(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117414
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】カバー部材及びカバー部材を用いた排水機器の排水口構造。
(51)【国際特許分類】
E03C 1/22 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
E03C1/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023502
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】内川 篤
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA03
2D061DE10
(57)【要約】
【課題】
カバー部材に鍔部を備えた場合に、鍔部とフランジ部上面など排水口の周縁部との間に、上下方向であって外側に向けて開放された隙間を生じることが無いカバー部材、及びカバー部材を用いた排水機器の排水口構造を提供する。また、カバー部材に鍔部を備えた場合に、排水口に対してカバー部材を鉛直方向また水平方向に位置決めし、カバー部材が傾くこと、また湯水の流れによって排水口からカバー部材が流される等の位置ずれが生じることを防止したカバー部材、及びカバー部材を用いた排水機器の排水口構造を提供する。
【解決手段】
カバー部材を、前記排水口内に排水を通過させる通水口と、前記排水口の水平方向に対して位置決めする位置決め部と、前記排水口の周縁部に載置されると共に、その外縁下面が前記排水口の前記周縁部に当接する鍔部とから構成する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水機器の排水口を覆うカバー部材であって、
前記排水口内に排水を通過させる通水口と、
前記排水口の水平方向に対して位置決めする位置決め部と、
前記排水口の周縁部に載置されると共に、その外縁下面が前記排水口の前記周縁部に当接する鍔部とを備えたことを特徴とするカバー部材。
【請求項2】
前記鍔部の下面が水平面を成す形状を備えたことを特徴とする請求項1に記載のカバー部材。
【請求項3】
前記鍔部の下面において、前記鍔部下面の外縁が最も低い位置となる形状を備えたことを特徴とする請求項1に記載のカバー部材。
【請求項4】
前記鍔部の下面は、前記鍔部外縁から内側に向かう方向ほど低くなる鍔裏傾斜面を備え、
断面視前記鍔裏傾斜面が水平面と成す角度が、断面視前記周縁部が水平面と成す角度と同一か、又はより小さな角度となるように前記鍔裏傾斜面を構成したことを特徴とする請求項1に記載のカバー部材。
【請求項5】
前記鍔部の外縁の近傍部分に、外側ほど薄肉となる薄肉部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載のカバー部材。
【請求項6】
排水機器の水受け部の排水を処理する排水口構造であって、
前記排水機器の前記水受け部の底面に窪み部を設け、
前記窪み部の下端に前記排水口及び前記排水口の前記周縁部を備えてなり、
前記排水口に前記カバー部材を配置した状態で、前記鍔部の外縁が、前記水受け部の前記底面よりも低い位置、又は略面一となることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載のカバー部材を用いた排水機器の排水口構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水機器の水受け部に生じた湯水を、排水として処理する排水口の構造に関するものであって、更に詳しくは、排水機器の排水口に取り付けられるカバー部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
流し台や洗面台、浴槽、浴室等の排水機器には、機器の使用によって生じた湯水を排水として排出するための排水口が設けられている。排水機器の排水口には、生じた湯水を排水口に通過させつつ、排水口に機能を追加することのできるカバー部材を取り付ける場合が多い。
カバー部材には、排水口内を覆い隠すことで意匠性を高める目隠し部材や、排水口を通過する湯水中の塵芥を捕集するための捕集部材等がある。
【0003】
特許文献1に記載のカバー部材は、排水機器である流し台の排水口に取り付けられるカバー部材である。流し台は水受け部であるシンクを備えてなり、特許文献1のカバー部材は、このシンクに設けられた排水口に取り付けられる、湯水中の塵芥の捕集を行う捕集部材である。
以下に、流し台のシンクとカバー部材について説明する。
【0004】
流し台のシンクは、上方が開口した箱体状の部材であって、流し台の使用により生じた排水を受けるように構成されている。該シンクの底面部には取付穴が設けられ、この取付穴に排水トラップが取り付けられる。
排水トラップは、円筒形状の本体部分の上方に排水口を、下方に排出口を備え、内部に封水を備える構造によって臭気の逆流を防止する構造となっている。
【0005】
カバー部材は、内側側面、又は外側側面のいずれか一方、または両方に鋸歯を設けた円環状の鍔部(支持環)と、湯水が通過可能なネット状の素材からなる水切り袋からなり、水切り袋の開口を、鍔部をくるむようにして巻き付けることでカバー部材が構成される。
【0006】
上記カバー部材を使用する場合は、排水口内に水切り袋を挿通し、鍔部を排水口の周縁部上に載置することでカバー部材の排水口への取り付けが完了する。
排水口にカバー部材を取り付けた状態で、流し台を使用し、シンク内に湯水が発生すると、湯水は排水口から排水トラップ内を通過して下水側に排水として排出される。この際に、湯水に塵芥が混入していた場合には水切り袋内に塵芥を捕集する。
塵芥が水切り袋内に溜まった場合は、排水口からカバー部材を取り出し、水切り袋を鍔部から取り外して処分する。その後、新しい水切り袋を鍔部に巻き付けて再度排水口に配置することで支障なくカバー部材を使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-176301号(第3の実施形態)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載したカバー部材では、鍔部に水切り袋を巻き付けるようにして取り付けている。このため、排水口にカバー部材を配置した際には、鍔部と排水口の周縁部の間に水切り袋が存在する状態となる。ここで、湯水は水切り袋を通過可能であるため、湯水や湯水に含まれる塵芥に対して、鍔部と排水口の周縁部との間には、上下方向に、外側方向に向けて開放された隙間が生じた状態となっている。このため、湯水の一部はこの鍔部と排水口の周縁部の間の、外側方向に向けて開放された隙間を通過して下流側に排出される。湯水中に塵芥が含まれていた場合、塵芥はこの鍔部と排水口の周縁部の間の水切りネットの部分に堆積し、これを解消するためには使用者が塵芥を掴んで水切りネット内に投棄するなどの不快な作業を行う必要がある。
また付着した塵芥から雑菌が繁殖してヌメリが生じることもあり、衛生的な問題も生じる。
【0009】
また、鍔部と排水口の周縁部との間に生じる隙間には、間に水切りネットが存在するとしても、奥方向は光が届かず暗い部分が見えてしまい、意匠性が悪い。特に、上述したように、鍔部と排水口の周縁部との間にある水切りネットには塵芥等が付着し、またヌメリが生じることがあるため、これを視認する使用者には不快感が生じる。
【0010】
また、特許文献1のカバー部材は、鉛直方向及び水平方向への位置決めがなされていない。
特許文献1のカバー部材の鍔部は可撓性を有する水切りネットを間に配置した状態で排水口の周縁部上に載置されており、水切りネットの巻き付け方によって巻き付けた水切りネットの厚みに偏りが生じる。水切りネットの厚みのある部分が高く、厚みの薄い部分が低くなり、結果カバー部材は鉛直方向に対して厚みにムラのある傾いた状態で排水口に取り付けられるため、使用者が視認すると違和感を生じる。
【0011】
また、特許文献1に記載のカバー部材は、排水口の周縁部に円環状の鍔部を載置しているだけの構造のため、シンク内の底面に沿って水平方向から強い勢いの湯水が排水口に向けて流れると、湯水は排水口を超えて反対側に押し流され、その際にカバー部材も湯水に押し流されるようにして排水口から位置ずれを生じてしまう、という問題があった。
【0012】
本発明は上記事情に鑑み発明されたものであって、排水口に配置される鍔部を備えたカバー部材において、次の課題の内、少なくとも1つを解決するカバー部材、及びカバー部材を用いた排水機器の排水口構造を提供するものである。
(1).鍔部を備えたカバー部材について、鍔部とフランジ部上面など排水口の周縁部との間の意匠性を良くし、また塵芥が鍔部と排水口の周縁部の間や周囲に溜まらないようにする。
(2).鍔部を備えたカバー部材について、排水口に対してカバー部材を鉛直方向また水平方向に位置決めし、カバー部材が傾くこと、また湯水の流れによって排水口からカバー部材が流される等の位置ずれが生じることを防止する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第一の発明は、排水機器の排水口を覆うカバー部材であって、
前記排水口内に排水を通過させる通水口と、
前記排水口の水平方向に対して位置決めする位置決め部と、
前記排水口の周縁部に載置されると共に、その外縁下面が前記排水口の前記周縁部に当接する鍔部とを備えたことを特徴とするカバー部材である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カバー部材に鍔部を備えた場合に、鍔部の外縁下面が排水口の周縁部に当接する構造としたため、鍔部と排水口の周縁部との間に、上下方向であって外側に向けて開放された隙間を生じることが無い。
このため意匠性が良く、また鍔部と周縁部との隙間に塵芥が溜まって不衛生になる等の不具合は生じない。
【0015】
また、鍔部下面と周縁部とが当接することで、カバー部材は排水口に対し鉛直方向に傾くことなく位置決めが行われると共に、位置決め部によってカバー部材は排水口に対し水平方向に傾くことなく位置決めが行われ、湯水の流れ等によって排水口から外れてしまう、といった問題が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第一の実施の形態のカバー部材を採用したシンクを示す断面図である。
【
図2】
図1のシンクの部材構成を示す断面図である。
【
図3】第一の実施の形態のカバー部材の(a)平面図、(b)断面図、(c)底面図である。
【
図4】第一の実施の形態の(a)シンクの使用状態を示す断面図、(b)
図4(a)のA部拡大図である。
【
図5】第二の実施の形態の(a)カバー部材の断面図、(b)シンクの使用状態を示す断面図、(c)
図5(b)のB部拡大図である。
【
図6】第三の実施の形態の(a)カバー部材の断面図、(b)シンクの使用状態を示す断面図、(c)
図6(b)のC部拡大図である。
【
図7】第四の実施の形態の(a)断面図(b)使用状態を示す断面図である。
【
図8】第五の実施の形態の(a)断面図(b)使用状態を示す断面図である。
【
図11】第八の実施の形態の(a)断面図(b)使用状態を示す断面図である。
【
図12】第九の実施の形態の(a)シンクの使用状態を示す断面図、(b)
図12(a)のD部拡大図である。
【
図13】第十の実施の形態の(a)シンクの使用状態を示す断面図、(b)
図13(a)のE部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の態様に係るカバー部材は、
排水機器の排水口を覆うカバー部材であって、
前記排水口内に排水を通過させる通水口と、前記排水口の水平方向に対して位置決めする位置決め部と、前記排水口の周縁部に載置されると共に、その外縁下面が前記排水口の前記周縁部に当接する鍔部とを備えたことを特徴とするカバー部材である。
【0018】
本態様によれば、鍔部と排水口の周縁部との間に上下方向であって外側に向けて開放された隙間を生じることが無い。
このため意匠性が良く、また鍔部と周縁部との隙間に塵芥が溜まって不衛生になる等の不具合は生じない。
また、カバー部材は排水口に対し鉛直方向及び水平方向に位置決めが行われるため、排水口に対してカバー部材が傾くことは無く、また湯水の流れ等によって排水口から外れてしまう、といった問題が生じない。
【0019】
本発明の第2の態様に係るカバー部材は、第1の様態のカバー部材において、前記鍔部の下面が水平面を成す形状を備えたことを特徴とするカバー部材である。
【0020】
本発明の第3の態様に係るカバー部材は、第1の様態のカバー部材において、前記鍔部下面の外縁が最も低い位置となる形状を備えたことを特徴とするカバー部材である。
【0021】
本発明の第4の態様に係るカバー部材は、第1の様態のカバー部材において、前記カバー部材の前記鍔部の下面に、前記鍔部外縁から内側に向かう方向ほど低くなる鍔裏傾斜面を備え、
断面視前記鍔裏傾斜面が水平面と成す角度が、断面視前記周縁部が水平面と成す角度と同一か、又はより小さな角度となるように前記鍔裏傾斜面を構成したことを特徴とするカバー部材である。
【0022】
上記第2の様態乃至第4の態様により、鍔部を備えたカバー部材において、鍔部と排水口の周縁部との間に上下方向であって外側に向けて開放された隙間を生じることが無い構造とすることができる。
【0023】
本発明の第5の態様に係るカバー部材は、第1の様態乃至第4の様態のいずれか一つの様態のカバー部材において、前記鍔部の外縁の近傍部分に、外側ほど薄肉となる薄肉部を設けたことを特徴とするカバー部材である。
【0024】
本態様によれば、鍔部の外縁の近傍部分の厚みを薄肉部により目立たないものとし、意匠性がよく、水受け部の底面上に水滴や塵芥が残りにくい構造とすることができる。
【0025】
本発明の第6の態様に係るカバー部材を用いた排水機器の排水口構造は、
排水機器の水受け部の排水を処理する排水口構造であって、
前記排水機器の前記水受け部の底面に窪み部を設け、
前記窪み部の下端に前記排水口及び前記排水口の前記周縁部を備えてなり、
前記排水口に前記カバー部材を配置した状態で、前記鍔部の上面が、前記水受け部の前記底面よりも低い位置、又は略面一となることを特徴とする、第1の様態乃至第5の様態のいずれか一つの様態のカバー部材を用いた排水機器の排水口構造である。
【0026】
本態様によれば、鍔部の外縁が窪み部内に収納され、排水機器の水受け部の底面上に突出することが無いため、意匠性がよく、水受け部の底面上に水滴や塵芥が残らない構造とすることができる。
【0027】
以下に、本発明の第一の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
尚、以下で説明する実施の形態は、包括的な、又は具体的な例を示すものであって、数値や形状、素材、構成要素とその配置・位置、接続形態、手順等は一例であり、本発明を限定するものではない。また、以下の実施の形態における各構成の内、独立項に記載されていない構成は、必要に応じて適宜変更可能な構成である。
【0028】
本発明の第一の実施の形態のカバー部材について、以下に記載する。
図1乃至
図4に図示した、第一の実施の形態のカバー部材1は、流し台のシンクSに用いられるカバー部材1である。カバー部材1、及びカバー部材1が用いられる流し台は、以下に記載する構成を備えてなる。
【0029】
まず、排水機器である流し台について説明する。尚、本発明では、「排水機器」とは流し台や洗面台、浴槽・浴室など、「使用によって排水を生じる機器」の総称である。
また、各部材の接続箇所は、特に記載しない場合でも、接着やパッキンを利用したネジ接続等で水密的に接続している。
図1に示したシンクSは、流し台に備えられた吐水栓(図示せず)から吐水された湯水を受ける流し台の水受け部であって、上方が開放された箱体であり、その底面には円形の陥没部Kを設け、この陥没部Kの中央に取付穴Hが設けられている。
また、シンクSには後述する排水口本体8等の配管部材が備えられてなる。
【0030】
図2等に図示した排水口本体8は、有底円筒形状を成す上方が開口した部材であって、その内部にはシンクS内の湯水が流入する排水口8aが形成されてなる。排水口8aの内径は約150ミリメートルである。
シンクS内の湯水は、排水口8a内に流入することで排水として処理される。
また、排水口8aの内部には排水口8aの上端から20ミリメートルほど下方となる位置に内側に突出した段部を備えてなる。
また、排水口本体8の底面に掛かる側面には排水を排出する排出口8bを備えてなり、この排出口8bから、床下空間の配管に接続される排水配管が延出されてなる。
【0031】
また、排水口本体8は上端部分であって外側側面の全周に、外側方向に延出したフランジ部8cが設けられてなり、このフランジ部8cの上面が排水口8aの周縁部を形成する。フランジ部8cの外径は約180ミリメートルである。
このフランジ部8cを、環状のパッキンPKを介してシンクSの取付穴Hの周縁に係止した状態とし、更にナット部材等を利用してシンクSに対して固定することで、排水口本体8が流し台のシンクSに固定される。
この排水口本体8が流し台のシンクSに固定された状態において、陥没部K内にフランジ部8cが収納されることで、シンクSの底面とフランジ部8cの外縁上端はほぼ同じ高さとなるように設計されている。
【0032】
この排水口本体8が流し台のシンクSに固定された状態において、シンクS内に湯水が生じると、湯水は排水口8a内に流入し、排出口8bから排水として下水側に排出される。
また、フランジ部8cの上面は、外縁から排水口8aの方向に向かう方向ほど低くなる傾斜を備えてなる。フランジ部8cの上面に特に部材が配置されていない場合、この傾斜によってフランジ部8cの上面の水滴は自重により排水口8a内に流下する。
【0033】
次に、カバー部材1について説明する。
第一の実施の形態のカバー部材1は、硬質樹脂によって一体に成型された部材であって、流し台のシンクSに取り付けられた排水口本体8に備えられた排水口8aを覆う、排水口8aの目隠しを目的として排水口8aに配置される部材である。
図3等に示した、第一の実施の形態のカバー部材1は、以下に記載する平面視排水口8a内に配置される本体部2と、本体部2の外側側面から延出され、周縁部であるフランジ部8cの上面に載置される鍔部3とから構成されてなる。
【0034】
本体部2は、以下に記載する、リング部4と、覆い部5と、通水口6と、位置決め部7とから構成される。
【0035】
リング部4は、平面視外径の大きさが排水口8aの内径とほぼ同一となる略板状部分であって、内径側ほど低くなる勾配を備えてなる。
【0036】
覆い部5は、リング部4の内側を覆い隠す壁面であって、リング部4の内側から、中心に向けて緩やかな登り勾配を成す登り勾配部5aと、中心に向けて下り勾配を成す下り勾配部5bとから構成されてなる。
【0037】
通水口6は、使用時シンクS内から排水口8a内に排水を通過させる開口であって、本実施の形態では、登り勾配部5aと下り勾配部5bとの間に備えられてなる。
【0038】
位置決め部7は、リング部4の内径部分から垂下された円筒部7aと、円筒部7aの下端から放射状に複数延出された突起部7bとからなり、
図3(c)の点線で示した、突起部7bの先端を結ぶことで形成される円は、排水口8aの内径とほぼ同一で若干だけ小径である。排水口8aにカバー部材1を配置した際には、この突起部7bの先端が排水口8aの内側側面に接することで排水口8aに対してカバー部材1を水平方向に対し位置決めする。
【0039】
鍔部3はリング部4の外側側面から外側方向に延出された環状の部分であって、排水口本体8のフランジ部8c全体を上方から覆うように、フランジ部8cの外径と同じ外径に設計されている。
また、
図4に示したように、鍔部3の下面には、排水口8aに配置した際に、鍔部3外縁から本体部2方向、即ち内側に向かう方向ほど低くなる鍔裏傾斜面3aを備えてなる。
【0040】
また、
図4(b)等に示したように、鍔部3の外縁の近傍部分上面には、排水口8aに配置した際に、外側方向に向かう方向ほど低くなる傾斜を備えたことで、外縁方向ほど薄肉となる薄肉部3bを設けてなる。
本実施の形態のカバー部材1では、鍔部3の外径はフランジ部8cの外径と同じ約180ミリメートルであり、この鍔部3の外縁から内側方向に5ミリメートルほどの幅の部分に、上記した傾斜を備えることで薄肉部3bを構成している。
鍔部3上面の内、上記薄肉部3bのための傾斜を設けた部分以外は、排水口8aに配置した際に、本体部2の方向、即ち内側方向に向かって若干低くなる下り勾配を備え、鍔部3上面に生じた水滴が自然に通水口6に向かって流下するように構成されている。
【0041】
また、第一の実施の形態において、断面視におけるカバー部材1の鍔裏傾斜面3aと水平面とが成す角度(
図2のXで示した角度)と、断面視における周縁部、即ちフランジ部8cの上面と水平面とが成す角度(
図2のYで示した角度)は、設計段階で同じ角度、具体的には約1.17度となるように設計され、構成されている。
【0042】
また、第一の実施の形態の流し台の排水口8aには、排水中の塵芥を捕集する捕集部材9が配置される。捕集部材9は、排水口8a内の段部に係止される環状の係止部9aと、係止部9a内に備えられた、多数の小孔6aを設けた捕集部9bと、から構成される。排水中の塵芥が捕集部9bを通過する際、排水は小孔6aを通過し、塵芥は排水から分離されて捕集部9b内に収納される。尚、本発明の図示においては、図面を簡略化するため、捕集部9bの小孔6aは一部のみ図面中に図示している。
【0043】
以下に、本実施の形態のカバー部材の取付方法を説明する。
まず、シンクS底面に設けられた、排水口8a内の段部上に捕集部材9の係止部9aを配置して排水口8a内に捕集部材9を取り付ける。
次に、カバー部材1を排水口8aに配置する。この際は、カバー部材1の本体部2を平面視排水口8a内に同心円状となるように配置すると、位置決め部7の突起部7bが排水口8aの内側側面に当接して水平方向に位置決めされる。
そのままカバー部材1を降下させると、カバー部材1の鍔部3下面がフランジ部8c上面に載置されて、鉛直方向にも位置決めされる。
このようにして、排水口8aへのカバー部材1の取り付け作業が完了する。
【0044】
上記のように構成された、第一の実施の形態のカバー部材1を用いた流し台の排水口8aにおいて、吐水栓よりシンクS内に湯水が排出されると、湯水は通水口6を通過して排水口本体8内に流入し、排水として捕集部材9の捕集部9b内を通過した後、排出口8bから排水配管を介して床下配管に排出され、最終的に下水側に排出される。
また排水中の塵芥は捕集部9bに捕集される。捕集部9b内に塵芥が溜まった際は、排水口8aからカバー部材1と捕集部材9を取り外し、捕集部9b内の塵芥を処理した後、再度排水口8aに捕集部材9とカバー部材1を配置することで、支障なく排水口8aを使用することができる。
【0045】
本実施の形態では、前述のように、断面視におけるカバー部材1の鍔裏傾斜面3aと水平面とが成す角度(
図4のXで示した角度)と、断面視における周縁部、即ちフランジ部8c上面と水平面とが成す角度(
図4のYで示した角度)は同じ角度となるように設計・構成されており、また鍔部3の外径とフランジ部8cの外径は同じ径となるように構成されている。また、鍔部3とフランジ部8cの間に水切りネット等の部材が配置されることも無い。このため、取り付け作業が完了した状態では、カバー部材1の鍔部3の下面は、フランジ部8c上面、即ち排水口8aの周縁部に対し、外縁の下面を含め全面が隙間なく当接し、フランジ部8cを含む排水口8a部材のほぼ全面を覆い隠した状態となる。このように、鍔部3とフランジ部8cの間に上下方向であって外側に向けて開放された隙間が存在しないため、特に継ぎ目部分が目立つことが無く、意匠性が良い。また、外側に向けて開放された隙間が存在しないことで、塵芥が鍔部と排水口の周縁部の間や周囲に溜まることも無い。
【0046】
また、上記したカバー部材1では、位置決め部7が排水口8a内面に当接して水平方向に位置決めを行うことで、水平方向においては、排水口8aに対してカバー部材1が位置決めされる。また、湯水の流れによって排水口8aからカバー部材1が流される等の位置ずれが生じることが防止される。
また、カバー部材1の鍔部7下面が、フランジ部8cの上面に隙間なく当接しているため、鉛直方向についても位置決めされると共に、カバー部材1が傾いて取り付けされることが無い。
【0047】
また、前述の通り、本実施の形態では、シンクSの底面とフランジ部8cの外縁はほぼ同じ高さのため、フランジ部8cの上面に鍔部3を載置すると、鍔部3の厚み分、シンクSの底面であって排水口8aの周囲に段差が生じることとなる。シンクSの排水口8aの周囲にシンクS底面より立ち上がる段差が存在すると、その段差の高さ分水残りが生じる恐れや、段差部分に塵芥が溜まる恐れがあるが、本実施の形態のカバー部材1では、鍔部3外縁の近傍部分に薄肉部3bを設けたことで、底面に生じる段差は小さなものとなり、段差によってシンクSの底面に水残りが生じることや、段差部分に塵芥が溜まることが殆どない。
【0048】
また、カバー部材1に、排水口8a内を覆い隠す覆い部5を備え、使用者が排水口8a内をほぼ視認できないようにしたことで、例えば捕集部9b内の塵芥を視認することが無くなり、使用者が不快感を生じることが無くなった。
また、覆い部5により、カバー部材1は大型の塵芥が排水口8a内に流入することを防ぎ、捕集する機能も有することができる。
【0049】
次に、本発明の第二の実施の形態のカバー部材について、以下に記載する。
図5に図示した、第二の実施の形態のカバー部材1は、シンクSの排水口8aに用いられるカバー部材1である。上記カバー部材1及びカバー部材1が用いられる流し台の各部材の内、カバー部材1以外の部材は第一の実施の形態で説明した各部材と寸法を含め同じ構成のため説明は省略し、カバー部材1についてのみ説明する。
【0050】
尚、この第二の実施の形態のカバー部材1は、既存の流し台の排水口8aに対して一対の部材として用意したカバー部材1では無く、ホームセンターなどでカバー部材1のみ購入した、又はインターネット通販、いわゆるeコマースなどを通じてカバー部材1のみ購入したカバー部材1である。
【0051】
第二の実施の形態のカバー部材1は、シンクSに設けられた排水口8aを覆う、硬質樹脂によって一体に成型された部材であって、排水口8aの目隠しを目的として排水口8aに配置される。
第二の実施の形態のカバー部材1は、以下に記載する平面視排水口8a内に配置される本体部2と、平面視周縁部を形成するフランジ部8cの上面に配置される鍔部3とから構成されてなる。
この各部の構成の内、本体部2の構成は第一の実施の形態のカバー部材1の本体部2の構成と同一の為説明は省略し、構成の相違する鍔部3についてのみ説明する。尚、第二の実施の形態のカバー部材1位置決め部7は、第一の実施の形態のカバー部材1と同様に、配置する排水口8aの内径が約150ミリメートルであるとして設計されている。
【0052】
鍔部3はリング部4の外側側面から外側方向に延出された環状の部分であって、排水口本体8のフランジ部8c全体を上方から覆うように、フランジ部8cの外径と同じ外径に設計されている。
また、
図5(a)等に示したように、鍔部3の下面は、排水口8aに配置した際に、水平面となるような平坦面に構成されている。
【0053】
また、
図5(c)等に示したように、鍔部3の外縁の近傍部分の上面には、排水口8aに配置した際に、外側方向に向かう方向ほど低くなる傾斜を備えたことで、外側方向ほどが薄肉となる薄肉部3bを設けてなる。
本実施の形態のカバー部材1では、鍔部3の外径は約180ミリメートルであり、この鍔部3の外縁から内側方向に5ミリメートルほどの幅の部分に、上記した傾斜を備えることで薄肉部3bを構成している。
鍔部3上面の内、上記薄肉部3bのための傾斜を設けた部分以外は、排水口8aに配置した際に、本体部2の方向、即ち内側方向に向かって若干低くなる下り勾配を備え、鍔部3上面に生じた水滴が自然に通水口6に向かって流下するように構成されている。
【0054】
以下に、本実施の形態のカバー部材1の使用方法を説明する。
まず、シンクS底面に設けられた、排水口8a内の段部上に捕集部材9の係止部9aを配置して排水口8a内に捕集部材9を取り付ける。
次に、カバー部材1を排水口8aに配置する。この際は、カバー部材1の本体部2を平面視排水口8a内に同心円状となるように配置すると、位置決め部7の突起部7bが排水口8aの内側側面に当接して水平方向に位置決めされる。
そのままカバー部材1を降下させると、カバー部材1の鍔部3外縁の下面がフランジ部8cの外縁の上面に当接し、載置されて、鉛直方向にも位置決めされる。
このようにして、排水口8aへのカバー部材1の取り付け作業が完了する。
第一の実施の形態のカバー部材1同様に、排水口8aにカバー部材1を配置する際に、摩擦による作業の困難化や、取り付け時に擦れによる傷を生じるという問題が発生しない。
【0055】
第二の実施の形態のカバー部材1は、段落0050に記載したように、排水口8aに対して一対の部材として用意したカバー部材1では無く、排水口8aとは別途の部材として用意したカバー部材1であるが、以下に説明する標準寸法を参照して設計したことで、上記のように支障なく既設の排水口8aに配置することができる。
【0056】
標準寸法について説明すると、工業規格とは別に、関連する複数のメーカーや販売会社等の間で使用実績・使用目的・販売目的に合わせて自発的に共有の寸法を設定する場合や、最初に当該製品を製造した会社の製品の寸法に、関連企業が追随する製品を寸法や仕様を合わせて製造した結果、自然に関連企業の間で共有の寸法が設定される場合があり、このようにして定まった寸法が標準寸法である。
【0057】
第二の実施の形態の排水口8aの内径の寸法とフランジ部8cの外径の寸法は、第一の実施の形態の排水口本体8と同一の寸法、即ち排水口8aの内径は約150ミリメートル、フランジ部8cの外径は約180ミリメートルであるが、この排水口8aの内径の寸法、及びフランジ部8cの外径の寸法は標準寸法である。第二の実施の形態のカバー部材1は、この排水口8aの内径及びフランジ部8cの外径の標準寸法を参照して位置決め部7及び鍔部3を設計したことで、排水口8aとは別途の部材として用意したカバー部材1であっても、既設の排水口8aに支障なく配置することを可能としている。
【0058】
また、本実施の形態では、カバー部材1の鍔部3下面は水平面を成すのに対し、フランジ部8c上面は第一の実施の形態と同様に、フランジ部8c上面は、外縁から排水口8aの方向に向かう方向ほど低くなる傾斜を備えてなる。また、フランジ部8cの外径と鍔部3の外径は、標準寸法を参照して同径となるように構成されている。このため、鍔部3の下面はフランジ部8cの最も高い位置、即ちフランジ部8cの外縁上面に当接することができる。フランジ部8cの外縁が、鍔部3の外縁に当接することから、特に継ぎ目部分が目立つことが無く、意匠性が良い。
【0059】
また、本実施の形態では、第一の実施の形態のカバー部材1と同様に鍔部3の外縁の近傍部分に薄肉部3bを設けたため、排水口8aにカバー部材1を配置しても、シンクSの底面に生じる鍔部3による段差は小さなものとなり、意匠性を良好なものとしている。
また、第一の実施の形態のカバー部材1と同様に排水口8a内を覆い隠す覆い部5を備え、使用者が排水口8a内をほぼ視認できないようにしたことで、使用者が不快感を生じることが無く、また大型の塵芥が排水口8a内に流入することを防ぎ捕集する機能も有することができる。
【0060】
上記第二の実施の形態のカバー部材1を用いた流し台の排水口8aは、第一の実施の形態のカバー部材1を用いた流し台の排水口8aと同様の方法で使用することができる。
使用時においては、第一の実施の形態のカバー部材1と同様にカバー部材1の鍔部3外縁とフランジ部8cの外縁とが当接し、鍔部3とフランジ部8cとの間に外側に向けて開放された隙間が存在しないため、鍔部3とフランジ部8cとの隙間に塵芥が溜まる、という問題が生じることが無い。
また、流し台の使用の際において、鍔部3外縁の近傍部分に薄肉部3bを設けたことで、第二の実施の形態のカバー部材1と同様に底面に生じる段差は小さなものとなり、段差によってシンクSの底面に水残りが生じることや、段差部分に塵芥が溜まることが殆どない。
【0061】
次に、本発明の第三の実施の形態のカバー部材について、以下に記載する。
図6に図示した、第三の実施の形態のカバー部材1は、シンクSの排水口8aに用いられるカバー部材1である。上記カバー部材1及びカバー部材1が用いられる流し台の各部材の内、カバー部材1以外の部材は第一の実施の形態で説明した各部材と寸法を含め同じ構成のため説明は省略し、カバー部材1についてのみ説明する。
【0062】
第三の実施の形態のカバー部材1は、シンクSに設けられた排水口8aを覆う、硬質樹脂によって一体に成型された部材であって、排水口8aの目隠しを目的として排水口8aに配置される。
第三の実施の形態のカバー部材1は、以下に記載する平面視排水口8a内に配置される本体部2と、平面視周縁部を形成するフランジ部8cの上面に配置される鍔部3とから構成されてなる。
この各部の構成の内、本体部2の構成は第一の実施の形態のカバー部材1の本体部2の構成と同一の為説明は省略し、構成の相違する鍔部3についてのみ説明する。尚、第三の実施の形態のカバー部材1位置決め部7は、第一の実施の形態のカバー部材1と同様に、配置する排水口8aの内径が約150ミリメートルであるとして設計されている。
【0063】
鍔部3はリング部4の外側側面から外側方向に延出された環状の部分であって、排水口本体8のフランジ部8cを半分程度上方から覆うように、フランジ部8cの外径が約180ミリメートルに対し、鍔部3の外径が約164ミリメートルとなるように設計されている。
また、
図6(a)等に示したように、鍔部3の下面は、排水口8aに配置した際に、鍔部3外縁から本体部2方向、即ち内側に向かう方向ほど高くなる傾斜面を備えてなる。このため、鍔部3下面において、最も低い位置とは鍔部3外縁の下面となる。
【0064】
以下に、本実施の形態のカバー部材1の使用方法を説明する。
まず、シンクS底面に設けられた、排水口8a内の段部上に捕集部材9の係止部9aを配置して排水口8a内に捕集部材9を取り付ける。
次に、カバー部材1を排水口8aに配置する。この際は、カバー部材1の本体部2を平面視排水口8a内に同心円状となるように配置すると、位置決め部7の突起部7bが排水口8aの内側側面に当接して水平方向に位置決めされる。
そのままカバー部材1を降下させると、カバー部材1の鍔部3外縁の下面がフランジ部8cの外縁の上面に当接し、載置されて、鉛直方向にも位置決めされる。
このようにして、排水口8aへのカバー部材1の取り付け作業が完了する。
第一の実施の形態のカバー部材1同様に、排水口8aにカバー部材1を配置する際に、摩擦による作業の困難化や、取り付け時に擦れによる傷を生じるという問題が発生しない。
【0065】
本実施の形態では、カバー部材1の鍔部3下面は外縁が最も低い位置となるのに対し、周縁部となるフランジ部8c上面は第一の実施の形態と同様に、外縁から排水口8aの方向に向かう方向ほど低くなる傾斜を備えてなる。また、鍔部3はフランジ部8cを半分程度覆うように構成されている。このため、
図6(b)のように、断面視において、鍔部3の外縁の下面が、フランジ部8cの中間部分に当接することができる。鍔部3の外縁とフランジ部8cの上面が上下方向においては隙間なく当接し、鍔部3とフランジ部8cとの間に外側に向けて開放された隙間が存在しないため意匠性が良い。また、外側に向けて開放された隙間が存在しないため、隙間部分に塵芥が溜まる、という問題が生じることも無い。
【0066】
上記第三の実施の形態のカバー部材1を用いた流し台の排水口8aは、第一の実施の形態のカバー部材1を用いた流し台の排水口8aと同様の方法で使用することができる。
使用時においては、鍔部3とフランジ部8cの上面の間に外側に向けて開放された隙間が存在しないため、隙間部分に塵芥が溜まる、という問題が生じることが無い。
また、第一の実施の形態のカバー部材1と同様に排水口8a内を覆い隠す覆い部5を備え、使用者が排水口8a内をほぼ視認できないようにしたことで、使用者が不快感を生じることが無く、また大型の塵芥が排水口8a内に流入することを防ぎ捕集する機能も有することができる。
【0067】
本発明の実施の形態は以上の他、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の設計変更を加えてもよい。
【0068】
例えば、
図7に示した第四の実施の形態のように排水機器を浴室とし、水受け部を洗い場パンとする構成や、
図8に示した第五の実施の形態のように排水機器を洗面台とし、水受け部を洗面台の洗面ボウルとする構成として、カバー部材1はそれぞれの排水機器の水受け部の排水口8aに取り付けられるカバー部材1としてもよい。
【0069】
図7に示した第四の実施の形態は、浴室の洗い場パンの排水口8aに取り付けられるカバー部材1である。浴室の洗い場パンの排水口8aを形成する排水口本体8、及びカバー部材1は以下のように構成されている。
【0070】
排水口本体8は、浴室の水受け部である洗い場パンの底面に取り付けられる部材であって、円筒形状を成し、その内部には洗い場内の湯水が流入する排水口8aが形成されてなる。
また、排水口本体8の上端部分であって外側側面の全周に、外側方向に延出した、上面が水平面を成すフランジ部8cが設けられてなる。このフランジ部8cの上面が排水口8aの周縁部を形成する。
また、排水口本体8の下方には、下水側からの臭気の逆流を防止する排水トラップが接続されてなる。
【0071】
第四の実施の形態のカバー部材1は、円筒形状を成す本体部2と、本体部2の外側側面から延出される鍔部3とから構成されてなる。
【0072】
本体部2は円筒形状にして、その上面はフランジ部8aと同径の円盤である覆い部5に覆われてなる。
また、本体部2の外側側面のほぼ中間の位置に、水平方向に延出した鍔部3を備えてなる。鍔部3は本体部2の外側側面から外側方向に延出された環状の部分であって、フランジ部8cの外径と同じ外径に設計されている。また、その下面は水平面に構成されてなる。
また、本体部2の側面であって、鍔部3の上方には、本体部2の内外を貫通する通水口6を複数備えてなる。
また、本体部2の外側側面であって、鍔部3の下方の円筒形状の部分は、位置決め部7の円筒部を形成すると共に、円筒部7aの下端から放射状に複数延出された突起部7bを備えてなる。排水口8aにカバー部材1を取り付けた際には、この突起部7bの先端が排水口8aの内側側面に接することで排水口8aに対してカバー部材1を水平方向に対し位置決めする。
【0073】
上記のように構成した、第四の実施の形態のカバー部材は、以下のようにして洗い場パンの排水口8aに取り付けられる。
まず、カバー部材1の本体部2を平面視排水口8a内に同心円状となるように配置すると、位置決め部7の突起部7bが排水口8aの内側側面に当接してカバー部材1が水平方向に位置決めされる。
そのままカバー部材1を降下させると、カバー部材1の鍔部3下面がフランジ部8c上面に載置されて、鉛直方向にも位置決めされる。
このようにして、排水口8aへのカバー部材1の取り付け作業が完了する。
【0074】
上記のように構成された第四の実施の形態のカバー部材1を用いた流し台の排水口8aにおいて、洗い場パン上に湯水が生じると、湯水は通水口6、排水口8aを通過して排水口本体8内に流入し、排水トラップを通過した後、排水として下水側に排出される。
【0075】
第四の実施の形態では、前述のように、フランジ部8c上面と鍔部3下面は共に水平面を成すため、カバー部材1の取り付け作業が完了した状態では、カバー部材1の鍔部3外縁を含む下面全体が、フランジ部8c上面に隙間なく当接した状態となる。
鍔部3の外縁とフランジ部8cの上面が上下方向においては隙間なく当接し、鍔部3とフランジ部8cとの間に外側に向けて開放された隙間が存在しないため意匠性が良く、また塵芥が鍔部3とフランジ部8cの間や周囲に溜まることが無い。
また、鍔部3がフランジ部8c上面を覆うと共に、覆い部5が排水口8aや鍔部3等を覆い隠すため、更に意匠性が向上する。また、覆い部5により大型の塵芥が排水口8a内に流入することを防ぎ捕集する機能も有することができる。
【0076】
次に、第五の実施の形態について説明する。
図8に示した第五の実施の形態は、洗面台の排水口8aに取り付けられるカバー部材1である。洗面台の洗面ボウルの排水口8aを形成する排水口本体8、及びカバー部材1は以下のように構成されている。
【0077】
排水口本体8は、洗面台の水受け部である洗面ボウルの底面に取り付けられる部材であって、円筒形状を成し、その内部には洗い場内の湯水が流入する排水口8aが形成されてなる。
また、排水口本体8の上端部分であって外側側面の全周に、外側方向に延出したフランジ部8cが設けられてなり、このフランジ部8cの上面が排水口8aの周縁部を形成する。
また、排水口本体8の下方には、排水口8aの排水を下水側に排出する排水配管が接続されてなる。
【0078】
第五の実施の形態のカバー部材1は、円筒形状を成す本体部2と、本体部2の上端であって外側側面から延出される鍔部3とから構成されてなる。
【0079】
本体部2は円筒形状にして、その上面は中央に湯水が通過する通水口6を備えた覆い部5に覆われてなる。本体部2の外径は、排水口本体8の排水口8aの内径とほぼ同径に構成されてなり、排水口8aにカバー部材1を配置した際には、本体部2の外側側面が、排水口8aの内側側面に接することで排水口8aに対してカバー部材1を水平方向に対し位置決めする。即ち、本体部2の外側側面は位置決め部7である。
【0080】
鍔部3は本体部2の外側側面の上端から外側方向に延出された環状の部分であって、フランジ部8cの外径と同じ外径に設計されている。
また、鍔部3の下面には、内側に向かう方向ほど低くなる鍔裏傾斜面3aを備えてなる。
第五の実施の形態の鍔裏傾斜面3aは、第一の実施の形態と同様に、断面視鍔裏傾斜面3aが水平面と成す角度が、断面視フランジ部8c上面と水平面が成す角度と同じ角度を形成するように構成されている。
【0081】
上記のように構成した、第五の実施の形態のカバー部材は、以下のようにして洗面ボウルの排水口8aに取り付けられる。
まず、カバー部材1の本体部2を平面視排水口8a内に同心円状となるように配置すると、位置決め部7である本体部2の外側側面が排水口8aの内側側面に当接して水平方向に位置決めされる。
そのままカバー部材1を降下させると、カバー部材1の鍔部3下面がフランジ部8c上面に載置されて、鉛直方向にも位置決めされる。
このようにして、排水口8aへのカバー部材1の取り付け作業が完了する。
【0082】
上記のように構成された第五の実施の形態のカバー部材1を用いた洗面台の排水口8aにおいて、洗面ボウル内に湯水が生じると、湯水は通水口6、排水口8aを通過して排水口本体8内に流入し、排水配管を通過した後、排水として下水側に排出される。
【0083】
第五の実施の形態では、断面視鍔裏傾斜面3aが水平面と成す角度が、断面視フランジ部8c上面と水平面が成す角度と同じ角度を形成するように構成されているため、鍔部3外縁を含む下面の全面が、フランジ部8c上面に当接する。
鍔部3の外縁とフランジ部8cの上面が上下方向においては隙間なく当接し、鍔部3とフランジ部8cとの間に外側に向けて開放された隙間が存在しないため意匠性が良く、また塵芥が鍔部3とフランジ部8cの間や周囲に溜まることが無い。
また、鍔部3がフランジ部8c上面を覆うと共に、覆い部5が排水口8aを覆い隠すため、更に意匠性が向上する。また、覆い部5により大型の塵芥が排水口8a内に流入することを防ぎ捕集する機能も有することができる。
【0084】
また、上記した第一の実施の形態乃至第三の実施の形態では、シンクSの底面とフランジ部8cの外縁はほぼ同じ高さのため、第一の実施の形態のカバー部材1、又は第二の実施の形態のカバー部材1のように、フランジ部8cと同径で、フランジ部8cの全体を覆う鍔部3とすると、鍔部3の厚み分、シンクSの底面であって排水口8aの周囲に段差が生じることとなる。
これに対し、
図9に示した第六の実施の形態又は
図10に示した第七の実施の形態のように、流し台の水受け部であるシンクSの排水口8a及びフランジ部8cが、シンクSの底面よりも低い位置となるように構成しても良い。
図9に示した第六の実施の形態では、水受け部であるシンクSの底面に設けた陥没部の深さを、第一の実施の形態の陥没部Kよりも深くすることで、排水口本体8をシンクSに取り付けた状態において、シンクSの底面に窪み部Rを形成し、この窪み部Rの下端部分に排水口8a及び周縁部、即ちフランジ部8c上面が位置する構造としている。
【0085】
尚、第六の実施の形態では、カバー部材1を排水口8aに配置した状態で、鍔部3の上面と水受け部であるシンクSの底面とが略同一となるように窪み部Rの深さを調整している。
これに対し、
図10に示した第七の実施の形態では、第六の実施の形態よりも陥没部を深くしたことで窪み部Rをより深くし、カバー部材1を排水口8aに配置した状態で、鍔部3の上面が、水受け部であるシンクSの底面よりも充分に低い位置となるように窪み部Rの深さを調整している。
このように構成することで、第一の実施の形態や第二の実施の形態のカバー部材1を用いた流し台と異なり、シンクSの底面であって排水口8aの周囲に段差を生じない構成とすることができ、段差によってシンクSの底面に水残りが生じることや、段差部分に塵芥が溜まる、という問題の生じない構成とすることができる。
【0086】
また、カバー部材は、排水口8aを覆い隠す目隠し部材の他、
図11に示した第八の実施の形態のカバー部材1のように、排水口8aを通過する湯水又は排水中から塵芥を捕集する捕集部材としての機能を有するようにしても良い。
図11に図示した第八の実施の形態のカバー部材1は、第一の実施の形態のカバー部材1に、通水可能な網目素材を袋状に編んだ水切りネットMを取り付けたものである。
水切りネットMはストッキング生地等を袋状に編んだ部材であって、湯水等を通過させつつ、湯水等に混入する塵芥を捕集するように構成されたものである。
この水切りネットMの開口を、第一の実施の形態のカバー部材1の位置決め部7の突起部7bに係止させることで、カバー部材1を排水口8aに取り付け、流し台を使用した時、通水口6を通過した湯水に含まれる塵芥を水切りネットM内に捕集し、塵芥を取り除いた湯水を排水口8aに排出することができる。
【0087】
また、第一の実施の形態では、断面視におけるカバー部材1の鍔裏傾斜面3aと水平面とが成す角度と、断面視におけるフランジ部8cと水平面とが成す角度は同じ角度となるように設計・構成されているが、
図12に示した第九の実施の形態のように、断面視におけるカバー部材1の鍔裏傾斜面3aと水平面とが成す角度が、断面視におけるフランジ部8cと水平面とが成す角度より小さな角度となるように鍔裏傾斜面3aを構成しても、鍔部3外縁とフランジ部8cの外縁とが当接し、鍔部3とフランジ部8cとの間に外側に向けて開放された隙間が存在しないため、意匠性がよく、また鍔部3とフランジ部8cとの隙間に塵芥が溜まることが無い、という第一の実施の形態と同じ効果を得ることができる。
【0088】
また、上記した第一の実施の形態乃至第九の実施の形態においては、排水口8aの周縁にはフランジ部8cが備えられると共に、カバー部材1の鍔部3の外径は最大でもフランジ部8cの外径と同径として構成しているが、本発明のカバー部材1は上記構成に限定されるものではなく、
図13に示した第十の実施の形態のように、鍔部3の外径をフランジ部8cの外径より更に大径とし、フランジ部8cと水受け部の継ぎ目を覆い隠す構成としても良い。第十の実施の形態のカバー部材1は、鍔部3の下面を水平面としたことで、鍔部3と排水口8aの周縁部であるシンクSの底面との間に外側に向けて開放された隙間が存在しない構成とすることができる。
【0089】
また、上記した第一の実施の形態乃至第十の実施の形態においては、排水口8aの周縁にはフランジ部8cが備えられ、その上面を周縁部として構成しているが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、水受け部の底面にフランジ部8cの無い開口を設けて排水口8aとした排水機器に、本発明のカバー部材1を用いても良い。
【符号の説明】
【0090】
1 カバー部材 2 本体部
3 鍔部 3a 鍔裏傾斜面
3b 薄肉部 4 リング部
5 覆い部 5a 登り勾配部
5b 下り勾配部 6 通水口
6a 小孔 7 位置決め部
7a 円筒部 7b 突起部
8 排水口本体 8a 排水口
8b 排出口 8c フランジ部
9 捕集部材 9a 係止部
9b 捕集部 H 取付穴
K 陥没部 M 水切りネット
P 栓蓋 PK パッキン
R 窪み部 S シンク