(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117451
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】マイクロミキサーおよびマイクロミキサーエレメント
(51)【国際特許分類】
B01F 33/301 20220101AFI20240822BHJP
【FI】
B01F33/301
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023563
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】芝浦機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 克敏
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 敦
【テーマコード(参考)】
4G036
【Fターム(参考)】
4G036AC70
(57)【要約】
【課題】多種多量の流体混合に対して設置スペースおよび製造コストを抑制できるマイクロミキサーおよびマイクロミキサーエレメントを提供する。
【解決手段】本体ブロック10と、本体ブロック10に組み込まれるマイクロミキサーエレメント20とを有し、マイクロミキサーエレメント20には、第1流体が供給される第1分岐通路と第2流体が供給される第2分岐通路とが交互に配置された混合区画23,23Aが複数形成され、本体ブロック10には、混合区画23,23Aの外で第1分岐通路に連通する第1供給通路31,31Aと、混合区画23,23Aの外で第2分岐通路に連通する第2供給通路32、32Aと、混合区画23,23Aで第1分岐通路および第2分岐通路に連通するミキシング通路33,33Aとが形成され、第1供給通路31,31A、第2供給通路32,32A、およびミキシング通路33,33Aが、混合区画23,23Aごとに複数形成される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ブロックと、前記本体ブロックに組み込まれるマイクロミキサーエレメントとを有し、
前記マイクロミキサーエレメントには、第1流体が供給される第1分岐通路と第2流体が供給される第2分岐通路とが交互に配置された混合区画が複数形成され、
前記本体ブロックには、前記混合区画の外で前記第1分岐通路に連通する第1供給通路と、前記混合区画の外で前記第2分岐通路に連通する第2供給通路と、前記混合区画で前記第1分岐通路および前記第2分岐通路に連通するミキシング通路と、が形成され、
前記第1供給通路、前記第2供給通路、および前記ミキシング通路が、前記混合区画ごとに複数形成されているマイクロミキサー。
【請求項2】
請求項1に記載のマイクロミキサーにおいて、
複数の前記第1供給通路どうしを互いに連通する第1連通路と、複数の前記第2供給通路どうしを互いに連通する第2連通路と、複数の前記ミキシング通路どうしを互いに連通する第3連通路と、の少なくともいずれかを有するマイクロミキサー。
【請求項3】
本体ブロックに組み込まれてマイクロミキサーを形成するマイクロミキサーエレメントであって、
第1流体が供給される第1分岐通路と第2流体が供給される第2分岐通路とが交互に配置された混合区画が複数形成されているマイクロミキサーエレメント。
【請求項4】
請求項3に記載のマイクロミキサーエレメントにおいて、
一対の外面および各外面を接続する複数の側面を有する基材を有し、
複数の前記混合区画が前記基材の異なる側面に形成され、
前記基材には、前記混合区画の外で前記第1分岐通路どうしを互いに連通する第1連通部と、前記混合区画の外で前記第2分岐通路どうしを互いに連通する第2連通部と、複数の前記混合区画どうしを互いに連通する第3連通部と、の少なくともいずれかを有するマイクロミキサーエレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の流体を精密に混合するためのマイクロミキサーおよびマイクロミキサーエレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の流体を精密に混合するために、エレメントに形成された交互溝により微細な交互層流を形成するマイクロミキサーが用いられている。
そして、交互溝のさらなる微少化および通路内面の平滑化の要望に対して、これを実現するマイクロミキサー、マイクロミキサーエレメント、およびその製造方法が、本願出願人により開発されている(特許文献1~3参照)。
【0003】
特許文献1では、エレメントが3枚の板材で構成され、各板材の上面に所定のピッチで多数の溝が形成されており、3枚の板材を重ね合わせることでエレメントの上面に微小かつ平滑な交互溝が得られる。
特許文献2では、各板材に形成する溝の形状を改めることで、2枚の板材でエレメントが構成され、構造および製造が簡素化されている。
特許文献3では、エレメントが分岐通路の方向に沿った多数の板材を積層して構成され、各板材の重ね合わせ面に凹部を形成しておくことで、積層した際に凹部により交互溝が構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5864236号公報
【特許文献2】特許第6006969号公報
【特許文献3】特開2017-148796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1~3のマイクロミキサーおよびエレメントでは、混合するための流路が1系統であり、ミキサー本体には混合すべき2つの流体のポートおよび混合された流体のポートが各1個形成され、エレメントには上面に交互溝が1区画だけであった。
このため、多量の流体の混合や多種の流体の混合に利用する場合、多数のミキサー本体およびエレメントが必要になるとともに、各ポートに接続する配管も多数にわたり、設置スペースの増大や製造コストの増大をまねいていた。
【0006】
本発明の目的は、多種多量の流体混合に対して設置スペースおよび製造コストを抑制できるマイクロミキサーおよびマイクロミキサーエレメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマイクロミキサーは、本体ブロックと、前記本体ブロックに組み込まれるマイクロミキサーエレメントとを有し、前記マイクロミキサーエレメントには、第1流体が供給される第1分岐通路と第2流体が供給される第2分岐通路とが交互に配置された混合区画が複数形成され、前記本体ブロックには、前記混合区画の外で前記第1分岐通路に連通する第1供給通路と、前記混合区画の外で前記第2分岐通路に連通する第2供給通路と、前記混合区画の前記第1分岐通路および前記第2分岐通路に連通するミキシング通路と、が形成され、前記第1供給通路、前記第2供給通路、および前記ミキシング通路が、前記混合区画ごとに複数形成されている。
【0008】
このような本発明では、第1流体が本体ブロックの第1供給通路からマイクロミキサーエレメントの第1分岐通路に供給され、第2流体が本体ブロックの第2供給通路からマイクロミキサーエレメントの第2分岐通路に供給される。これらの流体は、第1分岐通路と第2分岐通路とが交互溝となる混合区画において微細な交互層流として混合され、本体ブロックのミキシング通路から取り出される。
本発明においては、このようなミキシング系統(第1分岐通路、第2分岐通路、混合区画)が、1つのマイクロミキサーに複数形成されるため、多量の流体の混合や多種の流体の混合に利用する場合でも、必要なマイクロミキサーの数を削減できる。併せて、マイクロミキサーの各ポートに接続する配管の数も削減でき、これにより設置スペースの増大や製造コストの増大を回避できる。
【0009】
本発明のマイクロミキサーにおいて、複数の前記第1供給通路どうしを互いに連通する第1連通路と、複数の前記第2供給通路どうしを互いに連通する第2連通路と、複数の前記ミキシング通路どうしを互いに連通する第3連通路と、の少なくともいずれかを有することが好ましい。
【0010】
このような本発明では、本体ブロックおよびマイクロミキサーエレメントに複数のミキシング系統を設ける場合でも、本体ブロックの外面に形成されるポートの数を削減できる。例えば、複数の第1供給通路を互いに連通させることで、1つのポートで複数の第1供給通路に第1流体を供給でき、第2供給通路およびミキシング通路についても同様である。その結果、マイクロミキサーのポートの数を削減でき、各ポートに接続する配管の数も削減でき、これにより設置スペースの増大や製造コストの増大を回避できる。
【0011】
本発明のマイクロミキサーエレメントは、本体ブロックに組み込まれてマイクロミキサーを形成するマイクロミキサーエレメントであって、第1流体が供給される第1分岐通路と第2流体が供給される第2分岐通路とが交互に配置された混合区画が複数形成されている。
このような本発明のマイクロミキサーエレメントでは、前述した本発明のマイクロミキサーの本体ブロックに組み込むことで、前述した本発明のマイクロミキサーの効果を得ることができる。
【0012】
本発明のマイクロミキサーエレメントにおいて、一対の外面および各外面を接続する複数の側面を有する基材を有し、複数の前記混合区画が前記基材の異なる側面に形成され、
前記基材には、前記混合区画の外で前記第1分岐通路どうしを互いに連通する第1連通部と、前記混合区画の外で前記第2分岐通路どうしを互いに連通する第2連通部と、複数の前記混合区画どうしを互いに連通する第3連通部と、の少なくともいずれかを有することが好ましい。
【0013】
このような本発明では、本体ブロックおよびマイクロミキサーエレメントに複数のミキシング系統を設ける場合でも、本体ブロックの外面に形成されるポートの数を削減できる。例えば、複数の混合区画に至る第1分岐通路どうしを互いに連通させることで、1つのポートで複数の混合区画の第1分岐通路に第1流体を供給でき、第2分岐通路および混合区画についても同様である。その結果、マイクロミキサーのポートの数を削減でき、各ポートに接続する配管の数も削減でき、これにより設置スペースの増大や製造コストの増大を回避できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、多種多量の流体混合に対して設置スペースおよび製造コストを抑制できるマイクロミキサーおよびマイクロミキサーエレメントを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態のマイクロミキサーを示す斜視図。
【
図2】前記第1実施形態のマイクロミキサーを示す他の角度から見た斜視図。
【
図3】前記第1実施形態のマイクロミキサーの内部構造を示す縦断面図。
【
図4】前記第1実施形態のマイクロミキサーの内部構造を示す他の部分の縦断面図。
【
図5】前記第1実施形態のマイクロミキサーのエレメント部分を示す縦断面図。
【
図6】前記第1実施形態のマイクロミキサーのエレメント部分を示す他の方向の縦断面図。
【
図7】前記第1実施形態のマイクロミキサーのエレメント部分を示す平断面図。
【
図8】前記第1実施形態のマイクロミキサーのエレメント部分を示す他の部分の平面図。
【
図9】前記第1実施形態のマイクロミキサーエレメントを示す斜視図。
【
図10】前記第1実施形態のマイクロミキサーエレメントを示す拡大正面図。
【
図11】前記第1実施形態のマイクロミキサーエレメントを示す拡大平面図。
【
図12】前記第1実施形態のマイクロミキサーエレメントを示す拡大断面図。
【
図13】前記第1実施形態のマイクロミキサーエレメントを示す拡大分解斜視図。
【
図14】前記第1実施形態のマイクロミキサーエレメントの貫通溝の加工を示す断面図。
【
図15】前記第1実施形態のマイクロミキサーエレメントの中途溝の加工を示す断面図。
【
図16】本発明の第2実施形態のマイクロミキサーのエレメント部分を示す縦断面図。
【
図17】前記第2実施形態のマイクロミキサーエレメントを示す斜視図。
【
図18】本発明の第3実施形態のマイクロミキサーのエレメント部分を示す縦断面図。
【
図19】前記第3実施形態のマイクロミキサーのエレメント部分を示す他の方向の縦断面図。
【
図20】前記第3実施形態のマイクロミキサーのエレメント部分を示す平断面図。
【
図21】前記第3実施形態のマイクロミキサーのエレメント部分を示す他の部分の平面図。
【
図22】本発明の第4実施形態のマイクロミキサーのエレメントを示す斜視図。
【
図23】本発明の他の実施形態のマイクロミキサーエレメントを示す模式図。
【
図24】本発明のさらに他の実施形態のマイクロミキサーエレメントを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1実施形態〕
図1から
図15には、本発明の第1実施形態が示されている。
このうち、
図1から
図4には、本実施形態のマイクロミキサーの本体ブロックの構成が示されている。
図5から
図8には、本実施形態のマイクロミキサーにおけるエレメントおよびその収容部分の構成が示されている。
図9から
図15には、本実施形態のマイクロミキサーエレメントが示されている。
【0017】
図1から
図4に示すように、本実施形態のマイクロミキサー1は、金属製の本体ブロック10を有する。
図1および
図2に示すように、本体ブロック10は、上から第1ブロック11、第2ブロック12、第3ブロック13を積層したものである。各ブロックはハステロイあるいはステンレス鋼などの耐食性を有する金属材料あるいはセラミックス材料から削り出し等の加工により製造される。
【0018】
図2および
図3に示すように、第3ブロック13および第2ブロック12は、第3ブロック13の底面から延びるボルト14により連結される。
図4に示されるように、第1ブロック11には上面のボルト孔15Aからボルト15が挿通され、このボルト15は第2ブロック12を貫通して第3ブロック13に螺合されている。
これらのボルト14,15により、第1ブロック11から第3ブロック13までが積層状態で一体化されている。
なお、第1ブロック11から第3ブロック13を積層する際に仮止めあるいは位置合わせを行うために、各ブロックには第3ブロック13の底面から第1ブロック11まで貫通する2本の挿通孔10Aが形成されている。
【0019】
図5から
図8に示すように、本実施形態のマイクロミキサー1は、本体ブロック10内に収容されたマイクロミキサーエレメント20を有する。
詳細は後述するが、マイクロミキサーエレメント20は、一対2枚の板材つまり第1板材21および第2板材22を重ね合わせたものである。
第2ブロック12には、マイクロミキサーエレメント20を収容するために、第2ブロック12の中央を貫通するスリット12Aが形成されている。
【0020】
図5に示すように、第2ブロック12の上面(第1ブロック11と接合される面)には、扁平な凹部からなる第1供給通路31および第2供給通路32が形成されており、第2ブロック12の下面(第3ブロック13と接合される面)には、扁平な凹部からなる第1供給通路31Aおよび第2供給通路32Aが形成されている。
上面側の第1供給通路31は、スリット12A内に固定された第1板材21の上端縁(第1ブロック11に近い辺縁)に臨んでおり、上面側の第2供給通路32は、スリット12A内に固定された第2板材22の上端縁(第1ブロック11に近い辺縁)に臨んでいる。
下面側の第1供給通路31Aは、スリット12A内に固定された第1板材21の下端縁(第3ブロック13に近い辺縁)に臨んでおり、下面側の第2供給通路32Aは、スリット12A内に固定された第2板材22の下端縁(第3ブロック13に近い辺縁)に臨んでいる。
【0021】
図8に示すように、第1供給通路31および第2供給通路32は、それぞれ平面形状がマイクロミキサーエレメント20に臨む側が拡がった二等辺三角形状とされている。第1供給通路31Aおよび第2供給通路32Aも同様な平面形状とされている。
第2ブロック12には、第1供給通路31,31Aの二等辺三角形状の頂点部分どうしを連通する第1連通路31B、および、第2供給通路32,32Aの二等辺三角形状の頂点部分どうしを連通する第2連通路32Bが形成されている。
これらの第1連通路31Bおよび第2連通路32Bにより、第1供給通路31と第1供給通路31Aとが互いに連通されるとともに、第2供給通路32と第2供給通路32Aとが互いに連通されている。
【0022】
図5および
図1に示すように、第1ブロック11には、前述した第1供給通路31および第2供給通路32の二等辺三角形状の頂点部分(第1連通路31Bおよび第2連通路32Bの開口に対向する位置)に連通する流入ポート16,17が形成されている。
流入ポート16は、第1ブロック11の上面に形成された傾斜部16Aに開口され、外部からの図示しない第1流体配管が接続され、これにより第1流体が第1供給通路31,31Aに供給される。
流入ポート17は、第1ブロック11の上面に形成された傾斜部17Aに開口され、外部からの図示しない第2流体配管が接続され、これにより第2流体が第2供給通路32,32Aに供給される。
【0023】
図5および
図6に示すように、第1ブロック11の下面側には、マイクロミキサーエレメント20の第1板材21および第2板材22の互いに接合された部分に臨むミキシング通路33が形成されている。ミキシング通路33は、上方に向かって二等辺三角形状に縮小し、その頂点は第1ブロック11の上面中央に形成された流出ポート18に連通されている。
同様に、第3ブロック13の上面側には、マイクロミキサーエレメント20の第1板材21および第2板材22の互いに接合された部分に臨むミキシング通路33Aが形成されている。ミキシング通路33Aは、下方に向かって二等辺三角形状に縮小し、その頂点は第3ブロック13の上面中央に形成された流出ポート18Aに連通されている。
流出ポート18,18Aには、それぞれ外部からの図示しない混合液配管が接続され、これにより第1流体と第2流体との混合液が取り出される。
【0024】
図9から
図13の各図に示すように、マイクロミキサーエレメント20は、第1板材21および第2板材22を重ね合わせたものである。
第1板材21および第2板材22は、それぞれ同じ幅、高さおよび厚さを有するセラミックス製の板材である。
これらの板材のセラミックス材料としては、アルミナ、SiC、ジルコニア等が利用できる。
【0025】
これらの第1板材21および第2板材22は、各々の第1ブロック11側の端面21A,22Aおよび第3ブロック13側の端面21F,22Fを有し、各々の端面21A,22A,21F,22Fにはそれぞれ貫通溝21B,22Bおよび中途溝21C,22Cが交互に形成されている。
貫通溝21B,22Bは、第1板材21および第2板材22の表面21D,22Dから裏面21E,22Eまで連続する所定深さの溝である。
中途溝21C,22Cは、第1板材21および第2板材22の表面21D,22Dから裏面21E,22Eに向けた中途位置まで連続した溝である。
これらの貫通溝21B,22Bおよび中途溝21C,22Cは、第1板材21および第2板材22を各々の表面21D,22Dを向かい合わせた状態で重ね合わせることにより、対向するものどうしが互いに接続される。これにより、第1板材21の貫通溝21Bは第2板材22の中途溝22Cに連通され、第2板材22の貫通溝22Bは第1板材21の中途溝21Cに連通される。
【0026】
図10および
図11に示すように、第1板材21および第2板材22において、貫通溝21B,22Bどうしは互いに同じ溝ピッチで形成されている。一方、貫通溝21B,22Bと中途溝21C,22Cとの間は前述した貫通溝21B,22Bどうしのピッチの半分の溝ピッチで形成されている。
第1板材21および第2板材22の貫通溝21B,22Bの溝幅および溝深さは、全体として一様に形成され、中途溝21C,22Cの表面21D,22Dにおける溝幅および溝深さも貫通溝21B,22Bと同じ溝幅および溝深さで形成されている。これらの溝深さは第1供給通路31および第2供給通路32の深さと略同じかやや浅くされている。
【0027】
第1板材21および第2板材22の貫通溝21B,22Bおよび中途溝21C,22Cは、それぞれ第1供給通路31、第2供給通路32、ミキシング通路33の幅(
図10および
図11で横方向)の範囲内に複数が配列されている。
第1板材21および第2板材22の中途溝21C,22Cは、それぞれミキシング通路33の厚み(
図11で縦方向)よりやや大きい範囲まで延びるように、表面21D,22Dから裏面21E,22Eに向けての長さを設定されている。
第1板材21および第2板材22の端面21A,22Aにおいては、貫通溝21B,22Bおよび中途溝21C,22Cにより交互溝が形成され、貫通溝21B,22Bおよび中途溝21C,22Cが交互溝となっている領域が混合区画23とされている。
【0028】
図10および
図11には、第1板材21および第2板材22の端面21A,22Aにおける貫通溝21B,22Bおよび中途溝21C,22Cについて説明したが、第1板材21および第2板材22の端面21F,22Fにおける貫通溝21B,22Bおよび中途溝21C,22Cも同様に構成され、それぞれ第1供給通路31A、第2供給通路32A、ミキシング通路33Aの幅の範囲内に複数が配列されて交互溝を形成し、これにより混合区画23Aが形成されている(
図12参照)。
【0029】
図12および
図13に示すように、第1板材21および第2板材22を重ね合わせた状態では、第1板材21の貫通溝21Bは第2板材22の中途溝22Cに連通され、第2板材22の貫通溝22Bは第1板材21の中途溝21Cに連通される。
前述した通り、貫通溝21B、22Bは、その溝深さは表面21D,22Dから裏面21E,22Eに至る全長にわたって一定である。そして、貫通溝21B,22B内の空間は、端面21A,22A,21F,22F、表面21D,22Dおよび裏面21E,22Eでそれぞれ外部と連通されている。
【0030】
一方、中途溝21C,22Cは、表面21D,22D側での溝深さが貫通溝21B、22Bと同じである。しかし、中途溝21C,22Cは底面が傾斜され、溝深さは表面21D,22Dから裏面21E,22Eに向けて徐々に浅くなっている。そして、中途溝21C,22Cの裏面21E,22Eに近い側の端部では、深さがゼロつまり端面21A,22A,21F,22F,と同じ高さとされている。これにより、中途溝21C,22C内の空間は、端面21A,22A,21F,22F,および表面21D,22Dでそれぞれ外部と連通されている。
【0031】
このような貫通溝21Bおよび中途溝22Cにより、第1供給通路31,31Aから貫通溝21Bにより分岐され、それぞれ中途溝22Cからミキシング通路33,33Aへと連通する第1分岐通路が形成される。
また、貫通溝22Bおよび中途溝21Cにより、第2供給通路32,32Aから貫通溝22Bにより分岐され、それぞれ中途溝21Cからミキシング通路33,33Aへと連通する第2分岐通路が形成される。
従って、混合区画23,23Aにおいては、このような第1分岐通路(貫通溝21Bおよび中途溝22C)および第2分岐通路(貫通溝22Bおよび中途溝21C)が、端面21A,22A,21F,22F,において互いに交互に配置されることで、ミキシング通路33内において従来のマイクロミキサーと同様に流体の交互層流を形成することができる。
【0032】
前述した第1分岐通路および第2分岐通路は、それぞれ反対側の第1板材21または第2板材22に形成されている中途溝21C,22Cによって閉鎖されることで、終端を形成される。このため、第1板材21および第2板材22のいずれにおいても、端面21A,22Aに溝を形成する際に端部として微細な立体形状を形成する必要がない。
具体的に、貫通溝21B,22Bおよび中途溝21C,22Cを加工する際には、円盤状砥石を利用することができる。
【0033】
図14に示すように、例えば、第1板材21または第2板材22の端面21A,22Aから垂直に、数十ミリ以上の半径の円盤状砥石9を用いて切込みを入れれば、表面21D,22Dから裏面21E,22Eにかけて一定の深さの溝が形成される。従って、これを貫通溝21B,22Bとすることができる。
【0034】
図15に示すように、例えば、第1板材21または第2板材22において、端面21A,22Aと表面21D,22Dとが交差する辺の稜線から斜めに、数十ミリ以上の半径の円盤状砥石9を用いて切込みを入れれば、端面21A,22Aと表面21D,22Dとにわたって底面が傾斜した溝を形成することができる。従って、これを中途溝21C,22Cとすることができる。
【0035】
このような加工で得られる中途溝21C,22Cにより、第1分岐通路および第2分岐通路の終端となるべきミクロンオーダーの立ち上がりを形成することができる。
また、このような円盤状砥石の利用により、第1板材21および第2板材22に対して加工される貫通溝21B,22Bおよび中途溝21C,22Cの溝幅を15μm程度まで微細化し、内面の表面粗さを0.14μmRz程度まで平滑化することができる。
【0036】
このような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
本実施形態のマイクロミキサー1では、第1流体が本体ブロック10の第1供給通路31,31Aから第1分岐通路(貫通溝21Bおよび中途溝22C)に供給され、第2流体が本体ブロック10の第2供給通路32,32Aから第2分岐通路(貫通溝22Bおよび中途溝21C)に供給される。これらの流体は、第1分岐通路と第2分岐通路とが交互溝となる混合区画23において微細な交互層流として混合され、本体ブロック10のミキシング通路33,33Aから取り出すことができる。
本実施形態においては、このようなミキシング系統(第1分岐通路、第2分岐通路、混合区画23,23A)が、1つのマイクロミキサー1に複数形成されるため、多量の流体の混合や多種の流体の混合に利用する場合でも、必要なマイクロミキサー1およびマイクロミキサーエレメント20の数を削減できる。併せて、マイクロミキサー1の各ポートに接続する配管の数も削減でき、これにより設置スペースの増大や製造コストの増大を回避できる。
【0037】
本実施形態のマイクロミキサー1は、複数の第1供給通路どうしを互いに連通する第1連通路31Bと、複数の第2供給通路どうしを互いに連通する第2連通路32Bと、を有する。このため、本体ブロック10およびマイクロミキサーエレメント20に複数のミキシング系統を設ける場合でも、本体ブロック10の外面に形成されるポートの数を削減できる。
すなわち、第1連通路31Bで第1供給通路31,31Aを相互連通させることで、1つの流入ポート16で複数の第1供給通路31,31Aに第1流体を供給でき、第2連通路32Bで第2供給通路32,32Aを相互連通させることで、1つの流入ポート17で複数の第2供給通路32,32Aにそれぞれ第2流体を供給できる。
その結果、マイクロミキサー1のポートの数を削減でき、各ポートに接続する配管の数も削減でき、これにより設置スペースの増大や製造コストの増大を回避できる。
【0038】
〔第2実施形態〕
図16および
図17には、本発明の第2実施形態が示されている。
本実施形態は、基本的な構成が前述した第1実施形態と共通である。従って、共通の構成については重複する説明を省略し、以下には相違する構成について説明する。
前述した第1実施形態では、第2ブロック12に第1供給通路31,31Aを連通する第1連通路31B、および第2供給通路32,32Aを連通する第2連通路32Bを設け、流入ポート16から供給された第1流体を第1供給通路31から第1供給通路31Aまで導入するとともに、流入ポート17から供給された第2流体を第2供給通路32から第2供給通路32Aまで導入していた。
【0039】
図16において、本実施形態のマイクロミキサー1Sでは、本体ブロック10Sの中間部が第2ブロック12Sとされ、そのスリット12Aにマイクロミキサーエレメント20Sが収容されている。
第2ブロック12Sは、第1実施形態の第1連通路31Bおよび第2連通路32Bがなく、第1供給通路31,31Aの相互連通および第2供給通路32,32Aの相互連通は第2ブロック12Sにおいて得られていない。
一方、マイクロミキサーエレメント20Sには、スリット12Aに収容された際に第1供給通路31,31Aを相互連通させる第1連通部21Gおよび第2供給通路32,32Aを相互連通させる第2連通部22Gが形成されている。
【0040】
図17において、マイクロミキサーエレメント20Sは、前述した第1実施形態と同様に、第1板材21および第2板材22を重ね合わせて形成され、各々の第1ブロック11側の端面21A,22Aおよび第3ブロック13側の端面21F,22Fには、第1分岐通路(貫通溝21Bおよび中途溝22C)および第2分岐通路(貫通溝22Bおよび中途溝21C)による交互溝が形成され、これらにより混合区画23,23Aが形成されている。
【0041】
本実施形態のマイクロミキサーエレメント20Sにおいては、第1板材21および第2板材22の裏面21E,22E(重ね合わせた際にマイクロミキサーエレメント20Sの外側となる面)に、端面21A,22Aから端面21F,22Fまで連続する凹部が形成されている。第1分岐通路(貫通溝21Bおよび中途溝22C)および第2分岐通路(貫通溝22Bおよび中途溝21C)は、それぞれ裏面21E,22E側の端部がこの凹部内に開口されている。
ここで、マイクロミキサーエレメント20Sをスリット12Aに収容した際には、凹部がスリット12Aの内側面で覆われて偏平な通路となり、第1供給通路31,31Aおよび各々に連通する第1分岐通路(貫通溝21Bおよび中途溝22C)の相互連通が得られるとともに、第2供給通路32,32Aおよび各々に連通する第2分岐通路(貫通溝22Bおよび中途溝21C)の相互連通が得られる。
従って、マイクロミキサーエレメント20Sにおいては、裏面21E,22Eに形成された凹部により、第1連通部21Gおよび第2連通部22Gが形成される。
【0042】
すなわち、本実施形態のマイクロミキサーエレメント20Sは、一対の外面(裏面21E,22E)および各外面を接続する複数の側面(端面21A,22Aおよび端面21F,22F)を有する基材(第1板材21および第2板材22)を有し、複数の混合区画23,23Aが基材の異なる側面(端面21A,22Aおよび端面21F,22F)に形成され、基材には、混合区画23,23Aの外で第1分岐通路どうしを互いに連通する第1連通部21Gと、混合区画23,23Aの外で第2分岐通路どうしを互いに連通する第2連通部22Gと、が形成される。
【0043】
このような本実施形態では、第1連通部21Gで第1供給通路31,31Aを相互連通させることで、1つの流入ポート16で複数の第1供給通路31,31Aに第1流体を供給でき、第2連通部22Gで第2供給通路32,32Aを相互連通させることで、1つの流入ポート17で複数の第2供給通路32,32Aにそれぞれ第2流体を供給できる。
その結果、マイクロミキサー1Sのポートの数を削減でき、各ポートに接続する配管の数も削減でき、これにより設置スペースの増大や製造コストの増大を回避できる。
【0044】
〔第3実施形態〕
図18ないし
図21には、本発明の第3実施形態が示されている。
本実施形態は、基本的な構成が前述した第1実施形態と共通である。従って、共通の構成については重複する説明を省略し、以下には相違する構成について説明する。
前述した第1実施形態では、マイクロミキサー1の第2ブロック12に、第1連通路31Bおよび第2連通路32Bが形成されていた(
図5~
図8参照)。
すなわち、第1実施形態では、第2ブロック12の流入ポート16と対向する位置に、第1供給通路31,31Aを連通する貫通孔状の第1連通路31Bが形成され、第2ブロック12の流入ポート17と対向する位置に、第2供給通路32,32Aを連通する貫通孔状の第2連通路32Bが形成されていた。
これに対し、本実施形態では、第2ブロック12の中央を貫通するスリット12Aの内側面に断面半円形の溝状の第1連通路31Cおよび第2連通路32Cが形成されている。
【0045】
第1連通路31Cは、スリット12Aの内側面のうち、第1板材21に対向する面に形成されている。第1連通路31Cは、第1供給通路31,31Aのスリット12Aへ連通する部分の両端内側に一対に形成され、スリット12Aに第1板材21を収容した際には一対の第1連通路31Cが混合区画23,23Aを挟むように配置されている。
第2連通路32Cは、スリット12Aの内側面のうち、第2板材22に対向する面に形成されている。第2連通路32Cは、第2供給通路32,32Aのスリット12Aへ連通する部分の両端内側に一対に形成され、スリット12Aに第2板材22を収容した際には一対の第2連通路32Cが混合区画23,23Aを挟むように配置されている。
このような本実施形態においても、スリット12Aの内側に形成された第1連通路31Cにより第1供給通路31,31Aが連通され、同じく第2連通路32Cにより第2供給通路32,32Aが連通され、これらにより前述した第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0046】
〔第4実施形態〕
図22には、本発明の第4実施形態が示されている。
本実施形態は、基本的な構成が前述した第2実施形態と共通である。従って、共通の構成については重複する説明を省略し、以下には相違する構成について説明する。
前述した第2実施形態では、マイクロミキサーエレメント20Sの側面に形成された凹部により第1連通部21Gおよび第2連通部22Gが形成されていた(
図16~
図17参照)。
すなわち、第2実施形態では、第1板材21の裏面21Eおよび第2板材22の裏面22Eにそれぞれ混合区画23,23Aの全幅におよぶ凹部が形成されており、マイクロミキサーエレメント20Sとしてスリット12Aに収容した際には各面の凹部により第1連通部21Gおよび第2連通部22Gが形成されていた。
これに対し、本実施形態では、第1板材21の裏面21Eおよび第2板材22の裏面22Eには、凹部に代えて混合区画23,23Aの両側に一対の第1連通部21Hおよび第2連通部22Hが形成されている。
一対の第1連通部21Hおよび第2連通部22Hは、それぞれ断面半円形の溝状とされ、各々の両端は第1板材21および第2板材22の上下面に開いている。
このような本実施形態においても、マイクロミキサーエレメント20Sの側面に形成された溝状の第1連通部21Gにより第1供給通路31,31Aが連通され、同じく第2連通部22Gにより第2供給通路32,32Aが連通され、これらにより前述した第2実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0047】
〔他の実施形態〕
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形等は本発明に含まれるものである。
前述した第1実施形態ないし第4実施形態のマイクロミキサー1,1Sでは、それぞれマイクロミキサーエレメント20,20Sに2つの混合区画23,23Aを形成していた。
すなわち、
図23(A)に示すマイクロミキサー1Dのように、マイクロミキサーエレメント20Dの対向する2面(端面21A,22Aおよび端面21F,22F)にそれぞれ混合区画23,23Aを形成し、マイクロミキサー1Dには混合区画23,23Aに連通する第1供給通路31,31Aおよび第2供給通路32,32Aを設け、各々を第1連通路31Bおよび第2連通路32B(または第1連通路31Cおよび第2連通路32C、第1連通部21G,21Hおよび第2連通部22G,22H)で相互連通させていた。
これに対し、
図23(B)に示すマイクロミキサー1Eのように、マイクロミキサーエレメント20Eの隣接する2面に混合区画23,23Bを設けてもよい。マイクロミキサー1Eにおいては、混合区画23,23Bに連通する第1供給通路31および第2供給通路32はL字状の第1連通路31Eおよび第2連通路32Eで相互連通させることができる。
さらに、
図23(C)に示すマイクロミキサー1Fのように、マイクロミキサーエレメント20Fの4面に混合区画23,23A,23B,23Cを設けてもよい。マイクロミキサー1Fにおいては、4面の第1供給通路31および第2供給通路32に対して十字状の第1連通路31Fおよび第2連通路32Fを形成し、相互連通させることができる。
【0048】
前述した第1実施形態および第2実施形態では、それぞれマイクロミキサーエレメント20,20Sの対向する2面(端面21A,22Aおよび端面21F,22F)に、それぞれ1つの混合区画23,23Aを形成していた。これに対し、各面に複数の混合区画23,23Aを形成してもよい。
すなわち、
図24(A)に示すマイクロミキサー1Jのように、マイクロミキサーエレメント20Jの上面側に複数の混合区画23を配列し、下面側に複数の混合区画23Aを配列してもよい。マイクロミキサー1Jには混合区画23,23Aに対応した複数の第1供給通路31,31Aおよび第2供給通路32,32Aを設け、各々を第1連通路31Jおよび第2連通路32Jで相互連通させることができる。
さらに、
図24(B)に示すマイクロミキサー1Kのように、マイクロミキサーエレメント20Kの上面側および下面側にそれぞれ複数の混合区画23,23Aを配列し、各々に対応する第1供給通路31,31Aおよび第2供給通路32,32A、第1連通路31Jおよび第2連通路32Jを設けるとともに、複数の第1連通路31Jおよび第2連通路32Jを交差連通路31K,32Kで相互に連通させてもよい。これにより、流入ポート16,17をさらに集約化することができる。
【0049】
前記実施形態においては、第1流体を供給する第1供給通路31,31Aを相互連通させるために第1連通路31B,31C、第1連通部21G,21Hを設け、第2流体を供給する第2供給通路32,32Aを相互に連通させるために第2連通路32B,32C、第2連通部22G,22Hを設けたが、さらにミキシング通路33,33Aを相互連通させる別の連通路を設けてもよく、流出ポート18,18Aをいずれか一方に集約できる。
【0050】
前記実施形態のマイクロミキサーエレメント20における第1板材21および第2板材22の材質、寸法は任意であり、適用する機器、適用する流体などに応じて適宜選択すればよい。
同様に、マイクロミキサーエレメント20における第1板材21および第2板材22に形成される貫通溝21B,22Bおよび中途溝21C,22Cの溝ピッチ、溝幅および溝深さも任意であり、適用する機器、適用する流体などに応じて適宜選択すればよい。
【0051】
前記実施形態では、貫通溝21B,22Bおよび中途溝21C,22Cを同じ溝幅および溝深さとしたが、これらを異なる寸法としてもよい。但し、揃えておくことで、第1分岐通路および第2分岐通路としての内面の連続性を確保できる。
なお、第1分岐通路を構成する貫通溝21Bおよび中途溝22Cと、第2分岐通路を構成する貫通溝22Bおよび中途溝21Cの溝幅および深さに差をつけることで、第1分岐通路および第2分岐通路からそれぞれ混合される第1流体および第2流体の混合比率を変化させることができる。例えば、同じ圧力のもとで、第1分岐通路の溝幅を第2分岐通路の2倍とすることで、第1流体が2/3で第2流体が1/3となるように混合する等の設定も可能である。
【0052】
前記実施形態においては、2枚の板材(第1板材21および第2板材22)でマイクロミキサーエレメント20を構成し、各板材に円盤状砥石9を用いて貫通溝21B,22Bおよび中途溝21C,22Cを形成し、これにより第1供給通路31,31Aおよび第2供給通路32,32Aを形成した。これに対し、前述した特許文献1に開示されるように、マイクロミキサーエレメント20を3枚の板材で構成し、各板材の上面に所定のピッチで多数の溝を形成し、3枚の板材を重ね合わせることでエレメントの上面に微小かつ平滑な交互溝が得られるようにしてもよい。
さらに、前述した特許文献3に開示されるように、マイクロミキサーエレメント20を分岐通路の方向に沿った多数の板材を積層して構成し、各板材の重ね合わせ面に凹部を形成しておくことで、積層した際に凹部により交互溝が構成されるようにしてもよい。
【0053】
前記実施形態のマイクロミキサー1における第1ブロック11、第2ブロック12、第3ブロック13の材質、寸法も任意であり、適用する機器、適用する流体などに応じて適宜選択すればよい。
マイクロミキサー1の本体ブロック10は、3つのブロック11~13による構成に限らず、例えば第2ブロック12と第3ブロック13を一体化し、その上面にスリット12Aを加工してマイクロミキサーエレメント20を収容してもよい。あるいは内部構成によっては、さらに多数のブロックに分割してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、複数の流体を精密に混合するためのマイクロミキサーおよびマイクロミキサーエレメントに利用できる。
【符号の説明】
【0055】
1,1D,1E,1F,1J,1K,1S…マイクロミキサー、10,10S…本体ブロック、10A…挿通孔、11…第1ブロック、12,12S…第2ブロック、12A…スリット、13…第3ブロック、14,15…ボルト、15A…ボルト孔、16,17…流入ポート、16A,17A…傾斜部、18,18A…流出ポート、20,20D,20E,20F,20J,20K,20S…マイクロミキサーエレメント、21…第1板材、21A,21F,22A,22F…端面、21B,22B…貫通溝、21C,22C…中途溝、21D,22D…表面、21E,22E…裏面、21G,21H…第1連通部、22…第2板材、22G,22H…第2連通部、23,23A,23B,23C…混合区画、31,31A…第1供給通路、31B,31C,31E,31F,31J…第1連通路、31K,32K…交差連通路、32,32A…第2供給通路、32B,32C,31E,31F,31J…第2連通路、33,33A…ミキシング通路、9…円盤状砥石。