(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117443
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】舶用表示制御装置及び舶用操縦装置
(51)【国際特許分類】
B63B 49/00 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
B63B49/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023554
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】松原 鷹史
(57)【要約】
【課題】操船者が表示部の中から必要な情報をすぐに把握することができる舶用表示制御装置及び舶用操縦装置を提供することを目的とする。
【解決手段】舶用表示制御装置は、船舶が有する推進器の動作に関する動作情報と、動作情報に対応する表示項目と、が表示される表示部と、推進器の目標回転数と実回転数とを用いて推進器の動作状態を判断する判断部と、推進器の動作状態の判断結果に応じて、表示部に表示させる表示項目を決定する決定部と、決定された表示項目と、表示項目に対応する動作情報と、を表示部に表示させる表示制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶が有する推進器の動作に関する動作情報と、前記動作情報に対応する表示項目と、が表示される表示部と、
前記推進器の目標回転数と実回転数とを用いて前記推進器の動作状態を判断する判断部と、
前記推進器の動作状態の判断結果に応じて、前記表示部に表示させる前記表示項目を決定する決定部と、
決定された前記表示項目と、当該表示項目に対応する前記動作情報と、を前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備える舶用表示制御装置。
【請求項2】
前記表示項目は、第1の表示項目と、前記第1の表示項目と異なる第2の表示項目と、を含み、
前記推進器の動作状態は、第1の動作状態と、前記第1の動作状態と異なる第2の動作状態と、を含み、
前記決定部は、前記推進器の動作状態が前記第1の動作状態であると判断される場合、前記第1の表示項目を前記表示部に表示させると決定し、前記推進器の動作状態が前記第2の動作状態であると判断される場合、前記第2の表示項目を前記表示部に表示させると決定する、
請求項1に記載の舶用表示制御装置。
【請求項3】
選択操作を受け付ける受付部を更に備え、
前記表示制御部は、前記選択操作が受け付けられた場合に、前記表示部に表示させる表示画面を第1画面から第2画面に切り替え、
前記第1画面は、決定された前記表示項目と、当該表示項目に対応する前記動作情報と、が表示される画面であり、
前記第2画面は、前記決定部の決定によらず、前記第1の表示項目及び前記第2の表示項目と、前記第1の表示項目及び前記第2の表示項目それぞれに対応する動作情報と、が表示される画面である、
請求項2に記載の舶用表示制御装置。
【請求項4】
前記表示画面は、前記第1画面と前記第2画面を含む複数の画面の各々に対応する複数のタブが表示されるタブ表示領域と、前記複数のタブの内の選択されたタブに対応する画面が表示される画面表示領域と、を有し、
前記選択操作は、前記表示部の前記タブ表示領域に表示された前記複数のタブのいずれかを選択する操作である、
請求項3に記載の舶用表示制御装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記第1画面に表示される前記表示項目を前記動作状態毎に編集可能である編集画面を前記表示部に表示させる、
請求項4に記載の舶用表示制御装置。
【請求項6】
前記推進器は、圧縮空気を使用して始動されるエンジンであり、
前記動作状態は、前記エンジンが空気始動を行う始動状態である第1状態と、前記エンジンの空気始動が完了した運転状態又は前記エンジンが停止している停止状態である第2状態と、を含み、
前記決定部は、前記第1状態と前記第2状態のうちの前記第1状態であると判断される場合にのみ前記圧縮空気の圧力を示す項目を前記表示部に表示させる前記表示項目として決定する、
請求項1及び5のいずれか1項に記載の舶用表示制御装置。
【請求項7】
前記第2状態は、前記エンジンの空気始動が完了した運転状態であり、
前記決定部は、前記第1状態と前記第2状態のうちの前記第2状態であると判断される場合にのみ前記エンジンのコンディションを示す項目を前記表示部に表示させる前記表示項目として決定する、
請求項6に記載の舶用表示制御装置。
【請求項8】
前記決定部は、前記第1状態と前記第2状態のうちの前記第1状態であると判断される場合にのみ前記エンジンの危急停止指令が出力されているか否かを示す項目を前記表示部に表示させる前記表示項目として決定する、
請求項6に記載の舶用表示制御装置。
【請求項9】
船舶が有する推進器を制御するために操船者によって操作される操作部と、
前記操作部の操作位置、前記操作位置に応じた前記推進器の目標回転数、及び前記推進器の実回転数、を少なくとも含む動作情報を取得する取得部と、
前記目標回転数と前記実回転数とに基づいて推進器を制御する推進制御部と、
前記動作情報と、前記動作情報に対応する表示項目と、が表示される表示部と、
前記目標回転数と前記実回転数とを用いて前記推進器の動作状態を判断する判断部と、
前記推進器の動作状態の判断結果に応じて、前記表示部に表示させる前記表示項目を決定する決定部と、
決定された前記表示項目と、当該表示項目に対応する前記動作情報と、を前記表示部に表示させる表示制御部と、を備える
舶用操縦装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舶用表示制御装置及び舶用操縦装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶の機関遠隔制御操縦装置は、主機関を監視、制御するための各種の制御設定値の入力を主機リモコン装置で行っている。このようなリモコン装置は、表示画面を有している。表示画面には、まず運航に必要な運航情報が表示され、さらに詳しい情報を見たい場合に選択ボタン等を操船者が選択することで詳細画面を表示している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のリモコン装置では、表示画面に項目が固定されており、詳細画面に移動する必要がある等、情報把握に負担がかかっていた。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、操船者が表示部の中から必要な情報をすぐに把握することができる舶用表示制御装置及び舶用操縦装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る舶用表示制御装置は、船舶が有する推進器の動作に関する動作情報と、前記動作情報に対応する表示項目と、が表示される表示部と、前記推進器の目標回転数と実回転数とを用いて前記推進器の動作状態を判断する判断部と、前記推進器の動作状態の判断結果に応じて、前記表示部に表示させる前記表示項目を決定する決定部と、決定された前記表示項目と、当該表示項目に対応する前記動作情報と、を前記表示部に表示させる表示制御部と、を備える舶用表示制御装置である。
(1)によれば、推進器の動作状態に応じた項目に対応する動作情報が表示されるため、すべての情報が表示される場合と比較して操船者は表示部の中から必要な情報をすぐに把握することができる。
【0007】
(2)上記(1)に記載の舶用表示制御装置では、前記表示項目は、第1の表示項目と、前記第1の表示項目と異なる第2の表示項目と、を含み、前記推進器の動作状態は、第1の動作状態と、前記第1の動作状態と異なる第2の動作状態と、を含み、前記決定部は、前記推進器の動作状態が前記第1の動作状態であると判断される場合、前記第1の表示項目を前記表示部に表示させると決定し、前記推進器の動作状態が前記第2の動作状態であると判断される場合、前記第2の表示項目を前記表示部に表示させると決定するようにしてもよい。
(2)によれば、第n(nはい1または2の整数)の動作状態に応じた第nの表示項目が表示されるため、すべての情報が表示される場合と比較して操船者が表示部の中から必要な情報をすぐに把握することができる。
【0008】
(3)上記(2)に記載の舶用表示制御装置では、選択操作を受け付ける受付部を更に備え、前記表示制御部は、前記選択操作が受け付けられた場合に、前記表示部に表示させる表示画面を第1画面から第2画面に切り替え、前記第1画面は、決定された前記表示項目と、当該表示項目に対応する前記動作情報と、が表示される画面であり、前記第2画面は、前記決定部の決定によらず、前記第1の表示項目及び前記第2の表示項目と、前記第1の表示項目及び前記第2の表示項目それぞれに対応する動作情報と、が表示される画面であるようにしてもよい。
(3)によれば、第1画面を見れば、推進器の動作状態に応じて決められた表示項目と当該項目に対応する動作情報とが確認できるため、操船者は必要な情報をすぐに把握することができる。一方で、すべての情報を確認したい場合には、第2画面に切り替えれば確認できるため、利便性を向上させることが出来る。
【0009】
(4)上記(3)に記載の舶用表示制御装置では、前記表示画面は、前記第1画面と前記第2画面を含む複数の画面の各々に対応する複数のタブが表示されるタブ表示領域と、前記複数のタブの内の選択されたタブに対応する画面が表示される画面表示領域と、を有し、前記選択操作は、前記表示部の前記タブ表示領域に表示された前記複数のタブのいずれかを選択する操作であるようにしてもよい。
(4)によれば、第2画面に切り替えることで、すべての情報を確認できるため、操船者にとって利便性が向上する。
【0010】
(5)上記(4)に記載の舶用表示制御装置では、前記表示制御部は、前記第1画面に表示される前記表示項目を前記動作状態毎に編集可能である編集画面を前記表示部に表示させるようにしてもよい。
(5)によれば、操船者自らが表示項目を編集可能であるため、情報把握がより容易になる。
【0011】
(6)上記(1)及び(5)のいずれか1つに記載の舶用表示制御装置では、前記推進器は、圧縮空気を使用して始動されるエンジンであり、前記動作状態は、前記エンジンが空気始動を行う始動状態である第1状態と、前記エンジンの空気始動が完了した運転状態又は前記エンジンが停止している停止状態である第2状態と、を含み、前記決定部は、前記第1状態と前記第2状態のうちの前記第1状態であると判断される場合にのみ前記圧縮空気の圧力を示す項目を前記表示部に表示させる前記表示項目として決定するようにしてもよい。
(6)によれば、停止状態や運転状態では不必要な圧縮空気の圧力を示す情報が表示されないため、情報把握がより容易になる。
【0012】
(7)上記(6)に記載の舶用表示制御装置では、前記第2状態は、前記エンジンの空気始動が完了した運転状態であり、前記決定部は、前記第1状態と前記第2状態のうちの前記第2状態であると判断される場合にのみ前記エンジンのコンディションを示す項目を前記表示部に表示させる前記表示項目として決定するようにしてもよい。
(7)によれば、始動状態では不必要なエンジンのコンディションを示す情報が表示されないため、情報把握がより容易になる。
【0013】
(8)上記(6)に記載の舶用表示制御装置では、前記決定部は、前記第1状態と前記第2状態のうちの前記第1状態であると判断される場合にのみ前記エンジンの危急停止指令が出力されているか否かを示す項目を前記表示部に表示させる前記表示項目として決定するようにしてもよい。
(8)によれば、始動時に生じやすい危急停止状態が把握しやすくなる。
【0014】
(9)上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る舶用操縦装置は、船舶が有する推進器を制御するために操船者によって操作される操作部と、前記操作部の操作位置、前記操作位置に応じた前記推進器の目標回転数、及び前記推進器の実回転数、を少なくとも含む動作情報を取得する取得部と、前記目標回転数と前記実回転数とに基づいて推進器を制御する推進制御部と、前記動作情報と、前記動作情報に対応する表示項目と、が表示される表示部と、前記目標回転数と前記実回転数とを用いて前記推進器の動作状態を判断する判断部と、前記推進器の動作状態の判断結果に応じて、前記表示部に表示させる前記表示項目を決定する決定部と、決定された前記表示項目と、当該表示項目に対応する前記動作情報と、を前記表示部に表示させる表示制御部と、を備える舶用操縦装置である。
(9)によれば、推進器の動作状態に応じた項目に対応する動作情報が表示されるため、すべての情報が表示される場合と比較して操船者は表示部の中から必要な情報をすぐに把握することができる。
【発明の効果】
【0015】
上記(1)~(9)によれば、推進器の動作状態に応じた項目に対応する動作情報が表示されるため、すべての情報が表示される従来技術と比較して操船者が表示部の中から必要な情報をすぐに把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態に係る船舶の概略構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る表示部に表示される情報例を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る舶用操縦装置が行う処理手順のフローチャートである。
【
図4】第2実施形態に係る船舶の概略構成を示す図である。
【
図5】第2実施形態に係る表示部に表示される情報例を示す図である。
【
図6】第2実施形態に係る舶用操縦装置が行う処理手順のフローチャートである。
【
図7】第3実施形態に係る表示部に表示される情報例を示す図である。
【
図8】第4実施形態に係る船舶の概略構成を示す図である。
【
図9】第4実施形態に係る表示部に表示される情報例を示す図である。
【
図10】第4実施形態の変形例における表示部に表示される情報例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づいて」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づいて」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0018】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る船舶の概略構成を示す図である。
図1のように、船舶1は、例えば、舶用操縦装置10と、推進器90と、備える。
舶用操縦装置10は、例えば、推進制御部20と、操作部25と、舶用表示制御装置30と、を備える。
舶用表示制御装置30は、例えば、取得部35と、判断部40と、決定部50と、表示制御部60と、表示部70と、を備える。
推進器90は、例えば、原動機92と、プロペラ94と、を備える。
【0019】
原動機92は、プロペラ94を回転させて船舶1の船体を推進させる推進力を発生させる推進機構である。原動機92は、船体を推進させ得るものであればよく、例えばエンジンまたはモータである。原動機92は、原動機92を運転するために、原動機92の回転数(または回転速度)や出力するトルクに応じた量の燃料または電力を消費する。
プロペラ94は、原動機92によって回転させられる、例えばスクリュープロペラである。なお、プロペラ94は、例えば翼角可変の可変ピッチプロペラであってもよい。
【0020】
推進制御部20は、例えば、操作部25の操作位置に応じた指令値に基づいて推進器90の推進力を制御する。
【0021】
操作部25は、例えばテレグラフハンドルである。操作部25は、例えばハンドルまたレバーを備える。なお、テレグラフハンドルは、船舶1の船橋や機関室から、船舶1の推進力を発生させる原動機92の出力を指令するための操縦装置であり、操縦レバーの操作量に応じた指令値を原動機92に出力する。テレグラフハンドルの筐体には、例えば、操縦レバーの位置に対応した船舶1の推進速度の程度を示す文字列が印字されている。なお、操作部25が指令を送る装置は、例えばダイヤルである。
【0022】
取得部35は、操作部25の操作位置に応じた推進器90の目標回転数、及び推進器90の実回転数、を少なくとも含む動作情報を取得する。なお、取得部35は、操作部25の操作位置も取得するようにしてもよい。
【0023】
判断部40は、取得部35から推進器90の目標回転数と実回転数とを取得する。なお、判断部40は、目標回転数を、推進制御部20から取得するようにしてもよい。また、判断部40は、実回転数を、例えば原動機92とプロペラ94を接続する軸に取り付けられているプロペラ軸回転計から取得するようにしてもよい。判断部40は、推進器90の目標回転数と実回転数とを用いて推進器90の動作状態を判断する。判断部40は、例えば、動作状態が第1の動作状態であるか、第1の動作状態と異なる第2の動作状態であるかを判断する。
【0024】
決定部50は、判断部40が判断した推進器90の動作状態の判断結果に応じて、表示部70に表示させる表示項目を決定する。なお、動作情報は、例えば、具体的な動作値や動作モード名等である。また、表示項目は、例えば、原動機92の回転数や動作モード等のカテゴリ名称等である。決定部50は、推進器90の動作状態が第1の動作状態であると判断される場合に、第1の表示項目を表示部70に表示させると決定する。決定部50は、推進器90の動作状態が第2の動作状態であると判断される場合に、第1の表示項目と異なる第2の表示項目を表示部70に表示させると決定する。
【0025】
表示制御部60は、決定部50によって決定された表示項目と、表示項目に対応する動作情報と、を表示部70に表示させる。
【0026】
表示部70は、推進器90の動作に関する動作情報と、動作情報に対応する表示項目と、が表示制御部60によって表示される。
【0027】
なお、判断部40、決定部50、及び表示制御部60は、例えば、CPU(中央演算装置)、DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、記憶部等で構成されていてもよい。
【0028】
次に、表示部70に表示される情報例を説明する。
図2は、本実施形態に係る表示部70に表示される情報例を示す図である。符号g10は、第1の表示状態であり、第1の表示項目g11と、第1の動作情報g12とが、表示部70の画面内に表示される。符号g20は、第2の表示状態であり、第2の表示項目g21と、第2の動作情報g22とが、表示部70の画面内に表示される。
【0029】
なお、
図2に示した表示状態は一例であり、これに限らない。例えば、表示部70の画面には、表示項目と動作情報以外の項目や情報が表示されていてもよい。他の項目や情報は、例えば、操作部25が有するハンドルの位置、船舶用始動エアレシーバの気圧、プロペラ軸回転計の測定値、船舶1が備える各制御システムの状態等である。
【0030】
次に、舶用操縦装置10が行う処理手順例を説明する。
図3は、本実施形態に係る舶用操縦装置10が行う処理手順のフローチャートである。
【0031】
(ステップS1)取得部35は、操作部25の操作位置、操作位置に応じた推進器90の目標回転数、及び推進器90の実回転数、を少なくとも含む動作情報を取得する。
【0032】
(ステップS2)判断部40は、取得部35から推進器90の目標回転数と実回転数とを取得する。判断部40は、推進器90の目標回転数と実回転数とを用いて推進器90の動作状態を判断する。
【0033】
(ステップS3)判断部40は、動作状態が第1の動作状態であるか、第1の動作状態と異なる第2の動作状態であるかを判断する。判断部40は、動作状態が第1の動作状態であると判断した場合(ステップS3;第1の動作状態)、ステップS4の処理に進める。判断部40は、動作状態が第2の動作状態であると判断した場合(ステップS3;第2の動作状態)、ステップS5の処理に進める。
【0034】
(ステップS4)決定部50は、推進器90の動作状態が第1の動作状態であると判断された場合に、第1の表示項目を表示部70に表示させると決定する。表示制御部60は、第1の表示項目と、第1の動作情報と、を表示部70に表示させる。表示制御部60は、処理後、ステップS1の処理に戻す。
【0035】
(ステップS5)決定部50は、推進器90の動作状態が第2の動作状態であると判断された場合に、第2の表示項目を表示部70に表示させると決定する。表示制御部60は、第2の表示項目と、第2の動作情報と、を表示部70に表示させる。表示制御部60は、処理後、ステップS1の処理に戻す。
【0036】
なお、上述した例では、動作状態が2つの例を説明したが、動作状態は3つ以上であってもよい。この場合、判断部40は、推進器90の目標回転数と実回転数とを用いて推進器90の動作状態が第n(nは1以上の整数)の動作状態であるかを判断するようにしてもよい。そして、決定部50は、推進器90の動作状態が第nの動作状態であると判断される場合に、第nの表示項目を表示部70に表示させると決定するようにしてもよい。そして、表示制御部60は、第nの表示項目と、第nの動作状態と、を表示部70に表示させるようにしてもよい。
【0037】
以上のように、本実施形態によれば、推進器90の動作状態に応じた項目に対応する動作情報が表示されるため、すべての情報が表示される場合と比較して操船者が表示部70の中から必要な情報をすぐに把握することができる。
また、本実施形態によれば、第nの動作状態に応じた第nの表示項目が表示されるため、すべての情報が表示される場合と比較して操船者が表示部70の中から必要な情報をすぐに把握することができる。
【0038】
<第2実施形態>
図4は、本実施形態に係る船舶の概略構成を示す図である。
図4のように、船舶1Aは、例えば、舶用操縦装置10Aと、推進器90と、備える。
舶用操縦装置10Aは、例えば、推進制御部20と、操作部25と、舶用表示制御装置30Aと、を備える。
舶用表示制御装置30Aは、例えば、取得部35と、判断部40と、決定部50と、表示制御部60Aと、表示部70と、受付部80と、を備える。
推進器90は、例えば、原動機92と、プロペラ94と、を備える。
【0039】
受付部80は、例えば、表示部70の画面上に設けられているタッチパネルセンサー、押しボタンスイッチ、スライドスイッチ等のうちのいずれかである。受付部80は、操船者による選択操作を受け付ける。選択操作は、例えば、画面の切り替え指示等である。
【0040】
表示制御部60Aは、選択操作を受け付けた場合に、表示部70に表示させる表示画面を第a(aは1または2の整数)画面から第b(bはa以外であり、1または2の整数)画面に切り替える。例えば、第1画面は、決定部50によって決定された表示項目と、表示項目に対応する動作情報と、が表示される画面である。第2画面は、決定部50の決定によらず、第1表示項目及び第2表示項目と、第1表示項目及び第2表示項目に対応する動作情報と、が表示される画面である。
【0041】
次に、表示部70に表示される情報例を説明する。
図5は、本実施形態に係る表示部70に表示される情報例を示す図である。なお、
図5の例は、受付部80が、表示部70の画面上に設けられているタッチパネルセンサーの例である。
【0042】
符号g30は、第1画面であり、決定部50によって決定された表示項目g31と、表示項目g31に対応する動作情報g32とが、表示部70の画面内に表示される。符号g30では、受付部80が、操船者によってボタン画像g51を選択操作として選択されたことを受け付けた例である。このように、選択操作は、表示部70のタブ表示領域に表示された複数のタブのいずれかを選択する操作である。符号g51は、第1画面を選択する場合に選択されるボタン画像である。符号g52は、第2画面を選択する場合に選択されるボタン画像である。なお、
図5の例では、ボタン画像の例として、タブを示している。また、鎖線で囲んだ四角の領域(g53)は、タブ表示領域である。また、符号g33の領域は、複数のタブの内の選択されたタブに対応する画面が表示される画面表示領域である。
【0043】
符号g40は、第2画面あり、第1の表示項目g41と、第1の表示項目に対応する第1の動作項目g42が表示部70に表示される。符号g40では、受付部80が、操船者によってボタン画像g52を選択操作として選択されたことを受け付けた例である。なお、表示制御部60Aは、第1の表示項目g41と第1の動作項目g42との対応を示すように、枠g43で囲んで表示させるようにしても良い。また、第2の表示項目g44と、第2の表示項目に対応する第2の動作項目g45が表示部70に表示される。なお、表示制御部60Aは、第2の表示項目g44と第2の動作項目g45との対応を示すように、枠g46で囲んで表示させるようにしても良い。また、符号g47の領域は、複数のタブの内の選択されたタブに対応する画面が表示される画面表示領域である。
【0044】
なお、
図5に示した画面は一例であり、これに限らず、他の情報が表示されていても良い。また、表示制御部60Aは、
図5のように、選択されたボタン画像と選択されていないボタン画像とを、表示状態(例えば輝度、色等)を変化させて表示するようにしてもよい。また、ボタン画像は、例えばタブ画像であってもよい。また、上述した例では、第1画面と第2画面との2つを切り替える例を示したが、切り替える画面の数は3つ以上であってもよい。この場合、ボタン画像は、切り替える画面に応じた個数が表示部70上に表示される。
【0045】
図5のように、表示画面は、第1画面と第2画面を含む複数の画面の各々に対応する複数のタブ(g51、g52)が表示されるタブ表示領域(g53)と、複数のタブの内の選択されたタブに対応する画面が表示される画面表示領域(g33、g47)と、を有している。
【0046】
次に、舶用操縦装置10Aが行う処理手順例を説明する。
図6は、本実施形態に係る舶用操縦装置10Aが行う処理手順のフローチャートである。
【0047】
(ステップS11)受付部80は、操船者による選択操作を受け付けたか否か判別する。受付部80は、操作選択を受け付けた場合(ステップS11;YES)、ステップS12の処理に進める。受付部80は、操作選択を受け付けてない場合(ステップS11;NO)、ステップS11の処理を繰り返す。
【0048】
(ステップS12)表示制御部60Aは、受け付けた選択操作が第1画面であるか第2画面であるかを判別する。表示制御部60Aは、受け付けた選択操作が第1画面である場合(ステップS12;第1画面)、ステップS13の処理に進める。表示制御部60Aは、受け付けた選択操作が第2画面である場合(ステップS12;第2画面)、ステップS14の処理に進める。
【0049】
(ステップS13)表示制御部60Aは、決定部50によって決定された表示項目と、表示項目に対応する動作情報とを第1画面として表示部70の画面内に表示させることで、第2画面から第1画面に切り替える。表示制御部60Aは、処理後、ステップS11の処理に戻す。
【0050】
(ステップS14)表示制御部60Aは、第1の表示項目と第1の表示項目に対応する第1の動作項目と、および第2の表示項目と第2の表示項目に対応する第2の動作項目と、を第2画面として表示部70の画面内に表示させることで、第1画面から第2画面に切り替える。表示制御部60Aは、処理後、ステップS11の処理に戻す。
【0051】
以上のように、本実施形態によれば、第1画面を見れば、推進器90の動作状態に応じて決められた表示項目と当該項目に対応する動作情報とが確認できるため、操船者は必要な情報をすぐに把握することができる。また、本実施形態によれば、第2画面に切り替えることで、すべての情報を確認できるため、操船者にとって利便性が向上する。
【0052】
<第3実施形態>
上述した実施形態では、表示制御部(60または60A)が表示する情報と、表示する位置や配置は予め定められたものである例を説明した。本実施形態では、表示する情報が編集可能である例を説明する。なお、船舶の構成は、例えば、第2実施形態の船舶1Aと同様の構成である。
【0053】
受付部80が受け付ける選択操作には、画面の編集指示も含まれる。受付部80は、例えば、画面を選択するボタン画像(
図5の符号g51、g52)が選択された場合に、画面切り替え指示として選択操作を受け付ける。また、受付部80は、画面を編集する画面編集ボタン画像が選択された場合に、画面編集指示として選択操作を受け付ける。
【0054】
表示制御部60Aは、受付部80が受け付けた選択操作が画面編集指示の場合に、表示部70の例えば空き領域に、編集画面を表示させる。
【0055】
次に、表示部70に表示される情報例を説明する。
図7は、本実施形態に係る表示部70に表示される情報例を示す図である。なお、
図7の例は、受付部80が、表示部70の画面上に設けられているタッチパネルセンサーの例である。
【0056】
符号g100は、画面編集ボタン画像(g121)が選択されていない状態の画面例であり、例えば第2実施形態における第1画面である。この画面において、符号g101は第1画面を選択するボタン画像であり、符号g102は第2画面を選択するボタン画像であり、鎖線の四角で囲んだ領域g103はタブ表示領域である。また、符号g111は決定部50が決定した表示項目であり、符号g112は表示項目に対応する動作情報である。そして、符号g121は、画面編集ボタン画像である。
【0057】
符号g110は、画面編集ボタン画像(g121)が選択された場合に、表示部70上に表示される編集画面の例である。鎖線の四角で囲んだ領域g133は、編集領域である。
図7の例では、符号g100の画面において、空き領域g122に編集領域を表示する例でもある。また、符号g131は表示させる表示項目の候補であり、符号g132は、表示させる表示項目の候補に対応する表示させたい動作情報の候補である。
【0058】
なお、表示制御部60Aは、編集画面において、例えば、編集可能である表示させる表示項目のリストを編集画面に表示させるようにしてもよい。このような場合、受付部80は、操船者が選択した表示項目を受け付けるようにしても良い。
また、表示制御部60Aは、編集画面で選択された表示させる表示項目の候補と、表示させる表示項目の候補に対応する表示させたい動作情報の候補とを、第1画面に追加する。
【0059】
なお、
図7では、第1画面を編集する例を説明したが、これに限らず、他の情報が表示されていても良い。例えば、第2画面(
図5の符号g40)が編集可能であってもよい。第2画面を編集する場合、表示制御部60Aは、第2画面の空き領域に画面編集ボタン画像を表示させ、第2画面の空き領域に編集画面を表示させるようにしてもよい。または、第2画面を編集する場合、表示制御部60Aは、第2画面の空き領域に画面編集ボタン画像を表示させ、第2画面上に編集画面のレイヤーを重ねて表示させるようにしてもよい。
【0060】
本実施形態によれば、操船者自らが表示項目を編集可能であるため、情報把握がより容易になる。
【0061】
<第4実施形態>
本実施形態では、推進器が圧縮空気を使用して始動されるエンジンの例を説明する。
図8は、本実施形態に係る船舶の概略構成を示す図である。
図8のように、船舶1Bは、例えば、舶用操縦装置10Bと、推進器90Bと、備える。
舶用操縦装置10Bは、例えば、推進制御部20と、操作部25と、舶用表示制御装置30Bと、を備える。
舶用表示制御装置30Bは、例えば、取得部35と、判断部40と、決定部50Bと、表示制御部60Bと、表示部70と、を備える。
推進器90Bは、例えば、エンジン96と、プロペラ94と、を備える。
【0062】
エンジン96は、例えば圧縮空気を使用して始動されるエンジンである。
【0063】
決定部50Bは、第1状態と第2状態のうちの第1状態であると判断される場合にのみ、圧縮空気の圧力を示す項目を表示部70に表示させる表示項目として決定する。第1状態は、エンジン96が空気始動を行う始動状態である。第2状態は、エンジン96の空気始動が完了した運転状態又はエンジン96が停止している停止状態である。なお、本実施形態において、動作状態は、第1状態と第2状態とを含む。
【0064】
または、決定部50Bは、第1状態2状態のうちの第2状態であると判断される場合にのみ、エンジン96のコンディションを示す項目を表示部70に表示させる表示項目として決定する。第1状態は、エンジン96が空気始動を行う始動状態である。第2状態は、エンジン96の空気始動が完了した運転状態である。なお、本実施形態において、動作状態は、第1状態と第2状態とを含む。
【0065】
表示制御部60Bは、決定部50Bが決定した決定結果に基づいて、表示部70に表示項目と動作情報を表示させる。
【0066】
次に、表示部70に表示される情報例を説明する。
図9は、本実施形態に係る表示部70に表示される情報例を示す図である。なお、
図9に示した例は一例であり、これに限らず、他の情報が表示されていても良い。
【0067】
符号g200において、第1状態はエンジン96が空気始動を行う始動状態であり、第2状態はエンジン96の空気始動が完了した運転状態又はエンジン96が停止している停止状態である。そして、決定部50Bが、第1状態であると判断した場合に表示される画面例である。この場合は、表示項目として例えば「圧縮空気の圧力」(g201)と、動作情報として圧縮空気の圧力値(g202)とが表示部70に表示される。
【0068】
符号210において、第1状態はエンジン96が空気始動を行う始動状態であり、第2状態はエンジン96の空気始動が完了した運転状態又はエンジン96が停止している停止状態である。そして、決定部50Bが、第2状態であると判断した場合に表示される画面例である。この場合は、表示項目として例えば「エンジンのコンディション」(g211)と、動作情報としてエンジンのコンディション(g212)とが表示部70に表示される。なお、動作情報のエンジンのコンディションの表示は、例えば、「停止」、「正常動作」、「異常動作」等である。
【0069】
以上のように、本実施形態によれば、停止状態や運転状態では不必要な圧縮空気の圧力を示す情報が表示されないため、情報把握がより容易になる。
また、本実施形態によれば、始動状態では不必要なエンジンのコンディションを示す情報が表示されないため、情報把握がより容易になる。
【0070】
(変形例)
舶用操縦装置10Bは、エンジンの危急停止指令が出力されているか否かを示す表示項目を表示させるようにしてもよい。
この場合、決定部50Bは、第1状態と第2状態のうちの第1状態であると判断される場合にのみ、エンジン96の危急停止指令が出力されているか否かを示す項目を表示部70に表示させる表示項目として決定する。
【0071】
図10は、本実施形態の変形例における表示部70に表示される情報例を示す図である。
図10は、決定部50Bが、第1状態であると判断した場合に表示される画面例である。この場合は、表示項目として例えば「エンジンの緊急停止指示の出力状態」(g221)と、動作情報としてエンジンの緊急停止指示の出力状態(g222)とが表示部70に表示される。なお、動作情報のエンジンの緊急停止指示の出力状態の表示は、例えば、「出力有り」、「出力無し」等である。
【0072】
以上のように、本実施形態によれば、始動時に生じやすい危急停止状態が把握しやすくなる。
【0073】
なお、本発明における判断部40、決定部50(または50B)及び表示制御部60(または60A、60B)の機能の全てまたは一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより判断部40、決定部50(または50B)及び表示制御部60(または60B)が行う処理の全てまたは一部を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0074】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0075】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0076】
1,1A,1B…船舶、10,10A,10B…舶用操縦装置、20…推進制御部、25…操作部、30,30A,30B…舶用表示制御装置、35…取得部、40…判断部、50,50B…決定部、60,60A,60B…表示制御部、70…表示部、80…受付部、90,90B…推進器、92…原動機、94…プロペラ、96…エンジン