(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117467
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】点検口枠及び点検口構造
(51)【国際特許分類】
E04F 19/08 20060101AFI20240822BHJP
E06B 7/22 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
E04F19/08 101A
E06B7/22 F
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023586
(22)【出願日】2023-02-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000133319
【氏名又は名称】株式会社ダイケン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村岡 昌紀
(72)【発明者】
【氏名】狩野 誠也
(72)【発明者】
【氏名】下部 泰明
【テーマコード(参考)】
2E036
【Fターム(参考)】
2E036AA02
2E036AA05
2E036BA01
2E036CA01
2E036CA03
2E036DA02
2E036EB02
2E036EB07
2E036EC05
2E036GA03
2E036HA01
2E036HB23
(57)【要約】
【課題】遮音性能に優れた点検口枠及び点検口構造を提供する。
【解決手段】点検口枠1は、外枠10と内枠20とを備える。外枠10及び内枠20は、枠本体11,21と、上フランジ部12,22と、下フランジ部13,23とをそれぞれ有している。外枠10及び内枠20の上フランジ部12,22及び下フランジ部13,23は、内枠20が閉位置にあるときに、それぞれ少なくとも一部分が上下方向に対向するように形成されている。点検口枠1は、内枠20が閉位置にあるときに、外枠10及び内枠20の上フランジ部12,22の互いに対向する対向部間に挟まれる上側パッキン31と、外枠10及び内枠20の下フランジ部13,23の互いに対向する対向部間に挟まれる下側パッキン32とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に形成された開口を縁取る外枠と、上記開口を閉塞する蓋の外周を縁取る内枠とを備え、上記内枠が上記外枠の内側にあって上記蓋が上記開口を閉塞する閉位置と上記蓋が上記開口を閉塞しない開位置とに移動可能に構成された点検口枠であって、
上記外枠は、上記開口を取り囲む天井材の端面に対向して上下方向に延びる外枠本体と、該外枠本体の上端部から内側へ延出する外枠上フランジ部と、上記外枠本体の下端部から内側へ延出する外枠下フランジ部とを有し、
上記内枠は、上記閉位置にあるときに、上記外枠本体の内側において上下方向に延びる内枠本体と、該内枠本体の上端部から外側へ延出する内枠上フランジ部と、上記内枠本体の下端部から外側へ延出する内枠下フランジ部とを有し、
上記外枠上フランジ部及び上記内枠上フランジ部は、上記内枠が上記閉位置にあるときに、少なくとも一部分が上下方向に対向するように形成され、
上記外枠下フランジ部及び上記内枠下フランジ部は、上記内枠が上記閉位置にあるときに、少なくとも一部分が上下方向に対向するように形成され、
上記内枠が上記閉位置にあるときに、
上記外枠上フランジ部及び上記内枠上フランジ部の互いに対向する対向部間に挟まれる上側パッキンと、
上記外枠下フランジ部及び上記内枠下フランジ部の互いに対向する対向部間に挟まれる下側パッキンとを備える
ことを特徴とする点検口枠。
【請求項2】
請求項1に記載の点検口枠において、
上記点検口枠は、矩形状に形成され、
上記点検口枠の一辺には、該一辺に平行な回動軸を有するヒンジが設けられ、
上記内枠は、上記ヒンジにより、上記回動軸周りに回動して上記開位置と上記閉位置とに移動するように構成され、
上記下側パッキンは、上記点検口枠の上記一辺以外の三辺に設けられている
ことを特徴とする点検口枠。
【請求項3】
請求項2に記載の点検口枠において、
上記点検口枠は、上記外枠上フランジ部よりも下方で且つ上記外枠下フランジ部より上方の位置において、上記点検口枠の上記一辺方向に延び、上記外枠本体の内面から上記閉位置にある上記内枠の上記内枠本体の外面に亘って延びる遮蔽部をさらに備える
ことを特徴とする点検口枠。
【請求項4】
請求項1に記載の点検口枠において、
上記外枠下フランジ部は、上記外枠本体の下端部から内側へ延びる本体部と、該本体部の内端から上方に延びる第1対向部と、該第1対向部の上端から内側へ延びる第2対向部とを有し、
上記第1及び第2対向部は、上記内枠下フランジ部の先端部とそれぞれ対向して上記外枠下フランジ部の上記対向部を構成し、
上記下側パッキンは、上記内枠が上記閉位置にあるときに、上記第1対向部と上記内枠下フランジ部の先端部との間に挟まれる第1部分と、上記第2対向部と上記内枠下フランジ部の先端部との間に挟まれる第2部分とを有するように形成されている
ことを特徴とする点検口枠。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の点検口枠において、
上記下側パッキンは、上記外枠下フランジ部の上記対向部に取り付けられている
ことを特徴とする点検口枠。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1つに記載の点検口枠において、
上記下側パッキンは、上記内枠下フランジ部の上記対向部に取り付けられている
ことを特徴とする点検口枠。
【請求項7】
天井に形成された開口に設けられて点検口を構成する点検口構造であって、
上記開口に設けられる請求項1に記載の点検口枠と、
上記点検口枠の上記内枠に支持されて上記開口を開閉する板状の蓋とを備える
ことを特徴とする点検口構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の天井の点検口に設けられる点検口枠及びそれを備えた点検口構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等の建物の天井には、天井裏を点検するための点検口が形成されている。通常、天井の点検口が形成された箇所には、点検口枠と蓋とを備える点検口構造が構築されている(例えば、下記の特許文献1を参照)。
【0003】
上記点検口構造では、点検口枠は、点検口を縁取る外枠と、外枠の内側において点検口を塞ぐ蓋の外周を縁取る内枠とを備えている。内枠は、ヒンジを介して外枠に回動可能に取り付けられている。蓋は、板状体からなり、内枠の内側に嵌め込まれている。このような点検口枠と蓋とを備える点検口構造により、点検口は開閉可能に構成されている。
【0004】
また、上記点検口構造では、点検口枠(外枠)と周囲に設けられる天井材との間、点検口枠(内枠)と蓋との間、及び点検口枠の内枠の上端と外枠のフランジ部との間のそれぞれにシール材を設け、天井裏からの冷気や暖気の室内への侵入を抑制していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記点検口構造では、気密性を高めて冷暖房効率を向上させることはできるものの、防音室等の用途においては遮音性能が低く、天井裏を介して他の室の音が侵入する虞があった。
【0007】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、遮音性能に優れた点検口枠及び点検口構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明では、点検口枠の外枠及び内枠を、枠本体と、互いの枠本体の上下の端部において互いに向かって延出するフランジ部とを有し、内枠が閉位置にあるときに互いの上下のフランジ部が対向すると共に、対向部間にパッキンが挟まれるように構成することにより、外枠と内枠の枠本体の間に、外枠及び内枠の上下のフランジ部によって2枚の障壁が上下に構築されると共に、上下の障壁と外枠及び内枠の枠本体とによって四方が閉塞された遮音空間が区画されるようにした。
【0009】
具体的には、第1の発明は、天井に形成された開口を縁取る外枠と、上記開口を閉塞する蓋の外周を縁取る内枠とを備え、上記内枠が上記外枠の内側にあって上記蓋が上記開口を閉塞する閉位置と上記蓋が上記開口を閉塞しない開位置とに移動可能に構成された点検口枠を前提とするものである。
【0010】
そして、第1の発明は、上記外枠は、上記開口を取り囲む天井材の端面に対向して上下方向に延びる外枠本体と、該外枠本体の上端部から内側へ延出する外枠上フランジ部と、上記外枠本体の下端部から内側へ延出する外枠下フランジ部とを有し、上記内枠は、上記閉位置にあるときに、上記外枠本体の内側において上下方向に延びる内枠本体と、該内枠本体の上端部から外側へ延出する内枠上フランジ部と、上記内枠本体の下端部から外側へ延出する内枠下フランジ部とを有し、上記外枠上フランジ部及び上記内枠上フランジ部は、上記内枠が上記閉位置にあるときに、少なくとも一部分が上下方向に対向するように形成され、上記外枠下フランジ部及び上記内枠下フランジ部は、上記内枠が上記閉位置にあるときに、少なくとも一部分が上下方向に対向するように形成され、上記内枠が上記閉位置にあるときに、上記外枠上フランジ部及び上記内枠上フランジ部の互いに対向する対向部間に挟まれる上側パッキンと、上記外枠下フランジ部及び上記内枠下フランジ部の互いに対向する対向部間に挟まれる下側パッキンとを備えることを特徴とするものである。
【0011】
第1の発明では、点検口枠の外枠及び内枠が、それぞれ枠本体(外枠本体、内枠本体)と上下のフランジ部(外枠上フランジ部及び外枠下フランジ部、内枠上フランジ部及び内枠下フランジ部)とを有し、内枠が閉位置にあるときに互いの上下のフランジ部の少なくとも一部分が上下方向に対向すると共に、各対向部間にパッキン(上側パッキン、下側パッキン)が挟まれるように構成されている。これにより、内枠が閉位置にあるとき、つまり、蓋が開口を閉塞する際には、外枠と内枠の枠本体の間に、外枠及び内枠の上下のフランジ部によって2枚の障壁が上下に構築されると共に、上下の障壁と外枠及び内枠の枠本体とによって四方が閉塞された遮音空間が区画されることとなる。このような構成により、外枠と内枠との間を通り抜けようとする音を、2枚の障壁によって二重に遮ることができると共に、1枚目の障壁を越えた音を遮音空間で減衰させることもできる。従って、第1の発明によれば、遮音性能に優れた点検口枠を提供することができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、上記点検口枠は、矩形状に形成され、上記点検口枠の一辺には、該一辺に平行な回動軸を有するヒンジが設けられ、上記内枠は、上記ヒンジにより、上記回動軸周りに回動して上記開位置と上記閉位置とに移動するように構成され、上記下側パッキンは、上記点検口枠の上記一辺以外の三辺に設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
第2の発明では、点検口枠は矩形状に形成され、一辺に設けられたヒンジによって内枠が上記一辺に平行な回動軸周りに回動して内枠に取り付けられた蓋が開口を開閉するように構成されている。そして、第2の発明では、下側パッキンは、ヒンジが設けられる点検口枠の一辺以外の三辺に設けられている。
【0014】
第3の発明は、第2の発明において、上記点検口枠は、上記外枠上フランジ部よりも下方で且つ上記外枠下フランジ部より上方の位置において、上記点検口枠の上記一辺方向に延び、上記外枠本体の内面から上記閉位置にある上記内枠の上記内枠本体の外面に亘って延びる遮蔽部をさらに備えることを特徴とするものである。
【0015】
第3の発明では、点検口枠が、外枠上フランジ部と外枠下フランジ部との間において、点検口枠の一辺方向(一辺の延伸方向)に延びて外枠及び内枠の枠本体間を遮蔽する遮蔽部をさらに備えている。そのため、点検口枠の一辺には、外枠及び内枠の上フランジ部によって形成される障壁の他に、遮蔽部によっても障壁が構築される。つまり、第3の発明では、点検口枠の一辺に下側パッキンが設けられていなくても、点検口枠の一辺には、外枠及び内枠の上フランジ部と、遮蔽部とによって2枚の障壁が上下に構築されると共に、2枚の障壁と外枠及び内枠の枠本体とによって四方が閉塞された遮音空間が区画されることとなる。よって、第3の発明によれば、点検口枠の一辺に下側パッキンが設けられていなくても、点検口枠の一辺では、外枠と内枠との間を通り抜けようとする音を、2枚の障壁によって二重に遮ることができ、1枚目の障壁を越えた音を遮音空間で減衰させることもできる。従って、第3の発明によれば、点検口枠の一辺に下側パッキンを設けなくても、遮音性能に優れた点検口枠を提供することができる。
【0016】
第4の発明は、第1の発明において、上記外枠下フランジ部は、上記外枠本体の下端部から内側へ延びる本体部と、該本体部の内端から上方に延びる第1対向部と、該第1対向部の上端から内側へ延びる第2対向部とを有し、上記第1及び第2対向部は、上記内枠下フランジ部の先端部とそれぞれ対向して上記外枠下フランジ部の上記対向部を構成し、上記下側パッキンは、上記内枠が上記閉位置にあるときに、上記第1対向部と上記内枠下フランジ部の先端部との間に挟まれる第1部分と、上記第2対向部と上記内枠下フランジ部の先端部との間に挟まれる第2部分とを有するように形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
第4の発明では、外枠下フランジ部の対向部をL字形状に形成している。そのため、内枠が閉位置にあるときに、外枠下フランジ部及び内枠下フランジ部の対向部間の隙間はL字形状となる。そして、下側パッキンは、内枠が閉位置にあるときに、断面がL字形状となってL字形状の隙間を閉塞するように構成されている。このような構成によれば、外枠と内枠との間を通り抜けようとする音を、より確実に遮ることができる。従って、第4の発明によれば、より遮音性能に優れた点検口枠を提供することができる。
【0018】
第5の発明は、第1~第4のいずれか1つの発明において、上記下側パッキンは、上記外枠下フランジ部の上記対向部に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0019】
第5の発明では、下側パッキンが、可動部材でない外枠に取り付けられているため、下側パッキンが剥がれ落ちるのを防止することができる。
【0020】
第6の発明は、第1~第4のいずれか1つの発明において、上記下側パッキンは、上記内枠下フランジ部の上記対向部に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0021】
第6の発明では、下側パッキンが、可動部材である内枠に取り付けられているため、下側パッキンの交換を容易に行うことができる。
【0022】
第7の発明は、天井に形成された開口に設けられて点検口を構成する点検口構造であって、上記開口に設けられる第1の発明に係る点検口枠と、上記点検口枠の上記内枠に支持されて上記開口を開閉する板状の蓋とを備えることを特徴とするものである。
【0023】
第7の発明では、第1の発明に係る遮音性能に優れた点検口枠を備えることにより、遮音性能に優れた点検口構造を提供することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明した如く、本発明によると、点検口枠の外枠及び内枠を、枠本体と、互いの枠本体の上下の端部において互いに向かって延出するフランジ部とを有し、内枠が閉位置にあるときに互いの上下のフランジ部が対向すると共に、対向部間にパッキンが挟まれるように構成することにより、外枠と内枠の枠本体の間に、外枠及び内枠の上下のフランジ部によって2枚の障壁が上下に構築されると共に、上下の障壁と外枠及び内枠の枠本体とによって四方が閉塞された遮音空間が区画されるようにしたため、遮音性能に優れた点検口枠及び点検口構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る点検口枠を備えた点検口構造の断面図である。
【
図5】
図5は、遮音性能試験の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0027】
《発明の実施形態1》
-点検口構造の構成-
図1は、本発明の実施形態1に係る点検口構造Aの縦断面図である。以下では、説明の便宜上、
図1の左側、右側、上側、下側を、それぞれ「左」、「右」、「上」、「下」として説明する。
【0028】
図1に示すように、点検口構造Aは、建物の天井Cに形成された矩形状の開口Oに設けられている。点検口構造Aは、点検口枠1と、矩形板状の蓋2とを備え、蓋2が取り付けられた点検口枠1を開口Oが形成された天井Cに取り付けることにより、点検口枠1の外枠10の内側に、蓋2によって開閉される点検口が区画される。
【0029】
[点検口枠]
点検口枠1は、金属製の外枠10と、金属製の内枠20とを備えている。本実施形態1では、外枠10及び内枠20は、いずれもアルミニウム製である。外枠10は、天井Cに形成された矩形状の開口Oを縁取るように開口O内に配置され、該開口Oを取り囲む天井パネル(天井材)C1,…,C1が固定される野縁C2,…,C2に固定されている。内枠20は、内側に矩形状の蓋2が取り付けられて蓋2の外周を縁取り、点検口枠1の一辺に設けられた該一辺に平行な軸を有するヒンジ40によって回動可能に構成されることにより、外枠10の内側にあって蓋2が開口Oを閉塞する閉位置(
図1の実線の位置)と蓋2が開口Oを閉塞しない所定の開位置とに移動可能に構成されている。なお、本実施形態1では、所定の開位置は、内枠20が閉位置からヒンジ40によって160度程度回動した
図1において仮想線で示す位置とする。以下では、特に断りのない限り、内枠20が閉位置にある状態について説明する。
【0030】
(外枠)
外枠10は、4つの外枠材を枠組みすることによって矩形状に形成されている。外枠10は、枠本体(外枠本体)11と、上フランジ部(外枠上フランジ部)12と、下フランジ部(外枠下フランジ部)13と、外フランジ部14とを備えている。
【0031】
枠本体11は、枠組みされた4つの外枠材の上下方向に延びる鉛直板部により、矩形状に形成されている。枠本体11は、各辺部(各外枠材の鉛直板部)の外面が、矩形状の開口Oを取り囲む天井パネル(天井材)C1,…,C1の各端面に対向して各端面を覆うように設置されている。
【0032】
上フランジ部12は、枠本体11を構成する4つの外枠材の鉛直板部の上端部から内側に延びる板状片部により、平面視において矩形状に形成されている。上フランジ部12の外側端部には、外枠10の固定具の一部を受容する凹部が形成されている。上フランジ部12の先端部(内側端部)は、後述する内枠20の上フランジ部22と対向する外枠10の上フランジ部12(外枠上フランジ部)の対向部を構成する。
【0033】
下フランジ部13は、枠本体11を構成する4つの外枠材の鉛直板部の下端部から内側に延びる板状片部により、平面視において矩形状に形成されている。下フランジ部13は、枠本体11の下端部から内側へ延びる本体部13aと、該本体部13aの内端から上方に延びる第1対向部13bと、該第1対向部13bの上端から内側へ延びる第2対向部13cとを有している。第1対向部13b及び第2対向部13cは、後述する内枠20の下フランジ部23の先端部と対向する外枠10の下フランジ部13(外枠下フランジ部)の対向部を構成する。このように、実施形態1では、外枠10の下フランジ部13の対向部は、第1対向部13bと第2対向部13cとにより断面がL字形状に形成されている。
【0034】
外フランジ部14は、枠本体11を構成する4つの外枠材の鉛直板部の下端部から外側に延びる板状片部により、平面視において矩形状に形成されている。外フランジ部14は、先端部が、矩形状の開口Oを取り囲む天井パネル(天井材)C1,…,C1の下方において天井パネルC1,…,C1の端部に重なる幅(内外方向の長さ)に形成されている。このような構成により、天井パネルC1,…,C1と枠本体11との隙間が、外フランジ部14によって閉塞され、下方の室内から見えなくなる。
【0035】
(内枠)
内枠20は、枠本体(内枠本体)21と、上フランジ部(内枠上フランジ部)22と、下フランジ部(内枠下フランジ部)23と、内フランジ部24とを備えている。
【0036】
枠本体21は、枠組みされた4つの内枠材の上下方向に延びる鉛直板部により、矩形状に形成されている。枠本体21は、外枠10の枠本体11の内側に、各辺部(各内枠材の鉛直板部)の外面が、外枠10の枠本体11の各辺部の内面に対向するように設けられている。また、枠本体21は、内側に矩形状の蓋2が嵌め込まれ、蓋2の外周面を覆う。枠本体21の上端部は、外枠10の枠本体11の上端部よりも下方に配置される。
【0037】
上フランジ部22は、枠本体21を構成する4つの内枠材の鉛直板部の上端部から外側に延びる板状片部により、平面視において矩形状に形成されている。上フランジ部22は、枠本体21の上端部から外側へ延びる本体部22aと、該本体部22aの外端から下方に延びる折曲部22bとを有し、断面がL字形状に形成されている。上フランジ部22は、本体部22aが外枠10の上フランジ部12の先端部と上下方向に対向するように設けられている。本体部22aは、外枠10の上フランジ部12と対向する内枠20の上フランジ部22(内枠上フランジ部)の対向部を構成する。
【0038】
下フランジ部23は、枠本体21を構成する4つの内枠材の鉛直板部の下端部から外側に延びる板状片部により、平面視において矩形状に形成されている。下フランジ部23は、先端部(外側端部)が、外枠10の下フランジ部13の第1対向部13bと内外方向に対向すると共に、第2対向部13cと上下方向に対向するように設けられている。下フランジ部23の先端部は、外枠10の下フランジ部13と対向する内枠20の下フランジ部23(内枠下フランジ部)の対向部を構成する。
【0039】
内フランジ部24は、枠本体21を構成する4つの内枠材の鉛直板部の下端部から内側に延びる板状片部により、平面視において矩形状に形成されている。内フランジ部24は、先端部が、枠本体21の内側に設けられる蓋2の下方において蓋2の端部に重なる幅(内外方向の長さ)に形成されている。このような構成により、蓋2と枠本体21との隙間が、内フランジ部24によって閉塞され、下方の室内から見えなくなる。
【0040】
(ヒンジ)
上述したように、内枠20は、点検口枠1の一辺(
図1の点検口枠1の左端部)に設けられたヒンジ40によって上記一辺に平行な回動軸周りに回動して、蓋2が開口Oを開閉するように構成されている。ヒンジ40は、軸部41と、凹部42とを有している。
【0041】
軸部41は、外枠10及び内枠20の枠本体11,21の間において点検口枠1の一辺方向(一辺の延伸方向)に延びる棒状部材によって構成されている。本実施形態1では、軸部41は、円柱形状の棒状部材によって構成されている。また、本実施形態1では、軸部41は、後述する隔壁45に連結され、内枠20の下フランジ部23の上方の所定の位置において隔壁45に支持されている。詳細については後述するが、隔壁45は、内枠20が閉位置にあるときには音を遮る障壁として機能し、内枠20の回動動作時には自身も回動して内枠20の回動軸を移動させる機能を有す。
【0042】
凹部42は、外枠10及び内枠20の枠本体11,21の間において点検口枠1の一辺方向に延び、軸部41が相対回動可能な形状に形成されている。本実施形態1では、凹部42は、円柱形状の棒状部材からなる軸部41が嵌まるように断面がC字形状に形成されている。また、本実施形態1では、凹部42は、内枠20の下フランジ部23の一辺上方に該下フランジ部23の一辺に連続するように形成されている。
【0043】
以上のような構成により、本実施形態1では、内枠20(下フランジ部23)に連続する凹部42が、隔壁45に連結された軸部41の軸心を回動軸として回動することにより、内枠20が開位置と閉位置とに移動し、開口Oが蓋2によって開閉されることとなる。なお、隔壁45は、内枠20の回動に伴って回動し、軸部41の位置が変化する。そのため、内枠20は、移動する回動軸周りに回動することとなる。
【0044】
(隔壁)
上述したように、本実施形態1では、点検口枠1は、さらに、点検口枠1の一辺の外枠10及び内枠20の枠本体11,21間を室内側と天井裏側とに区画する隔壁45を有している。隔壁45は、遮蔽部46と、係合部47と、支持部48とを有している。
【0045】
遮蔽部46は、ヒンジ40(軸部41及び凹部42)より上方で且つ外枠10の上フランジ部12よりも下方の位置において、点検口枠1の一辺方向に延び、外枠10の枠本体11の内面から内枠20の枠本体21の外面に亘って延びる板状片部によって構成されている。遮蔽部46は、内側端部が内枠20の枠本体21に沿って上方に延び、断面がL字形状に形成されている。遮蔽部46は、内枠20が閉位置にあるときに、外側端部が外枠10の枠本体11に当接し、内側端部が内枠20の枠本体21に当接するように構成されている。このように、内枠20が閉位置にあるとき、点検口枠1の一辺の外枠10及び内枠20の枠本体11,21間は、遮蔽部46によって室内側と天井裏側とに区画される。
【0046】
係合部47は、遮蔽部46の外側端部に連続し、断面がJ字形状(
図4では左右反転したJ字形状)に形成された板状片部によって構成されている。係合部47は、内枠20の回動動作時に、外枠10の下フランジ部13の上方に立ち上がった先端部に係合して回動するように構成されている。係合部47は、内枠20が閉位置にあるときには、遮蔽部46を、軸部41及び凹部42の上方の位置に持ち上げて遮蔽部46を支持し、内枠20の回動動作時には、外枠10の下フランジ部13の先端部と係合して該先端部周りに隔壁45を回動させる役割を果たす。
【0047】
支持部48は、遮蔽部46の下面から下方に突出する板状片部によって構成されている。支持部48の先端部に軸部41が連結され、支持部48は、軸部41を支持する。
【0048】
隔壁45の遮蔽部46の水平部分及び係合部47の上方には、L字金具49が設けられている。L字金具49は、外枠10の枠本体11に沿って鉛直方向に延びて枠本体11に固定される鉛直板部と、鉛直板部の下端から水平方向の内側向きに延びる水平板部とを有している。隔壁45は、内枠20の回動動作時に、係合部47が外枠10の下フランジ部13の先端部に係合して該先端部周りに回動するが、L字金具49は、内枠20の回動動作時に、隔壁45の係合部47が外枠10の下フランジ部13の先端部から外れて脱落しないように、水平部分によって隔壁45の動作を規制する。
【0049】
以上のような構成により、本実施形態1では、隔壁45は、内枠20が閉位置にあるときには、遮蔽部46が、点検口枠1の一辺の外枠10及び内枠20の枠本体11,21間を室内側と天井裏側とに区画し、外枠10と内枠20との間を通り抜けようとする音を遮る障壁として機能する。一方、内枠20の回動動作時には、隔壁45は、係合部47が外枠10の下フランジ部13の先端部と係合して回動することにより、軸部41を外枠10内から外枠10外の所定の位置まで下フランジ部13の先端部の周りで弧を描くように移動させる。このように、内枠20の回動動作時に回動軸を外枠10内から外枠10外の所定の位置まで移動させることにより、内枠20を閉位置から蓋2の化粧面(
図1では下面)が天井パネルC1に対面する160度程度回動させた所定の開位置(
図1の仮想線の位置)まで外枠10に引っ掛からないように円滑に回動させることができる。
【0050】
(パッキン)
図2に示すように、点検口枠1には、4つのパッキン31~34が設けられている。具体的には、外枠10及び内枠20の上フランジ部12,22の対向部間に上側パッキン31、外枠10及び内枠20の下フランジ部13,23の対向部間に下側パッキン32、外枠10の外フランジ部14と天井パネルC1との対向部間に外側パッキン33、内枠20の内フランジ部24と蓋2との対向部間に内側パッキン34が、それぞれ設けられている。
【0051】
本実施形態1では、上側パッキン31、下側パッキン32及び外側パッキン33は、外枠10に接着剤等で取り付けられ、内側パッキン34は、内枠20に接着剤等で取り付けられている。なお、上側パッキン31及び下側パッキン32は、外枠10の上フランジ部12及び下フランジ部13にそれぞれ取り付けられているが、内枠20の上フランジ部22及び下フランジ部23にそれぞれ取り付けてもよい。また、取り付ける手段は、接着剤に限られず、各パッキン31~34を固定できるものであればいかなるものであってもよい。
【0052】
また、4つのパッキン31~34は、本実施形態1では、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)系発泡体によって構成されているが、CR(クロロプレンゴム)系発泡体、アクリル系発泡体、ウレタン系発泡体、ポリエチレン系発泡体、合成ゴム発泡体等でパッキン31~34を構成してもよい。なお、4つのパッキン31~34には、独立発泡の発泡体を用いるのが好ましい。
【0053】
また、本実施形態1では、4つのパッキン31~34のいずれも、断面が矩形状に形成されているが、各部材の対向部間で圧縮されてL字形状に変形している。なお、4つのパッキン31~34は、各部材の対向部間の隙間を閉塞できればいかなる形状であってもよい。
【0054】
なお、上側パッキン31,外側パッキン33及び内側パッキン34については、従来の点検口枠1にも設けられていた。しかしながら、上側パッキン31,外側パッキン33及び内側パッキン34を設けるのみでは、気密性を高めて冷暖房効率を向上させることはできるものの、防音室等の用途においては遮音性能が低く、天井裏を介して他の室の音が侵入する虞があったため、本願では、下側パッキン32を設けることとしている。以下、下側パッキン32について詳細に説明する。
【0055】
図3に示すように、下側パッキン32は、長さが第1及び第2対向部13b,13cの長さに略等しい長さに形成され、内枠20が閉位置にあるときに、外枠10の下フランジ部13の第1対向部13bと内枠20の下フランジ部23の対向部(先端部)との間に挟まれて上下方向に延びる第1部分32aと、第2対向部13cと内枠20の下フランジ部23の対向部(先端部)との間に挟まれて内外方向に延びる第2部分32bとを有するように形成されている。
【0056】
本実施形態1では、下側パッキン32は、断面が矩形状に形成され、1つの角部が外枠10の下フランジ部13の断面L字形状の対向部に嵌まるように設けられ、内枠20が閉位置にあるときに、外枠10及び内枠20の下フランジ部13,23の対向部間で圧縮されてL字形状に変形することにより、第1部分32aと第2部分32bとを有するように形成されている。下側パッキン32をこのように構成することにより、内枠20が閉位置にあるときに、外枠10及び内枠20の下フランジ部13,23の対向部間のL字形状の隙間は、断面L字形状に変形した下側パッキン32によって閉塞されることとなる。
【0057】
なお、下側パッキン32の変形前の断面形状は矩形状に限られず、内枠20が閉位置にあるときに第1部分32aと第2部分32bとを有するように(断面L字形状に)変形するものであればいかなる形状であってもよい。
【0058】
また、本実施形態1では、下側パッキン32は、点検口枠1のヒンジ40が設けられる一辺以外の三辺にのみ設けられている。上述したように、本実施形態1では、下側パッキン32は、外枠10の下フランジ部13の対向部(第1対向部13b及び第2対向部13c)に接着剤等で取り付けられている。
【0059】
[蓋]
蓋2は、内枠20の枠本体21の内側に嵌まるように枠本体21と同様の矩形状の板状体によって構成されている。蓋2は、いかなる素材で構成されていてもよいが、遮音性能に優れた素材で構成されるのが好ましい。本実施形態1では、蓋2は、天井パネルC1と同様のパネルで構成されている。蓋2は、内枠20の枠本体21の内側に、内フランジ部24の上方に載るように嵌め込まれ、図示を省略した留め具で固定されている。
【0060】
-遮音効果-
次に、点検口枠1及びそれを備えた点検口構造Aの遮音効果について説明する。
【0061】
点検口枠1では、内枠20が蓋2によって開口Oが閉塞される閉位置にあるとき、外枠10及び内枠20の上フランジ部12,22の少なくとも一部分が上下方向に対向し、対向部間には上側パッキン31が挟まれる。また、外枠10及び内枠20の下フランジ部13,23の少なくとも一部分も上下方向に対向し、対向部間には下側パッキン32が挟まれる。これにより、内枠20が閉位置にあるとき(蓋2が開口Oを閉塞する際)には、外枠10と内枠20の枠本体11,21の間に、上側パッキン31で隙間が閉塞された上フランジ部12,22と、下側パッキン32によって隙間が閉塞された下フランジ部13,23とにより、2枚の障壁が上下に構築される。また、2枚の障壁が上下に構築されることにより、上下の障壁と外枠10及び内枠20の枠本体11,21とによって四方が閉塞された遮音空間50が区画されることとなる。このような構成により、外枠10と内枠20との間を通り抜けようとする音は、2枚の障壁によって二重に遮られることとなり、また、音が1枚目の障壁を越えたとしても、遮音空間50で減衰されることとなる。
【0062】
以上のように、従来から点検口枠に設けられていた上側パッキン31,外側パッキン33及び内側パッキン34の他に、外枠10及び内枠20の下フランジ部13,23の対向部間にも下側パッキン32を設けて、二重の障壁と遮音空間50を構築することにより、従来の点検口枠及び点検口構造に比べて飛躍的に遮音性能が向上することとなる。この点を検証すべく、以下の遮音性能試験を行った。
【0063】
[遮音性能試験]
遮音性能の高い石膏ボード等の遮音パネルで囲まれた試験筺体を形成し、該試験筐体の一面に矩形の開口を形成し、該開口に下記の点検口枠X0~X3取り付け、筐体内に測定用音源を設置し、測定用音源から中心周波数125,250,500,1000,2000,4000Hzの試験音(94.0,104.4,100.4,94.0,94.8,95.6dB)を発生させ、騒音計で測定した筐体内外の音圧レベルの差(遮音性能)を求めた。
(X0)上記点検口枠1において下側パッキン32を設けないもの
(X1)上記点検口枠1において厚さ1mmで幅2mmの下側パッキン32を、外枠10の下フランジ部13の対向部(第1対向部13b及び第2対向部13c)に設けたもの
(X2)上記点検口枠1において厚さ1mmで幅2mmの下側パッキン32を、内枠20の下フランジ部23の対向部(下フランジ部23の先端部)に設けたもの
(X3)上記点検口枠1において厚さ5mmで幅2mmの下側パッキン32を、内枠20の下フランジ部23の対向部(下フランジ部23の先端部)に設けたもの
【0064】
遮音性能試験の結果は、
図5に示す通りとなった。
図5に示すように、下側パッキン32を設けた点検口枠X1~X3を用いると、下側パッキン32を設けない従来の点検口枠X0に比べて、1000Hz領域において、音圧レベル差(遮音性能)が5.0dB以上向上することが判る。また、下側パッキン32を外枠10に設けたX1と内枠20に設けたX2とでは、1000Hz領域における音圧レベル差(遮音性能)は同等であった。
【0065】
なお、下側パッキン32の厚さが厚すぎると、蓋2を開ける度に下側パッキン32がめくれる原因になり、また、蓋2を開けた際に目立つため、意匠性を低下させるおそれがあり好ましくない。また、下側パッキン32の幅についても同様に幅が広い程、遮音性能は向上すると考えられるが、幅が広くなり過ぎると、めくれ易くなり、目立つため、好ましくない。
【0066】
また、遮音性能試験の結果、1000Hz領域だけでなく、250Hz及び2000Hzの領域においても、下側パッキン32を設けない点検口枠X0に比べて下側パッキン32を設けた点検口枠X1~X3の方が、音圧レベル差(遮音性能)が多少向上することが判る。
【0067】
-実施形態1の効果-
本実施形態1では、点検口枠1の外枠10及び内枠20が、それぞれ枠本体11,21と上フランジ部12,22と下フランジ部13,23とを有し、内枠20が閉位置にあるときに互いの上フランジ部12,22及び下フランジ部13,23の少なくとも一部分が上下方向に対向すると共に、各対向部間にパッキン(上側パッキン31,下側パッキン32)が挟まれるように構成されている。これにより、内枠20が閉位置にあるとき、つまり、蓋2が開口Oを閉塞する際には、外枠10と内枠20の枠本体11,21の間に、外枠10及び内枠20の上フランジ部12,22及び下フランジ部13,23によって2枚の障壁が上下に構築されると共に、上下の障壁と外枠10及び内枠20の枠本体11,21とによって四方が閉塞された遮音空間50が区画されることとなる。このような構成により、外枠10と内枠20との間を通り抜けようとする音を、2枚の障壁によって二重に遮ることができると共に、1枚目の障壁を越えた音を遮音空間50で減衰させることもできる。従って、本実施形態1によれば、遮音性能に優れた点検口枠1を提供することができる。
【0068】
また、本実施形態1では、点検口枠1は矩形状に形成され、一辺に設けられたヒンジ40によって内枠20が上記一辺に平行な回動軸(軸部41の軸心)周りに回動して内枠20に取り付けられた蓋2が開口Oを開閉するように構成されている。そして、本実施形態1では、下側パッキン32は、ヒンジ40が設けられる点検口枠1の一辺以外の三辺に設けられている。
【0069】
さらに、本実施形態1では、点検口枠1が、上フランジ部12と下フランジ部13との間において、点検口枠1の一辺方向に延びて外枠10及び内枠20の枠本体11,21間を遮蔽する遮蔽部46をさらに備えている。そのため、点検口枠1の一辺には、外枠10及び内枠20の上フランジ部12,22によって形成される障壁の他に、遮蔽部46によっても障壁が構築される。つまり、本実施形態1では、点検口枠1の一辺に下側パッキン32が設けられていなくても、点検口枠1の一辺には、外枠10及び内枠20の上フランジ部12,22と、遮蔽部46とによって2枚の障壁が上下に構築されると共に、2枚の障壁と外枠10及び内枠20の枠本体11,21とによって四方が閉塞された遮音空間51が区画されることとなる。よって、本実施形態1によれば、点検口枠1の一辺に下側パッキン32が設けられていなくても、点検口枠1の一辺では、外枠10と内枠20との間を通り抜けようとする音を、2枚の障壁によって二重に遮ることができ、1枚目の障壁を越えた音を遮音空間51で減衰させることもできる。従って、点検口枠1の一辺に下側パッキン32を設けなくても、遮音性能に優れた点検口枠1を提供することができる。
【0070】
また、本実施形態1では、外枠10の下フランジ部13の対向部(第1対向部13b及び第2対向部13c)をL字形状に形成している。そのため、内枠20が閉位置にあるときに、外枠10及び内枠20の下フランジ部13,23の対向部間の隙間はL字形状となる。そして、下側パッキン32は、内枠20が閉位置にあるときに、断面がL字形状になって(変形して)L字形状の隙間を閉塞するように構成されている。このような構成によれば、外枠10と内枠20との間を通り抜けようとする音を、より確実に遮ることができる。従って、本実施形態1によれば、より遮音性能に優れた点検口枠1を提供することができる。
【0071】
また、本実施形態1では、下側パッキン32が、可動部材でない外枠10に取り付けられている。そのため、下側パッキン32が剥がれ落ちるのを防止することができる。
【0072】
また、本実施形態1によれば、遮音性能に優れた上記の点検口枠1を備えることにより、遮音性能に優れた点検口構造Aを提供することができる。
【0073】
《その他の実施形態》
上記実施形態1では、下側パッキン32が、外枠10の下フランジ部13の対向部(第1対向部13b及び第2対向部13c)に取り付けられていたが、上記実施形態1の遮音性能試験において用いた点検口枠X2及びX3のように、下側パッキン32は、内枠20の下フランジ部23の対向部(先端部)に取り付けられていてもよい。上記実施形態1の遮音性能試験の結果において示されるように、下側パッキン32を内枠20に取り付けることとしても、実施形態1と同様に、遮音性能に優れた点検口枠1を提供することができる。
【0074】
上記実施形態1では、ヒンジ40は、軸部41と凹部42とを有するように構成されていたが、ヒンジ40は、内枠20を回動させることによって蓋2が開口Oを開閉することができるものであればいかなる構成であってもよい。また、軸部41と凹部42とを逆転、即ち、軸部41が、内枠20の下フランジ部23の一辺に連続するように形成され、凹部42が、隔壁45に連結されていてもよい。
【0075】
また、上記実施形態1では、外枠10と内枠20と係合する隔壁45を設け、隔壁45と内枠20との間にヒンジ40を設けることにより、内枠20の回動動作時にヒンジ40の回動軸(軸部41の軸心)が外枠10内から外枠10外の所定の位置まで移動するように構成されていたが、ヒンジ40の回動軸は移動しないものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、建物の天井の点検口に設けられる点検口枠及びそれを備えた点検口構造に有用である。
【符号の説明】
【0077】
1 点検口枠
2 蓋
10 外枠
11 枠本体(外枠本体)
12 上フランジ部(外枠上フランジ部)
13 下フランジ部(外枠下フランジ部)
13a 本体部
13b 第1対向部
13c 第2対向部
20 内枠
21 枠本体(内枠本体)
22 上フランジ部(内枠上フランジ部)
23 下フランジ部(内枠下フランジ部)
31 上側パッキン
32 下側パッキン
32a 第1部分
32b 第2部分
40 ヒンジ
45 遮蔽部
C 天井
O 開口