(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117481
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】光学装置 画像読取ユニット 画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/028 20060101AFI20240822BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20240822BHJP
G02B 13/24 20060101ALI20240822BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20240822BHJP
H04N 1/10 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
H04N1/028 Z
G02B3/00 A
G02B13/24
H04N1/12 Z
H04N1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023608
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沢田 寛
(72)【発明者】
【氏名】松前 和男
【テーマコード(参考)】
2H087
5C051
5C072
【Fターム(参考)】
2H087KA08
2H087KA18
2H087KA19
2H087LA01
2H087RA26
5C051AA01
5C051BA04
5C051DA03
5C051DB01
5C051DB04
5C051DB22
5C051DB29
5C051DB35
5C051DC04
5C051DC07
5C051DD02
5C051FA01
5C072AA01
5C072AA03
5C072BA20
5C072CA05
5C072DA03
5C072DA16
5C072DA17
5C072DA25
5C072EA07
5C072LA02
5C072LA07
5C072LA18
5C072MA01
5C072MB01
5C072NA01
5C072NA04
5C072XA01
(57)【要約】
【課題】制限部材と矯正部材とが反射光の進行方向だけで接触する場合と比して、一方向の中央部の開口幅が一方向の端部の開口幅に対して狭くなるのを抑制することである。
【解決手段】光学装置は、対象物からの反射光の一部を制限し、反射光の進行方向とは交差する一方向に延びた開口と、開口が進行方向の上流端に形成されると共に進行方向に貫通する孔とが形成された樹脂製の制限部材と、開口を通過した反射光が透過する光学部材と、孔の内周面の一部と接触して該開口の幅寸法を矯正する矯正部材と、を備える。
【選択図】
図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物からの反射光の一部を制限する制限部材であって、反射光の進行方向とは交差する一方向に延びた開口と、該開口が該進行方向の上流端に形成されると共に該進行方向に貫通する孔とが形成された樹脂製の制限部材と、
該開口を通過した反射光が透過する光学部材と、 該光学部材を保持すると共に、該孔の内周面の一部と接触して該開口の幅寸法を矯正する矯正部材と、
を備える光学装置。
【請求項2】
前記制限部材の前記孔の内周面において少なくとも前記反射光が照射される部分は、黒色とされ、又はシボが施されている、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記制限部材の前記開口の周縁部には、前記進行方向の上流側を向いた上向面が形成されており、
該上向面は、黒色とされ、又はシボが施されている、
請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記矯正部材は、前記一方向及び前記進行方向と交差する幅方向から前記光学部材を挟む本体部を有し、前記本体部において前記幅方向の外側を向いた外周面には、前記幅方向の外側に突出する複数の突出部が形成されており、
前記制限部材の前記内周面には、前記幅方向の内側に突出すると共に前記突出部と前記幅方向で接触する複数の他の突出部が形成されている、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項5】
前記突出部には、前記進行方向の上流側を向いた面が形成されており、
前記他の突出部には、前記面と前記進行方向で接触する他の面が形成されている、
請求項4に記載の光学装置。
【請求項6】
前記矯正部材は、前記一方向及び前記進行方向と交差する幅方向から前記光学部材を挟む本体部を有し、前記本体部において前記幅方向の外側を向いた外周面には、前記幅方向の外側に突出する複数の突起部が形成されており、
前記制限部材には、前記突起部を前記幅方向の外側及び前記一方向から覆う複数の覆い部が形成されており、
前記突起部と前記覆い部との間に接着剤が充填されている、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項7】
前記矯正部材は、前記一方向及び前記進行方向と交差する幅方向から前記光学部材を挟む本体部を有し、前記本体部において前記幅方向の外側を向いた外周面から突出する突部が前記一方向の中央部分に形成されており、
前記制限部材には、前記突部を前記一方向から挟む一対の挟み部が形成されている、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項8】
前記光学部材は、前記進行方向に重ねられた一対のレンズアレイを含んで構成されており、
前記一対のレンズアレイを跨ぐように前記一方向及び前記進行方向と交差する幅方向の外側から他の接着剤が前記一対のレンズアレイの複数箇所に塗布されており、
前記矯正部材は、前記幅方向から前記光学部材を挟むと共に前記一方向に延びる本体部を有し、前記本体部において前記一対のレンズアレイと対向する対向面には、前記他の接着剤との間に隙間が形成されるように凹部が複数形成されている、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項9】
前記本体部と前記レンズアレイを跨ぐように前記レンズアレイの外周に沿って弾性部材である封止剤が塗布されている、
請求項8に記載の光学装置。
【請求項10】
請求項1~9の何れか1項に記載の光学装置と、
前記光学装置によって画像が読み取られる原稿が載せられるガラス板と、
を備える画像読取ユニット。
【請求項11】
請求項10に記載の画像読取ユニットと、
前記画像読取ユニットの前記光学装置によって読み取られた画像を記録媒体に転写する転写装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置、画像読取ユニット、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被読取画像に光を照射する棒状光源、被読取画像から反射した光をスリットを介して採光するスリット付きフード、スリットを通過した光を集光する結像光学系および結像光学系を通過した光を受光する受光素子を、ハウジングに組み込んだ構造になるイメージセンサにおいて、スリット付きフードとして、薄肉厚の金属製フードを用いるイメージセンサが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光学装置には、一方向に延び、対象物からの反射光の一部が通過すると共に反射光の他の一部を制限する開口が形成された制限部材と、一方向に延びると共に開口を通過した反射光が透過する光学部材を保持する保持部材とが設けられている。
【0005】
ここで、一方向に延びる開口が形成された制限部材を樹脂材料で成形すると、成形収縮等によって、一方向の中央部の開口の幅(以下「開口幅」)が一方向の端部の開口幅に対して狭くなってしまう。
【0006】
本開示の課題は、制限部材と、光学部材を保持する保持部材とが反射光の進行方向だけで接触する場合と比して、一方向の中央部の開口幅が一方向の端部の開口幅に対して狭くなるのを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様に係る光学装置は、対象物からの反射光の一部を制限する制限部材であって、反射光の進行方向とは交差する一方向に延びた開口と、該開口が該進行方向の上流端に形成されると共に該進行方向に貫通する孔とが形成された樹脂製の制限部材と、該開口を通過した反射光が透過する光学部材と、該光学部材を保持すると共に、該孔の内周面の一部と接触して該開口の幅寸法を矯正する矯正部材と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本開示の第2態様に係る光学装置は、第1態様に記載の光学装置において、前記制限部材の前記孔の内周面において少なくとも前記反射光が照射される部分は、黒色とされ、又はシボが施されていることを特徴とする。
【0009】
本開示の第3態様に係る光学装置は、第2態様に記載の光学装置において、前記制限部材の前記開口の周縁部には、前記進行方向の上流側を向いた上向面が形成されており、該上向面は、黒色とされ、又はシボが施されていることを特徴とする。
【0010】
本開示の第4態様に係る光学装置は、第1態様に記載の光学装置において、前記矯正部材は、前記一方向及び前記進行方向と交差する幅方向から前記光学部材を挟む本体部を有し、前記本体部において前記幅方向の外側を向いた外周面には、前記幅方向の外側に突出する複数の突出部が形成されており、前記制限部材の前記内周面には、前記幅方向の内側に突出すると共に前記突出部と前記幅方向で接触する複数の他の突出部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
本開示の第5態様に係る光学装置は、第4態様に記載の光学装置において、前記突出部には、前記進行方向の上流側を向いた面が形成されており、前記他の突出部には、前記面と前記進行方向で接触する他の面が形成されていることを特徴とする。
【0012】
本開示の第6態様に係る光学装置は、第1態様に記載の光学装置において、前記矯正部材は、前記一方向及び前記進行方向と交差する幅方向から前記光学部材を挟む本体部を有し、前記本体部において前記幅方向の外側を向いた外周面には、前記幅方向の外側に突出する複数の突起部が形成されており、前記制限部材には、前記突起部を前記幅方向の外側及び前記一方向から覆う複数の覆い部が形成されており、前記突起部と前記覆い部との間に接着剤が充填されていることを特徴とする。
【0013】
本開示の第7態様に係る光学装置は、第1態様に記載の光学装置において、前記矯正部材は、前記一方向及び前記進行方向と交差する幅方向から前記光学部材を挟む本体部を有し、前記本体部において前記幅方向の外側を向いた外周面から突出する突部が前記一方向の中央部分に形成されており、前記制限部材には、前記突部を前記一方向から挟む一対の挟み部が形成されていることを特徴とする。
【0014】
本開示の第8態様に係る光学装置は、第1態様に記載の光学装置において、前記光学部材は、前記進行方向に重ねられた一対のレンズアレイを含んで構成されており、前記一対のレンズアレイを跨ぐように前記一方向及び前記進行方向と交差する幅方向の外側から他の接着剤が前記一対のレンズアレイの複数箇所に塗布されており、前記矯正部材は、前記幅方向から前記光学部材を挟むと共に前記一方向に延びる本体部を有し、前記本体部において前記一対のレンズアレイと対向する対向面には、前記他の接着剤との間に隙間が形成されるように凹部が複数形成されていることを特徴とする。
【0015】
本開示の第9態様に係る光学装置は、第8態様に記載の光学装置において、前記本体部と前記レンズアレイを跨ぐように前記レンズアレイの外周に沿って弾性部材である封止剤が塗布されていることを特徴とする。
【0016】
本開示の第10態様に係る画像読取ユニットは、第1~9態様の何れか1態様に記載の光学装置と、前記光学装置によって画像が読み取られる原稿が載せられるガラス板と、を備えることを特徴とする。
【0017】
本開示の第11態様に係る画像形成装置は、第10態様に記載の画像読取ユニットと、
前記画像読取ユニットの前記光学装置によって読み取られた画像を記録媒体に転写する転写装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本開示の第1態様の光学装置によれば、制限部材と、光学部材を保持する矯正部材とが反射光の進行方向だけで接触する場合と比して、一方向の中央部の開口幅が一方向の端部の開口幅に対して狭くなるのを抑制することができる。
【0019】
本開示の第2態様の光学装置によれば、制限部材の孔の内周面全体が乳白色及び平滑面である場合と比して、迷光が光学部材を透過するのを抑制することができる。
【0020】
本開示の第3態様の光学装置によれば、制限部材の開口の周縁部に形成された進行方向の上流側を向いた上向面が乳白色及び平滑面である場合と比して、迷光が光学部材を透過するのを抑制することができる。
【0021】
本開示の第4態様の光学装置によれば、平面部と平面部とを接触させることで開口の幅寸法を矯正する場合と比して、一方向の中央部の開口幅のばらつきを小さくすることができる。
【0022】
本開示の第5態様の光学装置によれば、開口幅を矯正させるための突出部とは異なる部分を用いて進行方向における位置決めをする場合と比して、矯正部材の形状を簡素化することができる。
【0023】
本開示の第6態様の光学装置によれば、突起と突起とを突き合わせて接着される場合と比して、接着強度を高くすることができる。
【0024】
本開示の第7態様の光学装置によれば、矯正部材を一方向の一方側で制限部材に突き当てて一方向の位置決めをする場合と比して、一方向の位置決めを容易にすることができる。
【0025】
本開示の第8態様の光学装置によれば、他の接着剤と本体部の対向面とが接触する場合と比して、他の接着剤が剥がれるのを抑制することができる。
【0026】
本開示の第9態様の光学装置によれば、光学部材の一方向の伸縮を可能とした上で、光学部材と本体部との間を迷光が通るのを妨げることができる。
【0027】
本開示の第10態様の画像読取ユニットによれば、樹脂材料で形成された制限部材をそのまま用いる光学装置を備える場合と比して、読取画像の品質低下を抑制することができる。
【0028】
本開示の第11態様の画像形成装置によれば、樹脂材料で形成された制限部材をそのまま用いる光学装置を有する画像読取ユニットを備える場合と比して、出力画像の品質低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本開示の実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る画像読取ユニットを示した概略構成図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る画像読取装置を示した斜視図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る画像読取装置を示した全体斜視図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る画像読取装置の駆動装置等を示した正面図である。
【
図6】本開示の実施形態に係る画像読取ユニットを示した概略構成図である。
【
図7】本開示の実施形態に係る画像読取装置を示した全体斜視図である。
【
図8】本開示の実施形態に係る画像読取装置を示した分解斜視図である。
【
図9】本開示の実施形態に係る画像読取装置を示した長手方向の断面図である。
【
図10】本開示の実施形態に係る画像読取装置を示した短手方向の断面図である。
【
図11】本開示の実施形態に係る画像読取装置を示した長手方向の拡大断面図である。
【
図12】本開示の実施形態に係る画像読取装置に備えられたレンズアレイを示した拡大斜視図である。
【
図13】本開示の実施形態に係る画像読取装置に備えられた集光部を示した分解斜視図である。
【
図14】本開示の実施形態に係る画像読取装置に備えられたレンズアレイを示した平面図である。
【
図15】本開示の実施形態に係る画像読取装置に備えられた集光部を示した斜視図である。
【
図16】本開示の実施形態に係る画像読取装置に備えられた遮光部材を示した平面図である。
【
図17】本開示の実施形態に係る画像読取装置に備えられた遮光部材を示した拡大平面図である。
【
図18】(A)(B)本開示の実施形態に係る画像読取装置に備えられた遮光部材を示した平面図、及び側面図である。
【
図19】本開示の実施形態に係る画像読取装置に備えられた下部筐体を示した斜視図である。
【
図20】本開示の実施形態に係る画像読取装置に備えられた上部筐体を示した斜視図である。
【
図21】(A)(B)本開示の実施形態に係る画像読取装置に備えられた上部筐体及び下部筐体の装置奥行方向を位置決めする部材を示した斜視図である。
【
図22】本開示の実施形態に係る画像読取装置に備えられた上部筐体及び下部筐体の装置奥行方向を位置決めする部分を示した断面図である。
【
図23】(A)(B)本開示の実施形態に係る画像読取装置に備えられた上部筐体及び下部筐体の装置幅方向を位置決めする部材を示した斜視図である。
【
図24】本開示の実施形態に係る画像読取装置に備えられた上部筐体及び下部筐体の装置幅方向を位置決めする部材を示した断面図である。
【
図25】(A)(B)本開示の実施形態に係る画像読取装置に備えられた上部筐体及び下部筐体の接着部分を示した斜視図である。
【
図26】(A)(B)本開示の実施形態に係る画像読取装置に備えられた上部筐体及び下部筐体の接着部分を示した断面図である。
【
図27】(A)(B)本開示の実施形態に係る画像読取装置に備えられた一方のレンズアレイを他方のレンズアレイに接着する部分を示した断面図である。
【
図28】本開示の実施形態に係る画像読取装置を組み立てる組立工程を示したフロー図である。
【
図29】(A)(B)本開示の実施形態に係る画像読取装置を組み立てる組立工程を説明するのに用いた図面である。
【
図30】(A)(B)本開示の実施形態に係る画像読取装置を組み立てる組立工程を説明するのに用いた図面である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示の実施形態に係る画像読取装置、画像読取ユニット、及び画像形成装置の一例を
図1~
図30に従って説明する。先ず、光学装置及び画像読取ユニットを備えた画像形成装置10について説明する。
【0031】
なお、図中に示す矢印Hは装置上下方向(鉛直方向)を示し、矢印Wは装置幅方向(水平方向)を示し、矢印Dは装置奥行方向(水平方向)を示す。また、装置上下方向、装置幅方向、及び装置奥行方向は、互いに直交する。なお、装置上下方向は、上下方向と記載することがある。
【0032】
(画像形成装置10の全体構成)
本実施形態に係る画像形成装置10には、
図1に示されるように、上下方向(矢印H方向)の下方から上方へ向けて、記録媒体としてのシート部材Pが収容される収容部14と、収容部14に収容されたシート部材Pを搬送する搬送部16と、収容部14から搬送部16によって搬送されるシート部材Pに画像形成を行う画像形成部20と、原稿Gに形成された画像を読み取る画像読取ユニット60とが、この順で備えられている。
【0033】
〔収容部14〕
収容部14には、画像形成装置10の筐体10aから装置奥行方向の手前側に引き出し可能な収容部材26が備えられており、この収容部材26にシート部材Pが積載されている。さらに、収容部14には、収容部材26に積載された最上位のシート部材Pを、シート部材Pの搬送経路28に送り出す送出ロール30が備えられている。
【0034】
〔搬送部16〕
搬送部16には、搬送経路28に沿ってシート部材Pを搬送する複数の搬送ロール32が備えられている。
【0035】
〔画像形成部20〕
画像形成部20には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの画像形成ユニット18Y、18M、18C、18Kが備えられている。なお、以後の説明では、Y,M,C,Kを区別して説明する必要が無い場合は、Y,M,C,Kを省略して記載することがある。
【0036】
各色の画像形成ユニット18は、筐体10aに対して夫々着脱可能とされている。そして、各色の画像形成ユニット18には、像保持体36と、像保持体36の表面を帯電する帯電ロール38と、帯電された像保持体36に露光光を照射する露光装置42とが備えられている。さらに、各色の画像形成ユニット18には、前述した露光装置42が帯電され
【0037】
た像保持体36を露光することで形成された静電潜像を現像して、トナー画像として可視化する現像装置40が備えられている。
【0038】
また、画像形成部20には、図中矢印A方向に周回する無端状の転写ベルト22と、各色の画像形成ユニット18によって形成されたトナー画像を転写ベルト22に転写する一次転写ロール44とが備えられている。さらに、画像形成部20には、転写ベルト22に転写されたトナー画像をシート部材Pに転写する二次転写ロール46と、トナー画像が転写されたシート部材Pを加熱及び加圧してトナー画像をシート部材Pに定着する定着装置50とが備えられている。二次転写ロール46は、転写装置の一例である。
【0039】
〔画像読取ユニット60〕
画像読取ユニット60は、
図2に示されるように、一枚の原稿Gの画像を読み取る際に原稿Gが載せられる第一透明板62(所謂プラテンガラス)と、第一透明板62の装置幅方向の一方(図中左方)に配置される第二透明板72とを備えている。そして、第一透明板62及び第二透明板72は、画像読取ユニット60の筐体60aの上部に嵌め込まれている。第一透明板62は、ガラス板の一例である。
【0040】
この第一透明板62及び第二透明板72の上方には、第一透明板62及び第二透明板72を開閉する開閉カバー66が配置されている。そして、開閉カバー66の内部には、複数枚の原稿Gを開閉カバー66内の搬送経路70に沿って搬送して、第二透明板72の上方の原稿読取位置Rを通過させる搬送装置64(所謂ADF装置)が備えられている。
【0041】
また、筐体60aの内部には、第一透明板62に載せられた原稿Gの画像と、搬送装置64によって原稿読取位置Rに搬送された原稿Gの画像とを読み取る画像読取装置100が備えられている。さらに、画像読取ユニット60は、画像読取装置100を装置幅方向に駆動する駆動装置74を備えている。画像読取装置100は、光学装置の一例である。なお、画像読取装置100については、詳細を後述する。
【0042】
駆動装置74は、
図2、
図3に示されるように、装置幅方向(画像読取装置100の移動方向)に延びるシャフト76と、画像読取装置100の筐体114の下面に取り付けられ、シャフト76に摺動可能に支持される摺動部材78とを備えている。
【0043】
さらに、駆動装置74は、モータ80と、モータ80から駆動力が伝達されて回転駆動する駆動プーリ84と、従動回転する従動プーリ86と、駆動プーリ84及び従動プーリ86に巻き掛けられている無端状の無端ベルト82とを備えている。この駆動プーリ84は、シャフト76の一端に取り付けられ、従動プーリ86は、シャフト76の他端に取り付けられている。
【0044】
摺動部材78は、
図4に示されるように、筐体114の下面において装置奥行方向の中央側の部分に取り付けられている。この摺動部材78には、
図5に示されるように、上下方向に延びて、無端ベルト82の一部が嵌め込まれているスリット78aと、装置幅方向から見て半円形でシャフト76と摺動する摺動面78bとが形成されている。
【0045】
また、筐体60aには、
図4に示されるように、シャフト76の両端側の部分を下方から支持する一対の支持部90が、筐体60aと一体的に形成されている。
【0046】
この構成において、搬送装置64によって搬送される原稿Gの画像を読み取る場合は、
図6に示されるように、画像読取装置100は、モータ80(
図4参照)の駆動力が無端ベルト82を介して伝達され、装置幅方向の端部側の搬送読取位置に移動して停止する。そして、搬送読取位置に配置された画像読取装置100が、搬送装置64によって搬送される原稿Gの画像を読み取る。
【0047】
これに対して、第一透明板62に載せられた原稿Gの画像を読み取る場合は、
図2に示されるように、読取開始位置(図中実線)に配置されている画像読取装置100は、原稿Gの画像を読み取りながら、第一透明板62に沿って読取終了位置(図中二点鎖線)へ向けて装置幅方向に移動する。これにより、画像読取装置100は、第一透明板62に載せられた原稿Gの画像を読み取る。
【0048】
(画像読取装置100)
次に、画像読取装置100について詳細に説明する。
【0049】
図7に示す画像読取装置100は、既知のCIS(Contact Image Sensor)方式を用いて原稿G(対象物)に形成された画像を読み取るようになっている。そして、画像読取装置100は、
図8に示されるように、受光基板102と、受光基板102に接続されている一対の配線ケーブル104と、配線ケーブル104に夫々接続されている剛性基板106とを備えている。さらに、画像読取装置100は、剛性基板106に実装されている発光素子128と、円柱状とされている一対の導光体110(所謂ライトガイド)と、原稿Gから反射した反射光を集光する集光部112と、筐体114とを備えている。また、画像読取装置100は、筐体114の上面を覆う他のガラス板122を備えている。
【0050】
なお、画像読取装置100は、特別な形状を除き、装置幅方向の中央に対して対称形状とされ、かつ、装置奥行方向の中央に対して対称形状とされている。
【0051】
〔筐体114〕
筐体114は、
図8に示されるように、装置奥行方向に延びており、上部筐体200と、上部筐体200の下方に配置された下部筐体240とを備えている。上部筐体200は、制限部材の一例であり、下部筐体240は、矯正部材の一例である。
【0052】
上部筐体200は、
図9、
図10に示されるように、他のガラス板122の縁部を下方から支持している段部202aと、一対の導光体110が夫々収容されている一対の導光体収容部204と、原稿Gから反射した反射光を制限するスリット222と、剛性基板106が収容されている収容部230とを備えている。
【0053】
下部筐体240は、集光部112が取り付けられる貫通孔244と、受光基板102が収容される収容部262とを備えている。
なお、上部筐体200、及び下部筐体240については、詳細を後述する。
【0054】
〔導光体110〕 導光体110は、樹脂、ガラス等の透明な材料を用いて形成される。導光体110は、
図9に示されるように、他のガラス板122を挟んで第一透明板62の反対側に配置され、装置幅方向に並んで一対設けられている。この導光体110は、円柱状とされており、装置奥行方向に延びるように配置されている。そして、導光体110は、上部筐体200の導光体収容部204に収容されている。装置奥行方向は、一方向の一例である。
【0055】
導光体110は、長手方向の両端部が装置奥行方向に伸縮可能なように、長手方向の中央部分が上部筐体200に対して図示せぬ固定部によって固定されている。そして、導光体110の長手方向の中央部分が上部筐体200に固定された状態で、
図10に示されるように、導光体110の端面110aと、発光素子128とは、装置奥行方向で離隔している。具体的には、導光体110の端面110aと発光素子128は、温度又は湿度の変化によって導光体110が装置奥行方向に延びた場合であっても接触しないように離隔している。換言すると、導光体110の端面110aと発光素子128の隙間は、温度又は湿度の変化によって導光体110が装置奥行方向に延びた場合であっても端面110aと発光素子128が接触しない寸法に設定されている。
【0056】
また、導光体110には、導光体110の端面110aから入射し、導光体110の長手方向に進行する光を、集光部112の上方に向けて(
図9矢印B方向)出射させる反射部材(図示省略)が長手方向に沿って設けられている。反射部材の具体例としては、導光体110の光が出射する面とは反対側の面に形成された凹凸形状又は白色印刷が挙げられる。
【0057】
〔集光部112〕
集光部112は、
図9に示されるように、上部筐体200の貫通孔210の孔上流部分210aとは離隔するようにして、下部筐体240の貫通孔244の上端部分に取り付けられている。集光部112は、装置奥行方向に延びる直方体状とされており、遮光部材150と、一対のレンズアレイ152とを備えている。
【0058】
-レンズアレイ152-
レンズアレイ152は、例えば、透明な樹脂材料であるポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いて一体的に形成(射出成形法等により成形)されており、装置奥行方向に延びる直方体状とされている。そして、レンズアレイ152は、
図12、
図13に示されるように、装置上下方向の上方を向くと共に上方から見て装置奥行方向に延びる矩形状の上面152aと、装置上下方向の下方を向くと共に下方から見て装置奥行方向に延びる矩形状の下面152bとを有している。一対のレンズアレイ152は、光学部材の一例である。
【0059】
さらに、レンズアレイ152は、上面152aの装置幅方向の両端縁に形成され、装置奥行方向に延びて上方に突出する突起154と、下面152bの装置幅方向の両端縁に形成され、装置奥行方向に延びて下方に突出する突起156とを有している。
【0060】
また、上面152a及び下面152bには、上面152a又は下面152bから突出する複数のレンズ面158が夫々形成されている。なお、このレンズ面158の上面152a又は下面152bからの突出量は、突起154、156の上面152a又は下面152bからの突出量と比して小さくされている。
【0061】
このレンズ面158は、装置奥行方向に沿って2列の千鳥状に並んで配置されている(
図14参照)。ここで、千鳥状とは、互い違いにという意味である。そして、装置上下方向で、上面152aに形成されたレンズ面158と、下面152bに形成されたレンズ面158とは、同等、同一又は同様の位置に配置されている。つまり、上面152aに形成されたレンズ面158のレンズ軸(光軸)と、下面152bに形成されたレンズ面158のレンズ軸(光軸)とが重なっており、この一対のレンズ面158によってマイクロレンズ164が形成されている。ここで、レンズ軸(光軸)とは、マイクロレンズ164における各レンズ面158の中心(頂点)を通る軸のことである。光軸方向は、原稿Gから反射した反射光の進行方向と重なる。
【0062】
また、上面152a、及び下面152bには、
図14に示されるように、光の透過を抑制する遮光膜162が形成されている。具体的には、遮光膜162は、レンズ面158を外部に露出するように取り囲み、かつ、突起154、156と装置幅方向で離間するように形成されている(
図14のハッチング部)。
【0063】
この構成において、
図13、
図15に示されるように、一対のレンズアレイ152は、一方のレンズアレイ152のマイクロレンズ164の光軸と、他方のレンズアレイ152のマイクロレンズ164の光軸とが重なるように、夫々のレンズアレイ152の突起154、156の頂部が突き合わされる。
【0064】
ここで、一方のレンズアレイ152とは、上側のレンズアレイ152のことであり、
図13及び
図15の紙面上側にあるレンズアレイ152のことである。また、他方のレンズアレイ152とは、下側のレンズアレイ152のことであり、
図13及び
図15の紙面下側にあるレンズアレイ152のことである。なお、遮光膜162は、例えば、インクジェット方式により黒色の塗料を塗布することにより形成される。
【0065】
遮光膜162は、接着剤130により固定された一対のレンズアレイ152における一方のレンズアレイ152の上面152aと、他方のレンズアレイ152の下面152bにのみ形成されていても良い。換言すると、遮光膜162は、接着剤130により固定された一対のレンズアレイ152における対向する面(一方のレンズアレイ152の下面152bと他方のレンズアレイ152の上面152a)に形成されていなくても良い。
【0066】
-遮光部材150-
遮光部材150は、
図16、
図17に示されるように、装置奥行方向に延びており、遮光部材150には、装置上下方向に貫通した複数の円状の貫通孔170が形成されている。この遮光部材150は、貫通孔170に光を通過させることで、貫通孔170の軸方向に対して傾斜した方向の光を少なくするための部材である。
【0067】
貫通孔170は、装置奥行方向に沿って2列の千鳥状に並んで配置されている。具体的には、貫通孔170は、装置奥行方向に沿って同等、同一又は同様の間隔で並んでいる。また、装置奥行方向に沿って並んだ貫通孔170の列が、2列設けられている。さらに、一方の列の貫通孔170と、他方の列の貫通孔170との、装置奥行方向の位置がずれている。換言すれば、装置上下方向に延びると共に装置奥行方向に並ぶ貫通孔170の列が、装置幅方向に2列形成されている。
【0068】
これにより、上方から見た複数の貫通孔170は、上方から見たレンズアレイ152に形成された複数のマイクロレンズ164(
図12参照)と重なっている。換言すると、遮光部材150の貫通孔170は、一対のレンズアレイ152の夫々のマイクロレンズ164と対応する位置に形成されている。
【0069】
この遮光部材150は、装置奥行方向に延びている6個の遮光部160を、装置奥行方向に並べた状態で接着剤等の接合剤を用いて固定(接合)されることで構成されている。
【0070】
遮光部160は、黒色の樹脂材料(例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂))によって、一体的に成形(射出成形法等により成形)されている。本実施形態では、一例として、
図18(A)に示す遮光部160の装置奥行方向の長さ(
図18(A)のL2)は、56〔mm〕とされており、上下方向の厚さ(
図18(B)のT1)は、5〔mm〕とされている。
【0071】
また、
図18(A)に示されるように、遮光部160には、貫通孔170が形成されており、装置奥行方向における遮光部160の両端部には、装置上下方向に延びている半円状の溝172が夫々2個形成されている。そして、遮光部160を装置奥行方向に並べて接合した状態で、隣り合う溝172が対向することで、1個の貫通孔170が形成されるようになっている。
【0072】
さらに、この遮光部160は、装置奥行方向に延びている基本部160aと、装置奥行方向において遮光部160の中央側と両端側に配置され、基本部160aに対して装置幅方向の両側に張り出した張出部160bとを有している。
【0073】
この構成において、原稿Gから反射し、スリット222を通過した反射光が、遮光部材150に形成された貫通孔170を通過して、
図9に示されるように、一方のレンズアレイ152のマイクロレンズ164に入射する。
【0074】
貫通孔170を通過する反射光の中で、装置上下方向(貫通孔170の軸方向)に対して傾斜した光は、遮光部160の貫通孔170の内面で1回反射し、マイクロレンズ164に入射することがある。しかし、大きな傾斜角度で貫通孔170に進入した光は、貫通孔170の内面での反射を複数回繰り返すことにより光量の減衰が繰り返されるため、仮にマイクロレンズ164に入射したとしても、無視できるレベルの光量となる。このように、一対のレンズアレイ152の上に遮光部材150を設けることにより、光量の大きい迷光が、マイクロレンズ164に入射するのが抑制されている。ここで、迷光とは、本来想定される光路外に発生する光であって、不要な光である。
【0075】
そして、一方のレンズアレイ152のマイクロレンズ164に入射した光は、一方のレンズアレイ152のマイクロレンズ164から出射し、他方のレンズアレイ152のマイクロレンズ164に入射する。他方のレンズアレイ152のマイクロレンズ164に入射した光は、他方のレンズアレイ152のマイクロレンズ164から出射して、受光素子126に集まる(集光する)。
【0076】
なお、一方のレンズアレイ152の突起156の頂部と他方のレンズアレイ152の突起154の頂部が突き合わされた位置を突き合わせ位置とすると、
図9においては、突き合わせ位置から原稿Gまでの距離よりも、突き合わせ位置から受光素子126までの距離の方が短くなる構成が図示されている。しかし、
図9は、あくまでも説明用の図であって、実際には、突き合わせ位置から原稿Gまでの距離と、突き合わせ位置から受光素子126までの距離は、同一、同等又は同様になっている。なお、
図9における突き合わせ位置から原稿Gまでの距離は、突き合わせ位置から受光素子126までの距離よりも長く(大きく)ても良い。
【0077】
〔受光基板102〕
受光基板102は、
図9に示されるように、板厚方向が上下方向とされ、下部筐体240の下端部に配置されている。そして、受光基板102の上面が下部筐体240のザグリ面262aと接触した状態で、受光基板102は、受光基板102とザグリ面262aとを跨るように塗布した接着剤(図示省略)を用いて下部筐体240に固定されている。受光基板102は、基板の一例である。
【0078】
この受光基板102は、上方から見て、装置奥行方向に延びる矩形状とされている。また、受光基板102の上面には、複数の受光素子126が、装置奥行方向に一列に並んで実装されている。さらに、受光基板102に実装されている受光素子126は、上下方向で集光部112と対向している(
図9参照)。
【0079】
〔配線ケーブル104〕
配線ケーブル104は、一対設けられ、
図8に示されるように、受光基板102の装置奥行方向の両端部に基端が接続されている所謂フレキシブルフラットケーブル(Flexible Flat Cable)である。一方の配線ケーブル104の基端は、受光基板102の装置奥行方向の奥側(図中左側)の端部と接続されており、他方の配線ケーブル104の基端は、受光基板102の装置奥行方向の手前側(図中右側)の端部と接続されている。
【0080】
〔剛性基板106〕
剛性基板106は、一対設けられ、
図8に示されるように、配線ケーブル104の先端と接続されており、装置奥行方向から見て装置幅方向に延びている矩形状とされている。また、夫々の剛性基板106の一方の面(互いに対向する面)には、装置幅方向に並ぶLED(Light Emitting Diode)128(以下「発光素子128」)が、2個実装されている。
【0081】
そして、剛性基板106は、
図10に示されるように、導光体110の端面110aと対向した状態で、上部筐体200の収容部230に収容されている。
【0082】
〔他のガラス板122〕
他のガラス板122は、
図8に示されるように、板厚方向が上下方向とされ、上方から見て、装置奥行方向に延びる矩形状とされている。そして、他のガラス板122は、
図9に示されるように、他のガラス板122の縁部が上部筐体200の段部202aと接触した状態で、図示せぬ固定手段で上部筐体200に固定され、上部筐体200の上面を覆うように配置されている。
【0083】
(要部構成)
次に、筐体114について詳細に説明する。筐体114は、前述したように、上部筐体200と、下部筐体240とを備えている。
【0084】
〔上部筐体200〕
上部筐体200は、樹脂製であって、例えば、黒色の変性ポリフェニレンエーテル樹脂(m-PPE)を用いて形成(射出成形法等により成形)されている。上部筐体200は、
図9、
図10に示されるように、他のガラス板122の縁部を下方から支持している段部202aが形成された枠状の本体部202を備えている。このように、上部筐体200は、黒色とされている。ここで、黒色とは、無彩色点(x=0.333,y=0.333、Y=0)からの色度のズレが色差ΔEで100以内の色である。
【0085】
そして、上部筐体200の本体部202の内部には、一対の導光体110が夫々収容されている一対の導光体収容部204と、原稿Gから反射した反射光の進行方向(以下「光進行方向」)に貫通する貫通孔210と、剛性基板106が収容されている収容部230(
図10参照)とが形成されている。なお、本実施形態では、光進行方向は、上下方向である。貫通孔210は、孔の一例である。
【0086】
一対の導光体収容部204は、
図9に示されるように、装置幅方向に並んでいる。そして、本体部202の内部には、夫々の導光体110を下方から支持する支持板206と、装置幅方向で導光体110を本体部202との間で挟む壁板208とが夫々形成されている。装置幅方向は、幅方向の一例である。
【0087】
この一対の壁板208は、装置幅方向で離隔しており、一対の壁板208に挟まれた領域(空間)が、貫通孔210において光進行方向の上流部分の孔上流部分210aとされている。そして、孔上流部分210aにおいて光進行方向の上流端の幅が他の部位と比して最も狭くされており、貫通孔210の光進行方向の上流端が、原稿Gからの反射光の一部を制限するスリット222とされている。スリット222は、開口の一例である。
【0088】
さらに、上部筐体200の貫通孔210の内周面において少なくとも原稿Gからの反射光が照射される部分には、シボが施されている。ここで、反射光が照射される部分とは、上部筐体200において、孔上流部分210aを構成する面(一対の壁板208における装置幅方向の内側を向く面)である。シボとは、表面に形成された深さ2〔μm〕以上の凹凸状の模様である。
【0089】
また、上部筐体200のスリット222の周縁部には、光進行方向の上流側を向いた上向面280が形成されている。上向面280には、シボが施されている。
また、支持板206に対して下方側の部分の本体部202によって囲まれた領域が、貫通孔210において光進行方向の下流部分の孔下流部分210bとされている。
【0090】
〔下部筐体240〕
下部筐体240は、樹脂製であって、例えば、変性ポリフェニレンエーテル樹脂(m-PPE)を用いて形成(射出成形法等により成形)されている。下部筐体240は、
図9、
図10に示されるように、上部筐体200の本体部202の内部に形成された孔下流部分210bに上端部分が配置されると共に集光部112を支持する本体部242と、本体部242の下端に連結されると共に受光基板102が収容される収容部262が形成された基端部260とを備えている。
【0091】
本体部242の断面は、上下方向に延びる矩形状とされており、本体部242及び基端部260には、光進行方向に貫通する貫通孔244が形成されており、貫通孔244の上端部分に、集光部112が配置されている。具体的には、集光部112において、一方のレンズアレイ152の下端部分と他方のレンズアレイ152の全体が、貫通孔244の上端部分に配置されており、貫通孔244を構成すると共に装置幅方向で対向する対向面244bによって挟まれている。換言すると、一対のレンズアレイ152は、本体部242に形成された貫通孔244の対向面244bに挟持されている。樹脂製の本体部242に形成された貫通孔244は、装置奥行き方向に延びており、長尺である。このため、貫通孔244は、成形収縮等によって、装置奥行き方向の中央部の幅寸法が、装置奥行き方向の端部(両端部)の幅寸法よりも小さくなるように反りが生じる。このような貫通孔244に一対のレンズアレイ152を挿入すると、一対のレンズアレイ152は、貫通孔244の対向面244bで挟持される。そうすると、貫通孔244への一対のレンズアレイ152の挿入により、対向面244bの反りが少なくなるように矯正されるため、本体部242の外周面246の反りも少なくなるように矯正される。
そして、貫通孔244には、他方のレンズアレイ152の端部(突起156)が載せられる段部244aが形成されている。
【0092】
基端部260の断面は、装置幅方向に延びる矩形状とされており、基端部260には、受光基板102が収容される収容部262が形成されている。また、収容部262には、受光基板102の上面が接触するザグリ面262aが形成されている。そして、受光基板102は、受光基板102とザグリ面262aとを跨るように塗布した接着剤(図示省略)を用いて下部筐体240に固定されている。
【0093】
〔上部筐体200と下部筐体240との装置奥行方向の位置決め〕
次に、上部筐体200と下部筐体240との装置奥行方向の位置決めについて説明する。
【0094】
下部筐体240の本体部242において装置幅方向の外側を向く一対の外周面246には、
図19に示されるように、装置幅方向の外側に突出する突部252が夫々形成されている。そして、この突部252は、本体部242において装置奥行方向の中央部分に配置されている。ここで、本体部242において装置奥行方向の中央部分とは、本体部242の装置奥行方向の長さを10としたら、中央部分は、端部から4から6の範囲内の部分である。この一対の突部252は、本体部242を装置幅方向から透視して見たときに、重なっている(同等、同様又は同一の位置に形成されている)。
【0095】
そして、突部252は、
図21(A)に示されるように、上下方向に延び、断面矩形状とされている。
【0096】
一方、上部筐体200には、
図20に示されるように、装置奥行方向に延びる一対の支持板206と、孔下流部分210bを装置幅方向から挟む一対の壁板212が形成されている。また、夫々の支持板206には、下方を向いた下面206aが形成され、夫々の壁板212には、孔下流部分210bの内周面212aが形成されている。
【0097】
さらに、上部筐体200には、装置奥行方向で下部筐体240の突部252を挟む一対の挟み部218が、
図21(B)に示されるように、夫々の支持板206の下面206aから下方に突出して形成されている。また、この挟み部218の下端部分は、案内用のテーパー状とされている。なお、
図21(B)には、上部筐体200の装置幅方向の一方側(手前側)の一対の挟み部218のみが図示されているが、上部筐体200の装置幅方向の他方側(奥側)にも一対の挟み部218が形成されている。換言すると、これら2組の一対の挟み部218は、上部筐体200を装置幅方向から透視して見たときに、重なっている(同等、同様又は同一の位置に形成されている)。
【0098】
そこで、上部筐体200と下部筐体240とを組み合わせることで、
図22に示されるように、下部筐体240の突部252が、装置奥行方向で一対の挟み部218によって挟まれる。これにより、上部筐体200と下部筐体240とが装置奥行方向で位置決めされる。なお、
図22には、下部筐体240の一方の外周面246に形成された突部252が上部筐体200の一方の下面206aに形成された一対の挟み部218によって挟持された状態が図示されているが、下部筐体240の他方の外周面246に形成された突部252も上部筐体200の他方の下面206aに形成された一対の挟み部218によって挟持される。
【0099】
〔上部筐体200と下部筐体240との装置幅方向、及び上下方向の位置決め〕
次に、上部筐体200と下部筐体240との装置幅方向、及び上下方向の位置決めについて、主に
図23を用いて説明する。なお、
図23には、1つの突出部248及び突出部216が図示されているが、他の突出部248及び突出部216も同等、同様又は同一構成である。
【0100】
下部筐体240の本体部242において装置幅方向の外側を向く一対の外周面246には、
図19に示されるように、装置幅方向の外側に突出する突出部248が夫々形成されている。そして、この突出部248は、装置奥行方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0101】
図23(A)に示されるように、突出部248の上側部分の突出量(外周面246から装置幅方向の外側に突出する突出量)を下側部分の突出量と比して少なくすることで、突出部248の下側部分には、上方を向く上向き面248aが形成されている。換言すれば、突出部248の下側部分には、光進行方向の上流側を向く上向き面248aが形成されている。さらに、突出部248の上側部分には、装置幅方向の外側を向く外向き面248bが形成されている。上向き面248aは、面の一例である。
【0102】
一方、上部筐体200において、下部筐体240の突出部248と装置幅方向で対向する位置には、
図23(B)に示されるように、支持板206の下面206a及び壁板212の内周面212aから装置幅方向の内側に突出する突出部216が設けられている。換言すれば、突出部216は、支持板206の下面206a及び壁板212の内周面212aとから突出している。突出部216は、他の突出部の一例である。
【0103】
突出部216の下側部分は、テーパー状とされており、突出部216の下側部分には、下方を向く下向き面216aが形成されている。換言すれば、突出部216の下側部分には、光進行方向の下流側を向く下向き面216aが形成されている。さらに、突出部216の上側部分には、装置幅方向の内側を向く内向き面216bが形成されている。下向き面216aは、他の面の一例である。
【0104】
ここで、スリット222が形成されている上部筐体200は、前述したように樹脂材料を用いて射出成形法等で成形されている。このため、成形収縮等によって、上部筐体200の単品では、反りが生じており、装置奥行方向の中央部のスリット222(
図20参照)の幅寸法が装置奥行方向の端部(両端部)のスリット222の幅寸法に対して狭くなってしまう。
【0105】
そこで、上部筐体200と下部筐体240とを組み合わせることで、
図24に示されるように、下部筐体240に設けられた突出部248の外向き面248bと上部筐体200に設けられた突出部216の内向き面216bとが装置幅方向で接触する。これにより、上部筐体200と下部筐体240とが装置幅方向で位置決めされ、かつ、上部筐体200の反りが矯正され、スリット222の幅寸法が装置奥行方向で同等、同様又は同一になるように矯正される。
【0106】
さらに、下部筐体240に設けられた突出部248の上向き面248aと上部筐体200に設けられた突出部216の下向き面216aとが上下方向で接触する。これにより、上部筐体200と下部筐体240とが上下方向で位置決めされる。
【0107】
〔上部筐体200と下部筐体240との接着〕
次に、上部筐体200と下部筐体240との接着について、主に
図25を用いて説明する。なお、
図25には、1つの突起部256及び覆い部220が図示されているが、他の突起部256及び覆い部220も同等、同様又は同一構成である。
【0108】
下部筐体240の本体部242において装置幅方向の外側を向く一対の外周面246には、
図19に示されるように、装置幅方向の外側に突出する突起部256が夫々形成されている。そして、この突起部256は、装置奥行方向に間隔をあけて複数設けられ、一対の突出部248の間に配置されている。換言すると、突起部256は、装置奥行方向で隣接する2つの突出部248の間において、夫々の突出部248とは装置奥行方向で離隔した位置に配置されている。
【0109】
突起部256は、
図25(A)に示されるように、上下方向に延び、断面矩形状とされている。
【0110】
一方、上部筐体200には、
図25(B)に示されるように、支持板206の下面206aから下方に突出し、下部筐体240の突起部256を装置幅方向の外側から及び装置奥行方向の両側から覆う凹状の覆い部220が複数形成されている。
【0111】
上部筐体200と下部筐体240とを組み合わされた状態で、
図26(A)(B)に示されるように、覆い部220が、装置幅方向の外側、及び装置奥行方向の両側から隙間をあけて突起部256の上方部分を覆っている。そして、突起部256と覆い部220との間には、接着剤270が充填されて、上部筐体200と下部筐体240とが接着されている。
【0112】
〔その他〕
次に、一方のレンズアレイ152と他方のレンズアレイ152との接着、一対のレンズアレイ152と遮光部材150との接着、及び集光部112と下部筐体240との封止等について説明する。
【0113】
-一方のレンズアレイ152と他方のレンズアレイ152との接着-
図15に示されるように、一方のレンズアレイ152のマイクロレンズ164(
図14参照)の光軸と、他方のレンズアレイ152のマイクロレンズ164の光軸とが重なるように、夫々のレンズアレイ152の突起154、156の頂部が突き合わされる。そして、接着剤130(
図15参照)で、夫々の(一対の)レンズアレイ152がこの状態で固定されている。接着剤130は、他の接着剤の一例である。
【0114】
具体的には、
図27(A)に示されるように、一方のレンズアレイ152の側面において下端部分と他方のレンズアレイ152の側面において上端部分とに跨るように接着剤130が塗布される。そして、この接着剤130は、一対のレンズアレイ152の側面から装置幅方向に突出し、
図15に示されるように、装置奥行方向に間隔をあけて複数箇所に塗布されている。
【0115】
そして、
図27(A)(B)に示されるように、貫通孔244を間において装置幅方向で対向する対向面244bには、接着剤130との間に隙間が形成されるように凹部244cが複数形成されている。換言すると、下部筐体240には、貫通孔244に挿入した一対のレンズアレイ152の夫々の接着剤130と対応する対向面244bにおける夫々の箇所において、接着剤130との間に隙間が設けられるように凹部244cが複数形成されている。
【0116】
-一対のレンズアレイ152と遮光部材150との接着-
図15に示されるように、遮光部材150の複数の貫通孔170が、上方から見たレンズアレイ152に形成された複数のマイクロレンズ164(
図12参照)と一対一で重なるように、遮光部材150は、接着剤132(
図15参照)で、レンズアレイ152に固定されている。この接着剤132は、遮光部材150から装置幅方向に突出し、装置奥行方向に間隔をあけて複数箇所に設けられている。なお、接着剤130及び接着剤132は、
図15において装置幅方向の一方側のみ図示されているが、
図15に図示されていない装置幅方向の他方側(反対側)にも、装置幅方向の一方側と同等、同様又は同一の位置に塗布されている。
【0117】
-集光部112と下部筐体240との封止-
図27(A)に示されるように、下部筐体240の本体部242における上面と集光部112の側面とに跨るように集光部112の外周に沿って、封止剤134が塗布され、この封止剤134によって、集光部112と下部筐体240とが封止されている。封止剤134及び集光部112は、上部筐体200の壁板208の装置幅方向の内側を向く内周面と離隔している。封止剤134又は集光部112が壁板208の装置幅方向の内側を向く内周面に接触することにより、集光部112の光軸が傾くことを抑制するためである。なお、この封止剤134は、アスカー硬度で50度以下の弾性部材である。
【0118】
(組立工程)
次に、画像読取装置100の組立工程について、
図28に示すフロー図に従って説明する。
【0119】
先ず、ステップS100で、
図29(A)に示されるように、集光部112が下部筐体240に取り付けられ、集光部112と下部筐体240との間が封止される。
【0120】
ここで、下部筐体240は、前述したように樹脂材料を用いて射出成形法等で成形されている。このため、成形収縮等によって、下部筐体240の単品では、装置奥行方向の中央部の貫通孔244の幅寸法が装置奥行方向の端部(両端部)の貫通孔244の幅寸法に対して狭くなっている。つまり、貫通孔244を形成する一対の対向面244bは、夫々弓状に反っている。一対の対向面244bが弓状に反っているので、本体部242の一対の外周面246も夫々の対向面244bに沿うように反りが生じている。そこで、図示せぬ治具を用いて、貫通孔244を広げた状態で、集光部112が下部筐体240に取り付けられる。具体的には、下部筐体240は、貫通孔244の中央部が図示せぬ治具を用いて拡幅された状態で、貫通孔244に集光部112の下部が挿入され、その後、拡幅状態が解除される。そうすると、集光部112は、下部筐体240の貫通孔244の一対の対向面244bで挟持される。これにより、一対の対向面244bは、反りが少なくなるように矯正される。一対の対向面244bの反りの矯正に伴い、外周面246の反りも少なくなるように矯正される。その後、下部筐体240の本体部242における上面と集光部112の側面とに跨るように、封止剤134が塗布され、固化した封止剤134による封止部が形成される。
【0121】
次に、ステップS200で、
図29(B)に示されるように、受光基板102が、下部筐体240のザグリ面262aと接触した状態で、受光基板102とザグリ面262aとを跨るように塗布された接着剤(図示省略)を用いて下部筐体240に固定される。
【0122】
次に、ステップS300で、
図30(A)に示されるように、上部筐体200が下部筐体240に取り付けられる。
【0123】
ここで、上部筐体200は、前述したように樹脂材料を用いて射出成形法等で成形されている。このため、成形収縮等によって、上部筐体200の単品では、装置奥行方向の中央部のスリット222の幅寸法が装置奥行方向の端部(両端部)のスリット222の幅寸法に対して狭くなっている。そこで、図示せぬ治具を用いて、スリット222を広げた状態で、上部筐体200が下部筐体240に取り付けられる。具体的には、上部筐体200は、貫通孔210の中央部が図示せぬ治具を用いて拡幅された状態で、貫通孔210に下部筐体240の本体部242が挿入され、その後、拡幅状態が解除される。
【0124】
上部筐体200が下部筐体240に取り付けられた状態では(前記した貫通孔210の中央部の拡幅状態において、貫通孔210に下部筐体240の本体部242を挿入すると)、
図22に示されるように、下部筐体240の突部252が、上部筐体200の一対の挟み部218によって装置奥行方向で挟まれる。これにより、上部筐体200と下部筐体240とが装置奥行方向で位置決めされる。
【0125】
また、前記した貫通孔210の中央部の拡幅状態において、貫通孔210に下部筐体240の本体部242の挿入を継続すると、
図24に示されるように、下部筐体240に設けられた突出部248の上向き面248aと上部筐体200に設けられた突出部216の下向き面216aとが上下方向で接触する。これにより、上部筐体200と下部筐体240とが上下方向で位置決めされる。
【0126】
その後さらに、前記した貫通孔210の中央部の拡幅状態を解除すると、下部筐体240に設けられた突出部248の外向き面248bと上部筐体200に設けられた突出部216の内向き面216bとが装置幅方向で接触する。これにより、上部筐体200と下部筐体240とが装置幅方向で位置決めされ、かつ、スリット222の幅寸法が矯正される。つまり、スリット222の幅寸法は、装置奥行方向に亘って同等、同様又は同一となる。
【0127】
また、上部筐体200と下部筐体240との3方向(装置奥行方向、上下方向、装置幅方向)の位置決めを終えた後、
図26(A)(B)に示されるように、下部筐体240の突起部256と上部筐体200の覆い部220との間に、接着剤270が充填されて、上部筐体200と下部筐体240とが接着される。
【0128】
次に、ステップS400で、
図30(B)に示されるように、導光体110、及び他のガラス板122が、上部筐体200に取り付けられる。このようにして、画像読取装置100が組み立てられる。
【0129】
(作用)
次に、画像読取装置100の作用を説明する。
図10に示す発光素子128は、導光体110の端面110aに光を照射する。さらに、導光体110は、導光体110の端面110aから入射した光を、導光体110の長手方向に導く。そして、導光体110は、
図9に示されるように、集光部112の上方に向けて(図中矢印B方向)光を出射する。
【0130】
さらに、導光体110から出射して原稿Gに照射され、原稿Gから反射した反射光の一部が、
図9に示されるように、スリット222を通過する。そして、スリット222を通過した反射光の一部が集光部112を構成する遮光部材150の貫通孔170(
図17参照)を通過して、一方のレンズアレイ152のマイクロレンズ164(
図14参照)に入射する。
【0131】
そして、一方のレンズアレイ152のマイクロレンズ164に入射した光は、一方のレンズアレイ152のマイクロレンズ164から出射し、他方のレンズアレイ152のマイクロレンズ164に入射する。他方のレンズアレイ152のマイクロレンズ164に入射した光は、他方のレンズアレイ152のマイクロレンズ164から出射して、受光素子126に集まる(集光する)。さらに、受光素子126が、原稿Gから反射した反射光を、受光して電気信号に変換する。
【0132】
(まとめ)
以上説明したように、画像読取装置100においては、下部筐体240に設けられた突出部248の外向き面248bと上部筐体200に設けられた突出部216の内向き面216bとが装置幅方向で接触することで、スリット222の幅寸法が矯正される。これにより、上部筐体200と下部筐体240とが反射光の進行方向だけで接触する場合と比して、装置奥行方向の中央部のスリット222の幅寸法が装置奥行方向の端部のスリット222の幅寸法に対して狭くなるのが抑制される。
【0133】
また、画像読取装置100においては、上部筐体200は、黒色とされている。つまり、上部筐体200の貫通孔210の内周面において少なくとも反射光が照射される部分である孔上流部分210aを構成する面(一対の壁板208における装置幅方向の内側を向く面)は、黒色とされている。このため、上部筐体の全体が乳白色である場合と比して、スリット222を通過して貫通孔210における一対の壁板208における装置幅方向の内側を向く面で反射した反射光が迷光となって一対のレンズアレイ152を透過するのが抑制される。
【0134】
また、画像読取装置100においては、上部筐体200において少なくとも反射光が照射される部分である孔上流部分210aを構成する面(一対の壁板208における装置幅方向の内側を向く面)には、シボが施されている。このため、上部筐体において反射光が照射される部分が平滑面である場合と比して、スリット222を通過して貫通孔210における一対の壁板208における装置幅方向の内側を向く面で反射した反射光が迷光となって一対のレンズアレイ152を透過するのが抑制される。
また、画像読取装置100においては、上部筐体200に形成されたスリット222の周縁部に光進行方向の上流側を向いた上向面280が形成されている。この上向面280は、黒色とされ、又はシボが形成されている。このため、上向面が乳白色及び平滑面である場合と比して、原稿Gから反射(1回目の反射)した反射光の一部が上向面280でさらに反射(2回目の反射)して、当該2回目の反射光で原稿Gを照射することにより生じる原稿Gからの反射光(3回目の反射による反射光)による迷光を抑制できる。つまり、上向面が乳白色及び平滑面である場合と比して、上向面280での反射(2回目の反射)に起因する反射光(3回目の反射による反射光)の一部が迷光となって一対のレンズアレイ152を透過することが抑制される。
【0135】
また、画像読取装置100においては、下部筐体240に設けられた突出部248の外向き面248bと上部筐体200に設けられた突出部216の内向き面216bとが装置幅方向で接触する。これにより、上部筐体200と下部筐体240とが装置幅方向で位置決めされ、かつ、スリット222の幅寸法が矯正されている。このため、下部筐体240の内側を向く平面部と、上部筐体200の外側を向く平面部とを接触させることでスリット222の幅寸法を矯正する場合と比して、剛性が高い部位で接触させることで、装置奥行方向の中央部のスリット222における幅寸法のばらつきが小さくなる。
【0136】
また、画像読取装置100においては、下部筐体240に設けられた突出部248の上向き面248aと上部筐体200に設けられた突出部216の下向き面216aとが上下方向で接触する。これにより、上部筐体200と下部筐体240とが上下方向で位置決めされる。このため、スリット222の幅寸法を矯正させるための突出部とは異なる部分を用いて上下方向(光進行方向)における位置決めをする場合と比して、下部筐体240の形状が簡素化される。
【0137】
また、画像読取装置100においては、下部筐体240の突起部256と上部筐体200の覆い部220との間に、接着剤270が充填されて、上部筐体200と下部筐体240とが接着される。これにより、突起と突起とを突き合わせて接着される場合と比して、接着強度が高くなる。
【0138】
また、画像読取装置100においては、下部筐体240の突部252が、上部筐体200の一対の挟み部218によって装置奥行方向で挟まれる。これにより、上部筐体200と下部筐体240とが装置奥行方向で位置決めされる。このため、下部筐体240を装置奥行方向の一方側で上部筐体200に突き当てて装置奥行方向の位置決めをする場合と比して、装置奥行方向の位置決めが容易となる。
【0139】
また、画像読取装置100においては、貫通孔244を間において装置幅方向で対向する対向面244bには、一対のレンズアレイ152を接着している接着剤130との間に隙間が形成されるように凹部244cが複数形成されている。このため、周囲環境(特に温度と湿度)の変化による下部筐体240の伸縮の度合(寸法変化量)と、一対のレンズアレイ152の伸縮の度合(寸法変化量)の違いによって、接着剤130と下部筐体240とが擦れて接着剤130が剥がれるのが抑制される。
【0140】
また、画像読取装置100においては、下部筐体240の本体部242における上面と集光部112の側面とに跨るようにレンズアレイ152の外周に沿って、弾性部材である封止剤134が塗布されている。これにより、レンズアレイ152の装置奥行方向の伸縮を可能とした上で、レンズアレイ152と本体部242との間を迷光が通るのが妨げられる。つまり、一対のレンズアレイ152の光進行方向の上流側には、一対のレンズアレイ152の夫々のマイクロレンズ164に対応する貫通孔170が複数形成された遮光部材150が載せられている。そして、本体部242、光進行方向の上流側の一方のレンズアレイ152及び遮光部材150を跨ぐように一方のレンズアレイ152の外周に沿って弾性部材である封止剤134が塗布されている。これにより、スリット222を通過し、貫通孔210の内周面で反射した反射光が迷光となって、光進行方向の上流側の一方のレンズアレイ152の側面(装置幅方向の外側を向く面)から一対のレンズアレイ152の内部に侵入することを抑制できる。換言すると、スリット222を通過し、貫通孔210における孔上流部分210aを構成する面(一対の壁板208における装置幅方向の内側を向く面)で反射した反射光が迷光となって、光進行方向の上流側の一方のレンズアレイ152における下部筐体240から外部に露出した側面(装置幅方向の外側を向く面)から一対のレンズアレイ152の内部に侵入することを抑制できる。
【0141】
また、画像読取ユニット60においては、画像読取装置100を備えることで、樹脂材料で形成された上部筐体をそのまま用いる画像読取装置を備える場合と比して、読取画像の品質の低下が抑制される。
【0142】
また、画像形成装置10においては、画像読取ユニット60を備えることで、樹脂材料で形成された上部筐体をそのまま用いる画像読取装置を有する画像読取ユニットを備える場合と比して、出力画像の品質低下が抑制される。
【0143】
なお、本開示を特定の実施形態について詳細に説明したが、本開示は係る実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。
【0144】
例えば、上記実施形態では、上部筐体200において少なくとも反射光が照射される部分である孔上流部分210aを構成する面(一対の壁板208における装置幅方向の内側を向く面)は、黒色であり、かつ、シボが形成されている画像読取装置100を説明したが、黒色とシボのいずれか一方のみであっても良く、黒色とシボの両方が無くても良い。つまり、上記実施形態では、上部筐体200が黒色であったが、例えば、乳白色であってもよい。しかし、この場合には、黒色であることで奏する作用は奏しない。
【0145】
また、上記実施形態では、上部筐体200において少なくとも原稿Gからの反射光が照射される貫通孔210の内周面には、シボが施されたが、平滑面であってもよい。しかし、この場合には、シボが施されることで奏する作用は奏しない。
また、上記実施形態では、上部筐体200のスリット222の周縁部には光進行方向の上流側を向いた上向面280が形成されており、上向面280にはシボが施されている構成を示した。つまり、上向面280は、黒色であり、かつ、シボが形成されている画像読取装置100を説明した。しかし、黒色とシボは、いずれか一方のみであっても良く、黒色とシボの両方が無くても良い。しかし、上向面280が例えば乳白色の場合は、黒色であることで奏する作用は奏しない。また、上向面280が例えば平滑面である場合には、シボが施されることで奏する作用は奏しない。
【0146】
また、上記実施形態では、下部筐体240に設けられた突出部248の外向き面248bと上部筐体200に設けられた突出部216の内向き面216bとが装置幅方向で接触することで、スリット222の幅寸法が矯正されたが、平面部と平面部とを接触させることでスリット222の幅寸法を矯正してもよい。しかし、この場合には、突出部248と突出部216とを接触させることでスリット222の幅寸法を矯正することで奏する作用は奏しない。
【0147】
また、上記実施形態では、下部筐体240の突部252が、上部筐体200の一対の挟み部218によって装置奥行方向で挟まれることで、上部筐体200と下部筐体240とが装置奥行方向で位置決めされたが、下部筐体を装置奥行方向の一方側で上部筐体他に突き当てて装置奥行方向の位置決めをしてもよい。しかし、この場合には、突部252が、一対の挟み部218によって挟まれることで位置決めされることで奏する作用は奏しない。
【0148】
また、上記実施形態では、光学装置として画像読取装置100を例にとって説明したが画像読取装置以外の他の光学装置でであってもよい。
【0149】
(((1)))
対象物からの反射光の一部を制限部材であって、反射光の進行方向とは交差する一方向に延びた開口と、該開口が該進行方向の上流端に形成されると共に該進行方向に貫通する孔とが形成された樹脂製の制限部材と、
該開口を通過した反射光が透過する光学部材と、
該孔の内周面の一部と接触して該開口の幅寸法を矯正する矯正部材と、
を備える光学装置。
【0150】
(((2)))
前記制限部材において少なくとも前記反射光が照射される部分は、黒色とされている、
(((1)))に記載の光学装置。
【0151】
(((3)))
前記制限部材において少なくとも前記反射光が照射される部分には、シボが施されている、
(((1)))又は(((2)))に記載の光学装置。
【0152】
(((4)))
前記矯正部材は、前記一方向及び前記進行方向と交差する幅方向から前記光学部材を挟む本体部を有し、前記本体部において前記幅方向の外側を向いた外周面には、前記幅方向の外側に突出する複数の突出部が形成されており、
前記制限部材の前記内周面には、前記幅方向の内側に突出すると共に前記突出部と前記幅方向で接触する他の突出部が形成されている、
(((1)))~(((3)))の何れか1に記載の光学装置。
【0153】
(((5)))
前記突出部には、前記進行方向の上流側を向いた面が形成されており、
前記他の突出部には、前記面と前記進行方向で接触する他の面が形成されている、
(((4)))に記載の光学装置。
【0154】
(((6)))
前記矯正部材は、前記一方向及び前記進行方向と交差する幅方向から前記光学部材を挟む本体部を有し、前記本体部において前記幅方向の外側を向いた外周面には、前記幅方向の外側に突出する複数の突起部が形成されており、
前記制限部材には、前記突起部を前記幅方向の外側及び前記一方向から覆う覆い部が形成されており、
前記突起部と前記覆い部との間に接着剤が充填されている、
(((1)))~(((5)))の何れか1に記載の光学装置。
【0155】
(((7)))
前記矯正部材は、前記一方向及び前記進行方向と交差する幅方向から前記光学部材を挟む本体部を有し、前記本体部において前記幅方向の外側を向いた外周面から突出する突部が前記一方向の中央部分に形成されており、
前記制限部材には、前記突部を前記一方向から挟む一対の挟み部が形成されている、
(((1)))~(((6)))の何れか1に記載の光学装置。
【0156】
(((8)))
前記光学部材は、前記進行方向に重ねられた一対のレンズアレイを含んで構成されており、
前記一対のレンズアレイを跨ぐように前記一方向及び前記進行方向と交差する幅方向の外側から他の接着剤が前記一対のレンズアレイの複数箇所に塗布されており、
前記矯正部材は、前記一方向及び前記進行方向と交差する幅方向から前記光学部材を挟むと共に前記一方向に延びる本体部を有し、前記本体部において前記一対のレンズアレイと対向する対向面には、前記他の接着剤との間に隙間が形成されるように凹部が複数形成されている、
(((1)))~(((7)))の何れか1に記載の光学装置。
【0157】
(((9)))
前記本体部と前記レンズアレイを跨ぐように前記レンズアレイの外周に沿って弾性部材である封止剤が塗布されている、
(((8)))に記載の光学装置。
【0158】
(((10)))
(((1)))~(((9)))の何れか1に記載の光学装置と、
前記光学装置によって画像が読み取られる原稿が載せられるガラス板と、
を備える画像読取ユニット。
【0159】
(((11)))
(((10)))に記載の画像読取ユニットと、
前記画像読取ユニットの前記光学装置によって読み取られた画像を記録媒体に転写する転写装置と、
を備える画像形成装置。
【0160】
(((1)))の光学装置によれば、制限部材と矯正部材とが反射光の進行方向だけで接触する場合と比して、一方向の中央部の開口幅が一方向の端部の開口幅に対して狭くなるのを抑制することができる。
【0161】
(((2)))の光学装置によれば、制限部材の全体が乳白色である場合と比して、迷光が光学部材を透過するのを抑制することができる。
【0162】
(((3)))の光学装置によれば、制限部材において反射光が照射される部分全体が平滑面である場合と比して、迷光が光学部材を透過するのを抑制することができる。
【0163】
(((4)))の光学装置によれば、平面部と平面部とを接触させることで開口の幅寸法を矯正する場合と比して、一方向の中央部の開口幅のばらつきを小さくすることができる。
【0164】
(((5)))の光学装置によれば、開口幅を矯正させるための突出部とは異なる部分を用いて進行方向における位置決めをする場合と比して、矯正部材の形状を簡素化することができる。
【0165】
(((6)))の光学装置によれば、突起と突起とを突き合わせて接着される場合と比して、接着強度を高くすることができる。
【0166】
(((7)))の光学装置によれば、矯正部材を一方向の一方側で制限部材に突き当てて一方向の位置決めをする場合と比して、一方向の位置決めを容易にすることができる。
【0167】
(((8)))の光学装置によれば、他の接着剤と本体部の対向面とが接触する場合と比して、他の接着剤が剥がれるのを抑制することができる。
【0168】
(((9)))の光学装置によれば、光学部材の一方向の伸縮を可能とした上で、光学部材と本体部との間を迷光が通るのを妨げることができる。
【0169】
(((10)))の画像読取ユニットによれば、樹脂材料で形成された制限部材をそのまま用いる光学装置を備える場合と比して、読取画像の品質低下を抑制することができる。
【0170】
(((11)))の画像形成装置によれば、樹脂材料で形成された制限部材をそのまま用いる光学装置を有する画像読取ユニットを備える場合と比して、出力画像の品質低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0171】
10 画像形成装置
46 二次転写ロール(転写装置の一例)
60 画像読取ユニット
62 第一透明板(ガラス板の一例)
100 画像読取装置(光学装置の一例)
130 接着剤(他の接着剤の一例)
134 封止剤
152 レンズアレイ(光学部材の一例)
200 上部筐体(制限部材の一例)
210 貫通孔(孔の一例)
212a 内周面
216 突出部(他の突出部の一例)
216a 下向き面面(他の面の一例)
218 挟み部部
220 覆い部
222 スリット(開口の一例)
240 下部筐体(矯正部材の一例)
242 本体部
244b 対向面
244c 凹部
246 外周面
248 突出部
248a 上向き面(面の一例)
252 突部
256 突起部
270 接着剤
G 原稿(対象物の一例)