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特開2024-117393生体情報処理装置、生体情報処理方法および生体情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117393
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】生体情報処理装置、生体情報処理方法および生体情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20240822BHJP
   A61B 5/352 20210101ALI20240822BHJP
【FI】
A61B5/02 310V
A61B5/02 310B
A61B5/352
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023465
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】須郷 義広
(72)【発明者】
【氏名】原田 喜晴
(72)【発明者】
【氏名】久保田 真澄
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 紗也香
【テーマコード(参考)】
4C017
4C127
【Fターム(参考)】
4C017AA09
4C017AA19
4C017AB03
4C017AB04
4C017AC26
4C017BC12
4C017BC20
4C017BD04
4C017EE15
4C017FF05
4C127AA02
4C127GG02
(57)【要約】
【課題】被検者の脈波伝播時間をより正確に測定する。
【解決手段】生体情報処理装置は、被検者の心電図データを検出する心電図データ検出部と、前記被検者の脈波データを検出する脈波データ検出部と、前記心電図データおよび前記脈波データに基づいて、前記被検者の脈波伝播時間を測定する脈波伝播時間測定部と、を備え、前記脈波伝播時間測定部は、脈波の立ち上がりタイミングのうちの1つを基準時として、前記基準時よりも前の複数の心拍について、それぞれ、心拍から前記基準時までの時間を脈波伝播時間の候補値として測定する候補値測定部と、複数の前記候補値のうち、所定条件を満たす前記候補値を、前記被検者の脈波伝播時間として特定する特定部と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の心電図データを検出する心電図データ検出部と、
前記被検者の脈波データを検出する脈波データ検出部と、
前記心電図データおよび前記脈波データに基づいて、前記被検者の脈波伝播時間を測定する脈波伝播時間測定部と、を備え、
前記脈波伝播時間測定部は、
脈波の立ち上がりタイミングのうちの1つを基準時として、前記基準時よりも前の複数の心拍について、それぞれ、心拍から前記基準時までの時間を脈波伝播時間の候補値として測定する候補値測定部と、
複数の前記候補値のうち、所定条件を満たす前記候補値を、前記被検者の脈波伝播時間として特定する特定部と、を含む、生体情報処理装置。
【請求項2】
前記特定部は、複数の前記候補値のうち、設定された脈波伝播時間の標準範囲の下限値以上であり、かつ最小の前記候補値を、前記被検者の脈波伝播時間として特定する、請求項1に記載の生体情報処理装置。
【請求項3】
前記特定部は、複数の前記候補値のうち、設定された脈波伝播時間の標準範囲の下限値以上であり、かつ前記標準範囲の上限値未満である前記候補値を、前記被検者の脈波伝播時間として特定する、請求項1に記載の生体情報処理装置。
【請求項4】
前記脈波伝播時間測定部は、さらに、
前記被検者の属性に基づいて、前記標準範囲を設定する範囲設定部を含む、請求項2または請求項3に記載の生体情報処理装置。
【請求項5】
前記脈波伝播時間測定部は、さらに、
前記基準時よりも前の心拍ごとに、前記基準時よりも前であって、前記基準時に直近の心拍までの時間であるRR間隔を測定するRR間隔測定部を含み、
前記特定部は、前記候補値と前記RR間隔との相関関係に基づいて、前記被検者の脈波伝播時間を特定する、請求項1に記載の生体情報処理装置。
【請求項6】
前記脈波伝播時間測定部は、さらに、
前記基準時よりも前の心拍ごとに、1つ前の心拍からの時間である先行RR間隔を測定する先行RR間隔測定部を含み、
前記特定部は、前記候補値と前記先行RR間隔との相関関係に基づいて、前記被検者の脈波伝播時間を特定する、請求項1または請求項5に記載の生体情報処理装置。
【請求項7】
被検者の心電図データを検出する心電図データ検出部と、
前記被検者の脈波データを検出する脈波データ検出部と、
前記心電図データおよび前記脈波データに基づいて、前記被検者の脈波伝播時間を測定する脈波伝播時間測定部と、を備え、
前記脈波伝播時間測定部は、
複数の心拍のうちの1つを基準時として、前記基準時から、前記基準時よりも後であり、かつ前記基準時に直近の脈波の立ち上がりタイミングまでの時間を第1候補値として測定する第1候補値測定部と、
前記基準時から、前記基準時よりも後であり、かつ前記基準時に直近の脈波の次の脈波の立ち上がりタイミングまでの時間を第2候補値として測定する第2候補値測定部と、
前記基準時よりも前であり、かつ前記基準時に直近の心拍から、前記基準時までの時間である先行RR間隔を測定する先行RR間隔測定部と、
前記基準時から、前記基準時よりも後であり、かつ前記基準時に直近の心拍までの時間であるRR間隔を測定するRR間隔測定部と、
前記第1候補値、前記第2候補値、前記先行RR間隔および前記RR間隔に基づいて、前記被検者の脈波伝播時間を特定する特定部と、を含む、生体情報処理装置。
【請求項8】
前記脈波伝播時間測定部は、さらに、
前記第1候補値と前記先行RR間隔との第1相関関係を算出する第1算出部と、
前記第2候補値と前記RR間隔との第2相関関係を算出する第2算出部と、を含み、
前記特定部は、前記第1相関関係と前記第2相関関係に基づいて、前記第1候補値および前記第2候補値のうちの一方を前記被検者の脈波伝播時間として特定する、請求項7に記載の生体情報処理装置。
【請求項9】
前記第1候補値測定部は、所定期間における前記心電図データおよび前記脈波データに基づいて、複数の前記第1候補値を測定し、
前記先行RR間隔測定部は、前記所定期間における前記心電図データおよび前記脈波データに基づいて、複数の前記先行RR間隔を測定し、
前記第1算出部は、複数の前記第1候補値と複数の前記先行RR間隔との第1相関係数を算出し、
前記第1算出部は、複数の前記第1候補値を所定の値の幅を有する範囲で区切る場合において、複数の前記第1候補値が複数の範囲に分かれる場合、範囲ごとに前記第1相関係数を算出し、
前記特定部は、複数の前記第1相関係数が算出された場合、複数の前記第1相関係数のうち、第1所定値から最も離れた値の前記第1相関係数に基づいて、前記被検者の脈波伝播時間を特定する、請求項8に記載の生体情報処理装置。
【請求項10】
前記第2候補値測定部は、所定期間における前記心電図データおよび前記脈波データに基づいて、複数の前記第2候補値を測定し、
前記RR間隔測定部は、前記所定期間における前記心電図データおよび前記脈波データに基づいて、複数の前記RR間隔を測定し、
前記第2算出部は、複数の前記第2候補値と複数の前記RR間隔との第2相関係数を算出し、
前記第2算出部は、複数の前記第2候補値を所定の値の幅を有する範囲で区切る場合において、複数の前記第2候補値が複数の範囲に分かれる場合、範囲ごとに前記第2相関係数を算出し、
前記特定部は、複数の前記第2相関係数が算出された場合、複数の前記第2相関係数のうち、第2所定値から最も離れた値の前記第2相関係数に基づいて、前記被検者の脈波伝播時間を特定する、請求項8に記載の生体情報処理装置。
【請求項11】
生体情報処理装置における生体情報処理方法であって、
被検者の心電図データを検出するステップと、
前記被検者の脈波データを検出するステップと、
前記心電図データおよび前記脈波データに基づいて、前記被検者の脈波伝播時間を測定するステップと、を含み、
前記被検者の脈波伝播時間を測定するステップにおいて、
脈波の立ち上がりタイミングのうちの1つを基準時として、前記基準時よりも前の複数の心拍について、それぞれ、心拍から前記基準時までの時間を脈波伝播時間の候補値として測定し、
複数の前記候補値のうち、所定条件を満たす前記候補値を、前記被検者の脈波伝播時間として特定する、生体情報処理方法。
【請求項12】
生体情報処理装置における生体情報処理方法であって、
被検者の心電図データを検出するステップと、
前記被検者の脈波データを検出するステップと、
前記心電図データおよび前記脈波データに基づいて、前記被検者の脈波伝播時間を測定するステップと、を含み、
前記被検者の脈波伝播時間を測定するステップにおいて、
複数の心拍のうちの1つを基準時として、前記基準時から、前記基準時よりも後であり、かつ前記基準時に直近の脈波の立ち上がりタイミングまでの時間を第1候補値として測定し、
前記基準時から、前記基準時よりも後であり、かつ前記基準時に直近の脈波の次の脈波の立ち上がりタイミングまでの時間を第2候補値として測定し、
前記基準時よりも前であり、かつ前記基準時に直近の心拍から、前記基準時までの時間である先行RR間隔を測定し、
前記基準時から、前記基準時よりも後であり、かつ前記基準時に直近の心拍までの時間であるRR間隔を測定し、
前記第1候補値、前記第2候補値、前記先行RR間隔および前記RR間隔に基づいて、前記被検者の脈波伝播時間を特定する、生体情報処理方法。
【請求項13】
生体情報処理装置において用いられる生体情報処理プログラムであって、
前記生体情報処理装置におけるコンピュータに、
被検者の心電図データを検出するステップと、
前記被検者の脈波データを検出するステップと、
前記心電図データおよび前記脈波データに基づいて、前記被検者の脈波伝播時間を測定するステップと、を実行させ、
前記被検者の脈波伝播時間を測定するステップにおいて、
脈波の立ち上がりタイミングのうちの1つを基準時として、前記基準時よりも前の複数の心拍について、それぞれ、心拍から前記基準時までの時間を脈波伝播時間の候補値として測定させ、
複数の前記候補値のうち、所定条件を満たす前記候補値を、前記被検者の脈波伝播時間として特定させる、生体情報処理プログラム。
【請求項14】
生体情報処理装置において用いられる生体情報処理プログラムであって、
前記生体情報処理装置におけるコンピュータに、
被検者の心電図データを検出するステップと、
前記被検者の脈波データを検出するステップと、
前記心電図データおよび前記脈波データに基づいて、前記被検者の脈波伝播時間を測定するステップと、を実行させ、
前記被検者の脈波伝播時間を測定するステップにおいて、
複数の心拍のうちの1つを基準時として、前記基準時から、前記基準時よりも後であり、かつ前記基準時に直近の脈波の立ち上がりタイミングまでの時間を第1候補値として測定させ、
前記基準時から、前記基準時よりも後であり、かつ前記基準時に直近の脈波の次の脈波の立ち上がりタイミングまでの時間を第2候補値として測定させ、
前記基準時よりも前であり、かつ前記基準時に直近の心拍から、前記基準時までの時間である先行RR間隔を測定させ、
前記基準時から、前記基準時よりも後であり、かつ前記基準時に直近の心拍までの時間であるRR間隔を測定させ、
前記第1候補値、前記第2候補値、前記先行RR間隔および前記RR間隔に基づいて、前記被検者の脈波伝播時間を特定させる、生体情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体情報処理装置、生体情報処理方法および生体情報処理プログラムに関するものである。
【0002】
特許文献1は、被検者の心拍出量(CO)を求めるために、当該被検者の脈波伝播時間(PWTT)を測定する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-312947号公報
【特許文献2】特開2020-39384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、被検者の心拍数が高い場合には、心拍と心拍との間隔(RR間隔)が狭まり、脈波の立ち上がりが、当該脈波を発生させた心拍の次の心拍よりも後に発生することがある。また、脈波センサを心臓よりも離れた部位に装着した場合も同様に、脈波の立ち上がりが、当該脈波を発生させた心拍の次の心拍よりも後に発生することがある。
【0005】
特許文献1に記載の測定装置では、脈波の立ち上がりは、その直前の心拍により発生することを前提としている。このため、より正確なPWTTを測定することのできる技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係わる生体情報処理装置は、
被検者の心電図データを検出する心電図データ検出部と、
前記被検者の脈波データを検出する脈波データ検出部と、
前記心電図データおよび前記脈波データに基づいて、前記被検者の脈波伝播時間を測定する脈波伝播時間測定部と、を備え、
前記脈波伝播時間測定部は、
脈波の立ち上がりタイミングのうちの1つを基準時として、前記基準時よりも前の複数の心拍について、それぞれ、心拍から前記基準時までの時間を脈波伝播時間の候補値として測定する候補値測定部と、
複数の前記候補値のうち、所定条件を満たす前記候補値を、前記被検者の脈波伝播時間として特定する特定部と、を含む。
【0007】
本開示の他の一態様に係わる生体情報処理装置は、
被検者の心電図データを検出する心電図データ検出部と、
前記被検者の脈波データを検出する脈波データ検出部と、
前記心電図データおよび前記脈波データに基づいて、前記被検者の脈波伝播時間を測定する脈波伝播時間測定部と、を備え、
前記脈波伝播時間測定部は、
複数の心拍のうちの1つを基準時として、前記基準時から、前記基準時よりも後であり、かつ前記基準時に直近の脈波の立ち上がりタイミングまでの時間を第1候補値として測定する第1候補値測定部と、
前記基準時から、前記基準時よりも後であり、かつ前記基準時に直近の脈波の次の脈波の立ち上がりタイミングまでの時間を第2候補値として測定する第2候補値測定部と、
前記基準時よりも前であり、かつ前記基準時に直近の心拍から、前記基準時までの時間である先行RR間隔を測定する先行RR間隔測定部と、
前記基準時から、前記基準時よりも後であり、かつ前記基準時に直近の心拍までの時間であるRR間隔を測定するRR間隔測定部と、
前記第1候補値、前記第2候補値、前記先行RR間隔および前記RR間隔に基づいて、前記被検者の脈波伝播時間を特定する特定部と、を含む。
【0008】
本開示の一態様に係わる生体情報処理方法は、
生体情報処理装置における生体情報処理方法であって、
被検者の心電図データを検出するステップと、
前記被検者の脈波データを検出するステップと、
前記心電図データおよび前記脈波データに基づいて、前記被検者の脈波伝播時間を測定するステップと、を含み、
前記被検者の脈波伝播時間を測定するステップにおいて、
脈波の立ち上がりタイミングのうちの1つを基準時として、前記基準時よりも前の複数の心拍について、それぞれ、心拍から前記基準時までの時間を脈波伝播時間の候補値として測定し、
複数の前記候補値のうち、所定条件を満たす前記候補値を、前記被検者の脈波伝播時間として特定する。
【0009】
本開示の他の一態様に係わる生体情報処理方法は、
生体情報処理装置における生体情報処理方法であって、
被検者の心電図データを検出するステップと、
前記被検者の脈波データを検出するステップと、
前記心電図データおよび前記脈波データに基づいて、前記被検者の脈波伝播時間を測定するステップと、を含み、
前記被検者の脈波伝播時間を測定するステップにおいて、
複数の心拍のうちの1つを基準時として、前記基準時から、前記基準時よりも後であり、かつ前記基準時に直近の脈波の立ち上がりタイミングまでの時間を第1候補値として測定し、
前記基準時から、前記基準時よりも後であり、かつ前記基準時に直近の脈波の次の脈波の立ち上がりタイミングまでの時間を第2候補値として測定し、
前記基準時よりも前であり、かつ前記基準時に直近の心拍から、前記基準時までの時間である先行RR間隔を測定し、
前記基準時から、前記基準時よりも後であり、かつ前記基準時に直近の心拍までの時間であるRR間隔を測定し、
前記第1候補値、前記第2候補値、前記先行RR間隔および前記RR間隔に基づいて、前記被検者の脈波伝播時間を特定する。
【0010】
本開示の一態様に係わる生体情報処理プログラムは、
生体情報処理装置において用いられる生体情報処理プログラムであって、
前記生体情報処理装置におけるコンピュータに、
被検者の心電図データを検出するステップと、
前記被検者の脈波データを検出するステップと、
前記心電図データおよび前記脈波データに基づいて、前記被検者の脈波伝播時間を測定するステップと、を実行させ、
前記被検者の脈波伝播時間を測定するステップにおいて、
脈波の立ち上がりタイミングのうちの1つを基準時として、前記基準時よりも前の複数の心拍について、それぞれ、心拍から前記基準時までの時間を脈波伝播時間の候補値として測定させ、
複数の前記候補値のうち、所定条件を満たす前記候補値を、前記被検者の脈波伝播時間として特定させる。
【0011】
本開示の他の一態様に係わる生体情報処理プログラムは、
生体情報処理装置において用いられる生体情報処理プログラムであって、
前記生体情報処理装置におけるコンピュータに、
被検者の心電図データを検出するステップと、
前記被検者の脈波データを検出するステップと、
前記心電図データおよび前記脈波データに基づいて、前記被検者の脈波伝播時間を測定するステップと、を実行させ、
前記被検者の脈波伝播時間を測定するステップにおいて、
複数の心拍のうちの1つを基準時として、前記基準時から、前記基準時よりも後であり、かつ前記基準時に直近の脈波の立ち上がりタイミングまでの時間を第1候補値として測定させ、
前記基準時から、前記基準時よりも後であり、かつ前記基準時に直近の脈波の次の脈波の立ち上がりタイミングまでの時間を第2候補値として測定させ、
前記基準時よりも前であり、かつ前記基準時に直近の心拍から、前記基準時までの時間である先行RR間隔を測定させ、
前記基準時から、前記基準時よりも後であり、かつ前記基準時に直近の心拍までの時間であるRR間隔を測定させ、
前記第1候補値、前記第2候補値、前記先行RR間隔および前記RR間隔に基づいて、前記被検者の脈波伝播時間を特定させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、被検者の脈波伝播時間をより正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示の一態様に係る生体情報処理装置を備える生体情報処理システム1の構成を示す図である。
図2図2は、図1に示す脈波伝播時間測定部による脈波伝播時間の測定方法を説明するための図である。
図3図3は、第1の実施の形態に係る生体情報処理装置が被検者の脈波伝播時間を特定する際の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
図4図4は、本開示の他の一態様に係る生体情報処理装置の構成を示す図である。
図5図5は、図4に示す第1相関係数算出部により算出される第1相関係数の値、および図4に示す第2相関係数算出部により算出される第2相関係数の値の一例を示すグラフである。
図6図6は、図4に示す第1相関係数算出部により算出される第1相関係数の値、および、図4に示す第2相関係数算出部により算出される第2相関係数の値の他の一例を示すグラフである。
図7図7は、図4に示す第1相関係数算出部により算出される第1相関係数の値、および、図4に示す第2相関係数算出部により算出される第2相関係数の値の他の一例を示すグラフである。
図8図8は、第2の実施の形態に係る生体情報処理装置が被検者の脈波伝播時間を特定する際の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
図9図9は、本開示の他の一態様に係る生体情報処理装置の構成を示す図である。
図10図10は、図9に示す脈波伝播時間測定部による脈波伝播時間の測定方法を説明するための図である。
図11図11は、図10に示す第1算出部により算出される第1相関係数の一例を説明するためのグラフである。
図12図12は、図10に示す第2算出部により算出される第2相関係数の一例を説明するためのグラフである。
図13図13は、図9に示す第1算出部により算出される傾きおよび相関係数と、図9に示す第2算出部により算出される傾きおよび相関係数との関係の一例を示す図である。
図14図14は、第3の実施の形態に係る生体情報処理装置が被検者の脈波伝播時間を特定する際の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
図15図15は、図9に示す第1候補値測定部により測定される複数の第1候補値が複数の範囲に分かれる場合を説明するための図である。
図16図16は、図15に示す第1候補値グループ1aを採用する場合における第1候補値と、図15に示す第1候補値グループ1bを採用する場合における第1候補値との関係を示すグラフである。
図17図17は、図9に示す第2候補値測定部により測定される複数の第2候補値が複数の範囲に分かれる場合を説明するための図である。
図18図18は、図17に示す第2候補値グループ2aを採用する場合における第2候補値と、図17に示す第2候補値グループ2bを採用する場合における第2候補値との関係を示すグラフである。
図19図19は、図9に示す第1算出部により算出される傾きx0a,x0bおよび相関係数y0a,y0bと、図9に示す第2算出部により算出される傾きx1a,x1bおよび相関係数y1a,y1bとの関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る生体情報処理装置、生体情報処理方法および生体情報処理プログラムの実施形態の一例を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
[生体情報処理システムの構成]
図1は、本開示の一態様に係る生体情報処理装置100を備える生体情報処理システム1の構成を示す図である。図1に示すように、生体情報処理システム1は、生体情報処理装置100と、心電図電極31と、光電脈波検出センサ32と、を備える。
【0016】
心電図電極31は、例えば被験者の胸部に装着され、誘導波形を心電図信号(ECG)として測定する。また、心電図電極31は、生体情報処理装置100と電気的に接続されている。心電図電極31による測定データは、生体情報処理装置100に入力される。
【0017】
光電脈波検出センサ32は、例えば、指など被験者の末梢部に装着され、当該被検者の脈波を測定する。光電脈波検出センサ32は、生体情報処理装置100と電気的に接続されている。光電脈波検出センサ32による測定データは、生体情報処理装置100に入力される。
【0018】
生体情報処理装置100は、心電図データ検出部11と、A/D変換器12と、脈波データ検出部13と、A/D変換器14と、脈波伝播時間測定部15と、記憶部16と、センサインターフェース65と、を備える。
【0019】
心電図データ検出部11は、心電図電極31からセンサインターフェース65を介して受信した測定データに基づいて、被検者の心電図データを検出する。そして、心電図データ検出部11は、検出した心電図波形を示すアナログ信号をA/D変換器14へ出力する。A/D変換器14は、心電図データ検出部11から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して、脈波伝播時間測定部15へ出力する。
【0020】
脈波データ検出部13は、光電脈波検出センサ32からセンサインターフェース65を介して受信した測定データに基づいて、被検者の末梢部における脈波データを検出する。そして、脈波データ検出部13は、検出した光電脈波の末梢部の波形を示すアナログ信号をA/D変換器14へ出力する。A/D変換器14は、脈波データ検出部13から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して、脈波伝播時間測定部15へ出力する。
【0021】
脈波伝播時間測定部15は、心電図電極31により検出された心電図データおよび光電脈波検出センサ32により検出された脈波データに基づいて、被検者の脈波伝播時間(PWTT:Pulse Wave Transit Time)を測定する。
【0022】
記憶部16には、被検者の属性情報が保存されている。属性情報は、例えば、被検者の年齢、性別、身長、体重、アルブミン値、グルコース値、ヘモグロビン値、尿素窒素値および推定血管年齢などのパラメータの少なくとも1つを示す。属性情報は、例えば、当該被検者の生体情報を管理する作業者により予め入力されている。
【0023】
[脈波伝播時間測定部の詳細]
図2は、図1に示す脈波伝播時間測定部15による脈波伝播時間PWTTの測定方法を説明するための図である。図2に示すグラフG11は、心電図データに基づく心電図波形を示し、横軸が時間である。また、図2に示すグラフG12は、脈波データに基づく光電脈波の波形を示し、横軸が時間である。
【0024】
図1および図2を参照して、脈波伝播時間測定部15は、候補値測定部21と、範囲設定部22と、特定部23と、を含む。候補値測定部21は、心電図データおよび脈波データに基づいて、脈波伝播時間PWTTの候補値Cn(nは、ゼロまたは自然数)を複数個測定する。
【0025】
より詳細には、候補値測定部21は、図2に示すように、脈波の立ち上がりタイミングのうちの1つを基準時t10とする。そして、候補値測定部21は、基準時t10よりも前の複数の心拍について、それぞれ、R波発生時点(以下、「Rタイミング」と称する)から基準時t10までの時間を、脈波伝播時間PWTTの候補値Cnとして測定する。
【0026】
具体的には、Rタイミングのうち、基準時t10よりも前であって、基準時t10に直近の直近のRタイミングを時刻t11とする。また、時刻t11よりも1つ前のRタイミングをt12とし、時刻t12よりも1つ前のRタイミングをt13とし、時刻t13よりも1つ前のRタイミングをt14とする。この場合、候補値測定部21は、時刻t11から基準時t10までの時間を候補値C0とし、時刻t12から基準時t10までの時間を候補値C1とし、時刻t13から基準時t10までの時間を候補値C2とし、時刻t14から基準時t10までの時間を候補値C3として測定する。そして、候補値測定部21は、測定した複数の候補値Cnを特定部23へ出力する。
【0027】
範囲設定部22は、記憶部16に保存されている属性情報に基づいて、被検者の脈波伝播時間PWTTが含まれる得る範囲である標準範囲を設定する。例えば、範囲設定部22は、属性情報の示す複数のパラメータを用いた回帰分析を行うことにより、標準範囲を設定する。そして、範囲設定部22は、設定した標準範囲を特定部23へ出力する。
【0028】
なお、範囲設定部22は、回帰分析以外の他の機械学習によって標準範囲を設定する構成であってもよい。また、範囲設定部22は、標準範囲を設定する構成に限定されず、例えば、標準範囲の下限値のみを設定する構成であってもよいし、標準範囲の上限値のみを設定する構成であってもよい。また、標準範囲は、予め設定された固定値であってもよい。
【0029】
特定部23は、候補値測定部21により測定された複数の候補値Cnのうち、所定条件を満たす候補値Cnを、被検者の脈波伝播時間PWTTとして特定する。本例では、特定部23は、複数の候補値Cのうち、範囲設定部22により設定された標準範囲の下限値以上であり、かつ最小の候補値Cnを、被検者の脈波伝播時間PWTTとして特定する。
【0030】
具体的には、複数の候補値Cnのうち、候補値C1、候補値C2、候補値C3、・・・が標準範囲の下限値以上であると仮定する。この場合、特定部23は、これらの候補値Cnのうち、最小である候補値C1を、被検者の脈波伝播時間PWTTとして特定する。そして、特定部23は、特定した脈波伝播時間PWTTを、例えば図示しない情報処理部などへ出力する。
【0031】
[動作の流れ]
図3は、第1の実施の形態に係る生体情報処理装置100が被検者の脈波伝播時間PWTTを特定する際の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【0032】
図3を参照して、まず、生体情報処理装置100は、心電図電極31から受信した測定データに基づいて、被検者の心電図データを検出する(ステップS11)。
【0033】
次に、生体情報処理装置100は、光電脈波検出センサ32から受信した測定データに基づいて、被検者の末梢部における脈波データを検出する(ステップS12)。
【0034】
次に、生体情報処理装置100は、脈波の立ち上がりタイミングのうちの1つである基準時t10よりも前の複数の心拍について、それぞれ、心拍のRタイミングから基準時t10までの時間を候補値Cnとして測定する(ステップS13)。
【0035】
次に、生体情報処理装置100は、複数の候補値Cnのうち、所定条件を満たす候補値Cnを、被検者の脈波伝播時間PWTTとして特定する。具体的には、生体情報処理装置100は、複数の候補値Cのうち、範囲設定部22により設定された標準範囲の下限値以上であり、かつ最小の候補値Cnを、被検者の脈波伝播時間PWTTとして特定する(ステップS14)。このような動作により、被検者の脈波伝播時間PWTTをより正確に測定することができる。
【0036】
[第1の実施形態の変形例]
再び図1を参照して、特定部23は、複数の候補値Cnのうち、標準範囲の下限値以上であり、かつ当該標準範囲の上限値未満である候補値Cnを、被検者の脈波伝播時間PWTTとして特定してもよい。
【0037】
具体的には、図2に示す複数の候補値Cnのうち、標準範囲の下限値以上であり、かつ当該標準範囲の上限値未満である候補値Cnが、候補値C2であると仮定する。この場合、特定部23は、候補値C2を、被検者の脈波伝播時間PWTTとして特定する。
【0038】
また、特定部23は、複数の候補値Cnのうち、標準範囲の下限値以上であり、かつ当該標準範囲の上限値未満である候補値Cnが複数存在する場合、例えば、これら複数の候補値Cnのうちの最小値を被検者の脈波伝播時間PWTTとして特定する。具体的には、候補値C2および候補値C3が、標準範囲の下限値以上であり、かつ当該標準範囲の上限値未満であると仮定する。この場合、特定部23は、候補値C2を、被検者の脈波伝播時間PWTTとして特定する。
【0039】
上記のように、本開示の一態様に係る生体情報処理装置100では、心電図データ検出部11は、被検者の心電図データを検出する。脈波データ検出部13は、当該被検者の脈波データを検出する。脈波伝播時間測定部15は、心電図データおよび脈波データに基づいて、当該被検者の脈波伝播時間PWTTを測定する。また、脈波伝播時間測定部15において、候補値測定部21は、脈波の立ち上がりタイミングのうちの1つを基準時t10として、基準時t10よりも前の複数の心拍について、それぞれ、心拍から基準時t10までの時間を脈波伝播時間PWTTの候補値Cnとして測定する。また、脈波伝播時間測定部15において、特定部23は、複数の候補値Cnのうち、所定条件を満たす候補値Cnを、当該被検者の脈波伝播時間PWTTとして特定する。
【0040】
ここで、上記のとおり、特許文献1に記載の測定装置では、脈波の立ち上がりは、その直前の心拍により発生することを前提としている。また、特許文献2では、所定時間内の脈波伝播時間PWTTの呼吸性変動率を用いることにより、被検者の正確な脈波伝播時間PWTTを測定している。しかしながら、脈波伝播時間PWTTの呼吸性変動率は、換気量や胸腔内圧などの呼吸状態に依存するため、呼吸状態が大きく変動する場合には正確な脈波伝播時間PWTTを測定することが困難である。
【0041】
これに対して、上記のように、脈波伝播時間PWTTの候補値Cnを複数測定して、これら複数の候補値Cnの中から所定条件を満たすものを特定する構成により、被検者の脈波伝播時間PWTTをより正確に測定することができる。
【0042】
また、本開示の別の態様に係る生体情報処理装置100では、特定部23は、複数の候補値Cnのうち、設定された脈波伝播時間PWTTの標準範囲の下限値以上であり、かつ最小の候補値Cnを、被検者の脈波伝播時間PWTTとして特定する。
【0043】
このような構成により、複雑な処理を施すことなく、被検者のより正確な脈波伝播時間PWTTを容易に測定することができる。
【0044】
また、本開示の別の態様に係る生体情報処理装置100では、特定部23は、複数の候補値Cnのうち、設定された脈波伝播時間PWTTの標準範囲の下限値以上であり、かつ当該標準範囲の上限値未満である候補値Cnを、被検者の脈波伝播時間PWTTとして特定する。
【0045】
このような構成により、複雑な処理を施すことなく、被検者のより正確な脈波伝播時間PWTTを容易に測定することができる。
【0046】
上記のように、本開示の別の態様に係る生体情報処理装置100では、脈波伝播時間測定部15において、範囲設定部22は、被検者の属性に基づいて、当該標準範囲を設定する。
【0047】
このように、被検者の属性に応じて脈波伝播時間PWTTの標準範囲を設定する構成により、より一層正確な脈波伝播時間PWTTを測定することができる。
【0048】
<第2の実施形態>
次に、本開示の他の一態様に係る生体情報処理装置200について説明する。図4は、本開示の他の一態様に係る生体情報処理装置200の構成を示す図である。図4に示すように、生体情報処理装置200は、図1に示す生体情報処理装置100と比較して、脈波伝播時間測定部15の代わりに、脈波伝播時間測定部215を備える。生体情報処理装置200における他の構成は、図1に示す生体情報処理装置100と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0049】
[脈波伝播時間測定部の構成]
脈波伝播時間測定部215は、候補値Cnと、複数のRタイミング同士の間隔であるRR間隔との相関関係、および、候補値Cnと、連続するRタイミング同士の間隔である先行RR間隔との相関関係に基づいて、被検者の脈波伝播時間PWTTを特定する。
【0050】
より詳細には、図2および図4を参照して、脈波伝播時間測定部215は、候補値測定部221と、RR間隔測定部222と、先行RR間隔測定部223と、第1相関係数算出部224と、第2相関係数算出部225と、特定部226とを含む。候補値測定部221は、図1に示す候補値測定部21と同様に、心電図データおよび脈波データに基づいて、脈波伝播時間PWTTの候補値Cnを複数個測定する。
【0051】
RR間隔測定部222は、基準時t10よりも前の心拍ごとに、基準時t10よりも前であり、かつ基準時t10に直近の心拍のRタイミングである時刻t11までの時間を、RR間隔nrrとして測定する。具体的には、RR間隔測定部222は、時刻t12から時刻t11までの時間をRR間隔1rrとして測定し、時刻t13から時刻t11までの時間をRR間隔2rrとして測定し、時刻t14から時刻t11までの時間をRR間隔3rrとして測定する。
【0052】
先行RR間隔測定部223は、基準時t10よりも前の心拍ごとに、1つ前の心拍のRタイミングからの時間である先行RR間隔nprrを測定する。具体的には、先行RR間隔測定部223は、時刻t12から時刻t11までの時間を先行RR間隔0prrとして測定し、時刻t13から時刻t12までの時間を先行RR間隔1prrとして測定し、時刻t14から時刻t13までの時間を先行RR間隔2prrとして測定する。
【0053】
第1相関係数算出部224は、候補値測定部221により測定された候補値Cnと、RR間隔測定部222により測定されたRR間隔nrrとの第1相関係数Ri(iは、ゼロまたは自然数)を算出する。
【0054】
具体的には、第1相関係数算出部224は、候補値C1とRR間隔1rrとの第1相関係数Riを第1相関係数R1として算出する。また、第1相関係数算出部224は、候補値C2とRR間隔2rrとの第1相関係数Riを第1相関係数R2として算出する。また、第1相関係数算出部224は、候補値C3とRR間隔3rrとの第1相関係数Riを第1相関係数R3として算出する。
【0055】
第2相関係数算出部225は、候補値測定部221により測定された候補値Cnと、先行RR間隔測定部223により測定された先行RR間隔nprrとの第2相関係数pRiを算出する。
【0056】
具体的には、第2相関係数算出部225は、候補値C0と先行RR間隔0prrとの第2相関係数pRiを第2相関係数pR0として算出する。また、第2相関係数算出部225は、候補値C1と先行RR間隔1prrとの第2相関係数pRiを第2相関係数pR1として算出する。また、第2相関係数算出部225は、候補値C2と先行RR間隔2prrとの第2相関係数pRiを第2相関係数pR2として算出する。また、第2相関係数算出部225は、候補値C3と先行RR間隔3prrとの第2相関係数pRiを第2相関係数pR3として算出する。
【0057】
特定部226は、候補値CnとRR間隔nrrとの相関関係、および候補値Cnと先行RR間隔nprrとの相関関係に基づいて、被検者の脈波伝播時間PWTTを特定する。すなわち、特定部226は、第1相関係数算出部224により算出された第1相関係数Ri、および第2相関係数算出部225により算出された第2相関係数pRiに基づいて、被検者の脈波伝播時間PWTTを特定する。
【0058】
[特定部による脈波伝播時間の特定方法の詳細]
(候補値CnとRR間隔nrrとの関係について)
ここで、図2を参照して、仮に、時刻t13に対応する心臓の拍出に応じて、基準時t10において脈波の立ち上がりが生じたとする。すなわち、候補値C2が、正確な脈波伝播時間PWTTであると仮定する。
【0059】
この場合、候補値C2は、時刻t13よりも後の時刻に関連する時間との間において相関関係がなく、独立した値である。すなわち、候補値C2とRR間隔2rrとの間には、相関関係がない。一方、候補値C3とRR間隔3rrとの間には、以下の式(1)および式(2)から導き出されるように、正の相関関係がある。
【0060】
すなわち、候補値C3は、以下の式(1)を満たす。
C3=C2+(3rr-2rr) ・・・式(1)
【0061】
また、RR間隔3rrは、以下の式(2)を満たす。
3rr=2rr+(3rr-2rr)・・・式(2)
【0062】
式(1)より、候補値C2は上記のように独立した値であるため、候補値C3と、(RR間隔3rr-RR間隔2rr)との間には正の相関関係があることが分かる。また、式(2)より、RR間隔3rrと、(RR間隔3rr-RR間隔2rr)との間には正の相関関係があることが分かる。これにより、候補値C3と、RR間隔3rrとの間には正の相関関係があることが分かる。
【0063】
また、候補値C3と同様に、候補値C4,C5,・・・についても、それぞれ、RR間隔4rr,5rr,・・・との間において正の相関関係がある。
【0064】
このように、候補値C2が正確な脈波伝播時間PWTTである場合、候補値C2とRR間隔2rrとの間には相関関係がない。一方、この場合、候補値C3,C4,・・・は、それぞれ、RR間隔3rr,4rr,・・・との間において正の相関関係がある。
【0065】
このため、特定部226は、例えば、脈波伝播時間PWTTの特定に用いる第1閾値Th1をゼロとして、第1相関係数算出部224により算出された第1相関係数Riが第1閾値Th1以上であるかを判断する。
【0066】
(候補値Cnと先行RR間隔nprrとの関係について)
ここでは、候補値C2が、正確な脈波伝播時間PWTTであると仮定する。この場合、候補値C2は、時刻t14から時刻t13までの時間に心臓に蓄えられる血液量に依存する。このため、候補値C2と先行RR間隔2prrとの間には、負の相関関係がある。
【0067】
また、候補値C1と先行RR間隔1prrとの間には、以下の式(3)から導き出されるように、負の相関関係がある。すなわち、候補値C1,C2は、以下の式(3)を満たす。
C2=1prr+C1 ・・・式(3)
【0068】
候補値C2は上記のように独立した値であるため、候補値C1と先行RR間隔1prrとの間には、負の相関関係があることが分かる。また、候補値C1と同様に、候補値C0についても、先行RR間隔0rrとの間において負の相関関係がある。
【0069】
このように、候補値C2が正確な脈波伝播時間PWTTである場合、候補値C0,C1,C2は、それぞれ、先行RR間隔0prr,1prr,2prrとの間において負の相関関係がある。一方、この場合、候補値C3,C4,・・・は、それぞれ、先行RR間隔3prr,4prr,・・・との間において相関関係はない。
【0070】
このため、特定部226は、例えば、脈波伝播時間PWTTの特定に用いる第2閾値Th2をゼロとして、第2相関係数算出部225により算出された第2相関係数pRiが第2閾値Th2以上であるかを判断する。
【0071】
なお、第1閾値Th1および第2閾値Th2は、ゼロに限らない。例えば、第1閾値Th1は、ゼロより大きく、かつ1より小さい値であってもよい(0<Th1<1)。また、例えば、第2閾値Th2は、-1より大きく、かつゼロより小さい値であってもよい(-1<Th2<0)。
【0072】
また、特定部226は、第1相関係数Riおよび第2相関係数pRiのいずれか一方を用いて脈波伝播時間PWTTを特定してもよい。例えば、特定部226は、第1相関係数Riが第1閾値Th1以上であるか否かを判断することにより、脈波伝播時間PWTTを特定してもよい。この場合、脈波伝播時間測定部215は、先行RR間隔測定部223および第2相関係数算出部225を含まなくてもよい。
【0073】
また、例えば、特定部226は、第2相関係数pRiが第2閾値Th2以上であるか否かを判断することにより、脈波伝播時間PWTTを特定してもよい。この場合、脈波伝播時間測定部215は、RR間隔測定部222および第1相関係数算出部224を含まなくてもよい。
【0074】
しかしながら、第1相関係数Riおよび第2相関係数pRiの両方が用いられる場合、脈波伝播時間PWTTの特定をより一層精度よく行うことができる。このため、特定部226は、第1相関係数Riおよび第2相関係数pRiの両方を用いて脈波伝播時間PWTTの特定を行う構成であることが好ましい。
【0075】
(具体例1:候補値C0が正確な脈波伝播時間PWTTである場合)
図5は、図4に示す第1相関係数算出部224により算出される第1相関係数Riの値、および図4に示す第2相関係数算出部225により算出される第2相関係数pRiの値の一例を示すグラフである。図5では、第1相関係数R1,R2,R3および第2相関係数pR0,pR1,pR2,pR3を示している。
【0076】
図5に示す例では、第1相関係数R1,R2,R3が第1閾値Th1以上である。また、第2相関係数pR0が第2閾値Th2未満であり、かつ第2相関係数pR1,pR2,pR3が第2閾値Th2以上である。このような場合、特定部226は、候補値測定部221により測定された複数の候補値Cnのうち、候補値C0を正確な脈波伝播時間PWTTとして特定する。
【0077】
(具体例2:候補値C1が正確な脈波伝播時間PWTTである場合)
図6は、図4に示す第1相関係数算出部224により算出される第1相関係数Riの値、および、図4に示す第2相関係数算出部225により算出される第2相関係数pRiの値の他の一例を示すグラフである。図6では、図5と同様に、第1相関係数R1,R2,R3および第2相関係数pR0,pR1,pR2,pR3を示している。
【0078】
図6に示す例では、第1相関係数R1が第1閾値Th1未満であり、かつ第1相関係数R2,R3が第1閾値Th1以上である。また、第2相関係数pR0,pR1が第2閾値Th2未満であり、かつ第2相関係数pR2,pR3が第2閾値Th2以上である。このような場合、特定部226は、候補値測定部221により測定された複数の候補値Cnのうち、候補値C1を正確な脈波伝播時間PWTTとして特定する。
【0079】
(具体例3:候補値C2が正確な脈波伝播時間PWTTである場合)
図7は、図4に示す第1相関係数算出部224により算出される第1相関係数Riの値、および、図4に示す第2相関係数算出部225により算出される第2相関係数pRiの値の他の一例を示すグラフである。図7では、図5および図6と同様に、第1相関係数R1,R2,R3および第2相関係数pR0,pR1,pR2,pR3を示している。
【0080】
図7に示す例では、第1相関係数R1,R2が第1閾値Th1未満であり、かつ第1相関係数R3が第1閾値Th1以上である。また、第2相関係数pR0,pR1,pR2が第2閾値Th2未満であり、かつ第2相関係数pR3が第2閾値Th2以上である。このような場合、特定部226は、候補値測定部221により測定された複数の候補値Cnのうち、候補値C2を正確な脈波伝播時間PWTTとして特定する。
【0081】
[動作の流れ]
図8は、第2の実施の形態に係る生体情報処理装置200が被検者の脈波伝播時間PWTTを特定する際の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【0082】
図8を参照して、図8に示すステップS21からステップS23までの動作は、図3に示すステップS11からステップS13までの動作と同様であるため、ここでの詳細な説明は繰り返さない。
【0083】
次に、生体情報処理装置200は、複数のRタイミング同士の間隔であるRR間隔nrrを測定する(ステップS24)。
【0084】
次に、生体情報処理装置200は、連続するRタイミング同士の間隔である先行RR間隔nprrを測定する(ステップS25)。
【0085】
次に、生体情報処理装置200は、候補値Cnと、RR間隔nrrとの第1相関係数Riを算出する(ステップS26)。
【0086】
次に、生体情報処理装置200は、候補値Cnと、先行RR間隔nprrとの第2相関係数pRi(ステップS27)。
【0087】
次に、生体情報処理装置200は、複数の候補値Cnのうち、第1相関係数Riおよび第2相関係数pRiの少なくともいずれか一方に基づいて、被検者の脈波伝播時間PWTTとして特定する(ステップS28)。
【0088】
例えば、生体情報処理装置200は、第1相関係数Riのうち、第1相関係数Ri(i=k(kは自然数))が第1閾値Th1未満であり、第1相関係数Ri(i=k+1)が第1閾値Th1以上である値kを特定する。そして、生体情報処理装置200は、複数の候補値Cnのうち、候補値Cn(n=k)を、被検者の脈波伝播時間PWTTとして特定する。
【0089】
なお、生体情報処理装置200は、例えば、第2相関係数pRiのうち、第2相関係数pRi(i=k)が第2閾値Th2未満であり、第2相関係数pRi(i=k+1)が第2閾値Th2以上である値kを特定してもよい。この場合においても、生体情報処理装置200は、複数の候補値Cnのうち、候補値Cn(n=k)を、被検者の脈波伝播時間PWTTとして特定する。
【0090】
上記のように、本開示の一態様に係る生体情報処理装置200では、RR間隔測定部222は、基準時t10よりも前の心拍ごとに、基準時t10よりも前であって、基準時t10に直近の心拍までの時間であるRR間隔nrrを測定する。特定部226は、候補値CnとRR間隔nrrとの第1相関係数Riに基づいて、被検者の脈波伝播時間PWTTを特定する。
【0091】
ここで、例えば、基準時t10よりも前の心拍のうち、基準時t10に直近の心拍よりも2個前の心拍から、基準時t10までの時間である候補値C2が、正しい脈波伝播時間PWTTであるとする。この場合、基準時t10に直近の心拍よりも2個前の心拍から、基準時t10に直近の心拍よりも1個前の心拍までのRR間隔2rrと、候補値C2との間には相関関係が無い。
【0092】
一方、この場合、基準時t10に直近の心拍よりも3個前の心拍から、基準時t10に直近の心拍よりも2個前の心拍までのRR間隔3rrと、基準時t10に直近の心拍よりも3個前の心拍から、基準時t10までの時間である候補値C3との間には、正の相関関係がある。
【0093】
このように、候補値CnとRR間隔rrとの相関関係の変化に着目することにより、被検者の脈波伝播時間PWTTをより高い精度で測定することができる。
【0094】
上記のように、本開示の別の態様に係る生体情報処理装置200では、先行RR間隔測定部223は、基準時t10よりも前の心拍ごとに、1つ前の心拍からの時間である先行RR間隔nrrを測定する。特定部226は、候補値Cnと先行RR間隔nrrとの第2相関係数pRiに基づいて、被検者の脈波伝播時間PWTTを特定する。
【0095】
ここで、例えば、基準時t10よりも前の心拍のうち、基準時t10に直近の心拍よりも2個前の心拍から、基準時t10までの時間である候補値C2が、正しい脈波伝播時間PWTTであるとする。この場合、基準時t10に直近の心拍よりも3個前の心拍から、基準時t10に直近の心拍よりも2個前の心拍までの先行RR間隔2prrと、候補値C2との間には、概ね負の相関関係がある。
【0096】
一方、この場合、基準時t10に直近の心拍よりも4個前の心拍から、基準時t10に直近の心拍よりも3個前の心拍までの先行RR間隔3prrと、基準時t10に直近の心拍よりも3個前の心拍から、基準時t10までの時間である候補値C3との間には、正の相関関係がある。
【0097】
このように、候補値Cnと先行RR間隔rppとの相関関係の変化に着目することにより、被検者の脈波伝播時間PWTTをより高い精度で測定することができる。
【0098】
<第3の実施形態>
次に、本開示の他の一態様に係る生体情報処理装置300について説明する。図9は、本開示の他の一態様に係る生体情報処理装置300の構成を示す図である。図9に示すように、生体情報処理装置300は、図1に示す生体情報処理装置100と比較して、脈波伝播時間測定部15の代わりに、脈波伝播時間測定部315を備える。生体情報処理装置300における他の構成は、図1に示す生体情報処理装置100と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0099】
[脈波伝播時間測定部の構成]
脈波伝播時間測定部315は、2種類の候補値を測定し、これら2種類の候補値のいずれか一方を、被検者の脈波伝播時間PWTTとして特定する。
【0100】
図10は、図9に示す脈波伝播時間測定部315による脈波伝播時間PWTTの測定方法を説明するための図である。図10に示すグラフG21は、心電図データに基づく心電図波形を示し、横軸が時間である。また、図10に示すグラフG22は、脈波データに基づく光電脈波の波形を示し、横軸が時間である。
【0101】
図9および図10を参照して、脈波伝播時間測定部315は、第1候補値測定部321と、先行RR間隔測定部322と、第2候補値測定部323と、RR間隔測定部324と、第1算出部325と、第2算出部326と、特定部327とを含む。
【0102】
第1候補値測定部321は、複数の心拍のうちの1つを基準時t20として、基準時t20から、基準時t20よりも後であり、かつ基準時t20に直近の脈波の立ち上がりタイミングt21までの時間を第1候補値PWTT0として測定する。そして、第1候補値測定部321は、測定結果を第1算出部325へ出力する。
【0103】
先行RR間隔測定部322は、基準時t20よりも前であり、かつ基準時t20に直近の心拍から、基準時t20までの時間である先行RR間隔prrを測定する。そして、先行RR間隔測定部322は、測定結果を第1算出部325へ出力する。
【0104】
第2候補値測定部323は、基準時t20から、基準時t20よりも後であり、かつ基準時t20に直近の脈波の次の脈波の立ち上がりタイミングt23までの時間を第2候補値PTWW1として測定する。そして、第2候補値測定部323は、測定結果を第2算出部326へ出力する。
【0105】
RR間隔測定部324は、基準時t20から、基準時t20よりも後であり、かつ基準時t20に直近の心拍までの時間t22であるRR間隔rrを測定する。そして、RR間隔測定部324は、測定結果を第2算出部326へ出力する。
【0106】
第1算出部325は、第1候補値測定部321により測定された第1候補値PWTT0と、先行RR間隔測定部322により測定された先行RR間隔prrとの第1相関関係を算出する。
【0107】
図11は、図10に示す第1算出部325により算出される第1相関係数の一例を説明するためのグラフである。図11に示すグラフは、横軸が先行RR間隔prrの値を示し、縦軸が第1候補値PWTT0の値を示す。
【0108】
例えば、第1候補値測定部321は、1分間に取得した心電図データおよび脈波データに基づいて、複数の第1候補値PWTT0を測定する。また、先行RR間隔測定部322は、1分間に取得した心電図データおよび脈波データに基づいて、複数の先行RR間隔prrを測定する。そして、第1算出部325は、先行RR間隔prrを横軸の値として、第1候補値PWTT0を縦軸の値として複数の点をプロットした場合における回帰直線S1の傾きx0および相関係数y0を、第1相関関係として算出する。
【0109】
再び図10を参照して、第2算出部326は、第2候補値測定部323により測定された第2候補値PWTT1と、RR間隔測定部324により測定されたRR間隔rrとの第2相関関係を算出する。
【0110】
図12は、図10に示す第2算出部326により算出される第2相関係数の一例を説明するためのグラフである。図12に示すグラフは、横軸がRR間隔rrの値を示し、縦軸が第2候補値PWTT1の値を示す。
【0111】
例えば、第2候補値測定部323は、1分間に取得した心電図データおよび脈波データに基づいて、複数の第2候補値PWTT1を測定する。また、RR間隔測定部324は、1分間に取得した心電図データおよび脈波データに基づいて、複数のRR間隔rrを測定する。そして、第2算出部326は、RR間隔rrを横軸の値として、第2候補値PWTT1を縦軸の値として複数の点をプロットした場合における回帰直線S2の傾きx1および相関係数y1を、第2相関関係として算出する。
【0112】
再び図9を参照して、特定部327は、第1候補値PWTT0、第2候補値PWTT1、先行RR間隔prrおよびRR間隔rrに基づいて、被検者の正確な脈波伝播時間PWTTを特定する。すなわち、特定部327は、第1算出部325により算出された第1相関関係と、第2算出部326により算出された第2相関関係とに基づいて、第1候補値PWTT0および第2候補値PWTT1のうちの一方を、被検者の正確な脈波伝播時間PWTTとして特定する。
【0113】
[特定部による脈波伝播時間の特定方法の詳細]
(第1候補値PWTT0と先行RR間隔prrとの関係について)
再び図10を参照して、第1候補値PWTT0が、正確な脈波伝播時間PWTTであると仮定する。この場合、第1候補値PWTT0は、第2の実施形態において説明したとおり、先行RR間隔prrの時間に心臓に蓄えられる血液量に依存する。すなわち、第1候補値PWTT0と先行RR間隔prrとの間に負の相関関係がある。一方、第1候補値PWTT0が、正確な脈波伝播時間PWTTではないと仮定すると、先行RR間隔prrが大きいほど第1候補値PWTT0は小さくなる。すなわち、先行RR間隔prrと第1候補値PWTT0との間に強い負の相関がある。このため、特定部327は、第1算出部325により算出される傾きx0が「-1」に近く、また相関係数y0が「-1」に近い場合、第1候補値PWTT0を正確な脈波伝播時間PWTTではないと特定することができる。
【0114】
(第2候補値PWTT1とRR間隔rrとの関係について)
第2候補値PWTT1が、正確な脈波伝播時間PWTTである場合、第2候補値PWTT1は独立した値であり、RR間隔rrとの間に相関関係がない。一方、第2候補値PWTT1が正確な脈波伝播時間PWTTではない場合、RR間隔rrが大きいほど、第2候補値PWTT1が大きくなる。すなわち、この場合、第2候補値PWTT1とRR間隔rrとの間に正の相関関係がある。このため、特定部327は、第2算出部326により算出される傾きx1が「1」に近く、また相関係数y1が「1」に近い場合、第2候補値PWTT1を正確な脈波伝播時間PWTTではないと特定することができる。
【0115】
(具体例)
図13は、図9に示す第1算出部325により算出される傾きx0および相関係数y0と、図9に示す第2算出部326により算出される傾きx1および相関係数y1との関係の一例を示す図である。図13において、横軸は傾きを示し、縦軸は相関係数を示す。
【0116】
特定部327は、例えば、グラフ上にプロットされた点P0(x0,y0)と、点PA(-1,-1)との距離L1を算出する。また、特定部327は、例えば、グラフ上にプロットされた点P1(x1,y1)と、点PB(1,1)との距離L2を算出する。
【0117】
そして、特定部327は、図13に示すように、距離L1が距離L2よりも大きい場合(L1>L2)、第1候補値PWTT0を正確な脈波伝播時間PWTTとして特定する。一方、特定部327は、距離L1が距離L2よりも小さい場合(L1<L2)、第2候補値PWTT1を正確な脈波伝播時間PWTTとして特定する。
【0118】
[動作の流れ]
図14は、第3の実施の形態に係る生体情報処理装置300が被検者の脈波伝播時間PWTTを特定する際の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【0119】
図14を参照して、図14に示すステップS31およびステップS32の動作は、図8に示すステップS21およびステップ22の動作と同様であるため、ここでの詳細な説明は繰り返さない。
【0120】
次に、生体情報処理装置300は、複数の心拍のうちの1つを基準時t20として、基準時t20から、基準時t20よりも後であり、かつ基準時t20に直近の脈波の立ち上がりタイミングまでの時間を第1候補値PWTT0として測定する(ステップS33)。
【0121】
次に、生体情報処理装置300は、基準時t20から、基準時t20よりも後であり、かつ基準時t20に直近の脈波の次の脈波の立ち上がりタイミングまでの時間を第2候補値PWTT1として測定する(ステップS34)。
【0122】
次に、生体情報処理装置300は、基準時t20よりも前であり、かつ基準時t20に直近の心拍から、基準時t20までの時間である先行RR間隔rppを測定する(ステップS35)。
【0123】
次に、生体情報処理装置300は、基準時t20から、基準時t20よりも後であり、かつ基準時t20に直近の心拍までの時間であるRR間隔rrを測定する(ステップS36)。
【0124】
次に、生体情報処理装置300は、第1候補値PWTT0と、先行RR間隔prrとの第1相関関係を算出する。具体的には、生体情報処理装置300は、先行RR間隔prrを横軸の値として、第1候補値PWTT0を縦軸の値として複数の点をプロットした場合における回帰直線S1の傾きx0および相関係数y0を、第1相関関係として算出する(ステップS37)。
【0125】
次に、生体情報処理装置300は、第2候補値PWTT1と、RR間隔rrとの第2相関関係を算出する。具体的には、生体情報処理装置300は、RR間隔rrを横軸の値として、第2候補値PWTT1を縦軸の値として複数の点をプロットした場合における回帰直線S2の傾きx1および相関係数y1を、第2相関関係として算出する(ステップS38)。
【0126】
次に、生体情報処理装置300は、グラフ上にプロットされた点P0(x0,y0)と、点PA(-1,-1)との距離L1を算出する(ステップS39)。
【0127】
次に、生体情報処理装置300は、グラフ上にプロットされた点P1(x1,y1)と、点PB(1,1)との距離L2を算出する(ステップS40)。
【0128】
次に、生体情報処理装置300は、距離L1および距離L2に基づいて、第1候補値PWTT0および第2候補値PWTT1のいずれか一方を被検者の脈波伝播時間PWTTとして特定する。具体的には、生体情報処理装置300は、距離L1が距離L2よりも大きい場合(L1>L2)、第1候補値PWTT0を正確な脈波伝播時間PWTTとして特定する。一方、生体情報処理装置300は、距離L1が距離L2よりも小さい場合(L1<L2)、第2候補値PWTT1を正確な脈波伝播時間PWTTとして特定する(ステップS41)。
【0129】
[第3の実施形態の変形例]
(複数の第1候補値PWTT0が複数の範囲に分かれる場合の説明)
図15は、図9に示す第1候補値測定部321により測定される複数の第1候補値PWTT0が複数の範囲に分かれる場合を説明するための図である。図15に示すグラフは、横軸が先行RR間隔prrの値を示し、縦軸が第1候補値PWTT0の値を示す。
【0130】
図15に示すように、第1候補値PWTT0を縦軸の値として、先行RR間隔prrを横軸の値として複数の点をプロットされた場合、これら複数の点が複数のグループに分かれることがある。図15に示す例では、複数の第1候補値PWTT0が、0から500までの範囲に含まれる第1候補値PWTT0のグループ(以下、「第1候補値グループ1a」と称する)と、600から800までの範囲に含まれる第1候補値PWTT0のグループ(以下、「第1候補値グループ1b」と称する)とに分かれる。
【0131】
図16は、図15に示す第1候補値グループ1aを採用する場合における第1候補値PWTT0aと、図15に示す第1候補値グループ1bを採用する場合における第1候補値PWTT0bとの関係を示すグラフである。グラフG41は、心電図波形を示す。グラフG42は、第1候補値グループ1aに対応する光電脈波の波形を示し、グラフG43は、第1候補値グループ1bに対応する光電脈波の波形を示す。
【0132】
基準時を時刻t30として、第1候補値グループ1aを採用すると仮定した場合には、グラフG42に示すように、時刻t30から時刻t31までの時間が第1候補値PWTT0に相当する。一方、第1候補値グループ1bを採用すると仮定した場合には、グラフG43に示すように、時刻t30から時刻t32までの時間が第1候補値PWTT0に相当する。
【0133】
このように、複数の第1候補値PWTT0を所定の値の幅を有する範囲で区切る場合において、複数の第1候補値PWTT0が複数の範囲に分かれる場合、すなわち複数の第1候補値PWTT0が複数のグループに分かれる場合、複数のグループのうちの1つを適切に選択する必要がある。
【0134】
(複数の第2候補値PWTT1が複数の範囲に分かれる場合の説明)
図17は、図9に示す第2候補値測定部323により測定される複数の第2候補値PWTT1が複数の範囲に分かれる場合を説明するための図である。図17に示すグラフは、横軸がRR間隔rrの値を示し、縦軸が第2候補値PWTT1の値を示す。
【0135】
図17に示すように、第2候補値PWTT1を縦軸の値として、RR間隔rrを横軸の値として複数の点がプロットされた場合、これら複数の点が複数のグループに分かれてプロットされることがある。図17に示す例では、複数の第2候補値PWTT1が、600から900までの範囲に含まれる第2候補値PWTT1のグループ(以下、「第2候補値グループ2a」と称する)と、1000から1600までの範囲に含まれる第2候補値PWTT1のグループ(以下、「第2候補値グループ2b」と称する)とに分かれる。
【0136】
図18は、図17に示す第2候補値グループ2aを採用する場合における第2候補値PWTT1aと、図17に示す第2候補値グループ2bを採用する場合における第2候補値PWTT1bとの関係を示すグラフである。グラフG51は、心電図波形を示す。グラフG52は、第2候補値グループ2aに対応する光電脈波の波形を示し、グラフG53は、第2候補値グループ2bに対応する光電脈波の波形を示す。
【0137】
基準時を時刻t40として、第2候補値グループ2aを採用すると仮定した場合には、グラフG52に示すように、時刻t40から時刻t42までの時間が第2候補値PWTT1に相当する。一方、第2候補値グループ2bを採用すると仮定した場合には、グラフG53に示すように、時刻t40から時刻t43までの時間が第2候補値PWTT1に相当する。
【0138】
このように、複数の第2候補値PWTT1を所定の値の幅を有する範囲で区切る場合において、複数の第2候補値PWTT1が複数の範囲に分かれる場合、すなわち複数の第2候補値PWTT1が複数のグループに分かれる場合、複数のグループのうちの1つを適切に選択する必要がある。
【0139】
(グループの選択方法)
ここでは、図15に示すように、複数の第1候補値PWTT0が複数のグループに分かれ、かつ、図17に示すように、複数の第2候補値PWTT1が複数のグループに分かれる場合について説明する。
【0140】
このような場合、第1候補値測定部321は、図15に示すように、第1候補値グループ1aに対応する回帰直線S1aと、第1候補値グループ1bに対応する回帰直線S1bの各々について、傾きx0および相関係数y0を第1相関関係として算出する。回帰直線S1aについての傾きx0および相関係数y0を、それぞれ、傾きx0aおよび相関係数y0aとする。回帰直線S1bについての傾きx0および相関係数y0を、それぞれ、傾きx0bおよび相関係数y0bとする。
【0141】
また、第2候補値測定部323は、図17に示すように、第2候補値グループ2aに対応する回帰直線S2aと、第2候補値グループ2bに対応する回帰直線S2bの各々について、傾きx1および相関係数y1を第2相関関係として算出する。回帰直線S2aについての傾きx1および相関係数y1を、それぞれ、傾きx1aおよび相関係数y1aとする。回帰直線S2bについての傾きx1および相関係数y1を、それぞれ、傾きx1bおよび相関係数y1bとする。
【0142】
図19は、図9に示す第1算出部325により算出される傾きx0a,x0bおよび相関係数y0a,y0bと、図9に示す第2算出部326により算出される傾きx1a,x1bおよび相関係数y1a,y1bとの関係の一例を示す図である。図19において、横軸は傾きを示し、縦軸は相関係数を示す。
【0143】
特定部327は、第1候補値PWTT0について、例えば、図19に示すように、点P0a(x0a,y0b)および点P0b(x0b,y0b)をグラフ上にプロットして、点P0aおよび点P0bのうち、第1所定値である点PA(-1,-1)から離れている方の点を特定する。
【0144】
すなわち、特定部327は、点P0bの方が点PAよりも離れている場合、図15に示す第1候補値グループ1aおよび第1候補値グループ1bのうち、第1候補値グループ1bを採用するグループとして選択する。一方、特定部327は、点P0aの方が点PAよりも離れている場合、第1候補値グループ1aおよび第1候補値グループ1bのうち、第1候補値グループ1aを採用するグループとして選択する。そして、特定部327は、選択したグループに含まれる複数の第1候補値PWTT0に基づいて、上述した第3の実施形態に記載の方法を用いて、被検者の脈波伝播時間PWTTを特定する。
【0145】
また、特定部327は、第2候補値PWTT1について、例えば、図19に示すように、点P1a(x1a,y1b)および点P1b(x1b,y1b)をグラフ上にプロットして、点P1aおよび点P1bのうち、第2所定値である点PB(1,1)から離れている方の点を特定する。
【0146】
すなわち、特定部327は、点P1bの方が点PBよりも離れている場合、図17に示す第2候補値グループ2aおよび第2候補値グループ2bのうち、第2候補値グループ2bを採用するグループとして選択する。一方、特定部327は、点P1aの方が点PBよりも離れている場合、第2候補値グループ2aおよび第2候補値グループ2bのうち、第2候補値グループ2aを採用するグループとして選択する。そして、特定部327は、選択したグループに含まれる複数の第2候補値PWTT1に基づいて、上述した第3の実施形態に記載の方法を用いて、被検者の脈波伝播時間PWTTを特定する。
【0147】
なお、特定部327は、上記のような選択方法に限らず、他の選択方法を用いて、採用するグループを選択してもよい。例えば、特定部327は、第1候補値グループ1aに含まれる複数の第1候補値PWTT0の平均値と、第1候補値グループ1bに含まれる複数の第1候補値PWTT0の平均値とを算出し、大きい方の平均値に対応するグループを採用し、また、第2候補値グループ2aに含まれる複数の第2候補値PWTT1の平均値と、第2候補値グループ2bに含まれる複数の第2候補値PWTT1の平均値とを算出し、小さい方の平均値に対応するグループを採用してもよい。
【0148】
上記のように、本開示の一態様に係る生体情報処理装置300では、第1候補値測定部321は、複数の心拍のうちの1つを基準時t20として、基準時t20から、基準時t20よりも後であり、かつ基準時t20に直近の脈波の立ち上がりタイミングt21までの時間を第1候補値PWTT0として測定する。第2候補値測定部323は、基準時t20から、基準時t20よりも後であり、かつ基準時t20に直近の脈波の次の脈波の立ち上がりタイミングt23までの時間を第2候補値PWTT1として測定する。先行RR間隔測定部322は、基準時t20よりも前であり、かつ基準時t20に直近の心拍から、基準時t20までの時間である先行RR間隔prrを測定する。RR間隔測定部324は、基準時t20から、基準時t20よりも後であり、かつ基準時t20に直近の心拍t22までの時間であるRR間隔rrを測定する。特定部327は、第1候補値PWTT0、第2候補値PWTT1、先行RR間隔prrおよびRR間隔rrに基づいて、被検者の脈波伝播時間PWTTを特定する。
【0149】
ここで、第1候補値PWTT0が正しい脈波伝播時間PWTTである場合、第1候補値PWTT0と先行RR間隔rppとの間には負の相関がある。一方、第1候補値PWTT0が正しい脈波伝播時間PWTTではない場合、第1候補値PWTT0と先行RR間隔rppとの間には強い負の相関がある。
【0150】
また、第2候補値PWTT1が正しい脈波伝播時間PWTTである場合、第2候補値PWTT1とRR間隔rrとの間には相関がない。一方、第2候補値PWTT1が正しい脈波伝播時間PWTTではない場合、第2候補値PWTT1とRR間隔rrとの間には強い正の相関がある。
【0151】
このため、上記のように、第1候補値PWTT0、第2候補値PWTT1、先行RR間隔rppおよびRR間隔rrを用いる構成により、被検者の脈波伝播時間PWTTをより正確に測定することができる。
【0152】
上記のように、本開示の別の態様に係る生体情報処理装置300では、第1算出部325は、第1候補値PWTT0と先行RR間隔prrとの第1相関関係を算出する。第2算出部326は、第2候補値PWTT1とRR間隔rrとの第2相関関係を算出する。特定部327は、第1相関関係と第2相関関係に基づいて、第1候補値PWTT0および第2候補値PWTT1のうちの一方を被検者の脈波伝播時間PWTTとして特定する。
【0153】
このような構成により、第1候補値PWTT0および第2候補値PWTT1のうち、正しい脈波伝播時間PWTTをより確実に特定することができる。
【0154】
上記のように、本開示の別の態様に係る生体情報処理装置300では、第1候補値測定部321は、所定期間における心電図データおよび脈波データに基づいて、複数の第1候補値PWTT0を測定する。先行RR間隔測定部322は、所定期間における心電図データおよび脈波データに基づいて、複数の先行RR間隔prrを測定する。第1算出部325は、複数の第1候補値PWTT0と複数の先行RR間隔prrとの第1相関係数を算出する。また、第1算出部325は、複数の第1候補値PWTT0を所定の値の幅を有する範囲で区切る場合において、複数の第1候補値PWTT0が複数の範囲に分かれる場合、範囲ごとに第1相関係数を算出する。特定部327は、複数の第1相関係数が算出された場合、複数の第1相関係数のうち、第1所定値から最も離れた値の第1相関係数に基づいて、被検者の脈波伝播時間PWTTを特定する。
【0155】
このような構成により、例えば、複数の第1候補値PWTT0が、値が大きく異なる複数の範囲に分かれる場合であっても、範囲ごとの第1相関係数を算出して、より適切な第1相関係数を用いることができる。
【0156】
上記のように、本開示の別の態様に係る生体情報処理装置300では、第2候補値測定部323は、所定期間における心電図データおよび脈波データに基づいて、複数の第2候補値PWTT1を測定する。RR間隔測定部324は、所定期間における心電図データおよび脈波データに基づいて、複数のRR間隔rrを測定する。第2算出部326は、複数の第2候補値PWTT1と複数のRR間隔rrとの第2相関係数を算出する。また、第2算出部326は、複数の第2候補値PWTT1を所定の値の幅を有する範囲で区切る場合において、複数の第2候補値PWTT1が複数の範囲に分かれる場合、範囲ごとに第2相関係数を算出する。特定部327は、複数の第2相関係数が算出された場合、複数の第2相関係数のうち、第2所定値から最も離れた値の第2相関係数に基づいて、被検者の脈波伝播時間PWTTを特定する。
【0157】
このような構成により、例えば、複数の第2候補値PWTT1が、値が大きく異なる複数の範囲に分かれる場合であっても、範囲ごとの第2相関係数を算出して、より適切な第2相関係数を用いることができる。
【0158】
以上、本開示の実施形態について説明をしたが、本願の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではない。本実施形態は一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本願の技術的範囲は、特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0159】
1:生体情報処理システム、11:心電図データ検出部、12:A/D変換器、13:脈波データ検出部、14:A/D変換器、15:脈波伝播時間測定部、16:記憶部、21:候補値測定部、22:範囲設定部、23:特定部、65:センサインターフェース、100:生体情報処理装置、200:生体情報処理装置、215:脈波伝播時間測定部、221:候補値測定部、222:RR間隔測定部、223:先行RR間隔測定部、224:第1相関係数算出部、225:第2相関係数算出部、226:特定部、300:生体情報処理装置、321:第1候補値測定部、322:先行RR間隔測定部、323:第2候補値測定部、324:RR間隔測定部、325:第1算出部、326:第2算出部、327:特定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0091】
ここで、例えば、基準時t10よりも前の心拍のうち、基準時t10に直近の心拍よりも2個前の心拍から、基準時t10までの時間である候補値C2が、正しい脈波伝播時間PWTTであるとする。この場合、基準時t10に直近の心拍よりも2個前の心拍から、基準時t10に直近の心拍までのRR間隔2rrと、候補値C2との間には相関関係が無い。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0092】
一方、この場合、基準時t10に直近の心拍よりも3個前の心拍から、基準時t10に直近の心拍までのRR間隔3rrと、基準時t10に直近の心拍よりも3個前の心拍から、基準時t10までの時間である候補値C3との間には、正の相関関係がある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0105
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0105】
RR間隔測定部324は、基準時t20から、基準時t20よりも後であり、かつ基準時t20に直近の心拍までの時間であるRR間隔rrを測定する。そして、RR間隔測定部324は、測定結果を第2算出部326へ出力する。