IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社ミライズテクノロジーズの特許一覧

<>
  • 特開-半導体装置の製造方法 図1
  • 特開-半導体装置の製造方法 図2
  • 特開-半導体装置の製造方法 図3
  • 特開-半導体装置の製造方法 図4
  • 特開-半導体装置の製造方法 図5
  • 特開-半導体装置の製造方法 図6
  • 特開-半導体装置の製造方法 図7
  • 特開-半導体装置の製造方法 図8
  • 特開-半導体装置の製造方法 図9
  • 特開-半導体装置の製造方法 図10
  • 特開-半導体装置の製造方法 図11
  • 特開-半導体装置の製造方法 図12
  • 特開-半導体装置の製造方法 図13
  • 特開-半導体装置の製造方法 図14
  • 特開-半導体装置の製造方法 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117397
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240822BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20240822BHJP
   H01L 21/266 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
G03F7/20 521
H01L21/265 U
H01L21/265 M
H01L21/265 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023471
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸川 勤博
(72)【発明者】
【氏名】岡田 将和
(72)【発明者】
【氏名】古村 雄太
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197BA11
2H197HA03
2H197JA12
2H197JA17
2H197JA30
(57)【要約】
【課題】レジストパターンが倒れることを防止しつつ、半導体装置の製造コストの上昇を抑制するための技術を提供すること。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、半導体基板(10)の上に下地層(20,120,220,320,420)を形成する工程と、前記下地層(20)に凹部(24,124,224,324,424)と凸部(22,122,222,322,422)が交互に繰り返すように複数の凹部と凸部を形成する工程と、マスク部(37)と開口部(38)を有するレジストパターン(36)を形成する工程であって、前記凹部と前記凸部のいずれか一方である補強部に沿って前記マスク部が伸びるとともに前記マスク部が前記補強部を覆うように前記レジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンを介して前記半導体基板にイオンを注入する工程と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置の製造方法であって、
半導体基板(10)の上に下地層(20,120,220,320,420)を形成する工程と、
前記下地層(20)に凹部(24,124,224,324,424)と凸部(22,122,222,322,422)が交互に繰り返すように複数の凹部と凸部を形成する工程と、
マスク部(37)と開口部(38)を有するレジストパターン(36)を形成する工程であって、前記凹部と前記凸部のいずれか一方である補強部に沿って前記マスク部が伸びるとともに前記マスク部が前記補強部を覆うように前記レジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンを介して前記半導体基板にイオンを注入する工程と、
を備える製造方法。
【請求項2】
前記レジストパターンを形成する前記工程は、
前記下地層の上にレジスト層(30)を形成する工程と、
前記レジスト層の一部に光を照射して露光部(34)を形成する工程と、
前記レジスト層に現像液(50)を塗布して前記露光部を除去することによって前記開口部を形成する工程と、
前記半導体基板を回転させて前記現像液を除去する工程と、
を備える、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記補強部が、前記凹部(124)であり、
前記凹部の底面に、前記半導体基板が露出している、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
イオンを注入する前記工程における阻止能が、前記下地層で前記レジストパターンよりも低い、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記半導体基板は、シリコンとは異なる素材によって構成されており、
前記下地層は、シリコンによって構成されており、
イオンを注入する前記工程では、前記下地層でチャネリングが生じる角度でイオンを注入する、請求項4に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体装置の製造方法が開示されている。この製造方法では、半導体基板上にレジストパターンを形成する。レジストパターンは、ラインパターンと、島状に複数設けられた倒れ防止パターンと、を有する。ラインパターンは、イオン注入の際にマスクとして使用される。倒れ防止パターンは、ラインパターンの隣に配置されており、ラインパターンが倒れることを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-198295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、ラインパターンの隣に倒れ防止パターンを形成するための領域を確保する必要がある。従って、半導体基板上に倒れ防止パターンが形成されない場合と比較して、1個の半導体基板から製造可能な半導体素子の数が少なくなる。即ち、半導体装置の製造コストが上昇する。本明細書では、レジストパターンが倒れることを防止しつつ、半導体装置の製造コストの上昇を抑制するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、半導体装置の製造方法を開示する。製造方法は、半導体基板(10)の上に下地層(20,120,220,320,420)を形成する工程と、前記下地層(20)に凹部(24,124,224,324,424)と凸部(22,122,222,322,422)が交互に繰り返すように複数の凹部と凸部を形成する工程と、マスク部(37)と開口部(38)を有するレジストパターン(36)を形成する工程であって、前記凹部と前記凸部のいずれか一方である補強部に沿って前記マスク部が伸びるとともに前記マスク部が前記補強部を覆うように前記レジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンを介して前記半導体基板にイオンを注入する工程を備える。
【0006】
上記の構成によると、補強部に沿ってマスク部が伸びるとともにマスク部が補強部を覆うようにレジストパターンが形成される。このために、補強部によってマスク部の基礎部分が補強されるので、マスク部が倒れることが防止される。また、マスク部が補強部に重なるので、補強部を形成するための領域をマスク部の隣に確保する必要がない。このために、半導体装置の製造コストの上昇が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】下地層形成工程を説明するための図である。
図2】凹凸形成工程を説明するための図である。
図3】レジスト層形成工程を説明するための図である。
図4】露光工程を説明するための図である。
図5】露光部除去工程を説明するための図である。
図6】実施例1のレジストパターンが形成された状態の上面図を示す。
図7】現像液除去工程を説明するための図である。
図8】イオン注入工程を説明するための図である。
図9】下地層除去工程を説明するための図である。
図10】下地層酸化工程を説明するための図である。
図11】実施例2のレジストパターンが形成された半導体基板の断面図を示す。
図12】実施例2のレジストパターンが形成された状態の上面図を示す。
図13】実施例3のレジストパターンが形成された状態の上面図を示す。
図14】実施例4のレジストパターンが形成された状態の上面図を示す。
図15】実施例5のレジストパターンが形成された状態の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書が開示する一例の製造方法では、前記レジストパターンを形成する前記工程は、前記下地層の上にレジスト層(30)を形成する工程と、前記レジスト層の一部に光を照射して露光部(34)を形成する工程と、前記レジスト層に現像液(50)を塗布して前記露光部を除去することによって前記開口部を形成する工程と、前記半導体基板を回転させて前記現像液を除去する工程を備えてもよい。
【0009】
この構成によれば、半導体基板を回転させる際にマスク部に遠心力が作用しても、補強部によってマスク部の倒れを抑制することができる。
【0010】
本明細書が開示する一例の製造方法では、前記補強部が、前記凹部(124)であり、前記凹部の底面に、前記半導体基板が露出していてもよい。
【0011】
本明細書が開示する一例の製造方法では、イオンを注入する前記工程における阻止能が、前記下地層で前記レジストパターンよりも低くてもよい。
【0012】
この構成によると、半導体基板内の適切な深さにイオンを注入することができる。
【0013】
本明細書が開示する一例の製造方法では、前記半導体基板はシリコンとは異なる素材によって構成されており、前記下地層はシリコンによって構成されており、イオンを注入する前記工程では前記下地層でチャネリングが生じる角度でイオンを注入してもよい。
【0014】
この構成によると、半導体基板に対して適切な深さにイオンを注入することができる。
【0015】
(実施例1)
図面を参照して、半導体装置の製造方法を説明する。製造方法は、下地層形成工程、凹凸形成工程、レジスト層形成工程、露光工程、露光部除去工程、現像液除去工程、イオン注入工程、及び下地層除去工程を備える。
【0016】
下地層形成工程では、図1に示されるように、半導体基板10の上に下地層20を形成する。本実施例の半導体基板10は、炭化シリコン(SiC)によって構成されている。変形例では、半導体基板10は、シリコン(Si)、窒化ガリウム(GaN)などで構成されていてもよい。下地層20は、例えば、シリコンによって構成されている。下地層20は、半導体基板10の上にエピタキシャル成長によって形成される。
【0017】
凹凸形成工程では、図2に示されるように、エッチングによって下地層20に複数の凹部24を形成する。下地層20に凹部24が形成されることによって、下地層20の凹部24が形成されない箇所に凸部22が形成される。下地層20には、図2の左右方向に沿って凸部22と凹部24が交互に繰り返すように、複数の凸部22と凹部24が形成される。凸部22と凹部24は、下地層20の表面において、図2に示す断面に対して垂直な方向に沿って直線状に伸びている。
【0018】
レジスト層形成工程では、図3に示されるように、複数の凸部22と凹部24が形成された下地層20の上にレジスト層30を形成する。レジスト層30は、樹脂によって構成されている。
【0019】
露光工程では、図4に示されるように、レジスト層30を露光する。具体的には、露光工程では、マスク40を介してレジスト層30の表面に光を照射する。レジスト層30のうちの光に曝された部分(以下、露光部34という)では、内部で化学変化が生じる。レジスト層30のうち光に曝されなかった部分(以下、非露光部32)では、内部で化学変化は生じない。ここでは、凸部22の上部に、凸部22よりも幅が広い非露光部32を形成する。非露光部32は、下地層20の表面において凸部22に沿って直線状に伸びるように形成される。
【0020】
露光部除去工程では、図5に示されるように、レジスト層30に現像液50を塗布することによって露光部34を除去する。露光部34が除去された位置に開口部38が形成される。開口部38内に下地層20が露出する。ここでは、アスペクト比が1より大きい開口部38が形成される。ここで「アスペクト比」は、マスク部37の高さをマスク部37の幅で除した値を意味する。また、非露光部32は現像液50によって除去されずに残存する。残存する非露光部32は、レジストパターン36のマスク部37を形成する。
【0021】
図6は、レジストパターン36と下地層20の上面図を示す。なお、図6では、マスク部37の下部の凸部22を破線により示している。図6に示されるように、マスク部37は、凸部22に沿って直線状に伸びるように形成される。また、図5、6に示すように、マスク部37は、凸部22を覆うように形成される。即ち、マスク部37は、凸部22の上面と側面を覆っている。このように、マスク部37が凸部22を覆っていることで、マスク部37と下地層20との接触面積が広くなり、マスク部37と下地層20の間で高い接続強度が確保される。実施例1では、1個のマスク部37に対して1個の凸部22が形成される。実施例1では、凸部22が補強部として機能する。
【0022】
現像液除去工程では、図7に示されるように、半導体基板10をスピン器具60によって回転させる。半導体基板10の回転によって半導体基板10上の現像液50に遠心力が作用する。これによって、現像液50を除去する。現像液除去工程では、マスク部37にも遠心力が作用する。また、現像液除去工程では、遠心力の作用を受けた現像液50がマスク部37に衝突する。このため、マスク部37の基礎部分の強度が弱いと、現像液除去工程においてマスク部37が倒れたりずれたりする場合がある。即ち、マスク部37の基礎部分の強度が弱いと、マスク部37が基礎部分において破損する場合がある。これに対し、実施例1では、凸部22によってマスク部37の基礎部分が補強されている。従って、実施例1では、現像液除去工程においてマスク部37の破損を防止できる。
【0023】
なお、現像液除去工程の後に、スピン器具60及び洗浄水を使用して半導体基板10を洗浄してもよい。この工程でも遠心力が生じるが、凸部22によってマスク部37の破損を抑制することができる。
【0024】
なお、マスク部37の破損は、マスク部37のアスペクト比が高い場合に生じ易い。このような高いアスペクト比のマスク部37は、イオン注入を深くする必要がある場合に必要となる。このような高いアスペクト比のマスク部37が利用される場合にも、凸部22が補強部として機能するので、マスク部37の破損を抑制することができる。
【0025】
また、実施例1の構成によると、補強部をマスク部37とは異なる位置に確保する必要がない。このために、半導体装置の製造コストの上昇を抑制することができる。
【0026】
また、マスク部37が、レジスト(即ち、樹脂)ではなく、酸化膜などのハードマスクにより構成されている場合、マスク部37で高い強度を確保することができる。しかしながら、ハードマスクを使用すると、半導体装置の製造コストが上昇する。これに対し、実施例1の構成によると、比較的安価なレジストを使用して基礎部分の強度が高いマスク部37を形成できる。
【0027】
イオン注入工程では、図8に示されるように、レジストパターン36及び下地層20を介して、半導体基板10にイオンを注入する。レジストパターン36のマスク部37は、半導体基板10にイオンを注入の際のマスクとして使用される。イオン注入工程によって、半導体基板10の内部にイオン領域70が形成される。
【0028】
下地層20の阻止能は、レジスト層30の阻止能よりも低い。ここで、「阻止能」とは、物質に注入されたイオンのエネルギーの損失量を表す。下地層20の阻止能が低いので、イオンは下地層20を通過し易い。また、イオン注入工程では、下地層20でチャネリングが生じる角度で、イオンを半導体基板10に注入する。このため、イオンは下地層20を特に通過し易い。従って、半導体基板10内部の深い位置にイオンを注入することができる。このようにして、半導体基板10の内部に、イオン領域70を形成することができる。その後、レジストパターン36(即ちマスク部37)が除去される。
【0029】
下地層除去工程では、図9に示されるように、半導体基板10の上の下地層20が除去される。下地層20は、例えば、下地層20を熱酸化(即ち、酸素原子を含む雰囲気中で高温に加熱)することによって酸化シリコン膜を形成しその酸化シリコン膜をフッ化水素(HF)が貯留された反応容器に浸漬することで除去される。その後、イオン領域70を利用して素子構造を形成することで、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等の半導体装置を製造することができる。
【0030】
なお、変形例では、製造方法は、図9に示される下地層除去工程に代えて、下地層酸化工程を備えてもよい。下地層酸化工程では、図10に示されるように、下地層20を除去せずに酸化させる。この結果、半導体基板10の上には酸化シリコン膜80が形成される。この変形例では、下地層20を、半導体装置の酸化シリコン膜80として利用することができる。
【0031】
(実施例2)
続いて、実施例2を説明する。実施例2の下地層120には、凸部122と凹部124が交互に繰り返すように、複数の凸部122と凹部124が形成される。凹部124の底面には、半導体基板10の表面が露出している。その後、レジスト層形成工程、露光工程、露光部除去工程、現像液除去工程が行われて、マスク部37が形成される。図11に示されるように、マスク部37の底面と半導体基板10の表面とは互いに接する。また、マスク部37の側面と凹部124の側面とは互いに接する。
【0032】
図12は、レジストパターン36と下地層120の上面図を示す。なお、図12では、マスク部37と重なる凹部124を破線により示している。なお、以下の図13図15でも、説明の都合上、マスク部37に隠れて見えない凸部又は凹部を破線で示している。
【0033】
実施例2では、下地層120に凹部124が設けられている。図11及び図12に示されるように、マスク部37は、凹部124を覆うように形成される。即ち、実施例2では、凹部124が補強部として機能する。従って、凹部124によってマスク部37の側面を凹部124の側面で支持することができる。即ち、実施例2では、凹部124によってマスク部37の基礎部分が補強されているので、マスク部37の破損を抑制することができる。
【0034】
なお、図11では、マスク部37の幅と凹部124の幅が略等しい。従って、マスク部37は、凹部124の底面と側面に接している一方で、凸部122の上面に接していない。しかしながら、マスク部37の幅が凹部124の幅よりも広くてもよい。この場合、凹部124の近傍において、マスク部37が凸部122の上面に接する。
【0035】
(実施例3)
図13は、実施例3のレジストパターン36と下地層220の上面図を示す。実施例3の下地層220には、凸部222と凹部224が交互に繰り返すように、複数の凸部222と凹部224が形成される。特に、実施例3では、1個のマスク部37に対して3個の凸部222が形成される。各マスク部37は、当該マスク部37に対して形成された3個の凸部222を覆うように形成される。即ち、マスク部37は、3個の凸部222の上面と側面を覆っている。このように、マスク部37が凸部222を覆っていることで、マスク部37と下地層220との接触面積が広くなり、マスク部37と下地層220の間で高い接続強度が確保される。実施例3では、凸部222が補強部として機能する。このように、実施例3では、凸部222によってマスク部37の基礎部分が補強されているので、マスク部37の破損を防止できる。
【0036】
(実施例4)
図14は、実施例4のレジストパターン36と下地層320の上面図を示す。実施例4の下地層320には、凸部322と凹部324が交互に繰り返すように、複数の凸部322と凹部324が形成される。特に、実施例4では、1個のマスク部37に対して、2個の凸部322と1個の凹部324が形成される。各マスク部37は、当該マスク部37に対して形成された2個の凸部322と1個の凹部324を覆うように形成される。即ち各マスク部37は、2個の凸部322と1個の凹部324の上面と側面を覆っている。このように、マスク部37が凸部322と凹部324を覆っていることで、マスク部37と下地層320との接触面積が広くなり、マスク部37と下地層320の間で高い接続強度が確保される。実施例4では、凸部322及び凹部324の双方が補強部として機能する。このように、実施例4では、凸部322と凹部324によってマスク部37の基礎部分が補強されているので、マスク部37の破損を防止できる。
【0037】
(実施例5)
図15は、実施例5のレジストパターン36と下地層420の上面図を示す。実施例5の下地層420には、凸部422と凹部424が交互に繰り返すように、複数の凸部422と凹部424が形成される。特に、実施例5では、1個のマスク部37に対して、2個の凹部424が形成されている。各マスク部37は、2個の凹部424を覆うように形成される。即ち、実施例5では、凹部424が補強部として機能する。従って、凹部424によって、マスク部37の側面を凹部424の側面で支持することができる。即ち、実施例5では、凹部424によってマスク部37の基礎部分が補強されているので、マスク部37の破損を抑制することができる。
【0038】
以下に、本明細書に開示の製造方法の構成を列記する。
(構成1)
半導体装置の製造方法であって、
半導体基板(10)の上に下地層(20,120,220,320,420)を形成する工程と、
前記下地層(20)に凹部(24,124,224,324,424)と凸部(22,122,222,322,422)が交互に繰り返すように複数の凹部と凸部を形成する工程と、
マスク部(37)と開口部(38)を有するレジストパターン(36)を形成する工程であって、前記凹部と前記凸部のいずれか一方である補強部に沿って前記マスク部が伸びるとともに前記マスク部が前記補強部を覆うように前記レジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンを介して前記半導体基板にイオンを注入する工程と、
を備える製造方法。
(構成2)
前記レジストパターンを形成する前記工程は、
前記下地層の上にレジスト層(30)を形成する工程と、
前記レジスト層の一部に光を照射して露光部(34)を形成する工程と、
前記レジスト層に現像液(50)を塗布して前記露光部を除去することによって前記開口部を形成する工程と、
前記半導体基板を回転させて前記現像液を除去する工程と、
を備える、構成1に記載の製造方法。
(構成3)
前記補強部が、前記凹部(124)であり、
前記凹部の底面に、前記半導体基板が露出している、
構成1又は2に記載の製造方法。
(構成4)
イオンを注入する前記工程における阻止能が、前記下地層で前記レジストパターンよりも低い、構成1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
(構成5)
前記半導体基板は、シリコンとは異なる素材によって構成されており、
前記下地層は、シリコンによって構成されており、
イオンを注入する前記工程では、前記下地層でチャネリングが生じる角度でイオンを注入する、構成4に記載の製造方法。
【0039】
以上、本明細書が開示する技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独で、あるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0040】
10:半導体基板、20:下地層、22:凸部、24:凹部、30:レジスト層、32:非露光部、34:露光部、36:レジストパターン、37:マスク部、38:開口部、40:マスク、50:現像液、60:スピン器具、70;イオン領域、80:酸化シリコン膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15