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特開2024-117506軌道回路復旧支援装置、軌道回路復旧支援方法及び軌道回路復旧支援プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117506
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】軌道回路復旧支援装置、軌道回路復旧支援方法及び軌道回路復旧支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   B61L 1/18 20060101AFI20240822BHJP
   B61L 1/20 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B61L1/18 Z
B61L1/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023640
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 和洋
(72)【発明者】
【氏名】丸山 智彦
【テーマコード(参考)】
5H161
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161FF02
5H161FF07
(57)【要約】
【課題】予め定められたフローチャートを用いつつ、当該フローチャートから逸脱した調査結果も故障箇所の特定に活用し易くすることができる軌道回路復旧支援装置、軌道回路復旧支援方法及び軌道回路復旧支援プログラムを提供する。
【解決手段】調査結果情報を取得する取得手段(操作部150)と、調査箇所がフローチャートデータ121に規定された調査箇所に合致する箇所であるかを判定する第1判定手段(制御部110)と、提案調査箇所を判定する第2判定手段(制御部110)と、を備え、第2判定手段は、調査箇所がフローチャートデータ121に規定された調査箇所に合致する場合、フローチャートデータ121に沿って提案調査箇所を判定し、調査箇所がフローチャートデータ121に規定された調査箇所に合致しない場合、フローチャートデータ121に沿わずに提案調査箇所を判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道回路における調査結果に係る情報である調査結果情報を取得する取得手段と、
前記調査結果情報に係る調査箇所が、所定のフローチャートに規定された調査箇所に合致する箇所であるかを判定する第1判定手段と、
前記軌道回路の前記調査結果情報に係る調査箇所に続いて調査すべき箇所である提案調査箇所を判定する第2判定手段と、
を備え、
前記第2判定手段は、
前記調査結果情報に係る調査箇所が前記フローチャートに規定された調査箇所に合致する場合、前記フローチャートに沿って前記提案調査箇所を判定し、
前記調査結果情報に係る調査箇所が前記フローチャートに規定された調査箇所に合致しない場合、前記フローチャートに沿わずに前記提案調査箇所を判定することを特徴とする軌道回路復旧支援装置。
【請求項2】
前記軌道回路の故障の種類を判定する第3判定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の軌道回路復旧支援装置。
【請求項3】
前記第3判定手段は、前記故障が回路の短絡又は開放のいずれに該当するかを判定することを特徴とする請求項2に記載の軌道回路復旧支援装置。
【請求項4】
前記軌道回路の前記提案調査箇所において実施すべき調査の手法である提案調査手法を判定する第4判定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の軌道回路復旧支援装置。
【請求項5】
前記調査結果情報を用いて、前記軌道回路上の故障の可能性がない範囲である正常箇所を判定する第5判定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の軌道回路復旧支援装置。
【請求項6】
前記調査結果情報を用いて、前記軌道回路上の故障部位が存在する可能性のある範囲を判定する第6判定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の軌道回路復旧支援装置。
【請求項7】
前記第2判定手段は、前記調査結果情報に係る調査箇所が前記フローチャートに規定された調査箇所に合致する場合に、前記調査結果情報に係る数値と、前記フローチャートの各段階に設定された数値範囲とを対比の上、前記提案調査箇所を判定することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の軌道回路復旧支援装置。
【請求項8】
前記第2判定手段は、前記調査結果情報に係る調査箇所が前記フローチャートに規定された調査箇所に合致しない場合に、前記調査結果情報に係る数値と、軌道回路上の各機器に設定された数値範囲とを対比の上、前記提案調査箇所を判定することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の軌道回路復旧支援装置。
【請求項9】
軌道回路における調査結果に係る情報である調査結果情報を取得する取得ステップと、
前記調査結果情報に係る調査箇所が、所定のフローチャートに規定された調査箇所に合致する箇所であるかを判定する第1判定ステップと、
前記軌道回路の前記調査結果情報に係る調査箇所に続いて調査すべき箇所である提案調査箇所を判定する第2判定ステップと、
を含み、
前記第2判定ステップにおいては、
前記調査結果情報に係る調査箇所が前記フローチャートに規定された調査箇所に合致する場合、前記フローチャートに沿って前記提案調査箇所を判定し、
前記調査結果情報に係る調査箇所が前記フローチャートに規定された調査箇所に合致しない場合、前記フローチャートに沿わずに前記提案調査箇所を判定することを特徴とする軌道回路復旧支援方法。
【請求項10】
コンピュータを、
軌道回路における調査結果に係る情報である調査結果情報を取得する取得手段、
前記調査結果情報に係る調査箇所が、所定のフローチャートに規定された調査箇所に合致する箇所であるかを判定する第1判定手段、
前記軌道回路の前記調査結果情報に係る調査箇所に続いて調査すべき箇所である提案調査箇所を判定する第2判定手段、
として機能させ、
前記第2判定手段は、
前記調査結果情報に係る調査箇所が前記フローチャートに規定された調査箇所に合致する場合、前記フローチャートに沿って前記提案調査箇所を判定し、
前記調査結果情報に係る調査箇所が前記フローチャートに規定された調査箇所に合致しない場合、前記フローチャートに沿わずに前記提案調査箇所を判定することを特徴とする軌道回路復旧支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道回路復旧支援装置、軌道回路復旧支援方法及び軌道回路復旧支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、線路上における列車の在線の有無を検出するため、軌道回路が用いられている。軌道回路は、線路のレールを電気回路の一部として用いて列車の在線の有無を検出するための装置であり、監視区間の一端部に電源装置を設け、監視区間の他端部のレールの間にリレーを設置することによって構成され、列車が監視区間に在線していない場合には、電源装置からレールを通じて送電された電力がリレーに届くのに対し、列車が監視区間に在線している場合には、二本のレールが列車の車輪及び車軸によって短絡することで、電源装置からレールを通じて送電された電力がリレーに届かなくなることを利用して、監視区間に列車が在線しているか否かを検出することができる。
【0003】
このような軌道回路が故障すると故障区間について列車の運行ができなくなり、列車の遅延、運休が発生することから、軌道回路の故障時には、その故障箇所を迅速に特定の上修理を行い、軌道回路を早急に復旧させることが求められる。そこで、軌道回路の故障箇所を特定し、その復旧を支援することを目的とした装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-172271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
軌道回路の故障箇所の特定の際には、軌道回路上の特定の箇所で、その調査、すなわち当該箇所を流れる電流及び/又は電圧の値の測定を行い、その値を用いて故障箇所を特定することが通常であるが、闇雲に調査を行うことは非効率であることから、故障箇所の特定のための最適なプロセスをフローチャートとし、当該フローチャートを用いて、軌道回路の各箇所について順次調査を行うことで、故障箇所の特定を効率的に行うことが考えられる。
この場合、例えば、まず第1の調査箇所が指定され、当該調査箇所での調査結果に応じて第2の調査箇所が指定されるというように、フローチャートに沿って順次調査箇所が指定され、これに従って、軌道回路の各箇所について調査が行われることとなる。
【0006】
しかしながら、このようなフローチャートに沿った故障箇所の特定は、理論上は最適なプロセスであっても、軌道回路は線路の長大な区間を監視区間として設置され、各箇所への移動には相当の時間を要することから、実際には、必ずしもフローチャートに沿うことなく、人員が配置され早期に調査可能な位置から順に調査が実施されることが多い。
そして、単に故障箇所の特定のための理論上最適なプロセスをフローチャートとしたのみでは、このようにフローチャートに沿うことなく調査が行われた場合、調査結果が故障箇所の特定に有効なものであっても、測定された値を故障箇所の特定に適切に活用することは困難であった。
【0007】
本発明の課題は、予め定められたフローチャートを用いつつ、当該フローチャートから逸脱した調査結果も故障箇所の特定に活用し易くすることができる軌道回路復旧支援装置、軌道回路復旧支援方法及び軌道回路復旧支援プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、軌道回路復旧支援装置において、
軌道回路における調査結果に係る情報である調査結果情報を取得する取得手段と、
前記調査結果情報に係る調査箇所が、所定のフローチャートに規定された調査箇所に合致する箇所であるかを判定する第1判定手段と、
前記軌道回路の前記調査結果情報に係る調査箇所に続いて調査すべき箇所である提案調査箇所を判定する第2判定手段と、
を備え、
前記第2判定は、
前記調査結果情報に係る調査箇所が前記フローチャートに規定された調査箇所に合致する場合、前記フローチャートに沿って前記提案調査箇所を判定し、
前記調査結果情報に係る調査箇所が前記フローチャートに規定された調査箇所に合致しない場合、前記フローチャートに沿わずに前記提案調査箇所を判定することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の軌道回路復旧支援装置において、
前記軌道回路の故障の種類を判定する第3判定手段を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の軌道回路復旧支援装置において、
前記第3判定手段は、前記故障が回路の短絡又は開放のいずれに該当するかを判定することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の軌道回路復旧支援装置において、
前記軌道回路の前記提案調査箇所において実施すべき調査の手法である提案調査手法を判定する第4判定手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の軌道回路復旧支援装置において、
前記調査結果情報を用いて、前記軌道回路上の故障の可能性がない範囲である正常箇所を判定する第5判定手段を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の軌道回路復旧支援装置において、
前記調査結果情報を用いて、前記軌道回路上の故障部位が存在する可能性のある範囲を判定する第6判定手段を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の軌道回路復旧支援装置において、
前記第2判定手段は、前記調査結果情報に係る調査箇所が前記フローチャートに規定された調査箇所に合致する場合に、前記調査結果情報に係る数値と、前記フローチャートの各段階に設定された数値範囲とを対比の上、前記提案調査箇所を判定することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の軌道回路復旧支援装置において、
前記第2判定手段は、前記調査結果情報に係る調査箇所が前記フローチャートに規定された調査箇所に合致しない場合に、前記調査結果情報に係る数値と、軌道回路上の各機器に設定された数値範囲とを対比の上、前記提案調査箇所を判定することを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、軌道回路復旧支援方法において、
軌道回路における調査結果に係る情報である調査結果情報を取得する取得ステップと、
前記調査結果情報に係る調査箇所が、所定のフローチャートに規定された調査箇所に合致する箇所であるかを判定する第1判定ステップと、
前記軌道回路の前記調査結果情報に係る調査箇所に続いて調査すべき箇所である提案調査箇所を判定する第2判定ステップと、
を含み、
前記第2判定ステップにおいては、
前記調査結果情報に係る調査箇所が前記フローチャートに規定された調査箇所に合致する場合、前記フローチャートに沿って前記提案調査箇所を判定し、
前記調査結果情報に係る調査箇所が前記フローチャートに規定された調査箇所に合致しない場合、前記フローチャートに沿わずに前記提案調査箇所を判定することを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、軌道回路復旧支援プログラムにおいて、
コンピュータを、
軌道回路における調査結果に係る情報である調査結果情報を取得する取得手段、
前記調査結果情報に係る調査箇所が、所定のフローチャートに規定された調査箇所に合致する箇所であるかを判定する第1判定手段、
前記軌道回路の前記調査結果情報に係る調査箇所に続いて調査すべき箇所である提案調査箇所を判定する第2判定手段、
として機能させ、
前記第2判定手段は、
前記調査結果情報に係る調査箇所が前記フローチャートに規定された調査箇所に合致する場合、前記フローチャートに沿って前記提案調査箇所を判定し、
前記調査結果情報に係る調査箇所が前記フローチャートに規定された調査箇所に合致しない場合、前記フローチャートに沿わずに前記提案調査箇所を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、予め定められたフローチャートを用いつつ、当該フローチャートから逸脱した調査結果も故障箇所の特定に活用し易くすることができる軌道回路復旧支援装置、軌道回路復旧支援方法及び軌道回路復旧支援プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る軌道回路復旧支援装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る軌道回路復旧支援装置のフローチャートに沿った入力がなされる場合の動作の流れを示すフローチャートである。
図3】実施形態に係る軌道回路復旧支援装置のフローチャートに沿わない入力がなされる場合の動作の流れを示すフローチャートである。
図4】実施形態に係る軌道回路復旧支援装置の強制正常設定が行われる場合の動作の流れを示すフローチャートである。
図5】実施形態に係る軌道回路復旧支援装置の機器構成画面の一例を示す図である。
図6】実施形態に係る軌道回路復旧支援装置の機器構成画面上に提案調査箇所通知及び第1判定結果表示欄が表示された状態の一例を示す図である。
図7】実施形態に係る軌道回路復旧支援装置の機器構成画面上に提案調査箇所通知及び第2判定結果表示欄が表示された状態の一例を示す図である。
図8】実施形態に係る軌道回路復旧支援装置の機器構成画面上に提案調査箇所通知及び第3判定結果表示欄が表示された状態の一例を示す図である。
図9】実施形態に係る軌道回路復旧支援装置の機器構成画面上に提案調査箇所通知及び第4判定結果表示欄が表示された状態の一例を示す図である。
図10】実施形態に係る軌道回路復旧支援装置の機器構成画面上に提案調査箇所通知及び第5判定結果表示欄が表示された状態の一例を示す図である。
図11】実施形態に係る軌道回路復旧支援装置の機器構成画面上に提案調査箇所通知及びフロー外判定結果表示欄が表示された状態の一例を示す図である。
図12】実施形態に係る軌道回路復旧支援装置の機器構成画面上に強制正常設定欄が表示された状態の一例を示す図である。
図13】実施形態に係る軌道回路復旧支援装置の機器構成画面について強制正常設定が行われた状態の一例を示す図である。
図14-1】実施形態に係る軌道回路復旧支援装置の動作時に使用されるフローチャートの一例を示す図である。
図14-2】実施形態に係る軌道回路復旧支援装置の動作時に使用されるフローチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1から図14に基づいて、本発明の実施形態である軌道回路復旧支援装置100について説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図示例に限定されるものではない。
【0021】
[第1 構成の説明]
軌道回路復旧支援装置100は、軌道回路の故障時にその故障箇所の特定を容易とすることで、軌道回路の復旧を支援するための装置であり、PC(Personal Computer)、WS(Work Station)等の情報機器によって構成されている。
【0022】
軌道回路復旧支援装置100は、例えば、鉄道事業者において、軌道回路を含む鉄道設備を管理するための管理センター等の施設に設置され、当該施設に勤務し、軌道回路の故障時に軌道回路の各所に赴いた職員に指示を出す者(以下、「管理者」という。)によって管理され、このような管理者が、各職員から提供された情報を入力して使用することとなる。
【0023】
軌道回路復旧支援装置100は、例えば、図1に示すように、制御部110と、記憶部120と、通信部130と、表示部140と、操作部150と、を備えて構成されている。
なお、軌道回路復旧支援装置100は、必ずしも単一のPC、WS等の情報機器によって実現されることを要せず、複数台のPC、WS等の情報機器がインターネット、電話回線網、携帯電話通信網、無線LAN通信網等の通信ネットワークを介して接続されることで、複数台の情報機器により、軌道回路復旧支援装置100としての機能が実現されていてもよい。この場合、このような複数の情報機器が接続されたものが、本実施形態における軌道回路復旧支援装置100に該当することとなる。
【0024】
[1 制御部]
制御部110は、軌道回路復旧支援装置100の動作を制御する部分であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成され、記憶部120に記憶されたプログラムデータ等とCPUとの協働により、軌道回路復旧支援装置100の各部を統括制御する。
【0025】
[2 記憶部]
記憶部120は、軌道回路復旧支援装置100の運用に必要となる各種情報が記憶される部分であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリ等により構成され、プログラムデータ等の軌道回路復旧支援装置100の運用に必要となるデータを、制御部110から読み書き可能に記憶する。
【0026】
記憶部120には、フローチャートデータ121と、機器詳細データ122と、が記憶されている。また、記憶部120には、後述の動作の説明において述べるように軌道回路復旧支援装置100を動作させるための制御部110への各種命令を含むプログラムが記憶されている。
【0027】
フローチャートデータ121は、軌道回路の故障時に故障箇所を特定するための最適なプロセスが規定されたフローチャートであり、あらゆる形態の軌道回路に対応できるように多数のパターンのフローチャートに係るデータが含まれる。
【0028】
フローチャートデータ121に係るフローチャートは、例えば、図14に示すように、順次軌道回路の調査箇所が指定され、これに従って調査を実施することで、軌道回路の故障モード、故障箇所等を特定できるように構成されている。
なお、図14に図示したフローチャートは一例にすぎず、また、実際には長大なフローチャートが複数パターン記憶され使用されることとなるが、その一パターンの一部のみを抜き出したものを図示している。
また、図14に図示したフローチャートは、後述の動作の説明で使用される内容と一致するものではない。
【0029】
例えば、フローチャートデータ121に係るフローチャートにおいては、まず第1の調査箇所が指定され、当該箇所で測定された電流及び/又は電圧が所定の正常値の範囲内(上限値以下かつ下限値以上)であれば第2の調査箇所として機器Aが指定され、所定の正常値の範囲外(範囲を超えている又は範囲を下回っている)であれば第2の調査箇所として機器Bが指定されるというように、多数の分岐に従って順次調査箇所が指定されることとなる。
なお、電流(A)に加えて又は電流(A)に代えて、電流比(dbA)を使用するようにしてもよく、また、電圧(V)に加えて又は電圧(V)に代えて、電圧比(dbV)を使用するようにしてもよい。この点は、本実施形態において、電流及び/又は電圧の測定について説明されたいずれの箇所についても同様である。
【0030】
また、フローチャートデータ121に係るフローチャートは、各段階で実施すべき調査の手法が特定される場合には、各段階で実施すべき調査の手法に係る情報を含む。
【0031】
また、フローチャートデータ121に係るフローチャートは、故障モードを判定できる段階で故障モードの判定結果に係る情報を含み、故障部位が存在する範囲を推定できる段階で故障部位の推定結果に係る情報を含む。
【0032】
故障モードに係る情報としては、例えば、発生している故障が、軌道回路を構成する機器が短絡する形での故障である短絡モード故障又は軌道回路を構成する機器が断線する形での故障である開放モード故障のいずれに該当するかについての情報が含まれる。
また、故障部位の推定結果としては、故障が発生している可能性のある機器の範囲を、例えば、機器の種類、特定の機器から特定の機器の間、特定の機器より上流側(内線側)、特定の機器より下流側(外線側)等の内容で特定した情報が含まれる。
【0033】
このようなフローチャートとしては、鉄道事業者において従来使用されている軌道回路の故障箇所特定のためのフローチャートをデータ化の上、記憶部120に記憶させておけばよい。また、正常値の範囲は、例えば平常時の測定データを基準に、プラス所定の%を上限、マイナス所定の%を下限とするようにして定めて、フローチャートの各段階について記憶させておけばよい。
【0034】
機器詳細データ122は、軌道回路に含まれる可能性のある各機器の詳細に係る情報であり、例えば、各機器について、測定される電流及び電圧の正常値の範囲、各機器に係る電流及び/又は電圧の測定値が正常値の範囲内である場合、正常値を超える場合並びに正常値を下回る場合のそれぞれにおいて、正常と判断できる他の機器の範囲、故障の可能性がある他の機器の範囲及び疑われる故障モードの種類等に係る情報が、網羅的に含まれている。
【0035】
機器詳細データ122は、鉄道事業者において平常時及び故障時に軌道回路の各機器について電流及び電圧の値を測定した結果を基に作成の上、記憶部120に記憶させておけばよい。
【0036】
[3 通信部]
通信部130は、軌道回路復旧支援装置100と、外部の所定の装置等との間で通信を行う際に用いられる部分であり、例えば、通信用IC(Integrated Circuit)及び通信コネクタなどを有する通信インターフェイスであり、制御部110の制御の元、所定の通信プロトコルを用いて、インターネット、電話回線網、携帯電話通信網、無線LAN通信網等の通信ネットワークを介したデータ通信を行う。
【0037】
[4 表示部]
表示部140は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示画面を備え、制御部110から出力された表示制御信号に基づいた画像を表示画面に表示する。
【0038】
[5 操作部]
操作部150は、例えば、文字入力キー、数字入力キー、その他各種機能に対応付けられたキーを有するキーボード等を備え、例えば、軌道回路復旧支援装置100の管理者からの操作入力を受け付けて、操作入力に応じた操作信号を制御部110へと出力する。操作部150は、例えば、表示部140と一体的に形成されたタッチパネル等であってもよい。
【0039】
[第2 動作の説明]
次に、本実施形態に係る軌道回路復旧支援装置100の動作について、フローチャートデータ121に係るフローチャートに沿った入力がなされる場合(ステップS1)、フローチャートデータ121に係るフローチャートに沿わない入力がなされる場合(ステップS2)、強制正常設定が行われる場合(ステップS3)に分けて説明する。
【0040】
[1 ステップS1:フローチャートに沿った入力がなされる場合]
まず、記憶部120に記憶されたフローチャートデータ121に係るフローチャートから逸脱することなく、当該フローチャートに沿った情報が順次入力される場合の軌道回路復旧支援装置100の動作について、図2のフローチャートに従って説明する。
【0041】
軌道回路に故障が発生し、軌道回路復旧支援装置100を使用する場合、まず、軌道回路復旧支援装置100の管理者は、故障が発生した軌道回路の回路構成図を基に、当該軌道回路の機器構成に係る情報(軌道回路構成情報)を入力する(ステップS1-1)。
【0042】
具体的には、制御部110が、表示部140に、使用されている機器の種類、その配置等を含む所定の複数の項目について、選択肢から選択することができる画面である機器選択画面を表示させた上で、管理者が操作部150を用いて所定の操作を行い、機器選択画面から故障が発生した軌道回路に使用されている機器の種類、その配置等を選択することによって、当該軌道回路の機器構成に係る情報を入力するようにすればよい。
【0043】
軌道回路構成情報が入力されると、制御部110は、入力された情報に従い、図5に示すような機器構成画面G1を生成する(ステップS1-2)。
【0044】
機器構成画面G1は、図5に示すように、ステップS1-1で選択された機器をステップS1-1で選択された配置に従って並べることで、故障が発生した軌道回路の回路構成を再現した画面であり、各機器を示す機器表示G11が軌道回路を構成する順に並べられると共に、各機器について、測定可能な測定値を入力するための測定値入力欄G12が設けられている。
【0045】
機器構成画面G1を生成すると、制御部110は、生成した機器構成画面G1を、表示部140に表示させる(ステップS1-3)。
【0046】
機器構成画面G1を表示部140に表示させると、続いて制御部110は、記憶部120に記憶されたフローチャートデータ121に従い、最初に調査、すなわち電圧及び/又は電流の測定を行うべき箇所(第1提案調査箇所)に係る判定を行う(ステップS1-4)。
具体的には、フローチャートデータ121には、上記のようにあらゆる形態の軌道回路に対応できるように多数のパターンのフローチャートに係るデータが含まれることから、機器構成画面G1に係る軌道回路のパターンに対応したフローチャートを用いて、最初に調査すべき箇所を判定すればよい。
【0047】
続いて、制御部110は、ステップS1-4での判定結果について表示部140に表示させる(ステップS1-5)。
【0048】
具体的には、制御部110は、図6に示すように、提案調査箇所通知G13を、機器構成画面G1上の第1提案調査箇所の位置に表示させると共に、第1判定結果表示欄G14Aを表示させる。
【0049】
図6においては、ステップS1-4において第1提案調査箇所として、機器構成画面G1の右下に表示された〇〇TRと判定された場合に、〇〇TRに係る機器表示G11に重ねて、提案調査箇所通知G13として、三角形に「!」が含まれたアイコンが表示された場合について図示している。なお、提案調査箇所通知G13としては、提案調査箇所を識別できる表示であればよく、このようなアイコンには限られない。
【0050】
また、第1判定結果表示欄G14Aは、当該時点での判定結果が表示される表示欄であり、この場合、故障モード表示欄G141と、提案調査箇所表示欄G142と、を含み、ステップS1-4における判定結果が表示される。図6においては、ステップS1-4で故障モードは判定されていないことから、故障モード表示欄G141に「不定」と表示されると共に、提案調査箇所表示欄G142に、ステップS1-4での判定結果に従い、「TR調査」と表示された場合について図示している。
【0051】
ステップS1-4における判定結果が表示されると、軌道回路復旧支援装置100の管理者は、提案調査箇所通知G13によって通知された第1提案調査箇所を、現地に赴いて調査を行う職員に連絡し、当該職員によってステップS1-4において判定された第1提案調査箇所において調査がなされた結果(電流及び/又は電圧の測定結果)に係る情報を取得すると、管理者は、第1提案調査箇所における測定結果に係る情報(第1調査結果情報)を入力する(ステップS1-6)。
【0052】
具体的には、管理者は、操作部150を用いて、第1提案調査箇所に係る測定値入力欄G12を選択の上、当該入力欄に、操作部150を用いて所定の操作を行うことで、第1調査結果情報を入力すればよい。
図7においては、機器構成画面G1の右下に表示された〇〇TRに係る測定値入力欄に、軌道電圧(V)の測定値0、局部電圧(V)の測定値100と入力された場合について図示している。
【0053】
なお、ここでは平常値についても、軌道電圧(V)の平常値1.2、局部電圧(V)の平常値100、位相(度)の平常値80と入力された場合について図示している。平常値については、故障が発生していない状態における値を予め記録しておき、当該値を入力すればよい。
【0054】
第1調査結果情報が入力されると、制御部110は、入力された第1調査結果情報に基づいて判定を行う(ステップS1-7)。
【0055】
具体的には、制御部110は、まず、第1調査結果情報に係る調査箇所がフローチャートデータ121に係るフローチャートに規定された調査箇所に合致するか否か、すなわち、第1調査結果情報に係る調査箇所と、第1提案調査箇所と、が合致するかについて判定する。
この場合、第1調査結果情報に係る調査箇所と、第1提案調査箇所と、が合致することから、続いて制御部110は、フローチャートデータ121に係るフローチャートに沿って、第1調査結果情報に係る測定結果を用いて、故障モード、故障部位推定、第2提案調査箇所、提案調査手法の4項目について判定を行う。
【0056】
故障モードとしては、発生している故障が、軌道回路を構成する機器が短絡する形での故障である短絡モード故障と、軌道回路を構成する機器が断線する形での故障である開放モード故障のいずれに該当するかについて判定する。
上記のようにフローチャートデータ121に係るフローチャートは、故障モードを判定できる段階で故障モードの判定結果に係る情報を含むことから、故障モードについてもフローチャートデータ121に沿って判定することができる。
【0057】
また、故障部位の推定結果としては、故障が発生している可能性のある機器の範囲を、例えば、機器の種類、特定の機器から特定の機器の間、特定の機器より上流側(内線側)、特定の機器より下流側(外線側)等の内容で判定する。
上記のようにフローチャートデータ121に係るフローチャートは、故障部位が存在する範囲を推定できる段階で故障部位の推定結果に係る情報を含むことから、故障部位推定についてもフローチャートデータ121に沿って判定することができる。
【0058】
第2提案調査箇所としては、第1提案調査箇所に続いて調査を行うべき箇所について、フローチャートデータ121に係るフローチャートに沿って判定する。
すなわち、フローチャートデータ121は、上記のように、例えば、フローチャートの各段階について、電圧及び/又は電流の正常値の範囲が設定されると共に、測定された値がこのような正常値の範囲内か、範囲外かによって分岐が設定されていることから、制御部110は、第1調査結果情報とこのような正常値の範囲とを対比の上、フローチャートに設定された分岐のいずれに該当するかを判定することで、第2提案調査箇所について判定すればよい。
なお、正常値の範囲については、フローチャート内に直接数値を設定せず、フローチャート内で他のデータにおける参照すべき箇所が特定され、当該他のデータの特定された箇所を参照するようにしてもよい。この場合についても、フローチャートの各段階で参照すべき箇所が特定されている限り、正常値の範囲がフローチャートの各段階について設定されている場合に含まれるものとする。
【0059】
提案調査手法としては、第2提案調査箇所において行うべき調査手法について、フローチャートデータ121に係るフローチャートに沿って判定する。
【0060】
なお、フローチャートデータ121に係るフローチャート上に情報がなく、当該時点までに入力された情報からは判定できない項目については、判定がなされることはなく、保留されることとなる。
【0061】
続いて、制御部110は、ステップS1-7での判定結果について表示部140に表示させる(ステップS1-8)。
【0062】
具体的には、制御部110は、図7に示すように、提案調査箇所通知G13を、機器構成画面G1上のステップS1-7で判定された次に調査を行うべき箇所(第2提案調査箇所)の位置に表示させると共に、第2判定結果表示欄G14Bを表示させる。
【0063】
図7においては、ステップS1-7において、故障モード、故障部位推定及び提案調査手法について判定されず、第2提案調査箇所として、機器構成画面G1の左上に表示されたTR(外)と判定された場合について図示している。
【0064】
すなわち、この場合、TR(外)に係る機器表示G11に重ねて、提案調査箇所通知G13が表示される。
また、第2判定結果表示欄G14Bには、ステップS1-7における判定結果が表示され、この場合、故障モード表示欄G141と、提案調査箇所表示欄G142と、が含まれる。図7においては、ステップS1-7で故障モードは判定されていないことから、故障モード表示欄G141には「不定」と表示されると共に、提案調査箇所表示欄G142に、ステップS1-7での判定結果に従い、「送電側抵抗子調査」と表示された場合について図示している。
【0065】
ステップS1-7における判定結果が表示されると、軌道回路復旧支援装置100の管理者は、第2提案調査箇所を、現地に赴いて調査を行う職員に連絡し、当該職員によって第2提案調査箇所において調査がなされた結果に係る情報を取得すると、管理者は、第2提案調査箇所における調査結果に係る情報(第2調査結果情報)を、操作部150を用いて入力する(ステップS1-9)。
図8においては、機器構成画面G1の左上に表示されたTr(外)に係る測定値入力欄G12に、Tr端子の側定電流(A)として3、Tr端子の平常電流(A)として1と入力された場合について図示している。
【0066】
第2調査結果情報が入力されると、制御部110は、入力された第2調査結果情報に基づいて判定を行う(ステップS1-10)。
【0067】
ここでもステップS1-7と同様、制御部110は、まず、第2調査結果情報に係る調査箇所がフローチャートデータ121に係るフローチャートに規定された調査箇所に合致するか否か、すなわち、第2調査結果情報に係る調査箇所と、第2提案調査箇所と、が合致するかについて判定する。
この場合も、第2調査結果情報に係る調査箇所と、第2提案調査箇所と、が合致することから、続いて制御部110は、フローチャートデータ121に係るフローチャートに沿って、第2調査結果情報に係る測定結果を用いて、故障モード、故障部位推定、第3提案調査箇所、提案調査手法の4項目について、当該時点までに入力された情報から判定できる項目について判定することとなる。
【0068】
続いて、制御部110は、ステップS1-10での判定結果について表示部140に表示させる(ステップS1-11)。
【0069】
具体的には、制御部110は、図8に示すように、提案調査箇所通知G13を、機器構成画面G1上のステップS1-10で判定された次に調査を行うべき箇所(第3提案調査箇所)の位置に表示させると共に、第3判定結果表示欄G14Cを表示させる。
【0070】
第3判定結果表示欄G14Cには、ステップS1-10における判定結果が表示され、この場合、ステップS1-10で故障モード、提案調査箇所及び故障部位推定について判定され、故障モード表示欄G141と、提案調査箇所表示欄G142と、故障部位推定表示欄G143と、が含まれる場合において、故障モード表示欄G141に「短絡モード」、提案調査箇所表示欄G142に「送電側機器室のケーブル出口の電流測定」、「送電側線路周辺機器調査」、「送電側線路電流測定」及び「送電側線路電圧測定」、故障部位推定表示欄G143に「送電側機器室より外線側」と表示された場合について図示している。
【0071】
また、図8においては、当該時点までに入力されたデータから正常(故障部位でない)と判定された機器に係る機器表示G11について表示態様を変え、正常と判定されていない機器に係る機器表示G11と区別できるように表示されている。具体的には、故障部位の範囲が推定された場合に、この範囲に該当しない機器が正常と判定されたものとして機器表示G11の表示態様を変えればよい。
また、機器表示G11を繋ぐ配線の表示についても、同様に、正常と判定された部分について表示態様を変え、正常と判定されていない部分と区別できるように表示されている。
【0072】
図8においては、正常と判定された機器に係る機器表示G11のみ網掛けが掛かるようにして図示しているが、実際には、例えば表示される色を変え、当該時点までに入力されたデータから正常と判定されていない機器に係る機器表示G11を赤色で表示し、正常と判定された機器に係る機器表示G11を緑色で表示するといった形で、表示色で区別すればよい。
また、機器表示G11を繋ぐ配線の表示については、正常と判定された部分について線が太くなるようにして図示しているが、実際には、これについても表示される色を変え、当該時点までに入力されたデータから正常と判定されていない部分の線を赤色で表示し、正常と判定された部分に係る線を緑色で表示するといった形で、表示色で区別すればよい。
正常と判定された範囲に係る表示部分(図8における網掛け部分及び太線部分)を、正常機器表示G15とする。
【0073】
ステップS1-10における判定結果が表示されると、軌道回路復旧支援装置100の管理者は、第3提案調査箇所を、現地に赴いて調査を行う職員に連絡し、当該職員によって第3提案調査箇所において調査がなされた結果に係る情報を取得すると、管理者は、第3提案調査箇所における調査結果に係る情報(第3調査結果情報)を、操作部150を用いて入力する(ステップS1-12)。
図9においては、機器構成画面G1の中央左に表示された測定値入力欄G12に、送電側測定電流(A)として15、送電側平常電流(A)として5と入力された場合について図示している。
【0074】
第3調査結果情報が入力されると、制御部110は、入力された第3調査結果情報に基づいて判定を行う(ステップS1-13)。
【0075】
ここでもステップS1-7及びステップS1-10と同様、制御部110は、まず、第3調査結果情報に係る調査箇所がフローチャートデータ121に係るフローチャートに規定された調査箇所に合致するか否か、すなわち、第3調査結果情報に係る調査箇所と、第3提案調査箇所と、が合致するかについて判定する。
この場合も、第3調査結果情報に係る調査箇所と、第3提案調査箇所と、が合致することから、続いて制御部110は、フローチャートデータ121に係るフローチャートに沿って、第3調査結果情報に係る測定結果を用いて、故障モード、故障部位推定、第4提案調査箇所、提案調査手法の4項目について、当該時点までに入力された情報から判定できる項目について判定することとなる。
【0076】
続いて、制御部110は、ステップS1-13での判定結果について表示部140に表示させる(ステップS1-14)。
【0077】
具体的には、制御部110は、図9に示すように、提案調査箇所通知G13を、機器構成画面G1上のステップS1-13で判定された次に調査を行うべき箇所(第4提案調査箇所)の位置に表示させると共に、第4判定結果表示欄G14Dを表示させる。
【0078】
第4判定結果表示欄G14Dには、ステップS1-13における判定結果が表示され、この場合、ステップS1-13で故障モード、提案調査箇所及び故障部位推定について判定され、故障モード表示欄G141と、提案調査箇所表示欄G142と、故障部位推定表示欄G143と、が含まれる場合において、故障モード表示欄G141に「短絡モード」、提案調査箇所表示欄G142に「送電~着電間線路周辺設備調査」、「着電側線路電流測定」及び「着電側線路電圧測定」、故障部位推定表示欄G143に「送電側レール~着電側機器室装置」と表示された場合について図示している。
【0079】
また、図9においては、ステップS1-12で第3調査結果情報が入力された第3提案調査箇所よりも上流が全て正常と判定され、当該箇所まで正常機器表示G15として表示される色が変更された部分が拡大した場合について図示している。
【0080】
ステップS1-13における判定結果が表示されると、軌道回路復旧支援装置100の管理者は、第4提案調査箇所を、現地に赴いて調査を行う職員に連絡し、当該職員によって第4提案調査箇所において調査がなされた結果に係る情報を取得すると、管理者は、第4提案調査箇所における調査結果に係る情報(第4調査結果情報)を、操作部150を用いて入力する(ステップS1-15)。
図10においては、機器構成画面G1の中央右に表示された測定値入力欄G12に、着電側測定電流(A)として0、着電側平常電流(A)として5と入力された場合について図示している。
【0081】
第4調査結果情報が入力されると、制御部110は、入力された第4調査結果情報に基づいて判定を行う(ステップS1-16)。
【0082】
ここでもステップS1-7、ステップS1-10及びステップS1-13と同様、制御部110は、まず、第4調査結果情報に係る調査箇所がフローチャートデータ121に係るフローチャートに規定された調査箇所に合致するか否か、すなわち、第4調査結果情報に係る調査箇所と、第4提案調査箇所と、が合致するかについて判定する。
この場合も、第4調査結果情報に係る調査箇所と、第4提案調査箇所と、が合致することから、続いて制御部110は、フローチャートデータ121に係るフローチャートに沿って、第4調査結果情報に係る測定結果を用いて、故障モード、故障部位推定、第5提案調査箇所、提案調査手法の4項目について、当該時点までに入力された情報から判定できる項目について判定することとなる。
【0083】
続いて、制御部110は、ステップS1-16での判定結果について表示部140に表示させる(ステップS1-17)。
【0084】
具体的には、制御部110は、図10に示すように、提案調査箇所通知G13を、機器構成画面G1上のステップS1-16で判定された次に調査を行うべき箇所(第5提案調査箇所)の位置に表示させると共に、第5判定結果表示欄G14Eを表示させる。
【0085】
第5判定結果表示欄G14Eには、ステップS1-16における判定結果が表示され、この場合、ステップS1-16で故障モード、提案調査箇所、故障部位推定及び提案調査手法について判定され、故障モード表示欄G141と、提案調査箇所表示欄G142と、故障部位推定表示欄G143と、提案調査手法表示欄G144と、が含まれる場合において、故障モード表示欄G141に「短絡モード」、提案調査箇所表示欄G142に「送電~着電間線路周辺設備調査」及び「分岐器部分の絶縁点てつ付属装置調査」、故障部位推定表示欄G143に「送電側レール~分岐器~着電側レール間」、提案調査手法表示欄G144に「送電ZB打ち込み点~隣接軌道回路との絶縁間の電流確認」等と表示された場合について図示している。
【0086】
また、図10においては、正常と判定された範囲は、ステップS1-13における判定とステップS1-16における判定で変わらず、正常機器表示G15については図9から変更されなかった場合について図示している。
【0087】
ステップS1-17の後も、同様にして、管理者によって調査結果情報が入力される度に、フローチャートデータ121に係るフローチャートに規定された調査箇所に合致する調査箇所に係る入力か否かを判定の上、フローチャートデータ121に係るフローチャートに沿って新たな提案調査箇所が示されて順次提案調査箇所通知G13の位置が移動すると共に、正常機器表示G15が拡大していき、最終的にフローチャートデータ121に係るフローチャートに沿って軌道回路の故障箇所が一か所に絞り込まれて特定されることとなる。
【0088】
[2 ステップS2:フローチャートに沿わない入力がなされる場合]
続いて、記憶部120に記憶されたフローチャートデータ121に係るフローチャートに沿わず、提案調査箇所以外の箇所における調査結果が入力される場合の軌道回路復旧支援装置100の動作について、図3のフローチャートに従って説明する。
【0089】
まず、ステップS2-1からステップS2-8までの工程については、ステップS1-1からステップS1-8と同様である。
【0090】
ステップS2-8において、表示部140にステップS2-7における判定結果が表示された後、軌道回路復旧支援装置100の管理者が、図7において第2提案調査箇所として提案調査箇所通知G13によって通知された箇所と異なる箇所において調査がなされた結果に係る情報を取得すると、管理者は、当該箇所における調査結果に係る情報(提案外箇所調査結果情報)を、操作部150を用いて入力する(ステップS2-9)。
【0091】
図11においては、図7において第2提案調査箇所として提案調査箇所通知G13によって通知されていた第2提案調査箇所が、機器構成画面G1の左上に表示されたTr(外)であるところ、当該機器に係る測定値入力欄G12ではなく、その右側のZB接続点に係る測定値入力欄G12に、機器室側の側定電圧(V)として50、切分時電圧(V)として100と入力された場合について図示している。
【0092】
提案外箇所調査結果情報が入力されると、制御部110は、入力された提案外箇所調査結果情報に基づいて判定を行う(ステップS2-10)。
【0093】
具体的には、制御部110は、まず、提案外箇所調査結果情報に係る調査箇所がフローチャートデータ121に係るフローチャートに規定された調査箇所に合致するか否か、すなわち、提案外箇所調査結果情報に係る調査箇所と、第2提案調査箇所と、が合致するかについて判定する。
この場合、提案外箇所調査結果情報に係る調査箇所と、第2提案調査箇所と、が合致しないことから、続いて制御部110は、フローチャートデータ121に係るフローチャートに沿わずに、提案外箇所調査結果情報に係る測定結果及び記憶部120に記憶された機器詳細データ122を用いて、故障モード、故障部位推定、提案調査箇所、提案調査手法の4項目について判定を行う。
【0094】
すなわち、機器詳細データ122には、上記のように、軌道回路に含まれる可能性のある各機器について、測定される電流及び電圧の正常値の範囲、各機器に係る電流及び/又は電圧の測定値が正常値の範囲内である場合、正常値を超える場合並びに正常値を下回る場合のそれぞれにおいて、正常と判断できる他の機器の範囲、故障の可能性がある他の機器の範囲及び疑われる故障モードの種類等に係る情報が、網羅的に含まれていることから、制御部110は、提案外箇所調査結果情報と、提案外箇所調査結果情報に係る調査箇所の機器に設定された正常値の範囲とを対比の上、機器詳細データ122を用いて、故障モード、故障部位推定、提案調査箇所、提案調査手法の4項目について判定すればよい。
【0095】
なお、この場合も、当該時点までに入力された情報からは判定できない項目については、判定がなされることはなく、保留されることとなる。
【0096】
続いて、制御部110は、ステップS2-10での判定結果について表示部140に表示させる(ステップS2-11)。
【0097】
具体的には、制御部110は、図11に示すように、提案調査箇所通知G13を、ステップS2-10で判定された次に調査を行うべき箇所(フロー外提案調査箇所)に表示させると共に、フロー外判定結果表示欄G14Fを表示させる。
【0098】
なお、ステップS2-11で判定されたフロー外提案調査箇所が、ステップS2-8で判定された第2提案調査箇所と一致する場合、提案調査箇所通知G13の位置が移動せず、第2提案調査箇所がそのままフロー外提案調査箇所として表示され続けることとなる。
【0099】
フロー外判定結果表示欄G14Fには、ステップS2-10における判定結果が表示され、この場合、ステップS2-10で故障モード、提案調査箇所及び故障部位推定について判定され、故障モード表示欄G141と、提案調査箇所表示欄G142と、故障部位推定表示欄G143と、が含まれ場合において、故障モード表示欄G141に「短絡モード」、提案調査箇所表示欄G142に「送電側機器室のケーブル出口の電流測定」、「送電側線路周辺機器調査」及び「送電側線路電流測定」、故障部位推定表示欄G143に「送電側機器室より外線側」と表示された場合について図示している。
【0100】
また、図11においては、ステップS2-10で提案外箇所調査結果情報が入力された箇所(ZB接続点)よりも上流が全て正常と判定され、当該箇所まで正常機器表示G15として、表示される色が変更された場合について図示している。
この場合、図7において提案調査箇所通知G13によって通知されていた第2提案調査箇所であるTr(外)については、当該箇所の調査結果の入力を待つことなく正常と判定されることとなる。
【0101】
ステップS2-11後は、ステップS2-10における判定によって不要となったプロセスを省くようにして、フローチャートデータ121に係るフローチャートを用いて調査箇所が提案されることとなり、同様にして、管理者によって調査結果情報が入力される度に、フローチャートデータ121に係るフローチャートに規定された調査箇所に合致する調査箇所に係る入力か否かを判定の上、フローチャートデータ121に規定された調査箇所に合致する調査箇所に係る入力であればフローチャートデータ121に係るフローチャートに沿って、フローチャートデータ121に規定された調査箇所に合致しない調査箇所に係る入力であればフローチャートデータ121に係るフローチャートに沿わずに機器詳細データ122を用いて判定の上、新たな提案調査箇所が示されて順次提案調査箇所通知G13の位置が移動すると共に、正常機器表示G15が拡大していき、最終的に軌道回路の故障箇所が一か所に絞り込まれて特定されることとなる。
【0102】
なお、フローチャートデータ121に係るフローチャートに沿わずに行われるステップS2-10の判定においても、提案調査箇所の判定結果が、フローチャートデータ121に係るフローチャートに沿って行われた場合の提案調査箇所の判定結果と一致する場合もあり得る。図8図11とでは提案調査箇所通知G13の位置が一致しているが、これはこのような場合に該当する。
この場合も、フローチャートデータ121に係るフローチャートに規定されたのとは異なる調査箇所に係る情報によって提案調査箇所が判定されている点で、当該判定はフローチャートデータ121に係るフローチャートに沿っていないこととなる。
すなわち、ステップS1で説明したように、フローチャートデータ121に係るフローチャートに規定された調査箇所に係る情報が入力された場合においてフローチャートデータ121に係るフローチャートに規定された通りに提案調査箇所を判定する場合のみが、フローチャートデータ121に係るフローチャートに沿って提案調査箇所を判定する場合に該当する。
【0103】
[3 ステップS3:強制正常設定が行われる場合]
軌道回路の故障箇所の特定の際には、回路を特定地点で開放(断線)又は短絡させ、開放又は短絡時における電流及び/又は電圧を測定することで、当該機器から上流又は下流の全てが正常であるといった判断を行うことがある。
【0104】
すなわち、例えば、開放モード故障、すなわち、軌道回路がどこかで断線して電流が流れていない状態の故障の際に、特定の箇所で線路を短絡させ、これによって電流が流れれば、故障箇所は当該箇所から下流であって、上流は正常と判断することができる。また、反対に短絡させても電流が流れなければ、故障箇所は当該箇所から上流であって、下流は正常と判断することができる。
【0105】
また、例えば、短絡モード故障、すなわち、軌道回路がどこかで短絡した状態の故障の際に、特定の箇所で回路を開放させ、これによって当該箇所の前後に電圧が生じれば、故障箇所は当該箇所から下流であって、上流は正常と判断することができる。また、反対に開放箇所の前後に電圧が生じなければ、故障箇所は当該箇所から上流であって、下流は正常と判断することができる。
【0106】
そこで、このような判断を反映させる場合の軌道回路復旧支援装置100の動作について、図4のフローチャートに従って説明する。
【0107】
まず、ステップS3-1からステップS3-5までの工程については、ステップS1-1からステップS1-5及びステップS2-1からステップS2-5と同様である。
【0108】
ステップS3-5において、表示部140にステップS3-4における判定結果が表示された後、軌道回路復旧支援装置100の管理者が、軌道回路上の特定の箇所において回路を強制的に開放又は短絡させた際の測定結果に係る情報を取得し、これによって当該地点から上流側が全て正常であると判定された場合、管理者は、操作部150を用いて所定の操作を行い、機器構成画面G1上で当該箇所(強制正常箇所G16)を指定する(ステップS3-6)。
【0109】
強制正常箇所G16が指定されると、制御部110は、図12に示すように、強制正常設定欄G17を表示させる(ステップS3-7)。
強制正常設定欄G17は、図12に示すように、正常と設定する範囲を、「選択したユニット単体」、「選択したユニットから上流のすべて」、「選択したユニットから下流のすべて」の3つから選択できるように構成された画面である。
【0110】
強制正常設定欄G17が表示されると、管理者は、操作部150を用いて、強制正常とする範囲を、「選択したユニット単体」、「選択したユニットから上流のすべて」、「選択したユニットから下流のすべて」の3つから選択する(ステップS3-8)。
【0111】
強制正常とする範囲が設定されると、制御部110は、図13に示すように、設定された範囲に含まれる全ての機器表示G11及び機器表示G11を繋ぐ配線の表示について、正常機器表示G15として表示態様を変更する(ステップS3-9)。
図13においては、ステップS3-8で「選択したユニットから上流のすべて」が選択され、強制正常箇所G16から上流側が全て正常機器表示G15となった場合について図示している。
【0112】
また、ステップS3-9で正常機器表示G15に変更された機器表示G11及び強制正常箇所G16については、強制正常設定によって正常機器表示G15となったことを識別する表示(強制正常箇所識別表示G18)が付される。
図13においては、「強制」という文字が含まれるアイコンが、強制正常箇所識別表示G18として表示される場合について図示している。
【0113】
[第3 効果の説明]
次に、本実施形態に係る軌道回路復旧支援装置100の効果について説明する。
【0114】
本実施形態に係る軌道回路復旧支援装置100によれば、軌道回路における調査結果に係る情報(第1調査結果情報、第2調査結果情報、第3調査結果情報、第4調査結果情報又は提案外箇所調査結果情報)を取得の上、取得した情報に係る調査箇所が、フローチャートデータ121に係るフローチャートに規定された調査箇所に合致する箇所であるか否か、すなわち、第1調査結果情報については第1提案調査箇所、第2調査結果情報については第2提案調査箇所、第3調査結果情報については第3提案調査箇所、第4調査結果情報については第4提案調査箇所、提案外箇所調査結果情報については第2提案調査箇所に合致する箇所であるかを判定し、取得した情報に係る調査箇所が、フローチャートデータ121に係るフローチャートに規定された調査箇所に合致する場合、フローチャートデータ121に係るフローチャートに沿って次に調査すべき提案調査箇所を判定し、取得した情報に係る調査箇所が、フローチャートデータ121に係るフローチャートに規定された調査箇所に合致しない場合、フローチャートデータ121に係るフローチャートに沿わずに次に調査すべき提案調査箇所を判定する。
【0115】
これによって、調査結果がフローチャートデータ121に係るフローチャートに規定された調査箇所に係るものである場合には当該フローチャートに沿いつつ、調査結果がフローチャートデータ121に係るフローチャートに規定された調査箇所に係るものではない場合にも、当該調査結果を軌道回路の故障箇所の特定に活用できることから、軌道回路の故障箇所の特定時に、予め定められたフローチャートを用いつつ、当該フローチャートから逸脱した調査結果も故障箇所の特定に活用し易くすることができる。
【0116】
また、フローチャートデータ121に係るフローチャートに規定された調査箇所に係る調査結果が入力される限り、当該フローチャートに沿って次に調査すべき提案調査箇所が判定され、フローチャートデータ121に係るフローチャートに規定された調査箇所に係るものではない調査結果が入力された場合にのみ機器詳細データ122を用いて次に調査すべき提案調査箇所が判定されことから、例えば、フローチャートを用いることなく、全ての場合に機器詳細データ122を用いて逐一提案調査箇所を判定する場合と比較して、提案調査箇所を効率的に判定することができる。
【0117】
また、軌道回路の故障の種類である故障モード(開放モード故障又は短絡モード故障)が判定されることで、フローチャートデータ121に係るフローチャートに規定された調査箇所でない箇所について調査を行う場合においても、故障箇所の特定のために行うべき調査内容を特定し易くなる。
【0118】
また、提案調査箇所に加えて、当該箇所で実施すべき調査手法である提案調査手法が判定されることで、調査を行う職員に対し、調査箇所のみならず調査手法に係る情報も提供することが可能となる。
【0119】
また、軌道回路上の故障部位が存在する可能性のある範囲が判定されると共に、故障可能性がない範囲についても判定されることから、フローチャートデータ121に係るフローチャートに規定された調査箇所でない箇所について調査を行う場合においても、故障の可能性がないと判定された範囲を調査対象から外すことで、無駄な調査を行うことを防止できる。
【0120】
また、軌道回路の構成図である機器構成画面G1を表示部140に表示させた上で、軌道回路上の調査すべき箇所を示す表示である提案調査箇所通知G13を、機器構成画面G1上に表示させることで、軌道回路の構成図と軌道回路上の調査すべき箇所とを一括して表示でき、軌道回路復旧支援装置100を使用する管理者に対して、軌道回路の調査すべき箇所に係る情報を、認識し易い態様で提示することができる。
【0121】
また、軌道回路における実際の調査結果に係る情報が入力される度に、入力された情報に応じて、機器構成画面G1上での提案調査箇所通知G13の表示箇所が変更されることで、軌道回路復旧支援装置100を使用する管理者は、調査結果に係る情報が入力された際に、入力された情報による調査すべき箇所の変動を認識し易くなる。
【0122】
また、入力された調査結果に係る情報を用いて判定が行われた際に、当該判定の結果に係る情報の表示欄が表示部140に表示されることで、軌道回路復旧支援装置100を使用する管理者は、軌道回路上の調査すべき箇所と、それまでに入力された情報に基づく判定結果と、の両者を同時に認識することが可能となる。
【0123】
また、機器構成画面G1上の正常と判定された範囲について、表示態様を変更して正常機器表示G15とすることで、軌道回路復旧支援装置100を使用する管理者は、軌道回路のそれまでに正常と判定された範囲を一括して認識することが可能となる。
【0124】
[第4 変形例]
次に、本実施形態に係る軌道回路復旧支援装置100の変形例について説明する。
【0125】
[1 変形例1:調査の優先順位の表示]
上記動作の説明では、機器構成画面G1上に提案調査箇所通知G13が一か所のみ表示されるか、複数表示される場合においても同一のアイコンが複数表示される場合について説明した。
【0126】
これに対し、複数箇所の提案調査箇所が存在し、かつ提案調査箇所に優先順位が存在する場合には、複数の提案調査箇所通知G13が表示されると共に、さらに、調査の優先順位に係る情報が表示されるようにしてもよい。
【0127】
例えば、提案調査箇所通知G13に重ねて、調査の優先順位が一番目である箇所については「1」、調査の優先順位が二番目である箇所については「2」、調査の優先順位が3番目である箇所については「3」といった形で、優先順位に応じた数値を表示するといった手法で、調査の優先順位に係る情報を表示させることが考えられる。
また、例えば、提案調査箇所通知G13の色を変えることによって、調査の優先順位を示すようにしてもよい。このように提案調査箇所通知G13の表示態様自体を変える場合も、提案調査箇所通知G13が調査の優先順位に係る情報と共に表示されている場合に含まれるものとする。
【0128】
[2 変形例2:仮正常設定]
上記動作の説明では、確実に正常と判定された範囲について機器表示G11の表示態様を変え、正常機器表示G15とする場合について説明した。
【0129】
この点、確実に正常とまでは判定できずとも、特定の条件を設定した場合にのみ正常と判定できる範囲について、仮正常箇所として、正常機器表示G15とは異なる態様となるように、機器表示G11及び配線の表示の表示態様を変更するようにしてもよい。
【0130】
例えば、軌道回路の複数箇所に同時に故障が発生する可能性は低いことから、故障箇所が一か所のみであると仮定したときに正常と判定できる部分を、仮正常箇所とすることが考えられる。
【0131】
また、表示態様としては、仮正常箇所に係る機器表示G11及び配線の表示について、正常と判定されていない箇所、正常箇所のいずれとも異なる色とし、例えば、正常と判定されていない箇所について赤、正常箇所について緑、仮正常箇所について薄緑とするといった態様が考えられる。
【0132】
[3 変形例3:強制正常設定の解除]
上記動作の説明においては、ステップS3で強制正常の設定のみを説明したが、このような設定を管理者が解除できるようにしてもよい。
【0133】
具体的には、管理者が操作部150を用いて機器構成画面G1上で強制正常の解除の起点となる箇所を指定した場合に、制御部110が、強制正常を解除する範囲を設定する画面を表示し、当該画面を用いて強制正常を解除する範囲が設定された場合に、設定された範囲について、正常機器表示G15から元の表示に戻すようにすればよい。
【0134】
強制正常を解除する範囲としては、この場合も、選択したユニット単体、選択したユニットから上流の全て、選択したユニットから下流の全ての3つから選択できるようにすることが考えられる。
また、表示態様としては、正常箇所として表示色が赤から緑に変更された部分を、再び赤に戻すといった態様が考えられる。
【0135】
[4 変形例4:調査結果情報の取得方法の変更]
上記動作の説明においては、各調査結果情報を、管理者による操作部150を用いた入力によって、軌道回路復旧支援装置100が取得する場合について説明したが、調査結果情報の取得方法はこれに限られない。
【0136】
例えば、軌道回路復旧支援装置100が、調査の実施者が使用する端末装置から通信ネットワークを介して送信された調査結果情報を、通信部130によって受信することで、管理者を介することなく直接取得するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0137】
100 軌道回路復旧支援装置
110 制御部(第1判定手段、第2判定手段、第3判定手段、第4判定手段、第5判定手段、第6判定手段)
120 記憶部
121 フローチャートデータ
122 機器詳細データ
130 通信部(取得手段)
140 表示部
150 操作部(取得手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14-1】
図14-2】