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  • 特開-介護者指名システム 図1
  • 特開-介護者指名システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117381
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】介護者指名システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20240101AFI20240822BHJP
   G06Q 10/0639 20230101ALI20240822BHJP
【FI】
G06Q50/22
G06Q10/0639
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023448
(22)【出願日】2023-02-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】521018694
【氏名又は名称】白井 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】白井 俊弘
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L010AA08
5L049AA08
5L099AA13
(57)【要約】
【課題】介護者が頑張ることにより報われるような仕組みを構築することである。
【解決手段】介護者指名システム10は、被介護者4の介護を担当する介護者6を指名する介護者指名部12と、介護者指名部12により指名された介護者6に給与とは別の所定額の報酬を与える報酬付与部14と、を備えることを特徴とする。また、指名された介護者6の代わりに別の介護者6が被介護者4の介護を担当したときに、所定額の報酬のうち所定の割合αの報酬額を指名された介護者6に与えるとともに、所定額の報酬のうち所定の割合β(β<α)の報酬額を別の介護者6に与える。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被介護者の介護を担当する介護者を指名する介護者指名部と、
前記介護者指名部により指名された前記介護者に給与とは別の所定額の報酬を与える報酬付与部と、
を備えることを特徴とする介護者指名システム。
【請求項2】
請求項1に記載の介護者指名システムにおいて、
前記指名された前記介護者の代わりに別の介護者が前記被介護者の介護を担当したときに、前記所定額の報酬のうち所定の割合αの報酬額を前記指名された前記介護者に与えるとともに、前記所定額の報酬のうち所定の割合β(β<α)の報酬額を前記別の介護者に与えることを特徴とする介護者指名システム。
【請求項3】
請求項2に記載の介護者指名システムにおいて、
前記被介護者が認知症を含む介護に注意が必要な状態であるか否かを記憶する記憶部と、
前記注意が必要とされる前記被介護者からの前記介護者指名部による前記指名を禁止する指名禁止部と、
を備えることを特徴とする介護者指名システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護者指名システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化社会に伴い、介護の形態として、例えば、サービス付き高齢者住宅、住宅型有料老人ホーム、訪問介護などがある。
【0003】
本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、介護施設の情報を記憶したデータベースを有するサーバと、サーバと通信自在であり介護施設への入居希望者の情報を入力する端末と、入居希望者と介護施設とのマッチングを入居希望者の情報と介護施設の情報とに基づいて行う制御部とを備えた介護マッチングシステムであって、 前記入居希望者の情報が、前記入居希望者の入居希望地域についての情報、入居希望者の入居希望施設種別についての情報、入居希望者の要介護度についての情報、入居希望者の生活保護受給の有無についての情報、入居希望者の入居金の上限額についての情報、および入居希望者の入居希望施設の月額予算についての情報であり、 前記介護施設の情報が、前記介護施設の住所についての情報、介護施設の施設種別についての情報、介護施設の対応可能な要介護度についての情報、生活保護受給者の受け入れについての情報、介護施設の入居金についての情報、および介護施設の月額費用についての情報であり、 前記制御部が、前記入居希望者の各情報と、介護施設の各情報とを比べ、全ての条件を満たす介護施設を端末の表示部に表示する構成であることを特徴とする。
【0004】
また、特許文献2には、予め登録された複数の在宅介護事業者の中から利用者にとって適切な前記在宅介護事業者を検索してマッチングを行うための在宅介護マッチングシステムであって、 前記利用者の居住場所、前記利用者が介護を利用したい時間帯、及び前記利用者に関する属性を入力する入力部と、 前記居住場所、前記時間帯、及び前記属性に基づいて前記適切な前記在宅介護事業者を抽出する抽出部と、を備え、前記属性は、前記利用者が生活保護を受けている者であることを示す情報を含み、前記居住場所は、前記利用者がいる緯度・経度に関する位置情報及び前記利用者の携帯端末に含まれるGPSを用いた位置情報を所定の領域を含む位置情報に変更するように乱数を乗じて求められた位置情報に基づいて特定されることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-135777号公報
【特許文献2】特許第6875766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
介護士などの介護者の金銭的待遇の改善が課題といったようなテーマが話題に上がることがある。介護者が頑張ることにより報われるような社会となることで被介護者への介護サービスの内容をより良いものとなるような仕組みの構築が望まれている。
【0007】
本発明の目的は、介護者が頑張ることにより報われるような仕組みを構築することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る介護者指名システムは、被介護者の介護を担当する介護者を指名する介護者指名部と、前記介護者指名部により指名された前記介護者に給与とは別の所定額の報酬を与える報酬付与部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る介護者指名システムにおいて、前記指名された前記介護者の代わりに別の介護者が前記被介護者の介護を担当したときに、前記所定額の報酬のうち所定の割合αの報酬額を前記指名された前記介護者に与えるとともに、前記所定額の報酬のうち所定の割合β(β<α)の報酬額を前記別の介護者に与えることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る介護者指名システムにおいて、前記被介護者が認知症を含む介護に注意が必要な状態であるか否かを記憶する記憶部と、前記注意が必要とされる前記被介護者からの前記介護者指名部による前記指名を禁止する指名禁止部と、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、介護者が頑張ることにより報われるような社会とすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る実施形態の介護者指名システムを示す図である。
図2】本発明に係る実施形態の介護者指名システムを用いて介護者に与える報酬額を演算している様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0014】
図1は、本発明に係る実施形態の介護者指名システム10を示す図である。図2は、本発明に係る実施形態の介護者指名システム10を用いて介護者6に与える報酬額を演算している様子を示す図である。
【0015】
介護者指名システム10は、介護者が頑張ることにより報われるような仕組みを提供するためのシステムである。介護者指名システム10は、介護者指名部12と、報酬付与部14と、指名禁止部16と、記憶部18とを備えている。
【0016】
介護者指名システム10は、ネットワーク2を介して複数の被介護者4及び複数の介護者6が所有する携帯端末等に接続されている。
【0017】
各被介護者4は、介護者6による介護が必要な人であり、氏名、年齢、性別、住所、介護レベルなどに関する情報が記憶部18に記憶されている。また、介護者6は、被介護者4を介護する人(介護福祉士を含む介護職)であり、氏名、年齢、性別、住所、資格の有無に関する情報が記憶部18に記憶されている。
【0018】
記憶部18は、被介護者4が介護に注意が必要な状態であるか否かを記憶する。ここで、介護に注意が必要な状態な人とは、認知症の人、記憶障害の人、暴力を振るう人、セクハラをする人など、指名された介護者6が指名されることによって被害を受ける可能性がある被介護者4は、予めデータベースに登録されていて、指名禁止部16の機能により指名できないような状態とする。
【0019】
介護指名部12は、被介護者4の介護を担当する介護者6を指名する機能を有する。被介護者4は、介護を受ける際に介護者6とのコミュニケーションなどを楽しみにしている人もいるため、お気に入りの介護者6がいれば、その人に介護をお願いしたいということを考えることがある。
【0020】
このような場合に、被介護者4は携帯端末を使用して介護指名部12の機能を用いて、所望の介護者6を指名するとともに、当該介護者6による介護を希望する日時などを登録する。
【0021】
また、介護の対象としては、例えば、被介護者4の入浴のサポートや被介護者4の排便のサポートなどが存在する。このため、例えば、被介護者4が女性である場合には、男性の介護者6ではなく同性である女性の介護者6に依頼したいと感じることがあり、個人名ではなく、単に女性の介護者6を希望するといった形の指名でもよい。
【0022】
報酬付与部14は、介護者指名部12により指名された介護者6に給与とは別の所定額の報酬を与える機能を有する。例えば、被介護者4によって指名された場合、一時間当たりの指名料として1000円を被介護者4に負担してもらう。
【0023】
具体的には、図2(a)に示されるように、報酬付与部14は、1000円のうち、10%を介護者指名システム10の利用としてシステム側で徴収し、90%を指名された介護者6に報酬として付与する。
【0024】
報酬付与部14は、指名された介護者6の代わりに別の介護者6が被介護者4の介護を担当したときに、所定額の報酬のうち所定の割合αの報酬額を指名された介護者6に与えるとともに、所定額の報酬のうち所定の割合β(β<α)の報酬額を別の介護者6に与える機能を有する。
【0025】
具体的には、図2(b)に示されるように、報酬付与部14は、1000円のうち、10%を介護者指名システム10の利用としてシステム側で徴収し、80%を指名された介護者6に報酬として付与し、10%を代替の介護者6に報酬として付与する。
【0026】
例えば、被介護者4から3時間の介護を依頼されたときに、指名を受けた介護者6が2時間しか対応できない場合に残り1時間を代替の介護者6に頼る必要がある。このような状況では、図3(c)に示されるように、指名料として徴収する費用は1000円×3時間=3000円であり、指名されて介護者6は、2000×0.9+1000×0.8=1800+800=2600円を報酬として与えられる。
【0027】
指名禁止部16は、注意が必要とされる被介護者4からの介護者指名部12による指名を禁止する機能を有する。具体的には、被介護者4が携帯端末などに基づいて介護者指名部12の機能により、介護者6を指名しようとしたときは、「この機能は使用できません」といったメッセージを表示する。
【0028】
続いて、上記構成の介護者指名システム10の作用について説明する。従来、介護職は重労働でありながらも金銭的な待遇が好ましくない状況にあるという点が介護業界において社会的な課題の1つとされることがある。
【0029】
いわゆる団塊の世代が介護を必要とする時代がすぐそこまで迫っている状況であり、今後、ますます介護者の存在が大切になってくるが、このような状況では将来の介護職の担い手が増えない可能性がある。
【0030】
また、重労働でもあるにもかかわらず低賃金であり、頑張っても手を抜いても賃金が変わらないような状況であれば、介護サービスの質が低下し、ひいては、高齢者が満足を得るようなサービスを受けられない可能性がある。このような課題に対し、本発明に係る実施形態の介護者指名システム10は、顕著な効果を発揮する。
【0031】
例えば、被介護者4が特定の介護者4を気に入って、介護者指名部12の機能を用いて指名したとする。この場合、図2(a)に示されるように、指名料のうち、10%を介護者指名システム10の利用としてシステム側で徴収し、90%を指名された介護者6に報酬として付与する。
【0032】
介護者4が2時間介護を担当した場合、指名料として1000円×2時間=2000円が被介護者4から支払われるため、2000円×0.1=200円をシステム利用料として徴収され、2000円×0.9=1800円を介護者6に支払う。
【0033】
また、例えば、指名された介護者6と、当該介護者6の代わりに介護を担当する介護者6とで介護をおこなった場合、図2(b)に示されるように、10%を介護者指名システム10の利用としてシステム側で徴収し、80%を指名された介護者6に報酬として付与し、10%を代替の介護者6に報酬として付与する。
【0034】
指名された介護者6が1時間介護を行い、当該介護者6の助っ人として代替で介護を行う介護者6が2時間介護を行った場合は、指名料として徴収する費用は1000円×3時間=3000円であり、指名されて介護者6は、1000×0.9+2000×0.8=900+1600=2500円を報酬として与えられる。
【0035】
上記のように、介護者指名システム10によれば、介護者6は丁寧な仕事などを行うことで被介護者4から気に入られれば指名を受ける確率が高まり、指名されると自ら働いた場合のみならず、代わりに働いてくれた介護者6の分まで指名料が還元される。これにより、仕事に一生懸命取り組もうという意欲が湧き、報酬も増えていくことで介護職業界の人気が高まる。また、一生懸命介護がなされることで、被介護者4もより良い介護サービスを受けるという利点がある。
【0036】
なお、介護老人保健施設などのように比較的大規模な施設においては、例えば、30人ほどの被介護者4を4人の介護者6(例えば、全て女性)で介護することがある。このような場合に、30人の被介護者4の中から女性の介護者6を希望する必要がいる場合には、性別を指定する指定料を徴収し、徴収した指定料を4人の介護者6で均等に分けることで、介護者6の給与以外の報酬が増えるため、働くモチベーションが向上するという利点がある。
【符号の説明】
【0037】
2 ネットワーク、4 被介護者、6 介護者、10 介護者指名システム、12 介護者指名部、14 報酬付与部、16 指名禁止部、18 記憶部。

図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被介護者の介護を担当する介護者を指名する介護者指名部と、
前記指名された前記介護者の代わりに別の介護者が前記被介護者の介護を担当したときに、所定額の報酬のうち所定の割合αの報酬額と、前記所定額の報酬のうち所定の割合β(β<α)の報酬額とを算出する報酬額算出部と、
前記介護者指名部により指名された前記介護者に前記所定の割合αの報酬額を給与とは別に与えるとともに、前記別の介護者に前記所定の割合βの報酬額を給与とは別に与える報酬付与部と、
を備えることを特徴とする介護者指名システム。
【請求項2】
請求項に記載の介護者指名システムにおいて、
前記被介護者が認知症を含む介護に注意が必要な状態であるか否かを記憶する記憶部と、
前記注意が必要とされる前記被介護者からの前記介護者指名部による前記指名を禁止する指名禁止部と、
を備えることを特徴とする介護者指名システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明に係る介護者指名システムは、被介護者の介護を担当する介護者を指名する介護者指名部と、前記指名された前記介護者の代わりに別の介護者が前記被介護者の介護を担当したときに、所定額の報酬のうち所定の割合αの報酬額と、前記所定額の報酬のうち所定の割合β(β<α)の報酬額とを算出する報酬額算出部と、前記介護者指名部により指名された前記介護者に前記所定の割合αの報酬額を給与とは別に与えるとともに、前記別の介護者に前記所定の割合βの報酬額を給与とは別に与える報酬付与部と、を備えることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】