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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117482
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
H01L27/04 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023609
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】田中 文悟
【テーマコード(参考)】
5F038
【Fターム(参考)】
5F038AR13
5F038AR14
5F038AR16
5F038AR21
5F038EZ01
5F038EZ02
5F038EZ14
5F038EZ15
5F038EZ20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】平面視において抵抗体の長さを短くすることで半導体装置の小型化を図ること。
【解決手段】半導体モジュールにおいて、第1チップ14は、基板上に設けられた素子絶縁層40と、素子絶縁層40内に設けられた半導体抵抗層20と、を備える。半導体抵抗層20は、X方向に延び、かつ、Z方向に凹凸部80を有する。半導体抵抗層20が凹凸部80を有することにより、平面視においてX方向の長さを短くすることができ、半導体装置の小型化を図ることができる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた素子絶縁層と、
前記素子絶縁層内に設けられた半導体抵抗層と、
を備え、
前記半導体抵抗層は、前記基板の厚さ方向と直交する第1方向に延び、かつ、前記厚さ方向に凹凸部を有する
半導体装置。
【請求項2】
前記凹凸部は、前記第1方向において互いに離隔して複数設けられている
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数の凹凸部は、前記第1方向において等ピッチで設けられている
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記凹凸部は、
前記第1方向に延びている第1抵抗部と、
前記第1抵抗部とは前記第1方向にずれた位置であってかつ前記第1抵抗部よりも前記基板寄りに設けられ、前記第1方向に延びている第2抵抗部と、
前記第1方向と交差する方向に延びて、前記第1抵抗部の前記第1方向の端部と、前記第2抵抗部の前記第1方向の端部とを接続している接続部と、を含む
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2抵抗部の長さ寸法は、前記第1抵抗部の長さ寸法よりも短い
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記接続部の長さ寸法は、前記第1抵抗部の厚さよりも大きい
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記接続部の長さ寸法は、前記第2抵抗部の長さ寸法よりも大きい
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1方向および前記厚さ方向の双方と直交する方向を第2方向として、
前記接続部は、前記第2方向から視て、前記厚さ方向に対して傾斜して延びている
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体抵抗層と電気的に接続された配線層をさらに備え、
前記配線層は、前記厚さ方向において前記半導体抵抗層よりも前記基板寄りに配置されている
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体抵抗層と電気的に接続された配線層をさらに備え、
前記配線層は、前記厚さ方向において前記半導体抵抗層に対して前記基板とは反対側に配置されている
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記配線層は、前記素子絶縁層上に設けられており、前記素子絶縁層を覆うパッシベーション膜によって覆われている
請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記半導体抵抗層と電気的に接続された配線層と、
前記半導体抵抗層と前記配線層とを接続する接続配線と、
をさらに備え、
前記半導体抵抗層は、前記第1方向において前記凹凸部とは異なる位置に設けられ、前記接続配線が接続される抵抗端部を含む
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記半導体抵抗層は複数設けられ、
前記第1方向および前記厚さ方向の双方と直交する方向を第2方向として、
前記複数の半導体抵抗層は、前記第2方向に離隔して配列されている
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記素子絶縁層は、
前記基板上に設けられた基板側絶縁層と、
前記基板側絶縁層上に積層された表面側絶縁層と、
を備え、
前記基板側絶縁層は、複数の第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜の応力緩和となる複数の第2絶縁膜とが1つずつ交互に積層された構成であり、
前記半導体抵抗層は、前記表面側絶縁層に埋め込まれている
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の半導体装置と、
前記半導体装置を支持する支持部材と、
前記半導体装置および前記支持部材を封止する封止樹脂と、
を備える、半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置および半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の一例として、半導体基板と、半導体基板上に形成された絶縁層と、絶縁層上に形成された半導体抵抗層と、を備える構成が知られている(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-212299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、半導体装置においては小型化が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する半導体装置は、基板と、前記基板上に設けられた素子絶縁層と、前記素子絶縁層内に設けられた半導体抵抗層と、を備え、前記半導体抵抗層は、前記基板の厚さ方向と直交する第1方向に延び、かつ、前記厚さ方向に凹凸部を有する。
【0006】
上記課題を解決する半導体モジュールは、上記半導体装置と、前記半導体装置を支持する支持部材と、前記半導体装置および前記支持部材を封止する封止樹脂と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上記半導体装置および半導体モジュールによれば、半導体装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態の半導体モジュールの概略平面図である。
図2図2は、図1の半導体モジュールにおける第1チップおよび第2チップの概略平面図である。
図3図3は、第1チップにおける半導体抵抗層の概略平面図である。
図4図4は、図3の枠A1の拡大図である。
図5図5は、図4のF5-F5線で第1チップを切断した概略断面図である。
図6図6は、図3のF6-F6線で第1チップを切断した概略断面図である。
図7図7は、図4のF7-F7線で第1チップを切断した概略断面図である。
図8図8は、図6の複数の半導体抵抗層の第1抵抗端部およびその周辺の拡大図である。
図9図9は、複数の半導体抵抗層の概略斜視図である。
図10図10は、図8の枠A2の拡大図である。
図11図11は、第1実施形態の第1チップの製造工程の一例を示す概略断面図である。
図12図12は、図11に続く製造工程を示す配線層およびその周辺の概略断面図である。
図13図13は、図11に続く製造工程を示す図12とは別の配線層およびその周辺の概略断面図である。
図14図14は、図12に続く製造工程を示す概略断面図である。
図15図15は、図13に続く製造工程を示す概略断面図である。
図16図16は、図15に続く製造工程を示す概略断面図である。
図17図17は、図16に続く製造工程を示す概略断面図である。
図18図18は、図14に続く製造工程を示す概略断面図である。
図19図19は、図17に続く製造工程を示す概略断面図である。
図20図20は、図19に続く製造工程を示す概略断面図である。
図21図21は、第2実施形態の第1チップについて、複数の半導体抵抗層の第1抵抗端部およびその周辺を拡大した概略平面図である。
図22図22は、図21のF22-F22線で第1チップを切断した概略断面図である。
図23図23は、図21のF23-F23線で第1チップを切断した概略断面図である。
図24図24は、変更例の第1チップについて、半導体抵抗層の一部およびその周辺を拡大した概略断面図である。
図25図25は、変更例の第1チップについて、半導体抵抗層の一部およびその周辺を拡大した概略断面図である。
図26図26は、変更例の第1チップについて、半導体抵抗層の一部およびその周辺を拡大した概略断面図である。
図27図27は、変更例の第1チップについて、半導体抵抗層の一部およびその周辺を拡大した概略断面図である。
図28図28は、変更例の第1チップについて、半導体抵抗層の一部およびその周辺を拡大した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本開示における半導体装置および半導体モジュールのいくつかの実施形態について説明する。なお、説明を簡単かつ明確にするため、図面に示される構成要素は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。また、理解を容易にするため、断面図ではハッチング線が省略されている場合がある。添付図面は、本開示の実施形態を例示するに過ぎず、本開示を制限するものとみなされるべきではない。
【0010】
以下の詳細な説明は、本開示の例示的な実施形態を具体化する装置、システム、および方法を含む。この詳細な記載は本来説明のためのものに過ぎず、本開示の実施形態またはこのような実施形態の適用および使用を限定することを意図しない。
【0011】
<第1実施形態>
[半導体モジュールの構成]
図1および図2を参照して、第1実施形態の半導体モジュール10の構成について説明する。図1は、半導体モジュール10の全体的な配置構成を概略的に示している。図2は、半導体モジュール10の後述する第1チップ14および第2チップ15の各々の電気的な構成および電気的な接続構成を概略的に示している。なお、図1では、図面を容易に理解するため、後述する封止樹脂16の内部の構成要素を実線で示している。図2では、図面を容易に理解するため、第1チップ14および第2チップ15の内部の構成要素を実線で示している。
【0012】
なお、本開示において使用される「平面視」という用語は、図1に示される互いに直交するXYZ軸のZ方向に半導体モジュール10を視ることをいう。特に断りが無い場合、「平面視」とは半導体モジュール10をZ軸に沿って上方から視ることを指す。
【0013】
図1に示すように、半導体モジュール10は、フレーム11と、ダイパッド12と、複数(第1実施形態では7つ)のリード13A~13Gと、フレーム11に搭載された第1チップ14と、ダイパッド12に搭載された第2チップ15と、ワイヤW1~W11と、これらを封止する封止樹脂16と、を備える。ここで、本明細書では、第1チップ14は「半導体装置」に対応し、フレーム11は「支持部材」に対応している。
【0014】
封止樹脂16は、例えばZ方向を厚さ方向とする矩形平板状に形成されている。封止樹脂16は、第1~第4封止側面16A~16Dを有する。図1に示す例では、封止樹脂16は、平面視においてX方向が長手方向となり、Y方向が短手方向となる矩形状に形成されている。第1封止側面16Aおよび第2封止側面16Bは封止樹脂16のX方向の両端面を構成し、第3封止側面16Cおよび第4封止側面16Dは封止樹脂16のY方向の両端面を構成している。なお、平面視における封止樹脂16の形状は任意に変更可能である。一例では、平面視における封止樹脂16の形状は正方形であってもよい。
【0015】
フレーム11、ダイパッド12、およびリード13A~13Gは、X方向において互いに離隔して配列されている。つまり、X方向は、フレーム11、ダイパッド12、およびリード13A~13Gの配列方向となる。図1に示す例では、フレーム11、ダイパッド12、およびリード13A~13Gの配列方向は、封止樹脂16の長手方向と一致している。このため、フレーム11、ダイパッド12、およびリード13A~13Gは、封止樹脂16の長手方向において互いに離隔して配列されているともいえる。フレーム11は、ダイパッド12よりも第1封止側面16Aの近くに配置されている。リード13A~13Gは、ダイパッド12よりも第2封止側面16Bの近くに配置されている。つまり、ダイパッド12は、フレーム11とリード13A~13GとのX方向の間に配置されている。フレーム11、ダイパッド12、およびリード13A~13Gの各々は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等の金属材料によって形成されている。
【0016】
ここで、第1実施形態では、フレーム11、ダイパッド12、およびリード13A~13Gの各々は、金属製の薄板によって形成されている。フレーム11は第1チップ14が搭載されるとともに第1チップ14と電気的に接続されるものである。ダイパッド12は第2チップ15が搭載されるものであり、リード13A~13Gは第2チップ15と電気的に接続されるものである。このため、フレーム11およびリード13A~13Gは、金属製の薄板に限られず、導電層であればよい。また、ダイパッド12は、金属製の薄板等の導電材料に限られず、絶縁材料によって形成された板材であってもよい。つまり、ダイパッド12は、第2チップ15を支持する支持部材であればよい。
【0017】
フレーム11は、ダイパッド部11Aおよびリード部11Bを含む。第1実施形態では、ダイパッド部11Aおよびリード部11Bは、一体に形成されている。
ダイパッド部11Aは、第1チップ14が搭載される部分であり、第1チップ14を支持している。ダイパッド部11Aは、封止樹脂16のX方向の中央よりも第1封止側面16A寄りに配置されている。一方、ダイパッド部11Aは、第1封止側面16Aに対して第2封止側面16B寄りにX方向に離隔して配置されている。ダイパッド部11Aは、Z方向を厚さ方向とする矩形平板状に形成されている。平面視におけるダイパッド部11Aの形状は、Y方向が長手方向となり、X方向が短手方向となる矩形状である。つまり、ダイパッド部11Aは、フレーム11、ダイパッド12、およびリード13A~13Gの配列方向が短手方向となるように形成されている。ダイパッド部11Aは、封止樹脂16の長手方向が短手方向となるように形成されているともいえる。
【0018】
第1チップ14は、ダイパッド部11Aに実装されている。より詳細には、第1チップ14は、はんだペースト、銀(Ag)ペースト等の導電性接合材によってダイパッド部11Aに接合されている。第1チップ14は、ダイパッド部11Aにダイボンディングされているともいえる。このように、第1チップ14は、フレーム11に実装されているともいえる。
【0019】
リード部11Bは、ダイパッド部11AのY方向の両端部のうち第3封止側面16Cに近い方の端部と、ダイパッド部11AのX方向の両端部のうち第1封止側面16Aに近い方の端部とからなるコーナ部分に接続されている。図1の例では、リード部11Bは、ダイパッド部11Aから第1封止側面16Aに向けてX方向に沿って延びている。
【0020】
なお、フレーム11の構成は任意に変更可能であり、例えばダイパッド部11Aとリード部11Bとが個別に設けられていてもよい。つまり、ダイパッド部11Aとリード部11Bとが互いに離隔して配置されていてもよい。この場合、ダイパッド部11Aは、金属製の薄板(導電層)に限られず、絶縁材料によって形成されていてもよい。つまり、ダイパッド12は、第1チップ14を支持する支持部材であればよい。
【0021】
ダイパッド12は、第2チップ15が搭載される部分であり、第2チップ15を支持している。平面視におけるダイパッド12の形状は、Y方向が長手方向となり、X方向が短手方向となる矩形状である。このため、ダイパッド12の長手方向はフレーム11のダイパッド部11Aの長手方向と一致し、ダイパッド12の短手方向はダイパッド部11Aの短手方向と一致している。つまり、ダイパッド12は、フレーム11、ダイパッド12、およびリード13A~13Gの配列方向が短手方向となるように形成されている。ダイパッド12は、封止樹脂16の長手方向が短手方向となるように形成されているともいえる。
【0022】
第2チップ15は、ダイパッド12に実装されている。より詳細には、第2チップ15は、はんだペースト、銀ペースト等の導電性接合材によってダイパッド12に接合されている。第2チップ15は、ダイパッド12にダイボンディングされているともいえる。
【0023】
リード13Aと、リード13B~13Gとは、封止樹脂16のX方向の両端部に分散して配置されている。より詳細には、リード13Aは、封止樹脂16のX方向の両端部のうち第1封止側面16Aに近い方の端部に配置されている。リード13B~13Gの各々は、封止樹脂16のX方向の両端部のうち第2封止側面16Bに近い方の端部に配置されている。第1実施形態では、リード13Aは、X方向から視て、ダイパッド部11AのY方向の両端部のうち第4封止側面16Dに近い方の端部と重なる位置に配置されている。リード13Aは、ダイパッド部11Aよりも第1封止側面16Aの近くであってダイパッド部11Aから離隔して配置されている。
【0024】
リード13B~13Gの各々は、X方向において互いに揃った状態でY方向において互いに離隔して配列されている。リード13B~13Gは、第4封止側面16Dから第3封止側面16Cに向けて、リード13B、リード13C、リード13D、リード13E、リード13F、およびリード13Gの順に配列されている。図1から分かるとおり、リード13Aとリード部11BとのY方向の間の距離は、リード13B~13GのうちY方向に隣り合うリード間の距離よりも大きい。
【0025】
ダイパッド部11Aに搭載された第1チップ14は、Z方向を厚さ方向とする矩形平板状に形成されている。平面視における第1チップ14の形状は、Y方向が長手方向となり、X方向が短手方向となる矩形状である。つまり、第1チップ14の長手方向はダイパッド部11Aの長手方向と一致し、第1チップ14の短手方向はダイパッド部11Aの短手方向と一致している。このため、第1チップ14は、その短手方向がフレーム11、ダイパッド12、およびリード13A~13Gの配列方向と一致するように配置されている。第1チップ14は、その短手方向が封止樹脂16の長手方向と一致するように配置されているともいえる。なお、平面視における第1チップ14の形状および配置態様はそれぞれ任意に変更可能である。なお、第1チップ14の端子の数は任意に変更可能である。また、端子P1~P5の配置位置は任意に変更可能である。一例では、端子P1および端子P2の少なくとも一方が第1チップ14のX方向の両端部のうち第2チップ15に近い方の端部に配置されていてもよい。
【0026】
第1チップ14は、複数の端子P1~P5を含む。端子P1~P5は、第1チップ14のチップ表面から露出するように形成されている。端子P1,P2は、チップ表面のX方向の両端部のうち第1封止側面16Aの近い方の端部に設けられている。端子P1は、チップ表面のうちリード13Aの近くに設けられている。端子P2は、チップ表面のうちリード部11Bの近くに設けられている。端子P3~P5は、チップ表面のX方向の両端部のうち第2チップ15に近い方の端部に設けられている。端子P3~P5は、Y方向において互いに離隔して配列されている。なお、第1チップ14の端子の数は任意に変更可能である。
【0027】
ダイパッド12に搭載された第2チップ15は、Z方向を厚方向とする矩形平板状に形成されている。平面視における第2チップ15の形状は、Y方向が長手方向となり、X方向が短手方向となる矩形状である。つまり、第2チップ15の長手方向はダイパッド12の長手方向と一致し、第2チップ15の短手方向はダイパッド12の短手方向と一致している。このため、第2チップ15は、その短手方向がフレーム11、ダイパッド12、およびリード13A~13Gの配列方向と一致するように配置されている。第2チップ15は、その短手方向が封止樹脂16の長手方向と一致するように配置されているともいえる。なお、平面視における第2チップ15の形状および配置態様はそれぞれ任意に変更可能である。
【0028】
第2チップ15は、複数の端子Q1~Q9を含む。複数の端子Q1~Q9は、第2チップ15のチップ表面から露出するように形成されている。端子Q1~Q3は、チップ表面のX方向の両端部のうち第1チップ14に近い方の端部に設けられている。端子Q1~Q3は、Y方向において互いに離隔して配列されている。端子Q4~Q9は、チップ表面のX方向の両端部のうち第2封止側面16B(リード13B~13G)に近い方の端部に設けられている。端子Q4~Q9は、Y方向において互いに離隔して配列されている。なお、第2チップ15の端子の数は任意に変更可能である。
【0029】
第1チップ14の端子P1は、ワイヤW1によってリード13Aに電気的に接続されている。端子P2は、ワイヤW2によってリード部11Bに電気的に接続されている。このため、端子P2は、フレーム11に電気的に接続されているともいえる。リード13Aおよびリード部11Bには、高電圧発生部VTが電気的に接続される。高電圧発生部VTは、例えば直流電源である。リード13Aには高電圧発生部VTの正極が電気的に接続され、リード部11Bには高電圧発生部VTの負極が電気的に接続される。
【0030】
第1チップ14の端子P3~P5と第2チップ15の端子Q1~Q3とはワイヤW3~W5によって個別に電気的に接続されている。端子Q4~Q9は、ワイヤW6~W11によってリード13B~13Gと個別に電気的に接続されている。
【0031】
ここで、第1実施形態では、端子P1~P5のうち端子P1,P2は高圧側端子を構成し、端子P3~P5は低圧側端子を構成している。つまり、第1チップ14の端子P1~P5のうちリード13Aおよびリード部11Bに電気的に接続された端子が高圧側端子を構成し、第2チップ15に電気的に接続された端子が低圧側端子を構成している。
【0032】
このように、高電圧発生部VTに電気的に接続されたフレーム11のダイパッド部11Aは高圧側ダイパッドを構成し、ダイパッド12が低圧側ダイパッドを構成している。このため、端子P3~P5と第1チップ14の後述する基板30との絶縁耐圧は、端子P1,P2と基板30との絶縁耐圧よりも高い。一例では、端子P3~P5と基板30との絶縁耐圧は直流電圧で3850V程度であり、端子P1,P2と基板30との絶縁耐圧は、直流電圧で1400V程度である。
【0033】
次に、第1チップ14および第2チップ15内の回路構成について説明する。
図2に示すように、第1チップ14は、高電圧発生部VT(図1参照)の高電圧を降圧するための第1~第4抵抗回路14A~14Dを含む。第1抵抗回路14Aは抵抗値RAを含み、第2抵抗回路14Bは抵抗値RBを含み、第3抵抗回路14Cは抵抗値RCを含み、第4抵抗回路14Dは抵抗値RDを含む。
【0034】
抵抗値RBは、抵抗値RAよりも小さい。抵抗値RAに対する抵抗値RBの比(RB/RA)は、予め設定されている。抵抗値RCは、抵抗値RDよりも小さい。抵抗値RDに対する抵抗値RCの比(RC/RD)は、予め設定されている。比(RB/RA)および比(RC/RD)は、同一の所定値(例えば1/999)に設定されている。
【0035】
第1~第4抵抗回路14A~14Dは、直列に接続されている。第1~第4抵抗回路14A~14Dの各々は、第1端部および第2端部を有する。第1抵抗回路14Aの第1端部は端子P1に電気的に接続されており、第1抵抗回路14Aの第2端部は第2抵抗回路14Bの第1端部に電気的に接続されている。第1抵抗回路14Aと第2抵抗回路14Bとの接続点は、端子P3に電気的に接続されている。第2抵抗回路14Bの第2端部は、第3抵抗回路14Cの第1端部に電気的に接続されている。第2抵抗回路14Bと第3抵抗回路14Cとの接続点は、端子P4に電気的に接続されている。第3抵抗回路14Cの第2端部は、第4抵抗回路14Dの第1端部に電気的に接続されている。第3抵抗回路14Cと第4抵抗回路14Dとの接続点は、端子P5に電気的に接続されている。第4抵抗回路14Dの第2端部は端子P2に電気的に接続されている。
【0036】
第2チップ15は、電圧検出回路15Aを含む。電圧検出回路15Aは、オペアンプを含む。電圧検出回路15Aは、端子Q1~Q3に電気的に接続されている。端子Q1はワイヤW3によって第1チップ14の端子P3に電気的に接続されており、端子Q2はワイヤW4によって第1チップ14の端子P4に電気的に接続されており、端子Q3はワイヤW5によって第1チップ14の端子P5に電気的に接続されている。このため、電圧検出回路15Aは、第1抵抗回路14Aと第2抵抗回路14Bとの接続点と、第2抵抗回路14Bと第3抵抗回路14Cとの接続点と、第3抵抗回路14Cと第4抵抗回路14Dとの接続点との間の電圧を検出するように構成されている。端子Q4~Q9(リード13B~13G(図1参照))は、第2チップ15内のオペアンプに電源電圧を供給したり、電圧検出回路15Aの出力信号を出力したりするために用いられる。
【0037】
[第1チップの概略的な平面構造]
図3は、第1~第4抵抗回路14A~14D(図2参照)を含む第1チップ14の概略的な平面構造の一例を示している。なお、図3では、図面の理解を容易にするために端子P1,P2を端子P3~P5と同じ側に配置した例を示している。端子P1,P2は、図1に示すように、X方向において第1チップ14のうち端子P3~P5とは反対側に配置されていてもよい。
【0038】
図3に示すように、第1チップ14は、複数の単位半導体抵抗層(以下、「半導体抵抗層20」)を含む。各半導体抵抗層20は、平面視においてX方向に沿って延びている。換言すると、各半導体抵抗層20は、平面視において第1チップ14の短手方向に沿って延びている。平面視において、複数の半導体抵抗層20は、X方向において互いに揃った状態でY方向において互いに離隔して配列されている。換言すると、平面視において、複数の半導体抵抗層20は、第1チップ14の短手方向において互いに揃った状態で、第1チップ14の長手方向において互いに離隔して配列されている。複数の半導体抵抗層20は、電気的に直列接続されている。
【0039】
複数の半導体抵抗層20のうちY方向の第1端に配置された半導体抵抗層20Aには、端子P1が電気的に接続されている。複数の半導体抵抗層20のうちY方向の第1端とは反対側の第2端に配置された半導体抵抗層20Bには、端子P2が電気的に接続されている。端子P1と半導体抵抗層20Aとは、配線層23によって電気的に接続されている。端子P2と半導体抵抗層20Bとは、配線層24によって電気的に接続されている。
【0040】
複数の半導体抵抗層20は、第1~第4抵抗回路14A~14Dの構成要素として用いられている。複数の半導体抵抗層20は、Y方向において複数の抵抗領域として第1~第4抵抗領域R1~R4に区分することができる。つまり、第1~第4抵抗領域R1~R4は、第1チップ14の長手方向に区分された領域である。第1抵抗領域R1は、複数の半導体抵抗層20のY方向の第1端を含む領域である。換言すると、第1抵抗領域R1は、半導体抵抗層20Aを含むY方向の端部の領域である。第4抵抗領域R4は、複数の半導体抵抗層20のY方向の第2端を含む領域である。換言すると、第4抵抗領域R4は、半導体抵抗層20Bを含むY方向の端部の領域である。複数の半導体抵抗層20のうち第1抵抗領域R1と第4抵抗領域R4とのY方向の間に配置された部分は、第2抵抗領域R2および第3抵抗領域R3によって区分されている。第2抵抗領域R2は第1抵抗領域R1と隣り合う領域であり、第3抵抗領域R3は第4抵抗領域R4と隣り合う領域である。このため、第1~第4抵抗領域R1~R4は、複数の半導体抵抗層20のうち第1端(半導体抵抗層20A)から第2端(半導体抵抗層20B)に向かうにつれて、抵抗領域R1,R2,R3,R4の順に並んでいる。第1抵抗領域R1は第1抵抗回路14Aを構成する領域であり、第2抵抗領域R2は第2抵抗回路14Bを構成する領域であり、第3抵抗領域R3は第3抵抗回路14Cを構成する領域であり、第4抵抗領域R4は第4抵抗回路14Dを構成する領域である。
【0041】
端子P3は、第2抵抗領域R2の複数の半導体抵抗層20のうち第1抵抗領域R1寄りの端の半導体抵抗層20Cに電気的に接続されている。端子P3と半導体抵抗層20Cとは配線層25によって電気的に接続されている。
【0042】
端子P4は、第2抵抗領域R2の複数の半導体抵抗層20のうち第3抵抗領域R3寄りの端の半導体抵抗層20Dと、第3抵抗領域R3の複数の半導体抵抗層20のうち第2抵抗領域R2寄りの端の半導体抵抗層20Eとに電気的に接続されている。端子P4と半導体抵抗層20D,20Eとは配線層26によって電気的に接続されている。
【0043】
端子P5は、第3抵抗領域R3の複数の半導体抵抗層20のうち第4抵抗領域R4寄りの端の半導体抵抗層20Fに電気的に接続されている。端子P5と半導体抵抗層20Fとは配線層27によって電気的に接続されている。
【0044】
第1~第4抵抗領域R1~R4の各々の半導体抵抗層20の数は、個別に設定されている。第1実施形態では、第1抵抗領域R1および第4抵抗領域R4の半導体抵抗層20の数は互いに同じであり、第2抵抗領域R2および第3抵抗領域R3の半導体抵抗層20の数は互いに同じである。そして、第1抵抗領域R1および第4抵抗領域R4の各々の半導体抵抗層20の数は、第2抵抗領域R2および第3抵抗領域R3の各々の半導体抵抗層20の数よりも多い。なお、第1~第4抵抗領域R1~R4の各々の半導体抵抗層20の数は、第1実施形態に限られず、任意に変更可能である。
【0045】
[第1チップの断面構造]
図4図7を参照して、第1チップ14の内部構成の一例について説明する。図4は、図3の一点鎖線の枠A1を拡大した平面図である。図5は、図4のF5-F5線で第1チップ14を切断した断面構造を模式的に示している。図6は、図3のF6-F6線で第1チップ14を切断した断面構造を模式的に示している。図7は、図4のF7-F7線で第1チップ14を切断した断面構造の一部を示している。なお、図5では、説明の便宜上、後述する基板側絶縁層50と表面側絶縁層60との界面を示している。実際には、基板側絶縁層50と表面側絶縁層60との界面が視認できない場合がある。また、図6および図7では、基板側絶縁層50の一部および基板30を省略している。
【0046】
図5に示すように、第1チップ14は、基板30と、基板30上に形成された素子絶縁層40と、を含む。
基板30は、例えばSi(シリコン)を含む材料によって形成された半導体基板である。基板30の厚さは、例えば300μm程度である。なお、基板30は、ワイドバンドギャップ半導体または化合物半導体が用いられていてもよい。ワイドバンドギャップ半導体は、2.0eV以上のバンドギャップを有する半導体基板である。ワイドバンドギャップ半導体は、SiC(炭化シリコン)であってもよい。化合物半導体は、III-V族化合物半導体であってもよい。化合物半導体は、AlN(窒化アルミニウム)、InN(窒化インジウム)、GaN(窒化ガリウム)、およびGaAs(ヒ化ガリウム)のうち少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0047】
素子絶縁層40は、Z方向において互いに反対側を向く素子表面41および素子裏面42を有する。ここで、第1実施形態では、Z方向は「素子絶縁層の厚さ方向」に対応している。素子裏面42は、基板30と接している。素子表面41は、Z方向において基板30とは反対側の面である。
【0048】
図6に示すように、素子絶縁層40上には、端子P1~P5(図3参照)と、パッシベーション膜43とが形成されている。
端子P1~P5は、素子絶縁層40の素子表面41上に形成されている。端子P1~P5は、Ti(チタン)、TiN(窒化チタン)、Ta(タンタル)、TaN(窒化タンタル)、Au(金)、Ag、Cu、Al、Ni(ニッケル)、Pd(パラジウム)、およびW(タングステン)のうち1つまたは複数が適宜選択される。第1実施形態では、端子P1~P5は、Alを含む材料によって形成されている。一例として、図6では、素子表面41上に端子P1が形成された構造が示されている。
【0049】
図6に示すように、端子P1は、パッシベーション膜43によって覆われている。一方、パッシベーション膜43は、端子P1を露出する開口部43Xを有する。なお、図示していないが、端子P2~P5とパッシベーション膜43との関係も端子P1とパッシベーション膜43との関係と同様である。このように、端子P1~P5は、電極パッドを構成している。
【0050】
素子絶縁層40の素子表面41上に形成されたパッシベーション膜43は、第1チップ14の表面保護膜である。パッシベーション膜43は、例えばSiNを含む材料によって形成されている。なお、パッシベーション膜43を構成する材料は任意に変更可能であり、例えばSiO(酸化シリコン)を含む材料によって形成されていてもよい。また、パッシベーション膜43は、複数の膜の積層構造であってもよく、例えばSiNを含む材料によって形成された膜とSiOを含む材料によって形成された膜との積層構造であってもよい。
【0051】
素子絶縁層40は、基板30上に設けられた基板側絶縁層50と、基板側絶縁層50上に積層された表面側絶縁層60と、を含む。
基板側絶縁層50は、例えば第1チップ14の絶縁耐圧を向上させるための絶縁層である。基板側絶縁層50は、素子絶縁層40の素子裏面42を含む絶縁層である。このため、基板側絶縁層50は、基板30に接している。
【0052】
基板側絶縁層50は、複数のエッチングストッパ膜51と、複数のエッチングストッパ膜51上に形成された複数の層間絶縁膜52と、を有する。複数のエッチングストッパ膜51と複数の層間絶縁膜52とは、Z方向において1つずつ交互に積層されている。ここで、エッチングストッパ膜51は「第1絶縁膜」に対応し、層間絶縁膜52は「第2絶縁膜」に対応している。
【0053】
エッチングストッパ膜51は、SiN(窒化シリコン)、SiC、SiCN(窒素添加炭化シリコン)等を含む材料によって形成されている。第1実施形態では、エッチングストッパ膜51は、SiNを含む材料によって形成されている。
【0054】
層間絶縁膜52は、エッチングストッパ膜51の応力緩和となる絶縁膜である。層間絶縁膜52は、例えばSiO(酸化シリコン)を含む材料によって形成された酸化膜である。層間絶縁膜52の膜厚は、エッチングストッパ膜51の膜厚よりも厚い。エッチングストッパ膜51は、50nm以上1000nm未満の厚さを有する。層間絶縁膜52は、500nm以上5000nm以下の厚さを有する。第1実施形態では、エッチングストッパ膜51は300nm程度の厚さを有し、層間絶縁膜52は2000nm程度の厚さを有する。なお、図面の見やすさの観点から、図面におけるエッチングストッパ膜51の膜厚と層間絶縁膜52の膜厚との比率は、実際のエッチングストッパ膜51の膜厚と層間絶縁膜52の膜厚との比率とは異なる。
【0055】
表面側絶縁層60は、基板側絶縁層50のうち最上層の層間絶縁膜52に接している。表面側絶縁層60の厚さは、1つのエッチングストッパ膜51と1つの層間絶縁膜52との合計の厚さよりも厚い。表面側絶縁層60は、例えばSiO(酸化シリコン)を含む材料によって形成されている。
【0056】
図5に示すように、素子絶縁層40には、複数の半導体抵抗層20が設けられている。第1実施形態では、複数の半導体抵抗層20は、基板側絶縁層50上に設けられている。複数の半導体抵抗層20は、表面側絶縁層60によって覆われている。このため、複数の半導体抵抗層20は、素子絶縁層40に埋め込まれているともいえる。このように、第1チップ14は、基板側絶縁層50上に設けられた半導体抵抗層20と、半導体抵抗層20を覆う表面側絶縁層60と、を備えるともいえる。
【0057】
一例では、複数の半導体抵抗層20は、Z方向において基板側絶縁層50よりも素子表面41寄りに基板側絶縁層50から離隔して配置されている。このため、各半導体抵抗層20と基板側絶縁層50とのZ方向の間には、表面側絶縁層60の一部が介在している。このため、各半導体抵抗層20は、表面側絶縁層60に埋め込まれているともいえる。
【0058】
半導体抵抗層20は、Z方向を厚さ方向とする平板状に形成されている。半導体抵抗層20の厚さは、半導体抵抗層20の幅(Y方向の長さ)よりも薄い。半導体抵抗層20の厚さは、例えば1nm以上100nm以下である。第1実施形態では、半導体抵抗層20の厚さは、2.5nm程度である。半導体抵抗層20は、層間絶縁膜52よりも薄い厚さを有するといえる。半導体抵抗層20は、エッチングストッパ膜51よりも薄い厚さを有してもよい。半導体抵抗層20は、例えばCrSi(クロムシリコン)を含む材料によって形成されている。
【0059】
各半導体抵抗層20は、第1抵抗端部21および第2抵抗端部22を含む。第1抵抗端部21は、各半導体抵抗層20のX方向の両端部のうち端子P1が位置する側の端部である。第2抵抗端部22は、各半導体抵抗層20のX方向の両端部のうち端子P1が位置する側とは反対側の端部である。複数の半導体抵抗層20は、第1抵抗端部21および第2抵抗端部22において交互に電気的に接続されている。
【0060】
図7に示すように、Y方向において隣り合う半導体抵抗層20は、配線層70によって電気的に接続されている。図3および図7に示すように、配線層70は、平面視において半導体抵抗層20の第1抵抗端部21と重なる位置に配置されている。図7に示すように、配線層70は、Z方向において半導体抵抗層20とは異なる位置に配置されている。配線層70は、Z方向において半導体抵抗層20よりも基板30(図5参照)寄りに配置されている。一方、配線層70は、基板側絶縁層50上に設けられている。このため、配線層70は、半導体抵抗層20と基板側絶縁層50とのZ方向の間に配置されている。つまり、配線層70は、表面側絶縁層60に埋め込まれているともいえる。
【0061】
配線層70と半導体抵抗層20とは、接続配線71によって接続されている。つまり、第1チップ14は、半導体抵抗層20と配線層70とを接続する接続配線71を備える。接続配線71は、配線層70のうち平面視において半導体抵抗層20の第1抵抗端部21と重なる部分に接続されている。接続配線71の一例は、ビアである。1つの半導体抵抗層20と配線層70とは、複数の接続配線71によって接続されている。各接続配線71は、Z方向に延びている。
【0062】
端子P1と半導体抵抗層20Aとを電気的に接続する配線層23は、例えば配線層70とZ方向において同じ位置に配置されている。配線層23は、例えば半導体抵抗層20Aの第1抵抗端部21において、配線層70とY方向に異なる位置に配置されている。つまり、半導体抵抗層20Aの第1抵抗端部21は、配線層70によって電気的に接続されていない。なお、端子P2~P5と半導体抵抗層20とを個別に接続する配線層24~27(図3参照)も配線層23とZ方向において同じ位置に配置されている。端子P2~P5と半導体抵抗層20との接続構成は、端子P1と半導体抵抗層20との接続構成と概ね共通するため、その詳細な説明を省略する。
【0063】
平面視において、配線層23は、半導体抵抗層20Aの第1抵抗端部21と重なる部分と、第1抵抗端部21からX方向にはみ出す部分と、を含む。配線層23のうち第1抵抗端部21からX方向にはみ出す部分は、平面視において端子P1と重なる部分を含む。
【0064】
配線層23と半導体抵抗層20Aとは、抵抗層用接続配線72によって接続されている。つまり、第1チップ14は、配線層23と半導体抵抗層20Aとを接続する抵抗層用接続配線72を備える。抵抗層用接続配線72は、配線層23のうち平面視において半導体抵抗層20Aの第1抵抗端部21と重なる部分に接続されている。抵抗層用接続配線72の一例は、ビアである。半導体抵抗層20Aと配線層23とは、複数の抵抗層用接続配線72によって接続されている。各抵抗層用接続配線72は、Z方向に延びている。
【0065】
配線層23と端子P1とは、端子用接続配線73によって接続されている。つまり、第1チップ14は、配線層23と端子P1とを接続する端子用接続配線73を備える。端子用接続配線73は、配線層23のうち平面視において端子P1と重なる部分に接続されている。端子用接続配線73の一例は、ビアである。端子P1と配線層23とは、複数の端子用接続配線73によって接続されている。各端子用接続配線73は、Z方向に延びている。
【0066】
図6に示すように、配線層70は、平面視において半導体抵抗層20の第2抵抗端部22と重なる位置にも配置されている。配線層70と半導体抵抗層20の第2抵抗端部22とは、接続配線74によって接続されている。接続配線74の一例は、ビアである。半導体抵抗層20の第2抵抗端部22と配線層70とは、複数の接続配線74によって接続されている。各接続配線74は、Z方向に延びている。
【0067】
このように、平面視において半導体抵抗層20の第1抵抗端部21と重なる位置に配置された配線層70および接続配線71と、平面視において半導体抵抗層20の第2抵抗端部22と重なる位置に配置された配線層70および接続配線74とによって、Y方向に隣り合う半導体抵抗層20が直列に接続されている。
【0068】
配線層70は、例えばTi、TiN、Ta、TaN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち少なくとも1つを含む材料によって形成されている。一例では、配線層70は、Alを含む材料によって形成されている。一例では、配線層70は、Alによって形成されたAl層である。
【0069】
接続配線71,74は、例えばTi、TiN、Ta、TaN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち少なくとも1つを含む材料によって形成されている。一例では、接続配線71は、Wを含む材料によって形成されている。抵抗層用接続配線72は、例えばTi、TiN、Ta、TaN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち少なくとも1つを含む材料によって形成されている。一例では、抵抗層用接続配線72は、接続配線71,74と同じ材料によって形成されている。一例では、抵抗層用接続配線72は、Wを含む材料によって形成されている。端子用接続配線73は、例えばTi、TiN、Ta、TaN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち少なくとも1つを含む材料によって形成されている。一例では、端子用接続配線73は、接続配線71,74と同じ材料によって形成されている。一例では、端子用接続配線73は、Wを含む材料によって形成されている。
【0070】
[半導体抵抗層の詳細な構成]
図6および図8図10を参照して、半導体抵抗層20の詳細な構成について説明する。図8は、図6の半導体抵抗層20のうち第1抵抗端部21およびその周辺を拡大した拡大図である。図9は、半導体抵抗層20の模式的な斜視構造を示している。図10は、図8の一点鎖線の枠A2を拡大した拡大図である。
【0071】
図8に示すように、半導体抵抗層20は、基板30(図5参照)の厚さ方向と直交する第1方向に延び、かつ、厚さ方向に凹凸部80を有する。第1実施形態では、半導体抵抗層20は、X方向に延び、かつ、Z方向に凹凸部80を有する。このため、X方向は「第1方向」に対応し、Z方向は「基板の厚さ方向」に対応している。
【0072】
図9に示すように、第1実施形態では、凹凸部80は、X方向において互いに離隔して複数設けられている。第1実施形態では、複数の凹凸部80は、X方向において等ピッチで設けられている。なお、複数の凹凸部80の配列態様は、任意に変更可能である。一例では、複数の凹凸部80のうち少なくとも一部は、不等ピッチで設けられていてもよい。図9の例では、Y方向に隣り合う半導体抵抗層20における凹凸部80のX方向の位置は、互いに等しい。
【0073】
図6に示すように、半導体抵抗層20は、上述の第1抵抗端部21および第2抵抗端部22を含む。第1抵抗端部21および第2抵抗端部22の双方には、凹凸部80が設けられておらず、Y方向から視てX方向に延びている。つまり、第1抵抗端部21および第2抵抗端部22の双方は、X方向において凹凸部80とは異なる位置に設けられている。ここで、Y方向は「第2方向」に対応している。
【0074】
第1抵抗端部21のZ方向の位置と第2抵抗端部22のZ方向の位置とは、互いに同じである。第1抵抗端部21の厚さと第2抵抗端部22の厚さとは互いに等しい。ここで、第1抵抗端部21の厚さと第2抵抗端部22の厚さとの差が例えば第1抵抗端部21の厚さの10%以下であれば、第1抵抗端部21の厚さと第2抵抗端部22の厚さとが互いに等しいといえる。
【0075】
図10に示すように、凹凸部80は、第1抵抗部81、第2抵抗部82、および接続部83を含む。一例では、第1抵抗部81、第2抵抗部82、および接続部83は、一体に形成されている。
【0076】
Y方向から視て、第1抵抗部81は、X方向に延びている。第1抵抗部81のZ方向の位置は、第1抵抗端部21および第2抵抗端部22(ともに図6参照)のZ方向の位置と同じである。第1抵抗部81は、X方向の両端部となる第1端部81Aおよび第2端部81Bを含む。第1端部81Aは、X方向における第1抵抗部81のうち第1抵抗端部21寄りの端部である。第2端部81Bは、X方向における第1抵抗部81のうち第2抵抗端部22寄りの端部である。
【0077】
複数の凹凸部80における複数の第1抵抗部81は、Z方向において互いに同じ位置に配置されている。複数の第1抵抗部81は、X方向において互いに離隔して配列されている。
【0078】
図8に示すように、複数の凹凸部80のうち第1抵抗端部21に最も近い凹凸部80の第1抵抗部81は、第1抵抗端部21を構成している。つまり、複数の凹凸部80のうち第1抵抗端部21に最も近い凹凸部80の第1抵抗部81のX方向の長さは、他の第1抵抗部81の長さよりも長い。第1抵抗部81の厚さは、第1抵抗端部21の厚さと等しい。ここで、第1抵抗部81の厚さと第1抵抗端部21の厚さとの差が例えば第1抵抗端部21の厚さの10%以内であれば、第1抵抗部81の厚さが第1抵抗端部21の厚さと等しいといえる。
【0079】
第2抵抗部82は、第1抵抗部81とはX方向およびZ方向にずれた位置に設けられている。つまり、第2抵抗部82は、平面視において第1抵抗部81とはY方向に重ならない位置(異なる位置)に配置されている。第1実施形態では、Z方向において、第2抵抗部82は、第1抵抗部81よりも基板30(図5参照)寄りに配置されている。一例では、Z方向において、第2抵抗部82は、配線層70よりも第1抵抗部81寄りに配置されている。このため、第2抵抗部82は、第1抵抗部81と配線層70とのZ方向の間に配置されているといえる。第1抵抗部81と第2抵抗部82とのZ方向の間の距離は、第2抵抗部82と配線層70とのZ方向の間の距離よりも小さい。つまり、Z方向において、第2抵抗部82は、配線層70よりも第1抵抗部81の近くに配置されている。
【0080】
図10に示すように、Y方向から視て、第2抵抗部82は、X方向に延びている。第2抵抗部82は、X方向の両端部となる第1端部82Aおよび第2端部82Bを含む。第1端部82Aは、X方向における第2抵抗部82のうち第1抵抗端部21(図6参照)寄りの端部である。第2端部82Bは、X方向における第2抵抗部82のうち第2抵抗端部22(図6参照)寄りの端部である。
【0081】
図8に示すように、複数の凹凸部80における複数の第2抵抗部82は、Z方向において互いに同じ位置に配置されている。複数の第2抵抗部82は、X方向において互いに離隔して配列されている。一例では、平面視において、複数の第1抵抗部81および複数の第2抵抗部82は、X方向において交互に配列されている。
【0082】
一例では、第2抵抗部82の長さ寸法は、第1抵抗部81の長さ寸法よりも短い。ここで、第2抵抗部82の長さ寸法は、第2抵抗部82のX方向の寸法によって定義できる。第1抵抗部81の長さ寸法は、第1抵抗部81のX方向の寸法によって定義できる。
【0083】
第2抵抗部82の厚さは、第1抵抗部81の厚さと等しい。ここで、第2抵抗部82の厚さと第1抵抗部81の厚さとの差が例えば第1抵抗部81の厚さの10%以内であれば、第2抵抗部82の厚さが第1抵抗部81の厚さと等しいといえる。
【0084】
図10に示すように、接続部83は、第1抵抗部81と第2抵抗部82とを接続する部分である。接続部83は、Y方向から視て、X方向と交差する方向に延びている。一例では、接続部83は、Y方向から視て、X方向およびZ方向の双方と交差する方向に延びている。つまり、接続部83は、Y方向から視て、基板30の厚さ方向(Z方向)に対して傾斜して延びている。
【0085】
接続部83は、第1接続部83Aおよび第2接続部83Bを含む。
第1接続部83Aは、第1抵抗部81の第2端部81Bと第2抵抗部82の第1端部82Aとを接続している。つまり、第1接続部83Aは、凹凸部80のうち第1抵抗端部21寄りの接続部を構成している。第1接続部83Aは、第1抵抗部81の第2端部81Bから第2抵抗部82の第1端部82Aに向かうにつれて基板30に向けて傾斜して延びている。
【0086】
第1接続部83Aの長さ寸法は、第1抵抗部81の厚さよりも大きい。第1接続部83Aの長さ寸法は、第2抵抗部82の厚さよりも大きい。一例では、第1接続部83Aの長さ寸法は、第2抵抗部82の長さ寸法よりも大きい。一例では、第1接続部83Aの長さ寸法は、第1抵抗部81の長さ寸法と等しい。一例では、第1接続部83Aの長さ寸法は、X方向において隣り合う半導体抵抗層20の間の距離よりも小さい。一例では、第1接続部83Aの長さ寸法は、半導体抵抗層20の幅寸法よりも小さい。ここで、第1接続部83Aの長さ寸法は、Y方向から視て第1接続部83Aが延びる方向の寸法によって定義できる。また、半導体抵抗層20の幅寸法は、平面視において半導体抵抗層20が延びる方向と直交する方向の寸法によって定義できる。
【0087】
第2接続部83Bは、第2抵抗部82の第2端部82Bと、X方向において第2端部82B寄りに隣り合う凹凸部80の第1抵抗部81の第1端部81Aとを接続している。つまり、第2接続部83Bは、凹凸部80のうち第2抵抗端部22寄りの接続部を構成している。第2接続部83Bは、第2抵抗部82の第2端部82Bから第1抵抗部81の第1端部81Aに向かうにつれて基板30とは反対側に向けて傾斜して延びている。
【0088】
第2接続部83Bの長さ寸法は、第1抵抗部81の厚さよりも大きい。第2接続部83Bの長さ寸法は、第2抵抗部82の厚さよりも大きい。一例では、第2接続部83Bの長さ寸法は、第2抵抗部82の長さ寸法よりも大きい。一例では、第2接続部83Bの長さ寸法は、第1抵抗部81の長さ寸法と等しい。一例では、第2接続部83Bの長さ寸法は、Y方向において隣り合う半導体抵抗層20の間の距離よりも小さい。一例では、第2接続部83Bの長さ寸法は、半導体抵抗層20の幅寸法よりも小さい。ここで、第2接続部83Bの長さ寸法は、Y方向から視て第2接続部83Bが延びる方向の寸法によって定義できる。
【0089】
また、第1抵抗部81と第2抵抗部82とのZ方向の間の距離は、第1抵抗部81の厚さよりも大きい。第1抵抗部81と第2抵抗部82とのZ方向の間の距離は、第2抵抗部82の厚さよりも大きい。第1抵抗部81と第2抵抗部82とのZ方向の間の距離は、第2抵抗部82の長さ寸法よりも大きい。
【0090】
[第1チップの製造方法]
図11図20を参照して、第1チップ14の製造方法の一例について説明する。図11図20は、第1チップ14の製造工程を示す第1チップ14の構成要素の断面構造を示している。
【0091】
第1チップ14の製造方法は、基板830を用意する工程と、基板830上に基板側絶縁層850を形成する工程と、第1表面側絶縁層861を形成する工程と、配線層70および配線層23を形成する工程と、第2表面側絶縁層862を形成する工程と、接続配線71および抵抗層用接続配線72を形成する工程と、第2表面側絶縁層862に溝864を形成する工程と、半導体抵抗層20を形成する工程と、第3表面側絶縁層863を形成する工程と、端子用接続配線73を形成する工程と、端子P1~P5を形成する工程と、パッシベーション膜843を形成する工程と、個片化する工程と、を主に備える。
【0092】
図11に示すように、基板830を用意する工程では、例えばSi基板である基板830が用意される。基板830は、基板30を構成する部品であり、例えば半導体ウエハである。ここで、基板830は、複数の基板30を含むように構成されている。
【0093】
続いて、基板830上に基板側絶縁層850を形成する工程が実施される。この工程では、例えばCVD(chemical vapor deposition:化学気相蒸着法)によって、基板830上に基板側絶縁層850が形成される。より詳細には、例えばCVDによってエッチングストッパ膜851と層間絶縁膜852とが交互に積層するように形成される。基板側絶縁層850は、基板側絶縁層50を構成する絶縁層である。エッチングストッパ膜851はエッチングストッパ膜51を構成する絶縁膜であり、層間絶縁膜852は層間絶縁膜52を構成する絶縁膜である。
【0094】
図12は、第1表面側絶縁層861を形成する工程と配線層70および配線層23を形成する工程における配線層70を形成する工程とを示している。図13は、配線層70および配線層23を形成する工程における配線層23を形成する工程を示している。
【0095】
図12に示すように、第1表面側絶縁層861を形成する工程では、例えばCVDによって基板側絶縁層850上に第1表面側絶縁層861が形成される。第1表面側絶縁層861は、例えばSiOを含む材料によって形成されている。第1表面側絶縁層861は、表面側絶縁層60のうち基板側絶縁層50と配線層70との間の部分を構成する絶縁層である。このように、第1表面側絶縁層861を形成する工程は、表面側絶縁層860の一部を構成する工程である。
【0096】
図12では、第1表面側絶縁層861と、第1表面側絶縁層861と接する基板側絶縁層50(層間絶縁膜852)との間に界面を二点鎖線で示している。しかし、実際には、第1表面側絶縁層861と層間絶縁膜852とは互いに同じ材料によって形成されているため、第1表面側絶縁層861と層間絶縁膜852との間に界面が視認できない場合がある。
【0097】
続いて、図12および図13に示すように、配線層70および配線層23を形成する工程では、例えばスパッタ法によって配線層70および配線層23の材料膜であるメタル膜(図示略)が第1表面側絶縁層861上に形成される。メタル膜は、例えばTi、TiN、Ta、TaN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち1つまたは複数が適宜選択される。続いて、例えばリソグラフィおよびエッチングによってメタル膜をパターニングすることによって配線層70および配線層23が形成される。つまり、配線層70および配線層23は、メタル膜をパターニングすることによって同時に形成される。なお、図示していないが、配線層24~27(図3参照)もメタル膜をパターニングすることによって配線層23と同時に形成される。
【0098】
図14は、接続配線71および抵抗層用接続配線72を形成する工程における接続配線71を形成する工程を示している。図15は、接続配線71および抵抗層用接続配線72を形成する工程における抵抗層用接続配線72を形成する工程を示している。
【0099】
図14および図15に示すように、第2表面側絶縁層862を形成する工程では、配線層70および配線層23~27を覆うように第1表面側絶縁層861上に、例えばCVDによって第2表面側絶縁層862が形成される。第2表面側絶縁層862は、表面側絶縁層860の一部を構成する絶縁層である。第2表面側絶縁層862は、例えばSiOを含む材料によって形成されている。このように、第2表面側絶縁層862を形成する工程は、表面側絶縁層860の一部を形成する工程である。
【0100】
続いて、接続配線71および抵抗層用接続配線72を形成する工程では、まず例えばエッチングによってビア用開口部が形成される。図14に示すビア用開口部は、第2表面側絶縁層862をZ方向に貫通するとともに配線層70を露出している。図15に示すビア用開口部は、第2表面側絶縁層862をZ方向に貫通するとともに配線層23を露出している。続いて、例えばスパッタ法によって図14および図15に示すビア用開口部内に金属材料が充填される。金属材料は、例えばTi、TiN、Ta、TaN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち1つまたは複数が適宜選択される。これにより、接続配線71および抵抗層用接続配線72が形成される。接続配線71および抵抗層用接続配線72の双方は、第2表面側絶縁層862からZ方向に露出している。
【0101】
図16は、第2表面側絶縁層862に溝864を形成する工程を示している。
第2表面側絶縁層862に溝864を形成する工程では、例えばエッチングによって第2表面側絶縁層862の表面862Aから凹むように溝864が形成される。エッチングとしては、例えばドライエッチングが採用される。ドライエッチングとしては、例えば反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)が採用される。
【0102】
溝864は、複数形成されている。複数の溝864は、X方向において互いに離隔した状態で形成されている。各溝864は、X方向に延びている。各溝864は、Y方向から視て、基板側絶縁層850に向かうにつれて先細る台形状に形成されている。一例では、複数の溝864は、互いに同じ形状である。
【0103】
各溝864は、底面864Aと、底面864Aから第2表面側絶縁層862の表面862Aに向かうにつれてZ方向およびX方向と交差する方向に延びる一対の傾斜面864Bと、を含む。底面864Aは、例えばZ方向と直交する平面によって形成されている。各傾斜面864Bは、底面864Aと表面862Aとを繋いでいる。
【0104】
図17および図18は、半導体抵抗層20を形成する工程を示している。
半導体抵抗層20を形成する工程では、各溝864および第2表面側絶縁層862の表面862Aに、半導体抵抗層20の材料膜である抵抗材料膜が形成される。抵抗材料膜は、例えばCrSiを含む材料によって形成される。抵抗材料膜は、各溝864および第2表面側絶縁層862の表面862Aの全体にわたり形成される。より詳細には、抵抗材料膜は、各溝864の底面864Aおよび一対の傾斜面864Bと接するとともに表面862Aに接するように形成される。続いて、例えばリソグラフィおよびエッチングによって抵抗材料膜がパターニングされることによって半導体抵抗層20が形成される。これにより、半導体抵抗層20は、第2表面側絶縁層862の表面862Aおよび溝864に沿うように形成される。また、接続配線71の上端および抵抗層用接続配線72の上端の各々が半導体抵抗層20に接続される。
【0105】
図19は、第3表面側絶縁層863を形成する工程を示している。
第3表面側絶縁層863を形成する工程では、半導体抵抗層20を覆うとともに各溝864を埋めるように第2表面側絶縁層862上に、例えばCVDによって第3表面側絶縁層863が形成される。第3表面側絶縁層863は、表面側絶縁層860の一部を構成する絶縁層である。第3表面側絶縁層863は、例えばSiOを含む材料によって形成されている。以上の工程を経て、表面側絶縁層860が形成される。
【0106】
図20は、端子用接続配線73を形成する工程と、端子P1を形成する工程と、パッシベーション膜843を形成する工程と、個片化する工程と、を示している。なお、図示していないが、端子P2~P5は、端子P1と同時に形成される。
【0107】
端子用接続配線73を形成する工程では、まず例えばエッチングによってビア用開口部が形成される。図20に示すビア用開口部は、第3表面側絶縁層863および第2表面側絶縁層862の双方をZ方向に貫通するとともに配線層23を露出している。続いて、例えばスパッタ法によってビア用開口部内に金属材料が充填される。金属材料は、例えばTi、TiN、Ta、TaN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち1つまたは複数が適宜選択される。これにより、端子用接続配線73が形成される。端子用接続配線73は、第3表面側絶縁層863からZ方向に露出している。
【0108】
続いて、端子P1を形成する工程では、例えばスパッタ法によって第3表面側絶縁層863上に端子P1の材料膜であるメタル膜が形成される。メタル膜は、端子用接続配線73と接している。メタル膜は、例えばTi、TiN、Ta,TaN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち1つまたは複数が適宜選択される。続いて、リソグラフィおよびエッチングによってメタル膜をパターニングすることによって端子P1が形成される。なお、図示していないが、端子P2~P5も同様に形成される。このように、端子P1~P5は、端子用接続配線73と接している。
【0109】
続いて、パッシベーション膜843を形成する工程では、まず例えば第3表面側絶縁層863上および端子P1~P5上にパッシベーション膜843の材料膜であるパッシベーション材料膜が形成される。続いて、例えばエッチングによってパッシベーション材料膜のうち端子P1~P5を覆う部分の一部が除去される。つまり、端子P1~P5の一部は、パッシベーション材料膜から露出する。パッシベーション膜843には、端子P1~P5を露出する開口部843Xが形成されるともいえる。これにより、パッシベーション材料膜からパッシベーション膜843が形成される。パッシベーション膜843は、パッシベーション膜43を構成する膜であり、例えばSiNを含む材料によって形成される。なお、図20では、端子P1を露出する開口部843Xが示されている。開口部843Xは、開口部43Xに対応する。
【0110】
続いて、個片化する工程では、例えばダイシングブレードを用いて図20の切断線CLに沿ってパッシベーション膜843、表面側絶縁層860、基板側絶縁層850、および基板830が切断される。これにより、パッシベーション膜43、表面側絶縁層60、基板側絶縁層50、および基板30が形成される。以上の工程を経て、第1チップ14が製造される。
【0111】
[作用]
第1実施形態の半導体モジュール10の作用について説明する。
第1チップ14においては、複数の半導体抵抗層20の合計の長さに応じて抵抗値が主に設定される。第1実施形態では、半導体抵抗層20が凹凸部80を有するため、半導体抵抗層20が凹凸部80を有していない構成と比較して、平面視における複数の半導体抵抗層20の合計の長さを短くすることができる。一例では、各半導体抵抗層20のX方向の長さを短くすることができる。これにより、X方向において第1チップ14の小型化を図ることができる。また別の例では、複数の半導体抵抗層20の数を減らすことができる。これにより、Y方向において第1チップ14の小型化を図ることができる。
【0112】
[効果]
第1実施形態の半導体モジュール10によれば、以下の効果が得られる。
(1-1)半導体装置としての第1チップ14は、基板30と、基板30上に設けられた素子絶縁層40と、素子絶縁層40内に設けられた半導体抵抗層20と、を備える。半導体抵抗層20は、基板30の厚さ方向(Z方向)と直交する第1方向であるX方向に延び、かつ、Z方向に凹凸部80を有する。
【0113】
この構成によれば、半導体抵抗層20が凹凸部80を有するため、平面視において半導体抵抗層20のX方向の長さを短くすることができる。したがって、X方向における第1チップ14の小型化を図ることができる。
【0114】
(1-2)凹凸部80は、X方向において互いに離隔して複数設けられている。
この構成によれば、平面視において半導体抵抗層20のX方向の長さをより短くすることができる。したがって、X方向における第1チップ14のさらなる小型化を図ることができる。
【0115】
(1-3)凹凸部80は、X方向に延びている第1抵抗部81と、第1抵抗部81とはX方向にずれた位置であってかつ第1抵抗部81よりも基板30寄りに設けられ、X方向に延びている第2抵抗部82と、X方向と交差する方向に延びて、第1抵抗部81のX方向の端部と、第2抵抗部82のX方向の端部とを接続している接続部83と、を含む。接続部83の長さ寸法は、第1抵抗部81の厚さよりも大きい。
【0116】
この構成によれば、接続部83の長さ寸法が第1抵抗部81の厚さよりも大きくなることによって、平面視において半導体抵抗層20のX方向の長さを短くすることができる。したがって、X方向における第1チップ14の小型化を図ることができる。
【0117】
(1-4)接続部83の長さ寸法は、第2抵抗部82の長さ寸法よりも大きい。
この構成によれば、接続部83の長さ寸法が第2抵抗部82の長さ寸法よりも大きくなることによって、平面視において半導体抵抗層20のX方向の長さを短くすることができる。したがって、X方向における第1チップ14の小型化を図ることができる。
【0118】
(1-5)接続部83は、Y方向から視て、Z方向に対して傾斜して延びている。
この構成によれば、例えばスパッタ法で半導体抵抗層20を形成する場合、接続部83がZ方向に延びる構成と比較して、Z方向に対して傾斜して延びる接続部83を形成しやすい。
【0119】
(1-6)素子絶縁層40は、基板30上に設けられた基板側絶縁層50と、基板側絶縁層50上に積層された表面側絶縁層60と、を備える。基板側絶縁層50は、複数のエッチングストッパ膜51と、エッチングストッパ膜51の応力緩和となる複数の層間絶縁膜52とが1つずつ交互に積層された構成である。半導体抵抗層20は、表面側絶縁層60に埋め込まれている。
【0120】
この構成によれば、表面側絶縁層60に埋め込まれた半導体抵抗層20と基板30との間に基板側絶縁層50が介在することによって半導体抵抗層20と基板30とのZ方向の間の距離を大きくとることができる。したがって、第1チップ14の絶縁耐圧の向上を図ることができる。
【0121】
また、複数のエッチングストッパ膜51と、エッチングストッパ膜51の応力緩和となる複数の層間絶縁膜52とが1つずつ交互に積層された基板側絶縁層50が構成となることによって、基板側絶縁層50を厚くしても第1チップ14の反り量の増加を抑制できる。
【0122】
<第2実施形態>
図21図23を参照して、第2実施形態の半導体モジュール10について説明する。第2実施形態の半導体モジュール10は、第1実施形態の半導体モジュール10と比較して、半導体抵抗層20と配線層70および配線層23との位置関係が異なる。以下の説明では、第1実施形態と異なる点を詳細に説明し、第1実施形態と共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0123】
図21は、複数の半導体抵抗層20の第1抵抗端部21およびその周辺の平面構造を示している。図22は、図21のF22-F22線で切断した断面構造であり、複数の半導体抵抗層20同士の接続構造を示している。図23は、図21のF23-F23線で切断した断面構造であり、1つの半導体抵抗層20と端子P1との接続構造を示している。
【0124】
図21および図22に示すように、配線層70は、Z方向において半導体抵抗層20に対して基板30(図5参照)とは反対側に配置されている。配線層70は、半導体抵抗層20に対してZ方向に離隔している。このため、配線層70と半導体抵抗層20とのZ方向の間には、表面側絶縁層60の一部が介在している。つまり、配線層70と半導体抵抗層20とのZ方向の間には、素子絶縁層40の一部が介在しているといえる。第2実施形態では、配線層70は、素子絶縁層40上に配置されている。一例では、配線層70は、素子絶縁層40の素子表面41に接している。そして配線層70は、パッシベーション膜43によって覆われている。
【0125】
接続配線71は、Z方向において配線層70と半導体抵抗層20の第1抵抗端部21との間に配置されている。接続配線71は、Z方向において半導体抵抗層20に対して基板30とは反対側に配置されているといえる。第2実施形態では、接続配線71は、配線層70と同じ材料によって形成されている。一例では、接続配線71は、配線層70と一体に形成されている。
【0126】
図24に示すように、第2実施形態では、半導体抵抗層20AのX方向の長さは、他の半導体抵抗層20のX方向の長さよりも長い。これにより、半導体抵抗層20Aの第1抵抗端部21は、他の半導体抵抗層20の第1抵抗端部21よりもX方向にずれた位置に形成されている。半導体抵抗層20Aの第1抵抗端部21は、平面視において端子P1と重なる位置に形成されている。
【0127】
端子用接続配線73は、Z方向において半導体抵抗層20Aの第1抵抗端部21と端子P1との間に配置されている。端子用接続配線73は、Z方向において半導体抵抗層20に対して基板30(図5参照)とは反対側に配置されているといえる。第2実施形態では、端子用接続配線73は、端子P1と同じ材料によって形成されている。一例では、端子用接続配線73は、端子P1と一体に形成されている。このように、第2実施形態では、配線層23(図6参照)が省略されている。
【0128】
なお、図示していないが、第1チップ14から配線層24(図3参照)も配線層23と同様に省略してもよい。この場合、半導体抵抗層20Bは、半導体抵抗層20Aと同様の構成となる。
【0129】
また、配線層25~27は、例えば素子絶縁層40の素子表面41に形成されていてもよい。この場合、平面視において配線層25~27の各々と重なる半導体抵抗層20の第1抵抗端部21と、配線層25~27とは、端子用接続配線(図示略)によって接続されている。端子用接続配線は、図24に示す端子用接続配線73と同様の構成である。なお、配線層23,24も配線層25~27と同様に構成してもよい。
【0130】
[効果]
第2実施形態の半導体モジュール10によれば、第1実施形態の半導体モジュール10の効果に加え、以下の効果が得られる。
【0131】
(2-1)第1チップ14は、半導体抵抗層20と電気的に接続された配線層70をさらに備える。配線層70は、Z方向において半導体抵抗層20に対して基板30とは反対側に配置されている。この構成によれば、配線層70と基板30とのZ方向の間の距離を大きくとることができる。したがって、第1チップ14の絶縁耐圧の向上を図ることができる。
<変更例>
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、上記各実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0132】
・各実施形態において、半導体抵抗層20の構成は任意に変更可能である。
一例では、第2抵抗部82の長さ寸法は、第1抵抗部81の長さ寸法と等しくてもよい。ここで、第2抵抗部82の長さ寸法と第1抵抗部81の長さ寸法との差が10%以内であれば、第2抵抗部82の長さ寸法が第1抵抗部81の長さ寸法と等しいといえる。また、第2抵抗部82の長さ寸法は、第1抵抗部81の長さ寸法よりも大きくてもよい。
【0133】
一例では、第1接続部83Aの長さ寸法は、第1抵抗部81の長さ寸法よりも小さくてもよい。一例では、第1接続部83Aの長さ寸法は、第1抵抗部81の長さ寸法よりも大きくてもよい。一例では、第1接続部83Aの長さ寸法は、第2抵抗部82の長さ寸法と等しくてもよい。ここで、第1接続部83Aの長さ寸法と第2抵抗部82の長さ寸法との差が例えば第2抵抗部82の長さ寸法の10%以内であれば、第1接続部83Aの長さ寸法が第2抵抗部82の長さ寸法と等しいといえる。一例では、第1接続部83Aの長さ寸法は、第2抵抗部82の長さ寸法よりも小さくてもよい。
【0134】
一例では、第1接続部83Aの長さ寸法は、Y方向において隣り合う半導体抵抗層20の間の距離と等しくてもよい。ここで、第1接続部83Aの長さ寸法とY方向において隣り合う半導体抵抗層20の間の距離との差が例えば第1接続部83Aの長さ寸法の10%以内であれば、第1接続部83Aの長さ寸法がY方向において隣り合う半導体抵抗層20の間の距離と等しいといえる。一例では、第1接続部83Aの長さ寸法は、Y方向において隣り合う半導体抵抗層20の間の距離よりも大きくてもよい。
【0135】
一例では、第2接続部83Bの長さ寸法は、第1抵抗部81の長さ寸法よりも小さくてもよい。一例では、第2接続部83Bの長さ寸法は、第1抵抗部81の長さ寸法よりも大きくてもよい。一例では、第2接続部83Bの長さ寸法は、第2抵抗部82の長さ寸法と等しくてもよい。ここで、第2接続部83Bの長さ寸法と第2抵抗部82の長さ寸法との差が例えば第2抵抗部82の長さ寸法の10%以内であれば、第2接続部83Bの長さ寸法が第2抵抗部82の長さ寸法と等しいといえる。一例では、第2接続部83Bの長さ寸法は、第2抵抗部82の長さ寸法よりも小さくてもよい。
【0136】
一例では、第2接続部83Bの長さ寸法は、Y方向において隣り合う半導体抵抗層20の間の距離と等しくてもよい。ここで、第2接続部83Bの長さ寸法とY方向において隣り合う半導体抵抗層20の間の距離との差が例えば第2接続部83Bの長さ寸法の10%以内であれば、第2接続部83Bの長さ寸法がY方向において隣り合う半導体抵抗層20の間の距離と等しいといえる。一例では、第2接続部83Bの長さ寸法は、Y方向において隣り合う半導体抵抗層20の間の距離よりも大きくてもよい。
【0137】
・第1実施形態において、配線層70は、基板側絶縁層50上において基板側絶縁層50と接する位置に形成されていてもよい。この場合、第1チップ14の製造方法では、第1表面側絶縁層861を形成する工程が省略される。なお、配線層23~27についても同様に、基板側絶縁層50上において基板側絶縁層50と接する位置に形成されていてもよい。
【0138】
・第2実施形態において、配線層70は、半導体抵抗層20と素子絶縁層40の素子表面41とのZ方向の間に配置されていてもよい。この場合、配線層70は、素子絶縁層40に埋め込まれている。
【0139】
・第2実施形態において、配線層23は、半導体抵抗層20と素子絶縁層40の素子表面41とのZ方向の間に配置されていてもよい。この場合、配線層23は、素子絶縁層40に埋め込まれている。
【0140】
・各実施形態において、X方向から視た半導体抵抗層20の形状は任意に変更可能である。例えば、X方向から視た半導体抵抗層20の凹凸部80の形状として、図24図26に示す第1~第3例が挙げられる。
【0141】
図24に示すように、第1例において、凹凸部80は、X方向から視て矩形状に形成されている。凹凸部80の第1接続部83Aおよび第2接続部83Bの双方は、Z方向に沿って延びている。図24に示す例では、第1抵抗部81の長さ寸法は、第2抵抗部82の長さ寸法と等しい。なお、第1抵抗部81の長さ寸法および第2抵抗部82の長さ寸法の各々は任意に変更可能である。第1抵抗部81の長さ寸法は第2抵抗部82の長さ寸法よりも大きくてもよい。第1抵抗部81の長さ寸法は第2抵抗部82の長さ寸法よりも小さくてもよい。
【0142】
図25に示すように、第2例において、凹凸部80は、X方向から視て湾曲状に形成されている。より詳細には、凹凸部80の第1接続部83Aおよび第2接続部83Bの双方は、X方向から視て湾曲状に形成されている。なお、第2例において、凹凸部80は、第2抵抗部82を省略してもよい。つまり、凹凸部80は、X方向から視て半円状、楕円状、または円弧状に形成されていてもよい。
【0143】
図26に示すように、第3例において、凹凸部80は、X方向から視てV字状に形成されている。この場合、凹凸部80から第2抵抗部82が省略されている。つまり、第1接続部83Aは、第2接続部83Bと接続されている。
【0144】
・各実施形態において、半導体抵抗層20の第1抵抗端部21のZ方向の位置は任意に変更可能である。一例では、第1抵抗端部21は、Z方向において第2抵抗部82と同じ位置であってもよい。また一例では、第1抵抗端部21は、Z方向において第1抵抗部81と第2抵抗部82との間の位置に配置されていてもよい。
【0145】
・各実施形態において、半導体抵抗層20の第2抵抗端部22のZ方向の位置は任意に変更可能である。一例では、第2抵抗端部22は、Z方向において第2抵抗部82と同じ位置であってもよい。また一例では、第2抵抗端部22は、Z方向において第1抵抗部81と第2抵抗部82との間の位置に配置されていてもよい。
【0146】
・各実施形態において、第2抵抗部82のZ方向の位置は任意に変更可能である。一例では、第2抵抗部82は、第1抵抗部81と配線層70とのZ方向の間に位置し、かつ第1抵抗部81よりも配線層70寄りに位置していてもよい。
【0147】
また一例では、図27に示すように、第2抵抗部82は、Z方向において配線層70よりも基板30(図5参照)寄りに配置されていてもよい。第2抵抗部82は、Z方向において配線層70よりも基板側絶縁層50寄りに配置されているともいえる。この場合、第1接続部83Aおよび第2接続部83Bの双方の長さ寸法は、第1抵抗部81の長さ寸法よりも大きい。第1接続部83Aおよび第2接続部83Bの双方の長さ寸法は、半導体抵抗層20の幅寸法よりも大きい。第1接続部83Aおよび第2接続部83Bの双方の長さ寸法は、X方向において隣り合う半導体抵抗層20の間の距離よりも大きい。
【0148】
この構成によれば、予め設定された半導体抵抗層20の抵抗値とするための半導体抵抗層20の平面視における基板30との対向面積を小さくすることができる。したがって、半導体抵抗層20と基板30との間の寄生容量を低減することができる。また、予め設定された半導体抵抗層20の抵抗値とするための半導体抵抗層20の平面視におけるY方向の長さ寸法を小さくすることができる、またはX方向に配列される半導体抵抗層20の数を少なくすることができるため、第1チップ14のチップサイズを小さくすることができる。
【0149】
・各実施形態において、凹凸部80は、半導体抵抗層20の第1抵抗端部21と第2抵抗端部22とのY方向の間の部分のうち少なくとも一部に設けられていればよい。一例では、図28に示すように、半導体抵抗層20は、凹凸部80が形成されていない平坦領域90が形成されていてもよい。平坦領域90において半導体抵抗層20は、Z方向の位置が同じである状態でY方向に延びている。図28の例では、平坦領域90における半導体抵抗層20は、第1抵抗部81とZ方向において同じ位置である。なお、平坦領域90における半導体抵抗層20は、第2抵抗部82とZ方向において同じ位置であってもよい。
【0150】
・各実施形態において、半導体抵抗層20の数は任意に変更可能である。一例では、半導体抵抗層20の数は1つであってもよい。半導体抵抗層20の数が1つの場合、半導体抵抗層20は、例えば平面視において蛇腹状に形成されていてもよい。
【0151】
・各実施形態において、基板側絶縁層50の構成は任意に変更可能である。一例では、基板側絶縁層50は、エッチングストッパ膜51を含むことなく、層間絶縁膜52によって形成されていてもよい。
【0152】
・各実施形態において、第1チップ14からパッシベーション膜43を省略してもよい。
・各実施形態の第1表面側絶縁層861に溝864を形成する工程において、溝864の形状は任意に変更可能である。一例では、溝864は、X方向およびY方向の双方において互いに離隔して複数設けられていてもよい。つまり、溝864は、複数の凹部によって構成されていてもよい。
【0153】
・各実施形態において、半導体モジュール10が備える半導体チップの数は任意に変更可能である。一例では、半導体モジュール10は、第1チップ14および第2チップ15に加え、第3チップを備えていてもよい。第3チップは、例えば第1チップ14および第2チップ15の少なくとも一方とワイヤによって電気的に接続されている。
【0154】
・各実施形態において、半導体モジュール10から第2チップ15を省略してもよい。この場合、半導体モジュール10からダイパッド12を省略してもよい。また、半導体モジュール10は、リード13A~13Gに代えて、第1チップ14のP3~P5にワイヤW3~W5によって個別に接続される3つのリードを備えてもよい。なお、半導体モジュール10からリード13A~13Gを省略してもよい。つまり、半導体モジュール10は、第1チップ14(半導体装置)と、第1チップ14を支持するフレーム11と、第1チップ14およびフレーム11を封止する封止樹脂16と、を備えていればよい。
【0155】
本明細書に記載の様々な例のうち1つまたは複数を、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
本開示で使用される「~上に」という用語は、文脈によって明らかにそうでないことが示されない限り、「~上に」と「~の上方に」の意味を含む。したがって、「AがB上に形成される」という表現は、上記各実施形態ではAがBに接触してB上に直接配置され得るが、変更例として、AがBに接触することなくBの上方に配置され得ることが意図される。すなわち、「~上に」という用語は、AとBとの間に他の部材が形成される構造を排除しない。
【0156】
本開示で使用されるZ方向は必ずしも鉛直方向である必要はなく、鉛直方向に完全に一致している必要もない。したがって、本開示による種々の構造は、本明細書で説明されるZ方向の「上」および「下」が鉛直方向の「上」および「下」であることに限定されない。例えば、X方向が鉛直方向であってもよく、またはY方向が鉛直方向であってもよい。
【0157】
<付記>
上記各実施形態および各変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。なお、限定する意図ではなく理解の補助のために、付記に記載した構成について実施形態中の対応する符号を括弧書きで示す。符号は、理解の補助のために例として示すものであり、各符号に記載された構成要素は、符号で示される構成要素に限定されるべきではない。
【0158】
[付記A1]
基板(30)と、
前記基板(30)上に設けられた素子絶縁層(40)と、
前記素子絶縁層(40)内に設けられた半導体抵抗層(20)と、
を備え、
前記半導体抵抗層(20)は、前記基板の厚さ方向(Z方向)と直交する第1方向(X方向)に延び、かつ、前記厚さ方向(Z方向)に凹凸部(80)を有する
半導体装置(14)。
【0159】
[付記A2]
前記凹凸部(80)は、前記第1方向(X方向)において互いに離隔して複数設けられている
付記A1に記載の半導体装置。
【0160】
[付記A3]
前記複数の凹凸部(80)は、前記第1方向(X方向)において等ピッチで設けられている
付記A2に記載の半導体装置。
【0161】
[付記A4]
前記凹凸部(80)は、
前記第1方向(X方向)に延びている第1抵抗部(81)と、
前記第1抵抗部(81)とは前記第1方向(X方向)にずれた位置であってかつ前記第1抵抗部(81)よりも前記基板(30)寄りに設けられ、前記第1方向(X方向)に延びている第2抵抗部(82)と、
前記第1方向(X方向)と交差する方向に延びて、前記第1抵抗部(81)の前記第1方向(X方向)の端部(81B)と、前記第2抵抗部(82)の前記第1方向(X方向)の端部(82A)とを接続している接続部(83/83A)と、を含む
付記A1~A3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0162】
[付記A5]
前記第2抵抗部(82)の長さ寸法は、前記第1抵抗部(81)の長さ寸法よりも短い
付記A4に記載の半導体装置。
【0163】
[付記A6]
前記接続部(83)の長さ寸法は、前記第1抵抗部(81)の厚さよりも大きい
付記A4またはA5に記載の半導体装置。
【0164】
[付記A7]
前記接続部(83)の長さ寸法は、前記第2抵抗部(82)の長さ寸法よりも大きい
付記A4~A6のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0165】
[付記A8]
前記第1方向(X方向)および前記厚さ方向(Z方向)の双方と直交する方向を第2方向(Y方向)として、
前記接続部(83)は、前記第2方向(Y方向)から視て、前記厚さ方向(Z方向)に対して傾斜して延びている
付記A4~A7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0166】
[付記A9]
前記半導体抵抗層(20)と電気的に接続された配線層(70)をさらに備え、
前記配線層(70)は、前記厚さ方向(Z方向)において前記半導体抵抗層(20)よりも前記基板(30)寄りに配置されている
付記A1~A8のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0167】
[付記A10]
前記半導体抵抗層(20)と電気的に接続された配線層(70)をさらに備え、
前記配線層(70)は、前記厚さ方向(Z方向)において前記半導体抵抗層(20)に対して前記基板(30)とは反対側に配置されている
付記A1~A9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0168】
[付記A11]
前記配線層(70)は、前記素子絶縁層(40)上に設けられており、前記素子絶縁層(40)を覆うパッシベーション膜(43)によって覆われている
付記A10に記載の半導体装置。
【0169】
[付記A12]
前記半導体抵抗層(20)と電気的に接続された配線層(70)と、
前記半導体抵抗層(20)と前記配線層(70)とを接続する接続配線(71)と、
をさらに備え、
前記半導体抵抗層(20)は、前記第1方向(X方向)において前記凹凸部(80)とは異なる位置に設けられ、前記接続配線(71)が接続される抵抗端部(21)を含む
付記A1~A11のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0170】
[付記A13]
前記半導体抵抗層(20)は複数設けられ、
前記第1方向(X方向)および前記厚さ方向(Z方向)の双方と直交する方向を第2方向(Y方向)として、
前記複数の半導体抵抗層(20)は、前記第2方向(Y方向)に離隔して配列されている
付記A1~A12のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0171】
[付記A14]
前記素子絶縁層(40)は、
前記基板(30)上に設けられた基板側絶縁層(50)と、
前記基板側絶縁層(50)上に積層された表面側絶縁層(60)と、
を備え、
前記基板側絶縁層(50)は、複数の第1絶縁膜(51)と、前記第1絶縁膜(51)の応力緩和となる複数の第2絶縁膜(52)とが1つずつ交互に積層された構成であり、
前記半導体抵抗層(20)は、前記表面側絶縁層(60)に埋め込まれている
付記A1~A13のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0172】
[付記A15]
付記A1~A14のいずれか1つに記載の半導体装置(14)と、
前記半導体装置(14)を支持する支持部材(11)と、
前記半導体装置(14)および前記支持部材(11)を封止する封止樹脂(16)と、
を備える、半導体モジュール(10)。
【0173】
[付記B1]
基板(830)を用意する工程と、
前記基板(830)上に基板側絶縁層(850)を形成する工程と、
前記基板側絶縁層(850)上に表面側絶縁層(861,862)の一部を形成する工程と、
前記表面側絶縁層(862)の表面(862A)に溝(864)を形成する工程と、
前記表面側絶縁層(862)の前記表面(862A)および前記溝(864)に沿うように半導体抵抗層(20)を形成する工程と、
前記半導体抵抗層(20)を覆うとともに前記溝(864)を埋めるように前記表面側絶縁層(862)上にさらに表面側絶縁層(863)を形成する工程と、
を含む、半導体装置(14)の製造方法。
【0174】
以上の説明は単に例示である。本開示の技術を説明する目的のために列挙された構成要素および方法(製造プロセス)以外に、より多くの考えられる組み合わせおよび置換が可能であることを当業者は認識し得る。本開示は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲内に含まれるすべての代替、変形、および変更を包含することが意図される。
【符号の説明】
【0175】
10…半導体モジュール
11…フレーム
11A…ダイパッド部
11B…リード部
12…ダイパッド
13A~13G…リード
14…第1チップ
14A~14D…第1~第4抵抗回路
15…第2チップ
15A…電圧検出回路
16…封止樹脂
16A~16D…第1~第4封止側面
20,20A~20F…半導体抵抗層
21…第1抵抗端部
22…第2抵抗端部
23~27…配線層
30…基板
40…素子絶縁層
41…素子表面
42…素子裏面
43…パッシベーション膜
43X…開口部
50…基板側絶縁層
51…エッチングストッパ膜
52…層間絶縁膜
60…表面側絶縁層
70…配線層
71…接続配線
72…抵抗層用接続配線
73…端子用接続配線
74…接続配線
80…凹凸部
81…第1抵抗部
81A…第1端部
81B…第2端部
82…第2抵抗部
82A…第1端部
82B…第2端部
83…接続部
83A…第1接続部
83B…第2接続部
90…平坦領域
830…基板
843…パッシベーション膜
843X…開口部
850…基板側絶縁層
851…エッチングストッパ膜
852…層間絶縁膜
860…表面側絶縁層
861…第1表面側絶縁層
862…第2表面側絶縁層
862A…表面
863…第3表面側絶縁層
864…溝
864A…底面
864B…傾斜面
P1~P5,Q1~Q9…端子
W1~W11…ワイヤ
R1~R4…第1~第4抵抗領域
RA~RD…抵抗値
VT…高電圧発生部
CL…切断線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28