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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117456
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】冷水製造装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20240822BHJP
   F25B 47/02 20060101ALI20240822BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
F25B1/00 101H
F25B47/02 530C
F25B49/02 510C
F25B1/00 361D
F25B1/00 371B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023572
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】石原 憲
(72)【発明者】
【氏名】堀川 伸二
(72)【発明者】
【氏名】林 遼太郎
(57)【要約】      (修正有)
【課題】解氷率を向上させた冷水製造装置を提供する。
【解決手段】凍結検知手段は、熱交換器における水の凍結又は凍結のおそれを検知するよう構成され、制御手段は、冷却運転と、予備解氷運転と、解氷運転とを切り替えて実行するよう構成され、冷却運転では、循環ラインを介して冷媒を循環させることで水を冷却し、予備解氷運転では、圧縮機の圧縮能力を低下させつつ循環ラインを介して冷媒を循環させることで解氷を行い、解氷運転では、圧縮機により高温高圧となった冷媒をバイパスラインを介して熱交換器に供給することで解氷を行い、制御手段は、冷却運転の実行中に凍結検知手段が水の凍結又は凍結のおそれを検知した場合、圧縮機の圧縮能力が予め定めた能力より高ければ予備解氷運転を実行し、圧縮機の圧縮能力が予め定めた能力以下であれば解氷運転を実行する、冷水製造装置が提供される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を冷却して冷水を製造する冷水製造装置であって、
圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、熱交換器と、循環ラインと、バイパスラインと、凍結検知手段と、制御手段とを備え、
前記圧縮機は、冷媒を吸引して圧縮するとともに圧縮能力を変更可能に構成され、
前記凝縮器は、冷媒を凝縮液化するよう構成され、
前記膨張弁は、冷媒を減圧するよう構成され、
前記熱交換器は、冷媒を水との熱交換により蒸発させるとともに当該熱交換により水を冷却するよう構成され、
前記循環ラインは、前記圧縮機、前記凝縮器、前記膨張弁及び前記熱交換器に冷媒を流通させるよう構成され、
前記バイパスラインは、前記凝縮器及び前記膨張弁をバイパスして冷媒を流通させるよう構成され、
前記凍結検知手段は、前記熱交換器における水の凍結又は凍結のおそれを検知するよう構成され、
前記制御手段は、冷却運転と、予備解氷運転と、解氷運転とを切り替えて実行するよう構成され、
前記冷却運転では、前記循環ラインを介して冷媒を循環させることで水を冷却し、
前記予備解氷運転では、前記圧縮機の前記圧縮能力を低下させつつ前記循環ラインを介して冷媒を循環させることで解氷を行い、
前記解氷運転では、前記圧縮機により高温高圧となった冷媒を前記バイパスラインを介して前記熱交換器に供給することで解氷を行い、
前記制御手段は、前記冷却運転の実行中に前記凍結検知手段が水の凍結又は凍結のおそれを検知した場合、前記圧縮機の前記圧縮能力が予め定めた能力より高ければ前記予備解氷運転を実行し、前記圧縮機の前記圧縮能力が前記予め定めた能力以下であれば前記解氷運転を実行する、冷水製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の冷水製造装置であって、
前記凍結検知手段は、前記熱交換器における水の解氷も検知するよう構成され、
前記制御手段は、前記予備解氷運転の実行中に前記凍結検知手段が解氷を検知した場合、前記冷却運転を実行する、冷水製造装置。
【請求項3】
請求項2に記載の冷水製造装置であって、
前記制御手段は、前記予備解氷運転を所定時間実行した後、まだ前記凍結検知手段が水の凍結を検知している場合は、前記解氷運転を実行する、冷水製造装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の冷水製造装置であって、
前記圧縮機は、周波数制御により前記圧縮能力を多段階に変更可能とされる、冷水製造装置。
【請求項5】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の冷水製造装置であって、
前記凍結検知手段は、前記熱交換器の出口側に設けられた冷媒温度センサであり、
前記制御手段は、前記冷媒温度センサが検知した前記熱交換器の出口側における出口冷媒温度が予め定めた温度以下となった場合に、水の凍結又は水の凍結のおそれがあると判断する、冷水製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷水を製造する冷水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品等の冷却のために冷水を製造する冷水製造装置がある。例えば、特許文献1には、熱交換器における冷水の凍結を検知した場合に、凝縮器及び膨張弁をバイパスさせることで冷媒をホットガスとして流す解氷運転(解凍運転)を行うことの可能な冷水製造装置(水冷却装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-133693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されるような解氷運転だけでは、完全に解氷できない場合があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、解氷率を向上させることの可能な冷水製造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]水を冷却して冷水を製造する冷水製造装置であって、圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、熱交換器と、循環ラインと、バイパスラインと、凍結検知手段と、制御手段とを備え、前記圧縮機は、冷媒を吸引して圧縮するとともに圧縮能力を変更可能に構成され、前記凝縮器は、冷媒を凝縮液化するよう構成され、前記膨張弁は、冷媒を減圧するよう構成され、前記熱交換器は、冷媒を水との熱交換により蒸発させるとともに当該熱交換により水を冷却するよう構成され、前記循環ラインは、前記圧縮機、前記凝縮器、前記膨張弁及び前記熱交換器に冷媒を流通させるよう構成され、前記バイパスラインは、前記凝縮器及び前記膨張弁をバイパスして冷媒を流通させるよう構成され、前記凍結検知手段は、前記熱交換器における水の凍結又は凍結のおそれを検知するよう構成され、前記制御手段は、冷却運転と、予備解氷運転と、解氷運転とを切り替えて実行するよう構成され、前記冷却運転では、前記循環ラインを介して冷媒を循環させることで水を冷却し、前記予備解氷運転では、前記圧縮機の前記圧縮能力を低下させつつ前記循環ラインを介して冷媒を循環させることで解氷を行い、前記解氷運転では、前記圧縮機により高温高圧となった冷媒を前記バイパスラインを介して前記熱交換器に供給することで解氷を行い、前記制御手段は、前記冷却運転の実行中に前記凍結検知手段が水の凍結又は凍結のおそれを検知した場合、前記圧縮機の前記圧縮能力が予め定めた能力より高ければ前記予備解氷運転を実行し、前記圧縮機の前記圧縮能力が前記予め定めた能力以下であれば前記解氷運転を実行する、冷水製造装置。
[2][1]に記載の冷水製造装置であって、前記凍結検知手段は、前記熱交換器における水の解氷も検知するよう構成され、前記制御手段は、前記予備解氷運転の実行中に前記凍結検知手段が解氷を検知した場合、前記冷却運転を実行する、冷水製造装置。
[3][2]に記載の冷水製造装置であって、前記制御手段は、前記予備解氷運転を所定時間実行した後、まだ前記凍結検知手段が水の凍結を検知している場合は、前記解氷運転を実行する、冷水製造装置。
[4][1]~[3]のいずれかに記載の冷水製造装置であって、前記圧縮機は、周波数制御により前記圧縮能力を多段階に変更可能とされる、冷水製造装置。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の冷水製造装置であって、前記凍結検知手段は、前記熱交換器の出口側に設けられた冷媒温度センサであり、前記制御手段は、前記冷媒温度センサが検知した前記熱交換器の出口側における出口冷媒温度が予め定めた温度以下となった場合に、水の凍結又は水の凍結のおそれがあると判断する、冷水製造装置。
【0007】
本発明によれば、制御手段が解氷運転に加えて予備解氷運転を行うことで、解氷率を向上させることが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る冷水製造装置1を示す概略図である。
図2図1の冷水製造装置1の冷却運転、予備解氷運転及び解氷運転の切り替え動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0010】
1.冷水製造装置1の構成
まず、本発明の一実施形態に係る冷水製造装置1の構成について説明する。本実施形態の冷水製造装置1は、水を冷却し、冷水を製造するために用いられる。製造された冷水は、例えば、食品等の被処理物を冷却するために用いられる。
【0011】
本実施形態の冷水製造装置1は、図1に示すように、冷凍機2を構成する圧縮機20及び凝縮器21と、膨張弁3と、熱交換器4と、循環ライン5と、バイパスライン6と、凍結検知手段としての冷媒温度センサ7と、制御手段8とを備える。本実施形態の冷水製造装置1は、熱交換器4に接続された冷水ライン100を流通する水が冷媒と熱交換することにより、冷水を製造する。なお、本実施形態の冷水製造装置1は、冷水ライン100の熱交換器4よりも下流側、つまり出口側の位置に、冷水温度センサ9も備えている。以下、各構成を具体的に説明する。
【0012】
冷凍機2は、圧縮機20と、凝縮器21とを備え、冷媒を冷却するものである。冷凍機2は、循環ライン5によって熱交換器4と接続されている。
【0013】
圧縮機20は、低温低圧の冷媒ガスを吸引して断熱圧縮し、高温高圧のガスにする。圧縮機20において高温高圧のガス状態となった冷媒は、好ましくは油分離器(図示せず)を介して凝縮器21へ送られる。圧縮機20には、例えばスクロール圧縮機が用いられる。
【0014】
ここで、本実施形態の圧縮機20は、多段階に運転周波数を変動させる周波数制御により圧縮能力を多段階に変更できるものである。運転周波数を多段階に変動させる例として、以下では、圧縮機20が運転周波数をレベル0(停止状態)からレベル12(最大周波数)の13段階に変更可能とした例を説明する。
【0015】
凝縮器21は、圧縮機20からの高温高圧のガスを凝縮液化して、低温高圧の冷媒液の状態にする。本実施形態の凝縮器21は、ファン21aを備える空冷式の熱交換器である。ただし、水冷式の凝縮器21を用いることも可能である。凝縮器21で低温高圧の冷媒液の状態となった冷媒は、循環ライン5を通って膨張弁3へ送られる。
【0016】
膨張弁3は、凝縮器21で低温高圧の冷媒液の状態となった冷媒を減圧して、低温低圧の冷媒液の状態にする。膨張弁3は、その開度を制御可能な弁であり、開度は制御手段8によって制御される。制御手段8によって膨張弁3の開度を調整することにより、減圧の度合いを調整することができる。膨張弁3で低温低圧の冷媒液の状態となった冷媒は、熱交換器4へ送られる。なお、膨張弁3は、電子膨張弁であっても機械式膨張弁であっても良い。
【0017】
熱交換器4は、冷凍サイクルにおける蒸発器として機能する。熱交換器4は、循環ライン5と接続される冷媒流路と冷水ライン100と接続される水流路とを備え、冷媒と水とを混合することなく、これらの間で間接的に熱交換させるものである。熱交換器4には、例えば、二重管熱交換器が用いられる。熱交換器4は、膨張弁3を通過して低温低圧となった循環ライン5の冷媒液が圧力一定のまま冷水ライン100の水から吸熱して蒸発することにより、水から熱を奪って水を冷却する。なお、膨張弁3の開度調整により、冷媒は熱交換器4において完全に蒸発し、蒸発した冷媒は、循環ライン5を通って低温低圧のガスの状態で冷凍機2(圧縮機20)へ送られるようになっている。
【0018】
循環ライン5は、冷媒を圧縮機20、凝縮器21、膨張弁3及び熱交換器4(蒸発器)の順に循環させるよう接続しており、冷媒が循環ライン5を循環することで、冷媒の圧縮、凝縮、膨張及び蒸発の冷凍サイクルが実行されるよう構成される。
【0019】
循環ライン5の凝縮器21の下流側(出口側)であって膨張弁3の上流側の位置には、循環弁50が設置されている。循環弁50には、電磁弁を用いることが好ましい。
【0020】
バイパスライン6は、凝縮器21及び膨張弁3をバイパスして冷凍機2の圧縮機20と熱交換器4とを接続し、冷媒を流通させるよう構成される。バイパスライン6には、バイパス弁60が設置されており、バイパス弁60にも、電磁弁が用いられる。ただし、バイパス弁60として、開度調整可能な弁(例えば、モータバルブや比例制御弁)を用いることも可能である。バイパス弁60の開度調整可能な弁とすることで、解氷運転においてバイパスさせる冷媒の流量を調整し、水の解氷能力を調整することが可能となる。
【0021】
冷媒温度センサ7は、循環ライン5における熱交換器4の下流側(出口側)であって圧縮機20の上流側(入口側)の位置に配置され、熱交換器4の下流側における冷媒の温度(出口冷媒温度)を検知する。本実施形態において、冷媒温度センサ7は、熱交換器4における水の凍結(凍結のおそれ)及び解氷を検知する凍結検知手段として機能する。具体的には、水が凍結すると熱交換器4における冷媒と水の熱交換率が低下するため、冷媒温度センサ7は、出口冷媒温度の低下を検知することで、水の凍結を検知することができる。なお、冷媒温度センサ7は、熱交換器4の出口から圧縮機20の入口に至る循環ライン5の配管上であれば、任意の箇所に設置することができる。
【0022】
制御手段8は、各種センサの検出信号や経過時間などに基づき、上記各構成を制御する。制御手段8は、具体的には、例えば、冷凍機2(圧縮機20及び凝縮器21)と、膨張弁3と、循環弁50と、バイパス弁60とを制御する。また、制御手段8には、冷媒温度センサ7などが接続されている。制御手段8は、後述するように、所定の手順(プログラム)に従い、冷媒を循環させて水を冷却する冷却動作のための制御を行う。
【0023】
ここで、上記構成の制御手段8は、具体的には例えば、CPU、メモリ(例えばフラッシュメモリ)、入力部及び出力部を備えた情報処理装置により構成することができる。そして、情報処理装置により構成された制御手段8の上記各構成要素による処理は、メモリに記憶されたプログラムをCPUが読み出して実行することで行われる。情報処理装置としては、例えば、パーソナルコンピュータ、PLC(プログラマラブルロジックコントローラ)あるいはマイコンが用いられる。ただし、制御手段8の一部の機能を、任意の通信手段により接続されたクラウド上で実行されるよう構成しても良い。
【0024】
なお、図示例では、冷水製造装置1の熱交換器4に接続される冷水ライン100には、熱交換器4の上流側(入口側)の位置に冷水ポンプ101が配置され、冷水ポンプ101の作動により水が流通するようになっている。冷水ライン100は、例えば、冷水タンク(図示せず)に接続され、熱交換器4と冷水タンクとで水を循環させることで、冷水タンク内の水を冷却することが可能である。ただし、冷水製造装置1により製造された冷水を熱負荷との熱交換(例えば食材の冷却)に使用し、使い捨てる(流水仕様)ようにしてもよい。
【0025】
また、冷水ライン100には、熱交換器4の下流側(出口側)の位置には、冷水温度センサ9も設けられている。
【0026】
2.冷水製造装置1の動作
次に、本実施形態の冷水製造装置1の動作について説明する。本実施形態の冷水製造装置1は、制御手段8の制御により、冷却運転と、予備解氷運転と、解氷運転とを実行する。以下、各運転の詳細と、各運転の切替動作について詳細に説明する。
【0027】
<冷却運転>
冷却運転は、冷凍機2によって冷媒を冷却し、循環ライン5を介して冷却した冷媒を循環させ、熱交換器4において冷媒と冷水ライン100の水との間で熱交換を行わせることで、水を冷却する運転である。具体的には、スタートボタンが押されるなど、冷水製造装置1による冷却運転の開始が指示されると、制御手段8は、冷凍機2(圧縮機20)を駆動するとともに、循環弁50を開き、バイパス弁60を閉じる。これにより、冷媒が循環ライン5を介して圧縮機20、凝縮器21、膨張弁3及び熱交換器4(蒸発器)の順に循環し、冷媒の圧縮、凝縮、膨張及び蒸発の冷凍サイクルが実行される。なお、冷水ライン100側では、冷水ポンプ101が駆動することで、熱交換器4内を水が流通するようになっている。
【0028】
ここで、本実施形態の制御手段8は、冷却運転において、水の冷却度合いに応じて冷凍機2の圧縮機20の運転周波数を変動させる周波数制御を実行するよう構成されている。具体的には、制御手段8は、冷水温度センサ9が検知する熱交換後の水の温度(以下、冷水出口温度と呼ぶ)に応じて周波数制御を実行する。より具体的には、制御手段8は、冷水出口温度が第1閾値以上である場合、圧縮機20の運転周波数を1レベル増加させる。また、制御手段8は、冷水出口温度が第2閾値以下である場合、圧縮機20の周波数を1レベル減少させる。ここで、第1閾値は冷水の目標温度より高い温度とし、第2閾値は冷水の目標温度より低い温度とすることが好ましい。ただし、圧縮機20の運転周波数は、上記以外の任意の条件により変動させることが可能である。
【0029】
<予備解氷運転>
予備解氷運転は、圧縮機20の運転周波数を下げることでその圧縮能力を低下させ、冷媒をあまり圧縮しない状態で循環ライン5を介して循環させ、予備的に解氷を試みる運転である。具体的には、予備解氷運転を行う場合、制御手段8は、循環ライン5を介して冷媒を循環させつつ、圧縮機20の運転周波数を予め定めた圧縮能力である基準周波数F1(例えば、レベル3)に低下させる。
【0030】
なお、詳細は後述するが、予備解氷運転は、直前の冷却運転時に圧縮機20の運転周波数が基準周波数F1よりも高い周波数であった場合に実行される。圧縮機20の運転周波数が基準周波数F1以下であった場合には、予備解氷運転を行う効果がないため、すぐに解氷運転が実行される。
【0031】
<解氷運転>
解氷運転(デフロスト運転)は、熱交換器4において冷水が凍結している場合に、熱交換器4に圧縮機20により高温高圧となった冷媒(ホットガス)を供給し、ホットガスの温熱によってこれを解氷するための運転である。具体的には、解氷運転を行う場合、制御手段8は、循環ライン5に設けられた循環弁50を閉じるとともに、バイパスライン6に設けられたバイパス弁60を開く。すると、冷凍機2の圧縮機20により高温高圧のガスとなった冷媒(ホットガス)が、凝縮器21及び膨張弁3をバイパスして循環する。これにより、ホットガスが直接熱交換器4に供給され、熱交換器4内で凍結した冷水が解氷されることになる。
【0032】
<切替動作>
次に、図2のフローチャートを用いて、上述した冷却運転、予備解氷運転及び解氷運転の切り替え動作について説明する。
【0033】
まず、スタートボタンが押されるなど、冷水製造装置1による冷却運転の開始が指示されると、上述したように、制御手段8は、冷凍機2(圧縮機20)を駆動するとともに循環弁50を開き、バイパス弁60を閉じて、循環ライン5に冷媒を循環させる冷却運転を実行する(ステップS1)。
【0034】
冷却運転の実行中、制御手段8は、常時又は定期的に冷媒温度センサ7が検知する出口冷媒温度を取得し、当該出口冷媒温度が予め定めた凍結基準温度T1以下であるか否かを判定する(ステップS2)。そして、出口冷媒温度が凍結基準温度T1以下であった場合、熱交換器4において水が凍結した(又は凍結のおそれがある)と判断して、次のステップS3に移行する。
【0035】
次に、ステップS3において、制御手段8は、直前の冷却運転における圧縮機20の運転周波数が基準周波数F1(例えば、レベル3)よりも高い周波数であるか否かを判定する。そして、制御手段8は、圧縮機20の運転周波数が基準周波数F1よりも高い周波数であった場合は、予備解氷運転を実行する(ステップS4)。予備解氷運転では、上述したように、圧縮機20の運転周波数を上記基準周波数F1(例えば、レベル3)に低下させた状態で、循環ライン5を介して冷媒を循環させる。
【0036】
なお、基準周波数F1は、最小の運転周波数(レベル0)と最大の運転周波数(レベル12)の間の中間の運転周波数とすることが好ましい。また、運転周波数を4段階以上に変動できる圧縮機20の場合には、真ん中の運転周波数よりも小さい運転周波数(例示する13段階であれば、レベル1~6)とすることがより好ましい。
【0037】
そして、予備解氷運転の実行中、制御手段8は、常時又は定期的に冷媒温度センサ7が検知する出口冷媒温度を取得し、当該出口冷媒温度が予め定めた解氷基準温度T2以上であるか否かを判定する(ステップS5)。そして、当該出口冷媒温度が予め定めた解氷基準温度T2以上であった場合、制御手段8は、水の凍結が解消され、解氷されたと判断する。そして、制御手段8は、予備解氷運転を終了し、冷却運転を再開して(ステップS8)、切替動作を終了する。一方、当該出口冷媒温度が予め定めた解氷基準温度T2未満であった場合は、制御手段8は、予備解氷運転では解氷できなかったと判断して、解氷運転を実行する(ステップS6)。なお、解氷基準温度T2は、凍結基準温度T1と同一温度としてもよく、凍結基準温度T1より高い温度に設定しても良い。
【0038】
また、ステップS3において、制御手段8は、圧縮機20の運転周波数が基準周波数F1より高くなかった場合、すなわち、基準周波数F1以下であった場合は、予備解氷運転を実行する効果がないと判断して、予備解氷運転を実行することなくすぐに解氷運転を実行する(ステップS6)。解氷運転では、上述したように、制御手段8は、循環ライン5に設けられた循環弁50を閉じるとともにバイパスライン6に設けられたバイパス弁60を開き、熱交換器4にホットガスを供給して、熱交換器4内で凍結した冷水を解氷する。
【0039】
ここで、解氷運転の実行中、制御手段8は、常時又は定期的に冷媒温度センサ7が検知する出口冷媒温度を取得し、当該出口冷媒温度が予め定めた解氷基準温度T2以上であるか否かを判定する(ステップS7)。そして、当該出口冷媒温度が解氷基準温度T2以上であった場合、水の凍結が解消され、解氷されたと判断して、解氷運転を終了し、冷却運転を再開して(ステップS8)、切替動作を終了する。解氷運転を終了するには、具体的には、制御手段8は、循環ライン5の循環弁50を開くとともに、バイパスライン6のバイパス弁60を閉じる。これにより、冷却運転動作が再開される。なお、予備解氷運転における解氷基準温度(ステップS5参照)と解氷運転における解氷基準温度(ステップS7参照)は異なっていても良い。
【0040】
冷却運転の再開後は、再度、ステップS2の冷媒温度センサ7が検知する出口冷媒温度が取得され、当該出口冷媒温度が凍結基準温度T1以下であるか否かを判定する状態となる。そして、冷水製造装置1は、ストップボタンが押されるなど、冷却運転の停止が指示された場合に、冷却運転を停止する。
【0041】
3.作用効果
(1)本実施形態の冷水製造装置1において、制御手段8は、冷却運転の実行中、冷媒温度センサ7が検知する出口冷媒温度を取得するよう構成される。そして、制御手段8は、当該出口冷媒温度が予め定めた凍結基準温度T1以下であるか否かを判定し(ステップS2)、出口冷媒温度が凍結基準温度T1以下であった場合、水が凍結したと判断する。そして、制御手段8は、直前の冷却運転における圧縮機20の運転周波数が基準周波数F1よりも高い周波数であるか否かを判定する(ステップS3)。そして、制御手段8は、圧縮機20の運転周波数が基準周波数F1より高かった場合には、まず予備解氷運転を実行し、予備解氷運転を実行しても解氷できなかった場合に解氷運転を実行するようになっている(ステップS5)。このように、本実施形態の冷水製造装置1では、凍結(又は凍結のおそれ)を検知した際に、制御手段8がまず予備解氷運転を実行し、その後解氷運転を実行することで、解氷率を向上させることが可能となっている。
【0042】
(2)また、本実施形態の冷水製造装置1では、制御手段8は、予備解氷運転において解氷が検知された場合には、解氷運転を行うことなく冷却運転を再開するようになっている(ステップS5)。これにより、解氷運転を実行する頻度を低減することができ、効率的に冷却運転を行うことが可能となっている。
【0043】
4.変形例
なお、本発明は、以下の態様でも実施可能である。
【0044】
上記実施形態では、予備解氷運転を行うか解氷運転を行うかを判断するための運転周波数(ステップS3参照)と、予備解氷運転における運転周波数はいずれも基準周波数F1と同じであった。しかしながら、予備解氷運転における運転周波数は、判断の基準となる運転周波数よりも低い運転周波数であっても良い。
【0045】
上記実施形態では、圧縮機20が運転周波数を13段階に変更可能とした例を説明したが、圧縮機20は、2段階以上の任意の段階に運転周波数を変更可能であれば良い。また、圧縮機20は、運転周波数を無段階に変更する構成であっても良い。
【0046】
また、上記実施形態において、圧縮機20は、周波数制御により圧縮能力を多段階に変更可能な構成であった。しかしながら、圧縮機を並列に複数台配置し、駆動する圧縮機の台数を制御することで圧縮能力を調整する構成とすることも可能である。
【0047】
上記実施形態では、熱交換器4における水の凍結又は凍結のおそれを検知する凍結検知手段として、熱交換器4の出口冷媒温度を検知する冷媒温度センサ7が用いられていた。しかしながら、冷水の凍結を検知する構成は、上記以外のものであっても良い。例えば、熱交換器4の出口冷媒温度に代えて、又はこれに加えて、熱交換器4の入口冷媒温度の低下、冷凍機2(圧縮機20)が吸入するガスの過熱度/温度の低下、冷水ライン100の循環流量の低下、熱交換器4の入口圧力の増加、熱交換器4の出口圧力の減少、熱交換器4の出入口圧力差の増加の少なくとも1つに基づいて、凍結を検知する構成であっても良い。
【0048】
上記実施形態において、制御手段8は、冷媒温度センサ7が検知する出口冷媒温度が解氷基準温度T2以上となった場合に解氷運転を終了し、冷却運転を再開していた(ステップS7参照)。しかしながら、解氷運転を予め定めた時間だけ実行して、その後自動的に冷却運転を再開する構成としても良い。
【0049】
上記実施形態の冷水製造装置1において、凝縮器21において液化された高圧低温の冷媒と熱交換器4で気化された冷媒との間で熱交換をする液ガス熱交換器(図示せず)を設けることも好ましい。液ガス熱交換器により、膨張弁3へ送られる冷媒を冷却するとともに、熱交換器4を出て冷凍機2(圧縮機20)に戻る冷媒を完全にガス化することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 :冷水製造装置
2 :冷凍機
3 :膨張弁
4 :熱交換器
5 :循環ライン
6 :バイパスライン
7 :冷媒温度センサ(凍結検知手段)
8 :制御手段
9 :冷水温度センサ
20 :圧縮機
21 :凝縮器
21a :ファン
50 :循環弁
60 :バイパス弁
100 :冷水ライン
101 :冷水ポンプ
F1 :基準周波数
T1 :凍結基準温度
T2 :解氷基準温度
図1
図2