第4期間とを繰り返し、前記第3期間の長さは、前記第3所定時間より短く、前記車両から受信した前記車速パルス信号において前記第3期間と前記第4期間とを合わせた期間に含まれる数のパルスが、前記第3期間内に送信されるように、前記ナビゲーションシステムに提供される前記車速パルス信号を制御するように更に構成されていてよい。
【発明の効果】
【0020】
本開示の一実施形態によれば、ナビゲーションシステム等が異常を検知しないようにGPS信号を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】本開示のある実施形態に係る例示ブロック図である。
【
図1B】本開示のある実施形態に係る例示ブロック図である。
【
図2】停止中及び走行中の車速パルス信号の波形の例を示すグラフである。
【
図3】車両が10km/hで走行しているときに車両から受信する例示車速パルス信号を表す図である。
【
図4】車両が20km/hで走行しているときに車両から受信する例示車速パルス信号を表す図である。
【
図5】車両が10km/hで走行しているときにナビゲーションシステムに送信される例示車速パルス信号を表す図である。
【
図6】アダプターが実行する第1例示処理のフローチャートである。
【
図7A】アダプターが実行する第2例示処理のフローチャートである。
【
図7B】アダプターが実行する第3例示処理のフローチャートである。
【
図8】アダプターが実行する第4例示処理のフローチャートである。
【
図9A】アダプターが実行する第5例示処理のフローチャートである。
【
図9B】アダプターが実行する第6例示処理のフローチャートである。
【
図10A】GPS信号制御手段の一例を示す図である。
【
図10B】GPS信号制御手段の一例を示す図である。
【
図10C】GPS信号制御手段の一例を示す図である。
【
図10D】GPS信号制御手段の一例を示す図である。
【
図11】アダプターが実行する第7例示処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
1 実施形態に係るブロック図
図1Aは、本開示のある実施形態に係る例示ブロック図である。
【0024】
ある実施形態に係るナビゲーションシステム120は、
図1Aに示すように、ディスプレイ部121と、テレビチューナー部122と、ナビゲーション部123と、GPS信号入力部124と、CAN-BUS信号入力部125と、アナログ信号入力部126を備えている。これらは、一体であってもそれぞれが別体であってもよい。なお、ナビゲーションシステム120は、搭載する車のメーカー純正のものであってよいが、同様の構成を有するのであれば、メーカー純正のものに限定されないことに留意されたい。また、
図1Aに示したナビゲーションシステム120が含む構成要素はあくまで例示であることに留意されたい。
【0025】
ある実施形態に係るアダプター100は、
図1Aに示すように、CAN-BUS信号制御部110と、アナログ信号制御部112と、GPS信号制御部114とを備えている。
【0026】
ある実施形態においては、
図1Aに示すように、車両に備えられた車速パルス信号の発生源133は、アダプター100のアナログ信号制御部112を介して、ナビゲーションシステム120のアナログ信号入力部126に接続されている。以下、発生源133から送信される車速パルス信号を、「車両からの車速パルス信号」ともいう。また、ある実施形態においては、
図1Aに示すように、車両に備えられたパーキング信号の発生源134も、アダプター100のアナログ信号制御部112を介して、ナビゲーションシステム120のアナログ信号入力部126に接続されている。しかしながら、ある実施形態において、発生源133及び134の一方又は双方は、ナビゲーションシステム120のアナログ信号入力部126に直接接続されている場合がある。発生源133及び134の双方が直接アナログ信号入力部126に接続されている場合、アダプター100はアナログ信号制御部を含まなくてよい。
【0027】
図1Aに示す車両ECU(Electronic Control Unit)132は、車両を制御するコンピュータを示している。車両ECUは1つの車両に複数搭載される場合があり、その場合、車両ECU132は、これら複数の車両ECUの集合に相当するものと考えてよい。
図1Aにおける太線はCAN-BUSを示している。ある実施形態においては、
図1Aに示すように、車両ECU132は、アダプター100のCAN-BUS信号制御部110を介してナビゲーションシステム120のCAN-BUS信号入力部125に、CAN-BUSで接続されている。しかしながら、ある実施形態において、アダプター100はCAN-BUS信号制御部110を含まず、車両ECU132は直接CAN-BUS信号入力部125に接続されている場合がある。
【0028】
なお、CAN-BUSには車両の様々なコンピュータ(ECU)が接続されているため、CAN-BUS上の通信データには車両に関する様々な情報が含まれ得る。CAN-BUS上の通信データには、車両の運転支援システム等やその他の制御装置がそれぞれどのような動作状態であるのか、車両が現在時速何キロで走行しているのか(車速)等、車両に搭載されている様々な制御装置(コンピュータ)からの情報が含まれている。「CAN-BUS信号」とは、CAN-BUS上の通信データを含む信号のことであってよく、以下、車両ECU132から送信されるCAN-BUS信号を「車両から送信されるCAN-BUS信号」ともいう。
【0029】
ある実施形態において、
図1Aに示すように、車両ECU132には、運転支援システム等を制御するためのスイッチ135が接続されている。
図1Aにおいて、スイッチ135はCAN-BUSを介さずに車両ECU132に接続されているが、スイッチ135は、CAN-BUSを介して車両ECU132に接続されていてもよい。
【0030】
ある実施形態において、
図1Aに示すように、GPSアンテナ116は、アダプター100のGPS信号制御手段118を介してナビゲーションシステム120のGPS信号入力部124に接続されている。なお、
図1Aにおいて、GPS信号制御手段118は、GPS信号制御部114に含まれるものとして記載されているが、GPS信号制御手段118は、GPS信号制御部114には含まれないものと考えてもよい。ある実施形態において、GPS信号制御手段118は、アダプター100にも含まれない場合がある。
【0031】
図1Bは、本開示のある実施形態に係る例示ブロック図である。
図1Bに示すブロック図は、
GPSアンテナ116が直接ナビゲーションシステム120のGPS信号入力部124に接続されていることと、
GPS信号制御手段118がアダプター100の外部にあり、GPS信号制御部114に接続されていることと
を除き、
図1Aに示す例示ブロック図と同一である。
【0032】
2 第1実施形態について
2-1 基本的構成
ある実施形態に係るナビゲーションシステム120は、入力されるアナログの車速パルス信号を遮断することにより、ナビゲーションシステム120が搭載された車両が走行中でもテレビの視聴が可能となるように構成されている。しかしながら、遮断により車速パルス信号を受信できないがGPS信号を受信できる状況で車両が所定距離(例えば、約2.2km。ナビゲーションシステム120の機種等により相違しうる。)走行した場合には、車速パルス信号が示す状況(車両は停止している。)とGPS信号が示す状況(車両は走行している。)の相違から、ナビゲーションシステム120は、異常事態と判定し、運転支援システム等(図示せず)の一部または全部の動作を停止するように構成されている。
【0033】
一方、ある実施形態に係るナビゲーションシステム120は、遮断により車速パルス信号を受信できないがGPS信号を受信できる状態で車両が所定距離走行する前に、トンネル等により一時的にGPS電波が遮断されGPS信号が受信できない状況となれば、異常事態と判定せず、よって、運転支援システム等の一部または全部の動作を停止しないように構成されている。
【0034】
なお、ある実施形態において、上記「車速パルス信号」は、「CAN-BUS信号」に置き換えられている場合がある。また、ある実施形態において、上記「車速パルス信号」は、「車速パルス信号及びCAN-BUS信号」に置き換えられている場合がある。
【0035】
また、ある実施形態において、異常状態を判定する主体は、ナビゲーションシステム120ではなくナビゲーションシステム120と連携する運転支援システム等である場合がある。
【0036】
即ち、第1実施形態において、ナビゲーションシステム120には、車速パルス信号及びCAN-BUS信号の一方又は双方が提供され、ナビゲーションシステム120又はナビゲーションシステム120と連携する運転支援システム若しくは故障検知システム(以下、「ナビゲーションシステム120等」という。)は、
ナビゲーションシステム120に提供された車速パルス信号及びCAN-BUS信号の上記一方又は双方が車両の停止を示すもののナビゲーションシステム120に提供されたGPS信号が車両の走行を示す状況が、車両が所定距離走行する間継続した場合に、異常を検知する
ように構成されている。
【0037】
2-2 第1例示処理
図6は、第1実施形態に係るアダプター100のGPS制御部114が実行する第1例示処理600のフローチャートである。なお、GPS制御部114は、マイクロプロセッサ等のコンピュータやアナログ回路等のハードウェア資源とソフトウェアとの協働により実現されるものであってよい。なお、例示処理600の開始前に、ナビゲーションシステム120にはGPS信号が提供されているものとし、例示処理600は、ナビゲーションシステム120に提供された車速パルス信号及びCAN-BUS信号の上記一方又は双方が車両の停止を示すであろうことを判定するのと同時に開始されるものであってよい。この判定が可能なように、アダプター100は、車両から車速パルス信号及びCAN-BUS信号の上記一方又は双方を受信するように構成されていてよい。
【0038】
610は、例示処理600において参照される、車両が走行した距離(以下、「走行距離」ともいう。)を初期化するステップを示している。ステップ610は、走行距離を表す変数にゼロを代入するステップであってよい。
【0039】
620は、ステップ610において初期化されてからの走行距離を決定するステップを示している。アダプター100は、車両からの車速パルス信号に基づき走行距離を決定してよいが、これに限定されるわけではない。例えば、アダプター100は、車両からのCAN-BUS信号やGPSアンテナ116からのGPS信号に基づき走行距離を決定してよい。
【0040】
630は、ステップ620において決定した走行距離が、所定距離から一定距離dを減算した距離より大きいかを判定するステップを示している。判定が真の場合、処理はステップ640に進み、そうでない場合、処理はステップ620に戻りループを構成する。ステップ630において、「より大きい」は「以上」であってもよい。
【0041】
一定距離dについて説明する。次のステップ640は、走行距離が所定距離を超える前に完了すべきものである。一定距離dは、そのために導入されたいわば負のオフセットであり、ステップ620及び630を含むループ1回あたりの車両の走行距離と、ステップ630で真と判定されてからステップ640が完了するまでの車両の走行距離とに基づき設定されてよい。例えば、一定距離d[m]は、(ステップ620及び630を含むループ1回あたりに要する想定時間[s]+ステップ630で真と判定されてからステップ640が完了するまでの想定時間[s])×想定車両速度[m/s]より大きい値として設定されてよいが、これに限定されるわけではない。
【0042】
640は、ナビゲーションシステム120にGPS信号が提供されないように構成するステップを示している。
【0043】
例示処理600によれば、車両が走行した距離が所定距離を超える前に、ナビゲーションシステム120にGPS信号は提供されなくなる。このことは、車両が走行した距離が所定距離を超える前に、車両の走行を示すかを判定するためのGPS信号がナビゲーションシステム120において得られなくなることを意味する。
【0044】
即ち、例示処理600によれば、アダプター100は、ナビゲーションシステム120に提供されたGPS信号が車両の走行を示す状況が、車両が所定距離走行する間継続しないように、ナビゲーションシステム120に提供されるGPS信号を制御するように構成されることが理解されよう。また、例示処理600によれば、
ナビゲーションシステム120に提供された車速パルス信号及びCAN-BUS信号の一方又は双方が車両の停止を示すもののナビゲーションシステム120に提供されたGPS信号が車両の走行を示す状況が、車両が所定距離走行する間継続した場合に、異常を検知する
ように構成されたナビゲーションシステム120等が異常を検知しないように、GPS信号が制御されることが理解されよう。
【0045】
2-3 第2例示処理
図7は、第1実施形態に係るアダプター100のGPS制御部114が実行する第2例示処理700のフローチャートである。例示処理700は、アダプター100の電源ONや図示しないスイッチの操作等の任意の時点で開始してよいが、これに限定されるわけではない。また、例示処理700は、アダプター100の電源OFFや図示しないスイッチの操作等の任意の時点で終了してよいが、これに限定されるわけではない。
【0046】
710は、例示処理700において参照される走行距離を初期化するとともに、ナビゲーションシステム120にGPS信号が提供されるように構成するステップを示している。ステップ710は、ステップ610を含むものと考えてよい。
【0047】
720は、ステップ710において初期化されてからの走行距離を決定するステップを示している。ステップ720は、ステップ620と同様のものであってよい。
【0048】
730は、ステップ720において決定した走行距離が、所定距離から一定距離dを減算した距離より大きいかを判定するステップを示している。判定が真の場合、処理はステップ740に進み、そうでない場合、処理はステップ720に戻りループを構成する。ステップ730は、ステップ630と同様のものであってよい。
【0049】
740は、例示処理700において参照される経過時間を決定するためのタイマを初期化するとともに、ナビゲーションシステム120にGPS信号が提供されないように構成するステップを示している。ステップ740は、経過時間に対応する変数にゼロを代入するステップを含んでいてよい。
【0050】
750は、ステップ740においてタイマが初期化されてからの経過時間を決定するステップを示している。
【0051】
760は、ステップ750において決定した経過時間が、所定時間より大きいかを判定するステップを示している。判定が真の場合、処理はステップ710に戻りループを構成し、そうでない場合、処理はステップ750に戻り別のループを構成する。ステップ760において、「より大きい」は「以上」であってもよい。
【0052】
例示処理700において、ステップ710からステップ740の直前までは、ナビゲーションシステム120にGPS信号を提供する期間に、ステップ740から次のステップ710の直前までは、ナビゲーションシステム120にGPS信号を提供しない期間に相当する。
【0053】
なお、上述したように、所定距離は、ナビゲーションシステム120の機種等により相違しうる。様々なナビゲーションシステム120に対応させるため、アダプター100は、ステップ730において用いる「所定距離から一定距離dを減算した距離」を変更可能なように構成されていてよい。換言すれば、アダプター100は、直前のGPS信号を提供しない期間の終了後、GPS信号を提供する期間を終了させるまでに車両が走行可能な距離を変更可能なように構成されていてよい。
【0054】
例示処理700によれば、車両が走行した距離が所定距離を超える前に、ナビゲーションシステム120にGPS信号は提供されなくなる。このことは、車両が走行した距離が所定距離を超える前に、車両の走行を示すかを判定するためのGPS信号が得られなくなることを意味している。
【0055】
即ち、例示処理700によれば、アダプター100は、ナビゲーションシステム120に提供されたGPS信号が車両の走行を示す状況が、車両が所定距離走行する間継続しないように、ナビゲーションシステム120に提供されるGPS信号を制御するように構成されることが理解されよう。また、例示処理700によれば、
ナビゲーションシステム120に提供された車速パルス信号及びCAN-BUS信号の一方又は双方が車両の停止を示すもののナビゲーションシステム120に提供されたGPS信号が車両の走行を示す状況が、車両が所定距離走行する間継続した場合に、異常を検知する
ように構成されたナビゲーションシステム120等が異常を検知しないように、GPS信号が制御されることが理解されよう。
【0056】
3 第2実施形態について
3-1 基本的構成
ある実施形態に係るナビゲーションシステム120等は、トンネル等によりGPS電波が遮断されGPS銀号が受信できない(GPS位置情報が得られない)状況となってから所定時間T1(例えば10秒。ナビゲーションシステム120の機種等により相違しうる。)経過した場合にも、異常事態と判定するよう構成されている。
【0057】
即ち、第2実施形態において、ナビゲーションシステム120等は、
ナビゲーションシステム120に提供された車速パルス信号及びCAN-BUS信号の一方又は双方が車両の停止を示すもののナビゲーションシステム120に提供されたGPS信号が車両の走行を示す状況が、車両が所定距離走行する間継続した場合に、異常を検知し、且つ、
GPS信号が提供されない状況が所定時間T1継続した場合に、異常を検知する
ように構成されている。
【0058】
3-2 第3例示処理
図7Bは、第2実施形態に係るアダプター100のGPS制御部114が実行する第3例示処理700Bのフローチャートである。例示処理700Bは、ステップ760がステップ760Bとなっている点のみ、例示処理700と相違する。
【0059】
即ち、760Bは、ステップ750において決定した経過時間が、所定時間T1から一定時間t1を減算した時間より大きいかを判定するステップを示している。判定が真の場合、処理はステップ710に戻りループを構成し、そうでない場合、処理はステップ750に戻りループを構成する。ステップ760Bにおいて、「より大きい」は「以上」であってもよい。
【0060】
一定時間t1について説明する。次のステップ710は、経過時間が所定時間T1を超える前に完了すべきものである。一定時間t1は、そのために導入されたいわば負のオフセットであり、ステップ750及び760Bを含むループ1回あたりに要する時間と、ステップ760Bで真と判定されてからステップ710が完了するまでに要する時間とに基づき設定されてよい。例えば、一定時間t1[s]は、ステップ750及び760Bを含むループ1回あたりに要する想定時間[s]+ステップ760Bで真と判定されてからステップ710が完了するまでに要する想定時間[s]より大きい値として設定されてよいが、これに限定されるわけではない。
【0061】
例示処理700Bにおいて、ステップ710からステップ740の直前までは、ナビゲーションシステム120にGPS信号を提供する期間に、ステップ740から次のステップ710の直前までは、ナビゲーションシステム120にGPS信号を提供しない期間に相当する。
【0062】
なお、上述したように、所定時間T1は、ナビゲーションシステム120の機種等により相違しうる。様々なナビゲーションシステム120に対応させるため、アダプター100は、ステップ760Bにおいて用いる「所定時間T1から一定時間t1を減算した時間」を変更可能なように構成されていてよい。換言すれば、アダプター100は、GPS信号を提供しない期間の長さを変更可能なように構成されていてよい。
【0063】
例示処理700Bによれば、車両が走行した距離が所定距離を超える前に、ナビゲーションシステム120にGPS信号は提供されなくなる。このことは、車両が走行した距離が所定距離を超える前に、車両の走行を示すかを判定するためのGPS信号が得られなくなることを意味している。
【0064】
更に、例示処理700Bによれば、ナビゲーションシステム120にGPS信号が提供されなくなってから所定時間T1が経過する前に、ナビゲーションシステム120にGPS信号が提供されるようになる。
【0065】
即ち、例示処理700Bによれば、アダプター100は、ナビゲーションシステム120に提供されたGPS信号が車両の走行を示す状況が、車両が所定距離走行する間継続しないように、ナビゲーションシステム120に提供されるGPS信号を制御するように構成されることが理解されよう。
【0066】
また、例示処理700Bによれば、アダプター100は、ナビゲーションシステム120にGPS信号が提供されない状況が所定時間T1継続する前に、GPS信号の提供が再開されるように、ナビゲーションシステム120に提供されるGPS信号を制御するように更に構成されることが理解されよう。
【0067】
従って、例示処理700Bによれば、
ナビゲーションシステム120に提供された車速パルス信号及びCAN-BUS信号の一方又は双方が車両の停止を示すもののナビゲーションシステム120に提供されたGPS信号が車両の走行を示す状況が、車両が所定距離走行する間継続した場合に、異常を検知し、且つ、
GPS信号が提供されない状況が所定時間T1継続した場合に、異常を検知する
ように構成されたナビゲーションシステム120等が異常を検知しないように、GPS信号が制御されることが理解されよう。
【0068】
4 第3実施形態について
4-1 基本的構成
第3実施形態において、ナビゲーションシステム120等は、
ナビゲーションシステム120に提供された車速パルス信号及びCAN-BUS信号の一方又は双方が車両の停止を示すもののナビゲーションシステム120に提供されたGPS信号が車両の走行を示す状況が、第1実施形態に係るナビゲーションシステム120等のように車両が所定距離走行する間ではなく、所定時間T2(例えば10秒。ナビゲーションシステム120の機種等により相違しうる。)継続した場合に、異常を検知する
ように構成されている。なお、所定時間T2の長さは、所定時間T1の長さと同一の場合もあれば異なる場合もあるであろう。
【0069】
4-2 第4例示処理
図8は、第3実施形態に係るアダプター100のGPS制御部114が実行する例示処理800のフローチャートである。なお、例示処理800の開始前に、ナビゲーションシステム120にはGPS信号が提供されているものとし、例示処理800は、ナビゲーションシステム120に提供された車速パルス信号及びCAN-BUS信号の上記一方又は双方が車両の停止を示すであろうことをアダプター100が判定するのと同時に開始されるものであってよい。この判定が可能なように、アダプター100は、車両から車速パルス信号及びCAN-BUS信号の上記一方又は双方を受信するように構成されていてよい。
【0070】
810は、例示処理800において参照される経過時間を決定するためのタイマを初期化するステップを示している。ステップ810は、経過時間に対応する変数にゼロを代入するステップであってよい。
【0071】
820は、ステップ810においてタイマが初期化されてからの経過時間を決定するステップを示している。
【0072】
830は、ステップ820において決定した経過時間が、所定時間T2から一定時間t2を減算した時間より大きいかを判定するステップを示している。判定が真の場合、処理はステップ840に進み、そうでない場合、処理はステップ820に戻りループを構成する。ステップ830において、「より大きい」は「以上」であってもよい。
【0073】
一定時間t2について説明する。次のステップ840は、経過時間が所定時間T2を超える前に完了すべきものである。一定時間t2は、そのために導入されたいわば負のオフセットであり、ステップ820及び830を含むループ1回あたりに要する時間と、ステップ730で真と判定されてからステップ840が完了するまでに要する時間とに基づき設定されてよい。例えば、一定時間t2[s]は、ステップ820及び830を含むループ1回あたりに要する想定時間[s]+ステップ730で真と判定されてからステップ840が完了するまでに要する想定時間[s]より大きい値として設定されてよいが、これに限定されるわけではない。なお、一定時間t2は、一定時間t1と同一である場合もあれば異なる場合もあるであろう。
【0074】
840は、ナビゲーションシステム120にGPS信号が提供されないように構成するステップを示している。ステップ840は、ステップ640と同様のものであってよい。
【0075】
例示処理800によれば、経過時間が所定時間T2を超える前に、ナビゲーションシステム120にGPS信号は提供されなくなる。このことは、経過時間が所定時間T2を超える前に、車両の走行を示すかを判定するためのGPS信号がナビゲーションシステム120において得られなくなることを意味する。
【0076】
即ち、例示処理800によれば、アダプター100は、ナビゲーションシステム120に提供されたGPS信号が車両の走行を示す状況が、所定時間T2継続しないように、ナビゲーションシステム120に提供されるGPS信号を制御するように構成されることが理解されよう。
【0077】
また、例示処理800によれば、
ナビゲーションシステム120に提供された車速パルス信号及びCAN-BUS信号の一方又は双方が車両の停止を示すもののナビゲーションシステム120に提供されたGPS信号が車両の走行を示す状況が、所定時間T2継続した場合に、異常を検知する
ように構成されたナビゲーションシステム120等が異常を検知しないように、GPS信号が制御されることが理解されよう。
【0078】
4-3 第5例示処理
図9Aは、第3実施形態に係るアダプター100のGPS制御部114が実行する第5例示処理900のフローチャートである。例示処理900は、アダプター100の電源ONや図示しないスイッチの操作等の任意の時点で開始してよいが、これに限定されるわけではない。また、例示処理900は、アダプター100の電源OFFや図示しないスイッチの操作等の任意の時点で終了してよいが、これに限定されるわけではない。
【0079】
910は、例示処理900において参照される経過時間を初期化するとともに、ナビゲーションシステム120にGPS信号が提供されるように構成するステップを示している。ステップ910は、ステップ810を含むものと考えてよい。
【0080】
920は、ステップ910において初期化されてからの走行距離を決定するステップを示している。ステップ920は、ステップ820と同様のものであってよい。
【0081】
930は、ステップ920において決定した経過時間が、所定時間T2から一定時間t2を減算した時間より大きいかを判定するステップを示している。判定が真の場合、処理はステップ940に進み、そうでない場合、処理はステップ920に戻りループを構成する。ステップ930は、ステップ830と同様のものであってよい。
【0082】
940は、例示処理900において参照される経過時間を決定するためのタイマを初期化するとともに、ナビゲーションシステム120にGPS信号が提供されないように構成するステップを示している。ステップ940は、ステップ740と同様のものであってよい。
【0083】
950は、ステップ940において初期化されてからの経過時間を決定するステップを示している。ステップ950は、ステップ750と同様のものであってよい。
【0084】
960は、ステップ950において決定した経過時間が、所定時間より大きいかを判定するステップを示している。判定が真の場合、処理はステップ910に戻りループを構成し、そうでない場合、処理はステップ950に戻りループを構成する。ステップ960は、ステップ760と同様のものであってよい。
【0085】
例示処理900において、ステップ910からステップ940の直前までは、ナビゲーションシステム120にGPS信号を提供する期間に、ステップ940から次のステップ910の直前までは、ナビゲーションシステム120にGPS信号を提供しない期間に相当する。
【0086】
なお、上述したように、所定時間T2は、ナビゲーションシステム120の機種等により相違しうる。様々なナビゲーションシステム120に対応させるため、アダプター100は、ステップ930において用いる「所定時間T2から一定時間t2を減算した時間」を変更可能なように構成されていてよい。換言すれば、アダプター100は、GPS信号を提供する期間の長さを変更可能なように構成されていてよい。
【0087】
例示処理900によれば、経過時間が所定時間T2を超える前に、ナビゲーションシステム120にGPS信号は提供されなくなる。このことは、経過時間が所定時間T2を超える前に、車両の走行を示すかを判定するためのGPS信号が得られなくなるということを意味している。
【0088】
即ち、例示処理900によれば、アダプター100は、ナビゲーションシステム120に提供されたGPS信号が車両の走行を示す状況が、所定時間T2継続しないように、ナビゲーションシステム120に提供されるGPS信号を制御するように構成されることが理解されよう。また、例示処理900によれば、
ナビゲーションシステム120に提供された車速パルス信号及びCAN-BUS信号の一方又は双方が車両の停止を示すもののナビゲーションシステム120に提供されたGPS信号が車両の走行を示す状況が、所定時間T2継続した場合に、異常を検知する
ように構成されたナビゲーションシステム120等が異常を検知しないように、GPS信号が制御されることが理解されよう。
【0089】
5 第4実施形態について
5-1 基本的構成
第4実施形態において、ナビゲーションシステム120等は、
ナビゲーションシステム120に提供された車速パルス信号及びCAN-BUS信号の一方又は双方が車両の停止を示すもののナビゲーションシステム120に提供されたGPS信号が車両の走行を示す状況が、所定時間T2継続した場合に、異常を検知し、且つ、
GPS信号が提供されない状況が所定時間T1継続した場合に、異常を検知する
ように構成されている。
【0090】
5-2 第6例示処理
図9Bは、第4実施形態に係るアダプター100のGPS制御部114が実行する第6例示処理900Bのフローチャートである。例示処理900Bは、ステップ960がステップ960Bとなっている点のみ、例示処理900と相違する。
【0091】
即ち、960Bは、ステップ950において決定した経過時間が、所定時間T1から一定時間t1減算した時間より大きいかを判定するステップを示している。判定が真の場合、処理はステップ910に戻りループを構成し、そうでない場合、処理はステップ950に戻りループを構成する。ステップ960Bは、ステップ760Bと同様のステップであってよい。
【0092】
例示処理900Bにおいて、ステップ910からステップ940の直前までは、ナビゲーションシステム120にGPS信号を提供する期間に、ステップ940から次のステップ910の直前までは、ナビゲーションシステム120にGPS信号を提供しない期間に相当する。
【0093】
例示処理900Bによれば、経過時間が所定時間T2を超える前に、ナビゲーションシステム120にGPS信号は提供されなくなる。このことは、経過時間が所定時間T2を超える前に、車両の走行を示すかを判定するためのGPS信号が得られなくなるということを意味している。
【0094】
更に、例示処理900Bによれば、ナビゲーションシステム120にGPS信号が提供されなくなってから所定時間T1が経過する前に、ナビゲーションシステム120にGPS信号が提供されるようになる。
【0095】
即ち、例示処理900Bによれば、アダプター100は、ナビゲーションシステム120に提供されたGPS信号が車両の走行を示す状況が、所定時間T2継続しないように、ナビゲーションシステム120に提供されるGPS信号を制御するように構成されることが理解されよう。
【0096】
また、例示処理900Bによれば、アダプター100は、ナビゲーションシステム120にGPS信号が提供されない状況が所定時間T1継続する前に、GPS信号の提供が再開されるように更に構成されることが理解されよう。
【0097】
従って、例示処理900Bによれば、
ナビゲーションシステム120に提供された車速パルス信号及びCAN-BUS信号の一方又は双方が車両の停止を示すもののナビゲーションシステム120に提供されたGPS信号が車両の走行を示す状況が、所定時間T2継続した場合に、異常を検知し、且つ、
GPS信号が提供されない状況が所定時間T1継続した場合に、異常を検知する
ように構成されたナビゲーションシステム120等が異常を検知しないように、GPS信号が制御されることが理解されよう。
【0098】
6 GPS信号が提供されないように構成することについて
GPS信号が提供されないことは、GPS信号が遮断されることであってよい。あるいは、GPS信号が提供されないことは、阻害されたGPS信号が提供されることであってよい。阻害されたGPS信号は、処理できない状態のGPS信号(例えば、著しく信号強度の低いGPS信号や、例えばノイズの混入により実質的に意味をなさないGPS信号であってよいが、これらに限定されるわけではない。)であってよい。
【0099】
以下、GPS信号が提供されないように構成する手法の例について説明する。
【0100】
図10Aを参照すると、GPS制御手段118は、ナビゲーションシステム120のGPS信号入力部124とGPSアンテナ116との間に挿入されたリレーとして構成されている。かかる構成によれば、GPS制御部114は、リレー118を開くよう図示しない経路によりリレー118に制御信号を送信することによって、GPSアンテナからのGPS信号が遮断されるように構成することができることが理解されよう。また、リレー118を閉じるよう図示しない経路によりリレー118に制御信号を送信することによって、GPSアンテナからのGPS信号が遮断も阻害されない即ち提供されるように構成することができることが理解されよう。
【0101】
図10Bを参照すると、GPS制御手段118は、ナビゲーションシステム120のGPS信号入力部124とGPSアンテナ116との間に挿入された所定の電子回路として構成されている。かかる構成によれば、GPS制御部114は、図示しない経路により電子回路118に制御信号を送信することによって、GPSアンテナからのGPS信号が遮断又は阻害される(電子回路118の回路構成による。)ように構成することができることが理解されよう。また、GPS制御部114は、図示しない経路により電子回路118に制御信号を送信することによって、GPSアンテナからのGPS信号が遮断も阻害されない即ち提供されるように構成することができることが理解されよう。
【0102】
図10Cを参照すると、GPS制御手段118は、ナビゲーションシステム120のGPS信号入力部124とGPSアンテナ116との間の経路に取り付けられたGPS受信阻害装置として構成されている。かかる構成によれば、GPS制御部114は、図示しない経路によりGPS受信阻害装置118に制御信号を送信することによって、GPSアンテナからのGPS信号が阻害されるように構成することができることが理解されよう。また、GPS制御部114は、図示しない経路によりGPS受信阻害装置118に制御信号を送信することによって、GPSアンテナからのGPS信号が遮断も阻害されない即ち提供されるように構成することができることが理解されよう。
【0103】
図10Dを参照すると、GPS制御手段118は、GPSアンテナ116に取り付けられたGPS受信阻害装置として構成されている。かかる構成によれば、GPS制御部114は、図示しない経路によりGPS受信阻害装置118に制御信号を送信することによって、GPSアンテナによるGPS信号の受信が阻害され、よってナビゲーションシステム120に提供されるGPS信号が阻害されるように構成することができることが理解されよう。なお、GPS受信阻害装置118は、GPSアンテナ116によるGPS信号の受信が阻害されるのであれば、GPSアンテナ116に直に取り付けられるのではなく、GPSアンテナ116の付近に取り付けられてもよい。換言すれば、GPS受信阻害装置118は、GPSアンテナ116に影響を及ぼすように取り付けられるのであれば、GPSアンテナに取り付けようとGPSアンテナの付近に取り付けようと、その取り付け位置は問わない。また、GPS制御部114は、図示しない経路によりGPS受信阻害装置118に制御信号を送信することによって、GPSアンテナによるGPS信号の受信が阻害されず、よってGPSアンテナからのGPS信号が遮断も阻害されない即ち提供されるように構成することができることが理解されよう。
【0104】
7 第5実施形態について
第5実施形態に係るアダプター100は、第1実施形態~第4実施形態に係るアダプター100であって、ナビゲーションシステム120に提供される車速パルス信号を制御するように更に構成されたものである。
【0105】
また、第5実施形態に係るナビゲーションシステム120はテレビ視聴機能を有し、当該ナビゲーションシステム120は、入力された車速パルス信号においてパルスが検出される(車両が走行中であることを示す)状況が2秒継続した場合にテレビ視聴の制限を開始するよう構成されており、従って、通常走行中はテレビを見ることができない状態となる。
【0106】
なお、ナビゲーションシステム120が走行中であることを検出してからテレビ視聴の制限を開始するまでの時間(以下、「所定時間D」ともいう。)は、ナビゲーションシステム120の機種により異なることに留意されたい。
【0107】
以下、車速パルス信号について、
図2を用いて説明する。210及び220は、それぞれ、停止中及び走行中の車速パルス信号の波形の一例を示すグラフである。従って、グラフ210に波形を示す信号は停止中であることを示す車速パルス信号の一例であり、グラフ220に波形を示す信号は走行中であることを示す車速パルス信号の一例である。当該グラフの縦軸は電圧であり、横軸は時間に相当する。グラフ210に示すように、停止中、例示車速パルス信号にはパルスが含まれておらず、当該信号は所定電圧V
0で一定となる。なお、所定電圧V
0は0Vであってよい。一方、グラフ220に示すように、走行中、例示車速パルス信号にはパルスが含まれている。より詳細には、車速パルス信号は、単位時間あたりに含まれるパルスの数が、車速に比例するように構成されていてよい。
【0108】
走行中もテレビを見ることができるように、第5実施形態に係るアダプター100は、ナビゲーションシステム120に提供された前記車速パルス信号においてパルスが検出される状況が所定時間D継続しないように、ナビゲーションシステム120に提供される車速パルス信号を制御するように構成することができる。
【0109】
具体的には、アダプター100は、車両から車速パルス信号を受信し、通常は受信した車速パルス信号をナビゲーションシステム120に送信するが、図示しないスイッチ等の操作に応答して、ナビゲーションシステム120への車速パルス信号の送信を停止するように構成することができる。ナビゲーションシステム120に車速パルス信号が送信されなければ、車両が走行しているか停止しているかにかかわらずナビゲーションシステム120はパルスを受信しないから、当然、ナビゲーションシステム120に提供された車速パルス信号においてパルスが検出される状況は所定時間D継続せず、よって、走行中もテレビを見ることが可能である。
【0110】
以下、第5実施形態に係るアダプター100の別の構成について説明する。
【0111】
まず、車速パルス信号について、以下、更に説明する。
【0112】
図3は、ある車種Aの車両が10km/hで走行しているときに、車両から送信される例示車速パルス信号300を表す図であり、この例示車速パルス信号300には、1秒間に5パルスが含まれている。10km/hである車両が1秒間に進む距離は、10km(1時間の距離)÷60分÷60秒≒2.77mである。更に、例示車速パルス信号300によれば、1秒間に5パルスが含まれているため、1パルスあたり(あるパルスの立ち上がりから次のパルスの立ち上がりまでと定義されてよい。)、2.77m÷5(パルス数)=0.554m車両が進むことになる。
【0113】
図4は同車種Aの車両が20km/hで走行しているときに、車両から送信される例示車速パルス信号400を表す図であり、この例示車速パルス信号400には、1秒間に10パルスが含まれている。当然、例示車速パルス信号300の場合に比べて車速が2倍なので、例示車速パルス信号400に含まれるパルスの数は2倍となる。しかしながら、例示車速パルス信号400によっても、1パルスあたり0.554m進むことは同じである。そのため、例示車速パルス信号400により10パルスが送信される間即ち1秒が経過する間に、車両は5.54m車両が進むことになり、
図3の10km/hで走行した場合に比べて車両の走行距離は2倍となる。
【0114】
当然、走行速度が2倍になれば、同一時間に走行する距離は2倍となる。
【0115】
図5は、第5実施形態に係るアダプター100により生成される、同車種Aの車両が10km/hで走行しているときの例示車速パルス信号500を表している。
【0116】
車両は10km/hで走行しているが、例示車速パルス信号500の0秒から1秒までに含まれるパルスは例示車速パルス信号400と同じ(パルスの持続時間(パルスの立ち上がりから立ち下がりまでの長さと定義されてよい。)及びパルスの1周期の長さ(あるパルスの立ち上がりから次のパルスの立ち上がりまでの長さと定義されてよい。)が同じ。)である。一方、例示車速パルス信号500の1秒から2秒までにはパルスが含まれていない。これは、車両の車速が0km/h(停止状態)であるときに車両から送信される車速パルス信号と同じである。
【0117】
例示車速パルス信号500は、最初の1秒間は20km/hで進み、次の1秒間は0km/h(停止状態)であることに相当するものであるが、この場合の進んだ距離は、10km/hで2秒間走行した場合と同じである。
【0118】
換言すれば、2秒単位で見た場合には、例示車速パルス信号300と例示車速パルス信号500とによっては、含まれるパルスの数が同じであることから、走行速度を区別できないことがわかる。
【0119】
例示車速パルス信号500のように、例えば1秒間に2秒分のパルスをナビゲーションシステム120に入力し、その後は停止状態を示すようにパルスを入力しないといったことを、2秒のサイクルで繰り返すことにより、ナビゲーションシステム120が走行中であることを検出してからテレビ視聴の制限を開始する前に走行中であることを検出しないようにすれば、実際には走行中であっても、このようなナビゲーションシステム120であってもテレビの視聴が可能となる。
【0120】
具体的に説明すると、繰り返しの1周期の長さが例えば2秒である場合、最初の1秒間(期間Aとする。)は実際の車速パルス信号(車両から送信される車速パルス信号)に含まれるパルスの数の2倍のパルスをナビゲーションシステム120に入力し、次の1秒間(期間Bとする。)は停止状態と同じようにパルスをナビゲーションシステム120に入力しないようにすることができる。このとき、ある期間Bに車両から送信される車速パルス信号に含まれるパルスの数をカウントし、次の期間A内で、そのカウントした数の2倍のパルスがナビゲーションシステム120に入力されるようにしてよい。
【0121】
この手法により、車両の走行速度が変化しても、実際の車速パルス信号に含まれるパルスの数に等しいパルスをナビゲーションシステム120に入力させることができる。この手法のメリットは、車速パルス信号を単純に遮断するわけではないので、ナビゲーションシステム120における地図上の自車位置のずれもなくなることである。
【0122】
なお、期間AとBの長さはそれぞれ1秒間と限定しなくてもよいし、AとBの長さが同じ時間である必要もない。
【0123】
例えば、期間Aの長さを1秒とし、期間Bの長さを2秒とした場合には、期間Aにナビゲーションシステム120に入力されるパルスの数は、実際の車速パルス信号に含まれるパルスの数の3倍とすることができる。
【0124】
期間AとBの最適な長さはナビゲーションシステム120の機種により異なる可能性があるために、これらはナビゲーションシステムの機種ごとに設定することが好ましい。
【0125】
一般化すると、第5実施形態に係るアダプター100は、車両パルス信号をナビゲーションシステム120に送信する期間Aと、送信しない期間Bとを(自動的に)に繰り返すように構成することができる。
【0126】
このとき、ナビゲーションシステム120が、受信した車速パルス信号においてパルスを検出してから所定時間D経過後にテレビ視聴機能を無効とする機種であるならば、期間Aの長さaは所定時間Dより短いように設定することができる。なお、所定時間Dの長さは、所定時間T1又はT2の長さと同一の場合もあれば異なる場合もあるであろう。
【0127】
また、第5実施形態に係るアダプター100は、車両から受信した車速パルス信号において期間Aと期間Bとを合わせた期間(繰り返しの1周期)に含まれる数のパルスが、期間A内に送信されるように、ナビゲーションシステム120に送信する車速パルス信号を生成するように構成することができる。
【0128】
期間Aの長さa及び期間Bの長さbは、限定するわけではないが、一定とすることができる。この場合、ある期間Bにおいて、車両から受信した車速パルス信号に含まれるパルスの数cをカウントし、このある期間Bの直後の期間A(繰り返しの次の周期の期間A)内にc×(a+b)/bの数のパルスが送信されるように、ナビゲーションシステム120に提供する車速パルス信号を生成するように構成することができる。
【0129】
図11は、第5実施形態に係るアダプター100のアナログ信号制御部112が実行する第7例示処理1100のフローチャートである。なお、アナログ信号制御部112は、マイクロプロセッサ等のコンピュータやアナログ回路等のハードウェア資源とソフトウェアとの協働により実現されるものであってよい。また、例示処理1100は、アダプター100の電源ONや図示しないスイッチの操作等の任意の時点で開始してよく、アダプター100の電源OFFや図示しないスイッチの操作等の任意の時点で終了してよい。
【0130】
1110は、受信した車速パルス信号においてパルスを検出するたびに、カウントcがインクリメントされるように構成するステップを示している。カウントcのインクリメントは、カウントcに1を加算することであってよい。
【0131】
1120は、経過時間を測定するタイマ及び変数であるcを初期化するとともに、パルスを発生しないように構成するステップを示している。タイマを初期化することは、経過時間を0とすることであってよく、変数cの初期化は、変数cに0を代入することであってよい。また、パルスを発生しないように構成することにより、ナビゲーションシステム120に提供される車速パルス信号にパルスが含まれないようになる。
【0132】
1130は、タイマを用いて、時間bが経過したかを判定するステップを示している。時間bが経過したと判定した場合、処理はステップ1140に進み、そうでない場合、処理はステップ1130を繰り返しループを構成する。なお、ステップ1130においてループしている期間が、期間Bに相当する。
【0133】
1140は、次の期間Aにナビゲーションシステム120に送信すべきパルスの1周期の長さp=a×b/(c×(a+b))を計算するステップを示している。以下、パルスの1周期の長さpについて説明する。ステップ1140の時点での変数cの値は、ある期間Bにおいて、車両から受信した車速パルス信号に含まれるパルスの数に相当する。よって、ある期間Bの直後の期間Aにナビゲーションシステム120に送信すべきパルスの数nは、ステップ1140の時点で上述したc×(a+b)/bとなるため、これを実現するためのパルスの1周期の長さpは、a/n=a/(c×(a+b)/b)=a×b/(c×(a+b))とすることができる。
【0134】
1150は、タイマを再度初期化するとともに、1周期の長さpのパルスを発生するように構成するステップを示している。発生したパルスは、車速パルス信号としてナビゲーションシステム120に送信されることになる。なお、パルスの継続時間は、pに0より大きく1より小さい値を乗算することにより決定してよく、例えばp×0.5と設定してよい。
【0135】
1160は、タイマを用いて、時間aが経過したかを判定するステップを示している。時間aが経過したと判定した場合、処理はステップ1120に戻りループを構成し、そうでない場合、処理はステップ1160を繰り返し別のループを構成する。なお、ステップ1160においてループしている期間が、期間Aに相当する。
【0136】
例示処理1100によれば、アダプター100は上述したように構成されることが理解されよう。
【0137】
例示処理1100は、例えば1秒間である期間Bに車両から発生するパルス数をカウントし、例えば1秒間である次の期間Aに、カウントした数の2倍の数のパルスをナビゲーションシステム120に入力させるという技術思想に基づくものであった。これに関し、
図3の例示車速パルス信号300と
図4の例示車速パルス信号400とを見比べると、20km/hで走行している車両から送信される車速パルス信号が、10km/hで走行している車両から送信される車速パルス信号に含まれるパルスの2倍の数のパルスを含んでいることに加えて、前者に含まれる1つのパルスの継続時間及びパルスの1周期の長さが、後者に含まれる1つのパルスの継続時間及びパルスの1周期の長さの2分の1となっていることもわかる。
【0138】
従って、例示処理1100のように例えば1秒間もパルスの数をカウントすることに代えて、1つのパルスの継続時間又はパルスの1周期の長さを求めることにより、その継続時間又は長さから車両が何km/hで走行しているのかを判別することができる。この手法によれば、短時間で車両の走行速度を判別することができ、より実際の車両走行速度に近い車速パルスを断続的(間欠的)にナビゲーションシステム120に入力させることができる。
【0139】
換言すれば、第5実施形態に係るアダプター100は、車両から受信した車速パルス信号に含まれる少なくとも1つのパルスの継続時間又はパルスの1周期の長さを求め、1つのパルスの継続時間又はパルスの1周期の長さに基づき、期間Aに前記ナビゲーションシステムに送信すべきパルスの数と、1つのパルスの継続時間と、パルスの1周期の長さとのうちの少なくとも1つを計算するように構成することができる。アダプター100は、ある車速であるときの1つのパルスの継続時間又はパルスの1周期の長さを予め記憶し、求められた1つのパルスの継続時間又はパルスの1周期の長さが予め記憶された1つのパルスの継続時間又はパルスの1周期の長さの何倍であるかに基づき、上記計算を行ってよい。
【0140】
なお、求められる1つのパルスの継続時間及びパルスの1周期の長さは、ある1つのパルスの継続時間又はパルスの1周期の長さの測定結果であってもよいし、複数のパルスの継続時間又はパルスの複数の周期の長さの測定結果を統計処理した値、例えば、平均値や最頻値、最大値、最小値であってもよい。
【0141】
8 おわりに
以上、本開示の実施形態の幾つかの例を説明してきたが、これらは例示にすぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。説明した実施形態についても、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、変更、追加、改良などを適宜行うことができることが理解されるべきである。本開示の技術的範囲は、上述した実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ規定されるべきである。
【符号の説明】
【0142】
210…停車中の車速パルス信号の波形の一例である。
220…走行中の車速パルス信号の波形の一例である。
300…10km/hで走行しているときに車両から受信する例示車速パルス信号である。
400…20km/hで走行しているときに車両から受信する例示車速パルス信号である。
500…車両が10km/hで走行しているときにナビゲーションシステムに送信される例示車速パルス信号である。