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特開2024-117571サブキャリアウェハ、サブキャリア、レーザーモジュール、光学エンジンモジュール、XRグラス、サブキャリアウェハの製造方法及びサブキャリアの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117571
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】サブキャリアウェハ、サブキャリア、レーザーモジュール、光学エンジンモジュール、XRグラス、サブキャリアウェハの製造方法及びサブキャリアの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/023 20210101AFI20240822BHJP
   H01S 5/02255 20210101ALI20240822BHJP
【FI】
H01S5/023
H01S5/02255
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023737
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】本田 隆
(72)【発明者】
【氏名】青柳 岳
(72)【発明者】
【氏名】福田 誠
(72)【発明者】
【氏名】小巻 壮
(72)【発明者】
【氏名】福▲崎▼ 亮平
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MA10
5F173MB03
5F173MC30
5F173MD03
5F173MD04
5F173MD12
5F173MD64
5F173MD84
5F173ME22
5F173ME44
5F173ME66
5F173ME83
5F173MF03
5F173MF25
5F173MF26
5F173MF28
(57)【要約】
【課題】チッピング、パーティクル、クラックなどの抑制されたサブキャリアウェハを提供する。
【解決手段】このサブキャリアウェハは、レーザーモジュール用のサブキャリアウェハであって、ウェハと、前記ウェハの主面に設けられた複数の保護層と、を備え、前記複数の保護層は、離間して配列されており、前記ウェハの主面の一部が露出している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザーモジュール用のサブキャリアウェハであって、
ウェハと、
前記ウェハの主面に設けられた複数の保護層と、を備え、
前記複数の保護層は、離間して配列されており、
前記ウェハの主面の一部が露出している、サブキャリアウェハ。
【請求項2】
前記保護層の側面は、テーパー形状をしており、
前記複数の保護層のうち隣接する保護層の距離は、前記ウェハの主面から離れるに従い大きい、請求項1に記載のサブキャリアウェハ。
【請求項3】
前記ウェハのうち、前記保護層と重ならない領域は、前記保護層と重なる領域と比べて凹んだ凹部が形成されている、請求項1又は2に記載のサブキャリアウェハ。
【請求項4】
前記ウェハは、Siを主成分として含み、
前記保護層は、Siの酸化物と、Siの窒化物と、TEOS膜と、からなる群から選択されるいずれかを主成分として含む、請求項1又は2に記載のサブキャリアウェハ。
【請求項5】
前記複数の保護層のうち、隣接する保護層の距離は、10μm以上である、請求項1又は2に記載のサブキャリアウェハ。
【請求項6】
レーザーモジュール用のサブキャリアであって、
基台と、
前記基台の主面に設けられた保護層と、を備え、
前記保護層の側面はテーパー形状をしており、
前記保護層を平面視したときの面積は、前記基台から離れるに従い、小さくなる、サブキャリア。
【請求項7】
請求項6に記載のサブキャリアを備える、レーザーモジュール。
【請求項8】
請求項7に記載のレーザーモジュールと、
前記レーザーモジュールから出射された光を走査する光走査ミラーと、を備える、光学エンジンモジュール。
【請求項9】
請求項8に記載の光学エンジンモジュールを備える、XRグラス。
【請求項10】
主面に保護層が形成されたウェハに対してエッチングを行い、前記ウェハの一部領域を露出させて複数の保護層を区画化する表面加工工程を有する、サブキャリアウェハの製造方法。
【請求項11】
主面に保護層が形成されたウェハに対してエッチングを行い、前記ウェハの一部領域を露出させて複数の保護層を区画化する表面加工工程と、
前記表面加工工程により前記ウェハが露出した領域に対してダイシングを行うダイシング工程と、を有する、サブキャリアの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブキャリアウェハ、サブキャリア、レーザーモジュール、光学エンジンモジュール、XRグラス、サブキャリアウェハの製造方法及びサブキャリアの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
データトラフィックの増大に伴い、光通信システムや、光通信システムを用いた身の回りの種々の光デバイスの多機能化が進んでいる。最近では多機能化と共に高密度化が求められ、多機能且つ小型な光デバイスが検討されている。
【0003】
近年、シリコン導波路に発光素子や受光素子を集積させるシリコンフォトニクスの技術が進展し、光通信システムに用いられている。合波・分波・波長選択等の光信号処理を行う平面光波回路(Planar Lightwave Circuit:PLC)は、光通信システムに用いられる代表的なシリコン導波路の1つである(例えば、特許文献1)。
【0004】
光通信システム以外の例えば身の回りのウェアラブルデバイスや小型プロジェクタ等においても、使用目的に応じて複数の機能を発現し、且つ装置全体を持ち歩き可能とする、多機能且つ小型な光デバイスが求められている。
【0005】
AR(Augmented Reality:拡張現実)グラス、VR(Virtual Reality:仮想現実)グラス等のXRグラスは小型のウェアラブルデバイスとして期待されている。ARグラス、VRグラスのようなウェアラブルデバイスにおいては通常の眼鏡型のサイズに各機能が収まるように小型化されることが普及に対するカギとなっている。
【0006】
ARグラス、VRグラスなどには、サブキャリア上にレーザーダイオードが備えられたものが知られている。サブキャリアは、Siウェハ上にSiの酸化物乃至窒化物で構成された保護層等が形成された部材である。特許文献1では、種々の部材が形成されたウェハがチップ上に切り出されたものが用いられている。ウェハのチップ化は、ブレードダイシングやレーザーを用いてステルスダイシングにより行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-001289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、保護層は、ウェハと比べて硬い材料で構成されており、保護層が形成されたウェハに対してブレードダイシングを施す場合、カッティングブレードが接触する部分にチッピングやパーティクルが発生する場合があった。また、保護層が形成されたウェハに対してステルスダイシングを施す場合、個片化するためのエキスパンド時に、ウェハ及び保護層の密着性の違いからチッピングやクラックが生じる場合があった。上記の通り、従来技術ではチッピング、パーティクル、クラックなどのないサブキャリアウェハを提供することが難しかった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、チッピング、パーティクル、クラックなどの抑制されたサブキャリアウェハ、サブキャリア、レーザーモジュール、光学エンジンモジュール、XRグラス、サブキャリアウェハの製造方法及びサブキャリアの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
【0011】
(1)本発明の一態様に係るサブキャリアウェハは、レーザーモジュール用のサブキャリアウェハであって、ウェハと、前記ウェハの主面に設けられた複数の保護層と、を備え、前記複数の保護層は、離間して配列されており、前記ウェハの主面の一部が露出している。
【0012】
(2)上記(1)のサブキャリアウェハにおいて、前記保護層の側面は、テーパー形状をしており、前記複数の保護層のうち隣接する保護層の距離は、前記ウェハの主面から離れるに従い大きくてもよい。
【0013】
(3)上記(1)又は(2)のサブキャリアウェハにおいて、前記ウェハのうち、前記保護層と重ならない領域は、前記保護層と重なる領域と比べて凹んだ凹部が形成されていてもよい。
【0014】
(4)上記(1)~(3)のサブキャリアウェハにおいて、前記ウェハは、Siを主成分として含み、前記保護層は、Siの酸化物と、Siの窒化物と、TEOS膜と、からなる群から選択されるいずれかを主成分として含んでいてもよい。
【0015】
(5)上記(1)~(4)のサブキャリアウェハにおいて、前記複数の保護層のうち、隣接する保護層の距離は、10μm以上であってもよい。
【0016】
(6)本発明の一態様に係るサブキャリアは、レーザーモジュール用のサブキャリアであって、基台と、前記基台の主面に設けられた保護層と、を備え、前記保護層の側面はテーパー形状をしており、前記保護層を平面視したときの面積は、前記基台から離れるに従い、小さくなる。
【0017】
(7)本発明の一態様に係るレーザーモジュールは、上記態様に係るサブキャリアを備える。
【0018】
(8)本発明の一態様に係る光学エンジンモジュールは、上記態様に係るレーザーモジュールと、前記レーザーモジュールから出射された光を走査する光走査ミラーと、を備える。
【0019】
(9)本発明の一態様に係るXRグラスは、上記態様に係る光学エンジンモジュールを備える。
【0020】
(10)本発明の一態様に係るサブキャリアウェハの製造方法は、主面に保護層が形成されたウェハに対してエッチングを行い、前記ウェハの一部領域を露出させて複数の保護層を区画化する表面加工工程を有する。
【0021】
(11)本発明の一態様に係るサブキャリアの製造方法は、主面に保護層が形成されたウェハに対してエッチングを行い、前記ウェハの一部領域を露出させて複数の保護層を区画化する表面加工工程と、前記表面加工工程により前記ウェハが露出した領域に対してダイシングを行うダイシング工程と、を有する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、チッピング、パーティクル、クラックなどの抑制されたサブキャリアウェハ、サブキャリア、レーザーモジュール、光学エンジンモジュール、XRグラス、サブキャリアウェハの製造方法及びサブキャリアの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係るサブキャリアウェハの構成の一例を示す斜視図である。
図2図1のサブキャリアウェハのII-II線で矢視した断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るサブキャリアの製造方法のフローチャートである。
図4図3におけるダイシング工程の一態様を説明する概念図である。
図5図3におけるダイシング工程の一態様を説明する概念図であって、図4の変形例を示す図である。
図6図3の変形例に係るサブキャリアの製造方法のフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態に係るレーザーモジュールの構成の一例を示す斜視図である。
図8図7のレーザーモジュールのPLCの入射面の断面図である。
図9図7のレーザーモジュールの一部の平面図である。
図10図7のレーザーモジュールのX-X線で矢視した断面図である。
図11図11(a)及び図11(b)は、図7のレーザーモジュールの製造方法の一例を説明するための断面図である。
図12】パッケージされたレーザーモジュールの平面図である。
図13図12のレーザーモジュールの断面図である。
図14図12のレーザーモジュールのカバーを外した状態の平面図である。
図15図12のレーザーモジュールの出射部側から見た側面図である。
図16図12のレーザーモジュールの使用時の一形態を示す斜視図である。
図17】本発明の一実施形態に係るXRグラスを説明するための概念図である。
図18】本発明の一実施形態に係るレーザーモジュールから出射されたレーザー光によって網膜に直接画像が投影される様子を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0025】
[サブキャリアウェハ]
図1は、本発明の一実施形態に係るサブキャリアウェハの構成の一例を示す斜視図である。図2は、図1のサブキャリアウェハのII-II線で矢視した断面図である。図1及び図2では、説明の便宜上、サブキャリアウェハの一部を拡大して示している。図1及び図2に示されるサブキャリアウェハ100は、レーザーモジュール用のサブキャリアウェハであって、ウェハ10、及びウェハ10の主面Sに設けられた複数の保護層15を備え、複数の保護層15は、離間して配列されており、ウェハ10の主面Sの一部が露出している。複数の保護層15は、詳細を後述する通り、例えばマトリクス状に配列されている。
【0026】
ウェハ10は、例えばSiを主成分として含む。保護層15は、例えば、Siの酸化物膜、Siの熱酸化膜、Siの窒化物、TEOS(Tetraethyl orthosilicate Tetraethoxysilane)からなる群から選択されるいずれかを主成分として含む。すなわち、ウェハ10は、Siウェハであり、保護層15は、例えば、SiOで構成された層SiNで構成された層、TEOSで構成された層のいずれかである。
【0027】
サブキャリアウェハ100は、ダイシングされて所定のチップ(サブキャリア)となる。サブキャリアウェハ100に備えられる保護層15の数は、例えば、後の工程を経てサブキャリアウェハ100から作製されるサブキャリアの数と同じである。サブキャリアウェハ100は、例えば、保護層15上に第1金属層75及び第2金属層76が形成されている。
【0028】
保護層15の厚みは、例えば、0.03μm以上5μm以下であり、0.2μm以上2μm以下であることが好ましい。
【0029】
サブキャリアウェハ100において、複数の保護層15は、例えば、積層方向から平面視してマトリクス状に配列されている。図1及び図2に示される例において、複数の保護層15は、X方向及びY方向に並び、X方向及びY方向に離間している。複数の保護層15は、X方向及びY方向において等間隔で配列されていることが好ましい。
【0030】
複数の保護層15のうち、最近接の保護層15の距離dは、例えば10μm以上100μm以下であり、30μm以上50μm以下であることが好ましい。上記距離dは、最近接の保護層15の最近接の部分同士の距離である。距離dは、1枚のウェハから作製できるサブキャリアの数を多くする観点で小さいことが好ましい。一方、距離dは、サブキャリアの製造方法においてカッティングブレードダイシングする場合に、カッティングブレードの厚みよりも大きくして接触しないようにするために、一定の大きさ以上に設計されている。尚、サブキャリアの製造方法においてステルスダイシングする場合、サブキャリアとなるチップ同士の界面となる切断線CLは、使用されるレーザーのレーザー中心に沿うため、レーザー中心においてウェハ10が露出していれば十分である。
【0031】
保護層15の側面は、例えばテーパー形状をしており、複数の保護層15のうち隣接する保護層15の距離は、例えば、ウェハ10の主面から離れるに従って大きい。保護層15の側面がウェハ10の主面Sとなす角は、例えば、30°以上90°以下であり、40°以上80°以下であることが好ましい。保護層15の側面がウェハ10の主面Sとなす角が鋭角であることで、複数の保護層15のうち隣接する保護層15の距離は、ウェハ10の主面から離れるに従って大きい形状になる。
【0032】
ウェハ10のうち、保護層15と重ならない領域は、例えば、保護層15と重なる領域と比べて凹んだ凹部Cが形成されている。
【0033】
第1金属層75及び第2金属層76は、ウェハ10及びLD30の間に設けられた層である。ウェハ10及びLD30は、第1金属層75、第2金属層76を介して接続されている。第1金属層75、第2金属層76を形成する方法としては、公知の方法が利用可能で特に問わないが、スパッタ、蒸着、ペースト化した金属の塗布等の公知手段が利用可能である。第1金属層75、第2金属層76は、例えば、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、鉛(Pb)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)及びタンタル(Ta)、タングステン(W)、金(Au)とスズ(Sn)の合金、スズ(Sn)-銀(Ag)-銅(Cu)系はんだ合金(SAC)、SnCu、InBi、SnPdAg、SnBiIn及びPbBiInからなる群から選択される1又は複数の金属で構成されている。第1金属層75、第2金属層のそれぞれは、共晶化された金属層や、電極層を含んでいてもよい、少なくとも一層の任意の層数からなる層である。
【0034】
上記実施形態は、本発明の一実施形態であり、特許請求の範囲の要旨の範囲内で適宜変更可能である。例えば、ウェハ10のうち保護層15と重ならない領域に凹部Cが形成されている例を示したが、凹部Cが形成されていてなくてもよい。すなわち、ウェハ10の主面Sは、平坦であってもよい。また、接着層75、電極パッド80等の形状は、概略的に示したものであり、適宜変更できる。また例えば、ウェハ10の主面Sのうち隣接する保護層15の間の領域が凹部Cとなっている例を示したが、該領域が平坦形状であってもよい。
【0035】
[サブキャリアウェハの製造方法]
続いて、上記実施形態に係るサブキャリアウェハ100の製造方法について説明する。本実施形態に係るサブキャリアウェハ100の製造方法は、主面に保護層が形成されたウェハに対してエッチングを行い、ウェハの一部領域を露出させて複数の保護層を区画化する表面加工工程を有する。
【0036】
表面加工工程は、例えば、物理的エッチング、又は、化学的エッチングにより加工を行う。表面加工工程において、ウェハを露出させる領域は、後述するサブキャリアの製造方法において、ダイシングする領域である。ウェハから作製するサブキャリアの数を多くする観点から、表面加工工程は、ウェハが露出する領域が格子状となるように行うことが好ましい。
【0037】
尚、サブキャリアウェハの製造には、ウェハ上に保護層が形成されているものを用いてもよく、ウェハに対して保護層を形成する成膜工程を行ってから上記表面加工工程を行ってもよい。成膜工程は、例えば、化学気相成長法により行う。
【0038】
尚、上記実施形態では、保護層15に対してエッチングを行うことでその表面の一部を露出させる例を示したが、成膜工程を含むサブキャリアウェハの製造方法を行う場合、エッチング加工を省略可能である。サブキャリアの製造方法においてエッチング加工を省略する場合、例えば、準備工程及び除去工程をさらに有する。この場合、準備工程は、成膜工程よりも先の工程であり、ウェハに対してエッチングマスクを形成する。また、成膜工程において、エッチングマスクが形成されたウェハに対して保護層を形成し、その後、マスクを除去することにより複数の保護層が離間して形成されたサブキャリアウェハを作製できる。
【0039】
本実施形態に係るサブキャリアウェハ及びその製造方法によれば、チッピング、パーティクル、クラックなどの原因となる、ウェハ10と比較して硬い保護層15が部分的に除去されているため、保護層15が除去された領域に対してダイシングをすることで、チッピング、パーティクル、クラックが抑制される。
【0040】
[サブキャリア]
本実施形態に係るサブキャリアは、レーザーモジュール用のサブキャリアであって、基台と、基台10の主面Sに設けられた保護層15と、を備え、保護層15の側面はテーパー形状をしており、保護層15の積層方向と直交する面の面積は、基台から離れるに従い小さい。基台は、ウェハ10が切断されることで形成された部材である。基台は、ウェハ10の切断線CLによって画定される。
【0041】
本実施形態のサブキャリアは、サブキャリアウェハをダイシングして作製される。すなわち、本実施形態のサブキャリアの製造方法は、例えば、上記表面加工工程、及び、表面加工工程によりウェハが露出した領域に対してダイシングを行うダイシング工程を有する。図3は、本発明の一実施形態に係るサブキャリアの製造方法のフローチャートである。
【0042】
図4は、図3におけるダイシング工程の一態様を説明する概念図であって、サブキャリアウェハ100がカッティングブレード90によってダイシングされている様子を示す。図4には、説明の便宜上、切断線CLが二点鎖線で示されている。
【0043】
ダイシング工程は、例えば、ブレードダイシングにより行う。ダイシング工程をブレードダイシングにより行う場合、表面加工工程において、サブキャリアの保護層15の距離dがカッティングブレード90の厚みより大きくなるように複数の保護層15を区画化する。次いで、ダイシング工程において、カッティングブレード90を用いてサブキャリアウェハ100をダイシングする。
【0044】
図5は、図3におけるダイシング工程の一態様を説明する概念図であって、図4の変形例を示す図である。図5には、サブキャリアウェハ100に対して、レーザー照射器91によりレーザーLが照射されている様子を示す。ダイシング工程は、ステルスダイシングにより行ってもよい。ダイシング工程をステルスダイシングにより行う場合、先ずレーザー照射器91を用いてサブキャリアウェハ100に対してレーザーLを照射する。次いで、サブキャリアウェハ100に対して外力を加えて個片化する。サブキャリアにおいてレーザーが照射された箇所が切断線CLとなる。ダイシング工程をステルスダイシングにより行う場合、レーザーLの中心において、ウェハ10が露出していれば、個片化時のチッピングやクラックの発生を抑制できる。
【0045】
図5では、レーザーLが保護層15と重ならない例を示したが、レーザーLの中心が保護層15と重ならなければ、その一部が保護層15と重なっていてもよい。
【0046】
図6は、図3の変形例に係るサブキャリアの製造方法のフローチャートである。変形例に係るサブキャリアの製造方法は、主面Sに保護層が形成されたウェハ10に対してエッチングを行う表面加工工程を省略可能である。変形例に係るサブキャリアの製造方法は、準備工程及び成膜工程をさらに有する。準備工程は、成膜工程よりも先に行う工程であり、ウェハに対してエッチングマスクを形成する。成膜工程では、エッチングマスクが形成されたウェハに対して保護層を形成し、その後、マスクを除去することにより複数の保護層が離間して形成されたサブキャリアウェハを作製できる。次いで、ダイシング工程を行い、主面Sが露出した領域に対してダイシングを行うことで、サブキャリアを作製できる。
【0047】
本実施形態に係るサブキャリアの製造方法では、上記の通り、複数の保護層15が離間して配置されており、主面Sの一部が露出したウェハ10の露出部に切断線CLが重なるようにダイシング工程を行う。そのため、ダイシング工程をブレードダイシングにより行う場合、カッティングブレード90及び保護層15の接触を抑制し、ダイシング工程をステルスダイシングにより行う場合、レーザー中心が保護層15と重なることを抑制できる。従って、本実施形態のサブキャリアの製造方法によれば、ブレードダイシングを行う場合、保護層15と接触することを抑制し、チッピング及びパーティクルの発生を抑制できる。また、ステルスダイシングを行う場合、レーザーLの中心が保護層15と重ならないように調整されているため、外力を印加して個片化する際に保護層のクラック及びチッピングの発生を抑制できる。
【0048】
[レーザーモジュール]
図7は、本発明の一実施形態に係るレーザーモジュールの構成の一例を示す斜視図である。図8は、図7のレーザーモジュールのPLCの入射面の断面図である。図9は、図7のレーザーモジュールの一部の平面図である。図10は、図7のレーザーモジュールのX-X線で矢視した断面図である。図7図10では、保護層15、第1金属層75及び第2金属層76が形成された基台10を合わせてサブキャリア20と呼称する。また、図7図10では、説明の便宜上、第1金属層75及び第2金属層76をサブキャリア20とは別途図示する場合と、省略する場合がある。レーザーモジュールに備えられる部材のように、面内方向に切断済みのウェハを基台と称する。
【0049】
図7図10に示されるレーザーモジュール500は、サブキャリア20、サブキャリア20の上面(表面)21に設けられたLD(光半導体素子)30、基板40、及び基板40の上面(表面)41に設けられたPLC(光導波路)50を備える。
【0050】
レーザーモジュール500は、例えば、光の3原色である赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの色の光を合わせる合波器である。レーザーモジュール500は、例えば、ヘッドマウントディスプレイに搭載される合波器として適用可能である。使用する光源であるLD30は、市販の赤色光、緑色光、青色光等の各種レーザー素子を使用可能である。LD30は、適宜所望の用途により選択すればよく、例えば、赤色光は、ピーク波長が610nm以上750nm以下である光が使用可能であり、緑色光は、ピーク波長が500nm以上560nm以下である光が使用可能であり、青色光は、ピーク波長が435nm以上480nm以下である光が使用可能である。
【0051】
レーザーモジュール500は、赤色光を発するLD30-1、緑色光を発するLD30-2、及び青色光を発するLD30-3を備える。LD30-1,30-2,30-3は、それぞれのLDから発せられる光の出射方向に略直交する方向において互いに間隔をあけて配置され、個別のサブキャリア20の上面21に設けられている。LD30-1は、サブキャリア20-1の上面21-1に設けられている。LD30-2は、サブキャリア20-2の上面21-2に設けられている。LD30-3は、サブキャリア20-3の上面21-3に設けられている。以下では、レーザーモジュール500の任意の構成要素の符号Zについて、符号Z-1,Z-2,…,Z-Kの構成要素に共通する内容については、これらをまとめて符号Zと記載する場合がある。前述のKは2以上の自然数である。
【0052】
なお、言うまでもないが、本実施形態として示した赤(R)、緑(G)、青(B)以外の光も使用可能であり、図面を用いて説明した赤(R)、緑(G)、青(B)の搭載順についても、この順である必要性はなく適宜変更可能である。
【0053】
LD30は、ベアチップでサブキャリア20に実装されている。サブキャリア20は、上記の通り、例えばSi等で構成された基台10及び基台10上に形成され、SiO,SiN,TEOS膜、等で構成された保護層15を備える。LD30は、図10に示される通り、サブキャリア20とLD30の間には、第1金属層75、第2金属層76が設けられている。サブキャリア20とLD30は、第1金属層75、第2金属層76を介して接続されている。第1金属層75、第2金属層76を形成する手段は、公知の方法が利用可能であり、特に問われないが、スパッタ、蒸着、ペースト化した金属の塗布等を利用可能である。第1金属層75、第2金属層76は、例えば金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、鉛(Pb)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)及びタンタル(Ta)、タングステン(W)、金(Au)とスズ(Sn)の合金、スズ(Sn)-銀(Ag)-銅(Cu)系はんだ合金(SAC)、SnCu、InBi、SnPdAg、SnBiIn及びPbBiInからなる群から選択される1又は複数の金属で構成されている。
【0054】
基板40は、シリコン(Si)で構成されている。PLC50は、集積回路等の微細な構造を形成する際に用いられる公知のフォトリソグラフィやドライエッチングを含む半導体プロセスによって、上面41に基板40と一体になるように作製されている。図7及び図8に示すように、PLC50には、複数且つLD30-1,30-2,30-3と同数のコア51-1,51-2,51-3と、コア51-1,51-2,51-3を囲むクラッド52が設けられている。クラッド52の厚みと、コア51-1,51-2,51-3の幅方向寸法は、特に制限されない。例えば、2~50μm程度の厚みを有するクラッド52中に、数ミクロン程度の幅方向寸法を有し、クラッドよりも薄い厚みを有するコア51-1,51-2,51-3が配設されている。
【0055】
コア51-1,51-2,51-3及びクラッド52は、例えば石英で構成されている。コア51-1,51-2,51-3の屈折率は、クラッド52の屈折率より所定値だけ高くなっている。このことによって、コア51-1,51-2,51-3の各々に入射した光が、各コアとクラッド52との界面で全反射しながら、各コアを伝搬する。コア51-1,51-2,51-3には、例えばゲルマニウム(Ge)等の不純物が前述の所定値に応じた量でドープされている。
【0056】
以下、LD30から発せられる光の出射方向をy方向とする。y方向を含む面内でy方向に直交し、且つLD30-1,30-2,30-3が互いに間隔をあけて配置されている方向をx方向とする。x方向及びy方向に直交し、且つサブキャリア20からLD30に向かう方向をz方向とする。図7以降に示されるx、y、z方向は、必ずしも図1及び図2のX,Y,Z方向と対応していない。PLC50の入射面61では、コア51-1,51-2,51-3は、x方向及びz方向に関してLD30-1,30-2,30-3から発せられる光の光軸に合わせて配置されている。
【0057】
図7及び図9に示すように、コア51-1,51-2,51-3は、PLC50の出射面64に到達する手前側で互いに1つに集められている。即ち、コア51-1,51-2,51-3は、y方向の前方に向かうにしたがって順次互いに近づき、1つのコア51-4に合流する。コア51-1,51-2,51-3からの漏れ光が生じないように、コア51-1,51-2,51-3はそれぞれ、所定の曲率半径以上の曲率半径でコア51-4に接続されるのが好ましい。
【0058】
図9に示すように、PLC50の入射面61がLD30の出射面31と対向するように配置されている。詳細には、LD30-1の出射面31-1がコア51-1の入射面61-1と対向している。x方向及びz方向において、LD30-1から発せられる赤色光の光軸と入射面61-1の中心とが略重なっている。同様に、LD30-2の出射面31-2がコア51-2の入射面61-2と対向している。x方向及びz方向において、LD30-2から発せられる緑色光の光軸と入射面61-2の中心とが略重なっている。LD30-3の出射面31-3がコア51-3の入射面61-3と対向している。x方向及びz方向において、LD30-3から発せられる青色光の光軸と入射面61-3の中心とが略重なっている。このような構成及び配置によって、LD30-1,30-2,30-3から発せられる赤色光、緑色光、青色光の少なくとも一部は、コア51-1,51-2,51-3に入射可能である。
【0059】
LD30-1,30-2,30-3から発せられる赤色光、緑色光、青色光は、コア51-1,51-2,51-3にそれぞれ入射した後、各コアを伝搬する。コア51-1,51-2及びこれらのコアを伝搬する赤色光及び緑色光は、合流位置57-2よりy方向の後方の所定の合流位置57-1(図9参照)で合わさる。コア51-1,51-2同士が合流したコア51-7(図9参照)とコア51-3及びこれらのコアを伝搬する赤色光、緑色光及び青色光は、合流位置57-2で合わさる。合流位置57-2で集光された赤色光、緑色光及び青色光は、コア51-4を伝搬し、出射面64に到達する。出射面64から出射される3色光は、例えばレーザーモジュール500の使用目的に応じて信号光等として用いられる。
【0060】
図10に示すように、サブキャリア20は、例えば、接合膜71を介して基板40と接続されている。接合膜71としては、例えば、AuSn接合膜等が用いられる。
【0061】
LD30とPLC50との間に反射防止膜(不図示)が設けられていてもよい。例えば、反射防止膜は、基板40の側面42とPLC50の入射面61とに、一体的に形成されている。但し、反射防止膜81は、PLC50の入射面61のみに形成されていてもよい。
【0062】
入射面61に加えて出射面64にも、反射防止膜(不図示)が設けられていてもよい。なお、図7では、レーザーモジュール500の概略構成を示しており、接合膜71の図示は省略されている。
【0063】
反射防止膜は、PLC50への入射光又は出射光が入射面61又は出射面64から各面に進入する方向とは逆向きに反射することを防止し、入射光又は出射光の透過率を高めるための膜である。反射防止膜は、例えば複数の種類の誘電体が、入射光である赤色光、緑色光、青色光の波長に応じた所定の厚みで交互に積層されることによって形成される多層膜である。前述の誘電体としては、例えば酸化チタン(TiO)、酸化タンタル(Ta)、酸化シリコン(SiO)、酸化アルミニウム(Al)等が挙げられる。
【0064】
LD30の出射面31とPLC50の入射面61とは、所定の間隔で配置されている。入射面61は出射面31と対向しており、y方向において出射面31と入射面61との間には隙間70がある。レーザーモジュール500は空気中に露出されているので、隙間70には空気が満ちている。レーザーモジュール500がヘッドマウントディスプレイに用いられる点及びヘッドマウントディスプレイで求められる光量等をふまえると、隙間(間隔)70のy方向の大きさは、例えば0μmより大きく、5μm以下である。
【0065】
次いで、レーザーモジュール500の製造方法の一例を簡単に説明する。先ず、サブキャリア20の上面21にベアチップのLD30を公知の手法を用いて実装する。例えば、サブキャリア20の上面21に、第1金属層75をスパッタ又は蒸着等を用いて形成する。さらに、LD30の下面33(例えば、LD30-1の下面33-1)に、第2金属層76をスパッタ又は蒸着等を用いて形成する。次に、図11(a)に示すように、例えば、レーザー96からレーザー光をサブキャリア20に照射し、サブキャリア20のみを溶融及び変形しない程度に加熱する。サブキャリア20からの伝熱によって、第1金属層75、第2金属層76を軟化或いは溶融させ、その後冷却する。これにより、サブキャリア20の上面21にLDが第1金属層75、第2金属層76を介して接合される。また、LD30のサブキャリア20への実装前、或いは、実装後に、サブキャリア20の側面22に他の金属と共晶化して接合膜71を形成する金属膜をスパッタ又は蒸着等を用いて形成する。
【0066】
次に、基板40の上面41に、公知の半導体プロセスによってPLC50を形成する。続いて、基板40のy方向の後方に、他の金属と共晶化して接合膜71を形成する金属膜をスパッタ又は蒸着によって形成する。
【0067】
次に、x方向及びz方向において、互いに対応するLD30とコア51-1,51-2,51-3の出射面31と入射面61とをy方向に間隔をあけて対向させる。LD30から発せられる各色光の光軸と対応するコアの入射面61の中心とを略重ねる。この時、例えば、サブキャリア20の底面23と、基板40の底面43とが略同一平面上になるように、サブキャリア20の底面23と、基板40の底面43とを揃えて配置してもよい。
【0068】
次いで、図11(b)に示すように、レーザー96からレーザー光をサブキャリア20に照射し、サブキャリア20からの伝熱によってサブキャリア20と基板40の間に形成された金属の層を軟化或いは溶融させる。LD30とPLC50との相対位置を調整し、PLC50が形成された基板40に、LD30が実装されたサブキャリア20を接合する。こうした工程を経て、レーザーモジュール500を製造することができる。
【0069】
本発明の一実施形態に係るレーザーモジュールは、図12図16に示されるようにパッケージ110に収容されていてもよい。図12は、パッケージされたレーザーモジュールの平面図である。図13は、図12のレーザーモジュールの断面図であり、図14は、図12のレーザーモジュールのカバーを外した状態の平面図であり、図15は、図12のレーザーモジュールの出射部側から見た側面図であり、図16は、図12のレーザーモジュールの使用時の一形態を示す斜視図である。図12図16に示されるレーザーモジュール500Aは、レーザーモジュール500がパッケージ110に収容されている。パッケージ110は、キャビティ構造を有する本体102、及び、本体102を覆うカバー105を備える。
【0070】
本体102は、レーザーモジュール500が収容される箱状の収容部107、及び、収容部107と隣り合う電極部108を備える。本体102は、例えば、セラミック等で形成されている。収容部107の上面には開口が形成されている。上面視で開口の周縁の収容部107の上面には、コバール等の金属膜112が形成されている。カバー105は、金属膜112を介して、収容部107の上面に形成された開口を隙間なく覆っている。カバー105で収容部107を気密封止する際に、収容部107は、カバー105によって気密封止されている。収容部107の内部空間は、不活性ガスで満たされている。これにより、隙間70(図11(b)参照)には不活性ガスが満たされる。
【0071】
図視されるように、収容部107の低壁部131の所定の位置には、例えばレーザーモジュール500を設置するための土台180が設けられている。レーザーモジュール500は、土台180の上に設けられている。つまり、レーザーモジュール500は、収容部107の内部空間に配置されている。レーザーモジュール500は、サブキャリア20の底面23と、基板40の底面(基板底面)43とが、互いに略同一平面P上に形成されていてもよい。ここで、略同一平面P上であるとは、底面23及び底面(基板底面)43の僅かなズレを許容する。具体的には、基板40のz方向に沿った厚みに対して20μm以下の範囲のズレを許容する。また、サブキャリア20の底面23及び基板40の底面(基板底面)43は、土台180の上面180a(一内面)との間で接着層182を介して接合されていてもよい。
【0072】
接着層182は、例えば、フィラーが混合された樹脂で構成されている。樹脂としては、エポキシ樹脂等が使用され、フィラーとしては銀粉末等が使用される。また、接着層182は、一定以上の熱伝導性を保つために、熱伝導率が0.5W/m・K以上であることが好ましい。
【0073】
このような構成により、LD30の動作により生じた熱をサブキャリア20の底面23、及び、基板40の底面(基板底面)43の両方から土台180に向けて効率よく放熱することが出来る。また、サブキャリア20の底面23及び基板40の底面(基板底面)43の両方を、フィラーを混合した樹脂からなる接着層により接合してもよい。
【0074】
y方向においてサブキャリア20の下方の土台180と外部電極パッド210との間の位置の底壁部131には、x方向に間隔をあけて複数の内部電極パッド202が設けられている。
LD30及びサブキャリア20の各々と複数の内部電極パッド202のうち各LD30に対応する内部電極パッド202とは、ワイヤーボンディング等の方法を用いてワイヤー95によって接続されている。例えば、LD30-1及びサブキャリア20-1の各々と2つの内部電極パッド202-1の各々とは、ワイヤー95-1によって個別に接続されている。LD30-2及びサブキャリア20-2の各々と2つの内部電極パッド202-2の各々とは、ワイヤー95-2によって個別に接続されている。LD30-3及びサブキャリア20-3の各々と2つの内部電極パッド202-3の各々とは、ワイヤー95-3によって個別に接続されている。
【0075】
内部電極パッド202-1、202-2、202-3の各々は、互いに異なる外部電極パッド210と接続されている。前述のように内部電極パッド202-1202-2、202-3の各々と電気的に接続された外部電極パッド210は、不図示の電源等と電気的に接続されている。つまり、レーザーモジュール500Aでは、LD30と不図示の電源とがワイヤー95、内部電極パッド202-1、202-2、202-3及び外部電極パッド210によって接続されている。不図示の電源から内部電極パッド202-1、202-2、202-3の各々に対応する外部電極パッド210に電力が供給されることによって、LD30-1、30-2、30-3から赤色光、緑色光、青色光が出射される。
【0076】
レーザーモジュール500Aは、収容部107の側壁部132のうち、レーザーモジュール500のPLC50の出射面31と対向する側壁部132には、開口133が形成されている。開口133は、側壁部132においてPLC50のコア51-4から出射され、収容部107の内部空間で拡がった3色光の側壁部132の表面上での大きさよりも大きく形成されている。図14及び図15に示すように、開口133は、側壁部132の外方からガラス板220によって気密封止されている。ガラス板220の両板面には、不図示の反射防止膜が設けられている。
【0077】
開口133は、PLC50のコア51-4から出射される3色光が通過してパッケージ110の外部に伝搬するための窓である。図16に示すように、PLC50のコア51-4から出射された3色光LLは、y方向を中心に拡散しつつ、開口133及びガラス板220を通り、パッケージ110のy方向で奥側、即ちy方向の前方に進行する。例えば、パッケージ110の側壁部132-1よりもy方向で奥側に、コリメートレンズ310を備えたコリメート装置300を配置できる。y方向における出射面31とコリメートレンズ310との距離をコリメートレンズ310の焦点距離に合わせ、3色光LLの光軸上にコリメートレンズ310の中心を合わせることによって、コア51-4から出射された3色光LLがコリメートされ、平行光になる。
【0078】
[XRグラス][光学エンジンモジュール]
本実施形態に係るXRグラスは、上記実施形態に係るレーザーモジュールのいずれかがグラスに搭載されている。XRグラス(眼鏡)は、眼鏡型の端末であり、XRは、仮想現実(VR:Virtual Reality)、拡張現実(AR:Augmented Reality)、複合現実(Mixed Reality)の総称である。
【0079】
図17は、本発明の一実施形態に係るXRグラスを説明するための概念図である。図17に示すXRグラス10000は、フレーム10010にレーザーモジュール1001が搭載されている。図17中の符号Liは、画像表示光である。また、図18は、本発明の一実施形態に係るレーザーモジュールから出射されたレーザー光によって網膜に直接画像が投影される様子を示す概念図である。
【0080】
本実施形態では、図17に示す、レーザーモジュール1001、光走査ミラー3001、並びに、レーザーモジュール1001及び光走査ミラー3001を結ぶ光学系2001を合わせて光学エンジンモジュール5001と称する。レーザーモジュール1001としては、上記実施形態に係るレーザーモジュールを使用可能である。
【0081】
レーザーモジュール1001の光源としては、例えば、赤色レーザー光源60-1、緑色レーザー光源60-2及び青色レーザー光源60-3のRGBレーザー光源、並びに、近赤外光レーザー光源を有するものを用いることができる。
【0082】
図18に示すように、メガネフレームに取り付けられたレーザーモジュール1001から照射されたレーザーRは、光走査ミラー3001で反射され、その反射光はヒトの眼球E方向へ反射するミラー4001で反射され、人の眼球E内に入り、網膜Mに直接画像(映像)を投影できる。
光学エンジンモジュールは、アイトラッキング機構を備えることにより、アイトラッキングを行いながら、網膜に直接画像が投影される。アイトラッキング機構としては、公知のものを用いることが出来る。
【0083】
光走査ミラー3001は、例えば、MEMSミラーである。2D画像を投影するためには、光走査ミラー3001は、水平方向(X方向)及び垂直方向(Y方向)に角度を変えてレーザー光を反射するように振動する2軸MEMSミラーであることが好ましい。
【0084】
光学エンジンモジュールは、例えば、レーザーモジュール1001から出射したレーザー光を光学的に処理する光学系2001として、コリメータレンズ2001a、スリット2001b、及びNDフィルタ2001cを備える。上記光学系は、一例であり、光学系2001は、他の構成であってもよい。
【0085】
光学エンジンモジュール5001は、レーザードライバ1100、光走査ミラードライバ1200、及び、これらのドライバを制御するビデオコントローラ1300を備える。
【符号の説明】
【0086】
10 ウェハ、15 保護層、20,20-1,20-2,20-3 サブキャリア、
21,21-1,21-2,21-3 上面、
22,22-1、22-2、22-3 側面(第1側面)、23 底面、
30 レーザーダイオード(LD)、31,31-1,31-2,31-3 出射面
33 下面、40 基板、41 上面、42 側面、43 底面(基板底面)、
51-1,51-2,51-3 コア、52 クラッド、
60-1 赤色レーザー光源、60-2 緑色レーザー光源、60-3 青色レーザー光源、61,61-1,61-2,61-3 入射面、64 出射面、70 隙間(間隔)、75 第1金属層、76 第2金属層、81,82 反射防止膜、
90 カッティングブレード、91 レーザー照射器
100 サブキャリアウェハ、102 本体、105 カバー、107 収容部、
108 電極部、110 パッケージ、112 金属膜、131 低壁部、
132 側壁部、133 開口、180 土台、180a 上面、182 接着層、
202 外部電極パッド、220 ガラス板、300 コリメート装置、
310 コリメートレンズ、500,500A,1001 レーザーモジュール、
1100 レーザードライバ、1200 光走査ミラードライバ、1300 ビデオコントローラ、2001 光学系、2001a コリメータレンズ、2001b スリット、
2001c NDフィルタ、3001 光走査ミラー、4001 ミラー、
5001 光学エンジンモジュール、10000 XRグラス、10010 フレーム
C 凹部、CL 切断線、d 距離、E 眼球、L レーザー、M 網膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18