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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117480
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】給水システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/00 20230101AFI20240822BHJP
【FI】
C02F1/00 J
C02F1/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023606
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000150095
【氏名又は名称】株式会社竹村製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 信雄
(57)【要約】
【課題】 ゴミ等を容易に除去し、メンテナンスの容易化を図れるとともに、被使用物を常に最適な状態で使用可能にする。
【解決手段】 直径100μm未満のファインバブルBfを生成するファインバブル生成ユニット3を有するファインバブル発生装置2と、給水源から供給される水Wiをファインバブル発生装置2に供給する給水手段4と、ファインバブル生成ユニット3により生成されたファインバブルBfを含む処理水Wfを所定の被使用物Uに放出する放水手段5とを備える給水システムを構成するに際して、ファインバブル発生装置2に、ファインバブル生成ユニット3の内部水路3iに対して給水源から供給される水Wiの給水方向Fpを反転させて供給するとともに、内部水路3iを通過した水Wiを排出する切換弁12を有する目詰まり防止機能部Mxを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径100μm未満のファインバブルを生成するファインバブル生成ユニットを有するファインバブル発生装置と、給水源から供給される水を前記ファインバブル発生装置に供給する給水手段と、前記ファインバブル生成ユニットにより生成されたファインバブルを含む処理水を所定の被使用物に放出する放水手段とを備える給水システムにおいて、前記ファインバブル発生装置に、前記ファインバブル生成ユニットの内部水路に対して前記給水源から供給される水の給水方向を反転させて供給するとともに、前記内部水路を通過した水を排出する切換弁を有する目詰まり防止機能部を備えることを特徴とする給水システム。
【請求項2】
前記ファインバブルは、直径1μm未満のウルトラファインバブルを含むことを特徴とする請求項1記載の給水システム。
【請求項3】
前記ファインバブル発生装置は、前記ファインバブル生成ユニットから放出された前記処理水を外部から視認可能な透視窓を有する確認筒部を備えることを特徴とする請求項1記載の給水システム。
【請求項4】
前記透視窓から視認できる前記処理水に対して光線を照射する発光部を備えることを特徴とする請求項3記載の給水システム。
【請求項5】
前記ファインバブル発生装置は、シンクの排水口に取付けることにより生ゴミを粉砕するディスポーザに給水する給水手段に付設することを特徴とする請求項1記載の給水システム。
【請求項6】
前記給水源から供給される水には、水道水,井戸水又は河川水を含むことを特徴とする請求項1記載の給水システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファインバブルを生成するファインバブル生成ユニットを利用した給水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファインバブルを生成し、水中に混在させることにより、洗浄作用や生物の成長促進作用を高めるようにしたファインバブル生成ユニットを利用した給水システムは、様々な分野で利用されており、この種の給水システムとしては、特許文献1に記載される水処理装置及び特許文献2に記載される給水システムが知られている。
【0003】
特許文献1の水処理装置は、筒状部材のオリフィスに柱状部を突出させた構造のファインバブル発生装置の場合、柱状部の存在は流体の流れを阻害するので、ファインバブルを発生させる流体の流量が制限され、柱状部間に異物が挟まることもあるとともに、柱状部を製造するのに手間がかかり、更に、柱状部が片持ち梁の状態で支持されているときは機械的剛性を確保しがたく、耐久性の確保が困難となる課題の解決を目的としたものであり、具体的には、筒状本体の入口から径を漸減させる入口部と、該入口部に連続するオリフィスと、該オリフィスに連続する拡径部とが.順次形成されるファインバブル発生装置であって、オリフィスと前記拡径部との境界は半径方向立面とされ、拡径部の径は前記オリフィスの径の3~10倍に設定されたものである。
【0004】
また、特許文献2の給水システムは、ファインバブルを大量に発生できるファインバブル発生ユニットの提供を目的としたものであり、具体的には、流路内を流れる液体に圧力の変化を与えることによってファインバブルを生成するファインバブル生成ユニットであって、中心軸と、中心軸に沿って延在する管状の内壁によって囲まれた流路を有する管状部材を有し、内壁は中心軸に向かって内側に突出して絞り流路を形成する内方突出部と、流路内を流れる液体の流れ方向に関して内方突出部の下流側に形成された下流側凹凸部とを有するように構成されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-20153号公報
【特許文献2】特許第7012399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した文献に記載された給水システムをはじめ、ファインバブル生成ユニットを利用した従来の給水システムは、基本的に次のような問題点があった。
【0007】
即ち、ファインバブル生成ユニットは、内部水路に小径となるオリフィスを有するため、ゴミ等がオリフィスに詰まりやすい。特に、給水源には、水道水のみならず井戸水等の様々な水源を利用する場合も多いため、用途によっては、頻繁に水量や水圧が減少したり、ファインバブルの本来の生成能力を発揮できなくなるなど、本来の利用目的に支障を生じる場合も少なくない。
【0008】
このため、通常、定期的にメンテナンスを行い、ゴミ等の除去する必要があったが、ファインバブル生成ユニットは、通常、配水管(上水管)等に接続して使用されることから、ファインバブル生成ユニットにおけるゴミ等の除去作業や接続状況によっては、配水管路の分解や復帰作業が必要になるなど、全体のメンテナンス作業に伴う時間ロスや労力ロスが強いられる課題が存在した。
【0009】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した給水システムの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る給水システムAは、上述した課題を解決するため、直径100μm未満のファインバブルBfを生成するファインバブル生成ユニット3を有するファインバブル発生装置2と、給水源から供給される水Wiをファインバブル発生装置2に供給する給水手段4と、ファインバブル生成ユニット3により生成されたファインバブルBfを含む処理水Wfを所定の被使用物Uに放出する放水手段5とを備える給水システムを構成するに際して、ファインバブル発生装置2に、ファインバブル生成ユニット3の内部水路3iに対して給水源から供給される水Wiの給水方向Fpを反転させて供給するとともに、内部水路3iを通過した水Wiを排出する切換弁12を有する目詰まり防止機能部Mxを備えることを特徴とする。
【0011】
この場合、発明の好適な態様により、ファインバブルBfには、直径1μm未満のウルトラファインバブルBfsを含ませることができる。また、ファインバブル発生装置2は、ファインバブル生成ユニット3から放出された処理水Wfを外部から視認可能な透視窓14を有する確認筒部13を設けることができるとともに、透視窓14から視認できる処理水Wfに対して光線を照射する発光部15を設けることができる。なお、ファインバブル発生装置2は、シンクSの排水口Soに取付けることにより生ゴミRを粉砕するディスポーザMに給水する給水手段4に付設することができるとともに、給水源から供給される水Wiには、水道水,井戸水又は河川水を含ませることができる。
【発明の効果】
【0012】
このような構成を有する本発明に係る給水システムAによれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0013】
(1) ファインバブル発生装置2に、ファインバブル生成ユニット3の内部水路3iに対して給水源から供給される水Wiの給水方向Fpを反転させて供給するとともに、内部水路3iを通過した水Wiを排出する切換弁12を有する目詰まり防止機能部Mxを設けたため、微細なゴミ等が詰まりやすい構造を有するファインバブル生成ユニット3の内部水路3iに、逆方向の水Wiを流すことができる。これにより、ゴミ等を容易に除去し、メンテナンスの容易化を図れるとともに、被使用物Uを常に最適な状態で使用することができる。
【0014】
(2) 好適な態様により、ファインバブルBfに、直径1μm未満のウルトラファインバブルBfsを含ませれば、ファインバブルBfの微細性をより高めることができるため、被使用物Uに対する、洗浄効果,殺菌効果及び消臭効果等のファインバブルBfによる作用効果をより高めることができる。
【0015】
(3) 好適な態様により、ファインバブル発生装置2に、ファインバブル生成ユニット3から放出された処理水Wfを外部から視認可能な透視窓14を有する確認筒部13を設ければ、ファインバブル生成ユニット3の詰まり度合などを、肉眼により容易に確認できるため、目詰まり防止機能部Mxを機能させるに際し、必要に応じてタイミング良く実施することができる。
【0016】
(4) 好適な態様により、透視窓14から視認できる処理水Wfに対して光線を照射する発光部15を設ければ、光線による乱射により、処理水Wfの状態(濃度等)をより顕在化させることができるため、ファインバブル生成ユニット3の詰まり度合を、より容易かつ的確に確認できるとともに、センサ等により容易に自動検知及び自動メンテナンスを可能にできるなど、柔軟性及び発展性を高めることができる。
【0017】
(5) 好適な態様により、ファインバブル発生装置2を、シンクSの排水口Soに取付けることにより生ゴミRを粉砕するディスポーザMに給水する給水手段4に付設すれば、ファインバブルBfを含む処理水Wfと生ゴミRが混合した状態で粉砕され、生ゴミRの粉砕物に対して、処理水Wfの作用、即ち、洗浄作用,殺菌作用及び消臭作用等を効果的に行うことができため、排出する水質を高め、かつ生ゴミR自身の質的向上を図ることができる。これにより、下水に対する汚染、更にはディスポーザや配管内におけるヌメリの発生を回避できることに加え、生ゴミRを用いた肥料等のリサイクルの高品質化にも寄与できるため、例えば、プランタ栽培を含む家庭菜園等に、家庭(個人)レベルで有効利用が可能となり、持続可能な循環系システムの構築などに貢献することができる。
【0018】
(6) 好適な態様により、給水源から供給される水Wiには、水道水,井戸水又は河川水を含ませれば、ゴミ等の異物が混在し、目詰まりを生じやすい井戸水や河川水を給水源として使用し、目詰まり防止機能部Mxを頻繁に機能させる可能性のある場合であっても容易に機能させることができるため、特に、給水源として井戸水又は河川水を利用する場合に最適となる。一方、各種の水源に利用可能になるため、汎用性及び応用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の好適実施形態に係る給水システムにおける目詰まり防止機能部の全体を示す構成図、
図2】同給水システムに備えるファインバブル生成ユニットの断面側面図、
図3】同給水システムの全体を示すシステム系統図、
図4】同給水システムに備える切換弁の順方向給水時における断面構成図、
図5】同給水システムに備える切換弁の逆方向通水時における断面構成図、
図6】同給水システムに備える目詰まり防止機能部の使用方法を順を追って説明するためのフローチャート、
図7】同給水システムに備えるディスポーザモードの使用方法を順を追って説明するためのフローチャート、
図8】同給水システムの他の用途を示す系統図、
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0021】
図3に、一例として示す実施形態は、給水システムAを付設したディスポーザMを備える一般住宅の台所に設置された流し台81の一部である。
【0022】
81uは、流し台81の上面部を示し、この上面部81uの所定位置には、凹状のシンクSが設置され、このシンクSの近傍にはカラン82が設置される。カラン82には、湯を供給する湯側配水管83と水を供給する水側配水管84が接続される。なお、82rはカラン82の放水口、82hはカラン82のレバーハンドルを示す。
【0023】
また、シンクSの底面部Sdにおける所定位置には排水口Soを有する。この排水口Soには、ディスポーザMの上端を取付け、取付けたディスポーザMは、流し台81の内部に配設する。そして、このディスポーザMには、本実施形態に係る給水システムAを有するディスポーザ補助システム1を付設する。
【0024】
例示のディスポーザMは、下端を閉塞し、かつ上端開口部Muを有する筒形のケーシング50を備え、この上端開口部Muを、シンクSの排水口Soに固定する。ケーシング50の内部は、仕切部50sにより、上側の水処理部52と下側の非水処理部53に分離するとともに、さらに、水処理部52は、ネット部54により上側の粉砕室51と下側の排水室55に分離する。そして、非水処理部53には、粉砕モータ56を内蔵し、モータシャフト56sは、仕切部50s及びネット部54を貫通させることにより、ネット部54の上方に至らせ、モータシャフト56sの先端には、回転により仮想線で示す生ゴミRを細かく粉砕する粉砕刃57を取付ける。なお、Mcは排水口Soを覆う閉塞カバーであり、装着することによりディスポーザM(粉砕モータ56)をONにするスイッチ機能を備えている。
【0025】
また、排水室55には、第一排水管58を接続し、この第一排水管58の先端は、排水処理槽61に接続する。この排水処理槽61は、通常、地中などに設置され、内部に、分離された粉砕後の生ゴミRcを収容する生ゴミ回収籠62を備える。この排水処理槽61は、開閉式の蓋63を備えるため、蓋63を開けることにより、内部の生ゴミ回収籠62を取出すことができる。64は、排水処理槽61内における生ゴミRcが分離された処理水Wfを不図示の下水路に排出する第二排水管を示す。
【0026】
次に、ディスポーザ補助システム1の構成について具体的に説明する。ディスポーザ補助システム1は、主要部に、ファインバブル発生装置2,給水手段4,放水手段5及びモード切換手段6、さらに、コントローラCを備え、このファインバブル発生装置2には、目詰まり防止機能部Mxを備える。
【0027】
ファインバブル発生装置2は、図1に示す切換弁12を備えるとともに、ファインバブル生成ユニット3及び確認筒部13を有する生成ユニットボックス101を備える。
【0028】
この場合、切換弁12は、図4及び図5に示す第1ポートから第5ポートの五つのポートP1-P5を有するシリンダタイプの切換弁を用いた。即ち、この切換弁12は、円筒型のシリンダ201を備え、このシリンダ201の内部に、軸方向に変位する弁シャフト202を収容する。弁シャフト202には、一定間隔に配した四つの弁体203,204,205,206を固定するとともに、シリンダ201の軸方向には、図4に示すように、上述した、第2ポートP2,第5ポートP5,第1ポートP1,第4ポートP4,第3ポートP3を一定間隔置きに順次配置する。なお、図4及び図5において、12hは手動用の切換操作ハンドルを示すとともに、図1において、12haは、動力操作用の駆動切換部を示す。したがって、駆動切換部12haは、後述するコントローラCの出力ポートに接続し、コントローラCの制御により、切換弁12の切換制御を行うことができる。
【0029】
生成ユニットボックス101に内蔵するファインバブル生成ユニット3は、直径100μm未満のファインバブルBfを生成することができる。通常、直径100μm未満のバブルをファインバブルBfと定義されており、また、直径1-100μm未満のバブルをマイクロバブル、さらに、直径1μm未満のバブルをウルトラファインバブルと定義されている。
【0030】
本実施形態では、ウルトラファインバブルBfsを生成する図2に示すファインバブル生成ユニット3を用いた。このファインバブル生成ユニット3には、一例として、“株式会社シバタ製の商品名「シバタエンジンU10N」”を用いて好適である。この生成ユニット3は、図2に示すように、筒状本体の入口側から順に、漸減部21sを有する入口部21と、この漸減部21sに連続するオリフィス部22と、このオリフィス部22に連続する拡径部23eを有する出口部23とが順次形成される内部構造を有しており、入口部21に水Wiを供給することにより出口部23からウルトラファインバブルBfsを含む処理水Wfを放出させることができる。
【0031】
特に、ウルトラファインバブルBfsは、無色透明となるため、目視が不可能となる性質を有し、水中に長期間(数週間から数ケ月)残存する。しかも、微細なため、浮力よりも粘性力が大きく、浮上しない性質を有している。このように、ファインバブルBfとして、直径1μm未満のウルトラファインバブルBfsを用いれば、ファインバブルBfの微細性をより高めることができるため、生ゴミR及び処理水Wfの双方に対して、洗浄効果,殺菌効果及び消臭効果等をより高めることができる。なお、直径1-100μm未満のマイクロバブルは、白濁するため、目視が可能であり、水中では収縮しながらゆっくりと浮上する性質を有している。
【0032】
また、生成ユニットボックス101の内部には、透視窓14を有する確認筒部13を備える。図1は透視窓14及び確認筒部13の一例を示す。なお、生成ユニットボックス101は、必ずしも必要な要素ではない。したがって、無くてもよいし、着ける場合には、透明素材で形成したり、部分的な開口部等を設けてもよい。
【0033】
確認筒部13は、ファインバブル生成ユニット3の出口部23に接続する。この確認筒部13は、内部に貫通する通水路13rを有し、この通水路13rの一端を当該出口部23に連通接続する。これにより、出口部23から吐出するファインバブルBfsは通水路13r内に放出される。そして、確認筒部13の対向する二つの側面に透視窓14を設け、外部から通水路13r内のファインバブルBfsを含む処理水Wfの状態を肉眼により確認できるようにした。
【0034】
そして、ファインバブル生成ユニット3の入口部21には第一内配管部46sを接続するとともに、通水路13rの他端は第二内配管部47sに接続する。さらに、第一内配管部46s及び第二内配管部47sは、この生成ユニットボックス101から外部に導出し、第一内配管部46sの外端を切換弁12の第4ポートP4に接続するとともに、第二内配管部47sの外端を切換弁12の第5ポートP5に接続する。
【0035】
なお、図1は、透視窓14から視認できる処理水Wfに対して光線を照射する発光部15を設けた例を示す。発光部15を設けない場合であっても、処理水Wfの流量により、目詰まりが発生(増加)したことを確認できるが、発光部15を設ければ、光線による乱射により、処理水Wfの状態(濃度等)をより顕在化させることができるため、ファインバブル生成ユニット3の詰まり度合を、より容易かつ的確に確認することができるとともに、センサ等により容易に自動検知及び自動メンテナンスを可能にできるなど、柔軟性及び発展性を高めることができる。したがって、発光部15は、コントローラCの出力ポートに接続することによりON-OFF制御することができる。
【0036】
このファインバブル発生装置2は、切換弁12を切換操作することにより、ファインバブル生成ユニット3の内部水路3iに対して給水源から供給される水Wiの給水方向Fpを反転させて供給するとともに、内部水路3iを通過した水Wiを排出する機能を備えて
おり、この機能は目詰まり防止機能部Mxを構成する。
【0037】
一方、図3において、給水手段4は、水側配水管84の中途位置に接続した分岐管ユニット40を備える。分岐管ユニット40は、下流側から、分岐管部41,水量センサ部42,手動コック部43を順次直列に接続して構成する。この場合、分岐管部41は、水側配水管84の水路に対して分岐した第一配管部41sを備え、この第一配管部41sの先端に電磁開閉弁44の流入口を接続するとともに、電磁開閉弁44の流出口は第二配水管45を介して、バキュームブレーカ11の流入口11iに接続する。したがって、この電磁開閉弁44は、給水手段4、即ち、補助システム1を、給水モード又は止水モードに切換えるモード切換手段6を構成する。
【0038】
さらに、バキュームブレーカ11の流出口11eは、第三配水管46を介して、切換弁12の第1ポートP1(図4)に接続する。この場合、バキュームブレーカ11は、給水モードによる通水時には、流入口11iから流入する水Wiにより弁体が押し上げられる構造を有し、水Wiは、弁体により開かれた水路を通して流出口11eに流れる。他方、止水モード(断水時)では、水Wiによる水圧が解除されるため、弁体は下方へ変位し、外気が侵入し、第二配水管45と第三配水管46はバキュームブレーカ11により遮断され、第三配水管46から第二配水管45への逆流が阻止される。このように、給水手段4に、バキュームブレーカ11を接続すれば、断水時などにおける補助システム1内の逆流防止を図れるため、汚水が逆流して給水源側へ悪影響を与える弊害を回避し、補助システム1の信頼性及び安全性を高めることができる。
【0039】
また、切換弁12の第2ポートP2は、第四配水管47を介して粉砕室51に接続する。この場合、粉砕室51の側面壁部51wに放出口部Moを設け、この放出口部Moに第四配水管47の先端を接続する。このように、放水手段5を構成するに際し、粉砕室51の側面壁部51wに放出口部Moを設ければ、粉砕室51の内部で粉砕刃により回動し、撹拌される生ゴミRに対して、ファインバブルBfを含む処理水Wfを放出できるため、生ゴミRの全体に対して満遍なく供給できるとともに、配管及び配管回りのレイアウトを、邪魔になったりシンク回りの外観性を損なうことなく容易かつ合理的に行うことができる。そして、切換弁12の第3ポートP3にはドレン配管91を接続する。
【0040】
他方、コントローラCは、給水システムAを含む全体における各種制御を司る機能を備えており、入力ポートには、前述した水量センサ部42及び閉塞カバーMcの開閉を検知するスイッチ機能等を接続するとともに、出力ポートには、前述した電磁開閉弁44,粉砕モータ56,切換弁12の駆動切換部12ha(図1)及び排水処理槽61等を接続する。
【0041】
次に、本実施形態に係る給水システムAの使用方法の一例及び機能(作用)について、各図を参照しつつ図6及び図7に示すフローチャートに従って説明する。
【0042】
今、図6において、給水システムAは、止水モードにあるものとする(ステップS1)。止水モードでは、電磁開閉弁44がOFF(閉状態)に切換わっており、給水システムAへの水Wiの供給はない。
【0043】
また、湯側配水管83及び/又は水側配水管84から、お湯及び/又は水が供給されるため、カラン82のレバーハンドル82hを操作することにより、お湯及び/又は水を使用することができる。さらに、シンクS内などで発生した生ゴミRは、排水口Soから粉砕室51内に投入されて蓄積される。この際、使用後のお湯及び/又は水Wiは、ネット部54を通して排水室55に排出される。
【0044】
そして、粉砕室51内に所定量の生ゴミRが蓄積し、ディスポーザMを使用する場合を想定する(ステップS2)。使用する際には、まず、切換弁12を順方向ポジションへ切換える(ステップS3)。順方向ポジションへの切換えは、図4に示すように、切換操作ハンドル12hの場合、同ハンドル12hを引抜方向Psへ変位させる。これにより、第三配水管46から供給される水Wiは、矢印Fp方向に流れ、第1ポートP1から第4ポートP4、さらに、第一内配管部46sを通り、ファインバブル生成ユニット3の入口部21に流入するとともに、出口部23から放出されるファインバブルBfsを有する処理水Wfは、矢印Fp方向のように、第2ポートP2から吐出し、第四配水管47に放出され、ディスポーザモードによる処理が行われる(ステップS4)。
【0045】
ステップS4におけるディスポーザモードの処理手順を図7に示す。まず、閉塞カバーMcを排水口Soに装着する(ステップS41)。これにより、付設されたスイッチ機能がONし、電磁開閉弁44がON(開状態)に切換わるとともに、ディスポーザM(粉砕モータ56)がONする(ステップS42,S43)。
【0046】
電磁開閉弁44のONにより、水側配水管84の水Wiは、第二配水管45に流入する(ステップS44)。さらに、第二配水管45の水Wiは、バキュームブレーカ11を通過した後(ステップS45)、第三配水管46,切換弁12を通してファインバブル発生装置2に供給される(ステップS46)。ファインバブル発生装置2は、ファインバブル生成ユニット3を備えるため、供給された水Wiは、入口部21(漸減部21s)からオリフィス部22を通過した後、拡径部23eに至り、ファインバブルBfsを含む処理水Wfが生成される(ステップS47)。生成されたファインバブルBfsは、出口部23,確認筒部13,切換弁12,第四配水管47及び放出口部Moを通して粉砕室51内に放出(噴射)される(ステップS48)。
【0047】
他方、ステップS43で粉砕モータ56がONすることにより、粉砕刃57が回転するため、粉砕室51内では生ゴミRが微細状態に粉砕処理される(ステップS49)。この際、粉砕処理された生ゴミRcと給水手段4から供給されたファインバブルBfsが混合処理されることにより、生ゴミRcに対するファインバブルBfsによる、洗浄作用,殺菌作用及び消臭作用などの各種処理作用が行われる(ステップS50)。そして、微細に粉砕された生ゴミRcと処理水Wfは、ネット部54を通して排水室55に排出される(ステップS51)。排水室55の生ゴミRcと処理水Wfは、第一排水管58を通して排水処理槽61に流入する(ステップS52)。
【0048】
排水処理槽61では、生ゴミRcと処理水Wfが分離される(ステップS53)。分離された処理水Wfは、排水処理槽61の上側位置に配した第二排水管64を通して不図示の下水路に排出される(ステップS54)。また、生ゴミRcは、排水処理槽61の下側位置に配した生ゴミ回収籠62に進入して蓄積される(ステップS55)。以上の処理により、最終的には、ほとんどの生ゴミRcが粉砕室51から排出される。
【0049】
このように、ファインバブル発生装置2を、シンクSの排水口Soに取付けることにより生ゴミRを粉砕するディスポーザMに給水する給水手段4に付設すれば、ファインバブルBfを含む処理水Wfと生ゴミRが混合した状態で粉砕され、生ゴミRの粉砕物に対して、処理水Wfの作用、即ち、洗浄作用,殺菌作用及び消臭作用等を効果的に行うことができため、排出する水質を高め、かつ生ゴミR自身の質的向上を図ることができる。これにより、下水に対する汚染、更にはディスポーザや配管内におけるヌメリの発生を回避できることに加え、生ゴミRを用いた肥料等のリサイクルの高品質化にも寄与することができるため、例えば、プランタ栽培を含む家庭菜園等に、家庭(個人)レベルで有効利用することにより、持続可能な循環系システムの構築などに貢献することができる。
【0050】
ところで、ファインバブルBfsを生成するファインバブル生成ユニット3は、図2に示したように、内部水路3i内に小径となるオリフィス部22を有するため、ゴミ等がオリフィス部22に詰まりやすく、本来の生成能力を発揮できない場合も生じる。このため、一般的には、定期的にメンテナンスを行い、ゴミ等の除去する必要があったが、本実施形態では、ファインバブル生成ユニット3におけるゴミ等の除去作業を極めて容易に除去できる目詰まり防止機能部Mxを備えている。
【0051】
このため、ディスポーザモード(ステップS4)では、図6において、透視窓14からバブル量を視認することができる(ステップS5)。この際、予め設定した基準以上の場合にはそのまま継続することができる(ステップS6,S4,S5)。なお、この場合、設定した基準とは、量的な基準であってもよいし、色等の変化等の質的な基準であってもよく、必ずしも正確性を意味するものではなく、利用者の主観的や経験的に設定することができるものであり、感覚的な度合であってもよい。
【0052】
したがって、この場合には、図7において、所定時間が経過し、粉砕処理が終了したなら、閉塞カバーMcを排水口Soから離脱する(ステップS56,S57)。これにより、付設されたスイッチ機能がOFFし、電磁開閉弁44がOFF(閉状態)に切換わるとともに、ディスポーザM(粉砕モータ56)がOFFする(ステップS58)。
【0053】
これに対して、バブル量が基準に満たない場合にはディスポーザMの使用を停止してメンテナンス処理を行う(ステップS6,S7)。メンテナンス処理を行う場合には、まず、切換弁12を逆方向ポジションへ切換える(ステップS8)。この場合、図5に示すように、切換操作ハンドル12hを押込方向Pmへ変位させる。
【0054】
このように、ファインバブル発生装置2に、ファインバブル生成ユニット3から放出された処理水Wfを外部から視認可能な透視窓14を有する確認筒部13を設ければ、ファインバブル生成ユニット3の詰まり度合などを、肉眼により容易に確認できるため、目詰まり防止機能部Mxを機能させるに際し、必要に応じてタイミング良く実施することができる。
【0055】
そして、第三配水管46から供給される水Wiは、矢印Fn方向に流れ、第1ポートP1から第5ポートP5、さらに、第二内配管部47sから確認筒部13を通り、ファインバブル生成ユニット3の出口部23に供給される(ステップS9)。そして、水Wiはファインバブル生成ユニット3の内部水路3iを逆流、即ち、点線矢印Fn方向へ逆流する(ステップS10)。この結果、ゴミ等の除去作用となるメンテナンス処理が行われる(ステップS11)。内部水路3iを逆流し、この後、ゴミ等を含む水Wirは、ファインバブル生成ユニット3の入口部21から第一内配管部46sを通り、さらに、第4ポートP4から第3ポートP3を通り、ドレン配管91から外部に排出される(ステップS12)。そして、終了条件、例えば、予め設定した時間が経過したならメンテナンス処理を終了させ、切換弁12を図4に示す順方向ポジションへ切換える(ステップS13,S14)。
【0056】
よって、本実施形態に係る給水システムAによれば、直径100μm未満のファインバブルBfを生成するファインバブル生成ユニット3を有するファインバブル発生装置2と、給水源から供給される水Wiをファインバブル発生装置2に供給する給水手段4と、ファインバブル生成ユニット3により生成されたファインバブルBfを含む処理水Wfを所定の被使用物Uに放出する放水手段5とを備える給水システムを構成するに際して、ファインバブル発生装置2に、ファインバブル生成ユニット3の内部水路3iに対して給水源から供給される水Wiの給水方向Fpを反転させて供給するとともに、内部水路3iを通過した水Wiを排出する切換弁12を有する目詰まり防止機能部Mxを備えるため、微細なゴミ等が詰まりやすい構造を有するファインバブル生成ユニット3の内部水路に、逆方向の水Wiを流すことができる。これにより、ゴミ等を容易に除去し、メンテナンスの容易化を図れるとともに、被使用物Uを常に最適な状態で使用することができる。
【0057】
このように、ファインバブル生成ユニット3は、内部水路3iに小径のオリフィス部22を有するため、例えば、図8に示すように、給水源として、井戸水を利用する井戸水給水部102を使用し、被使用物U(水使用部)として畜産産業等の飲水や洗浄等に利用する場合などにおいて最適となる。即ち、ゴミ等がオリフィス部22に詰まり、頻繁に水量や水圧が減少したり、ファインバブルの本来の生成能力を発揮できなくなるなど、本来の利用目的に支障を生じやすい場合であっても、本実施形態に係る給水システムAは、容易にメンテナンスできるため、井戸水や河川水等を給水源として利用する場合の用途に最適となる。
【0058】
したがって、本発明に係る給水システムAに使用できる給水源からの水Wiには、水道水,井戸水又は河川水を含ませることができる。即ち、給水システムAには、各種の水源を利用可能になるなど、給水システムAの汎用性及び応用性を高めることができる。
【0059】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0060】
例えば、水Wiは、水道水及び井戸水を使用する例を示したが、河川水など、各種水を適用可能である。また、ファインバブルBfには、直径1μm未満のウルトラファインバブルBfsを含ませることが最適となるが、直径100μm未満のファインバブルBf、即ち、マイクロバブルであってもよい。一方、ファインバブル発生装置2に、ファインバブル生成ユニット3から放出された処理水Wfを外部から視認可能な透視窓14を有する確認筒部13を設ける例を示したが、必須の構成要素となるものではない。さらに、透視窓14から視認できる処理水Wfに対して光線を照射する発光部15を設ける例を示したが、また、ファインバブル発生装置2は、シンクSの排水口Soに取付けることにより生ゴミRを粉砕するディスポーザMに給水する給水手段4に付設する場合を示したが、一例を示したにすぎず、ファインバブル発生装置2を利用する各種用途において同様に実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係る給水システムは、ファインバブルを生成するファインバブル生成ユニットを利用する各種の給水システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
2:ファインバブル発生装置,3:ファインバブル生成ユニット,3i:内部水路,4:給水手段,5:放水手段,6:モード切換手段,12:切換弁,13:確認筒部,14:透視窓,15:発光部,Bf:ファインバブル,Bfs:ウルトラファインバブル,Wi:水,Wf:処理水,U:被使用物,Fp:給水方向,M:ディスポーザ,Mx:目詰まり防止機能部,S:シンク,So:排水口,R:生ゴミ
図1
図2
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図5
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図8