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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117541
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
A47J27/00 109R
A47J27/00 103D
A47J27/00 109B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023682
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】倉 拓海
(72)【発明者】
【氏名】菅原 彩子
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼中 貴大
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 健太郎
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA02
4B055BA09
4B055CD07
4B055EA01
4B055EA03
4B055GB18
4B055GC31
4B055GD02
(57)【要約】
【課題】炊飯鍋内に水を自動供給可能な炊飯器における計量の安定性を向上する。
【解決手段】炊飯器1は、炊飯部23に着脱可能に配置される炊飯鍋30と、水収容部25に着脱可能に配置される水容器90と、水容器90内の水を炊飯鍋30内に供給するための水供給機構94と、受付部12で受け付けた炊飯情報に基づいて水供給機構94を制御し、炊飯量に対応する量の水を炊飯鍋30に供給する制御部125とを備える。水供給機構94は、炊飯鍋30による最小炊飯容量の炊飯に必要な水量に対応する容積以下の容積で水容器90内の水を計量可能な水計量部95と、水容器本体90b内の水を水計量部95に汲み上げるポンプ98と、水計量部95内の水を自重によって炊飯鍋30内に供給可能な給水路108とを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯部と、前記炊飯部の上側に設けられた水収容部とを有する筐体と、
前記炊飯部に着脱可能に配置される炊飯鍋と、
前記炊飯部による最大炊飯容量の炊飯に必要な水量以上の水を収納可能で、前記水収容部に着脱可能に配置される水容器と、
前記水容器内の水を前記炊飯鍋内に供給するための水供給機構と、
炊飯量を含む炊飯情報を受け付ける受付部と、
前記受付部で受け付けた前記炊飯情報に基づいて前記水供給機構を制御し、前記炊飯量に対応する量の水を前記炊飯鍋に供給する制御部と
を備え、
前記水供給機構は、
前記水容器内の上部に仕切壁によって画定され、前記炊飯鍋による最小炊飯容量の炊飯に必要な水量に対応する容積以下の容積で前記水容器内の水を計量可能な水計量部と、
前記水容器に配置されたポンプ本体と、前記水収容部に配置され、前記水収容部への前記水容器の配置によって前記ポンプ本体に接続される第1駆動部とを有し、水容器本体内の水を前記水計量部に汲み上げるポンプと、
前記水計量部と前記炊飯鍋内を連通させ、前記水計量部内の水を自重によって前記炊飯鍋内に供給可能な給水路と
を有する、炊飯器。
【請求項2】
前記制御部は、前記水計量部に供給した水がオーバーフローして前記水容器本体に戻る時間以上、前記ポンプを作動させる、請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記水計量部は、第1升部と、前記第1升部よりも容積が小さい第2升部とを含み、
前記水供給機構は、前記第1升部と前記第2升部の底にそれぞれ配置された開閉可能な一対の止水弁と、前記一対の止水弁を個別に開弁させる一対の第2駆動部とを有し、
前記制御部は、前記炊飯量に対応する水量に基づいて、前記第1升部から前記炊飯鍋への第1給水回数と、前記第2升部から前記炊飯鍋への第2給水回数とを設定し、前記一対の第2駆動部を個別に制御して前記炊飯鍋内に水を供給する、
請求項1又は2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1給水回数と前記第2給水回数が異なるとき、給水回数が揃うまで多い方から先に供給し、最終給水段階では前記第1升部と前記第2升部の両方の水を同時に供給するとともに、前記ポンプによる前記第1升部と前記第2升部への給水は行わない、請求項3に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記ポンプは、前記水容器本体内の水を前記第1升部に供給し、前記第1升部からオーバーフローした水は前記第2升部に供給される、請求項3に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記最小炊飯容量の炊飯を行うときの計量分解能において、前記第1升部の容積の最小単位は偶数及び奇数のうち一方に設定され、前記第2升部の容積の最小単位は偶数及び奇数のうち他方に設定されている、請求項3に記載の炊飯器。
【請求項7】
前記水供給機構は、前記水計量部の底に配置された開閉可能な止水弁と、前記止水弁を開弁させる第2駆動部とを有し、
前記ポンプによる前記水計量部への単位時間当たりの給水量は、前記止水弁の開弁によって前記水計量部から前記炊飯鍋に供給する単位時間当たりの給水量よりも多く、
前記制御部は、前記ポンプによって前記水計量部に給水を行い、前記水計量部が満水状態になると、前記第2駆動部によって前記止水弁を開弁する一方、前記ポンプによる前記水計量部への給水を継続し、その給水時間によって前記炊飯量の炊飯に必要な量の水を前記炊飯鍋に供給する、
請求項1又は2に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記制御部による前記水供給機構の前記給水時間は、前記炊飯量の炊飯に必要な水量から前記水計量部の容積に対応する水量を減算した給水量と、前記止水弁の開弁によって前記水計量部から前記炊飯鍋に供給される単位時間当たりの給水量とに基づいて設定され、
前記制御部は、最終給水段階では前記ポンプによる前記水計量部への給水を停止し、前記水計量部内の全ての水を供給する、
請求項7に記載の炊飯器。
【請求項9】
前記筐体は、正面側から見て前記水収容部の一側に隣接するように、前記炊飯部の上側に設けられた米収容部を有し、
前記最大炊飯容量以上の飯米を収納可能で、前記米収容部に着脱可能に配置される米容器と、
前記米容器の底に配置されて前記米容器内の飯米が自重で供給され、前記最小炊飯容量に対応する容積以下の容積で飯米を計量する米計量部を有し、前記米計量部内の飯米を前記炊飯鍋内に供給するための米供給機構と
を更に備え、
前記制御部は、前記炊飯情報に基づいて前記米供給機構と前記水供給機構を制御し、前記炊飯量に対応する量の飯米と水を前記炊飯鍋に供給して炊飯を行う、
請求項1又は2に記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、炊飯鍋が着脱可能に配置される炊飯部、米容器が着脱可能に配置される米収容部、及び水容器が着脱可能に配置される水収容部を備える炊飯器が開示されている。この炊飯器は、給米路を含む米供給機構と、給水路を含む水供給機構と、これらを制御して指定された炊飯量に対応する量の飯米と水を米容器と水容器から炊飯鍋にそれぞれ自動供給し、炊飯部にて炊飯を行う制御部とを備える。飯米と水を自動供給する際、これらの供給量の判断は、米容器、水容器、及び炊飯鍋の重量をそれぞれ検出する3つの重量センサの検出結果に基づいて行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7002028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
重量センサを用いた水の計量には、周囲の温度変化や長期的な使用による劣化等によって誤差が生じ得る。よって、特許文献1の炊飯器には、計量の安定性について改善の余地がある。
【0005】
本発明は、炊飯鍋内に水を自動供給可能な炊飯器における計量の安定性の向上を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、炊飯部と、前記炊飯部の上側に設けられた水収容部とを有する筐体と、前記炊飯部に着脱可能に配置される炊飯鍋と、前記炊飯部による最大炊飯容量の炊飯に必要な水量以上の水を収納可能で、前記水収容部に着脱可能に配置される水容器と、前記水容器内の水を前記炊飯鍋内に供給するための水供給機構と、炊飯量を含む炊飯情報を受け付ける受付部と、前記受付部で受け付けた前記炊飯情報に基づいて前記水供給機構を制御し、前記炊飯量に対応する量の水を前記炊飯鍋に供給する制御部とを備え、前記水供給機構は、前記水容器内の上部に仕切壁によって画定され、前記炊飯鍋による最小炊飯容量の炊飯に必要な水量に対応する容積以下の容積で前記水容器内の水を計量可能な水計量部と、前記水容器に配置されたポンプ本体と、前記水収容部に配置され、前記水収容部への前記水容器の配置によって前記ポンプ本体に接続される第1駆動部とを有し、水容器本体内の水を前記水計量部に汲み上げるポンプと、前記水計量部と前記炊飯鍋内を連通させ、前記水計量部内の水を自重によって前記炊飯鍋内に供給可能な給水路とを有する、炊飯器を提供する。
【0007】
水供給機構は、最小炊飯容量の炊飯に必要な水量に対応する容積以下の容積で水を計量可能な水計量部を有し、ポンプによって水容器本体内の水が水計量部に汲み上げられる。このように、炊飯鍋に供給する水の計量は、長期的な使用によって誤差が生じ得る重量センサではなく、誤差が生じ得ない構造体の容積によるため、計量に関する安定性を向上できる。また、筐体から水容器を取り外せるため、水計量部を含む水容器を容易に清掃でき、清潔に保つことができる。
【0008】
前記制御部は、前記水計量部に供給した水がオーバーフローして前記水容器本体に戻る時間以上、前記ポンプを作動させる。
【0009】
この構成によれば、水位センサ等を用いることなく、定量の水を正確に計測できるため、炊飯鍋に水を自動供給可能な炊飯器のコストを低減できる。
【0010】
前記水計量部は、第1升部と、前記第1升部よりも容積が小さい第2升部とを含み、前記水供給機構は、前記第1升部と前記第2升部の底にそれぞれ配置された開閉可能な一対の止水弁と、前記一対の止水弁を個別に開弁させる一対の第2駆動部とを有し、前記制御部は、前記炊飯量に対応する水量に基づいて、前記第1升部から前記炊飯鍋への第1給水回数と、前記第2升部から前記炊飯鍋への第2給水回数とを設定し、前記一対の第2駆動部を個別に制御して前記炊飯鍋内に水を供給する。
【0011】
この構成によれば、1種の升部によって炊飯鍋に水を供給する場合と比較して、給水に関する分解能を高めつつ、給水時間の短縮を図ることができる。また、止水弁が水容器本体の底よりも上側に配置されるため、水容器を水収容部に着脱するときに、止水弁が他部材に干渉することに伴う水の漏出を抑制できる。
【0012】
前記制御部は、前記第1給水回数と前記第2給水回数が異なるとき、給水回数が揃うまで多い方から先に供給し、最終給水段階では前記第1升部と前記第2升部の両方の水を同時に供給するとともに、前記ポンプによる前記第1升部と前記第2升部への給水は行わない。
【0013】
この構成によれば、炊飯鍋への給水が完了した状態では、水計量部内は空の状態になる。よって、補給のために水収容部から水容器を取り外す際、水容器からの水の露出を防止できる。
【0014】
前記ポンプは、前記水容器本体内の水を前記第1升部に供給し、前記第1升部からオーバーフローした水は前記第2升部に供給される。
【0015】
この構成によれば、ポンプの配管を含む第1升部と第2升部のレイアウト性を向上できる。
【0016】
前記最小炊飯容量の炊飯を行うときの計量分解能において、前記第1升部の容積の最小単位は偶数及び奇数のうち一方に設定され、前記第2升部の容積の最小単位は偶数及び奇数のうち他方に設定されている。
【0017】
この構成によれば、指定された炊飯量の炊飯に必要な量の水を炊飯鍋に確実に供給できる。
【0018】
前記水供給機構は、前記水計量部の底に配置された開閉可能な止水弁と、前記止水弁を開弁させる第2駆動部とを有し、前記ポンプによる前記水計量部への単位時間当たりの給水量は、前記止水弁の開弁によって前記水計量部から前記炊飯鍋に供給する単位時間当たりの給水量よりも多く、前記制御部は、前記ポンプによって前記水計量部に給水を行い、前記水計量部が満水状態になると、前記第2駆動部によって前記止水弁を開弁する一方、前記ポンプによる前記水計量部への給水を継続し、その給水時間によって前記炊飯量の炊飯に必要な量の水を前記炊飯鍋に供給する。
【0019】
この構成によれば、水計量部では、常に水がオーバーフローした状態で、炊飯鍋に給水することになる。これにより、水計量部での水頭圧は一定に保たれるため、止水弁を開弁した給水時間の調整によって、炊飯鍋への給水量を確実に調整できる。
【0020】
前記制御部による前記水供給機構の前記給水時間は、前記炊飯量の炊飯に必要な水量から前記水計量部の容積に対応する水量を減算した給水量と、前記止水弁の開弁によって前記水計量部から前記炊飯鍋に供給される単位時間当たりの給水量とに基づいて設定され、前記制御部は、最終給水段階では前記ポンプによる前記水計量部への給水を停止し、前記水計量部内の全ての水を供給する。
【0021】
この構成によれば、炊飯鍋への給水が完了した状態では、水計量部内は空の状態になる。よって、補給のために水収容部から水容器を取り外す際、水容器からの水の露出を防止できる。
【0022】
前記筐体は、正面側から見て前記水収容部の一側に隣接するように、前記炊飯部の上側に設けられた米収容部を有し、前記最大炊飯容量以上の飯米を収納可能で、前記米収容部に着脱可能に配置される米容器と、前記米容器の底に配置されて前記米容器内の飯米が自重で供給され、前記最小炊飯容量に対応する容積以下の容積で飯米を計量する米計量部を有し、前記米計量部内の飯米を前記炊飯鍋内に供給するための米供給機構とを更に備え、前記制御部は、前記炊飯情報に基づいて前記米供給機構と前記水供給機構を制御し、前記炊飯量に対応する量の飯米と水を前記炊飯鍋に供給して炊飯を行う。
【0023】
この構成によれば、炊飯鍋内への飯米と水の供給を自動で行い、米飯を炊き上げることができるため、ユーザの利便性を向上できる。また、炊飯部の上側に米収容部と水収容部が設けられているため、飯米と水を自動供給不可能な周知の炊飯器と比較して、筐体の全高は高くなるが、設置面積が増大することはない。よって、例えば食器棚が備える限られた専用スペースに炊飯器を設置できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、炊飯鍋内に水を自動供給可能な炊飯器における計量の安定性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係る炊飯器の斜視図。
図2】扉を開けて側面パネルを外した炊飯器の斜視図。
図3図1の炊飯器の概略図。
図4図1の炊飯器のブロック図。
図5】外装パネルを外した炊飯器の前方斜視図。
図6】外装パネルを外した炊飯器の後方斜視図。
図7】炊飯部に対して米収容部と水収容部を分解した炊飯器の斜視図。
図8図1のVIII-VIII線断面図。
図9図1のIX-IX線断面図。
図10図1のX-X線断面図。
図11】扉を開けた炊飯器の図9と同様の断面図。
図12】炊飯鍋、蓋、及び昇降台の分解斜視図。
図13】米収容部と水収容部、米容器、及び水容器の分解斜視図。
図14】蓋を開けた米容器の断面斜視図。
図15】升部材を図14の状態から移動させた米容器の断面斜視図。
図16】蓋を開けた水容器の断面斜視図。
図17】水容器の後方斜視図。
図18】弁体を備える蓋と弁体の駆動機構の関係を示す斜視図。
図19】蓋を開けた水容器の一部の平面図。
図20図19のXX-XX線断面図。
図21図13のXXI-XXI線部分で切断した水収容部の断面図。
図22】制御部による給水処理を示すフローチャート。
図23図22の計量ステップを示すフローチャート。
図24図22の供給ステップを示すフローチャート。
図25】他の実施形態の蓋を開けた水容器の一部の平面図。
図26】他の実施形態の制御部による給水処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0027】
図1から図3を参照すると、本発明の実施形態に係る炊飯器1は、炊飯鍋30が着脱可能に配置される炊飯部23、米容器70が着脱可能に配置される米収容部24、及び水容器90が着脱可能に配置される水収容部25が形成された直方体状の筐体10を備える。また、炊飯器1は、給米路83を含む米供給機構75、給水路108を含む水供給機構94、操作パネル120、及び制御部125(図4参照)を備える。
【0028】
添付図面におけるX方向、Y方向、及びZ方向は、それぞれ炊飯器1の幅方向、前後方向、及び高さ方向である。また、Y方向のうち矢印が示す向きが後側(背面側)で、矢印とは逆向きが前側(正面側)である。
【0029】
図3及び図4を参照すると、炊飯部23は、炊飯鍋30を加熱する加熱部として、コイル32、胴ヒータ33、及び蓋ヒータ34を備える。また、炊飯部23は、炊飯鍋30の温度を検出する鍋温度センサ37と蓋温度センサ38を備える。
【0030】
米収容部24には、米容器70内の飯米を炊飯鍋30に供給するための米供給機構75が設けられている。この米供給機構75は、米計量部77を有する升部材76、升部材76を図14に示す計量位置と図15に示す給米位置に移動させる給米モータ80、及び給米路83を備える。図14に示す計量位置では、飯米が米容器70内から米計量部77に供給されて計量される一方、給米路83を通した米計量部77内から炊飯鍋30内への飯米の供給は不可能である。図15に示す給米位置では、給米路83を通して米計量部77内の定量の飯米を炊飯鍋30内に供給可能であり、米容器70内から米計量部77への飯米の供給は不可能である。
【0031】
水収容部25には、水容器90内の水を炊飯鍋30に供給するための水供給機構94が設けられている。この水供給機構94は、水計量部95、給水モータ101を含むポンプ98、給水ソレノイド104、及び給水路108を備える。この水供給機構94では、給水モータ101によって水容器90内の水が水計量部95に供給されて計量され、給水ソレノイド104によって給水路108を通して水計量部95内の定量の水を炊飯鍋30内に供給可能である。
【0032】
図1及び図4を参照すると、操作パネル120は、炊飯量を含む炊飯情報を受け付ける受付部の一例である。受付部は、スマートフォン等の通信端末によって、ネットワーク経由で炊飯量を含む炊飯情報を受け付けてもよい。操作パネル120は、後述する下扉18の前面に設けられている。但し、操作パネル120は、筐体10の天面等、下扉18以外の部分に設けられてもよい。操作パネル120は、1つの液晶パネル121と複数のスイッチを備える。本明細書では、炊飯スイッチ122及びとりけしスイッチ123の2つのみを図示している。液晶パネル121は、静電容量方式のタッチパネルで構成されてもよい。
【0033】
図4を参照すると、制御部125には、コイル32、胴ヒータ33、蓋ヒータ34、鍋温度センサ37、蓋温度センサ38、給米モータ80、給水モータ101、給水ソレノイド104、及び操作パネル120が接続されている。
【0034】
制御部125は、操作パネル120の操作によって入力された炊飯情報に基づいて給米モータ80、給水モータ101、及び給水ソレノイド104を制御し、米容器70内の飯米と水容器90内の水を、米計量部77と水計量部95によってそれぞれ計量し、炊飯鍋30内に供給する。飯米と水の供給が完了すると、鍋温度センサ37と蓋温度センサ38の検出結果に基づいて、コイル32、胴ヒータ33、及び蓋ヒータ34を制御し、予熱工程、中ぱっぱ工程、沸騰維持工程、及びむらし工程を含む炊飯処理を実行する。これにより、指定された炊飯量の米飯が炊き上げられる。また、炊飯処理が完了すると、制御部125は引き続いて保温処理を実行し、米飯を保温する。
【0035】
本実施形態では、このように飯米と水の自動計量と自動供給が可能な炊飯器1に関し、ユーザの使用性向上を図るとともに、定められた容積による米計量部77と水計量部95によって計量に関する安定性向上を図る。
【0036】
以下、筐体10、炊飯部23、米供給機構75を含む米収容部24、及び水供給機構94を含む水収容部25の構成について説明する。
【0037】
(筐体の構成)
図1図2図8、及び図9を参照すると、筐体10は、樹脂製の下枠体11、下枠体11の上方に配置された樹脂製の上枠体12、及びこれらを固着する金属製のフレーム13を備える。これらの外表面は外装パネルによって覆われている。具体的には、フレーム13の両側は側面パネル14によってそれぞれ覆われ、フレーム13の後側が背面パネル15によって覆われている。下枠体11の下側は底面パネル16によって覆われ、上枠体12の上側は天面パネル17によって覆われている。
【0038】
下枠体11の前端は下扉18によって閉鎖され、上枠体12の前端は上扉19によって閉鎖されている。図2及び図11を参照すると、下扉18は、幅方向に延びる回転軸まわりの回動が許容されるように下枠体11の前端下部に取り付けられ、側壁11aの幅方向外側に配置されたアーム部材62によって前開きした開放位置に保持される。アーム部材62は、後に詳述するリンク機構61の一部を構成する。上扉19は、幅方向に延びる回転軸まわりの回動が許容されるように上枠体12の前端下部に取り付けられ、側壁12aの幅方向外側に配置されたアーム部材20によって前開きした開放位置に保持される。但し、下扉18と上扉19は、高さ方向に延びる回転軸まわりに回動可能な構成であってもよい。また、下扉18と上扉19を一体に設け、炊飯部23、米収容部24、及び水収容部25それぞれの前端開口を1つの扉で開閉してもよい。
【0039】
図5及び図8を参照すると、上枠体12には、底壁(仕切壁)12bから上向きに突出して、米収容部24と水収容部25を仕切るための仕切壁12cが設けられている。上枠体12上の仕切壁12cよりも右側には、上方から見て凹字状で金属製の第1仕切部材21が配置されている。上枠体12上の仕切壁12cよりも左側には、四角筒状で金属製の第2仕切部材22が配置されている。
【0040】
このように構成された筐体10のうち、下枠体11内の全領域が炊飯部23に設定されている。正面側から見て、上枠体12内の幅方向の中央領域を含む仕切壁12cよりも右側の領域が米収容部24に設定され、残りの左側の領域が水収容部25に設定されている。つまり、正面側から見て米収容部24は炊飯部23の上方右側に設けられ、正面側から見て水収容部25は米収容部24の横に隣接するように炊飯部23の上方左側に設けられている。但し、米収容部24と水収容部25は、炊飯部23の上側であれば、左右逆に配置されてもよい。
【0041】
図2及び図11を参照すると、炊飯部23の前端開口は、下扉18の前開きによって開放され、米収容部24と水収容部25それぞれの前端開口は、上扉19の前開きによって開放される。これにより、筐体10の前側から炊飯鍋30、米容器70、及び水容器90を水平方向に出し入れできる。この際、下扉18の金属製の内板18aを炊飯鍋30の載置台として使用でき、上扉19の金属製の内板19aを米容器70と水容器90の載置台として使用できる。よって、筐体10に対して炊飯鍋30、米容器70、及び水容器90を容易に出し入れできるため、ユーザの使用性を向上できる。
【0042】
(炊飯部の構成)
図2及び図3を参照すると、炊飯部23は筐体10の下部に設けられ、炊飯鍋30が着脱可能に配置される。図3図4図8、及び図9を参照すると、炊飯部23は、コイル32、胴ヒータ33、蓋ヒータ34、鍋温度センサ37、及び蓋温度センサ38を備える。また、図7及び図12を参照すると、炊飯部23は、炊飯鍋30の上端開口を閉塞する蓋40と、蓋40が着脱可能に配置される昇降台48とを備える。
【0043】
図2及び図12を参照すると、炊飯鍋30は、磁性材料からなり、プレス加工又は鋳造によって有底筒状に成形されている。炊飯鍋30の上端には、径方向外側に突出したフランジ部30aが設けられ、フランジ部30aの下側には、耐熱性樹脂によって成形された断熱カバー31が取り付けられている。
【0044】
図5図8、及び図9を参照すると、コイル32は、下枠体11の下部に配置された樹脂製の保護枠35の下側に配置され、高周波電流の通電によって渦電流を発生させ、炊飯鍋30を誘導加熱する。胴ヒータ33は、保護枠35の上側に配置された金属製の内胴36の外側と、下扉18の内板18aの外側とにそれぞれ配置され、炊飯鍋30の外周部を加熱する。蓋ヒータ34は、昇降台48が備える金属製の放熱板51の上側に配置され、蓋40を介して炊飯鍋30内を加熱する。
【0045】
図3図8、及び図9を参照すると、鍋温度センサ37は、保護枠35に配置され、保護枠35を貫通した検出部によって炊飯鍋30の温度を検出し、その検出結果を制御部125に出力する。蓋温度センサ38は、昇降台48が備える放熱板51上に配置され、蓋40を介して炊飯鍋30内の温度を検出し、その検出結果を制御部125に出力する。
【0046】
図9図11、及び図12を参照すると、蓋40は、昇降台48の下側に配置され、炊飯鍋30の上端開口を開放可能に閉塞する。図12に最も明瞭に示すように、蓋40は、上方から見て四角形状で金属製の蓋本体41を備える。蓋本体41は、炊飯鍋30の開口よりも一回り小さい形状の窪み41aを有する。窪み41aの外周には、炊飯鍋30の内周面に圧接される環状のシール部材42が配置されている。
【0047】
蓋40の窪み41aの前側には、排気ユニット43が設けられている。この排気ユニット43は、図1に示す排気口44に連なる排気部43aを備える。排気ユニット43の内部には、飯米と水の自動供給機能を備えていない周知の圧力炊飯器と同様に、一対の調圧弁45が配置されている。個々の調圧弁45は、昇降台48に配置された調圧ソレノイド53によって、炊飯鍋30内を大気圧よりも高い設定圧力に昇圧可能な加圧状態と昇圧不可能な非加圧状態とに切り換えられる。また、排気ユニット43の内部には、炊飯鍋30内が設定圧力を超える異常圧力に上昇すると、炊飯鍋30内の圧力によって開弁する安全弁46が配置されている。
【0048】
蓋40の窪み41aのうち炊飯鍋30の軸線に対応する中央には1つの貫通孔が設けられ、この貫通孔に弁体47が取り付けられている。弁体47は、下側に向かうに従って拡開した円錐形状の弁本体47aと、弁本体47aから上向きに突出した弁軸47bとを備える。弁軸47bは弁座47cに移動可能に支持されており、この弁座47cが備える開口部47dが、図3に示す給米路83と給水路108に連通する1つの供給口を構成する。昇降台48に配置された供給ソレノイド54によって、図8から図10に示す開弁状態と図11に示す閉弁状態に切り換えられる。供給ソレノイド54によって弁軸47bが下向きに押圧されると、弁体47は、下降して開弁状態になり、炊飯鍋30内への飯米と水の供給を許容する。供給ソレノイド54による弁軸47bの押圧が解除されると、弁体47は、図示しないスプリングの付勢力によって上昇して閉弁状態になり、炊飯鍋30内から給米路83と給水路108への蒸気の逆流を抑制する。
【0049】
図7及び図12を参照すると、昇降台48は、蓋40を取り付けるための取付部48aを備える。この昇降台48は、下枠体11の上部に配置され、下枠体11に配置されたリンク機構61によって昇降可能である。図9及び図10に示す昇降台48の下降状態では、取り付けられた蓋40によって炊飯鍋30の開口を閉塞する。図11に示す昇降台48の上昇状態では、炊飯鍋30の開口を開放し、炊飯部23に対する炊飯鍋30の出し入れを許容する。
【0050】
詳しくは、昇降台48は、下枠体11の一対の側壁11aの後側上部、つまり炊飯部23の下扉18とは反対側に架設されたヒンジ軸49に回動可能に取り付けられている。昇降台48のヒンジ軸49よりも前側には、幅方向外側に突出する一対の係着軸50が設けられている。この係着軸50は、下枠体11の側壁11aを貫通し、リンク機構61により上下に移動されることによって、昇降台48がヒンジ軸49まわりに回動して上下に揺動する。
【0051】
図8及び図9を参照すると、昇降台48の下部には放熱板51が配置され、この放熱板51上に蓋ヒータ34と蓋温度センサ38が配置されている。図7及び図12を参照すると、昇降台48の上面には補強板52が配置され、この補強板52上に一対の調圧ソレノイド53と1つの供給ソレノイド54が配置されている。調圧ソレノイド53のロッドには、蓋40が備える調圧弁45を加圧状態と非加圧状態に切り換えるための操作部材(図示せず)が取り付けられている。供給ソレノイド54のロッドには、蓋40が備える弁体47を開弁状態と閉弁状態に切り換えるための操作部材55が取り付けられている。
【0052】
図9及び図12を参照すると、昇降台48の中央には、図3に示す給米路83及び給水路108それぞれの一部を構成する共通の投入部材(投入部)56が配置されている。この投入部材56は外周壁56a、底壁56b、及び連通部56cを備える。図8及び図9を参照すると、連通部56cは蓋40が備える弁体47の直上に位置する部分に設けられている。この連通部56c内に突出した弁体47の弁軸47bを、供給ソレノイド54が操作部材55を介して操作する。
【0053】
図7及び図12を参照すると、昇降台48の前側両側部には、蓋40が備える排気ユニット43に連通するダクト部材57がそれぞれ配置されている。下枠体11の仕切壁11b上にはファン58が配置されている。一対のダクト部材57とファン58は、チューブ59によってそれぞれ接続されている。炊飯時、ファン58によりチューブ59とダクト部材57を通して排気ユニット43内に送風することによって、炊飯鍋30内から排気ユニット43内に流入した蒸気を、排気部43aを通して図1に示す排気口44から外部に排出できる。
【0054】
図2及び図5を参照すると、昇降台48を昇降させるリンク機構61は、下枠体11の側壁11aの幅方向外側に配置されており、アーム部材62、スライド部材65、及びフック部材66を備える。このリンク機構61は、下扉18の閉回動に連動して、蓋40と一緒に昇降台48を図9に示す下降位置に下降させるとともに、図11に示す上昇位置への昇降台48の移動を規制する。一方で、リンク機構61は、下扉18の開回動に連動して、昇降台48の移動規制を解除した後、蓋40と一緒に昇降台48を図11に示す昇降位置に上昇させる。
【0055】
アーム部材62は、下扉18に軸支された外端部62a、筐体10内に配置された内端部62b、及び外端部62aと内端部62bの間に設けられたガイド溝62cを備える。ガイド溝62cには、下枠体11から突出したガイド突起11cが挿通されている。アーム部材62は、下扉18の開放によって、図5に示す後退位置から図2に示す進出位置に進出するとともに、ガイド突起11cまわりを図2において反時計回りに回動する。これにより、内端部62bが上側に変位し、スライド部材65を押し上げる。一方で、アーム部材62は、下扉18の閉鎖によって、図2に示す進出位置から図5に示す後退位置に後退するとともに、ガイド突起11cまわりを図2において時計回りに回動する。これにより、内端部62bが下側に変位し、スライド部材65の押し上げを解除して、下側へのスライド部材65の移動を許容する。
【0056】
スライド部材65は、アーム部材62の内端部62bの上方に位置するように、下枠体11の側壁11aに上下方向に移動可能に配置されている。スライド部材65の上部には、昇降台48の係着軸50が貫通して係着されている。スライド部材65は、下扉18の開回動に連動したアーム部材62による押し上げによって、係着軸50を介して昇降台48を図11に示す上昇位置に上昇させる。一方で、スライド部材65は、下扉18の閉回動に連動したアーム部材62による押し上げ解除によって、係着軸50を介して昇降台48を図9に示す下降位置に下降させる。
【0057】
図2図7、及び図8を参照すると、フック部材66は、アーム部材62のガイド溝62cの上方に位置するように、下枠体11の側壁11aに配置されている。フック部材66は、係止片66aと操作受部66bを備え、図7及び図8に示す係止位置と図2に示す係止解除位置とに前後方向に延びる回転軸まわりを回動可能である。図7及び図8に示す係止位置では、下降位置にある昇降台48の補強板52の上面に係止片66aが係止し、図11に示す上昇位置への昇降台48の上昇を規制する。図2に示す係止解除位置では、昇降台48に対する係止片66aの係止が解除され、図11に示す上昇位置への昇降台48の上昇を許容する。
【0058】
フック部材66は、図示しないスプリングによって図7に示す係止位置に付勢されている。図7に示す係止位置から図2に示す係止解除位置へのフック部材66の回動規制と回動操作を行うために、アーム部材62にはストッパ63aと操作片64が設けられている。具体的には、アーム部材62の幅方向内側には補助部材63が取り付けられており、この補助部材63にストッパ63aが設けられ、操作片64が取り付けられている。
【0059】
ストッパ63aは、補助部材63から上向きに突出している。このストッパ63aは、アーム部材62が図5に示す後退位置にあるとき、フック部材66の操作受部66bの幅方向内側に位置し、図7に示す係止位置から図2に示す係止解除位置へのフック部材66の回動を規制する。一方で、ストッパ63aは、アーム部材62が図2に示す進出位置にあるとき、操作受部66bに対して前側に間隔をあけて位置し、図7に示す係止位置と図2に示す係止解除位置との間のフック部材66の回動を許容する。
【0060】
操作片64は、ストッパ63aよりも後側に取り付けられ、補助部材63から上向きに突出している。この操作片64は、アーム部材62が図5に示す後退位置にあるとき、フック部材66の操作受部66bに対して後側に間隔をあけて位置し、フック部材66を回動操作できない。一方で、操作片64は、アーム部材62が図2に示す進出位置に移動したとき、操作受部66bを幅方向内側に押圧し、フック部材66を図2に示す係止解除位置に回動させる。この操作片64によるフック部材66の係止解除の完了後、前述したアーム部材62の内端部62bによるスライド部材65の上昇が開始される。
【0061】
このように構成された炊飯部23では、下扉18の閉回動に連動した昇降台48の下降により蓋40によって炊飯鍋30の開口が閉塞される一方、下扉18の開回動に連動した昇降台48の上昇により蓋40によって炊飯鍋30の開口が開放される。そのため、飯米と水の自動供給機能を備えていない周知の炊飯器と同様に、下扉18の開放状態で炊飯鍋30を出し入れできる。よって、飯米と水の自動計量と自動供給が可能な炊飯器1の使用性を向上できる。
【0062】
(米供給機構を含む米収容部の構成)
図3図8、及び図9を参照すると、米収容部24は、正面側から見て炊飯部23の上方右側に設けられ、米容器70が着脱可能に配置される。米容器70を含む米収容部24には、米容器70内の飯米を炊飯鍋30内に供給するための米供給機構75が設けられている。
【0063】
図8図14、及び図15を参照すると、米容器70は、上方から見て四角筒状のホッパからなる米容器本体71と、米容器本体71の上端開口を塞ぐ蓋72とを備える。米容器70は、1回の炊飯処理で炊飯可能な最大の炊飯量、つまり最大炊飯容量以上の飯米(本実施形態では無洗米)を収容可能な容積を有する。この米容器70の容積については後に詳述する。
【0064】
米容器本体71の底壁71aは、下側に向かうに従って収縮した逆四角錐状で、長方形状をなす中央の連通口71bが最も下側に位置している。底壁71aを構成する個々の傾斜面は、飯米が自重で連通口71bに流動可能な角度で傾斜している。底壁71aの連通口71bよりも左側、つまり炊飯器1の幅方向中央側には、樹脂製の摺切部材73が配置されている。摺切部材73は、弾性変形可能な複数の弾性片73aを備える櫛状である。
【0065】
図3図8、及び図13から図15を参照すると、米供給機構75は、飯米を定量ずつ供給するための米計量部77を有する升部材76と、升部材76を移動させる給米モータ80とを備える。また、米供給機構75は、米計量部77内の飯米を炊飯鍋30内に導く給米路83を備える。
【0066】
升部材76は、上方から見て四角形状であり、米容器本体71の底壁71aの下側に配置されている。より具体的には、升部材76は、米容器本体71の底に配置された底カバー78と支持カバー79の間に配置されている。この升部材76は、複数の歯を幅方向に並設したラック76aを備え、図8及び図14に示す計量位置と図15に示す給米位置との間を、米容器本体71に対して幅方向に移動可能である。
【0067】
升部材76は、炊飯器1の幅方向中央側である左寄りの位置に米計量部77を備える。この米計量部77は、升部材76を高さ方向に貫通した直方体状の空間からなり、米容器本体71の連通口71bの形状に対応する形状を有する。米計量部77の容積は、1回の炊飯処理で炊飯可能な最小の容量、つまり最小炊飯容量と対応する容積以下に設定されている。米計量部77の高さ方向の寸法、つまり升部材76の高さ方向の厚みは、米計量部77の開口面積と米計量部77に必要な容積に基づいて定められている。この米計量部77の容積については後に詳述する。
【0068】
底カバー78は、樹脂製で平坦な板体からなり、米容器本体71の連通口71bの下端に配置され、水平方向(XY平面)に沿って延びている。底カバー78には、連通口71bに連通する連通孔が設けられている。
【0069】
支持カバー79は、長い樋状であり、底カバー78の下面に固着され、升部材76を幅方向に移動可能に支持する。支持カバー79には、升部材76のラック76aを露出させる打抜部が形成されている。また、支持カバー79には、図7及び図8に示す投入部材56の上方に位置するように給米孔79aが設けられている。この給米孔79aは、給米路83の入口であり、米容器本体71の連通口71bに対して幅方向に間隔をあけて位置し、米計量部77の形状に対応する形状で設けられている。
【0070】
図6及び図9を参照すると、給米モータ80は、正転及び逆転が可能なステッピングモータからなり、米収容部24の後側部分に配置されている。給米モータ80の出力軸には駆動歯車81が取り付けられ、米収容部24には駆動歯車81に噛み合う従動歯車(ピニオン)82が取り付けられている。図13を参照すると、従動歯車82の一部は上枠体12内に突出し、米収容部24への米容器70の配置によって升部材76のラック76aが噛み合う。この給米モータ80及びラック76aと従動歯車82は、升部材76を図14に示す計量位置と図15に示す給米位置とに移動させる駆動部の一例である。但し、駆動部は、升部材76を移動可能な構成であれば、必要に応じて変更可能である。また、升部材76は、幅方向の直動に限られず、高さ方向に延びる回転軸まわりを回転する構成であってもよい。
【0071】
図14に示す計量位置では、米計量部77は、連通口71bと対向して米容器本体71内に連通する一方、給米孔79aから離反して給米路83との連通が遮断される。また、米計量部77の下端は支持カバー79によって閉塞される。これにより、米容器70内の飯米が自重で米計量部77内に供給される一方、米計量部77内の飯米は給米路83には供給できない。また、この状態で米収容部24から米容器70が取り外されても、米容器70内及び米計量部77内の飯米がこぼれ落ちることはない。
【0072】
図15に示す給米位置では、米計量部77は、給米孔79aと対向して給米路83に連通する一方、連通口71bから離反して米容器本体71との連通が遮断される。また、米容器70の下端である連通口71bは升部材76の上面で閉塞される。これにより、米計量部77内の飯米が自重で給米路83に供給される一方、米容器本体71内の飯米は米計量部77には供給されない。また、この状態で米収容部24から米容器70が取り外されても、米容器70内の飯米がこぼれ落ちることはない。
【0073】
升部材76が図14に示す計量位置から図15に示す給米位置に向けて移動するとき、米計量部77の上端よりも上側に位置する飯米は、摺切部材73によって摺り切られる。よって、米計量部77の容積を超える量の飯米が給米路83に供給されることはない。
【0074】
図3に示す給米路83は、図13に示す連通孔12d、図7図12に示す投入部材56、及びダクト84によって構成されている。
【0075】
図8及び図13を参照すると、連通孔12dは、上枠体12の底壁12bのうち支持カバー79の給米孔79aの直下に位置し、かつ炊飯鍋30の軸線上に位置する部分に設けられており、給米孔79aの形状に対応する形状を有する。
【0076】
図7及び図12を参照すると、投入部材56は、昇降台48の上面に配置されており、外周壁56a、底壁56b、及び連通部56cを備える。そのうち、外周壁56aは、上方から見て四角筒状であり、炊飯鍋30の軸線、つまり蓋40の弁体47の直上に位置する部分から後向きに延びている。底壁56bは、外周壁56aの下部に設けられ、連通部56cが最も下側に位置するように前側に向かうに従って下側へ傾斜している。
【0077】
図7図9、及び図11を参照すると、ダクト84は伸縮可能な蛇腹部材からなる。このダクト84の上端は、連通孔12dを取り囲むように上枠体12の下側に接続され、ダクト84の下端は、投入部材56の外周壁56aの上端に接続されている。
【0078】
このように構成された給米路83には、弁体47が図9に示す開弁位置に移動された状態で、升部材76が図15に示す給米位置に移動されることによって、米計量部77内の飯米が自重で供給される。これにより、飯米は、自重で連通孔12d、ダクト84、及び投入部材56を通り、開放された開口部47dから炊飯鍋30内に供給される。この際、飯米は、円錐形状の弁本体47aに衝突することで、炊飯鍋30内に均一に分散して供給される。
【0079】
図3を参照すると、米収容部24には更に、米容器70の配置の有無を検出するスイッチ(米容器検出部)85が配置されている。スイッチ85は、図14に示す計量位置に移動した升部材76を検出し、信号を制御部125に出力する。
【0080】
このように構成された米供給機構75では、定められた容積分の飯米のみが米計量部77内から給米路83に供給される。この飯米の計量は、長期的な使用によって誤差が生じ得る重量センサではなく、誤差が生じ得ない構造体の容積によるため、計量の安定性を向上できる。
【0081】
(水供給機構を含む水収容部の構成)
図3図8、及び図10を参照すると、水収容部25は、正面側から見て米収容部24の横に隣接するように炊飯部23の上方左側に設けられ、水容器90が着脱可能に配置される。水容器90を含む水収容部25には、水容器90内の水を炊飯鍋30内に供給するための水供給機構94が設けられている。
【0082】
図8図10、及び図16を参照すると、水容器90は有底四角筒状であり、上端開口が蓋91によって開放可能に塞がれている。水容器90の内部は、仕切壁90aによって、水容器本体90bと水供給機構94の一部を構成する水計量部95とに仕切られている。図17を参照すると、水容器本体90bの底壁90cは、水計量部95の底壁95bよりも低い。水容器本体90bは、最大炊飯容量の炊飯に必要な水量以上の水を収納可能な容積を有する。この水容器本体90bの容積については後に詳述する。
【0083】
図3図6、及び図10を参照すると、水供給機構94は、水を定量ずつ供給するための水計量部95、水容器本体90b内の水を水計量部95に汲み上げるポンプ98、及び水計量部95内の水を供給するための給水ソレノイド104を備える。また、水供給機構94は、水計量部95内の水を炊飯鍋30内に導く給水路108を備える。
【0084】
図16を参照すると、水計量部95は、前述のように仕切壁90aを設けることによって水容器90内に設けられている。但し、水計量部95は、水容器90とは別に設けられてもよい。本実施形態の水計量部95は、仕切壁95aによって第1升部96Aと第2升部96Bに更に仕切られている。第1升部96Aの容積は第2升部96Bの容積よりも大きい。第1升部96Aと第2升部96Bによって構成された水計量部95の総容積は、最小炊飯容量の炊飯に必要な水量に対応する容積以下に設定されている。この水計量部95の容積については後に詳述する。
【0085】
図10及び図17を参照すると、図3に示すポンプ98は、水容器90に配置された羽根車99と、水収容部25に配置された給水モータ101とを備える。
【0086】
羽根車99は、水計量部95の下側に設けられたケース部99a内に配置されている。ケース部99aと羽根車99によってポンプ本体が構成されている。図16及び図17を参照すると、ケース部99a内は、連通孔99bを通して水容器本体90b内に連通している。ケース部99aの上側にはパイプ部100が設けられ、このパイプ部100の上端が第1升部96A上に配置されている。
【0087】
図6及び図10を参照すると、給水モータ101は、ステッピングモータからなり、羽根車99の背部に位置するように水収容部25内に配置されている。給水モータ101と羽根車99は、水収容部25への水容器90の配置により継手102によって接続される。継手102には、マグネットカップリング等の非接触式継手が用いられている。給水モータ101と継手102は、羽根車99を回転させる駆動部の一例である。但し、駆動部は、水収容部25への水容器90の配置により羽根車99に接続されて、羽根車99を回転可能な構成であれば、必要に応じて変更可能である。
【0088】
図10及び図16を参照すると、給水モータ101によって羽根車99が回転すると、水容器本体90b内の水がケース部99a内に吸引されて、パイプ部100を通して第1升部96Aに水が供給される。第1升部96A内が水で満たされると、オーバーフローした水が第2升部96Bに供給され、第2升部96B内が水で満たされると、オーバーフローした水が水容器本体90b内に戻される。
【0089】
図16及び図17を参照すると、水計量部95の底壁95bには給水口が設けられ、この給水口に止水弁103が配置されている。止水弁103は、給水口の上側に配置されて下向きに付勢された常閉弁である。
【0090】
図6及び図10を参照すると、給水ソレノイド104は、止水弁103の背部に位置するように水収容部25内に配置されている。この給水ソレノイド104のロッドには操作部材105が取り付けられている。給水ソレノイド104により操作部材105が上向きに移動されることによって、止水弁103が上向きに移動して開弁する。これにより、水計量部95内の水が排出される。給水ソレノイド104と操作部材105は、止水弁103を開弁させる駆動部の一例である。但し、駆動部は、止水弁103を開弁可能な構成であれば、必要に応じて変更可能である。
【0091】
図16及び図17を参照すると、本実施形態では、水計量部95を構成する第1升部96Aと第2升部96Bの両方にそれぞれ止水弁103が配置されている。図6及び図10を参照すると、給水ソレノイド104と操作部材105は、個々の止水弁103と対応するようにそれぞれ配置されている。以下の説明では、第1升部96Aの止水弁103を作動させる方を給水ソレノイド104Aと言い、第2升部96Bの止水弁103を作動させる方を給水ソレノイド104Bと言うことがある。
【0092】
図3に示す給水路108は、図10図13に示す水受部109、図7図12に示す投入部材56、及び図7図10に示すに示すチューブ110によって構成されている。
【0093】
図10及び図13を参照すると、水受部109は、止水弁103の下方に位置するように上枠体12に設けられた溝からなる。水受部109は傾斜しており、止水弁103から流出した水を受けて、下端に位置する1つの給水口(図21参照)に導く。
【0094】
図7図10、及び図12を参照すると、投入部材56は、前述のように弁体47の直上に位置するように昇降台48の上面に配置されており、外周壁56a、底壁56b、及び連通部56cを備える。また、投入部材56は、外周壁56aの後端から後向きに突出した筒状の接続部56dを備える。
【0095】
図7及び図10を参照すると、チューブ110は、水受部109と投入部材56を接続する可撓性を有する接続部材である。チューブ110の上端は水受部109の給水口に接続され、チューブ110の下端は投入部材56の接続部56dに接続されている。
【0096】
このように構成された給水路108には、弁体47が図10に示す開弁位置に移動された状態で、給水ソレノイド104により操作部材105を介して止水弁103が開弁されることによって、水計量部95内の水が自重で供給される。これにより、水は、自重で水受部109、チューブ110、及び投入部材56を通り、開放された開口部47dから炊飯鍋30内に供給される。この際、水は、円錐形状の弁本体47aに衝突することで、炊飯鍋30内に均一に分散して供給される。
【0097】
図3及び図4を参照すると、水収容部25には更に、水容器90の配置の有無と水の有無を検出するセンサ(水容器検出部)112と、水容器90内の水を加熱する水容器ヒータ113とが配置されている。センサ112は、水容器90内を透して発光素子が発した光を受光素子が受光する水位センサであり、受光素子が受けた光量に対応する信号を制御部125に出力する。水容器ヒータ113は第2仕切部材22に配置され、定められたタイミングで水容器90を加熱することによって、内部の水に雑菌が繁殖することを抑制する。
【0098】
このように構成された水供給機構94では、定められた容積分の水のみが水計量部95内から給水路108に供給される。この水の計量は、長期的な使用によって誤差が生じ得る重量センサではなく、誤差が生じ得ない構造体の容積によるため、計量の安定性を向上できる。
【0099】
(制御部の構成)
図3及び図4を参照すると、制御部125は、タイマ126とメモリ127を備える。この制御部125は、単一又は複数のマイクロコンピュータ、及びその他の電子デバイスにより構成されている。但し、タイマ126とメモリ127は、制御部125とは別の電子デバイスにより構成されてもよい。
【0100】
タイマ126は、炊飯処理の定められた工程及び保温処理の実行時間等を計測する。メモリ127には、給米処理、給水処理、炊飯処理、及び保温処理を実行するためのプログラム、及びプログラムに用いられる設定値等が記憶されている。設定値には、炊飯量に対応する米供給機構75による給米回数、及び炊飯量に対応する水供給機構94による給水回数が含まれる。また、設定値には、炊飯処理と保温処理の実行時に用いられる温度と時間が含まれる。
【0101】
制御部125は、図1に示す炊飯スイッチ122が操作されると、図12に示す供給ソレノイド54によって弁体47を開弁させる。続いて、指定された炊飯量を読み込み、給米モータ80、給水モータ101、及び給水ソレノイド104を制御して、炊飯量に対応する量の飯米と水を、それぞれ自動計量して炊飯鍋30に自動供給する給米処理と給水処理を実行する。これらの処理が完了すると、制御部125は、供給ソレノイド54によって弁体47を閉弁させた後、鍋温度センサ37と蓋温度センサ38の検出結果に基づいて、コイル32、胴ヒータ33、及び蓋ヒータ34を制御して炊飯処理を実行する。
【0102】
給米処理では、指定された炊飯量を米計量部77の容積に対応する容量で除算した給米回数を満足するまで、給米工程を繰り返し行う。この給米工程は、供給ステップと計量ステップを備える。供給ステップでは、給米モータ80を正転させて升部材76を図14に示す計量位置(初期位置)から図15に示す給米位置に移動させ、米計量部77内の飯米を炊飯鍋30内へ供給する。計量ステップでは、給米モータ80を逆転させて升部材76を図15に示す給米位置から図14に示す計量位置に移動させ、飯米を米容器本体71から米計量部77に補充して計量する。
【0103】
給水処理では、指定された炊飯量の炊飯に必要な水量に基づいて、第1升部96Aからの第1供給回数と第2升部96Bからの第2供給回数とを設定し、これらの給水回数を満足するまで給水工程を繰り返し行う。この給水工程は、計量ステップと供給ステップを備える。計量ステップでは、給水モータ101を動作させ、水容器本体90b内の水を第1升部96Aと第2升部96Bに補充して計量する。給水モータ101の動作は、第1升部96A内と第2升部96B内が水で満たされ、オーバーフローした水が水容器本体90bに環流する満水時間が経過すると停止される。供給ステップでは、給水ソレノイド104A,104Bのうちの少なくとも一方を動作させ、第1升部96A及び第2升部96Bのうち対応する方の水を炊飯鍋30内へ供給する。給水ソレノイド104A,104Bの動作は、第1升部96A内と第2升部96B内の全ての水を排出可能な排出時間が経過すると停止される。
【0104】
ここで、炊飯器1には、炊飯鍋30による最大炊飯容量と最小炊飯容量が定められている。例えば、炊飯鍋30による最大炊飯容量は3cupに設定される。これに対し、米容器70及び水容器90の水容器本体90bは、3cupの炊飯5回分の飯米と水をそれぞれ収容可能な容積を有するように形成されている。また、最小炊飯容量は1/2cupに設定される。これに対し、米計量部77は1/6cupに対応する容積を有するように形成されている。また、1/2cupの炊飯に必要な水量は130ccであり、第1升部96Aは90ccに対応する容積に設定され、第2升部96Bは20ccに対応する容積に設定される。つまり、水計量部95は110ccに対応する容積を有するように形成されている。
【0105】
以下、米計量部77が1/6cupに対応する容積で形成され、第1升部96Aが90ccに対応する容積で形成され、第2升部96Bが20ccに対応する容積で形成されている場合の給米処理と給水処理について説明する。
【0106】
給米処理では、例えば炊飯量が1/2cupの場合、制御部125は、まず供給ステップの実行によって、給米路83を通して米計量部77内の1/6cup分の飯米を炊飯鍋30内に供給する。続いて、定められた待機時間が経過すると、制御部125は、計量ステップの実行によって、米容器70内の飯米を米計量部77内に供給し、次に炊飯鍋30に供給する1/6cupの飯米を計量する。この一連の給米工程が終了し、定められた待機時間が経過すると、2回目の給米工程を行う。このようにして全3回の給米工程を行うと、給米処理が完了する。なお、炊飯量が3cupの場合、全18回の給米工程を行う。
【0107】
給水処理では、例えば炊飯量が1/2cupの場合、制御部125は、まず計量ステップの実行によって、水容器本体90b内の水を第1升部96Aと第2升部96Bに水を供給し、炊飯鍋30に供給する20ccと90ccの水を計量する。続いて、制御部125は、供給ステップの実行、具体的には給水ソレノイド104Bの動作によって、給水路108を通して第2升部96B内の20ccの水を炊飯鍋30内に供給する。この一連の給水工程が終了すると、制御部125は、2回目の給水工程を実行する。この第2給水工程の供給ステップでは、給水ソレノイド104A,104Bの両方を動作させ、給水路108を通して第1升部96A内の90ccの水と第2升部96B内の20ccの水を炊飯鍋30内に供給する。これにより給水処理が完了する。つまり、第1升部96Aから1回給水し、第2升部96Bから2回給水する。なお、炊飯量が3cupの場合、全700ccの水を供給するために、第1升部96Aから6回給水し、第2升部96Bから8回給水する。
【0108】
以上の給米処理と給水処理は、いずれを先に行ってもよい。また、給米処理の給米工程と給水処理の給水工程とを交互に行ってもよい。
【0109】
このように構成された炊飯器1では、定量の飯米と水を確実に計量でき、指定された炊飯量に対応する量の飯米と水を炊飯鍋30に確実に供給して、米飯を炊き上げることができる。よって、家事に必要な時間を低減できる。
【0110】
次に、図18を参照して、炊飯鍋30への飯米と水の供給口(開口部47d)を備える弁体47、供給ソレノイド54、及び操作部材55の構成について、より具体的に説明する。
【0111】
図18を参照すると、弁体47は、蓋40に取り付けられており、円錐状の弁本体47aと弁座47cを備える。弁本体47aは、弁座47cの開口部47d(図8参照)を塞ぐように、図示しないスプリングによって上向きに付勢されている。図18に示す供給ソレノイド54、操作部材55、及び投入部材56は、図12に示す昇降台48上に配置されており、弁本体47aから突出した弁軸47bは、投入部材56内に配置されている。
【0112】
供給ソレノイド54のロッドには可動部材54aが取り付けられている。この可動部材54aは、供給ソレノイド54の作動によって前側(図18において左側)に移動し、供給ソレノイド54の作動停止によって後側(図18に示す位置)に移動する。可動部材54aの前端側には上向きに突出した操作部54bが設けられている。
【0113】
操作部材55は、図12に示す昇降台48に配置された前後方向に延びる軸(図示せず)に軸支される軸受部55aを備える。操作部材55には、軸受部55aから可動部材54aの操作部54bに向けて突出する操作受部55bが設けられている。また、操作部材55には、軸受部55aから操作受部55bとは反対側に突出する操作部55cが設けられている。この操作部55cは、投入部材56の挿通孔56eを通して投入部材56内に突出し、弁体47の弁軸47b上に配置されている。
【0114】
供給ソレノイド54の作動による可動部材54aの前進によって、操作部54bが操作部材55の操作受部55bを上向きに移動させる。これにより、操作部材55が図18において反時計回りに回動し、操作部55cが弁体47の弁軸47bを下向きに押圧する。その結果、弁本体47aが下向きに移動し、図8及び図9に示す開弁状態になる。この状態で、制御部125は、図3に示す給米モータ80を正転及び逆転させることによって、図3に示す給米路83を介して米容器70内の飯米を炊飯鍋30に自動供給できる。また、図3に示すポンプ98と給水ソレノイド104の作動によって、図3に示す給水路108を介して水容器90内の水を炊飯鍋30に自動供給できる。
【0115】
一方で、給米ソレノイド54の作動停止による可動部材54aの後退によって、操作部54bによる操作部材55の操作受部55bの操作が解除される。これにより、弁体47がスプリングの付勢力によって上向きに移動し、図11に示す閉弁状態になる。その結果、操作部材55が図18において時計回りに回動する。この状態では、制御部125は、図3に示す給米モータ80を作動させることなく、米容器70内の飯米の自動供給は行わない。また、図3に示すポンプ98と給水ソレノイド104を作動させることなく、水容器90内の水の自動供給は行わない。
【0116】
次に、主に図19から図21を参照して、水計量部95を備える水容器90の構成について、より具体的に説明する。
【0117】
図3図8、及び図10を参照すると、水容器90は、炊飯部23の上側の水収容部25に着脱可能に配置される。水収容部25は、上枠体12が位置する筐体10の上部の左側領域に位置する直方体状の空間からなる。この水収容部25は、上枠体12の底壁12b、上枠体12の左側の側壁12b、上枠体12の仕切壁12c、側壁12bと仕切壁12cの間に配置された第2仕切部材22、天面パネル17、背面パネル15、及び上扉19によって画定されている。
【0118】
図10図13、及び図16を参照すると、水容器90は有底四角筒状であり、上端開口が蓋91によって開放可能に塞がれている。図16及び図19から図21を参照すると、水容器90の内部は、仕切壁90aによって水容器本体90bと水計量部95に仕切られている。
【0119】
水容器本体90bは、最大炊飯容量(例えば3cup)の炊飯に必要な水量(例えば700cc)以上の水(例えば3500cc)を収納可能な容積を有する。図17及び図19から図21を参照すると、水容器本体90bの底壁90cは、水計量部95の底壁95bよりも低い。水容器本体90bの底壁90cには、水計量部95と隣接するように他の部分よりも窪んだ窪溜部90dが形成されている。
【0120】
引き続いて図17及び図19から図21を参照すると、水容器90には、上部に水計量部95が設けられ、この水計量部95の下側に図3に示すポンプ98を構成する羽根車99が配置されている。また、水計量部95の底壁95bには止水弁103が配置され、この止水弁103を開弁させるための給水ソレノイド104が水収容部25内に配置されている。これらの水計量部95、羽根車99、及び給水ソレノイド104は、図3に示す水供給機構94の一部を構成する。
【0121】
図19から図21を参照すると、水計量部95は、仕切壁90aによって水容器本体90bと仕切られている。本実施形態の水計量部95は、仕切壁95aによって第1升部96Aと第2升部96Bに更に仕切られている。第1升部96Aの容積は第2升部96Bの容積よりも大きい。これらの具体的な容積については後に詳述する。
【0122】
仕切壁95aは、水容器90の全幅において左側に片寄った位置に設けられている。第1升部96Aは、仕切壁90aを介して水容器本体90bの後側に隣接している。第2升部96Bは、仕切壁95aを介して第1升部96Aの左側に隣接し、水容器本体90bに対して後側に間隔をあけて位置している。仕切壁95aには、第1升部96Aと第2升部96Bを連通させる切欠部95cが設けられている。この切欠部95cの下端が、第1升部材76に水を貯留可能な上限である。
【0123】
第2升部96Bと水容器本体90bの間には、前後方向に延びる還流溝95dが設けられている。この還流溝95dは、仕切壁95aよりも全高が低い仕切壁95eを介して第2升部96Bに隣接し、仕切壁90aを介して水容器本体90bに隣接している。仕切壁90aにおいて還流溝95dと対応する部分は、還流溝95dの底と面一になるように切り欠かれている。仕切壁95eの上端は、第2升部材76に水を貯留可能な上限であり、切欠部95cの下端と同じ高さ位置に配置されている。
【0124】
図17を参照すると、図3に示すポンプ98を構成する羽根車99は、円板状の基部99cを備え、水計量部95の下側に設けられたケース部99aに回転可能に配置されている。ケース部99aは、連通孔99bによって水容器本体90b内に連通しており、カバー99dによって密閉されている。ケース部99aの上側には、上部を水容器90内に導入したパイプ部100が設けられ、このパイプ部100の上部が第1升部96A上に配置されている。
【0125】
図6及び図21を参照すると、羽根車99を回転させる給水モータ101は、ステッピングモータからなり、羽根車99の背部に位置するように水収容部25内に配置されている。給水モータ101と羽根車99を接続する継手102は、非接触式のマグネットカップリングからなる。給水モータ101の出力軸には磁石(図示せず)が取り付けられ、羽根車99の基部99cが磁石又は磁石に吸着可能な金属によって構成されている。
【0126】
図19から図21を参照すると、給水モータ101によって羽根車99が回転されると、水容器本体90b内の水は、連通孔99bを通してケース部99a内に吸引され、パイプ部100を通して第1升部96Aに供給される。第1升部96A内が水で満たされると、オーバーフローした水が切欠部95cを通して第2升部96Bに供給される。第2升部96B内が水で満たされると、オーバーフローした水が還流溝95dを通って水容器本体90b内に戻される。
【0127】
止水弁103は、第1升部96Aと第2升部96Bの底壁95bにそれぞれ設けられた給水口にそれぞれ配置されている。図6及び図21を参照すると、水収容部25を構成する上枠体12の後壁12eには、一対の止水弁103に対応するように給水ソレノイド104A,104Bが配置されている。給水ソレノイド104A,104Bのロッドには、操作部材105がそれぞれ取り付けられている。操作部材105は、前後方向に延びてロッドに固着されるベース部105aと、ベース部105aから上向きに突出した操作部105bとを備える。
【0128】
図13及び図21を参照すると、水容器90の止水弁103の下側に位置するように、水収容部25には膨出部12fが設けられ、この膨出部12fに図3に示す給水路108を構成する水受部109が設けられている。膨出部12fは、上枠体12の底壁12bの後端から上側かつ前側に膨出している。水受部109は、膨出部12fの上面に設けられて、幅方向に延びて上下方向に傾斜した凹溝からなる。この水受部109の下端には給水口109aが設けられ、この給水口109aの口壁に、図7及び図10に示すチューブ110が接続される筒状の接続部109bが下向きに突設されている。
【0129】
膨出部12fの外部側には、給水モータ101と一対の操作部材105とが配置されている。膨出部12fには、一対の操作部材105に対応するようにそれぞれ設けられた貫通孔に、シール部材106がそれぞれ取り付けられている。操作部材105は、給水ソレノイド104A,104Bの作動による上向きの移動によって、シール部材106を介して止水弁103を上向きに移動させて開弁させる。
【0130】
次に、第1升部96Aと第2升部96Bそれぞれの容積の設定について説明する。
【0131】
第1升部96Aと第2升部96Bのうち、第2升部96Bの容積は、最小炊飯容量の炊飯に必要な水量に対応する容積以下に設定されている。より好ましくは、第1升部96Aの容積と第2升部96Bの容積を合わせた水計量部95の総容積が、最小炊飯容量の炊飯に必要な水量に対応する容積以下に設定されている。具体的には以下の通りである。
【0132】
炊飯鍋30による最小炊飯容量が1/2cupの場合、炊飯に必要な水量は130ccである。これに対して、第1升部96Aは、50cc以上140cc以下の範囲の定められた水量に対応する容積に設定され、第2升部96Bは、10cc以上40cc以下の範囲の定められた水量に対応する容積に設定される。より好ましくは、第1升部96Aは、50cc以上120cc以下の範囲の定められた水量に対応する容積に設定される。これは、後に詳述するように、制御部125による給水処理の最終給水段階で、第1升部96Aと第2升部96Bから同時に給水を行い(後に詳述する図24のステップS4-3)、給水処理の完了後には第1升部96Aと第2升部96Bのいずれにも水が残存しないようにするためである。
【0133】
また、第1升部96Aの容積と第2升部96Bの容積は、最小炊飯容量の炊飯を行うときの計量分解能において、最小単位(十の位)が偶数と奇数で異なるように設定されている。つまり、第1升部96Aの容積の最小単位は偶数及び奇数のうちの一方に設定され、第2升部96Bの容積の最小単位は偶数及び奇数のうちの他方に設定されている。これにより、10cc単位の分解能で水を計量できるようにしている。より具体的には以下の通りである。
【0134】
本実施形態では、第1升部96Aは90ccに対応する容積に設定され、第2升部96Bは20ccに対応する容積に設定され、水計量部95全体の総容積が110ccに設定されている。これにより、第1升部96Aからの第1給水回数n1を1回、第2升部96Bからの第2給水回数n2を2回に設定することによって、最小炊飯容量の炊飯に必要な130ccの水を炊飯鍋30に供給できる。但し、第1升部96Aと第2升部96Bの容積は、以下のようにしてもよい。
【0135】
第1升部96Aを50ccに対応する容積に設定し、第2升部96Bを40ccに対応する容積に設定し、水計量部95全体の総容積を90ccに設定してもよい。この場合、第1升部96Aからの第1給水回数n1を1回、第2升部96Bからの第2給水回数n2を2回に設定することによって、最小炊飯容量の炊飯に必要な130ccの水を炊飯鍋30に供給できる。
【0136】
また、第1升部96Aを120ccに対応する容積に設定し、第2升部96Bを10ccに対応する容積に設定し、水計量部95全体の総容積を130ccに設定してもよい。この場合、第1升部96Aからの第1給水回数n1を1回、第2升部96Bからの第2給水回数n2を1回に設定することによって、最小炊飯容量の炊飯に必要な130ccの水を炊飯鍋30に供給できる。
【0137】
但し、給水処理の最終給水段階の完了後、第1升部96Aに水が残存することを許容する場合、第1升部96Aを140ccに対応する容積に設定し、第2升部96Bを10ccに対応する容積に設定し、水計量部95全体の総容積を150ccに設定してもよい。この場合、第1升部96Aからの第1給水回数n1を0回、第2升部96Bからの第2給水回数n2を13回に設定することによって、最小炊飯容量の炊飯に必要な130ccの水を炊飯鍋30に供給できる。
【0138】
また、給水処理の最終給水段階の完了後、第2升部96Bに水が残存することを許容する場合、第1升部96Aを130ccに対応する容積に設定し、第2升部96Bを20ccに対応する容積に設定し、水計量部95全体の総容積を150ccに設定してもよい。この場合、第1升部96Aからの第1給水回数n1を1回、第2升部96Bからの第2給水回数n2を0回に設定することによって、最小炊飯容量の炊飯に必要な130ccの水を炊飯鍋30に供給できる。
【0139】
以上のように構成された第1升部96Aと第2升部96Bを備える水容器90から、指定された炊飯量の炊飯に必要な水を炊飯鍋30に供給する場合、制御部125は、炊飯量に基づいて第1升部96Aからの第1給水回数n1と第2升部96Bからの第2給水回数n2を設定する。これらの給水回数n1,n2は、本実施形態ではいずれも1回以上となるように構成されている。言い換えれば、給水回数n1,n2がいずれも1回以上となるように、第1升部96Aと第2升部96Bそれぞれの容積が設定されている。そして、制御部125は、両方の給水回数n1,n2が揃うまで多い方から先に供給し、最終給水段階では第1升部96Aと第2升部96Bの両方の水を同時に供給するように構成されている。
【0140】
以下、制御部125による給水処理について具体的に説明する。
【0141】
給水処理は、図1に示す炊飯スイッチ122が操作され、制御部125が図12に示す供給ソレノイド54によって弁体47を開弁させた後に実行される。
【0142】
図22を参照すると、給水処理では、制御部125は、ステップS1で、指定された炊飯量を読み込んだ後、ステップS2で、第1升部96Aからの第1給水回数n1と第2升部96Bからの第2給水回数n2を設定する。続いて、ステップS3で、計量ステップを実行した後、ステップS4で、供給ステップを実行する。その後、ステップS5で、給水回数n1,n2がいずれも0(零)になったか、つまり設定した給水回数n1,n2の全てを行ったか否かを判断し、未だ残っている場合にはステップS3に戻り、全て行った場合には給水処理を終了する。
【0143】
図23を参照すると、ステップS3の計量ステップでは、制御部125は、ステップS3-1で、給水モータ101をオン状態にし、ステップS3-2で、満水時間taが経過するまで待機する。満水時間taが経過すると、つまり、水を第1升部96Aに供給し、第1升部96Aからオーバーフローした水を第2升部96Bに供給し、第2升部96Bからオーバーフローした水を水容器本体90bに還流するまでの時間が経過すると、ステップS3-3に進み、給水ポンプ98をオフ状態にしてリターンする。
【0144】
図24を参照すると、ステップS4の供給ステップでは、制御部125は、ステップS4-1で、第1給水回数n1と第2給水回数n2が同数(n1=n2)であるか否かを判断する。そして、第1給水回数n1と第2給水回数n2が同数でない場合にはステップS4-2に進み、同数の場合にはステップS4-3に進む。ステップS4-2では、第1給水回数n1が第2給水回数n2よりも多い(n1>n2)か否かを判断する。そして、第1給水回数n1が第2給水回数n2よりも多い場合にはステップS4-5に進み、第1給水回数n1が第2給水回数n2よりも少ない場合にはステップS4-7に進む。
【0145】
ステップS4-3では、一対の給水ソレノイド104A,104Bをオン状態にして、第1升部96Aと第2升部96Bの止水弁103をそれぞれ開弁させた後、ステップS4-4で、給水回数n1,n2からそれぞれ1を減算し、ステップS4-9に進む。ステップS4-5では、第1の給水ソレノイド104Aをオン状態にして、第1升部96Aの止水弁103を開弁させた後、ステップS4-6で、第1給水回数n1から1を減算し、ステップS4-9に進む。ステップS4-7では、第2の給水ソレノイド104Bをオン状態にして、第2升部96Bの止水弁103を開弁させた後、ステップS4-8で、第2給水回数n2から1を減算し、ステップS4-9に進む。
【0146】
ステップS4-9では、第1升部96A内と第2升部96B内の全ての水を排出可能な排出時間tbが経過するまで待機し、排出時間tbが経過すると、ステップS4-10で、一対の給水ソレノイド104A,104Bをオフ状態にしてリターンする。
【0147】
以上のように、制御部125は、指定された炊飯量に応じて給水回数n1,n2を設定し、給水回数n1,n2が異なるときには、給水回数n1,n2が揃うまで多い方から先に供給し、最終給水段階では第1升部96Aと第2升部96Bの両方の水を同時に供給するように、一対の給水ソレノイド104A,104Bを個別に制御する。また、最終給水段階が終了すると、給水モータ101による第1升部96Aと第2升部96Bへの給水は行わない。よって、指定された炊飯量の炊飯に必要な量の水を炊飯鍋30に確実に供給でき、供給後には升部96A,96Bを空の状態にすることができる。
【0148】
このように構成された炊飯器1は、以下の特徴を有する。
【0149】
水供給機構94は、最小炊飯容量の炊飯に必要な水量に対応する容積以下の容積で水を計量可能な水計量部95を有し、ポンプ98によって水容器本体90b内の水が水計量部95に汲み上げられる。このように、炊飯鍋30に供給する水の計量は、長期的な使用によって誤差が生じ得る重量センサではなく、誤差が生じ得ない構造体の容積によるため、計量に関する安定性を向上できる。また、筐体10から水容器90を取り外せるため、水計量部95を含む水容器90を容易に清掃でき、清潔に保つことができる。
【0150】
制御部125は、水計量部95に供給した水がオーバーフローして水容器本体90bに戻る時間以上、ポンプ98を作動させる。よって、水位センサ等を用いることなく、定量の水を正確に計測できるため、炊飯鍋30に水を自動供給可能な炊飯器1のコストを低減できる。
【0151】
制御部125は、炊飯量に対応する水量に基づいて、第1升部96Aから炊飯鍋30への第1給水回数n1と、第2升部96Bから炊飯鍋30への第2給水回数n2とを設定し、一対の給水ソレノイド104A,104Bを個別に制御して炊飯鍋30内に水を供給する。これにより、1種の升部によって炊飯鍋30に水を供給する場合と比較して、給水に関する分解能を高めつつ、給水時間の短縮を図ることができる。また、止水弁103が水容器本体90bの底壁90cよりも上側に配置されるため、水容器90を水収容部25に着脱するときに、止水弁103が他部材に干渉することに伴う水の漏出を抑制できる。
【0152】
第1升部96Aからの第1給水回数n1と第2升部96Bからの第2給水回数n2が異なるとき、給水回数n1,n2が揃うまで多い方から先に供給し、最終給水段階では第1升部96Aと第2升部96Bの両方の水を同時に供給する。これにより、炊飯鍋30への給水が完了した状態では、水計量部95内は空の状態になる。よって、補給のために水収容部25から水容器90を取り外す際、水容器90からの水の露出を防止できる。
【0153】
ポンプ98は水容器本体90b内の水を第1升部96Aに供給し、第1升部96Aからオーバーフローした水を第2升部96Bに供給する。これにより、ポンプ98のパイプ部(配管)100を含む第1升部96Aと第2升部96Bのレイアウト性を向上できる。
【0154】
最小炊飯容量の炊飯を行うときの計量分解能において、第1升部96Aの容積の最小単位は偶数及び奇数のうち一方に設定され、第2升部96Bの容積の最小単位は偶数及び奇数のうち他方に設定されている。これにより、指定された炊飯量の炊飯に必要な量の水を炊飯鍋30に確実に供給できる。
【0155】
炊飯部23の上側の米収容部24に配置した米容器70内の飯米を、米計量部77によって計量して炊飯鍋30内に供給する米供給機構75を備え、制御部125は、炊飯情報に基づいて米供給機構75と水供給機構94を制御し、炊飯量に対応する量の飯米と水を炊飯鍋30に供給して炊飯を行う。このように、炊飯鍋30内への飯米と水の供給を自動で行い、米飯を炊き上げることができるため、ユーザの利便性を向上できる。また、炊飯部23の上側に米収容部24と水収容部25が設けられているため、飯米と水を自動供給不可能な周知の炊飯器と比較して、筐体10の全高は高くなるが、設置面積が増大することはない。よって、例えば食器棚が備える限られた専用スペースに炊飯器1を設置できる。
【0156】
以下、本発明の他の実施形態並びに種々の変形例を説明するが、これらの説明において、特に言及しない点は前記実施形態と同様である。以下で言及する図面において、前記実施形態と同一の要素には同一の符号を付している。
【0157】
(他の実施形態)
図25を参照すると、他の実施形態の水容器90は、前記実施形態と同様に、仕切壁90aによって水容器本体90bと水計量部95に仕切られている。本実施形態では、水計量部95を1つの升によって構成し、図3に示すポンプ93によって水計量部95に給水し続けながら、止水弁103を開弁させて水計量部95内の水を炊飯鍋30内に供給し、その供給時間tcの調整によって給水量を調整する構成としている。
【0158】
具体的には、本実施形態の水計量部95は、図19に示す第1升部96Aのみによって構成されている。水計量部95が1つの升で構成されているため、止水弁103は底壁95bに1個のみ配置され、図6及び図21に示す給水ソレノイド104と操作部材105もそれぞれ1個のみ配置されている。
【0159】
水計量部95の容積は、最小炊飯容量の炊飯に必要な水量に対応する容積以下に設定されている。前記実施形態と同様に、例えば最小炊飯容量が1/2cupの場合、炊飯に必要な水量は130ccであり、水計量部95は、例えば90ccに対応する容積に設定される。ポンプ98によって水計量部95に供給された水は、水計量部95内が満たされると、還流溝95dを介して水容器本体90bに戻される。制御部125による制御を除くその他の構成は、前記実施形態と同様である。
【0160】
水計量部95からの供給時間tcの調整によって定められた量の給水を行うために、本実施形態では次のようにしている。ポンプ98による水計量部95への単位時間当たりの給水量が、止水弁103の開弁による水計量部95から炊飯鍋30への単位時間当たりの給水量よりも多くなるように、図10に示す給水モータ101の回転数とパイプ部100の内径とが設定されている。これにより、止水弁103を開弁させた状態で、ポンプ98によって水計量部95に給水を行い続けると、水計量部95から水がオーバーフローし続け、水計量部95の水頭圧が一定に保持される。その結果、水計量部95から炊飯鍋30への単位時間当たりの給水量を一定に維持できる。
【0161】
給水処理では、制御部125は、指定された炊飯量に応じて水収容部25から炊飯鍋30への給水時間tcを設定する。この給水時間tcは、指定された炊飯量(例えば1/2cup)の炊飯に必要な水量(例えば130cc)から水計量部95の容積に対応する水量(例えば90cc)を減算した給水量(例えば40cc)と、水計量部95から炊飯鍋30への単位時間当たりの給水量とに基づいて設定される。
【0162】
また、制御部125は、ポンプ98によって水計量部95に給水を行い、水計量部95が満水状態になると、給水ソレノイド104によって止水弁103を開弁する一方、ポンプ98による水計量部95への給水を継続する。そして、設定した給水時間tcが経過すると、最終給水段階でポンプ98による水計量部95への給水を停止し、水計量部95内の全ての水を供給する。
【0163】
次に、図26を参照して、制御部125による給水処理を具体的に説明する。
【0164】
給水処理は、図1に示す炊飯スイッチ122が操作され、制御部125が図12に示す供給ソレノイド54によって弁体47を開弁させた後に実行される。
【0165】
給水処理で制御部125は、ステップS10で、指定された炊飯量を読み込んだ後、ステップS11で、給水時間tcを設定する。続いて、ステップS12で、ポンプ98をオン状態とし、ステップS13で、水計量部95が水で満たされる満水時間taが経過するまで待機する。そして、満水時間taが経過すると、ステップS14で、給水ソレノイド104をオン状態として止水弁103を開弁させた後、ステップS15で、給水時間tcのカウントを開始させる。
【0166】
続いて、ステップS16で、給水時間tcが経過するまで待機し、給水時間tcが経過すると、ステップS17で、ポンプ98をオフ状態にして水計量部95への給水を停止する。続いて、ステップS18で、水計量部95内の全ての水を排出可能な排出時間tbが経過するまで待機し、排出時間tbが経過すると、ステップS19で、給水ソレノイド104をオフ状態にしてリターンする。
【0167】
以上のように、この実施形態では、ポンプ98による水計量部95への単位時間当たりの給水量は、止水弁103を通して炊飯鍋30に供給する単位時間当たりの給水量よりも多く、制御部125は、止水弁103を開弁した状態でポンプ98による水計量部95への給水を行う。そのため、水計量部95では、常に水がオーバーフローした状態で、炊飯鍋30に給水することになる。これにより、水計量部95での水頭圧は一定に保たれるため、止水弁103を開弁した給水時間tcの調整によって、炊飯鍋30への給水量を確実に調整できる。
【0168】
また、制御部125は、最終給水段階ではポンプ98による水計量部95への給水を停止し、水計量部95内の全ての水を供給する。これにより、炊飯鍋30への給水が完了した状態では、水計量部95内は空の状態になる。よって、補給のために水収容部25から水容器90を取り外す際、水容器90からの水の露出を防止できる。
【0169】
なお、本発明は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0170】
例えば、図19に示す水容器90のように、水計量部95が第1升部96Aと第2升部96Bによって構成されていても、図26のフローチャートのように、給水時間tcによって水計量部95から炊飯鍋30への給水量を調整してもよい。
【符号の説明】
【0171】
1 炊飯器
10 筐体
11 下枠体
11a 側壁
11b 仕切壁
11c ガイド突起
12 上枠体
12a 側壁
12b 底壁
12c 仕切壁
12d 連通孔
12e 後壁
12f 膨出部
13 フレーム
14 側面パネル
15 背面パネル
16 底面パネル
17 天面パネル
18 下扉
18a 内板
19 上扉
19a 内板
20 アーム部材
21 第1仕切部材
22 第2仕切部材
23 炊飯部
24 米収容部
25 水収容部
30 炊飯鍋
30a フランジ部
31 断熱カバー
32 コイル
33 胴ヒータ
34 蓋ヒータ
35 保護枠
36 内胴
37 鍋温度センサ
38 蓋温度センサ
40 蓋
41 蓋本体
41a 窪み
42 シール部材
43 排気ユニット
43a 排気部
44 排気口
45 調圧弁
46 安全弁
47 弁体
47a 弁本体
47b 弁軸
47c 弁座
47d 開口部(供給口)
48 昇降台
48a 取付部
49 ヒンジ軸
50 係着軸
51 放熱板
52 補強板
53 調圧ソレノイド
54 供給ソレノイド
54a 可動部材
54b 操作部
55 操作部材
55a 軸受部
55b 操作受部
55c 操作部
56 投入部材(投入部)
56a 外周壁
56b 底壁
56c 連通部
56d 接続部
56e 挿通孔
57 ダクト部材
58 ファン
59 チューブ
61 リンク機構
62 アーム部材
62a 外端部
62b 内端部
62c ガイド溝
63 補助部材
63a ストッパ
64 操作片
65 スライド部材
66 フック部材
66a 係止片
66b 操作受部
70 米容器
71 米容器本体
71a 底壁
71b 連通口
72 蓋
73 摺切部材
73a 弾性片
75 米供給機構
76 升部材
76a ラック
77 米計量部
78 底カバー
79 支持カバー
79a 給米孔
80 給米モータ(駆動部)
81 駆動歯車
82 従動歯車(ピニオン)
83 給米路
84 ダクト
85 スイッチ(米容器検出部)
90 水容器
90a 仕切壁
90b 水容器本体
90c 底壁
90d 窪溜部
91 蓋
94 水供給機構
95 水計量部
95a 仕切壁
95b 底壁
95c 切欠部
95d 還流溝
95e 仕切壁
96A 第1升部
96B 第2升部
98 ポンプ
99 羽根車(ポンプ本体)
99a ケース部
99b 連通孔
99c 基部
99d カバー
100 パイプ部(配管)
101 給水モータ(第1駆動部)
102 継手
103 止水弁
104,104A,104B 給水ソレノイド(第2駆動部)
105 操作部材
105a ベース部
105b 操作部
106 シール部材
108 給水路
109 水受部
109a 給水口
109b 接続部
110 チューブ
112 センサ(水容器検出部)
113 水容器ヒータ
120 操作パネル(受付部)
121 液晶パネル
122 炊飯スイッチ
123 とりけしスイッチ
125 制御部
126 タイマ
127 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26