(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117478
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】海苔簀張設具
(51)【国際特許分類】
A23L 17/60 20160101AFI20240822BHJP
【FI】
A23L17/60 103G
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023604
(22)【出願日】2023-02-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】721005061
【氏名又は名称】汐見 英一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181630
【弁理士】
【氏名又は名称】原 晶子
(72)【発明者】
【氏名】汐見 英一郎
【テーマコード(参考)】
4B019
【Fターム(参考)】
4B019LT43
(57)【要約】
【課題】 海苔簀の交換を楽に行える海苔簀張設具を提供する。
【解決手段】 本発明は、海苔簀1を簀枠2に張設するための海苔簀張設具10aである。本発明の海苔簀張設具10aは、側面視略U字状の本体部20aと、本体部20aの一方の先端部201aを本体部20aの他方の先端部202aに向けて屈曲させて形成され、海苔簀1を掛けるフック部21aと、海苔簀1を簀枠2側に引っ張る方向に付勢するばね部30aとを備える。フック部21aは、本体部20aの他方の先端部202aに対向して位置する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海苔簀を簀枠に張設するための海苔簀張設具であって、
側面視略U字状の本体部と、
前記本体部の一方の先端部を前記本体部の他方の先端部に向けて屈曲させて形成され、海苔簀を掛けるフック部と、
海苔簀を簀枠側に引っ張る方向に付勢するばね部と、を備え、
前記フック部は、前記本体部の他方の先端部に対向して位置する海苔簀張設具。
【請求項2】
前記本体部の基端部は、外側に突出する突出部を有し、
前記ばね部は、線材を巻回して形成される圧縮コイルばねであり、前記本体部の外周に取り付けられる請求項1に記載の海苔簀張設具。
【請求項3】
前記ばね部は、平面視略楕円形状を有する請求項2に記載の海苔簀張設具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海苔簀を簀枠に張設するために用いる海苔簀張設具に関する。
【背景技術】
【0002】
海上で種から育てられた海苔は、刈り取られて陸揚げされ、陸上で熟成させられる。熟成した海苔は、抄製機で海苔簀の上に抄き上げられ、脱水された後に、乾燥機にかけられる。四角形板状に乾燥した海苔は、海苔簀から剥がされて乾燥海苔として出荷される。乾燥海苔の製造は、抄製機及び乾燥機を備えた1台の海苔製造装置で行われる。海苔製造装置は、複数枚の海苔簀を横に並べた状態で1個の簀枠に張設し、複数の簀枠を抄製機及び乾燥機に順次搬送することで、大量の乾燥海苔を連続して製造する。
【0003】
海苔簀は、海苔簀張設具を用いて、適度な張力を保持しながら簀枠に張設される(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。特許文献1の海苔簀張設具は、板ばねをU字状に湾曲させて形成される。海苔簀張設具の一端は、さらにV字状に曲げ返されて、海苔簀を掛けるフック部を形成する。海苔簀張設具の他端は、フック部の先端付近でさらにC字状に曲げ返されて、海苔簀張設具が簀枠から抜けるのを防止するストッパ部を形成する。また、海苔簀張設具は、海苔簀を簀枠側に引っ張る方向に付勢する、一枚の板ばねから一体的に形成されたばね部を有する。
【0004】
特許文献2の海苔簀張設具も、板ばねをU字状に湾曲させて形成される。海苔簀張設具の一端は、さらにU字状に曲げ返されて、海苔簀を掛けるフック部を形成する。海苔簀張設具の他端は、フック部と離間した位置で内側に折り込まれて、海苔簀張設具が簀枠から抜けるのを防止するストッパ部を形成する。また、海苔簀張設具は、海苔簀を簀枠側に引っ張る方向に付勢する圧縮スプリングを有する。圧縮スプリングは、海苔簀張設具の本体に設けられた係止穴に嵌め込まれて取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-099212号公報
【特許文献2】実開昭58-41192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、海苔簀は、乾燥海苔の製造工程を一定回数繰り返すと交換する必要がある。このとき、1台の海苔製造装置に取り付けられている約2万枚程度の海苔簀は、劣化状態を見極める手間を削減する観点と、同じ時間数の使用により同程度の劣化状態であると推測されることとから、一度に全て交換されることが多い。この海苔簀の交換は、人の手によって行われている。
【0007】
特許文献1の海苔簀張設具では、フック部の先端とストッパ部の曲げ返し部分とが近接して海苔簀が通る隙間がないため、ストッパ部を指で開いた状態で海苔簀張設具から海苔簀を取り外す必要がある。このとき、ストッパ部がC字状に曲げ返されているため、ストッパ部全体をフック部の先端に対して海苔簀の厚みだけ大きく離間させる必要がある。そのため、一度に多数の海苔簀を取り外す際、繰り返しストッパ部を指で広げることで、指が痛んだり、指に傷を負ったりするという問題があった。また、指への負担を軽減するために、先端にL字フックを有する器具を使用することもあるが、海苔簀の交換経験の少ない人にとっては時間がかかってしまうという問題があった。
【0008】
一方の特許文献2の海苔簀張設具では、フック部とストッパ部とが離間しているため、フック部とストッパ部との間から海苔簀を取り外すことができる。しかしながら、ストッパ部が板ばねを内側に折り込んで構成されているだけであるため、海苔簀張設具の使用とともに板ばねの弾性力が弱まり、ストッパ部が外側に開いてくる。海苔製造装置の内部では、海苔簀が張設された簀枠が、簀枠の厚み程度の狭い箇所を通るため、ストッパ部が外側に開いてくると、海苔簀製造装置の内部で海苔簀張設具が引っ掛かり、トラブルの原因になるという問題があった。このようなトラブルを生じさせないようにしようとすると、短期間で海苔簀張設具を交換しないといけないという問題があった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、海苔簀の交換を楽に行え、長期間使用することができる海苔簀張設具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、海苔簀を簀枠に張設するための海苔簀張設具である。海苔簀張設具は、側面視略U字状の本体部と、本体部の一方の先端部を本体部の他方の先端部に向けて屈曲させて形成され、海苔簀を掛けるフック部と、海苔簀を簀枠側に引っ張る方向に付勢するばね部とを備える。フック部は、本体部の他方の先端部に対向して位置する。
【0011】
なお、「先端部」とは、略U字状に屈曲された本体部の開口している端部側の領域を指す。また、「基端部」とは、略U字状に屈曲された本体部の屈曲している端部側の領域を指す。
【0012】
好ましい実施形態の海苔簀張設具では、本体部の基端部は、外側に突出する突出部を有する。ばね部は、線材を巻回して形成される圧縮コイルばねであり、本体部の外周に取り付けられる。
【0013】
さらに、好ましい実施形態の海苔簀張設具では、ばね部は、平面視略楕円形状を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の海苔簀張設具によれば、海苔簀の交換を楽に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態1に係る海苔簀張設具を用いて海苔簀を簀枠に張設した状態を示す正面図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る海苔簀張設具の正面図である。
【
図6】本発明の実施形態1に係る海苔簀張設具の変形例を示す正面図である。
【
図8】本発明の実施形態2に係る海苔簀張設具の正面図である。
【
図11】
図8の海苔簀張設具のXI-XI線断面図である。
【
図12】本発明の実施形態3に係る海苔簀張設具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。本発明に係る海苔簀張設具10a,10b,10c(以下、「海苔簀張設具10」ともいう)は、海苔簀1を簀枠2に張設するために用いられるものである。以下では、海苔簀張設具10aが取り付けられる方を下側として、
図1の状態に基づき上下方向を規定する。
図1の手前側を前側、奥側を後側として前後方向を規定する。上下方向及び前後方向に直交する方向を左右方向とする。
【0017】
まず、
図1を参照して、本発明の海苔簀張設具10を用いる海苔簀1及び簀枠2について説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る海苔簀張設具10aを用いて海苔簀1を簀枠2に張設した状態を示す正面図である。
【0018】
図1に示すように、簀枠2は、既知の簀枠と同様の形状を有する。簀枠2は、水平方向に延びる上下2本の枠材3と、鉛直方向に延びて枠材3を連結する連結材4とを備える。海苔簀1は、既知の海苔簀と同様の形状を有する。具体的には、海苔簀1は、上下の端部に配置される端棒体1aと、複数の簀棒体1bを並列させて細紐1cで固縛して構成される。海苔簀1は、海苔簀張設具10及び海苔簀係止具5によって簀枠2に張設される。海苔簀係止具5は、金属板を屈曲させて形成されており、一端が簀枠2の上方の枠材3に溶接等によって固定され、他端が海苔簀1を掛けられるフック状となっている。
【0019】
[実施形態1]
まず、
図2~
図5を参照して、本発明の実施形態1に係る海苔簀張設具10aについて説明する。
図2は、実施形態1に係る海苔簀張設具10aの正面図である。
図3は、実施形態1の海苔簀張設具10aの左側面図である。
図4は、実施形態1の海苔簀張設具10aの平面図である。
図5は、実施形態1の海苔簀張設具10aの底面図である。
【0020】
図2~
図5に示すように、実施形態1の海苔簀張設具10aは、本体部20aと、本体部20aと一体に形成されるフック部21aと、本体部20aの外周204aに取り付けられるばね部30aとを備える。
【0021】
本体部20aは、側面視(
図3視)において、略U字状を有する。本体部20aの前面を形成する前片206aと本体部20aの後面を形成する後片207aとは、前後方向において、簀枠2の枠材3が摺動可能に差し込める距離だけ離間している。前片206aと後片207aとの距離は、本体部20aの内側の面、つまり、前片206a及び後片207aの互いに対向する面が枠材3に接する距離が好ましい。本体部20aの一方(後方)の先端部201aは、本体部20aの他方(前方)の先端部202aに向けて側面視略V字状に屈曲されている。この先端部201aの屈曲部がフック部21aを形成する。また、本体部20aの他方(前方)の先端部202aは、本体部20aの上下方向中央部付近で、フック部21aに近づく方向(後方)に湾曲されている。本体部20aの基端部203aは、左右方向の両外側に略水平に突出する突出部23aを有する。
【0022】
具体的には、本体部20aは、弾性を有する板材を屈曲又は湾曲させて形成される。板材は、略長方形状で、長手方向中央部分の板材の短手方向長さが、他の部分の板材の短手方向長さより長い形状を有している。板材の長手方向中央部分には、長軸が板材の長手方向に沿う略楕円形状の開口205aが形成されている。この板材は、長手方向中央付近で側面視略U字状に湾曲される。湾曲部が本体部20aの基端部203aとなる。基端部203aには、短手方向長さが長い部分の板材が位置し、正面視(
図2視)において左右方向に略水平に突出した形状となる。この突出した部分が突出部23aを形成する。このとき、各突出部23aは、右の突出部23aの端から左の突出部23aの端までの長さが、ばね部30aの最大幅(左右幅)の長さより長くなるように形成されている。また、板材を屈曲させることで、板材の開口205aが基端203aから前片206a及び後片207aにかけて開口する形となり、前片206aと後片207aとの間に入った水を排出する水抜き口205aが形成される。
【0023】
後片207aの先端部201aは、側面視略V字状に屈曲されてフック部21aを形成する。前片206aの先端部202aは、前片206aの上下方向中央部付近でフック部21aに近づく方向に湾曲される。
【0024】
フック部21aは、海苔簀1を掛けるものである。フック部21aは、本体部20aの他方の先端部202aに対向している。具体的には、フック部21aの先端211aは、海苔簀張設具10aが簀枠2の枠材3に取り付けられ、本体部20aを最大限海苔簀1の方向(上方向)へ移動させたときに、海苔簀1を形成する簀棒体1bに引っ掛かる位置に位置している。また、フック部21aの先端211aは、本体部20aの前片206aの先端部202aの後面(内面)と接している。フック部21aの基端212a(フック部21aを形成するために後片207aを屈曲させた部分)は、海苔簀1が嵌り込む幅、すなわち海苔簀1の前後方向の厚みだけ、本体部20aの前片206aの先端部202aと離間している。
【0025】
ばね部30aは、弾性を有する断面円形の線材を巻回して形成される、筒状の圧縮コイルばねである。ばね部30aは、内部に本体部20aが差し込め、且つ、突出部23aの上面に当接する径を有している。具体的には、ばね部30aは、左右方向の径が長く、前後方向の径が短い平面視略楕円形状を有する。ばね部30aの前後方向の長さは、本体部20aの前後方向の長さと略等しい。また、ばね部30aは、本体部20aの前片206aと後片207aとの間に簀枠2の枠材3を差し込み、フック部21aに海苔簀1を掛けたときに、海苔簀1を枠材3側へ引っ張れる長さを有している。
【0026】
海苔簀張設具10aは、本体部20aの外周204aにばね部30aが取り付けられて構成される。ばね部30aは、本体部20aの上方から差し込まれ、突出部23aの上面に接して取り付けられる。
【0027】
海苔簀張設具10aは、任意の金属材料で形成されることができる。海苔簀張設具10aは、ばね用ステンレス鋼(例えば、SUS301、SUS304、SUS316など)又はばね鋼で形成されることが好ましい。ステンレス鋼で形成されることで、乾燥海苔の製造過程において水にさらされても水切れがよくてさびにくい。また、ばね鋼で形成されることで、海苔簀張設具10aを複数回繰り返して使った場合でもフック部21aと前片206aの先端部202aとの間が広がることがなく本体部20aの形状を保つことができる。
【0028】
図1に示すように、海苔簀張設具10aは、簀枠2へ取り付け、フック部21aに海苔簀1を掛けて使用する。具体的には、使用者は、本体部20aを前後方向に開いて、本体部20aの前片206aと後片207aとの間に簀枠2の枠材3を差し込んで、海苔簀張設具10aを簀枠2へ取り付ける。そして、突出部23aを簀枠2側へ押し込んでばね部30aを圧縮させて、フック部21aの基端212aと本体部20aの前片206aの先端部202aとの間から海苔簀1の端棒体1a及び簀棒体1bを挿し込み、フック部21aの先端211aで簀棒体1bを引っ掛けることで、フック部21aに海苔簀1を掛ける。このとき、ばね部30aは、枠材3と突出部23aとの間で圧縮されており、海苔簀1を簀枠2側に引っ張る方向に付勢する。これにより、ばね部30aの弾性力によって、海苔簀1を簀枠2側に引っ張る方向に張力が働いて、海苔簀1を簀枠2に張設できる。
【0029】
実施形態1の海苔簀張設具10aは、
図6及び
図7に示すような本体部20aの形状とすることもできる。
図6は、実施形態1に係る海苔簀張設具10aの変形例を示す正面図である。
図7は、実施形態1の海苔簀張設具10aの変形例の左側面図である。
【0030】
実施形態1の変形例は、基本的には実施形態1と同様の構成を有するが、前片206aの形状が異なる。具体的には、
図6及び
図7に示すように、本体部20aの他方(前方)の先端部202aは、本体部20aの基端部203aから本体部20aの先端部202aに向かって、フック部21aから離れる方向(前方)に湾曲した後、フック部21aに近づく方向(後方)に湾曲されている。より具体的には、前片206aの先端部202aは、フック部21aの下方位置で、側面視略Z字状を形成するように、フック部21aから離れる方向に湾曲した後、フック部21aに近づく方向に湾曲される。このとき、板材の湾曲が開始する位置、つまり、湾曲されている板材の下端は、フック部21aの先端211aから、簀枠2の枠材3の幅と略同等の距離だけ下方に離間した位置が好ましい。
【0031】
また、実施形態1の変形例では、本体部20aは水抜き口205aを有していない。この場合、板材に開口205aを形成する必要がなく、板材の加工が容易になる。
【0032】
[実施形態2]
次に、
図8~
図11を参照して、本発明の実施形態2に係る海苔簀張設具10bについて説明する。
図8は、実施形態2に係る海苔簀張設具10bの正面図である。
図9は、実施形態2の海苔簀張設具10bの左側面図である。
図10は、実施形態2の海苔簀張設具10bの平面図である。
図11は、実施形態2の海苔簀張設具10bのXI-XI線断面図である。以下、実施形態2について、実施形態1と異なる事項について説明する。
【0033】
図8~
図11に示すように、実施形態2の海苔簀張設具10bは、本体部20bと、本体部20bと一体に形成されるフック部21bと、本体部20bの外周204bに取り付けられるばね部30bとを備える。
【0034】
本体部20bは、側面視(
図9視)において、略U字状を有する。本体部20bの前面を形成する前片206bと本体部20bの後面を形成する後片207bとは、前後方向において、簀枠2の枠材3が摺動可能に差し込める距離だけ離間している。前片206bと後片207bとの距離は、本体部20bの内側の面、つまり、前片206b及び後片207bの互いに対向する面が枠材3に接する距離が好ましい。本体部20bの一方(後方)の先端部201bは、本体部20bの他方(前方)の先端部202bに向けて側面視略V字状に屈曲されている。この先端部201bの屈曲部がフック部21bを形成する。また、本体部20bの他方(前方)の先端部202bは、本体部20bの基端部203bから本体部20bの先端部202bに向かって、フック部21bから離れる方向(前方)に湾曲した後、フック部21bに近づく方向(後方)に湾曲されている。本体部20bの基端部203bは、左右方向の両外側に略水平に突出する突出部23bを有する。
【0035】
具体的には、本体部20bは、弾性を有する断面円形の線材を屈曲又は湾曲させて形成される。線材は、中央部が正面視(
図8視)略U字状に湾曲されてフック部21bの先端211bを形成する。フック部21bの先端211bの左右両端は、上方へ延びた後、側面視略V字状に屈曲されて下方に延びてフック部21bを形成する。フック部21bから連続する一対の線材は、フック部21bの先端211bを越えて下方へ延び、左側の線材は左方向へ、右側の線材は右方向へ、互いに離れる方向へ屈曲される。左右それぞれの方向へ屈曲された線材は、その屈曲点を起点とした水平面において、平面視(
図10視)略U字状を形成するように、前方へ屈曲された後、左側の線材は右方向へ、右側の線材は左方向へ、互いに近づく方向へ屈曲されて突出部23bを形成する。このとき、各突出部23bは、右の突出部23bの端から左の突出部23bの端までの長さが、ばね部30bの最大幅(左右幅)の半分の長さより長くなるように形成されている。
【0036】
突出部23bから連続する一対の線材は、下方へ延びる線材と対向する位置で上方へ屈曲されて、左右方向に所定間隔だけ離間した状態で上方へ延びる。フック部21bの下方位置で、線材は、側面視略Z字状を形成するように、フック部21bから離れる方向に湾曲した後、フック部21bに近づく方向に湾曲される。このとき、線材の湾曲が開始する位置、つまり、湾曲されている線材の下端は、フック部21bの先端211bから、簀枠2の枠材3の幅と略同等の距離だけ下方に離間した位置が好ましい。その後、フック部21bと対向する位置で、左側の線材の先端と右側の線材の先端とが互いに近づくように屈曲されて先端部202bを形成する。先端部202bは、線材が屈曲されたままの状態でもよいし、先端部202b同士を溶接等により一体としてもよい。このようにして、本体部20bは、左右方向に所定間隔だけ離間した一対の線材により構成される。
【0037】
フック部21bは、海苔簀1を掛けるものである。フック部21bは、本体部20bの他方の先端部202bに対向している。具体的には、フック部21bの先端211bは、海苔簀張設具10bが簀枠2の枠材3に取り付けられ、本体部20bを最大限海苔簀1の方向(上方向)へ移動させたときに、海苔簀1を形成する簀棒体1bに引っ掛かる位置に位置している。また、フック部21bの先端211bは、本体部20bの前片206bの先端部202bの後面(内面)と接している。フック部21bの基端212b(側面視略V字状に屈曲させた部分)は、海苔簀1が嵌り込む幅、すなわち海苔簀1の前後方向の厚みだけ、本体部20bの先端部202bと離間している。
【0038】
ばね部30bは、実施形態1のばね部30aと同じ形状を有する。実施形態2では、
図10及び
図11に示すように、ばね部30bの両端部301bは、内側に向けて平面視略O字状に屈曲されている。屈曲された端部301bは、ばね部30bを形成する線材のうちの2本の隣接する線材を囲う。具体的には、前側左右2本の線材、又は、後側左右の2本の線材を囲う。
【0039】
海苔簀張設具10bは、実施形態1と同様にして、本体部20bの外周204bにばね部30bが取り付けられて構成される。このとき、ばね部30bは、本体部20bを形成する鉛直方向に延びる4本の線材のうちのいずれか2本の線材が、ばね部30bの端部301bが形成する略O字状の中に位置するように取り付けられる。
【0040】
海苔簀張設具10bは、任意の金属材料で形成されることができる。海苔簀張設具10bは、ばね用ステンレス鋼(例えば、SUS301、SUS304、SUS316など)又はばね鋼で形成されることが好ましい。ステンレス鋼で形成されることで、乾燥海苔の製造過程において水にさらされても水切れがよくてさびにくい。また、ばね鋼で形成されることで、海苔簀張設具10bを複数回繰り返して使った場合でもフック部21bと前片206bの先端部202bとの間が広がることがなく本体部20bの形状を保つことができる。
【0041】
海苔簀張設具10bは、実施形態1と同様にして、簀枠2へ取り付け、フック部21bに海苔簀1を掛けて使用する。
【0042】
[実施形態3]
次に、
図12及び
図13を参照して、本発明の実施形態3に係る海苔簀張設具10cについて説明する。
図12は、実施形態3に係る海苔簀張設具10cの正面図である。
図13は、実施形態3の海苔簀張設具10cの左側面図である。以下、実施形態3について、実施形態1及び実施形態2と異なる事項について説明する。
【0043】
図12及び
図13に示すように、実施形態3の海苔簀張設具10cは、本体部20cと、本体部20cと一体に形成されるフック部21cと、本体部20cに取り付けられるばね部30cとを備える。
【0044】
本体部20cは、側面視(
図13視)において、略U字状を有する。本体部20cの前面を形成する前片206cと本体部20cの後面を形成する後片207cとは、前後方向において、簀枠2の枠材3が摺動可能に差し込める距離だけ離間している。前片206cと後片207cとの距離は、本体部20cの内側の面、つまり、前片206c及び後片207cの互いに対向する面が枠材3に接する距離が好ましい。本体部20cの一方(後方)の先端部201cは、本体部20cの他方(前方)の先端部202cに向けて側面視略V字状に屈曲されている。この先端部201cの屈曲部がフック部21cを形成する。また、本体部20cの他方(前方)の先端部202cは、本体部20cの基端部203cから本体部20cの先端部202cに向かって、フック部21cから離れる方向(前方)に湾曲した後、フック部21cに近づく方向(後方)に湾曲されている。
【0045】
具体的には、本体部20cは、弾性を有する板材を屈曲又は湾曲させて形成される。板材は、略長方形状を有し、長手方向中央部分には、板材の長手方向に延びる開口205cが形成され、開口205cの長手方向両外側には係止孔208cが形成されている。この板材は、長手方向中央付近で側面視略U字状に屈曲される。屈曲部が本体部20cの基端部203cとなる。
【0046】
板材を屈曲させることで、開口205cは、前片206c及び後片207c上に、基端部203cから前片206c及び後片207cの上下方向中央部まで上方に延びる形となる。係止孔208cは、前片206c及び後片207c上において、開口205cの上方に位置する。
【0047】
後片207cの先端部201cは、側面視略V字状に屈曲されてフック部21cを形成する。前片206cの先端部202cは、フック部21cの下方位置で、側面視略Z字状を形成するように、フック部21cから離れる方向に湾曲した後、フック部21cに近づく方向に湾曲される。このとき、板材の湾曲が開始する位置、つまり、湾曲されている板材の下端は、フック部21cの先端211cから、簀枠2の枠材3の幅と略同等の距離だけ下方に離間した位置が好ましい。
【0048】
フック部21cは、海苔簀1を掛けるものである。フック部21cは、本体部20cの他方の先端部202cに対向している。具体的には、フック部21cの先端211cは、海苔簀張設具10cが簀枠2の枠材3に取り付けられ、本体部20cを最大限海苔簀1の方向(上方向)へ移動させたときに、海苔簀1を形成する簀棒体1bに引っ掛かる位置に位置している。また、フック部21cの先端211cは、本体部20cの前片206cの先端部202cの後面(内面)と接している。フック部21cの基端212c(フック部21cを形成するために後片207cを屈曲させた部分)は、海苔簀1が嵌り込む幅、すなわち海苔簀1の前後方向の厚みだけ、本体部20cの前片206cの先端部202cと離間している。
【0049】
ばね部30cは、弾性を有する断面円形の線材を巻回して形成される、筒状の引張コイルばねである。ばね部30cは、開口205cに配置できる径を有している。ばね部30cは、開口205c内において、基端部203cに向けて側面視略U字状に湾曲させた状態で配置される。ばね部30cは、一端303cを前片206cの係止孔208cに、他端304cを後片207cの係止孔208cに係止させて本体部20cに取り付けられるばね部30cは、本体部20cの前片206cと後片207cとの間に簀枠2の枠材3を差し込み、フック部21cに海苔簀1を掛けたときに、海苔簀1を枠材3側へ引っ張れる長さを有している。
【0050】
海苔簀張設具10cは、任意の金属材料で形成されることができる。海苔簀張設具10cは、ばね用ステンレス鋼(例えば、SUS301、SUS304、SUS316など)又はばね鋼で形成されることが好ましい。ステンレス鋼で形成されることで、乾燥海苔の製造過程において水にさらされても水切れがよくてさびにくい。また、ばね鋼で形成されることで、海苔簀張設具10cを複数回繰り返して使った場合でもフック部21cと前片206cの先端部202cとの間が広がることがなく本体部20cの形状を保つことができる。
【0051】
海苔簀張設具10cは、簀枠2へ取り付け、フック部21cに海苔簀1を掛けて使用する。具体的には、使用者は、本体部20cを前後方向に開いて、本体部20cの前片206cと後片207cとの間に簀枠2の枠材3を差し込んで、海苔簀張設具10cを簀枠2へ取り付ける。そして、基端部203cを簀枠2側へ押し込んでばね部30cを引っ張り、フック部21cの基端212cと本体部20cの前片206cの先端部202cとの間から海苔簀1の端棒体1a及び簀棒体1bを挿し込み、フック部21cの先端211cで簀棒体1bを引っ掛けることでフック部21cに海苔簀1を掛ける。このとき、ばね部30cは、枠材3によって引っ張られており、ばね部30cが縮む力で海苔簀1を簀枠2側に引っ張る方向に付勢する。これにより、ばね部30cの弾性力によって、海苔簀1を簀枠2側に引っ張る方向に張力が働いて、海苔簀1を簀枠2に張設できる。
【0052】
以上のように、本発明の海苔簀張設具10では、フック部21a,21b,21c(以下、「フック部21」ともいう)と本体部20a,20b,20c(以下、「本体部20」ともいう)の他方(前方)の先端部202a,202b,202c(以下、「先端部202」ともいう)とが対向して位置いる。すなわち、フック部21を覆うように本体部20の他方の先端部202が配置されている。そして、フック部21の基端212a,212b,212c(以下、「基端212」ともいう)と、本体部20の先端部202とが離間している。この海苔簀張設具10では、海苔簀張設具10の基端部203a,203b,203c(以下、「基端部203」ともいう)を簀枠2側へ押し込むだけで、海苔簀1がフック部21の基端212と先端部202との間から進入し、フック部21と先端部202との間を押し広げ、本体部20内に進入する。また、海苔簀張設具10の基端部203を簀枠2側へ押し込み、海苔簀1をフック部21から外れる方向へ少し押す、又は、海苔簀張設具10の基端部203を少し後方に向けて簀枠2側へ押し込むだけで、海苔簀1がフック部21と先端部202との間を押し広げ、本体部20から退出する。これにより、海苔簀1の交換は、基端部203を簀枠2側へ押し込んで、フック部21に海苔簀1を掛ける又はフック部21から海苔簀1を外すだけでよく、楽に海苔簀1の交換を行うことができる。
【0053】
また、本発明の海苔簀張設具10は、フック部21の先端211a,211b,211cを本体部20の前片206の先端部202で覆っている。通常、海苔簀製造装置において、海苔簀1は前後方向の幅が狭い空間を通過する。海苔簀張設具10が上記構成を有することにより、狭い空間であっても、フック部21が海苔簀製造装置に引っ掛かることを防止することができる。さらに、海苔簀張設具10が上記構成を有することで、海苔簀1の付け外しにおいて、枠材3が本体部20に対して摺動したとしても、枠材3が本体部20の前片206を外側(前方)に押し広げることが抑制される。これにより、使用頻度が重なっても本体部20の前片206が外側(前方)に開いてくることを抑制でき、本体部20が海苔簀製造装置に引っ掛かることも防止することができる。結果、比較的長期間にわたって海苔簀張設具10を使用することができる。
【0054】
また、実施形態1の変形例、実施形態2及び実施形態3の海苔簀張設具10は、前片206の先端部202が、フック部21から離れる方向に湾曲した後、フック部21に近づく方向に湾曲されている。これにより、海苔簀張設具10のみが簀枠2に取り付けられて海苔簀1が張設されていない状態で簀枠2が海苔製造装置内を搬送されたとしても、枠材3が海苔簀張設具10の先端部202の広がった部分に入り、海苔簀張設具10が枠材3に対して自由に回動できるため、狭い空間を通過しても、海苔簀張設具10が海苔簀製造装置や前後の簀枠2に引っ掛かることを防止することができる。
【0055】
また、実施形態1及び実施形態2の海苔簀張設具10a,10bは、ばね部30a,30bが前後方向の径が短い平面視略楕円形状を有する。これにより、ばね部30a,30bが海苔簀製造装置の狭い空間を通ることを妨げない。
【0056】
また、実施形態1及び実施形態2の海苔簀張設具10a,10bは、本体部20a,20bの外周204a,204bにばね部30a,30bが取り付けられる構成となっている。これにより、ばね部30a,30bが破損して交換が必要な場合でも、本体部20a,20bの上方から抜き差しすることでばね部30a,30bのみの交換を行うことができる。
【0057】
また、実施形態2の海苔簀張設具10bでは、本体部20b及びばね部30bが断面円形の線材により形成されている。これにより、海苔簀1及び海苔簀張設具10bの交換の際に指に触れる部分が丸みを帯びており尖っていないため、海苔簀1及び海苔簀張設具10bの交換作業において指が痛くなることがより防止できる。また、海苔簀張設具10bの交換の際には、本体部20bが線材で形成されているためしなりが大きく、より少ない力で本体部20bの前片206bを開くことができ、より楽に交換することができる。また、海苔簀張設具10bが弾性を有する線材で形成されることで、意図しない衝撃が加わっても、その荷重を逃がすことができ、破損し難く長期にわたって使用することができる。結果、海苔張設具10bの交換回数が減り、海苔張設具10bの交換に伴う負担を軽減することができる。
【0058】
乾燥海苔の製造過程においては、海苔簀1を張設した簀枠2は海苔製造装置内を搬送される。このとき、簀枠2の移動の振動等でばね部30bが回転することがある。ばね部30bが単に線材を巻回しただけで形成され、ばね部30bの端部301bがばね部30bの内部へと屈曲されていないと、ばね部30bの先端302bが本体部20bを形成する線材の内側へと入り、本体部20bから飛び出すことがある。しかしながら、実施形態2の海苔簀張設具10bでは、ばね部30bの端部301bが平面視略O字状に屈曲されて、屈曲された端部301bがばね部30bを形成する線材のうちの2本の隣接する線材を囲っている。これにより、ばね部30bの先端302bが本体部20bの内側へと入り込むことがなく、ばね部30bが本体部20bから飛び出すことが防止できる。なお、実施形態1の海苔簀張設具10aでは、本体部20aが板材により形成されているため、上記のような問題は生じない。
【0059】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0060】
例えば、上記実施形態では、フック部21は、本体部20の先端部201a,201b,201cを側面視略V字状に屈曲させて形成しているが、必ずしもこの構成でなくてもよい。例えば、フック部21は、本体部20の先端部201a,201b,201cを側面視略U字状又は略L字状に屈曲させて形成してもよい。その他、フック部21は、海苔簀1を掛けることができれば任意の形状とすることができる。
【0061】
また、実施形態1の変形例、実施形態2及び実施形態3では、本体部20の前片206の先端部202は、フック部21から離れる方向に湾曲した後、フック部21に近づく方向に湾曲されているが、必ずしもこの構成でなくてもよい。例えば、先端部202は、基端部203からフラットに形成されてもよい。また、先端部202は、実施形態1のように、基端部203からフラットに延びたあと、フック部21から離れずに、フック部21に近づく方向に湾曲されてもよい。
【0062】
また、上記実施形態1及び上記実施形態2では、ばね部30a,30bは、平面視において楕円形状を有しているが、必ずしもこの構成でなくてもよい。例えば、ばね部30a,30bは、平面視において円形状又は矩形状を有してもよい。ばね部30a,30bが矩形状を有する場合、ばね部30a,30bは、本体部20a,20bの前片206a,206b及び後片207a,207bに接する大きさが好ましい。また、ばね部30a,30bは、上下方向中央部は平面視において円形状を有し、上下方向両端部のみ平面視において矩形状を有してもよい。また、上記実施形態1乃至上記実施形態3において、ばね部30a,30b,30cを形成する線材は、断面円形の線材に限らず、断面矩形又は断面多角形の線材でもよい。
【0063】
また、上記実施形態1及び上記実施形態2では、突出部23a,23bは、本体部20a,20bに対して左右方向へ突出しているが、必ずしもこの構成でなくてもよい。例えば、前後方向へ突出する形態でもよいし、前後左右の全方向へ突出するフランジ状の形態でもよい。
【0064】
また、上記実施形態1では、ばね部30aは、両端部301aが屈曲されていないが、平面視略U字状、平面視略O字状等に屈曲される構成としてもよい。このとき、下側の端部301aのみが屈曲される構成としてもよい。また、端部301aの屈曲が開始される位置は、前側、後側、右側、左側等の任意の位置とすることができる。さらに、上側の端部301aの屈曲が開始される位置と下側の端部301aの屈曲が開始される位置とは、同じ位置でも、異なる位置でもよい。
【0065】
同様に、上記実施形態2では、ばね部30bは、両端部301bが平面視略O字状に屈曲されているが、必ずしもこの構成でなくてもよい。例えば、下側の端部301bのみが平面視略O字状に屈曲される構成でもよい。また、平面視略O字状に限らず、平面視略L字状、又は、平面視略U字状に屈曲されてもよいし、屈曲されなくてもよい。さらに、端部301bの屈曲が開始される位置は、
図10のような前側に限らず、後側、右側、左側等の任意の位置とすることができる。また、上側の端部301bの屈曲が開始される位置と下側の端部301bの屈曲が開始される位置とは、
図10のような同じ位置に限らず、異なる位置であってもよい。また、2本の線材を囲う構成ではなく、1本の線材のみを囲う構成でもよい。平面視略L字状又は平面視略U字状に屈曲されたばね部30bの先端302bは、本体部20bを形成する線材に引っかかる位置まで延びる。
【0066】
また、上記実施形態2では、本体部20bは断面円形の線材で形成される構成としたが、必ずしもこの構成でなくてもよい。例えば、本体部20bは、断面矩形又は断面多角形の線材が用いられてもよい。
【0067】
また、上記実施形態3の海苔簀張設具10cは、ばね部30cが引張コイルばねで構成されているが、必ずしもこの構成でなくてもよい。例えば、本体部20cを構成する板材に板ばねを形成できる素材を用い、板材の一部を切り欠いて開口205cの内部に板ばねを形成してもよい。このとき、板ばねは、海苔簀張設具10cが簀枠2に取り付けられ、フック部21cに海苔簀1が掛けられた状態で、板ばねの弾性力によって、海苔簀1を簀枠2側に引っ張る方向に張力が働くように形成される。その他、ばね部30cは、開口205c内に配置されて、海苔簀張設具10cが簀枠2に取り付けられ、フック部21cに海苔簀1が掛けられた状態で、海苔簀1を簀枠2側に引っ張ることができれば、任意の構成を取り得る。
【符号の説明】
【0068】
1 海苔簀
2 簀枠
10,10a,10b,10c 海苔簀張設具
20,20a,20b,20c 本体部
201a,201b,201c 本体部の一方の先端部
202,202a,202b,202c 本体部の他方の先端部
203,203a,203b,203c 本体部の基端部
204a,204b 本体部の外周
21,21a,21b,21c フック部
23a,23b 突出部
30a,30b,30c ばね部
301a,301b ばね部の端部
【手続補正書】
【提出日】2023-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海苔簀を簀枠に張設するための海苔簀張設具であって、
弾性を有し、側面視略U字状の本体部と、
前記本体部の一方の先端部を前記本体部の他方の先端部に向けて屈曲させて形成され、海苔簀を掛けるフック部と、
海苔簀を簀枠側に引っ張る方向に付勢するばね部と、を備え、
前記本体部の他方の先端部は前記フック部を覆い、且つ、前記フック部の基端は前記本体部の他方の先端部と離間している海苔簀張設具。
【請求項2】
前記本体部の基端部は、外側に突出する突出部を有し、
前記ばね部は、線材を巻回して形成される圧縮コイルばねであり、前記本体部の外周に取り付けられる請求項1に記載の海苔簀張設具。
【請求項3】
前記ばね部は、平面視略楕円形状を有する請求項2に記載の海苔簀張設具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
一方の特許文献2の海苔簀張設具では、フック部とストッパ部とが離間しているため、フック部とストッパ部との間から海苔簀を取り外すことができる。しかしながら、ストッパ部が板ばねを内側に折り込んで構成されているだけであるため、海苔簀張設具の使用とともに板ばねの弾性力が弱まり、ストッパ部が外側に開いてくる。海苔製造装置の内部では、海苔簀が張設された簀枠が、簀枠の厚み程度の狭い箇所を通るため、ストッパ部が外側に開いてくると、海苔製造装置の内部で海苔簀張設具が引っ掛かり、トラブルの原因になるという問題があった。このようなトラブルを生じさせないようにしようとすると、短期間で海苔簀張設具を交換しないといけないという問題があった。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
ばね部30cは、弾性を有する断面円形の線材を巻回して形成される、筒状の引張コイルばねである。ばね部30cは、開口205cに配置できる径を有している。ばね部30cは、開口205c内において、基端部203cに向けて側面視略U字状に湾曲させた状態で配置される。ばね部30cは、一端303cを前片206cの係止孔208cに、他端304cを後片207cの係止孔208cに係止させて本体部20cに取り付けられる。ばね部30cは、本体部20cの前片206cと後片207cとの間に簀枠2の枠材3を差し込み、フック部21cに海苔簀1を掛けたときに、海苔簀1を枠材3側へ引っ張れる長さを有している。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
以上のように、本発明の海苔簀張設具10では、フック部21a,21b,21c(以下、「フック部21」ともいう)と本体部20a,20b,20c(以下、「本体部20」ともいう)の他方(前方)の先端部202a,202b,202c(以下、「先端部202」ともいう)とが対向している。すなわち、フック部21を覆うように本体部20の他方の先端部202が配置されている。そして、フック部21の基端212a,212b,212c(以下、「基端212」ともいう)と、本体部20の先端部202とが離間している。この海苔簀張設具10では、海苔簀張設具10の基端部203a,203b,203c(以下、「基端部203」ともいう)を簀枠2側へ押し込むだけで、海苔簀1がフック部21の基端212と先端部202との間から進入し、フック部21と先端部202との間を押し広げ、本体部20内に進入する。また、海苔簀張設具10の基端部203を簀枠2側へ押し込み、海苔簀1をフック部21から外れる方向へ少し押す、又は、海苔簀張設具10の基端部203を少し後方に向けて簀枠2側へ押し込むだけで、海苔簀1がフック部21と先端部202との間を押し広げ、本体部20から退出する。これにより、海苔簀1の交換は、基端部203を簀枠2側へ押し込んで、フック部21に海苔簀1を掛ける又はフック部21から海苔簀1を外すだけでよく、楽に海苔簀1の交換を行うことができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
また、本発明の海苔簀張設具10は、フック部21の先端211a,211b,211cを本体部20の前片206の先端部202で覆っている。通常、海苔製造装置において、海苔簀1は前後方向の幅が狭い空間を通過する。海苔簀張設具10が上記構成を有することにより、狭い空間であっても、フック部21が海苔製造装置に引っ掛かることを防止することができる。さらに、海苔簀張設具10が上記構成を有することで、海苔簀1の付け外しにおいて、枠材3が本体部20に対して摺動したとしても、枠材3が本体部20の前片206を外側(前方)に押し広げることが抑制される。これにより、使用頻度が重なっても本体部20の前片206が外側(前方)に開いてくることを抑制でき、本体部20が海苔製造装置に引っ掛かることも防止することができる。結果、比較的長期間にわたって海苔簀張設具10を使用することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
また、実施形態1の変形例、実施形態2及び実施形態3の海苔簀張設具10は、前片206の先端部202が、フック部21から離れる方向に湾曲した後、フック部21に近づく方向に湾曲されている。これにより、海苔簀張設具10のみが簀枠2に取り付けられて海苔簀1が張設されていない状態で簀枠2が海苔製造装置内を搬送されたとしても、枠材3が海苔簀張設具10の先端部202の広がった部分に入り、海苔簀張設具10が枠材3に対して自由に回動できるため、狭い空間を通過しても、海苔簀張設具10が海苔製造装置や前後の簀枠2に引っ掛かることを防止することができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
また、実施形態1及び実施形態2の海苔簀張設具10a,10bは、ばね部30a,30bが前後方向の径が短い平面視略楕円形状を有する。これにより、ばね部30a,30bが海苔製造装置の狭い空間を通ることを妨げない。