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特開2024-117468太陽電池モジュールの解体方法及び太陽電池モジュールの解体装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117468
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】太陽電池モジュールの解体方法及び太陽電池モジュールの解体装置
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/30 20220101AFI20240822BHJP
   H02S 30/10 20140101ALI20240822BHJP
【FI】
B09B3/30
H02S30/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023587
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】591097632
【氏名又は名称】長州産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(72)【発明者】
【氏名】福永 知
(72)【発明者】
【氏名】高山 淳史
【テーマコード(参考)】
4D004
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
4D004AA23
4D004CA02
4D004CB50
5F151BA11
5F151JA09
5F151JA30
5F251BA11
5F251JA09
5F251JA30
(57)【要約】
【課題】太陽電池モジュールからフレームを容易に取り外すことが可能な太陽電池モジュールの解体方法等を提供する。
【解決手段】本発明は、一対の平行な第一の側面15及び一対の第二の側面16を有する太陽電池パネル11と、一対の平行な第一の側面15を覆うように取り付けられた一対のフレーム17とを備え、一対の第二の側面16のうちの少なくとも一方はフレームで覆われていない太陽電池モジュールの解体方法であって、先端32から後端33に向かって距離が広がるようにテーパ状に設けられた一対の外面34、及び一対の外面34に垂直な底面35を有し、先端32における一対の外面34の間の距離L1は一対のフレーム17の間の距離LFより短く、後端33における一対の外面34の間の距離L2は一対のフレーム17の間の距離LFより長いテーパ部材31を備える解体装置30を用いる、太陽電池モジュールの解体方法である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の平行な第一の側面及び一対の第二の側面を有する太陽電池パネルと、上記一対の平行な第一の側面を覆うように取り付けられた一対のフレームとを備え、上記一対の第二の側面のうちの少なくとも一方はフレームで覆われていない太陽電池モジュールの解体方法であって、
先端から後端に向かって距離が広がるようにテーパ状に設けられた一対の外面、及び上記一対の外面に垂直な底面を有し、上記先端における上記一対の外面の間の距離は上記一対のフレームの内面の間の距離より短く、上記後端における上記一対の外面の間の距離は上記一対のフレームの内面の間の距離より長いテーパ部材を備える解体装置を用い、
上記テーパ部材の上記底面の一部が上記太陽電池パネルと対向するように、且つ平面視において上記テーパ部材の先端が上記太陽電池パネル上に位置し、上記テーパ部材の上記一対の外面のそれぞれと上記太陽電池パネルにおけるフレームで覆われていない上記一対の第二の側面のうちの一方とが交差するように、上記テーパ部材を上記太陽電池モジュール上に配置する工程、及び
上記テーパ部材の上記底面の一部が上記太陽電池パネルと対向している状態を保ったまま、上記テーパ部材の後端が上記太陽電池モジュールに近づく方向に上記テーパ部材及び上記太陽電池モジュールの少なくとも一方を移動させる工程
を備える、太陽電池モジュールの解体方法。
【請求項2】
上記配置する工程において、上記太陽電池パネルの裏面が上側になるように上記太陽電池モジュールが配置された状態で、上記テーパ部材を上記太陽電池モジュール上に配置する、請求項1に記載の太陽電池モジュールの解体方法。
【請求項3】
上記一対のフレームが、上記太陽電池パネルに垂直な壁部、上記壁部に連接し、上記太陽電池パネルの上記一対の側面を含む端部が嵌め込まれるパネル支持部、及び上記壁部に連接し、上記太陽電池パネルに平行な脚部を有し、
上記移動させる工程において、上記テーパ部材の上記一対の外面が、上記一対のフレームにおける上記壁部と接触する、請求項1又は請求項2に記載の太陽電池モジュールの解体方法。
【請求項4】
上記テーパ部材が金属製の一対の棒状部材から構成されている、請求項1又は請求項2に記載の太陽電池モジュールの解体方法。
【請求項5】
上記テーパ部材の上記一対の外面には摩擦低減部材が配置されている、請求項1又は請求項2に記載の太陽電池モジュールの解体方法。
【請求項6】
一対の平行な第一の側面及び一対の第二の側面を有する太陽電池パネルと、上記一対の平行な第一の側面を覆うように取り付けられた一対のフレームとを備え、上記一対の第二の側面のうちの少なくとも一方はフレームで覆われていない太陽電池モジュールの解体装置であって、
先端から後端に向かって距離が広がるようにテーパ状に設けられた一対の外面、及び上記一対の外面に垂直な底面を有し、上記先端における上記一対の外面の間の距離は上記一対のフレームの内面の間の距離より短く、上記後端における上記一対の外面の間の距離は上記一対のフレームの内面の間の距離より長いテーパ部材を備える、太陽電池モジュールの解体装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールの解体方法及び太陽電池モジュールの解体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールは、耐久性の維持、設置上の利便性等の点から、通常、板状の太陽電池パネルの外周部分にフレームが設けられた構造のものが採用されている。一般的にこのような構造の太陽電池モジュールにおいては、太陽電池パネルが嵌め込まれたフレームの溝状構造部分にシール材を充填することによって、耐水性及び止水性を向上させている。今後、太陽電池モジュールの廃棄及びリサイクルが大量に発生することが見込まれる。ところが、上記のように一般的な太陽電池モジュールは、太陽電池パネルとフレームとがシール材によって強固に固定されており、解体することが非常に困難な構造となっている。このような中、太陽電池モジュールの解体方法に関する発明も提案されている(特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-30123号公報
【特許文献2】特開2019-205982号公報
【特許文献3】特開2021-197464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の太陽電池モジュールの解体方法においても、実用性等の点から改善の余地があり、太陽電池モジュールからフレームを容易に取り外すことが可能な太陽電池モジュールの解体方法が望まれている。
【0005】
本発明の目的は、太陽電池モジュールからフレームを容易に取り外すことが可能な太陽電池モジュールの解体方法及び太陽電池モジュールの解体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、一対の平行な第一の側面及び一対の第二の側面を有する太陽電池パネルと、上記一対の平行な第一の側面を覆うように取り付けられた一対のフレームとを備え、上記一対の第二の側面のうちの少なくとも一方はフレームで覆われていない太陽電池モジュールの解体方法であって、先端から後端に向かって距離が広がるようにテーパ状に設けられた一対の外面、及び上記一対の外面に垂直な底面を有し、上記先端における上記一対の外面の間の距離は上記一対のフレームの内面の間の距離より短く、上記後端における上記一対の外面の間の距離は上記一対のフレームの内面の間の距離より長いテーパ部材を備える解体装置を用い、上記テーパ部材の上記底面の一部が上記太陽電池パネルと対向するように、且つ平面視において上記テーパ部材の先端が上記太陽電池パネル上に位置し、上記テーパ部材の上記一対の外面のそれぞれと上記太陽電池パネルにおけるフレームで覆われていない上記一対の第二の側面のうちの一方とが交差するように、上記テーパ部材を上記太陽電池モジュール上に配置する工程、及び上記テーパ部材の上記底面の一部が上記太陽電池パネルと対向している状態を保ったまま、上記テーパ部材の後端が上記太陽電池モジュールに近づく方向に上記テーパ部材及び上記太陽電池モジュールの少なくとも一方を移動させる工程を備える、太陽電池モジュールの解体方法である。
【0007】
上記配置する工程において、上記太陽電池パネルの裏面が上側になるように上記太陽電池モジュールが配置された状態で、上記テーパ部材を上記太陽電池モジュール上に配置することが好ましい。
【0008】
上記一対のフレームが、上記太陽電池パネルに垂直な壁部、上記壁部に連接し、上記太陽電池パネルの上記一対の側面を含む端部が嵌め込まれるパネル支持部、及び上記壁部に連接し、上記太陽電池パネルに平行な脚部を有し、上記移動させる工程において、上記テーパ部材の上記一対の外面が、上記一対のフレームにおける上記壁部と接触することが好ましい。
【0009】
上記テーパ部材が金属製の一対の棒状部材から構成されていることが好ましい。
【0010】
上記テーパ部材の上記一対の外面には摩擦低減部材が配置されていることが好ましい。
【0011】
上記課題を解決するためになされた本発明の他の一態様は、一対の平行な第一の側面及び一対の第二の側面を有する太陽電池パネルと、上記一対の平行な第一の側面を覆うように取り付けられた一対のフレームとを備え、上記一対の第二の側面のうちの少なくとも一方はフレームで覆われていない太陽電池モジュールの解体装置であって、先端から後端に向かって距離が広がるようにテーパ状に設けられた一対の外面、及び上記一対の外面に垂直な底面を有し、上記先端における上記一対の外面の間の距離は上記一対のフレームの内面の間の距離より短く、上記後端における上記一対の外面の間の距離は上記一対のフレームの内面の間の距離より長いテーパ部材を備える、太陽電池モジュールの解体装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、太陽電池モジュールからフレームを容易に取り外すことが可能な太陽電池モジュールの解体方法及び太陽電池モジュールの解体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一般的な太陽電池モジュールの斜視図である。
図2図2は、図1の太陽電池モジュールに備わる太陽電池パネルの平面図である。
図3図3は、図1の太陽電池モジュールの部分断面図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの解体方法において解体される太陽電池モジュールの平面図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの解体方法における配置工程の状態を示す平面図である。
図6図6は、図5の状態の側面図である。
図7図7は、図5の状態の部分断面図である。
図8図8は、他の実施形態に係る太陽電池モジュールの解体方法における配置工程の状態の部分断面図である。
図9図9は、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの解体方法における移動工程の状態を示す平面図である。
図10図10は、他の実施形態のテーパ部材の模式的平面図である。
図11図11は、他の実施形態に係る太陽電池モジュールの解体方法における配置工程の状態の部分断面図である。
図12図12は、図3の太陽電池モジュールとは異なる形状の太陽電池モジュールの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、適宜図面を参照にしつつ、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの解体方法及び太陽電池モジュールの解体装置について詳説する。
【0015】
<太陽電池モジュールの解体方法>
(太陽電池モジュール)
まず、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの解体方法において解体される、太陽電池モジュールについて説明する。
【0016】
図1等に示す太陽電池モジュール10は、一般的な太陽電池モジュールを示したものであり、板状の太陽電池パネル11と、太陽電池パネル11の外周部分に設けられたフレーム体12とを有する。太陽電池モジュール10は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する装置であり、太陽光以外の光のエネルギーを電気エネルギーに変換するものであってもよい。太陽電池モジュール10は、太陽光発電モジュール、光電変換モジュール等の名称で称されてもよい。後に詳述するように、太陽電池モジュール10のフレーム体12の4辺うちの少なくとも1辺が取り外された状態のものが、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの解体方法に供される。なお、本発明の実施の形態の説明においては、基本的に、四角枠形状に組み立てられた構造のものをフレーム体とし、フレーム体を構成する直線状の各部材をフレームとして区別する。
【0017】
太陽電池パネル11は、公知の構造のものが用いられる。太陽電池パネル11は、例えば、表面保護パネル、太陽電池セル及びバックシートがこの順に積層された層構造を有する。このような構造の太陽電池パネル11においては、表面保護パネル側の面である表面13が受光面となり、バックシート側の面である裏面14が非受光面となる(図3参照)。太陽電池パネル11には、その他、ヒータシート等が設けられていてもよい。
【0018】
表面保護パネルは、透光性を有する板又はシートである。表面保護パネルは、表面13側の耐候性、耐衝撃性等の機能を有する。表面保護パネルの材質としては、ガラス、樹脂等を挙げることができる。樹脂としては、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等を挙げることができる。表面保護パネルは、ガラス板であってよい。
【0019】
太陽電池セルは、表面13から入射される光に基づき発電を行う素子である。太陽電池セルは、光エネルギーを電気エネルギーに変換することができ、変換された電気エネルギーを外部に取り出せるものであれば特に限定されない。太陽電池セルの種類としては、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、リボンシリコン太陽電池、球状シリコン太陽電池、薄膜シリコン太陽電池、ヘテロ接合(HIT)太陽電池、CIGS系太陽電池、CdTe系太陽電池、色素増感型太陽電池、有機半導体太陽電池、III-V族多接合型太陽電池などを挙げることができる。
【0020】
バックシートは、裏面14側の耐候性、耐衝撃性等の機能を有する。バックシートの材質としては、表面保護パネルの材質と同様のものを挙げることができる。但し、バックシートは、透光性を有する必要はない。
【0021】
太陽電池パネル11としては、表面13及び裏面14の双方が受光面となるものであってもよい。このような太陽電池パネル11の場合、裏面側にも透光性を有する保護パネルが配置される。なお、太陽電池パネル11の裏面14とは、後述するフレーム体12(第一のフレーム17及び第二のフレーム18)の脚部21側の面であってよい。太陽電池パネル11の裏面14とは、通常、太陽電池モジュール10が設置されている状態における裏側又は下側の面であってもよい。太陽電池パネル11の裏面14とは、表面13と比べて受光量が少ない側の面であってもよい。
【0022】
図2に示されるように、太陽電池パネル11は、平面視(太陽電池パネル11の表面13及び裏面14に直交する方向視)において略四角形状である。太陽電池パネル11は、一対の平行な第一の側面15及び一対の第二の側面16を有する。一対の第二の側面16は平行であってもよく、平行でなくてもよい。太陽電池パネル11は、平面視において、台形であってもよく、長方形であってもよく、正方形であってもよい。本実施形態において、太陽電池パネル11は、平面視において長方形である。本実施形態において、一対の平行な第一の側面15は、長方形の長辺に対応し、一対の第二の側面16は、長方形の短辺に対応する。第一の側面15の長さとしては特に制限されないが、例えば80cm以上300cm以下であってもよく、100cm以上200cm以下であってもよい。第二の側面16の長さとしては特に制限されないが、例えば50cm以上200cm以下であってもよく、60cm以上150cm以下であってもよい。
【0023】
フレーム体12は、太陽電池パネル11の外周部分に設けられている。フレーム体12は、一対の平行な第一の側面15を覆うように取り付けられた一対のそれぞれ直線状の第一のフレーム17と、一対の第二の側面16を覆うように取り付けられた一対のそれぞれ直線状の第二のフレーム18とから構成される。一対の第一のフレーム17と、一対の第二のフレーム18とにより、四角枠形状のフレーム体12が形成される。
【0024】
フレーム体12(第一のフレーム17及び第二のフレーム18)の材質としては、強度、耐久性等の点から、アルミニウム、ステンレス等の金属が好ましく、アルミニウムがより好ましい。
【0025】
図3に示されるように、フレーム体12は、太陽電池パネル11に垂直な壁部19、壁部19に連接し、太陽電池パネル11の端部24(第一の側面15又は第二の側面16を含む端部24)が嵌め込まれるパネル支持部20、及び壁部19に連接し、太陽電池パネル11に平行な脚部21を有する。フレーム体12の構成部材である第一のフレーム17及び第二のフレーム18の構造も同様である。すなわち、第一のフレーム17及び第二のフレーム18は、それぞれ、太陽電池パネル11に垂直な壁部19、壁部19に連接し、太陽電池パネル11の端部24(第一の側面15又は第二の側面16を含む端部24)が嵌め込まれるパネル支持部20、及び壁部19に連接し、太陽電池パネル11に平行な脚部21を有する。
【0026】
壁部19は、第一の側面15又は第二の側面16に沿った細長い板体である。
【0027】
パネル支持部20は、壁部19の高さ方向(図3における上下方向)の一端側(図3における上端側)から、太陽電池パネル11側に向かって互いに平行に設けられた一対のフランジ22から構成されていてよい。一対のフランジ22は、壁部19に対して垂直に設けられた板体であってよい。壁部19の一部とパネル支持部20(一対のフランジ22)とにより、溝状構造が形成されている。パネル支持部20(一対のフランジ22間)に太陽電池パネル11の端部24が嵌め込まれている。パネル支持部20と太陽電池パネル11の端部24との隙間には、シール材25が充填される。シール材25としては特に限定されないが、例えばシリコーン系接着剤等が用いられる。
【0028】
脚部21は、壁部19の高さ方向(図3における上下方向)の他端側(図3における下端側)から、太陽電池パネル11側に向かって、太陽電池パネル11と平行に設けられる。脚部21は、壁部19に対して垂直に設けられた板体であってよい。太陽電池モジュール10を取り付ける際には、脚部21が下側となって、屋根等に設置されている。
【0029】
上述のように、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの解体方法においては、太陽電池モジュール10のフレーム体12の四辺(一対の第一のフレーム17及び一対の第二のフレーム18)のうちの少なくとも一辺のフレームが取り外された状態のものに対して、解体が行われる。すなわち、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの解体方法に供される図4の太陽電池モジュール110は、一対の平行な第一の側面15及び一対の第二の側面16を有する太陽電池パネル11と、太陽電池パネル11の一対の平行な第一の側面15を覆うように取り付けられた一対の第一のフレーム17とを備え、一対の第二の側面16のうちの少なくとも一方はフレームで覆われていない。図4の太陽電池モジュール110においては、太陽電池パネル11の一対の長辺に対応する一対の第一の側面15には、一対の第一のフレーム17が取り付けられている。一方、太陽電池パネル11の一対の短辺に対応する一対の第二の側面16の双方には、フレームが取り付けられていない。すなわち、一対の第二のフレーム18は取り外された状態となっている。なお、第二の側面16のうちの一方には第二のフレーム18が取り付けられた状態であってもよい。また、他の実施形態において、太陽電池パネル11における長辺に対応する側面のフレームが取り外された太陽電池モジュールに対して、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの解体方法を適用してもよい。
【0030】
図1の太陽電池モジュール10に対して、太陽電池パネル11の一対の第二の側面16を覆う一対の第二のフレーム18を取り外すことにより、図4の太陽電池モジュール110となる。この一対の第二のフレーム18の取り外しは、従来公知の方法により行うことができる。また、図4の太陽電池モジュール110は、一対の第二のフレーム18が取り外されていること(太陽電池パネル11における一対の第二の側面16がフレームで覆われていないこと)以外は、図1の太陽電池モジュール10と同じ構造である。また、図1の太陽電池モジュール10、及び図4の太陽電池モジュール110においては、図示しないジャンクションボックス等が設けられていてもよい。本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの解体方法に供される図4の太陽電池モジュール110においては、ジャンクションボックス等は予め取り外されていてもよく、取り付けられたままであってもよい。
【0031】
(解体装置)
次いで、図5~7等を参照に、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの解体方法に用いられる解体装置30について説明する。
【0032】
解体装置30は、テーパ部材31を備える。テーパ部材31は、先端32(図5における右側)から後端33(図5における左側)に向かって距離(一対の外面34間の距離)が広がるようにテーパ状に設けられた一対の外面34、及び一対の外面34に垂直な底面35(図6、7参照)を有する。そして、テーパ部材31の先端32における一対の外面34の間の距離L1は、一対の第一のフレーム17の内面39の間の距離LFより短い。一方、テーパ部材31の後端33における一対の外面34の間の距離L2は一対の第一のフレーム17の内面39の間の距離LFより長い。
【0033】
第一のフレーム17の内面39とは、当該解体方法において、テーパ部材31の外面34と接する第一のフレーム17の内側の面をいう。例えば、第一のフレーム17の内面39は、壁部19の内面であってよい(図7参照)。
【0034】
図5の実施形態において、テーパ部材31は、一対の棒状部材から構成されている。棒状部材であるテーパ部材31は、金属製の棒状部材であってよい。棒状部材の形状は、外面34を有する形状であればよく、例えば、実質的に角柱形状のものを採用することができる。
【0035】
テーパ部材31は、強度、耐久性等の点から、アルミニウム製、ステンレス製、焼入鋼製等の金属製であることが好ましい。テーパ部材31は、単一の材料から構成されていてもよく、複数の材料から構成されていてもよい。テーパ部材31は、例えば金属製の一対の棒状部材から構成されていてよい。
【0036】
典型的には、テーパ部材31は、平面視において線対称な構造を有する。平面視におけるテーパ部材31の対称軸Xと外面34とのなす角θとしては、例えば1°以上45°以下とすることができる。この角θの下限は、5°、10°、20°又は30°であってもよい。また、この角θの上限は、40°、30°又は20°であってもよい。角θを比較的大きい値とした場合、テーパ部材31又は太陽電池モジュール110の移動距離を比較的短くしてフレーム取り外し作業を行うことができる。一方、角θを比較的小さい値とした場合、比較的小さい力でフレーム取り外し作業を行うことができる。テーパ部材31は、平面視における対称軸Xと外面34とのなす角θが、調整又は変更可能な構造であってもよい。
【0037】
テーパ部材31の外面34の長さ(先端32から後端33までの長さ)は、解体する太陽電池モジュール110のサイズ等に応じて適宜設定される。外面34の長さとしては、例えば40cm以上300cm以下であってもよく、60cm以上200cm以下であってもよい。図5のようにテーパ部材31が一対の棒状部材から構成されている場合、上記テーパ部材31の外面34の長さは、棒状部材の長さである。
【0038】
テーパ部材31の一対の外面34には、摩擦低減部材が配置されていてもよい。テーパ部材31の他の実施形態である図10に示すテーパ部材131は、テーパ部材本体132と、摩擦低減部材としての複数の転動体133とを備える。テーパ部材本体132は、テーパ部材131の外面134に転動体133を配置可能な構造(例えば、溝構造)を有する直線状の部材である。転動体133は、テーパ部材131の外面134に一部が露出するように配置されている。転動体133は、玉又はコロを用いることができる。本形態のテーパ部材131は、いわゆるリニア軸受の構造を有するものであり、転動体133が転動しながら取り外し対象物である一対の第一のフレーム17と接触し得るため、摩擦が低減し、フレームをより容易に取り外すことが可能となる。また、テーパ部材31の一対の外面34に摩擦低減部材が配置されていることにより、テーパ部材31の摩耗による劣化、消耗等を抑制することができる。その他、テーパ部材31の一対の外面34に摩擦低減部材が配置された構成を有するものとしては、低摩擦の材料からなるフィルム等が被覆されたもの、潤滑剤が塗布されたもの等が挙げられる。
【0039】
テーパ部材31の高さH1(底面35に垂直方向の高さ)としては特に制限されないが、解体する太陽電池モジュール110における太陽電池パネル11の裏面14から第一のフレーム17の脚部21までの高さH2より小さいことが好ましい(図7参照)。このような場合、図7に示されるように、解体作業の際、テーパ部材31の一対の外面34が、一対の第一のフレーム17における壁部19と接触することができ、第一のフレーム17の変形等を抑制しながら、より容易に第一のフレーム17の取り外しを行うことができる。換言すれば、テーパ部材31は、解体作業の際、テーパ部材31の一対の外面34が、一対の第一のフレーム17における壁部19と接触することができる構造であることが好ましい。
【0040】
図5、6に示す解体装置30は、テーパ部材31の他、テーパ部材固定具(図示しない)、太陽電池モジュール搬送装置36等をさらに備える。テーパ部材固定具は、テーパ部材31の位置、角度等を固定するための公知の道具、装置等を用いることができる。太陽電池モジュール搬送装置36は、ローラーコンベア等を用いることができる。図5、6に示す太陽電池モジュール搬送装置36は、ローラーコンベア37上に載置した太陽電池モジュール110を、駆動ローラー38を駆動させることにより搬送可能な構成とされている。なお、図5においては、ローラーコンベア37を構成する各ローラーを省略して図示している(図9についても同様)。
【0041】
(解体方法)
次いで、図5~9等を参照に、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの解体方法の手順について説明する。当該解体方法は、テーパ部材31を太陽電池モジュール110上に配置する工程((1)配置工程)と、テーパ部材31及び太陽電池モジュール110の少なくとも一方を移動させる工程((2)移動工程)とを備える。
【0042】
(1)配置工程
配置工程では、図5~7に示されるように、テーパ部材31の底面35の一部が太陽電池パネル11と対向するように、且つ平面視(図5参照)においてテーパ部材31の先端32が太陽電池パネル11上に位置し、テーパ部材31の一対の外面34のそれぞれと太陽電池パネル11におけるフレームで覆われていない一対の第二の側面16のうちの一方とが交差するように、テーパ部材31を太陽電池モジュール110上に配置する。
【0043】
一実施形態において、太陽電池モジュール110は、太陽電池モジュール搬送装置36のローラーコンベア37上に、太陽電池パネル11に取り付けられたままの第一のフレーム17の向きが搬送方向(図5における左右方向)と一致するように載置される。すなわち、太陽電池モジュール110及び太陽電池パネル11の長手方向が、搬送方向となるように、太陽電池モジュール110が太陽電池モジュール搬送装置36に配置される。また、太陽電池モジュール110は、解体装置30を用いた解体作業中((2)移動工程中)の向きのずれが生じること等を抑制するために、両面から駆動ローラー38により押圧された状態となっている。太陽電池モジュール搬送装置36には、その他の太陽電池モジュール110の向きのずれを抑制する手段が備えられていてもよい。
【0044】
また、一実施形態において、太陽電池モジュール110は、太陽電池パネル11の裏面14が上側になるように、太陽電池モジュール搬送装置36に配置される。このようにすることで、テーパ部材31の力が第一のフレーム17に加わり易くなり、第一のフレーム17をより容易に取り外すことが可能となる。
【0045】
テーパ部材31は、底面35を下向きとし、テーパ部材31の先端32は太陽電池パネル11上に位置し、後端33は太陽電池パネル11上に位置しないように配置される。これにより、テーパ部材31の底面35の一部が太陽電池パネル11と対向するように、且つ平面視においてテーパ部材31の先端32が太陽電池パネル11上に位置し、テーパ部材31の一対の外面34と太陽電池パネル11におけるフレームで覆われていない一対の第二の側面16のうちの一方とが交差する状態となる。
【0046】
配置工程において、テーパ部材31の底面35の一部と太陽電池パネル11とは接していてよい(図7参照)。テーパ部材31の底面35の一部と太陽電池パネル11とは、他の部材を介して接していてもよい。また、他の実施形態として、例えば図8に示すように、テーパ部材31Aの底面35Aの一部と太陽電池パネル11との間には隙間があってもよい。図8に示される形態においても、テーパ部材31Aの底面35Aの一部が太陽電池パネル11と対向するように、テーパ部材31Aが太陽電池モジュール110上に配置される。図8に示すテーパ部材31Aは、図7等に示されるテーパ部材31と断面形状が異なる以外は実質的に同じ部材である。
【0047】
上述のように、典型的には、テーパ部材31は、平面視において線対称な構造を有する。通常、平面視におけるテーパ部材31の対称軸Xと、一対の第一のフレーム17(一対の平行な第一の側面15)とが平行になるように、テーパ部材31は太陽電池モジュール110上に配置されることが好ましい。また、一対の第一のフレーム17(一対の平行な第一の側面15)から等距離の位置に対称軸Xが位置するように、テーパ部材31は太陽電池モジュール110上に配置されることが好ましい。テーパ部材31は、解体作業中において、その位置や角度がずれないように、図示しないテーパ部材固定具によって固定されていてよい。
【0048】
(2)移動工程
移動工程では、テーパ部材31の底面35の一部が太陽電池パネル11と対向している状態を保ったまま、テーパ部材31の後端33が太陽電池モジュール110に近づく方向にテーパ部材31及び太陽電池モジュール110の少なくとも一方を移動させる(図9参照)。本実施形態においては、テーパ部材31は固定されており、太陽電池モジュール搬送装置36の稼働により、太陽電池モジュール110が、テーパ部材31の後端33に近づく方向(図9における左方向)に移動する。この移動工程においても、テーパ部材31の底面35の一部と太陽電池パネル11とは接していてもよいし、これらの間に隙間があってもよい。また、テーパ部材31の底面35の一部と太陽電池パネル11とは、他の部材を介して接していてもよい。
【0049】
この移動工程により、テーパ部材31の一対の外面34から、一対の第一のフレーム17の一端40の間が離れる方向に力が加わるため、一対の第一のフレーム17が、一端40側から徐々に太陽電池パネル11から剥がれていく。このため、当該太陽電池モジュールの解体方法によれば、太陽電池モジュール110からフレーム17を容易に取り外すことが可能である。当該太陽電池モジュールの解体方法によって解体された各部材(太陽電池パネル、フレーム等)は、従来公知の方法に従ってリサイクル、廃棄等の処理を行うことができる。
【0050】
本移動工程においては、図7、8に示されるように、テーパ部材31、31Aの一対の外面34、34Aが、一対の第一のフレーム17における壁部19(壁部19の内面39)と接触することが好ましい。例えば、図11に示されるように、テーパ部材231の外面234が、第一のフレーム17における脚部21と接触しており、壁部19と接触しない場合、テーパ部材231からの力が脚部21に加わることで、脚部21や壁部19が曲がり易く、テーパ部材231からの力が、一対の第一のフレーム17が外れる方向に働き難くなる。これに対し、図7、8に示されるように、テーパ部材31、31Aの外面34、34Aが、第一のフレーム17における壁部19(壁部19の内面39)と接触する場合、テーパ部材31、31Aからの力が、一対の第一のフレーム17が外れる方向に働き易くなり、特に容易にフレーム17を取り外すことができる。このように、テーパ部材31、31Aの一対の外面34、34Aが、一対の第一のフレーム17における壁部19(壁部19の内面39)と接触するようにするためには、一対の第一のフレーム17の形状やサイズに応じた適切なサイズのテーパ部材31、31Aを用いればよい。
【0051】
<太陽電池モジュールの解体装置>
本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの解体装置は、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの解体方法において用いられる解体装置30として上記したものである。当該解体装置によれば、太陽電池モジュールからフレームを容易に取り外すことが可能である。
【0052】
<他の実施形態>
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲でその構成を変更することもできる。例えば、太陽電池モジュールの解体装置が備えるテーパ部材は、一対の棒状部材から構成されていなくてもよい。テーパ部材は、平面視台形状の一枚の板状部材とすることもできる。
【0053】
また、太陽電池モジュールの解体方法においては、太陽電池モジュールを固定しておき、テーパ部材を移動させる、あるいは、太陽電池モジュールとテーパ部材の双方を移動させ、フレームを取り外してもよい。
【0054】
解体される太陽電池モジュールのフレーム体(フレーム)の構造も、上記した構造に限定されるものではない。例えば、図12に示すフレーム体112は、太陽電池パネル11に垂直な2つの壁部119A、119B、壁部119A、119Bに連接し、太陽電池パネル11の端部24が嵌め込まれるパネル支持部120、及び壁部119A、119Bに連接し、太陽電池パネル11に平行な脚部121を有する。フレーム体112の構成部材である各フレームも同様である。このような構造のフレーム体112を備える太陽電池モジュール210に対しても、本発明の太陽電池モジュールの解体方法を適用することができる。また、この場合、移動工程において、テーパ部材の一対の外面が、内側の壁部119Bの内面139と接触することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の太陽電池モジュールの解体方法及び太陽電池モジュールの解体装置は、廃棄又はリサイクル等のための太陽電池モジュールの解体の際に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0056】
10、110、210 太陽電池モジュール
11 太陽電池パネル
12、112 フレーム体
13 表面
14 裏面
15 第一の側面
16 第二の側面
17 第一のフレーム
18 第二のフレーム
19、119A、119B 壁部
20、120 パネル支持部
21、121 脚部
22 フランジ
24 端部
25 シール材
30 解体装置
31、31A、131、231 テーパ部材
32 先端
33 後端
34、34A、134、234 外面
35、35A、 底面
36 太陽電池モジュール搬送装置
37 ローラーコンベア
38 駆動ローラー
39、139 内面
40 一端
132 テーパ部材本体
133 転動体
H1 テーパ部材の高さ
H2 太陽電池パネルの裏面から第一のフレームの脚部までの高さ
L1 テーパ部材の先端における一対の外面の間の距離
L2 テーパ部材の後端における一対の外面の間の距離
LF 一対の第一のフレームの内面の間の距離
X 平面視におけるテーパ部材の対称軸
θ 対称軸と外面とのなす角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12