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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117420
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】衣類乾燥機及び衣類乾燥システム
(51)【国際特許分類】
   D06F 34/26 20200101AFI20240822BHJP
   D06F 58/50 20200101ALI20240822BHJP
【FI】
D06F34/26
D06F58/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023511
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小林 夕翔也
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA24
3B167AB24
3B167AB29
3B167AE04
3B167AE05
3B167AE07
3B167AE12
3B167BA08
3B167BA40
3B167HA16
3B167HA22
3B167HA32
3B167KA09
3B167LA23
3B167LA24
3B167LC14
3B167LD03
3B167LE07
3B167LF01
3B167LG11
3B167MA03
(57)【要約】
【課題】ユーザに対して衣類の過熱状態の発生に関する報知を適切なタイミングで行うことで、衣類の過熱状態の発生を適切に予防もしくは防止することが可能となる衣類乾燥機を提供する。
【解決手段】衣類乾燥機1の制御装置30は、乾燥運転の実行時に、回転ドラム3内の衣類の検出温度が、乾燥運転時の通常の上限温度Tupperと、乾燥運転を強制停止させるエラー停止温度Tsとの間の所定温度まで上昇した場合、又は、衣類の検出温度が前記上限温度Tupperまで上昇した後、該上限温度Tupperと該エラー停止温度Tsとの間の温度に所定時間、維持された場合に、衣類の過熱状態が発生する可能性があることを示す第1の報知情報を報知部32に出力させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を収容可能な衣類収容室と、該衣類収容室に空気を供給しつつ、該衣類収容室内の排気を行う送風装置と、該衣類収容室に供給される空気を加熱する加熱装置と、該衣類収容室に収容された衣類の温度を検出可能な第1の温度センサと、報知情報を出力する報知部と、前記送風装置、前記加熱装置及び前記報知部の作動制御を行う機能を有する制御部とを備え、該制御部が、前記衣類収容室内の衣類を乾燥させる乾燥運転の実行時に前記第1の温度センサにより検出された温度である衣類検出温度が第1の所定温度以下に保たれるように前記送風装置及び前記加熱装置を作動させ、前記衣類検出温度が前記第1の所定温度よりも高い第2の所定温度まで上昇したときに前記送風装置及び前記加熱装置のうちの少なくとも加熱装置の作動を停止させることより乾燥運転を停止させるように構成された衣類乾燥機であって、
前記制御部は、乾燥運転の実行時に前記衣類検出温度が前記第1の所定温度と前記第2の所定温度との間の第3の所定温度まで上昇した場合、又は、前記衣類検出温度が前記第1の所定温度まで上昇した後、前記第1の所定温度と前記第2の所定温度との間の温度に第1の所定時間、維持された場合に、衣類の過熱状態が発生する可能性があることを示す第1の報知情報を前記報知部に出力させるように構成されていることを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項2】
請求項1記載の衣類乾燥機において、
前記制御部は、乾燥運転の実行時に前記衣類検出温度が前記第2の所定温度まで上昇することに応じて乾燥運転を停止させた後、前記衣類検出温度を継続的に監視し、該衣類検出温度が前記第2の所定温度よりも高い第4の所定温度まで上昇した場合、又は、前記衣類検出温度が前記第4の所定温度まで上昇した後、前記第4の所定温度以上の温度に第2の所定時間、維持された場合に、衣類の過熱状態が発生したことを示す第2の報知情報を前記報知部に出力させるように構成されていることを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項3】
請求項2記載の衣類乾燥機において、
前記制御部は、乾燥運転の実行時に前記衣類検出温度が前記第2の所定温度まで上昇することに応じて乾燥運転を停止させた後、前記衣類検出温度が前記第2の所定温度と前記第4の所定温度との間の第5の所定温度まで上昇した場合、又は、前記衣類検出温度が前記第2の所定温度まで上昇した後、前記第2の所定温度と前記第4の所定温度との間の温度に第3の所定時間、維持された場合に、衣類の過熱状態が発生した可能性が高いことを示す第3の報知情報を前記報知部に出力させるように構成されていることを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項4】
請求項1記載の衣類乾燥機において、
前記制御部は、乾燥運転の実行時に前記衣類検出温度が前記第2の所定温度まで上昇することに応じて乾燥運転を停止させた後、前記衣類検出温度を継続的に監視し、該衣類検出温度が前記第2の所定温度よりも高い第5の所定温度まで上昇した場合、又は、前記衣類検出温度が前記第2の所定温度まで上昇した後、前記第2の所定温度以上の温度に第3の所定時間、維持された場合に、衣類の過熱状態が発生した可能性が高いことを示す第3の報知情報を前記報知部に出力させるように構成されていることを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項5】
請求項1記載の衣類乾燥機において、
前記衣類収容室の外側の温度を検出可能な第2の温度センサをさらに有し、
前記制御部は、乾燥運転の実行時に前記衣類検出温度が前記第2の所定温度まで上昇することに応じて乾燥運転を停止させた後、前記衣類検出温度と前記第2の温度センサにより検出された温度である収容室外検出温度との間の相対変化を継続的に監視し、乾燥運転の停止後の収容室外検出温度に対する該衣類検出温度の相対的な上昇量が所定量を上回った場合に、衣類の過熱状態が発生したことを示す第2の報知情報、又は、衣類の過熱状態が発生した可能性が高いことを示す第3の報知情報を前記報知部に出力させるように構成されていることを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項6】
衣類を収容可能な衣類収容室と、該衣類収容室に空気を供給しつつ、該衣類収容室内の排気を行う送風装置と、該衣類収容室に供給される空気を加熱する加熱装置と、該衣類収容室に収容された衣類の温度を検出可能な第1の温度センサと、前記送風装置及び前記加熱装置の作動制御を行う機能を有する制御部とを備え、該制御部が、前記衣類収容室内の衣類を乾燥させる乾燥運転の実行時に前記第1の温度センサにより検出された温度である衣類検出温度が第1の所定温度以下に保たれるように前記送風装置及び前記加熱装置を作動させ、前記衣類検出温度が前記第1の所定温度よりも高い第2の所定温度まで上昇したときに前記送風装置及び前記加熱装置のうちの少なくとも加熱装置の作動を停止させることより乾燥運転を停止させるように構成された衣類乾燥機と、
前記衣類乾燥機の制御部と通信可能な通信端末とを備える衣類乾燥システムであって、
前記衣類乾燥機の制御部は、乾燥運転の実行時に前記衣類検出温度が前記第1の所定温度と前記第2の所定温度との間の第3の所定温度まで上昇した場合、又は、前記衣類検出温度が前記第1の所定温度まで上昇した後、前記第1の所定温度と前記第2の所定温度との間の温度に第1の所定時間、維持された場合に、衣類の過熱状態が発生する可能性があることを示す第1の報知情報を前記通信端末に送信するように構成され、
前記通信端末は、前記第1の報知情報を受信したとき、該第1の報知情報を出力するように構成されていることを特徴とする衣類乾燥システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類乾燥機及び衣類乾燥システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に見られる衣類乾燥機が知られている。この衣類乾燥機では、衣類収容室(ドラム)に収容した衣類の乾燥を行う乾燥運転時に、衣類が付着している可燃性の油脂類等に起因して自然発熱が発生してしまうような過熱状態になるのを防止するために、乾燥運転時に、衣類収容室内の衣類の温度を検出し、その温度が、所定の異常検知温度まで昇温すると、ヒータを停止させることで乾燥運転を終了させ、衣類収容室内のクールダウンを行う技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-81717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に見られる技術では、衣類が油脂類等に起因する自然発熱が生じるような過熱状態になるのを極力防止するために、異常検知温度を低めの温度に設定しておくことが考えられる。しかるに、この場合、可燃性の油脂類等が付着していない衣類の乾燥運転時、必要以上に頻繁に衣類乾燥機の乾燥運転が強制停止されてしまう虞がある。ひいては、衣類乾燥機の使い勝手が損なわれる。
【0005】
また、異常検知温度を高めの温度に設定しておくと、衣類の検出温度が異常検知温度まで上昇することに応じた衣類乾燥機の運転停止が遅くなり、該衣類乾燥機の運転停止時には、可燃性の油脂類等が付着した衣類の過熱状態が既に進行してしまっているという状況が発生する虞がある。
【0006】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、ユーザに対して衣類の過熱状態の発生に関する報知を適切なタイミングで行うことで、衣類の過熱状態の発生を適切に予防もしくは防止することが可能となる衣類乾燥機及び衣類乾燥システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の衣類乾燥機は、上記の目的を達成するために、衣類を収容可能な衣類収容室と、該衣類収容室に空気を供給しつつ、該衣類収容室内の排気を行う送風装置と、該衣類収容室に供給される空気を加熱する加熱装置と、該衣類収容室に収容された衣類の温度を検出可能な第1の温度センサと、報知情報を出力する報知部と、前記送風装置、前記加熱装置及び前記報知部の作動制御を行う機能を有する制御部とを備え、該制御部が、前記衣類収容室内の衣類を乾燥させる乾燥運転の実行時に前記第1の温度センサにより検出された温度である衣類検出温度が第1の所定温度以下に保たれるように前記送風装置及び前記加熱装置を作動させ、前記衣類検出温度が前記第1の所定温度よりも高い第2の所定温度まで上昇したときに前記送風装置及び前記加熱装置のうちの少なくとも加熱装置の作動を停止させることにより乾燥運転を停止させるように構成された衣類乾燥機であって、
前記制御部は、乾燥運転の実行時に前記衣類検出温度が前記第1の所定温度と前記第2の所定温度との間の第3の所定温度まで上昇した場合、又は、前記衣類検出温度が前記第1の所定温度まで上昇した後、前記第1の所定温度と前記第2の所定温度との間の温度に第1の所定時間、維持された場合に、衣類の過熱状態が発生する可能性があることを示す第1の報知情報を前記報知部に出力させるように構成されていることを特徴とする(第1発明)。
【0008】
かかる第1発明によれば、衣類検出温度が、乾燥運転時の衣類検出温度の目標の上限温度としての第1の所定温度を超えた場合に、該衣類検出温度が、乾燥運転を停止させる第2の所定温度に達していなくとも、衣類の過熱状態が発生する可能性があることを示す第1の報知情報を報知部からユーザに対して出力することが可能となる。このため、衣類に付着している可燃油等に起因して衣類の過熱状態が発生する虞があるとみなし得る状況で、ユーザは衣類収容室から衣類を取り出す等の処置を早めに行うことが可能となる。ひいては、衣類の過熱状態が発生するのを適切に予防することが可能となる。
【0009】
よって、第1発明によれば、ユーザに対して衣類の過熱状態の発生に関する報知を適切なタイミングで行うことで、衣類の過熱状態の発生を適切に予防することが可能となる。
【0010】
上記第1発明では、前記制御部は、乾燥運転の実行時に前記衣類検出温度が前記第2の所定温度まで上昇することに応じて乾燥運転を停止させた後、前記衣類検出温度を継続的に監視し、該衣類検出温度が前記第2の所定温度よりも高い第4の所定温度まで上昇した場合、又は、前記衣類検出温度が前記第4の所定温度まで上昇した後、前記第4の所定温度以上の温度に第2の所定時間、維持された場合に、衣類の過熱状態が発生したことを示す第2の報知情報を前記報知部に出力させるように構成されていることが好ましい(第2発明)。
【0011】
ここで、衣類に付着している可燃油等に起因して発生する衣類の過熱状態は、衣類乾燥機の乾燥運転の停止後も進行し得る。しかるに第2発明によれば、乾燥運転の停止後に、衣類の過熱状態の進行によって、衣類検出温度が、第2の所定温度よりも高い温度に継続的に上昇していくと、衣類の過熱状態が発生したことを示す第2の報知情報を報知部からユーザに対して出力することが可能となる。このため、乾燥運転の停止後に、ユーザが衣類の取り出しをするのが遅れていても、衣類に付着している可燃油等に起因して衣類の過熱状態が発生した場合に、ユーザはそのことを認識し、衣類収容室から衣類を取り出す等の処置を速やかに実行することが可能となる。ひいては、衣類が過熱状態によって大きく損傷を受けるのを極力防止することが可能となる。
【0012】
上記第2発明では、前記制御部は、乾燥運転の実行時に前記衣類検出温度が前記第2の所定温度まで上昇することに応じて乾燥運転を停止させた後、前記衣類検出温度が前記第2の所定温度と前記第4の所定温度との間の第5の所定温度まで上昇した場合、又は、前記衣類検出温度が前記第2の所定温度まで上昇した後、前記第2の所定温度と前記第4の所定温度との間の温度に第3の所定時間、維持された場合に、衣類の過熱状態が発生した可能性が高いことを示す第3の報知情報を前記報知部に出力させるように構成され得る(第3発明)。
【0013】
あるいは、前記第1発明では、前記制御部は、乾燥運転の実行時に前記衣類検出温度が前記第2の所定温度まで上昇することに応じて乾燥運転を停止させた後、前記衣類検出温度を継続的に監視し、該衣類検出温度が前記第2の所定温度よりも高い第5の所定温度まで上昇した場合、又は、前記衣類検出温度が前記第2の所定温度まで上昇した後、前記第2の所定温度以上の温度に第3の所定時間、維持された場合に、衣類の過熱状態が発生した可能性が高いことを示す第3の報知情報を前記報知部に出力させるように構成され得る(第4発明)。
【0014】
これらの第3発明又は第4発明によれば、乾燥運転の実行時に前記衣類検出温度が前記第2の所定温度まで上昇することに応じて乾燥運転を停止させた後、衣類の過熱状態の進行によって、衣類検出温度が、第2の所定温度よりも高い温度に継続的に上昇していく場合に、比較的早期の段階で(第3発明では、前記第2の報知情報の出力前に)、衣類の過熱状態が発生した可能性が高いことを示す第3の報知情報が報知部からユーザに対して出力される。このため、衣類に付着している可燃油等に起因して衣類の過熱状態が発生した可能性が高い場合に、ユーザは、そのことを比較的早期に認識することが可能となる。ひいては、ユーザは、第3の報知情報の出力に応じて、衣類収容室から衣類を取り出す等の処理を速やかに行うことが可能となる。これにより衣類の過熱状態の進行を比較的早期の段階で防止することが可能となる。
【0015】
上記第1~第4発明のいずれかの発明では、前記衣類収容室の外側の温度を検出可能な第2の温度センサをさらに有し、前記制御部は、乾燥運転の実行時に前記衣類検出温度が前記第2の所定温度まで上昇することに応じて乾燥運転を停止させた後、前記衣類検出温度と前記第2の温度センサにより検出された温度である収容室外検出温度との間の相対変化を継続的に監視し、乾燥運転の停止後の収容室外検出温度に対する該衣類検出温度の相対的な上昇量が所定量を上回った場合に、衣類の過熱状態が発生したことを示す第2の報知情報、又は、衣類の過熱状態が発生した可能性が高いことを示す第3の報知情報を前記報知部に出力させるように構成されているという態様を採用し得る(第5発明)。
【0016】
ここで、乾燥運転の停止後、収容室外検出温度は、低下していく傾向があるので、衣類に付着している可燃油等に起因する過熱状態が発生し、乾燥運転の停止後、該過熱状態が進行した場合、衣類検出温度の上昇が比較的緩やかに進行する場合であっても、収容室外検出温度に対する衣類検出温度の相対的な温度上昇量は比較的速やかに増加する。
【0017】
従って、第5発明によれば、第2発明又は第3発明の態様で第3の報知情報又は第2の報知情報を出力する場合よりも、早期に第2の報知情報又は第3の報知情報を報知部からユーザに対して出力させることが可能となる。ひいては、ユーザは、第2の報知情報又は第3の報知情報の出力に応じて、衣類収容室から衣類を取り出す等の処理を速やかに行うことが可能となる。これにより衣類の過熱状態の進行を早期の段階で防止することが可能となる。
【0018】
また、本発明の衣類乾燥システムは、衣類を収容可能な衣類収容室と、該衣類収容室に空気を供給しつつ、該衣類収容室内の排気を行う送風装置と、該衣類収容室に供給される空気を加熱する加熱装置と、該衣類収容室に収容された衣類の温度を検出可能な第1の温度センサと、前記送風装置及び前記加熱装置の作動制御を行う機能を有する制御部とを備え、該制御部が、前記衣類収容室内の衣類を乾燥させる乾燥運転の実行時に前記第1の温度センサにより検出された温度である衣類検出温度が第1の所定温度以下に保たれるように前記送風装置及び前記加熱装置を作動させ、前記衣類検出温度が前記第1の所定温度よりも高い第2の所定温度まで上昇したときに前記送風装置及び前記加熱装置のうちの少なくとも加熱装置の作動を停止させることにより乾燥運転を停止させるように構成された衣類乾燥機と、
前記衣類乾燥機の制御部と通信可能な通信端末とを備える衣類乾燥システムであって、
前記衣類乾燥機の制御部は、乾燥運転の実行時に前記衣類検出温度が前記第1の所定温度と前記第2の所定温度との間の第3の所定温度まで上昇した場合、又は、前記衣類検出温度が前記第1の所定温度まで上昇した後、前記第1の所定温度と前記第2の所定温度との間の温度に第1の所定時間、維持された場合に、衣類の過熱状態が発生する可能性があることを示す第1の報知情報を前記通信端末に送信するように構成され、
前記通信端末は、前記第1の報知情報を受信したとき、該第1の報知情報を出力するように構成されていることを特徴とする(第6発明)。
【0019】
かかる第6発明の衣類乾燥システムによれば、前記第1の発明と同様の効果を奏することができる。加えて、ユーザは、衣類乾燥機から離れていても、第1の報知情報を通信端末を介して受けることができる。
なお、第6発明の衣類乾燥システムは、前記第2~第5発明と同様の態様をさらに採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態の衣類乾燥機及び衣類乾燥システムの全体構成を示す図。
図2】実施形態の衣類乾燥機の制御に関する構成を示すブロック図。
図3図2の示す報知部の作動制御に関する処理を示すフローチャート。
図4図2の示す報知部の作動制御に関する処理を説明するためのグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1図4を参照して以下に説明する。図1を参照して、本実施形態の衣類乾燥機1は、本体ケース2と、衣類Wを収容可能な衣類収容室としての回転ドラム3とを備えている。本体ケース2の前面には、片開き式の扉5によって開閉される衣類投入口4が開設されている。なお、衣類乾燥機1は、個人用の衣類乾燥機に限らず、コインランドリー等に設置される業務用の衣類乾燥機であってもよい。
【0022】
回転ドラム3は、衣類投入口4に対向して本体ケース2の内部に配置され、本体ケース2の前後方向に延在する回転軸心C周りに本体ケース2に対して回転し得るように軸支されている。さらに詳細には、回転ドラム3の前端部には、衣類投入口4に向かって開口する正面開口部6が形成されている。そして、正面開口部6の内周部が、本体ケース2に対して上記回転軸心C周りに回転し得るように、該正面開口部6の内側に配設されたリング板7を介して本体ケース2に支持されている。
【0023】
また、回転ドラム3の後端部に形成された奥壁8が、本体ケース2に対して上記回転軸心C周りに回転し得るように、該奥壁8から後方に向かって延在する支持軸9を介して本体ケース2に支持されている。
【0024】
回転ドラム3の奥壁8の外側(背面側)には、回転ドラム3内の空気を本体ケース2の外部へ導く排気ダクト11が形成されている。回転ドラム3の奥壁8の中央部は、排気ダクト11に開口しており、この開口を覆うようにして、糸屑等の捕集用のフィルターユニット10が回転ドラム3の奥壁8の内側に装着されている。
【0025】
排気ダクト11は、回転ドラム3の奥壁8の外側から本体ケース2の上部の排気口12へ向かって延在している。排気ダクト11内には、回転ドラム3内の通風を行う送風装置としてのファン13が組み込まれている。該ファン13は、本実施形態では、前記回転軸心C周りに回転ドラム3に対して相対回転し得るように支持軸9に支持されている。
【0026】
ファン13は、その回転により回転ドラム3内の空気を排出すると共に、回転ドラム3内に本体ケース2の外部の空気(外気)を引き込む気流を発生させる。具体的には、ファン13が回転すると、本体ケース2の外部の空気が、本体ケース2の底部に形成されている給気口14から本体ケース2の内部へ取り込まれ、さらに、後述の温風ダクト17を通って回転ドラム3内に導入される。
【0027】
そして、回転ドラム3内に導入された空気は、回転ドラム3の後端部のフィルターユニット10を通って排気ダクト11に排出され、さらに該排気ダクト11から排気口12を介して本体ケース2の外部に排出される。なお、ファン13は、回転ドラム3の奥壁8の背面側の位置に限らず、例えば該背面側の位置と、排気口12との間の箇所で排気ダクト11内に搭載されていてもよい。
【0028】
本体ケース2には、さらに、回転ドラム3およびファン13を回転駆動するアクチュエータとしての電動モータ15と、ファン13の回転により本体ケース2内に給気口14から取り込まれる空気を加熱して温風を生成する加熱装置としての燃焼装置16と、温風を回転ドラム3内へ導く温風ダクト17とが搭載されている。
【0029】
電動モータ15は、その作動時に回転駆動力を出力する駆動軸として、第1駆動軸19および第2駆動軸20の2つの駆動軸を有する。第1駆動軸19は、回転ドラム3に回転駆動力を伝達すべく該回転ドラム3に第1ベルト21を介して接続されている。第2駆動軸20は、ファン13に回転駆動力を伝達すべく該ファン13に第2ベルト22を介して接続されている。
【0030】
なお、第1駆動軸19から回転ドラム3への動力伝達機構と、第2駆動軸20からファン13への動力伝達機構とは、ベルトに限らず、ギヤ等を含む動力伝達機構であってもよい。また、回転ドラム3を回転駆動するアクチュエータと、ファン13を回転駆動するアクチュエータとを各別に備え、それぞれの回転数を各別に制御し得るようにしてもよい。
【0031】
燃焼装置16は、ガスバーナ23、燃料噴射ノズル24および燃料供給装置25を備え、ファン13の作動時に、燃料供給装置25から燃料噴射ノズル24を介してガスバーナ23に燃料ガスを供給しつつ、該燃料ガスをガスバーナ23で燃焼させるように構成されている。この場合、ファン13の作動により本体ケース2内に給気口14から導入される空気の一部が、燃焼用空気として燃料ガスと共にガスバーナ23に供給される。
【0032】
なお、詳細な図示は省略するが、燃料供給装置25は、ガスバーナ23への燃料ガスの供給及びその遮断を、燃料ガスの供給源から燃料噴射ノズル24へのガス供給路に備えた電磁弁等の開閉弁を介して行い得るように構成されていると共に、ガスバーナ23への燃料ガスの供給量(流量)を該ガス供給路に備えた比例弁等のガス量調整弁を介して調整し得るように構成されている。また、燃焼装置16は、上記の構成の他、ガスバーナ23の点火を行うための図示しない点火装置を備えている。
【0033】
温風ダクト17は、その上流端が、ガスバーナ23の上方で該ガスバーナ23に向かって開口し、下流端が、前記リング板7に形成された空気導入口27を介して回転ドラム3内に開口するように配設されている。従って、ファン13を作動させつつ、ガスバーナ23の燃焼運転を行うと、給気口14から本体ケース2内に導入された空気(外気)が、ガスバーナ23の燃焼排ガスと混合して加熱されながら温風ダクト17内を上流側から下流側に向かって流れ、その加熱された空気(燃焼排ガスを含む)が温風として、温風ダクト17から回転ドラム3内に供給される。
【0034】
補足すると、燃焼装置16は、燃料ガスを燃焼させるものに限らず、灯油等の液体燃料を燃焼させるものであってもよい。また、回転ドラム3内に供給する空気を加熱する加熱装置は、燃焼装置16に限らず、例えば電熱型の加熱装置、あるいは、ヒートポンプ装置等であってもよい。
【0035】
次に図2を参照して、本実施形態の衣類乾燥機1には、さらに、その作動制御を行う機能を有する制御装置30と、衣類乾燥機1の運転に関する操作をユーザが行うための操作部31と、衣類乾燥機1の運転状態等に関する様々な報知情報を出力する報知部32と、衣類乾燥機1のユーザが使用する通信端末50と無線通信を行い得る通信部33とを備える。
【0036】
操作部31は、複数の操作スイッチを備える操作パネル、あるいは、タッチパネル等により構成される。報知部32は、液晶ディスプレイ等により構成される表示部(図示省略)やスピーカ等により構成される発音部(図示省略)を含み、様々な報知情報を視覚的情報、あるいは、音声等の聴覚的情報として出力することが可能である。
【0037】
通信端末50は、ユーザが携帯可能な通信端末であり、例えばスマートフォン、タブレット端等により構成される。該通信端末50は、液晶ディスプレイ等により構成される表示部50aと、スピーカ等により構成される発音部50bとを有する。
【0038】
この通信端末50には、衣類乾燥機1に関する操作や報知等を該通信端末50で行うためのサービスアプリケーションがあらかじめインストールされている。そして、通信端末50は、該サービスアプリケーションを起動した状態で、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信方式で通信部33を介して制御装置30と通信を行うことが可能である。そして、衣類乾燥機1に関して通信部33から受信した報知情報を、表示部50aで視覚的情報として表示し、あるいは、発音部50bから音声等の聴覚的情報として出力することが可能である。
【0039】
制御装置30は、例えば、マイコン等のプロセッサ、メモリ、インターフェース回路等を含む1つ以上の電子回路ユニットにより構成される。該制御装置30は、本発明における制御部に相当する。この制御装置30には、ユーザによる操作部31の操作に応じて該操作部31から出力される操作信号が入力されると共に、衣類乾燥機1に備えられた複数のセンサの検出信号が入力される。
【0040】
本実施形態では、衣類乾燥機1に備えられたセンサとして、回転ドラム3内に収容された衣類の温度を検出可能な衣類温度センサ34が含まれる。該衣類温度センサ34は、本発明における第1の温度センサに相当するものである。該衣類温度センサ34は、例えば図1に示すように、前記リング板7の下部に、回転ドラム3内の衣類に接触し得るように取り付けられている。なお、図2に示すドラム外温度センサ35は、後述の第2実施形態に関するものであり、本実施形態では省略され得る。
【0041】
制御装置30は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)により実現される機能として、報知部32(表示部、発音部)の作動制御、回転ドラム3及びファン13の回転駆動用の電動モータ15の作動制御、並びに、燃焼装置16の作動制御等、衣類乾燥機1の作動制御を行う機能を有すると共に、通信部33を介して通信端末50との通信を行う機能を有する。なお、燃焼装置16の作動制御は、より詳しくは、図示しない点火装置、並びに、燃料供給装置25の図示しない開閉弁及びガス量調整弁の作動制御を通じてなされる。
【0042】
補足すると、衣類乾燥機1は、それを含む複数の衣類乾燥機の状態の監視や情報収集を行い得るサーバと通信を行い得るようになっていてもよい。そして、衣類乾燥機1の制御装置30と通信端末50との通信は、サーバを介して行い得るようになっていてもよい。
【0043】
次に、本実施形態の衣類乾燥機1の報知部32の作動制御を中心に、衣類乾燥機1の作動を説明する。制御装置30は、ユーザによる操作部31の操作によって衣類乾燥機1の運転(衣類乾燥運転)の実行が指示されると衣類乾燥機1の衣類乾燥運転を開始させる。この衣類乾燥運転では、回転ドラム3及びファン13の回転駆動が行われつつ、燃焼装置16の燃焼運転(ガスバーナ23の燃焼運転)が行われる。この場合、燃焼装置16の燃焼運転は、図4のグラフ中の期間Δ1で例示する如く、衣類検出温度Taが所定の上限温度Tupper(例えば115℃)と、所定の下限温度Tlower(例えば65℃)との間の範囲内に保たれるように、間欠的に行われる。
【0044】
このとき、制御装置3は、報知部32の作動制御に関して、図3のフローチャートに示す処理を実行する。STEP1において、制御装置30は、衣類温度センサ34により検出される衣類の温度である衣類検出温度Taを逐次取得して監視することを開始する。
【0045】
そして、STEP2において、制御装置30は、衣類検出温度Taが、衣類乾燥機1の衣類乾燥運転時の上限温度Tupper以上の温度範囲ΔT1(例えば115℃≦Ta<135℃の温度範囲)まで上昇したか否かを判断する。そして、STEP2の判断結果が肯定的になった場合には、制御装置30はさらに、STEP3において、STEP2の判断結果が肯定的となった状態が所定時間t1(例えば5秒)、継続したか否かを判断し、この判断結果が否定的である場合には、STEP2からの処理を繰り返す。なお、本実施形態では、上記上限温度Tupperは、本発明における第1の所定温度に相当し、上記所定時間t1は、本発明における第1の所定時間に相当する。
【0046】
ここで、衣類乾燥機1の衣類乾燥運転では、前記したように、衣類検出温度Taが所定の上記上限温度Tupper(例えば115℃)と、所定の下限温度Tlower(例えば65℃)との間の範囲内に保たれるように、燃焼装置16の燃焼運転が間欠的に行われる。そして、STEP2、3の判断結果が肯定的となる状況は、衣類検出温度Taが上限温度Tupper以上の温度まで上昇した状況であるから、回転ドラム3内の衣類が、それに付着している可燃油等の影響で過熱状態が発生する可能性がある状況である。
【0047】
そこで、制御装置30は、STEP3の判断結果が肯定的になった場合には、STEP4において、衣類の過熱状態が発生する可能性があることを示す第1の報知情報を報知部32から視覚的報知情報及び聴覚的報知情報の一方又は両方の形態で出力させる。また、制御装置30は、通信部33を介して通信端末50と通信し得る状況では、上記第1の報知情報を通信端末50に送信する。このとき、通信端末50は、受信した第1の報知情報を視覚的報知情報及び聴覚的報知情報の一方又は両方の形態で出力する。
【0048】
例えば図4を参照して、衣類乾燥運転の実行中に、期間Δ1の後に、衣類検出温度Taが図4の実線のグラフg1で例示する如く、上限温度Tupperを超える温度に上昇した場合、STEP3の判断結果が肯定的になる時刻taにて、第1の報知情報が出力される。
【0049】
STEP4で上記の如く第1の報知情報が出力されることで、ユーザは、回転ドラム3内の衣類の状態を確認し、必要に応じて回転ドラム3内から衣類を取り出す等の処置をとることができる。これにより、衣類が過熱状態になるのを初期段階で予防することができる。
【0050】
ここで、本実施形態では、衣類検出温度Taが上記上限温度Tupperよりも高い所定のエラー停止温度Ts(例えば135℃)まで上昇すると、制御装置30は、衣類乾燥機1の衣類乾燥運転を強制的に停止させる。具体的には、制御装置30は、例えば、ファン13を作動させたまま、燃焼装置16の燃焼運転を停止させ、その後、一定時間が経過すると、ファン13の作動を停止させる。なお、エラー停止温度Tsは、本発明における第2の所定温度に相当する。
【0051】
この場合、上記エラー停止温度Tsは、STEP2の判断処理における温度範囲ΔT1内の温度よりも高い温度であるので、第1の報知情報は、衣類乾燥運転が行われている状態で出力される。このため、ユーザは、回転ドラム3内の衣類に異常が無いと判断される状況では、衣類乾燥運転を継続することができる。
【0052】
衣類乾燥運転の開始後、衣類検出温度Taが前記上限温度Tupperよりも低い温度に保たれた場合、あるいは、衣類検出温度Taが上限温度Tupper以上の温度範囲ΔT1に上昇した後、STEP3の判断結果が肯定的になる前に、上限温度Tupperよりも低い温度に低下した場合に、STEP2の判断結果が否定的になる。また、本実施形態では、衣類検出温度Taがエラー停止温度Ts(例えば135℃)を超えた後、衣類検出温度Taが低下した場合に、後述のSTEP14の判断結果が否定的となる状況で、STEP2の判断結果が否定的になる場合もある。
【0053】
そして、制御装置30は、STEP2の判断結果が否定的である場合に、あるいは、STEP4の処理の実行後(第1の報知情報の出力後)に、次にSTEP5において、STEP2の判断処理での温度範囲ΔT1以上の温度範囲ΔT2(例えば135℃≦Ta<160℃の温度範囲)まで上昇したか否かを判断する。ここで、本実施形態では、衣類検出温度が上記温度範囲ΔT2の下限値であるエラー停止温度Ts(例えば135℃)まで上昇すると、制御装置30は、前記したように衣類乾燥運転を強制停止させるものの、衣類検出温度Taの取得・監視は、継続する。
【0054】
そして、STEP5の判断結果が肯定的になった場合には、制御装置30はさらに、STEP6において、STEP5の判断結果が肯定的となった状態が所定時間t2(例えば5秒)、継続したか否かを判断し、この判断結果が否定的である場合には、STEP5からの処理を繰り返す。なお、本実施形態では、上記温度範囲ΔT2の上限側の温度(例えば160℃)は、本発明における第4の所定温度に相当し、上記所定時間t2は、本発明における第3の所定時間に相当する。
【0055】
STEP5、6の判断結果が肯定的となる状況は、衣類検出温度Taがエラー停止温度Ts(例えば135℃)を超えたことで衣類乾燥運転が強制停止されたにもかかわらず、エラー停止温度Tsからさらに高い温度に上昇した状況であるから、回転ドラム3内の衣類に付着している可燃油等の影響で、衣類の過熱状態が発生した可能性が、前記第1の報知情報の出力時よりもさらに高いとみなし得る状況である。
【0056】
そこで、制御装置30は、STEP6の判断結果が肯定的になった場合には、STEP7において、衣類の過熱状態が発生した可能性が高いことを示す第3の報知情報を報知部32から視覚的報知情報及び聴覚的報知情報の一方又は両方の形態で出力させる。また、制御装置30は、通信部33を介して通信端末50と通信し得る状況では、上記第3の報知情報を通信端末50に送信する。このとき、通信端末50は、受信した第3の報知情報を視覚的報知情報及び聴覚的報知情報の一方又は両方の形態で出力する。
【0057】
例えば図4を参照して、衣類乾燥運転の実行中に、期間Δ1の後に、衣類検出温度Taが図4の実線のグラフg1で例示する如く、STEP5の温度範囲ΔT2の下限側の温度(例えば135℃)以上の温度に上昇した場合、STEP6の判断結果が肯定的になる時刻tbにて、第3の報知情報が出力される。
【0058】
STEP7で上記の如く第3の報知情報が出力されることで、ユーザは、回転ドラム3内の衣類の状態を確認し、回転ドラム3内から衣類を取り出す等の処置をとることができる。これにより、衣類の過熱状態がさらに進行するのを防止することができる。
【0059】
なお、STEP5の判断結果が肯定的になる状況では、衣類検出温度Taが既に、エラー停止温度Ts(例えば135℃)に達しているので、衣類乾燥機1の衣類乾燥運転は、既に強制停止されている。この強制停止により、衣類の過熱状態の進行が停止する場合もあり、その場合、衣類検出温度Taは、図4の破線のグラフg2で例示する如く、衣類乾燥運転の強制停止後に低下していく。この場合は、STEP5又はSTEP6の判断結果が肯定的にならず、第3の報知情報は出力されない。
【0060】
衣類乾燥運転の開始後、衣類検出温度Taが前記温度範囲ΔT2の下限側の温度(例えば135℃)よりも低い温度に保たれた場合(前記上限温度Tupperよりも低い温度に保たれた場合を含む)、あるいは、衣類検出温度Taが前記温度範囲ΔT2に上昇した後、STEP6の判断結果が肯定的になる前に、該温度範囲ΔT2よりも低い温度に低下した場合に、STEP5の判断結果が否定的になる。また、本実施形態では、衣類検出温度Taが前記温度範囲ΔT2の上限側の温度(例えば160℃)を超えた後、衣類検出温度Taが低下した場合に、後述のSTEP14の判断結果が否定的となる状況で、STEP5の判断結果が否定的になる場合もある。
【0061】
そして、制御装置30は、STEP5の判断結果が否定的である場合に、あるいは、STEP7の処理の実行後(第3の報知情報の出力後)に、次にSTEP8において、STEP5の判断処理での温度範囲ΔT2の上限側の所定温度以上の温度(例えば160℃≦Taとなる温度)まで上昇したか否かを判断する。そして、STEP8の判断結果が肯定的になった場合には、制御装置30はさらに、STEP9において、STEP8の判断結果が肯定的となった状態が所定時間t3(例えば5秒)、継続したか否かを判断し、この判断結果が否定的である場合には、STEP8からの処理を繰り返す。なお、上記所定時間t3は、本発明における第2の所定時間に相当する。
【0062】
STEP8、9の判断結果が肯定的となる状況は、エラー停止温度Ts(例えば135℃)を超えたことで衣類乾燥運転が強制停止されたにもかかわらず、衣類検出温度Taが過剰に高い温度に上昇した状況であるから、回転ドラム3内の衣類に付着している可燃油等の影響で、衣類の過熱状態が発生したとみなし得る状況である。
【0063】
そこで、制御装置30は、STEP9の判断結果が肯定的になった場合には、STEP10において、衣類の過熱状態が発生したことを示す第2の報知情報を報知部32から視覚的報知情報及び聴覚的報知情報の一方又は両方の形態で出力させる。また、制御装置30は、通信部33を介して通信端末50と通信し得る状況では、上記第2の報知情報を通信端末50に送信する。このとき、通信端末50は、受信した第2の報知情報を視覚的報知情報及び聴覚的報知情報の一方又は両方の形態で出力する。
【0064】
例えば図4を参照して、衣類乾燥運転の実行中に、期間Δ1の後に、衣類検出温度Taが図4の実線のグラフg1で例示する如く、STEP5の温度範囲ΔT2を超える温度(例えば160℃以上の温度)に上昇した場合、STEP9の判断結果が肯定的になる時刻tcにて、第2の報知情報が出力される。
【0065】
STEP10で上記の如く第2の報知情報が出力されることで、ユーザは、回転ドラム3内から速やかに衣類を取り出す等の処置をとることができる。これにより、衣類の過熱状態がさらに進行して、衣類が損傷を受けるのを防止することができる。
制御装置30は、STEP10で第2の報知情報を出力した後は、後述のSTEP11からの処理を実行する。
【0066】
一方、衣類乾燥運転の開始後、衣類検出温度Taが前記温度範囲ΔT2の上限側の温度(例えば160℃)よりも低い温度に保たれた場合(前記上限温度Tupperよりも低い温度に保たれた場合、あるいは、第1の報知情報又は第3の報知情報の出力後に、衣類検出温度Taが前記温度範囲ΔT2の上限側の温度まで上昇しなかった場合を含む)、あるいは、衣類検出温度Taが前記温度範囲ΔT2の上限側の所定温度(例えば160℃)以上の温度に上昇した後、STEP9の判断結果が肯定的になる前に、該上限側の所定温度(160℃)よりも低い温度に低下した場合に、STEP8の判断結果が否定的になる。
【0067】
そして、制御装置30は、STEP8の判断結果が否定的である場合、あるいは、STEP10の処理の実行後(第2の報知情報の出力後)に、次にSTEP11において、衣類乾燥機1が運転中(衣類乾燥運転の実行中)であるか否かを判断し、その判断結果が肯定的である場合には、STEP12において、衣類乾燥運転が間もなく終了する旨の報知を行うタイミング(例えば終了予定時刻の10分前)であるか否かを判断する。
【0068】
そして、STEP12の判断結果が否定的である場合には、制御装置30は、STEP2からの処理を繰り返す。また、STEP12の判断結果が肯定的になった場合には、制御装置30は、STEP13において、衣類乾燥運転がまもなく終了する旨の報知情報(例えば、衣類乾燥運転の終了までの残り時間が10分であることを示す報知情報)を報知部32から出力させる。この場合、制御装置30は、通信部33を介して通信端末50と通信し得る状況では、当該報知情報を通信端末50に送信する。このとき、通信端末50は、受信した当該報知情報を視覚的報知情報及び聴覚的報知情報の一方又は両方の形態で出力する。かかる報知情報の出力後は、制御装置30は、報知部32の作動制御に関する図3のフローチャートの処理を終了する。
【0069】
また、前記STEP11の判断結果が否定的である場合(衣類乾燥運転が停止されている場合)には、制御装置30は、STEP14において、衣類乾燥運転の停止後の経過時間が所定時間に達したか否かを判断し、その判断結果が否定的である場合には、STEP2からの処理を繰り返す。また、STEP14の判断結果が肯定的になった場合には、制御装置30は、報知部32の作動制御に関する図3のフローチャートの処理を終了する。
本実施形態では、衣類乾燥運転の開始後、報知部32の作動に関する制御処理が以上説明した如く実行される。
【0070】
以上説明した実施形態によれば、回転ドラム3内の衣類の過熱状態が発生する可能性があるとみなし得る段階と、過熱状態が発生した可能性が高いとみなし得る段階とで、それぞれ、第1の報知情報と第3の報知情報とが出力されるので、ユーザは、衣類の過熱状態が進行し過ぎない状態で、これらの報知情報を受けることができる。このため、衣類の過熱状態に対するユーザの注意を適切なタイミングで喚起することができる。ひいては、衣類の過熱による損傷を極力回避することが可能となる。
【0071】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。なお、本実施形態は、報知部32の作動に関する一部の制御処理だけが第1実施形態と相違するものであるので、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
【0072】
本実施形態では、衣類乾燥機1に、図2に示したドラム外温度センサ35が追加されている。該ドラム外温度センサ35は、衣類収容室である回転ドラム3の外側の温度を検出可能な温度センサであり、本発明における第2の温度センサに相当する。このドラム外温度センサ35は、衣類乾燥機1の本体ケース2内で回転ドラム3の周囲の空間(例えば、前記吸気口14近辺の空間等)に設置され得る。
【0073】
そして、本実施形態では、制御装置30は、報知部32の作動制御に関して、図3のフローチャートの制御処理と並行して、以下に説明する制御処理を実行する。すなわち、制御装置30は、衣類検出温度Taが、前記エラー停止温度Tsまで上昇することに応じて衣類乾燥運転を強制停止させた後、衣類検出温度と、ドラム外温度センサ35により検出される温度であるドラム外検出温度Tbとの間の相対的な変化を逐次監視する。
【0074】
ここで、衣類乾燥運転の停止後、ドラム外検出温度Tbは、衣類に付着している可燃油等に起因して衣類の過熱状態が発生していない場合はもちろん、該過熱状態が発生した場合であっても、低下していく傾向がある。従って、衣類の過熱状態が発生した場合、衣類乾燥運転の停止後、ドラム外検出温度Tbに対する衣類検出温度Taの相対的な上昇量は、顕著に増加していく傾向がある。
【0075】
そこで、本実施形態では、制御装置30は、衣類乾燥運転の停止後のドラム外検出温度Tbに対する衣類検出温度Taの相対的な上昇量が、第1の所定量を上回った場合に、衣類の過熱状態が発生した可能性が高いことを示す第3の報知情報を報知部32から出力させる。この場合、制御装置30は、通信部33を介して通信端末50と通信し得る状況では、第3の報知情報を通信端末50に送信する。このとき、通信端末50は、受信した第3の報知情報を視覚的報知情報及び聴覚的報知情報の一方又は両方の形態で出力する。
【0076】
さらに、制御装置30は、衣類乾燥運転の停止後のドラム外検出温度Tbに対する衣類検出温度Taの相対的な上昇量が、第1の所定量よりも大きい第2の所定量を上回った場合に、衣類の過熱状態が発生したことを示す第2の報知情報を報知部32から出力させる。この場合、制御装置30は、通信部33を介して通信端末50と通信し得る状況では、第2の報知情報を通信端末50に送信する。このとき、通信端末50は、受信した第2の報知情報を視覚的報知情報及び聴覚的報知情報の一方又は両方の形態で出力する。
【0077】
本実施形態は、以上説明した事項以外は、前記第1実施形態と同じである。かかる本実施形態によれば、衣類に付着している可燃油等に起因した衣類の過熱状態が発生した場合に、衣類検出温度の上昇が比較的緩やかである場合、あるいは、衣類の過熱状態が衣類乾燥運転の停止後に発生した場合であっても、比較的早期に第3の報知情報や第2の報知情報をユーザに対して出力させることができる。このため、ユーザは、衣類を回転ドラム3内から取り出す等の処理を早めに行うことが可能となる。
【0078】
[他の実施形態]
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではない。以下に他の実施形態をいくつか説明する。前記各実施形態では、第1の報知情報を出力する条件に関して、衣類検出温度Taが前記上限温度Tupper(第1の所定温度)まで上昇した後、該上限温度Tupper(第1の所定温度)と前記エラー停止温度Ts(第2の所定温度)との間の温度に所定時間t1(第1の所定時間)、維持された場合に、第1の報知情報を出力することに代えて、衣類検出温度Taが、前記上限温度Tupper(第1の所定温度)と前記エラー停止温度Ts(第2の所定温度)との間の第3の所定温度(例えば120℃)まで上昇したことが検知された場合に、第1の報知情報を出力するようにしてもよい。
【0079】
また、第3の報知情報を出力する条件に関して、衣類検出温度Taが前記温度範囲ΔT1の上限側の温度(第2の所定温度)まで上昇した後、該上限側の温度(第2の所定温度)と、前記温度範囲ΔT2の上限側の温度(第4の所定温度)との間の温度に所定時間t2(第3の所定時間)、維持された場合に、第3の報知情報を出力することに代えて、衣類検出温度Taが、前記温度範囲ΔT1の上限側の温度(第2の所定温度)と、前記温度範囲ΔT2の上限側の温度(第4の所定温度)との間の第5の所定温度(例えば140℃)まで上昇したことが検知された場合に、第3の報知情報を出力するようにしてもよい。
【0080】
また、第2の報知情報を出力する条件に関して、衣類検出温度Taが前記温度範囲ΔT2の上限側の温度(第4の所定温度)まで上昇した後、該上限側の温度(第4の所定温度)以上の温度に所定時間t3(第2の所定時間)、維持された場合に、第2の報知情報を出力することに代えて、衣類検出温度Taが、当該上限側の温度(第4の所定温度)まで上昇したことが検知された場合に、第2の報知情報を出力するようにしてもよい。
また、前記各実施形態では、例えば、第2の報知情報及び第3の報知情報のうちの一方の報知情報の出力を省略してもよい。
【0081】
また、前記第2実施形態では、第2の報知情報又は第3の報知情報を、図3のフローチャートの処理に従って出力することを省略し、衣類乾燥運転の停止後のドラム外検出温度Tbに対する衣類検出温度Taの相対的な上昇量だけに基づいて、第2の報知情報又は第3の報知情報を出力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…衣類乾燥機、3…回転ドラム(衣類収容室)、13…ファン(送風装置)、16…燃焼装置(加熱装置)、30…制御装置(制御部)、32…報知部、34…衣類温度センサ(第1の温度センサ)、35…ドラム外温度センサ(第2の温度センサ)。
図1
図2
図3
図4