(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117441
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理システム、制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
H04N1/00 912
H04N1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023552
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【弁理士】
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】相川 雅史
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AA14
5C062AA32
5C062AA35
5C062AA37
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB42
5C062AB46
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC36
5C062AC42
5C062AE01
5C062AE14
5C062AE15
5C062AF02
5C062AF12
5C062BC06
(57)【要約】
【課題】画像処理装置に特定のジョブを実行させるために情報処理端末で実行されるRPAの処理手順の記述量を低減する。
【解決手段】画像処理装置2は、情報処理端末3と通信可能であり、情報処理端末3において特定のジョブの実行のためのロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)が実行されているときに情報処理端末3から受信する命令に基づいて動作する。画像処理装置2は、特定のジョブに含まれる複数の処理を順次自動実行するように予めプログラミングされたライブラリー19を記憶する記憶部11と、情報処理端末3からライブラリー19の実行命令を受け付け、記憶部11からライブラリー19を呼び出して実行する制御部10と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理端末と通信可能であり、前記情報処理端末において特定のジョブの実行のためのロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)が実行されているときに、前記情報処理端末からの命令に基づいて動作する画像処理装置であって、
前記特定のジョブに含まれる複数の処理を順次自動実行するように予めプログラミングされたライブラリーを記憶する記憶部と、
前記情報処理端末から前記ライブラリーの実行命令を受け付け、前記記憶部から前記ライブラリーを呼び出して実行する制御部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記実行命令の受け付けに伴って、前記複数の処理のそれぞれに対する設定が記述された設定ファイルを取得する取得部を更に備え、
前記制御部は、前記ライブラリーを実行するとき、前記設定ファイルに記述されている設定に基づいて前記複数の処理を順次自動実行することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の処理の実行が終了したことを前記情報処理端末に通知する処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記記憶部は、複数のライブラリーを記憶しており、
前記制御部は、前記複数のライブラリーのうちから、前記実行命令によって指定されたライブラリーを呼び出して実行することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記情報処理端末において実行させる自動化フローを記憶しており、
前記制御部は、前記ライブラリーを実行しているときに所定条件が成立すると、前記記憶部から前記自動化フローを読み出して前記情報処理端末に提供し、前記情報処理端末に前記自動化フローに基づく処理を実行させることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ライブラリーを実行しているときに所定条件が成立すると、前記情報処理端末において実行させる自動化フローを作成し、前記情報処理端末に前記自動化フローに基づく処理を実行させることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記所定条件は、前記ライブラリーの実行中におけるエラー発生であることを特徴とする請求項5又は6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記情報処理端末に前記自動化フローに基づく処理を実行させるとき、前記情報処理端末に前記ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の実行を中断させることを特徴とする請求項5又は6に記載の画像処理装置。
【請求項9】
画像処理装置と情報処理端末とが互いに通信可能な画像処理システムであって、
前記画像処理装置は、特定のジョブに含まれる複数の処理を順次自動実行するように予めプログラミングされたライブラリーを記憶し、
前記情報処理端末は、前記画像処理装置に特定のジョブを実行させるためのロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の実行中に前記ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)によって発行される前記ライブラリーの実行命令を前記画像処理装置へ送信し、
前記画像処理装置は、前記実行命令を受け付け、前記ライブラリーを呼び出して実行することを特徴とする画像処理システム。
【請求項10】
前記情報処理端末は、前記ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の実行中に前記画像処理装置から自動化フローを受信した場合、前記ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の実行を中断し、前記自動化フローに基づく処理を実行することを特徴とする請求項9に記載の画像処理システム。
【請求項11】
前記情報処理端末は、前記自動化フローに基づく処理の実行が終了した後、前記ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の実行を再開することを特徴とする請求項10に記載の画像処理システム。
【請求項12】
情報処理端末と通信可能であり、特定のジョブに含まれる複数の処理を順次自動実行するように予めプログラミングされたライブラリーを記憶する画像処理装置の制御方法であって、
前記情報処理端末において前記特定のジョブの実行のためのロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)が実行されているときに、前記ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)によって発行される前記ライブラリーの実行命令を受け付けるステップと、
前記実行命令に基づき、前記ライブラリーを呼び出して実行するステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項13】
情報処理端末と通信可能であり、特定のジョブに含まれる複数の処理を順次自動実行するように予めプログラミングされたライブラリーを記憶する記憶部を備えた画像処理装置において実行されるプログラムであって、前記画像処理装置に、
前記情報処理端末において前記特定のジョブの実行のためのロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)が実行されているときに、前記ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)によって発行される前記ライブラリーの実行命令を受け付けるステップと、
前記実行命令に基づき、前記記憶部から前記ライブラリーを呼び出して実行するステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理システム、制御方法、及び、プログラムに関し、特に情報処理端末でロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を実行することによって画像処理装置に特定のジョブを実行させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像データを読み取る画像形成装置、画像データを保存先に保存する画像形成装置の機能拡張サーバー、及び、画像データの操作を指示する情報処理装置のそれぞれとネットワークで接続されたワークフロー生成装置において、各装置に記憶されたログを収集して操作フローを選択し、選択した操作フローにおける画像データの保存先と画像特徴量から、機械学習してデータ処理フローを生成するものが知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
一方、近年は、ロボティック・プロセス・オートメーション(以下、「RPA」という。)を利用することにより作業効率を向上させることが注目されている(例えば特許文献2)。RPAは、複数の操作の操作手順を予め登録しておき、ユーザーによる実行指示に基づいて予め登録されている操作手順を自動で実行するソフトウェアである。定型業務の操作手順をRPAに予め登録しておくことにより、RPAがユーザーに代わって複数の操作を順に自動で行うため、定型業務を効率的に行うことができる。
【0004】
ユーザーが情報処理端末を使用してMFP(Multifunction Peripheral)などの画像処理装置にジョブを実行させる際にもRPAを利用することができる。例えば、ユーザーの定型業務として、X社、Y社及びZ社のそれぞれの締め切り日時に合わせて請求書などの電子ファイルをFAX送信することがある。この場合、情報処理端末においてRPAに登録する処理手順(操作手順)は、例えば
図24に示す通りである。X社、Y社及びZ社の順に締め切り日時が設定されている場合、RPAは、手順1でFAX送信アプリを起動し、手順2~6でX社の締め切り日時に合わせてFAX送信を行い、手順7~11でY社の締め切り日時に合わせてFAX送信を行い、手順12~16でZ社の締め切り日時に合わせてFAX送信を行い、その後、手順17でFAX送信アプリを終了する。情報処理端末において
図24に示すようなRPAを実行させることにより、ユーザーは、X社、Y社及びZ社のそれぞれのFAX電話番号を手動設定したり、送信対象ファイルに対する操作を手動で行ったりする必要がなくなる。それ故、定型業務を行う際のユーザーの操作負担を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-194201号公報
【特許文献2】特開2020-3905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ユーザーが画像処理装置を利用して定型的なFAX送信を行うために、情報処理端末において実行するRPAに処理手順を登録しようとすると、FAX送信先の増加に伴い、処理手順の記述量が膨大になる。また、一般に、RPAに処理手順を登録する場合、ユーザーは、RPAの実行中に行われる一連の処理をなるべく停止させないことを目指して処理手順を登録する。そのため、RPAには、ジョブの実行中に画像処理装置においてエラー発生した場合のエラー処理などが記述されることもあり、処理手順の記述量が膨大になる。
【0007】
RPAに登録される処理手順の記述量が膨大になると、情報処理端末の記憶領域を圧迫するという問題がある。また、RPAに登録される処理手順の記述量が膨大になると、RPAのメンテナンス時に効率的なメンテナンスが行えず、却って作業負担が大きくなってしまうという問題もある。これらの問題を解決するためには、情報処理端末において実行されるRPAの処理手順の記述量を減らすことが望ましい。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、画像処理装置に特定のジョブを実行させるために情報処理端末で実行されるRPAの処理手順の記述量を低減できるようにした画像処理装置、画像処理システム、制御方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、情報処理端末と通信可能であり、前記情報処理端末において特定のジョブの実行のためのロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)が実行されているときに、前記情報処理端末からの命令に基づいて動作する画像処理装置であって、前記特定のジョブに含まれる複数の処理を順次自動実行するように予めプログラミングされたライブラリーを記憶する記憶部と、前記情報処理端末から前記ライブラリーの実行命令を受け付け、前記記憶部から前記ライブラリーを呼び出して実行する制御部と、備えることを特徴とする構成である。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1の画像処理装置において、前記実行命令の受け付けに伴って、前記複数の処理のそれぞれに対する設定が記述された設定ファイルを取得する取得部を更に備え、前記制御部は、前記ライブラリーを実行するとき、前記設定ファイルに記述されている設定に基づいて前記複数の処理を順次自動実行することを特徴とする構成である。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1の画像処理装置において、前記制御部は、前記複数の処理の実行が終了したことを前記情報処理端末に通知する処理を含むことを特徴とする構成である。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1の画像処理装置において、前記記憶部は、複数のライブラリーを記憶しており、前記制御部は、前記複数のライブラリーのうちから、前記実行命令によって指定されたライブラリーを呼び出して実行することを特徴とする構成である。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1の画像処理装置において、前記記憶部は、前記情報処理端末において実行させる自動化フローを記憶しており、前記制御部は、前記ライブラリーを実行しているときに所定条件が成立すると、前記記憶部から前記自動化フローを読み出して前記情報処理端末に提供し、前記情報処理端末に前記自動化フローに基づく処理を実行させることを特徴とする構成である。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項1の画像処理装置において、前記制御部は、前記ライブラリーを実行しているときに所定条件が成立すると、前記情報処理端末において実行させる自動化フローを作成し、前記情報処理端末に前記自動化フローに基づく処理を実行させることを特徴とする構成である。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項5又は6の画像処理装置において、前記所定条件は、前記ライブラリーの実行中におけるエラー発生であることを特徴とする構成である。
【0016】
請求項8に係る発明は、請求項5又は6の画像処理装置において、前記制御部は、前記情報処理端末に前記自動化フローに基づく処理を実行させるとき、前記情報処理端末に前記ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の実行を中断させることを特徴とする構成である。
【0017】
請求項9に係る発明は、画像処理装置と情報処理端末とが互いに通信可能な画像処理システムであって、前記画像処理装置は、特定のジョブに含まれる複数の処理を順次自動実行するように予めプログラミングされたライブラリーを記憶し、前記情報処理端末は、前記画像処理装置に特定のジョブを実行させるためのロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の実行中に前記ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)によって発行される前記ライブラリーの実行命令を前記画像処理装置へ送信し、前記画像処理装置は、前記実行命令を受け付け、前記ライブラリーを呼び出して実行することを特徴とする構成である。
【0018】
請求項10に係る発明は、請求項9の画像処理システムにおいて、前記情報処理端末は、前記ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の実行中に前記画像処理装置から自動化フローを受信した場合、前記ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の実行を中断し、前記自動化フローに基づく処理を実行することを特徴とする構成である。
【0019】
請求項11に係る発明は、請求項10の画像処理システムにおいて、前記情報処理端末は、前記自動化フローに基づく処理の実行が終了した後、前記ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の実行を再開することを特徴とする構成である。
【0020】
請求項12に係る発明は、情報処理端末と通信可能であり、特定のジョブに含まれる複数の処理を順次自動実行するように予めプログラミングされたライブラリーを記憶する画像処理装置の制御方法であって、前記情報処理端末において前記特定のジョブの実行のためのロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)が実行されているときに、前記ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)によって発行される前記ライブラリーの実行命令を受け付けるステップと、前記実行命令に基づき、前記ライブラリーを呼び出して実行するステップと、を有することを特徴とする構成である。
【0021】
請求項13に係る発明は、情報処理端末と通信可能であり、特定のジョブに含まれる複数の処理を順次自動実行するように予めプログラミングされたライブラリーを記憶する記憶部を備えた画像処理装置において実行されるプログラムであって、前記画像処理装置に、前記情報処理端末において前記特定のジョブの実行のためのロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)が実行されているときに、前記ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)によって発行される前記ライブラリーの実行命令を受け付けるステップと、前記実行命令に基づき、前記記憶部から前記ライブラリーを呼び出して実行するステップと、を実行させることを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、画像処理装置に特定のジョブを実行させるために情報処理端末で実行されるRPAの処理手順の記述量を低減することができる。これにより、情報処理端末においてRPAが記憶領域を圧迫するという問題を解決できると共に、RPAのメンテナンス時には効率的なメンテナンスが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】画像処理システムの一構成例を示す図である。
【
図2】画像処理装置のハードウェア構成及び機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】ライブラリーに記述されている処理手順の一例を示す図である。
【
図5】情報処理端末のハードウェア構成及び機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】情報処理端末において実行されるRPAの一例を示す図である。
【
図7】画像処理装置によって行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】ライブラリーに基づく処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】第2実施形態における画像処理装置のハードウェア構成及び機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】ライブラリーに記述されている処理手順の一例を示す図である。
【
図11】情報処理端末に提供される自動化フローの例を示す図である。
【
図12】時刻同期処理実行時に行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図13】第3実施形態における画像処理装置のハードウェア構成及び機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図15】情報処理端末において実行されるRPAの一例を示す図である。
【
図16】ライブラリーに記述されている処理手順の一例を示す図である。
【
図17】エラー処理の一例を示すフローチャートである。
【
図18】情報処理端末に提供される自動化フローの例を示す図である。
【
図19】ライブラリーに基づく処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図20】第4実施形態におけるライブラリーに基づく処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図21】エラー処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図23】自動化フロー作成部によって生成される自動化フローを示す図である。
【
図24】従来のRPAに登録される処理手順の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する要素には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0025】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態における画像処理システム1の一構成例を示す図である。この画像処理システム1は、MFPなどで構成される画像処理装置2と、パーソナルコンピュータ(PC)やタブレット端末、スマートフォンなどで構成される情報処理端末3とがネットワーク4を介して相互に通信を行うことが可能な構成である。ネットワーク4は、LAN(Local Area Network)やインターネットなどを含むネットワークである。ネットワーク4を介して行われる通信は、有線通信及び無線通信のいずれか一方であっても良いし、また双方であっても良い。
【0026】
画像処理装置2は、コピー機能、スキャン機能、プリント機能、FAX機能などの複数の機能を備えており、ユーザーによって指定されたジョブを実行する。例えば、画像処理装置2は、ネットワーク4を介して情報処理端末3と通信を行い、情報処理端末3から受信する命令に基づいてジョブの設定やジョブの実行を行うことが可能である。例えば、情報処理端末3において画像処理装置2に特定のジョブを実行させるためのRPAが実行されているとき、画像処理装置2は、情報処理端末3からRPAによって発行される命令を受け付け、その命令に応じた処理を実行する。したがって、ユーザーは、自身の情報処理端末3においてRPAを実行させることにより、画像処理装置2に対する操作を行うことなく、画像処理装置2に指定したジョブを自動実行させることができる。
【0027】
図2は、画像処理装置2のハードウェア構成及び機能構成の一例を示すブロック図である。画像処理装置2は、そのハードウェア構成として、制御部10と、記憶部11と、操作パネル12と、通信インタフェース13と、スキャナ部14と、プリンタ部15と、FAX部16とを備えている。制御部10は、図示を省略するプロセッサーとメモリとを有し、各部の動作を制御する。記憶部11は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)などで構成される不揮発性の記憶デバイスである。操作パネル12は、表示部12aと操作部12bとを備えるユーザーインタフェースである。表示部12aは、例えばカラー液晶ディスプレイによって構成され、各種の操作画面を表示する。操作部12bは、例えばタッチパネルキーなどによって構成され、ユーザーによる操作を受け付ける。通信インタフェース13は、画像処理装置2をネットワーク4に接続して通信を行うためのものであり、例えばNIC(Network Interface Card)などで構成される。スキャナ部14は、ユーザーによってセットされた原稿の画像を光学的に読み取り画像データを生成する。プリンタ部15は、印刷対象となる画像データに基づき印刷用紙などのシートに画像を印刷して出力する。FAX部16は、図示を省略する公衆電話網を介してFAXデータの送受信を行う。
【0028】
記憶部11は、制御部10のプロセッサーによって実行されるプログラム18を記憶している。また、記憶部11は、特定のジョブに含まれる複数の処理を順次自動実行するように予めプログラミングされたライブラリー19を記憶している。ライブラリー19は、プロセッサーによってプログラム18が実行されているときに、プログラム18によって呼び出されて実行されるソフトウェアコンポーネントである。記憶部11には、ジョブの種類に応じて複数のライブラリー19が予め記憶される。
【0029】
制御部10は、プロセッサーがプログラム18を実行することにより、命令受付部21及び処理部22として機能する。
【0030】
命令受付部21は、操作パネル12又は通信インタフェース13から受信する命令を受け付ける。例えば、ユーザーが操作パネル12を操作している場合、命令受付部21は、操作パネル12に対するユーザーの操作を命令として受け付ける。また、ユーザーが情報処理端末3を介して画像処理装置2を遠隔操作している場合、命令受付部21は、情報処理端末3から送信される命令を受け付ける。更に、情報処理端末3において画像処理装置2に特定のジョブを実行させるためのRPAが実行されている場合、命令受付部21は、RPAによって自動発行され、情報処理端末3から送信される命令を受け付ける。命令受付部21は、命令を受け付けると、処理部22を機能させる。
【0031】
処理部22は、命令受付部21が受け付けた命令に基づく処理を実行する。命令受付部21が受け付けた命令が複数の設定項目のうちの1つの設定項目に対する設定命令である場合、処理部22は、命令に基づき、指定された設定項目に対する設定を行う。また、命令受付部21が受け付けた命令がジョブの実行開始命令である場合、処理部22は、スキャナ部14、プリンタ部15及びFAX部16のそれぞれを駆動し、ジョブの実行を制御する。
【0032】
例えば、命令受付部21が受け付けた命令がFAX番号の設定命令である場合、処理部22は、FAX送信宛先の設定項目に指定されたFAX番号を設定する。また、命令受付部21が受け付けた命令が電子ファイルを添付したFAX送信内容の設定命令である場合、処理部22は、設定命令に添付されている電子ファイルをFAX送信内容として設定する。更に、命令受付部21が受け付けた命令がFAXの送信開始命令である場合、処理部22は、FAX部16を駆動してFAX送信ジョブの実行を開始する。このように処理部22は、命令受付部21が受け付けた命令に対応する1つの処理を実行する。
【0033】
処理部22は、設定ファイル取得部23と、ライブラリー実行部24とを備えている。設定ファイル取得部23は、情報処理端末3から送信される設定ファイル25を受信して取得する。ライブラリー実行部24は、命令受付部21が受け付けた命令がライブラリー19の実行命令である場合、その実行命令で指定されているライブラリー19を記憶部11から読み出し、実行する。上述したようにライブラリー19は、特定のジョブに含まれる複数の処理を順次自動実行するように予めプログラミングされている。そのため、ライブラリー実行部24は、命令受付部21によってライブラリー19の実行命令が受け付けられると、その実行命令に基づき複数の処理を順次自動実行することができる。このとき、ライブラリー実行部24は、設定ファイル取得部23によって取得される設定ファイル25に基づき、複数の処理のそれぞれに対する設定を反映させた状態でライブラリー19を実行する。
【0034】
図3は、設定ファイル25の一例を示す図である。
図3では、定型業務として、X社、Y社及びZ社のそれぞれの締め切り日時に合わせて請求書などの電子ファイルをFAX送信するジョブの設定ファイル25を例示している。この設定ファイル25では、X社、Y社及びZ社のそれぞれに対し、FAX番号と、送信対象ファイルと、指定送信時刻とが設定されている。尚、送信対象ファイルの欄には、画像処理装置2が送信対象ファイルを自動取得できるように、送信対象ファイルへのパスと、送信対象ファイルのファイル名とが記述されている。ライブラリー実行部24は、この設定ファイル25に基づいてライブラリー19を実行することにより、X社、Y社及びZ社のそれぞれにFAXを送信する処理を順次実行する。
【0035】
図4は、ライブラリー19に記述されている処理手順の一例を示す図である。ライブラリー実行部24は、ライブラリー19の実行を開始すると、まず手順1として、設定ファイル25を解析する。この解析により、ライブラリー実行部24は、FAXの送信宛先が3つであり、FAXの送信順序がX社、Y社、Z社の順であることを特定する。次に手順2として、ライブラリー実行部24は、X社に対する指定送信時刻となるまで待機する。X社に対する指定送信時刻となると、ライブラリー実行部24は、手順3として、設定ファイル25に基づいてX社の送信対象ファイルを取得する。すなわち、ライブラリー実行部24は、設定ファイル25で指定されているパスに基づいて送信対象ファイルの格納場所にアクセスし、その格納場所から送信対象ファイルを取得する。次に、ライブラリー実行部24は、手順4として、X社のFAX番号を設定し、手順5として、X社へのFAX送信を開始する。以上で、X社へのFAX送信が自動で行われる。
【0036】
次に、ライブラリー実行部24は、手順6~9を行い、Y社へのFAX送信を行う。手順6~9は、手順2~5と同様の手順であり、送信先、指定送信時刻、及び、送信対象ファイルが異なる処理である。ライブラリー実行部24は、ライブラリー19の手順6~9の処理を実行することにより、Y社へのFAX送信を自動で行うことができる。
【0037】
次に、ライブラリー実行部24は、手順10~13を行い、Z社へのFAX送信を行う。手順10~13は、手順2~5と同様の手順であり、送信先、指定送信時刻、及び、送信対象ファイルが異なる処理である。ライブラリー実行部24は、ライブラリー19の手順10~13の処理を実行することにより、Z社へのFAX送信を自動で行うことができる。最後に、ライブラリー実行部24は、手順14として、ライブラリー19の終了通知を情報処理端末3へ送信する。
【0038】
このようにライブラリー実行部24は、ライブラリー19に予めプログラミングされている複数の処理を順次自動実行することにより、設定ファイル25において指定されている複数の送信先に対して個別にFAXの自動送信を行うことができる。
【0039】
次に、
図5は、情報処理端末3のハードウェア構成及び機能構成の一例を示すブロック図である。情報処理端末3は、そのハードウェア構成として、制御部30と、記憶部31と、表示部32と、操作部33と、通信インタフェース34とを備えている。制御部30は、図示を省略するプロセッサーとメモリとを有し、各部の動作を制御する。記憶部31は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)などで構成される不揮発性の記憶デバイスである。表示部32は、例えばカラー液晶ディスプレイによって構成され、各種の操作画面を表示する。操作部33は、例えばキーボードやポインティングデバイス、タッチパネルキーなどによって構成され、ユーザーによる操作を受け付ける。通信インタフェース34は、情報処理端末3をネットワーク4に接続して通信を行うためのものであり、例えばNIC(Network Interface Card)などで構成される。
【0040】
記憶部31は、制御部30のプロセッサーによって実行されるプログラム35を記憶している。また、記憶部31は、RPA作成部36によって作成されるRPA38を記憶すると共に、ユーザーによって作成される設定ファイル25を記憶する。
【0041】
制御部30は、プロセッサーがプログラム35を読み出して実行することにより、RPA作成部36、及び、RPA実行部37として機能する。
【0042】
RPA作成部36は、複数の操作の操作手順を記述したRPA38を作成する。RPA作成部36は、ユーザーのRPA作成指示に基づいて作動し、情報処理端末3に対して行われるユーザーの操作を操作手順に記録していく。ユーザーによってRPA作成終了が指示されると、RPA作成部36は、それまでに記録した操作手順に基づいてRPA38を作成し、記憶部31に保存する。
【0043】
RPA実行部37は、記憶部31に記憶されているRPA38を読み出して実行する。RPA実行部37は、ユーザーのRPA実行指示に基づいて作動し、ユーザーによって指定されたRPA38を記憶部31から読み出して実行する。これにより、RPA実行部37は、RPA38に記述されている操作手順に基づき複数の操作を順に自動的に行っていく。
【0044】
RPA38に記述されている手順に、記憶部31の設定ファイル25を画像処理装置2へ送信する操作が含まれている場合、RPA実行部37は、記憶部31から設定ファイル25を読み出し、その設定ファイル25を画像処理装置2へ送信する。また、RPA38に記述されている手順に、画像処理装置2にライブラリー19を実行させる操作が含まれている場合、RPA実行部37は、実行対象となるライブラリー19を指定して画像処理装置2にライブラリー19の実行命令を送信する。
【0045】
図6は、情報処理端末3において実行されるRPA38の一例を示す図である。このRPA38には、画像処理装置2にFAX送信ジョブを実行させるための手順が記述されている。RPA実行部37は、このRPA38を実行すると、手順1として、情報処理端末3においてFAX送信ドライバなどのFAX送信アプリを起動する。情報処理端末3においてFAX送信アプリが起動されると、情報処理端末3は、画像処理装置2にアクセスし、画像処理装置2と通信可能な状態となる。次に、RPA実行部37は、手順2として、FAX送信アプリに、設定ファイル25を画像処理装置2へ送信させる処理を行わせる。これにより、設定ファイル25は、RPA38によって自動的に画像処理装置2へ送信される。次に、RPA実行部37は、手順3として、FAX送信アプリに、ライブラリー19の実行命令を画像処理装置2へ送信する処理を行わせる。この実行命令には、実行すべきライブラリー19の指定が含まれる。最後に、RPA実行部37は、手順4として、FAX送信アプリを終了させる。尚、RPA実行部37は、画像処理装置2から終了通知を受信した場合に手順4を実行するようにしても構わない。
【0046】
画像処理装置2は、情報処理端末3において上記のようなRPA38が実行されると、情報処理端末3から、設定ファイル25とライブラリー19の実行命令とを受信する。そのため、画像処理装置2は、RPA38によって発行される命令に基づき、上述したライブラリー19を実行し、X社、Y社及びZ社のそれぞれに対し、送信対象ファイルを指定された時刻に個別送信することができる。
【0047】
本実施形態の画像処理システム1は、情報処理端末3において作成されるRPA38に、
図6に示したように手順1~4の4つの手順を記述しておくだけで、画像処理装置2に、X社、Y社及びZ社のそれぞれに対するFAX送信ジョブを個別に実行させることができる。つまり、RPA38には、
図24に示した従来技術のように手順1~17を記述する必要がない。そのため、情報処理端末3のRPA38における処理手順の記述量を従来よりも削減することが可能である。これにより、情報処理端末3は、記憶部31の記憶領域がRPA38によって圧迫されてしまうことを防ぐことができる。また、RPA38の作成後に、RPA38のメンテナンスを行う際には、RPA38に記述されている処理手順の数が従来よりも少ないため、メンテナンス作業を効率的に行うことができるという利点もある。
【0048】
次に、画像処理装置2の動作例について説明する。
図7及び
図8は、画像処理装置2によって行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7は、画像処理装置2の制御部10によって行われる主たる処理手順を示しており、プログラム18に基づく処理手順を示している。
図8は、ライブラリー19に基づく処理手順を示している。
【0049】
まず
図7に示すように、制御部10は、情報処理端末3と通信を開始する(ステップS10)。すなわち、情報処理端末3においてFAX送信アプリが起動すると、情報処理端末3から画像処理装置2に対するアクセスが行われる。制御部10は、情報処理端末3からのアクセスを検知することに伴い、情報処理端末3との通信を開始する。
【0050】
情報処理端末3との通信を開始すると、制御部10は、情報処理端末3から何らかの情報を受信したか否かを判断する(ステップS11)。情報を受信した場合(ステップS11でYES)、制御部10は、情報処理端末3から受信した情報が設定ファイル25であるか否かを判断する(ステップS12)。受信した情報が設定ファイル25である場合(ステップS12でYES)、制御部10は、設定ファイル25を記憶部11の所定の記憶領域に保存する(ステップS13)。
【0051】
受信した情報が設定ファイル25でなかった場合(ステップS12でNO)、制御部10は、受信した情報がライブラリー実行命令であるか否かを判断する(ステップS15)。受信した情報がライブラリー実行命令である場合(ステップS15でYES)、制御部10は、ライブラリー実行命令で指定されたライブラリー19を記憶部11から読み出し(ステップS16)、読み出したライブラリー19を実行する(ステップS17)。これにより、制御部10は、ライブラリー19に記述されている処理手順に従って複数の処理を順次自動的に実行する。
【0052】
受信した情報がライブラリー実行命令でもなかった場合(ステップS15でNO)、制御部10は、情報処理端末3から受信した命令に応じた処理を実行する(ステップS18)。例えば、受信した命令が複数の設定項目のうちの1つの設定項目に対する設定命令である場合、制御部10は、設定命令に基づき、指定された設定項目に対する設定を行う。
【0053】
制御部10は、情報処理端末3との通信が終了したか否かを判断する(ステップS14)。例えば、情報処理端末3においてFAX送信アプリが終了した場合、情報処理端末3によって通信状態が切断される。そのため、制御部10は、情報処理端末3との通信が終了したと判断する。情報処理端末3との通信が終了していない場合(ステップS14でNO)、制御部10は、ステップS11以降の処理を繰り返し実行する。この場合、制御部10は、情報処理端末3から情報を受信する度に、その受信した情報に応じた処理を実行する。また、情報処理端末3との通信が終了すると、制御部10は、プログラム18に基づく処理を終了する。
【0054】
次に、
図8を参照しつつ、ライブラリー実行(ステップS17)の詳細な処理手順について説明する。制御部10は、ライブラリー19の実行を開始すると、記憶部11に保存している設定ファイル25を読み出し、その設定ファイル25を解析する(ステップS20)。制御部10は、設定ファイル25の解析結果に基づき、FAXの送信先の数を特定する(ステップS21)。また、制御部10は、各送信先に対する指定送信時刻を特定する(ステップS22)。これにより、制御部10は、複数の送信先に対するFAXの送信順序を決定することができる。
【0055】
その後、制御部10は、現在時刻が設定ファイル25に定められている指定送信時刻となるまで待機する(ステップS23)。指定送信時刻になると(ステップS23でYES)、制御部10は、設定ファイル25に基づき、送信対象ファイルを取得し(ステップS24)、FAX番号を設定する(ステップS25)。FAX送信の準備が整うと、制御部10は、FAX送信を開始する(ステップS26)。FAX送信が終了すると(ステップS27でYES)、制御部10は、設定ファイル25で指定されている全ての送信先へのFAX送信が終了したか否かを判断する(ステップS28)。全ての送信先へのFAX送信が終了していない場合(ステップS28でNO)、制御部10は、ステップS23以降の処理を繰り返し実行する。したがって、画像処理装置2は、ライブラリー19を実行することにより、設定ファイル25に設定されている複数の送信先のそれぞれに対し、個別にFAX送信を行うことができる。
【0056】
一方、全ての送信先へのFAX送信が終了すると(ステップS28でYES)、制御部10は、情報処理端末3に対して終了通知を送信する(ステップS29)。画像処理装置2から情報処理端末3に対して終了通知が送信されることにより、情報処理端末3は、複数の送信先へのFAX送信が正常に完了したことを把握することができる。そのため、情報処理端末3は、画像処理装置2から送信される終了通知に基づき、FAX送信アプリを終了させることができる。
【0057】
以上のように、本実施形態の画像処理装置2は、情報処理端末3と通信可能であり、情報処理端末3において特定のジョブの実行のためのRPA38が実行されているときに、RPA38によって発行される命令を受け付け、その命令に応じた動作を行う。そして、画像処理装置2は、特定のジョブに含まれる複数の処理を順次自動実行するように予めプログラミングされたライブラリー19を記憶しており、情報処理端末3からライブラリー19の実行命令を受け付けると、指定されたライブラリー19を呼び出して実行する。つまり、画像処理装置2は、ライブラリー19の実行を開始すると、情報処理端末3からの命令がなくても、ライブラリー19にプログラミングされている複数の処理を順次自動実行することが可能な構成である。したがって、情報処理端末3においてRPA38を作成するとき、ユーザーは、RPA38に登録する処理手順の記述量を最小限に抑えることができる。その結果、RPA38が情報処理端末3の記憶領域を圧迫することを回避できると共に、ユーザーによるRPA38の管理も行い易くなるという利点がある。
【0058】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、画像処理装置2の制御部10がライブラリー19を実行することにより、情報処理端末3に自動化フローを提供する例について説明する。自動化フローは、複数の処理の処理手順を規定したソフトウェアである。画像処理装置2が情報処理端末3に自動化フローを提供することにより、情報処理端末3において実行されているRPA38には記述されていない処理手順を情報処理端末3に実行させることが可能である。
【0059】
図9は、第2実施形態における画像処理装置2のハードウェア構成及び機能構成の一例を示すブロック図である。この画像処理装置2は、制御部10のプロセッサーがプログラム18を実行することにより、第1実施形態で説明した命令受付部21及び処理部22に加え、更にEWS(Embedded Web Server)26として機能する。EWS26は、外部装置が画像処理装置2の各種設定や管理を行うためのインタフェースを提供するWebサーバーであり、外部からのアクセスを検知すると各種設定や管理のためのWebページを提供する。尚、処理部22の設定ファイル取得部23は、図示を省略している。
【0060】
また、画像処理装置2は、記憶部11に、上述したプログラム18及びライブラリー19に加え、更に自動化フロー27と履歴情報28とを記憶している。
【0061】
履歴情報28は、画像処理装置2におけるジョブの実行履歴を記録した情報である。履歴情報28には、例えばジョブの実行時刻が記録される。すなわち、処理部22は、ユーザーによって指定されたジョブを実行すると、画像処理装置2の内部時計が示す時刻をジョブの実行時刻として履歴情報28に記録する。したがって、履歴情報28に記録されるジョブの実行時刻の正確さは、画像処理装置2の内部時計の正確さに由来する。内部時計が正しい時刻を示していないとき、履歴情報28に記録されるジョブの実行時刻も不正確な時刻となり、正しい履歴管理が行えなくなる。それ故、画像処理装置2は、ジョブの実行を開始する前に、内部時計を正しい時刻に同期させる処理を行うことが好ましい。
【0062】
本実施形態の画像処理装置2は、制御部10においてライブラリー19が実行されるとき、そのライブラリー19の機能によって内部時計の時刻を正しく調整する処理が行われる。このとき、制御部10は、ライブラリー19に記述されている手順に基づき、情報処理端末3に自動化フロー27を送信し、情報処理端末3に自動化フロー27に基づく処理手順を自動実行させる。例えば、本実施形態の自動化フロー27には、情報処理端末3にブラウザを起動させ、そのブラウザからEWS26にアクセスさせることにより、内部時計の調整を行わせる処理手順が記述されている。そのため、情報処理端末3は、画像処理装置2から自動化フロー27を受信すると、その自動化フロー27に記述されている処理手順を自動実行し、画像処理装置2のEWS26にアクセスして内部時計の時刻を自動調整する。
【0063】
図10は、本実施形態のライブラリー19に記述されている処理手順の一例を示す図である。このライブラリー19の処理手順が、
図4に示したライブラリー19の処理手順と異なる点は、手順1、手順7、手順12、及び、手順17である。
【0064】
手順1は、画像処理装置2の内部時計を調整するための時刻同期処理を行う手順である。ライブラリー実行部24は、手順1の処理を実行することに伴い、記憶部11に予め記憶している自動化フロー27を読み出して情報処理端末3へ送信し、情報処理端末3に自動化フロー27に記述されている複数の処理の処理手順を実行させる。これにより、情報処理端末3は、画像処理装置2のEWS26にアクセスし、画像処理装置2の内部時計の時刻を正しい時刻に調整する。
【0065】
また、手順7、手順12、及び、手順17は、ライブラリー実行部24がFAX送信を行った後に、FAX送信を行ったことを示すジョブの実行履歴を履歴情報28に記録する処理である。手順7、手順12、及び、手順17の処理が行われるときには、既に画像処理装置2の内部時計の調整処理が終了しているため、履歴情報28にはジョブの実行時刻として正しい時刻が記録される。
【0066】
図11は、情報処理端末3に提供される自動化フロー27の例を示す図である。
図11では、3つの自動化フロー27を例示している。
【0067】
図11(a)に示す自動化フロー27は、手順1~5から成る。手順1は、ブラウザを起動して画像処理装置2のEWS26にアクセスする処理である。手順2は、EWS26にログインするためのIDとパスワードとを入力する処理である。ID及びパスワードに関する情報を予め自動化フロー27に記述しておくことにより、情報処理端末3は、IDとパスワードとを自動入力することができる。手順3は、EWS26をNTP(Network Time Protocol)サーバーにアクセスさせ、NTPサーバーによって提供される正しい時刻情報を取得して内部時計の時刻をNTPサーバーに同期させる処理である。手順4は、EWS26からログアウトする処理である。手順5は、ブラウザを閉じて終了する処理である。画像処理装置2は、
図11(a)に示す自動化フロー27を情報処理端末3に実行させることにより、内部時計の時刻をNTPサーバーの時刻に同期させることが可能である。
【0068】
図11(b)に示す自動化フロー27は、例えば
図11(a)に示す自動化フロー27で時刻の調整に失敗した場合に行われるフローであり、手順1~8から成る。手順1は、ブラウザを起動して画像処理装置2のEWS26にアクセスする処理である。手順2は、EWS26にログインするためのIDとパスワードとを入力する処理である。手順3は、ブラウザの画面に「NTPサーバーを設定してください。」というメッセージを表示する処理である。手順4は、ブラウザの画面にNTPサーバーのアドレス入力画面を表示する処理である。ユーザーは、アドレス入力画面にNTPサーバーのアドレスを手動操作で入力する。手順5は、ブラウザの画面にNTPサーバーのポート指定画面を表示する処理である。ユーザーは、ポート指定画面にNTPサーバーのポートを手動操作で指定する。手順6は、EWS26をNTPサーバーにアクセスさせ、NTPサーバーによって提供される正しい時刻情報を取得して内部時計の時刻をNTPサーバーに同期させる処理である。手順7は、EWS26からログアウトする処理である。手順8は、ブラウザを閉じて終了する処理である。画像処理装置2は、
図11(b)に示す自動化フロー27を情報処理端末3に実行させることにより、内部時計の時刻を、ユーザーによって指定されたNTPサーバーの時刻に同期させることが可能である。
【0069】
図11(c)に示す自動化フロー27は、例えば
図11(b)に示す自動化フロー27で時刻の調整に失敗した場合に行われるフローであり、手順1~5から成る。手順1は、ブラウザを起動して画像処理装置2のEWS26にアクセスする処理である。手順2は、EWS26にログインするためのIDとパスワードとを入力する処理である。手順3は、EWS26の設定画面において「情報処理端末3の時刻を設定する」を選択する処理である。この処理により、画像処理装置2の内部時計の時刻は、情報処理端末3の時刻に同期する。手順4は、EWS26からログアウトする処理である。手順5は、ブラウザを閉じて終了する処理である。
【0070】
図12は、ライブラリー19の手順1において時刻同期処理実行によって行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。ライブラリー実行部24は、この処理を開始すると、記憶部11から自動化フロー27を読み出し(ステップS30)、自動化フロー27を情報処理端末3へ送信する(ステップS31)。ライブラリー実行部24は、情報処理端末3へ送信した自動化フロー27によって内部時計の時刻調整を行うことができたか否かを判断する(ステップS32)。時刻調整ができていない場合(ステップS32でNO)、ライブラリー実行部24は、別の自動化フロー27があるか否かを判断する(ステップS33)。別の自動化フロー27がある場合(ステップS33でYES)、ライブラリー実行部24は、ステップS30以降の処理を再び実行し、別の自動化フロー27を情報処理端末3へ送信する。時刻調整ができた場合(ステップS32でYES)、又は、別の自動化フロー27がない場合(ステップS33でNO)、ライブラリー実行部24は、手順1の処理を終了する。
【0071】
制御部10は、ライブラリー19を実行して上記の処理を行うことにより、RPA38には含まれていない一連の複数の処理を情報処理端末3に自動実行させることができる。そのため、自動化フロー27の手順を予めRPA38に記述しておく必要がなく、RPA38の処理手順の記述量を削減することができる。したがって、本実施形態の画像処理装置2は、第1実施形態と同様に、情報処理端末3においてRPA38を作成するとき、自動化フロー27に記述されている処理手順をRPA38の処理手順に含める必要がない。
【0072】
特にユーザーが画像処理装置2の内部時計を調整するための操作手順を知らない場合でも、情報処理端末3は、画像処理装置2から提供される自動化フロー27を実行することで画像処理装置2の内部時計を調整することができる。
【0073】
情報処理端末3は、画像処理装置2から受信した自動化フロー27を実行するとき、RPA38の実行を一時的に中断して自動化フロー27に記述されている処理手順を実行しても良いし、RPA38の実行と並行して自動化フロー27に記述されている処理手順を実行しても良い。
【0074】
尚、本実施形態において上述した点以外の構成及び動作は第1実施形態で説明したものと同様である。
【0075】
(第3実施形態)
次に本発明の第3実施形態について説明する。第2実施形態で説明した画像処理装置2は、記憶部11に予め記憶されている自動化フロー27を情報処理端末3に提供し、情報処理端末3に自動化フロー27に記述されている処理手順を自動実行させる。これに対し、本実施形態では、画像処理装置2において特定のジョブが実行されているときにエラーが発生した場合、画像処理装置2がエラーに対処するための自動化フロー27を生成して情報処理端末3に提供する例について説明する。
【0076】
図13は、第3実施形態における画像処理装置2のハードウェア構成及び機能構成の一例を示すブロック図である。この画像処理装置2は、制御部10のプロセッサーがプログラム18を実行することにより、第1実施形態と同様に、命令受付部21及び処理部22として機能する。
【0077】
処理部22は、ライブラリー実行部24と、エラー処理部40と、自動化フロー作成部41とを備えている。尚、処理部22の設定ファイル取得部23は、図示を省略している。
【0078】
ライブラリー実行部24は、ライブラリー19に含まれる複数の処理を順次自動実行しているとき、画像処理装置2においてエラーが発生することがある。ライブラリー実行部24は、ライブラリー19に含まれる複数の処理のうちの一つの処理を実行しているときにエラーが発生すると、その後の処理を継続させることができなくなる。そのため、ライブラリー実行部24は、ライブラリー19の実行中にエラーが発生したことを検知すると、エラー処理部40を機能させる。
【0079】
エラー処理部40は、画像処理装置2において発生したエラーに応じて、そのエラーに対処するための処理を自動実行する。例えば、エラー処理部40は、画像処理装置2において発生したエラーを回避するための処理を自動実行する。エラー処理部40がエラーに対処する処理を行うと、ライブラリー19に規定された処理とは異なる処理が行われることになる。そのため、RPA38を実行している情報処理端末3は、RPA38に記述されているその後の処理を正常に行うことができなくなる可能性がある。
【0080】
そこで、エラー処理部40によってエラーに対処するための処理が自動実行されると、自動化フロー作成部41が機能する。自動化フロー作成部41は、エラー処理部40によって行われる処理の内容に基づき、情報処理端末3に実行させる自動化フロー27を生成し、記憶部11に保存する。その後、ライブラリー実行部24は、記憶部11に保存される自動化フロー27を読み出して情報処理端末3へ送信し、情報処理端末3に自動化フロー27を実行させる。
【0081】
情報処理端末3においてRPA38が実行され、画像処理装置2にスキャンジョブを実行させる例を説明する。例えば、ユーザーは、定型業務の一つとして、画像処理装置2に原稿の画像を読み取るスキャンジョブを実行させ、スキャンジョブによって生成される画像データの電子ファイルを取得し、電子メールに添付して送信することがある。そのような定型業務は、情報処理端末3においてRPA38を実行させることで行うことが可能である。この場合も、情報処理端末3は、画像処理装置2に設定ファイル25を送信し、画像処理装置2においてスキャンジョブに含まれる複数の処理を順次自動実行するライブラリー19を指定して画像処理装置2にライブラリー19を実行させることにより、RPA38における処理手順の記述量を削減することが可能である。
【0082】
図14は、情報処理端末3から画像処理装置2に送信される設定ファイル25の例を示す図である。
図14に示すように、設定ファイル25には、原稿読み取り時のスキャン設定が含まれる。また、設定ファイル25には、原稿を読み取って生成した画像データに付すファイル名が設定されている。更に、設定ファイル25には、画像データの電子ファイルを格納するファイル格納先が設定されている。
【0083】
図15は、情報処理端末3において実行されるRPA38の一例を示す図である。このRPA38には、画像処理装置2にスキャンジョブによって生成される電子ファイルを取得して電子メールに添付し、電子メールを所定のアドレスへ送信するための手順が記述されている。手順1は、情報処理端末3においてメールアプリを開く処理である。手順2は、新規メールを作成する処理である。手順3は、アドレス帳アプリを開く処理である。手順4は、アドレス帳アプリから所定の送信先アドレスを選択する処理である。手順5は、件名及び本文に予め指定された定型文を挿入する処理である。手順6は、
図14の設定ファイル25を画像処理装置2へ送信する処理である。手順7は、画像処理装置2にライブラリー実行命令を送信する処理である。手順7でライブラリー実行命令が送信されることにより、画像処理装置2においてライブラリー19の実行が開始される。手順8は、ファイル格納先へアクセスする処理である。手順9は、ファイル格納先からスキャンジョブによって生成された電子ファイルを取得する処理である。手順10は、取得した電子ファイルを電子メールに添付する処理である。手順11は、電子メールを送信する処理である。手順12は、メールアプリを閉じる処理である。
【0084】
次に、画像処理装置2において実行されるライブラリー19について説明する。
図16は、ライブラリー19に記述されている処理手順の一例を示す図である。手順1は、設定ファイルを解析する処理である。手順2は、スキャン設定をスキャナ部14に反映させる処理である。手順3は、スキャナ部14による原稿読み取りを開始する処理である。手順4は、スキャナ部14によって生成された画像データにファイル名を設定し、設定ファイル25で指定されている電子ファイルを生成する処理である。手順5は、設定ファイル25で指定されているファイル格納先へアクセスする処理である。手順6は、ファイル格納先へ電子ファイルを格納する処理である。手順7は、終了通知を情報処理端末3へ送信する処理である。
【0085】
ライブラリー実行部24は、上記のライブラリー19の実行中、手順5の処理として、設定ファイル25で指定されているファイル格納先へアクセスする。このとき、ファイル格納先にアクセス権が設定されていれば、ライブラリー実行部24によるアクセスが拒否される。その結果、ライブラリー実行部24は、手順5以降の処理を行うことができず、ライブラリー19の実行中にエラーが発生する。
【0086】
エラー処理部40は、ライブラリー19の手順5でエラーが発生すると、例えば
図17に示すようなエラー処理を実行する。まず、エラー処理部40は、スキャンジョブで生成した電子ファイルを記憶部11内の所定の記憶領域(フォルダ)に保存する(ステップS40)。次に、エラー処理部40は、電子ファイルを保存した記憶領域にIDとパスワードとを設定し、アクセス権を付与する(ステップS41)。これにより、電子ファイルが第三者によって取得されることを防ぐことができる。このとき、記憶領域に設定するID及びパスワードは、乱数などを用いることが好ましい。次に、エラー処理部40は、記憶領域に設定したID及びパスワードを一時的に記憶する(ステップS42)。次に、エラー処理部40は、電子ファイルを保存した記憶領域へのアクセス情報を生成する(ステップS43)。このアクセス情報は、記憶領域へのパスと、ID及びパスワードとを含んでいる。以上で、エラー処理部40によるエラー処理が終了する。
【0087】
次に、自動化フロー作成部41は、エラー処理部40の処理結果に基づき、
図18に示すような自動化フロー27を生成する。
図18に示す自動化フロー27の手順1は、情報処理端末3に、電子ファイルが保存されている記憶部11の記憶領域へアクセスさせる処理である。この手順1には、電子ファイルが保存されている記憶領域へのパスに関する情報が含まれる。そのため、情報処理端末3は、手順1の処理を実行すると、電子ファイルが保存されている記憶領域に対して自動アクセスを行うことができる。手順2は、記憶部11の記憶領域に付与されているアクセス権を示すため、IDとパスワードとを情報処理端末3に入力させる処理である。この手順2には、エラー処理部40によって一時的に記憶されているID及びパスワードに関する情報が含まれる。そのため、情報処理端末3は、手順2の処理を実行すると、記憶領域にアクセスするためのIDとパスワードとを自動入力することができる。手順3は、記憶領域に保存されている電子ファイルを、設定ファイル25で指定されているファイル格納先へコピーする処理である。情報処理端末3は、設定ファイル25で指定されているファイル格納先へのアクセス権を有している。そのため、情報処理端末3は、記憶部11の記憶領域に記憶されている電子ファイルを、ファイル格納先へ正常にコピーすることができる。手順4は、記憶部11の記憶領域から電子ファイルを削除する処理である。
【0088】
ライブラリー実行部24は、自動化フロー作成部41によって自動化フロー27が生成されると、その自動化フロー27を情報処理端末3へ送信し、自動化フロー27を情報処理端末3において実行させる。このとき、ライブラリー実行部24は、RPA38の実行を一時中断させ、自動化フロー27に記述されている処理手順を実行させる。これにより、情報処理端末3は、
図15に示したRPA38の手順8を開始する前に、
図18の自動化フロー27に記述されている処理手順を実行する。情報処理端末3は、自動化フロー27に基づく処理を実行することにより、画像処理装置2の記憶部11に保存されている電子ファイルをファイル格納先に保存する。情報処理端末3は、自動化フロー27の実行を終了すると、RPA38に基づく処理を再開する。すなわち、情報処理端末3は、自動化フロー27の実行を終了すると、
図15に示したRPA38の手順8以降の処理を再開する。その結果、情報処理端末3は、RPA38に記述された処理手順を最後まで実行することができる。
【0089】
図19は、画像処理装置2の制御部10がライブラリー19に基づいて行う処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、制御部10においてライブラリー実行部24が動作し、ライブラリー19の実行を開始する。ライブラリー実行部24は、
図16に示したライブラリー19の実行を開始すると、情報処理端末3から取得した設定ファイル25を読み出し、その設定ファイル25を解析する(ステップS50)。ライブラリー実行部24は、設定ファイル25の解析結果に基づき、スキャン設定を反映させる設定処理を行う(ステップS51)。その後、ライブラリー実行部24は、ライブラリー19に記述されている手順3以降の処理を順次実行する(ステップS52)。
【0090】
ライブラリー実行部24は、ライブラリー19に記述されている処理の実行中にエラーが発生した否かを判断する(ステップS53)。エラーが発生していない場合(ステップS53でNO)、ライブラリー実行部24は、ライブラリー19に記述されている全ての処理が終了したか否かを判断する(ステップS54)。ライブラリー19に記述されている全ての処理が終了していない場合(ステップS54でNO)、ライブラリー実行部24は、ステップS52に戻り、ライブラリー19に記述されている次の手順の処理を実行する。全ての処理が終了した場合(ステップS54でYES)、ライブラリー実行部24による処理は終了する。
【0091】
一方、ライブラリー19の実行中にエラーが発生した場合(ステップS53でYES)、エラー処理部40が動作し、エラー処理を実行する(ステップS55)。このとき、エラー処理部40は、
図17に示したエラー処理を実行する。エラー処理部40にエラー処理が行われると、次に自動化フロー作成部41が動作する。自動化フロー作成部41は、エラー処理部40の処理結果に基づき、
図18に示した自動化フロー27を生成する(ステップS56)。その後、ライブラリー実行部24は、自動化フロー27を情報処理端末3へ送信し、自動化フロー27に基づく処理を情報処理端末3に実行させる(ステップS57)。以上で、制御部10による処理が終了する。
【0092】
以上のように本実施形態の画像処理装置2は、ライブラリー19の実行中にエラーが発生した場合に、エラーを回避するためのエラー処理を行う。このエラー処理は、ライブラリー19に記述された処理とは異なる処理である。そのため、画像処理装置2は、エラー処理を行うと、情報処理端末3において実行されているRPA38を継続して実行できるようにするため、自動化フロー27を生成して情報処理端末3に送信し、情報処理端末3に自動化フロー27に基づく処理を実行させる。これにより、情報処理端末3は、自動化フロー27を実行することにより、RPA38を継続的に実行することができるようになる。したがって、情報処理端末3は、画像処理装置2においてライブラリー19の実行中に発生し得るエラーを想定した処理をRPA38に予め記述しておく必要がない。それ故、RPA38に記述される処理手順の記述量を削減することが可能である。
【0093】
尚、本実施形態において上述した点以外の構成及び動作については、第1又は第2実施形態で説明したものと同様である。
【0094】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態では、第3実施形態で説明したエラーとは異なるエラーについて説明する。例えば、情報処理端末3においてRPA38が実行され、画像処理装置2にスキャンジョブを実行させるとき、原稿枚数が多くなると、原稿の読み取り動作の途中で制御部10のメモリがオーバーフローする。本実施形態では、スキャンジョブの実行中にメモリオーバーフローのエラーが発生する例を説明する。
【0095】
本実施形態における画像処理装置2の構成は、第3実施形態と同様である。また、本実施形態において、ライブラリー19の実行中にエラーが発生した場合に、画像処理装置2がエラー処理を行い、そのエラー処理の結果に基づいて自動化フロー27を生成して情報処理端末3へ提供する点は、第3実施形態と共通している。
【0096】
図20は、第4実施形態において画像処理装置2の制御部10がライブラリー19に基づいて行う処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、制御部10においてライブラリー実行部24が動作し、ライブラリー19の実行を開始する。尚、ライブラリー実行部24によって実行されるライブラリー19は、第3実施形態で説明したライブラリー19(
図16参照)と同様である。
【0097】
ライブラリー実行部24は、ライブラリー19の実行を開始すると、情報処理端末3から取得した設定ファイル25を読み出し、その設定ファイル25を解析する(ステップS60)。ライブラリー実行部24は、設定ファイル25の解析結果に基づき、スキャン設定を反映させる設定処理を行う(ステップS61)。その後、ライブラリー実行部24は、ライブラリー19に記述されている手順3以降の処理を順次実行する(ステップS62)。これにより、画像処理装置2において原稿の読み取り動作が開始される。
【0098】
ライブラリー実行部24は、ライブラリー19に記述されている処理の実行中にエラーが発生した否かを判断する(ステップS63)。ライブラリー19の実行中にエラーが発生した場合(ステップS63でYES)、エラー処理部40が動作し、エラー処理を実行する(ステップS64)。エラーが発生してない場合(ステップS63でNO)、ライブラリー実行部24は、ライブラリー19に記述されている全ての処理が終了したか否かを判断する(ステップS65)。ライブラリー19に記述されている全ての処理が終了していない場合(ステップS65でNO)、ライブラリー実行部24は、ステップS62に戻り、ライブラリー19に記述されている次の手順の処理を実行する。
【0099】
ライブラリー19に記述されている全ての処理が終了した場合(ステップS65でYES)、制御部10は、ライブラリー19の実行中にエラーが発生した否かを判断する(ステップS66)。エラーが発生してない場合(ステップS66でNO)、制御部10による処理は終了する。これに対し、エラーが発生した場合(ステップS66でYES)、自動化フロー作成部41が動作する。自動化フロー作成部41は、エラー処理部40によって行われたエラー処理(ステップS64)の結果に基づき、自動化フロー27を生成する(ステップS67)。その後、ライブラリー実行部24は、自動化フロー27を情報処理端末3へ送信し、自動化フロー27に基づく処理を情報処理端末3に実行させる(ステップS68)。以上で、制御部10による処理が終了する。
【0100】
図21は、エラー処理(ステップS64)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。このエラー処理は、原稿の読み取り動作中にメモリオーバーフローのエラー発生した場合にそのエラーを回避する処理である。エラー処理部40は、エラー処理(ステップS64)を開始すると、制御部10に設けられているメモリから画像データを読み出す(ステップS70)。メモリに複数ページ分の画像データが格納されている場合、エラー処理部40は、それら複数ページ分の画像データの全てを読み出す。エラー処理部40は、メモリから読み出した複数ページ分の画像データを1つのファイルに纏めた電子ファイルを生成し、その電子ファイルにファイル名を設定する(ステップS71)。次に、エラー処理部40は、ファイル名を設定した電子ファイルを記憶部11の所定の記憶領域へ保存する(ステップS72)。これにより、オーバーフローしたメモリを開放し、スキャンジョブを再開することができる。エラー処理部40は、電子ファイルを所定の記憶領域へ保存すると、分割管理情報45の生成又は更新を行う(ステップS73)。以上で、エラー処理(ステップS64)が終了する。
【0101】
エラー処理部40は、上記のようなエラー処理を行うことにより、スキャンジョブの実行中にメモリオーバーフローが発生すると、メモリに蓄積されている画像データを記憶部11の記憶領域へ一時退避させてメモリを開放することにより、スキャナ部14に原稿の分割読み取りを行わせることができる。また、エラー処理部40は、原稿の分割状態を分割管理情報45に記録する。したがって、スキャンジョブの実行中にメモリオーバーフローが発生すると、エラー処理部40によって複数の電子ファイル(分割ファイル)が生成される。
【0102】
図22は、分割管理情報45の一例を示す図である。
図22では、スキャンジョブの実行中に3つの分割ファイルが生成される場合を例示している。分割管理情報45には、ユーザー名と、ジョブ名と、分割ファイル名と、開始ページと、終了ページと、電子ファイル(分割ファイル)が格納されている格納場所へのパスとが記録される。エラー処理部40は、メモリオーバーフローのエラーが発生して分割ファイルを作成する度に、その分割ファイルに関する情報を分割管理情報45に追加する。この分割管理情報45は、スキャンジョブの終了後に複数の分割ファイルを正しいページ順に統合するために利用される。
【0103】
自動化フロー作成部41は、ライブラリー19の実行中にメモリオーバーフローのエラーが少なくとも1回発生していた場合、エラー処理部40によって生成されている分割管理情報45に基づき、情報処理端末3に複数の分割ファイルを統合させるための自動化フロー27を生成する。
【0104】
図23は、自動化フロー作成部41によって生成される自動化フロー27を示す図である。この自動化フロー27は、手順1~11から成る。手順1は、情報処理端末3においてPDF結合アプリを起動させる処理である。手順2は、情報処理端末3において起動したPDF結合アプリに、分割ファイルの格納場所へアクセスさせる処理である。手順3は、PDF結合アプリに、1番目の分割ファイルを開かせる処理である。手順4は、PDF結合アプリに、1番目の分割ファイルの後に2番目の分割ファイルを結合させる処理である。手順5は、結合させた電子ファイルを設定ファイルに定められたファイル名の電子ファイルとしてファイル格納先に保存させる処理である。手順6は、電子ファイルの後に3番目の分割ファイルを結合させる処理である。手順7は、結合させた電子ファイルをファイル格納先に上書き保存させる処理である。手順8は、分割ファイルの格納場所から1番目の分割ファイルを削除させる処理である。手順9は、分割ファイルの格納場所から2番目の分割ファイルを削除させる処理である。手順10は、分割ファイルの格納場所から3番目の分割ファイルを削除させる処理である。手順11は、情報処理端末3にPDF結合アプリを閉じさせる処理である。
【0105】
画像処理装置2は、
図23に示す自動化フロー27を生成して情報処理端末3に実行させることにより、画像処理装置2では結合できない複数の分割ファイルを情報処理端末3において結合させることができる。
【0106】
以上のように本実施形態の画像処理装置2は、ライブラリー19の実行中にメモリオーバーフローのエラーが発生する度に、エラー処理を行って分割ファイルを作成する。ライブラリー19の実行が終了すると、画像処理装置2は、分割ファイルを結合させる自動化フロー27を生成し、情報処理端末3にその自動化フロー27を実行させる。したがって、情報処理端末3は、分割ファイルを結合するための処理をRPA38に予め記述しておく必要がない。それ故、RPA38に記述される処理手順の記述量を削減することが可能である。
【0107】
尚、本実施形態において上述した点以外の構成及び動作は、第1乃至第3実施形態で説明した構成及び動作と同様である。
【0108】
(変形例)
以上、本発明に関する好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態において説明した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0109】
例えば上記各実施形態では、情報処理端末3でRPA38を実行することにより、画像処理装置2にFAX送信ジョブやスキャンジョブを実行させる場合を例示した。しかし、情報処理端末3でRPA38を実行することによって画像処理装置2に実行させるジョブは、FAX送信ジョブやスキャンジョブに限られるものではない。例えば、RPA38は、画像処理装置2にコピージョブやプリントジョブを実行させるものであっても構わない。
【0110】
また、第3又は第4実施形態では、画像処理装置2においてライブラリー19の実行中にエラーが発生した場合に画像処理装置2から情報処理端末3に自動化フロー27を送信する例を説明した。しかし、画像処理装置2が情報処理端末3に自動化フロー27を送信するタイミングは、エラーの発生には限られない。すなわち、画像処理装置2は、ライブラリー19を実行しているときに所定条件が成立した場合に、情報処理端末3に対して自動化フロー27を送信するものであっても構わない。
【0111】
また、上記実施形態では、画像処理装置2で実行されるプログラム18及びライブラリー19が予め画像処理装置2に記憶されている例を説明した。しかし、プログラム18やライブラリー19は、画像処理装置2に予め記憶されているものに限られない。すなわち、画像処理装置2において実行されるプログラム18やライブラリー19は、それ単体で取引の対象となるものであっても構わない。この場合、プログラム18やライブラリー19は、インターネットなどのネットワークを介してダウンロード可能な態様で提供されるものであっても良いし、またCD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された状態で提供されるものであっても良い。
【符号の説明】
【0112】
1 画像処理システム
2 画像処理装置
3 情報処理端末
10 制御部
11 記憶部
18 プログラム
19 ライブラリー
25 設定ファイル
27 自動化フロー
38 RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)