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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117403
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】止水装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20240822BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E04H9/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023482
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 裕也
【テーマコード(参考)】
2E139
2E239
【Fターム(参考)】
2E139AA10
2E139AC19
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】 がたつきを小さくする。
【解決手段】 横幅方向に連結される二つの止水板10,10’と、これら止水板の左端側と右端側を支持する二つの支柱X,Xとを備え、止水板10,10’の各々を、対応する支柱Xおよび下方側不動面Gに押し付けるようにした止水装置において、支柱X,Xの各々には、二つの支柱X,X間の内側へ突出する支持ピンx1が設けられ、左側の止水板10の左端側と右側の止水板10’の右端側には、支持ピンx1に係合する係合部16が設けられ、係合部16は、支持ピンx1の外周面の先側端部を含むように止水板幅方向へわたる被圧接面16abを有し、この被圧接面16abが支持ピンx1の外周下端部x12によって下方へ押圧される。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横幅方向に連結される二つの止水板と、これら止水板の左端側と右端側を支持する二つの支柱とを備え、前記止水板の各々を、対応する前記支柱および下方側不動面に押し付けるようにした止水装置において、
前記支柱の各々には、前記二つの支柱間の内側へ突出する支持ピンが設けられ、
左側の止水板の左端側と右側の止水板の右端側には、前記支持ピンに係合する係合部が設けられ、
前記係合部は、前記支持ピンの外周面の先側端部を含むように止水板幅方向へわたる被圧接面を有し、この被圧接面が前記支持ピンの外周下端部によって下方へ押圧されるようにしたことを特徴とする止水装置。
【請求項2】
前記被圧接面は、前記支持ピンの外周下端部に対し止水板幅方向へわたって面接触していることを特徴とする請求項1記載の止水装置。
【請求項3】
前記係合部は、前記支持ピンに対し径方向側から嵌り合う凹状に形成され、その凹状部分の内側に、前記被圧接面を有することを特徴とする請求項1記載の止水装置。
【請求項4】
前記係合部は、前記支持ピンに嵌り合う本体部と、前記本体部から止水板幅方向内側へ突出する突片部とを一体的に有し、前記被圧接面は、前記本体部から前記突片部にわたって連続していることを特徴とする請求項3記載の止水装置。
【請求項5】
前記係合部が、左側の前記止水板の左端側と、右側の前記止水板の右端側において、上部側と下部側にそれぞれ設けられ、
これら係合部のうち、上側の係合部のみが前記支持ピンの外周下端部によって下方へ押圧されるようにしたことを特徴とする請求項1記載の止水装置。
【請求項6】
前記被圧接面と前記支持ピンのうち、その一方を、止水板幅方向の内側へゆくにしたがって他方に近づくように傾斜させたことを特徴とする請求項1~4何れか1項記載の止水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増水時に建物や地下道の開口部を止水板により閉鎖して水の侵入を阻む止水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
台風や集中豪雨などによる増水が建物や地下道の開口部に侵入すると、浸水による甚大な被害を及ぼすおそれがある。そこで、このような事態に備えて、予め建物や地下道などの開口部の近傍に止水板を格納しておき、増水が発生したときには、この止水板を、前記開口部を構成する両側の支柱に固定し、水の侵入を阻むようにした止水装置が従来知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-14865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の止水装置において、開口部の幅が比較的大きい場合等には、複数の止水板を横幅方向に連結して用いる場合がある。
例えば、図8に示す止水装置100では、二枚の止水板110,120を横幅方向に連結して、左右の支柱X,Xの間に設置している。
左側の止水板110は、左側の支柱Xとの間、右側の止水板120との間、下方側不動面Gとの間に、それぞれ挟み込まれるように、ゴムパッキン111を具備している。同様に右側の止水板120も、右側の支柱Xとの間、左側の止水板110との間、下方側不動面Gとの間に、それぞれ挟み込まれるように、ゴムパッキン121を具備している。
左側の止水板110の左端側には、それぞれ、上部側と下部側に係合部112が設けられる。各係合部112は、左側の支柱Xに設けられた支持ピンxに係止される。同様に、右側の止水板120の左端側には、それぞれ、上部側と下部側に係合部112が設けられる。各係合部112は、右側の支柱Xに設けられた支持ピンxに係止される。
また、左側の止水板110の右端には、ゴムパッキン111が設けられ、右側の止水板120の左端には、ゴムパッキン121が設けられ、これらゴムパッキン111,121は、互いに押し合って弾性的に収縮する。
このような構成により、左右の止水板110,120の間には互いに押し付け合って上方へ向かう力が作用し、この力により、止水板110,120が傾くとともに(図9参照)、各係合部112における止水板中央部寄りのエッジ部分Pが、支持ピンxの外周面下端部に点接触する。
このため、各止水板110,120のがたつきを生じやすく、このがたつき等に起因して、止水性能を損ねてしまう場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明の一つは、以下の構成を具備するものである。
横幅方向に連結される二つの止水板と、これら止水板の左端側と右端側を支持する二つの支柱とを備え、前記止水板の各々を、対応する前記支柱および下方側不動面に押し付けるようにした止水装置において、前記支柱の各々には、前記二つの支柱間の内側へ突出する支持ピンが設けられ、左側の止水板の左端側と右側の止水板の右端側には、前記支持ピンに係合する係合部が設けられ、前記係合部は、前記支持ピンの外周面の先側端部を含むように止水板幅方向へわたる被圧接面を有し、この被圧接面が前記支持ピンの外周下端部によって下方へ押圧されるようにしたことを特徴とする止水装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、各止水板と支柱との接続部分のがたつきを小さくすることができ、ひいては、止水板のがたつきに起因する止水性能の低下を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る止水装置の一例を上流側から視た図である。
図2図1における(II)-(II)線に沿う断面図である。
図3図1における(III)-(III)線に沿う断面図である。
図4図3における(IV)-(IV)線に沿う断面図である。
図5図4における(V)部の拡大図である。
図6図3における(IV)-(IV)線に沿う断面位置において、支持ピンと係合部をそれぞれ(a)と(b)に示す拡大図である。
図7】同断面位置において、係合部の他例を示す図である。
図8】従来の止水装置の一例を上流側から視た図である。
図9】従来の止水装置において、係合部と支持ピンの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明に係る実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明において、上流側とは、想定される水の流れ方向の上流側を意味し、図示例によれば、止水装置の設置対象となる構築物の屋外側が上流側であり、同構築物の屋内側が下流側である。なお、他例としては、上流側を屋内側とし、下流側を屋外側とすることも可能である。
また、以下の説明において、「止水板幅方向」とは、止水板の横幅方向を意味し、「止水板厚さ方向」とは、止水板幅方向に交差する方向であって上下方向ではない、止水板の厚み方向を意味する。
また、「止水板幅方向内側」とは、止水板の横幅方向の外側から内側へ向かう方向の側を意味し、「止水板幅方向外側」とは、止水板の横幅方向の内側から外側へ向かう方向の側を意味する。
【0009】
図1は、本発明に係る止水装置の一例を上流側から視た図である。
この止水装置1は、横幅方向に連結される二つの止水板10,10’と、これら止水板10,10’の左端側と右端側を支持する二つの支柱X,Xとを備え、止水板10,10’の各々を、対応する支柱Xおよび下方側不動面Gに水密に押し付け、支柱X,X間を通過しようとする水の流れを阻む。
【0010】
支柱Xは、止水装置1の設置対象である構築物の開口部における左右両側の部分を構成している。前記開口部の具体例としては、自動ドアの扉体によって開閉される開口部や、地下道の出入口等が挙げられる。
各支柱Xは、硬質金属材料によって下方側不動面Gから上方へ延びる柱状に形成される。
【0011】
各支柱Xには、二つの支柱X,X間の内側へ略水平に突出するように、上下二つの支持ピンx1,x2が設けられる。
詳細に説明すれば、各支柱Xの開口部側面には、上下方向へわたる長尺矩形状の補強板x3が固定される。そして、この補強板x3の上端側に支持ピンx1が固定され、下端側に支持ピンx2が固定される。これら固定のための手段は、例えば、ネジ止めや、リベット止め、溶接、嵌合等とすればよい。
【0012】
上側の支持ピンx1は、硬質金属材料から略円柱状に形成され、その基端側の外径が、段部x11を境に大きくなっている。
同様に、下側の支持ピンx2は、硬質金属材料から略円柱状に形成され、その基端側の外径が、段部x21を境に大きくなっている。
なお、図示例によれば、基端側の外径を段部x11,x21を境に傾斜面状に徐々大きくしているが、他例としては、基端側の外径を段部x11,x21を階段状に大きくしてもよい。
【0013】
左側の止水板10は、間隔を置いて左右に略平行に設けられる縦枠11,12と、これら縦枠11,12間を上端側で連結する上枠13と、縦枠11,12間を下端側で連結する下枠14と、これら縦枠11,12、上枠13及び下枠14の内側に水密に嵌め合わせられた本体板15とによって、正面視矩形状に構成される(図1参照)。
この止水板10の左端側には、上側の支持ピンx1に係合させるための係合部16と、下側の支持ピンx2に係合させるための係合部17とが設けられる。
止水板10は、係合部16と支持ピンx1の係合、及び係合部17と支持ピンx2の係合によって、左側の支柱Xに対し脱着可能に係止される。
【0014】
右側の止水板10’は、左側の止水板10と略左右対称形状になるように、縦枠11,12’、上枠13、下枠14、本体板15等を配設し、正面視矩形状に構成される(図1参照)。
この止水板10’の右端側にも、上側の支持ピンx1に係合させるための係合部16と、下側の支持ピンx2に係合させるための係合部17とが設けられる。
止水板10’は、係合部16と支持ピンx1の係合、及び係合部17と支持ピンx2の係合によって、右側の支柱Xに対し脱着可能に係止される。
【0015】
縦枠11,12,12’、上枠13及び下枠14は、それぞれ、耐腐食性を有する硬質金属材料(例えば、アルミニウム合金や、ステンレス等)によって、長尺な四角筒状もしくは四角柱状に形成される。
縦枠11,12(又は12’)、上枠13及び下枠14は、適宜な接続手段(例えば、ネジ止めや、リベット止め、溶接、嵌合)等によって正面視矩形枠状に接続される。
【0016】
左側の止水板10の縦枠12と、右側の止水板10’の縦枠12’は、これらの間の係脱手段18(図2参照)によって脱着可能に接続される。
係脱手段18は、縦枠12と縦枠12’を、止水板厚さ方向の一方側で横断面L字状に嵌め合わせるととともに、他方側で凹凸状に嵌め合わせて、左右の止水板10,10’が厚さ方向及び横幅方向へ移動しないようにしている(図2参照)。なお、この係脱手段18は、同様に機能すれば。図示例以外の構成とすることが可能である。
【0017】
上側の係合部16は、支持ピンx1に対し径方向外側から嵌り合う本体部16aと、本体部16aから止水板幅方向内側へ突出する突片部16bと、開口Aを開閉する開閉部材16cとを一体的に有する(図5参照)。
【0018】
本体部16aは、下流側に斜め下側に開口Aを有する凹状に形成され、その内側に、支持ピンx1の外周下端部x12に圧接される被圧接面16abを有する。
本体部16aは、下片部16a1と、下片部16a1に対し上方に間隔を置いて位置する上片部16a2とを具備する(図3参照)。
【0019】
下片部16a1の上端面は、上流側から下流側へ略水平な平坦面状に延設される。
また、突片部16bは、下片部16a1から止水板幅方向内側(図3によれば手前側)へ突出する。この突片部16bの上端面は、略水平な平坦面状に形成される。
【0020】
本体部16aの下片部16a1の上端面と、突片部16bの上端面は、略面一に連続している。そして、これら上端面は、支持ピンx1によって下方へ押圧される被圧接面16abとして機能する(図5参照)。
【0021】
被圧接面16abは、支持ピンx1の外周面の先側端部を含むように止水板幅方向へわたって連続する平坦状の面である。この被圧接面16aと、支持ピンx1の外周下端部x12とは、止水板幅方向へわたって面接触する(図5参照)。
【0022】
詳細に説明すれば、被圧接面16abは、止水板幅方向外側(図5の左方向側)の端部を支持ピンx1の段部x11に接するとともに、止水板幅方向内側(図5の右方向側)の端部を、支持ピンx1の突端よりも止水板中央側に配置している。
すなわち、支持ピンx1が段部x11から止水板幅方向内側へ突出する長さL1よりも、被圧接面16abにおける止水板幅方向の長さL2の方が長い。
そして、被圧接面16abは、止水板幅方向へわたり連続して、支持ピンx1の外周下端部x12に面接触する(図5参照)。
【0023】
また、開閉部材16cは、上側の係合部16に対し上下方向へスライド可能に嵌り合うとともに、図示しない付勢部材によって下方へ付勢されており、本体部16a下流側の開口Aを、支持ピンx1の外径よりも狭めている。
この開閉部材16cは、外側から挿入される支持ピンx1に押されて開放方向へスライドし、支持ピンx1が通過した後に、前記付勢部材の付勢力により閉鎖方向へスライドして開口Aを狭める。したがって、支持ピンx1は、安易に引き抜けることのないように、係合部16に係合する。
狭まった状態の開口Aは、図示しない操作部材に対する手動操作により、拡げることが可能である。
【0024】
係合部17は、下片部17aと、下片部17aに対し上方に間隔を置いて位置する上片部17bとを具備し、下流側斜め下向きの開口Bを有する側面視略凹状に形成される(図3参照)。
この係合部17に支持ピンx2が挿入されると、この支柱X2に対し、下片部17aが近接するとともに、上片部17bが接する(図3参照)。
【0025】
係合部17には、支持ピンによって下向きに圧接される被圧接面は形成されない。すなわち、上下の係合部16,17のうち、上側の係合部16のみに、支持ピンx1によって下向きに圧接される被圧接面16abが設けられる。
【0026】
係合部17と支持ピンx2の係合状態は。係合部17を係合方向に対する逆方向(図3によれば、左斜め上方向)へ移動することで解除可能である。
【0027】
また、本体板15は、硬質合成樹脂材料(例えば、ポリカーボネート)や金属材料等により矩形板状に形成され、その上下左右の端部を、対向する縦枠11,12、上枠13又は下枠14に対し水密に接続している。
【0028】
また、止水板10の左右端側および下端側には、弾性を有するパッキン21~25が設けられる。同様に、止水板10’の左右端側および下端側にも、弾性を有するパッキン21~25が設けられる。
【0029】
パッキン21~25は、エラストマー樹脂やゴム等の弾性樹脂材料により形成され、止水板10,10’と左右の支柱X,Xの間、止水板10,10’と下方側不動面Gの間等を水密に塞ぐ(図1参照)。
【0030】
パッキン21は、上下方向へ連続する長尺状に形成され、縦枠11の屋内側面に、接着や嵌合等の固定手段により固定されている。このパッキン21は、縦枠11と支柱Xの間に挟まれて弾性的に収縮し、これらの間の水密性を確保する(図3参照)。
【0031】
一方の止水板10側のパッキン22は、上下方向へ連続する長尺状に形成され、縦枠12の外側面(縦枠12’との対向面)に、接着や嵌合等の固定手段により固定されている。
他方の止水板10’側のパッキン22は、上下方向へ連続する長尺状に形成され、縦枠12’の外側面(縦枠12との対向面)に、接着や嵌合等の固定手段により固定されている。
これらパッキン22,22は、左右の縦枠12.12’間に挟まれて弾性的に収縮し、これらの間の水密性を確保する。
【0032】
パッキン23は、止水板横幅方向へ連続する長尺状に形成され、下枠14の下端面に、接着や嵌合等の固定手段により固定されている。このパッキン23は、下枠14と下方側不動面G(例えば、左右の支柱X,X間を連結する下枠や、床面等)との間に挟まれて弾性的に収縮し、これらの間の水密性を確保する。
【0033】
パッキン24は、縦枠11の下端部に設けられた直方体ブロック状の弾性部材(例えば、ゴムやエラストマー樹脂等)であり、縦枠11と下方側不動面Gの間に挟まれて弾性変形し、これらの間の水密性を確保する。
このパッキン24は、パッキン21の下端側に接するとともに、パッキン23にも接しており、パッキン21とパッキン23の間に隙間が生じないようにしている。
【0034】
パッキン25は、縦枠12の下端部に設けられた直方体ブロック状の弾性部材(例えば、ゴムやエラストマー樹脂等)であり、縦枠12と下方側不動面Gの間に挟まれて弾性変形し、これらの間の水密性を確保する。
このパッキン25は、パッキン22の下端側に接するとともに、パッキン23にも接しており、パッキン22とパッキン23の間に隙間が生じないようにしている。
【0035】
<作用効果>
次に、上記構成の止水装置1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
左右の止水板10,10’は、それぞれ、上側の係合部16と下側の係合部17により、左右の支柱X,Xにおける上下の支持ピンx1,x2に係止される。
この際、図3に示すように、上側の係合部16及び下側の係合部17が、それぞれ、上下の支持ピンx1,x2に係合し、左右の止水板10,10’の間のパッキン22,22が、弾性的に収縮して弾発する。
このため、左側の止水板10と右側の止水板10’が、互いに押圧し合い、左右の止水板10,10’の中央側には、上方向きの力が作用する。
【0036】
しかしながら、上記構成の止水装置1によれば、係合部16の被圧接面16abが、支持ピンx1外周面の先側端部を含むように止水板幅方向へ連続するとともに、支持ピンx1の外周面に対し、安定した面接触をする。すなわち、従来技術のように係合部16のエッジ部分が支持ピンx1の外周面に点接触することがない。
よって、各止水板10(又は10’)が、前記上向きの力により傾いたりがたついたりするのを抑制して、良好な止水性能を得ることができる。
【0037】
<変形例>
上記構成の止水装置1は、上側の係合部16を図7に示す係合部16’に置換することが可能である。
係合部16’は、上記係合部16において突片部16bを突片部16b’に置換したものである。
突片部16b’は、本体部16aから止水板幅方向内側へ突出するとともに、支持ピンx1によって押圧される被圧接面16ab’を、止水板幅方向の内側(図7によれば右側)へゆくにしたがって支持ピンx1に近づくように上方へ傾斜させている。
【0038】
この傾斜角度αは、図7の例示によれば、支持ピンx1の基端側と被圧接面16ab’の間に僅かな隙間を有するが、突片部16b’が支持ピンx1に押圧されて略水平状に弾性変形し支持ピンx1に面接触するようにしてもよい。
【0039】
よって、図7に示す実施形態によれば、止水板幅方向内側へ向かって斜め上方へ傾斜した被圧接面16ab’が、支持ピンx1の突端よりも止水板幅方向内側へ突出するとともに、支持ピンx1の外周下端部x12に接触する。
【0040】
そして、前記接触状態では、被圧接面16ab’の先端側(図7によれば右端側)が、同被圧接面16ab’の基端側(図7によれば右端側)よりも、支持ピンx1に強く押圧される。
すなわち、支持ピンx1による下方向きの押圧力が、傾斜した被圧接面16ab’によって、止水板幅方向中央寄り(図7によれば右端寄り)に偏る。
これらの作用により、両側の止水板10,10’の中央側が浮くようにして。各止水板10(又は10’)が傾くのを抑制することができる。
【0041】
なお、図7に示す態様では、突片部16b’を、止水板幅方向の内側へゆくにしたがって支持ピンx1に近づくように傾斜させたが、他例としては、支持ピンx1を、止水板幅方向の内側へゆくにしたがって突片部16bに近づくように傾斜させるようにしてもよい。
【0042】
また、本発明は上述した具体的構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0043】
<総括>
以上のとおり、上記実施形態では以下の発明を開示している。
(1)
横幅方向に連結される二つの止水板と、これら止水板の左端側と右端側を支持する二つの支柱とを備え、前記止水板の各々を、対応する前記支柱および下方側不動面に押し付けるようにした止水装置において、前記支柱の各々には、前記二つの支柱間の内側へ突出する支持ピンが設けられ、左側の止水板の左端側と右側の止水板の右端側には、前記支持ピンに係合する係合部が設けられ、前記係合部は、前記支持ピンの外周面の先側端部を含むように止水板幅方向へわたる被圧接面を有し、この被圧接面が前記支持ピンの外周下端部によって下方へ押圧されるようにしたことを特徴とする止水装置。
(2)
前記被圧接面は、前記支持ピンの外周下端部に対し止水板幅方向へわたって面接触していることを特徴とする(1)に記載の止水装置。
(3)
前記係合部は、前記支持ピンに対し径方向側から嵌り合う凹状に形成され、その凹状部分の内側に、前記被圧接面を有することを特徴とする(1)または(2)に記載の止水装置。
(4)
前記係合部は、前記支持ピンに嵌り合う本体部と、前記本体部から止水板幅方向内側へ突出する突片部とを一体的に有し、前記被圧接面は、前記本体部から前記突片部にわたって連続していることを特徴とする(3)に記載の止水装置。
(5)
前記係合部が、左側の前記止水板の左端側と、右側の前記止水板の右端側において、上部側と下部側にそれぞれ設けられ、
これら係合部のうち、上側の係合部のみが前記支持ピンの外周下端部によって下方へ押圧されるようにしたことを特徴とする(1)~(4)いずれかに記載の止水装置。
(6)
前記被圧接面と前記支持ピンのうち、その一方を、止水板幅方向の内側へゆくにしたがって他方に近づくように傾斜させたことを特徴とする(1)~(5)いずれかに記載の止水装置。
【符号の説明】
【0044】
1:止水装置
10,10’:止水板
16,17:係合部
16a:本体部
16b:突片部
16ab:被圧接面
21~25:パッキン
X:支柱
x1,x2:支持ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9