(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117534
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】積層ブロックの移載装置及び積層ブロックの移載方法
(51)【国際特許分類】
H02K 15/02 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
H02K15/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023673
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】難波 慶太
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 靖範
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB02
5H615BB07
5H615BB14
5H615PP02
5H615PP06
5H615SS05
5H615SS10
5H615TT05
(57)【要約】
【課題】積層体から積層ブロックを1つずつ容易に取り出すことができる積層ブロックの移載装置及び積層ブロックの移載方法を提供する。
【解決手段】第1移載装置80は、複数の第1鉄心片が積層された積層ブロック20が複数積層された積層体11Aを支持する支持治具85から、積層ブロック20を1つずつ取り出して移載対象へ移載する。第1移載装置80は、2段目ブロック20Aの移動を規制する規制部81と、積層体11Aにおける最上位の積層ブロック20を支持治具85から取り出して移載対象へ移載する移載部82とを備える。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鉄心片が積層された積層ブロックが複数積層された積層体を支持する支持治具から、前記積層ブロックを1つずつ取り出して移載対象へ移載する積層ブロックの移載装置であって、
前記積層体を構成する複数の前記積層ブロックのうち、最上位の前記積層ブロックの直下に位置する前記積層ブロックの移動を規制する規制部と、
前記最上位の積層ブロックを前記支持治具から取り出して前記移載対象へ移載する移載部と、を備える、
積層ブロックの移載装置。
【請求項2】
前記最上位の積層ブロックの上端面の位置を検出する検出部を備え、
前記規制部は、前記積層体のうち、前記検出部によって検出された前記上端面の位置から指定距離だけ下方に離れた部分の外周面を挟持するように構成されており、
前記指定距離は、前記最上位の積層ブロックの厚さと、前記最上位の積層ブロックの直下に位置する前記積層ブロックの厚さの半分との総和である、
請求項1に記載の積層ブロックの移載装置。
【請求項3】
複数の鉄心片が積層された積層ブロックが複数積層された積層体を支持する支持治具から、前記積層ブロックを1つずつ取り出して移載対象へ移載する積層ブロックの移載方法であって、
前記積層体を構成する複数の前記積層ブロックのうち、最上位の前記積層ブロックの直下に位置する前記積層ブロックの移動を規制した状態で、前記最上位の積層ブロックを取り出して前記移載対象へ移載する、
積層ブロックの移載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層ブロックの移載装置及び積層ブロックの移載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の回転電機の積層鉄心は、電磁鋼板から打ち抜かれた複数の鉄心片が積層された積層ブロックが複数積層されることにより構成されている。
各鉄心片には、板厚方向の一方側に膨出するダボが設けられている。積層ブロックにおいて隣接する鉄心片同士は、ダボがかしめられることで互いに結合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、積層鉄心の製造においては、複数の積層ブロックが積層された積層体から、積層ブロックを1つずつ取り出して次工程に搬送することがある。しかしながら、積層体の積層方向において隣接する積層ブロック同士は、互いに密着するおそれがある。積層ブロック同士の密着は、一方の積層ブロックのダボと他方の積層ブロックのダボとの食い付きや、積層ブロック同士の隙間に介在する加工油などに起因して生じる。積層ブロック同士が密着している場合、積層体から積層ブロックを1つずつ取り出すことが困難となるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための積層ブロックの移載装置は、複数の鉄心片が積層された積層ブロックが複数積層された積層体を支持する支持治具から、前記積層ブロックを1つずつ取り出して移載対象へ移載する積層ブロックの移載装置であって、前記積層体を構成する複数の前記積層ブロックのうち、最上位の前記積層ブロックの直下に位置する前記積層ブロックの移動を規制する規制部と、前記最上位の積層ブロックの外周面を挟持して前記支持治具から取り出して前記移載対象へ移載する移載部と、を備える。
【0006】
同構成によれば、移載部によって最上位の積層ブロックが支持治具から取り出される際に、最上位の積層ブロックの直下に位置する他の積層ブロックの移動が規制部によって規制される。これにより、最上位の積層ブロックと他の積層ブロックとが密着している場合であっても、移載部によって他の積層ブロックから最上位のブロックを剥離して取り出すことができる。したがって、積層体から積層ブロックを1つずつ容易に取り出すことができる。
【0007】
上記課題を解決するための積層ブロックの移載方法は、複数の鉄心片が積層された積層ブロックが複数積層された積層体を支持する支持治具から、前記積層ブロックを1つずつ取り出して移載対象へ移載する積層ブロックの移載方法であって、前記積層体を構成する複数の前記積層ブロックのうち、最上位の前記積層ブロックの直下に位置する前記積層ブロックの移動を規制した状態で、前記最上位の積層ブロックを取り出して前記移載対象へ移載する。
【0008】
同方法によれば、最上位の積層ブロックが支持治具から取り出される際に、最上位の積層ブロックの直下に位置する他の積層ブロックの移動が規制される。これにより、最上位の積層ブロックと他の積層ブロックとが密着している場合であっても、他の積層ブロックから最上位のブロックを剥離して取り出すことができる。したがって、積層体から積層ブロックを1つずつ容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態における回転電機を示す平面図である。
【
図4】
図4(a)は、第1品種のロータコアを示す平面図であり、
図4(b)は、第2品種のロータコアを示す平面図である。
【
図5】
図5は、
図1のロータコアの第3ブロックを示す平面図である。
【
図6】
図6は、
図1のロータコアの第4ブロックを示す平面図である。
【
図7】
図7は、
図1のロータコアの第1冷却孔を示す平面図である。
【
図8】
図8は、
図1のロータコアの第2冷却孔を示す平面図である。
【
図9】
図9は、
図1のロータコアの第3冷却孔を示す平面図である。
【
図10】
図10は、第2製造ラインにて製造されたロータコアの第1冷却孔を示す平面図である。
【
図11】
図11は、一実施形態におけるプレス装置及び積厚測定装置の構成を示す概略図である。
【
図13】
図13は、一実施形態における第1移載装置の構成を示す断面図である。
【
図14】
図14は、一実施形態における正否判定装置の構成を示す断面図である。
【
図15】
図15は、一実施形態における積層装置の構成を示す断面図である。
【
図17】
図17は、一実施形態におけるかしめ装置の構成を示す断面図である。
【
図18】
図18は、一実施形態における磁石挿入装置の構成を示す平面図である。
【
図20】
図20は、一実施形態における案内治具及び押込治具の構成を示す断面図である。
【
図21】
図21は、一実施形態におけるモールド装置の構成を示す断面図である。
【
図23】
図23は、一実施形態における除去装置の構成を示す概略図である。
【
図25】
図25は、一実施形態における溶接装置の構成を示す断面図である。
【
図26】
図26は、ロータの製造方法の手順を示すフローチャートである。
【
図27】
図27は、積厚調整工程の手順を示すフローチャートである。
【
図28】
図28は、搬送工程において、支持治具に積層体が支持された状態を示す断面図である。
【
図29】
図29は、第1移載工程において、検出部が上昇した状態を示す断面図である。
【
図30】
図30は、第1移載工程において、規制部が積層ブロックを挟持した状態を示す断面図である。
【
図31】
図31は、第1移載工程において、移載部が積層ブロックを挟持した状態を示す断面図である。
【
図32】
図32は、第1移載工程において、移載部が積層ブロックを移載している状態を示す断面図である。
【
図33】
図33は、第1移載工程において、移載部が積層ブロックを正否判定装置に移載した状態を示す断面図である。
【
図34】
図34(a)は、正否判定工程において、回転ステージが回転している状態を示す平面図であり、
図34(b)は、正否判定工程において、積層ブロックが位置決めされた状態を示す平面図である。
【
図36】
図36は、第2移載装置が正否判定装置から積層ブロックを移載している状態を示す断面図である。
【
図37】
図37は、ロータコア形成工程において、第1ブロックが積層治具に嵌め入れられる直前の状態を示す断面図である。
【
図38】
図38は、ロータコア形成工程において、第1ブロックが載置台に載置された状態を示す断面図である。
【
図39】
図39は、ロータコア形成工程において、第1ブロックが第2移載装置によって押圧されている状態を示す断面図である。
【
図40】
図40は、ロータコア形成工程において、第2ブロックが第2移載装置によって移載されている状態を示す断面図である。
【
図41】
図41は、ロータコア形成工程において、第2ブロックが第2移載装置によって押圧されている状態を示す断面図である。
【
図42】
図42は、ロータコア形成工程において、第6ブロックが第2移載装置によって押圧されている状態を示す断面図である。
【
図43】
図43は、かしめ工程において、第1型がロータコアを押圧している状態を示す断面図である。
【
図44】
図44は、磁石挿入工程において、整列機構が供給位置に位置している状態を示す平面図である。
【
図45】
図45は、磁石挿入工程において、取出機構が載置部に磁石を載置した状態を示す側面図である。
【
図46】
図46は、磁石挿入工程において、ロータコアに案内治具が載置された状態を示す断面図である。
【
図47】
図47は、磁石挿入工程において、案内治具に磁石が挿入されている状態を示す断面図である。
【
図48】
図48は、磁石挿入工程において、磁石が押込治具により押し込まれている状態を示す断面図である。
【
図49】
図49は、残留抑制処理の手順を示すフローチャートである。
【
図50】
図50は、モールド工程において、磁石収容孔に磁石が充填された状態を示す断面図である。
【
図51】
図51は、除去工程において、搬送装置が降下している状態を示す断面図である。
【
図52】
図52は、除去工程において、第1押圧部により固化物がカルプレートから押し出された状態を示す断面図である。
【
図53】
図53は、除去工程において、第2押圧部により固化物がカルプレートから押し出された状態を示す断面図である。
【
図54】
図54は、溶接工程において、ロータコアとエンドプレートとが溶接された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1~
図54を参照して、一実施形態について説明する。
図1に示すように、回転電機Mは、ロータ10と、ステータ50とを備えている。ロータ10及びステータ50は、それぞれ円筒状をなしている。ステータ50は、図示しないハウジングに固定されている。ロータ10は、ステータ50の中心孔の内側において回転可能に構成されている。
【0011】
(ロータ10)
図2に示すように、ロータ10は、ロータコア11と、複数の磁石30と、複数の樹脂材31と、2つのエンドプレート32とを備えている。ロータ10は、例えば、磁石埋込型のロータである。
【0012】
(ロータコア11)
ロータコア11は、軸線Cを中心軸とする円筒状をなしている。
以降において、ロータコア11の軸線方向を単に軸線方向と称する。ロータコア11の軸線Cを中心とする径方向を単に径方向と称する。ロータコア11の軸線Cを中心とする周方向を単に周方向と称する。
【0013】
ロータコア11は、シャフトSが挿入される中心孔12と、磁石30が収容される複数の磁石収容孔14と、冷却媒体が流れる複数の冷却流路15とを有している。中心孔12、各磁石収容孔14、及び各冷却流路15は、軸線方向においてロータコア11を貫通している。
【0014】
図1に示すように、中心孔12は、円形状をなしている。中心孔12の内面には、径方向において互いに対向して突出する2つのキー13が設けられている。2つのキー13がシャフトSに設けられた図示しないキー溝に嵌合することで、周方向におけるロータコア11とシャフトSとの相対移動が規制されている。
【0015】
複数の磁石収容孔14は、中心孔12よりも径方向の外側に位置するとともに、周方向において等間隔に設けられている。ロータコア11は、例えば、20個の磁石収容孔14を有している。各磁石収容孔14の開口は、平面視において、例えば略長方形状である。周方向において隣り合う2つの磁石収容孔14は、周方向に対して互いに逆向きに傾斜している。複数の冷却流路15は、磁石収容孔14よりも径方向の内側に位置するとともに、周方向において等間隔に設けられている。ロータコア11は、例えば、10個の冷却流路15を有している。
【0016】
図2に示すように、各冷却流路15は、軸線方向に延びる軸方向流路16と、径方向に延びる径方向流路17とを有している。
軸方向流路16は、ロータコア11を軸線方向において貫通している。軸方向流路16は、ロータコア11の両端面に開口する開口を有している。各開口は、平面視において概ね周方向に延びるように湾曲した形状をなしている(
図1参照)。
【0017】
径方向流路17は、軸方向流路16から径方向の内側に向かって延びるとともに中心孔12の内周面に開口している。すなわち、径方向流路17は、軸方向流路16と中心孔12とを連通している。
【0018】
径方向流路17は、2つの第1流路17aと、第2流路17bとを有している。
2つの第1流路17aは、軸方向流路16のうち軸線方向において互いに離間した2箇所から径方向の内側に延びている。2つの第1流路17aの径方向における内側の端部同士は、軸線方向において連通している。
【0019】
第2流路17bは、2つの第1流路17aが連通する部分から径方向の内側に延びている。第2流路17bは、例えば、ロータコア11の軸線方向における中央部に位置するとともに径方向に延びている。第2流路17bは、中心孔12の内周面に開口するとともにシャフトSの外周面に形成された図示しない連通孔に連通している。
【0020】
なお、
図3以降の各図においては、冷却流路15が省略して図示されることがある。
(積層ブロック20)
ロータコア11は、電磁鋼板から打ち抜かれた環状をなす複数の第1鉄心片Waが軸線方向において積層されることにより構成されている。より詳しくは、ロータコア11は、複数の第1鉄心片Waが積層された積層ブロック20が軸線方向において複数積層されることにより構成されている。
【0021】
図3に示すように、第1鉄心片Waは、板厚方向の一方側に膨出して形成された複数のダボ18を有している。複数のダボ18は、第1鉄心片Waの周方向において等間隔に設けられている。
【0022】
各積層ブロック20において隣接する第1鉄心片Waは、ダボ18同士がかしめられることにより互いに結合されている。各積層ブロック20において軸線方向の一端面を構成する第1鉄心片Waは、軸線方向に貫通する複数の貫通孔19を有している。ダボ18を有する第1鉄心片Waと、貫通孔19を有する第1鉄心片Waとは、ダボ18が貫通孔19に嵌入することにより互いに結合されている。このようにして、各積層ブロック20を構成する複数の第1鉄心片Waは、互いに結合されることで一体化されている。
【0023】
各積層ブロック20において貫通孔19を有する第1鉄心片Waは、当該第1鉄心片Waを有する積層ブロック20に隣接する他の積層ブロック20の第1鉄心片Waとは結合されていない。なお、各ダボ18及び各貫通孔19は、冷却流路15よりも径方向の外側であって、周方向において隣り合う2つの磁石収容孔14の間に設けられている。
【0024】
図2に示すように、ロータコア11は、例えば、6つの積層ブロック20が積層されることにより構成されている。6つの積層ブロック20は、単一の電磁鋼板から打ち抜かれた第1鉄心片Waによって構成されており、異なる電磁鋼板から打ち抜かれた第1鉄心片Waは混在していない。これにより、複数の積層ブロック20が積層された際の厚さ、すなわちロータコア11の厚さ(以下、積厚と称する)のばらつきが抑えられている。
【0025】
以降において、6つの積層ブロック20における1番目から6番目の積層ブロック20をそれぞれを第1ブロック21、第2ブロック22、第3ブロック23、第4ブロック24、第5ブロック25、及び第6ブロック26と称する。なお、第1ブロック21は、ダボ18の突出方向におけるロータコア11の端部を構成している。
【0026】
第1ブロック21、第2ブロック22、第5ブロック25、及び第6ブロック26の軸線方向における厚さは略同一である。第3ブロック23及び第4ブロック24の軸線方向における厚さは略同一であり、且つその他の積層ブロック20の軸線方向における厚さよりも小さい。
【0027】
第1ブロック21及び第6ブロック26の外周面には、複数の溶接溝33が周方向に互いに間隔をおいて設けられている。第1ブロック21の複数の溶接溝33は、第1ブロック21の外周面における第2ブロック22とは反対側の端部に設けられている。第6ブロック26の複数の溶接溝33は、第6ブロック26の外周面における第5ブロック25とは反対側の端部に設けられている。なお、第2ブロック22~第5ブロック25には、溶接溝33が設けられていない。すなわち、ロータコア11は、溶接溝33を有する2つの積層ブロック20と、溶接溝33を有しない4つの積層ブロック20とにより構成されている。
【0028】
各溶接溝33には、ロータコア11とエンドプレート32とが溶接された際のビード33aが形成されている。溶接溝33は、後述する複数の第1鉄心片Waに跨がって形成されている。溶接溝33は、ロータコア11の軸線方向における端面に連なっている。
【0029】
以降において、便宜上、積層ブロック20の軸線方向における一方側の端面を表面Fと称し、積層ブロック20の表面Fとは反対側の端面を裏面Bと称する。表面Fは、積層ブロック20におけるダボ18が突出する側とは反対側の端面である。なお、これら表面F及び裏面Bは、ロータ10の使用時における姿勢を表すものではない。
【0030】
第1ブロック21、第2ブロック22、第5ブロック25、及び第6ブロック26には、軸方向流路16の一部が貫通して形成されている。
図4(a)に示すように、第1ブロック21、第2ブロック22、第5ブロック25、及び第6ブロック26の表面Fの平面視における冷却流路15の形状は、互いに同一である。
【0031】
図2に示すように、第3ブロック23及び第4ブロック24には、軸方向流路16の一部と、2つの第1流路17aの一方と、第2流路17bの一部とが形成されている。
図5及び
図6に示すように、第3ブロック23及び第4ブロック24の表面Fの平面視における冷却流路15の形状は、互いに異なる。一方、第3ブロック23の表面Fの平面視における冷却流路15の形状と、第4ブロック24の裏面Bの平面視における冷却流路15の形状とは、互いに同一である。
【0032】
図1に示すように、複数の冷却流路15は、開口形状が互いに異なる第1冷却流路15A、第2冷却流路15B、及び第3冷却流路15Cを有している。複数の冷却流路15は、例えば、1つの第1冷却流路15A、8つの第2冷却流路15B、及び1つの第3冷却流路15Cを有している。
【0033】
第1冷却流路15A及び第3冷却流路15Cは、中心孔12を挟んで互いに反対側に位置している。第1冷却流路15A及び第3冷却流路15Cは、キー13の突出方向に延びる仮想軸線L1を軸線Cを中心に所定の角度回転させた仮想軸線L2が通る2つの冷却流路15により構成されている。本実施形態における第1冷却流路15A及び第3冷却流路15Cは、表面Fから視て、軸線Cを中心として仮想軸線L1を時計回りに54°回転させた仮想軸線L2が通過する2つの冷却流路15により構成されている。なお、仮想軸線L1は、2つのキー13の周方向における中央部同士を結ぶ線であって、周方向において隣り合う2つの冷却流路15及び2つの磁石収容孔14の間において延びている。
【0034】
複数の冷却流路15のうち、第1冷却流路15A及び第3冷却流路15C以外の冷却流路15は、第2冷却流路15Bである。このため、第1冷却流路15Aに対して、仮想軸線L1を挟んで対称となる位置には、第2冷却流路15Bが設けられている。同様に、第3冷却流路15Cに対して、仮想軸線L1を挟んで対称となる位置には、第2冷却流路15Bが設けられている。したがって、仮想軸線L1を中心に積層ブロック20の表裏を反転した場合、第1冷却流路15Aの位置と第2冷却流路15Bの位置とが入れ替わるとともに、第3冷却流路15Cの位置と第2冷却流路15Bの位置とが入れ替わる。
【0035】
図7に示すように、第1冷却流路15Aは、軸方向流路16の内周面から軸方向流路16の内側に突出した複数の第1識別突起40を有している。各第1識別突起40は、軸方向流路16の軸線方向における全体にわたって延びている。第1識別突起40は、表面F及び裏面Bから視て視認可能である。
【0036】
第1識別突起40は、例えば、軸方向流路16の周方向における両端部の内周面のうち、径方向の外側の部分に2つずつ設けられている。すなわち、第1冷却流路15Aは、都合4つの第1識別突起40を有している。
【0037】
軸方向流路16の周方向における一端部に位置する2つの第1識別突起40は、互いに間隔をおいて設けられている。以降において、平面視における上記2つの第1識別突起40同士の距離を突起間距離と称する。
【0038】
図8に示すように、各第2冷却流路15Bは、軸方向流路16の内周面から軸方向流路16の外側に窪む複数の識別溝41を有している。各識別溝41は、軸線方向における軸方向流路16の全体にわたって延びている。識別溝41は、表面F及び裏面Bから視て視認可能である。
【0039】
識別溝41は、例えば、軸方向流路16の周方向における両端部の内周面のうち、径方向の外側の部分に1つずつ設けられている。すなわち、各第2冷却流路15Bは、都合2つの識別溝41を有している。
【0040】
図9に示すように、第3冷却流路15Cは、軸方向流路16の内周面から軸方向流路16の内側に突出した複数の第2識別突起42を有している。各第2識別突起42は、軸方向流路16の軸線方向における全体にわたって延びている。第2識別突起42は、表面F及び裏面Bから視て視認可能である。
【0041】
第2識別突起42は、例えば、軸方向流路16の周方向における両端部の内周面のうち、径方向の外側の部分に1つずつ設けられている。すなわち、第3冷却流路15Cは、都合2つの第2識別突起42を有している。
【0042】
図7~
図9に示すように、各積層ブロック20の軸線方向における両端面には、表裏識別部43が設けられている。表裏識別部43は、積層ブロック20の表裏を識別するための部位である。
【0043】
図7及び
図10に示すように、各積層ブロック20の軸線方向における両端面には、ライン識別部44が設けられている。ライン識別部44は、積層ブロック20の製造ラインを識別するための部位である。
【0044】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、各積層ブロック20の軸線方向における両端面には、品種識別部45が設けられている。品種識別部45は、ロータ10の品種を識別するための部位である。
【0045】
ここで、後述するロータ10の製造方法では、2つの製造ラインにて積層ブロック20が製造される。以降において、一方の製造ラインを第1製造ラインM1と称し、他方の製造ラインを第2製造ラインM2と称することがある。
【0046】
また、ロータ10の製造方法では、2つの品種のロータ10が製造される。以降において、一方の品種を第1品種V1と称し、他方の品種を第2品種V2と称することがある。第1品種V1及び第2品種V2では、例えば、ロータコア11の種類及び磁石30の種類が異なる。したがって、第1品種V1及び第2品種V2では、ロータコア11を構成する積層ブロック20の種類が異なる。
【0047】
図7~
図9に示すように、表裏識別部43は、各積層ブロック20における複数の冷却流路15の開口により構成されている。表裏識別部43は、第1冷却流路15A、第2冷却流路15B、及び第3冷却流路15Cの各々の開口により構成されている。
【0048】
図1に示すように、積層ブロック20の一端面を視たとき、仮想軸線L1を軸線Cを中心として時計回りに54°回転させた仮想軸線L2が通過する2つの冷却流路15の開口形状の違いによって、積層ブロック20の表裏が識別される。本実施形態では、積層ブロック20の一端面における上記2つの冷却流路15が第1冷却流路15A及び第3冷却流路15Cである場合は、当該一端面は表面Fであると識別される。また、積層ブロック20の一端面における上記2つの冷却流路15が共に第2冷却流路15Bである場合は、当該一端面は裏面Bであると識別される。
【0049】
図7及び
図10に示すように、ライン識別部44は、各積層ブロック20における第1冷却流路15Aの開口により構成されている。
上述した第1識別突起40同士の突起間距離は、積層ブロック20の製造ライン毎に異なっている。例えば、第1製造ラインM1の積層ブロック20における突起間距離d1は、第2製造ラインM2の積層ブロック20における突起間距離d2よりも小さい(d1<d2)。すなわち、突起間距離によって、積層ブロック20の製造ラインを識別することができる。
【0050】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、品種識別部45は、周方向において冷却流路15を挟んで互いに反対側に位置して隣り合う一対の磁石収容孔14(以下、単に一対の磁石収容孔14と称する)により構成されている。
【0051】
一対の磁石収容孔14がなす角度である識別角度は、ロータ10の品種毎に異なっている。例えば、第1品種V1の積層ブロック20における識別角度θ1は、第2品種V2の積層ブロック20における識別角度θ2よりも小さい(θ1<θ2)。すなわち、識別角度によって、積層ブロック20の品種を識別することができる。
【0052】
(磁石30)
図2に示すように、磁石30は、軸線方向に延びる長尺状をなしている。磁石30の軸線方向に直交する断面形状は、略長方形状をなしている。
【0053】
磁石30の軸線方向における長さは、磁石収容孔14の長さと同一であってもよいし、短くてもよい。磁石30は、1つの磁石収容孔14に対して1つずつ収容されていてもよいし、複数個ずつ収容されていてもよい。
【0054】
磁石30としては、例えば、永久磁石が挙げられる。
(樹脂材31)
樹脂材31は、磁石30が収容された磁石収容孔14の内部に充填された樹脂が固化したものである。磁石30は、樹脂材31によってロータコア11に対して固定されている。複数の積層ブロック20は、樹脂材31によって互いに固定されている。樹脂材31は、例えば、磁石30の軸線方向における両端面を覆っていてもよい。
【0055】
樹脂材31としては、例えば、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。
(エンドプレート32)
2つのエンドプレート32は、ロータコア11の軸線方向における両端面をそれぞれ覆っている。一方のエンドプレート32は、第1ブロック21に対して溶接されており、他方のエンドプレート32は、第6ブロック26に対して溶接されている。なお、
図1では、エンドプレート32の図示が省略されている。
【0056】
エンドプレート32は、ロータコア11の軸線方向における端面の形状に対応した円板状をなしている。エンドプレート32は、中心孔12に連通する第1貫通孔32aと、各磁石収容孔14に連通する第2貫通孔32bとを有している。
【0057】
エンドプレート32の材料としては、例えば、ステンレス鋼などの金属材料が挙げられる。
(ステータ50)
図1に示すように、ステータ50は、ステータコア51と、複数のコイル56とを備えている。
【0058】
ステータコア51は、ヨーク52と、複数のティース53と、複数のスロット54とを有している。ヨーク52は円筒状をなしている。複数のティース53は、ヨーク52から径方向の内側に突出するとともに周方向に互いに間隔をおいて設けられている。スロット54は、周方向において隣り合うティース53同士の間に1つずつ形成されている。
【0059】
ステータコア51は、ヨーク52から径方向の外側に突出した3つの固定部55を有している。3つの固定部55が、図示しないボルトによって図示しないハウジングに締結されることで、ステータコア51が当該ハウジングに対して固定されている。
【0060】
図示は省略するが、ステータコア51は、ロータコア11と同様に、電磁鋼板から打ち抜かれた複数の第2鉄心片Wbが積層された図示しない積層ブロックが複数積層されることにより構成されている。
【0061】
コイル56は、例えば、U相、V相、及びW相を構成する3つの相巻線により構成されている。各相巻線は、複数のティース53に跨がって巻回されている。
(製造装置)
次に、
図11~
図25を参照して、ロータ10及びステータ50の製造に用いられる製造装置について、ロータ10を製造する部分の構成を中心に説明する。製造装置は、プレス装置60と、積厚測定装置70と、第1移載装置80と、正否判定装置90と、積層装置100と、かしめ装置120と、磁石挿入装置130と、モールド装置180と、除去装置200と、溶接装置210とを備えている。
【0062】
(プレス装置60)
図11に示すように、プレス装置60は、間欠的に搬送される板状のワークWから第1鉄心片Wa及び第2鉄心片Wbを打ち抜く装置である。
【0063】
プレス装置60は、ワークWから第1鉄心片Waを打ち抜くロータ打抜部61と、第2鉄心片Wbを打ち抜くステータ打抜部62とを備えている。ロータ打抜部61及びステータ打抜部62は、ワークWに対して孔抜きやダボ形成などの複数の加工工程を行った後に、当該ワークWを打ち抜く順送金型をそれぞれ備えている。
【0064】
ロータ打抜部61は、ステータ打抜部62よりもワークWの搬送方向(以下、単に搬送方向と称する)における上流側に配置されている。ロータ打抜部61は、ワークWから第1鉄心片Waを打ち抜くとともに複数の積層ブロック20を形成するように構成されている。ステータ打抜部62は、第1鉄心片Waが打ち抜かれたワークWから第2鉄心片Wbを打ち抜くとともに図示しない複数の積層ブロックを形成するように構成されている。ステータ打抜部62は、ワークWにおける第1鉄心片Waが打ち抜かれた部分の外周側の部分から第1鉄心片Waと同心円状に第2鉄心片Wbを打ち抜くように構成されている。
【0065】
図12に示すように、製造装置は、製造ラインの異なる2組のプレス装置60を備えている。2組のプレス装置60は、搬送方向に直交するワークWの幅方向において並列して配置されている。2組のプレス装置60における一方のプレス装置60は、第1製造ラインM1を構成し、他方のプレス装置60は、第2製造ラインM2を構成している。
【0066】
ロータ打抜部61では、金型内部において、ワークWから打ち抜かれた第1鉄心片Waが次に打ち抜かれる第1鉄心片Waに積層される。このとき、
図3に示すように、隣接する第1鉄心片Waのダボ18同士が係合する。こうした第1鉄心片Waの積層が繰り返されることで積層ブロック20が形成される。
【0067】
ロータ打抜部61では、所定の枚数の第1鉄心片Waが打ち抜かれる度に、ダボ18に係合する貫通孔19を有する第1鉄心片Waが打ち抜かれる。貫通孔19を有する第1鉄心片Waは、直前に打ち抜かれた第1鉄心片Waとは係合しない。ロータ打抜部61は、所定の枚数の第1鉄心片Waを打ち抜く度に、貫通孔19を有する第1鉄心片Waを打ち抜くことで、第1ブロック21~第6ブロック26を順次形成する。
【0068】
同様にして、ステータ打抜部62は、所定の枚数の第2鉄心片Wbを打ち抜く度に、貫通孔を有する第2鉄心片Wbを打ち抜くことで、複数の第2鉄心片Wbが積層された積層ブロックを順次形成する。
【0069】
図11に示すように、ロータ打抜部61の搬送方向における上流側には、ロール状に巻回されたワークWを回転可能に支持するアンコイラ63が配置されている。アンコイラ63から引き出されたワークWは、図示しない送り装置によってロータ打抜部61及びステータ打抜部62に供給される。
【0070】
アンコイラ63の搬送方向における下流側には、ワークWを溶接する溶接機64が配置されている。
図12に示すように、ワークWは、帯状をなす複数の母材Wmの端部同士、より詳しくは端面同士が溶接機64によって溶接されることにより構成されている。複数の母材Wmは、端面同士が接合されて一体化した状態で搬送される。
【0071】
図11及び
図12に示すように、搬送方向における溶接機64とロータ打抜部61との間には、ワークWの板厚を測定する板厚センサ65が2組のプレス装置60のそれぞれに対応して設けられている。板厚センサ65は、ワークWのうち複数の第1鉄心片Waの各々が打ち抜かれる予定の予定部Wpの板厚tを測定する。板厚センサ65としては、例えば、レーザ変位計などの非接触式のセンサが挙げられる。
【0072】
図11に示すように、プレス装置60は、ロータ打抜部61の動作を制御するプレス制御部66を備えている。
プレス制御部66は、記憶部67と演算部68とを有している。記憶部67は、板厚センサ65により測定された予定部Wpの各々の板厚tを記憶する。演算部68は、予定部Wpの各々の板厚tを順次積算することで、積層ブロック20の積厚及びロータコア11の積厚Tmを推定する。演算部68は、複数の積層ブロック20の積厚を積算することで、ロータコア11の積厚Tmの推定値として推定積厚Teを算出する。
【0073】
プレス制御部66は、推定積厚Teを所定の範囲内に収めるべく、貫通孔19を有する第1鉄心片Waを選択的に打ち抜くことで、複数の積層ブロック20を形成するようにロータ打抜部61の動作を制御する。
【0074】
演算部68は、後述する積厚測定装置70によって測定されたロータコア11の積厚Tmと、推定積厚Teとの差分をロータコア11を構成する第1鉄心片Waの積層数Nで除した補正値cを算出する。演算部68は、板厚センサ65により測定された予定部Wpの各々の板厚tに補正値cを加算した補正板厚t’を算出する。演算部68は、補正板厚t’を積算することで、推定積厚Teが補正された推定積厚Te’を算出する。プレス制御部66は、ロータコア11の積厚Tmが、推定積厚Te’に近付くように積層ブロック20における第1鉄心片Waの積層数を調整する。
【0075】
なお、プレス制御部66は、ロータ打抜部61の動作制御と同様の制御をステータ打抜部62に対して実行することもできる。
(積厚測定装置70)
積厚測定装置70は、ロータコア11及びステータコア51の積厚を測定する装置である。以降では、積厚測定装置70を用いて、ロータコア11の積厚Tmを測定する場合について説明する。
【0076】
積厚測定装置70は、ロータコア11の下面を支持する支持部材71と、ロータコア11の上面を押圧する加圧部材72と、支持部材71及び加圧部材72の距離を測定する複数のプローブ73とを備えている。積厚測定装置70は、例えば、支持部材71と加圧部材72との間において、同心円上に互いに間隔をおいて設けられた3つのプローブ73を備えている。
【0077】
積厚測定装置70は、加圧部材72によりロータコア11を加圧した状態で、3つのプローブ73のそれぞれにおける支持部材71から加圧部材72までの距離に基づいて、ロータコア11の積厚Tmを間接的に測定する。
【0078】
積厚測定装置70は、積厚測定装置70の測定結果をプレス制御部66に出力するように構成されている。
(第1移載装置80)
図13に示すように、第1移載装置80は、複数の積層ブロック20が積層された積層体11Aを支持する支持治具85から、積層ブロック20を1つずつ取り出して移載対象へ移載する装置である。移載対象の一例としては、後述する正否判定装置90が挙げられる。第1移載装置80は、積層ブロックの移載装置の一例である。
【0079】
積層体11Aは、ロータコア11を構成する複数の積層ブロック20の積層順とは逆順で複数の積層ブロック20が上下方向に積層されることにより形成されている。
支持治具85は、第1ベース板86と、積層体11Aの下面を支持するスペーサ87と、第1ベース板86から突出する第1ポスト88とを有している。
【0080】
第1ベース板86及びスペーサ87は、それぞれ平板状をなしている。スペーサ87は、第1ベース板86の上面に固定されている。
第1ポスト88は、円柱状をなしている。第1ポスト88は、スペーサ87を貫通している。第1ポスト88は、複数の積層ブロック20の各々の中心孔12に挿入される。第1ポスト88と、複数の積層ブロック20の各々の中心孔12との間には、各積層ブロック20の第1ポスト88に対する回転を許容する隙間が設けられている。
【0081】
第1ポスト88には、例えば、作業者によって、ロータコア11を構成する複数の積層ブロック20の積層順とは逆順で複数の積層ブロック20が嵌め入れられる。
第1移載装置80は、積層ブロック20の移動を規制する規制部81と、積層ブロック20を移載する移載部82と、最上位の積層ブロック20の上端面の位置を検出する検出部83とを備えている。
【0082】
規制部81は、積層ブロック20の外周面を挟持する一対のチャックを有している。規制部81のチャックは、上下方向に昇降可能、且つ互いに近接及び離間可能に構成されている。
【0083】
規制部81のチャックのうち積層ブロック20に接触する部分は、積層ブロック20の外周面に沿った円弧状をなしている。
規制部81は、積層体11Aを構成する複数の積層ブロック20のうち、最上位の積層ブロック20の直下に位置する積層ブロック20(以下、2段目ブロック20Aと称する)を挟持することで、2段目ブロック20Aの移動を規制する。
【0084】
移載部82は、積層ブロック20の外周面を挟持する一対のチャックを有している。移載部82のチャックは、上下方向に昇降可能、且つ互いに近接及び離間可能に構成されている。
【0085】
移載部82のチャックのうち積層ブロック20に接触する部分は、積層ブロック20の外周面に沿った円弧状をなしている。
移載部82は、最上位の積層ブロック20を挟持して支持治具85から取り出して正否判定装置90へ移載する。
【0086】
検出部83は、例えば、投光部83aと受光部83bとを有する透過型の光電センサである。投光部83aと受光部83bとは、積層体11Aを挟んで互いに反対側に位置している。図示は省略するが、投光部83aと受光部83bとを結ぶ軸線は、上下方向から視て、積層体11Aのうち中心孔12を除く部分と重なっている。すなわち、上記軸線は、上下方向から視て、支持治具85のうち第1ポスト88を除く部分と重なっている。
【0087】
検出部83は、上下方向において昇降可能に構成されている。検出部83は、積層体11Aの上端面を検出する際、積層体11Aの下端から上端に向かって上昇する。検出部83が積層体11Aに対向している間は、投光部83aからの光は、積層体11Aによって遮られるため、受光部83bに受光されない。検出部83が積層体11Aの上端に達すると、投光部83aの光が受光部83bに受光される。これにより、検出部83は、積層体11Aの上端面の位置を検出する。
【0088】
規制部81は、積層体11Aのうち、検出部83によって検出された積層体11Aの上端面の位置から指定距離だけ下方に離れた部分の外周面を挟持するように構成されている。ここで、指定距離は、最上位の積層ブロック20の厚さT1と、2段目ブロック20Aの厚さT2の半分との総和(T1+(T2/2))である。すなわち、規制部81は、2段目ブロック20Aの軸線方向における中央部の外周面を挟持するように構成されている。
【0089】
移載部82は、積層体11Aのうち、検出部83によって検出された積層体11Aの上端面の位置から最上位の積層ブロック20の厚さT1の半分の距離だけ下方に離れた部分の外周面を挟持するように構成されている。すなわち、移載部82は、最上位の積層ブロック20の軸線方向における中央部の外周面を挟持するように構成されている。
【0090】
第1移載装置80は、支持治具85から取り出される積層ブロック20の個数をカウントすることで、最上位の積層ブロック20が第1ブロック21~第6ブロック26のいずれであるかを判定する。また、第1移載装置80は、第1ブロック21~第6ブロック26の厚さの情報を保有している。このため、第1移載装置80は、最上位の積層ブロック20の種類を判定することで、最上位の積層ブロック20の厚さT1と、2段目ブロック20Aの厚さT2との値を判断することができる。これにより、第1移載装置80は、規制部81によって2段目ブロック20Aの軸線方向における中央部の外周面を挟持することができる。
【0091】
(正否判定装置90)
図14に示すように、正否判定装置90は、第1移載装置80によって移載された積層ブロック20が、積層装置100に移載されて積層されるべき正規の積層ブロック20であるか否かを判定する装置である。より詳しくは、正否判定装置90は、第1移載装置80によって移載された積層ブロック20の表裏、積層順、製造ライン、及び品種が正しいか否かを判定する装置である。
【0092】
正否判定装置90は、回転ステージ91と、撮像装置92と、検知部93と、制御部94とを備えている。
回転ステージ91には、第1移載装置80によって移載された積層ブロック20が載置される。回転ステージ91は、積層ブロック20を軸線C周りに回転させるとともに、任意の位置において位置決め可能に構成されている。
【0093】
撮像装置92は、回転ステージ91に載置された積層ブロック20の一端面の全体を撮像するカメラを有している。
検知部93は、積層ブロック20の溶接溝33を検知する。検知部93は、上下方向に互いに間隔をおいて設けられた一対の変位センサ93A,93Bを有している。変位センサ93A,93Bは、回転ステージ91に載置された積層ブロック20の上端部及び下端部にそれぞれ対向している。
【0094】
制御部94は、回転ステージ91の動作、撮像装置92の動作、検知部93の動作を制御する。
制御部94は、撮像装置92により撮像された積層ブロック20の撮像画像を画像処理する。制御部94は、撮像画像から積層ブロック20のキー13の位置を検出した後、当該キー13が所定の位置となるように回転ステージ91を回転させる。この回転により、積層ブロック20のキー13が、後述する第2ポスト103のキー溝103aに対して位置合わせされる(
図16参照)。また、この回転により、積層ブロック20が溶接溝33を有する場合には、当該溶接溝33が一対の変位センサ93A,93Bのどちらか一方に対向する。
【0095】
制御部94には、正規の積層ブロック20の軸線方向における一端面の画像である登録画像が予め登録されている。制御部94は、登録画像と撮像画像と比較することで、撮像された積層ブロック20が正規の積層ブロック20であるか否かを判定する。より詳しくは、制御部94は、積層ブロック20の表裏識別部43、ライン識別部44、及び品種識別部45に基づいて、積層ブロック20の表裏、製造ライン、及び品種がそれぞれ正しいか否かを判定する。また、制御部94は、積層ブロック20の表面Fの形状、及び検知部93の検知結果に基づいて、積層ブロック20の積層順が正しいか否かを判定する。なお、積層ブロック20の積層順とは、積層ブロック20が、後述する積層装置100の積層治具101に積層される際の順番を指す。
【0096】
正否判定装置90は、積層ブロック20の正否判定を行った際に、正規の積層ブロック20であると判定された判定回数をカウントする図示しないカウンタを有している。正否判定装置90は、判定対象の積層ブロック20が正規の第1ブロック21であるか否かを判定する際には、判定回数を「1」に設定する。正否判定装置90は、判定対象の積層ブロック20が正規の積層ブロック20であると判定される度に、判定回数をカウントアップする。正否判定装置90は、判定回数が「6」であるときに判定される積層ブロック20が正規の第6ブロック26であると判定された場合に、判定回数を「1」に設定する。
【0097】
(積層装置100)
図15に示すように、積層装置100は、複数の積層ブロック20を積層することでロータコア11を形成する装置である。
【0098】
積層装置100は、複数の積層ブロック20を積層状態で支持する積層治具101と、後述する載置台106を昇降駆動する昇降機構110と、積層ブロック20を1つずつ積層治具101に移載する第2移載装置115とを備えている。
【0099】
(積層治具101)
積層治具101は、第2ベース板102と、第2ベース板102から突出する第2ポスト103と、積層ブロック20が載置される載置台106とを備えている。
【0100】
第2ベース板102及び載置台106は、それぞれ平板状をなしている。
第2ポスト103は、円柱状をなしている。第2ポスト103は、載置台106を貫通している。第2ポスト103には、複数の積層ブロック20の各々が嵌め入れられる。すなわち、第2ポスト103は、複数の積層ブロック20の各々の中心孔12に挿入される。
【0101】
図16に示すように、第2ポスト103の外周面には、各積層ブロック20のキー13が係合するキー溝103aが設けられている。キー溝103aは、第2ポスト103の長さ方向の全体にわたって設けられている。キー13がキー溝103aに係合することにより、各積層ブロック20の第2ポスト103に対する位置決めがなされる。
【0102】
ここで、積層ブロック20は、軸線Cを回転軸として180°回転させた2つの姿勢において第2ポスト103に嵌め入れることが可能である。積層治具101にて支持される複数の積層ブロック20は、複数の積層ブロック20の少なくとも1つを所定角度回転させて積層する、所謂転積によって積層されていてもよい。
【0103】
図15に示すように、第2ポスト103は、積層ブロック20の軸線方向に延びる柱状部104と、柱状部104の先端部に設けられたテーパ部105とを有している。
柱状部104の外径は、長さ方向の全体にわたって一定である。柱状部104の外径は、積層ブロック20の各々の中心孔12の外径よりも僅かに小さい。
【0104】
テーパ部105の外径は、先端に向かうほど徐々に小さくなっている。テーパ部105は、例えば、円錐台状をなしている。テーパ部105は、積層ブロック20を柱状部104に向けて案内する機能を有している。
【0105】
テーパ部105の先端面には、後述するカルプレート182を積層治具101に対して位置決めするための複数の位置決めピン107が突出して設けられている。
載置台106は、昇降機構110によって、第2ポスト103に対して積層ブロック20の軸線方向に昇降可能に設けられている。図示は省略するが、載置台106は、キー溝103aに係合される一対の突出部を有している。載置台106は、突出部がキー溝103aに係合した状態で、積層ブロック20の軸線方向に昇降可能に設けられている。
【0106】
(昇降機構110)
昇降機構110は、載置台106の下面を支持する複数のシャフト111と、複数のシャフト111を積層ブロック20の軸線方向にそれぞれ昇降させる複数の駆動部112とを有している。
【0107】
各シャフト111は、第2ベース板102のうち第2ポスト103の外周側の部分において第2ベース板102を貫通している。
各駆動部112は、図示しないモータの回転運動をシャフト111の直線運動に変換している。このモータの回転方向を変更することにより、シャフト111が昇降する。
【0108】
各シャフト111の上端面は、載置台106の下面に接触することで載置台106の下面を支持している。このため、各シャフト111の昇降に応じて、載置台106が昇降する。すなわち、各シャフト111の昇降に応じて、載置台106が第2ベース板102に対して接近及び離間する。
【0109】
(第2移載装置115)
第2移載装置115は、積層ブロック20の外周面を挟持する一対の挟持部116と、一対の挟持部116に作用する負荷を検出する負荷センサ117とを備えている。
【0110】
一対の挟持部116は、積層ブロック20を挟持した状態で搬送可能に構成されている。一対の挟持部116は、上下方向に昇降可能、且つ互いに近接及び離間可能に構成されている。一対の挟持部116は、互いに近接した状態で降下することによって、積層ブロック20の上面を下方に向けて押圧可能に構成されている。
【0111】
第2移載装置115は、負荷センサ117により検出された負荷が予め定められた負荷よりも大きい場合には、一対の挟持部116の動作を停止するように構成されている。
(かしめ装置120)
図17に示すように、かしめ装置120は、ロータコア11を軸線方向に加圧することで、隣接する第1鉄心片Waのダボ18同士をかしめる装置である。
【0112】
かしめ装置120は、積層治具101の下面を支持する第1型121と、積層治具101に支持されたロータコア11の上面を押圧する第2型122とを備えている。第2型122は、第1型121に対して進退可能に設けられている。
【0113】
かしめ装置120は、第2型122によりロータコア11の上面を押圧することで、各積層ブロック20において隣接する第1鉄心片Waのダボ18同士をかしめる。
図示は省略するが、かしめ装置120は、ロータコア11を押圧した状態における第1型121と第2型122との間の距離を測定する測定器を備えている。この測定器によって、ロータコア11の積厚Tmが間接的に測定される。
【0114】
(磁石挿入装置130)
磁石挿入装置130は、ロータコア11の複数の磁石収容孔14の各々に磁石30を挿入する装置である。
【0115】
図18に示すように、磁石挿入装置130は、供給機構131と、取出機構136と、整列機構140と、挿入機構145と、収集容器150と、ロック機構155と、制御部156とを備えている。
【0116】
供給機構131は、複数の磁石30を収容する複数のマガジン132を備えている。取出機構136は、マガジン132から磁石30を取り出す。整列機構140は、取出機構136により取り出された磁石30を整列させる。挿入機構145は、ロータコア11の磁石収容孔14に磁石30を挿入する。収集容器150には、磁石収容孔14に収容されない磁石30が収集される。ロック機構155は、収集容器150の開閉を規制する。制御部156は、供給機構131、取出機構136、整列機構140、挿入機構145、及びロック機構155の動作を制御する。
【0117】
磁石挿入装置130は、供給機構131と、取出機構136と、整列機構140と、挿入機構145と、収集容器150とが内部に配置される筐体160を備えている。筐体160の側面には、収集容器150によって開放及び閉塞される開口160aが設けられている。
【0118】
磁石挿入装置130は、ロータコア11に磁石30を挿入する2つの挿入ステーション161A,161Bと、後述する押込治具172を用いてロータコア11に磁石30を押し込む2つの押込ステーション162A,162Bとを備えている。挿入ステーション161A,161B及び押込ステーション162A,162Bは、筐体160の内部に位置している。
【0119】
挿入ステーション161A,161Bには、積層治具101に支持されたロータコア11が磁石挿入装置130の外部から搬送される。ロータコア11は、挿入ステーション161A,161Bを経た後、押込ステーション162A,162Bに搬送される。押込ステーション162A,162Bにて磁石30が押し込まれたロータコア11は、磁石挿入装置130の外部に搬送される。
【0120】
第1品種V1のロータコア11では、挿入ステーション161Aにて磁石30が挿入された後、押込ステーション162Aにて磁石30が押し込まれる。第2品種V2のロータコア11では、挿入ステーション161Bにて磁石30が挿入された後、押込ステーション162Bにて磁石30が押し込まれる。磁石挿入装置130は、ロータ10の品種に応じて、挿入ステーション161A,161B、及び押込ステーション162A,162Bを選択的に稼動する。
【0121】
(供給機構131)
供給機構131は、複数のマガジン132と、複数のマガジン132が固定された長尺状のスライドテーブル133とを備えている。複数のマガジン132は、スライドテーブル133の長辺方向に並列して設けられている。
【0122】
図19に示すように、マガジン132は、上下に積み重ねられた複数の磁石30を収容している。マガジン132は、上部開口132aを有している。マガジン132の内部には、最下位の磁石30を支持するロッド134が設けられている。ロッド134は、ロッド134を上下方向に昇降駆動するアクチュエータ135に連結されている。アクチュエータ135によってロッド134が上昇することにより、マガジン132の内部において複数の磁石30が上昇する。これにより、磁石30が上部開口132aを通じて外部に露出する。
【0123】
図18に示すように、スライドテーブル133は、スライドテーブル133の短辺方向においてスライド可能に構成されている。スライドテーブル133のスライドによって、供給機構131の位置は、取出機構136により磁石30が取り出される取出位置と、マガジン132が交換される交換位置とに切り替えられる。
図18に二点鎖線にて示すように、交換位置は、上記短辺方向において取出位置よりも取出機構136から離間した位置である。
【0124】
(取出機構136)
取出機構136は、スライドテーブル133の短辺方向の一方側において、供給機構131に対向して配置されている。取出機構136は、マガジン132から露出した磁石30を把持して取り出す複数のチャック137を備えている。取出機構136は、マガジン132から複数の磁石30を取り出して整列機構140に搬送可能に構成されている(
図19参照)。取出機構136は、供給機構131と整列機構140との間で移動可能に構成されている。
【0125】
取出機構136は、各チャック137が磁石30を把持しているか否かを検知する第1センサ138を備えている。第1センサ138は、例えば、取出機構136が把持する磁石30を検知した場合は、ON信号を制御部156に出力し、磁石30を検知しない場合は、OFF信号を制御部156に出力する。
【0126】
(整列機構140)
整列機構140は、取出機構136を挟んで供給機構131とは反対側に配置されている。整列機構140は、並列する複数の載置部141と、複数の載置部141の間隔を変更するピッチチェンジャー142とを備えている。
【0127】
複数の載置部141には、取出機構136によりマガジン132から取り出された磁石30がそれぞれ載置される。整列機構140は、ピッチチェンジャー142によって、複数の載置部141の間隔を変更することで、複数の磁石30を整列可能に構成されている。整列機構140は、後述する挿入機構145のチャック146同士の間隔に応じて、磁石30を整列させる。
【0128】
整列機構140は、各載置部141に磁石30が載置されているか否かを検知する第2センサ143を備えている。第2センサ143は、例えば、載置部141に載置された磁石30を検知した場合は、ON信号を制御部156に出力し、磁石30を検知しない場合は、OFF信号を制御部156に出力する。
【0129】
整列機構140は、取出機構136によって磁石30が載置される載置位置と、挿入機構145に対して磁石30を供給する供給位置とにスライド可能に構成されている。
図18に二点鎖線にて示すように、供給位置は、スライドテーブル133の長手方向において載置位置よりも取出機構136から離間した位置である。
【0130】
(挿入機構145)
挿入機構145は、複数のチャック146を有するロボットアーム147を備えている。複数のチャック146は、供給位置に位置する整列機構140の載置部141に載置された複数の磁石30をそれぞれ把持可能に構成されている。
【0131】
挿入機構145は、各チャック146が磁石30を把持しているか否かを検知する第3センサ148を備えている。第3センサ148は、例えば、挿入機構145が把持する磁石30を検知した場合は、ON信号を制御部156に出力し、磁石30を検知しない場合は、OFF信号を制御部156に出力する。
【0132】
ここで、上述したように、磁石収容孔14の周方向に対する角度は、ロータ10の品種毎に異なっている。ロボットアーム147の各チャック146の姿勢は、磁石収容孔14の角度に応じて設定されている。ロボットアーム147には、ロータ10の品種に応じて、異なる種類のチャック146が着脱される。
【0133】
挿入機構145は、製造されるロータ10の品種に応じて、磁石30を挿入ステーション161A,161Bのいずれか一方に搬送する。
図20に示すように、挿入ステーション161A,161Bでは、磁石収容孔14への磁石30の挿入を案内するための案内治具170がロータコア11の上面に載置される。案内治具170は、複数の磁石収容孔14にそれぞれ連通する複数の案内孔171を有している。
【0134】
挿入機構145は、複数の案内孔171を通じて、複数の磁石収容孔14にそれぞれ磁石30を挿入する。このとき、各磁石収容孔14には、磁石30の一部が挿入されるため、当該磁石30は、案内孔171から突出している。
【0135】
押込ステーション162A,162Bでは、案内孔171から突出した磁石30の端部が、押込治具172によって押し込まれる。押込治具172は、複数の案内孔171にそれぞれ挿入される複数の押込部173を有している。
【0136】
(収集容器150)
図18に示すように、収集容器150は、筐体160の開口160aを開閉可能に構成されている。収集容器150は、磁石30が収集される収集部151と、収集部151に固定された把手152とを有している。
【0137】
収集部151は、上部が開放された箱状をなしている。筐体160の開口160aは、収集部151の側壁の一部によって開閉される。収集容器150が開口160aを閉塞した状態において、収集部151は、筐体160の内部に位置している。
【0138】
把手152は、開口160aを開閉する収集部151の側壁から突出するとともに、筐体160の外部に位置している。
収集容器150は、挿入機構145による磁石30の収集が可能となる収集位置と、磁石30が外部に排出可能となる排出位置とにスライド可能に構成されている。収集位置における収集容器150は、開口160aを閉塞する。排出位置における収集容器150は、開口160aを開放する。
【0139】
収集容器150の開閉は、筐体160の内部に設けられた開閉センサ153によって検知される。開閉センサ153は、例えば、収集容器150が開口160aを開放している場合は、OFF信号を制御部156に出力し、収集容器150が開口160aを閉塞している場合は、ON信号を制御部156に出力する。
【0140】
(ロック機構155)
ロック機構155は、収集容器150を収集位置にロックするように構成されている。ロック機構155は、収集部151に係合することによって、収集容器150の開閉を規制する一方、収集部151への係合を解除することによって、収集容器150の開閉を許容する。
【0141】
ロック機構155は、磁石挿入装置130の稼動時には、収集容器150を収集位置にロックする。ロック機構155は、磁石挿入装置130を用いて製造されるロータ10の品種を切り替える品種切替時には、収集容器150のロックを解除することで収集容器150の開閉を許容する。より詳しくは、ロック機構155は、品種切替時に取出機構136の第1センサ138、整列機構140の第2センサ143、挿入機構145の第3センサ148の全てにおいて磁石30の存在が確認されない場合に、収集容器150のロックを解除する。
【0142】
(制御部156)
制御部156は、品種切替時に挿入機構145が磁石30を把持している場合は、当該磁石30を収集容器150に移載するように挿入機構145を制御する。
【0143】
制御部156は、品種切替時に載置部141に磁石30が載置されている場合は、当該磁石30を収集容器150に移載するように挿入機構145を制御する。
制御部156は、品種切替時に取出機構136が磁石30を把持している場合は、当該磁石30を載置部141に移載するように取出機構136を制御する。
【0144】
制御部156は、品種切替が行われるまでは、収集容器150を収集位置にロックするようにロック機構155を制御する。一方、制御部156は、品種切替時に取出機構136、載置部141、及び挿入機構145のいずれにも磁石30が存在していない場合は、収集容器150のロックを解除するようにロック機構155を制御する。
【0145】
制御部156は、品種切替時に収集容器150の位置が排出位置から収集位置に移行した場合に、収集容器150を収集位置にロックするようにロック機構155を制御する。制御部156は、このロックが完了するまでは、磁石収容孔14に磁石30を挿入しないように挿入機構145を制御する。
【0146】
(モールド装置180)
図21に示すように、モールド装置180は、複数の磁石収容孔14の各々に樹脂材31を充填して固化させることで複数の磁石30をロータコア11に対して固定する装置である。
【0147】
モールド装置180は、固定型181と、カルプレート182と、可動型186とを備えている。固定型181は、ロータコア11が支持された積層治具101の下面を支持する支持面を有している。カルプレート182は、ロータコア11の上面に載置される。可動型186は、カルプレート182を挟んで固定型181とは反対側において固定型181に対して進退可能に設けられている。
【0148】
図22に示すように、カルプレート182は、例えば、平面視において四角形状をなしている。カルプレート182は、複数の磁石収容孔14にそれぞれ樹脂を充填する複数の供給口183を有している。複数の供給口183は、周方向において等間隔に設けられている。各供給口183は、一対の磁石収容孔14の間の部分に対応する位置に設けられている。
【0149】
各供給口183は、ランナー部184と、ランナー部184に連通する一対の連通孔185とを有している。
図21に示すように、ランナー部184は、カルプレート182の上面に開口している。各連通孔185は、ランナー部184の底面に開口するとともにカルプレート182を厚さ方向に貫通している。各連通孔185は、ランナー部184と磁石収容孔14とを連通している。
【0150】
カルプレート182の中央部には、位置決めピン107が挿入される位置決め孔187が設けられている。位置決めピン107が位置決め孔187に挿入されることにより、供給口183と磁石収容孔14とが連通するようにカルプレート182とロータコア11とが位置決めされている。
【0151】
可動型186は、複数の供給口183にそれぞれ樹脂を供給する複数の供給路188を有している。供給路188には、熱硬化性樹脂からなる樹脂ペレットPが配置される。樹脂ペレットPは、例えば、可動型186の内部に設けられた図示しないヒータにより加熱されることにより、供給路188の内部において溶融する。
【0152】
モールド装置180は、供給路188に対して挿抜可能に構成された複数のプランジャ189を備えている。各プランジャ189は、供給路188の内部において溶融した樹脂を磁石収容孔14に充填すべく、当該樹脂に圧力を付与する。
【0153】
(除去装置200)
図23に示すように、除去装置200は、カルプレート182の複数の供給口183の各々に残留した樹脂材31の固化物Rを押出治具190によって押し出すことで、複数の固化物Rをカルプレート182から除去する装置である。
【0154】
除去装置200は、押出治具190と、搬送装置195とを備えている。押出治具190は、カルプレート182から固化物Rを押し出すように構成されている。搬送装置195は、モールド装置180からカルプレート182を搬送するとともに、カルプレート182を押出治具190に対して押し付けるように構成されている。
【0155】
図23及び
図24に示すように、押出治具190は、ベース部191と、ベース部191から突出する複数の押出部192とを有している。
ベース部191は、カルプレート182の厚さ方向の一端面、より詳しくは複数の連通孔185が開口する面に対向する対向面191aを有している。対向面191aは、平面状をなしている。複数の押出部192は、対向面191aから突出するとともに周方向に互いに間隔をおいて設けられている。
【0156】
図24に示すように、複数の押出部192は、複数の第1押出部193と、複数の第2押出部194とを含んでいる。第1押出部193と第2押出部194とは、周方向に交互に設けられている。
【0157】
第1押出部193は、カルプレート182の一対の連通孔185にそれぞれ挿入される一対の第1押出ピン193aを有している。第2押出部194は、カルプレート182の一対の連通孔185にそれぞれ挿入される一対の第2押出ピン194aを有している。
【0158】
第2押出部194における対向面191aからの突出量は、第1押出部193における対向面191aからの突出量よりも小さい。すなわち、第2押出ピン194aにおける対向面191aからの突出量は、第1押出ピン193aにおける対向面191aからの突出量よりも小さい。押出治具190を載置した状態において、第1押出ピン193aの先端は、第2押出ピン194aの先端よりも上方に位置している。
【0159】
図23に示すように、搬送装置195は、一対の支持部196と、一対の押圧部197と、一対の連結部198とを有している。
一対の支持部196は、カルプレート182の幅方向における両端部の下面を支持する。一対の押圧部197は、カルプレート182の幅方向における両端部の上面を押圧する。一対の押圧部197と一対の支持部196とは上下方向において対向している。一対の連結部198は、支持部196と押圧部197とを連結している。支持部196と押圧部197との上下方向における距離は、カルプレート182の厚さよりも大きい。したがって、一対の支持部196がカルプレート182を支持している状態では、押圧部197の下面とカルプレート182の上面との間に隙間が生じている。
【0160】
(溶接装置210)
図25に示すように、溶接装置210は、ロータコア11の軸線方向における両端面にエンドプレート32を溶接する装置である。
【0161】
溶接装置210は、ロータコア11とエンドプレート32とを溶接する複数の溶接トーチ211を備えている。溶接方法としては、例えば、レーザ溶接が挙げられる。
各溶接トーチ211は、ロータコア11の軸線方向に昇降可能に設けられている。溶接トーチ211は、溶接溝33の内部を軸線方向に移動しながらロータコア11とエンドプレート32との溶接を行う。
【0162】
(ロータ10の製造方法)
図26に示すように、ロータ10の製造方法は、プレス工程と、積厚調整工程と、搬送工程と、第1移載工程と、正否判定工程と、ロータコア形成工程と、かしめ工程と、磁石挿入工程と、モールド工程と、除去工程と、溶接工程とを備えている。
【0163】
(プレス工程)
図12に示すように、プレス工程は、ロータ打抜部61が、間欠的に搬送されるワークWに対して複数の加工を行った後に当該ワークWから第1鉄心片Waを打ち抜く工程である。
【0164】
プレス工程は、例えば、穴抜き工程と、ダボ形成工程と、ダボ抜き工程と、ブロック形成工程とを含む。
穴抜き工程では、ワークWに対してロータコア11の中心孔12、冷却流路15、及び磁石収容孔14を加工する複数の加工工程が行われる。
【0165】
ダボ形成工程では、ワークWに対して板厚方向の一方側に膨出したダボ18が形成される。ダボ形成工程は、穴抜き工程の前後、及び穴抜き工程の各加工工程間のいずれかで行われる。
【0166】
ダボ抜き工程では、ワークWに形成されたダボ18が選択的に打ち抜かれる。これにより、ワークWには、貫通孔19(
図3参照)が形成される。
ブロック形成工程では、ロータ打抜部61が、ワークWからダボ18を有する複数の第1鉄心片Waを打ち抜くとともに、複数の第1鉄心片Waを積層することで積層ブロック20を形成する。ブロック形成工程では、ワークWから予め定められた数の複数の第1鉄心片Waが積層される度に、貫通孔19を有する第1鉄心片Waが打ち抜かれる。
【0167】
図3に示すように、貫通孔19を有する第1鉄心片Waは、直前に打ち抜かれた第1鉄心片Waのダボ18には係合しないため、貫通孔19を有する第1鉄心片Waを境界として、複数の積層ブロック20が形成される。貫通孔19を有する第1鉄心片Waが所定のタイミングで打ち抜かれることにより、形状が互いに異なる第1ブロック21~第6ブロック26が形成される。
【0168】
(積厚調整工程)
積厚調整工程は、積層ブロック20における第1鉄心片Waの積層数を調整する工程である。積厚調整工程は、2組のプレス装置60の各々において行われる。以降では、一方のプレス装置60において行われる積厚調整工程について説明することで、他方のプレス装置60において行われる積厚調整工程についての説明を省略する。
【0169】
積厚調整工程は、板厚測定工程と、積厚推定工程と、積厚測定工程と、補正値算出工程とを含む。
板厚推定工程では、板厚センサ65によって予定部Wpの各々の板厚tが測定される。
【0170】
積厚推定工程では、予定部Wpの各々の板厚tを積算することで、ロータコア11の積厚Tmの推定値として推定積厚Teが算出される。積厚測定工程では、推定積厚Teが算出されたロータコア11の積厚Tmが測定される。積厚測定工程は、かしめ工程が行われるよりも前に行われる。より詳細には、積厚測定工程は、ブロック形成工程の後であって、後述する搬送工程よりも前に行われる。
【0171】
補正値算出工程では、積厚測定工程において測定されたロータコア11の積厚Tmと推定積厚Teとの差分を、当該ロータコア11を構成する第1鉄心片Waの積層数Nで除した補正値cが算出される。
【0172】
補正値算出工程の後に行われる積厚推定工程では、予定部Wpの各々の板厚tに補正値cを加算した補正板厚t’を積算することで推定積厚Te’が算出される。続くブロック形成工程では、ロータコア11の積厚Tmが推定積厚Te’に近付くように積層ブロック20における第1鉄心片Waの積層数が調整される。
【0173】
以下、
図27に示すフローチャートを参照して、積厚調整工程の手順について説明する。
図27に示すように、ワークWが送り装置によって送られる度に、板厚センサ65が予定部Wpの各々の板厚tを測定する(ステップS101)。板厚センサ65によって測定された板厚tの情報は、プレス制御部66の記憶部67に記憶される。
【0174】
次に、上述したブロック形成工程によって、複数の積層ブロック20が形成される(ステップS102)。
次に、演算部68が、予定部Wpが打ち抜かれる度に、または、予定部Wpが打ち抜かれるよりも前に、当該予定部Wpの板厚tを順次積算することで、積層ブロック20の積厚及びロータコア11の積厚Tmを推定する。このとき、演算部68は、第1ブロック21~第6ブロック26の積厚を積算することで、当該第1ブロック21~第6ブロック26により構成されるロータコア11の積厚Tmの推定値として推定積厚Te(Te=Σt)を算出する(ステップS103)。推定積厚Teが算出されたロータコア11を構成する第1鉄心片Waの積層数Nは、当該推定積厚Teがロータコア11における所望の積厚に最も近付くときの積層数となる。したがって、ロータコア11を構成する第1鉄心片Waの積層数Nは、ロータコア11毎に異なることがある。
【0175】
以降では、ワークWを構成する単一の母材Wmから形成される1つ目の第1ブロック21~第6ブロック26により構成されるロータコア11の推定積厚Teを推定積厚Te1と称する。また、単一の母材Wmから形成される2つ目の第1ブロック21~第6ブロック26により構成されるロータコア11の推定積厚Teを推定積厚Te2と称する。
【0176】
次に、積厚測定装置70が、推定積厚Teが算出されたロータコア11の積厚Tmを測定する(ステップS104)。
ステップS104において積厚Tmが測定されるロータコア11は、例えば作業者によって第1ブロック21~第6ブロック26が積層されることにより形成される。このロータコア11は、積層ブロック20の転積を行うことによって形成されたものであってもよい。ステップS104では、例えば、推定積厚Te1,Te2が算出されたロータコア11の積厚Tm1,Tm2がそれぞれ測定される。
【0177】
次に、演算部68が、ステップS104において測定されたロータコア11の積厚Tmと推定積厚Teとの差分を、ロータコア11を構成する第1鉄心片Waの積層数Nで除した補正値c(c=(Tm-Te)/N)を算出する(ステップS105)。なお、補正値cは、正の値または負の値を取り得る。
【0178】
ステップS105では、演算部68が、例えば、積厚Tm1と推定積厚Te1との差分に基づいて補正値c1を算出するとともに、積厚Tm2と推定積厚Te2との差分に基づいて補正値c2を算出する。ステップS105では、補正値cとして、補正値c1と補正値c2との平均値を採用してもよい。
【0179】
次に、演算部68が、予定部Wpの各々の板厚tに補正値cを加算した補正板厚t’(t’=t+c)を算出する(ステップS106)。補正板厚t’は、板厚センサ65の測定値である板厚tに対して、板厚センサ65の測定誤差が補正された値であると言える。
【0180】
ステップS106において、演算部68は、単一の母材Wmに存在する予定部Wpの各々の板厚tに同一の補正値cを加算する。一方、第1鉄心片Waが打ち抜かれる母材Wmの種類が切り替わった場合、演算部68は、切り替わり後の母材Wmに対して新たな補正値cを算出する。新たな補正値cが算出されるまでは、演算部68は、板厚センサ65の測定値である板厚tが積算された推定積厚Teを算出する。
【0181】
次に、演算部68が、補正板厚t’の各々を積算することでロータコア11の推定積厚Te’(Te’=Σt’)を算出する(ステップS107)。
その後のブロック形成工程では、ロータコア11の積厚Tmが推定積厚Te’に近付くように、プレス装置60が、積層ブロック20における第1鉄心片Waの打ち抜き数である積層数を調整する(ステップS108)。換言すると、推定積厚Te’がロータコア11における所望の積厚に最も近付くように、プレス装置60が、積層ブロック20における第1鉄心片Waの積層数を調整する。
【0182】
ステップS108では、ステップS102において形成された第1ブロック21~第6ブロック26の第1鉄心片Waの積層数に対して、第1鉄心片Waの積層数が増減される。ステップS108では、第1ブロック21~第6ブロック26のいずれかにおいて、少なくとも1つの第1鉄心片Waが増減される。なお、補正値cが板厚tに対して十分小さい場合には、第1鉄心片Waの増減は行われない。
【0183】
(搬送工程)
図28及び
図29に示すように、搬送工程は、ブロック形成工程において形成された積層ブロック20が複数積層された積層体11Aを支持治具85によって支持した状態で、第1移載装置80に向けて搬送する工程である。積層体11Aを支持した支持治具85は、例えば、図示しないモータローラによって第1移載装置80に向けて搬送される。
【0184】
図28に示すように、支持治具85には、例えば、作業者によって、ロータコア11における積層ブロック20の積層順とは逆順で複数の積層ブロック20が積層される。すなわち、支持治具85には、第6ブロック26~第1ブロック21が下方から順に積層される。なお、本実施形態では、積層体11Aにおける積層ブロック20同士の回転位相は位置合わせされていない。
【0185】
ここで、上述したように、第1ポスト88と、複数の積層ブロック20の各々の中心孔12との間には、各積層ブロック20の第1ポスト88に対する回転を許容する隙間が設けられている。このため、作業者は、積層ブロック20を第1ポスト88に対して嵌め入れやすくなる。また、後述する第1移載工程において、支持治具85からの積層ブロック20の取り出しが容易となる。
【0186】
(第1移載工程)
第1移載工程は、積層体11Aを支持する支持治具85から、第1移載装置80によって積層ブロック20を1つずつ取り出して正否判定装置90に移載する工程である。第1移載工程は、積層ブロックの移載方法の一例である。
【0187】
図29に示すように、第1移載工程では、まず、検出部83が、積層体11Aの下端から上端に向かって上昇する。検出部83が積層体11Aの上端に達することにより、投光部83aの光が受光部83bに受光される。これにより、検出部83が、積層体11Aにおける最上位の積層ブロック20の上端面の位置を検出する。
【0188】
図30に示すように、次に、規制部81が、積層体11Aのうち、検出部83によって検出された積層体11Aの上端面の位置から指定距離だけ下方に離れた部分の外周面を挟持する。上述したように、指定距離は、最上位の積層ブロック20の厚さT1と、2段目ブロック20Aの厚さT2の半分との総和である。すなわち、規制部81が、2段目ブロック20Aの軸線方向における中央部の外周面を挟持する。これにより、2段目ブロック20Aの軸線方向における移動が規制される。
【0189】
図31に示すように、次に、移載部82は、積層体11Aのうち、検出部83によって検出された積層体11Aの上端面の位置から最上位の積層ブロック20の厚さT1の半分の距離だけ下方に離れた部分の外周面を挟持する。すなわち、移載部82は、最上位の積層ブロック20の軸線方向における中央部の外周面を挟持する。
【0190】
図32に示すように、次に、移載部82は、最上位の積層ブロック20を挟持した状態で上昇する。これにより、支持治具85から最上位の積層ブロック20が取り出される。
図33に示すように、移載部82は、支持治具85から取り出した積層ブロック20を正否判定装置90の回転ステージ91に載置する。
【0191】
第1移載工程では、支持治具85から最上位の積層ブロック20が順次取り出されて、正否判定装置90に移載される。すなわち、第1移載工程では、支持治具85から第1ブロック21~第6ブロック26が順次取り出される。なお、第6ブロック26が取り出される際には、規制部81は動作しない。
【0192】
(正否判定工程)
正否判定工程は、積層治具101に積層されようとする積層ブロック20が、正規の積層ブロック20であるか否かを判定する工程である。
【0193】
正否判定工程は、撮像工程と、表裏判定工程と、積層順判定工程と、製造ライン判定工程と、品種判定工程とを備える。
(撮像工程)
図14に示すように、撮像工程では、撮像装置92が、回転ステージ91に載置された積層ブロック20の軸線方向における一端面を撮像する。これにより、撮像装置92が、積層ブロック20の撮像画像を取得する。
【0194】
図34(a)に示すように、第1移載装置80によって回転ステージ91に移載された積層ブロック20の回転位相は、積層ブロック20毎に異なっていることがある。そこで、制御部94は、撮像装置92から取得した撮像画像を画像処理することによって、積層ブロック20のキー13の位置を検出する。
【0195】
図34(b)に示すように、制御部94は、キー13の位置が所定の位置となるように回転ステージ91を回転させる。この回転により、積層ブロック20のキー13が、後工程であるロータコア形成工程にて用いられる第2ポスト103のキー溝103aに対して位置合わせされる(
図16参照)。また、この回転により、積層ブロック20が溶接溝33を有する場合には、当該溶接溝33が一対の変位センサ93A,93Bのどちらか一方に対向する(
図14参照)。
【0196】
次に、撮像装置92が、位置合わせされた積層ブロック20の一端面を撮像することにより、当該積層ブロック20の撮像画像を取得する。表裏判定工程、積層順判定工程、製造ライン判定工程、及び品種判定工程では、位置合わせされた積層ブロック20の撮像画像と登録画像とが比較される。
【0197】
(表裏判定工程)
表裏判定工程は、登録画像の表裏識別部43と、撮像画像の表裏識別部43とを比較することで、積層ブロック20の表裏が正しいか否かを判定する工程である。表裏判定工程では、制御部94が、登録画像の冷却流路15の開口形状と、撮像画像の冷却流路15の開口形状とを比較する。
【0198】
図34(b)に示すように、表裏判定工程では、積層ブロック20の一端面を視たときに所定の領域に設けられる冷却流路15が比較対象となる。所定の領域は、積層ブロック20の一端面を視たときに上方に位置するキー13を、仮想的に時計回りに54°回転させた際に、当該キー13の径方向の外側に位置する冷却流路15が設けられる領域である。
図34(b)では、仮想的に回転させたキー13の位置が二点鎖線にて示されるとともに、所定の領域に位置する冷却流路15が一点鎖線にて囲まれて示されている。
【0199】
表裏判定工程では、まず、制御部94が、撮像画像の所定の領域における冷却流路15が第1冷却流路15A~第3冷却流路15Cのいずれであるかを判定する。所定の領域における冷却流路15が第1冷却流路15Aまたは第3冷却流路15Cであると判定された場合、制御部94は、積層ブロック20の撮像面が表面Fであると判定する。一方、所定の領域における冷却流路15が第2冷却流路15Bであると判定された場合、制御部94は、積層ブロック20の撮像面が裏面Bであると判定する。積層ブロック20の撮像面が裏面Bであると判定された場合、制御部94は、正否判定装置90に正規の積層ブロック20が移載されていないとして、正否判定装置90の動作を停止する。
【0200】
(積層順判定工程)
積層順判定工程は、ブロック判定工程の判定結果と溝検知工程の検知結果とに基づいて、積層ブロック20の積層順が正しいか否かを判定する工程である。ブロック判定工程は、積層ブロック20の撮像画像に基づいて、積層ブロック20の種類を判定する工程である。溝検知工程は、一対の変位センサ93A,93Bによって、積層ブロック20における溶接溝33の有無及び溶接溝33の位置を検知する工程である。積層順判定工程は、表裏判定工程において撮像面が表面Fであると判定された積層ブロック20に対して行われる。
【0201】
以下、ブロック判定工程及び溝検知工程について詳細に説明する。
(ブロック判定工程)
ブロック判定工程では、制御部94が、登録画像における積層ブロック20の表面Fの形状と、撮像画像における積層ブロック20の表面Fの形状とを比較することによって、積層ブロック20の種類を判定する。より詳しくは、制御部94が、登録画像と撮像画像との間で、表面Fから視た冷却流路15の形状を比較することによって、積層ブロック20の種類を判定する。
【0202】
ここで、
図4(a)に示すように、第1ブロック21、第2ブロック22、第5ブロック25、及び第6ブロック26のそれぞれの表面Fの形状は、略同一である。このため、これらの積層ブロック20の種類を撮像画像から判定することは困難である。一方、
図5及び
図6に示すように、第3ブロック23及び第4ブロック24のそれぞれの表面Fの形状は、他の積層ブロック20の表面Fの形状と異なっている。このため、これらの積層ブロック20の種類を撮像画像から判定することは容易である。
【0203】
図35に示すように、ブロック判定工程では、制御部94は、積層ブロック20が第3ブロック23及び第4ブロック24のどちらであるか、及び第3ブロック23及び第4ブロック24のどちらでもないかを判定する。
【0204】
(溝検知工程)
図14に示すように、溝検知工程では、一対の変位センサ93A,93Bが、積層ブロック20の外周面の凹みを測定する。溝検知工程は、ブロック判定工程において第3ブロック23及び第4ブロック24のどちらでもないと判定された積層ブロック20に対して行われる。すなわち、溝検知工程は、第1ブロック21、第2ブロック22、第5ブロック25、及び第6ブロック26に対して行われ、第3ブロック23及び第4ブロック24に対しては行われない。
【0205】
溝検知工程では、一対の変位センサ93A,93Bのどちらか一方が積層ブロック20の外周面に形成された所定の深さを有する凹みを検知することで、制御部94が、当該凹みを溶接溝33として判定する。また、制御部94は、一対の変位センサ93A,93Bのどちらが溶接溝33を検知したかを判定することで、積層ブロック20における溶接溝33の位置を判定する。
【0206】
図35に示すように、溝検知工程が行われた積層ブロック20において、変位センサ93Aが溶接溝33を検知せず、変位センサ93Bが溶接溝33を検知した場合、制御部94は、当該積層ブロック20を第1ブロック21であると判定する。なお、
図35では、便宜上、変位センサ93Aが「上センサ」と表記され、変位センサ93Bが「下センサ」と表記されている。
【0207】
溝検知工程が行われた積層ブロック20において、変位センサ93Aが溶接溝33を検知し、変位センサ93Bが溶接溝33を検知しない場合、制御部94は、当該積層ブロック20を第6ブロック26であると判定する。
【0208】
溝検知工程が行われた積層ブロック20において、変位センサ93A,93Bの双方が溶接溝33を検知しない場合、制御部94は、当該積層ブロック20を第2ブロック22または第5ブロック25であると判定する。
【0209】
積層順判定工程では、制御部94が、上述したカウンタがカウントする判定回数の値と、種類が判定された積層ブロック20の積層番号とが一致する場合に、当該積層ブロック20の積層順が正しいと判定する。なお、積層番号とは、積層ブロック20がロータコア11における何番目の積層ブロック20であるかを示す番号である。第1ブロック21~第6ブロック26には、「1」~「6」の積層番号がそれぞれ設定されている。
【0210】
制御部94は、例えば、判定回数が「1」のときには、積層番号が「1」である第1ブロック21を正規の積層ブロック20として判定する。
ここで、本実施形態における第2ブロック22及び第5ブロック25の形状は、同一である。このため、積層順判定工程では、第2ブロック22及び第5ブロック25を区別することなく、積層ブロック20の積層順を判定する。したがって、例えば、判定回数が「2」のときには、積層番号が「2」である第2ブロック22または積層番号が「5」である第5ブロック25を正規の積層ブロック20として判定する。
【0211】
制御部94が、第1ブロック21~第6ブロック26を順番に正規の積層ブロック20として判定すると、判定回数の値が「1」に設定される。
積層順判定工程において、例えば、判定回数が「1」のときに正否判定される積層ブロック20が、積層番号が「2」である第2ブロック22である場合、積層ブロック20の積層順が正しくないと判定する。積層ブロック20の積層順が正しくないと判定された場合、制御部94は、正否判定装置90に正規の積層ブロック20が移載されていないとして、正否判定装置90の動作を停止する。
【0212】
積層順判定工程の後、制御部94は、第1冷却流路15Aと第3冷却流路15Cとが入れ替わるように、回転ステージ91を180°回転させてもよい。これにより、後述するロータコア形成工程において、積層ブロック20の転積が行われる。
【0213】
なお、積層順判定工程では、溝検知工程の検知結果のみに基づいて、第1ブロック21及び第6ブロック26の積層順が正しいか否かが判定されてもよい。
(製造ライン判定工程)
製造ライン判定工程は、登録画像のライン識別部44と、撮像画像のライン識別部44とを比較することで、積層ブロック20の製造ラインが正しいか否かを判定する工程である。換言すると、製造ライン判定工程は、積層ブロック20が正規の製造ラインで製造されたものであるか否かを判定する工程である。
【0214】
製造ライン判定工程では、制御部94が、登録画像の第1冷却流路15Aの開口形状と、撮像画像の第1冷却流路15Aの開口形状とを比較する。製造ライン判定工程は、表裏判定工程において撮像面が表面Fであると判定された積層ブロック20に対して行われる。
【0215】
製造ライン判定工程では、制御部94が、登録画像における第1冷却流路15Aの突起間距離と、撮像画像における第1冷却流路15Aの突起間距離とを比較する。制御部94は、例えば、正規の製造ラインが第1製造ラインM1である場合、撮像画像における突起間距離が突起間距離d1(
図7参照)であるか否かを判定する。
【0216】
登録画像と撮像画像との間で突起間距離が一致する場合、制御部94は、積層ブロック20の製造ラインが正しいと判定する。登録画像と撮像画像との間で突起間距離が一致しない場合、制御部94は、積層ブロック20の製造ラインが正しくないと判定する。
【0217】
製造ライン判定工程において、積層ブロック20の製造ラインが正しくないと判定された場合、制御部94は、正否判定装置90に正規の積層ブロック20が移載されていないとして、正否判定装置90の動作を停止する。
【0218】
(品種判定工程)
品種判定工程は、登録画像の品種識別部45と、撮像画像の品種識別部45とを比較することで、積層ブロック20の品種が正しいか否かを判定する工程である。
【0219】
品種判定工程では、制御部94が、登録画像の一対の磁石収容孔14と、撮像画像の一対の磁石収容孔14とを比較する。品種判定工程は、表裏判定工程において撮像面が表面Fであると判定された積層ブロック20に対して行われる。
【0220】
品種判定工程では、制御部94が、登録画像における一対の磁石収容孔14がなす識別角度と、撮像画像における一対の磁石収容孔14がなす識別角度とを比較する。制御部94は、例えば、正規の品種が第1品種V1である場合、撮像画像における識別角度が識別角度θ1(
図4(a)参照)であるか否かを判定する。
【0221】
登録画像と撮像画像との間で識別角度が一致する場合、制御部94は、積層ブロック20の品種が正しいと判定する。登録画像と撮像画像との間で識別角度が一致しない場合、制御部94は、積層ブロック20の品種が正しくないと判定する。
【0222】
品種判定工程において、積層ブロック20の品種が正しくないと判定された場合、制御部94は、正否判定装置90に正規の積層ブロック20が移載されていないとして、正否判定装置90の動作を停止する。
【0223】
以上のようにして、ロータコア形成工程に先立ち、積層治具101に積層されようとする積層ブロック20が正規の積層ブロック20であるか否かが判定される。
本実施形態の正否判定工程では、位置合わせされた積層ブロック20の単一の撮像画像に基づいて、表裏判定工程と、積層順判定工程と、製造ライン判定工程と、品種判定工程とが行われる。これにより、位置合わせされた積層ブロック20の撮像回数が1回で済む。
【0224】
図36に示すように、正否判定工程において正規の積層ブロック20であると判定された積層ブロック20は、第2移載装置115によって、積層治具101に向けて搬送される。
【0225】
(ロータコア形成工程)
ロータコア形成工程は、複数の積層ブロック20を積層治具101で支持しつつ積層することでロータコア11を形成する工程である。
【0226】
ロータコア形成工程は、上昇工程と、嵌入工程と、積層工程とを備える。
(上昇工程)
図37に示すように、上昇工程では、昇降機構110が動作することにより、載置台106が上昇する。載置台106が上昇した状態における載置台106の上面の位置は、第2ポスト103のテーパ部105よりも下方である。
【0227】
(嵌入工程)
嵌入工程では、第2移載装置115が、正否判定装置90から搬送した第1ブロック21~第6ブロック26を順に第2ポスト103に嵌め入れる。
【0228】
上述したように、正否判定工程では、積層ブロック20のキー13と、第2ポスト103のキー溝103aとの位置合わせが行われている。このため、第2移載装置115は、積層ブロック20を上下移動及び平行移動させることによって第2ポスト103に嵌め入れることができる。
【0229】
嵌入工程では、まず、第2移載装置115の一対の挟持部116が、載置台106が上昇した状態の積層治具101の上方から第1ブロック21を落下させることにより、第1ブロック21を第2ポスト103に嵌め入れる。
【0230】
より詳しくは、第1ブロック21を挟持した状態の一対の挟持部116が、第2ポスト103の上方から降下する。挟持部116は、第2ポスト103のうちテーパ部105のみが第1ブロック21の中心孔12の内側に位置する状態で停止する。
【0231】
図38に示すように、その後、一対の挟持部116は、第1ブロック21の挟持を解除することにより、第1ブロック21を第2ポスト103に沿って落下させる。これにより、第1ブロック21が第2ポスト103に嵌め入れられるとともに載置台106の上面に載置される。
【0232】
(積層工程)
図39に示すように、積層工程では、まず、一対の挟持部116が、第2ポスト103よりも上方に上昇した後、互いに近接する。これにより、一対の挟持部116の各々の下面と、第1ブロック21の上面とが対向する。その後、一対の挟持部116は、第1ブロック21に向かって降下することで、第1ブロック21の上面を載置台106に向けて押圧する。
【0233】
一対の挟持部116が第1ブロック21の上面を押圧するとき、載置台106は、一対の挟持部116が第1ブロック21を押圧する距離と同じ距離だけ降下する。すなわち、第1ブロック21は、載置台106により下面が支持された状態で、一対の挟持部116により上面が押圧される。
【0234】
図40に示すように、続いて、第1ブロック21と同様にして、一対の挟持部116が、積層治具101の上方から第2ブロック22を落下させることにより、第2ブロック22を第2ポスト103に嵌め入れる。
【0235】
図41に示すように、その後、第1ブロック21と同様にして、一対の挟持部116が第2ブロック22の上面を押圧するとともに、載置台106が降下する。
図42に示すように、以上のようにして、積層ブロック20が第2ポスト103に嵌め入れられる度に、一対の挟持部116が積層ブロック20の上面を押圧するとともに載置台106が降下する。こうして、第1ブロック21~第6ブロック26が順に積層されることにより、積層治具101に支持されたロータコア11が形成される。
【0236】
図15に示すように、一対の挟持部116が積層ブロック20の上面を載置台106に向けて押圧する際、一対の挟持部116に作用する負荷が、負荷センサ117によって計測されている。積層工程では、この負荷が、予め定められた負荷よりも大きいと判定された場合には、第2移載装置115は、一対の挟持部116の動作を停止する。
【0237】
(かしめ工程)
図43に示すように、かしめ工程は、ロータコア11を加圧することで、積層ブロック20において隣接する第1鉄心片Waのダボ18同士をかしめる工程である。
【0238】
かしめ工程では、まず、積層治具101が第1型121に載置される。その後、積層治具101に支持されたロータコア11の上面が第2型122により押圧される。これにより、各積層ブロック20において隣接する第1鉄心片Waのダボ18同士がかしめられる。したがって、ロータコア11における第1鉄心片Wa同士の隙間が小さくなる。
【0239】
かしめ工程では、ロータコア11を押圧した状態において、図示しない測定器によって測定された第1型121と第2型122との間の距離に基づいて、ロータコア11の積厚Tmが間接的に測定される。
【0240】
かしめ工程において測定されたロータコア11の積厚Tmが所定の範囲内でない場合は、当該ロータコア11における第1鉄心片Waの積層数Nが調整される。より詳しくは、ロータコア11の積厚Tmが所定の範囲を超えた場合は、例えば、作業者がロータコア11から少なくとも1つの第1鉄心片Waを除去する。ロータコア11の積厚Tmが所定の範囲に満たない場合は、例えば、作業者がロータコア11に少なくとも1つの第1鉄心片Waを追加する。このとき追加される第1鉄心片Waは、ダボ18が形成されたものでなくてもよい。なお、第1鉄心片Waが追加された場合、当該第1鉄心片Waは、後述するモールド工程において樹脂が固化することにより他の第1鉄心片Waに対して固定される。
【0241】
(磁石挿入工程)
磁石挿入工程は、かしめ工程が行われたロータコア11の複数の磁石収容孔14の各々に磁石30が挿入される工程である。
【0242】
磁石挿入工程では、ロータ10の品種に応じて、挿入ステーション161A及び押込ステーション162A、または挿入ステーション161B及び押込ステーション162Bが稼動する。以降では、磁石挿入工程の一例として、挿入ステーション161A及び押込ステーション162Aが稼動する場合について説明する。
【0243】
図44に示すように、磁石挿入工程では、まず、スライドテーブル133のスライドによって、供給機構131の位置が取出位置に設定される。
図45に示すように、次に、取出機構136が、取出位置に位置する供給機構131の複数のマガジン132から複数の磁石30を把持して取り出す。取出機構136は、例えば、複数のマガジン132から4つの磁石30を一度に取り出す。
【0244】
次に、取出機構136が、載置位置に位置する整列機構140の複数の載置部141のそれぞれに磁石30を1つずつ載置する。その後、取出機構136は、次の磁石30を取り出すべくマガジン132に向かって移動する。
【0245】
図44に示すように、次に、整列機構140が、載置位置から供給位置にスライドするとともに、ピッチチェンジャー142が載置部141同士の間隔を所定の間隔に設定する。載置部141同士の間隔は、ロータ10の品種に応じて予め定められている。
【0246】
図46に示すように、挿入ステーション161Aには、積層治具101に支持されたロータコア11が搬送される。
挿入ステーション161Aでは、ロータコア11の上面に、案内治具170が載置される。案内治具170は、案内孔171と磁石収容孔14とが連通するように予め位置決めされている。
【0247】
次に、挿入機構145が、載置部141に載置された全ての磁石30を把持して挿入ステーション161Aに向かって移動する。載置部141に載置された全ての磁石30が挿入機構145によって把持されると、整列機構140は、供給位置から載置位置に移動する。
【0248】
図47に示すように、次に、挿入機構145は、案内治具170を介してロータコア11の磁石収容孔14に磁石30を挿入する。図示は省略するが、挿入機構145は、例えば、複数のチャック146が把持している全ての磁石30を複数の磁石収容孔14の各々に一度に挿入する。
【0249】
挿入機構145は、載置部141の磁石30を把持して磁石収容孔14に磁石30を挿入する工程を複数回繰り返す。これにより、ロータコア11の全ての磁石収容孔14に磁石30が挿入される。なお、挿入機構145によって磁石収容孔14に挿入された磁石30は、一端部が案内治具170の案内孔171から突出した状態となる。
【0250】
次に、案内孔171から磁石30の一端部が突出した状態のロータコア11が、積層治具101と共に押込ステーション162Aに搬送される。
図48に示すように、押込ステーション162Aでは、案内治具170の上方に配置された押込治具172が降下することで、案内孔171から突出した複数の磁石30が磁石収容孔14の内部に一括して押し込まれる。これにより、各磁石収容孔14の内部に磁石30が収容される。
【0251】
次に、ロータコア11から押込治具172及び案内治具170が退避した後、積層治具101に支持されたロータコア11が磁石挿入装置130の外部に搬送される。
(残留抑制処理)
磁石挿入装置130は、製造されるロータ10の品種を切り替える品種切替が行われた際に、動作を一時停止する。このとき、取出機構136、整列機構140、及び挿入機構145の少なくとも1つに磁石30が残留することがある。そこで、磁石挿入装置130の制御部156は、品種切替が行われた際に、残留抑制処理を実行する。残留抑制処理は、品種切替前に製造されていた品種の磁石30が磁石挿入装置130の内部に残留することを抑制する処理である。
【0252】
残留抑制処理が実行されると、品種切替時に取出機構136、整列機構140、及び挿入機構145に磁石30が存在している場合に、当該磁石30が収集容器150に収集される。
【0253】
図49に示すフローチャートを参照して、残留抑制処理の手順について説明する。
残留抑制処理は、品種切替の指令信号が制御部156に入力されることにより実行される。指令信号は、例えば、磁石挿入装置130に設けられた図示しない品種切替スイッチが作業者によって操作されることによって制御部156に入力される。
【0254】
図49に示すように、残留抑制処理では、制御部156が、挿入機構145の第3センサ148がONであるか否かを判定する(ステップS201)。第3センサ148がONである場合(ステップS201:YES)、すなわち、挿入機構145が磁石30を把持していると判定された場合、挿入機構145が把持中の磁石30を収集容器150に投入する(ステップS202)。第3センサ148がONでない場合(ステップS201:NO)、すなわち、挿入機構145が磁石30を把持していないと判定された場合、制御部156は、後述するステップS203を実行する。
【0255】
ステップS202に続いて、制御部156は、整列機構140の第2センサ143がONであるか否かを判定する(ステップS203)。第2センサ143がONである場合(ステップS203:YES)、すなわち、載置部141に磁石30が載置されていると判定された場合、挿入機構145が載置部141の磁石30を収集容器150に投入する(ステップS204)。なお、ステップS203において第2センサ143がONである場合、整列機構140の位置は、供給位置に設定される。第2センサ143がONでない場合(ステップS203:NO)、すなわち、載置部141に磁石30が載置されていないと判定された場合、制御部156は、後述するステップS205を実行する。
【0256】
ステップS204に続いて、制御部156は、取出機構136の第1センサ138がONであるか否かを判定する(ステップS205)。第1センサ138がONである場合(ステップS205:YES)、すなわち、取出機構136が磁石30を把持していると判定された場合、取出機構136が把持中の磁石30を載置部141に搬送する(ステップS206)。なお、ステップS205において第1センサ138がONである場合、整列機構140の位置は、載置位置に設定される。第1センサ138がONでない場合(ステップS205:NO)、すなわち、取出機構136が磁石30を把持していないと判定された場合、制御部156は、後述するステップS208を実行する。
【0257】
ステップS206に続いて、挿入機構145が載置部141の磁石30を収集容器150に投入する(ステップS207)。なお、ステップS207に先立ち、整列機構140の位置は、供給位置に設定される。
【0258】
ステップS201~ステップS207が実行されることにより、取出機構136、整列機構140、及び挿入機構145に残留していた磁石30が全て収集容器150に収集されることとなる。
【0259】
次に、制御部156は、第1センサ138、第2センサ143、及び第3センサ148がOFFであるか否かを判定する(ステップS208)。第1センサ138、第2センサ143、及び第3センサ148がOFFである場合(ステップS208:YES)、ロック機構155が収集容器150のロックを解除する(ステップS209)。これにより、収集容器150は、収集位置から排出位置にスライド可能となる。第1センサ138、第2センサ143、及び第3センサ148がOFFでない場合(ステップS208:NO)、制御部156は、ステップS201の処理を実行する。
【0260】
次に、供給機構131が取出位置から交換位置に移動する(ステップS210)。これにより、例えば、作業者によってマガジン132の交換が行われる。交換後のマガジン132には、品種切替後の品種の磁石30が収容されている。
【0261】
次に、制御部156は、開閉センサ153の検知結果に基づいて、収集容器150が筐体160の開口160aを開放しているか否かを判定する(ステップS211)。開閉センサ153がOFFである場合、すなわち、収集容器150が開口160aを開放していると判定された場合(ステップS211:YES)、制御部156は、ステップS212に移行する。収集容器150が開口160aを開放していないと判定された場合(ステップS211:NO)、制御部156は、ステップS211の処理を繰り返す。
【0262】
ステップS212では、制御部156は、開閉センサ153の検知結果に基づいて、収集容器150が開口160aを閉塞しているか否かを判定する(ステップS212)。開閉センサ153がONである場合、すなわち、収集容器150が開口160aを閉塞していると判定された場合(ステップS212:YES)、ロック機構155は、収集容器150を収集位置にロックする(ステップS213)。収集容器150が開口160aを閉塞していないと判定された場合(ステップS212:NO)、制御部156は、ステップS212の処理を繰り返す。
【0263】
ここで、ステップS201~ステップS208が実行されることにより収集容器150に磁石30が収集された場合、ステップS209の後に、例えば、作業者が収集容器150を収集位置から排出位置にスライドさせて、収集容器150から磁石30を取り除く。このとき、収集容器150が開口160aを開放するため、制御部156の処理は、ステップS211からステップS212に移行する。
【0264】
続いて、例えば、作業者が、磁石30を取り除いた後に収集容器150を排出位置から収集位置にスライドさせる。このとき、収集容器150が開口160aを閉塞する。これにより、制御部156の処理は、ステップS212からステップS213に移行する。
【0265】
以上のことから、制御部156は、品種切替時に収集容器150の位置が排出位置から収集位置に移行した場合に、収集容器150を収集位置にロックするようにロック機構155を制御する。また、制御部156は、上記ロックが完了するまでは、磁石収容孔14に磁石30を挿入しないように挿入機構145を制御する。より詳しくは、制御部156は、上記ロックが完了するまでは、挿入機構145を動作させない。
【0266】
(モールド工程)
図50に示すように、モールド工程は、ロータコア11の複数の磁石収容孔14の各々に樹脂材31を充填して固化させることで複数の磁石30をロータコア11に対して固定する工程である。
【0267】
モールド工程では、まず、積層治具101に支持されたロータコア11の上面にカルプレート182が載置される。なお、ロータコア11には、複数の磁石30が予め収容されている。
【0268】
次に、積層治具101、ロータコア11、及びカルプレート182が、図示しない加熱装置に投入されることにより、所定の温度に予備加熱される。また、モールド装置180が所定の温度に予備加熱される。
【0269】
次に、積層治具101がモールド装置180の固定型181に載置される。その後、可動型186が降下して、カルプレート182の上面に接触する。
図21に示すように、次に、図示しないロボットハンドによって挟持された樹脂ペレットPが供給路188に配置される。供給路188に配置された樹脂ペレットPは、予備加熱の熱によって溶融する。
【0270】
図50に示すように、次に、プランジャ189が降下することにより、樹脂ペレットPが溶融した樹脂材31に圧力が付与される。これにより、カルプレート182の供給口183を介して磁石収容孔14の内部に樹脂材31が充填される。磁石収容孔14の内部に充填された樹脂材31は、予備加熱の熱によって加熱されることにより固化する。これにより、各積層ブロック20が互いに固定されるとともに、磁石30がロータコア11に対して固定される。
【0271】
このとき、樹脂材31の一部は、磁石収容孔14の内部に充填されずにカルプレート182の各供給口183に残留する。このため、カルプレート182の各供給口183には、樹脂材31の固化物Rが残留している。
【0272】
次に、可動型186が上昇した後に、ロータコア11の上面に載置されたカルプレート182が、搬送装置195によって外部に取り出される。
続いて、図示は省略するが、第2ベース板102を貫通するとともに、載置台106の下面を上方に向けて押圧する複数の押圧部によって載置台106が上方に向けて押圧される。これにより、載置台106がロータコア11と共に第2ベース板102から離間する。こうして、ロータコア11が積層治具101から取り外される。
【0273】
(除去工程)
除去工程は、カルプレート182の複数の供給口183の各々に残留した樹脂材31の固化物Rを押出治具190によって押し出すことで、複数の固化物Rをカルプレート182から除去する工程である。
【0274】
図51に示すように、除去工程では、まず、搬送装置195が、一対の支持部196によってカルプレート182を支持した状態で、カルプレート182を押出治具190の上方に搬送する。
【0275】
次に、搬送装置195が降下することにより、押出治具190の複数の押出部192がカルプレート182に残留した複数の固化物Rにそれぞれ接触する。より詳しくは、複数の第1押出部193のみが、カルプレート182に残留した複数の固化物Rにそれぞれ接触する。
【0276】
図52に示すように、搬送装置195が更に降下することにより、一対の押圧部197によってカルプレート182の上面が押圧される。これにより、固化物Rが第1押出部193に押し付けられるため、複数の第1押出部193によって複数の固化物Rがカルプレート182から押し出される。
【0277】
図53に示すように、次に、搬送装置195が更に降下することにより、カルプレート182に残留した残りの複数の固化物Rが第2押出部194に押し付けられる。これにより、複数の第2押出部194によって複数の固化物Rがカルプレート182から押し出される。
【0278】
カルプレート182から押し出された固化物Rは、カルプレート182との密着状態が解除された状態で供給口183の内部に位置している。カルプレート182から押し出された固化物Rは、図示しない吸着装置によって吸着されてカルプレート182から除去される。
【0279】
(溶接工程)
図54に示すように、溶接工程は、ロータコア11とエンドプレート32とを溶接する工程である。
【0280】
溶接工程では、まず、エンドプレート32が、ロータコア11の軸線方向における両端面に配置される。
次に、溶接トーチ211がロータコア11とエンドプレート32とを溶接する。これにより、複数の溶接溝33の内部にビード33aが形成される。
【0281】
以上のようにして、ロータ10が製造される。
本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)第1移載装置80は、2段目ブロック20Aの移動を規制する規制部81と、積層体11Aにおける最上位の積層ブロック20を支持治具85から取り出して正否判定装置90へ移載する移載部82とを備える。
【0282】
こうした構成によれば、移載部82によって最上位の積層ブロック20が支持治具85から取り出される際に、2段目ブロック20Aの移動が規制部81によって規制される。これにより、最上位の積層ブロック20と2段目ブロック20Aとが密着している場合であっても、移載部82によって2段目ブロック20Aから最上位の積層ブロック20を剥離して取り出すことができる。したがって、積層体11Aから積層ブロック20を1つずつ容易に取り出すことができる。
【0283】
(2)第1移載装置80は、最上位の積層ブロック20の上端面の位置を検出する検出部83を備える。規制部81は、積層体11Aのうち、検出部83によって検出された上端面の位置から指定距離だけ下方に離れた部分の外周面を挟持するように構成されている。指定距離は、最上位の積層ブロック20の厚さT1と、2段目ブロック20Aの厚さT2の半分との総和である、
例えば、規制部81が、所定の座標値において2段目ブロック20Aを挟持しようとすると、積層体11Aの積厚にばらつきが生じた場合に、2段目ブロック20Aを挟持できないおそれがある。
【0284】
この点、上記構成によれば、積層体11Aのうち、検出部83によって検出された最上位の積層ブロック20の上端面の位置から指定距離だけ下方に離れた部分の外周面が、規制部81によって挟持される。すなわち、指定距離の起算点である最上位の積層ブロック20の上端面の位置が検出部83によって検出される。そして、指定距離は、最上位の積層ブロック20の厚さT1と、2段目ブロック20Aの厚さT2の半分との総和である。このため、積層体11Aの積厚がばらつく場合であっても、規制部81が2段目ブロック20Aを挟持することができる。
【0285】
(3)第1移載工程では、2段目ブロック20Aの移動を規制した状態で、積層体11Aにおける最上位の積層ブロック20を取り出して移載対象へ移載する。
こうした方法によれば、上記作用効果(1)に準じた作用効果を奏することができる。
【0286】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0287】
・検出部83は、最上位の積層ブロック20の上端面の位置を検出できるものであればよく、種々のセンサであってもよいし、カメラにより撮像された画像に基づいて上端面の位置を検出するものであってもよい。
【0288】
・規制部81は、所定の座標値において2段目ブロック20Aを挟持するように構成されていてもよい。この場合、第1移載装置80から、検出部83が省略されてもよい。
・規制部81は、磁石などによって2段目ブロック20Aに吸着することにより、2段目ブロック20Aの移動を規制するものであってもよい。この場合、規制部81は、2段目ブロック20Aへの吸着状態と非吸着状態とを切り替え可能に構成されていることが好ましい。
【0289】
・移載部82のチャックは、最上位の積層ブロック20における磁石収容孔14または冷却流路15に挿入された状態で、当該積層ブロック20を挟持するものであってもよい。
【0290】
・プレス装置60の搬送方向における下流側には、積層ブロック20の上下を反転させる反転装置が接続されていてもよい。反転装置としては、例えば、ローラコンベアによって搬送される積層ブロック20を自重によって落下させることにより、積層ブロック20の上下を反転させるものが挙げられる。これにより、積層ブロック20におけるダボ18が上方を向くようになる。また、反転装置は、反転した積層ブロック20に他の積層ブロック20を積層させることにより、第6ブロック26~第1ブロック21が積層された積層体11Aを形成するものであってもよい。この場合、反転装置は、積層体11Aが形成される度に、当該積層体11Aを外部に排出するものであることが好ましい。この構成によれば、搬送工程において支持治具85に複数の積層ブロック20を積層させる積層作業時に、作業者は、反転装置から排出された積層体11Aを支持治具85に支持させることによって、当該積層作業を容易に行うことができる。
【0291】
・検出部83は規制部81と一体に設けられていてもよい。本変更例の検出部83は、規制部81と共に昇降可能に構成されている。このため、第1移載工程において、検出部83が積層体11Aの下端から上端に向かって上昇する際、検出部83及び規制部81が共に上昇する。その後、検出部83及び規制部81が共に降下するとともに、規制部81が2段目ブロック20Aを挟持する。
【0292】
・製造ライン判定工程は、積層ブロック20の登録画像と撮像画像とを比較することにより、ロータコア11を構成する複数の積層ブロック20が同一の製造ラインで製造されたものであるか否かを判定する工程であってもよい。この場合、まず、制御部94は、登録画像のライン識別部44と、撮像画像のライン識別部44とを比較することで、第1ブロック21の製造ラインが第1製造ラインM1及び第2製造ラインM2のいずれであるかを判定する。その後、制御部94は、第1ブロック21に続いて正否判定装置90に順次移載される第2ブロック22~第6ブロック26の製造ラインが、第1ブロック21の製造ラインと一致するか否かを判定する。すなわち、製造ライン判定工程では、第2ブロック22~第6ブロック26の製造ラインが、第1ブロック21の製造ラインに対して正しいか否かが判定される。なお、第2ブロック22~第6ブロック26の製造ラインが、第1ブロック21の製造ラインと異なる場合、制御部94は、正否判定装置90に正規の積層ブロック20が移載されていないとして、正否判定装置90の動作を停止する。
【0293】
・上記実施形態では、回転ステージ91を用いて位置合わせされた積層ブロック20の撮像画像に基づいて、表裏判定工程、積層順判定工程、製造ライン判定工程、及び品種判定工程が行われるものであったが、これに限定されない。他に例えば、表裏判定工程、製造ライン判定工程、及び品種判定工程が、位置合わせされる前の積層ブロック20の撮像画像に基づいて行われるとともに、積層順判定工程が、位置合わせされた積層ブロック20の撮像画像に基づいて行われてもよい。この場合、制御部94は、積層ブロック20の撮像画像におけるキー13の位置から積層ブロック20の回転位相を認識した上で、登録画像と当該撮像画像とを比較する。これにより、表裏判定工程、製造ライン判定工程、及び品種判定工程が行われる。表裏判定工程、製造ライン判定工程、及び品種判定工程にて積層ブロック20が正規の積層ブロック20であることが判定されると、制御部94は、キー13の位置が所定の位置となるように回転ステージ91を回転させる。この回転により、積層ブロック20が溶接溝33を有する場合には、当該溶接溝33が一対の変位センサ93A,93Bのどちらか一方に対向する。これにより、制御部94は、積層順判定工程における溝検知工程を行うことができるようになる。なお、制御部94は、積層順判定工程の前に、回転ステージ91による積層ブロック20の位置合わせが正しく行われた否かを判定してもよい。この場合、制御部94は、回転ステージ91の回転後に積層ブロック20の一端面を撮像した撮像画像に基づいて、キー13の位置が所定の位置であるか否かを判定すればよい。
【0294】
・かしめ工程において積層治具101が第1型121に載置される際、第1型121から突出する位置決めピンによって、積層治具101が位置決めされてもよい。この場合、積層治具101の第2ベース板102には、位置決めピンが挿入される位置決め孔が設けられていることが好ましい。ロータコア11は、積層治具101に対して位置決めされた状態で支持されているため、位置決めピンによって積層治具101が位置決めされることにより、ロータコア11とかしめ装置120とが位置決めされることとなる。その結果、ロータコア11の上面が第2型122により押圧される際に、ロータコア11と積層治具101とが干渉してロータコア11が変形することを抑制できる。
【0295】
・積層治具101に支持されたロータコア11は、挿入ステーション161A,161Bに搬送されることなく、押込ステーション162A,162Bに搬送されてもよい。この場合、挿入機構145は、挿入ステーション161A,161Bに載置された案内治具170の各案内孔171に対して磁石30を挿入する。その後、磁石30が挿入された案内治具170が、押込ステーション162A,162Bに搬送されることにより、案内治具170の案内孔171とロータコア11の磁石収容孔14とが連通する。そして、押込治具172によって、磁石30が磁石収容孔14の内部に押し込まれる。
【0296】
・モールド工程では、ロータコア11及び積層治具101における予備加熱の完了後の経過時間が所定の時間以内である場合にのみ、積層治具101が固定型181に載置されるようにしてもよい。この場合、予備加熱時におけるロータコア11の温度が測定されるとともに、当該温度が所定の温度に到達した場合に、予備加熱が完了することが好ましい。これにより、モールド工程時における樹脂材31の温度低下が抑制される。なお、上記経過時間が所定の時間を超えた場合には、ロータコア11及び積層治具101が再度予備加熱されてもよい。
【0297】
・可動型186の供給路188に樹脂ペレットPを配置するロボットハンドは、供給装置から供給された樹脂ペレットPを挟持して供給路188に配置するものであってもよい。供給装置としては、例えば、螺旋状の搬送路が形成されたボウルが振動することにより、搬送路上の樹脂ペレットPを整列させて供給路に搬送するパーツフィーダが挙げられる。この場合、供給装置は、雰囲気温度が所定の温度以下となるように調整された筐体内に配置されることが好ましい。これにより、樹脂ペレットPが、ロボットハンドに挟持される前に化学反応によって軟化することを抑制できる。
【0298】
・モールド工程では、樹脂材31が、載置台106の上面とロータコア11の下面との間に漏出して固化することがある。この場合、ロータコア11の下面に付着した不要な樹脂材31を除去すべく、積層治具101から取り外されたロータコア11の下面に対してエアを吹き付けてもよい。エアとしては、例えば、工場エアから一定量の水分が除去されたドライエアを用いることが好ましい。これにより、エアに含まれる水分によってロータコア11が錆びることが抑制される。
【0299】
・ロータコア11とエンドプレート32との線膨張係数が互いに異なる場合、回転電機Mの使用時における温度上昇に伴ってロータコア11とエンドプレート32とが剥離するおそれがある。こうした剥離を回避すべく、溶接工程では、ロータコア11の温度が所定の温度範囲内に維持された状態で、ロータコア11とエンドプレート32とが溶接されることが好ましい。しかしながら、モールド工程後のロータコア11は高温状態であるものの、その温度にはばらつきが生じやすい。この場合、例えば、第1~第3保温ステーションと昇温ステーションとを備える溶接装置210を用いて、ロータコア11とエンドプレート32とを溶接することが好ましい。各保温ステーション及び昇温度ステーションは、例えば、ロータコア11を一対のホットプレートによって上下から挟持するとともに加熱するように構成されている。本変更例では、まず、モールド工程後に積層治具101から取り外されたロータコア11の温度が測定される。次に、測定温度が所定の温度範囲内である場合には、ロータコア11が第1保温ステーションに搬送されて一定時間加熱されることで、その温度が維持される。その後、ロータコア11は、第2保温ステーションまたは第3保温ステーションに搬送されて一定時間加熱されることで、その温度が維持される。そして、第2保温ステーションまたは第3保温ステーションに搬送されたロータコア11とエンドプレート32とが溶接される。一方、測定温度が所定の温度範囲よりも低い場合には、ロータコア11が昇温ステーションに搬送されて一定時間加熱されることで、所定の温度範囲内まで昇温される。その後、ロータコア11は、第2保温ステーションまたは第3保温ステーションに搬送されて一定時間加熱されることで、その温度が維持される。そして、第2保温ステーションまたは第3保温ステーションに搬送されたロータコア11とエンドプレート32とが溶接される。以上のことから、モールド工程後のロータコア11の温度にばらつきが生じる場合であっても、溶接時のロータコア11の温度を所定の温度範囲内に収めることができる。
【符号の説明】
【0300】
T1…厚さ
T2…厚さ
Wa…第1鉄心片
11A…積層体
20…積層ブロック
20A…2段目ブロック
80…第1移載装置
81…規制部
82…移載部
83…検出部
85…支持治具