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特開2024-117389ケーブルの検査装置、ケーブルの検査方法およびケーブルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117389
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】ケーブルの検査装置、ケーブルの検査方法およびケーブルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/44 20060101AFI20240822BHJP
   G01S 13/36 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
G02B6/44 391
G02B6/44 366
G01S13/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023459
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】川井 健司
(72)【発明者】
【氏名】乗杉 優司
【テーマコード(参考)】
2H201
5J070
【Fターム(参考)】
2H201AX01
2H201BB06
2H201BB08
2H201BB22
2H201BB25
2H201BB33
2H201BB34
2H201BB59
2H201BB76
2H201BB77
2H201BB80
2H201DD14
2H201KK17
2H201KK34C
2H201KK36C
2H201MM02
2H201MM31
2H201MM37
5J070AC02
5J070AE20
5J070AK40
(57)【要約】
【課題】SZ撚りが施されるケーブルに対して、SZ撚りが正常に行われているか否かをより正確に検査する。
【解決手段】ケーブルの検査装置は、複数本のユニットを含むコアの周囲に上巻きテープを巻き付け、さらに前記上巻きテープの周囲に被覆層を形成するケーブルの製造工程において、前記ケーブルの検査を行う検査装置であって、前記コアは、前記複数本のユニットに対して周期的に撚り合わせ方向が反転するSZ撚りが施され、前記検査装置は、前記コアの周囲に巻き付けられ、かつ前記被覆層が形成される前の前記上巻きテープの動きを、前記被覆層が形成される前に非接触で測定するセンサと、前記センサによる測定結果に基づいて、前記SZ撚りが正常に行われているか否かを判定する判定部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本のユニットを含むコアの周囲に上巻きテープを巻き付け、さらに前記上巻きテープの周囲に被覆層を形成するケーブルの製造工程において、前記ケーブルの検査を行う検査装置であって、
前記コアは、前記複数本のユニットに対して周期的に撚り合わせ方向が反転するSZ撚りが施され、
前記検査装置は、
前記コアの周囲に巻き付けられ、かつ前記被覆層が形成される前の前記上巻きテープの動きを、前記被覆層が形成される前に非接触で測定するセンサと、
前記センサによる測定結果に基づいて、前記SZ撚りが正常に行われているか否かを判定する判定部と、を備える、ケーブルの検査装置。
【請求項2】
前記センサは、前記上巻きテープに向けて送信波を送信し、前記上巻きテープにおいて反射した反射波を受信し、前記送信波と前記反射波との位相差に基づいて前記上巻きテープの動きを測定するドップラセンサである、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記コアは、複数本の前記ユニットが通過する目板が回転することにより、前記SZ撚りが施され、
前記センサは、前記位相差に基づいて前記上巻きテープの周方向の変位の周期を検出し、前記判定部は、前記変位の周期と、前記目板の回転周期とを比較することにより、前記SZ撚りが正常に行われているか否かを判定する、請求項2に記載のケーブルの検査装置。
【請求項4】
前記ユニットには、複数の光ファイバ心線が含まれる、請求項1または請求項2に記載のケーブルの検査装置。
【請求項5】
複数本のユニットを含むコアの周囲に上巻きテープを巻き付け、さらに前記上巻きテープの周囲に被覆層を形成するケーブルの製造工程における、前記ケーブルの検査方法であって、
前記コアは、前記複数本のユニットに対して周期的に撚り合わせ方向が反転するSZ撚りが施され、
前記コアの周囲に巻き付けられ、かつ前記被覆層が形成される前の前記上巻きテープの動きを、前記被覆層が形成される前に非接触で測定するステップと、
前記上巻きテープの動きの測定結果に基づいて、前記SZ撚りが正常に行われているか否かを判定するステップと、を含む、ケーブルの検査方法。
【請求項6】
複数本のユニットを含むコアの周囲に上巻きテープを巻き付け、さらに前記上巻きテープの周囲に被覆層を形成するケーブルの製造方法であって、
前記複数本のユニットに対して、周期的に撚り合わせ方向が反転するSZ撚りを施すステップと、
前記コアの周囲に前記上巻きテープを巻き付けるステップと、
前記被覆層が形成される前の前記上巻きテープの動きを、前記被覆層が形成される前に非接触で測定するステップと、
前記測定の結果に基づいて、前記SZ撚りが正常に行われているか否かを判定するステップと、
前記被覆層を形成するステップと、を含む、ケーブルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ケーブルの検査装置、ケーブルの検査方法およびケーブルの製造方法に関する。
【0002】
従来、複数の光ファイバ心線を集線したユニットを複数備え、これら複数のユニットに対してSZ撚りを施した光ファイバケーブルが知られている。例えば、特許文献1には、複数の光ファイバをそれぞれ有する複数の光ファイバユニットと、複数の光ファイバユニットを包む押さえ巻きと、押さえ巻きの内側に配置された介在物と、押さえ巻きを被覆するシースとを備え、複数の光ファイバユニットのうち最外層に位置する複数の外側ユニットが、ケーブル中心軸を中心としてSZ状に撚り合わされている光ファイバケーブルが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-100376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の光ファイバケーブルのように、SZ撚りが施されるケーブルでは、目板に形成された複数の孔に複数のユニットをそれぞれ挿通し、当該目板を回転させることによってSZ撚りが施される。
【0005】
しかしながら、当該目板の回転が正常に行われている場合であっても、ケーブルにおいて撚り戻りなどが生じる可能性があり、ケーブルに対するSZ撚りが正常に行われているか否かをより正確に検査することのできる技術が望まれている。
【0006】
本開示は、SZ撚りが施されるケーブルに対して、SZ撚りが正常に行われているか否かをより正確に検査することができるケーブルの検査装置、検査方法および製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のケーブルの検査装置は、
複数本のユニットを含むコアの周囲に上巻きテープを巻き付け、さらに前記上巻きテープの周囲に被覆層を形成するケーブルの製造工程において、前記ケーブルの検査を行う検査装置であって、
前記コアは、前記複数本のユニットに対して周期的に撚り合わせ方向が反転するSZ撚りが施され、
前記検査装置は、
前記コアの周囲に巻き付けられ、かつ前記被覆層が形成される前の前記上巻きテープの動きを、前記被覆層が形成される前に非接触で測定するセンサと、
前記センサによる測定結果に基づいて、前記SZ撚りが正常に行われているか否かを判定する判定部と、を備える。
【0008】
本開示のケーブルの検査方法は、
複数本のユニットを含むコアの周囲に上巻きテープを巻き付け、さらに前記上巻きテープの周囲に被覆層を形成するケーブルの製造工程における、前記ケーブルの検査方法であって、
前記コアは、前記複数本のユニットに対して周期的に撚り合わせ方向が反転するSZ撚りが施され、
前記コアの周囲に巻き付けられ、かつ前記被覆層が形成される前の前記上巻きテープの動きを、前記被覆層が形成される前に非接触で測定するステップと、
前記上巻きテープの動きの測定結果に基づいて、前記SZ撚りが正常に行われているか否かを判定するステップと、を含む。
【0009】
本開示のケーブルの製造方法は、
複数本のユニットを含むコアの周囲に上巻きテープを巻き付け、さらに前記上巻きテープの周囲に被覆層を形成するケーブルの製造方法であって、
前記複数本のユニットに対して、周期的に撚り合わせ方向が反転するSZ撚りを施すステップと、
前記コアの周囲に前記上巻きテープを巻き付けるステップと、
前記被覆層が形成される前の前記上巻きテープの動きを、前記被覆層が形成される前に非接触で測定するステップと、
前記測定の結果に基づいて、前記SZ撚りが正常に行われているか否かを判定するステップと、
前記被覆層を形成するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、SZ撚りが施されるケーブルに対して、SZ撚りが正常に行われているか否かをより正確に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の実施の形態に係るケーブルの一例を示す図である。
図2図2は、図1に示すユニットに含まれる一部の光ファイバ心線の構成を示す図である。
図3図3は、図1に示すケーブルを製造するための製造装置の一例を示す図である。
図4図4は、図3に示す検査装置の構成を示す図である。
図5図5は、図3に示す駆動装置により指示される指令回転速度、当該モータのフィードバック値、および上巻きテープの周方向の変位、の時系列変化の一例を示すグラフである。
図6図6は、本開示の実施形態に係るケーブルの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<本開示の実施形態の説明>
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示の実施の形態に係るケーブルの検査装置は、
(1)複数本のユニットを含むコアの周囲に上巻きテープを巻き付け、さらに前記上巻きテープの周囲に被覆層を形成するケーブルの製造工程において、前記ケーブルの検査を行う検査装置であって、
前記コアは、前記複数本のユニットに対して周期的に撚り合わせ方向が反転するSZ撚りが施され、
前記検査装置は、
前記コアの周囲に巻き付けられ、かつ前記被覆層が形成される前の前記上巻きテープの動きを、前記被覆層が形成される前に非接触で測定するセンサと、
前記センサによる測定結果に基づいて、前記SZ撚りが正常に行われているか否かを判定する判定部と、を備える。
【0013】
このように、ケーブルの製造工程における上巻きテープの動きを非接触で測定する構成により、ケーブルに対するSZ撚りが正常に行われているか否かをより正確に検査することができる。また、非接触で測定するので、ケーブルを傷つけるおそれも無い。
【0014】
(2)上記(1)のケーブルの検査装置では、
前記センサは、前記上巻きテープに向けて送信波を送信し、前記上巻きテープにおいて反射した反射波を受信し、前記送信波と前記反射波との位相差に基づいて前記上巻きテープの動きを測定するドップラセンサであってもよい。
【0015】
このような構成により、ケーブルの製造工程において、当該ケーブルの長手方向に沿ってコアおよび上巻きテープが高速で動いている状況であっても、当該長手方向と直交する上巻きテープの動きを精度よく測定することができる。
【0016】
(3)上記(2)のケーブルの検査装置では、
前記コアは、複数本の前記ユニットが通過する目板が回転することにより、前記SZ撚りが施され、
前記センサは、前記位相差に基づいて前記上巻きテープの周方向の変位の周期を検出し、前記判定部は、前記変位の周期と、前記目板の回転周期とを比較することにより、前記SZ撚りが正常に行われているか否かを判定してもよい。
【0017】
このような構成により、例えば、目板が指令どおりに回転しているにもかかわらず、ケーブルにおいて撚り戻りが生じている等の不具合を検出することができる。
【0018】
(4)上記(1)から(3)のいずれかのケーブルの検査装置では、
前記ユニットには、複数の光ファイバ心線が含まれてもよい。
【0019】
このように、光ファイバケーブルの製造工程において上記の検査装置を用いる構成により、SZ撚りが正確に施された光ファイバケーブルを製造することができる。
【0020】
本開示の実施の形態に係るケーブルの検査方法は、
(5)複数本のユニットを含むコアの周囲に上巻きテープを巻き付け、さらに前記上巻きテープの周囲に被覆層を形成するケーブルの製造工程における、前記ケーブルの検査方法であって、
前記コアは、前記複数本のユニットに対して周期的に撚り合わせ方向が反転するSZ撚りが施され、
前記コアの周囲に巻き付けられ、かつ前記被覆層が形成される前の前記上巻きテープの動きを、前記被覆層が形成される前に非接触で測定するステップと、
前記上巻きテープの動きの測定結果に基づいて、前記SZ撚りが正常に行われているか否かを判定するステップと、を含む。
【0021】
このように、ケーブルの製造工程における上巻きテープの動きを非接触で測定する方法により、ケーブルに対するSZ撚りが正常に行われているか否かをより正確に検査することができる。また、非接触で測定するので、ケーブルを傷つけるおそれも無い。
【0022】
本開示の実施の形態に係るケーブルの製造方法は、
(6)複数本のユニットを含むコアの周囲に上巻きテープを巻き付け、さらに前記上巻きテープの周囲に被覆層を形成するケーブルの製造方法であって、
前記複数本のユニットに対して、周期的に撚り合わせ方向が反転するSZ撚りを施すステップと、
前記コアの周囲に前記上巻きテープを巻き付けるステップと、
前記被覆層が形成される前の前記上巻きテープの動きを、前記被覆層が形成される前に非接触で測定するステップと、
前記測定の結果に基づいて、前記SZ撚りが正常に行われているか否かを判定するステップと、
前記被覆層を形成するステップと、を含む。
【0023】
このように、ケーブルの製造工程において、上巻きテープの動きを非接触で測定する方法により、ケーブルに対するSZ撚りが正常に行われているか否かをより正確に検査することができる。また、非接触で測定するので、ケーブルを傷つけるおそれも無い。
【0024】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示の製造装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0025】
[ケーブルの構成]
図1は、本開示の実施の形態に係るケーブル1の一例を示す図である。図1を参照して、ケーブル1は、例えば光ファイバケーブルであり、複数の光ファイバ心線2を有するユニット5と、チューブ4と、複数のユニット5を含むケーブルコア(コア)6と、ケーブルコア6の周囲に巻き付けられる上巻きテープ7と、上巻きテープ7の外周に巻き付けられる粗巻き紐8と、上巻きテープ7の周囲を被覆するケーブル外被(被覆層)9とを備える。各ユニット5は、複数本の光ファイバ心線2を含み、これら複数本の光ファイバ心線2が中空のチューブ4によって周囲が覆われている。
【0026】
図2は、図1に示すユニット5に含まれる一部の光ファイバ心線2の構成を示す図である。図2に示す例では、12本の光ファイバ心線2が示されており、12本の光ファイバ心線2が、12心の光ファイバリボン3を形成している。図2を参照して、12本の光ファイバ心線2は、例えば、並列に配置された状態で2本ずつの組となり、各組に含まれる2本の光ファイバ心線2は、長手方向の全体にわたって連結されている。
【0027】
また、互いに隣接する組同士は、間欠的に連結されている。具体的には、組同士の間には、長手方向に沿って連結部45とスリット部46とが交互に設けられる。図1に示す各ユニット5には、例えば、12心の光ファイバリボン3が6つ含まれ、これら6つが螺旋状に撚り合わされている。すなわち、各ユニット5には、72本の光ファイバ心線2が含まれる。また、ケーブルコア6には、例えば12本のユニット5が含まれる。
【0028】
なお、12心の光ファイバリボン3は、図2に示す構成に限定されず、例えば、1本の光ファイバ心線2ごと、または3本以上の光ファイバ心線2ごとにスリット部46が設けられてもよい。
【0029】
再び図1を参照して、ケーブルコア6は、複数本のユニット5に対して周期的に撚り合わせ方向が反転するSZ撚りが施されている。
【0030】
上巻きテープ7は、ケーブル1の長手方向に縦添えで巻き付けられている。上巻きテープ7は、例えば、幅方向の端部同士を互いに重ねることで、重なり部分が形成されるように巻き付けられる。
【0031】
上巻きテープ7は、SZ撚りが施された複数のユニット5を保持するとともに、ケーブル外被9を樹脂の押出成形で形成する際に樹脂が複数のユニット5の間に落ち込むのを抑制する落ち込み抑制層や、ケーブル外被9の押出成形時の熱遮蔽層として機能する。上巻きテープ7としては、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の繊維からなる不織布などが用いられる。なお、上巻きテープ7は、縦添えで巻き付けられる構成に限らず、例えば、螺旋巻きで巻き付けられてもよい。
【0032】
粗巻き紐8は、上巻きテープ7の外周に巻き付けられる。ケーブル外被9は、粗巻き紐8が巻き付けられた上巻きテープ7の周囲に樹脂を押出成形することによって成形される。ケーブル外被9を成形する樹脂は、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)、ポリエチレン等で構成されている。
【0033】
[製造装置]
図3は、図1に示すケーブル1を製造するための製造装置10の一例を示す図である。図3を参照して、ケーブル1の製造装置10は、一例として、供給装置11と、固定目板12と、回転目板14と、集線装置13と、粗巻き紐供給ボビン18と、押出成形装置19と、冷却装置20と、ケーブルキャプスタン21と、駆動装置22と、検査装置31とを備える。
【0034】
供給装置11は、複数のユニット5を固定目板12へ供給する。固定目板12および回転目板14には、複数のユニット5をそれぞれ挿通させる複数の孔が形成されている。供給装置11から供給された複数のユニット5は、それぞれ、固定目板12の複数の孔を通過し、さらに、回転目板14の複数の孔を通過して、集線装置13に集線される。
【0035】
駆動装置22は、図示しないモータに連結され、当該モータに回転目板14が接続されている。駆動装置22は、所定の回転速度で時計回りと反時計回りとを周期的に繰り返すようにモータを回転させる。これにより、モータに接続された回転目板14が、時計回りと反時計回りとを周期的に繰り返すように回転し、回転目板14を通過する複数のユニット5、すなわちケーブルコア6にSZ撚りが施される。例えば、回転目板14は、時計回りに360°回転した後、反時計回りに360°回転する動きを繰り返し行う。
【0036】
SZ撚りが施されたケーブルコア6の外周に上巻きテープ7が巻き付けられ、さらに、上巻きテープ7の外周に、粗巻き紐供給ボビン18から繰り出された粗巻き紐8が巻き付けられる。これにより、上巻きテープ7のほつれが抑えられる。
【0037】
検査装置31は、粗巻き紐8が巻き付けられた上巻きテープ7の動きを測定し、測定結果に基づいて、ケーブルコア6に対するSZ撚りが正常に行われているか否かを判定する。検査装置31の詳細については、後述する。
【0038】
押出成形装置19は、粗巻き紐8が巻き付けられた上巻きテープ7の外周に、ケーブル外被9を押出成形する。押出成形されたケーブル外被9は、冷却装置20で冷却硬化される。冷却されたケーブル1は、ケーブルキャプスタン21によって引き取られた後に、巻取りボビン(図示省略)に巻取られる。
【0039】
[検査装置]
図4は、図3に示す検査装置31の構成を示す図である。図4を参照して、検査装置31は、センサ41と、判定部42と、受信部43と、送信部44とを含む。センサ41は、ケーブルコア6の外周に巻き付けられた上巻きテープ7の動きであって、ケーブルコア6の長手方向と直交する上巻きテープ7の動きを、ケーブル外被9が形成される前に非接触で測定する。
【0040】
より詳細には、センサ41は、例えばドップラセンサであり、上巻きテープ7に向けて送信波を送信する。センサ41から送信された送信波の反射波、すなわち上巻きテープ7において反射した反射波は、センサ41により受信される。そして、センサ41は、送信波と反射波との位相差に基づいて、上巻きテープ7の動きとして、当該上巻きテープ7の周方向の変位(以下、「変位信号RS3」と称する)を検出する。
【0041】
上巻きテープ7は、ケーブルコア6に接触しており、周方向において、SZ撚りが施されるケーブルコア6と同様の動きをする。このため、上巻きテープ7の当該周方向における速度は、周期的に変化する。センサ41は、上記位相差に基づいて、上巻きテープ7の変位、すなわち上巻きテープ7の周方向の速度変化を検出する。
【0042】
判定部42は、センサ41により検出された上巻きテープ7の変位信号RS3に基づいて、ケーブルコア6のSZ撚りが正常に行われているか否かを判定する。
【0043】
より詳細には、図3に示す駆動装置22によってモータに指示される回転速度(以下、「指令回転速度RS1」と称する)は、駆動装置22に予め設定されている。また、駆動装置22は、例えば、指示を受けて回転した当該モータの実際の回転速度(以下、「フィードバック値RS2」と称する)を測定する。そして、駆動装置22は、指令回転速度RS1を示すデータ、およびフィードバック値RS2を示すデータを、検査装置31へ送信し、検査装置31の受信部43が受信する。
【0044】
ここで、指令回転速度RS1と、駆動装置22により測定されたフィードバック値RS2とを比較して、これらが一致している場合、ケーブルコア6に対するSZ撚りが正常に行われていると判定することができる。しかしながら、モータが指令通りに回転している場合であっても、ケーブルコア6において撚り戻りなどが生じることにより、意図したように撚られていなかったり、モータの回転速度と、ケーブルコア6の撚りの周期とが一致しなかったりする可能性がある。そこで、検査装置31は、以下のような方法により、SZ撚りが正常に行われているか否かを判定する。
【0045】
すなわち、図4に示す受信部43は、駆動装置22から送信された、指令回転速度RS1を示すデータ、およびフィードバック値RS2を示すデータを受信し、受信したこれらのデータを判定部42へ出力する。
【0046】
判定部42は、受信部43から受けた、指令回転速度RS1を示すデータ、およびフィードバック値RS2を示すデータ、ならびにセンサ41により検出された変位信号RS3に基づいて、ケーブルコア6のSZ撚りが正常に行われているか否かを判定する。なお、判定部42は、センサ41により検出された変位信号RS3の振幅を用いて、SZ撚りの大きさの大小について判定してもよい。
【0047】
図5は、図3に示す駆動装置22により指示される指令回転速度RS1、当該モータのフィードバック値RS2、および上巻きテープ7の変位信号RS3の一例を示すグラフである。図5に示すグラフにおいて、横軸は時間である。
【0048】
図5を参照して、グラフG1は指令回転速度RS1の時系列変化を示し、グラフG2はフィードバック値RS2の時系列変化を示す。ここでは、時計回りの回転速度が正の値であり、反時計回りの回転速度が負の値であるとする。図5では、グラフG1とグラフG2とが重なっており、指令回転速度RS1の周期とフィードバック値RS2の周期とが一致している。このため、モータおよび当該モータに接続された回転目板14は、駆動装置22からの指令どおりに回転していることが分かる。
【0049】
グラフG3は、上巻きテープ7の変位信号RS3を示す。判定部42は、例えば、グラフG3とグラフG2とを比較することにより、上巻きテープ7の変位周期と、回転目板14の回転周期とが一致するか否かを確認する。
【0050】
図5に示す例では、グラフG3の周期C3と、グラフG2との周期C2とが一致している。この場合、上巻きテープ7、すなわち上巻きテープ7が巻き付けられたケーブルコア6が、回転目板14の回転周期と同じ周期で回転していることが分かる。このため、判定部42は、グラフG3の周期C3とグラフG2の周期C2とが一致する場合、ケーブルコア6のSZ撚りは正常に行われていると判定する。
【0051】
再び図4を参照して、判定部42は、判定結果を送信部44へ出力してもよい。例えば、判定部42は、指令回転速度RS1を示すデータ、フィードバック値RS2を示すデータ、上巻きテープ7の変位信号RS3を示すデータ、および判定結果を送信部44へ出力する。送信部44は、これらのデータおよび判定結果を判定部42から受けると、例えば、これらのデータおよび判定結果を、モニタ等の表示部を有する図示しない外部装置へ送信する。
【0052】
外部装置は、これらのデータおよび判定結果を検査装置31から受信すると、例えば、受信したこれらデータに基づいて、表示部の画面に、図5に示すような3つのグラフを同一のチャート上で表示するとともに、判定結果の内容を当該画面に表示する。このように、判定結果が画面に表示されることにより、ユーザにおいて、ケーブルコア6のSZ撚りが正常に行われているか否かを容易に確認することができる。さらに、3つのグラフG1,G2,G3が同一のチャート上で画面に表示されることにより、ユーザにおいて、ケーブルコア6のSZ撚りの状態を容易に把握することができる。
【0053】
なお、センサ41は、ドップラセンサに限らない。例えば、センサ41は、上巻きテープ7を撮像し、撮像画像に対する画像解析などによって、当該上巻きテープ7の変位を検出する構成であってもよい。しかしながら、上巻きテープ7は、ケーブルコア6に巻き付けられた後、ケーブルコア6の長手方向に沿って高速で移動するため、撮像画像の解析処理が複雑になる可能性がある。
【0054】
一方、センサ41がドップラセンサである場合、センサ41は、上巻きテープ7がケーブルコア6の長手方向に沿って高速で動いている状況であっても、当該長手方向と直交する上巻きテープ7の変位を検出可能である。このため、センサ41は、上記のようなドップラセンサであることが好ましい。
【0055】
また、判定部42は、グラフG2とグラフG3とを比較する構成に限定されない。例えば、判定部42は、ケーブルコア6のSZ撚りが正常に行われている場合における上巻きテープ7の変位周期を予め取得しておき、センサ41により検出された上巻きテープ7の変位周期と、予め取得した上巻きテープ7の変位周期とを比較することにより、ケーブルコア6のSZ撚りが正常に行われているか否かを判定してもよい。
【0056】
[動作の流れ]
次に、ケーブル1の検査方法を含む、ケーブル1の製造方法について、フローチャートを用いて説明する。図6は、本開示の実施形態に係るケーブル1の製造方法の一例を示すフローチャートである。ここでは、ケーブルコア6にSZ撚りが施される工程以降の動作の流れについて説明する。
【0057】
図3および図6を参照して、まず、駆動装置22がモータに対して指令回転速度RS1を指示することにより当該モータが回転し、当該モータに接続されている回転目板14が時計回りと反時計回りとを周期的に繰り返すように回転する。これにより、回転目板14を通過するケーブルコア6に対してSZ撚りが施される(ステップS11)。
【0058】
次に、上巻きテープ7が、SZ撚りが施されたケーブルコア6に向けて繰り出され、ケーブルコア6の長手方向に沿って巻き付けられる(ステップS12)。
【0059】
次に、粗巻き紐8が、上巻きテープ7の外周に巻き付けられる(ステップS13)。
【0060】
次に、検査装置31が、粗巻き紐8が巻き付けられた上巻きテープ7の動き、すなわち、ケーブルコア6の周方向における上巻きテープ7の速度変化を検出する(ステップS14)。
【0061】
次に、検査装置31が、検出した上巻きテープ7の速度変化に基づいて、ケーブルコア6のSZ撚りが正常に行われているか否かを判定する。具体的には、検査装置31が、例えば上巻きテープ7の変位周期と、回転目板14の実際の回転周期とを比較することにより、ケーブルコア6のSZ撚りが正常に行われているか否かを判定する(ステップS15)。そして、検査装置31が、判定結果を外部装置へ送信する(ステップS16)。なお、ステップS15において、SZ撚りが異常であると判定された場合には、例えば、ケーブル1の長さ方向に対応した異常位置情報が検査装置31の記憶媒体または外部装置の記憶媒体に保存される。
【0062】
次に、押出成形装置19が、上巻きテープ7の外周にケーブル外被9を押出成形し、冷却装置20が、ケーブル外被9を冷却硬化する(ステップS17)。このようにして製造されたケーブル1は、巻取りボビンなどによって巻き取られる。その後、巻取りボビンから製品出荷用のボビンにケーブル1を巻き替える際、異常位置情報に基づいてケーブル1の異常部分を除去して、ケーブル1における正常部分のみを製品出荷用のボビンに巻き取らせることができる。
【0063】
なお、ケーブル外被9の成形および冷却(ステップS17)は、SZ撚りが正常に行われているか否かの判定(ステップS15)および判定結果の送信(ステップS16)の少なくともいずれか一方と並行して行われてもよい。
【0064】
また、上巻きテープ7の速度変化の検出(ステップS14)は、粗巻き紐8の巻き付け(ステップS13)よりも前に行われてもよい。
【0065】
また、本開示に係るケーブル1は、ユニット5に複数の光ファイバ心線2が含まれる光ファイバケーブルに限定されず、光ファイバ心線2を含まないケーブルであってもよい。
【0066】
以上、特定の実施形態に基づいて本開示を説明したが、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0067】
1 ケーブル
2 光ファイバ心線
3 光ファイバリボン
4 チューブ
5 ユニット
6 ケーブルコア(コア)
7 上巻きテープ
8 粗巻き紐
9 ケーブル外被(被覆層)
10 製造装置
11 供給装置
12 固定目板
13 集線装置
14 回転目板
18 粗巻き紐供給ボビン
19 押出成形装置
20 冷却装置
21 ケーブルキャプスタン
22 駆動装置
31 検査装置
41 センサ
42 判定部
43 受信部
44 送信部
45 連結部
46 スリット部
C1,C2 周期
G1,G2,G3 グラフ
RS1 指令回転速度
RS2 フィードバック値
RS3 変位信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6