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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117552
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/14 20060101AFI20240822BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20240822BHJP
【FI】
B05B1/14 Z
B05B12/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023697
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】勝田 治
(72)【発明者】
【氏名】松崎 尚洋
(72)【発明者】
【氏名】関野 博一
【テーマコード(参考)】
4F033
4F035
【Fターム(参考)】
4F033AA04
4F033BA03
4F033BA04
4F033CA07
4F033DA05
4F033EA01
4F033NA01
4F035AA01
4F035BA22
4F035BC06
(57)【要約】
【課題】液体の噴射範囲を広くしつつ対象物に着弾した液体が溜まって液膜が形成されることで液滴の衝突力が低下することを抑制する。
【解決手段】液体3を噴射する噴射部2を備え、液体3を噴射部2の噴射面26から連続流3aで噴射するとともに連続流3aを液滴3b化させて液滴3b状で対象物Oに衝突させることが可能な液体噴射装置1であって、噴射面26には、液体3を噴射する複数の第1ノズル孔21が第1間隔L1を空けて並べられた第1ノズル列22が、第1ノズル列22において第1ノズル孔21の並べられるノズル孔並び方向D1と交差するノズル列並び方向D2に第2間隔L2を空けて複数並べられ、第2間隔L2は、第1間隔L1の2倍以上である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射する噴射部を備え、前記液体を前記噴射部の噴射面から連続流で噴射するとともに前記連続流を液滴化させて液滴状で対象物に衝突させることが可能な液体噴射装置であって、
前記噴射面には、前記液体を噴射する複数の第1ノズル孔が第1間隔を空けて並べられた第1ノズル列が、前記第1ノズル列において前記第1ノズル孔の並べられるノズル孔並び方向と交差するノズル列並び方向に第2間隔を空けて複数並べられ、
前記第2間隔は、前記第1間隔の2倍以上であることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置において、
前記第1間隔は、前記第1ノズル孔の孔径の10倍以上であることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液体噴射装置において、
前記噴射面は、前記ノズル列並び方向において前記第1ノズル孔の設けられる長さと、前記ノズル列並び方向と直交する方向における前記第1ノズル孔の設けられる長さと、の長い方と短い方との比が、1.5以上であることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の液体噴射装置において、
前記噴射部は、前記噴射面の面積に対して前記第1ノズル孔の形成面積が占める割合が1%以下であることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の液体噴射装置において、
前記第1ノズル孔の孔径は、150μm以下であることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の液体噴射装置において、
前記噴射面は、前記液体の噴射方向から見て前記第1ノズル孔の形成領域の外側に、前記第1ノズル孔とは孔径の異なる第2ノズル孔が配置されることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液体噴射装置において、
前記第2ノズル孔から噴射される単位時間当たりの前記液体の流量は、前記第1ノズル孔から噴射される単位時間当たりの前記液体の流量よりも大きいことを特徴とする液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、対象物に対して液体を噴射させる様々な液体噴射装置が使用されている。このような液体噴射装置のうち、例えば、特許文献1に開示される皮膚洗浄用液体噴射装置のように、液体を連続流で噴射するとともに連続流を液滴化させて液滴状で対象物に衝突させる液体噴射装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-128872号公報
【特許文献2】特開2016-104930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対象物に対して液体を噴射させる際の噴射範囲を広くするための方法として、液体を噴射するノズル孔を増やすことが考えられる。例えば、特許文献2のシャワーヘッドのように、複数のノズル孔を円形状に配置することが考えられる。しかしながら、液体を連続流で噴射するとともに連続流を液滴化させて液滴状で対象物に衝突させる液体噴射装置においては、対象物に着弾した液体が狭い範囲に溜まって液膜が形成されると、液膜に液滴が衝突し、所望の衝突力で液体を対象物に衝突させることができない場合がある。液体を噴射するノズル孔を増やす場合、その構成によっては、対象物に着弾した液体が溜まって液膜が形成されやすくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の液体噴射装置は、液体を噴射する噴射部を備え、前記液体を前記噴射部の噴射面から連続流で噴射するとともに前記連続流を液滴化させて液滴状で対象物に衝突させることが可能な液体噴射装置であって、前記噴射面には、前記液体を噴射する複数の第1ノズル孔が第1間隔を空けて並べられた第1ノズル列が、前記第1ノズル列において前記第1ノズル孔の並べられるノズル孔並び方向と交差するノズル列並び方向に第2間隔を空けて複数並べられ、前記第2間隔は、前記第1間隔の2倍以上であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の実施例1の液体噴射装置を表す概略図。
図2図1の液体噴射装置の噴射部の噴射面を表す概略図。
図3図2の噴射面の拡大図。
図4図1の液体噴射装置を用いて対象物に液体を噴射させている状態を表す概略図であって、対象物を平面視した状態を表す図。
図5図1の液体噴射装置を用いて対象物に液体を噴射させている状態を表す概略図であって、対象物を側面視した状態を表す図。
図6】本発明の実施例2の液体噴射装置の噴射部の噴射面を表す概略図。
図7】本発明の実施例3の液体噴射装置の噴射部の噴射面を表す概略図。
図8】参考例の液体噴射装置を用いて液体を衝突させた際に液体の着弾領域に液膜が発生した状態を表す概略図であって、対象物を側面視した状態を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
最初に、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の液体噴射装置は、液体を噴射する噴射部を備え、前記液体を前記噴射部の噴射面から連続流で噴射するとともに前記連続流を液滴化させて液滴状で対象物に衝突させることが可能な液体噴射装置であって、前記噴射面には、前記液体を噴射する複数の第1ノズル孔が第1間隔を空けて並べられた第1ノズル列が、前記第1ノズル列において前記第1ノズル孔の並べられるノズル孔並び方向と交差するノズル列並び方向に第2間隔を空けて複数並べられ、前記第2間隔は、前記第1間隔の2倍以上であることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、液体を噴射する複数の第1ノズル孔で構成される第1ノズル列を複数有することで液体の噴射範囲を広くすることができる。また、第1ノズル列同士の間隔である第2間隔が第1ノズル孔同士の間隔である第1間隔の2倍以上であることで、対象物に着弾した液体を、第1ノズル列同士の間の領域に対応する対象物における液体の着弾領域とは異なる領域に逃がすことができる。すなわち、対象物に着弾した液体が溜まって液膜が形成されることで液滴の衝突力が低下することを抑制することができる。
【0009】
本発明の第2の態様の液体噴射装置は、前記第1の態様に従属する態様であって、前記第1間隔は、前記第1ノズル孔の孔径の10倍以上であることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、第1間隔は第1ノズル孔の孔径の10倍以上である。このような構成とすることで、対象物に着弾した液体が溜まって液膜が形成されることを特に効果的に抑制でき、液滴の衝突力が低下することを特に効果的に抑制することができる。
【0011】
本発明の第3の態様の液体噴射装置は、前記第1または第2の態様に従属する態様であって、前記噴射面は、前記ノズル列並び方向において前記第1ノズル孔の設けられる長さと、前記ノズル列並び方向と直交する方向における前記第1ノズル孔の設けられる長さと、の長い方と短い方との比が、1.5以上であることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、噴射面は、ノズル列並び方向において第1ノズル孔の設けられる長さの、ノズル列並び方向と直交する方向における第1ノズル孔の設けられる長さに対する比が、1.5以上である。このような構成とすることで、対象物に噴射した液体を対象物における液体の着弾領域とは異なる領域に特に効果的に逃がすことができ、液滴の衝突力が低下することを特に効果的に抑制することができる。
【0013】
本発明の第4の態様の液体噴射装置は、前記第1または第2の態様に従属する態様であって、前記噴射部は、前記噴射面の面積に対して前記第1ノズル孔の形成面積が占める割合が1%以下であることを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、噴射部は、噴射面の面積に対して第1ノズル孔の形成面積が占める割合が1%以下である。このような構成とすることで、対象物に着弾した液体が溜まって液膜が形成されることを特に効果的に抑制でき、液滴の衝突力が低下することを特に効果的に抑制することができる。
【0015】
本発明の第5の態様の液体噴射装置は、前記第1または第2の態様に従属する態様であって、前記第1ノズル孔の孔径は、150μm以下であることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、第1ノズル孔の孔径は150μm以下である。このような構成とすることで、液体を連続流で噴射するとともに連続流を液滴化させて液滴状で対象物に衝突させることを特に好適に実行することができる。
【0017】
本発明の第6の態様の液体噴射装置は、前記第1または第2の態様に従属する態様であって、前記噴射面は、前記液体の噴射方向から見て前記第1ノズル孔の形成領域の外側に、前記第1ノズル孔とは孔径の異なる第2ノズル孔が配置されることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、噴射面は、液体の噴射方向から見て第1ノズル孔の形成領域の外側に、第1ノズル孔とは孔径の異なる第2ノズル孔が配置される。このような構成とすることで、第1ノズル孔から噴射された液体により対象物から除去された汚れなどに伴う異物を周囲に配置された第2ノズル孔から噴射された液体で対象物上から洗い流すことができる。
【0019】
本発明の第7の態様の液体噴射装置は、前記第6の態様に従属する態様であって、前記第2ノズル孔から噴射される単位時間当たりの前記液体の流量は、前記第1ノズル孔から噴射される単位時間当たりの前記液体の流量よりも大きいことを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、第2ノズル孔から噴射される単位時間当たりの液体の流量は、第1ノズル孔から噴射される単位時間当たりの液体の流量よりも大きい。このため、例えば対象物に付着していた汚れなどに伴う異物を、第2ノズル孔から吐出された液体により、特に効果的に除去することができる。
【0021】
[実施例1]
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。最初に、図1を参照して本発明の実施例1に係る液体噴射装置1の概要について説明する。図1に示す液体噴射装置1は、液体3を噴射する噴射部としてのヘッド部2と、噴射する液体3を送る送液ポンプ6と、噴射する液体3を貯留するタンク8と、タンク8と送液ポンプ6とをつなぐ液体吸引チューブ7と、送液ポンプ6とヘッド部2とをつなぐ送液チューブ9と、を備えている。また、ヘッド部2への駆動信号線51と送液ポンプ6への制御信号線52とを有する制御装置5を備えている。
【0022】
ユーザーは、このような構成の液体噴射装置1を用い、把持部4を把持し、ヘッド部2から液体3を噴射させ、所望の対象物Oに液体3を衝突させることにより、各種作業を行う。各種作業とは、例えば、歯科治療などの医療用途や、対象物に関して、洗浄、バリ取り、剥離、はつり、切除、切開、破砕等することが挙げられる。本実施例の液体噴射装置1は、液体3を噴射する噴射部としてのヘッド部2を備え、ヘッド部2の噴射面26から噴射方向bに連続状態で噴射された液体3の連続流3aが液滴3bとなる液滴化された状態で該液滴3bを対象物Oに衝突させる液体噴射装置である。
【0023】
次に、液体噴射装置1の要部であるヘッド部2について図2から図5を参照して詳細に説明する。図2及び図3で表されるように、本実施例のヘッド部2の噴射面26には、液体3を噴射する複数の第1ノズル孔21が設けられている。図3で表されるように、第1ノズル孔21は第1間隔L1を空けて方向D1に沿って並べられ、方向D1に複数の第1ノズル孔21が並べられることにより第1ノズル列22が形成されている。
【0024】
また、図2で表されるように、本実施例のヘッド部2の噴射面26には、複数の第1ノズル列22が方向D2に並べられている。詳細には、図3で表されるように、第1ノズル列22において第1ノズル孔21の並べられるノズル孔並び方向である方向D1と交差する方向D2に、すなわち、ノズル列並び方向に、複数の第1ノズル列22が第2間隔L2を空けて複数並べられている。このように、液体3を噴射する複数の第1ノズル孔21で構成される第1ノズル列22を複数有することで液体3の噴射範囲を広くすることができる。
【0025】
ここで、本実施例のヘッド部2においては、第2間隔L2は、第1間隔L1の約2倍となっている。このように、第2間隔L2は、第1間隔L1の2倍以上とすることが好ましい。第1ノズル列22同士の間隔である第2間隔L2が第1ノズル孔21同士の間隔である第1間隔L1の2倍以上であることで、対象物Oに着弾した液体3を、第1ノズル列22同士の間の領域に対応する対象物Oにおける液体3の着弾領域とは異なる領域に逃がすことができるためである。すなわち、対象物Oに着弾した液体3が溜まって液膜34が形成されることで液滴3bの衝突力が低下することを抑制することができるためである。
【0026】
ここで、対象物Oに着弾した液体3が溜まって液滴3bの着弾位置に液膜34が形成される場合と、液滴3bの着弾位置から該着弾位置とは異なる領域に液体3をすぐに逃がすことができる場合と、について説明する。対象物Oに着弾した液体3が溜まって液滴3bの着弾位置に液膜34が形成される場合とは、対象物Oに着弾した液体3が対象物O上で溜まって液膜34が形成されることで液滴3bの衝突力が低下する場合に対応する。また、液滴3bの着弾位置から該着弾位置とは異なる領域に液体3をすぐに逃がすことができる場合とは、対象物Oにおける液体3の着弾位置とは異なる位置、すなわち、第1ノズル列22同士の間の領域に対応する対象物O上の位置に液体3をすぐに逃がすことができることで液滴3bの衝突力の低下を抑制する場合に対応する。
【0027】
最初に、参考例の液体噴射装置を用いて液体3を対象物Oに衝突させた際に液体3の着弾位置に液膜34が発生した状態について、図8を参照して説明する。図8で表されるように、ノズル孔の密度が高い場合、対象物Oに大きな液膜34が発生する。大きな液膜34が発生すると液滴3bの着弾位置に液膜34が形成され続ける状態となり、液滴3bが対象物Oに着弾した際の衝突力が液膜34により吸収され、大きな衝突力を対象物Oに与えることができなくなる。そして、液滴3bの衝突力が液膜34に吸収されることで、例えば対象物Oを洗浄する際などにおいて、洗浄力が低下する。
【0028】
なお、図8で表されるように液滴3bの着弾位置に液膜34が形成され続ける状態となるのは、例えば、ノズル孔が円形状に配置されている場合や、隣接するノズル孔の間隔が狭い構成であって一列のノズル列のみを有する場合などにおいて特に生じやすい。また、隣接するノズル孔の間隔が狭い構成であって一列のノズル列のみを有する場合においては、対象物Oにおける隣接するノズル孔から噴射された液滴3b同士による間の領域で、対象物Oに着弾した液滴3b同士が干渉しあってその間の領域で膜形成することで洗浄力が低下することもある。
【0029】
次に、本実施例の液体噴射装置1を用いて液滴3bの着弾位置から該着弾位置とは異なる領域に液体3をすぐに逃がす場合について、図4及び図5を参照して説明する。本実施例の液体噴射装置1を用いて液滴3bを対象物Oに着弾させると、着弾位置に着弾した液体31は、対象物O上で広がる。液体31は、対象物O上において第1ノズル列22に対応した列状体32を形成する。対象物O上の着弾位置に着弾した液体31のうち、方向F1に広がった液体3は、隣接する列状体32から広がった液体3と合体し、列状体32の間の領域において、液溜まり33を形成する。そして、液溜まり33の液体3は方向F2に流れる。このように、対象物O上に着弾した液体3は方向F1、方向F2と順次流れ続けることで、対象物O上の液滴3bの着弾位置に液体3が溜まって液膜34が形成されるということが抑制される。
【0030】
ここで、本実施例の液体噴射装置1においては、図3で表される第1間隔L1は第1ノズル孔21の孔径L3の約10倍となっている。このように、第1間隔L1は第1ノズル孔21の孔径L3の10倍以上であることが好ましい。このような構成とすることで、対象物Oに着弾した液体3が溜まって液膜34が形成されることを特に効果的に抑制でき、液滴3bの衝突力が低下することを特に効果的に抑制することができるためである。なお、第1間隔L1は第1ノズル孔21の孔径L3の20倍以上であることがさらに好ましく、第1間隔L1は第1ノズル孔21の孔径L3の30倍以上であることが特に好ましい。
【0031】
また、本実施例の液体噴射装置1においては、ユーザーは、ヘッド部2を移動させながら対象物Oに液体3を噴射させることができる。ここで、ヘッド部2を移動させながら対象物Oに液体3を噴射させる場合、図3で表される移動方向M1にヘッド部2を移動させながら対象物Oに液体3を噴射させることが好ましい。移動方向M1にヘッド部2を移動させながら対象物Oに液体3を噴射させることで効率的に対象物Oに対して液体3を噴射できるためである。移動方向M1にヘッド部2を移動させながら対象物Oに液体3を噴射させると、狭い間隔である間隔L4ピッチで対象物Oに液滴3bを着弾させることができる。一方、移動方向M2にヘッド部2を移動させながら対象物Oに液体3を噴射させると、広い隔である間隔L5ピッチで対象物Oに液滴3bを着弾させることとなる。狭い間隔で対象物Oに液体3を噴射させることで、例えば対象物Oを洗浄する場合などにおいて洗浄力が向上する。
【0032】
ここで、噴射面26は、図2で表されるノズル列並び方向に対応する方向D2において第1ノズル孔21の設けられる長さL6と、ノズル列並び方向と直交する方向における第1ノズル孔21の設けられる長さL7と、の長い方と短い方との比が、1.5以上であることが好ましい。このような構成とすることで、対象物Oに噴射した液体3を対象物Oにおける液体3の着弾領域とは異なる領域に特に効果的に逃がすことができ、液滴3bの衝突力が低下することを特に効果的に抑制することができるためである。
【0033】
また、ヘッド部2は、噴射面26の面積に対して第1ノズル孔21の形成面積が占める割合が1%以下であることが好ましい。このような構成とすることで、対象物Oに着弾した液体3が溜まって液膜34が形成されることを特に効果的に抑制でき、液滴3bの衝突力が低下することを特に効果的に抑制することができるためである。
【0034】
また、第1ノズル孔21の孔径L3は150μm以下であることが好ましい。このような構成とすることで、液体3を連続流3aで噴射するとともに連続流3aを液滴3b化させて液滴3b状で対象物Oに衝突させることを特に好適に実行することができるためである。
【0035】
[実施例2]
以下に、実施例2の液体噴射装置1について図6を参照して説明する。図6は実施例1の液体噴射装置1における図2に対応する図である。本実施例の液体噴射装置1は、以下で説明する構成以外については、実施例1の液体噴射装置1と同様である。このため、本実施例の液体噴射装置1は、下記の説明箇所以外については実施例1の液体噴射装置1と同様の特徴を有している。そこで、図6では上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0036】
図2などで表されるように、実施例1の液体噴射装置1においては、各々の第1ノズル列22において第1ノズル孔21が一直線に方向D1に沿って並べられていた。一方、図6で表されるように、本実施例の液体噴射装置1においては、各々の第1ノズル列22において第1ノズル孔21が方向D1に対してジグザグに並べられている。このように、第1ノズル列22は、所定の方向に対して第1ノズル孔21がジグザグに並べられていてもよい。なお、そのような場合、ジグザグに並べられる第1ノズル孔21の位置の平均をとる仮想直線Sに基づいて第2間隔L2などを判断することができる。なお、第1ノズル列22は、例えば、仮想直線Sに対して第1ノズル孔21の孔径L3の2倍程度のずれをもってジグザグに並べられていてもよい。さらには、第1ノズル列22は、例えば、第1ノズル孔21の並ぶ方向または仮想直線Sが完全な直線でなくてもよく、カーブしていてもよい。なお、第1ノズル孔21の孔径L3は製造公差などによりばらつく場合があるが、このようなばらつきは2倍程度以下に抑えることが好ましく、ばらつきがある場合はその平均値を基準とすることができる。
【0037】
[実施例3]
以下に、実施例3の液体噴射装置1について図7を参照して説明する。図7は実施例1の液体噴射装置1における図2対応する図である。本実施例の液体噴射装置1は、以下で説明する構成以外については、実施例1及び実施例2の液体噴射装置1と同様である。このため、本実施例の液体噴射装置1は、下記の説明箇所以外については実施例1及び実施例2の液体噴射装置1と同様の特徴を有している。そこで、図7では上記実施例1及び実施例2と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0038】
上記のように、実施例1及び実施例2の液体噴射装置1においては、ノズル孔として第1ノズル孔21のみを有する構成であった。一方、図7で表されるように、本実施例の液体噴射装置1においては、第1ノズル孔21に加え、第2ノズル孔25を有している。
【0039】
詳細には、図7で表されるように、本実施例の液体噴射装置1においては、噴射面26は、液体3の噴射方向bから見て第1ノズル孔21の形成領域の外側に、第1ノズル孔21とは孔径の異なる第2ノズル孔25が配置されている。このような構成とすることで、第1ノズル孔21から噴射された液体3により対象物Oから除去された汚れなどに伴う異物を周囲に配置された第2ノズル孔25から噴射された液体3で対象物O上から洗い流すことができる。
【0040】
さらに詳細には、本実施例の液体噴射装置1においては、第2ノズル孔25の孔径は第1ノズル孔21の孔径L3よりも大きく、第2ノズル孔25から噴射される単位時間当たりの液体3の流量は、第1ノズル孔21から噴射される単位時間当たりの液体3の流量よりも大きくなるように構成されている。このため、本実施例の液体噴射装置1は、例えば対象物Oに付着していた汚れなどに伴う異物を、第2ノズル孔25から吐出された液体3により、特に効果的に除去することができる。なお、本実施例においては、第1ノズル孔21と第2ノズル孔25とが同じプレートからなる噴射面26に形成されているが、第1ノズル孔21と第2ノズル孔25とが異なるプレートに形成されていてもよい。なお、ここでの流量とは、1つの第1ノズル孔21からの流量及び1つの第2ノズル孔25からの流量ではなく、全部の第1ノズル孔21からの合計流量及び全部の第2ノズル孔25からの合計流量を意味する。
【0041】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。例えば、ポンプなどと接続されるのではなく、水道に直接ヘッド部2に繋がる送液チューブ9を取り付けて使用する構成などとしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1…液体噴射装置、2…ヘッド部(噴射部)、3…液体、3a…連続流、3b…液滴、4…把持部、5…制御装置、6…送液ポンプ、7…液体吸引チューブ、8…タンク、9…送液チューブ、21…第1ノズル孔、22…第1ノズル列、25…第2ノズル孔、26…噴射面、31…液体、32…列状体、33…液溜まり、34…液膜、51…駆動信号線、52…制御信号線、O…対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8