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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117474
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】押圧力センサ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
A61B5/02 310K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023594
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】徳田 祐太
(72)【発明者】
【氏名】太郎田 敦
(72)【発明者】
【氏名】竹身 一敏
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AA09
4C017AA12
4C017AB02
4C017AC03
4C017FF15
4C017FF17
(57)【要約】
【課題】小面積で高感度の起歪体を有する押圧力センサを提供する。
【解決手段】本押圧力センサは、第1端面を備えた筒状部を有する筐体と、第1面、及び前記第1面の反対側の面となる第2面を備えた起歪体と、一対のひずみゲージと、を有し、前記第1面に垂直な第1方向から視て、前記第1端面の外縁及び前記第1面は、偶数である同じ個数の角を有し、前記第2面は、前記第1端面に接合され、一対の前記ひずみゲージは、前記筒状部内に露出する前記第2面の外周部において、前記第2面の任意の一つの対角線上に、前記第1方向から視て前記第2面の中心を挟んで対向するように配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端面を備えた筒状部を有する筐体と、
第1面、及び前記第1面の反対側の面となる第2面を備えた起歪体と、
一対のひずみゲージと、を有し、
前記第1面に垂直な第1方向から視て、前記第1端面の外縁及び前記第1面は、偶数である同じ個数の角を有し、
前記第2面は、前記第1端面に接合され、
一対の前記ひずみゲージは、前記筒状部内に露出する前記第2面の外周部において、前記第2面の任意の一つの対角線上に、前記第1方向から視て前記第2面の中心を挟んで対向するように配置される、押圧力センサ。
【請求項2】
一対の前記ひずみゲージの各々は受感部を有し、各々の前記受感部の少なくとも一部は前記対角線と接する、請求項1に記載の押圧力センサ。
【請求項3】
前記第1面の中心に、前記第1面から突起する負荷部が設けられている、請求項1又は2に記載の押圧力センサ。
【請求項4】
前記第2面の、前記第1方向から視て、前記負荷部と前記外周部との間に、他の一対のひずみゲージが、前記負荷部を挟んで対向するように配置される、請求項3に記載の押圧力センサ。
【請求項5】
他の一対の前記ひずみゲージは、前記対角線と直交する仮想線上に配置される、請求項4に記載の押圧力センサ。
【請求項6】
他の一対の前記ひずみゲージの各々は受感部を有し、各々の前記受感部の少なくとも一部は前記仮想線と接する、請求項5に記載の押圧力センサ。
【請求項7】
一対の前記ひずみゲージ、及び他の一対の前記ひずみゲージは、フルブリッジ回路を構成するように接続される、請求項4乃至6のいずれか一項に記載の押圧力センサ。
【請求項8】
前記起歪体は、前記第1方向から視て四角形である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の押圧力センサ。
【請求項9】
バイタルセンサとして用いられる、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の押圧力センサ。
【請求項10】
前記バイタルセンサは、脈波センサである、請求項9に記載の押圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
押圧力センサの一例として、心臓が血液を送り出すことに伴い発生する脈波を検出する脈波センサが知られている。例えば、外力の作用により撓み可能に支持されている受圧板と、その受圧板の撓みを電気信号に変換する圧電変換手段とが設けられた脈波センサが挙げられる。この脈波センサは、起歪体となる円形の受圧板の可撓領域が外方に向かって凸曲面となるドーム状に形成されており、圧電変換手段として受圧板における頂部の内面に圧力検出素子を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-78689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような脈波センサを含めた押圧力センサは、小型であることが好ましい。しかし、押圧力センサの小型化のために、単純に起歪体を小面積にすると、感度が低下してしまう。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、小面積で高感度の起歪体を有する押圧力センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る押圧力センサは、第1端面を備えた筒状部を有する筐体と、第1面、及び前記第1面の反対側の面となる第2面を備えた起歪体と、一対のひずみゲージと、を有し、前記第1面に垂直な第1方向から視て、前記第1端面の外縁及び前記第1面は、偶数である同じ個数の角を有し、前記第2面は、前記第1端面に接合され、一対の前記ひずみゲージは、前記筒状部内に露出する前記第2面の外周部において、前記第2面の任意の一つの対角線上に、前記第1方向から視て前記第2面の中心を挟んで対向するように配置される。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、小面積で高感度の起歪体を有する押圧力センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る押圧力センサを例示する斜視図である。
図2】第1実施形態に係る押圧力センサを例示する分解斜視図である。
図3】第1実施形態に係る押圧力センサを例示する断面図である。
図4】第1実施形態に係る押圧力センサから裏蓋を取り除いた状態を例示する底面図である。
図5】第1実施形態に係る押圧力センサの起歪体及びひずみゲージを例示する底面図である。
図6】円形の起歪体と正方形の起歪体との感度を比較した結果を示す図である。
図7】円形の起歪体と正方形の起歪体との面積を比較した結果を示す図である。
図8】ブリッジ接続について説明する図である。
図9】第1実施形態に係るひずみゲージを例示する平面図である。
図10】第1実施形態に係るひずみゲージを例示する断面図(その1)である。
図11】第1実施形態に係るひずみゲージを例示する断面図(その2)である。
図12】第1実施形態の変形例1に係る押圧力センサの起歪体及びひずみゲージを例示する底面図である。
図13】第1実施形態の変形例2に係る押圧力センサの起歪体及びひずみゲージを例示する底面図である。
図14】第1実施形態の変形例3に係る押圧力センサの起歪体及びひずみゲージを例示する底面図である。
図15】第1実施形態の変形例4に係る押圧力センサの起歪体及びひずみゲージを例示する底面図である。
図16】第1実施形態の変形例5に係る押圧力センサの起歪体及びひずみゲージを例示する底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1実施形態〉
図1は、第1実施形態に係る押圧力センサを例示する斜視図である。図2は、第1実施形態に係る押圧力センサを例示する分解斜視図である。図3は、第1実施形態に係る押圧力センサを例示する断面図であり、図1のA-A線に沿う縦断面を示している。図4は、第1実施形態に係る押圧力センサから裏蓋を取り除いた状態を例示する底面図である。図5は、第1実施形態に係る押圧力センサの起歪体及びひずみゲージを例示する底面図である。
【0011】
なお、図1図5では、矢印で示す第1方向Pから対象物を視た図を平面図、第1方向Pの反対方向から対象物を視た図を底面図とする。第1方向Pは、後述する起歪体20の第1面20aに垂直な方向である。第1方向Pから視るとは、対象物を透視する場合も含むものとする。
【0012】
図1図5を参照すると、押圧力センサ1は、筐体10と、起歪体20と、ひずみゲージ100、100、100、及び100とを有している。押圧力センサ1は、外部との電気信号の入出力を行うケーブル、シールドケーブル、フレキシブル基板等を備えてもよい。あるいは、押圧力センサ1は、ケーブル等を用いずに、無線等の方法で外部と通信する形態であってもよい。なお、ひずみゲージ100、100、100、及び100を特に区別する必要がない場合は、単にひずみゲージ100と称する。
【0013】
筐体10は、筒状部11と、裏蓋12とを有している。筐体10は、起歪体20を保持する部分である。筒状部11及び裏蓋12は、例えば、金属や樹脂等から形成することができる。
【0014】
筒状部11は、第1端面11aと、第1端面11aの反対面となる第2端面11bとを備えている。第1端面11aと第2端面11bとは、例えば、平行である。第1端面11aと第2端面11bとは、例えば、同じ面積である。第1端面11a及び第2端面11bの外縁は、第1方向Pから視て四角形である。つまり、第1端面11a及び第2端面11bの外縁は、第1方向Pから視て4個の角を有する。第1端面11a及び第2端面11bの内縁は、第1方向Pから視て四角形である。つまり、第1端面11a及び第2端面11bの内縁は、第1方向Pから視て4個の角を有する。
【0015】
第1端面11a及び第2端面11bの外縁は、例えば、正方形である。第1端面11a及び第2端面11bの内縁は、例えば、外縁を構成する正方形よりも1辺の長さが短い正方形である。第1端面11a及び第2端面11bは、例えば、第1方向Pから視て額縁状である。なお、第1端面11a及び第2端面11bの内縁及び外縁は、正方形以外の四角形であってもよい。
【0016】
第1端面11aの外縁と第2端面11bの外縁は、4つの外側面により接続されている。第1端面11aの内縁と第2端面11bの内縁は、4つの内側面により接続されている。各々の内側面及び外側面は、四角形である。各々の内側面及び外側面は、例えば長方形である。
【0017】
第2端面11bには、裏蓋12が接合されている。筒状部11の第2端面11b側は、裏蓋12により塞がれている。第2端面11bと裏蓋12とは、例えば、接着剤により接合することができる。筒状部11と裏蓋12とは、一体に成型されたものであってもよい。なお、裏蓋12は、必要に応じて設けることができる。つまり、筐体10は、裏蓋12を有していなくてもよい。
【0018】
起歪体20は、平板状である。起歪体20は、第1面20aと、第1面20aの反対側の面となる第2面20bとを備えている。第1面20aと第2面20bとは、例えば、平行である。第1面20aと第2面20bとは、例えば、同じ面積である。第1方向Pから視て、第1端面11aの外縁及び第1面20aは、偶数である同じ個数の角を有する。具体的には、起歪体20は、第1方向Pから視て四角形である。つまり、第1面20a及び第2面20bは、第1方向Pから視て4個の角を有する。
【0019】
起歪体20において、第1面20aの中心に、第1面20aから突起する負荷部22が設けられてもよい。第1面20aを基準とする負荷部22の突起量は、例えば、0.1mm程度である。起歪体20は可撓性を有しており、負荷部22に負荷が加わると弾性変形する。負荷部22を除く起歪体20の厚さtは一定である。負荷部22を除く起歪体20の厚さtは、例えば、0.03mm以上0.3mm以下とすることができる。
【0020】
起歪体20の材料としては、例えば、金属、セラミック、ガラス等を用いることができる。起歪体20の材料として用いる金属としては、例えば、SUS(ステンレス鋼)、銅、アルミニウム等が挙げられる。起歪体20は、例えば、プレス加工法等により形成することができる。
【0021】
起歪体20の第2面20bの外縁部は、筒状部11の第1端面11aに接合されている。筒状部11の第1端面11a側は、起歪体20により塞がれている。起歪体20の第2面20bと筒状部11の第1端面11aとは、例えば、接着剤により接合することができる。
【0022】
起歪体20の第1面20a及び第2面20bの外縁は、第1方向Pから視て、筒状部11の第1端面11aの外縁と第1端面11aの内縁との間に位置する。起歪体20の第1面20a及び第2面20bの外縁は、第1方向Pから視て、筒状部11の第1端面11aの外縁と重なってもよい。なお、外縁とは、対象部材の最も外側の縁を指し、外縁部とは、外縁を含む幅のある領域を指すものとする。
【0023】
ひずみゲージ100は、起歪体20の第2面20bに設けられている。起歪体20は平板状であるため、ひずみゲージ100を容易に貼り付けることができる。本実施形態では、押圧力センサ1は、起歪体20の第2面20bに、一対のひずみゲージ100及び100と、他の一対のひずみゲージ100及び100とを有している。
【0024】
一対のひずみゲージ100及び100は、筒状部11内に露出する第2面20bの外周部において、第2面20bの任意の一つの対角線D上に、第1方向Pから視て第2面20bの中心を挟んで対向するように配置される。ここで、第2面20bの外周部とは、第2面20bの重心を中心とする仮想円Cよりも外側の領域を指す。また、第2面20bの内周部とは、仮想円Cよりも内側の領域を指す。仮想円Cは、対角線Dの半分の長さの直径を有する円である。対角線Dの長さは、例えば、13mm以上17mm以下程度である。
【0025】
一対のひずみゲージ100及び100は、後述のように、受感部となる抵抗体130を有している。ひずみゲージ100及び100において、各々の受感部の少なくとも一部は対角線Dと接することが好ましい。
【0026】
他の一対のひずみゲージ100及び100は、筒状部11内に露出する第2面20bの、第1方向Pから視て、負荷部22と外周部との間に(すなわち、負荷部22と仮想円Cとの間に)、負荷部22を挟んで対向するように配置される。言い換えれば、他の一対のひずみゲージ100及び100は、第1方向Pから視て、仮想円Cよりも内側の領域である第2面20bの内周部において、負荷部22よりも外側に配置される。
【0027】
他の一対のひずみゲージ100及び100は、例えば、対角線Dと直交する仮想線E上に配置される。本実施形態では、第2面20bは正方形であるから、仮想線Eは、対角線Dとは異なる他の対角線と一致する。
【0028】
他の一対のひずみゲージ100及び100は、後述のように、受感部となる抵抗体130を有している。ひずみゲージ100及び100において、各々の受感部の少なくとも一部は仮想線Eと接することが好ましい。
【0029】
発明者らは、直径が15mmの円形の起歪体と、対角線の長さが15mmの正方形の起歪体について、それぞれ起歪体と同形状の筒状部の端面に起歪体を接合した状態を想定し、応力分布のシミュレーションを行った。なお、起歪体及び筒状部の形状以外の条件、例えば、起歪体の材料や厚さ等はすべて共通である。
【0030】
その結果、正方形の起歪体の第2面において、対角線上かつ外周部に一対のひずみゲージを貼付した場合、円形の起歪体の同じ位置に一対のひずみゲージを貼付した場合と比べて、応力がより集中して高いひずみを得られることを見出した。そこで、構造解析を行い、両者の感度を比較した。
【0031】
図6は、円形の起歪体と正方形の起歪体との感度を比較した結果を示す図である。正方形の起歪体は、図1図5に示した起歪体20と同形状である。円形の起歪体は、対角線Dと同じ長さの直径を有し、起歪体20と同じ厚さであり、起歪体20と同一材料から形成されたものである。円形の起歪体における4つのひずみゲージの貼付位置は、起歪体20と同じである。
【0032】
図6に示すように、円形の起歪体の感度を100%としたときに、正方形の起歪体の感度は115%である。すなわち、従来のように円形の起歪体を用いた場合と比べて、正方形の起歪体を用いることにより、15%の感度の向上が確認できた。
【0033】
図7は、円形の起歪体と正方形の起歪体との面積を比較した結果を示す図である。図7に示すように、円形の起歪体の面積を100%としたときに、正方形の起歪体の面積は63.7%である。すなわち、形状を正方形とすることにより、従来のように円形の起歪体を用いた場合と比べて、小面積で高感度の起歪体を実現できる。その結果、小型で高感度の押圧力センサを実現できる。
【0034】
なお、正方形の隣接する角の間にひずみゲージを貼付する場合よりも、図5等のように正方形の角の近傍にひずみゲージを貼付する場合の方が高感度となる。
【0035】
また、起歪体を製造する際には、大判の金属板から多数の起歪体を作製するので、起歪体を小面積とすることにより、起歪体の取り数を向上することができる。その結果、起歪体の生産性を向上し、低コスト化を実現できる。取り数を増やすために、単純に直径の小さな円形の起歪体にするだけでは感度が低下してしまうが、四角形の起歪体とすることで、小型化しつつも十分な感度を得ることができる。
【0036】
押圧力センサ1は、例えば、バイタルセンサとして用いられる。押圧力センサ1がバイタルセンサとして用いられる場合、押圧力センサ1は、例えば、脈圧、血圧、脈拍、酸素レベル等を検出対象とすることができる。押圧力センサ1が脈圧の波である脈波を検出する脈波センサである場合、押圧力センサ1は、負荷部22が被験者の橈骨動脈に当たるように被験者の腕に固定して使用される。被験者の脈波に応じて負荷部22に負荷が加わって起歪体20が弾性変形すると、ひずみゲージ100の抵抗体の抵抗値が変化する。
【0037】
押圧力センサ1は、起歪体20の変形に伴なうひずみゲージ100の抵抗体の抵抗値の変化に基づいて脈波を検出できる。脈波は、例えば、ひずみゲージ100の電極と接続された測定回路から、周期的な電圧の変化として出力される。起歪体20の外周部のひずみゲージ100及び100は圧縮応力を受けてひずみ、内周部のひずみゲージ100及び100は引張応力を受けてひずむ。そこで、例えば、4つのひずみゲージが図8に示すようにフルブリッジ接続される4ゲージ法により、大きな出力を得ることができる。
【0038】
図8において、ひずみゲージ100、100、100及び100は、ブリッジ回路の4辺の何れかを構成するように接続されている。ひずみゲージ100とひずみゲージ100の接続部と、ひずみゲージ100とひずみゲージ100の接続部との間には、直流電圧Eが供給される。これにより、ブリッジ回路の出力として、ひずみゲージ100とひずみゲージ100の接続部と、ひずみゲージ100とひずみゲージ100の接続部との間から、出力電圧eを得ることができる。
【0039】
フルブリッジ接続は、筒状部11の内側で行ってもよいし、外側で行ってもよい。必要に応じ、筒状部11の内側にブリッジ接続を行うための配線基板を配置してもよい。
【0040】
[ひずみゲージ100]
図9は、第1実施形態に係るひずみゲージを例示する平面図である。図10は、第1実施形態に係るひずみゲージを例示する断面図(その1)であり、図9のB-B線に沿う断面を示している。
【0041】
図9及び図10を参照すると、ひずみゲージ100は、基材110と、抵抗体130と、配線140と、電極150と、カバー層160とを有している。すなわち、ひずみゲージ100は、検出素子として抵抗体130を有している。カバー層160は、必要に応じて設けることができる。なお、図9及び図10では、便宜上、カバー層160の外縁のみを破線で示している。まずは、ひずみゲージ100を構成する各部について詳細に説明する。
【0042】
なお、図9図11を用いて行うひずみゲージの説明は、便宜上、ひずみゲージ100において、基材110の抵抗体130が設けられている側を「上側」と称し、抵抗体130が設けられていない側を「下側」と称する。又、各部位の上側に位置する面を「上面」と称し、各部位の下側に位置する面を「下面」と称する。ただし、ひずみゲージ100は天地逆の状態で用いることもできる。又、ひずみゲージ100は任意の角度で配置することもできる。又、平面視とは、基材110の上面110aに対する上側から下側への法線方向で対象物を視ることを指すものとする。そして、平面形状とは、前記法線方向で対象物を視たときの、対象物の形状を指すものとする。ひずみゲージ100は、基材110が起歪体20の第2面20b側を向くように、起歪体20の第2面20bに貼り付けられる。
【0043】
基材110は、抵抗体130等を形成するためのベース層となる部材である。基材110は可撓性を有する。基材110の厚さは特に限定されず、ひずみゲージ100の使用目的等に応じて適宜決定されてよい。例えば、基材110の厚さは5μm~500μm程度であってよい。なお、起歪体20の第2面20bから受感部へのひずみの伝達性、及び、環境変化に対する寸法安定性の観点から考えると、基材110の厚さは5μm~200μmの範囲内であることが好ましい。また、絶縁性の観点から考えると、基材110の厚さは10μm以上であることが好ましい。
【0044】
基材110は、例えば、PI(ポリイミド)樹脂、エポキシ樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、LCP(液晶ポリマー)樹脂、ポリオレフィン樹脂等の絶縁樹脂フィルムから形成される。なお、フィルムとは、厚さが500μm以下程度であり、かつ可撓性を有する部材を指す。
【0045】
基材110が絶縁樹脂フィルムから形成される場合、当該絶縁樹脂フィルムには、フィラーや不純物等が含まれていてもよい。例えば、基材110は、シリカやアルミナ等のフィラーを含有する絶縁樹脂フィルムから形成されてもよい。
【0046】
基材110の樹脂以外の材料としては、例えば、SiO、ZrO(YSZも含む)、Si、Si、Al(サファイヤも含む)、ZnO、ペロブスカイト系セラミックス(CaTiO、BaTiO)等の結晶性材料が挙げられる。又、前述の結晶性材料以外に非晶質のガラス等を基材110の材料としてもよい。又、基材110の材料として、アルミニウム、アルミニウム合金(ジュラルミン)、チタン等の金属を用いてもよい。金属製の基材110を用いる場合、上面110aを被覆するように絶縁膜が設けられる。
【0047】
抵抗体130は、基材110の上側に所定のパターンで形成された薄膜である。ひずみゲージ100において、抵抗体130は、ひずみを受けて抵抗変化を生じる受感部である。抵抗体130は、基材110の上面110aに直接形成されてもよいし、基材110の上面110aに他の層を介して形成されてもよい。なお、図9では、便宜上、抵抗体130を密度の高い梨地模様で示している。
【0048】
抵抗体130は、複数の細長状部が長手方向を同一方向(図9の例ではB-B線の方向)に向けて所定間隔で配置され、隣接する細長状部の端部が互い違いに連結されて、全体としてジグザグに折り返す構造である。複数の細長状部の長手方向がグリッド方向となり、グリッド方向と垂直な方向がグリッド幅方向(図9の例ではB-B線と垂直な方向)となる。
【0049】
グリッド幅方向の最も外側に位置する2つの細長状部の長手方向の一端部は、グリッド幅方向に屈曲し、抵抗体130のグリッド幅方向の各々の終端130e及び130eを形成する。抵抗体130のグリッド幅方向の各々の終端130e及び130eは、配線140を介して、電極150と電気的に接続されている。言い換えれば、配線140は、抵抗体130のグリッド幅方向の各々の終端130e及び130eと各々の電極150とを電気的に接続している。
【0050】
抵抗体130は、例えば、Cr(クロム)を含む材料、Ni(ニッケル)を含む材料、又はCrとNiの両方を含む材料から形成することができる。すなわち、抵抗体130は、CrとNiの少なくとも一方を含む材料から形成することができる。Crを含む材料としては、例えば、Cr混相膜が挙げられる。Niを含む材料としては、例えば、Cu-Ni(銅ニッケル)が挙げられる。CrとNiの両方を含む材料としては、例えば、Ni-Cr(ニッケルクロム)が挙げられる。
【0051】
ここで、Cr混相膜とは、Cr、CrN、及びCrN等が混相した膜である。Cr混相膜は、酸化クロム等の不可避不純物を含んでいてもよい。
【0052】
抵抗体130の厚さは特に限定されず、ひずみゲージ100の使用目的等に応じて適宜決定されてよい。例えば、抵抗体130の厚さは0.05μm~2μm程度であってよい。特に、抵抗体130の厚さが0.1μm以上である場合、抵抗体130を構成する結晶の結晶性(例えば、α-Crの結晶性)が向上する。また、抵抗体130の厚さが1μm以下である場合、抵抗体130を構成する膜の内部応力に起因する、(i)膜のクラック及び(ii)膜の基材110からの反りが、低減される。
【0053】
横感度を生じ難くすることと、断線対策とを考慮すると、抵抗体130の幅は10μm以上100μm以下であることが好ましい。更に言えば、抵抗体130の幅は10μm以上70μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であるとより好ましい。
【0054】
例えば、抵抗体130がCr混相膜である場合、安定な結晶相であるα-Cr(アルファクロム)を主成分とすることで、ゲージ特性の安定性を向上させることができる。又例えば、抵抗体130がCr混相膜である場合、抵抗体130がα-Crを主成分とすることで、ひずみゲージ100のゲージ率を10以上、かつゲージ率温度係数TCS及び抵抗温度係数TCRを-1000ppm/℃~+1000ppm/℃の範囲内とすることができる。ここで、「主成分」とは、抵抗体を構成する全物質の50重量%以上を占める成分のことを意味する。ゲージ特性を向上させるという観点から考えると、抵抗体130はα-Crを80重量%以上含むことが好ましい。更に言えば、同観点から考えると、抵抗体130はα-Crを90重量%以上含むことがより好ましい。なお、α-Crは、bcc構造(体心立方格子構造)のCrである。
【0055】
又、抵抗体130がCr混相膜である場合、Cr混相膜に含まれるCrN及びCrNは20重量%以下であることが好ましい。Cr混相膜に含まれるCrN及びCrNが20重量%以下であることで、ひずみゲージ100のゲージ率の低下を抑制することができる。
【0056】
又、Cr混相膜におけるCrNとCrNとの比率は、CrNとCrNの重量の合計に対し、CrNの割合が80重量%以上90重量%未満となるようにすることが好ましい。更に言えば、同比率は、CrNとCrNの重量の合計に対し、CrNの割合が90重量%以上95重量%未満となるようにすることがより好ましい。CrNは半導体的な性質を有する。そのため、前述のCrNの割合を90重量%以上95重量%未満とすることで、TCRの低下(負のTCR)が一層顕著となる。更に、前述のCrNの割合を90重量%以上95重量%未満とすることで抵抗体130のセラミックス化を低減し、抵抗体130の脆性破壊が起こりにくくすることができる。
【0057】
一方で、CrNは化学的に安定であるという利点を有する。Cr混相膜にCrNをより多く含むことで、不安定なNが発生する可能性を低減することができるため、安定なひずみゲージを得ることができる。ここで「不安定なN」とは、Cr混相膜の膜中に存在し得る、微量のNもしくは原子状のNのことを意味する。これらの不安定なNは、外的環境(例えば高温環境)によっては膜外へ抜け出ることがある。不安定なNが膜外へ抜け出るときに、Cr混相膜の膜応力が変化し得る。
【0058】
ひずみゲージ100において、抵抗体130の材料としてCr混相膜を用いた場合、高感度化かつ、小型化を実現することができる。例えば、従来のひずみゲージの出力が0.04mV/2V程度であったのに対して、抵抗体130の材料としてCr混相膜を用いた場合は0.3mV/2V以上の出力を得ることができる。また、従来のひずみゲージの大きさ(ゲージ長×ゲージ幅)が3mm×3mm程度であったのに対して、抵抗体130の材料としてCr混相膜を用いた場合の大きさ(ゲージ長×ゲージ幅)は0.3mm×0.3mm程度に小型化することができる。
【0059】
配線140は、基材110上に設けられている。配線140は、抵抗体130及び電極150と電気的に接続されている。配線140は、直線状には限定されず、任意のパターンとすることができる。また、配線140は、任意の幅及び任意の長さとすることができる。なお、図9では、便宜上、配線140を抵抗体130よりも密度の低い梨地模様で示している。
【0060】
電極150は、基材110上に設けられている。電極150は、配線140を介して抵抗体130と電気的に接続されている。電極150は、平面視において、配線140よりも拡幅して略矩形状に形成されている。電極150は、ひずみにより生じる抵抗体130の抵抗値の変化を外部に出力するための一対の電極である。電極150には、例えば外部接続用のリード線等が接合される。電極150の上面に、銅等の抵抗の低い金属層、または、金等のはんだ付け性が良好な金属層を積層してもよい。抵抗体130と配線140と電極150とは便宜上別符号としているが、両者は同一工程において同一材料により一体に形成することができる。なお、図9では、便宜上、電極150を配線140と同じ密度の梨地模様で示している。
【0061】
カバー層160(保護層)は、必要に応じ、基材110の上面110aに、抵抗体130及び配線140を被覆し電極150を露出するように設けられる。カバー層160の材料としては、例えば、PI樹脂、エポキシ樹脂、PEEK樹脂、PEN樹脂、PET樹脂、PPS樹脂、複合樹脂(例えば、シリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂)等の絶縁樹脂が挙げられる。なお、カバー層160は、フィラーや顔料を含有しても構わない。カバー層160の厚さは、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、カバー層160の厚さは2μm~30μm程度とすることができる。カバー層160を設けることで、抵抗体130に機械的な損傷等が生じることを抑制することができる。又、カバー層160を設けることで、抵抗体130を湿気等から保護することができる。
【0062】
[ひずみゲージ100の製造方法]
本実施形態に係るひずみゲージ100では、基材110上に、抵抗体130と、配線140と、電極150と、カバー層160とが形成される。なお、基材110とこれらの部材の層の間に別の層(後述する機能層等)が形成されてもよい。
【0063】
以下、ひずみゲージ100の製造方法について説明する。ひずみゲージ100を製造するためには、まず、基材110を準備し、基材110の上面110aに金属層(便宜上、金属層Aとする)を形成する。金属層Aは、最終的にパターニングされて抵抗体130、配線140、及び電極150となる層である。従って、金属層Aの材料や厚さは、前述の抵抗体130、配線140、及び電極150の材料や厚さと同様である。
【0064】
金属層Aは、例えば、金属層Aを形成可能な原料をターゲットとしたマグネトロンスパッタ法により成膜することができる。金属層Aは、マグネトロンスパッタ法に代えて、反応性スパッタ法、蒸着法、アークイオンプレーティング法、またはパルスレーザー堆積法等を用いて成膜されてもよい。基材110の上面110aに金属層Aを成膜後、周知のフォトリソグラフィ法により、金属層Aを図9の抵抗体130、配線140、及び電極150と同様の平面形状にパターニングする。
【0065】
なお、基材110の上面110aに下地層を形成してから金属層Aを形成してもよい。例えば、基材110の上面110aに、所定の膜厚の機能層をコンベンショナルスパッタ法により真空成膜してもよい。このように下地層を設けることによって、ひずみゲージ100のゲージ特性を安定化させることができる。
【0066】
本願において、機能層とは、少なくとも上層である金属層A(抵抗体130)の結晶成長を促進する機能を有する層を指す。機能層は、更に、基材110に含まれる酸素または水分による金属層Aの酸化を防止する機能、および/または、基材110と金属層Aとの密着性を向上する機能を備えていることが好ましい。機能層は、更に、他の機能を備えていてもよい。
【0067】
基材110を構成する絶縁樹脂フィルムは酸素や水分を含むことがあり、また、Crは自己酸化膜を形成することがある。そのため、特に金属層AがCrを含む場合、金属層Aの酸化を防止する機能を有する機能層を成膜することが好ましい。
【0068】
このように、金属層Aの下層に機能層を設けることにより、金属層Aの結晶成長を促進可能となり、安定な結晶相からなる金属層Aを作製することができる。その結果、ひずみゲージ100において、ゲージ特性の安定性が向上する。又、機能層を構成する材料が金属層Aに拡散することにより、ひずみゲージ100において、ゲージ特性が向上する。
【0069】
機能層の材料としては、例えば、Cr(クロム)、Ti(チタン)、V(バナジウム)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、Ni(ニッケル)、Y(イットリウム)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)、Si(シリコン)、C(炭素)、Zn(亜鉛)、Cu(銅)、Bi(ビスマス)、Fe(鉄)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Re(レニウム)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Au(金)、Co(コバルト)、Mn(マンガン)、Al(アルミニウム)からなる群から選択される1種又は複数種の金属、この群の何れかの金属の合金、又は、この群の何れかの金属の化合物が挙げられる。
【0070】
図11は、第1実施形態に係るひずみゲージを例示する断面図(その2)である。図11は、抵抗体130、配線140、及び電極150の下地層として機能層120を設けた場合のひずみゲージ100の断面形状を示している。
【0071】
機能層120の平面形状は、例えば抵抗体130、配線140、及び電極150の平面形状と略同一にパターニングされてよい。しかしながら、機能層120と抵抗体130、配線140、及び電極150との平面形状は略同一でなくてもよい。例えば、機能層120が絶縁材料から形成される場合には、機能層120を抵抗体130、配線140、及び電極150の平面形状と異なる形状にパターニングしてもよい。この場合、機能層120は例えば抵抗体130、配線140、及び電極150が形成されている領域にベタ状に形成されてもよい。或いは、機能層120は、基材110の上面全体にベタ状に形成されてもよい。
【0072】
抵抗体130、配線140、及び電極150を形成した後、必要に応じ、基材110の上面110aにカバー層160を形成する。カバー層160は抵抗体130及び配線140を被覆するが、電極150はカバー層160から露出していてよい。例えば、基材110の上面110aに、抵抗体130及び配線140を被覆し電極150を露出するように、半硬化状態の熱硬化性の絶縁樹脂フィルムをラミネートして、その後に当該絶縁樹脂フィルムを加熱して硬化させることにより、カバー層160を形成することができる。以上の工程により、ひずみゲージ100が完成する。
【0073】
〈第1実施形態の変形例〉
第1実施形態の変形例では、起歪体の第2面の内周部に配置するひずみゲージの位置や起歪体の形状が第1実施形態とは異なる押圧力センサの例を示す。なお、第1実施形態の変形例では、既に説明した実施形態と同一の構成部についての説明は省略する場合がある。
【0074】
図12は、第1実施形態の変形例1に係る押圧力センサの起歪体及びひずみゲージを例示する底面図である。図13は、第1実施形態の変形例2に係る押圧力センサの起歪体及びひずみゲージを例示する底面図である。
【0075】
図12及び図13では、起歪体20の内周部に配置されるひずみゲージ100及び100の位置が、図5とは異なる。図12では、対角線Dに対して約45度傾斜して、ひずみゲージ100及び100が配置されている。図13では、対角線D上に、ひずみゲージ100及び100に加えて、ひずみゲージ100及び100が配置されている。
【0076】
このように、ひずみゲージ100及び100は、起歪体20の内周部の任意の位置に配置することができる。図12及び図13のいずれの場合も、起歪体20は四角形であり、第2面20bにおいて、対角線D上かつ外周部に一対のひずみゲージを貼付している。そのため、円形の起歪体の同じ位置に一対のひずみゲージを貼付した場合と比べて、応力がより集中して高いひずみを得られる。その結果、従来のように円形の起歪体の場合と比べて、小面積で高感度の起歪体を実現できる。そして、小型で高感度の押圧力センサを実現できる。もちろん、ひずみゲージ100及び100は、起歪体20の内周部であれば、図12及び図13と異なる位置に配置してもよい。
【0077】
なお、起歪体にひずみゲージを貼付すると、貼付したひずみゲージの厚さにより、起歪体の剛性が上昇し、起歪体が変形しにくくなる。例えば、図13のように1つの対角線上に4つのひずみゲージを配置すると、起歪体の剛性の上昇の程度が大きくなり、感度が減少しやすい。したがって、感度の低下を抑制する観点から、ひずみゲージ100及び100図13の配置よりも図12の配置が好ましく、4つのひずみゲージが最も分散して配置される図5が最も好ましい。
【0078】
図14は、第1実施形態の変形例3に係る押圧力センサの起歪体及びひずみゲージを例示する底面図である。図14に示すように、ひずみゲージ100及び100は配置しなくてもよい。この場合は、ひずみゲージ100及び100を用いた2ゲージ法により、押圧力の検出が可能となる。ただし、4ゲージ法を用いる場合よりは出力が減少する。
【0079】
図15は、第1実施形態の変形例4に係る押圧力センサの起歪体及びひずみゲージを例示する底面図である。図16は、第1実施形態の変形例5に係る押圧力センサの起歪体及びひずみゲージを例示する底面図である。
【0080】
図15及び図16では、起歪体の形状が図5とは異なる。図15では、起歪体20は、第1方向Pから視て正六角形である、そして、正六角形の起歪体20の第2面20bにおいて、図5と同様の位置に4つのひずみゲージが貼付されている。図16では、起歪体20は、第1方向Pから視て正八角形である、そして、正八角形の起歪体20の第2面20bにおいて、図5と同様の位置に4つのひずみゲージが貼付されている。
【0081】
このように、起歪体20は、四角形以外の偶数角形であってもよい。図15及び図16のいずれの場合も、起歪体20は、第1方向Pから視て、端面の外縁が起歪体20と同じ個数の角を有する筒状部に接合して使用される。図15及び図16のいずれの場合も、起歪体20の第2面20bにおいて、対角線D上かつ外周部に一対のひずみゲージを貼付している。そのため、円形の起歪体の同じ位置に一対のひずみゲージを貼付した場合と比べて、応力がより集中して高いひずみを得られる。その結果、四角形以外の偶数角形の場合も、従来のように円形の起歪体の場合と比べて、小面積で高感度の起歪体を実現できる。そして、小型で高感度の押圧力センサを実現できる。
【0082】
図15及び図16のいずれの場合も、他の一対のひずみゲージ100及び100は、対角線Dと直交する仮想線E上に配置されることが好ましい。これにより、前述のとおり、ひずみゲージの貼付に伴なう起歪体の剛性の上昇を抑えて、感度の低下を抑制することができる。図16の場合は、仮想線Eは、対角線Dとは異なる他の対角線と一致する。
【0083】
なお、偶数角形の起歪体において、角の個数が多くなるほど円形に近くなる。そのため、角の個数が少ないほど、小面積化及び高感度化に寄与することができる。すなわち、小面積化及び高感度化の観点から、起歪体は、八角形より六角形が好ましく、四角形が最も好適な形状である。
【0084】
また、起歪体の形状である偶数角形は、正偶数角形には限らない。例えば、長方形の起歪体の場合も、従来のように円形の起歪体の場合と比べて、小面積で高感度の起歪体を実現できる。その結果、小型で高感度の押圧力センサを実現できる。
【0085】
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0086】
1 押圧力センサ、10 筐体、11 筒状部、11a 第1端面、11b 第2端面、12 裏蓋、20 起歪体、20a 第1面、20b 第2面、22 負荷部、100,100,100,100,100 ひずみゲージ、110 基材、110a 上面、130 抵抗体、140 配線、150 電極、160 カバー層、130e、130e 終端
図1
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