(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117438
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】蓄電デバイス及びスタック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/103 20210101AFI20240822BHJP
H01M 50/131 20210101ALI20240822BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20240822BHJP
【FI】
H01M50/103
H01M50/131
H01G11/78
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023549
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】内田 陽三
(72)【発明者】
【氏名】藤村 哲史
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
【Fターム(参考)】
5E078HA01
5E078HA12
5E078HA22
5H011AA03
5H011KK00
(57)【要約】
【課題】電極体の厚みばらつきに対する押圧荷重ばらつきを緩和することで、蓄電デバイス毎の内部抵抗のばらつきを緩和した蓄電デバイスを提供すること。
【解決手段】
ここに開示される蓄電デバイス100は、一対の対向する矩形状の幅広面20a、20bを有する扁平な電極体20と、電極体20を厚み方向に弾性的に圧縮する一対の押圧部材70を備える。ここで、押圧部材70は、電極体20の幅広面20aに向かって突出する第1凸部71aと、第1凸部71aより前記電極体の幅広面に向かって更に突出する第2凸部71bと、を有しており、押圧部材70は、基準押圧荷重Faにおいて弾性変形するように形成される。弾性変形後の押圧部材70の第2ばね定数は、弾性変形前の押圧部材70の第1ばね定数より小さい。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と負極を備える電極体であって、一対の対向する矩形状の幅広面を有する扁平な電極体を備える蓄電デバイスであって、
前記電極体と対向し、前記電極体の前記一対の幅広面のそれぞれを前記電極体の厚み方向に弾性的に圧縮する一対の押圧部材を有し、
ここで、前記一対の押圧部材の少なくともいずれか一方は、前記電極体の前記幅広面に向かって突出する第1凸部と、該第1凸部より前記電極体の幅広面に向かって更に突出する第2凸部と、を有し、
前記押圧部材は、基準押圧荷重Faにおいて弾性変形するように形成されており、
前記弾性変形前の前記押圧部材のばね定数を第1ばね定数、前記弾性変形後の前記押圧部材のばね定数を第2ばね定数としたとき、
前記第2ばね定数は、前記第1ばね定数より小さい、
蓄電デバイス。
【請求項2】
前記電極体を収容する六面体形状のケースを更に有し、
前記ケースは、
幅広な矩形状の第1面および該第1面に対向する開口と、前記第1面の長辺側の周縁から前記開口に向かって延びる一対の第2面と、前記第1面の短辺側の周縁から前記開口に向かって延びる一対の第3面と、を有するケース本体と、
前記開口を封口し、前記第1面に対向する幅広な矩形状の封口板と、を備え、
ここで、前記押圧部材は前記封口板または前記第1面の一部分である、
請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項3】
請求項1または2に記載の蓄電デバイスを複数備える、
スタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電デバイス及びスタックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電デバイスにおいては、特許文献1、2に示すような、複数の蓄電デバイス(セル)を所定方向に積層し、拘束治具によって配列方向に圧縮して拘束荷重(押圧荷重)を印加することで、蓄電デバイスの抵抗を下げる技術が知られる。例えば、特許文献1には、電極巻回体(電極体)が収容された複数の角型の電池セル(蓄電デバイス)と、複数のスペーサとが厚み方向に交互に積層された組電池(スタック)であって、上記スペーサの表面には、櫛歯状に並ぶとともに上記電池セルの表面に当接する複数のリブが形成された組電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-32581号公報
【特許文献2】特開2011-189960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなスタック(複数の蓄電デバイス)に対し押圧荷重を印加する技術を蓄電デバイス単体に適用するのは困難であった。また、蓄電デバイスに用いられる電極体の厚みには多少のばらつきがある。本発明者の鋭意検討によれば、電極体の厚みが小さい場合、電極体の厚み方向にかかる押圧荷重が小さくなり、その一方で、電極体の厚みが大きい場合、電極体の厚み方向にかかる押圧荷重が大きくなることが分かった。この結果、従来の押圧荷重の印加技術を採用した場合、蓄電デバイス毎に押圧荷重にばらつきが生じる為、蓄電デバイス毎に内部抵抗のばらつきが生じることが判明した。
【0005】
ここに開示される技術は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、蓄電デバイスにおける電極体の厚みばらつきに対する押圧荷重ばらつきを緩和することで、蓄電デバイス毎の内部抵抗のばらつきを緩和した蓄電デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示される蓄電デバイスは、正極と負極を備える電極体であって、一対の対向する矩形状の幅広面を有する扁平な電極体と、該電極体と対向し、上記電極体の上記一対の幅広面のそれぞれを上記電極体の厚み方向に弾性的に圧縮する一対の押圧部材を有する。ここで、上記一対の押圧部材の少なくともいずれか一方は、上記電極体の上記幅広面に向かって突出する第1凸部と、該第1凸部より上記電極体の幅広面に向かって更に突出する第2凸部と、を有し、上記押圧部材は、基準押圧荷重Faにおいて弾性変形するように形成されており、上記弾性変形前の上記押圧部材のばね定数を第1ばね定数、上記弾性変形後の上記押圧部材のばね定数を第2ばね定数としたとき、上記第2ばね定数は、上記第1ばね定数より小さい。
【0007】
かかる構成によると、上記押圧部材は、基準押圧荷重Faにおいて弾性変形するように形成される。そして、上記押圧部材の弾性変形前後において、弾性変形後のばね定数(第2ばね定数)が弾性変形前のばね定数(第1ばね定数)より小さくなるように構成される。これにより、蓄電デバイスにおける電極体の厚みばらつきに対する押圧荷重ばらつきを緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る蓄電デバイスを模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1中のII-II線に沿う模式的な縦断面図である。
【
図3】
図3は、
図1中のIII-III線に沿う模式的な縦断面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る電極体の模式図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る封口板(第1押圧部材)をケース内面側から見た平面図である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係るケース本体(第2押圧部材)を正面(前側)から見た平面図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に係る、電極体をケース内部に収容する様子を示す模式図である。
【
図9】
図9は、一実施形態に係る蓄電デバイスにおける電極体の厚み変位と荷重変化の関係について説明するグラフである。
【
図10】
図10は、一実施形態に係るスタックを模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながらここに開示される技術に係る実施の形態を説明する。なお、本明細書において言及していない事柄であって、ここに開示される技術の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここに開示される技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。なお、本明細書において「A~B」として表現される数値範囲には、AおよびBが含まれるとともに、「好ましくはAより大きい」および「好ましくはBより小さい」の意を包含するものとする。
【0010】
本明細書において「蓄電デバイス」とは、充電と放電を行なうことができるデバイスをいう。蓄電デバイスには、一般にリチウムイオン電池やリチウム二次電池などと称される電池の他、リチウムポリマー電池、リチウムイオンキャパシタなどが包含される。二次電池とは、正負極間の電荷担体の移動に伴って繰り返しの充放電が可能な電池一般をいう。ここでは、蓄電デバイスの一形態として、リチウムイオン二次電池を例示する。
【0011】
<蓄電デバイス100>
図1は、一実施形態に係る蓄電デバイス100を模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1中のII-II線に沿う模式的な縦断面図である。
図3は、
図1中のIII-III線に沿う模式的な横断面図である。なお、以下の説明において、図面中の符号L、R、F、Rr、U、Dは、左、右、前、後、上、下を表す。また、図面中の符号Xは、蓄電デバイス100の短辺方向(厚み方向ともいう。)を示し、符号Yは、蓄電デバイス100の長辺方向を示し、符号Zは、鉛直方向(高さ方向ともいう。)を示す。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、蓄電デバイス100の設置形態を何ら限定するものではない。
【0012】
図1、
図2に示すように、蓄電デバイス100は、ケース10と、電極体20と、正極端子30と、負極端子40と、を備えている。図示は省略するが、蓄電デバイス100は、ここではさらに電解液を備えている。蓄電デバイス100は、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池であることが好ましい。
【0013】
ケース10は、例えば、電極体20を収容する六面体形状の部材である。
図1、
図2に示すように、ケース10は、ケース本体12と、封口板14とを備えている。ケース10は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、SUS等からなることがより好ましい。本実施形態に係るケース10は、ここではアルミニウムからなる。
【0014】
ケース本体12は、例えば、電極体20を内部に収容する、ケース10の本体である。ケース本体12は、
図1、
図2に示すように、開口12hと、第1面12aと、一対の対向する第2面12b,12cと、一対の対向する第3面12d,12eを有している。この実施形態では、第1面12aは、幅広な矩形状であり、開口12hに対向している。一対の第2面12b,12cは、第1面12aの一対の対向する長辺側の周縁から延びており、第2面12b,12cは互いに対向している。
図1、
図2に示すように、下側の第2面12cは、蓄電デバイス100の底面を構成する。また、上側の第2面12bは、この底面に対向する上面であり、ここでは正極端子30および負極端子40の取付面である。また、一対の第3面12d,12eは、第1面12aの一対の対向する短辺側の周縁から延びており、第3面12d,12eは互いに対向している。ケース本体12の形状やサイズは、例えば、ケース本体12に収容する電極体20のサイズなどに併せて適宜変更することができる。なお、本明細書において、「矩形状」とは、直線状の長辺と短辺とが曲線を介して互いに接合している形状、長辺および短辺の少なくとも一方が直線状ではなく、湾曲したり、凹凸になっていたり、屈曲して複数の直線あるいは曲線から構成されている形状、等を包含する。詳細は後述するが、本実施形態では、ケース本体12の第1面12aの一部分(ここでは、表面。)に第2押圧部材72を備える。
【0015】
開口12hは、例えば、封口板14が装着される部位である。ここでは、開口12hは、一対の第2面12b,12cの上縁と、一対の第3面12d,12eの上縁とで囲まれることによって形成されており、幅広な矩形状である。ケース本体12の開口12hに封口板14を嵌めこみ、封口板14の周縁が溶接されることによって、ケース本体12と封口板14とが一体化され、ケース10が気密に封止される。
【0016】
図2に示すように、第2面12bには、排出弁15と、注液孔16と、貫通孔18,19、が設けられている。排出弁15は、例えば、薄肉部である。ここでは、排出弁15は、ケース10内の圧力が所定値以上になったときに破断して、ケース10内のガスを外部に排出するように構成されている。注液孔16は、ケース本体12に封口板14を組み付けた後、ケース10の内部に電解液を注液するための貫通孔である。注液孔16は、ここでは、電解液の注液後に封止部材16aによって封止されている。貫通孔18は、正極端子30が取り付けられる(挿通される)部位である。貫通孔19は、負極端子40が取り付けられる(挿通される)部位である。
【0017】
封口板14は、開口12hを封口する平板状の部材である。このため、封口板14の形状は、開口12hの形状に応じた形状であるとよい。ここでは、封口板14は、幅広な矩形状である。ここでは、封口板14が開口12hに取り付けられると、封口板14は、第1面12aに対向する。詳細は後述するが、本実施形態では、封口板14の一部分(ここでは、表面。)に第1押圧部材71を備える。
【0018】
電解液としては、従来公知において使用されているものを特に制限なく使用できる。一例として、非水系溶媒(有機溶媒)に支持塩(電解質塩)を溶解させた非水電解液が好ましく用いられる。非水系溶媒の一例として、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート系溶媒が挙げられる。支持塩の一例として、LiPF6等のフッ素含有リチウム塩が挙げられる。電解液は、必要に応じて添加剤を含有してもよい。
【0019】
正極端子30は、電極体20の正極22と電気的に接続される部材である。
図2に示すように、正極端子30は、貫通孔18に挿通され、ケース本体12の外側に露出している。正極端子30は、ここでは、かしめ加工によって正極集電体50と接続される。正極端子30は、金属製であることが好ましく、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることがより好ましい。
【0020】
負極端子40は、電極体20の負極24と電気的に接続される部材である。
図2に示すように、負極端子40は、貫通孔19に挿通され、ケース本体12の外側に露出している。負極端子40は、ここでは、かしめ加工によって負極集電体60と接続される。負極端子40は、例えば、銅または銅合金で構成される。負極端子40は、例えば、正極端子30と同様の構成を有してよい。このため、負極端子40の構成についての説明は、ここでは省略する。
【0021】
正極集電体50は、例えば、正極集電箔22cと正極端子30とを電気的に接続する部材である。正極集電体50は、板状の導電部材である。
図2に示されているように、正極集電体50の一方の端部(
図2の下端部)には、正極活物質層非形成部分22d(正極集電箔22c)が接続される。また、正極集電体50の他方の端部(
図2の上端部)は、正極端子30の下端部にかしめられる。正極集電体50は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成される。
【0022】
負極集電体60は、負極集電箔24cと負極端子40とを電気的に接続する部材である。負極集電体60は、例えば、板状の導電部材である。
図2に示されているように、負極集電体60の一方の端部(
図2の下端部)には、負極集電箔24cが接続される。また、負極集電体60の他方の端部(
図2の上端部)は、負極端子40の下端部にかしめられる。負極集電体60は、例えば、銅または銅合金で構成される。
【0023】
蓄電デバイス100では、種々の絶縁部材が用いられている。例えば、ケース10の外側において、正極端子30と第2面12bとの間、ならびに、負極端子40と第2面12bとの間には、ガスケット92が配置されている。ガスケット92は、ここではケース本体12と正極端子30および負極端子40とを絶縁すると共に、貫通孔18、19をシール(閉鎖)する機能を有する。また、ケース10の内側において、正極集電体50と第2面12bとの間、ならびに、負極集電体60と第2面12bとの間には、内部絶縁部材93が配置されている。
【0024】
ガスケット92、内部絶縁部材93には、耐薬品性や耐候性に優れた材料が用いられるとよい。ガスケット92や内部絶縁部材93は、電気絶縁性を有し、弾性変形が可能な樹脂材料、例えば、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等のフッ素化樹脂や、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、脂肪族ポリアミド等で構成されていてもよい。ガスケット92および内部絶縁部材93は、例えば、インサート成型により一体化していてもよい。
【0025】
電極体20は、正極22と負極24とを有する、蓄電デバイス100の発電要素である。
図4は、一実施形態に係る電極体20の模式図である。
図3に示すように、ここでは、1個の電極体20がケース本体12の内部に配置される。
図4に示すように、電極体20は、外形が扁平形状である。
図4に示すように、電極体20は、ここでは長尺なシート状の正極22と長尺なシート状の負極24とがセパレータ23(ここでは、2枚。)を介在させつつ、長手方向に捲回された形態を有する、いわゆる捲回電極体である。電極体20は、例えば、正極22と負極24とセパレータ23とを捲回して筒状体とし、かかる筒状体をプレス成形することによって作製されうる。なお、電極体20は、絶縁性の樹脂シートから構成される電極体ホルダ(図示せず)に覆われた状態でケース10の内部に収容されてもよい。
【0026】
電極体20は、一対の対向する矩形状を有する幅広面である第1主面20a、第2主面20bと、第1主面20aおよび第2主面20bの両端に設けられ、湾曲外面を有する一対の湾曲領域20rと、を有している。
図3に示すように、電極体20は、電極体20の第1主面20aと封口板14とが対向し、かつ、第2主面20bと第1面12aとが対向するようにケース本体12に収容される。電極体20の一方(
図3の上側)の湾曲領域20rは、第2面12bと対向し、他方(
図3の下側)の湾曲領域20rは、第2面12cと対向している。電極体20の端面は、ここでは、正極22と負極24とセパレータ23との積層面であり、開放面である。第1主面20a、第2主面20bは、「電極体の幅広面」の一例である。
【0027】
図4に示すように、正極22は、長尺な帯状の正極集電箔22c(例えばアルミニウム箔)と、正極集電箔22cの少なくとも一方の表面上に固着された正極活物質層22aとを有する。特に限定するものではないが、正極22の捲回軸方向WDにおける一方の側縁部には、必要に応じて、保護層(図示せず)が設けられていてもよい。なお、正極活物質層22aの構成材料と保護層の構成材料としては、この種の蓄電デバイス(この実施形態では、リチウムイオン二次電池)において用いられるものが特に制限なく用いられてよい。
【0028】
図4に示すように、負極24は、長尺な帯状の負極集電箔24c(例えば銅箔)と、負極集電箔24cの少なくとも一方の表面上に固着された負極活物質層24aとを有する。なお、負極活物質層24aの構成材料としては、この種の蓄電デバイス(この実施形態では、リチウムイオン二次電池)において用いられるものが特に制限なく用いられてよい。
【0029】
正極活物質層非形成部分22d(すなわち、正極活物質層22aが形成されずに正極集電箔22cが露出した部分)および負極活物質層非形成部分24d(すなわち、負極活物質層24aが形成されずに負極集電箔24cが露出した部分)は、電極体20の捲回軸方向(すなわち、上記長手方向に直交するシート幅方向)の両端から外方にはみ出すように形成されている。正極活物質層非形成部分22dおよび負極活物質層非形成部分24dには、それぞれ正極集電体50および負極活物質層非形成部分24dが接合される。
【0030】
セパレータ23は、正極22の正極活物質層22aと、負極24の負極活物質層24aと、を絶縁する部材である。セパレータ23は、この実施形態では、電極体20の外表面を構成している。セパレータ23としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂からなる樹脂製の多孔性シートが用いられる。
【0031】
ここに開示される蓄電デバイス100は、押圧部材70を有することを特徴とする。
図5は、一実施形態に係る封口板14(第1押圧部材71)をケース10内面側から見た平面図である。
図6は、
図5中のVI-VI線に沿う縦断面図である。
図7は、一実施形態に係るケース本体12(第2押圧部材72)を正面(前側)から見た平面図である。
図8は、一実施形態に係る、電極体20をケース10内部に収容する様子を示す模式図である。説明の便宜上、
図8では、ケース10収容前の電極体20について、仮想線で示す。
【0032】
押圧部材70は、電極体20の第1主面20aおよび第2主面20bのそれぞれを電極体20の厚み方向Xに弾性的に圧縮する一対の部材である。ここでは、
図3に示すように押圧部材70は、第1押圧部材71と第2押圧部材72を有する。本実施形態では、押圧部材70(第1押圧部材71、第2押圧部材72)は封口板14およびケース10の一部分である。
【0033】
第1押圧部材71は、電極体20の一方の幅広面である第1主面20aと対向するように配置される。第1押圧部材71は封口板14の周縁部14pよりさらに第1主面20a側に突出するようにして、封口板14の中央部に形成される。第1押圧部材71は第1凸部71aと、第2凸部71bと、第1ベース部71fと、を有する。
図5、
図6に示すように、ここでは、第1押圧部材71のうち、電極体20の第1主面20aに対向する面(ここでは、後側。)について複数の第1凸部71aと、複数の第2凸部71bと、複数の第1ベース部71fと、を有する。第1凸部71aと、第2凸部71bと、第1ベース部71fとは、ここでは一体的に成型されている。
図6に示すように、第1凸部71aは第1ベース部71fから電極体20の第1主面20aに向かって突出する。換言すれば、複数の第1凸部71aは、第1ベース部71fから同じ高さでケース本体12の第1面12aに向かって突出する。
図6に示すように、第2凸部71bは第1凸部71aあるいは第1ベース部71fから電極体20の第1主面20aに向かって突出する。換言すれば、複数の第2凸部71bは、第1凸部71aあるいは第1ベース部71fから同じ高さでケース本体12の第1面12aに向かって突出する。
図3に示すように、ここでは、第1押圧部材71は封口板14の一部分である。ただし、これに限定されず、いくつかの好ましい態様においては、第1押圧部材71は、封口板14と独立した部材であってもよく、この場合、第1押圧部材71の第1凸部71aと第2凸部71bと第1ベース部71fが電極体20の一方の第1主面20aと対向するようにして、ケース10の内部に配置される。
【0034】
第2押圧部材72は、電極体20の他方の幅広面である第2主面20bと対向するように配置される。
図7に示すように、ここでは、第2押圧部材72は、凸部を有しておらず第2ベース部72fのみを有する。第2押圧部材72は第1面12aの周縁部12apよりさらに第2主面20b側に突出するようにして、第1面12aの中央部に形成される。ただし、これに限定されず、に凸部(例えば、櫛型形状等)を設けてもよい。また、これに限定されず、いくつかの好ましい態様においては、第2押圧部材72は、ケース10と独立した部材であってもよく、この場合、第2押圧部材72の第2ベース部72fが電極体20の第2主面20bと対向するようにして、ケース10の内部に配置される。
図3に示すように、ここでは、第2押圧部材72は第1面12aの一部分である。ただし、これに限定されず、いくつかの好ましい態様においては、第2押圧部材72は、第1面12aと独立した部材であってもよく、この場合、第2押圧部材72の第2ベース部72fが電極体20の一方の第2主面20bと対向するようにして、ケース10の内部に配置される。
【0035】
図5に示すように、本実施形態では、複数の第1凸部71aはケース10の長辺方向Yの中心CLに略線対称に配置される。複数の第1凸部71aは、ここではいわゆる櫛歯状(畝状)に配置される。詳述すると、最も中心CLに配置された第1凸部71aは長辺方向Yの両端部に向かって延び、換言すればT字状に形成される。そして、他の複数の第1凸部71aは、封口板14の長辺方向Yの中心近傍において、封口板14の下端から上方向に向かって延びる。その後、第1凸部71aは、湾曲しながら長辺方向Yの端部に向かって延びる。
【0036】
本実施形態では、
図5に示すように、第2凸部71bは、ケース10の長辺方向Yの中心CLに略線対称に配置される。ここでは、第2凸部71bは、ケース10の長辺方向Yの中心付近に配置される。第2凸部71bは、ここではテーパ状に形成される。第2凸部71bは、ここでは第1凸部71aと一体成型されている。第2凸部71bは、第1凸部71aより先行して電極体20の第1主面20aに当接するように配置される。
【0037】
第2凸部71bの高さは、電極体20の厚みや寸法公差、目的とする荷重に併せて適宜変更し得るが、例えば約0.3~2mmであり、約0.5~1.5mmであることが好ましい。なお、本明細書において、「第2凸部71bの高さ」とは、蓄電デバイス100の短辺方向Xにおける、第1凸部71aと第2凸部71bの高さの差を示す。
【0038】
押圧部材70は、第1押圧部材71と電極体20の第1主面20a、および第2押圧部材72と第2主面20bとがそれぞれ当接するように配置される。そのうち、第2凸部71bは電極体20の第1主面20aの当接した部分およびその周辺部分に対して、電極体20の厚み方向Xから荷重を加えるように(押接するように)構成される。第1凸部71a及び第2凸部71bの形状、サイズ、配置は、例えば要求される蓄電デバイスの特性や電極体20に応じて適宜決定することができる。
【0039】
押圧部材70によって、電極体20に加える荷重目標値Fxは、電極体20の厚みや、蓄電デバイス100に求められる性能などによって決まる。そして、電極体20に加える荷重目標値Fxに合わせて、押圧部材70の幅(ここでは、厚み方向Xにおける第1押圧部材71から第2押圧部材72までの距離。)を調整する。なお、押圧部材70の幅(ここでは、ケース10の厚み方向における内寸L)は電極体20の初期厚みTより小さく(狭く)設定される(
図8参照)。かかる幅に調整した押圧部材70に対し、電極体20を厚み方向Xに挟み込むことにより、電極体20が厚み方向Xに弾性的に圧縮される。ここで、蓄電デバイス100の製造過程において、電極体20の初期厚みTは多少のばらつきが生じる。例えば、電極体20の初期厚みTが小さい場合、押圧部材70によって電極体20にかかる押圧荷重Fは荷重目標値Fxより小さくなる。一方で、電極体20の初期厚みTが大きい場合、押圧部材70によって電極体20にかかる押圧荷重Fは荷重目標値Fxより大きくなる。すなわち、電極体20の初期厚みTのばらつきにより、電極体20に実際にかかる押圧荷重Fにばらつきが生じる。本発明者は、電極体20の初期厚みTのばらつきにより生じる電極体20に実際にかかる押圧荷重Fのばらつきを抑えたいと考えている。ここで、本明細書における「ケース10の内寸L」とは、X方向において、第1押圧部材71の第2凸部71bから、第2押圧部材72の第2ベース部72fまでの最短距離を示す。また、本明細書における「電極体20の初期厚みT」とは、電極体20がケース10に挿入される前における、電極体20の第1主面20aと第2主面20bとの最短距離(X方向)を示す。
【0040】
以下、本実施形態に係る押圧部材70について、
図9を参照しながら説明する。
図9は、一実施形態に係る蓄電デバイスにおける電極体の厚み変位と押圧荷重変化の関係について説明するグラフである。
図9に示すグラフは、CAE(computor aided engineering)解析を用いて、蓄電デバイスの評価用サンプルを設計し、解析することで得ることができる。以下、ここで開示される技術に関し、
図9に関する具体的な試験例を説明するが、かかる試験例はここに開示される技術を限定することを意図したものではない。
【0041】
<1.評価用サンプルの設計>
本実施例に係る蓄電デバイスの評価用サンプルとして、
図1、
図4、
図5~7に示す形状のケース本体、封口板(押圧部材)、電極体を設計した。なお、ここでは、ケースの材質はアルミニウムとし、該アルミニウムの板厚は3mmとした。また、押圧部材を封口板に形成し、第1凸部の高さは3mmとし、第2凸部の高さは1mmとした。電極体の厚みの初期値は8mmとした。
【0042】
<2.サンプルの評価>
上記した評価用サンプルについて、
図3に示すようにケース内部に電極体を収容し、封口板とケース本体とを接合した状態とした。なお、ここでは、ケース(押圧部材)および電極体以外は設計していない。かかる状態の蓄電デバイスにおいて、ケースの条件は変化させず電極体の厚みを初期値から増加させていき、厚み変位(mm)および電極体に作用する荷重(kN)を測定した。なお、電極体に作用する荷重は、ここでは押圧荷重を示す。測定結果を、荷重(kN)を縦軸、厚み変位(mm)を横軸とする直交座標にプロットした。結果を
図9に示す。
【0043】
<3.ばね定数>
なお、押圧部材70の第1ばね定数および第2ばね定数は、上記したCAE解析で得られた測定結果より、以下の式(i)に基づいて算出することができる。
ばね定数(kN/mm)=Δ荷重変位(kN)/Δ電極体厚み変位(mm)・・・(i)
【0044】
本実施形態にかかる蓄電デバイス100の押圧部材70のうち、第1押圧部材71は、基準押圧荷重Faにおいて弾性変形するように形成されている。詳述すると、押圧部材70によって、電極体20を厚み方向に押圧する際、第2凸部71bは電極体20の第1主面20aの当接した部分およびその周辺部分に対して押圧荷重Fを印加する。電極体20に対し押圧部材70より印加される押圧荷重Fが基準押圧荷重Faに達した際、第2凸部71bの周縁(第1凸部71aの一部)が撓むようにして弾性変形する。かかる基準押圧荷重Faは荷重目標値Fxより小さい値で設定される。押圧部材70のばね定数は、第1押圧部材71が弾性変形する前後で変化するように構成される。その後、第2基準押圧荷重Fbに達し、第1ベース部71fが変形するまで、かかる第1押圧部材71の弾性変形後のばね定数で押圧荷重Fが推移する。ここで、第1押圧部材71の第2凸部71bが弾性変形する前の押圧荷重F(0≦F≦Fa)を第1荷重範囲RF1、第1押圧部材71の第2凸部71bが弾性変形した後の押圧荷重F(Fa<F≦Fb)を第2荷重範囲RF2とする。そして、第1荷重範囲RF1における押圧部材70のばね定数を第1ばね定数、第2荷重範囲RF2における押圧部材70のばね定数を第2ばね定数とする。この時、本実施形態に係る押圧部材70の第2ばね定数は、第1ばね定数より小さくなるように構成される。換言すれば、基準押圧荷重Faを境に押圧部材70のばね定数が小さくなる(電極体20の厚み変位に対する、押圧荷重Fの変量が小さくなる。)。
【0045】
第1荷重範囲RF1では、第1ばね定数が、第2ばね定数に比して大きい。換言すれば、第1荷重範囲RF1では、電極体20の厚み変位に対する、押圧荷重Fの変位が大きい。このため、電極体20の厚み方向に十分な大きさの押圧荷重Fをかけることができる。しかしながら、従来の蓄電デバイスのような、押圧部材のばね定数が第1ばね定数のみである構成を用いて、電極体を押圧した場合、電極体厚みばらつきに対し、押圧荷重Fのばらつきが大きくなる。
【0046】
一方、本実施形態では、押圧部材70のばね定数は、第1押圧部材71が弾性変形した後で第2ばね定数に変化するように構成される。第2荷重範囲RF2では、第2ばね定数が、第1ばね定数に比して小さい。換言すれば、第2荷重範囲RF2では、電極体20の厚み変位に対する押圧荷重Fの変位が小さい。ここで、荷重目標値Fxを第2荷重範囲RF2に設定することにより、電極体20の初期厚みTにばらつきが生じた場合も、押圧荷重Fのばらつきが緩和される。換言すれば、蓄電デバイス100毎の荷重目標値Fxに対する押圧荷重Fの誤差を緩和することができる。従って、蓄電デバイス100毎の内部抵抗のばらつきを緩和した蓄電デバイス100を提供することができる。
【0047】
押圧部材70の第1ばね定数は、電極体20の厚みやサイズによって適宜調整し得る。押圧部材70の第1ばね定数は、電極体20に十分な大きさの押圧荷重Fを印加し、電極体の位置を固定する観点から、例えば、0.2kN/mm以上であり得、好ましくは0.5kN/mm以上であり得る。押圧部材70の第1ばね定数の上限は、特に限定されないが、例えば4kN/mm以下であり得る。
【0048】
押圧部材70の第2ばね定数は、電極体20の厚みやサイズによって適宜調整し得る。押圧部材70の第2ばね定数は、電極体20に十分な大きさの押圧荷重Fを印加し、電極体20の初期厚みTのばらつきに対する押圧荷重Fのばらつきを緩和する観点から、例えば、0.01kN/mm以上であり得、好ましくは0.05kN/mm以上であり得る。押圧部材70の第2ばね定数の上限は、第1ばね定数より小さければよく、特に限定されないが、例えば0.5kN/mm以下であり得る。
【0049】
押圧部材70による電極体20への荷重目標値Fxは、電極体20の厚みやサイズによって適宜調整し得、例えば、約0.5~15kNであり、好ましくは約1.5~2.5kNである。同様に基準押圧荷重Faおよび第2基準押圧荷重Fbは、荷重目標値Fxに応じて適宜調整し得ることができる。言い換えれば、第2荷重範囲RF2の範囲内に荷重目標値Fxが入るように基準押圧荷重Faおよび第2基準押圧荷重Fbを適宜設定することができる。
【0050】
押圧部材70の厚みや、材質は、任意の基準押圧荷重Faにおいて、押圧部材70が変形しうる厚みや材質を採用し得る。押圧部材70の材質は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、SUS等の金属を用いることができる。ここでは、
図6に示すように、第1凸部71aと第2凸部71bと第1ベース部71fの厚さは同じである。ただし、これに限定されず、任意の基準押圧荷重Faにおいて、押圧部材70が弾性変形するように、第1押圧部材71の第1凸部71aと第2凸部71bと第1ベース部71fの厚みを異ならせても良い。
【0051】
いつくかの好適な実施態様においては、蓄電デバイス100は、本実施形態のような、ケース本体12と、幅広な矩形状の封口板14と、を備え、第1押圧部材71は封口板14の一部分であって、第2押圧部材72は第1面12aの一部分である。かかる構成のケース10は、第1押圧部材71と第2押圧部材72がケース10の一部として構成される。また、
図8に示すように、ケース10は、封口板14をケース本体12に嵌め込む時、蓄電デバイス100の厚み方向Xにおけるケース10の内寸が電極体20の初期厚みTより小さくなるように設計されている。これにより、ケース本体12内部に電極体20を収容し、封口板14をケース本体の開口12hに押し込みながら(換言すれば、封口板14を第1面12a方向に押し込みながら。)封口板14の周縁が溶接されることで、電極体20はケース本体12の第2押圧部材72および封口板14の第1押圧部材71によって拘束される。これにより、部品点数をより少なくすることができ、また、介在部材が不要となるため蓄電デバイスの小型化が実現される。
【0052】
蓄電デバイス100は各種用途に利用可能であるが、典型的には、各種の車両、例えば、乗用車、トラック等に搭載されるモータ用の動力源(駆動用電源)として好適に用いることができる。車両の種類は特に限定されないが、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)、ハイブリッド自動車(HEV)、電気自動車(BEV)等が挙げられる。
【0053】
ここに開示される技術の別の側面から、上記した蓄電デバイス100を複数組みあわせてなるスタック150が提供される。
図10は、一実施形態に係るスタック150を模式的に示す斜視図である。本実施形態においては、例えば、
図10に示すように、バスバー90を介して複数の蓄電デバイス100を相互に電気的に接続してなるスタック150が提供されうる。この場合、複数の蓄電デバイス100の間の電気的な接続は、複数の蓄電デバイス100の正極端子30と負極端子40との間に、例えば平板状のバスバー90を架け渡すことで行いうる。バスバー90は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属から構成される。バスバー90と正極端子30および負極端子40とは、例えばレーザ溶接等の溶接によって電気的に接続しうる。また、バスバー90の接続のために、正極端子30および負極端子40に外部接続端子(図示せず)をさらに設けてもよい。スタック150に用いられる蓄電デバイス100は、各々のケース10に第1押圧部材71および第2押圧部材72を備えるため、拘束治具を必要としない。これにより、小型化したスタック150の提供が実現される。さらに、蓄電デバイス100毎に、電極体20の厚みに対応した荷重を押圧部材70によって付与されている。このため、抵抗ばらつきを抑えたスタック150の提供が可能となる。
【0054】
以上、ここに開示される技術におけるいくつかの実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。ここに開示される技術は、他にも種々の形態にて実施することができる。ここに開示される技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を他の変形態様に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
【0055】
以上の通り、ここで開示される技術の具体的な態様として、以下の各項に記載のものが挙げられる。
項1:正極と負極を備える電極体であって、一対の対向する矩形状の幅広面を有する扁平な電極体を備える蓄電デバイスであって、上記電極体と対向し、上記電極体の上記一対の幅広面のそれぞれを上記電極体の厚み方向に弾性的に圧縮する一対の押圧部材を有し、ここで、上記一対の押圧部材の少なくともいずれか一方は、上記電極体の上記幅広面に向かって突出する第1凸部と、該第1凸部より上記電極体の幅広面に向かって更に突出する第2凸部と、を有し、上記押圧部材は、基準押圧荷重Faにおいて弾性変形するように形成されており、上記弾性変形前の上記押圧部材のばね定数を第1ばね定数、上記弾性変形後の上記押圧部材のばね定数を第2ばね定数としたとき、上記第2ばね定数は、上記第1ばね定数より小さい、蓄電デバイス。
項2:上記電極体を収容する六面体形状のケースを更に有し、上記ケースは、幅広な矩形状の第1面および該第1面に対向する開口と、上記第1面の長辺側の周縁から上記開口に向かって延びる一対の第2面と、上記第1面の短辺側の周縁から上記開口に向かって延びる一対の第3面と、を有するケース本体と、上記開口を封口し、上記第1面に対向する幅広な矩形状の封口板と、を備え、ここで、上記押圧部材は上記封口板または上記第1面の一部分である、項1に記載の蓄電デバイス。
項3:項1または2に記載の蓄電デバイスを複数備える、スタック。
【符号の説明】
【0056】
10 ケース
12 ケース本体
12a 第1面
12b、12c 第2面
12d、12e 第3面
12h 開口
14 封口板
18、19 貫通孔
20 電極体
20a 第1主面
20b 第2主面
22 正極
23 セパレータ
24 負極
30 正極端子
40 負極端子
70 押圧部材
71 第1押圧部材
71a 第1凸部
71b 第2凸部
71f 第1ベース部
72 第2押圧部材
72f 第2ベース部
90 バスバー
92 ガスケット
93 内部絶縁部材
100 蓄電デバイス
150 スタック