(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117507
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】三角波発生回路、モータドライバ回路、それを用いた位置決め装置、ハードディスク装置
(51)【国際特許分類】
H03K 4/06 20060101AFI20240822BHJP
H02P 29/00 20160101ALI20240822BHJP
H02P 25/06 20160101ALI20240822BHJP
H03K 7/08 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
H03K4/06 924
H02P29/00
H02P25/06
H03K7/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023641
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】杉江 尚
【テーマコード(参考)】
5H501
5H540
【Fターム(参考)】
5H501AA10
5H501DD10
5H501GG05
5H501HA04
5H501HB16
5H501JJ16
5H501JJ25
5H501KK07
5H501LL22
5H540AA08
5H540BA06
5H540BB06
5H540BB09
5H540EE08
5H540FC02
(57)【要約】
【課題】クロック信号と同期した三角波発生回路を提供する。
【解決手段】パルス発生器510は、クロック信号CLKと同期して、第1周波数f
1を有する第1制御パルスS0および第1周波数f
1の1/2の第2周波数f
2を有する第2制御パルスS1を生成する。第1キャパシタC11および第2キャパシタC12は、一端が接地される。充放電回路520は、第1制御パルスS0と同期して、出力ノード522を介して充電電流I
CHGをソースする状態と、放電電流I
DISをシンクする状態が切り替え可能である。切替回路530は、第2制御パルスS1と同期して、(i)充放電回路520の出力ノード522を第1キャパシタC11に接続し、第2キャパシタC12に基準電圧V
REFを印加する第1状態と、(ii)充放電回路520の出力ノード522を第2キャパシタC12に接続し、第1キャパシタC11に基準電圧V
REFを印加する第2状態と、を交互に繰り返す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロック信号と同期して、第1周波数を有する第1制御パルスおよび前記第1周波数の1/2の第2周波数を有する第2制御パルスを生成するパルス発生器と、
一端が接地された第1キャパシタと、
一端が接地された第2キャパシタと、
前記第1制御パルスと同期して、出力ノードを介して充電電流をソースする状態と、放電電流をシンクする状態が切り替え可能な充放電回路と、
前記第2制御パルスと同期して、(i)前記充放電回路の前記出力ノードを第1キャパシタに接続し、前記第2キャパシタに基準電圧を印加する第1状態と、(ii)前記充放電回路の前記出力ノードを前記第2キャパシタに接続し、前記第1キャパシタに前記基準電圧を印加する第2状態と、を交互に繰り返す切替回路と、
を備え、前記充放電回路の前記出力ノードに発生する電圧にもとづく三角波信号を出力可能である、三角波発生回路。
【請求項2】
前記切替回路は、
前記第1キャパシタと前記充放電回路の前記出力ノードの間に接続され、前記第2制御パルスに応じてスイッチングする第1スイッチと、
前記第2キャパシタと前記充放電回路の前記出力ノードの間に接続され、前記第2制御パルスの反転信号に応じてスイッチングする第2スイッチと、
一端に前記基準電圧を受け、他端が前記第1キャパシタと接続され、前記第2制御パルスの前記反転信号に応じてスイッチングする第3スイッチと、
一端に前記基準電圧を受け、他端が前記第2キャパシタと接続され、前記第2制御パルスに応じてスイッチングする第4スイッチと、
を含む、請求項1に記載の三角波発生回路。
【請求項3】
前記充放電回路は、前記充電電流および前記放電電流をトリミング可能に構成される、請求項1に記載の三角波発生回路。
【請求項4】
前記充放電回路は、
基準電流を生成する基準電流源と、
前記基準電流を折り返し、第1電流および第2電流を出力する第1カレントミラー回路と、
前記第1電流を折り返し、第3電流を出力する第2カレントミラー回路と、
前記第3電流を折り返し、ソース電流を出力する第3カレントミラー回路と、
前記第2電流を折り返し、シンク電流を出力する第4カレントミラー回路と、
を含む、請求項1から3のいずれかに記載の三角波発生回路。
【請求項5】
前記第1カレントミラー回路は、前記基準電流を折り返し、第4電流を出力し、
前記充放電回路は、
前記第4電流をテイル電流として受ける差動対をさらに含み、前記差動対の一方のトランジスタが、前記第2カレントミラー回路の入力ノードと接続され、前記差動対の他方のトランジスタが、前記第4カレントミラー回路の入力ノードと接続される、請求項4に記載の三角波発生回路。
【請求項6】
電流センス抵抗を介して駆動対象のモータの第1端と接続されるべき第1出力端子と、
前記モータの第2端と接続されるべき第2出力端子と、
前記電流センス抵抗の電圧降下にもとづく電流フィードバック信号と基準信号との誤差にもとづくアナログ誤差信号を生成する誤差検出器と、
前記アナログ誤差信号にもとづいて、電圧指令信号を生成するフィードバックコントローラと、
請求項1から3のいずれかに記載の三角波発生回路であって、互いに逆相である第1三角波信号および第2三角波信号を出力する三角波発生回路と、
前記電圧指令信号を前記第1三角波信号と比較し、第1PWM(Pulse Width Modulation)信号を出力する第1PWMコンパレータと、
前記電圧指令信号を前記第2三角波信号と比較し、第2PWM信号を出力する第2PWMコンパレータと、
前記第1PWM信号に応じた第1出力電圧を前記第1出力端子に発生する第1ドライバと、
前記第2PWM信号に応じた第2出力電圧を前記第2出力端子に発生する第2ドライバと、
を備える、モータドライバ回路。
【請求項7】
前記フィードバックコントローラは、
前記アナログ誤差信号をデジタル誤差信号に変換するA/Dコンバータと、
前記デジタル誤差信号に応じたデジタル電圧指令を生成する補償器と、
前記デジタル電圧指令を前記電圧指令信号に変換するD/Aコンバータと、
を含む、請求項6に記載のモータドライバ回路。
【請求項8】
前記三角波発生回路には、前記補償器に供給されるシステムクロックにもとづく前記クロック信号が供給される、請求項7に記載のモータドライバ回路。
【請求項9】
前記モータはリニアモータである、請求項6に記載のモータドライバ回路。
【請求項10】
前記リニアモータは、ボイスコイルモータである、請求項9に記載のモータドライバ回路。
【請求項11】
ひとつの半導体基板に一体集積化される、請求項6に記載のモータドライバ回路。
【請求項12】
リニアモータと、
前記リニアモータを駆動する請求項6に記載のモータドライバ回路と、
を備える、位置決め装置。
【請求項13】
請求項12に記載の位置決め装置を備える、ハードディスク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クロック信号と同期した三角波発生回路に関する。
【背景技術】
【0002】
パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)信号の生成に、アナログの三角波信号が利用される。アナログの三角波信号は、キャパシタを一定の電流で充放電することにより生成するのが一般的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は係る状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、クロック信号と同期した三角波発生回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示のある態様の三角波発生回路は、クロック信号と同期して、第1周波数を有する第1制御パルスおよび第1周波数の1/2の第2周波数を有する第2制御パルスを生成するパルス発生器と、一端が接地された第1キャパシタと、一端が接地された第2キャパシタと、第1制御パルスと同期して、出力ノードを介して充電電流をソースする状態と、放電電流をシンクする状態が切り替え可能な充放電回路と、第2制御パルスと同期して、(i)充放電回路の出力ノードを第1キャパシタに接続し、第2キャパシタに基準電圧を印加する第1状態と、(ii)充放電回路の出力ノードを第2キャパシタに接続し、第1キャパシタに基準電圧を印加する第2状態と、を交互に繰り返す切替回路と、を備える。三角波発生回路は、充放電回路の出力ノードに発生する電圧にもとづく三角波信号を出力可能である。
【0005】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明あるいは本開示の態様として有効である。さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0006】
本開示のある態様によれば、三角波信号を生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る三角波発生回路の回路図である。
【
図2】
図2は、
図1の三角波発生回路の状態φ11の等価回路図である。
【
図3】
図3は、
図1の三角波発生回路の状態φ12の等価回路図である。
【
図4】
図4は、
図1の三角波発生回路の状態φ21の等価回路図である。
【
図5】
図5は、
図1の三角波発生回路の状態φ22の等価回路図である。
【
図7】
図7は、一実施例に係る三角波発生回路の回路図である。
【
図9】
図9は、
図8のモータドライバ回路の入出力特性を示す図である。
【
図10】
図10は、変形例に係る位置決め装置のブロック図である。
【
図12】
図12は、モータドライバ回路を備えるハードディスク装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0009】
一実施形態に係る三角波発生回路は、クロック信号と同期して、第1周波数を有する第1制御パルスおよび第1周波数の1/2の第2周波数を有する第2制御パルスを生成するパルス発生器と、一端が接地された第1キャパシタと、一端が接地された第2キャパシタと、第1制御パルスと同期して、出力ノードを介して充電電流をソースする状態と、放電電流をシンクする状態が切り替え可能な充放電回路と、第2制御パルスと同期して、(i)充放電回路の出力ノードを第1キャパシタに接続し、第2キャパシタに基準電圧を印加する第1状態と、(ii)充放電回路の出力ノードを第2キャパシタに接続し、第1キャパシタに基準電圧を印加する第2状態と、を交互に繰り返す切替回路と、を備える。三角波発生回路は、充放電回路の出力ノードに発生する電圧にもとづく三角波信号を出力可能である。
【0010】
この構成によれば、クロック信号と同期して、三角波信号の1周期ごとに、2個のキャパシタを交互に切り替えることにより三角波信号を生成できる。
【0011】
一実施形態において、切替回路は、第1キャパシタと充放電回路の出力ノードの間に接続され、第2制御パルスに応じてスイッチングする第1スイッチと、第2キャパシタと充放電回路の出力ノードの間に接続され、第2制御パルスの反転信号に応じてスイッチングする第2スイッチと、一端に基準電圧を受け、他端が第1キャパシタと接続され、第2制御パルスの反転信号に応じてスイッチングする第3スイッチと、一端に基準電圧を受け、他端が第2キャパシタと接続され、第2制御パルスに応じてスイッチングする第4スイッチと、を含んでもよい。
【0012】
一実施形態において、充放電回路は、充電電流および放電電流をトリミング可能に構成されてもよい。
【0013】
一実施形態において、充放電回路は、基準電流を生成する基準電流源と、基準電流を折り返し、第1電流および第2電流を出力する第1カレントミラー回路と、第1電流を折り返し、第3電流を出力する第2カレントミラー回路と、第3電流を折り返し、ソース電流を出力する第3カレントミラー回路と、第2電流を折り返し、シンク電流を出力する第4カレントミラー回路と、を含んでもよい。
【0014】
一実施形態において、第1カレントミラー回路は、基準電流を折り返し、第4電流を出力してもよい。充放電回路は、第4電流をテイル電流として受ける差動対をさらに含み、差動対の一方のトランジスタが、第2カレントミラー回路の入力ノードと接続され、差動対の他方のトランジスタが、第4カレントミラー回路の入力ノードと接続されてもよい。
【0015】
一実施形態に係るモータドライバ回路は、電流センス抵抗を介して駆動対象のモータの第1端と接続されるべき第1出力端子と、モータの第2端と接続されるべき第2出力端子と、電流センス抵抗の電圧降下にもとづく電流フィードバック信号と基準信号との誤差にもとづくアナログ誤差信号を生成する誤差検出器と、アナログ誤差信号にもとづいて、電圧指令信号を生成するフィードバックコントローラと、互いに逆相である第1三角波信号および第2三角波信号を生成する上述のいずれかの三角波発生回路と、電圧指令信号を第1三角波信号と比較し、第1PWM(Pulse Width Modulation)信号を出力する第1PWMコンパレータと、電圧指令信号を第2三角波信号と比較し、第2PWM信号を出力する第2PWMコンパレータと、第1PWM信号に応じた第1出力電圧を第1出力端子に発生する第1ドライバと、第2PWM信号に応じた第2出力電圧を第2出力端子に発生する第2ドライバと、を備えてもよい。
【0016】
一実施形態において、フィードバックコントローラは、アナログ誤差信号をデジタル誤差信号に変換するA/Dコンバータと、デジタル誤差信号に応じたデジタル電圧指令を生成する補償器と、デジタル電圧指令を電圧指令信号に変換するD/Aコンバータと、を含む。
【0017】
一実施形態において、三角波発生回路には、補償器に供給されるシステムクロックにもとづくクロック信号が供給されてもよい。
【0018】
一実施形態において、モータはリニアモータであってもよい。リニアモータは、ボイスコイルモータであってもよい。
【0019】
一実施形態において、モータドライバ回路は、ひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0020】
一実施形態に係る位置決め装置は、リニアモータと、リニアモータを駆動する上述のいずれかのモータドライバ回路と、を備える。
【0021】
一実施形態に係るハードディスク装置は、上述の位置決め装置を備える。
【0022】
(実施形態)
以下、好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施形態は、開示および発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも開示および発明の本質的なものであるとは限らない。
【0023】
本明細書において、「部材Aが、部材Bに接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0024】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0025】
また本明細書に示される波形図やタイムチャートの縦軸および横軸は、理解を容易とするために適宜拡大、縮小したものであり、また示される各波形も、理解の容易のために簡略化されている。
【0026】
図1は、実施形態に係る三角波発生回路500の回路図である。三角波発生回路500は、パルス発生器510、充放電回路520、切替回路530、第1キャパシタC11、第2キャパシタC12を備える。
【0027】
パルス発生器510は、クロック信号CLKと同期して、第1制御パルスS0および第2制御パルスS1を生成する。第1制御パルスS0は、第1周波数f1を有し、第2制御パルスS1は、第1周波数f1の1/2の第2周波数f2を有する。第1周波数f1は、クロック信号CLKの周波数fCLKと等しくてもよいし、その整数倍であってもよいし、整数分の1倍であってもよい。
【0028】
第1キャパシタC11は、一端が接地される。第2キャパシタC12も同様に、一端が接地される。第1キャパシタC11と第2キャパシタC12の静電容量は等しく、C0である。
【0029】
充放電回路520は、出力ノード522を有する。充放電回路520は、第1制御パルスS0と同期して、出力ノード522を介して充電電流ICHGをソースする状態(ソース状態)SRCと、放電電流IDISをシンクする状態(シンク状態)SNKと、が切り替え可能に構成される。充電電流ICHGと放電電流IDISの電流量は等しい。
【0030】
切替回路530の第1ノード1は、充放電回路520の出力ノード522と接続される。また切替回路530の第2ノード2は、基準電圧源540と接続され、基準電圧VREFを受ける。切替回路530の第3ノード3は、第1キャパシタC11と接続され、第4ノード4は、第2キャパシタC12と接続される。第5ノード5には、第2制御パルスS1が入力される。
【0031】
切替回路530は、第2制御パルスS1と同期して、第1状態φ1と第2状態φ2が切替可能に構成される。切替回路530は、第2制御パルスS1が第1レベルであるとき第1状態φ1となり、(i)充放電回路520の出力ノード522を第1キャパシタC11に接続し、第2キャパシタC12に基準電圧VREFを印加する。また切替回路530は、第2制御パルスS1が第2レベルであるとき第2状態φ2となり、(ii)充放電回路520の出力ノードを第2キャパシタC12に接続し、第1キャパシタC11に基準電圧VREFを印加する。
【0032】
第1状態φ1では、充放電回路520の第1ノード1と第3ノード3の間が導通し、第2ノード2と第4ノード4の間が導通する。第2状態φ2では、充放電回路520の第1ノード1と第4ノード4の間が導通し、第2ノード2と第3ノード3の間が導通する。
【0033】
三角波発生回路500は、充放電回路520の出力ノード522に発生する電圧にもとづく三角波信号VTRIを出力可能である。
【0034】
以上が三角波発生回路500の構成である。続いて三角波発生回路500の動作を説明する。
【0035】
三角波発生回路500は、2つの制御パルスS0,S1の組み合わせに応じて、4つの状態φ11、φ12、φ21、φ22を順に繰り返す。
φ11: S0=H,S1=H
φ12: S0=L,S1=H
φ21: S0=H,S1=L
φ22: S0=L,S1=L
【0036】
図2は、
図1の三角波発生回路500の状態φ11の等価回路図である。状態φ11において切替回路530は第1状態φ1であり、充放電回路520は電流ソース状態SRC(充電状態)である。充放電回路520がソースする充電電流I
CHGは、切替回路530を介して第1キャパシタC11に供給される。これにより、第1キャパシタC11の電圧V
C11は、時間とともに一定の傾きで上昇する。第2キャパシタC12には、切替回路530を介して基準電圧V
REFが印加される。したがって第2キャパシタC12の電圧V
C12は、基準電圧V
REFに固定される。状態φ11では、三角波信号V
TRIは、第1キャパシタC11の電圧V
C11に応じている。
【0037】
図3は、
図1の三角波発生回路500の状態φ12の等価回路図である。状態φ12においても、切替回路530は引き続き第1状態φ1であるが、充放電回路520は電流シンク状態SNK(放電状態)である。充放電回路520がシンクする放電電流I
DISは、切替回路530を介して第1キャパシタC11から引き抜かれる。これにより、第1キャパシタC11の電圧V
C11は、時間とともに一定の傾きで低下する。第2キャパシタC12の電圧V
C12は、基準電圧V
REFに固定される。状態φ12では、三角波信号V
TRIは、第1キャパシタC11の電圧V
C11に応じている。
【0038】
図4は、
図1の三角波発生回路500の状態φ21の等価回路図である。状態φ21において切替回路530は第2状態φ2であり、充放電回路520は電流ソース状態SRC(充電状態)である。充放電回路520がソースする充電電流I
CHGは、切替回路530を介して第2キャパシタC12に供給される。これにより、第2キャパシタC12の電圧V
C12は、時間とともに一定の傾きで上昇する。第1キャパシタC11には、切替回路530を介して基準電圧V
REFが印加される。したがって第1キャパシタC11の電圧V
C11は、基準電圧V
REFに固定される。状態φ21では、三角波信号V
TRIは、第2キャパシタC12の電圧V
C12に応じている。
【0039】
図5は、
図1の三角波発生回路500の状態φ22の等価回路図である。状態φ22においても、切替回路530は引き続き第2状態φ2であるが、充放電回路520は電流シンク状態SNK(放電状態)である。充放電回路520がシンクする放電電流I
DISは、切替回路530を介して第2キャパシタC12から引き抜かれる。これにより、第2キャパシタC12の電圧V
C12は、時間とともに一定の傾きで低下する。第1キャパシタC11の電圧V
C11は、基準電圧V
REFに固定される。状態φ22では、三角波信号V
TRIは、第2キャパシタC12の電圧V
C12に応じている。
【0040】
図6は、
図1の三角波発生回路500の動作波形図である。
【0041】
以上が三角波発生回路500の動作である。この三角波発生回路500によれば、三角波信号VTRIの1周期毎に、第1キャパシタC11と第2キャパシタC12を交互に切り替えてことにより、外部のクロック信号CLKと同期した三角波信号VTRIを生成することができる。
【0042】
三角波発生回路500によって生成される三角波信号VTRIは、各周期のはじまりの電圧レベルが、基準電圧VREFと一致することが保証される。
【0043】
本発明は、
図1のブロック図や回路図として把握され、あるいは上述の説明から導かれるさまざまな装置、方法に及ぶものであり、特定の構成に限定されるものではない。以下、本発明の範囲を狭めるためではなく、発明の本質や動作の理解を助け、またそれらを明確化するために、より具体的な構成例や実施例を説明する。
【0044】
図7は、一実施例に係る三角波発生回路500Aの回路図である。充放電回路520は、基準電流源524、第1カレントミラー回路CM1~第4カレントミラー回路CM4、スイッチ526を備える。
【0045】
基準電流源524は、基準電流IREFを生成する。第1カレントミラー回路CM1は、基準電流IREFを折り返し、第1電流I1および第2電流I2を出力する。第2カレントミラー回路CM2は、第1電流I1を折り返し、第3電流I3を出力する。第3カレントミラー回路CM3は、第3電流I3を折り返し、ソース電流ISRCを出力する。第4カレントミラー回路CM4は、第2電流I2を折り返し、シンク電流ISNKを出力する。
【0046】
カレントミラー回路CM1~CM4のミラー比は、シンク電流ISNKの電流量が、ソース電流ISRCの電流量の2倍となるように設計されている。つまり、ISRC=I0とすると、ISNK=2I0である。
【0047】
スイッチ526は、シンク電流ISNKの経路上に設けられ、制御パルスS0に応じてオン、オフが切り替えられる。スイッチ526がオフの状態では、充電電流ICHG=ISRC=I0が切替回路530に供給される。スイッチ526がオンの状態では、放電電流IDIS=ISNK-ISRC=I0が切替回路530からシンクされる。
【0048】
充放電回路520は、充電電流ICHGと放電電流IDISが微調節可能に構成され、そのために、差動対528が設けられる。第1カレントミラー回路CM1は、基準電流IREFを折り返し、第4電流I4を出力可能となっている。差動対528は、第4電流I4をテイル電流として受ける。差動対528の一方のトランジスタM11が、第2カレントミラー回路CM2の入力ノードと接続され、差動対528の他方のトランジスタM12が、第4カレントミラー回路CM4の入力ノードと接続される。トランジスタM11のゲートには、調節用の電圧VADJが印加され、トランジスタM12のゲートには基準電圧VREF0が印加される。
【0049】
VADJ=VREF0のとき、IDIS=ICHGの関係が成り立ち、三角波信号VTRIのライズスロープの傾きとフォールスロープの傾きが等しくなる。VADJ>VREF0の範囲では、VADJを高くするほど、ICHGが小さくなるため三角波信号VTRIのライズスロープが緩やかになる一方、IDISが大きくなるため、三角波信号VTRIのフォールスロープが急峻になる。VADJ<VREF0の範囲では、VADJを低くするほど、ICHGが大きくなるため三角波信号VTRIのライズスロープが急峻になる一方、IDISが小さくなるため、三角波信号VTRIのフォールスロープが緩やかになる。
【0050】
切替回路530は、第1スイッチSW11~第4スイッチSW14を含む。第1スイッチSW11は、第1キャパシタC11と充放電回路520の出力ノード522の間に接続され、第2制御パルスS1に応じてスイッチングする。第2スイッチSW12は、第2キャパシタC12と充放電回路520の出力ノード522の間に接続され、第2制御パルスS1の反転信号/S1に応じてスイッチングする。
【0051】
第3スイッチSW13は、一端に基準電圧VREFを受け、他端が第1キャパシタC11と接続される。第3スイッチSW13は、第2制御パルスS1の反転信号/S1に応じてスイッチングする。第4スイッチSW14は、一端に基準電圧VREFを受け、他端が第2キャパシタC12と接続される。第4スイッチSW14は、第2制御パルスS1に応じてスイッチングする。
【0052】
第1アンプAMP1は非反転アンプであり、三角波信号VTRIを非反転増幅し、第1三角波信号TRIAを出力する。第2アンプAMP2は反転アンプであり、三角波信号VTRIを反転増幅し、第2三角波信号TRIBを出力する。
【0053】
三角波発生回路500Aによれば、逆相の2個の三角波信号TRIAおよびTRIBを生成できる。
【0054】
続いて三角波発生回路500の用途を説明する。
【0055】
三角波発生回路500は、パルス幅変調器に利用することができる。
【0056】
図8は、位置決め装置100Hの回路図である。位置決め装置100は、リニアモータ102、上位コントローラ104およびモータドライバ回路200H、電流センス抵抗(以下、単にセンス抵抗ともいう)Rsを備える。
【0057】
上位コントローラ104は、位置決め装置100を統合的に制御する。上位コントローラ104はリニアモータ102の目標位置を示す位置制御データPOSを生成し、位置制御データPOSをモータドライバ回路200に送信する。上位コントローラ104はたとえば、マイクロコントローラ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成される。
【0058】
モータドライバ回路200は、位置制御データPOSを受け、位置制御データPOSに応じた量の駆動電流IDRVをリニアモータ102に供給する。リニアモータ102はたとえばボイスコイルモータであり、その可動子は、リニアモータ102に流れる駆動電流IDRVに応じた量だけ変位する。
【0059】
続いてモータドライバ回路200Hの構成を説明する。モータドライバ回路200Hは、電流指令生成部210、フィードバックコントローラ220H、パルス幅変調器240、電流検出回路250、第1ドライバ260、第2ドライバ270を備え、ひとつの半導体基板に集積化された機能IC(Integrated Circuit)である。
【0060】
モータドライバ回路200Hは、第1出力端子(A相出力)AOUT、第2出力端子(B相出力)BOUT、電流検出端子ISNSを備える。AOUT端子には、センス抵抗Rsを介してリニアモータ102の一端が接続される。BOUT端子には、リニアモータ102の他端が接続される。ISNS端子は、リニアモータ102の一端と接続される。
【0061】
電流指令生成部210は、リニアモータ102に供給する駆動電流IDRVの目標値を示すアナログ指令信号VDACを生成する。たとえば電流指令生成部210は、インタフェース回路212、ロジック回路214、D/Aコンバータ216を含む。インタフェース回路212は、上位コントローラ104と接続され、位置制御データPOSを含む各種制御データを受信する。インタフェース回路212はたとえばI2C(Inter IC)インタフェースであってもよいし、SPI(Serial Peripheral Interface)であってもよい。たとえばインタフェース回路212からの制御データは、リニアモータ102の可動子の目標位置を示すコードを含む。ロジック回路214は、受信したコードにもとづく制御コードを、D/Aコンバータ216に出力する。制御コードは、上位コントローラ104から受信したコードと同じであってもよいし、受信したコードを演算して得た別のコードであってもよい。D/Aコンバータ216は、ロジック回路214が生成する制御コードを、アナログ指令信号VDACに変換する。
【0062】
なお電流指令生成部210の構成はこれに限定されず、外部から直接、アナログ指令信号VDACを受ける構成であってもよい。
【0063】
電流検出回路250は、AOUT端子およびISNS端子と接続されており、センス抵抗Rsの電圧降下にもとづいて、リニアモータ102に流れる駆動電流IDRVを示す電流フィードバック信号VFBを生成する。たとえば、電流フィードバック信号VFBは、以下の式(1)で表される。k、VCMREFは任意の定数である。
VFB=k×IDRV+VCMREF …(1)
【0064】
フィードバックコントローラ220Hは、サーボコントローラであり、電流フィードバック信号VFBが基準信号であるアナログ指令信号VDACに近づくように、フィードバックによって電圧指令信号VCTRLを生成する。フィードバックコントローラ220Hは、クロック信号CLKを利用して演算処理を行う。
【0065】
フィードバックコントローラ220Hは、エラー検出アンプ230、A/Dコンバータ222、デジタル補償器224、D/Aコンバータ226を備える。エラー検出アンプ230は、電流フィードバック信号VFBとアナログ指令信号VDACを受け、駆動電流IDRVとその目標量IREFとの誤差を示すアナログ誤差信号VERRを生成する誤差検出器である。
VERR=(IREF-IDRV)×g
gは、有限のゲインである。
【0066】
A/Dコンバータ222は、アナログ誤差信号VERRをデジタル誤差信号DERRに変換する。アナログ誤差信号VERRは、駆動電流IDRVとその目標量との誤差を示す信号である。
【0067】
デジタル補償器224は、A/Dコンバータ222が出力するデジタル誤差信号DERRにもとづいて、デジタル制御量DCTRLを生成する。デジタル補償器224は、PI(比例積分)補償器やPID(比例積分微分)補償器を含む。PI補償器は、デジタル誤差信号DERRに比例ゲインKPを乗算し、デジタル誤差信号DERRの積分値に積分ゲインKIを乗算し、それらを加算して、デジタル制御量DCTRLを生成する。
【0068】
PID補償器は、デジタル誤差信号DERRに比例ゲインKPを乗算し、デジタル誤差信号DERRの積分値に積分ゲインKIを乗算し、デジタル誤差信号DERRの微分値に微分ゲインKDを乗算し、それらを加算して、デジタル制御量DCTRLを生成する。PI補償器やPID補償器は、PI制御器やPID制御器とも称される。PI補償器とPID補償器は、制御対象の特性に応じて選択すればよい。
【0069】
D/Aコンバータ226は、デジタル制御量DCTRLをアナログ制御信号VCTRLに変換する。アナログ制御信号VCTRLは、リニアモータ102の両端間に印加すべき電圧の指令値であり、電圧指令信号ともいう。
【0070】
パルス幅変調器240は、電圧指令信号VCTRLに応じたデューティサイクルを有する第1パルス(A相PWMパルス)PWMAおよび第2パルス(B相PWMパルス)PWMBを生成する。PWMA信号のデューティサイクルは、電圧指令信号VCTRLに対して正の相関を有し、PWMB信号のデューティサイクルは、電圧指令信号VCTRLに対して負の相関を有してもよい。
【0071】
パルス幅変調器240はPWMコンパレータ242,244、三角波発生回路246を含む。三角波発生回路246は上述の三角波発生回路500のアーキテクチャを利用して構成されており、クロック信号CLKと同期した逆相の三角波信号TRIAおよびTRIBを生成する。
【0072】
PWMコンパレータ242は、電圧指令信号VCTRLと三角波信号TRIAを比較し、PWMパルスPWMAを生成する。PWMコンパレータ244は、電圧指令信号VCTRLと三角波信号TRIBを比較し、PWMパルスPWMBを生成する。
【0073】
第1ドライバ260は、PWMA信号に応じたパルス状の駆動電圧VOUTAを、AOUT端子に発生し、センス抵抗Rsを介してリニアモータ102の一端に供給する。第2ドライバ270は、PWMB信号に応じたパルス状の駆動電圧VOUTBを、BOUT端子に発生し、リニアモータ102の他端に供給する。
【0074】
以上が位置決め装置100Hの構成である。
【0075】
図9は、
図8のモータドライバ回路200Hの入出力特性を示す図である。デジタル補償器224によるフィードバック制御によって、フィードバック信号V
FBとアナログ指令信号V
DACとの誤差が近づくようにフィードバックがかかる。したがって、フィードバックが安定した状態では、式(2)が成り立つ。
V
FB=k×I
DRV+V
CMREF=V
DAC …(2)
式(2)が成り立つ定常状態において、駆動電流I
DRVは、式(3)で表される目標レベルI
REFに安定化される。
I
REF=(V
DAC-V
CMREF)/k …(3)
【0076】
以上がモータドライバ回路200の動作である。モータドライバ回路200によれば、アナログ方式の場合に比べて、アナログの位相補償回路が不要であるため、設計が容易である。
【0077】
図10は、変形例に係る位置決め装置100Iのブロック図である。
【0078】
モータドライバ回路200Iは、マスク発生回路280をさらに備える。
【0079】
マスク発生回路280は、AOUT端子の状態、すなわち第1出力電圧VOUTAにもとづいて、マスク信号MSKBを生成し、フィードバックコントローラ220のサンプルホールド回路300に供給する。具体的にはマスク発生回路280は、出力電圧VOUTAの遷移開始をトリガとしてマスク信号MSKBをアサートし、遷移の完了後にマスク信号MSKBをネゲートする。本実施形態において、マスク信号MSKBのアサートはローであり、ネゲートはハイである。
【0080】
フィードバックコントローラ220Iは、フィードバックコントローラ220Hに加えて、サンプルホールド回路300を備える。
【0081】
サンプルホールド回路300は、トラックホールド回路であり、マスク信号MSKBがネゲートの期間、アナログ誤差信号VERRをそのまま出力する(トラックモード)。サンプルホールド回路300は、マスク信号MSKBがアサートされると、アナログ誤差信号VERRをサンプリングし、マスク信号MSKBのアサートの期間、サンプリングしたアナログ誤差信号VERRをホールドする(ホールドモード)。これによりフィードバックコントローラ220は、マスク信号MSKBがネゲートされる期間、つまり出力電圧VOUTAの非遷移期間中に生成されたアナログ誤差信号VERRにもとづいて電圧指令信号VCTRLを生成する。言い換えると、マスク信号MSKBがアサートの期間、つまり出力電圧VOUTAの遷移中のアナログ誤差信号VERRはフィードバック制御に使用されない。
【0082】
図11は、
図10のモータドライバ回路200Iの動作波形図である。パルス幅変調器240において、電圧指令信号V
CTRLが、三角波信号TRIA,TRIBと比較され、PWMA信号およびPWMB信号が生成される。
【0083】
第1ドライバ260は、PWMA信号に応じて、パルス状のA相駆動電圧VOUTAを生成する。第1ドライバ260の遅延によって、A相駆動電圧VOUTAは、PWMA信号に対して遅れている。第2ドライバ270は、PWMB信号に応じて、パルス状のB相駆動電圧VOUTBを生成する。第2ドライバ270の遅延によって、B相駆動電圧VOUTBは、PWMB信号に対して遅れている。
【0084】
マスク発生回路280によって、マスク信号MSKBが生成される。マスク信号MSKBは、A相駆動電圧VOUTの遷移期間においてアサート(ハイ)であり、A相駆動電圧VOUTが安定している間、ネゲート(ロー)である。
【0085】
サンプルホールド回路300は、マスク信号MSKがネゲートの期間、トラックモードで動作する。したがってA/Dコンバータ222は、マスク信号MSKがネゲートの期間、その内部信号であるタイミング信号(サンプルホールド信号)S/Hにもとづいて、アナログ誤差信号VERRをデジタル誤差信号DERRに変換する。
【0086】
図11の波形図では、S/H信号は、三角波信号TRIA,TRIBと同期している。具体的には、三角波信号TRIA,TRIBのピークおよびボトムのタイミング、つまりクロック信号CLKのタイミングで、S/H信号をリタイミング(強制同期)している。
【0087】
図11の最下段には、デジタル補償器224に取り込まれるデジタル誤差信号D
ERRが示される。デジタル補償器224は、取り込んだデジタル誤差信号D
ERRにもとづいて、デジタル制御量D
CTRLを生成する。このデジタル制御量D
CTRLがD/Aコンバータ226によってアナログの電圧指令信号V
CTRLに変換される。
【0088】
黒く塗りつぶしたデジタル誤差信号DERRは、サンプルホールド回路300によってホールドされた同じ電圧レベルのアナログ誤差信号VERRにもとづいているため、実質的に同値である。
【0089】
以上がモータドライバ回路200の動作である。上述のように、本発明者は、電流センス抵抗Rsと接続される出力端子AOUTの電圧(A相駆動電圧)VOUTAの遷移中は、電流検出精度が低下することを認識した。そこで、A相駆動電圧VOUTAの遷移中は、電流検出をマスクすることにより、電流検出精度を改善できる。
【0090】
(用途)
図12は、モータドライバ回路200を備えるハードディスク装置900を示す図である。ハードディスク装置900は、プラッタ902、スイングアーム904、ヘッド906、スピンドルモータ910、シークモータ912、モータドライバ回路920を備える。モータドライバ回路920は、スピンドルモータ910やシークモータ912を駆動する。
【0091】
シークモータ912はボイスコイルモータである。実施形態に係るモータドライバ回路200(あるいは200A)は、モータドライバ回路920に内蔵されており、シークモータ912を駆動する。シークモータ912は、スイングアーム904を介してヘッド906を位置決めする。
【0092】
本開示において、駆動対象であるリニアモータの構成や形式は特に限定されない。たとえばスプリングリターン方式のボイスコイルモータや、その他のリニアアクチュエータの駆動にも本開示は適用可能である。あるいは駆動対象のモータは、スピンドルモータであってもよい。
【0093】
位置決め装置100の用途も、ハードディスク装置には限定されず、カメラのレンズの位置決め機構などにも適用できる。
【0094】
(付記)
本明細書には以下の技術が開示される。
【0095】
(項目1)
クロック信号と同期して、第1周波数を有する第1制御パルスおよび前記第1周波数の1/2の第2周波数を有する第2制御パルスを生成するパルス発生器と、
一端が接地された第1キャパシタと、
一端が接地された第2キャパシタと、
前記第1制御パルスと同期して、出力ノードを介して充電電流をソースする状態と、放電電流をシンクする状態が切り替え可能な充放電回路と、
前記第2制御パルスと同期して、(i)前記充放電回路の前記出力ノードを第1キャパシタに接続し、前記第2キャパシタに基準電圧を印加する第1状態と、(ii)前記充放電回路の前記出力ノードを前記第2キャパシタに接続し、前記第1キャパシタに前記基準電圧を印加する第2状態と、を交互に繰り返す切替回路と、
を備え、前記充放電回路の前記出力ノードに発生する電圧にもとづく三角波信号を出力可能である、三角波発生回路。
【0096】
(項目2)
前記切替回路は、
前記第1キャパシタと前記充放電回路の前記出力ノードの間に接続され、前記第2制御パルスに応じてスイッチングする第1スイッチと、
前記第2キャパシタと前記充放電回路の前記出力ノードの間に接続され、前記第2制御パルスの反転信号に応じてスイッチングする第2スイッチと、
一端に前記基準電圧を受け、他端が前記第1キャパシタと接続され、前記第2制御パルスの前記反転信号に応じてスイッチングする第3スイッチと、
一端に前記基準電圧を受け、他端が前記第2キャパシタと接続され、前記第2制御パルスに応じてスイッチングする第4スイッチと、
を含む、項目1に記載の三角波発生回路。
【0097】
(項目3)
前記充放電回路は、前記充電電流および前記放電電流をトリミング可能に構成される、項目1に記載の三角波発生回路。
【0098】
(項目4)
前記充放電回路は、
基準電流を生成する基準電流源と、
前記基準電流を折り返し、第1電流および第2電流を出力する第1カレントミラー回路と、
前記第1電流を折り返し、第3電流を出力する第2カレントミラー回路と、
前記第3電流を折り返し、ソース電流を出力する第3カレントミラー回路と、
前記第2電流を折り返し、シンク電流を出力する第4カレントミラー回路と、
を含む、項目1から3のいずれかに記載の三角波発生回路。
【0099】
(項目5)
前記第1カレントミラー回路は、前記基準電流を折り返し、第4電流を出力し、
前記充放電回路は、
前記第4電流をテイル電流として受ける差動対をさらに含み、前記差動対の一方のトランジスタが、前記第2カレントミラー回路の入力ノードと接続され、前記差動対の他方のトランジスタが、前記第4カレントミラー回路の入力ノードと接続される、項目4に記載の三角波発生回路。
【0100】
(項目6)
電流センス抵抗を介して駆動対象のモータの第1端と接続されるべき第1出力端子と、
前記モータの第2端と接続されるべき第2出力端子と、
前記電流センス抵抗の電圧降下にもとづく電流フィードバック信号と基準信号との誤差にもとづくアナログ誤差信号を生成する誤差検出器と、
前記アナログ誤差信号にもとづいて、電圧指令信号を生成するフィードバックコントローラと、
項目1から5のいずれかに記載の三角波発生回路であって、互いに逆相である第1三角波信号および第2三角波信号を出力する三角波発生回路と、
前記電圧指令信号を前記第1三角波信号と比較し、第1PWM(Pulse Width Modulation)信号を出力する第1PWMコンパレータと、
前記電圧指令信号を前記第2三角波信号と比較し、第2PWM信号を出力する第2PWMコンパレータと、
前記第1PWM信号に応じた第1出力電圧を前記第1出力端子に発生する第1ドライバと、
前記第2PWM信号に応じた第2出力電圧を前記第2出力端子に発生する第2ドライバと、
を備える、モータドライバ回路。
【0101】
(項目7)
前記フィードバックコントローラは、
前記アナログ誤差信号をデジタル誤差信号に変換するA/Dコンバータと、
前記デジタル誤差信号に応じたデジタル電圧指令を生成する補償器と、
前記デジタル電圧指令を前記電圧指令信号に変換するD/Aコンバータと、
を含む、項目6に記載のモータドライバ回路。
【0102】
(項目8)
前記三角波発生回路には、前記補償器に供給されるシステムクロックにもとづく前記クロック信号が供給される、項目7に記載のモータドライバ回路。
【0103】
(項目9)
前記モータはリニアモータである、項目6から8のいずれかに記載のモータドライバ回路。
【0104】
(項目10)
前記リニアモータは、ボイスコイルモータである、項目9に記載のモータドライバ回路。
【0105】
(項目11)
ひとつの半導体基板に一体集積化される、項目6から8のいずれかに記載のモータドライバ回路。
【0106】
(項目12)
リニアモータと、
前記リニアモータを駆動する項目6から8のいずれかに記載のモータドライバ回路と、
を備える、位置決め装置。
【0107】
(項目13)
項目12に記載の位置決め装置を備える、ハードディスク装置。
【符号の説明】
【0108】
100 位置決め装置
102 リニアモータ
104 上位コントローラ
200 モータドライバ回路
210 電流指令生成部
212 インタフェース回路
214 ロジック回路
216 D/Aコンバータ
220 フィードバックコントローラ
222 A/Dコンバータ
224 デジタル補償器
226 D/Aコンバータ
230 エラー検出アンプ
240 パルス幅変調器
250 電流検出回路
260 第1ドライバ
270 第2ドライバ
280 マスク発生回路
300 サンプルホールド回路
500 三角波発生回路
510 パルス発生器
S0 第1制御パルス
S1 第2制御パルス
C11 第1キャパシタ
C12 第2キャパシタ
520 充放電回路
522 出力ノード
524 基準電流源
526 スイッチ
528 差動対
CM1 第1カレントミラー回路
CM2 第2カレントミラー回路
CM3 第3カレントミラー回路
CM4 第4カレントミラー回路
SW11 第1スイッチ
SW12 第2スイッチ
SW13 第3スイッチ
SW14 第4スイッチ
530 切替回路
TRIA 第1三角波信号
TRIB 第2三角波信号