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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117475
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】スケートのジャンプ練習装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/00 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
A63B69/00 516
A63B69/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023595
(22)【出願日】2023-02-17
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2022年度独立行政法人情報処理推進機構 未踏IT人材発掘・育成事業(動画でフィギュアスケートの練習を支援するシステム)に関する委託契約、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】523058489
【氏名又は名称】山形 昌弘
(71)【出願人】
【識別番号】523058490
【氏名又は名称】麻 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】山形 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】麻 大輔
(57)【要約】
【課題】スケートのジャンプの踏切動作を容易に習得することが可能なスケートのジャンプ練習装置を提供する.
【解決手段】ジャンプ練習装置1は、一方の足を載せるための可動板10と、円弧状の曲線L1に沿って可動板10を移動させるようにガイドするガイド部材20であって、曲線L1の一端から他端へ向けて可動板10を移動可能にガイドするガイド部材20と、可動板10の、曲線L1の一端側または他端側に荷重を掛けることで可動板10の移動にブレーキを掛けるブレーキ部材15と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の足を載せるための可動板と、
円弧状の曲線に沿って前記可動板を移動させるようにガイドするガイド部材であって、前記曲線の一端から他端へ向けて前記可動板を移動可能にガイドするガイド部材と、
前記可動板の、前記曲線の前記一端側または前記他端側に荷重を掛けることで前記可動板の移動にブレーキを掛けるブレーキ部材と、を備えることを特徴とするスケートのジャンプ練習装置。
【請求項2】
前記ガイド部材による前記可動板の移動軌跡は、前記曲線の一端に対して他端が低くなるように傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のスケートのジャンプ練習装置。
【請求項3】
前記曲線に対して前記曲線の曲率中心が存在する側で他方の足を載せることが可能な踏台をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のスケートのジャンプ練習装置。
【請求項4】
前記可動板の移動の抵抗を調整可能な抵抗調整部材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のスケートのジャンプ練習装置。
【請求項5】
前記ガイド部材は、前記曲線に沿って延びるレールであり、
前記可動板は、前記レール上を転がるローラを有してなることを特徴とする請求項1に記載のスケートのジャンプ練習装置。
【請求項6】
前記レールは、前記曲線の前記一端から前記他端へ向けて低くなるように傾斜していることを特徴とする請求項5に記載のスケートのジャンプ練習装置。
【請求項7】
前記可動板は、足を載せる踏み面を有する基板と、前記基板に対して前記踏み面に直交する軸周りに回転可能な回転盤とを有してなることを特徴とする請求項1に記載のスケートのジャンプ練習装置。
【請求項8】
一方の足を載せるための可動板と、
円弧状の曲線に沿って前記可動板を移動させるようにガイドするガイド部材であって、前記曲線の一端から他端へ向けて前記可動板を移動可能にガイドするガイド部材と、
前記可動板が前記曲線の前記一端から、ジャンプの踏切をするのに適した、所定量動いた位置で前記可動板の移動にブレーキを掛けるブレーキ部材と、を備えることを特徴とするスケートのジャンプ練習装置。
【請求項9】
前記可動板の前記曲線の前記一端から前記他端へ向けての移動量を検出するセンサと、
モニターと、
制御部と、をさらに備え、
前記制御部は、
前記曲線の前記一端から前記他端へ向けての移動距離に対応させて、ジャンプのお手本となる手本画像を複数記憶しており、
前記センサが検出した前記移動量を取得し、
取得した前記移動量に応じて、前記モニターに、前記移動量に対応した前記手本画像を表示させることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のスケートのジャンプ練習装置。
【請求項10】
前記可動板に乗るユーザを撮影するカメラをさらに備え、
前記制御部は、
前記カメラが撮影した撮影画像を取得し、前記モニターに、前記撮影画像を前記手本画像と並べて表示させることを特徴とする請求項9に記載のスケートのジャンプ練習装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィギュアスケートなどにおけるジャンプの踏切動作の習得を補助するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スケートの練習装置としては、スケートで前進滑走するための筋力を向上させるための装置が知られている(特許文献1)。また、フィギュアスケートにおけるジャンプの練習をするための装置として、選手に装着するハーネスと、このハーネスを吊り下げる竿とからなり、ジャンプの補助をするコーチが竿を持って、選手をハーネスごと持ち上げるものが知られている。さらに、フィギュアスケートのスピンを陸上で練習するために、床との摩擦を軽減して回転しやすくするスピナーが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-124526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、フィギュアスケートのジャンプ(回転しながら跳び上がる技のことを意味する。以下同様。)のためには、複雑な動作が必要で、ジャンプをできない者にとっては、正しい動作を習得するのが困難である。特に、ループジャンプやサルコウジャンプと呼ばれる技は、踏切の前に小さなカーブを描きながら滑る動作が必要である。しかしながら、陸上(氷上以外の床などをいうものとする。)においては滑ることができないために、ループジャンプやサルコウジャンプなどの正確な踏切動作を選手に指導することが非常に困難であった。
【0005】
そこで、本発明では、スケートのジャンプの踏切動作を容易に習得することが可能なスケートのジャンプ練習装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するためのスケートのジャンプ練習装置は、一方の足を載せるための可動板と、円弧状の曲線に沿って可動板を移動させるようにガイドするガイド部材であって、曲線の一端から他端へ向けて可動板を移動可能にガイドするガイド部材と、可動板の、曲線の一端側または他端側に荷重を掛けることで可動板の移動にブレーキを掛けるブレーキ部材と、を備える。
【0007】
このようなジャンプ練習装置によれば、ガイド部材によって、可動板が円弧状の曲線に沿って移動するようにガイドされる。そのため、一方の足を可動板に載せて、可動板に荷重を掛けながら可動板を動かして、スケートのジャンプの動きの練習をすることができる。この際、一方の足で踏切動作をするときに、足のつま先側に荷重を移していくことで、ブレーキ部材によって可動板の移動にブレーキが掛かる。このように、氷上での踏切前に滑る動きと、踏切時に、スケートのつま先(フィギュアスケートであればトゥピック)で氷を掴む感触とを陸上で再現できるので、スケートの初心者が、スケートのジャンプの踏切動作を容易に習得することができる。なお、本願におけるスケートには、アイススケートの他、インラインスケートを含むものとする。
【0008】
ガイド部材による可動板の移動軌跡は、曲線の一端に対して他端が低くなるように傾斜していることが望ましい。
【0009】
このような構成とすることで、可動板に体重を載せることで、重力により可動板を曲線の一端から他端に向けて移動させることができる。
【0010】
ジャンプ練習装置は、曲線に対して曲線の曲率中心が存在する側で他方の足を載せることが可能な踏台をさらに備えていてもよい。
【0011】
また、ジャンプ練習装置は、可動板の移動の抵抗を調整可能な抵抗調整部材をさらに備えることが望ましい。
【0012】
可動板の移動しやすさを抵抗調整部材により調整することで、ユーザの体格の違いなどによる可動板の動きやすさの違いを補正することができる。
【0013】
ガイド部材は、曲線に沿って延びるレールであり、可動板は、レール上を転がるローラを有して構成されていてもよい。
【0014】
レールは、曲線の一端から他端へ向けて低くなるように傾斜していることが望ましい。
【0015】
このような構成とすることで、可動板に体重を載せることで、重力により可動板を曲線の一端から他方に向けて移動させることができる。
【0016】
可動板は、足を載せる踏み面を有する基板と、基板に対して踏み面に直交する軸周りに回転可能な回転盤とを有して構成されていてもよい。
【0017】
可動板が回転盤を有することで、一方の足を回転盤に載せ、スムーズな動きでジャンプの練習をすることができる。
【0018】
また、スケートのジャンプ練習装置は、一方の足を載せるための可動板と、円弧状の曲線に沿って可動板を移動させるようにガイドするガイド部材であって、曲線の一端から他端へ向けて可動板を移動可能にガイドするガイド部材と、前記可動板が前記曲線の前記一端から、ジャンプの踏切をするのに適した、所定量動いた位置で前記可動板の移動にブレーキを掛けるブレーキ部材と、を備える構成であってもよい。
【0019】
この場合にも、ジャンプの踏切に適した位置で可動板の移動にブレーキが掛かることで、氷上での踏切前に滑る動きと、踏切時に、スケートのつま先で氷を掴む感触とを陸上で再現できるので、スケートの初心者が、スケートのジャンプの踏切動作を容易に習得することができる。
【0020】
スケートのジャンプ練習装置は、可動板の曲線の一端から他端へ向けての移動量を検出するセンサと、モニターと、制御部と、をさらに備えていてもよい。
制御部は、曲線の一端から他端へ向けての移動距離に対応させて、ジャンプのお手本となる手本画像を複数記憶しており、センサが検出した移動量を取得し、取得した移動量に応じて、モニターに、移動量に対応した手本画像を表示させることができる。
【0021】
このような練習装置によれば、可動板の位置に応じた理想的なジャンプのフォームを確認できるので、効果的な練習をすることができる。
【0022】
また、この装置においては、可動板に乗るユーザを撮影するカメラをさらに備えていてもよい。この場合、制御部は、カメラが撮影した撮影画像を取得し、モニターに、撮影画像を手本画像と並べて表示させることができる。
【0023】
このような練習装置によれば、モニター上で、その可動板の位置における理想的なフォームと、その時点のユーザのフォームとが並んで表示されるので、これらを比較してフォームの修正をすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のジャンプ練習装置によれば、スケートの初心者が、スケートのジャンプの踏切動作を容易に習得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態のジャンプ練習装置の全体構成を示す図である。
図2】練習台の平面図(a)と、ドラム付近の部分拡大図である。
図3】可動板を上側から見た図(a)と、下側から見た図(b)と、(b)のX-X断面図(c)である。
図4】練習台の側面図であり、(a)初期状態と、(b)踏切時の状態を示す。
図5】ジャンプ練習装置の使い方を説明する図(a)~(c)であり、サルコウジャンプの場合の使い方を示す。
図6】ジャンプ練習装置の使い方を説明する図(a)~(c)であり、ループジャンプの場合の使い方を示す。
図7】第2実施形態における練習台の平面図(a)と、可動板の側面図(b)である。
図8】第2実施形態における練習台の側面図である。
図9】ジャンプ練習装置をアクセルジャンプに使用する場合の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1に示すように、スケートのジャンプ練習装置1は、練習台2と、制御部の一例としてのコンピュータ3と、モニター4と、カメラ5とを備える。
【0027】
練習台2は、スケートのジャンプの練習をするユーザが載って使用するものである。
図2(a),(b)に示すように、練習台2は、可動板10と、ガイド部材20と、踏台30と、ドラム41と、抵抗調整部材42と、巻取バネ43と、センサの一例としてのエンコーダ45と、リセットスイッチ45Sを主に備えている。
【0028】
可動板10は、ジャンプの踏切を行う一方の足を載せるための板である。可動板10は、ガイド部材20によって動きが規定される。図3(a),(b)に示すように、可動板10は、基板11と、後述するレール22上を転がるローラとしての第1ローラ12および第2ローラ13と、ブレーキ部材15と、回転盤17とを主に有してなる。
【0029】
基板11は、足を載せるのに適した大きさを有する板である。基板11は、上側に、足を載せるための踏み面11Aを有する。基板11は、足の前後方向に合わせて図3(a),(b)の左右方向に長く形成されている。基板11は、木材、金属、プラスチックなどの適宜な材料からなる。
【0030】
第1ローラ12および第2ローラ13は、基板11の下側に、回転可能に支持されている。具体的には、基板11の下側には、複数の軸受14が固定されており、軸受14によって第1ローラ12および第2ローラ13が回転可能に支持されている。第1ローラ12および第2ローラ13の回転軸は、可動板10の長手方向(以下、単に「長手方向」という)に交差する方向に向いている。第1ローラ12および第2ローラ13は、それぞれの外周面に、後述するレール22と係合するのに適した窪み12A,13Aを有している。
【0031】
第1ローラ12および第2ローラ13は、それぞれ2つずつ設けられている。一対の第1ローラ12は、長手方向における中央から一方側(図3(b)の左側)に少しずれて配置されている。一対の第2ローラ13は、長手方向の他方側の端部(図3(b)の右端)に配置されている。第2ローラ13の回転軸は、第1ローラ12の回転軸に対して少し斜めになっている。
【0032】
図3(c)に示すように、第1ローラ12を支持する軸受14は、下方に延びる外れ止め14Aを有している。外れ止め14Aは、レール22に斜め下から係合することで、可動板10がレール22から容易に外れてしまうことを抑制する。
【0033】
基板11の下側の面には、後述するワイヤWを引っ掛けるためのリング状のワイヤ係合部16が設けられている。
【0034】
ブレーキ部材15は、可動板10の移動にブレーキを掛ける部材である。ブレーキ部材15は、一例として、樹脂またはゴムのスポンジなどからなる。もっとも、ブレーキ部材15は、スポンジのような容易に変形可能な弾性体である必要はなく、適度な硬さを有していてもよい。ブレーキ部材15は、一対設けられており、それぞれ、レール22の上に載ることが可能なように、第1ローラ12に対して長手方向の一方側に並んで配置されている。ブレーキ部材15は、第1ローラ12を中心に可動板10を傾けた場合に、レール22に圧接することで、可動板10の動きにブレーキを掛ける。
【0035】
図3(a)に示すように、回転盤17は、基板11の踏み面11Aに配置されている。回転盤17は、円形の板からなる。回転盤17は、スラストニードルベアリングなどを介して基板11に支持されている。これにより、回転盤17は、基板11の踏み面11Aに直交する軸周りに、基板11に対して回転可能である。回転盤17は、必ずしも転がり軸受けによって支持される必要はない。例えば、基板11に形成された円形の凹部に回転盤17が嵌まることによって、基板11に回転可能に支持されていてもよい。回転盤17は、一方の足のつま先側を載せることで、基板11に対する一方の足の鉛直軸周りの回転をスムーズにするためのものである。回転盤17に対して、略鉛直軸周りに足を回転しやすくするか否かは、ユーザの好みもあるため、回転盤17を使用しない場合には、回転盤17を覆うカバーを被せてもよい。もしくは、可動板10に回転盤17を設けない構成としてもよい。
【0036】
図2に示すように、ガイド部材20は、円弧状の曲線L1に沿って可動板10を移動させるようにガイドする部材である。ガイド部材20は、曲線L1の一端(図2における上端)から他端(図2における右の端)へ向けて可動板10を移動可能にガイドする。具体的に、ガイド部材20は、支持板21と、レール22と、支持脚23とを主に有する。以下、曲線L1の一端と他端に対応させて、それぞれ、レール22の一端(図2におけるレール22の上端)または他端(図2におけるレール22の右の端)と呼ぶことにする。
【0037】
支持板21は、レール22を支持する板である。支持板21があることで、ガイド部材20の持ち運びが容易となる。レール22を床に直接設置する場合には、支持板21は必要ではない。
【0038】
レール22は、円弧状の曲線L1に沿って延びる。レール22は、2本設けられている。なお、本願にいう円弧状の曲線は、完全な円弧に沿ったものではなくてもよく、例えば、曲率が徐々に変化する曲線であっても構わない。曲線L1の曲率半径は、ユーザの体格などによって適宜決定すればよいが、一例として、40cm程度にするとよい。レール22は、第1レール22Aと第2レール22Bとを含む。第1レール22Aと第2レール22Bは、曲線L1を挟んで所定距離離れて平行に配置されている。一例として、第1レール22Aと第2レール22Bは、10cmのピッチで離れている。第2レール22Bは、第1レール22Aに対して、曲線L1の曲率中心から遠い側に配置され、その分、第1レール22Aよりも大きな曲率半径を有している。ガイド部材20による可動板10の移動軌跡は、曲線L1の一端に対して他端が低くなるように傾斜している。具体的に、図4に示すように、レール22は、曲線L1の一端から他端へ向けて低くなるように傾斜している。レール22の勾配は、例えば、1/100~1/10の間で適宜設定するとよい。レール22の勾配は、各部材の摩擦抵抗や、後述するワイヤWのブレーキ力などによって適宜決定するとよい。一例として、レール22は傾斜していなくてもよい。なお、図4では、1つの図でレール22の側面を示すため、便宜上、レール22を真っ直ぐに引き伸ばしたようにして図示している。
【0039】
支持脚23は、レール22を支持板21に支持するための部材である。支持脚23は、レール22の両端をそれぞれ支持するように設けられている。また、図示は省略するが、レール22の剛性に応じて、レール22の両端の間の中間位置にも、適宜、レール22を下から支持するように設けるとよい。
【0040】
図2(b)に示すように、支持板21には、ドラム41と、エンコーダ45が配置されている。
ドラム41は、円筒状の回転体である。ドラム41は、レール22の一端に隣接して設けられている。ドラム41は、レール22の一端部における第1レール22Aと第2レール22Bが並ぶ方向に延びる回転軸を中心に回転可能である。ドラム41は、図2(b)の左右に離れた一対の軸受49によって回転可能に支持されている。一対の軸受49は、支持板21に固定されている。ドラム41には、ワイヤWが巻き掛けられている。ワイヤWの一端は、ドラム41に固定され、他端は、可動板10のワイヤ係合部16に留められている(図3(b)参照)。
【0041】
可動板10がレール22の一端から他端へ向けて移動すると、ワイヤWがドラム41から巻き出される。このときワイヤWが曲線L1に沿って延びるようにするため、支持板21には、曲線L1に沿って並ぶ複数のガイドローラ28が設けられている。
【0042】
ドラム41には、ワイヤWを巻き取るための巻取バネ43が設けられている。巻取バネ43は、一例としてゼンマイ状のバネであり、一端が軸受49または支持板21に係合し、他端がドラム41に係合している。巻取バネ43の力により、ドラム41は、可動板10を、レール22の他端からレール22の一端に向けて移動させるようにワイヤWを巻き取ることが可能となっている。巻取バネ43の力は、足を載せていない可動板10を初期位置、つまり、レール22の一端に移動させることができる程度の力を有しているとよい。巻取バネ43の力は、ユーザがジャンプの練習を行う場合には、可動板10がレール22の一端から他端へ移動するときの抵抗となる。
【0043】
また、ドラム41には、抵抗調整部材42が設けられている。抵抗調整部材42は、可動板10の移動の抵抗を調整可能な部材である。具体的な一例として、抵抗調整部材42は、ネジ固定部42Aと、ネジ42Bと、ダイヤル42Cと、摩擦パッド42Dとを有する。ネジ固定部42Aは、支持板21に固定されており、ネジ42Bを支持する。ネジ42Bは、ドラム41の外周面に向けて延びるネジ軸を有する。ダイヤル42Cは、ネジ42Bと螺合しており、ネジ42Bに対して回転することで、ドラム41の外周面に近づき、または、遠ざかるように移動することができる。摩擦パッド42Dは、ドラム41の外周面に圧接することで、ドラム41との摩擦力によりドラム41の回転に抵抗を与える部材である。摩擦パッド42Dは、ダイヤル42Cに固定されており、ダイヤル42Cを回転させることで、ドラム41への圧接力を調節可能となっている。すなわち、ダイヤル42Cを回転させることで、摩擦パッド42Dを移動させてドラム41の回転の抵抗が調整され、これにより、ワイヤWが巻き出されるときの抵抗が調整されるので、可動板10の移動の抵抗を調整することができるようになっている。
【0044】
エンコーダ45は、可動板10の曲線L1の一端から他端へ向けての移動量を検出するセンサである。エンコーダ45は、回転軸45Aを有し、回転軸45Aの回転角度に応じて信号を出力する。エンコーダ45の回転軸45Aは、ベルト48によってドラム41と連結されている。これにより、可動板10が曲線L1の一端から他端へ向けて移動すると、ワイヤWが引かれることでドラム41が回転し、ドラム41の回転により回転軸45Aが回転する。そのため、可動板10の移動に伴い、エンコーダ45からパルス信号が出力される。エンコーダ45は、コンピュータ3に接続され、エンコーダ45の信号は、コンピュータ3に出力される。
【0045】
リセットスイッチ45Sは、可動板10が初期位置にあることを検出するスイッチである。リセットスイッチ45Sは、可動板10が初期位置に位置する場合に、可動板10と当接可能に配置されている。リセットスイッチ45Sは、コンピュータ3に接続されている。可動板10が初期位置に戻されると、リセットスイッチ45SがONとなって、その信号がコンピュータ3に出力される。
【0046】
踏台30は、ユーザの他方の足を載せるための台である。踏台30は、曲線L1に対して曲線L1の曲率中心が存在する側に配置される。本実施形態の場合、踏台30は、図2(a)におけるレール22の右側に配置される。レール22は、曲線L1の一端から他端に向けて徐々に低くなるように傾斜しているため、踏台30も、レール22上を動く可動板10の踏み面11Aの軌跡と略面一となるような傾斜した上面を有している。
【0047】
コンピュータ3は、CPU、ROM、RAM等を有し、予め記憶しているプログラムを実行することで、モニター4に、ジャンプのお手本となる画像を表示する。コンピュータ3は、曲線L1の一端から他端へ向けての可動板10の移動距離に対応させて、ジャンプのお手本となる手本画像を複数記憶している。コンピュータ3は、エンコーダ45からのパルス信号と、リセットスイッチ45Sからの、可動板10が初期位置にあることを示す信号に基づいて、可動板10の初期位置からの移動量を取得する。そして、コンピュータ3は、取得した移動量に応じて、モニター4に、移動量に対応した手本画像を表示させる。例えば、図1において、モニター4の右半分に、この手本画像IM1を表示させる。
【0048】
カメラ5は、可動板10に乗るユーザを撮影するカメラである。カメラ5は、撮影した画像をコンピュータ3に出力可能にコンピュータ3に接続されている。カメラ5は、コンピュータ3が記憶している手本画像に合った向きの画像が撮影できる位置に配置されている。例えば、手本画像IM1が背中側からの画像であれば、カメラ5は、ユーザの背後に配置するとよい。
【0049】
コンピュータ3は、カメラ5が撮影した撮影画像を取得し、モニター4に、リアルタイムの撮影画像IM2を手本画像IM1と並べて表示させる。例えば、コンピュータ3は、モニター4の左半分に撮影画像IM2を表示させる。
【0050】
以上のように構成されたジャンプ練習装置1の使い方と動作について説明する。
まず、サルコウジャンプを練習する場合について説明する。サルコウジャンプは、後ろ向きに滑りながら、左足のインサイドエッジに乗り、トウを氷につかずに跳ぶジャンプである。練習の前には、巻取バネ43の力を利用して可動板10を初期位置に位置させる。そして、図5(a)に示すように、右足を踏台30に載せ、左足を可動板10に載せる。このとき、図4(a)に示すように、ブレーキ部材15は、レール22に触れないか、もしくは、軽く触れた状態である。そして、図5(b)に示すように、左足を氷上で後ろに滑らせるように、左足に体重を載せ、膝を曲げる。左足に体重を載せることで、可動板10はレール22の傾斜に従って後ろへと移動していく。そして、図5(c)に示すように、左足のつま先側(曲線L1の一端側)に荷重を掛け、左足で可動板10を下に蹴るようにして跳び上がる。このとき、図4(b)のように、可動板10のつま先側が下がることで、レール22にブレーキ部材15が当接して可動板10の移動にブレーキが掛かり、可動板10からジャンプのための反力を受けることができる。
【0051】
このような動作の最中、可動板10がレール22上を初期位置から後ろに移動していくに従い、ワイヤWが後ろに引かれ、ドラム41が回転することでエンコーダ45の回転軸45Aが回転する。エンコーダ45からは、パルス信号がコンピュータ3に出力される。コンピュータ3は、初期位置からのパルス数に対応した手本画像を読み出して、モニター4に表示させる。このため、可動板10の位置に応じた手本画像IM1がモニター4に表示されるので、ユーザは、左足の位置に応じた理想的なフォームをモニター4上で確認することができる。また、同時に、カメラ5で撮影した撮影画像IM2が手本画像IM1の左側に表示されるので、ユーザは、撮影画像IM2と手本画像IM1を見比べることでフォームの修正を容易に行うことができる。
【0052】
次に、ループジャンプを練習する場合について説明する。ループジャンプは、左脚で勢いをつけたり、氷を蹴ったりすることなく、右足一本で跳ぶジャンプである。ループジャンプでは、まず、右足の前に左足を交差させながら右足のアウトサイドエッジで後ろ向きに滑り、後方右側に曲がりながら右脚で跳び上がる。練習の前には、巻取バネ43の力を利用して可動板10を初期位置に位置させる。そして、図6(a)に示すように、左足を踏台30に載せ、右足を左脚の後ろ側で可動板10に載せる。このとき、図4(a)に示すように、ブレーキ部材15は、レール22に触れないか、もしくは、軽く触れた状態である。そして、図6(b)に示すように、右足を氷上で後ろに滑らせるように、右足に体重を載せ、膝を曲げる。右足に体重を載せることで、可動板10がレール22の傾斜に従って後ろへと移動していく。そして、図6(c)に示すように、右足のつま先(曲線L1の一端側)に荷重を掛け、右足で可動板10を下に蹴るようにして跳び上がる。このとき、図4(b)のように、可動板10のつま先側が下がることで、レール22にブレーキ部材15が当接して可動板10の移動にブレーキが掛かり、可動板10からジャンプのための反力を受けることができる。
【0053】
このときの動作の最中にも、サルコウジャンプの場合と同じように、モニター4上に、撮影画像IM2と手本画像IM1が左右に並んで表示されるので、ユーザは、撮影画像IM2と手本画像IM1を見比べることでフォームの修正を容易に行うことができる。
【0054】
以上に説明したように、ジャンプ練習装置1によれば、ガイド部材20によって、可動板10が円弧状の曲線L1に沿って移動するようにガイドされる。そのため、一方の足を可動板10に載せて、可動板10に荷重を掛けながら可動板10を動かして、スケートのジャンプの動きの練習をすることができる。この際、一方の足で踏切動作をするときに、足のつま先側に荷重を移していくことで、ブレーキ部材15によって可動板10の移動にブレーキが掛かり、ジャンプをすることが可能である。このように、ジャンプ練習装置1によれば、踏切前に氷上で滑る動きと、踏切時に、スケートのつま先で氷を掴む感触とを陸上で再現できるので、スケートの初心者が、スケートのジャンプの踏切動作を容易に習得することができる。
【0055】
また、レール22は、曲線L1の一端から他端に向けて低くなるように傾斜しているので、可動板10に体重を載せることで、重力により可動板10を曲線L1の一端から他方に向けて移動させることができる。
【0056】
また、抵抗調整部材42により、可動板10の移動しやすさを調整することで、ユーザの体格の違いなどによる可動板10の動きやすさの違いを補正することができる。
【0057】
また、可動板10が回転盤17を有することで、一方の足を回転盤17に載せて、スムーズな動きでジャンプの練習をすることができる。
【0058】
また、モニター4を見て、可動板10の位置に応じた理想的なジャンプのフォームを確認できるので、効果的な練習をすることができる。
【0059】
また、モニター4に、可動板10の位置に応じた理想的なフォームと、その時点のユーザのフォームとが並んで表示されるので、撮影画像IM2と手本画像IM1を見比べることでフォームの修正を容易に行うことができる。
【0060】
なお、ジャンプ練習装置1を使ってジャンプの練習をする際には、ユーザの技量に応じて練習台2の上で動作を行えばよい。例えば、ユーザは、必ずしも可動板10から跳び上がる必要はなく、つま先立ちをして伸び上がる程度の動きで練習をしてもよい。
【0061】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態の一部の構成を変更したものであるので、第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同様の部分については、図に第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
図7に示す第2実施形態のジャンプ練習装置の練習台102は、可動板110がレールによって円弧状の曲線L1に沿って移動するのをガイドされるのではなく、回動する回動アーム120によってガイドされる点が異なる。すなわち、回動アーム120は、ガイド部材の一例である。
【0062】
回動アーム120は、鉛直軸に対して僅かに傾斜した回動軸121Xを中心に回動可能である。回動アーム120は、図示を省略した床またはベース板に固定された支持軸122によって回動可能に支持されている。回動アーム120には、回動軸121Xと同軸で回転可能な回転軸を有するエンコーダ125が設けられている。エンコーダ125は、第1実施形態のエンコーダ45と同様、回動アーム120の回動に応じてパルス信号をコンピュータ3に出力するようになっている。
【0063】
回動アーム120の先端部には、可動板110が設けられている。可動板110は、回動軸122周りに揺動可能なように回動アーム120に支持されている。
【0064】
図7(a)に示すように、可動板110の下には、曲線L1に沿って延びる支持台140が配置されている。支持台140は、曲線L1の一端(図7(a)の上端)から他端(図7(a)の右の端)へ向かうにつれ、低くなる上面141を有している。図7(b)に示すように、可動板110は、外周面に窪みを有さないローラ112,113を有している。可動板110は、ローラ112,113が支持台140の上面141上を転がることで、回動アーム120の回動に伴い、曲線L1に沿って移動可能となっている。
【0065】
図7(b)に示すように、可動板110は、ローラ112に隣接して抵抗調整部材142を有している。抵抗調整部材142は、第1実施形態と同様の構成のネジ固定部42A、ネジ42B、ダイヤル42Cおよび摩擦パッド42Dを有している。ネジ固定部42Aは、基板11の下面に固定されている。摩擦パッド42Dは、ローラ112の外周面に押し付けられて、ローラ112の回転に抵抗を与えるようになっている。
【0066】
図7(a)に示すように、踏台130は、曲線L1に対して曲線L1の曲率中心が存在する側に配置される。本実施形態の場合、回動アーム120の動きを阻害しないように、踏台130は、回動アーム120の可動範囲を避けた位置に脚131を有している。支持台140の上面141は、曲線L1の一端から他端に向けて徐々に低くなるように傾斜しているため、踏台130も、支持台140上を動く可動板110の踏み面111Aの軌跡と略面一となるような傾斜した上面を有している。
【0067】
このような第2実施形態のジャンプ練習装置によっても、第1実施形態と同様にしてジャンプの練習をすることができる。すなわち、可動板110を初期位置に位置させ、右足または左足を可動板110に載せ、体重を可動板110に載せていって、可動板110に載せた足でジャンプする。このとき、図8に示すように、可動板110が初期位置から下がっていって、つま先側に荷重を掛けたときに、ブレーキ部材15が支持台140の上面141に圧接されて、ブレーキが掛かる。これにより、支持台140から反力を受けてジャンプをすることができる。
【0068】
以上に本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されることなく適宜変形して実施することができる。例えば、第1実施形態では、ジャンプ練習装置1を、サルコウジャンプとループジャンプに使用する場合について説明したが、アクセルジャンプに使用することもできる。この場合、図9に示すように、ガイド部材20に対し、曲線L1の曲率中心がある側とは反対側に踏台230を配置するとよい。
【0069】
アクセルジャンプは、前向きに滑りながらジャンプの踏切をするため、曲線L1の一端(図9の左端)から他端(図9の上端)へ向けて可動板10を移動させて使用する。そのため、初期位置において、可動板10を第1実施形態で説明したのとは逆に設置するとよい。つまり、ブレーキ部材15が曲線L1の他端側を向くように可動板10を初期位置に設置する。なお、可動板10は、第1実施形態の可動板10とは左右対称の構造にすることで、レール22と、ローラ22およびブレーキ部材15とを係合させることができる。また、ワイヤ係合部16も長手方向に対称に配置するとよい。
【0070】
そして、アクセルジャンプの練習をする場合、右足を踏台230の上に載せ、左足を可動板10の上に載せる。その後、左足に体重を載せていくと、可動板10がレール22の傾斜に従って前進する。そして、右足を振り上げながら左足で踏み切ると、ブレーキ部材15がレール22に圧接されて、ブレーキ力を発生する。これにより、ユーザは、可動板10から反力を受けてジャンプの踏切をすることができる。なお、この場合には、左足で、可動板10の曲線L1の他端側に荷重を掛けることでブレーキ部材15のブレーキ力が発生する。
【0071】
前記実施形態では、抵抗調整部材としてドラム41またはローラ112に圧接する力を調整する部材を例示したが、抵抗調整部材は、これらに限られない。例えば、ローラと、これらの支持軸との間で抵抗を発生するものであってもよい。また、ブレーキ部材は、ドラム41に対してドラム41の回転軸方向から圧接する部材であってもよい。
【0072】
前記実施形態では、可動板10の移動量を検出するセンサとして、ドラム41や回動アーム120の回転を検出するエンコーダを例示したが、可動板のローラの回転を検出するセンサであってもよいし、可動板10の位置を検出する複数の光センサであってもよい。
【0073】
前記実施形態では、他方の足を載せる踏台を設けることとしたが、踏台を設けなくてもよい。すなわち、他方の足を床に載せるようにしてもよい。また、他方の足を浮かせて練習をする場合にも、踏台は不要である。
【0074】
前記実施形態では、ブレーキ部材15が、レール22または支持台140に圧接することでブレーキ力を発生する構成としたが、ブレーキ部材が、可動板のローラにブレーキを掛けるように構成してもよい。この場合、例えば、ユーザが踏み切りをするのに適した位置でブレーキをかけるように、エンコーダで検出した可動板の位置に応じて、制御部により、ローラにブレーキを掛けてもよい。また、ユーザが踏み切りをするのに適した位置でブレーキをかけるように、ストッパのようなブレーキ部材を設けてもよい。例えば、第1実施形態において、可動板10に当接するストッパを設けるとか、レール22に、可動板の動きを阻害する部材を追加するように構成してもよい。
【0075】
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 ジャンプ練習装置
2 練習台
3 コンピュータ
4 モニター
5 カメラ
10 可動板
15 ブレーキ部材
20 ガイド部材
22 レール
30 踏台
42 抵抗調整部材
42D 摩擦パッド
45 エンコーダ
IM1 手本画像
IM2 撮影画像
L1 曲線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9