(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117549
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20240822BHJP
A47J 27/14 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A47J27/00 103C
A47J27/14 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023693
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】倉 拓海
(72)【発明者】
【氏名】菅原 彩子
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼中 貴大
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 健太郎
【テーマコード(参考)】
4B054
4B055
【Fターム(参考)】
4B054AA01
4B054AA16
4B054AA23
4B054AB01
4B054AC02
4B054CA01
4B054CA02
4B054CA11
4B054CA12
4B054CC02
4B054CC12
4B054CC15
4B054CE01
4B054CE05
4B054CE06
4B055AA02
4B055BA35
4B055CA36
4B055CA75
4B055CB09
4B055CC58
4B055EA01
4B055EA02
4B055EA03
(57)【要約】
【課題】炊飯器の上方に大きなスペースを確保する必要性をなくしながら、炊飯器の使い勝手を維持又は向上する。
【解決手段】炊飯器1が、正面側に開口を有する炊飯部23、及び炊飯部23の開口を開放可能に閉鎖する扉18を有する筐体10と、炊飯部23に取外し可能に配置される炊飯鍋30と、炊飯部23の上部を構成する昇降台48と、昇降台48の下面側に取り付けられた蓋40と、扉18及び昇降台48に連結されるリンク機構61とを備える。扉18が閉方向に回動すると、リンク機構61が昇降台48を下降させ、炊飯鍋30の開口が蓋40で閉塞される。扉18が開方向に回動すると、リンク機構61が昇降台48を上昇させ、蓋40が炊飯鍋30の開口から上方へ離脱する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面側に開口を有する炊飯部、及び前記炊飯部の前記開口を開放可能に閉鎖する扉を有する筐体と、
前記炊飯部の前記開口を介して前記炊飯部に取外し可能に配置される炊飯鍋と、
前記炊飯部の上部を構成し、昇降可能に前記筐体に支持された昇降台と、
前記昇降台の下面側に取り付けられた蓋と、
前記扉及び前記昇降台に連結され、前記扉の動作に応じて前記昇降台を昇降させるリンク機構と、
を備え、
前記炊飯鍋が前記炊飯部に配置された鍋装着状態において、前記扉が閉方向に回動すると、前記リンク機構が前記昇降台を下降させ、前記蓋が前記炊飯鍋の前記開口を閉塞し、
前記鍋装着状態において、前記扉が開方向に回動すると、前記リンク機構が前記昇降台を上昇させ、前記蓋が前記炊飯鍋の前記開口から上方へ離脱する、
炊飯器。
【請求項2】
前記筐体が、
前記炊飯部の上方に設けられ、飯米を収容する米容器部が着脱可能に配置される米収容部と、
前記炊飯部の上方に設けられ、水を収容する水容器が着脱可能に配置される水収容部と、
の少なくともいずれか一方を有する、
請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記扉は、前記開口の下縁部で幅方向に延びる回転軸を中心にして、前記下縁部から上方に延びる閉鎖位置と、前記下縁部から前方へ延びる開放位置との間で回動する、
請求項1に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記リンク機構は、
前記扉の回動に応じて幅方向の回転軸周りに揺動するアーム部材と、
前記アーム部材の一部に支持されると共に前記昇降台と係合し、前記アーム部材の揺動に応じて上下方向に変位するスライド部材と、
を有し、
前記扉が閉方向に回動すると、前記アーム部材の前記一部が前記スライド部材と共に下動し、それにより前記昇降台及び前記蓋が下降し、
前記扉が開方向に回動すると、前記アーム部材の前記一部が前記スライド部材と共に上動し、それにより前記昇降台及び前記蓋が上昇する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記リンク機構は、前記扉が前記開口を閉鎖している状態で前記昇降台に係止して前記昇降台の上昇を阻止する係止位置と、前記昇降台の係止を解除して前記昇降台の昇降を許容する解除位置との間で変位するフック部材を更に有し、
前記アーム部材に、前記フック部材を前記係止位置で保持するストッパと、前記フック部材の前記係止位置から前記解除位置への変位を操作する操作片とが設けられている、
請求項4に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記リンク機構が、
前記扉の回動に応じて前後方向に変位するアーム部材と、
前記アーム部材に連結されると共に、前記筐体に対して前後方向に直線的に変位可能に支持されたスライド部材と、
前記スライド部材及び前記昇降台に設けられ、前記スライド部材の前後方向への直線移動を前記昇降台の上下方向の直線移動に変換する直動カム機構と、
を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項7】
前記直動カム機構は、前記スライド部材及び前記昇降台の一方に設けられるカム溝と、前記スライド部材及び前記昇降台の他方に設けられて前記ガイド溝に内嵌されるカムフォロワとで構成され、
前記カム溝が、前後方向に延びる下側水平部と、前記下側水平部の後方且つ上方で前後方向に延びる上側水平部と、前記下側水平部の後端と前記上側水平部の前端とを接続する傾斜部と、を有する、
請求項6に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記リンク機構が、前記スライド部材に固着されたフック部材を更に有し、
前記フック部材は、前記昇降台のフレームと平面視で重なる係止部を有し、前記昇降台は、前記フレームから上方に突出する突起を有し、
前記扉が前記開口を開放している状態では、前記係止部が前記突起から前方に離隔され、前記扉が前記開口を閉鎖している状態では、前記係止部が前記突起と平面視でオーバーラップすると共に前記突起が前記係止部の下方に位置する、
請求項6に記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、炊飯鍋を収容する鍋収容部を有する筐体と、筐体の後上部に設けられた回動軸を中心として回動する蓋体と、を備える炊飯器を開示する。筐体の鍋収容部は、上方に開放される。炊飯鍋は、その開口が上向きの姿勢で、鍋収容部に対し上下方向に着脱される。蓋体は、筐体の後上部から前方に延びる閉鎖位置と、蓋体の後上部から上方に延びる開放位置との間で回動する。
【0003】
閉鎖位置では、蓋体が筐体(鍋収容部)の開口を閉鎖すると共に、蓋体の内側に取り付けられた内蓋が炊飯鍋の開口に密着し、炊飯鍋が密閉される。これにより、高圧下での炊飯調理が可能となる。蓋体が開方向に回動すると、内蓋が炊飯鍋から上後方へ退避し、炊飯鍋及び鍋収容部が同時的に開放される。これにより、利用者は、炊飯鍋を鍋収容部から上向きに取り出すことが可能となり、また、炊飯鍋を鍋収容部へと下向きに収容することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
筐体の開口と炊飯鍋の開口とがどちらも上向きであるため、筐体の開口を開閉する操作に連動して炊飯鍋の開口が開閉する。この点で使い勝手がよい。しかし、炊飯器を実用するに際し、蓋体の開方向への回動を許容するスペースを筐体の上方に確保する必要がある。炊飯器そのもの又はその周辺に配置される他の物品をコンパクトに収納することを難しくさせたり、炊飯鍋の着脱時に炊飯器を収納位置から移動させる必要が生じたりする。
【0006】
本発明は、炊飯器を実用するに際して炊飯器の上方に大きなスペースを確保する必要性をなくしながらも、使い勝手を維持又は向上することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態は、正面側に開口を有する炊飯部、及び前記炊飯部の前記開口を開放可能に閉鎖する扉を有する筐体と、前記炊飯部の前記開口を介して前記炊飯部に取外し可能に配置される炊飯鍋と、前記炊飯部の上部を構成し、昇降可能に前記筐体に支持された昇降台と、前記昇降台の下面側に取り付けられた蓋と、前記扉及び前記昇降台に連結され、前記扉の動作に応じて前記昇降台を昇降させるリンク機構と、を備え、前記炊飯鍋が前記炊飯部に配置された鍋装着状態において、前記扉が閉方向に回動すると、前記リンク機構が前記昇降台を下降させ、前記蓋が前記炊飯鍋の前記開口を閉塞し、前記鍋装着状態において、前記扉が開方向に回動すると、前記リンク機構が前記昇降台を上昇させ、前記蓋が前記炊飯鍋の前記開口から上方へ離脱する、炊飯器を提供する。
【0008】
上記構成によれば、炊飯鍋が着脱可能に配置される炊飯部が、従来一般的な上側ではなく、正面側に開口を有する。開口の上方に大きなスペースを確保しなくても、扉の動作が許容され、炊飯鍋を炊飯部に対して前後方向に着脱することができる。そして、リンク機構の作用により、扉の回動と連動して昇降台が昇降する。この昇降台の下面側には、炊飯鍋の開口を開閉するための蓋が取り付けられている。炊飯部の開口の向きを炊飯鍋の開口の向きと異ならせても、炊飯鍋の開口が扉の動作と連動して自動的に開閉されるため、使い勝手を維持又は向上できる。
【0009】
なお、昇降台及びこれに取り付けられた蓋の昇降量は、蓋で炊飯鍋が密閉される状態と、蓋が炊飯鍋から離隔して炊飯鍋が開放される状態との切替えを可能にするために十分な距離であればよい。すると、従来一般的な蓋体の先端部の上下方向の移動量と比べ、昇降量を非常に小さくすることが可能となる。この点に照らしても、炊飯部自体の上部又は炊飯部よりも上方に、炊飯鍋の開閉目的で大きなスペースを確保せずに済む。
【0010】
前記筐体が、前記炊飯部の上方に設けられ、飯米を収容する米容器部が着脱可能に配置される米収容部と、前記炊飯部の上方に設けられ、水を収容する水容器が着脱可能に配置される水収容部と、の少なくともいずれか一方を有してもよい。
【0011】
上記構成によれば、炊飯部の上方に炊飯鍋の開閉目的で大きなスペースを確保しなくてよいため、米や水を貯留する容器を炊飯部の上方に配置しても、筐体の大型化が避けられる。筐体が米や水を貯留する容器を収容可能であれば、容器内の米や水を利用した自動炊飯が可能になる。「自動炊飯」とは、炊飯鍋内の米を炊き上げる炊飯調理が炊飯器によって自動的に実施されることだけでなく、この炊飯調理に先立って米及び水を計量して炊飯鍋に投入する操作も、利用者の手動ではなく、炊飯器により自動的に実施されることも含む。このような自動炊飯を実施可能な炊飯器を小型化できる。
【0012】
前記扉は、前記開口の下縁部で幅方向に延びる回転軸を中心にして、前記下縁部から上方に延びる閉鎖位置と、前記下縁部から前方へ延びる開放位置との間で回動してもよい。
【0013】
利用者は炊飯部の前方にて炊飯部と前後方向に対面している。上記構成によれば、利用者が炊飯鍋の着脱のために炊飯部の開口を開放したい場合、利用者は閉鎖状態にある扉の上部を手前に引けばよい。炊飯部の開口を開閉する目的で確保されるべきスペースが、そこには利用者がいることから、実質的には不要である。さらに、扉が開放位置にあるときには、着脱されるべき炊飯鍋の載置台として扉が利用されてもよく、使い勝手が向上する。
【0014】
前記リンク機構は、前記扉の回動に応じて幅方向の回転軸周りに揺動するアーム部材と、前記アーム部材の一部に支持されると共に前記昇降台と係合し、前記アーム部材の揺動に応じて上下方向に変位するスライド部材と、を有し、前記扉が閉方向に回動すると、前記アーム部材の前記一部が前記スライド部材と共に下動し、それにより前記昇降台が下降し、前記扉が開方向に回動すると、前記アーム部材の前記一部が前記スライド部材と共に上動し、それにより前記昇降台が上昇してもよい。
【0015】
上記構成によれば、揺動するアーム部材を利用して、扉の回動に応じて蓋を上下方向に変位させる機構を実現できる。
【0016】
前記リンク機構は、前記扉が前記開口を閉鎖している状態で前記昇降台に係止して前記昇降台の上昇を阻止する係止位置と、前記昇降台の係止を解除して前記昇降台の昇降を許容する解除位置との間で変位するフック部材を更に有し、前記アーム部材に、前記フック部材を前記係止位置で保持するストッパと、前記フック部材の前記係止位置から前記解除位置への変位を操作する操作片とが設けられていてもよい。
【0017】
上記構成によれば、フック部材が係止位置にあれば、炊飯鍋の内圧が高くなって蓋に上向きの圧力が作用しても、蓋及び昇降台の上昇を阻止できる。炊飯鍋の内圧に関わらず炊飯鍋の密閉状態を保持でき、高圧炊飯が可能となる。フック部材が解除位置にあれば、蓋の昇降が許容される。炊飯鍋を密閉状態に保持する状態と、この保持を解除して昇降台及び蓋の昇降を許容する状態とを切り替える操作も、扉の回動(すなわち、炊飯部の開口の開閉)及び炊飯鍋の開閉と連動するため、使い勝手が向上する。炊飯鍋の密閉状態の保持とその解除とを切り替えるための機構が、少ない部品点数で実現される。
【0018】
前記リンク機構が、前記扉の回動に応じて前後方向に変位するアーム部材と、前記アーム部材に連結されると共に、前記筐体に対して前後方向に直線的に変位可能に支持されたスライド部材と、前記スライド部材及び前記昇降台に設けられ、前記スライド部材の前後方向への直線移動を前記昇降台の上下方向の直線移動に変換する直動カム機構と、を有してもよい。
【0019】
上記構成によれば、直動カム機構を利用して、扉の回動に応じて蓋を上下方向に変位させる機構を実現できる。昇降台が上下方向に直線的に変位するため、昇降台が回動する場合と対比して、昇降量を更に小さくすることができる。炊飯部自体の上部又は炊飯部よりも上方で炊飯鍋の開閉目的で確保すべきスペースが更に小さくなり、炊飯器全体の低背化に資する。
【0020】
前記直動カム機構は、前記スライド部材及び前記昇降台の一方に設けられるカム溝と、前記スライド部材及び前記昇降台の他方に設けられて前記ガイド溝に内嵌されるカムフォロワとで構成され、前記カム溝が、前後方向に延びる下側水平部と、前記下側水平部の後方且つ上方で前後方向に延びる上側水平部と、前記下側水平部の後端と前記上側水平部の前端とを接続する傾斜部と、を有してもよい。
【0021】
上記構成によれば、扉が開いていれば、スライド部材は移動範囲の前端に位置付けられ、カムフォロワは上側水平部内に位置付けられる。これにより、昇降台及び蓋が昇降範囲の上端に位置付けられ、炊飯鍋が開放される。扉が閉じていれば、スライド部材は移動範囲の後端に位置付けられ、カムフォロワは下側水平部内に位置付けられる。これにより、昇降台及び蓋が昇降範囲の下端に位置付けられ、炊飯鍋が蓋で閉鎖される。扉の回動に応じてカムフォロワが傾斜部内で移動する間に、昇降台及び蓋は昇降範囲内で昇降できる。このように、扉の回動に連動して炊飯鍋を開閉する機構を実現できる。
【0022】
前記リンク機構が、前記スライド部材に固着されたフック部材を更に有し、前記フック部材は、前記昇降台のフレームと平面視で重なる係止部を有し、前記昇降台は、前記フレームから上方に突出する突起を有し、前記扉が前記開口を開放している状態では、前記係止部が前記突起から前方に離隔され、前記扉が前記開口を閉鎖している状態では、前記係止部が前記突起と平面視でオーバーラップすると共に前記突起が前記係止部の下方に位置してもよい。
【0023】
上記構成によれば、扉が閉じていれば、係止部が突起の上方に位置して突起と上下方向にオーバーラップするため、炊飯鍋の内圧が高くても蓋及び昇降台の上昇を阻止でき、高圧炊飯が可能になる。係止部はスライド部材と共に扉の回動に応じて前後方向に変位する。扉が開方向に回動されると、係止部が突起に対して前方へ離隔されていき、それにより昇降台の上昇が許容される。扉が開いているときには、昇降台及び蓋を昇降範囲の上端に位置付けることが可能となり、扉の回動に連動して炊飯鍋を開閉できる。フック部材は前後方向に直線的に変位するため、フック部材が前後方向に延びる回転軸周りに回動することで係止位置と解除位置との間で変位する場合と比べ、炊飯部の幅方向外側に確保すべきスペースを小さくすることができる。炊飯器全体の狭幅化に資する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、炊飯器を使用するに際して炊飯器の上方に大きなスペースを確保する必要性をなくすことができ、また、炊飯器の使い勝手を維持又は向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る炊飯器の斜視図。
【
図2】扉を開けて側面パネルを外した炊飯器の斜視図。
【
図7】炊飯部に対して米収容部と水収容部を分解した炊飯器の斜視図。
【
図13】米収容部と水収容部、米容器、及び水容器の分解斜視図。
【
図15】升部材を
図14の状態から移動させた米容器の断面斜視図。
【
図18】炊飯部にリンク機構を組み付け且つ炊飯部に対して下扉及び昇降台を分解した炊飯器の斜視図。
【
図19】炊飯部に昇降台を組み付け且つ炊飯部に対して下扉及びリンク機構を分解した炊飯器の斜視図。
【
図20】下扉が閉鎖位置にある状態、アーム部材が後端位置にある状態、ストッパがフック部材を係止位置に保持する状態、又は、スライド部材が下端位置にあって昇降台及び蓋が下降位置にある状態における、リンク機構の側面図。
【
図22】下扉が閉鎖位置から開方向に約10度回転した状態、又は、ストッパの操作受部に対する離脱又は接触が開始する状態における、リンク機構の側面図。
【
図24】下扉が閉鎖位置から開方向に約20度回転した状態、又は、操作片の操作受部に対する離脱が開始する状態における、リンク機構の側面図。
【
図26】下扉が閉鎖位置から開方向に約30度回転した状態、操作受部が操作片の斜面前端に接触する状態、又は、フック部材の係止位置から解除位置への変位が開始する状態における、リンク機構の斜視図。
【
図27】下扉が閉鎖位置から開方向に約45度回転した状態、操作受部が操作片の斜面後端に接触する状態、フック部材の係止位置から解除位置への変位が終了する状態における、リンク機構の斜視図。
【
図29】下扉が閉鎖位置から開方向に約55度回転した状態、操作片がフック部材を解除位置で保持する状態、アーム部材のスライド部材に対する接触を開始する状態、又は、スライド部材が下端位置からの変位を開始して昇降台が下降位置からの上昇を開始する状態における、リンク機構の側面図。
【
図30】下扉が閉鎖位置から約90度回転して開放位置に位置する状態、アーム部材が前端位置にある状態、操作片がフック部材を解除位置で保持する状態、スライド部材が上端位置への変位を終了して昇降台が上昇位置への上昇を開始する状態における、リンク機構の側面図。
【
図32】本発明の第2実施形態に係る炊飯器の下部を、下扉が開放位置に位置する状態で示す前方斜視図。
【
図34】下扉が開放位置に位置する状態、アーム部材及びスライド部材が前端位置にある状態、カムフォロワが上側水平部内に位置する状態、昇降台及び蓋が下降位置に位置する状態、又は、フック部材が解除位置に位置する状態における、リンク機構の側面図。
【
図35】下扉が開放位置から閉方向にある角度回転した状態、カムフォロワが傾斜部の上端に位置する状態、昇降台及び蓋が下降位置からの上昇を開始する状態における、リンク機構の側面図。
【
図36】
図35に示す状態における炊飯器の下部の後方斜視図。
【
図37】下扉が開放位置から閉方向に更にある角度回転した状態、カムフォロワが傾斜部の下端に位置する状態、昇降台及び蓋が上昇位置への上昇を終了する状態における、リンク機構の側面図。
【
図38】
図37に示す状態における炊飯器の下部の後方斜視図。
【
図39】下扉が開放位置から閉方向に約90度回転して閉鎖位置にある状態、アーム部材及びスライド部材が後端位置にある状態、カムフォロワが下側水平部内に位置する状態、昇降台及び蓋が上昇位置に位置する状態、又は、フック部材が係止位置に位置する状態における、リンク機構の側面図。
【
図40】
図39に示す状態における炊飯器の下部の前方斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0027】
図1から
図3を参照すると、本発明の実施形態に係る炊飯器1は、炊飯鍋30が着脱可能に配置される炊飯部23、米容器70が着脱可能に配置される米収容部24、及び水容器90が着脱可能に配置される水収容部25が形成された直方体状の筐体10を備える。また、炊飯器1は、給米路83を含む米供給機構75、給水路108を含む水供給機構94、操作パネル120、及び制御部125(
図4参照)を備える。
【0028】
添付図面におけるX方向、Y方向、及びZ方向は、それぞれ炊飯器1の幅方向、前後方向、及び高さ方向である。また、Y方向のうち矢印が示す向きが後側(背面側)で、矢印とは逆向きが前側(正面側)である。
【0029】
図3及び
図4を参照すると、炊飯部23は、炊飯鍋30を加熱する加熱部として、コイル32、胴ヒータ33、及び蓋ヒータ34を備える。また、炊飯部23は、炊飯鍋30の温度を検出する鍋温度センサ37と蓋温度センサ38を備える。
【0030】
米収容部24には、米容器70内の飯米を炊飯鍋30に供給するための米供給機構75が設けられている。この米供給機構75は、米計量部77を有する升部材76、升部材76を
図14に示す計量位置と
図15に示す給米位置に移動させる給米モータ80、及び給米路83を備える。
図14に示す計量位置では、飯米が米容器70内から米計量部77に供給されて計量される一方、給米路83を通した米計量部77内から炊飯鍋30内への飯米の供給は不可能である。
図15に示す給米位置では、給米路83を通して米計量部77内の定量の飯米を炊飯鍋30内に供給可能であり、米容器70内から米計量部77への飯米の供給は不可能である。
【0031】
水収容部25には、水容器90内の水を炊飯鍋30に供給するための水供給機構94が設けられている。この水供給機構94は、水計量部95、給水モータ101を含むポンプ98、給水ソレノイド104、及び給水路108を備える。この水供給機構94では、給水モータ101によって水容器90内の水が水計量部95に供給されて計量され、給水ソレノイド104によって給水路108を通して水計量部95内の定量の水を炊飯鍋30内に供給可能である。
【0032】
図1及び
図4を参照すると、操作パネル120は、炊飯量を含む炊飯情報を受け付ける受付部の一例である。受付部は、スマートフォン等の通信端末によって、ネットワーク経由で炊飯量を含む炊飯情報を受け付けてもよい。操作パネル120は、後述する下扉18の前面に設けられている。但し、操作パネル120は、筐体10の天面等、下扉18以外の部分に設けられてもよい。操作パネル120は、1つの液晶パネル121と複数のスイッチを備える。本明細書では、炊飯スイッチ122及びとりけしスイッチ123の2つのみを図示している。液晶パネル121は、静電容量方式のタッチパネルで構成されてもよい。
【0033】
図4を参照すると、制御部125には、コイル32、胴ヒータ33、蓋ヒータ34、鍋温度センサ37、蓋温度センサ38、給米モータ80、給水モータ101、給水ソレノイド104、及び操作パネル120が接続されている。
【0034】
制御部125は、操作パネル120の操作によって入力された炊飯情報に基づいて給米モータ80、給水モータ101、及び給水ソレノイド104を制御し、米容器70内の飯米と水容器90内の水を、米計量部77と水計量部95によってそれぞれ計量し、炊飯鍋30内に供給する。飯米と水の供給が完了すると、鍋温度センサ37と蓋温度センサ38の検出結果に基づいて、コイル32、胴ヒータ33、及び蓋ヒータ34を制御し、予熱工程、中ぱっぱ工程、沸騰維持工程、及びむらし工程を含む炊飯処理を実行する。これにより、指定された炊飯量の米飯が炊き上げられる。また、炊飯処理が完了すると、制御部125は引き続いて保温処理を実行し、米飯を保温する。
【0035】
本実施形態では、このように飯米と水の自動計量と自動供給が可能な炊飯器1に関し、ユーザの使用性向上を図るとともに、定められた容積による米計量部77と水計量部95によって計量に関する安定性向上を図る。
【0036】
以下、筐体10、炊飯部23、米供給機構75を含む米収容部24、及び水供給機構94を含む水収容部25の構成について説明する。
【0037】
(筐体の構成)
図1、
図2、
図8、及び
図9を参照すると、筐体10は、樹脂製の下枠体11、下枠体11の上方に配置された樹脂製の上枠体12、及びこれらを固着する金属製のフレーム13を備える。これらの外表面は外装パネルによって覆われている。具体的には、フレーム13の両側は側面パネル14によってそれぞれ覆われ、フレーム13の後側が背面パネル15によって覆われている。下枠体11の下側は底面パネル16によって覆われ、上枠体12の上側は天面パネル17によって覆われている。
【0038】
下枠体11の前端は下扉18によって閉鎖され、上枠体12の前端は上扉19によって閉鎖されている。
図2及び
図11を参照すると、下扉18は、幅方向に延びる回転軸まわりの回動が許容されるように下枠体11の前端下部に取り付けられ、側壁11aの幅方向外側に配置されたアーム部材62によって前開きした開放位置に保持される。アーム部材62は、後に詳述するリンク機構61の一部を構成する。上扉19は、幅方向に延びる回転軸まわりの回動が許容されるように上枠体12の前端下部に取り付けられ、側壁12aの幅方向外側に配置されたアーム部材20によって前開きした開放位置に保持される。但し、下扉18と上扉19は、高さ方向に延びる回転軸まわりに回動可能な構成であってもよい。また、下扉18と上扉19を一体に設け、炊飯部23、米収容部24、及び水収容部25それぞれの前端開口を1つの扉で開閉してもよい。
【0039】
図5及び
図8を参照すると、上枠体12には、底壁(仕切壁)12bから上向きに突出して、米収容部24と水収容部25を仕切るための仕切壁12cが設けられている。上枠体12上の仕切壁12cよりも右側には、上方から見て凹字状で金属製の第1仕切部材21が配置されている。上枠体12上の仕切壁12cよりも左側には、四角筒状で金属製の第2仕切部材22が配置されている。
【0040】
このように構成された筐体10のうち、下枠体11内の全領域が炊飯部23に設定されている。正面側から見て、上枠体12内の幅方向の中央領域を含む仕切壁12cよりも右側の領域が米収容部24に設定され、残りの左側の領域が水収容部25に設定されている。つまり、正面側から見て米収容部24は炊飯部23の上方右側に設けられ、正面側から見て水収容部25は米収容部24の横に隣接するように炊飯部23の上方左側に設けられている。但し、米収容部24と水収容部25は、炊飯部23の上側であれば、左右逆に配置されてもよい。
【0041】
図2及び
図11を参照すると、炊飯部23の前端開口は、下扉18の前開きによって開放され、米収容部24と水収容部25それぞれの前端開口は、上扉19の前開きによって開放される。これにより、筐体10の前側から炊飯鍋30、米容器70、及び水容器90を水平方向に出し入れできる。この際、下扉18の金属製の内板18aを炊飯鍋30の載置台として使用でき、上扉19の金属製の内板19aを米容器70と水容器90の載置台として使用できる。よって、筐体10に対して炊飯鍋30、米容器70、及び水容器90を容易に出し入れできるため、ユーザの使用性を向上できる。
【0042】
(炊飯部の構成)
図2及び
図3を参照すると、炊飯部23は筐体10の下部に設けられ、炊飯鍋30が着脱可能に配置される。
図3、
図4、
図8、及び
図9を参照すると、炊飯部23は、コイル32、胴ヒータ33、蓋ヒータ34、鍋温度センサ37、及び蓋温度センサ38を備える。また、
図7及び
図12を参照すると、炊飯部23は、炊飯鍋30の上端開口を閉塞する蓋40と、蓋40が着脱可能に配置される昇降台48とを備える。
【0043】
図2及び
図12を参照すると、炊飯鍋30は、磁性材料からなり、プレス加工又は鋳造によって有底筒状に成形されている。炊飯鍋30の上端には、径方向外側に突出したフランジ部30aが設けられ、フランジ部30aの下側には、耐熱性樹脂によって成形された断熱カバー31が取り付けられている。
【0044】
図5、
図8、及び
図9を参照すると、コイル32は、下枠体11の下部に配置された樹脂製の保護枠35の下側に配置され、高周波電流の通電によって渦電流を発生させ、炊飯鍋30を誘導加熱する。胴ヒータ33は、保護枠35の上側に配置された金属製の内胴36の外側と、下扉18の内板18aの外側とにそれぞれ配置され、炊飯鍋30の外周部を加熱する。蓋ヒータ34は、昇降台48が備える金属製の放熱板51の上側に配置され、蓋40を介して炊飯鍋30内を加熱する。
【0045】
図3、
図8、及び
図9を参照すると、鍋温度センサ37は、保護枠35に配置され、保護枠35を貫通した検出部によって炊飯鍋30の温度を検出し、その検出結果を制御部125に出力する。蓋温度センサ38は、昇降台48が備える放熱板51上に配置され、蓋40を介して炊飯鍋30内の温度を検出し、その検出結果を制御部125に出力する。
【0046】
図9、
図11、及び
図12を参照すると、蓋40は、昇降台48の下側に配置され、炊飯鍋30の上端開口を開放可能に閉塞する。
図12に最も明瞭に示すように、蓋40は、上方から見て四角形状で金属製の蓋本体41を備える。蓋本体41は、炊飯鍋30の開口よりも一回り小さい形状の窪み41aを有する。窪み41aの外周には、炊飯鍋30の内周面に圧接される環状のシール部材42が配置されている。
【0047】
蓋40の窪み41aの前側には、排気ユニット43が設けられている。この排気ユニット43は、
図1に示す排気口44に連なる排気部43aを備える。排気ユニット43の内部には、飯米と水の自動供給機能を備えていない周知の圧力炊飯器と同様に、一対の調圧弁45が配置されている。個々の調圧弁45は、昇降台48に配置された調圧ソレノイド53によって、炊飯鍋30内を大気圧よりも高い設定圧力に昇圧可能な加圧状態と昇圧不可能な非加圧状態とに切り換えられる。また、排気ユニット43の内部には、炊飯鍋30内が設定圧力を超える異常圧力に上昇すると、炊飯鍋30内の圧力によって開弁する安全弁46が配置されている。
【0048】
蓋40の窪み41aのうち炊飯鍋30の軸線に対応する中央には1つの貫通孔が設けられ、この貫通孔に弁体47が取り付けられている。弁体47は、下側に向かうに従って拡開した円錐形状の弁本体47aと、弁本体47aから上向きに突出した弁軸47bとを備える。弁軸47bは弁座47cに移動可能に支持されており、この弁座47cが備える開口部47dが、
図3に示す給米路83と給水路108に連通する1つの供給口を構成する。昇降台48に配置された供給ソレノイド54によって、
図8から
図10に示す開弁状態と
図11に示す閉弁状態に切り換えられる。供給ソレノイド54によって弁軸47bが下向きに押圧されると、弁体47は、下降して開弁状態になり、炊飯鍋30内への飯米と水の供給を許容する。供給ソレノイド54による弁軸47bの押圧が解除されると、弁体47は、図示しないスプリングの付勢力によって上昇して閉弁状態になり、炊飯鍋30内から給米路83と給水路108への蒸気の逆流を抑制する。
【0049】
図7及び
図12を参照すると、昇降台48は、蓋40を取り付けるための取付部48aを備える。この昇降台48は、下枠体11の上部に配置され、下枠体11に配置されたリンク機構61によって昇降可能である。
図9及び
図10に示す昇降台48の下降状態では、取り付けられた蓋40によって炊飯鍋30の開口を閉塞する。
図11に示す昇降台48の上昇状態では、炊飯鍋30の開口を開放し、炊飯部23に対する炊飯鍋30の出し入れを許容する。
【0050】
詳しくは、昇降台48は、下枠体11の一対の側壁11aの後側上部、つまり炊飯部23の下扉18とは反対側に架設されたヒンジ軸49に回動可能に取り付けられている。昇降台48のヒンジ軸49よりも前側には、幅方向外側に突出する一対の係着軸50が設けられている。この係着軸50は、下枠体11の側壁11aを貫通し、リンク機構61により上下に移動されることによって、昇降台48がヒンジ軸49まわりに回動して上下に揺動する。
【0051】
図8及び
図9を参照すると、昇降台48の下部には放熱板51が配置され、この放熱板51上に蓋ヒータ34と蓋温度センサ38が配置されている。
図7及び
図12を参照すると、昇降台48の上面には補強板52が配置され、この補強板52上に一対の調圧ソレノイド53と1つの供給ソレノイド54が配置されている。調圧ソレノイド53のロッドには、蓋40が備える調圧弁45を加圧状態と非加圧状態に切り換えるための操作部材(図示せず)が取り付けられている。供給ソレノイド54のロッドには、蓋40が備える弁体47を開弁状態と閉弁状態に切り換えるための操作部材55が取り付けられている。
【0052】
図9及び
図12を参照すると、昇降台48の中央には、
図3に示す給米路83及び給水路108それぞれの一部を構成する共通の投入部材(投入部)56が配置されている。この投入部材56は外周壁56a、底壁56b、及び連通部56cを備える。
図8及び
図9を参照すると、連通部56cは蓋40が備える弁体47の直上に位置する部分に設けられている。この連通部56c内に突出した弁体47の弁軸47bを、供給ソレノイド54が操作部材55を介して操作する。
【0053】
図7及び
図12を参照すると、昇降台48の前側両側部には、蓋40が備える排気ユニット43に連通するダクト部材57がそれぞれ配置されている。下枠体11の仕切壁11b上にはファン58が配置されている。一対のダクト部材57とファン58は、チューブ59によってそれぞれ接続されている。炊飯時、ファン58によりチューブ59とダクト部材57を通して排気ユニット43内に送風することによって、炊飯鍋30内から排気ユニット43内に流入した蒸気を、排気部43aを通して
図1に示す排気口44から外部に排出できる。
【0054】
図2及び
図5を参照すると、昇降台48を昇降させるリンク機構61は、下枠体11の側壁11aの幅方向外側に配置されており、アーム部材62、スライド部材65、及びフック部材66を備える。このリンク機構61は、下扉18の閉回動に連動して、蓋40と一緒に昇降台48を
図9に示す下降位置に下降させるとともに、
図11に示す上昇位置への昇降台48の移動を規制する。一方で、リンク機構61は、下扉18の開回動に連動して、昇降台48の移動規制を解除した後、蓋40と一緒に昇降台48を
図11に示す昇降位置に上昇させる。
【0055】
アーム部材62は、下扉18に軸支された外端部62a、筐体10内に配置された内端部62b、及び外端部62aと内端部62bの間に設けられたガイド溝62cを備える。ガイド溝62cには、下枠体11から突出したガイド突起11cが挿通されている。アーム部材62は、下扉18の開放によって、
図5に示す後退位置から
図2に示す進出位置に進出するとともに、ガイド突起11cまわりを
図2において反時計回りに回動する。これにより、内端部62bが上側に変位し、スライド部材65を押し上げる。一方で、アーム部材62は、下扉18の閉鎖によって、
図2に示す進出位置から
図5に示す後退位置に後退するとともに、ガイド突起11cまわりを
図2において時計回りに回動する。これにより、内端部62bが下側に変位し、スライド部材65の押し上げを解除して、下側へのスライド部材65の移動を許容する。
【0056】
スライド部材65は、アーム部材62の内端部62bの上方に位置するように、下枠体11の側壁11aに上下方向に移動可能に配置されている。スライド部材65の上部には、昇降台48の係着軸50が貫通して係着されている。スライド部材65は、下扉18の開回動に連動したアーム部材62による押し上げによって、係着軸50を介して昇降台48を
図11に示す上昇位置に上昇させる。一方で、スライド部材65は、下扉18の閉回動に連動したアーム部材62による押し上げ解除によって、係着軸50を介して昇降台48を
図9に示す下降位置に下降させる。
【0057】
図2、
図7、及び
図8を参照すると、フック部材66は、アーム部材62のガイド溝62cの上方に位置するように、下枠体11の側壁11aに配置されている。フック部材66は、係止部66aと操作受部66bを備え、
図7及び
図8に示す係止位置と
図2に示す係止解除位置とに前後方向に延びる回転軸まわりを回動可能である。
図7及び
図8に示す係止位置では、下降位置にある昇降台48の補強板52の上面に係止部66aが係止し、
図11に示す上昇位置への昇降台48の上昇を規制する。
図2に示す係止解除位置では、昇降台48に対する係止部66aの係止が解除され、
図11に示す上昇位置への昇降台48の上昇を許容する。
【0058】
フック部材66は、図示しないスプリングによって
図7に示す係止位置に付勢されている。
図7に示す係止位置から
図2に示す係止解除位置へのフック部材66の回動規制と回動操作を行うために、アーム部材62にはストッパ63aと操作片64が設けられている。具体的には、アーム部材62の幅方向内側には補助部材63が取り付けられており、この補助部材63にストッパ63aが設けられ、操作片64が取り付けられている。
【0059】
ストッパ63aは、補助部材63から上向きに突出している。このストッパ63aは、アーム部材62が
図5に示す後退位置にあるとき、フック部材66の操作受部66bの幅方向内側に位置し、
図7に示す係止位置から
図2に示す係止解除位置へのフック部材66の回動を規制する。一方で、ストッパ63aは、アーム部材62が
図2に示す進出位置にあるとき、操作受部66bに対して前側に間隔をあけて位置し、
図7に示す係止位置と
図2に示す係止解除位置との間のフック部材66の回動を許容する。
【0060】
操作片64は、ストッパ63aよりも後側に取り付けられ、補助部材63から上向きに突出している。この操作片64は、アーム部材62が
図5に示す後退位置にあるとき、フック部材66の操作受部66bに対して後側に間隔をあけて位置し、フック部材66を回動操作できない。一方で、操作片64は、アーム部材62が
図2に示す進出位置に移動したとき、操作受部66bを幅方向内側に押圧し、フック部材66を
図2に示す係止解除位置に回動させる。この操作片64によるフック部材66の係止解除の完了後、前述したアーム部材62の内端部62bによるスライド部材65の上昇が開始される。
【0061】
このように構成された炊飯部23では、下扉18の閉回動に連動した昇降台48の下降により蓋40によって炊飯鍋30の開口が閉塞される一方、下扉18の開回動に連動した昇降台48の上昇により蓋40によって炊飯鍋30の開口が開放される。そのため、飯米と水の自動供給機能を備えていない周知の炊飯器と同様に、下扉18の開放状態で炊飯鍋30を出し入れできる。よって、飯米と水の自動計量と自動供給が可能な炊飯器1の使用性を向上できる。
【0062】
(米供給機構を含む米収容部の構成)
図3、
図8、及び
図9を参照すると、米収容部24は、正面側から見て炊飯部23の上方右側に設けられ、米容器70が着脱可能に配置される。米容器70を含む米収容部24には、米容器70内の飯米を炊飯鍋30内に供給するための米供給機構75が設けられている。
【0063】
図8、
図14、及び
図15を参照すると、米容器70は、上方から見て四角筒状のホッパからなる米容器本体71と、米容器本体71の上端開口を塞ぐ蓋72とを備える。米容器70は、1回の炊飯処理で炊飯可能な最大の炊飯量、つまり最大炊飯容量以上の飯米(本実施形態では無洗米)を収容可能な容積を有する。この米容器70の容積については後に詳述する。
【0064】
米容器本体71の底壁71aは、下側に向かうに従って収縮した逆四角錐状で、長方形状をなす中央の連通口71bが最も下側に位置している。底壁71aを構成する個々の傾斜面は、飯米が自重で連通口71bに流動可能な角度で傾斜している。底壁71aの連通口71bよりも左側、つまり炊飯器1の幅方向中央側には、樹脂製の摺切部材73が配置されている。摺切部材73は、弾性変形可能な複数の弾性片73aを備える櫛状である。
【0065】
図3、
図8、及び
図13から
図15を参照すると、米供給機構75は、飯米を定量ずつ供給するための米計量部77を有する升部材76と、升部材76を移動させる給米モータ80とを備える。また、米供給機構75は、米計量部77内の飯米を炊飯鍋30内に導く給米路83を備える。
【0066】
升部材76は、上方から見て四角形状であり、米容器本体71の底壁71aの下側に配置されている。より具体的には、升部材76は、米容器本体71の底に配置された底カバー78と支持カバー79の間に配置されている。この升部材76は、複数の歯を幅方向に並設したラック76aを備え、
図8及び
図14に示す計量位置と
図15に示す給米位置との間を、米容器本体71に対して幅方向に移動可能である。
【0067】
升部材76は、炊飯器1の幅方向中央側である左寄りの位置に米計量部77を備える。この米計量部77は、升部材76を高さ方向に貫通した直方体状の空間からなり、米容器本体71の連通口71bの形状に対応する形状を有する。米計量部77の容積は、1回の炊飯処理で炊飯可能な最小の容量、つまり最小炊飯容量と対応する容積以下に設定されている。米計量部77の高さ方向の寸法、つまり升部材76の高さ方向の厚みは、米計量部77の開口面積と米計量部77に必要な容積に基づいて定められている。この米計量部77の容積については後に詳述する。
【0068】
底カバー78は、樹脂製で平坦な板体からなり、米容器本体71の連通口71bの下端に配置され、水平方向(XY平面)に沿って延びている。底カバー78には、連通口71bに連通する連通孔が設けられている。
【0069】
支持カバー79は、長い樋状であり、底カバー78の下面に固着され、升部材76を幅方向に移動可能に支持する。支持カバー79には、升部材76のラック76aを露出させる打抜部が形成されている。また、支持カバー79には、
図7及び
図8に示す投入部材56の上方に位置するように給米孔79aが設けられている。この給米孔79aは、給米路83の入口であり、米容器本体71の連通口71bに対して幅方向に間隔をあけて位置し、米計量部77の形状に対応する形状で設けられている。
【0070】
図6及び
図9を参照すると、給米モータ80は、正転及び逆転が可能なステッピングモータからなり、米収容部24の後側部分に配置されている。給米モータ80の出力軸には駆動歯車81が取り付けられ、米収容部24には駆動歯車81に噛み合う従動歯車(ピニオン)82が取り付けられている。
図13を参照すると、従動歯車82の一部は上枠体12内に突出し、米収容部24への米容器70の配置によって升部材76のラック76aが噛み合う。この給米モータ80及びラック76aと従動歯車82は、升部材76を
図14に示す計量位置と
図15に示す給米位置とに移動させる駆動部の一例である。但し、駆動部は、升部材76を移動可能な構成であれば、必要に応じて変更可能である。また、升部材76は、幅方向の直動に限られず、高さ方向に延びる回転軸まわりを回転する構成であってもよい。
【0071】
図14に示す計量位置では、米計量部77は、連通口71bと対向して米容器本体71内に連通する一方、給米孔79aから離反して給米路83との連通が遮断される。また、米計量部77の下端は支持カバー79によって閉塞される。これにより、米容器70内の飯米が自重で米計量部77内に供給される一方、米計量部77内の飯米は給米路83には供給できない。また、この状態で米収容部24から米容器70が取り外されても、米容器70内及び米計量部77内の飯米がこぼれ落ちることはない。
【0072】
図15に示す給米位置では、米計量部77は、給米孔79aと対向して給米路83に連通する一方、連通口71bから離反して米容器本体71との連通が遮断される。また、米容器70の下端である連通口71bは升部材76の上面で閉塞される。これにより、米計量部77内の飯米が自重で給米路83に供給される一方、米容器本体71内の飯米は米計量部77には供給されない。また、この状態で米収容部24から米容器70が取り外されても、米容器70内の飯米がこぼれ落ちることはない。
【0073】
升部材76が
図14に示す計量位置から
図15に示す給米位置に向けて移動するとき、米計量部77の上端よりも上側に位置する飯米は、摺切部材73によって摺り切られる。よって、米計量部77の容積を超える量の飯米が給米路83に供給されることはない。
【0074】
図3に示す給米路83は、
図13に示す連通孔12d、
図7と
図12に示す投入部材56、及びダクト84によって構成されている。
【0075】
図8及び
図13を参照すると、連通孔12dは、上枠体12の底壁12bのうち支持カバー79の給米孔79aの直下に位置し、かつ炊飯鍋30の軸線上に位置する部分に設けられており、給米孔79aの形状に対応する形状を有する。
【0076】
図7及び
図12を参照すると、投入部材56は、昇降台48の上面に配置されており、外周壁56a、底壁56b、及び連通部56cを備える。そのうち、外周壁56aは、上方から見て四角筒状であり、炊飯鍋30の軸線、つまり蓋40の弁体47の直上に位置する部分から後向きに延びている。底壁56bは、外周壁56aの下部に設けられ、連通部56cが最も下側に位置するように前側に向かうに従って下側へ傾斜している。
【0077】
図7、
図9、及び
図11を参照すると、ダクト84は伸縮可能な蛇腹部材からなる。このダクト84の上端は、連通孔12dを取り囲むように上枠体12の下側に接続され、ダクト84の下端は、投入部材56の外周壁56aの上端に接続されている。
【0078】
このように構成された給米路83には、弁体47が
図9に示す開弁位置に移動された状態で、升部材76が
図15に示す給米位置に移動されることによって、米計量部77内の飯米が自重で供給される。これにより、飯米は、自重で連通孔12d、ダクト84、及び投入部材56を通り、開放された開口部47dから炊飯鍋30内に供給される。この際、飯米は、円錐形状の弁本体47aに衝突することで、炊飯鍋30内に均一に分散して供給される。
【0079】
図3を参照すると、米収容部24には更に、米容器70の配置の有無を検出するスイッチ(米容器検出部)85が配置されている。スイッチ85は、
図14に示す計量位置に移動した升部材76を検出し、信号を制御部125に出力する。
【0080】
このように構成された米供給機構75では、定められた容積分の飯米のみが米計量部77内から給米路83に供給される。この飯米の計量は、長期的な使用によって誤差が生じ得る重量センサではなく、誤差が生じ得ない構造体の容積によるため、計量の安定性を向上できる。
【0081】
(水供給機構を含む水収容部の構成)
図3、
図8、及び
図10を参照すると、水収容部25は、正面側から見て米収容部24の横に隣接するように炊飯部23の上方左側に設けられ、水容器90が着脱可能に配置される。水容器90を含む水収容部25には、水容器90内の水を炊飯鍋30内に供給するための水供給機構94が設けられている。
【0082】
図8、
図10、及び
図16を参照すると、水容器90は有底四角筒状であり、上端開口が蓋91によって開放可能に塞がれている。水容器90の内部は、仕切壁90aによって、水容器本体90bと水供給機構94の一部を構成する水計量部95とに仕切られている。
図17を参照すると、水容器本体90bの底壁90cは、水計量部95の底壁95bよりも低い。水容器本体90bは、最大炊飯容量の炊飯に必要な水量以上の水を収納可能な容積を有する。この水容器本体90bの容積については後に詳述する。
【0083】
図3、
図6、及び
図10を参照すると、水供給機構94は、水を定量ずつ供給するための水計量部95、水容器本体90b内の水を水計量部95に汲み上げるポンプ98、及び水計量部95内の水を供給するための給水ソレノイド104を備える。また、水供給機構94は、水計量部95内の水を炊飯鍋30内に導く給水路108を備える。
【0084】
図16を参照すると、水計量部95は、前述のように仕切壁90aを設けることによって水容器90内に設けられている。但し、水計量部95は、水容器90とは別に設けられてもよい。本実施形態の水計量部95は、仕切壁95aによって第1升部96Aと第2升部96Bに更に仕切られている。第1升部96Aの上端は第2升部96Bの上端よりも低い。第1升部96Aの容積は第2升部96Bの容積よりも大きい。第1升部96Aと第2升部96Bによって構成された水計量部95の総容積は、最小炊飯容量の炊飯に必要な水量に対応する容積以下に設定されている。この水計量部95の容積については後に詳述する。
【0085】
図10及び
図17を参照すると、
図3に示すポンプ98は、水容器90に配置された羽根車99と、水収容部25に配置された給水モータ101とを備える。
【0086】
羽根車99は、水計量部95の下側に設けられたケース部99a内に配置されている。ケース部99aと羽根車99によってポンプ本体が構成されている。
図16及び
図17を参照すると、ケース部99a内は、連通孔99bを通して水容器本体90b内に連通している。ケース部99aの上側にはパイプ部100が設けられ、このパイプ部100の上端が第1升部96A上に配置されている。
【0087】
図6及び
図10を参照すると、給水モータ101は、ステッピングモータからなり、羽根車99の背部に位置するように水収容部25内に配置されている。給水モータ101と羽根車99は、水収容部25への水容器90の配置により継手102によって接続される。継手102には、マグネットカップリング等の非接触式継手が用いられている。給水モータ101と継手102は、羽根車99を回転させる駆動部の一例である。但し、駆動部は、水収容部25への水容器90の配置により羽根車99に接続されて、羽根車99を回転可能な構成であれば、必要に応じて変更可能である。
【0088】
図10及び
図16を参照すると、給水モータ101によって羽根車99が回転すると、水容器本体90b内の水がケース部99a内に吸引されて、パイプ部100を通して第1升部96Aに水が供給される。第1升部96A内が水で満たされると、オーバーフローした水が第2升部96Bに供給され、第2升部96B内が水で満たされると、オーバーフローした水が水容器本体90b内に戻される。
【0089】
図16及び
図17を参照すると、水計量部95の底壁95bには給水口が設けられ、この給水口に止水弁103が配置されている。止水弁103は、給水口の上側に配置されて下向きに付勢された常閉弁である。
【0090】
図6及び
図10を参照すると、給水ソレノイド104は、止水弁103の背部に位置するように水収容部25内に配置されている。この給水ソレノイド104のロッドには操作部材105が取り付けられている。給水ソレノイド104により操作部材105が上向きに移動されることによって、止水弁103が上向きに移動して開弁する。これにより、水計量部95内の水が排出される。給水ソレノイド104と操作部材105は、止水弁103を開弁させる駆動部の一例である。但し、駆動部は、止水弁103を開弁可能な構成であれば、必要に応じて変更可能である。
【0091】
図16及び
図17を参照すると、本実施形態では、水計量部95を構成する第1升部96Aと第2升部96Bの両方にそれぞれ止水弁103が配置されている。
図6及び
図10を参照すると、給水ソレノイド104と操作部材105は、個々の止水弁103と対応するようにそれぞれ配置されている。以下の説明では、第1升部96Aの止水弁103を作動させる方を給水ソレノイド104Aと言い、第2升部96Bの止水弁103を作動させる方を給水ソレノイド104Bと言うことがある。
【0092】
【0093】
図10及び
図13を参照すると、水受部109は、止水弁103の下方に位置するように上枠体12に設けられた溝からなる。水受部109は傾斜しており、止水弁103から流出した水を受けて、下端に位置する1つの給水口(図示せず)に導く。
【0094】
図7、
図10、及び
図12を参照すると、投入部材56は、前述のように弁体47の直上に位置するように昇降台48の上面に配置されており、外周壁56a、底壁56b、及び連通部56cを備える。また、投入部材56は、外周壁56aの後端から後向きに突出した筒状の接続部56dを備える。
【0095】
図7及び
図10を参照すると、チューブ110は、水受部109と投入部材56を接続する可撓性を有する接続部材である。チューブ110の上端は水受部109の給水口に接続され、チューブ110の下端は投入部材56の接続部56dに接続されている。
【0096】
このように構成された給水路108には、弁体47が
図10に示す開弁位置に移動された状態で、給水ソレノイド104により操作部材105を介して止水弁103が開弁されることによって、水計量部95内の水が自重で供給される。これにより、水は、自重で水受部109、チューブ110、及び投入部材56を通り、開放された開口部47dから炊飯鍋30内に供給される。この際、水は、円錐形状の弁本体47aに衝突することで、炊飯鍋30内に均一に分散して供給される。
【0097】
図3及び
図4を参照すると、水収容部25には更に、水容器90の配置の有無と水の有無を検出するセンサ(水容器検出部)112と、水容器90内の水を加熱する水容器ヒータ113とが配置されている。センサ112は、発光素子が発した光を水容器90内を透して受光素子が受光する水位センサであり、受光素子が受けた光量に対応する信号を制御部125に出力する。水容器ヒータ113は第2仕切部材22に配置され、定められたタイミングで水容器90を加熱することによって、内部の水に雑菌が繁殖することを抑制する。
【0098】
このように構成された水供給機構94では、定められた容積分の水のみが水計量部95内から給水路108に供給される。この水の計量は、長期的な使用によって誤差が生じ得る重量センサではなく、誤差が生じ得ない構造体の容積によるため、計量の安定性を向上できる。
【0099】
(制御部の構成)
図3及び
図4を参照すると、制御部125は、タイマ126とメモリ127を備える。この制御部125は、単一又は複数のマイクロコンピュータ、及びその他の電子デバイスにより構成されている。但し、タイマ126とメモリ127は、制御部125とは別の電子デバイスにより構成されてもよい。
【0100】
タイマ126は、炊飯処理の定められた工程及び保温処理の実行時間等を計測する。メモリ127には、給米処理、給水処理、炊飯処理、及び保温処理を実行するためのプログラム、及びプログラムに用いられる設定値等が記憶されている。設定値には、炊飯量に対応する米供給機構75による給米回数、及び炊飯量に対応する水供給機構94による給水回数が含まれる。また、設定値には、炊飯処理と保温処理の実行時に用いられる温度と時間が含まれる。
【0101】
制御部125は、炊飯スイッチ122が操作されると、
図12に示す供給ソレノイド54によって弁体47を開弁させる。続いて、指定された炊飯量を読み込み、給米モータ80、給水モータ101、及び給水ソレノイド104を制御して、炊飯量に対応する量の飯米と水を、それぞれ自動計量して炊飯鍋30に自動供給する給米処理と給水処理を実行する。これらの処理が完了すると、制御部125は、供給ソレノイド54によって弁体47を閉弁させた後、鍋温度センサ37と蓋温度センサ38の検出結果に基づいて、コイル32、胴ヒータ33、及び蓋ヒータ34を制御して炊飯処理を実行する。
【0102】
給米処理では、指定された炊飯量を米計量部77の容積に対応する容量で除算した給米回数を満足するまで、給米工程を繰り返し行う。この給米工程は、供給ステップと計量ステップを備える。供給ステップでは、給米モータ80を正転させて升部材76を
図14に示す計量位置(初期位置)から
図15に示す給米位置に移動させ、米計量部77内の飯米を炊飯鍋30内へ供給する。計量ステップでは、給米モータ80を逆転させて升部材76を
図15に示す給米位置から
図14に示す計量位置に移動させ、飯米を米容器本体71から米計量部77に補充して計量する。
【0103】
給水処理では、指定された炊飯量の炊飯に必要な水量に基づいて、第1升部96Aからの第1供給回数と第2升部96Bからの第2供給回数とを設定し、これらの給水回数を満足するまで給水工程を繰り返し行う。この給水工程は、計量ステップと供給ステップを備える。計量ステップでは、給水モータ101を動作させ、水容器本体90b内の水を第1升部96Aと第2升部96Bに補充して計量する。給水モータ101の動作は、第1升部96A内と第2升部96B内が水で満たされ、オーバーフローした水が水容器本体90bに環流する満水時間が経過すると停止される。供給ステップでは、給水ソレノイド104A,104Bのうちの少なくとも一方を動作させ、第1升部96A及び第2升部96Bのうち対応する方の水を炊飯鍋30内へ供給する。給水ソレノイド104A,104Bの動作は、第1升部96A内と第2升部96B内の全ての水を排出可能な排出時間が経過すると停止される。
【0104】
ここで、炊飯器1には、炊飯鍋30による最大炊飯容量と最小炊飯容量が定められている。例えば、炊飯鍋30による最大炊飯容量は3cupに設定される。これに対し、米容器70及び水容器90の水容器本体90bは、3cupの炊飯5回分の飯米と水をそれぞれ収容可能な容積を有するように形成されている。また、最小炊飯容量は1/2cupに設定される。これに対し、米計量部77は1/6cupに対応する容積を有するように形成されている。また、1/2cupの炊飯に必要な水量は130ccであり、第1升部96Aは90ccに対応する容積に設定され、第2升部96Bは20ccに対応する容積に設定される。つまり、水計量部95は110ccに対応する容積を有するように形成されている。
【0105】
以下、米計量部77が1/6cupに対応する容積で形成され、第1升部96Aが90ccに対応する容積で形成され、第2升部96Bが20ccに対応する容積で形成されている場合の給米処理と給水処理について説明する。
【0106】
給米処理では、例えば炊飯量が1/2cupの場合、制御部125は、まず供給ステップの実行によって、給米路83を通して米計量部77内の1/6cup分の飯米を炊飯鍋30内に供給する。続いて、定められた待機時間が経過すると、制御部125は、計量ステップの実行によって、米容器70内の飯米を米計量部77内に供給し、次に炊飯鍋30に供給する1/6cupの飯米を計量する。この一連の給米工程が終了し、定められた待機時間が経過すると、2回目の給米工程を行う。このようにして全3回の給米工程を行うと、給米処理が完了する。なお、炊飯量が3cupの場合、全18回の給米工程を行う。
【0107】
給水処理では、例えば炊飯量が1/2cupの場合、制御部125は、まず計量ステップの実行によって、水容器本体90b内の水を第1升部96Aと第2升部96Bに水を供給し、炊飯鍋30に供給する20ccと90ccの水を計量する。続いて、制御部125は、供給ステップの実行、具体的には給水ソレノイド104Bの動作によって、給水路108を通して第2升部96B内の20ccの水を炊飯鍋30内に供給する。この一連の給水工程が終了すると、制御部125は、2回目の給水工程を実行する。この第2給水工程の供給ステップでは、給水ソレノイド104A,104Bの両方を動作させ、給水路108を通して第1升部96A内の90ccの水と第2升部96B内の20ccの水を炊飯鍋30内に供給する。これにより給水処理が完了する。つまり、第1升部96Aから1回給水し、第2升部96Bから2回給水する。なお、炊飯量が3cupの場合、全700ccの水を供給するために、第1升部96Aから6回給水し、第2升部96Bから8回給水する。
【0108】
以上の給米処理と給水処理は、いずれを先に行ってもよい。また、給米処理の給米工程と給水処理の給水工程とを交互に行ってもよい。
【0109】
このように構成された炊飯器1では、定量の飯米と水を確実に計量でき、指定された炊飯量に対応する量の飯米と水を炊飯鍋30に確実に供給して、米飯を炊き上げることができる。よって、家事に必要な時間を低減できる。
【0110】
(リンク機構)
次に、上記の説明と一部重複するが、
図18~
図31を参照して、リンク機構61の構成についてより具体的に説明する。
【0111】
図18及び
図19を参照して、筐体10は、炊飯部23と、炊飯部23の正面側に設けられた前端開口を開放可能に閉鎖する下扉18とを有する。炊飯部23は、炊飯鍋30を着脱可能に収容する鍋収容部としての役割を果たすと共に、炊飯鍋30を加熱して炊飯鍋30に供給された水で炊飯鍋30に供給された飯米を炊き上げる加熱部としての役割を果たす。
【0112】
炊飯部23は、筐体10の下部に設けられている一方、筐体10は、その下部骨格を成す下枠体11を有する。下枠体11は、底壁11bと、底壁11bの両側縁部から上方に延びる一対の側壁11aとを有し、前方が開放されている。下枠体11の前端部が、炊飯部23の前端開口を画定する。より詳しくは、下枠体11のU字状の前端面には、炊飯鍋30が通過可能な大きさの開口131aを有する前面パネル131が貼り付けられており、当該開口131aが炊飯部23の前端開口として機能する。
【0113】
下枠体11の側壁11aは、幅方向外側に格子状に突出するリブを有し、ワッフル状の外観を有する。各側壁11aの外面側がフレーム13(
図8を参照)で覆われる。リンク機構61は、幅方向に対を成している。一対のリンク機構61は、各側壁11aとフレーム13との間の空間にそれぞれ配置される。
【0114】
側壁11aの外面の前下端部には、前方に突出するヒンジブラケット132が固定され、下扉18は、一対のヒンジブラケット132に幅方向に延びる回転軸A1周りに回動可能に取り付けられる。下扉18は、閉鎖位置と開放位置との間で回動する。閉鎖位置では、下扉18が前端開口の下縁部から上方に延び、下扉18の厚み方向が前後方向に向けられ、前端開口が閉鎖される。開放位置では、下扉18が前端開口の下縁部から前方に略水平に延び、下扉18の厚み方向が上下方向に向けられ、前端開口が前から見て全開される。
【0115】
下扉18は、利用者によって手動で操作される。利用者は、閉鎖位置にある下扉18の前面上部を手前に引くことで、下扉18を開方向に回動させ、炊飯部23の前端開口を開放することができる。炊飯鍋30が炊飯部23内に配置されているときには、炊飯鍋30を手前に(前方に)引くことで、炊飯鍋30を炊飯部23から前端開口を介して取り出すことができる。炊飯鍋30が炊飯部30外にあるときには、炊飯鍋30を奥に(後方に)押し込むことで、炊飯鍋30を炊飯部23へと前端開口を介して収容することができる。
【0116】
炊飯部23は、下扉18が閉鎖位置にある状態で炊飯鍋30を加熱し、炊飯鍋30を使用して炊飯を行う。炊飯は、炊飯鍋30が蓋40で密閉されて炊飯鍋30の内圧が高い状態で行われる。リンク機構61は、利用者により入力される下扉18の操作力を昇降台48に伝達する。それにより、炊飯鍋30の開口の開閉が、下扉18の開閉に連動して自動的に行われる。更に、リンク機構61は、下扉18が閉鎖位置にあるときに、炊飯鍋30の内圧が上昇しても蓋40による密閉状態を保持する役割も果たす。
【0117】
リンク機構61は、下扉18の動作を、昇降台48の昇降ひいては蓋40による炊飯鍋30の開口の開閉と連動させるため、一対のアーム部材62及びスライド部材65を有する。
【0118】
アーム部材62は、前後方向に長尺の板材であり、側壁11aに対して幅方向外側に配置されている。アーム部材62の外端部62aは、前面パネル131に形成されたスリット131bを通過して下枠体11よりも前方に延び、下扉18の背面下端部に枢支される。この点、下扉18の背面下部には、ヒンジブラケット132及びアーム部材62がピン結合されるブラケット133が取り付けられている。下扉18が閉鎖位置にある状態において、アーム部材62の回転軸A2は、下扉18の回転軸A1の上方に位置し、下扉18が開放位置にある状態において、アーム部材62の回転軸A2は、下扉18の回転軸A1の前方に位置する。
【0119】
アーム部材62は、その前後方向の中央部に、ガイド溝62cを有する。ガイド溝62cは、前後方向に延びるレーストラック状の長孔である。ガイド溝62cには、側壁11aから幅方向外側に突出するガイド突起11cが挿通される。ガイド突起11cの外径は、ガイド溝62cの幅(長孔であるガイド溝62cの短手方向の寸法)よりも僅かに小さい。アーム部材62の内端部62bは、その上縁部において幅方向内側に折り曲げられており、それによりリフト面62dを形成する。リフト面62dは、スライド部材65と当接し、スライド部材65及び昇降台48に上向きの力を伝達する。
【0120】
スライド部材65は、側壁11aのリブのうち、上下方向に延びる前後一対の支持壁11fにより、上下方向にスライド移動するように支持されている。一対の支持壁11fの間では、前後方向に延びるリブが存在せず、スライド部材65の上下方向の変位が阻害されない。一方、昇降台48の補助部材52は、左右一対のフレーム52aを有する。各フレーム52aは、前後方向に延びる長尺の角柱状である。係着軸50は、フレーム52aの側面から幅方向外側に突出する。側壁11aには、前後方向において一対の支持壁11fの間の領域に上下方向に長尺の長孔11gが設けられている。係着軸50は、長孔11gを通過してスライド部材65に係着されている。
【0121】
リンク機構61は、下扉18が閉鎖状態にあるときに蓋40による炊飯鍋30の密封状態を保持する一方、下扉18が閉鎖状態から開方向に回動されると保持を解除するため、補助部材63、操作片64、フック部材66、及び付勢部材67を有する。
【0122】
補助部材63は、ブロック状に形成され、アーム部材62の前後方向中央部の内面に固着されている。補助部材63は、アーム部材62のガイド溝62cと幅方向に整合するガイド孔63bを有し、側壁11aのガイド突起11cは、補助部材63のガイド孔63bを通過してガイド溝62cに挿入されている。
【0123】
補助部材63の上面に、ストッパ63aが突出している。ストッパ63aは、補助部材63の上面のうち幅方向内側に位置付けられている。補助部材63の後部は、幅方向内側に凹んだ凹所63cが形成されている。操作片64は、この凹所63c内に配置される。操作片64の下端部は、補助部材63の凹所63cを画定する壁面に前後方向に延びる揺動軸周りに揺動可能に枢支されている。操作片64の上端部は、補助部材63の上面よりも上方に突出している。
【0124】
凹所63cはアーム部材62の内面により塞がれる。付勢部材67は、一例として、操作片64の外面とアーム部材62の内面との間に設けられて操作片64を付勢するコイルスプリングであってもよい。この場合、コイルスプリングは、操作片64の揺動軸よりも上方で幅方向内側への付勢力を付与することから、操作片64の上端部は幅方向内側に傾倒するようにして操作片64が付勢される。
【0125】
フック部材66は、前後方向に延びるベース部66cと、ベース部66cの前後両端から上方に延びる一対のアーム部66dを有する。一対の係止部66aは、一対のアーム部66dそれぞれの上端部から幅方向内側に延びる。操作受部66bは、ベース部66cから下方に舌状に延びる。更に、フック部材66は、ベース部66cの前後両端部から幅方向内側に延びる一対のフランジ部66eを有する。
【0126】
側壁11aの外面には金属製のステー134が取り付けられている。一対のフランジ部66eが前後方向に延びる揺動軸周りに揺動可能にステー134に枢支されており、それにより、フック部材66は、ステー134を介して側壁11aに揺動可能に支持される。係止部66aは、側壁11aに形成された貫通孔11hを介して側壁11aの内面側に突出している。
【0127】
操作受部66bは、概略的には前後方向及び上下方向に延びる板状であり、その厚さ方向が幅方向に向けられている。操作受部66bの後縁部は、幅方向内側に向けて斜めに折り曲げられている。操作受部66bの前縁部は、幅方向外側に向けて斜めに折り曲げられている。
【0128】
上記構成を有するリンク機構61の動作について、
図20~
図31を参照して説明する。これらの図面では、図示の便宜上、ブラケット133を示すが、下扉18(
図18を参照)の主要部分の図示を省略する。また、斜視図の幾つかにおいて、下枠体11の側壁11aの図示を省略する。
【0129】
図20及び
図21は、下扉18(
図18を参照)が開放位置にある状態を示す。下扉18が開放位置にあるとき、アーム部材62は、前後方向の変位範囲のうち後端である後端位置に位置付けられる。下扉18が回転軸A1から上方に延びるため、アーム部材62の外端部62aは、回転軸A1に対して上に位置する。
【0130】
後述のとおり、下扉18が開方向に回動すると、アーム部材62の回転軸A2が下扉18の回転軸A1に対して前方且つ下方に移動する。アーム部材62の外端部62aがこれに伴って前方及び下方に変位する一方、アーム部材62の内端部62bは前方へ変位するものの上方に変位する。下扉18が閉方向に回動するときは、これと逆である。このように、アーム部材62は、下扉18の回動に応じてシーソー状に揺動する。下扉18が閉鎖位置にあるときには、外端部62a及び内端部62bはどちらも、前後方向の変位範囲の後端にある。外端部62aは、上下方向の変位範囲の上端にある一方、内端部62bは、上下方向の変位範囲の下端にある。
【0131】
なお、下扉18の回動範囲は約90度であるのに対し、シーソー状のアーム部材62の揺動範囲は約35度である。ガイド溝62b及びガイド突起11cは、アーム部材62の揺動範囲を下扉18の回動範囲に対して制限する役割を果たし、それによりアーム部材62の揺動を必要最小限に抑え、リンク機構61の小型化を実現できる。
【0132】
スライド部材65には、昇降台48の重力が係着軸50を介して伝達される。アーム部材62の内端部62bは、下端に位置しており、スライド部材65から下方に離隔されている。このため、昇降台48は昇降範囲の下端である下降位置に位置し、スライド部材65は、上下方向の変位範囲の下端に位置付けられる。昇降台48の下降は、蓋40が炊飯鍋30に支持され、係着軸50が長孔11gの下縁に支持され、又は昇降台48のフレームが筐体10の構成部材に支持されることにより、
図20及び
図21に示す位置で留まる。
【0133】
係止部66aは、貫通孔11hを通過して幅方向内側に位置付けられ、平面視で昇降台48のフレーム52aの上面とオーバーラップしてフレーム52aの上方に位置する。このため、炊飯鍋30の内圧が上昇して蓋40及び昇降台48に上向きの圧力が作用しても、昇降台48の上昇を係止部66aで阻止できる。このように、フック部材66が、昇降台48の上昇を阻止する係止位置に位置しているときには、炊飯鍋30の密閉状態が保持され、高圧炊飯が可能となる。
【0134】
操作片64は、操作受部66bに対して後方へ退避している一方、ストッパ63aが、側面視で操作受部66bとオーバーラップして操作受部66bの幅方向内側に位置する。これにより、操作受部66bが揺動軸A3周りに幅方向内側に変位することを阻止できる。係止部66aは、揺動軸A3に対して上下方向において操作受部66bと反対側にある。そのため、ストッパ63aは、係止部66aが昇降台48から幅方向外側に退避するのを阻止する。すなわち、ストッパ63aがフック部材66を係止位置で保持しており、炊飯鍋30の密閉状態が保持されている。
【0135】
図22及び
図23を参照して、下扉18が閉鎖位置から約10度ほど回転すると、ストッパ63aが操作受部66bに対して離隔を開始する。これにより、フック部材66を係止位置に保持されなくなる。フック部材66は、揺動軸A3周りの揺動を付勢されていない。また、フック部材66は起立姿勢であるため、フック部材66には自重に基づく回転モーメントも顕著には作用しない。そのため、フック部材66は係止位置から殆ど変位しない。
【0136】
図24及び
図25を参照して、下扉18が更に約10度ほど回転すると(閉鎖位置から約20度回転すると)、ストッパ63aは操作受部66bから完全に前方に退避した状態となる一方、操作片64の前縁部が操作受部66bの後縁部に当接する。操作片64の前縁部及び操作受部66bの後縁部の傾斜により、操作片64は操作受部66bの幅方向外側へと変位していく。
【0137】
図26及び
図27を参照して、下扉18が更に10度ほど回転すると(閉鎖位置から約30度回転すると)、操作受部66bの後縁部が操作片66の傾斜部64aの前端に当接する。操作片66は幅方向内側へ付勢されている一方、フック部材66は特段付勢されていない。よって、この後に更に下扉18が開方向に回動してアーム部材62が前方へ変位すると、操作受部66bが傾斜部64aに押されて幅方向内側へ変位しながら、操作片64が前方へ変位していく。係止部66aは幅方向外側へと変位することとなり、昇降台48から退避していく。
【0138】
図28を参照して、下扉18が更に15度ほど回転すると(閉鎖位置から約45度回転すると)、操作受部66bの後縁部が操作片64の傾斜部64aの後端に当接する。係止部66aは平面視で完全にフレーム52aから幅方向外側へ外れる。このため、昇降台48の上昇が許容されることとなる。なお、この後は下扉18が開放位置に達するまで、操作片66aは操作受部66に幅方向外側から当接し続ける。フック部材66は、係止位置への変位を操作片64により阻止され、昇降台48から退避して昇降台48の昇降を許容する解除位置で保持される。
【0139】
図29を参照して、下扉18が更に10度ほど回転すると(閉鎖位置から約55度回転すると)、アーム部材62の内端部62bのリフト面62dが、スライド部材65の下端に当接する。この後に更に下扉18が開方向に回動すると、内端部62bが前方へ変位すると共に上方へ変位する。下扉18に入力される操作力が昇降台48の重力に打ち勝つことで、スライド部材は内端部62bによって持ち上げられる。それにより、係着軸50ひいては昇降台48が上昇する。フック部材66は解除位置で保持されているため、フック部材66の係止部66aがこの上昇を阻害することはない。
【0140】
図30及び
図31を参照して、下扉18が更に35度ほど回転して(閉鎖位置から約90度回転して)下扉18が開放位置にあると、スライド部材65が上下方向の変位範囲の上端に位置付けられる。昇降台48も昇降範囲の上端である上昇位置に位置付けられる。蓋40は炊飯鍋30の上方に離隔し、炊飯鍋30が開放される。なお、操作片64の傾斜部64aの幅方向の寸法は、操作受部66bの傾斜された前縁部の幅方向の寸法よりも大きい。そのため、操作受部66bの前縁部を幅方向外側に傾斜させていても、操作片64の前端部が操作受部66bで引っかかることなく、アーム部材62が前方へ変位可能となる。逆に言えば、操作片64の前端部は、操作受部66bの前縁部の幅方向外側で操作受部66bの前縁部よりも前方へと変位していく。
【0141】
下扉18が開放位置にあるときには、炊飯部23の前端開口が全開される。利用者は、樹脂製のフランジ部30aを掴んで手前に引くことで、炊飯鍋30を炊飯部23の前端開口を介して筐体10外に取り出すことができる。
【0142】
下扉18を開放位置から閉方向に回動する場合については、上記と逆に作動する。下扉18が開放位置から閉方向に回動すると、これに伴ってアーム部材62が後方へ変位する。外端部62aは上方へ変位する一方、内端部62bは下方へ変位する。リフト面62dの下動に伴い、スライド部材65は、昇降台48の重力の影響で下方に変位し、リフト面62dに支持されている状態を維持する。下扉18が開放位置から閉方向に約35度回転すると、スライド部材65が上下方向の変位範囲の下端に位置し、昇降台48及び蓋40が昇降範囲の下端である下降位置に位置付けられる(
図29を参照)。これにより、蓋40で炊飯鍋30が密閉される。
【0143】
下扉18が更に10度ほど回転すると(開放位置から約45度回転すると)、操作受部66bの後縁部が操作片64の傾斜部64aの後端に当接し(
図28を参照)、下扉18が更に15度ほど回転すると(開放位置から約60度回転すると)、操作受部66bの後縁部が操作片64の傾斜部64aの前端に当接し(
図26及び
図27を参照)、下扉18が更に10度ほど回転すると(開放位置から約70度回転すると)、操作片64の前縁部が操作受部66bの後縁部に達する(
図24及び
図25を参照)。この後に更に下扉18が閉方向に回動することで、操作片64は操作受部66bの後方へ退避する。操作片64による操作受部66aへの押圧が解除されることから、フック部材66を係止位置で保持する状態が解除される。ただし、フック部材66は特段付勢されておらず、一対のアーム部66c及び一対の係止部66aの重量は操作受部66bよりも大きいことから、フック部材66には解除位置に向かう回転モーメントが作用する。
【0144】
下扉18が更に10度ほど回転すると(開放位置から約80度回転すると)、ストッパ63aの後端部が操作受部66bの前縁部に当接する(
図23及び
図24を参照)。操作受部66bの前縁部は幅方向外側へ傾斜している。そのため、フック部材66が回転モーメントで解除位置に維持されており、ストッパ63aが変位する領域内に操作受部66bが侵入していたとしても、操作受部66bがストッパ63aにより幅方向外側に押される。それにより、フック部材66が解除位置から係止位置へと変位する。この変位の過程で、係止部66aが幅方向内側に変位し、平面視でフレーム52aとオーバーラップする。
【0145】
下扉18が更に10度ほど回転して(開放位置から約90度回転して)閉鎖位置に達すると、ストッパ63aが操作受部66bの幅方向内側に入り込む。操作受部66bが幅方向内側に変位することを阻止され、フック部材66が係止位置で保持される。
【0146】
この状態で炊飯鍋30を使用した炊飯調理が行われる。炊飯鍋30の内圧が高くなり蓋40に上向きの力が作用したとしても、昇降台48が係止部66aに押し付けられる。フック部材66が蓋40及び昇降台48の上昇を規制し、高圧での調理が可能となる。
【0147】
このように、本実施形態に係る炊飯器1によれば、鍋収容部としての炊飯部23の開口を開閉する操作と連動して、炊飯部23に配置されている炊飯鍋30の開口が開閉される。このため、使い勝手がよい。
【0148】
下扉18の回動範囲は、略90度であり、それにより前端開口を完全に閉鎖でき、又は前端開口を前方に全開できる。これに対し、昇降台48及びこれに取り付けられている蓋40の回動範囲は、約10度である。このような小さな回動範囲であっても、炊飯鍋30の開口に対して上下方向に変位して炊飯鍋30の開口を十分に開閉できる。従来一般的な筐体10上部の蓋体40を略90度回動させることで筐体10の開口と炊飯鍋30の開口とを同時に開放する形態と比較して、炊飯鍋23の開口の開閉を許容するために必要な上下方向の寸法を大幅に削減できる。したがって、炊飯部23の上方に大きなスペースを確保する必要性がなくなる。
【0149】
上記の作用は、下扉18と連結されて昇降台48と機械的に係合するリンク機構61によって実現される。リンク機構61は、下扉18の回動に伴ってシーソー状に揺動し、開方向への回動では下扉18に連結されている外端部62aが下方へ変位するのに対して内端部62bが上方へ移動する。閉方向への回動では下扉18に連結されている外端部62aが上方へ変位するのに対して内端部62bが下方へ変位する。開方向への回動時における内端部62bの変位方向と蓋40に求められる変位方向とが一致し、且つ閉方向への回動時における内端部62bの変位方向と蓋40に求められる変位方向とが一致する。
【0150】
これに着眼して、リンク機構61は、アーム部材62の内端部62bによって操作されるスライド部材65を備え、スライド部材65が昇降台48と機械的に係合し、昇降台48を昇降させる。このように、シーソー状のアーム部材62を使用することで、開閉操作と昇降台48及び蓋40の昇降動作とを好適に連動させることができる。また、下扉18に連結された外端部62aと逆方向に上下変位する内端部62bは、筐体10の内部に収められているため、下扉18の開閉操作と蓋40の昇降とを連動させる機構が筐体10に完全に内蔵されて美観を高く維持できる。
【0151】
リンク機構61は、蓋40の昇降ひいては炊飯鍋30の開口の開閉操作だけでなく、蓋40による開口の密閉状態の保持とその解除とを切り替える操作も行う。そのため、利用者の使い勝手が更に高くなり、また、高圧調理が可能な炊飯器1を提供できる。
【0152】
密閉状態の保持は、昇降台48に上から覆いかぶさる係止部66aを有したフック部材66によって実現される。フック部材66は、係止部66aが平面視で昇降台48とオーバーラップする係止位置と、平面視で昇降台48から外れた解除位置との間で前後方向に延びる揺動軸A3周りに揺動可能であり、アーム部材62の変位に連動してフック部材66が変位する。これにより、下扉18の開閉操作と連動して、炊飯鍋30の密閉を保持する状態と、この保持を解除する状態とを切り換えることができ、利用者の利便性が向上する。
【0153】
下扉18が開放位置にあれば、昇降台48は上昇位置にあり、フック部材66は解除位置に保持される。下扉18が開放位置から閉方向に回動すると、フック部材66の変位に先立ち、昇降台48の下降が開始する。昇降台48が下降位置に達して炊飯鍋30が密閉されてから、フック部材66の解除位置での保持が解除され、フック部材66が解錠位置から係止位置へと変位する。昇降台48の下降とフック部材66の変位とが、下扉18の操作量に応じてこの順番で行われるため、炊飯鍋30を確実に密閉状態にすることができる。
【0154】
下扉18が閉鎖位置にあれば、昇降台48は下降位置にあり、フック部材66は係止位置に保持されている。下扉18が閉鎖位置から開方向に回動すると、昇降台48の上昇に先立ち、フック部材66の変位が開始する。フック部材66が係止位置から解除位置に変位して解除位置に保持されてから、スライド部材65の上昇、並びに昇降台48及びこれに取り付けられた蓋40の上昇が開始する。フック部材66の変位と昇降台48の上昇とが、下扉18の操作量に応じてこの順番で行われるため、炊飯鍋30を確実に開放できる。
【0155】
例えば調理中に下扉18が閉鎖位置から誤って開方向に操作された場合を想定する。調理中は、炊飯鍋30が高圧であるため、蓋40の下面に上向きの圧力が作用する。この圧力は昇降台48の自重及び蓋40の密着力に抗して昇降台40を上昇させる一方、係止部66aが昇降台48のフレーム52aに覆いかぶさっているため、昇降台48は係止部66aに上から強く押し付けられる。
【0156】
この状態で、下扉18が開方向に操作された場合、その操作力は、ストッパ63aと操作受部66bとの間で発生する摩擦力よりも大きい蓋然性が高く、アーム部材62は前方に変位し得る。ストッパ63aが操作受部66bに対して前方に離脱すると、次いで、操作片64が操作受部66bの前縁部に当接する。調理中でなければ、上記のとおり、フック部材66は、付勢部材67から操作片64を介して付与される付勢力で解除位置へ変位を始める。
【0157】
しかし、炊飯鍋30の内圧に基づいて昇降台48と係止部66aとの間には強い摩擦力が生じる。付勢部材67の付勢力は、この圧力に基づく摩擦力に対抗できない程度の大きさに設定されている。そのため、操作受部66bは幅方向に変位せず、逆に、操作片64が付勢力に抗して幅方向外側へ倒れながら前方へ移動する。付勢部材67がコイルスプリングである場合には、コイルスプリングが圧縮されることとなる。
【0158】
下扉18に更に開方向の操作力が入力されると、アーム部材62の内端部62bがスライド部材65に当接する。操作力はアーム部材62、スライド部材65、係着軸50を介して昇降台48のフレーム52aに伝達されるが、係止位置で保持されているフック部材66の係止部66aで受け止められる。そのため、開方向へ操作しようにも、利用者はこれ以降下扉18を開方向に回動させることができない。このように、下扉18が調理中に誤操作によって開放されるのを防ぐことができ、炊飯鍋30の密閉状態が保たれ、適切な炊飯調理を継続できる。
【0159】
このように、本実施形態によれば、扉18の回動に炊飯鍋30の開閉を連動させると共に、炊飯鍋30の密閉状態の保持およびその解除を連動させる機構を、少ない部品点数で実現できる。
【0160】
(第2実施形態)
次に、
図32~
図40を参照して本発明の第2実施形態について上記実施形態との相違点を中心にして説明する。本実施形態は、昇降台48よりも上方の構成が第1実施形態と同一であるため、筐体10の上部の構成の図示及び説明を省略する。
【0161】
図32~
図34を参照して、下枠体11は、底壁11b及び一対の側壁11aを有し、それにより炊飯部23の前端開口が画定される。筐体10は、炊飯部23の前端開口を開放可能に閉鎖する下扉18を有する。下扉18は、前端開口の下縁部に幅方向に延びる回転軸周りに回動可能に取り付けられ、当該下縁部から上方に延びる閉鎖位置と当該下縁部から前方に延びる開放位置との間の略90度の回動範囲で回動する。
【0162】
本実施形態に係るリンク機構161は、アーム部材162、ガイド突起11c、スライド部材165、直動カム機構168、及びフック部材166を備える。アーム部材162は、前後方向に長尺の板状であり、厚さ方向が幅方向に向けられている。アーム部材162の前端部には、上下方向に延びる長孔162aが設けられ、この長孔162aに挿通される幅方向に延びるピン(図示せず)を介して下扉18に枢支されている。
【0163】
スライド部材165は、下枠体11の側壁11aに前後方向に摺動可能に支持されている。スライド部材165は、側面視で長方形状である。側壁11aは、上端部及び下端部に幅方向外側に突出して前後方向に水平に延びる支持リブ11jを有する。スライド部材165は、支持リブ11jの間に嵌め込まれ、上下一対の支持リブ11jにより前後方向の摺動を案内される。
【0164】
アーム部材162は、スライド部材165の下部の内面に固着されている。アーム部材162及びスライド部材165を貫通して前後方向に延びるガイド溝162bが形成されている。本実施形態では、前後に並んで2つのガイド溝162bが形成されているが、1つでもよい。
【0165】
直動カム機構168は、カム溝169とこれに係合するカムフォロワ168aで構成され、カム溝169及びカムフォロワ168aは、スライド部材165と昇降台48とに分かれて設けられている。本実施形態では、カム溝169がスライド部材165の上部に設けられ、カムフォロワ168aが昇降台48に設けられている。直動カム機構168は、スライド部材165の前後方向への直線移動を昇降台48の上下方向への直線移動に変換する。カム溝が昇降台に設けられ、カムフォロワがスライド部材に設けられていてもよい。
【0166】
カム溝169は、スライド部材165の上部に形成されている。カム溝169は、前後方向に水平に延びる下側水平部169aと、下側水平部169aよりも後方且つ上方で前後方向に水平に延びる上側水平部169bと、下側水平部169aの後端と上側水平部169bの前端とを接続する傾斜部169cとを有する。カムフォロワ168aは、昇降台48のフレーム52aの側面から幅方向外側へ突出し、側壁11aに形成されて上下方向に延びるガイドスリット11kを通過してカム溝169内に嵌め込まれている。
【0167】
フック部材166は、スライド部材165の上部の内面に重ね合わされるベース部166cと、ベース部166cの上縁から幅方向内側へ突出する前後一対の係止部166aと、ベース部166cの下縁から幅方向内側へ突出する前後一対のガイド受部166fとを有する。ガイド受部166fは、側壁11aの上下方向の中央部に設けられた溝内に嵌め込まれる。これにより、フック部材166ひいてはスライド部材165が側壁11aに対して上方に変位することを規制できる。係止部166aは、側壁11aの上縁部に形成された貫通孔11hを通過して側壁11aの内面側に延びている。貫通孔11hは、前後方向において、ガイド溝162bと概略同じ長さ、すなわち、スライド部材165の側壁11aに対するスライド量と概略同じ長さを有する。
【0168】
上記実施形態と同様にして、昇降台48は、補助部材52を有し、補助部材52は、左右両側で前後方向に延びる一対のフレーム52aを有している。上記実施形態とは異なり、フレーム52aの上面には前後に離れて一対の突起52bが設けられている。また、昇降台48は、回動可能に筐体10に取り付けられていない。カムフォロワ168aが、上下方向に延びるガイドスリット11kを通過していることからわかるとおり、昇降台48は筐体10に対して上下方向に直線的に変位可能に支持されている。
【0169】
以下、
図32及び
図34~
図40を参照して、本実施形態に係るリンク機構161の動作を説明する。
【0170】
下扉18が閉鎖位置に位置しているときには、アーム部材162の長孔162aが、下扉18の回転軸に対して僅かに上方且つ後方に離れている。また、カムフォロワ168aが、カム溝169の前端に当接又は近接すると共にガイドスリット11kの下端に当接又は近接する。すなわち、昇降台48は、昇降範囲内の下限である下降位置に位置付けられる。係止部166aは、対応する突起52bの上面の僅かに上方に位置付けられる。炊飯鍋30の内圧が上昇し、内圧が蓋40および昇降台48に上向きに作用しても、突起52bが係止部166aの下面に押し付けられ、蓋40及び昇降台48の上方への変位が規制される。これにより、炊飯鍋30の密閉状態が保持される。
【0171】
下扉18が閉鎖位置から開方向に回動すると、アーム部材162の前端部が、下扉18の回転軸周りに回動する。長孔162aに挿通されるピンは、まず、回転軸に対して上方且つ前方へ変位する。一方、アーム部材162は、ガイド溝162bとガイド突起11cとの嵌合により、幅方向の軸線周りの回転が規制される。更には、アーム部材162が固着されているスライド部材165は、一対の支持リブ11jに挟まれており、スライド部材165の幅方向の軸線周りの回転も規制されている。長孔162aは上下方向に長尺であるため、ピンが長孔162a内を上方へ移動し、アーム部材162の幅方向の軸線周りの姿勢が維持される。ピンの前方への変位により、アーム部材162およびこれが固着されているスライド部材165が前方へ直線的に変位する。ピンが下扉18の回転軸の真上を通過した後も、これと同様である。ピンは長孔162a内を下方へ変位するもののアーム部材162およびスライド部材165は、これには追従しない。アーム部材162およびスライド部材165は、ピンの前方への変位に追従し、前方へ直線的に変位する。下扉18が閉鎖位置から開放位置に回動している間、ピンは前方へ変位し続け、アーム部材162およびスライド部材165もこれに追従する。
【0172】
スライド部材165が前方に変位することで、カム169が前方へ変位する。カムフォロワ168aから見ると、カムフォロワ168a、カム溝169内を後方へ相対変位することとなる。カムフォロワ168aは、下側水平部169aから傾斜部169cを介して上側水平部169bに移動する。カムフォロワ168aが下側水平部169aの前端部から後端部まで移動する間に、スライド部材165に固着されているフック部材166の係止部166aは、前方に変位して平面視において突起52bの上面に対して前方に外れる。カムフォロワ168aが下側水平部169aの後端、すなわち傾斜部169cの下端から傾斜部169c内を上方へ移動する間に、昇降台48は下端位置から上端位置へと上昇する。フック部材166による昇降台48の係止が解除されているので、昇降台48は上昇することが許容される。カムフォロワ168aは傾斜部169cの上端に達すると上側水平部169b内を後方へ移動し、昇降台48の上昇後における下扉18の開放位置までの回動を許容する。
【0173】
下扉18が開放位置に位置しているときには、蓋40が炊飯鍋30から上方へ離隔し、炊飯鍋30が開放される。第1実施形態と同様に、利用者は、炊飯鍋30を前方へ引くことで、炊飯部23から炊飯鍋30を容易に取り出すことができる。
【0174】
下扉18が開放位置から閉方向に回動すると、上記開方向への回動時と逆の動作が行われる。すなわち、アーム部材162及びスライド部材165、後方へ直線的に変位する。直動カム機構168のカムフォロワ168aは、カム溝169に対して相対的に前方へ変位する。カムフォロワ168aはまず上側水平部169b内を後端から前端へと相対変位する。このとき、昇降台48は下端位置に維持される。係止部166aは突起52bに近づくが、依然として突起52bに対して前方に離隔された状態であり、突起52bの上面は係止部166aよりも上方に突出している状態である。
【0175】
カムフォロワ168aは、上側水平部169bの前端、すなわち傾斜部169cの上端から傾斜部169c内を下方へと相対移動する。これにより、昇降台48は、昇降範囲の上端である上昇位置から昇降範囲の下端である下端位置へと下降する。この下降により、突起52bの上面は、係止部166aの下面よりも僅かに下方に位置付けられる。一方で、突起52bの上面と係止部166aとは平面視において前後方向に近接した状態となる。
【0176】
カムフォロワ168aは、傾斜部169cの下端、すなわち下側水平部169aの後端から下側水平部169a内を前方へと相対変位する。これにより、突起52bの上面が係止部166aの下方に位置付けられるとともに平面視において係止部166aが突起52bの上面とオーバーラップする。このように、扉18の閉方向の回動と連動して昇降台48を下降させることができ、昇降台48に取り付けられている蓋40で炊飯鍋30の開口を密閉することができる。また、蓋40による密閉操作が終わると、フック部材66が昇降台48に係止し昇降台48の上昇が阻止される。そのため、上記したとおり、高圧炊飯が可能になる。
【0177】
このように、本実施形態においても、扉18の回動に炊飯鍋30の開閉を連動させると共に、炊飯鍋30の密閉状態の保持及びその解除を連動させる機構を、少ない部品点数で実現できる。
【0178】
(変形例)
これまで本発明の実施形態について説明したが、上記の構成は、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更、追加、及び/又は削除可能である。
【0179】
例えば、第2実施形態のようにスライド部材及び直動カム機構を利用して昇降台を昇降させる場合において、昇降台は、第1実施形態のように、筐体10の後部にて幅方向に延びる揺動軸線周りに回動可能に支持されていてもよい。
【0180】
逆に、第1実施形態のようにシーソー状に揺動するアーム部材及びこれによって上下方向に変位するように操作されるスライド部材を利用して昇降台を昇降させる場合において、昇降台は、第2実施形態のように、上下方向に直線的に変位可能に筐体10に支持されていてもよい。
【0181】
また、炊飯部の上部には、米収容部及び水収容部の両方が設けられていなくてもよく、これらのうちいずれか一方のみが設けられていてもよい。また、炊飯部の上部には、米収容部及び水収容部が設けられていなくてもよい。すなわち、炊飯器は、自動炊飯機能を有していなくてもよい。
【符号の説明】
【0182】
1 炊飯器
10 筐体
11 下枠体
11a 側壁
11b 仕切壁
11c ガイド突起
12 上枠体
12a 側壁
12b 底壁
12c 仕切壁
12d 連通孔
12e 膨出部
12f 貫通孔
12g 膨出部
12h 後壁部
13 フレーム
13a 側壁
13b 後壁
14 側面パネル
15 背面パネル
16 底面パネル
17 天面パネル
18 下扉
18a 内板
19 上扉
19a 内板
20 アーム部材
21 第1仕切部材
21a 側壁
21b 後壁
22 第2仕切部材
22a 縦壁
22b 横壁
22c 切り欠き
23 炊飯部
24 米収容部
25 水収容部
30 炊飯鍋
30a フランジ部
31 断熱カバー
32 コイル
33 胴ヒータ
34 蓋ヒータ
35 保護枠
36 内胴
37 鍋温度センサ
38 蓋温度センサ
40 蓋
41 蓋本体
41a 窪み
42 シール部材
43 排気ユニット
43a 排気部
44 排気口
45 調圧弁
46 安全弁
47 弁体
47a 弁本体
47b 弁軸
47c 弁座
47d 開口部(供給口)
48 昇降台
48a 取付部
49 ヒンジ軸
50 係着軸
51 放熱板
52 補強板
52b 突起
53 調圧ソレノイド
54 供給ソレノイド
55 操作部材
56 投入部材
56a 外周壁
56b 底壁
56c 連通部
56d 接続部
57 ダクト部材
58 ファン
59 チューブ
61,161 リンク機構
62,162 アーム部材
62a 外端部
162a 長孔
62b 内端部
62c,162 ガイド溝
63 補助部材
63a ストッパ
64 操作片
65,165 スライド部材
66,166 フック部材
66a,166a 係止部
66b 操作受部
70 米容器
71 米容器本体
71a 底壁
71b 連通口
72 蓋
73 摺切部材
73a 弾性片
75 米供給機構
76 升部材
76a ラック
77 米計量部
78 底カバー
79 ガイドカバー
79a 給米孔
80 給米モータ(駆動部)
81 駆動歯車
82 従動歯車(ピニオン)
83 給米路
84 ダクト
85 スイッチ(米容器検出部)
90 水容器
90a 仕切壁
90b 水容器本体
90c 底壁
91 蓋
94 水供給機構
95 水計量部
95a 仕切壁
95b 底壁
96A 第1升部
96B 第2升部
98 ポンプ
99 羽根車(ポンプ本体)
99a ケース部
99b 連通孔
100 パイプ部
101 給水モータ(駆動部)
102 継手
103 止水弁
104,104A,104B 給水ソレノイド(駆動部)
105 操作部材
108 給水路
109 水受部
110 チューブ
112 センサ(水容器検出部)
113 水容器ヒータ
120 操作パネル(受付部)
121 液晶パネル
122 炊飯スイッチ
123 とりけしスイッチ
125 制御部
126 タイマ
127 メモリ
131 前面パネル
132 ヒンジブラケット
133 ブラケット
134 ステー
168 直動カム機構
168a カムフォロワ
169 カム溝
169a 下側水平部
169b 上側水兵部
169c 傾斜部