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  • 特開-照明制御システム、照明制御方法 図1
  • 特開-照明制御システム、照明制御方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117453
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】照明制御システム、照明制御方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/125 20200101AFI20240822BHJP
   H05B 47/11 20200101ALI20240822BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20240822BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20240822BHJP
   G05D 1/46 20240101ALN20240822BHJP
【FI】
H05B47/125
H05B47/11
H05B47/19
H05B47/16
G05D1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023565
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 雄哉
【テーマコード(参考)】
3K273
5H301
【Fターム(参考)】
3K273PA09
3K273QA10
3K273QA21
3K273SA02
3K273SA04
3K273SA05
3K273SA21
3K273SA37
3K273SA57
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA27
3K273TA54
3K273TA62
3K273TA71
5H301AA02
5H301AA10
5H301BB10
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD15
5H301GG09
5H301KK01
5H301KK02
5H301KK03
5H301KK08
(57)【要約】
【課題】自己位置を推定するために照明を点灯させるにあたり省エネルギー化することが可能な照明制御システムを提供する。
【解決手段】周囲の可視光画像を撮像した撮像結果に基づいて自己位置を推定する無人飛行体の運行状況であって、照明装置が設置された施設内を飛行する当該無人飛行体の運行状況を表す運行データを取得する第1取得部と、前記取得された運行データに基づく運行状況に応じて前記照明装置を制御する照明制御部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の可視光画像を撮像した撮像結果に基づいて自己位置を推定する無人飛行体の運行状況であって、照明装置が設置された施設内を飛行する当該無人飛行体の運行状況を表す運行データを取得する第1取得部と、
前記取得された運行データに基づく運行状況に応じて前記照明装置を制御する照明制御部と、
を有する照明制御システム。
【請求項2】
前記運行データには、飛行予定の経路を表す予定ルートが含まれており、
前記照明制御システムは、さらに、
前記無人飛行体の位置を示す位置情報を取得する第2取得部を有し、
前記照明制御部は、
前記無人飛行体の位置と、前記予定ルートに応じて前記照明装置を制御する
請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記予定ルートは、前記施設内を巡回する対象の場所を通るようにして予め定められた経路であり、
前記照明制御部は、前記無人飛行体が巡回する場所に到達する前に当該場所を照明する照明装置を点灯させる
請求項2に記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記予定ルートは、前記無人飛行体が前記施設内を巡回した状況に応じて生成される経路であり、
前記照明制御部は、前記無人飛行体が巡回する場所に到達する前に当該場所を照明する照明装置を点灯させる
請求項2に記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記照明制御部は、前記無人飛行体に搭載されたセンサの検出結果に基づいて前記施設に不審者が存在すると判定された場合に、前記予定ルートに関わらずに前記照明装置を点灯させる
請求項2から請求項4のうちいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記無人飛行体に搭載された、明るさを検出するセンサの検出結果を取得する第3取得部を有し、
前記照明制御部は、前記取得された明るさが、前記無人飛行体が自己位置を推定するために必要な照度を満たしていない場合に、前記照明装置を点灯させる
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項7】
前記照明制御部は、前記無人飛行体が通過すると、通過した場所の照明装置を消灯させる
請求項6に記載の照明制御システム。
【請求項8】
第1取得部が、周囲の可視光画像を撮像した撮像結果に基づいて自己位置を推定する無人飛行体の運行状況であって、照明装置が設置された施設内を飛行する当該無人飛行体の運行状況を表す運行データを取得し、
照明制御部が、前記取得された運行データに基づく運行状況に応じて前記照明装置を制御する
照明制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明制御システム、照明制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を用いて自己位置を推定するドローンが利用されつつある。SLAM技術には、例えば、Lidar(Light Detection and Ranging)を用いたLidar SLAMと、Visual SLAMがある。Lidar SLAMでは、レーザ光を照射し、その反射光を受光することで距離を測定するレーザセンサが用いて自己位置を推定する。Visual SLAMでは、カメラあるいはイメージセンサーによって得られた画像データに基づいて自己位置を推定する。
このようなドローンは、例えば、屋内において巡回させることで、点検や警備巡回をすることができる。屋内においてドローンを用いる場合、小型かつ軽量であることが求められる。Visual SLAMをドローンに用いる場合、レーザ光を照射する照射部と反射光を受光するセンサが不要であるため、小型化することができることにおいて好ましい。
ここで、特許文献1には、赤外線照明源から赤外線を照射し、その反射光をセンサによって受光し、自己位置推定をするVisual SLAMを用いたロボットが開示されている。
特許文献1の技術は、赤外線照明源や赤外線センサが必要であるため、より小型化することが好ましい。このような赤外線照明源や赤外線センサを用いずに自己位置推定をするVisual SLAMとしては、可視光画像に基づいて自己位置をする技術がある。可視光画像を用いて自己位置推定をする場合には、赤外線照明源や赤外線センサが不要であるため、小型化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2021-532462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、可視光画像を用いて自己位置推定をする場合には、ドローンの周囲が一定以上の照度である必要がある。また、ドローンを点検や警備巡回に用いる場合には、人がいない夜間に行われることがあるが、この場合、ドローンを飛行させるために建物内の照明を点灯させる場合、照明を点灯させる電力が省エネルギーであることが望ましい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、自己位置を推定するために照明を点灯させるにあたり省エネルギー化することが可能な照明制御システム、照明制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、周囲の可視光画像を撮像した撮像結果に基づいて自己位置を推定する無人飛行体の運行状況であって、照明装置が設置された施設内を飛行する当該無人飛行体の運行状況を表す運行データを取得する第1取得部と、前記取得された運行データに基づく運行状況に応じて前記照明装置を制御する照明制御部と、を有する照明制御システムである。
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、第1取得部が、周囲の可視光画像を撮像した撮像結果に基づいて自己位置を推定する無人飛行体の運行状況であって、照明装置が設置された施設内を飛行する当該無人飛行体の運行状況を表す運行データを取得し、照明制御部が、前記取得された運行データに基づく運行状況に応じて前記照明装置を制御する照明制御方法である。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、この発明によれば、自己位置を推定するために照明を点灯させるにあたり省エネルギー化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の一実施形態による照明制御システムを用いた巡回システムSの構成を示す概略ブロック図である。
図2】巡回システムSの動作を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態による照明制御システムについて図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態による照明制御システムを用いた巡回システムSの構成を示す概略ブロック図である。
巡回システムSは、無人飛行体F、飛行体管理サーバ20、ビル管理システム30、照明コントローラ40、照明装置L1、照明装置L2を含む。
無人飛行体Fは、例えば、ドローンである。
無人飛行体Fは、施設B内を巡回することで、施設内において不具合が生じていないか、不審者が存在するか否か等を監視する。無人飛行体Fに施設内を巡回させることで、施設内の警備をすることができる。
【0011】
無人飛行体Fは、機体10、駆動部11、明るさ判定モジュール12、カメラ13、通信部14、CPU(中央処理装置)15を含む。
機体10は、無人飛行体の胴体部である。
駆動部11は、無人飛行体Fを飛行させる機構であり、例えば、回転翼と、当該回転翼を回転させるモータとが含まれる。
明るさ判定モジュール12は、無人飛行体Fの周囲の明るさを検出するセンサと、検出された明るさが基準値以上であるか否かを判定する判定部とを含む。
カメラ13は、無人飛行体Fの周囲を撮像する。
通信部14は、飛行体管理サーバ20と通信をする。ここでは通信部14は、飛行体管理サーバ20と通信する場合について説明するが、ビル管理システム30または照明制御システム31と通信してもよい。
【0012】
CPU(中央処理装置)15は、無人飛行体Fの各部を制御する。
CPU15は、画像データ、無人飛行体Fの運行状況、無人飛行体Fの位置情報を飛行体管理サーバ20に送信する。
また、例えば、CPU15は、カメラ13によって撮像された画像に基づいて、自己位置を推定するVisualSLAMの機能を有する。
この自己位置の推定に用いられる画像は可視光画像である。すなわち、可視光による明るさが一定以上である場合、CPU15は、自己位置を推定することができる。
このようなVisualSLAMの機能を用いることで、測位専用のセンサ(赤外線センサ、レーザセンサ等)を搭載することなく、警備や点検などのために必要な画像を撮影するカメラから得られた可視光画像から自分の位置や姿勢と周辺の物体の位置情報を三次元で把握することができる。無人飛行体Fが施設内を巡回する場合、屋内を巡回することが多い。そのため、無人飛行体を活用して巡回をする場合には、無人飛行体の落下や衝突のリスクを避けるために、なるべく人がいない夜間の警備巡回や点検に用いられることが多い。この場合、無人飛行体がVisual SLAMの機能によって測位しながら飛行するためだけに夜間に照明を点灯し続けるのは、省エネルギーや建物管理の観点から好ましくないが、照明制御システム31が、無人飛行体Fの運行状況に合わせて照明制御を制御することで、無人飛行体の周囲において、自己位置特定のため一定以上の照度を提供することができ、無人飛行体の自己位置の推定と、警備や点検のために必要な画像を得ることができる。
【0013】
このような無人飛行体Fは、測位専用のセンサを搭載する必要がないため、小型化をすることができ、また、軽量化を図ることができる。また、安価な無人飛行体を利用することができる。
【0014】
飛行体管理サーバ20は、無人飛行体Fの通信部14から、各種情報を受信する。各種情報としては、例えば、カメラ13によって撮像された画像データ、無人飛行体Fの運行状況、無人飛行体Fの位置情報等がある。
【0015】
飛行体管理サーバ20は、無人飛行体Fの飛行状態と位置情報を管理する。例えば、飛行体管理サーバ20は、無人飛行体Fの飛行ルートを指定することで、無人飛行体Fを飛行させる。また、飛行体管理サーバ20は、無人飛行体Fから送信される運行データに基づいて、飛行ルートを生成し、飛行ルートを無人飛行体Fに送信することで、飛行ルートに沿って飛行させることができる。
また、飛行体管理サーバ20は、無人飛行体Fのカメラ13によって撮像された画像を受信して記憶するとともに、画像を解析することで、施設内に異常が生じているか否かの判定や、不審者が存在するか否かの判定等を行う。
【0016】
ビル管理システム30は、照明制御システム31を有しており、施設Bの各部の管理をする。
照明制御システム31は、照明コントローラ40を介して、施設Bに設けられた照明装置を制御する。
照明制御システム31は、取得部311と照明制御部321とを有する。
取得部311は、飛行体管理サーバ20から各種情報を受信することで取得する。
取得部311は、第1取得部312、第2取得部313、第3取得部314を含む。
【0017】
第1取得部312は、周囲の可視光画像を撮像した撮像結果に基づいて自己位置を推定する無人飛行体の運行状況であって、照明装置が設置された施設内を飛行する当該無人飛行体の運行状況を表す運行データを取得する。
第2取得部313は、無人飛行体の位置を示す位置情報を取得する。
第3取得部314は、無人飛行体に搭載された、明るさを検出するセンサの検出結果を取得する。
【0018】
照明制御部321は、取得された運行データに基づく運行状況に応じて照明装置を制御する。照明制御部321及び取得部311は、例えばCPU(中央処理装置)等の処理装置若しくは専用の電子回路で構成されてよい。
なお、照明制御システム31は、記憶部を有しており、飛行体管理サーバ20から受信した運行データを記憶したり、照明装置を制御するための各種制御データを記憶するようにしてもよい。
このような記憶部は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
この記憶部は、例えば、不揮発性メモリを用いることができる。
【0019】
照明コントローラ40は、照明制御システム31から照明装置を点灯させる照明制御命令を受信すると、照明制御命令に応じて照明装置に点灯指示を送信することで、照明装置を点灯させる。
また、照明コントローラ40は、照明制御システム31から照明装置を消灯させる照明制御命令を受信すると、照明制御命令に応じて照明装置に消灯指示を送信することで、照明装置を消灯させる。
【0020】
照明装置L1、照明装置L2は、施設B内に設置される。照明装置L1、照明装置L2は、照明コントローラ40からの照明制御命令に基づいて点灯または消灯をする。この図において照明装置は、照明装置L1、照明装置L2の2つのみ示されているが、照明装置は1つであってもよいし、異なる場所に設置されて3つ以上の照明装置であってもよい。
【0021】
施設Bは、照明装置が設置されるものであればよく、例えば、ビル、店舗、公共施設、複合商業施設等のいずれであってもよい。
【0022】
次に、巡回システムSの動作を説明する。図2は、巡回システムSの動作を説明するシーケンス図である。無人飛行体Fは、巡回を開始する前に予め充電ポートにおいて充電され、予め決められた飛行開始位置(基点)に載置される。また、巡回は夜間に行われる場合には、巡回開始前において照明は点灯していないため、施設内は暗い状態である。
飛行体管理サーバ20は、巡回時刻に到達すると、無人飛行体Fに飛行指示を送信する(ステップS101)。
また、飛行体管理サーバ20は、ビル管理システム30の照明制御システム31に運行状況を表す運行データを送信する(ステップS102)。この運行データには、無人飛行体Fが飛行を開始すること、及び飛行開始位置が含まれる。
【0023】
照明制御システム31は、飛行体管理サーバ20から運行データを受信すると、運行データに含まれる飛行開始位置を含む空間に設置された照明装置L1を点灯させる照明制御命令を照明コントローラ40に送信する(ステップS103)。ここでは、照明制御システム31は、照明装置を個別に識別するIDを指定することで、点灯させる対象の照明装置を指定してもよい。
照明コントローラ40は、照明制御システム31から照明制御命令を受信すると、照明制御命令に応じて照明装置L1に点灯指示を送信する(ステップS104)。
照明装置L1は、照明コントローラ40は、点灯指示に基づいて、光源を点灯させる(ステップS105)。これにより、無人飛行体Fの周囲が照明されるため、無人飛行体Fが自己位置を推定可能な程度の明るさが確保される。
【0024】
無人飛行体FのCPU15は、通信部14を介して飛行体管理サーバ20から飛行指示を受信すると、明るさ判定モジュール12によって周囲の明るさが基準値以上であるかを判定し、基準値未満であれば離陸せずにそのまま待機し、基準値以上であれば、カメラ13によって周囲を撮像する。ここでは、照明装置L1が点灯している場合には、周囲の明るさが基準値以上であると判定されるため、カメラ13によって周囲を撮像することで、周囲の壁や天井などの周囲の環境を把握可能な可視光画像が得られる。そしてCPU15は、撮像された可視光画像に基づいて、自己位置を推定する(ステップS110)。
自己位置が推定されると、無人飛行体Fは、離陸することで飛行を開始する(ステップS111)
【0025】
無人飛行体Fは、飛行を開始すると、カメラ13によって周囲の環境を継続的に撮像し、飛行中における無人飛行体Fの自己位置を推定する。また、無人飛行体Fは、推定された自己位置と、撮像された可視光画像とを運行データを生成し(ステップS112)、生成された運行データを飛行体管理サーバ20に送信する(ステップS113)。無人飛行体Fは、巡回ルートに応じて飛行をする。
【0026】
飛行体管理サーバ20は、飛行中の無人飛行体Fから運行データを受信すると、運行データをビル管理システム30の照明制御システム31に送信する(ステップS114)。
【0027】
照明制御システム31は、飛行体管理サーバ20から運行データを受信すると、運行データに含まれる現在位置に応じて、点灯させる照明装置を選択し、選択された照明装置を点灯させる照明制御命令を照明コントローラ40に送信する(ステップS115)。例えば、照明制御システム31は、無人飛行体Fがこれから通過する場所(例えば2階のフロア)に設置された照明装置L2を無人飛行体Fが到達する前に、予め点灯させる照明制御命令を送信する。
照明コントローラ40は、照明制御システム31から照明制御命令を受信すると、照明制御命令に応じて照明装置L2に点灯指示を送信する(ステップS116)。
照明装置L2は、照明コントローラ40は、点灯指示に基づいて、光源を点灯させる(ステップS117)。これにより、無人飛行体Fが2階のフロアに到達する前に、予め照明装置L2が点灯するため、無人飛行体Fが2階フロア近傍に到達したとしても、速やかに自己位置を推定し、2階フロアを巡回することができる。
また、無人飛行体Fが近くまで到達していないにもかかわらず照明装置L2を点灯させると、無駄に照明装置L2を点灯することにもなり得るが、照明制御システム31は、無人飛行体Fの運行データを用いることで、無人飛行体Fの運行状況に合わせて照明装置を制御することができるため、無駄に照明装置を点灯させることを低減することができるため、省エネルギー化を図ることができる。
【0028】
なお、施設内における巡回が終了した場合には、無人飛行体Fが基点に戻り、着陸したことを表す運行データを無人飛行体Fから飛行体管理サーバ20に送信する。これに応じて、飛行体管理サーバ20から照明制御システム31に運行データが送信されると、照明制御システム31は、無人飛行体Fが基点に戻り着陸した(巡回が終了した)ことを検出し、照明コントローラ40に照明装置を消灯させる照明制御命令を送信する。これにより、照明コントローラ40は、照明装置の光源を消灯させる。
【0029】
また、無人飛行体Fの運行状況に応じて照明装置を制御する例としては、上述の実施形態の他に、次のような例であってもよい。
【0030】
《例1》
照明制御システム31は、運行データに基づいて、無人飛行体Fが離陸することを検出すると、各照明装置を点灯させ、巡回が終了し、無人飛行体Fが基点に戻り着陸したことを検出すると、各照明装置を消灯させる。これにより、無人飛行体Fが飛行しうる期間において照明装置を点灯させ、飛行しない期間においては照明装置を消灯させることができる。これにより、無人飛行体Fが巡回をしない期間において照明装置を点灯させることを防止することができる。
【0031】
《例2》
運行データには、飛行予定の経路を表す予定ルートを含むようにし、照明制御部321は、無人飛行体の位置と、予定ルートに応じて照明装置を制御するようにしてもよい。
例えば、飛行体管理サーバ20は、無人飛行体Fを飛行させる飛行ルート(予定ルート)と、飛行ルートに沿って飛行する期間(例えば時間帯)とが対応付けられた巡回スケジュールデータを予め記憶しておく。巡回スケジュールとしては、例えば、施設が複数階の建物である場合、1階フロアに対して、○月○日○時○分から○時×分まで、2階フロアに対して、○月○日○時×分から○時△分まで、のように飛行する場所と時間帯が対応付けられたデータであってもよい。
飛行体管理サーバ20が、巡回スケジュールデータを照明制御システム31に送信する。照明制御システム31は、この巡回スケジュールデータに基づいて、飛行ルートに該当する場所を照明する照明装置を、飛行する時間帯が到来すると点灯させ、飛行する時間帯が過ぎると、照明装置を消灯させる。
これにより、無人飛行体Fが飛行する予定に合わせて照明装置を点灯させることができる。
【0032】
《例3》
無人飛行体が施設内を巡回した状況に応じて、飛行させる経路を予定ルートとして生成されてもよい。この場合、照明制御部321は、無人飛行体が巡回する場所に到達する前に当該場所を照明する照明装置を点灯させる。
例えば、飛行体管理サーバ20は、無人飛行体Fから運行データを受信し、その運行状況に応じて飛行ルートを生成し、飛行経路を指示する命令を無人飛行体Fに送信する場合がある。例えば、無人飛行体Fが巡回をしている途中において、進路上に障害物があり飛行することができないことが検出された場合や、巡回経路に存在する扉が閉じられているため飛行することができない場合がある。このような場合、無人飛行体Fは、障害物等があるため進むことができないことを示す運行データを飛行体管理サーバ20に送信する。飛行体管理サーバ20は、この運行データに基づいて、障害物等を迂回して飛行するための飛行ルートを生成し、無人飛行体Fに送信するとともに、生成した飛行ルートを運行データとして照明制御システム31に送信する。照明制御システム31は、この運行データを受信すると、運行データに含まれる飛行ルートに基づいて、この飛行ルートに該当する場所の照明装置を点灯させる。
これにより、無人飛行体Fの飛行ルートが施設内の状況に応じて決定される場合であっても、その運行状況に合わせて照明装置を制御することができる。
また、この例2については、例1と組み合わせるようにしてもよい。例えば、巡回スケジュールデータを予め設定し、その巡回スケジュールデータに従って無人飛行体Fを飛行させ、一時的な障害物や扉の開閉状態などの外部要因により、巡回スケジュールデータに従った飛行ルートとは異なるルートが生成され、新たな飛行ルートに従って飛行するように運行状況が変更された場合であっても、その変更後の運行状況に応じて柔軟に照明装置を制御することができる。また、迂回をした後、巡回スケジュールデータに従った飛行ルートに戻った場合、巡回スケジュールデータに基づく時間帯の後である場合もあり得る。このような場合には、巡回スケジュールデータに示す時間帯ではなかったとしても、無人飛行体Fの現在位置に基づいて、照明装置を点灯させる。これにより、施設内の状況によって無人飛行体Fの運行状況が変わったとしても、その運行状況に合わせて照明装置を制御することができる。
【0033】
《例4》
運行データには、飛行予定の経路を表す予定ルートとして、施設内を巡回する対象の場所を通るようにして予め定められた経路が含まれていてもよい。この場合、照明制御部321は、無人飛行体が巡回する場所に到達する前に当該場所を照明する照明装置を点灯させるようにしてもよい。
より具体的には、飛行体管理サーバ20は、無人飛行体Fから現在位置を含む運行データを受信し、この運行データを照明制御システム31に送信する。照明制御システム31は、この運行データに含まれる現在位置に応じた場所の照明装置を点灯させる。例えば、照明制御システム31は、施設内における位置(例えばチェックポイント)と点灯させる対象の照明装置との関係を表す制御対象データを記憶しておく。そして、照明制御システム31は、運行データに含まれる無人飛行体Fの現在位置が、制御対象データに含まれるチェックポイントに到達したか否かを判定し、チェックポイントに到達したと判定された場合には、そのチェックポイントに対応する照明装置を点灯させる。例えば、無人飛行体Fが、部屋Aに向かう廊下(チェックポイント)に到達したことを現在位置に基づいて検出された場合には、部屋Aの照明を点灯させる。これにより、無人飛行体Fが部屋Aに到達する前に、廊下に到達した時点において予め照明装置を点灯させることができる。そのため、無人飛行体Fが部屋Aに入る前の段階において部屋Aとその近傍を対象として、可視光画像を撮像し、自己位置を推定することができる。ここでは無人飛行体Fが部屋Aに入るにあたり、照明装置が点灯することを待たなくてもよいため、一時停止や減速等をすることなく、自己位置を推定しつつ、部屋Aに入ることができる。よって、無人飛行体Fの運行状況に応じて自己位置推定をすることが可能な照明環境を提供することができるため、円滑に巡回を行うことができる。
【0034】
《例5》
照明制御部321は、明るさ判定モジュール12によって取得された明るさが、無人飛行体Fが自己位置を推定するために必要な照度を満たしていない場合に、照明を点灯させるようにしてもよい。
例えば、無人飛行体Fは、巡回時において、明るさ判定モジュール12の判定結果を運行データに含めて飛行体管理サーバ20に送信する。飛行体管理サーバ20は、明るさ判定モジュール12の判定結果を含む運行データを照明制御システム31に送信する。照明制御システム31は、この運行データに含まれる、明るさ判定モジュール12の判定結果に基づいて、明るさが基準値未満である場合には、照明装置を点灯させる。これにより、無人飛行体Fの周囲の環境が、自己位置推定をすることが出来ない程度に暗い場合には、照明装置を点灯させることができる。そのため、無人飛行体Fが自己位置を推定するために必要な明るさを確保することができる。自己位置推定をすることができる程度の可視光画像が得られることから、飛行体管理サーバ20に対して、一定程度の明るさが確保された状態で周囲の環境が撮像された画像を提供することができる。
また、照明装置には、明るさを変更する調光機能を有する機種も存在する。照明装置を点灯させている状態において、明るさ判定モジュール12の判定結果に基づいて、明るさが基準値未満であると判定された場合には、照明装置の明るさがより明るくなるように調光させるようにしてもよい。
この例5については、例1と組み合わせるようにしてもよい。例えば、巡回スケジュールデータを予め設定し、その巡回スケジュールデータに従って無人飛行体Fを飛行させ、一時的な障害物や扉の開閉状態などの外部要因により、巡回スケジュールデータに従った時間帯よりも早くまたは遅れて飛行した場合であっても、無人飛行体Fの周囲が暗い場合には、照明装置を点灯させることができる。
【0035】
《例6》
照明制御システム31の照明制御部321は、無人飛行体Fに搭載されたセンサの検出結果に基づいて、施設に不審者が存在すると判定された場合に、予定ルートに関わらずに照明装置を点灯させる。センサの検出結果としては、例えば、カメラ13によって撮像された可視光画像に不審者に該当する画像が含まれているか否かが判定された結果である。例えば、人が存在しない時間帯において可視光画像から人の画像が検出された場合、あるいは、予め登録された人物とは異なる人物であると顔認証技術等を利用して判定された場合に、不審者が存在すると判定するようにしてもよい。この不審者が存在するか否かの判定は、無人飛行体FのCPU15が行うようにしてもよいし、飛行体管理サーバ20が行うようにしてもよい。
施設に不審者が存在すると判定された場合に、点灯させる照明装置は、施設内に設置された全ての照明装置であってもよい。これにより、無人飛行体Fが不審者を追跡するように飛行する場合、不審者がいずれの方向に移動したとしても、移動先場所における照明装置が点灯しているため、無人飛行体Fは自己位置推定をすることができるため、継続的に飛行することができ、不審者の追跡を継続することができる。
また、照明装置が消灯した状態から点灯した状態に移行させることができるため、不審者を発見したことを当該不審者に認識させることができる。また、施設内にいた人は、点灯していなかった照明が点灯したことから、周囲で何か起きたことを認識することができる。
また、施設に不審者が存在すると判定された場合、点灯させる対象の照明装置は、施設内に設置された全ての照明装置ではなく、少なくとも不審者が発見された場所の周囲の照明を点灯させるようにしてもよい。これにより、不審者がいずれの方向に逃走したとしても、周囲が照明されていることにより、無人飛行体Fが不審者を継続して追跡することができる。
【0036】
以上説明した実施形態において、照明制御部321は、無人飛行体Fが通過した後の場所については、照明装置を消灯するようにしてもよい。
【0037】
また、上述した実施形態においては、照明制御システム31が運行データを飛行体管理サーバ20から受信する場合について説明したが、無人飛行体Fから運行データを受信するようにしてもよい。
【0038】
また、以上説明した実施形態では、移動体が無人飛行体Fである場合について説明したが、移動体が車輪を駆動させることで走行するロボットや歩行するロボットであってもよい。これにより、床面を移動する移動体が施設内を巡回する場合であっても、移動体の運行状況に合わせて照明装置を制御することができる。
【0039】
以上説明した実施形態によれば、無人飛行体Fの運行状況に応じて照明装置を制御することができるため、省エネルギー化を図ることができる。また、無人飛行体Fの運行状況と連動させて照明装置を制御させることができるため、無人飛行体Fの周囲が照明されていないため無人飛行体Fが自己位置の推定を行うことができなくなることを防止することができる。また、無人飛行体Fが到来したにもかかわらず、照明装置を点灯させるタイミングが間に合わないということも回避することができる。
また、照明装置を制御する単位を、無人飛行体の運行に合わせることもできるため、無人飛行体に対して照明が必要な領域を対象として照明装置を点灯させることもできるため、必要以上に照明装置を点灯させる必要がないため、省エネルギー化することができる。
このように、小型かつ軽量な無人飛行体を利用するにあたり照明装置を点灯させなければならないとしても、無人飛行体の運行状況に応じて照明装置を点灯させることができ、省エネルギー化をしつつ、安価な無人飛行体を利用することができる。
【0040】
上述した実施形態における照明制御システム31の取得部311、照明制御部321の機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0041】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0042】
2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標として「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」がある。本実施形態に係る、照明制御システム、照明制御方法は、このSDGsの17の目標のうち、例えば「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」の目標などの達成に貢献し得る。
【符号の説明】
【0043】
10…機体、11…駆動部、12…判定モジュール、13…カメラ、14…通信部、20…飛行体管理サーバ、30…ビル管理システム、31…照明制御システム、40…照明コントローラ、311…取得部、312…第1取得部、313…第2取得部、314…第3取得部、321…照明制御部、S…巡回システム
図1
図2